令和5年度第2回福岡市地域生活支援協議会 議事録 日 時:令和6年3月29日(金)10:00〜12:00 場 所:アクロス福岡7階 大会議室 1.開会 【事務局】:定刻になりましたので、ただいまから令和5年度第2回福岡市障がい者等地域生活支援協議会を開催いたします。私は本協議会の事務局を担当しております障がい者支援課の山田と申します。よろしくお願いいたします。本日の会議は約2時間を予定しておりますので、ご協力をお願いいたします。 本日は委員総数21名のところ、19名が出席の予定でございます。2名ほど遅れておられますけれども、現在17名の方が出席をしていただいておりまして過半数に達しておりますので、本協議会要項第5条第2項の規定により、本協議会は成立しておりますことをご報告いたします。また、本日の会議では個人情報を扱いませんので、福岡市情報公開条例に基づき公開としております。 次に会議資料の確認をお願いいたします。委員の皆さまに事前にお送りしました資料は、「会議次第」と会議資料の1〜7、それから「委員名簿」、「運営要綱」でございます。 それから本日お手元に、会議資料8、座席表、議事の(2)に関連しまして資料を1枚、写真が入ったA4の2枚の資料を配布しておりますのでご確認をお願いします。不足の資料等がございましたら挙手をお願いします。 それでは、本日の会議次第についてご説明します。お手元の会議次第をご覧ください。本日の議事につきましては「重度障がい者の住まい部会の設置について」、それから「令和5年度に成立した新規課題の取り組みについて」。それから報告につきましては「福岡市医療的ケア児等支援協議会の設置について」、「令和5年度専門部会報告」、それから「日中サービス支援型障がい者グループホーム事業所の評価について」、以上を予定しております。 それでは議事・報告に入りますので、これより先の会は会長に進行をお願いします。 2.議事 (1)重度障がい者の住まい部会の設置について 【会長】:重度障がい者の住まい部会の設置について、事務局から説明をお願いします。 【事務局】:資料1をお願いします。本議題については、新たに重度障がい者の住まいに関する専門部会を設置することを諮るものです。これまで本協議会においては、重度障がい者の住まいについては、平成30年度に協議会の専門部会である障がい者等地域生活移行部会を設置し、その中で提言を行い、それに基づいてグループホームの運営補助金の拡大等を行って、受け入れの拡大を図っているところでございます。しかし、現在でも特に重度障がいのある方の住まいの場であるグループホームや一般住宅への入居は困難との声が多く、この協議会でもその解決に向けた取り組みを行うように意見をこれまで頂いておりました。これらのことから、新たに重度障がい者の住まいに関する専門部会を設置することについて諮るものです。 資料1の設置目的・名称については記載のとおりです。 協議事項については、本部会では重度障がい者の中でも特に住宅の確保が困難である強度行動障がい、重症心身障がいの方を対象にしたいと考えています。 部会の委員構成については、現時点で就任を要請している団体等から概ね了承を得られているもののみ記載しています。この他にも、住宅関係や、重症心身障がいの支援に取り組んでいる機関にも依頼を行い、委員数は15名ほどになると考えています。 事務局については、協議会の事務局である障がい者支援課、市基幹センターだけでなく強度行動障がい、医療的ケア、障がい福祉サービス、居住支援を担当している市の担当部局も入ることとしています。 スケジュールについては、今回の協議会で本企画案が承認されたら、令和6年5月以降から専門部会による協議を行っていきます。より丁寧に議論をまとめていくために2年間をかけて最終提言までまとめていきたいと考えています。このため、1年後の令和7年3月の協議会においては、一度その時点の中間提言を報告し、2年後の令和8年3月の協議会において最終提言をとりまとめたいと考えています。 以上、今回の協議会でこの専門部会の設置について承認が得られれば、4月から専門部会の設置についてこちらのほうでまた進めていきたいと考えております。説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。 【会長】:今の説明について何かご意見等ありましたらどうぞ。 【委員】:今回の取組みは、特に強度行動障がい、重症心身障がいの方たちの住まいの場ということで、大変意義のある部会になると思っていますが、今回の委員構成案には医者が入っていないと思われます。強度行動障がいもそうですが、特に重症心身障がいに関しては医療的ケアの問題が非常に大きいです。医療的ケアの子どもさんたちを私どもも見ているわけですけど、そういった方たちの住まいの場を確保していく時に、かなり在宅医療とかそういったことの進展ということを抜きにしては、安全な住まいの場はなかなかできないと思います。 医師は多忙な方が多いとは思いますが、医療的ケア児等支援協議会には医師が委員として入っています。このため、この専門部会委員の中にも、訪問診療などに大変関心を持っている医師の就任をぜひ働き掛けていただきたいのですがいかがでしょうか。 【事務局】:強度行動障がいや重症心身障がいの人の直接の支援に関わっている機関を中心に委員候補者の選定を行っているため、現時点の委員の構成には医師は入っておりません。医療面での意見の必要性等を踏まえ、医師を委員とするか事務局で検討します。ただ、医師はお忙しい人が多いため、常任の委員ではなくてもオブザーバーのように臨時的な参加という点も合わせて検討したいと思います。 【委員】:部会の名称が「重度障がい者の住まいに関する専門部会」となっておりますが、重度障がい者の住まいの場を確保するためには、住まいだけではなくて支援も足りないから受け入れがかなわないということを考えると、今回の専門部会で議論するのは住まいの建物のことのみなのか、運営に関わることも含むのか教えてください。 【事務局】:住まいの場はハード面はもちろんですが、受け入れに必要なサービスについても議論をしたいと考えています。 【委員】:そうであれば、この部会の内容・目的が明確になるよう部会の名称を「住まいと暮らしの場」「住まいと暮らしに関する」「居住支援に関する」のような文言を入れてほしいと思います。設置目的に記載されているように、グループホームの夜間の人員配置や、障がい支援区分6でも特に支援が必要な人のことなどを検討してほしいと思います。 もう1点、スケジュールについてですが、これまで私の団体だけではなく、福岡市の名だたる団体さんたちに実行委員になっていただいてこの問題を掘り下げてきたという経緯がここ何年もあり、課題の整理というのは、もうほぼ見えているのではないかと思いますので、この2年間というスケジュールが私たち当事者にとっては長すぎると感じます。このため、提言のとりまとめをもっと早く進めていただきたいです。 【事務局】:専門部会の名称については、委員の意見も踏まえて事務局で再検討したいと思います。スケジュールについては、グループホームの受け入れに関する課題はこれまでも多くの意見を聞いておりますが、障がい福祉サービス以外の住宅に関する部分はこれまで多くは検討されてこなかったかと考えており、これも含めて丁寧な議論を行いたいことから、最終提言をまとめるまで2年ということにしております。ただ、委員の意見のとおり緊急性が高いものについては中間提言の中に入れて、できるだけ早く施策に反映していきたいと考えています。 【委員】:強度行動障がいは、発達障がいの方々を主に考えてあると思いますが、強度行動障がいのカテゴリーで言うと例えば統合失調症の方など精神疾患を持った方が強度行動障がいに当てはまる方が結構おられますので、そのような方も想定した専門部会なのかをお聞きしたいです。 【事務局】:一般的に言われる強度行動障がいは、自傷他害等の行動面の問題が著しく高い頻度で現れるもので、その多くは重度知的障がいを伴う発達障がいの方ですが、精神障がいの中でもいわゆる自傷他害等の行動問題が原因で住宅の確保に困っている場合もあると思いますので、そのような方も視野に入れながら、専門部会では検討していきたいと思っています。 【委員】:強度行動障がいの多くは発達障がいもあるので、部会の委員に、ゆうゆうセンターなど発達障がいの専門の委員は入らないのでしょうか。 【事務局】:現在こちらで検討している委員の中には、ゆうゆうセンターからの委員は入っていませんが、強度行動障がい者の支援を重点的に行っている「か〜む」から委員に入ることで、強度行動障がいの特性も踏まえた検討をしていきたいと考えております。 【委員】:ちょっと対象者が広がり過ぎみたいな気がします。行動障がいというのは行動の障がいなので、障がい種別は問わないと思います。認知症の方だって行動障がいはあるだろうと思います。日本の障がい福祉分野における強度行動障がい、強度が付くと大方重度の知的障がいの方で自閉症も合わせ持つ方を想定しており、まずはそこを優先的に検討していくものだと私は認識しています。 【会長】:住まいの場の確保というのは、障がいを超えて全ての人に必要なことです。強度行動障がい者の中には、高機能自閉症のように知的障がいを伴わない事例もります。先ほどの委員からは知的障がいのある人ばかりに焦点を当てて精神障がいの人をどう支えるのかという視点が弱いということを言われているのだと思います。だから、これまでの精神障がいの歴史を踏まえて、精神障がいの人たちの暮らしの場をどう考えていくのか考えを聞かせてください。 【事務局】:障がい者の住まいの場の確保は全ての障がいに関わる課題ですが、全てを網羅して議論するのは幅が広すぎるので、今回はその中でも特に住まいの場に困っている強行障がい、重症心身障がいに絞って検討を行いたいと考えています。しかし、今回意見のあった精神障がいと行動障がいを併せ持つ場合など強度行動障がいや重症心身障がいに当たらなくても重度の障がいのため住宅の確保が困難なケースもあるので、そのような人を全く対象としないというのではなく、共通の課題や対策があれば専門部会でも議論したいと考えています。 また、精神障がいの方の暮らしの支援については、住宅以外に関わる部分も大きいので、既に設置している精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会等で検討したいと考えております。 【委員】:精神障がいの方を対象に入れるのはありがたいことではありますが、ただ精神障がいの方となると、重度の方以外も含めてまだ差別・偏見というところで住宅の確保が難しいという別の問題もあります。それをひとまとめにするとどこに焦点を絞って話を進めていっていいのか分からないという問題が出てくるかと思います。私は精神の団体の代表ではありますけど、そこはあまり一緒にしないほうが、今回対象としている重度障がい方たちにとっても精神障がいの方たちにとっても良いのかと思います。精神障がいは別の専門部会もありますし、特に精神障がい者の住まいに関してはまた違った問題が絡んできますので、必要であれば別に部会を立てるなりして、集中的に議論をしていってほしいなと思います。 【会長】:精神障がいの方の課題はある一方、他の障がいの課題や支援についての意見や情報を参考にすることも大事だと思います。この協議会ではそれぞれの障がいの関係者が入っているので、福岡市に住まわれている人たち全員のことを考える視点が大事だと思っています。 他になければ次の議題に移りたいと思います。令和5年度に整理した地域課題と取組みについて、事務局から説明をお願いします。 (2)令和5年度に整理した地域課題と取組みについて 【事務局】:資料2−1をご覧ください。令和2年度第2回の本協議会において報告した福岡市の17の地域課題について、今年度、課題の精査を行い、重なる課題を統合する形で福岡市の12の地域課題として再整理を行いました。再整理した内容は記載のとおりです。以前の17の課題と今回再整理した12の課題は次のページをご参照ください。 続きまして、地域課題に関する取り組みについてご説明をいたします。資料の2−2をご覧ください。令和5年度区基幹センターと区部会活動では、地域生活支援拠点等の整理を大きなテーマとし、福岡市内7区を3つのエリアに分けて取組みを行いました。3つのエリアとは、東区と博多区、中央区と南区と城南区、そして早良区と西区です。博多区では、短期入所を増やす取組みとして、短期入所事業を学ぶ研修会を実施しており、次年度もその取組みを継続していく予定です。 令和6年度の3つのエリアでの取り組みとしては、緊急時対応を行う相談と緊急受け入れの2つの機能の事業所を中心に、拠点の登録を増やす目的で啓発やネットワーク活動を行う予定です。 次に各区部会での取組みです。資料2−2の中段以降に再整理した12の課題に沿って、各区の取組みについて記載しております。全てをご説明する時間はありませんので、この中からいくつかご紹介します。 中央区・南区・博多区では、分野を越えた多職種との連携や地域との協力関係を目的に、民児協の定例会への参加やいきいきセンター、そしてスクールソーシャルワーカーとの事例検討を行い、その結果、同行訪問の依頼や講師の依頼につながりました。 城南区では、相談支援事業所のネットワークにグループホーム、放課後等デイサービスも参加してもらい連携のあり方について共に考える場をつくることで、相談支援事業所のサービス調整に寄与できました。 西区では、スクールソーシャルワーカーや民生委員と連携し、不登校児の居場所づくりを行いました。 東区では、障がい者福祉機関と精神科医療機関のネットワーク構築を目的に合同で研修会を行い、日々支援に苦慮する支援者の一助になりました。 早良区では、引きこもりについて本人や家族、支援者の相談をつなぎやすくし、今後の支援につなげる目的で、社会福祉協議会や子ども食堂兼居場所活動を行う団体と共同で、引きこもり相談会を実施しました。 他にも医療的ケア児支援者のネットワークや啓発イベント、そして防災関係のBCPの作成研修や、福祉避難所同士の情報交換の取組みなども行っています。このような取組みの結果、福祉の分野だけでなく教育や医療、そして地域の民生委員・児童委員の方たちともつながりができ、そのネットワークの力で地域の課題に取り組んでいます。各区の取り組みの詳細や成果については資料をご覧ください。次年度も引き続き、地域生活支援拠点等の取組みと並行して地域課題の解決に取り組んでまいります。 【事務局】:続きまして、資料2−2について市から追加で説明をさせていただきます。この形で地域課題の取組みと成果については昨年度も報告していましたが、今回から地域課題の解決につながっている福岡市の事業や取組みも報告します。 まずは、社会資源の不足やサービスへのつながりに関する地域課題について、これまで実施してきた事業所における重度障がい者の受け入れの促進に関するグループホームの補助などの取組みに加え、来年度から医療的ケアが必要な方の受け入れ事業所への設備等の補助を行います。また、障がい福祉分野の人材確保のためのPR動画の作成を今年度行っており、来年以降さらにその動画の活用を行っていきます。 次に、発達障がい者の支援に関する地域課題について、今年度、発達障がい者支援センターを就労支援センター・中央フレンドホームと併せて整備し、それぞれの連携を図りながら新庁舎で運営を開始しています。 強度行動障がいの地域課題については、これまでか〜むを中心に強度行動障がい者支援事業を実施しており、それに加え来年度から地域移行の支援を促進するための支援員の配置、受け入れ先の改修費の助成を行います。 医療的ケア、重度心身障がいの支援に関する地域課題について、医療的ケア児、在宅レスパイト事業における保育所・学校での利用時間数を、それまでの48時間に追加して今年度に144時間使えることとしました。また、教育委員会発達教育センターでは、特別支援学校で医療的ケアが必要な児童・生徒が登校時、週1回訪問看護師が同乗する福祉タクシーの利用支援を、今年度から新たに実施しています。そして、障がい福祉課では医療的ケアが必要な方の実態調査を今年度実施しています。 防災・災害対応に関する地域課題については、地域防災課で、今年度、福祉事業者による個別避難支援計画作成の支援を新たに行っています。また、地域の防災訓練の中で各区のモデル地区において、地域の人だけでなく障がい者・高齢者等も参加するインクルーシブ防災訓練も今年度から実施しています。さらに、在宅の人工呼吸器使用者の個別避難支援計画の作成を今年度進めてきましたが、来年度は在宅の人工呼吸器使用者の非常用電源装置の購入費用の助成を新たに実施することとしています。 資料2−3をお願いします。先ほど説明した地域課題の取り組みのうち、令和6年度の福岡市の予算の新規事業について説明します。1つ目は、これまでも障がい者地域生活行動支援センター「か〜む」における集中支援や支援研修、共同支援事業などを行ってまいりましたが、これらに加え、地域移行の支援員の配置、受け入れ先への部屋の改修費用等の助成を行うこととしています。地域移行支援員の配置については、か〜むに1名新たに支援員を配置し、か〜むからグループホームなどの地域移行に際して、受入れ先に対して1年間継続的な支援を行うこととしています。改修費用等の助成については、か〜むから地域移行を行うに当たり、グループホーム・自宅等へのクッション壁の設置などの改修費用等の助成を新たに行うこととしています。 続きまして、重度障がい者の受け入れ促進を目的に、医療的ケアが必要な方などを受け入れる生活介護や短期入所の事業所を対象に、設備改修や医療的ケアに必要な備品の購入を助成するものです。今回、新規事業としこれらの事業を実施しますが、それを足掛かりとして重度障がい者の地域における生活や事業所への受け入れを促進したいと考えています。 【事務局】:資料2−4をご覧ください。今年度、区部会を通して2つの地域課題が挙がってきております。1つ目の課題は、テーマ3のサービス等の資源の不足や利用に関する課題になります。この課題の基になるケースの中から事例をいくつか紹介します。 精神障がいのあるお母様と障がい児を含むお子さんが2人の母子家庭、お母様が片付けや清掃が苦手で足の踏み場もなく、既に福祉サービスでは対応が難しい状況で、その結果、お子さんが不適切な環境で過ごす状況になっています。もう1つのケースは、共に障がいがあるご両親、そしてお子さん、動物を多頭飼いしている家庭で、家を清潔に保つ意識がとても薄く、関係機関で大規模清掃をしても元の状態に戻ってしまう状況です。 いずれのケースも専門業者に依頼する費用はなく、福祉サービスの掃除の範ちゅうにもない状況で、区基幹センターだけで清掃を担うことはかなりの難しさがあります。また、このような環境で育つ子どもが大人になると、同じ状況を繰り返す恐れもあります。そこで解決策として、ごみ屋敷支援検討部会をつくり、その中で清掃業者と福祉分野の連携による支援や、それから清掃費互助会のような清掃にかかる費用の支援などを検討できないかというふうに考えました。 この課題に関しては、前年度から課題に挙がっていたごみ屋敷の対応という点で、今年度、東区社会福祉協議会がライフレスキュー東区連絡会で検討してくださっています。その結果、今後ケースが挙がった時に、その都度清掃やごみ出しの支援対象になるかを連絡会で協議されることとなっています。 2つ目の課題は、テーマ8のひきこもりの支援に関する課題についてです。この課題の基になるケースの中から事例をいくつかご紹介します。 精神科病院から退院後20年近く引きこもり、ご本人に困り感がないために支援機関につながりにくく、家族に不測の事態が起こった時の緊急時の備えができていない状態のケースです。もう1つのケースは、不登校から引きこもり状態となり、両親の病気や他界をきっかけに相談につながったものです。 考えられる解決策として、引きこもり支援の実際を区内のネットワーク活動で共有することや、専門機関による訪問型カウンセリング、不登校から引きこもりへ移行しないために関係機関による支援会議、不登校児の保護者が話せる場所づくりなどを考えました。 今年度、早良区では引きこもり状態にある人の生活や支援について区内の事業所での共有を行い、身近で相談できる試みとして、地域の公民館で引きこもり相談会を実施し、スクールソーシャルワーカーや民生委員からの相談が実際にありました。以上、2つの地域課題について何かご協力いただける点などございましたら、ご提案いただけたらと思います。 【事務局】:1点補足ですが、先ほど私が説明した資料2−3の福岡市の新規事業に関して、本日出席いただいている末松委員から事業所における強度行動障がい受け入れに関する参考事例として資料を1枚配らせてもらっております。末松委員のほうからその資料についてご説明いただけたらと思います。 【委員】:福岡市が令和6年度に実施する、か〜むから受け入れる方に対して改修費100万円助成するというのは非常に大きなことだ、素晴らしいことだと思っています。これに関連して、ちょうど100万円くらいでできる改修はこんな感じですというイメージの写真です。 環境設定というと、壁に仕切りを付ければいいよと思われるかもしれませんが、それほど簡単ではなく、ホームセンターでベニヤを買ってきて造れないことはないけれども、すぐ壊れてしまうかもしれないし、継ぎはぎでダンボールを加えるところも見たことがあります。行動障がいは意識的にやってるわけではなく、感情あるいは情動を本人が抑えきれなくて他害とか自傷とか物を壊してみたいなことをしているわけで、そのような方が落ち着く場所というのを考えないといけないという意味では、ちゃんと工務店さんと一緒になってどれくらいの高さができるだろうかとか考えながらやった方がよいと思います。 こういう環境設定が非常に大きいということと併せて、こういう場所を作るんだという周りの職員さんの気持ちが本当に大事で、職員にとってもこれが職場環境なんです。お互い整えることによって、心地良い環境で仕事することが利用者に向き合う姿勢になるということで、環境を作っただけで1日何回も大きな声を出していた方がぴたっと止まった事例もあります。突進する大きな男性の方も、ぴたっとなくなったという例もあります。 今回、福岡市が改修費を予算措置してくれたのは素晴らしいなと思っています。国もそういう物理的な環境設定に報酬が必要と言ってきたのですが、結果的に令和6年度の報酬改定では反映されませんでした。事業所としては人を1人採用するのに大変な苦労をしている状況であり、人間の頑張りだけ求められても困るところもあって、環境調整に対して予算上の後押しがあることは非常に大きなことだと思っています。国会の中で総理大臣の口から強度行動障がい、政府としても後押しするということを言っていただいたので大きな一歩になるのかなと思っています。 資料の写真に戻ると、1人100万円もあればこれくらいのことができるという例で、下の写真は1部屋を畳2畳分くらいの室に区切って3部屋に使えたり、そこに閉じ込めるわけじゃなくて、手前の広い部屋で作業はするんです。ちょっと不穏になってきたら、自分の意志とか顔色を見て休憩していいよということで声を掛けるとか、こういうことがその程度の予算でできるという意味で、事業者としてはちゃんと環境整備をした上で職員さんに支援をしていただくという考えを、改めて持つことが必要と思っています。 地域課題について協力できる意見はないかという点について、この12項目、地域課題をまとめたものを一刻も早く事業者に届けるべきだと思っています。福岡市内1,500以上の障がい福祉サービス事業者があって、子どもの放課後デイなんか合わせると2,000以上あり、こういう課題があるということを、各事業者が認識する必要があると思います。実際、通所サービスやグループホームもまだ空きが結構あります。まだ空きがある事業所に対して、じっと待っているのではなく、福岡市に住んでいる人が必要とするサービスを提供していかない利用者は来ませんよということを伝えていく必要があると思います。 民間施設協議会としては、か〜むを始めとした福岡市の強度行動障がい者支援の独自の制度を、事業者に伝えていきたいと思っています。 【会長】:今までの資料の2−1から2−4の説明について、何かご意見ございますでしょうか。 【委員】:令和6年度からのか〜むからの地域移行の支援について、「グループホームなど」とありますが、地域移行先はグループホームだけではなく入所施設も結構あると思うので、この支援や助成の対象が、入所施設も含まれるのかということと、受け入れ先が福岡市に限定されるものなのかを教えてください。 【事務局】:か〜むから住まいの場として移行するということが前提になるので、対象には入所施設も含まれます。市外の施設に入所している場合でも、福岡市が援護の実施者であれば対象となります。 【委員】:今回か〜むからの地域移行に100万の改修費用を出すということですが、入所施設からの地域移行も国が推進しているので、入所施設からグループホームに移行する場合においても、改修費用の助成の対象にするなど、今後の施策の1つとして検討していただけたら幸いです。 【会長】:私は入所施設に入れてしまったら地域移行にはならないと考えています。やはり入所施設から地域へ移行させるのが地域移行じゃないかなと思いますので、強度行動障がい者の地域移行の拠点であるか〜むは、地域移行の一番中間地点で大事なところだという認識が福岡市にもっとないといけない。だから拠点に入った人は、絶対に福岡市に戻すという強い意志が必要だと思いますがいかがでしょうか。 【事務局】:か〜むは、強度行動障がいのある方に専門的に24時間の支援体制を行いながらアセスメントをすることによって、支援計画を策定し、一定の支援を行った後に地域に移行する拠点施設となっています。か〜むからの移行に当たっては、障がいの特性に応じてグループホームに移行できる方、入所施設が適切な方がそれぞれおり、基本的には地域移行を目指していきますが、その人の障がい特性に応じて移行先を検討しています。そのためにはまずグループホーム等で課題になっておりました環境設定について、福岡市でも支援することによって今後地域のほうへの移行が進むと考えています。 【委員】:私も微力ながら頑張っていきたいと思います。 【会長】:先ほどの委員の意見にもありましたが、強度行動障がい者の支援について、支援者だけがちゃんとすれば問題が解決するのかというと、そうではなく、物理的な環境整備もやっていく必要があります。本人に合わせて合理的配慮をきちんとやっていくと、物理的、時間的な構造化ができるし、大体本人が落ち着いてきます。その行動をより権利擁護で強化するという視点が広がれば、みんなが幸せになれるのではないかと思います。 今回、地域課題の解決の取組みに市の取組みがたくさん出てきたのはすごく良かったと思います。基幹センターだけに任せるのではなく、市も一緒にやっていくという資料が出てきたのはすごく良いと思いました。市と基幹と拠点とで三本柱で福岡市の地域生活支援体制をどう作っていくかというような考え方を強めていく必要があると感じます。 今回説明のあった福岡市の令和6年度新規事業はすごく良いですが、具体的なこういう問題、こういう例についてどう考えていくかというところまでいかないと、なかなか地域問題は解決しないと思います。この協議会は課題を出すだけではなく解決に向かうための協議会であり、提案や色々な協議がされることが大事だと思います。 地域移行というのは、精神的障がいも入ってくるわけで、精神病院から地域に移行する人たちが何人いるかというのは、国が求めています。これに無関心でよいのかという問題もあります。 今、拠点の問題は虐待と強行と重心ですが、それだけでなく、精神は入れなくてよいのかというのは大事なポイントであって、精神を一緒にやるとまとまらないという話もありましたが、それでも考えなければならないのが福岡市の課題だと思います。精神病院に長期入院した人も退院して地域で生活するのが、拠点の大事な任務だという福岡市の考え方、覚悟みたいなものを聞かせてください。 【事務局】:虐待、強度行動障がい、重症心身障がいなど障がいの特性により重点的な支援が必要な方がいますが、それだけではなく、精神障がいの方の支援も重要だと考えます。精神障がいの方の地域移行がなかなか進んでいないという実情もある中で、体験機会の場の提供など国が示した地域生活支援拠点等の機能により、これまで以上に地域移行の推進を図りたいと考えております。 【会長】:よろしくお願いします。拠点の機能がはっきりしてきますよね。か〜むの役割は受け入れた人を元々住んでいた地域へ戻すという役割ですけれども、施設に入った人たちや長期入院の人たちも地域に戻すという機能も拠点の役割ですので、その役割はすごく大変です。だけどそれもやるという覚悟が必要だと思います。ありがとうございました。 【委員】:令和5年度の地域課題の取組みの中で、「市内の障がい福祉サービス事業所に対し、医療的ケアが必要な人の受入状況に関する実態調査を実施」とありますが、この受入状況というのはどのようなサービスを指すのでしょうか。 【事務局】:令和5年度に実施した調査については、短期入所、生活介護、日中一時支援、グループホーム、この4つのサービスの受入状況を調査しています。 【委員】:その調査は既に完了しているのでしょうか。 【事務局】:はい。調査は終わっています。 【委員】:調査の結果は公開するのでしょうか。 【事務局】:現在内容の最終的なところを確認していますので、まとまり次第報告したいと思っています。 【委員】:新規事業の重度障がい者の受入促進に係る受入施設の改修費用等の助成について、1事業者当たり上限100万円で設備改修や備品購入にかかる費用の助成とありますが、今回の医療的ケアが必要な方の受入状況等調査の中で、こういう設備や備品が足りないので受け入れができないという意見が多かったからでしょうか。色々な人の話を聞くと、そういうことを理由に受け入れを断っている傾向もあると感じることもあります。 また、設備とか備品などは既にあるけれども人件費を賄えない事業所が、人件費に充てられれば受け入れられる場合は、助成を人件費に充てることはできないでしょうか。 【事務局】:委員のおっしゃるように、受け入れにあたって看護師が必要な場合に人件費が課題ということもあると聞いております。一方、事業者のほうも設備がないということを理由に受け入れできないとお断りされているといったことも聞いております。今回の助成は、1事業所当たり上限 100万円としていますが、人件費は対象外であり、施設の改修や備品の購入に限定しております。 【委員】:設備とか備品がないからという理由で断る事業所は、そもそも受け入れる気持ちというのはあまり感じられないのではないかと思っていて、設備はあるけれども人件費が足りないところの方が受け入れに前向きと思うので、人件費にも充当できるような補助金になると助かる事業所もあるのではないかと思います。現に医療的ケアが必要な重度障がい者がいて、人件費さえ出してもらえれば受け入れられるという事業所があった時に、これは改修費にしか使えないというのはどうなのだろうと思うので、人件費も対象にしても良いのではないかと思います。 先日市役所に伺ったときに、人件費はサービス報酬としてあるので、そうではない改修等であれば市の事業として検討できるということを聞きましたが、それはお金の使い方として本当に生きるのかなということを感じておりますので、もう少し柔軟な対応ができると良いと思います。 【事務局】:令和6年度報酬改定では、医療的ケア児の成人期の移行にも対応した報酬の見直しがあっており、それも踏まえて、人件費については検討したいと思います。 【委員】:地域課題の取組みの中で、東区では発達障がいに関して、障がい福祉機関と精神科医療機関を対象に研修会を開催したとありますが、精神科医療機関からはどのぐらいの参加があったでしょうか。 【事務局】:個別の研修の参加者数のデータは手元にありません。 【委員】:発達障がいの診断をできる医療機関はとても少なく、これまでも発達障がいを診られる医師が増えるよう研修の機会を増やしてほしいと日本自閉症協会にも要望しています。 以前は研修について、福岡市精神保健福祉センターと意見交換を行い、研修会を開催していましたが、コロナ禍以降は意見交換会を行っていないので、今後あらためて精神保健福祉センターにもお願いしていきたいと思っています。基幹センターでも発達障がいに関わる医療機関を対象に研修会を実施していることは私たちの会としてもとても嬉しいことです。発達障がいの診断に2カ月待ちとかいう話も聞きますので、今後診られる先生方が増えていくのを期待しています。 【委員】:先ほどの意見に関して、精神科医療機関だけではなくて小児科の医療機関に関しても、福岡市内の各療育センターと併せて年間2,000件を超す子どもさんたちが受診して、その6〜7割方が発達障がいという状況です。非常に子どもさんたちの困り感とか保護者に疲弊があったとしても、新患の方たちに専門医への診療につなげることができていないこともあります。そのような中で、かかりつけ医の先生方、小児科の先生方とどう発達障がいを地域の医療機関が支えていくかを、医師会などと話を進めていますが、小児科の医師も発達障がいの診断書の記載経験がないなどなかなか広がらない現状があります。このため、医療関係者だけでなく、障がい福祉機関など多くの関係者で努力し、発達障がいを地域で診られる体制を広げていけたらと思っています。 【会長】:他にはありませんか。それでは報告に移りたいと思います。報告の1「福岡市医療的ケア児等支援協議会の設置について」、事務局から説明をお願いいたします。 3.報告 (1)福岡市医療的ケア児等支援協議会の設置について 【事務局】:福岡市においては、国の方針を踏まえて、平成30年度から医療的ケア児支援のための関係機関の協議の場として「福岡市医療的ケア児関係機関連絡会議」を設置していました。主に情報交換や連絡調整を行っていましたが、医療的ケア児の課題について情報交換や連絡調整だけでなく議論をする場を設置すべきという課題や、医療的ケア児だけでなく同様に医療的ケアが必要な障がい者の課題についても同じく議論をすべきという課題が示されました。 それを受けて、令和5年3月に開催した第3回の福岡市医療的ケア児関係機関連絡会議において、協議会を設置する方針について確認し、令和5年11月に運営要綱を策定し、令和6年1月24日に第1回の福岡市医療的ケア児等支援協議会を開催しました。委員は裏面に一覧を付けています。 協議会の今後の進め方については、第1回協議会において今後取り上げる課題を決定しており、まず課題@の社会資源の不足、緊急時・災害時の受入れ体制から専門部会を設置して協議を行い、専門部会の成果について協議会に報告する予定としています。協議会は年2回程度、部会については年2〜3回程度を予定しているところです。 【会長】:今の説明について何かご意見、ご質問はありませんか。 【委員】:連絡会議では「医療的ケアが必要な障がい者の課題についても議論の場にすべき」ということであれば、この協議会で議論する対象者は大人の障がい者含むということでよろしいでしょうか。 【事務局】:この協議会では医療的ケア児と医療的ケア者のどちらの課題も検討していきたいと考えています。このため、事務局はこども発達支援課ですが、障がい者福祉の担当の福祉局の関係部局とも連携をしながら進めていく予定です。 【委員】:今回の協議会の名称の「医療的ケア児等」の「等」とはどのようなイメージでしょうか。 【事務局】:医療的ケア児等の「等」は、医療的ケア児だけではなくて、医療的ケアが必要な障がい者の方も含むため、「等」を入れています。 【委員】:そうであれば、「医療的ケア児・者」という名称の方が良いと思います。「医療的ケア児等」では者が、医療的ケア者が対象になっていないと受け止められると思います。 【事務局】:協議会の名称は「医療的ケア児等」ですが、協議会の設置運営要綱には、障がい児・者のどちらも対象とすることを明記しています。 【委員】:私は以前設置していた連絡会議に出席していました。今回の協議会委員のうち教育関係には幼稚園・小学校・特別支援学校の園長・校長先生が入っていますが、日常的に医療的ケアを受けなければならない子どもたちの保護者の意見も反映できるよう、委員ではなくても、保護者が意見を言える場があれば良いと思います。 【事務局】:医療的ケア児等支援協議会の委員には、学齢児の保護者ではありませんが、当事者の枠の委員も入れています。ただ、実際の保護者のご意見も大事だと思いますので、今後この協議会を進めていく中で参考にしたいと思います。 【委員】:よろしくお願いします。先ほどの議題2の資料2−2について、こども発達支援課の医療的ケア児の在宅レスパイト事業は、成果として令和5年度は1月末時点で11人延べ62時間利用とありましたが、スクールバスで訪問看護師が同乗する福祉タクシーについては、成果としてどれぐらいの利用があったのか分かるでしょうか。 【事務局】:事業担当課である発達教育センターから、令和5年度の具体的な実績は集計中であるため本日の資料には掲載できなかったと聞いています。 【会長】:他に何かないでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次にいきたいと思います。次は、令和5年度専門部会についてお願いします。 (2)令和5年度専門部会報告 @地域生活支援拠点等整備検討部会 【事務局】:地域生活支援拠点等整備検討部会の令和5年度の協議内容について報告します。 令和5年度の開催状況については、資料4に記載の議題で年4回開催しています。 協議内容については、まず、拠点等に認定された複数の事業所が機能強化型を活用した相談支援体制について協議を行い、その結果として区基幹センターが他相談支援事業所と協定を締結する場合のルールを整理しました。また、令和5年度から実施している拠点等事業所の認定状況やネットワークの参加状況を適宜確認し、事業所拡大のための取組みについて協議を行うとともに、緊急時受け入れで連携する計画相談支援事業所、短期入所事業所のネットワークを1回開催しました。さらに、障害者総合支援法とその施行規則の改正に伴い、相談や緊急時受け入れの対象となる範囲見直しについて協議しました。 A触法障がい者部会 【事務局】:続きまして触法障がい者部会の説明を行います。資料5をご覧ください。令和5年度は記載のとおり4回開催しています。 令和4年度の部会で、次年度の取組みとして挙げた触法障がい者の退所後のサービスの受け入れが少ないという課題に対して、受け入れ先となる事業所側の実態を把握するものとして、今回、居住系サービスと訪問系サービス事業所に対してアンケートを実施し、その結果をまとめました。その結果、「触法障がい者の支援にかかわったことがない」「触法障がい者の受け入れの打診を受けたことがない」といった意見が報告されました。また、どのような支援があれば受け入れを行いやすいかという問いに対し、更生支援について正しい理解を求める研修を望む声も多くありました。 そこで、令和6年度の取組みとしては、触法障がい者支援に関する基礎的な研修会、それについて具体的には触法障がい者を支援している事業所や関係機関の話を聞く機会をつくり、触法障がい者の実情について啓発を行う予定としております。 また、部会で取り組んでいる入口支援のスキーム対応については、福岡県弁護士会を通して市基幹センターへスキーム対応の依頼があったケースに対し、ご本人の居住区の区基幹センターに対応の依頼を行い、区基幹センターが中心となり弁護士と共同で支援を行っています。 B精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会 【事務局】:精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会について報告します。資料6をご覧ください。 令和5年度はこちらに記載のとおり、2回の検討部会と、支援者または民生委員・児童委員を対象とした研修会をそれぞれ1回ずつ開催しています。 第1回の部会では、入退院時の切れ目のない支援実現に向けての取組みの一貫として、入院者訪問支援事業の課題等を整理しました。入院中の精神障がい者にとって、話を聞いてもらうことで刺激になり、地域生活への興味、退院モチベーションにつながるというメリットや、医療機関や様々な関係機関の連携協力を得ることの必要性などのご意見が出されました。今回の検討結果を踏まえ、入院者訪問支援事業実施に向け、準備を進めていきたいと思っています。 第2回検討部会では、これまでの主に3年間の検討部会を振り返り、精神障がい者にも対応した地域包括ケアシステムについて支援者の理解を進めること、これを継続することが必要であるというご意見が出されて、今後の重点目標として入退院時の切れ目のない支援体制構築、精神障がい者への地域住民の理解促進という重点目標を継続していくことを検討しています。 また、精神障がい者の支援者対象研修会では、多職種で事例検討を行うことで支援者同士の役割を再確認する機会になりました。 C障がい者虐待に関する専門部会 【事務局】:障がい者虐待に関する専門部会について報告します。資料7をご覧ください。まず、専門部会設置の目的は、障がい者虐待に関して連携協力体制の整備や実務的な課題について協議することであり、開催状況については資料に記載のとおりです。 議題について、まず、令和4年度における障がい者虐待の実績については、令和4年度の対応状況等について説明を行い、意見交換を行っています。次に、虐待と判断しがたい支援困難ケースの整理については昨年度、専門部会において区の障がい者基幹相談支援センターが虐待防止センターに通報する際に、情報収集やアセスメントを適切に行うためのチェックリストについて協議をしているところですが、その際に弁護士や社会福祉士などからなる専門部会の委員から、障がい者虐待が疑われる場合は事実を幅広く聞き取り通報してもらうなどといった意見がありました。そういった意見を踏まえて、チェックリストについては、基幹センターが支援や相談の中で虐待を受けたと思われる障がい者を発見した場合は、必要な情報の部分、通常、虐待の基本的な情報とかどこまで区の基幹センターが把握をしているのかといった情報の有無を確認するためのツールとして内容を修正しています。 【会長】:今までの事務局からの説明等について、意見やご質問等のある方はどうぞ。 【委員】:地域生活支援拠点等整備について、今後検討していただきたい事例があります。緊急対応について、例えばか〜むを利用する場合に連絡するのは区基幹センターであり、区基幹センターに連絡するのは計画相談支援事業所となっており、親が直接か〜むや区基幹センターに利用申込できないようになっています。例えば親がか〜むに連絡をした時に、「お母さん、親が連絡するものではないです。基幹から連絡してもらってください。」と言われました。最終的にこのケースでは、日頃利用している事業者が「いいよ、うちで預かる。」と言ってくださったので、緊急時受け入れ拠点は利用せずに日中の通所先で預かってもらうことになりました。この日中の通所先は、短期入所の事業所指定は受けてないので結局ボランティアで受けた、こういうことが実態としてあります。 それで2点お願いしたいことがあり、1点目は、当事者・親からすると緊急の時に日頃から心が通じている人に連絡をしたいというのは当然だと思いますし、その時にもしかしたら、体験入所に行ったからか〜むに連絡しようと思ったかもしれない。そういう時に、区基幹センターを経由しないと受け付けないということではなく、「分かりました。順序は逆ですけれども、自分のところから区基幹センターや関係先に連絡しましょう。」とか、柔軟な態度があってもよいのではないかということです。 2点目は、重度障がい者ほど、日頃慣れた人ではないという相手とか場所に対してすごく恐怖感がありますが、緊急時受け入れ事所の受入れ期間は原則7日間までで、それ以降は別の事業所を探さないといけない。そのような場合に、委託している緊急時受け入れ事業所ではなく、日頃通っている通所先が預かってくれたら良いですが、短期入所事業所でないと報酬が得られずボランティアになります。このため、日頃慣れた通所事業所の場合でも経済的な保障が得られるようにしても良いのではないかと思います。この2点について、ご意見を伺いたいと思います。 【事務局】:1点目の連絡方法については、市が委託している緊急時受け入れ事業所を利用する場合に必ず区基幹センターを通すこととしていることが利用の妨げになっているとのことですが、福岡市としては、委託緊急時受け入れ事業所は、他の事業所では受け入れが困難な人が利用するための最後のセーフティーネットとして位置づけており、空室がなく真に必要な人が利用できないということがないよう、対象者の要件を満たしているか必ず区基幹センターが確認することとしていますので、ご理解を頂きたいと思います。 ただ、その一方で、令和5年度から、委託以外の拠点となっている短期入所事業所については、区基幹センターの対象者確認の必要はなく、拠点となっている相談事業所から直接調整できることとしているので、委託以外の緊急時受け入れ拠点の活用も検討していただけたらと思います。 2点目については、短期入所以外のところで受け入れた場合のフォローに関することだと思います。現在、宿泊を伴う一般的なサービスは短期入所ですので、先ほどの例にあったような重度障がい者の場合でも、まずは、短期入所の受け入れ先を増やすなどより利用しやすくなるようにしたいと考えています。慣れた事業所の利用が良いという点について、基幹センターでは、普段から緊急になった場合をあらかじめ想定して、サービス等利用計画の中で利用する事業所を決めておくようなクライシスプランを推進する取組みを進めています。 なお、やむを得ず日中の生活介護等の事業所が夜間も支援をした場合については、令和6年度の報酬改定により、あらかじめ緊急時の受け入れ・対応の地域生活支援拠点等として認定されている事業所については、新たに評価する加算ができているので、そういう枠組みの中で対処できたらと考えています。 【委員】:ありがとうございます。最終的にそこを目指すというのは分かります。ただ、生活介護事業所で福祉型の短期入所をしているところは多分少ないだろうと思います。 当事者と親、緊急な時に指定を受けている短期入所先に行ければよいですが、短期入所そのものが重度に関しては非常に受け入れ困難なところが多いです。このような現状では、短期入所よりも昼間見てもらっている通所事業所でも柔軟な対応をぜひお願いしたいと思います。 【委員】:触法障がい者部会では、精神障がいの方も対象としているのでしょうか。また、障がい者虐待に関する専門部会について、精神保健福祉法の改正で、医療機関で虐待を発見した場合の通報義務が今年の4月からスタートすることになっています。それに対する対応や精神科病院での虐待を専門部会でどのように取り扱うのか教えてください。 【事務局】:1点目の触法障がい者部会については、特に障がい種別で限っているわけではありませんので、精神障がい者も含まれております。 【委員】:説明にあった研修会は、精神科の医療機関にも案内がありますか。 【事務局】:令和6年度の研修の対象については、これから協議する予定としております。 【事務局】:続きまして虐待の専門部会に関するお尋ねですが、精神の法律が改正されて、精神科病院の業務従事者による虐待があった場合は、都道府県または指定都市に通報することとされており、福岡市でも令和6年4月以降の通報の受付窓口を定めています。また、障がい者虐待に関する専門部会については、基本的には障害者虐待防止法に基づく対応を協議するものと考えています。 【委員】:精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会の報告の中で、「精神障がいのある方と共に地域で暮らすために知ってほしいこと」という研修会のテーマがありますが、精神障がいには、発達障がいの特性から二次障がいで精神障がいになっている方も結構おられます。発達障がいがベースで、二次障がいで精神障がいとなっている場合は、基本的な関わり方や支援の仕方も違いますけど、そのようなことも踏まえてこの研修会ではお話をしたのでしょうか。 【事務局】:この「精神障がい者のある方と共に地域で暮らす」のテーマの研修会の時は、対象の方が民生委員・児童委員さんということで、専門の支援者というわけではなかったので、一つ一つの症状に対しての対応の仕方というよりも、全体的な特徴や、こういった病気がありますよとか、こういう症状を呈しますというようなことを大まかに話し、地域の中で同じように暮らしている方がいるということの理解をお願いしました。 【委員】:ありがとうございます。一般の精神障がいでもその特性や関わり方により、色々な状況があって困難な事例になったり、引きこもりになったりすることもありますので、こういう特徴などの押さえ方を知ってもらうことも大事だと思います。 【会長】:最後に何かご意見等がある方おられませんか。よろしいでしょうか。それでは専門部会の報告を終わりたいと思います。 (3)日中サービス支援型障がい者グループホーム事業所の評価について 【事務局】:資料8をご確認ください。今回は報告と今後の相談事項として説明します。障がい者のグループホームには現在3種類の類型がありますが、重い方の入居を想定した日中サービス支援型という類型が平成30年に始まっており、日中も夜間も通して常時支援が可能な体制で支援することとされています。特色等については、資料の裏面をご確認ください。 厚生労働省は指定基準において地域に開かれたサービスをすることにより、サービスの質の確保を図ることを目的に、地域生活支援協議会などに対し定期的にグループホームの実施状況を報告し、評価を受け要望や助言を聞く機会を設けることとされています。しかし、本市の場合はコロナなどの影響もあり、これまでは実施しておらず、現在、実施について検討しているところです。 対象のグループホームは近年増えており、現在22事業所あります。基準においては、地域生活支援協議会または別の協議会等設定して行うことを想定されており、本市では状況を勘案して協議会とは別の会議体を設ける予定で検討しています。しかしながら、国において協議の場として地域生活支援協議会が提示されていることと、一部の委員の方々には個別に相談させていただくこともあるかと考えていることから、この場で説明をさせていただきました。 【会長】:何か質問、意見等がある方はいらっしゃいませんか。 (意見・質問なし) 4.開会 【会長】:それでは閉会させていただきたいと思います。事務局にお返しします。 【事務局】:会長、ありがとうございました。それから委員の皆さま、大変たくさんの意見を頂きありがとうございました。次回の協議会は、8月頃に開催したいと考えております。また、今後、人事異動等で協議会の委員に変更がある場合は、できるだけ早いうちに事務局のほうにご連絡をいただければと思います。 以上をもちまして、令和5年度第2回福岡市障がい者等地域生活支援協議会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。