令和2年度は、新型コロナウイルスが市民生活・地域経済に大きな影響を与えた1年でした。令和3年度は、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた取り組みを推進し、福岡のまちに「元気」を取り戻します。
新型コロナウイルス対策
令和3年度、福岡市は初めて1兆円を超える一般会計予算を編成しました。2年度の補正予算を含めた14カ月予算は、1兆965億円です。その約4分の1の約2800億円を新型コロナウイルス対策費として、感染症対策と経済対策に全力で取り組みます。
ワクチン接種について
新型コロナウイルスワクチンについては、 国から供給され次第、希望する全ての皆さんが円滑に接種できるよう準備を進めています。
接種は、主に市内約700のクリニックで行います。基礎疾患やこれまでの病歴について把握している「かかりつけ医」に相談しながら接種できるので、接種後も含めて皆さんの安心につながります。
また、集団接種会場となるマリンメッセ福岡B館(博多区沖浜町)などでは、土・日曜日も接種を行います。
※4面に関連記事。
検査・医療体制の充実
濃厚接触者等の検査を行う地域外来・検査センターの運営や、クラスター(感染者集団)が発生した施設等への出張検査事業を市医師会と連携して行うなど、検査が受けやすい体制を確保します。
医療・介護施設等の従事者や、感染が拡大している地域の関係者等に対し、無償で検査を実施します。また、重症化のリスクが高い高齢者や、分娩前の妊婦が検査を希望する場合には、その費用の一部をそれぞれ助成します。
新型コロナウイルス感染症の最前線で働く医療従事者への特別給付金の交付や、介護施設の従事者等への支援も、引き続き行っていきます。
地域経済の下支え
▽生活道路等の整備・修繕、道路のバリアフリー化
▽学校の校舎の内外壁の改修、トイレの洋式化
▽市営住宅の建て替え、改善
▽公園の再整備
―など、市民生活に身近な公共事業に対し、近年で最大規模の予算を確保しました。もともと予定されていたこれらの事業を前倒しで行うことで、仕事をつくりだし、地域経済を支えます。
また、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業の資金需要に対応するため、過去最大規模の商工金融資金の融資枠を確保します。
併せて、プレミアム付き商品券を発行する商工会議所や商店街を支援し、消費を促します。
市民生活への支援
コロナ禍で不安を抱える子どもや保護者の心のケアを充実させるため、スクールカウンセラーを52人から115人に増員し、各校に原則週2日配置します。福祉の面からサポートを行うスクールソーシャルワーカーや、不登校に対応する教育相談コーディネーターとも連携し、支援が必要な子どもや家庭の支援に取り組みます。
※詳しくは中面折り込み「ふくおかの教育」で紹介。
また、感染症の影響で保育施設等が休園した場合に、訪問型保育サービス(ベビーシッター)の費用の一部を1日10時間を限度に助成し、子育て世帯を支援します。
感染症に強いまちへ
現在、市の都心部では、「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などにより、感染症に対応した機能を備えた新しいビルへの建て替えが進んでいます。
また市は、市民の皆さんが利用する店舗等が換気・非接触などの設備を整えて感染症対策を強化する際に支援を行い、対策を後押しします。
世界に先駆けた「感染症対応シティ」へ―。福岡市はチャレンジを続けます。
感染拡大防止のために公共施設の手洗い水栓を取り換え
公民館、学校、障がい者施設、公園など、市が所有する施設の手洗い水栓を、手洗い後に蛇口に触らなくて済むプッシュ式水栓等に取り換えます。
― 新しい時代へのチャレンジ ―
行政のDX推進(デジタルトランスフォーメーション)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、情報通信技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることをいいます。
市は、市民の皆さんの利便性向上と事務効率化のため、行政手続きや市民サービスのデジタル化・オンライン化を推進します。
オンライン申請が本格始動
区役所等に出向かずに、スマートフォンなどを使って、いつでもオンラインで申請が行える「新電子申請システム」を今年度からスタートします。例えば、住民票の写しは、オンライン申請すると住民登録地に郵送で届けられます。※申請は、本人および同一世帯の人の分のみ。手数料と郵送料はクレジットカードで決済されます(今年度に限り、普通郵便料金84円は無料)。
5月上旬には税に関する証明もオンラインで申請可能になる予定です。
マイナンバーカードのご準備を
一部のオンライン申請には、暗証番号を登録したマイナンバーカードが必要です。
持っていない人は、早めの交付申請をお願いします。
全ての公民館にWi-Fi(ワイファイ)を整備
デジタル化を促進するため、今年の秋を目標に、地域の拠点である公民館にWi-Fi(無線LAN)を整備します。公民館では、オンライン申請相談会等も実施します。
安全・安心な環境と未来を育むために
子育て世帯の支援のために
3歳から中学校を卒業するまで、一つの医療機関で支払う通院医療費の上限額が月額500円になる「ふくおか安心ワンコイン」を7月からスタートし、子ども医療費助成制度を拡充します。 ※3歳未満の子どもは自己負担なし。
また、児童の虐待防止への取り組みを強化するために、虐待のリスクを抱える家庭を訪問し、食事の支援や生活指導等による見守りを実施します。
さまざまな支援ニーズや相談に応じるため、こども総合相談センター「えがお館」に児童福祉司等を増員するほか、新たに「子ども家庭総合支援拠点」を各区に設置します。
さらに、心理士らが無料で相談に応じる「子ども家庭支援センター」を東部エリアに設置し、既存の中央区、南区の同センターと3施設体制で子育てに関する悩みに対応します。
経済的に厳しい状況にある一人親家庭には、就職に結びつく資格等の取得など、経済的自立に向けた支援を充実させます。
プレコンセプションケアの推進
「プレコンセプションケア」とは、女性やカップルが将来の妊娠(conception(コンセプション))を含め、自らのライフプランや健康について考えることです。
自分の体を知り、主体的に自身のライフプランを立ててもらうため、30歳の女性を対象に、産婦人科等での血液検査および説明・助言に係る費用を助成します。
また、学校教育の現場でも、子どもたちが自分の体に関する正しい知識を習得し、将来設計にも役立てられるよう、取り組みを行います。
誰もが生き生きと暮らせるまちへ
重度障がい者の雇用を促進するために、国の助成の対象とならない就業中の介助(トイレ、食事、通勤等)を、市が助成します。
また、引きこもりや、非行などで困難な状況にある若者を社会参加・自立へと導くため、支援団体・機関のネットワークを強化します。そして、その中心となる総合的な相談機関の設置について検討を進めます。
「就職氷河期世代」といわれるおおむね35~50歳の求職者に対しては、就労相談窓口に専任のキャリアコンサルタントと求人開拓員を配置するほか、セミナーを実施するなどして、就労の支援を行います。
仕事も遊びも全力になれるまちへ
福岡市は、コンパクトなエリアの中に充実した都市機能があり、近郊には豊かな自然があります。
そんな市の特長を生かし、地域ごとの魅力にさらに磨きをかけるため、観光業・農林水産業の振興などに向け、地域と一体となって取り組みます。
FUKUOKA EAST(イースト)&WEST(ウエスト) COAST(コースト)プロジェクト
東区(志賀島エリア)・西区(北崎エリア)の海辺の魅力を高めるため、無電柱化や歩道の美装化など、豊かな自然環境と調和した道づくりを進めます。
また、サイクリング観光の促進や滞在型プランの拡充、回遊を促す立ち寄りスポットづくりの検討などに取り組み、観光周遊コースの形成を目指していきます。
油山市民の森・油山牧場をリニューアル
市民にとって身近なレクリエーションの場である「油山市民の森」と「油山牧場」の資源を生かして、より魅力的で、さらに皆さんに親しまれる空間にするためのリニューアルに取り組みます。
市債残高について
●市債を発行する理由
道路・公園・学校など、長期間使用される公共施設を整備する際に、その費用を今年度の予算だけで賄うと、現在の市民だけが費用を負担し、その後の市民は負担なしで施設を利用できることになります。将来施設を利用する市民にも整備等の費用を公平に負担してもらうため、市債を発行しています。
●市債発行額
令和3年度の一般会計の市債発行額は921億円の見込みです。2年度当初予算と比較すると、臨時財政対策債(国が償還額を全額地方交付税措置するもの)の大幅増などに伴い、146億円増加しました。
●市債残高の縮減
令和3年度末の満期一括積立金を除く全会計ベースの市債残高は、前年度と比べ172億円減の1兆9991億円、さらに臨時財政対策債の残高見込み額を除いた額は、ピーク時の平成16年度末から9409億円減少し、1兆5706億円となっています。また、市民1人当たりの市債残高は、約101万円になる見込みです。
将来の世代に過度な負担を残さないよう、市は今後も必要性や効果の高い事業を厳選し、市債残高の縮減に努めていきます。
ふくおかしの家計簿
「ふくおかしの家計簿」は、市の予算や財政状況、財政運営の取り組み等をイラストやグラフを用いて分かりやすく説明したパンフレットです。
令和3年度版を5月から市役所1階情報プラザや各区役所情報コーナーで配布。市ホームページ(「ふくおかしの家計簿」で検索)にも掲載します。
■問い合わせ先/
財政調整課
電話 092-711-4166
FAX 092-733-5586