(43ページ) 2 ソフト面のバリアフリー化 高齢者、障がい者等が安心して日常生活や社会生活を送ることができる環境を整えるためには、旅客施設や車両等の公共交通機関、道路、公園など、ハード面のバリアフリー整備のみならず、施設の運営に従事する職員や市民の理解と協力、わかりやすい情報提供など、ソフト面と一体となった総合的な取組みが必要です。 障がいの特性は様々であり、視覚障がいについては、障がいの程度によって求められるバリアフリー化の内容が異なることもあります。また、身体の機能上の制限については、知的障がい、精神障がい、発達障がい等の知覚面又は心理面が原因で発現する疲れやすさ、喉の渇き、照明への反応、表示の分かりにくさ等の負担にも留意する必要があります。 特に、情報提供に当たっては、視覚、聴覚、音声・言語機能等の障がいや、知的障がい、精神障がい、発達障がいなど、コミュニケーションに障がいのある人にとっては、必要な情報を容易にかつ正確に得ることや、他人に自分の意思を伝えることが困難な場合が少なくありません。このため、情報は一つの手段に限らず、音声、文字、手話、ピクトグラム、触知など様々な手段を組み合わせて提供することが重要であり、情報の分かりやすさや受け取りやすさに配慮した「情報バリアフリー」の推進が求められます。 本章では、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合う「心のバリアフリー」について、市民一人ひとりの理解の増進と協力の確保へ向けた取組みや、誰もが必要な情報に確実にアクセスでき、安心して移動や施設利用が行えるようにするための「情報バリアフリー」の視点をあわせて強化し、円滑な移動や施設利用にかかる支援推進について、取組みの方向性を定めます。 (44ページ) (1) 「心のバリアフリー」の推進 ① 現状と課題 ア 市民アンケート結果 ≪障がい者支援として地域社会や企業に望むこと≫ 令和7年度に実施した「福岡市障がい児・者等実態調査」において、「障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと」との設問について、身体障がい者では「公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる」(47.8%)、と回答した人の割合が最も多くなっています。また、障がい児や知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者、難病患者では「障がいに対する理解を深める」(知的障がい者58.8%、身体・知的障がい児71.7%、精神障がい者58.3%、発達障がい児・者75.8%、難病患者47.9%)と回答した人の割合が最も高くなっています。 図表15 障がい者支援として地域社会や企業に望むこと 出典:「令和7年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (45ページ) ≪「ユニバーサル都市・福岡」を実現するため、より充実させる必要があると思う取組み≫ 令和7年度に実施した「市政アンケート調査」における「『ユニバーサル都市・福岡』を実現するために、今より充実させる必要があると思う取組みは何ですか」との設問では、「道路、公園、建築物などハード面のバリアフリー化推進」と回答した人の割合が最も高く(59.4%)、次いで「気配りや思いやりの心を育てる教育の充実」(55.9%)、「駐車・駐輪マナーの向上」(54.5%)、「ベンチを増やすなど、誰もが気軽に外出しやすい環境整備」(49.6%)、「飲食店や宿泊施設、集客施設などにおけるバリアフリー化や多言語対応の促進」(38.3%)の順となっています。 図表16 「ユニバーサル都市・福岡」を実現するため、より充実させる必要があると思う取組み 出典:福岡市市長室「市政アンケート調査」 (46ページ) イ 「心のバリアフリー」に関する取組みにあたっての役割と留意事項 各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020 行動計画」では、以下の内容が示されています。 「心のバリアフリー」を体現するためのポイント ●障がいのある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること ●障がいのある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること ●自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと 国の役割 ●広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて、関係者の連携及び国民の理解を深める ●「高齢者、障がい者等」には、高齢者、全ての障がい者(身体障がい者のみならず知的障がい者、精神障がい者及び発達障がい者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれることについて、改めて周知 地方公共団体の役割 ●国の取組みに準じ、広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて、市民の「心のバリアフリー」の推進に努める 施設設置管理者の役割 ●継続的な教育訓練を通じ、職員等が、高齢者、障がい者等と適切なコミュニケーションを取りながら積極的に声かけや支援を行う ●施設の一般利用者が、困っている高齢者、障がい者等を手助けすることや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用について配慮を求める広報活動や啓発活動等に努める 国民の役割 ●高齢者、障がい者等の自立した日常生活及び、社会生活を確保することの重要性、並びにそのために円滑な移動と施設の利用を実現する必要性について、理解を深める ●高齢者、障がい者等向け施設等の適正な利用 ・視覚障がい者誘導用ブロック上への駐輪、車椅子使用者用駐車施設への駐車により、高齢者、障がい者等の施設の利用を妨げない ・鉄道駅等の利用にあたり、必要に応じ、高齢者、障がい者等を手助け ・福祉便房、車椅子使用者用駐車施設、エレベーター、車椅子スペースや優先席が設置された車両等の利用にあたっては、体調不良その他やむを得ない場合を除き、当該施設の利用を控え、高齢者、障がい者等に譲る等、適正な配慮をするよう努めなければならない (47ページ) ② これまでの取組みと今後の方向性 ア 全般 「心のバリアフリー」を推進するためには、市民一人ひとりの理解を深める「啓発」、必要な知識や対応力を身に付ける「育成」、そして実際の行動や支え合いにつなげる「実践」を相互に連携させながら進めていくことが重要です。 これら3つの取組を一体的に推進するとともに、その成果や優良事例を広く発信することで、市民の理解と協力のさらなる拡大を図ります。 (48ページ) イ 啓発 高齢者、障がい者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性や、そのために高齢者、障がい者等用施設等の適正な利用に努める必要性について、市民の理解を深めるために、各種の広報、啓発、交流活動を実施していきます。 障がい者等が移動や施設の利用などの際に抱えている困難は、視覚、聴覚、脊髄損傷、肢体不自由などの身体障がい、知的障がい、精神障がいなどの障がいの状態により様々です。さらに、視覚障がい者の見え方は多様で、全く見えない人(全盲)、見えにくい人(弱視)、特定の色が区別できない人(色覚異常)など様々な状態の人がいます。 また、外見からは障がいがあることが分かりにくい人もいます。内臓機能の障がいのある人は、外見からは分からないため、電車やバスの優先席に座っても周囲の理解が得られないなど、心理的なストレスを受けやすく、知的障がい、発達障がい、精神障がい者は、対人的なコミュニケーションが苦手であるといった特徴があるなど、障がいの多様性についての理解を深めることも重要です。 〇これまでの取組 ・「ユニバーサル都市・福岡」公式SNSによる発信  ■写真1 投稿イメージ ・啓発資料の作成・配布  ■写真2 広報紙「心のバリアフリー」 ・既存行事と連携した啓発イベントの開催  ■写真3 障がい者週間記念の集い (49ページ) 〇今後の取組の方向性 ・様々な方への配慮やユニバーサルデザインの事例など、楽しみながら、「ユニバーサル都市・福岡」について学べる機会を提供していきます。 ・啓発行事や出前講座、研修会の開催や、心のバリアフリーに関する資料を配布し啓発していきます。 ・様々な機会を捉え、イベントを実施していきます。 ウ 育成 高齢者や障がいのある人をはじめ、妊産婦やベビーカーを使用する人など様々な立場の人が抱える困難や支援のニーズについて、障がいの多様性を踏まえたより具体的な知識を身に付けていくため、教育、普及、促進活動を実施していきます。 実際に経験する研修等の教育を障がい当事者と共働しながら、児童・生徒、地域団体及び企業等を対象に進めていくほか、多くの人が利用する各種施設の管理運営者やバリアフリー整備の担当者などに対する研修などを通じて、バリアフリー化促進を担う人材の育成をめざします。 〇これまでの取組 ・小学校等での「心のバリアフリー」に関する教育の実施 ■写真4 小学校でのバリアフリー体験教室 ■写真5  小学生向け啓発リーフレット ・バリアフリー出前講座の実施 ■写真6 事業所での出前講座 (50ページ) ・市職員向け研修の実施、施設整備マニュアルの改訂 ■写真7  施設整備マニュアル改訂版2025 ・ユマニチュードの普及・啓発 ■写真8  ユマニチュード出前講座 〇今後の取組の方向性 ・児童生徒の実態に基づき、総合的な学習の時間、道徳科や特別活動などにおいて、「心のバリアフリー」につながる授業を実施し、思いやりの心や多様性を尊重する態度等を育みます。 ・様々な機会を捉え、出前講座等を実施していきます。実施にあたっては、関係機関とも連携し共働していきます。 ・福祉のまちづくり条例に基づく施設整備の重要性について研修等を通じて、バリアフリー化を促進していきます。 (51ページ) エ 実践 「啓発」と「育成」の取組みを通じて、様々な立場の人が抱える困難や支援のニーズについて理解を深めた人同士が、実際に協力し支え合う社会の実現を目指すため共働、支援事業に取り組みます。 また、高齢者、障がい者等が、その能力を最大限発揮し社会参加していくことの重要性に鑑み、高齢者、障がい者等の意見や実情を踏まえたバリアフリー化促進を図ることで、障がい者等の力を引き出し、自立した日常生活の確保に努めます。 〇これまでの取組 ・利用者の声や意見交換等による共働(まちづくりサポーター制度) ■写真9  現地での意見交換状況 ・障がい者110番・障がい者差別解消相談窓口の設置 〇今後の取組の方向性 ・「バリアフリーのまちづくりサポーター制度」の周知、活用の働きかけを継続実施していきます。必要に応じてエリアマネジメント組織等と連携した「まち歩き」を実施していきます。 ・具体的に行動ができているかを評価する方が重要であることから、「高齢者、障害者等の立場を理解して行動ができている人の割合」について評価・指標のあり方を今後検討していきます。 (52ページ) ③  バリアフリー情報発信 バリアフリー化に関するハード整備やソフト面の取組みの成果等を積極的に発信し、関係者の連携と市民の理解を深めていくとともに、「誰もが思いやりを持ち、すべての人にやさしいまちづくり」を進める福岡市を発信していきます。 取り組み例 1 バリアフリー表彰制度 ●バリアフリー化や「ユニバーサル都市・福岡」の推進に関して功績のあった者に対する表彰を行い、優れた取組みの普及と啓発を促進する。 ・ハード面のバリアフリー ・ソフト面のバリアフリー ・ハード・ソフト一体の取組み など 2 バリアフリー優良事例等の収集と公表 ●ハード・ソフト一体の優れた取組みや、的確なかつ普及しやすい工夫、アイデア、開発・研究成果事例などの優良事例を収集し、関係機関と連携し、情報発信する。 3 福岡市バリアフリー基本計画の進捗状況の公表 ●ロードマップに基づく取組実績等について、「福岡市バリアフリー推進協議会」に報告を行うとともに、市ホームページに公表を行う。 (53ページ) (2) 「情報バリアフリー」の推進 ① 現状と課題 福岡市では、誰もが思いやりを持ち、すべての人にやさしいまち「ユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、年齢や性の違い、国籍、障がいの有無などにかかわらず、だれもが必要な情報を取得し、円滑に意思疎通を図ることができる環境づくりを進めています。 また、「福岡市障がい福祉計画」では、国が定める基本方針に即して、障がい福祉サービスの提供体制を計画的に整備しており、地域生活支援事業等により手話通訳の派遣や同行援護を通じて、円滑な意思の疎通等の支援や移動に必要な情報の提供をおこなっています。 近年、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行やデジタル技術の進展により、情報の取得利用(アクセシビリティ)及び円滑な意思疎通の重要性が高まっています。また、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者、高齢者、外国人など、多様な利用者に応じた情報提供やコミュニケーション支援が求められています。 情報へのアクセスに不利が生じないよう、音声、点字、字幕、手話、多言語対応など、多様な手法を適切に組み合わせるとともに、利用者の特性に応じた分かりやすい表現や構成による情報提供が重要です。 また、デジタル技術の進展に伴い、ウェブアクセシビリティの確保や新たな支援技術の活用など、情報バリアフリーを取り巻く環境は大きく変化しています。こうした変化に対応するとともに、障がいの有無や言語の違い等にかかわらず、誰もが円滑に意思疎通を図ることができるよう、多様なコミュニケーション手段の確保や支援の充実を図る必要があります。 これらを踏まえ、すべての人が必要な情報を円滑に取得し、主体的に行動できる環境の確保に向け、情報バリアフリーの推進を計画に位置づけ、「情報アクセシビリティの確保」「外出に関するバリアフリー情報の提供」「案内設備の充実」「コミュニケーション支援」の4つの視点から、情報バリアフリーの取組を推進していくことが求められています。 (54ページ) 〇利用者特性に基づく、現状と課題と望ましい配慮 最初に・対象 次に・現状と課題・望ましい配慮の順に記載しております。 全利用者 現状と課題 ・情報提供が単一手段に依存する場合がある ・デジタルとアナログの連携が不十分 望ましい配慮 ・音声・文字・ピクト・触知の複線提供 ・デジタル(Web・サイネージ)プラス アナログ(掲示・紙・点字)の一体運用 全盲・ロービジョン・色覚特性 現状と課題 ・連続的な誘導の不足  ・点字が使えない人もいる  ・見え方に個人差 ・危険箇所の注意喚起不足 ・タッチパネル操作が困難 ・読み上げ困難な情報の提供  望ましい配慮 ・触覚プラス音声の併用 ・高コントラスト表示 ・点状ブロックプラス音による注意喚起 ・照度、距離変化への配慮 ・ボタン操作も可能な機器 ・読み上げを考慮した情報の提供 ろう・難聴 現状と課題 ・音声依存の案内 ・視覚警報にばらつき ・電話中心の手続き ・発話困難な人もいる 望ましい配慮 ・文字、ピクト、字幕の常設化 ・視覚警報標準化 ・手話や文字等の非電話手段の整備 ・手話によるコミュニケーション 発話困難・他言語 現状と課題 ・音声前提対応 ・説明が難解 望ましい配慮 ・筆談やチャットによる対応の整備 ・やさしい日本語、多言語、図解 知的障がい・精神障がい(発達障がい含む) 現状と課題 ・情報過多や複雑な動線 ・不安による質問の繰り返し ・感覚刺激への配慮不足 望ましい配慮 ・簡潔で段階的な情報提示 ・一貫したナビゲーション ・カームダウン、クールダウンスペースの活用・センサリーマップ・ソーシャルガイドの整備 車いす・杖等 現状と課題 ・操作部の高さや角度不適切 ・視認性と可読性の両立不足 望ましい配慮 ・到達性と操作性の両立・遠方視認プラス近接可読の確保 てんかん等 現状と課題 ・点滅が発作誘因 望ましい配慮 ・JIS閃光安全基準遵守(3回/秒以下等) 高齢者 現状と課題 ・視覚・聴覚・認知・体力低下への配慮不足 望ましい配慮 ・大きな文字や高コントラスト・シンプルなサイン・読み上げ案内 認知症 現状と課題 ・記憶や見当識、理解・判断力の低下により状況把握が困難 ・周辺刺激により不安感や混乱を生じやすい イン 望ましい配慮 ・明度差を活かした視認性を高める工夫・記憶に頼らず行動できるわかりやすいサイン 妊娠中の方 現状と課題 ・急な体調変化や疲れやすさ ・移動負担や混雑によるストレスを感じやすい ・休憩施設の情報不足 望ましい配慮 ・休憩設備可視化・混雑情報の提供・EV案内 乳幼児・ベビーカー 現状と課題 ・段差・狭さ・長距離移動が負担、ルート不明確 ・子ども目線高さの配慮不足 ・周辺刺激に影響されやすい 望ましい配慮 ・EVや連続ルート案内 ・子ども目線での表示・休憩空間(カームダウン、クールダウンスペースの確保) (55ページ) ■写真1:カームダウンスペース設置例(左:福岡空港、右:九州国立博物館) ■写真2:あんしんマップ(センサリーマップ)(マリンワールド海の中道) ■写真3:あんしんガイド(ソーシャルガイド)(マリンワールド海の中道) (56ページ) ② 取組みの方向性 (ア)情報アクセシビリティの確保 一人ひとりの特性や状況に応じた多様な情報提供を進めることで、誰もが必要な情報を円滑に取得し、活用できる環境づくりを推進します。 情報アクセシビリティの確保とは、すべての人が障がいの有無や言語の違いにかかわらず、必要な情報を得られる環境を整えることです。 情報の取得方法は人によって異なるため、それぞれに適した支援が求められます。例えば、聴覚に障がいがある人には、手話通訳や字幕、視覚に障がいがある人には音声案内や点字案内が有効ですが、点字を読めない人も多いため、ウェブアクセシビリティの向上や墨字資料への音声コードの活用も必要です。 また、日本語を母語としない人にとっては、多言語対応に加え「やさしい日本語」による情報提供が有効です。「やさしい日本語」とは、難しい表現や専門用語を避け、短く分かりやすく伝える工夫です。これは外国人だけでなく、高齢者や認知症の人、学習障がいがある人など、幅広い市民にとって理解しやすい表現方法です。 ●取組み例 項目、 内容の順に記載しています。 多様な手段を活用した情報提供 聴覚に障がいがある方の中には文章理解が難しい方もいるため、字幕だけでなく手話通訳の準備を行います。そのほか、視覚障がい者のため、墨字資料へ音声コードを付与するなど、多様な方法で情報を得られる環境を整備します。 ウェブサイトのアクセシビリティ向上 「福岡市ホームページアクセシビリティガイドライン」に基づき、高齢者や障がいのある方を含め、誰もが利用しやすいウェブサイトとなるよう、アクセシビリティの向上を図っていきます。 やさしい日本語の活用 「やさしい日本語」を活用して簡潔で分かりやすい情報提供を推進するとともに、多言語対応した情報提供についても充実を図っています。 文化芸術鑑賞サポート推進事業 誰もが文化芸術を鑑賞できる環境を整備するため、字幕や手話通訳、音声ガイド等の鑑賞サポートを実施する団体に対し費用を助成するとともに、鑑賞サポートに関する研修を行います。 市政資料の子ども向け概要版作成 小中学生を中心とした、子どもにも理解しやすい概要版の資料を作成し、わかりやすい情報提供を行っています。 (57ページ) (イ)外出に関するバリアフリー情報の提供 多様な利用者の視点に立った分かりやすいバリアフリー情報の提供を進めることで、誰もが安心して外出できる環境づくりを推進します。 外出時のバリアフリー情報の提供は、すべての人が安心して移動や活動できる環境を整えるために重要です。事前に必要な情報を入手できることで、外出時の不安を軽減し、だれもが安心して外出できるようになります。 バリアフリー情報の内容は、利用者のニーズに応じた詳細な情報が求められます。例えば、車いす利用者にとっては、施設のスロープやエレベーターの有無、車いす対応トイレ、駐車場のバリアフリースペースの有無などが重要です。視覚に障がいのある人には、点字ブロックや音声案内の設置状況が役立ちます。また、聴覚に障がいのある人には、手話対応の案内や字幕付き情報が必要となります。 さらに、日本語を母語としない人のために多言語対応も重要であり、英語・中国語・韓国語などの情報提供を行うことも求められます。 また、施設の営業時間や夜間の通行制限等により利用できない通路があるため、時間帯ごとの利用条件や通行可能な経路についても情報提供することが重要です。 ●取組み例 項目 、内容の順に記載しています。 福岡市バリアフリーマップの提供 施設のバリアフリー情報(車いす対応トイレ、エレベーター、スロープ、点字案内など)をまとめた「福岡市バリアフリーマップ」を公開し、外出前に必要な情報を得られる仕組みを整えています。 光や音等の感覚に関する情報提供 障がいがある方が日常的に施設を楽しんでいただけるよう、「あんしんマップ」(センサリーマップのこと)・「あんしんガイド」(ソーシャルガイドのこと)を官民共働のもと作成しています。 公共交通機関の情報提供 福岡市地下鉄では、駅構内のバリアフリー設備の位置やバリアフリールートを公開し、事前に確認ができる環境を提供しています。またホームドアに優先スペースについての案内サインを設置し、乗車前に必要な座席位置を把握できるようにしています。 経路情報の拡充に向けた検討 「福岡市バリアフリーマップ」は施設単体のバリアフリー情報を中心としており、今後は段差がない経路情報など、施設に至る経路情報の提供の充実を検討していきます。 (58ページ) (ウ)案内設備の充実 分かりやすく利用しやすい案内設備の充実を図ることで、誰もが安心して移動できる環境づくりを推進します。 案内サインや移動支援の整備は、多様な利用者が安全で快適に移動できる環境をつくるために不可欠です。 視覚や聴覚に制限がある人、日本語が苦手な人、高齢者や認知症の人など、それぞれのニーズに応じた情報提供が求められます。そのため、文字だけでなく音声や視覚的なシンボルを活用し、わかりやすい案内を整備することが重要です。特に、ピクトグラムは日本語が苦手な方や認知症の方にも有効な情報提供手段です。 また、サイン類はその内容だけでなく、設ける位置や連続性も重要です。案内サインが利用者の視線の届く位置に設置され、連続的に配置されることで、スムーズな移動や情報の理解が可能となります。 障がいの種別によって、配慮や工夫の方法は異なることから、可能な限りすべての利用者が公平に情報を取得できるように配慮していくことが重要です。 ●取組み例 項目 、内容の順に記載しています。 認知症の人にもやさしいデザイン 福祉のまちづくり条例において、認知症の人にもやさしいデザインを施行規則化し幅広い施設へデザイン導入を推進しています。 特性に合わせた移動情報の提供 福岡市地下鉄の乗り換え案内は床に表示し、分かりやすく案内しており、高い位置のサインが見えにくい利用者(子ども連れ・車いす利用者等)にも分かりやすい誘導を行っています。 他都市の先進事例の共有と将来の活用検討 AIやセンサー技術を活用した移動支援やナビゲーション補助など、アクセシビリティ向上に資する先端技術の実証が進められており、これらの動向を職員研修や市民啓発で共有し、将来の活用可能性を見据えながら、福岡市における情報バリアフリーの向上に生かします。 多言語対応した案内マップ 動植物園等の施設において、日本語の案内マップとあわせて、3言語以上の多言語案内マップを設置しています。 (59ページ) (エ) コミュニケーション支援 誰もが地域社会で円滑にコミュニケーションを取れる環境づくりを推進します。 障がいや言語の違い、技術的な制約に関係なく、誰もが他者と効果的にやり取りできる環境を整備することが重要です。 聴覚障がい者とのコミュニケーションに手話が必要なように、特性に応じた適切な手段が求められます。特定の手段に依存せず、文字・音声・指差しボード等の視覚的なツールを組み合わせて使用することが必要です。また、コミュニケーションの課題を解決するには、設備や制度の整備だけでなく、個人の配慮や技法の習得も重要です。これにより、誰もが積極的に支援できる環境が作られます。 さらに、福岡市では認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード®」の普及に取り組んでいます。ユマニチュードとは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を基本とした、認知症の人とのコミュニケーションをスムーズにするケアの技法です。ユマニチュードの普及により、認知症になっても住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち、「認知症フレンドリーシティ」を目指しています。 ●取組み例 項目 、内容の順に記載しています。 手話通訳派遣事業の実施 手話を主なコミュニケーション手段とする人の円滑な意思疎通を図るため、手話通訳者派遣事業を実施しています。会議・相談・各種手続きなど、コミュニケーションが必要な場面で手話通訳を派遣する取り組みを行っています。 ユマニチュードの推進 認知症の人とのコミュニケーションをスムーズにするケアの技法「ユマニチュード」の講座を実施するとともに、国境なきユマニチュード推進本部で国内外の事例や福岡市の取組みについて情報発信を行います。 ICTを活用した支援の導入 遠隔手話通訳、タブレットによる筆談・文字表示、音声認識やAIによる翻訳及び映像通訳による多言語対応など、ICTを活用した意思疎通支援を導入していきます。これにより、対面での支援が困難な場面でも必要なコミュニケーションを確保できる環境づくりを進めています。 福祉の総合相談窓口「ぬくもりの窓口」 福祉に関する様々な相談を時間をかけて傾聴し、複合化・複雑化した課題を整理するとともに、相談者の状況に応じた適切なサービスの案内や、必要に応じて各申請窓口への同行支援を行うなど、関係課・関係機関と連携して支援しています。 (60ページ) 3  連携・共働による施策の推進 本計画は、高齢者や障がい者をはじめ、すべての人が安全かつ円滑に移動し、利用できる環境の整備を総合的に推進するものです。 その推進に当たっては、段階的かつ継続的な取組みを進めるとともに、多様な主体との連携及び共働により、実効性の高いバリアフリー化を図ります。 また、取組みの進行管理や評価・改善を通じて、社会情勢の変化や多様化するニーズに対応しながら、施策の質の向上に努めます。 (1)  スパイラルアップ(段階的・継続的な取組み) 取組みの実施状況について継続的に検証及び評価を行い、その結果を踏まえた改善や新たな施策の実施につなげることで、バリアフリー化を段階的かつ継続的に発展させる「スパイラルアップ」※1の考え方に基づき以下の項目に留意し推進します。 〇福岡市バリアフリー推進協議会※2において、関係者の参画のもと取組みの検証及び評価を行い、その結果を踏まえた改善を行うなど、進行管理を行います。進行管理に当たっては、年次計画及び整備目標をロードマップ(工程表)として整理します。 〇施設整備の際は、福岡市福祉のまちづくり条例施行規則に定める整備基準等を整理した「施設整備マニュアル」等に基づき実施します。当該マニュアルについては、本計画に定める方向性や社会情勢の変化等を踏まえ、適宜見直しを行います。 〇設計段階において当事者参画の機会を確保し、多様な利用者の意見の反映に努めます。 ※1)スパイラルアップ:“スパイラル”は英語で、らせんの意。 らせんを描くようにバリアフリー化を段階的かつ継続的に発展させていくこと ※2)福岡市バリアフリー推進協議会:バリアフリー法に基づき、本計画の作成に関する協議等を行うための協議会 (61ページ) (2)  連携・共働 バリアフリー化は、多様な主体が関わることにより実現されるものであることから、本計画の推進に当たっては、福岡市のみならず、関係機関及び市民等との適切な役割分担のもと、連携及び共働により取組みを進めます。 ① 関係機関との連携 ○公共交通事業者、福岡県警、国(福岡国道事務所等)をはじめ、市民、当事者及び企業等と相互に連携し、バリアフリー化を推進します。 ○施設設置管理者相互の連携や共働の視点から以下の項目にも留意し、資金面や空間的・物理的な制約等も踏まえ可能な限りのバリアフリー化に努めます。 ・安全で切れ目のない誘導 ・バス停の利用環境改善(上屋やベンチなどの設置) ・施設相互の整備スケジュール調整による効率的なバリアフリー整備 など 〇バリアフリー化を推進するために、必要と認められる一定の公的助成など、インセンティブ ※1として必要な施策を実施します。 ・鉄道駅のバリアフリー整備やノンステップバス導入などに要する経費の一部を支援 ※1)インセンティブ:英語で、刺激、動機の意。この場合はバリアフリー化を奨励する公的な助成等のこと ○高齢者、障がい者等の利用者や施設設置管理者等の参加による「まち歩き」を行い、施設毎のバリアフリー化の推進の方向性と多様な利用者の声も踏まえて、福岡市バリアフリー推進協議会の場も活用しながら、整備内容等を検討していきます。 ② 施設間の移動の連続性 駅や駅前広場等の交通結節点では、施設管理者が異なる施設間であっても、移動の連続性を確保することが重要です。 福岡市では、すべての駅等において、改修等を行う場合は福祉のまちづくり条例に基づく事前協議を必須としており、移動の連続性を担保しています。