福岡市障がい児・障がい者実態調査報告書、概要版 目次 1、調査の概要 2、障がい児・障がい者などの概況、統計データ 3、主な調査結果 3の1、基本属性 3の2、生活の状況 3の3、外出の状況について 3の4、コミュニケーションについて 3の5、就労について 3の6、福祉サービスの利用と提供について 3の7、地域生活について 3の8、障がい者に対する差別について 3の9、障がい福祉全般について 令和2年3月、福岡市 第1、調査の概要 1、調査の目的 この調査は、福岡市に居住する障がい児・障がい者等の生活実態や意識、福祉施策に対する要望等を把握することを目的として実施しました。調査結果は、次期「福岡市障がい福祉計画」及び「福岡市障がい者計画」の策定に活用します。 2、調査の設計と実施状況 各調査の設計と実施状況を、調査種別、調査対象、調査方法、標本数、有効回収数、回収率の順に読み上げます。 調査は、令和元年9月から11月にかけて実施。 身体・知的障がい者、障がい児、難病患者調査の対象者は、層化無作為抽出。 身体障がい者調査、市内在住の18歳以上の身体障がい者、郵送、一部訪問、1,300人、760人、58、5% 知的障がい者調査、市内在住の18歳以上の知的障がい者、郵送、850人、563人、66、2% 障がい児調査、市内在住の17歳以下の身体・知的障がい児、郵送、850人、543人、63、9% 発達障がい児・障がい者実態調査、発達障がい者関係団体等に所属、もしくは特別支援学級や通級指導教室に通っている発達障がい児・障がい者とその家族、団体や学校を通じた配布回収、配布数、900人 258人、28、7% 難病患者実態調査、福岡市内に居住する特定医療費(指定難病)受給者しょう所持者、郵送、一部訪問、1,000人、661人、66、1% 事業者等状況調査、市内の相談支援事業所、居宅介護とう事業所、施設事業所、グループホーム事業所、及び市の相談機関、郵送、842事業所、628事業所、74、6% 精神障がい者実態調査(病院)、福岡都市圏に開設し、精神科を標榜している病院を利用する患者、病院を通じて依頼・回収、入院患者1,000人、通院患者663人、入院患者795人、通院患者426人、入院患者79、5%、通院患者64、3% 精神障がい者実態調査(診療所等)、福岡市内に開設し、精神科を標榜している診療所等を利用する患者、診療所等を通じて依頼・回収、1,337人、275人、20、6% なお、発達障がい児・障がい者実態調査の標本数は、調査を依頼した各団体に所属するかたに配布。どういつ人物が複数団体に所属している場合もあり、配布数=配布したじつ人数ではない。 第2、障がい児・障がい者等の概況(統計データ) 1、身体・知的障がい児・障がい者数 福岡市の身体障がい者手帳または療育手帳の所持者すう、重複ふくむ、は、令和元年6月30日現在で64,278人となっています。人口1,000人あたりの出現率は41、5‰であり、市民の約24人に1人が身体または知的の障がいがあるという状況です。 身体障がい児・障がい者は、97、8%が18歳以上です。 一方、知的障がい児・障がい者では、身体障がいに比べて、18歳未満の障がい児の占める割合が高く、全体の28、8%を占めています。 平成17年度から令和元年度までの13年間の年次推移をみると、身体障がい児は1,000〜1,100人前後で大きな変動はないものの、その他はいずれも大きく増加しており、身体障がい者は平成12年度の1、3倍、知的障がい者は2、1倍、知的障がい児は2倍となっています。 人口1,000人あたりの出現率をみると、特に身体障がい者では高齢化の進行等の影響もあり、平成17年度の33、8‰から令和元年度の39、3‰へ、5、5ポイント上昇しています。 2、身体障がい児・障がい者の状況 身体障がい児・障がい者の手帳等級をみると、令和元年6月30日現在、1・2級を合計した重度者が25,922人であり、全体の約半数の49、7%、を占めています。身体障がいの種別、主な障がいの部位、をみると、肢体不自由が27,222人で、全体の過半数、52、2%、を占めて最も多く、これに内部障がいが16,455人、31、6%、で続いています。 手帳等級別の年次推移をみると、平成17年度から令和元年度までの13年間で、全体では1、3倍の増加で、重度者が1、3倍、中度者が1、4倍、軽度者が1、4倍となっています。 3、知的障がい児・障がい者の状況 知的障がい児・障がい者の手帳判定をみると、令和元年6月30日現在、AワンからAスリーのA判定の重度者が4,989人と、全体の41%を占めています。 平成17年度から令和元年度までの13年間の年次推移をみると、重度者が1、7倍、中度及び軽度者が2、5倍であり、重度者に比べて、中度・軽度者の増加が顕著です。 4、精神障がい者の状況 今回の調査で把握した、現住所が福岡市にある、医学的にみて精神疾患を有する精神障がい者すうは37,648人で、内訳は入院中のかたが3,382人、通院中のかたが34,266人となっています。 平成17年度からの推移をみると、平成28年度までの11年間で入院者数は微減、通院者数は1、7倍に増加しています。 5、発達障がい児・障がい者の状況 発達障がいについては、全国的に見ても、正確な人数が把握できない状況ですが、心身障がい福祉センター、あいあいセンター、せいぶ療育センター、及び東部療育センターの新規受診児数の推移をみると、全体の数は、ほぼ横ばいで、また、新規受診児の約6割が発達障がいと診断された児童となっています。 6、難病患者の状況 難病については、難病の患者に対する医療等に関する法律、に基づく難病医療費助成制度を運用しています。 特定医療費(指定難病)受給者しょう所持者数の年次推移をみると、平成26年度から平成30年度にかけてはほぼ横ばいの状況です。平成29年度に受給者証所持者数が減少したのは,旧制度である特定疾患治療研究事業の受給者については,新制度における重症度の評価を考慮せず軽症であっても医療費助成の対象とする経過措置が平成29年12月31日に終了したことが主な要因となっています。性別では、平成30年度までのいずれの年においても、男性が約4割、女性が約6割を占めています。 第3、主な調査結果 3の1、基本属性 1、性別  障がいの種別により、男女構成比に違いがあり、通院の精神障がい者、入院の精神障がい者等では男女構成比の差は小さくなっています。発達障がい児・障がい者は、男女構成比の差が大きく、男性が約8割を占めています。 2、年齢   障がい者の年齢構成をみると、身体障がい者では65歳以上の高齢層、知的障がい者では20歳代以下の若年層の占める割合が高くなっています。発達障がい児・障がい者は、保護者の会などの関係団体を通じて調査を実施したこともあり、18歳未満の年齢層が約7割を占めています。 精神障がい者は、通院者に比べて入院者で65歳以上の高齢層が多く、入院者における高齢層は約半数を占めています。 難病患者は65歳以上の高齢層が約半数を占めていますが、40歳代から60歳代前半でも4割近くを占めています。 3の2、生活の状況 1、世帯構成 世帯構成は、高齢層が多い身体障がい者では夫婦のみ、28、9%、や一人暮らし、25、3%、子どもと本人からなる二世代同居、22、5%、等が多くなっています。また、難病患者でも近い傾向がみられます。 一方、若年層が多い知的障がい者や発達障がい児・障がい者では二世代同居、親と本人、が6割から8割台を占めており、親との同居率が高くなっています。 精神障がい者では、他の障がいに比べて一人暮らしの割合が高く、入院者では38、5%となっています。 2、主な介助者、 障がい者の主な介助者は、身体・知的障がい児や発達障がい児・障がい者では、母親が7割から8割を占めて最も多くなっています。また、若年層が多い知的障がい者でも母親が半数近くを占めています。 精神障がい者や難病患者では,世話をしてもらう必要がない、の割合が他の障がいに比べて高くなっています。 3の3、外出の状況について 1、外出時に不便や困難を感じること 外出時に不便や困難を感じることについては、歩道がない道路に危険を感じる、や、歩行者や走行自転車のマナーの悪さ、歩道に段差が多い、等、歩道の整備や交通マナーに関する項目が上位を占めています。 知的障がい者や身体・知的障がい児、通院の精神障がい者、発達障がい児・障がい者では まわりの人の目が気になる、という意見が上位に挙がっています。また、身体障がい者では、障がい者用の駐車場が少ない、という意見も見られました。 3の4、コミュニケーションについて 1、コミュニケーションで困っていることの有無  コミュニケーションで困っていることの有無については、知的障がい者、身体・知的障がい児、発達障がい児・障がい者で、ある、の割合が6割〜7割台を占めています。 コミュニケーションで困っていることの内容をみると、難しい内容やあいまいな表現を理解することが難しい、声や言葉がでにくいため、自分の思いが伝わりづらい、相手の話が聞き取りづらい、などが上位を占めています。また、知的障がい者や身体・知的障がい児、発達障がい児・障がい者では、どのように人とコミュニケーションをとればいいのかわからない、という意見も多くなっています。 3の5、就労について 1、就労状況・就労形態 仕事をしている人は、64歳以下の身体障がい者が57、1%、知的障がい者が45、2%、通院の精神障がい者が27、4%、発達障がい者が49、4%、難病患者が40、5%となっています。 就労形態をみると、64歳以下の身体障がい者、難病患者では、正規の社員・従業員が全体の4割台を占めていますが、知的障がい者では約1割にとどまっています。また、知的障がい者では、施設で働いている人が44、6%を占めて最も多くなっています。 2、障がい者の就労に対する社会の理解度 障がい者の就労に対する社会の理解度をみると、身体障がい者以外では、理解があると思わない、の割合が、理解があると思う、を上回っています。 前回調査結果と比較すると、身体障がい者を除く障がい種別において、今回調査のほうが、理解があると思う、の割合が高くなっています。 3、就労支援として必要なこと 障がい者の就労支援として必要なことをみると、調子の悪いときに休みを取りやすくする、や、短時間勤務などの労働、作業時間の配慮、工賃、収入の増加は、多くの障がいに共通して上位にあがっています。 知的障がい者、発達障がい児・障がい者では、仕事上、作業上の援助や本人・周囲への助言を行うものによる支援、いわゆるジョブコーチに関するニーズが高くなっています。 なお、発達障がい児・障がい者では、発達障がいの特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮、も半数ごえ、56、5%、となっています。 3の6、福祉サービスの利用と提供について 1の1、身体障がい者、知的障がい者、身体・知的障がい児の福祉サービスの利用状況と利用意向 身体障がい者では、福祉乗車券の交付、42、6%、や、福祉タクシー料金の助成、32%、の利用が高くなっています。サービスの今後の利用意向では、福岡市重度心身障がい者福祉手当、25、7%、や緊急通報システム、15、5%、が、利用経験を上回っています。 知的障がい者と身体・知的障がい児では、福岡市重度心身障がい者福祉手当、や、児童発達支援、の利用が4わり弱と高くなっています。 知的障がい者では、日中一時支援、25%、グループホーム、22、1%、の利用意向が、利用経験を上回っています。 身体・知的障がい児では、放課後とうデイサービス、61、3%、の利用意向が高くなっています。また,就労移行支援、22、8%、や、就労継続支援Aがた、19、7%、就労継続支援Bがた、18、2%、など、就労関係のサービスの利用意向も高くなっています。 1の2、精神障がい者、通院、の福祉サービスの利用状況と利用意向 精神障がい者、通院、では、計画相談支援、19%、が最も多く、次いで、居宅介護、13%、となっています。 利用意向としては、計画相談支援、17、8%、が最も多く、就労移行支援、13、8%、が続いています。 1の3、難病患者の福祉サービスの利用状況と利用意向 難病患者では、居宅介護や補装具を利用している人が1割を占めています。 今後の利用意向としては、補装具、9、4%、や、日常生活用具、8、5%、が上位に挙がっています。 他の障がいに比べて、福祉サービスの利用状況・利用意向はともに低い傾向が見られます。 2、事業者が提供しているサービス サービス事業者に対して、提供しているサービスをたずねたところ、居宅介護、32、8%、が最も多く、次いで移動支援、21、7%、重度訪問介護、21、2%、などとなっています。 3、事業者側からみた不足している社会資源 相談支援事業者及び施設事業者に対して、それぞれの観点から不足している社会資源は何かたずねたところ、グループホーム、44、8%、が最も多く回答され、次いで、障がい者が入居できる住まい、33、9%、が続いています。 3の7、地域生活について 1、近所のかたとの関係 近所のかたとの関係をみると、知的障がい者では、ほとんど付き合いはない、が最も多く、他の障がい種別では、あいさつをする程度の人ならいる、が多くなっています。 あいさつをする程度以上の付き合いが、すべての障がい種別で5割を超えています。 2、自宅や地域で生活するために必要なこと 自宅や地域で生活するために必要なことをみると、全体では 仕事があること や 主治医や医療機関が近くにあること、などが上位にあげられていますが、このほか知的障がい者では、食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 、発達障がい児・障がい者では、地域や職場の人たちが障がいについて理解があること、の割合が高くなっています。 3の8、障がい者に対する差別について 1、差別等を受けた経験 障がいがあるために差別を受けたり、嫌な思いをした経験がある人は、身体障がい者では13、6%、知的障がい者では37、8%、精神障がい者、通院、では24、4%、難病患者では12、4%ですが、身体・知的障がい児では44、4%、発達障がい児・障がい者では46、1%と4割台を占めています。 前回調査結果との比較では、知的障がい者と発達障がい児・障がい者で差別を受けた経験のある割合が高くなっています。 2、差別を受けた内容、 差別を受けた内容では、すべての障がいに共通して、近所の人達の対応で不愉快な思いをした、や 役所の窓口に行ったとき、職員の対応で不愉快な思いをした、が上位5位以内にあがっています。 3、障がい者の人権に関して問題があること 障がい者の人権に関して問題があると思うことでは、すべての障がいに共通して、人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと、や、差別的な言動を受けること等が上位5位以内にあがっています。 身体障がい者と難病患者では、道路の段差や建物の階段など、外出先での不便が多いこと、が上位にあげられています。 発達障がい児・障がい者では、発達障がいの特性から生じる困難さにたいして配慮がなされないことが60、5%で、第1位となっています。 3の9、障がい福祉全般について 1、災害時時に頼れる人 災害時に頼れる人をみると、いずれの障がいでも、同居の家族、が最も高くなっています。中でも、身体・知的障がい児、発達障がい児・障がい者など低年齢層の割合が高い障がいでは、8割台と高い割合を占めています。 2、障がい者福祉施策として国や県、市に力をいれてほしいこと 身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、通院、難病患者では、年金など所得保障の充実、障がい者に配慮した保健・医療体制及び医療費公費負担制度の充実が共通して上位1・2位にあがっています。 3、障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと 障がい者支援として地域社会や企業等に望むことをみると、身体障がい者では、公共交通機関やたてものなどを障がい者が利用しやすいようにつくる、それ以外では、障がいに対する理解を深める、がそれぞれ第1位となっています。 全ての障がいに共通して、障がいに対する理解を深める、や、企業で障がい者を積極的に雇用する、公共交通機関やたてもの等を障がい者が利用しやすいようにつくる、障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする、が上位5位以内となっています。 精神障がい者、通院、では、一般企業で働ける、働き続けるための支援が第2位にあがっています。 第4、福岡市の暮らしやすさ 福岡市は、障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じるかについては、発達障がい児・障がい者のみ、 感じていないの割合が34、1%と高くなっていますが、このほかではいずれも、感じている の割合が、感じていない、を上回っています。 福岡市障がい児・障がい者等実態調査報告書概要版 令和2年3月 発行、福岡市保健福祉局障がい者部障がい企画課 住所、福岡市中央区、天神1-8-1 電話番号、市外局番092-711-4248