今年で創立55周年を迎える西高宮剣錬会は、当時の公民館長であった故富重淑郎先生と井上和義先生の父故井上義人先生によって始められました。数ある福岡の道場やサークルの中でも長い歴史を誇ります。
現在は小中学生(約65人)から大人まで総勢150人という大人数で、元気の良い子どもたちの声や竹刀、太鼓の音が西高宮小学校体育館から響いてきます。
正座の号令から黙想(上写真)が始まり、先生方と道場に礼をします。そして誓いの言葉(下)を全員で唱和します。
声を出して準備体操
小学生高学年が前でお手本を見せながら大きく素振り
剣道の基本の剣胴着の着装や正座、礼の仕方、すり足の練習
竹刀の持ち方や素振り・・・単純に見えますが奥深さを感じます
竹刀は、お侍さんの刀(刀は自分の命の次に大事なもの)のように、またいだり投げたり、杖のようにして床についたりしない大事なものです。竹刀の扱い方や手入れの仕方も学びます。
初心者の指導担当は、福吉勝三先生(教士7段)と中嶋楯夫先生(錬士6段)です。
手ぬぐいを頭に巻き面を付けます。面紐は長く、低学年は後ろに手が届かず初めは四苦八苦なので保護者や先生に手伝ってもらいますが、やがて一人でできるようになります。
面を付け終えたらお互い向き合います
お手本を見せながら指導する井上和義先生(教士7段)
昇級・昇段審査に必要な、木刀による形の剣道基本稽古法(上写真)を学びます。
剣道には、4級から1級(竹刀剣道と剣道形演舞の実技試験学科試験)の級位と、初段から8段まで(学科試験も加わる)の段位があり、審査会を経て授与されます。
昇級審査では、「基本の動作・正しい礼法・着装」が重要になります。初段以上は、技術的力量、高い技術と学科が必要です。
団体で試合がある場合は、試合前日にみんなの前で選手達に赤胴を渡して選手を紹介します。
低学年、高学年用とそろえています
先鋒から対戦し、勝ち抜いた団体が勝ちになります。
最後はお互いに向き合い礼をし(上写真)、子ども達は道場(体育館)に感謝をこめて床拭き(下写真)をして帰ります。
内田耕作さん(23歳)
小学3年生から剣錬会で剣道を始め高校大学まで続けて福岡県警に就職。
久しぶりに剣錬会の稽古に来て「懐かしい」と話していました。
ヤンス プラゲさん(23歳)
3年前、ドイツで剣道を始め、日本に来て自宅に近い剣錬会に入会し1年。
「剣道はとてもおもしろい」と笑顔で話しました。
横山さん家族
横山貴一さん(52歳)
スポーツマンの貴一さんは昨年5月に入会した息子さんの太亮君(5年生)の剣道姿を見ながら自分もやってみようかと思っていたところ、奥さんの晴美さんから、誕生日(10月2日)に名前入りの剣胴着をプレゼントされ剣錬会に入会することになりました。
「体がどこまでやれるのか心配ですが、頑張っています」と話されました。
井上和義先生(67歳)
会長及び総指導者(教士7段)の井上和義先生は、剣道歴60年、剣錬会の第一期生です。
「小さい頃はよく熱を出していたが、剣道を始めて体も丈夫になりました。剣道は生涯スポーツで私も生活の一部として60年間続けてきました。日本の伝統文化なので将来のある子どもたちは宝物です。長く続けて欲しいと思って褒めて工夫しながら指導しています。また、ここから巣立った子どもたちが剣錬会に再び稽古に来てくれるととても嬉しいです」と話されました。
小中学生の保護者も当番制で体育館の鍵開けや子どもたちの出欠確認、けがの応急処置などをします。
出席率の高かった子どもたちには、皆勤賞・精勤賞として竹刀などのプレゼントもあります。
他の人気スポーツの影響もあり、数年前までは子ども会員が年々減っていたため、先生や保護者が会員を増やす活動に悪戦苦闘したそうです。
現在は、竹刀を持った袴姿への憧れや、「武道を学ばせたい」という保護者の強い願いもあり入会者も増えてきました。また、剣錬会は剣道の基本を一から学べ、何歳からでも始めることができます。
年に一度は親子レクレーションもあり、先生や子どもたち、保護者と一緒に楽しい時間を過ごしています。詳しい活動内容は「ブログ:がんばれ少年剣士」に掲載されています。
創立して50数年の剣錬会は、卒業しても気軽に立ち寄れ、プライベートな事も先生などに相談できる、そんな温かさを感じるサークルでした。
このページに掲載している記事は「みなみ情報発信隊」隊員が取材し、作成したものです。