左の写真は木錘(もくすい)です。大きさは長さが10〜20p程度で、木材の中央部を彫って鉄アレイのような形に仕上げています。これは稲わらを使ってムシロを編むときに使う道具です。
右の写真はつむいだ糸をかけて巻き取る道具で「かせ」と呼ばれます。長さ10〜16pで2枚の細長い板をX字形に組み合わせて使います。
これらの木製品は元岡・桑原(もとおか・くわばら)遺跡群第20次調査で出土しました。この遺跡は九州大学伊都キャンパス造成に伴って発掘調査が行われました。平成12〜15年にかけて実施した第20次調査では、古墳時代から古代にかけての集落が見つかり、谷部から古代の木簡や祭祀具をはじめとする木製品が多数出土しました。
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木錘 |
かせ |
弓の先につける矢じりですが、X線写真を撮影したところ小さな穴がたくさんあることがわかりました。その穴に注意しながらさびを取り除きました。長さ10.0p、幅2.6pの大型品で、古墳時代のものと思われます。穴は何のために開けられているのか、よくわかっていません。博多遺跡群第203次調査で出土しました。 | ![]() |
遺跡から出土したときはバラバラの小さな破片でしたが、さび取り後につっくけると写真のような形になりました。長さ約14pです。これは鑷子(じょうし)状鉄製品と呼ばれており、「鑷子」とは金属棒を二つに折り曲げ、金属のもつ弾性を利用した毛抜きのことです。用途に関しては、毛抜き、刀剣や刀子の吊り金具、馬具など複数の説があります。博多遺跡群第235次調査で出土しました。 | ![]() |