中央区ものしり手帳
第十話
静かな住宅街に残る歴史スポット

豊かな自然と歴史資源が魅力的な平尾校区の見どころを紹介します。

○平尾山荘
平尾5丁目の「平尾山荘」は、幕末の勤王歌人・野村望東尼(のむらぼうとうに)が暮らした庵を復元したもので、かやぶき屋根が特徴的です。

望東尼は夫とともに、大隈言道(おおくまことみち)に師事して和歌を学び、40歳の時にこの地に転居しました。

当時、森と田んぼしかなかった平尾村の向陵(むかいのおか)に庵を建てて庭を造り、夫婦で歌作りに励みながら暮らしていたそうです。

夫の死後は、庵には高杉晋作や平野国臣など、勤王の志士たちが訪れ、密会場所や隠れ家として使われていたとの話が残っています。

○松風園
平尾3丁目にある「松風園」は、昭和20年代に建設された茶室と日本庭園を有する公園で、福岡市初のデパート「玉屋」の経営者であった田中丸家の邸宅跡です。

松の大木が多数あったことが松風園といわれる由来です。
庭園には樹齢100年を超えるイロハモミジがあり、四季の移り変わりを感じることができます。

茶室「松風庵」は、京都の数寄屋師が地元から材料を取り寄せて建て、当時の状態のままで保存されています。
また、茶道具のなつめなどの彫刻を施した、全国唯一の棗(なつめ)灯籠があります。

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