病気を治すための薬は医薬品と呼びます。薬物の乱用とは、医薬品を治療以外に使用したり、シンナーなどのように医療目的のない薬物を不正に吸ったりすることをいいます。たとえ、一回使用しただけでも乱用になります。そして、覚せい剤・大麻・危険ドラッグなどの危険な薬物は、一般の人が持っていることも使うことも、また、買ったり売ったりすることも、すべて法律で禁止されています。
私たちにとって脳は大切な働きをするところなので、いつも必要な栄養と酸素が血液から取り込まれていますが、同時に悪い作用をする物質が入らないようにブラッド・ブレイン・バリア(血液脳関門)が脳を守っています。ところが薬物は、このバリアを簡単に破って脳に入り込み人間をとりこにしてしまいます。
脳の神経細胞は脂質でできています。このため、有機溶媒であるシンナーがこの脂質を溶かしてしまうのです。また、シンナーは強い麻酔作用を持ち、大量に吸うと呼吸困難で死んでしまいます。依存性も強く情緒不安定、無気力、精神異常などを起こして吸い続けると脳の神経細胞が死滅し脳が萎縮してしまい、もう元には戻りません。
大麻は、国際条約で乱用される危険のある薬物として規制されています。乱用すると、訳の分からない興奮状態に陥ったり、無動機症候群といって毎日ごろごろして、何もやる気がしない状態になります。また、精神に異常をきたし(大麻精神病)、幻覚妄想が現れ、社会生活に適応できなくなります。また、生殖器官に異常が起こります。
詳細は「大麻に関するQ&A」ページをご覧ください
覚せい剤を使用すると一時的には眠気や疲れがとれたように感じますが、数時間すると激しい脱力感、疲労感、ゆううつ感におそわれます。この不快感から逃れようとして、連続して使用するようになり(これを「精神的依存」といいます)、徐々に使用量も増えます。そのうち幻覚や妄想が現れ(覚せい剤精神病)、時には錯覚状態に陥り、発作的に他人に危害を与えたりします。また、急性中毒で死ぬこともあります。
薬物には想像をこえる強い“依存性”があります。効果が切れるとまた薬物がほしくなり、自分の意志が効かなくなります。薬物によっては身体依存(やめると呼吸が止まったり、けいれんを起こす禁断症状が現れる)がみられます。また、同じ効果を期待するにはだんだん増量しなければならなくなる“耐性”という症状もあらわれます。
薬物乱用をやめても恐ろしい幻覚や妄想が突然戻ってくることがあります。大麻、覚せい剤、シンナーなどの乱用でひとたび幻覚・妄想などの精神症症状が現れると、治療によって表面上は回復しているように見えても、何かの刺激によって突然幻覚・妄想などの精神異常が再燃することがあります。これをフラッシュバック(自然再燃)といい、お酒を飲んだり心のストレスなどのほんの小さなきっかけで起こってしまうのです。
「ダイエットにきくいい薬があるよ」、「疲労回復にもってこいの薬があるよ」、「いい眠気覚ましがあるよ」、「いやなことが忘れられるよ」・・・・・などの言葉で薬物は誘惑します。最近では外国人等の密売人が繁華街で少年に声をかけたり、インターネットを利用した手口がみられます。
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