子どもたちの未来のために

子どもたちの未来のために

 昨年の一斉休校から1年がたちました。目まぐるしく変化する環境の中で、子どもたちは自分なりに少しずつ適応しながら、前に進んでいます。未来を担う子どもたちのために、私たち大人にできることを考えます。

いつでも相談してください
 市こども総合相談センター・えがお館は、20歳までの子どもや保護者を対象に、子どもに関わるさまざまな相談に応じています。子どもの発達に関わることや生育状況、家庭内暴力や虐待の心配、不登校やいじめ等の学校生活のことなど、24時間体制で相談を受け付け、それぞれの状況に応じた支援を行っています。

えがお館で心理相談を担当する半田淳子係長(51)に話を聞きました。
 子どもたちは、私たち大人が思っている以上に、自分なりに考え、状況を理解しようとしています。子ども扱いせずに、年齢に応じた適切な説明をしてあげましょう。
 「分からない」ことから不安になり、お腹が痛い、頭が痛い、眠れないなどの身体的な症状が現れたり、うまく表現できずにわがままになったり、落ち着きがなくなったりします。
 まず、ゆっくり話を聴いてあげてください。子どもは「聴いてもらえた、分かってもらえた」と安心し、気持ちが安定します。家庭内でルールを決めるときも、子どもがどうしたいのかを聴き、一緒に考えてあげると、納得してルールを守ることができるようになります。
 慌ただしい日々の中でも、子どもが状況を正しく知り自分の気持ちを表現できるよう、大人がサポートしていくことが大切です。
えがお館の石橋さんと半田係長の写真

えがお館で長年相談に応じている石橋芳子さん(63)の話
 まず最初に、「よく電話を掛けてくれましたね」と声を掛けます。「一人で悩まずに相談してくれてありがとう」という思いからです。
 コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、「友だちとSNSでもめた」という子どもからの相談のほか、「動画を見続ける」「ゲーム依存ではないか」という保護者からの相談も増えました。里帰り出産ができず、頼れる人がいなくて不安という妊婦さんもいます。じっくり話を聴き、相談者自身が解決に向けて考えていけるよう寄り添います。背景はさまざまですので、相談者のニーズに合わせて、どのような支援につなげられるかを模索します。
 子どもたちも保護者も、みんな頑張っています。今を乗り切るために、子育て家庭を孤立させないことが大切です。社会全体で子どもを育てていきましょう。
「人に話すことで楽になれることもあります」と語る石橋さんの写真

市こども総合相談センター えがお館
【場所】中央区地行浜二丁目
▽相談電話 電話 092-833-3000(24時間)
▽女の子専用電話 電話 092-833-3001(午前9時~午後5時)
※虐待については、児童相談所全国共通ダイヤル 電話 189(いちはやく)でも受け付け。
里親制度や引きこもりなどについての相談にも応じます。詳細はホームページ(「えがお館」で検索)に掲載しています
えがお館の外観写真


子どもの権利条約
 「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、18歳未満の児童(子ども)に対して、大人と同じように一人の人間としての人権を認めています。
 大きく分けると次の四つの権利があります。
●生きる権利
 食事を与えられること。病気を防ぎ、命を奪われないこと。病気やけがをしたら治療を受けられることなど。
●育つ権利
 自由が守られ、自分らしく育つことができるよう、教育を受け、休養を取ったり遊んだりできること。
●守られる権利
 暴力や、むごい扱いを受けることのないように守られ、子どもの幸せが奪われないことなど。
●参加する権利
 自分の意見を表明したり、グループをつくったり、自由な活動を行ったりできることなど。



身近な相談場所 各区家庭児童相談室
 各区保健福祉センターの子育て支援課には、子どもや子育てについて気軽に相談できる「家庭児童相談室」があります。電話や面談で、市民からの相談に応じています。

家庭児童相談室・倉冨相談員の話
 近頃は、コロナ禍で感染への不安を抱えている、収入が減って生活に困っているなどの相談も増えてきました。福岡市に転勤してきた人の中には、近くに頼れる親戚や友人がいない人も少なくありません。
 親の入院などで子どもを養育できないときに短期間預けられる「ショートステイ制度」や、一人親が経済的に自立するための支援もあります。保育に関することは「子育てコンシェルジュ」に、児童手当については「こども家庭福祉係」につなぐなど、連携を取りながら、相談者と一緒に解決策を考えています。
 「話すことは放すこと」。心の中の重いものを手放すことができるように、皆さんに寄り添って話を伺います。
 保護者が笑顔でいることが子どもの元気の源です。元気な子どもの姿を見て、保護者もさらに元気になります。どうか自分を責めたり、諦めたりしないでください。生活を守る手立ては、きっとあります。一緒に、どうしたらよいかを考えましょう。
熱心に相談者の話を聴く倉冨さんの写真
各区家庭児童相談室(午前9時~午後5時)
各区家庭児童相談室の一覧表
区 電話 ファクス
東 092-645-1072 092-631-1511
博多 092-419-1084 092-441-1455
中央 092-718-1104 092-771-4955
南 092-559-5124 092-559-5149
城南 092-833-4104 092-822-2133
早良 092-833-4357 092-831-5723
西 092-895-7069 092-881-5874



子どもたちの笑顔を守る
 市立の小中学校では、合計69人のスクールソーシャルワーカー(SSW)が、福祉専門職員として子どもたちの生活環境の改善に当たっています。

博多区千代小・中学校を担当するSSWの上野健太さん(32)に話を聞きました。
SSWの上野健太さんの写真
 この1年は、ほとんどの行事が中止になり、子どもたちも我慢を強いられました。例年は、行事を目標に、それに向かって練習や努力を重ね、連帯感や達成感を感じながら成長した姿を見せていましたが、現在は、節目のない毎日でも彼らなりに工夫しながら過ごしています。
 休校中に行ったアンケートには「学校に行きたい」「友だちに会いたい」「みんなで外で遊びたい」という素直な思いがつづられていました。人とのつながりの大切さをこれほど感じたことはありません。
 ソーシャルワーカーである我々は、教員とは違った立場で子どもや保護者と関わることができます。導くというよりも、一緒に歩いていく、並走するというイメージです。
 子どもたちは、それぞれ違う家庭環境や背景・個性を持っています。子どもたちが安心して生活し必要な教育を受けられるよう、周囲に働き掛けるなど、子どもたちの権利を擁護することが我々の役目と考えています。
 子どもたちにも、子育てに関わる大人にも、身近に我々のような福祉専門職がいることを知ってほしいと思います。困ったことがあったら、一人で抱え込まず相談してください。
 人と人との距離を気にしなければならないときだからこそ、心の距離を縮められるよう、表情豊かに接しています。子どもたちとのたわいない会話も大切にして、彼らの良き理解者となれるように「おせっかいな大人」でいたいと思います。
休み時間に、校庭で元気に遊ぶ小学生たちの写真

LINE(ライン)で「こどもSNS相談」
 市は、いじめや不登校等の課題を早期に発見し未然に防ごうと、LINEを活用した相談を行っています。
 対象は、市立の小中学校・高校・特別支援学校と市内の私立・国立の小中学校に通う児童生徒です。臨床心理士などの資格を持つ相談員が、午後7時~10時にメッセージのやり取りで応じます。問い合わせは、教育相談課(電話 092-832-7120 FAX 092-832-7125)へ。

学校や学級のことで困ったら
 学校保護者相談室(電話 092-711-4859)は、市立の小中学校・高校・特別支援学校に通う子どもの保護者が、学校や学級のことで困っているときに相談できる窓口です。※相談日=毎週月・水・金曜日、第2火曜日・第4木曜日午前10時~午後3時

新しい授業スタイル「タブレット学習」
タブレット端末を活用した小学校の算数の授業風景の写真
 市は、市立の小中学校・高校・特別支援学校に児童生徒全員分のタブレット端末を整備し、コロナ禍でも学習を止めないための取り組みを進めています。
 教員が指導用のデジタル教科書で授業を進めるほか、子どもたちが1人1台の端末を使って意見を交換したり、アイデアを共有したりしています。全員の意見が即座に画面で共有できるなど、これまでにない学びを生み出しています。
 現在は、土曜授業で自宅でのオンライン学習を試行中です。不登校や入院している児童生徒の学習にも活用しています。問い合わせは、学校指導課(電話 092-711-4638 FAX 092-733-5780)へ。


子ども医療費助成「ふくおか安心ワンコイン」
 市は、令和3年7月から通院時にかかる医療費の助成対象を中学生までに拡大します。
 窓口での自己負担額は、3歳から中学生まで、1医療機関につき月額500円までになります。※3歳未満は自己負担なし。入院は中学生まで自己負担なし。
 6月までは、3歳未満は自己負担なし、3歳以上就学前は月600円、小学生は月1,200円、中学生は助成対象外。
■問い合わせ/保険医療課 電話 092-711-4235 FAX 092-733-5441


育児不安、しつけ、暴力などの相談
子ども家庭支援センター
 子どものことが心配、親子関係に悩んでいるなど家庭での子育てに関する悩みについて、臨床心理士などの資格を持つ相談員が無料で対応します。
 面談による相談です。電話で予約してください。対象は、0歳から20歳までの子どもやその家族、関係者など。次の2カ所で実施しています。
●SOS子どもの村
場所 中央区赤坂一丁目
電話 092-737-8656
休館日 水曜日
●はぐはぐ
場所 南区長住三丁目
電話 092-408-1985
休館日 火曜日
※時間は、どちらも月~金曜日=午後5時~8時、土・日曜・祝休日=午前10時~午後5時


発達障がいに関する相談
ゆうゆうセンター

 市発達障がい者支援センター「ゆうゆうセンター」は、市内に住む発達障がいのある人や、発達障がいかもしれないと悩んでいる人、またはその家族・関係者からの相談を受け付けています。
 相談は無料です。年齢や障がいの程度、知的障がいの有無は問いません。
 来所相談は予約が必要です。まずは、電話やメールでご連絡ください。
場所 中央区地行浜二丁目
電話 092-845-0040
FAX 092-845-0045
メール youyou@fc-jigyoudan.org
開館時間 月~金曜日午前9時~午後5時
休館日 土・日曜・祝休日


「伝えたい私たちの思い」知ってください自閉症・発達障がいのこと
 4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」、2日から8日までは、「発達障がい啓発週間」です。
 4月2日(金曜日)の正午からJR博多駅前広場で、発達障がいのある人やその家族が描いた絵画や支援グッズの展示などを行います。午後6時からは、福岡タワー(早良区百道浜二丁目)と博多ポートタワー(博多区博多ふ頭)を、青にライトアップします。
 また、3月26日(金曜日)~29日(月曜日)には、市役所1階多目的スペースで発達障がいがある人のアート作品を展示します。
■問い合わせ先/こども発達支援課
電話 092-711-4178
FAX 092-733-5534
青くライトアップされた福岡タワーの写真。青は自閉症啓発のシンボルカラーです。

  • この記事をシェアする

  • LINEシェアのリンクアイコン
  • はてなブックマークのリンクアイコン