油山から長丘方向を見ると、市内のほぼ中央に、大きな島が浮かんでいるように鴻巣山特別緑地保全地区が見えます。
油山片江展望台から見た長丘の街
長丘校区は、背振山から市街地へ連なる「緑の腕」の一部として貴重な緑地帯の南側にあります。鴻巣山の緑地帯は、市内の特別緑地保全地区最大の規模を誇っています。
長丘中学校のすぐ隣は緑の鴻巣山
遊歩道入口には「特別緑地保全地区」の案内板が立っています
鴻巣山は昭和50年に、都心部に残る貴重な樹林地を保全するため、特別緑地保全地区に指定されました。樹木はかつて家庭の燃料(まき)として利用されていましたが、ガスや石油を燃料として使用するようになると、それまでの役割を失ってしまいました。利用されなくなることで樹木が増えすぎ、鴻巣山は薄暗い森になり、明るい環境を好む動植物が減り、さらにはゴミの投棄が増えるという問題が発生しました。
そこで住民により、自然を守り育てるための主体的な取り組みが積極的に行われるようになりました。
長丘青少年育成連合会は毎年「長丘クリーンデー」を開催し、地域住民や地元クラブチーム、長丘中学校の生徒と清掃奉仕活動を実施しています。
約300名の参加者で山に入ります
手分けしてゴミを拾います
森の再生の話を聞きます
また鴻巣山で森の手入れをしながら自然を楽しむ活動をしている任意団体「こうのす里山くらぶ」は、ボランティアで定期的に山に入り、太陽光が地面にまで届くよう竹林や常緑樹の間引き作業をしています。さらに、間伐で出た材で遊歩道沿いの土が流れないよう土止めの柵を作り、専門家の指導の下で管理しています。
「こうのす里山くらぶ」
増えすぎた樹木や枝などの間引き作業
遊歩道沿いに柵を作ります
間引きされた木々の間から入ってくる太陽光は森の奥まで届き、低木や地面の緑が復活します。
木々の間から太陽光が差し込んできます
その光は地面の緑を育みます
薄暗い森は明るい森へと生まれ変わります
自然を守り育てる地元の取り組みのおかげで、鴻巣山は大気の浄化や騒音緩和などの都市環境改善に役立つほか、森に住む生き物にとって貴重な場所となり、住民にとって自然と触れ合える身近な場として利用できる緑地になっています。
鴻巣山遊歩道は、木漏れ日が差し込み整備が行き届いており、丸太のゆるやかな階段は歩きやすい。
子どもたちに緑を守る大切さを説明する、こうのす里山くらぶの隈部さん
鴻巣山展望台からは博多湾や志賀島が見える
豊かな長丘の里山を守る活動に感謝し、故郷を愛する子どもたちにこの緑を継承することが大切だと感じます。
このページに掲載している記事は「みなみ情報発信隊」隊員が取材し、作成したものです。