【特集】大雨に備えよう

近年、九州北部は毎年のように記録的な豪雨に見舞われるなど、大雨による災害が発生しやすい傾向にあります。大雨に備え、大切な「命」を守りましょう。
福岡の気象について

気象予報士・農学博士
手嶋準一さんの話

この夏は、太平洋西部域、フィリピン付近の海水温が平年より高くなると予想されています。日本の南海上で海水温が上昇して対流活動が活発になると、日本付近を覆う太平洋高気圧の勢力が強まります。さらに日本上空に南から湿った空気が入りやすくなるため、気温が高く、雨量も多くなると予想しています。

九州北部の大雨リスクが増大

地球温暖化の影響で大気の流れが大きく変わり、九州上空が発達した雨雲の通り道になったことが近年の大雨の一因と考えられます。大気中の水蒸気量が増え、亜熱帯のような雨の降り方になっているともいえます。
 また近年は、小さな台風が梅雨前線を刺激し、これまで経験したことがないような大雨を降らす事例も増えています。
 豪雨災害の原因は、雨量そのものが増えていることもありますが、山や林が放置されて本来の保水機能が失われていることや、都市近郊で田畑が減ったために市街地等に雨水が一気に集まり、「内水氾濫」=下記参照=が発生しやすくなったことなど、複合的な要因が考えられます。

豪雨被害を軽減するために

気象警報や避難指示、避難所開設などの情報を素早く受け取るために、個人の携帯やスマートフォンに直接通知が届く、福岡市の防災メールなどを有効に活用してください。また、避難に時間がかかる高齢者や障がいのある人などへの配慮も忘れずに。支援が必要な人たちには、早めに情報を伝え、避難を促すことが大切です。
 大雨による被害を軽減するために、日頃から備えましょう。

「内水氾濫」とは

 都市の浸水には、降った雨が河川からあふれて発生する「洪水」と、雨を河川等に排水できずに発生する「内水氾濫」があります。
 特に都市部はコンクリートで道路が覆われているため、雨水が地面に浸透しにくく、短時間で大雨が降った場合、水路や下水管の処理能力を超え、内水氾濫が発生します。

防災情報を集める
●市総合ハザードマップ(ウェブ版)


▽洪水▽土砂災害▽高潮▽地震による揺れやすさ▽津波―の各種災害リスクや避難場所などの情報を一つにまとめた「総合ハザードマップ」を、市ホームページ(「福岡市総合ハザードマップ」で検索)に掲載しています。災害種別を選ぶと、自宅周辺や職場など確認したい地点の災害リスクが地図上にまとめて表示されます。
●ハザードマップ(紙版)
 ▽洪水▽高潮▽地震による揺れやすさ―の各種ハザードマップを区ごとに作成・印刷し、情報プラザ(市役所1階)、各区役所情報コーナー、入部・西部出張所で配布しています。
●テレビのリモコンのdボタン
 リモコンのdボタンを押すと、気象情報や防災情報のほか、災害時には市からの避難情報や避難所開設情報などが画面に表示されます。
●市防災メール
 気象警報や避難指示などの緊急情報を、携帯電話やスマホにメールでお知らせします。また、内水氾濫の危険水位を超えたときには、「下水道水位情報」が受け取れます。 メール t-fukuoka-city@sg-p.jpに空メールを送信し、登録してください。
 福岡市LINE(ライン)公式アカウントに登録している人は、避難所情報や交通・インフラ情報等が確認できます。また、防災情報の受信設定をすると、市が発信する緊急情報が受け取れます。
 ■問い合わせ先/防災推進課 電話 092-711-4153 FAX 092-733-5861

市民防災センター
 市民防災センターは、さまざまな災害の擬似体験を通して、もしものときの防災に関する知識や、対処法などを楽しく学べる施設です。※緊急事態宣言発出中は休館します。
 ●VR(仮想現実)防災体験も

 所要時間1時間20分の「体験コース」では、VR(仮想現実)防災体験のほか、震度1~7の揺れや、消火、煙からの避難など、さまざまな擬似体験ができます(要予約)。
 ※他に「体験+講習コース」もあります。

【場所・問い合わせ】 市民防災センター(早良区百道浜一丁目) 

電話 092-847-5991(予約専用) 

FAX 092-847-5970 

【開館時間】 午前9時半~午後5時 

【料金】 無料 

【休館日】 月曜日、最終火曜日(祝休日の場合は翌平日)

オンライン来館 始めました
 自宅で動画を視聴して、防災について学べます。
 詳しくはホームぺージ(「福岡市民防災センター」で検索)をご覧ください。

大規模災害時にスマホの充電器が無料で利用できます

 市役所、各区役所・出張所、体育館など、市の施設に設置されているモバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT(チャージスポット)」※で、大規模災害時にスマートフォンの充電器が無料で借りられます(平時は30分まで165円、48時間まで330円で利用可)。※株式会社インフォリッチが市との災害協定に基づき市施設に設置しているもの。

■問い合わせ先/地域防災課

電話 092-711-4156

FAX 092-733-5861


災害時の避難について

大雨による危険が迫ると、避難情報が発令されます=下記参照。これまでの「避難勧告」は「避難指示」に一本化されました。避難が必要な場合は、早めに行動してください。
 避難とは、「避難所に行くこと」ではなく、「難を避け、安全を確保すること」を意味します。安全な場所にいる人は、避難所に行く必要はありません。
 ハザードマップを見て、自宅が洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域なのかどうかを事前に確認しておきましょう。

●移動が必要な場合

避難所への移動が必要な人は、ためらわずに、早めに避難を開始してください。避難所では、マスクの着用や手洗い、咳(せき)エチケットなど、感染症対策の徹底をお願いします。
 災害時に避難所を開設する場合は、人との適切な距離の確保や換気など、感染症拡大防止に配慮して運営を行います。
 避難所に収容できる人数には限りがありますので、「密」を避けるためにも、可能であれば安全が確保できる親戚や知人の家など、避難所以外の場所へ避難することも検討してください。

●自宅が危険でない場合

建物の上階へ避難することや、高層階にとどまることで、安全を確保できる場合があります。自宅が洪水浸水想定区域等であっても、浸水しない部屋があり一定期間分の水や食料を準備するなどして安全が確保できれば、在宅で避難するという方法もあります。

警戒レベル4(避難指示)までに必ず避難してください
 高齢者や障がいのある人など、避難に時間がかかる人は、警戒レベル3「高齢者等避難」までに避難を開始しましょう。その他の人も、警戒レベル4「避難指示」までに必ず避難してください。※警戒レベル5の発令を待ってはいけません。

警戒レベル 避難情報等 取るべき行動
5 緊急安全確保 災害が発生または切迫し、命が危険な状況です。直ちに安全の確保を
~警戒レベル4までに安全な場所に避難してください~
4 避難指示 危険な場所から全員避難してください
3 高齢者等避難 避難に時間がかかる人は危険な場所から避難してください
2 大雨・洪水・高潮注意報 気象状況が悪化しています。避難準備を始めてください
1 早期注意情報 今後気象状況が悪化する恐れがあります。最新情報のチェックを

インターネットによる避難情報の入手が難しい人は・・・
 視覚や聴覚に障がいがある人や、75歳以上で携帯電話等を持っていない、または操作が苦手な人には、自宅の固定電話やファクスに直接避難情報をお伝えします。
 情報配信には登録が必要です。申込用紙は、地域防災課(市役所7階)や、各区総務課(中央区は地域支援課、西区は防災・安全安心室)、福祉・介護保険課で配布しています。申込用紙の送付を希望する場合は、地域防災課(電話 092-711-4156 FAX 092-733-5861)へ連絡を。

避難のために必要なこと

―田島公民館(城南区)の上野館長に話を聞きました

 平成21年7月の豪雨で、田島地区は樋井川や下水道、側溝から水があふれ、腰の高さくらいまで浸水しました。5年をかけ河川の改修は完了しましたが、アスファルトで覆われた道路は雨水が浸透しにくく、内水氾濫の発生が心配です。土砂災害の恐れがある区域もあります。

 田島公民館では、災害時にはコロナ禍以前の約半分に人数を制限し、感染者は2階へ、その他の人は1階へと動線を分け、換気もしっかり行って避難所を運営します。
 この辺りは戸建て住宅がほとんどで、「一人でいると不安」と公民館に来られる人も多くいます。昨年9月の台風10号の際は、20数人が公民館に避難しました。結局大きな被害はなく、「避難しなくてもよかったのでは」と言う人もいましたが、私はいい避難訓練になったと思っています。災害が過ぎた後に「何事もなくてよかったね」とみんなで笑い合えたら、それが一番です。

避難準備で必要なこと

避難に当たって必要なことは、普段の生活に全てつながっています。例えば、多くのご家庭で2、3日過ごすのに十分な食料が常備されていると思います。普段から整理整頓をして、どこに何があるか把握しておくことが大切です。専用の避難グッズを買いそろえなくても、自分が避難する際に必要な物を準備して、使ったり食べたりしたら買い足して、またストックすれば大丈夫です。
 普段から近所で声を掛け合ったり、 散歩中に「ここは水がたまりそうだから避難のときはあっちの道を通ろう」とちょっと気にして歩いてみたり、そんな行動が災害時に役立ちます。
 特別なことは何もありません。いざというときに慌てることのないよう、日頃から備えておきましょう。

大切な命を守るために
 災害が起きたときは、まず自分の命を守るための行動を起こしてください。
 市は、災害対策本部機能の強化を図るほか、公民館等に避難所を設営する際に電気自動車を活用して電力確保等に取り組むなど、災害に強いまちづくりを進めています。
 また市は、万が一のときに役立てられるよう、防災に関するハンドブック等も作成しています。
 防災について詳しくは、市ホームページ(「福岡市 防災情報」で検索)をご覧ください。

■問い合わせ先/地域防災課

電話 092-711-4156

FAX 092-733-5861




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