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更新日: 2024年2月8日

慢性腎臓病(CKD)予防


成人の約8人に1人、約1,330万人「慢性腎臓病(CKD)」と推計されています!

腎臓のイラスト

慢性腎臓病(CKD)は、尿にタンパクや血液が出るなど、腎臓の異常が3ヵ月以上続く状態を言います。
初期は自覚症状がないまま進行し、進行して腎不全になると体内から老廃物を除去できなくなり、最終的には人工透析や腎臓移植が必要になります。
発病と進行には生活習慣病が大きく関与しており、予防や進行の抑制には「早期発見と早期治療」が重要です



 

1.慢性腎臓病(CKD)とは

腎臓の障害(蛋白尿など)もしくはGFR(糸球体ろ過量)60ml/min/1.73平方メートル未満の腎機能低下3か月以上持続するもの。

※慢性腎臓病(CKD)の定義(日本腎臓学会編集「CKD診療ガイドライン2023」より)
※CKDとは「Chronic(慢性的な)」「Kidney(腎臓の)」「Disease(病気)」の頭文字を取ったものです。



慢性腎臓病(CKD)の重症化の流れ

  1. 生活習慣の乱れ(偏った食生活、過度の飲酒、運動不足、喫煙など )
  2. 生活習慣病の発症(高血圧症、糖尿病、脂質異常症など)
  3. 腎機能低下
  4. 腎障害(尿検査、血液検査などに異常あり) ※慢性腎臓病(CKD)はこの段階 
  5. 腎不全(人工透析や腎移植などが必要) ※慢性腎臓病(CKD)重症化
 

人工透析になると…

血液透析を受けている人のイメージイラスト

透析には、血液を透析器を通してきれいにして戻す「血液透析」と、お腹に管を入れ、それを通して透析液を出し入れする「腹膜透析」の2種類があります。日本では、血液透析が圧倒的に多いです。
血液透析は主に1回4時間、週に3回通院し、医療費は1人あたり年間約600万円かかると言われています。



2.慢性腎臓病(CKD)を予防するポイント


(1) 年に1度、健康診断を受けて、腎臓のはたらきをチェック!

慢性腎臓病(CKD)の予防には、早期発見が大切です。
しかし、腎臓は病状がかなり悪化しないと自覚症状があらわれないため、定期的な検査が重要です。
年に1度、健康診断を受診しましょう。



1) 尿検査

主なチェック項目は以下のとおりです。

  • 尿タンパク…タンパク質は重要な栄養素であるため本来は尿に排出されないものですが、腎臓の働きが悪くなると尿中にもれ出てきます 。
  • 尿潜血(血尿)通常は尿中に血液は混じりませんが、腎臓や尿管、膀胱、尿道などから出血があると、尿中に血液が混じるようになります。尿の色が赤くなくても、尿中に血液中の成分である赤血球がもれ出ると尿潜血(血尿)が陽性となります。
  • 尿糖…血液中を流れる糖は腎臓で一度濾過されますが、必要な栄養素であるため、通常は再吸収をして尿中に排出されません。しかし糖の血中濃度、つまり血糖値が高くなるとその再吸収が追いつかなくなり、尿中に糖がもれ出てきます。尿糖が陽性となった場合は血糖値が160~180mg/dlを超えていることを意味し、糖尿病が疑われます。

 2)血液検査

主なチェック項目は以下のとおりです。

  • 血清クレアチニン値(Cr)クレアチニンは血液中にある老廃物の一種です。腎臓が正常なら尿に排出されますが、腎臓の働きが悪くなると、尿中に排出されずに血液中に溜まっていきます。そのため血清クレアチニン値が高いということは腎臓の濾過や排泄がうまくいっていないと判断できます。※クレアチニンの値から「GFR」という値を推算できます。このGFRという値は腎臓の機能を示す指標として用いられており、GFRが60未満だと慢性腎臓病(CKD)が疑われます。
  • 血糖値…腎臓で血液をろ過する糸球体は毛細血管という細い血管の集まりです。血糖値が高い状態が続くと、その血管は傷ついていき、腎臓の悪化につながります。また、血糖値が上がると言えば糖尿病ですが、糖尿病は慢性腎臓病(CKD)を進行させる代表的な疾患の一つです。糖尿病の合併症である糖尿病性腎症は、人工透析導入の原因疾患の第一位となっています。
  • HbA1c値(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)…過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映した値で、血糖コントロールの状態が分かります。

 3) 血圧

腎臓のはたらきが悪くなると、余分な塩分と水分の排泄ができなくなり、血液量は増加し血圧が上がります。さらに血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環に陥ります。
腎臓のはたらきを守るためにも血圧をコントロールすることはとても大切です。
家庭で血圧をはかり、血圧コントロールに役立てましょう。



(2) 生活習慣病を予防しましょう!

慢性腎臓病(CKD)の原因として最も多いのは糖尿病と高血圧です。
脂質異常症、過度の飲酒、運動不足、喫煙なども慢性腎臓病(CKD)を悪化させます。かかりつけ医の指導を受けながら生活習慣の改善を図りましょう。
生活習慣病と診断されていなくても、慢性腎臓病(CKD)の進行を抑えるためには、バランスのよい食事や適度な運動など生活習慣の改善による、血糖・血圧・体重のコントロールが重要です。


【参考】生活習慣病予防のための情報がたくさんあります!


 

3.慢性腎臓病(CKD)が気になったら…


(1)健診結果(尿検査、血清クレアチニン、eGFR)をチェック!

  • 健診結果に異常なし…尿タンパクなどの腎障害が無い場合、慢性腎臓病(CKD)ではありません。しかし慢性腎臓病(CKD)は自覚症状がありませんので、年に1回、健康診断などで慢性腎臓病(CKD)のスクリーニング検査(尿検査と血液検査)を受けて、早期発見に努めましょう。
  • 健診結果に異常あり…慢性腎臓病(CKD)が疑われますので、かかりつけ医(医療機関)を受診しましょう。尿タンパクが2+以上の場合や、血尿と尿タンパクがともに陽性の場合には、腎臓専門医への受診が必要な場合があります。かかりつけ医と相談しましょう。

(2)自覚症状がある場合は、すぐにかかりつけ医を受診!

顔や足がむくむ、だるさを感じる、食欲がない、尿に濁りがあるなど、気になる症状がある場合は、かかりつけ医(医療機関)を受診しましょう。


(3)慢性腎臓病(CKD)と言われたら定期受診を!

慢性腎臓病(CKD)と言われたら、定期受診し、経過観察や治療を行いましょう。
自覚症状がなくても、定期的に、尿検査、血液検査を行いながら経過をみていくことが大切です。
かかりつけ医と相談し、必要時、専門医でも診てもらうようにしましょう。



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