福岡市保健福祉総合計画 令和3年8月 福岡市 表紙の絵について はじめに  全国的に少子高齢化が進む中、福岡市も2017年に高齢化率が21%を超え、超高齢社会に突入しており、要介護認定者や認知症の人、障がいのある人などの支援が必要な人が増加する一方で、支え手となる人材の不足が顕在化しています。  また、個人や世帯の抱える課題が複雑化・複合化し、従来の制度では十分な対応ができない課題が出てきています。  その一方で、60歳以上の方の社会参加意欲が向上傾向にあり、年齢などを条件に一律に「支えられる側」とするのではなく、誰もが生涯にわたって生きがいを持ち、意欲や能力に応じて役割を持って活躍するための施策や、支援が必要な人を社会全体で支え合う施策など、「支え合う福祉」が求められています。  「福岡市保健福祉総合計画」では、「団塊ジュニア世代」全員が65歳以上を迎え、3人に1人が高齢者となる2040年を見据え、あるべき姿として、「いつまでも健康で生きがいを持ちながら活躍できる社会」、「様々な主体が共に関わり合い、地域課題の解決に向け、力を発揮できる社会」を掲げ、誰もが一人の人間として尊重され、住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができる「健康福祉のまちづくり」を実現するための方向性をお示しいたしました。  また、施策の推進にあたっては、行政だけでなく市民・企業・大学など、幅広い主体の参画を得るとともに、最新技術やエビデンス(科学的根拠)などを積極的に収集・活用するなど、社会資源を活用した効率的で持続可能な仕組みを作り、急速に高齢化が進むアジアの国々の福祉におけるモデルとなることができるよう、市をあげて取り組んでまいります。  最後に、福岡市保健福祉審議会の委員の皆様をはじめ、計画策定にご尽力いただきました多くの方々に、深く感謝申し上げます。 令和3年8月 福岡市長 島 宗一郎 福岡市 保健福祉総合計画の構成  はじめに本計画の全体構成の概要を図示します。 第1編 序論(1ページから)  計画の位置づけ、社会動向など 第2編 総論(55ページから)  総論では、 本計画でめざす基本理念と「2040年のあるべき姿」を示し、その実現のために取り組む「施策の方向性」を示します。 ○基本理念 ○2040年のあるべき姿 ○施策の方向性 第3編 各論(71ページから)  各論では、総論を踏まえ、4つの分野別に具体的な施策を示します。  地域分野(71ページから)  健康・医療分野(121ページから)  高齢者分野(175ページから)  障がい者分野(229ページから) 目次 第1編 序論 1 第1部 計画の策定にあたって 1 第1章 計画の策定根拠と計画期間 2 第2章 計画の位置づけ 4 第2部 計画策定の背景 6 第1章 国と福岡市の動向 6 第2章 市民の意識 28 第3章 前計画の振り返り 46 第4章 健康福祉のまちづくりに向けて 54 第2編 総論 55 第1部 計画がめざすもの 55 第1章 計画策定の基本理念 55 第2章 福岡市がめざす目標像 56 第2部 施策の基本的方針 62 第1章 施策の方向性 62 第2章 担い手のあるべき姿 67 第3編 各論 71 第1部 地域分野 71 第1章 地域分野の基本理念等 71 第2章 施策各論 76 第3章 成果指標 119 第2部 健康・医療分野 121 第1章 健康・医療分野の基本理念等 121 第2章 施策各論 124 第3章 成果指標 172 第3部 高齢者分野 175 第1章 高齢者分野の基本理念等 175 第2章 施策各論 180 第3章 成果指標 227 第4部 障がい者分野 229 第1章 障がい者分野の基本理念等 229 第2章 施策各論 233 第3章 成果指標 273 参考資料 275 1 用語集 275 2 福岡市福祉のまちづくり条例 279 3 福岡市保健福祉審議会条例 287 4 福岡市保健福祉審議会条例施行規則 290 5 諮問 292 6 答申 293 7 計画策定の経緯 294 8 福岡市保健福祉審議会等委員名簿 296 9 パブリック・コメント手続きによる市民意見募集の結果概要 302 第1編 序論 (1ページ) 第1編 序論  序論では、計画を策定するにあたっての基本的な事項である根拠法や計画の位置づけなどのほか、策定の背景として、国の動向や福岡市の各種データ、市民意識調査の結果などをまとめました。 第1部 計画の策定にあたって  第1部では、本計画を策定する際の前提となる計画策定の根拠法のほか、本計画の位置づけや他の計画との関係性などを記載しました。 ○日本は世界有数の長寿国となっていますが、全国的に超高齢社会及び人口減少社会に突入しています。 ○世界に類を見ない速度で進む少子高齢化、高齢者の単独世帯の増加、住民同士のつながりの希薄化など変動する社会情勢にあわせて、国は持続可能な社会保障制度への見直しを進めてきました。 ○福岡市も、2017年(平成29年)に高齢化率が21%を超える「超高齢社会」に突入し、いわゆる「団塊ジュニア世代」が全員65歳以上となる2040年(令和22年)には、31.0%となる見込みです。 ○そのような中、2020年(令和2年)から新型コロナウイルス感染症が流行し、社会情勢がさらに大きく変化しています。 ○社会情勢の変動のもとで、暮らし方や地域とのつながりなどが変化するなか、福岡市はアジアのゲートウェイ都市であり、流動人口が多いなどの特性もあることから、保健福祉施策を進めるにあたって様々な配慮が必要です。 ○本計画は、超高齢社会においても、持続可能な制度や仕組みが構築され、「福祉が充実し、生活の質の高いまち」を実現するため、その具体的な目標像として、約3人に1人が高齢者となる2040年(令和22年)を見据えた「2040年のあるべき姿」を示し、その達成に向けた今後の道筋を示すものです。 (2ページ) 第1章 計画の策定根拠と計画期間 1 策定根拠(【図表1】) ○福岡市ではこれまで、1998年(平成10年)に福岡市福祉のまちづくり条例を公布施行し、同条例に定める「福祉のまちづくりに関する基本となる計画」として、全国に先駆けて保健・医療・福祉に関する施策を網羅した保健福祉行政のマスタープランとして「福岡市保健福祉総合計画」を策定し、施策を推進してきました。 ○本計画は、福岡市における保健・医療・福祉など様々な分野の各計画を横断的につなぐ基本理念と、取り組む施策の方向性を明らかにする保健福祉行政のマスタープランとして策定するとともに、社会福祉法に定める市町村地域福祉計画や、健康増進法に定める市町村健康増進計画、老人福祉法に定める市町村老人福祉計画、障害者基本法に定める市町村障害者計画といった、法定計画を一体化して策定します。 ○さらに、地域福祉計画については、2017年(平成29年)6月の社会福祉法の改正を受け、「地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉の各分野における共通的な事項」を記載する、いわゆる「福祉分野の上位計画」として、各種計画との調和を図ります。 【図表1】福岡市保健福祉総合計画の策定経過 表  以下は、番号 時期 策定経過の順。 <1>1998年(平成10年) 「福岡市保健福祉総合計画(計画期間:2000年度〔平成12年度〕から2010年度〔平成22年度〕)」を策定 <2>2005年(平成17年) <1>の中間見直し <3>2011年(平成23年) 「福岡市保健福祉総合計画(計画期間:2011年度〔平成23年度〕から2015年度〔平成27年度〕)」を策定 <4>2016年(平成28年) 「福岡市保健福祉総合計画(計画期間:2016年度〔平成28年度〕から2020年度〔令和2年度〕)」を策定 資料:福岡市 (3ページ) ○参考条文 「福岡市福祉のまちづくり条例」  第10条 市長は、福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、福祉のまちづくりに関する基本となる計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。 「社会福祉法」  第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定するよう努めるものとする。  一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項  二 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項  三 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項  四 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項  五 前条第一項各号に掲げる事業を実施する場合には、同項各号に掲げる事業に関する事項 「健康増進法」  第8条  2 市町村は、基本方針及び都道府県健康増進計画を勘案して、当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画(以下「市町村健康増進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。 「老人福祉法」  第20条の8 市町村は、老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業(以下「老人福祉事業」という。)の供給体制の確保に関する計画(以下「市町村老人福祉計画」という。)を定めるものとする。 「障害者基本法」  第11条  3 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならない。 2 計画期間 ○本計画の計画期間は、3年ごとの見直しが法定されている他の保健福祉分野の計画との整合性を図るため、2021年度(令和3年度)から2026年度(令和8年度)までの6年間とします。 ○なお、本計画に基づく施策の推進にあたっては、社会経済情勢の変化や関係法令の改正、社会保障制度改革などの動向にも対応する必要があるため、計画期間中であっても、必要に応じて見直しを行うこととします。 (4ページ) 第2章 計画の位置づけ(【図表2】) ○2012年(平成24年)12月に、福岡市が長期的にめざす都市像を示した「福岡市基本構想」及び、基本構想に掲げる都市像の実現に向けた方向性を示した「第9次福岡市基本計画」が策定されました。本計画は、「生活の質の向上」と「都市の成長」の好循環を創り出すという「第9次福岡市基本計画」の基本戦略のうち、特に「生活の質の向上」をめざすものであり、基本計画を推進するにあたって市が取り組む具体的な事業を示した「政策推進プラン」、効果的・効率的な行政運営の実現に向けた指針である「行政運営プラン」及び財政運営の基本的な考え方を示す指針である「財政運営プラン」を踏まえて推進するものです。 ○「第8期福岡市介護保険事業計画」及び「第6期福岡市障がい福祉計画」をはじめ、「福岡市バリアフリー※基本計画」などの、保健福祉施策に関する分野別計画は、本計画における基本理念や基本方針に基づき進めていくものです。また、子どもに関する分野の基本的な計画である「第5次福岡市子ども総合計画」など、本計画との関連が深い各種計画とも連携を図ります。 ○「2040年のあるべき姿」の達成に向けては、保健・医療・福祉などの保健福祉施策だけではなく、住まいや地域づくり、働き方などを含めて、広い意味でのまちづくりとして取り組むことが必要です。そのため、本計画は、保健福祉分野に限らず、その他の分野の関連計画ともより連携して推進していきます。 ※バリアフリー:279ページ参照 (5ページ) 【図表2】他の計画などとの相関関係 図  福岡市では、総合計画に基づく各施策の推進により、SDGs※の実現に取り組んでいます。  以下は、図の説明。  福岡市総合計画を表す3段階のピラミッド。上から順に「基本構想」「第9次基本計画」「実施計画(政策推進プラン)」と書かれている。  「実施計画」は「行政運営プラン」と「財政運営プラン」と連携し、さらに、「行政運営プラン」と「財政運営プラン」も連携している。  ピラミッドからは、「保健福祉総合計画」へ矢印が伸びている。  「保健福祉総合計画」には、「地域福祉計画」「健康増進計画」「老人福祉計画」「障害者計画」「子ども総合計画(こども未来局)」がる。  なお、「地域福祉計画」は、福祉の各分野(高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉、その他の福祉)における共通的な事項。  また、「保健福祉総合計画」は、<1>健康、<2>高齢者、<3>障がい者、<4>その他の計画と連携している。それぞれの内容を以下に記す。 <1>健康  食育推進計画  自殺対策総合計画  新型インフルエンザ等対策行動計画 <2>高齢者  介護保健事業計画) <3>障がい者  障がい福祉計画 <4>その他  バリアフリー基本計画  動物愛護管理推進実施計画  食品衛生監視指導計画  ホームレス自立支援実施計画  国民健康保険医療費適正化計画  国民健康保険特定健診・特定保健実施計画  地域防災計画(市民局)  スポーツ振興計画(市民局)  男女共同参画基本計画(市民局)  住生活基本計画(住宅都市局)  高齢者居住安定確保計画(住宅都市局)  住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画(住宅都市局)  教育振興基本計画(教育委員会) 資料:福岡市 ※SDGs:275ページ参照 (6ページ) 第2部 計画策定の背景  第2部では、計画策定の背景として、全国的な人口減少問題や社会保障制度改革などの動向、福岡市の人口動態や保健福祉に関連する各種データ、福岡市が実施した市民意識調査などの結果における特徴的な項目などから、現在の福岡市が置かれている状況について概括しました。  また、前計画の進捗状況を振り返り、どのような成果が上がったのか、また、「2040年のあるべき姿」に向けた主な課題について整理しました。 第1章 国と福岡市の動向 1 国の動向 (1)平均寿命の延びと少子高齢化問題(【図表3】) ○日本人の平均寿命は、医療技術の進歩や生活環境の改善などにより延伸を続けており、2019年(令和元年)には、男性は81.41年で世界3位に、また、女性は87.45年で世界2位となるなど、男女ともに過去最高を更新しました。 ○高齢化率についても、2019年(令和元年)は28.4%と、世界で最も高い水準となっています。なお、今後は、韓国、シンガポールなどアジア諸国の一部の国において、日本を上回るスピードで高齢化が進むことが見込まれています。 ○「令和2年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は、2019年(令和元年)10月1日時点で1億2617万人となっていますが、現在、総人口は長期の人口減少過程に入っており、2029年(令和11年)に1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2053年(令和35年)には1億人を割って9,924万人となり、2065年(令和47年)には8808万人になると推計されています。 ○総人口が減少する一方で、高齢者人口(65歳以上の人口)は2042年(令和24年)に3935万人でピークを迎えるまで増加を続けていくと推計されています。 ○また、65歳以上の高齢者がいる世帯は、2018年(平成30年)時点では全世帯の48.9%を占めており、高齢者の単独世帯についても、1980年(昭和55年)の男性約19万人、女性約69万人から、2015年(平成27年)には男性約192万人、女性約400万人と、男女ともに増加傾向にあります。 (7ページ) 【図表3】高齢化の推移と将来推計  グラフ  以下は、年、0から14歳 15から64歳 65から74歳 75歳以上 総人口 高齢化率(65歳以上人口割合)の順。 1950(S25) 2,979 5,017 309 107 8,411 4.9 1955(S30) 3,012 5,517 338 139 9,008 5.3 1960(S35) 2,843 6,047 376 164 9,430 5.7 1965(S40) 2,553 6,744 434 189 9,921 6.3 1970(S45) 2,515 7,212 516 224 10,467 7.1 1975(S50) 2,722 7,581 602 284 11,194 7.9 1980(S55) 2,751 7,883 699 366 11,706 9.1 1985(S60) 2,603 8,251 776 471 12,105 10.3 1990(H2) 2,249 8,590 892 597 12,361 12.1 1995(H7) 2,001 8,716 1,109 717 12,557 14.6 2000(H12) 1,847 8,622 1,301 900 12,693 17.4 2005(H17) 1,752 8,409 1,407 1,160 12,777 20.2 2010(H22) 1,680 8,103 1,517 1,407 12,806 23 2015(H27) 1,589 7,629 1,734 1,613 12,709 26.6 2019(H30) 1,521 7,507 1,740 1,849 12,617 28.4 2020(R2) 1,507 7,406 1,747 1,872 12,532 28.9 2025(R7) 1,407 7,170 1,497 2,180 12,254 30 2030(R12) 1,321 6,875 1,428 2,288 11,913 31.2 2035(R17) 1,246 6,494 1,522 2,260 11,522 32.8 2040(R22) 1,194 5,978 1,681 2,239 11,092 35.3 2045(R27) 1,138 5,584 1,643 2,277 10,642 36.8 2050(R32) 1,077 5,275 1,424 2,417 10,192 37.7 2055(R37) 1,012 5,028 1,258 2,446 9,744 38 2060(R42) 951 4,793 1,154 2,387 9,284 38.1 2065(R47) 898 4,529 1,133 2,248 8,808 38.4 (注1)2019年以降の年齢階級別人口は、総務省統計局「平成27年国勢調査 年齢・国籍不詳をあん分した人口(参考表)」による年齢不詳をあん分した人口に基づいて算出されていることから、年齢不詳は存在しない。なお、1950年から2015 年の高齢化率の算出には分母から年齢不詳を除いている。 (注2)沖縄県の昭和25年70歳以上の外国人136人(男55人、女81人)及び昭和30年70歳以上23,328人(男8,090人、女15,238人)は65から74歳、75歳以上の人口から除き、不詳に含めている。 (注3)将来人口推計とは、基準時点までに得られた人口学的データに基づき、それまでの傾向、趨勢を将来に向けて投影するものである。基準時点以降の構造的な変化等により、推計以降に得られる実績や新たな将来推計との間には乖離が生じうるものであり、将来推計人口はこのような実績等を踏まえて定期的に見直すこととしている。 出典:「令和2年版高齢社会白書」(内閣府) <(参考)世界の高齢化率の推移> グラフ  以下は、国名 1950年 2015年 2016年の高齢化率の順。 1.欧米 日本 4.9 26.6 38.1 スウェーデン 10.2 19.6 26.3 ドイツ 9.7 21.1 31.7 フランス 11.4 18.9 26.9 イギリス 10.8 18.1 26.7 アメリカ合衆国 8.2 14.6 23.6 2.アジア 日本 4.9 26.6 38.1 韓国 2.9 13.0 37.1 中国 4.4 9.7 30.5 インド 3.1 5.6 16.7 インドネシア 4 5.1 15.7 フィリピン 3.6 4.6 12.1 シンガポール 2.4 11.7 35.8 タイ 3.2 10.6 30.6 資料:UN、World Population Prospects:The 2017 Revision ただし日本は、2015年までは総務省「国勢調査」。2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果による。 出典:「令和2年版高齢社会白書」(内閣府) (8ページ) (2)財政状況と社会保障制度改革(【図表4】) ○日本の社会保障は、1960年代の高度経済成長期以降に、右肩上がりの経済成長と低失業率、正規雇用・終身雇用の男性労働者と専業主婦と子どもという核家族※モデル、充実した企業の福利厚生、住民同士のつながりが強い地域社会を背景として、国民皆保険・皆年金を中心として形作られ、これまで国民生活を支えてきました。 ○しかし、急速な少子高齢化の進展、非正規雇用労働者の増大などの雇用基盤の変化、未婚率の上昇や核家族化の影響による単独世帯の増加、都市化の進展などによる地域のつながりの希薄化など、社会保障制度を支える環境が変わってきています。 ○加えて医療技術の高度化も進む中、社会保障費は増大し、2017年度(平成29年度)は120兆2,443億円と過去最高の水準となりました。こうした変化に対応するため、高齢者向けの給付が中心となっている社会保障制度を、子ども・若者から高齢者まで誰もが安心できる「全世代型の社会保障」へ大きく転換していく必要があるとされています。 ※核家族:276ページ参照 【図表4】社会保障給付費の推移  以下は、グラフの説明。  1975(S50)年、社会保障給付費約12兆円、うち高齢者関係給付費約4兆円、社会保障給付費の対国民所得比約8%。その後、上昇を続け、2017(H29)年、社会保障給付費約120兆円、うち高齢者関係給付費約80兆円、社会保障給付費の対国民所得比約31%。 (注1)高齢者関係給付費とは、年金保険給付費、高齢者医療給付費、老人福祉サービス給付費及び高年齢雇用継続給付費をあわせたもので昭和48年度から集計 (注2)高齢者医療給付費は、平成19年度までは旧老人保健制度からの医療給付額、平成20年度以降は後期高齢者医療制度からの医療給付額及び旧老人保健制度からの医療給付額が含まれている。 出典:「平成29年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所) (9ページ) ○我が国においては、「社会保障の充実・安定化」と「財政健全化」を喫緊の課題として、2008年(平成20年)から「社会保障国民会議」を皮切りに社会保障と税の一体改革が始まり、2013年(平成25年)12月5日に「社会保障制度改革プログラム法」が成立しました。現在、同法に基づき、少子化対策、医療・介護・年金の各分野について改革が進められているところです。 ○また、社会保障制度の安定財源確保のために消費税率が2014年(平成26年)4月から8%に、2019年(令和元年)10月からは10%に引き上げられ、それによる増収分の一部は、社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)に割り当てられています。 ○これにより、2025年(令和7年)を念頭に進められてきた社会保障・税の一体改革が一区切りを迎えたところですが、その後の取組みとして、国は、「団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年(令和22年)を見据え、今後、国民誰もがより長く元気に活躍できるよう、多様な就労・社会参加の環境整備や健康寿命※1の延伸を進めるとともに、医療・福祉サービス改革による生産性の向上を図りつつ、給付と負担の見直しなどによる社会保障の持続可能性の確保を進める」ため、2018年(平成30年)10月に「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置しました。 (3)一億総活躍社会の実現に向けた取組み ○国は、少子高齢化という構造的な課題に取り組み、「若者も高齢者も、女性も男性も、障がいや難病のある人も、一度失敗を経験した人も、皆が包摂され活躍できる社会」である「一億総活躍社会」の実現に向けて取り組むこととし、2016年(平成28年)6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を策定しました。 ○さらに、「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とする「新しい経済政策パッケージ」を策定し、「希望出生率※2 1.8」及び「介護離職ゼロ」の実現や、AI(人工知能)、IoT※3、ロボットなどの「生産性を劇的に押し上げるイノベーション※4」の実現に向けた政策が進められています。 ※1 健康寿命:276ページ参照。 ※2 希望出生率:若い世代(18歳から34歳)における、結婚、子どもの数に関する希望がかなうとした場合に想定される出生率(人口1千人当たりの出生数)。 ※3 IoT:275ページ参照。 ※4 イノベーション:技術や制度の変革を利用して、新たな発想により、新たな商品やサービス、市場などを開拓すること。 (10ページ) <地域共生社会※1の実現に向けた取組み> ○「ニッポン一億総活躍プラン」において、「子供・高齢者・障害者などすべての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現が掲げられ、2017年(平成29年)6月に社会福祉法が改正されました。 ○「地域共生社会」とは、「制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」をいいます。 ○その実現に向けて、改正法においては、「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念が規定され、市町村が包括的な支援体制づくりに努めることが定められたとともに、地域福祉計画は、各福祉分野が共通して取り組むべき事項を記載する福祉分野の上位計画として位置づけられました。 ○また、国は、2019年(令和元年)6月に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」の中で地域共生社会の実現に向けた具体的取組みの一つとして、今後の医療・福祉ニーズの増大や多様化に対応するため、保健医療福祉の複数資格における共通基礎課程の創設の検討などを進めることとしています。 (4)Society5.0の実現に向けた取組み ○国は、2016年(平成28年)1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において、国がめざすべき未来社会の姿として「Society5.0」を提唱しました。これは、AI(人工知能)、IoT※2、ロボットなどの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、格差なく、多様なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供する社会の実現をめざすものです。 ○また、2017年(平成29年)6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」において、Society5.0に向けた戦略分野の一つに「健康寿命の延伸」を定め、健康管理と病気・介護予防、自立支援に軸足を置いた「新しい健康・医療・介護システム」を構築することにより、健康寿命をさらに延伸し、世界に先駆けて生涯現役社会を実現させることとしました。 ○さらに、2020年(令和2年)6月には、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援や社会福祉推進連携法人の創設などを盛り込んだ、改正社会福祉法が施行されました。 (5)様々な分野の取組み <1>成年後見制度※3の利用促進に向けた取組み ○2016年(平成28年)4月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が成立し、同年5月に施行されました。これにより、国は、成年後見制度の利用促進に向けた施策を総合的かつ計画的に推進することとしました。 ※1 地域共生社会:277ページ参照 ※2 IoT:275ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 (11ページ) ○また、市町村は、市町村基本計画の策定や地域連携ネットワークの整備・運営の中核となる機関設置などに努めることが規定され、制度の利用促進に向けた取組みが進められています。 <2>生活困窮者の自立の促進に向けた取組み ○2013年(平成25年)12月に生活困窮者自立支援法が成立し、2015年(平成27年)4月に施行されました。これにより、全国の市及び福祉事務所を設置する町村において、生活保護に至る前の生活困窮者への支援が開始されました。 ○また、2018年(平成30年)6月に生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法、児童扶養手当法が改正され、生活困窮者の自立支援の強化や生活保護制度における自立支援の強化・適正化、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進に向けた取組みが進められています。 <3>認知症への対応に向けた取組み ○国は、認知症に係る諸課題について、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な対策を推進するため、2018年(平成30年)12月に認知症施策推進関係閣僚会議を設置しました。 ○2019年(令和元年)6月には、同会議において「認知症施策推進大綱」がとりまとめられ、「認知症の発症や進行を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会をめざし、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく」こととしました。 <4>障がい者の権利擁護※1、差別解消に向けた取組み ○2006年度(平成18年度)に国連で採択された障害者の権利に関する条約の締結に向けて、日本では、障害者基本法などの改正や障害者総合支援法の成立など、種々の国内法の整備が行われました。 ○2013年(平成25年)6月には、障害者基本法第4条の差別禁止の基本原則を具体化し、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別解消法が成立し、2016年(平成28年)4月に施行されました。この法律では、行政機関や事業者などに社会的障壁※2の除去に必要な合理的配慮※3の提供を求めています。 ※1 権利擁護:276ページ参照 ※2 社会的障壁:277ページ参照 ※3 合理的配慮:276ページ参照 (12ページ) <5>福祉人材※1の確保に向けた取組み ○日本では、少子高齢化の進行などにより生産年齢人口(15から64歳の人口)が減少し、労働力人口も減少が見込まれており、将来にわたって福祉・介護ニーズに的確に対応できる人材の安定的な確保が極めて重要となっています。 ○介護人材※2でみると、国の第7期介護保険事業計画(2018年度〔平成30年度〕から2020年度〔令和2年度〕)に基づく需給推計では、2020年度(令和2年度)に約26万人、2025年度(令和7年度)に約55万人の介護人材が不足することが予測されています。 ○国は、「労働環境の整備の推進」、「キャリアアップ※3の仕組みの構築」、「福祉・介護サービスの周知・理解」、「潜在的有資格者※4等の参入の促進」、「多様な人材の参入・参画の促進」の視点から、量的な確保のみならず質的な向上にも重点を置いた人材確保のための取組みを推進しています。 <6>外国人材の受入れ・共生に向けた取組み ○日本に在留する外国人は2020年(令和2年)末時点で約289万人となり前年末と比べ約5万人減少したものの、就労する外国人については同年10月末時点で約172万人と、過去最多を記録しています。 ○国は、2018年(平成30年)12月に、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」をとりまとめ、順次、改訂がなされています。 ○この対応策において、国は、外国人の生命・健康に関する分野や、保育その他の子育て支援サービスについて、段階的な多言語対応の環境づくりを進めることや、外国人が安心して医療サービスなどを受けることができる環境の整備を図ることなどが必要であるとしています。 ※1 福祉人材:279ページ参照 ※2 介護人材:276ページ参照 ※3 キャリアアップ:より高い専門的知識や能力を身につけること。 ※4 潜在的有資格者:資格を有しながら福祉・介護分野に就業していない介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士などのこと。 (13ページ) 2 福岡市の動向 (1)高齢化の推移(【図表5、6、7、8、9】) ○福岡市は2020年(令和2年)5月に人口160万人を突破しました(推計人口:160.2万人)。前計画策定時の2016年(平成28年)6月1日時点から約10万人増加しており、今後も増加が予測されます。 ○また、図表5の通り、2015年(平成27年)における人口構造については、年少人口(0から14歳の人口)・生産年齢人口(15から64歳の人口)の割合は、福岡市が13.3%・66.0%と、国の12.6%・60.7%をいずれも上回っている一方、高齢者人口(65歳以上の人口)の割合は、福岡市が20.7%で国の26.6%を下回っており、福岡市は、全国平均と比較して若い年齢構成となっています。 ○全国的に高齢化が進む中、福岡市も一貫して高齢化率は上昇し、2015年(平成27年)の高齢化率は20.7%ですが、2025年(令和7年)には24.8%、2040年(令和22年)は31.0%になると予測されています。 ○65歳以上の高齢者人口は、2015年(平成27年)の31万2千人が、2025年(令和7年)は39万6千人(1.3倍)、2040年(令和22年)では49万7千人(1.6倍)になり、今後も増加する見込みです。 ○その中でも伸びが大きいのは後期高齢者(75歳以上の高齢者)人口で、2015年(平成27年)は14万3千人ですが、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年(令和7年)には22万8千人(1.6倍)、2040年(令和22年)には28万4千人(2.0倍)となる見込みです。 ○また、図表8の通り、高齢者の増加に伴い死亡者数も増加し、2015年(平成27年)は1万1千人ですが、2025年(令和7年)には1万4千人(1.3倍)、2040年(令和22年)には1万8千人(1.6倍)となる見込みです。 ○なお、図表9の通り、福岡市の平均寿命※(2015年〔平成27年〕)・健康寿命(2016年〔平成28年〕)は、男性が81.10年・71.04年、女性が87.62年・75.22年となっており、2010年(平成22年)と比較すると、男女とも、平均寿命・健康寿命のいずれも延伸しています。 ○平均寿命と健康寿命との差が小さいほど、一生において介護や支援を受けずに自立した日常生活がより長く送れていることになりますが、福岡市の平均寿命と健康寿命の差は、2010年(平成22年)時点で、男性が9.46年、女性が14.78年、2016年(平成28年)時点で男性が10.06年、女性が12.4年となっています。 ※健康寿命:276ページ参照 (14ページ) 【図表5】福岡市の高齢化の推移と将来推計  以下は、年 0から14歳 15から64歳 65から74歳 75歳以上 年齢不詳 総人口(千人) 高齢化率(65歳以上人口割合) 高齢化率(75歳以上人口割合)の順。 1985年(昭和60年) 252 816 57 34 1 1160 2.9 7.8 1990年(平成2年) 231 886 68 45 7 1237 3.6 9.2 1995年(平成7年) 205 933 88 54 4 1285 4.2 11.1 2000年(平成12年) 191 968 107 71 5 1341 5.3 13.3 2005年(平成17年) 188 984 120 94 16 1401 6.7 15.4 2010年(平成22年) 192 998 136 118 1464 8.2 17.6 2015年(平成27年) 200 996 170 143 30 1539 9.5 20.7 2020年(令和2年) 204 996 185 182 0 1568 11.36 23.4 2025年(令和7年) 201 996 168 228 0 1592 14.3 24.8 2030年(令和12年) 189 993 166 256 0 1604 16.0 26.3 2035年(令和17年) 176 975 185 270 0 1606 16.8 28.3 2040年(令和22年) 168 937 213 284 0 1601 17.7 31.0 2045年(令和27年) 165 901 220 304 0 1590 19.1 32.9 2050年(令和32年) 164 870 203 336 0 1573 21.3 34.3 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 (注)国勢調査の高齢化率(人口割合)算出にあたっては、総数から年齢不詳を除外している。 出典:「国勢調査(平成27年度)」(総務省)、「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」(福岡市) (15ページ) <参考:子ども・若者に関するデータ> ○福岡市の出生数は、1990年(平成2年)ごろからほぼ1万3千人台の横ばいで推移してきましたが、直近の10年間は1万4千人台で推移しています。また、出生率(人口1千人当たりの出生数)は全国と比較すると高い状況にあります。 【図表6】福岡市と全国の合計特殊出生率の推移 グラフ  以下は、年 出生数(市) 出生率(市) 出生率(全国)の順。 1970(S45) 16,874 19.8 18.8 1975(S50) 18,416 18.4 17.1 1980(S55) 17,053 15.7 13.6 1985(S60) 15,841 13.7 11.9 1990(H2) 13,647 11.0 10.0 1995(H7) 12,986 10.2 9.6 2000(H12) 13,133 9.9 9.5 2005(H17) 12,477 9.0 8.4 2008(H20) 14,063 9.8 8.7 2009(H21) 14,177 9.8 8.5 2010(H22) 14,483 10.0 8.5 2011(H23) 14,370 9.7 8.3 2012(H24) 14,453 9.7 8.2 2013(H25) 14,784 9.8 8.2 2014(H26) 14,559 9.6 8.0 2015(H27) 14,797 9.8 8.0 2016(H28) 14,488 9.3 7.8 2017(H29) 14,382 9.2 7.6 2018(H30) 13,927 8.8 7.4 出典:「第5福岡市子ども総合計画」(福岡市) ○福岡市の若者(15から29歳)の人口割合は、政令指定都市の中で最も高くなっていますが、2005年(平成17年)の22.5%から2015年(平成27年)には17.4%となっており、減少傾向にあります。 【図表7】福岡市の若者(15から29歳)の人口割合の推移 グラフ  以下は、年 割合の順。 2005年(平成17年) 22.5 2010年(平成22年) 19.2 2015年(平成27年) 17.4 出典:「国勢調査(平成17年度、平成22年度、平成27年度)」(総務省) (16ページ) 【図表8】福岡市における死亡者数の将来推計 グラフ  以下は、年 死亡者数の順。 1990年(平成2年) 6216 1995年(平成7年) 7130 2000年(平成12年) 7992 2005年(平成17年) 8759 2010年(平成22年) 10131 2015年(平成27年) 11166 2020年(令和2年) 12716 2025年(令和7年) 14363 2030年(令和12年) 15881 2035年(令和17年) 17228 2040年(令和22年) 18379 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 出典:「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」(福岡市) 【図表9】平均寿命と健康寿命の差 グラフ  以下は、性別 平均寿命 健康寿命(日常生活に制限のない期間) 平均寿命と健康寿命の差の順。 ○2010年(平成22年) 男性 79.84 70.38 9.46 女性 86.71 71.93 14.78 ○2016年(平成28年) 男性 81.10 71.04 10.06 女性 87.62 75.22 12.4 出典:平均寿命:「平成22年 市区町村別生命表」(厚生労働省)、「平成27年 都道府県別生命表」(厚生労働省) 健康寿命:「大都市の健康寿命(2010・2013・2016年)」(厚生労働科学研究費補助金による「健康寿命及び地域格差の要因分析と健康増進対策の効果検証に関する研究」) (17ページ) (2)高齢者の単独世帯数の推移(【図表10】) ○高齢者の単独世帯は、2015年(平成27年)に8万世帯、2025年(令和7年)には11万9千世帯(1.5倍)、2040年(令和22年)には17万6千世帯(2.2倍)へと増加することが推計されます。 ○特に、後期高齢者(75歳以上の高齢者)の単独世帯は、2015年(平成27年)に3万8千世帯、2025年(令和7年)には7万4千世帯(1.9倍)、2040年(令和22年)には11万1千世帯(2.9倍)へと急激に増加することが推計されます。 【図表10】高齢者の単独世帯数の推移と将来推計 グラフ  以下は、年 75歳以上単独世帯 65から74歳単独世帯 合計の順。単位は、千世帯。 1985年(昭和60年) 8 4 12 1990年(平成2年) 11 6 18 1995年(平成7年) 16 9 25 2000年(平成12年) 21 16 37 2005年(平成17年) 24 22 46 2010年(平成22年) 33 31 64 2015年(平成27年) 42 38 80 2020年(令和2年) 47 55 102 2025年(令和7年) 45 74 119 2030年(令和12年) 47 90 137 2035年(令和17年) 54 100 154 2040年(令和22年) 65 111 176 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 出典:「国勢調査(平成27年度)」(総務省)、「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」(福岡市) (18ページ) (3)要介護認定者※数と認知症の人の数の増加(【図表11、12、13】) ○高齢者人口(65歳以上の人口)の増加に伴い、介護が必要となる人も増えていきます。2015年度(平成27年度)の要介護認定者数約6万2千人が、2025年度(令和7年度)には約8万2千人(1.3倍)、2040年度(令和22年度)には約12万4千人(2倍)になると推計されます。 ○なお、女性の平均寿命は男性より長く、高齢者の人口は女性の方が多いことから、要介護認定を受けている人のうち、要介護3から5の認定者の男女比は、年齢が高くなるほど女性が多くなります。 ○また、認知症の人の数も、2015年度(平成27年度)の約3万3千人が、2025年度(令和7年度)には約4万4千人(1.3倍)、2040年度(令和22年度)には約6万9千人(2.1倍)になると推計されます。 ※要介護認定者:280ページ参照 【図表11】要介護認定者数・認定率の推移と将来推計 グラフ  以下は、年度 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 認定者数合計(千人) 認定率の順。 2010年度(平成22年度) 8 6 9 8 6 5 5 47 19.1 2015年度(平成27年度) 14 8 12 10 7 6 5 62 20.4 2020年度(令和2年度) 15 11 14 11 8 7 5 70 20.4 2025年度(令和7年度) 17 14 17 12 10 8 5 82 22.0 2030年度(令和12年度) 20 16 20 15 11 10 6 98 24.3 2035年度(令和17年度) 22 18 23 17 13 12 7 112 25.8 2040年度(令和22年度) 23 20 25 19 15 13 8 124 25.9 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 (注)要介護認定者数及び認定率は、2010年度(平成22年度)・2015年度(平成27年度)は実績値、2020年度(令和2年度)以降は第8期介護保険事業計画(案)の計画値 資料:福岡市 (19ページ) 【図表12】要介護認定者数(要介護3から5) グラフ  以下は、グラフの説明。  40から64歳は、男性約600人、女性約550人。年齢が上がるにつれて増え、87歳男性約1010人、女性約2750人。その後、減り始め、99歳男性約50人、女性約400人。100歳以上男性約100人、女性約600人。 資料:福岡市(令和2年3月末時点) 【図表13】認知症の人の数の推移と将来推計 グラフ  以下は、年度 認知症の人の数の順。 2015年度(平成27年度) 33188 2020年度(令和2年度) 37610 2025年度(令和7年度) 43690 2030年度(令和12年度) 52490 2035年度(令和17年度) 61040 2040年度(令和22年度) 68700 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 (注)認知症の人の数は、福岡市の要介護認定者に占める日常生活自立度U以上の人の数について、2015年度(平成27年度)は年度末の値、2020年度(令和2年度)・2025年度(令和7年度)は第8期介護保険事業計画(案)の計画値、2030年度(令和12年度)以降は図11の要介護認定者数を基に推計した値 資料:福岡市 (20ページ) (4)障がいのある人の推移(【図表14】) ○福岡市の障がい児・者数(身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の所持者数、重複含む)は、いずれも増加傾向にあり、1995年度(平成7年度)の約2万9千人から、2019年度(令和元年度)には約8万2千人(2.8倍)に増加しています。 ○また2019年度(令和元年度)の人口に対する出現率は5.1%であり、市民の約20人に1人が身体、知的、又は精神障がいがあるという状況です。 ○発達障がいについては、全国的に見ても正確な人数が把握できていない状況ですが、福岡市発達障がい者支援センターの相談者数をみると近年1,400人前後で推移しており、そのうち約半数が成人となっています。 【図表14】障がい児・者数及び人口に占める割合の推移 グラフ   以下は、年度 身体障がい者 知的障がい者 精神障がい者 合計の人数 出現率(障がい者)の順。 1995年度(平成7年度) 25268 3818 (記載なし) 29086 2.3 2000年度(平成12年度) 32296 4998 1929 39223 3.0 2005年度(平成17年度) 39413 5881 4633 49927 3.7 2010年度(平成22年度) 48526 8101 7747 64374 4.5 2013年度(平成25年度) 51557 9306 10333 71196 4.9 2016年度(平成28年度) 51831 10764 13290 75885 5.0 2019年度(令和元年度) 52114 12164 17454 81732 5.1 (注1)2005年度(平成17年度)調査までの統計は手帳未所持者を含んでいたため、未所持者を除外して再集計を行っている。 (注2)精神障害者保健福祉手帳は、1995年(平成7年)10月から開始。1995年度(平成7年度)は未集計 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」、「精神保健福祉事業のまとめ」(福岡市) <1>身体障がい児・者(【図表15、16】) ○2016年度(平成28年度)の身体障がい児・者数(身体障害者手帳所持者数)は約5万2千人で、そのうち60歳以上が約3万9千人と、全体の7割強を占めています。 ○2013年度(平成25年度)までは、60歳以上を中心に身体障がい児・者数は急激に増加していましたが、2016年度(平成28年度)から、ほぼ横ばいで推移しています。 ○2050年度(令和32年度)までには、身体障がい児・者数(身体障害者手帳所持者数)は増加し、約7万1千人になる見込みです。 (21ページ) 【図表15】身体障がい児・者の年齢構成別の推移 グラフ  以下は、年度 29歳以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 合計人数の順。 1995年度(平成7年度) 2295 1897 3670 5256 12380 25498 2000年度(平成12年度) 2083 1351 2683 6070 20179 32366 2005年度(平成17年度) 2395 1658 2520 5984 26980 39537 2010年度(平成22年度) 2382 1876 2874 5793 35601 48526 2013年度(平成25年度) 2438 1716 2890 5228 39285 51557 2016年度(平成28年度) 2462 1800 3201 5014 39354 51831 2019年度(令和元年度) 2436 1865 3273 5028 39512 52114 (注)年齢別人数については、2005年度(平成17年度)調査までの統計は手帳未所持者を含む。 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) 【図表16】身体障がい児・者の年齢別将来推計 グラフ  以下は、年度 29歳以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 合計人数の順。 2016年度(平成28年度) 2462 1800 3201 5014 39354 51831 2020年度(令和2年度) 2384 1791 3218 5564 42013 54970 2025年度(令和7年度) 2293 1762 2959 6404 45192 58611 2030年度(令和12年度) 2241 1589 2908 6605 48818 62160 2035年度(令和17年度) 2196 1455 2865 6080 53411 66008 2040年度(令和22年度) 2137 1439 2585 5983 56441 68585 2045年度(令和27年度) 2044 1496 2368 5891 58189 69988 2050年度(令和32年度) 1964 1513 2342 5316 60086 71221 (注1)2016年度(平成28年度)時点の出現率を、将来人口推計に乗じて算出した。 (注2)人口については、「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」(福岡市)の値を参照した。 資料:福岡市 (22ページ) <2>知的障がい児・者(【図表17】) ○2019年度(令和元年度)の知的障がい児・者数(療育手帳所持者数)は約1万2千人で、このうち、29歳以下が約6千6百人、30歳以上が約5千5百人であり、身体障がいに比べて29歳以下の占める割合が高く、全体の5割強を占めています。 【図表17】知的障がい児・者の年齢構成別の推移 グラフ  以下は、年度 29歳以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 合計人数の順。 1995年度(平成7年度) 3341 581 571 250 250 4993 2000年度(平成12年度) 3494 1054 613 508 336 6005 2005年度(平成17年度) 3908 1126 552 558 372 6516 2010年度(平成22年度) 4458 1456 935 621 631 8101 2013年度(平成25年度) 5258 1590 1057 623 778 9306 2016年度(平成28年度) 5817 1596 1517 825 1009 10764 2019年度(令和元年度) 6653 1752 1624 989 1146 12164 (注)年齢別人数については、2005年度(平成17年度)調査までの統計は手帳未所持者を含む。 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) <3>精神障がい児・者(【図表18、19】) ○2019年度(令和元年度)の精神障がい児・者数(精神障害者保健福祉手帳所持者数)は約1万7千人で、2007年度(平成19年度)と比較すると、すべての年代においておよそ2倍から3倍程度に増加しています。 ○2019年度(令和元年度)の入院や通院をしている精神障がい児・者数は38039人で、内訳は入院者3238人、通院者34801人でした。その推移をみると、2005年度(平成17年度)から2019年度(令和元年度)までの間で、入院者数はわずかに減少していますが、通院者数は約1.8倍に増加しています。 (23ページ) 【図表18】精神障がい児・者の年齢構成別の推移 グラフ  以下は、年度 29歳以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 合計人数の順。 2007年度(平成19年度) 522 1268 1289 1326 1210 5615 2010年度(平成22年度) 721 1671 1972 1543 1840 7747 2013年度(平成25年度) 1089 2049 2740 2000 2455 10333 2016年度(平成28年度) 1535 2265 3377 2804 3309 13290 2019年度(令和元年度) 2799 3075 4110 3612 3858 17454 出典:「精神保健福祉事業のまとめ」(福岡市) 【図表19】精神障がい者数(入院者、通院者)の推移 グラフ  以下は、年度 入院者 通院者 合計人数の順。 2005年度(平成17年度) 3796 19628 23424 2010年度(平成22年度) 3550 25900 29450 2013年度(平成25年度) 3603 32047 35650 2016年度(平成28年度) 3382 34266 37648 2019年度(令和元年度) 3238 34801 38039 (注)2005年度(平成17年度)調査は一次調査で現住所を特定していないため、二次調査の回答結果をもとに現住所が福岡市にある精神障がい者数を推計している。 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (24ページ) (5)福岡市の財政状況(【図表20、21】) ○福岡市の財源の使途が特定されない一般財源については、市税収入の増加などに伴い微増の傾向にありますが、扶助費※などの義務的経費が年々増加傾向にあります。 ○福岡市の保健福祉費の予算額も年々増加を続けており、一般会計の約4分の1を占めるに至っています。 ※扶助費:279ページ参照 【図表20】一般財源の推移(当初予算ベース) グラフ  以下は、年度 一般財源総額 うち義務的経費(億円) 義務的経費の占める割合の順。 2011年度(平成23年度) 3855 2208 57.3 2012年度(平成24年度) 3882 2237 57.6 2013年度(平成25年度) 3910 2245 57.4 2014年度(平成26年度) 3950 2224 56.3 2015年度(平成27年度) 3952 2221 56.2 2016年度(平成28年度) 3965 2242 56.5 2017年度(平成29年度) 4494 2751 61.2 2018年度(平成30年度) 4540 2761 60.8 2019年度(令和元年度) 4625 2801 60.6 2020年度(令和2年度) 4678 2814 60.2 出典:「令和2年度版 ふくおかしの家計簿」(福岡市) 【図表21】当初予算額の推移 グラフ  以下は、年度 一般会計予算額 保健福祉費予算額 一般会計に占める割合 形状的経費 政策的経費の順。単位は、億円。 2011年度(平成23年度) 7662 1723 22.5 1672 51 2012年度(平成24年度) 7662 1813 23.7 1763 50 2013年度(平成25年度) 7596 1881 24.8 1835 46 2014年度(平成26年度) 7763 1960 25.2 1927 33 2015年度(平成27年度) 7820 1985 25.4 1951 34 2016年度(平成28年度) 7845 2047 26.1 2013 34 2017年度(平成29年度) 8328 2026 24.3 1999 27 2018年度(平成30年度) 8388 2039 24.3 2019 20 2019年度(令和元年度) 8666 2084 24.0 2055 29 資料:福岡市 (25ページ) (6)生活保護世帯数の推移(【図表22】) ○2019年度(令和元年度)の生活保護世帯数及び保護費は、約3万4千世帯、約771億円となっています。2008年度(平成20年度)以降、雇用情勢の悪化に伴い生活保護世帯は急増していましたが、ここ数年は、ほぼ横ばいで推移しています。 ○一方で、生活保護世帯数のうち、高齢者世帯数が特に増加傾向にあります。 【図表22】世帯類型別被保護世帯数と保護費の推移 グラフ  以下は、年度 高齢者世帯 母子世帯 障がい者世帯 傷病者世帯 その他の世帯数(百世帯) 保護費(億円)の順。 2005年度(平成17年度) 84 15 19 45 17 180 503 2006年度(平成18年度) 85 15 21 46 17 185 504 2007年度(平成19年度) 90 15 22 46 18 191 503 2008年度(平成20年度) 94 15 24 49 19 201 533 2009年度(平成21年度) 101 17 26 55 36 235 614 2010年度(平成22年度) 109 19 28 61 57 274 703 2011年度(平成23年度) 115 21 30 65 64 295 750 2012年度(平成24年度) 122 23 32 68 66 311 784 2013年度(平成25年度) 131 23 34 66 66 320 795 2014年度(平成26年度) 140 23 35 64 64 325 804 2015年度(平成27年度) 150 23 35 60 63 331 812 2016年度(平成28年度) 157 21 35 58 62 333 795 2017年度(平成29年度) 165 20 37 54 59 335 797 2018年度(平成30年度) 170 19 38 49 58 335 783 2019年度(令和元年度) 173 18 39 47 57 334 771 (注)世帯には停止中を含まない(現に保護を受けたもの)。 資料:福岡市 (25ページ) (7)医療費の推移(【図表23、24】) ○福岡市国民健康保険の一人当たり医療費は、2018年度(平成30年度)に33万8732円となっており、年々増加しています。一方で、医療費総額は被保険者数の減により2016年度(平成28年度)以降減少傾向となっています。 ○また、福岡市の後期高齢者医療制度の一人当たり医療費は、増減して推移する中、2018年度(平成30年度)は120万5824円となっています。一方で、医療費総額は、被保険者数の増により年々増加し、2018年度(平成30年度)には、約1814億円となっています。 【図表23】福岡市国民健康保険医療費の推移 グラフ  以下は、年度 医療費総額(億円) 1人当たりの医療費(円)の順。 2009年度(平成21年度) 1046 293812 2010年度(平成22年度) 1073 297441 2011年度(平成23年度) 1107 303628 2012年度(平成24年度) 1120 306738 2013年度(平成25年度) 1133 310803 2014年度(平成26年度) 1142 317322 2015年度(平成27年度) 1154 326932 2016年度(平成28年度) 1134 331232 2017年度(平成29年度) 1100 332313 2018年度(平成30年度) 1096 338732 資料:福岡市 【図表24】福岡市後期高齢者医療費の推移 グラフ  以下は、年度 医療費総額(億円) 1人当たりの医療費(円)の順。 2009年度(平成21年度) 1307 1189256 2010年度(平成22年度) 1404 1227923 2011年度(平成23年度) 1471 1239228 2012年度(平成24年度) 1528 1240285 2013年度(平成25年度) 1576 1241576 2014年度(平成26年度) 1615 1236417 2015年度(平成27年度) 1681 1244809 2016年度(平成28年度) 1702 1210373 2017年度(平成29年度) 1758 1205757 2018年度(平成30年度) 1814 1205824 資料:福岡市 (27ページ) (8)医療費に占める生活習慣病※の割合(【図表25】) ○福岡市の国民健康保険及び後期高齢者医療費の約4割を生活習慣病関連の疾患が占めています。 ○悪性新生物(がん)、心疾患、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、運動や食生活、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によってもたらされ、症状を自覚する頃にはかなり進行していることが多くなっています。一度発症してしまうと、治療をしても完治が難しかったり、後遺症を残してしまったりするケースも少なくありませんが、日常生活の中で、適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙など生活習慣の改善により、発症や重症化を予防することができるため、若い頃から生活習慣を見直し、改善することが重要です。 ※生活習慣病:277ページ参照 【図表25】福岡市医療費の内訳(国民健康保険及び後期高齢者医療費のみ) グラフ  以下は、疾患名 割合の順。 悪性新生物 11.0 循環器系の疾患 6.7 高血圧性の疾患 5.0 脳出血・脳血管の疾患 8.2 糖尿病 2.9 腎不全 5.4 その他 60.8 資料:福岡市(令和元年5月分) (9)医療環境(【図表26】) ○福岡市は、人口10万人当たりの医療施設数が政令市の中でも上位であり、暮らしの身近なところに医療機関が存在している環境にあります。 【図表26】政令指定都市における人口10万対医療施設数(上位7位)  2019年(令和元年)10月1日現在 表  以下は、順位 都市名 人口10万対医療施設数の順。 「病院」 1位 熊本市 12.9 2位 札幌市 10.3 3位 北九州市 9.7 4位 岡山市 7.8 5位 福岡市 7.2 6位 神戸市 7.2 7位 広島市 7.0 (参考) 福岡県 9.0 全国 6.6 「一般診療所」 1位 大阪市 127.5 2位 京都市 108.2 3位 神戸市 105.2 4位 北九州市 101.2 5位 広島市 100.8 6位 福岡市 99.6 7位 岡山市 96.9 (参考) 福岡県 92.3 全国 81.3 「歯科診療所」 1位 大阪市 81.0 2位 北九州市 68.6 3位 福岡市 64.7 4位 名古屋市 62.3 5位 新潟市 62.2 6位 札幌市 62.0 7位 神戸市 61.9 (参考) 福岡県 60.4 全国 54.3 出典:「令和元年医療施設調査」(厚生労働省) (28ページ) 第2章 市民の意識  本計画を策定するにあたり、2018年度(平成30年度)から2019年度(令和元年度)にかけて、市民などを対象とした「保健福祉に関する意識調査」、「高齢者実態調査」、「障がい児・者等実態調査」、「市民の健康づくりに関するアンケート」を実施しました。各調査の特徴的な結果を次に記載します。 1 保健福祉に関する意識調査(実施時期:2018年度〔平成30年度〕) ○福岡市に居住する20歳以上の住民の保健福祉に関するご意見や日頃の暮らしや身近な地域について状況を収集・分析し、今後の保健福祉施策の向上に資することを目的に調査を実施しました。 (1)保健福祉の満足度(【図表27、28、29】) ○保健福祉全体の満足度について、「満足」(5.1%)、「おおむね満足」(39.8%)をあわせた『満足している』人の割合は44.9%となっています。 【図表27】保健福祉全体の満足度 グラフ  (回答数:1399) 満足 5.1 おおむね満足 39.8 「満足」+「おおむね満足」割合→44.9 やや不満 15.6 不満 5.0 「やや不満」+「不満」割合→20.6 どちらでもない 32.6 無回答 1.9 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (29ページ) ○日ごろの暮らしの保健福祉について満足している内容の上位には、「健康づくり・介護予防の推進」(28.2%)、「公共施設・公共交通機関のバリアフリー※化」(26.1%)、「医療体制・健康危機管理体制、生活環境の向上」(23.3%)が挙がっています。 ※バリアフリー:279ページ参照 【図表28】日ごろの暮らしの保健福祉について満足している内容 グラフ  回答数:1399(複数回答)  以下は、満足している内容 割合の順。 健康づくり・介護予防の推進 28.2 公共施設・公共交通機関のバリアフリー化 26.1 医療体制・健康危機管理体制、生活環境の向上 23.3 誰もが住み慣れた地域で暮らせる居住環境の整備 17.7 福祉サービス等の利用に関する情報提供・相談体制、生活の自立・経済的な自立の支援 17.2 地域での支え合い 17.2 社会参加活動の支援 16.4 持続可能な社会保障制度の維持 12.1 障がい特性等に配慮した総合的な支援 10.9 認知症への対応 8.8 社会的に弱い立場にある方々に対する差別解消への取組み 8.7 権利擁護 6.4 人材育成 5.0 保健福祉分野におけるICT等の利活用 4.2 特にない 38.6 無回答 1.8 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (30ページ) ○一方で、不満を感じている内容については、満足している項目でも上位になった「公共施設・公共交通機関のバリアフリー化」(18.2%)、「持続可能な社会保障制度の維持」(17.7%)、「福祉サービス等の利用に関する情報提供・相談体制、生活の自立・経済的な自立の支援」(15.8%)及び「誰もが住み慣れた地域で暮らせる居住環境の整備」(15.8%)が挙がっています。 【図表29】日ごろの暮らしの保健福祉について不満を感じている内容 グラフ  回答数:1399(複数回答)  以下は、不満を感じている内容 割合の順。 公共施設・公共交通機関のバリアフリー化 18.2 持続可能な社会保障制度の維持 17.7 福祉サービス等の利用に関する情報提供・相談体制、生活の自立・経済的な自立の支援 15.8 誰もが住み慣れた地域で暮らせる居住環境の整備 15.8 医療体制・健康危機管理体制、生活環境の向上 15.4 認知症への対応 12.7 人材育成 12.6 地域での支え合い 12.2 社会的に弱い立場にある方々に対する差別解消への取組み 11.0 障がい特性等に配慮した総合的な支援 9.6 権利擁護 9.4 保健福祉分野におけるICT等の利活用 7.4 健康づくり・介護予防の推進 7.1 社会参加活動の支援 5.7 特にない 39.8 無回答 7.9 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (31ページ) (2)行政に望むこと(【図表30】) ○今後福岡市が力を入れていくべきと思う内容については、「持続可能な社会保障制度の維持」(38.9%)が最も多く、次いで「医療体制・健康危機管理体制、生活環境の向上」(37.0%)、「福祉サービス等の利用に関する情報提供・相談体制、生活の自立・経済的な自立の支援」(34.2%)などとなっています。 【図表30】今後福岡市が力を入れていくべきと思う内容 グラフ  回答数:1399(複数回答)  以下は、力を入れていくべきと思う内容 割合の順。 持続可能な社会保障制度の維持 38.9 医療体制・健康危機管理体制、生活環境の向上 37.0 福祉サービス等の利用に関する情報提供・相談体制、生活の自立・経済的な自立の支援 34.2 誰もが住み慣れた地域で暮らせる居住環境の整備 31.8 認知症への対応 30.5 公共施設・公共交通機関のバリアフリー化 30.2 健康づくり・介護予防の推進 23.1 地域での支え合い 24.6 人材育成 23.8 障がい特性等に配慮した総合的な支援 20.3 権利擁護 19.6 社会参加活動の支援 19.2 社会的に弱い立場にある方々に対する差別解消への取組み 18.1 保健福祉分野におけるICT等の利活用 12.1 特にない 10.0 その他、無回答など 6.5 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (32ページ) (3)地域活動の参加状況と参加意向(【図表31、32】) ○これまでに参加した地域活動の内容については、「参加したことはない」と答えた人の割合が44.0%となっており、参加したことがある人については、「地域清掃活動」(38.2%)、「地域交流」(21.7%)、「地域防犯活動」(13.7%)などが上位になっています。 【図表31】これまでに参加した地域活動の内容 グラフ  回答数:1399(複数回答)  以下は、これまでに参加した地域活動の内容 割合の順。 参加したことはない 44.0 地域清掃活動 38.2 地域交流 21.7 地域防犯活動 13.7 見守り・安否確認 10.7 日常の話し相手 7.4 ちょっとした力仕事 6.9 悩みごとの相談相手 5.2 健康づくり 5.1 青少年の健全育成 4.2 気軽に行ける自由な場所づくり 2.6 買い物や通院などの支援 2.3 日常的な家事支援 1.0 その他、無回答 4.8 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (33ページ) ○これから参加してみたい地域活動の内容については、「参加しない」と答えた人の割合が28.2%となっている一方で、参加してみたいと思う人については、「地域清掃活動」(28.4%)、「見守り・安否確認」(24.4%)、「地域交流」(23.6%)などが上位になっています。 【図表32】これから参加してみたい地域活動の内容 グラフ  回答数:1399(複数回答)  以下は、これから参加してみたい地域活動の内容 割合の順。 地域清掃活動 28.4 参加しない 28.2 見守り・安否確認 24.4 地域交流 23.6 健康づくり 18.7 日常の話し相手 15.3 気軽に行ける自由な場所づくり 13.9 地域防犯活動 13.7 ちょっとした力仕事 8.8 悩みごとの相談相手 8.5 買い物や通院などの支援 6.1 青少年の健全育成 4.8 日常的な家事支援 2.7 その他、無回答 5.3 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (34ページ) 2 高齢者実態調査(実施時期:2019年度〔令和元年度〕) ○福岡市に在住する高齢者などの保健福祉に関するニーズ・意識などを把握することにより、「福岡市介護保険事業計画」の策定に必要な基礎的データを収集・分析するとともに、福岡市の高齢者福祉施策の向上に資することを目的に、調査を実施しました。 (1)健康状態(【図表33-<1>、33-<2>】) ○健康状態は、「健康で、普通に生活している」の48.4%、「何らかの病気や障がいはあるが、日常生活は自立、外出もできる」の40.6%をあわせた約9割の人が自立した生活を送っています。 ○一人暮らし世帯でも、約9割の人が自立した生活を送っており、そのうち「健康で、普通に生活している」と答えた人の割合は増加傾向にあります。 【図表33-<1>】健康状態(経年比較) グラフ  以下は、健康状態 令和元年度(回答数:1764) 平成28年度(回答数:1886) 平成25年度(回答数:2985) 平成22年度(回答数:2939) 平成19年度(回答数:3161)の割合の順。 健康で、普通に生活している 48.4 50.6 46.5 44.0 41.3 何らかの病気や障がいはあるが、日常生活は自立、外出もできる 40.6 39.4 45.2 45.9 46.8 何らかの病気や障がいはあるが、家の中では自立、外出はできない 5.6 5.6 5.6 6.0 7.5 病気や障がいがあって、日中もベッドの上での生活が主体である 2.0 1.7 1.2 2.1 1.7 病気や障がいがあって、1日中ベッドの上にいる 0.4 1.2 0.5 0.8 1.1 無回答 3.0 1.4 1.0 1.2 1.7 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査」(福岡市) (35ページ) 【図表33-<2>】健康状態(一人暮らし世帯 経年比較) グラフ  以下は、健康状態 令和元年度(回答数:357) 平成28年度(回答数:394) 平成25年度(回答数:633)の割合の順。 健康で、普通に生活している 48.7 44.4 37.3 何らかの病気や障がいはあるが、日常生活は自立、外出もできる 40.6 42.4 51.5 何らかの病気や障がいはあるが、家の中では自立、外出はできない 3.6 8.9 8.7 病気や障がいがあって、日中もベッドの上での生活が主体である 2.5 2.3 0.6 病気や障がいがあって、1日中ベッドの上にいる 0.3 1.3 0.2 無回答 4.2 0.8 1.7 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査」(福岡市) (36ページ) (2)今後の介護意向(【図表34】) ○介護が必要になったときは、「在宅で、できるかぎり家族だけの介護を受けたい」、「在宅で、家族の介護と介護サービスをあわせて介護を受けたい」、「在宅で、介護保険サービスを中心に介護を受けたい」、「施設等に入所したいが、サービスが充実すれば在宅で生活したい」をあわせた51.8%が「在宅で生活したい」との意向を持っており、「住み慣れた地域の施設に入所したい」、「住み慣れた地域でなくてもよいので施設に入所したい」をあわせた「施設に入所したい」との意向は30.3%となっています。 【図表34】今後の介護意向(性別・年齢別) グラフ  以下は、介護意向 割合の順。  介護意向は、次のように略記。 「在宅」:在宅で、できるかぎり家族だけの介護を受けたい 「家族と介護サービス」:在宅で、家族の介護と介護サービスを併せて介護を受けたい 「介護サービス」:在宅で、介護保険サービスを中心に介護を受けたい 「施設または在宅」:施設等に入所したいが、サービスが充実すれば在宅で生活したい 「地域の施設」:住み慣れた地域の施設に入所したい 「施設」:住み慣れた地域でなくてもよいので施設に入所したい ○全体(回答数:1764) 在宅 6.0 家族と介護サービス 19.0 介護サービス 11.8 施設または在宅 15.0 地域の施設 18.1 施設 12.2 その他 1.4 わからない 12.6 無回答 3.8 「性別」 ○男性(回答数:773) 在宅 8.9 家族と介護サービス 23.0 介護サービス 12.5 施設または在宅 15.0 地域の施設 15.4 施設 8.3 その他 0.9 わからない 12.7 無回答 3.2 ○女性(回答数:973) 在宅 3.5 家族と介護サービス 15.8 介護サービス 11.2 施設または在宅 15.1 地域の施設 20.1 施設 15.5 その他 1.8 わからない 12.5 無回答 4.3 「年齢別」 ○60から64歳(回答数:343) 在宅 2.3 家族と介護サービス 16.3 介護サービス 14.0 施設または在宅 15.7 地域の施設 17.8 施設 15.7 その他 0.9 わからない 14.6 無回答 2.6 ○65から69歳(回答数:407) 在宅 5.2 家族と介護サービス 16.7 介護サービス 13.8 施設または在宅 17.0 地域の施設 17.2 施設 13.5 その他 1.2 わからない 12.6 無回答 2.7 ○70から74歳(回答数:378) 在宅 2.3 家族と介護サービス 23.0 介護サービス 11.4 施設または在宅 18.3 地域の施設 16.9 施設 10.6 その他 0.3 わからない 12.2 無回答 2.1 ○75から79歳(回答数:275) 在宅 8.0 家族と介護サービス 20.0 介護サービス 9.5 施設または在宅 9.8 地域の施設 17.8 施設 12.4 その他 1.5 わからない 16.4 無回答 4.7 ○80から84歳(回答数:175) 在宅 12.0 家族と介護サービス 13.1 介護サービス 10.3 施設または在宅 17.1 地域の施設 18.9 施設 9.1 その他 2.3 わからない 9.1 無回答 8.0 ○85から89歳(回答数:118) 在宅 9.3 家族と介護サービス 21.2 介護サービス 10.2 施設または在宅 9.3 地域の施設 17.8 施設 11.0 その他 3.4 わからない 11.0 無回答 6.8 ○90歳以上(回答数:64) 在宅 3.1 家族と介護サービス 32.8 介護サービス 7.8 施設または在宅 6.3 地域の施設 29.7 施設 6.3 その他 1.6 無回答 6.3 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査」(福岡市) (37ページ) (3)行政への要望(【図表35】) ○高齢者施策の充実に向けて、行政に今後、特に力を入れて欲しい高齢者に関する施策は、「安心して在宅生活を続けられるよう、医療や介護の在宅サービスを充実させる施策」が45.0%で最も多く、次いで「在宅での生活が困難な方に対し、施設・居住系のサービスを充実させる施策」が36.1%、「施設や道路、交通などにおける、高齢者にやさしいまちづくり」が22.3%と続いています。 【図表35】今後、特に力を入れて欲しい高齢者に関する施策 グラフ  以下は、施策 割合の順。 安心して在宅生活を続けられるよう、医療や介護の在宅サービスを充実させる施策 45.0 在宅での生活が困難な方に対し、施設・居住系のサービスを充実させる施策 36.1 施設や道路、交通などにおける、高齢者にやさしいまちづくり 22.3 食事や運動など健康づくり・介護予防を行う環境を整える施策 19.6 意欲と能力に応じた就業機会が得られるよう支援する施策 16.8 認知症高齢者に対する支援体制を充実させる施策 16.6 孤立した高齢者に対する見守りのため、地域の中で支え合うようなネットワークを構築する施策 16.6 高齢者のための良質な住まいを確保する施策 15.5 従事者の介護技術の向上などの介護サービスの質の確保・向上に関する施策 14.1 地域活動やボランティア活動など、高齢者の社会貢献活動を支援する施策 11.1 家庭や地域で健康づくりに取り組めるよう情報提供や環境づくりを推進する施策 10.4 講座などを通じて、豊かで健康的な生活を送れるよう支援する施策 8.6 法律や在宅介護などに関する高齢者からの相談への対応力を充実させる施策 6.7 高齢者の財産を守り、権利の行使を確保する施策 4.8 その他 1.9 無回答 6.6 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査」(福岡市) (38ページ) 3 障がい児・者等実態調査(実施時期:2019年〔令和元年〕) ○福岡市に居住する障がい児・者等の生活実態や意識、福祉施策に対する要望等を把握するとともに、「福岡市障がい福祉計画」及び「福岡市障がい者計画」の策定に活用することを目的に実施しました。 (1)自宅や地域で生活するために必要なこと (複数回答 上位5項目)(【図表36】) ○複数の障がいで「仕事があること」「主治医や医療機関が近くにあること」が上位2位以内にあがっています。 ○知的障がい者では「食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること」が第1位となっています。 ○発達障がい児・者では「地域や職場の人たちが障がいについて理解があること」の割合が高くなっています。 【図表36】自宅や地域で生活するために必要なこと 表  以下は、順位 必要なこと 割合の順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 主治医や医療機関が近くにあること 29.6 2位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 29.2 3位 スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 27.0 4位 家族と同居できること 19.1 5位 昼間の介護を頼める人がいること 14.8 ○知的障がい者(N=563) 1位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 37.3 2位 仕事があること 27.2 3位 家族と同居できること 23.0 4位 グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること 22.1 5位 短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること 29.2 ○身体・知的障がい児(N=543) 1位 仕事があること 37.6 2位 お子さんの見守りを頼める人がいること 34.4 3位 就労や生活の自立、機能の回復へ向けた訓練施設に通えること 26.3 4位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 25.0 5位 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 18.8 ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 仕事があること 26.2 2位 主治医や医療機関が近くにあること 22.5 3位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 22.5 4位 スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 21.5 5位 家族と同居できること 16.5 ○精神障がい者(入院)(N=390) 1位 訪問看護 68.3 2位 家族や親戚などの身内 49.2 3位 安心して暮らせる住まいの確保 47.9 4位 病院や診療所での精神科デイケア・ナイトケアなど 34.6 5位 介護保険サービス 33.3 ○発達障がい児・者(N=258) 1位 仕事があること 56.2 2位 地域や職場の人たちが障がいについて理解があること 46.9 3位 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 28.7 4位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 23.3 5位 就労や生活の自立、機能の回復へ向けた訓練施設に通えること 14.7 ○難病患者(N=661) 1位 主治医や医療機関が近くにあること 35.2 2位 スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 25.6 3位 食事や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 25.4 4位 仕事があること 21.2 5位 家族と同居できること 20.7 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (39ページ) (2)就労支援として必要なこと(複数回答 上位5項目)(【図表37】) ○知的障がい者、発達障がい児・者では「仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援」、いわゆる「ジョブコーチ」のニーズが高くなっています。 ○「調子の悪いときに休みを取りやすくする」や「短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮」、「工賃(収入)の増加」は多くの障がいに共通して上位にあがっています。 【図表37】就労支援として必要なこと 表  以下は、順位 必要なことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(35.3%) 2位 在宅勤務(29.9%) 3位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(29.4%) 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(23.5%) 5位 工賃(収入)の増加(20.8%) ○知的障がい者(N=563) 1位 仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援(41.7%) 2位 工賃(収入)の増加(37.2%) 3位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(36.6%) 4位 試しにいろいろな仕事(作業)を体験してみること(30.6%) 5位 仕事(作業)の内容の簡略化などの配慮(28.8%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(54.8%) 2位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(44.7%) 3位 工賃(収入)の増加(35.4%) 4位 在宅勤務(31.0%) 5位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(29.8%) ○発達障がい児・者(N=85) 1位 仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援(61.2%) 2位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(57.6%) 3位 発達障がいの特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮(56.5%) 4位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(50.6%) 5位 工賃(収入)の増加(43.5%) ○難病患者(N=661) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(54.0%) 2位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(41.3%) 3位 在宅勤務(39.8%) 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(34.5%) 5位 収入の増加(21.5%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (40ページ) (3)障がい者の人権に関して問題があると思うこと (複数回答 上位5項目)(【図表38】) ○すべての障がいに共通して「人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと」や「差別的な言動を受けること」等が上位5位以内にあがっています。 ○身体障がい者と難病患者では、「道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと」が第1位となっています。 ○発達障がい児・者では「発達障がいの特性から生じる困難さに対し、配慮がなされないことの割合が6割弱を占め、第1位となっています。 【図表38】障がい者の人権に関して問題があると思うこと 表  以下は、順位 問題があると思うことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと(29.8%) 2位 特にない(28.4%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(17.5%) 4位 差別的な言動を受けること(13.5%) 5位 聴覚や視覚に障がいのある人へ必要な情報を伝える配慮が足らないこと(10.8%) ○知的障がい者(N=563) 1位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(28.0%) 2位 差別的な言動を受けること(27.4%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(19.3%) 4位 特にない(19.1%) 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(15.2%) ○身体・知的障がい児(N=543) 1位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(41.3%) 2位 差別的な言動を受けること(35.5%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(31.3%) 4位 学校の受け入れ体制が不十分なこと(20.4%) 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(17.9%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 差別的な言動を受けること(24.4%) 2位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(22.5%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(22.0%) 4位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(21.8%) 5位 特にない(20.5%) ○発達障がい児・者(N=258) 1位 発達障がいの特性から生じる困難さに対し、配慮がなされないこと(57.8%) 2位 学校における一人ひとりの特性に応じた支援体制が不十分なこと(37.2%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(30.6%) 4位 差別的な言動を受けること(29.5%) 5位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(21.7%) ○難病患者(N=661) 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと(32.1%) 2位 特にない(30.0%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(18.6%) 4位 差別的な言動を受けること(15.0%) 5位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(12.9%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (41ページ) (4)障がい者福祉施策として国や県、市に力を入れてほしいこと (複数回答 上位5項目)(【図表39】) ○身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者(通院)、難病患者では「年金など、所得保障の充実」、「障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実」が共通して上位1・2位にあがっています。 【図表39】障がい者福祉施策として国や県、市に力を入れてほしいこと 表  以下は、順位 力を入れてほしいことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 年金など、所得保障の充実(40.9%) 2位 障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実(36.7%) 3位 困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実(20.3%) 4位 障がい者にやさしいまちづくりの推進(バリアフリーの推進など)(19.3%) 5位 障がい者に対する社会全体の理解を深めるための啓発や教育の充実(11.8%) ○知的障がい者(N=563) 1位 年金など、所得保障の充実(38.9%) 2位 障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実(30.1%) 3位 グループホームなどの地域で共同生活できる住まいの整備(27.0%) 4位 困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実(22.7%) 5位 就労支援の充実(働くための訓練や職場定着など)(17.1%) ○身体・知的障がい児(N=543) 1位 特別支援教育の充実(37.8%) 2位 乳幼児期から成人期までの支援を一貫して実施できる仕組みづくり(34.1%) 3位 年金など、所得保障の充実(30.0%) 4位 就労支援の充実(働くための訓練や職場定着など)(28.7%) 5位 障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実(21.5%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 年金など、所得保障の充実(33.7%) 2位 障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実(31.0%) 3位 就労支援の充実(働くための訓練や職場定着など)(25.4%) 4位 困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実(14.7%) 5位 障がい者に対する社会全体の理解を深めるための啓発や教育の充実(13.7%) ○発達障がい児・者(N=258) 1位 就労支援の充実(働くための訓練や職場定着など)(40.3%) 2位 乳幼児期から成人期までの支援を一貫して実施できる仕組みづくり(35.7%) 3位 障がい者に対する社会全体の理解を深めるための啓発や教育の充実(31.8%) 4位 年金など、所得保障の充実(31.4%) 5位 支援者の養成や質の向上(27.1%) ○難病患者(N=661) 1位 障がい者に配慮した保健、医療体制及び医療費公費負担制度の充実(51.4%) 2位 年金など、所得保障の充実(43.4%) 3位 困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実(17.7%) 4位 障がい者にやさしいまちづくりの推進(バリアフリーの推進など)(15.4%) 5位 就労支援の充実(働くための訓練や職場定着など)(14.8%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (42ページ) 4 市民の健康づくりに関するアンケート調査 (実施時期:2019年〔令和元年〕) ○福岡市に居住する20歳以上の市民の健康づくりに関する意識や実態、ニーズなどを把握することにより、「福岡市健康増進計画」の策定に必要な基礎的データを収集・分析するとともに、福岡市の健康づくり施策の向上に資することを目的に調査を実施しました。 (1)主観的健康感(【図表40、41】) ○現在、健康上の問題で日常生活に何か影響があると回答した人の割合は、男性は15.9%、女性は18.3%となっています。 【図表40】健康上の問題で日常生活に何か影響があると回答した人の割合 グラフ  回答数:男性 699、女性 1051  以下は、影響があると回答した男性 女性の割合の順。 全体 15.9 18.3 20代 2.1 9.0 30代 4.8 12.0 40代 13.1 15.2 50代 17.5 14.9 60代 14.8 20.1 70代以上 25.1 28.7 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) (43ページ) ○その理由は、男性は「運動(スポーツを含む)」(39.6%)、女性は「仕事・家事・学業(時間や作業量などが制限される)」(48.4%)が最も高くなっています。 【図表41】健康上の問題で日常生活に何か影響があると回答した理由 グラフ  回答数:男性 111、女性 192(複数回答)  以下は、理由 影響があると回答した男性 女性の割合の順。 運動(スポーツを含む) 39.6 35.4 仕事、家事、学業(時間や作業量などが制限される) 36.0 48.4 外出(時間や作業量などが制限される) 32.4 38.0 日常生活動作(起床、衣服着脱、食事、入浴など) 32.4 35.4 その他 18.9 19.8 無回答 3.6 1.0 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) (2)健康に関する不安(【図表42、43】) ○自分の健康に不安を感じたことがあると回答した人の割合は、男性は62.3%、女性は70.0%となっています。 【図表42】自分の健康に不安があると回答した人の割合 グラフ  回答数:男性 699、女性 1051  以下は、不安があると回答した男性 女性の割合の順。 全体 62.3 70.0 20代 25.0 55.8 30代 54.8 61.7 40代 65.4 68.6 50代 65.9 73.2 60代 69.6 74.7 70代以上 65.3 75.6 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) (44ページ) ○その理由は、男女ともに「体力が衰えてきた」(男性57.0%、女性61.5%)が最も高くなっています。 【図表43】自分の健康に不安があると回答した理由 グラフ  回答数:男性 435、女性 735(複数回答)  以下は、不安があると回答した男性 女性の割合の順。 体力が衰えてきた 57.0 61.5 ストレスがたまる・精神的に疲れる 28.0 41.9 持病がある 34.3 25.7 歯が気になる 29.7 27.8 肥満が気になる 28.3 22.0 がんにかかるのが怖い 22.1 21.9 心筋梗塞・糖尿病などが怖い 22.3 15.1 その他 12.2 14.0 無回答 0.5 0.5 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) (45ページ) (3)行政に望むこと(【図表44】) ○健康づくりについて、今後福岡市に力を入れてほしいと思う内容は、「高齢者の健康づくり(介護予防、認知症予防、社会参加など)」と「運動・レクリエーションなどの健康増進設備や公園の整備」(ともに31.4%)が最も多く、次いで「がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病※対策」(26.8%)、「運動、食生活、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康などの生活習慣」(26.2%)などとなっています。 ※生活習慣病:277ページ参照 【図表44】今後福岡市に力を入れてほしいと思う内容 グラフ  回答数:1766(複数回答)  以下は、力を入れてほしいと思う内容 割合の順。 高齢者の健康づくり(介護予防、認知症予防、社会参加など) 31.4 運動・レクリエーションなどの健康増進設備や公園の整備 31.4 がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病対策 26.8 運動、食生活、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康などの生活習慣 26.2 こころの健康づくり 19.0 地域での健康づくり活動の支援 12.3 親と子の健康づくり 10.1 職場での健康づくり活動の支援 8.8 その他 4.4 特にない 16.2 無回答 4.4 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) (46ページ) 第3章 前計画の振り返り 1 総論 (1)地域包括ケアの実現に向けた取組み(【図表45】) 【主な取組み】 ○誰もが住み慣れた地域で安心して生活を続けることができる「地域包括ケア」の実現に向け、地域ケア会議※1を開催し、地域や全市レベルなど各階層において、専門職や地域の関係者などが高齢者の個別支援の充実や、地域における課題への取組みについて検討し、実践につなげてきました。 ○また、在宅医療※2と介護の連携体制構築のための取組みを進めました。 ○さらに、在宅医療と介護の連携のためのICT(情報通信技術)を活用した情報通信基盤として、保健・医療・介護に関するビッグデータを一元的に集約・管理する「福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム」を構築し、地域ニーズや課題の“見える化”や医療・介護関係者などの負担軽減に取り組みました。 ○加えて、高齢者人口(65歳以上の人口)の増加などの福祉・介護ニーズに対応するため、高齢者に関する健康や福祉、介護に関する相談窓口である「地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※3」の体制強化、特別養護老人ホームや地域密着型サービス※4などの基盤整備、介護人材※5の確保に向けた取組みを行いました。 【福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム】 図 (1)データ集約システム(careBASE)  分析・共有・提供を実現するためのビッグデータを管理 (2)データ分析システム(careVISION)  エビデンスに基づく施策の企画・立案を支援 (3)在宅連携支援システム(careNOTE)  医療や介護事業者の負担を軽減しケアサービスの質を向上 (4)情報提供システム(careINFO)  生活していく上で必要となるサービスや資源を幅広く提供 【主な課題】 ○市民一人ひとりが、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、自立支援や要介護状態の重度化防止により一層重点を置いた取組みを行っていく必要があります。 ○また、住み慣れた自宅や介護施設など、本人や家族が望む場所で看取り※6介護を行うことができる体制を確保することも必要です。 ○今後、在宅医療の需要が増加することが見込まれていますが、それに携わる医師の不足が懸念され、医療・介護関係者の連携体制や、在宅医療に関する市民の理解も十分とはいえません。 ※1 地域ケア会議:111ページ参照 ※2 在宅医療:276ページ参照 ※3 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※4 地域密着型サービス:278ページ参照 ※5 介護人材:276ページ参照 ※6 看取り:279ページ参照 (47ページ) ○地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)の職員や介護従事者など、地域包括ケアを支える人材を確保していく必要があります。 ○地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)においては、個別相談対応では、複雑に絡み合う課題や困難事例に対応するための高度な支援技術が求められています。 ○医療ニーズの高まりや、認知症高齢者、高齢者のみの世帯の増加などに伴い、介護ニーズの高度化・多様化に対応しうる介護人材の質的向上を図る必要があります。 【図表45】地域包括ケアの姿 図  以下は、図の説明。  「住まい」(自宅・サービス付き高齢者向け住宅等)を中心に3つのケアが書かれており、それぞれが連携している。また、ケアマネジャー、区役所、いきいきセンター、公民館が相談・コーディネート等を行う。 <1>介護が必要になったら「介護」  地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護・認知症高齢者グループホームなど) <2>病気になったら「医療」  通院・入院 <3>いつまでも元気にくらすために「生活支援・介護予防」 ※おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的にはおおむね中学校区)を単位として想定 出典:「平成27年版厚生労働白書」(厚生労働省)を基に作成 (48ページ) (2)中間評価結果について(【図表46】) ○2018年度(平成30年度)に実施した前計画の中間評価においては、全体的に概ね順調に進んでいるとの評価を得られた一方で、全分野共通課題として、「支援が必要な人を支える人材の確保」や「支援が必要な人の受け皿や住まいの確保」、「効果的な情報提供・啓発の実施」が挙げられています。 【図表46】3つの方向性に基づく成果指標の中間評価結果 <1>自立の促進と支援  成果指標:健康寿命※3の延伸(厚生労働省が発表する「日常生活に制限のない期間」の推移)  初期値:男性70.38年、女性71.93年(平成22年度)  現状値:男性71.04年、女性75.22年(平成28年度)  目標値:1年以上延伸(令和2年度)  中間評価(※1):a <2>地域で生活できる仕組みづくり  成果指標:地域での暮らしやすさ(※2)(高齢者は地域での支え合いにより、子育て家庭や高齢者が暮らしやすいまちだと感じる市民の割合。障がい者は障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じている市民の割合)  初期値:高齢者37.3%、障がい者34.3%(平成26年度)  現状値:高齢者40.6%、障がい者35.6%(平成29年度)  目標値:高齢者58.0%、障がい者57.0%(令和2年度)  中間評価(※1):b <3>安全・安心のための社会環境整備  成果指標:安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合(※2)  初期値:39.6%(平成28年度)  現状値:37.9%(平成29年度)  目標値:上昇(令和2年度)  中間評価(※1):b (※1)a:順調に進んでいる、b:現状維持、c:指標が悪化している (※2)出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 資料:福岡市 ※ 健康寿命:276ページ参照 (49ページ) 2 各論 (1)地域分野 【主な取組み】 ○地域における絆づくりの取組みを支援するとともに、地域住民が気軽に立ち寄れる「ふれあいサロン※1」や「地域カフェ※2」など、人と人とのつながりを豊かにする様々な集いの場の立ち上げや運営を支援しました。 ○社会福祉協議会※3や民生委員・児童委員※4、社会福祉法人などとの連携を図るとともに、地域住民(ボランティア)や地域団体、関係機関が連携し、支援を必要とする高齢者や子育て家庭などを対象に、見守りや声かけ、定期訪問などを行う「ふれあいネットワーク」や、ライフライン事業者などの企業が参画する「福岡見守るっ隊」などの取組みを進め、重層的な見守り体制の構築を図りました。 ○高齢者の地域における生活支援・介護予防活動の充実などを図るため、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※5や区社会福祉協議会への生活支援コーディネーター※6の配置を進めたほか、企業の登録制度など、地域活動への参加促進を図る取組みや、誰もが気軽に外出しやすいまちづくりの実現に向けベンチの設置などを進めました。 ○高齢者・障がいのある人・児童に対する虐待防止、配偶者による暴力防止のための活動を行うとともに、成年後見制度※7利用に関する普及啓発活動の実施、身寄りがなく判断能力が不十分な高齢者などの市長申立て※8の実施や市民後見人※9の養成など、市民の権利擁護※10充実に向けた取組みを進めました。 (写真)ふれあいサロンの様子 【主な課題】 ○身近な場所における地域活動の拠点づくりや、地域活動の担い手や民生委員・児童委員などの人材の確保が必要です。 ○また、災害時の避難などに支援を要する人々への総合的な支援の仕組みづくりが必要です。 ○さらに、地域の多様な主体による生活支援・介護予防活動の充実や関係者のネットワーク化などを進めるため、生活支援コーディネーターの配置をさらに推進していく必要があります。 ○権利擁護に関する各種相談体制の充実が必要です。また、高齢者人口(65歳以上の人口)の増加とともに成年後見制度の利用を必要とする人の増加が見込まれることから、後見人の育成・確保のほか、相談から利用に至るまでの支援体制の強化、潜在的需要に応えるためのさらなる広報・啓発が必要です。 ※1 ふれあいサロン:279ページ参照 ※2 地域カフェ:277ページ参照 ※3 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※5 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※6 生活支援コーディネーター:277ページ参照 ※7 成年後見制度:277ページ参照 ※8 市長申立て:276ページ参照 ※9 市民後見人:277ページ ※10 権利擁護:276ページ参照 (50ページ) (2)健康・医療分野 【主な取組み】 ○健康寿命※1の延伸を図るため、ライフステージに応じた食育の推進や、ウォーキングをはじめとした気軽な運動の習慣化など市民の自主的な健康づくりを支援しました。また、特定健診※2に係る効果的な個別勧奨の実施や、エビデンス(科学的根拠)に基づく保健指導ツールの導入などによる生活習慣病※3の早期発見・発症予防、重症化予防に取り組みました。 ○健康で安全・安心な暮らしを享受できる社会の形成をめざし、在宅医療※4と介護の連携体制構築のための取組みを進め、多職種連携研修会、在宅医療・介護に関する市民向けの講座や、認知症サポート医※5の養成などの取組みを実施しました。 ○特に、歯科口腔保健においては、口腔保健支援センターを核に、福岡市歯科口腔保健推進協議会の開催や各種歯科健診の実施など歯科口腔保健事業を総合的・効果的に推進しています。 (写真2枚)  小学生向け料理教室の様子  ウォーキングイベントの様子 【主な課題】 ○食習慣や運動習慣の改善など市民の健康づくり活動を推進するため、健康無関心層や働く世代なども含めて「自然に」「楽しみながら」健康づくりに取り組める様々な仕組みづくりや、特定健診や各種がん検診などの受診率が依然として低い水準にあるため、受診率の向上を図ることが必要です。 ○また、在宅医療・介護における関係者の連携体制の強化や市民への啓発が必要です。 ○特に、歯科口腔保健においては、関係団体、機関と連携して、歯・口腔に対する市民の関心を高め、生涯にわたった歯・口腔の健康づくりを支援するための環境整備を進める必要があります。 ※1 健康寿命:276ページ参照 ※2 よかドック・特定健診:141ページ参照 ※3 生活習慣病:277ページ参照 ※4 在宅医療:276ページ ※5 認知症サポート医:278ページ参照 (51ページ) (3)高齢者分野 【主な取組み】 ○高齢者が意欲や能力に応じ、生きがいをもって活躍することができるよう生涯現役社会づくりをめざすイベント「アラカン※1フェスタ」などを開催するとともに、働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり、高齢者の就業を応援する「シニア活躍応援プロジェクト」を推進しました。 ○また、よかトレ実践ステーション※2の創出・継続支援や介護支援ボランティア事業※3を通じ、高齢者の身近な地域における通いの場づくりや、社会参加・生きがいづくりの支援に取り組みました。 ○さらに、住み慣れた地域で安心・安全に暮らすことができるよう、支援が必要な人を支える介護人材※4の確保に向けた取組みを強化しました。 ○認知症の人が認知症施策の推進に向けて、「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」として、認知症の人が認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちづくりを推進しており、認知症コミュニケーション・ケア技法の普及や認知症カフェ※5の開設促進などの取組みを実施しました。 【主な課題】 ○高齢者の就業に向けて、引き続き、働きたい高齢者の支援や企業の雇用促進などに取り組み、高齢者と企業のマッチングの拡大を図っていく必要があります。 ○また、介護予防の推進に向けて、地域が主体となって取り組めるよう、継続して支援を実施するとともに、地域とのつながりの少ない高齢者へのアプローチについても検討していく必要があります。 ○さらに、支援が必要な人を支える介護人材の確保に向けた取組みをより一層推進していく必要があります。 ○認知症の人や家族に対する支援を充実するとともに、自分らしく暮らせるよう認知症とともに社会参加できる場の創出が必要です。 ※1 アラカン:275ページ参照 ※2 よかトレ実践ステーション:135ページ参照 ※3 介護支援ボランティア事業:209ページ参照 ※4 介護人材:276ページ参照 ※5 認知症カフェ:278ページ参照 (52ページ) (4)障がい者分野 【主な取組み】 ○障がいの重度化、高齢化や「親なき後※1」の生活の安心も見据え、障がい者やその家族が地域で安心して生活を続けられるよう、24時間の相談対応や緊急時の受け入れ・対応、地域の支援体制づくりなど、地域生活支援拠点機能の強化に取り組みました。 ○また、2018年度(平成30年度)には、「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」(以下「福岡市障がい者差別解消条例」という。)を公布・施行し、障がいを理由とする差別を解消するための取組みを推進しています。 図  以下は、図の説明。  「地域の体制づくり(コーディネーター)の周りに4つの取り組みが書かれている。 <1>「体験の機会・場」  日中サービス事業所 <2>相談  相談支援事業所 <3>緊急時の受け入れ  短期入所 <4>専門性  グループホーム、障害者支援施設、基幹相談支援センター 【主な課題】 ○障がい者の「親なき後」の生活を見据えた、地域生活支援拠点機能の充実や、グループホーム※2の設置促進などの取組みをさらに進める必要があります。 ○また、多様な相談に応じるため、関係機関との連携強化など、相談支援体制のさらなる充実が必要です。 ○さらに、障がい、障がい者及び障がいを理由とする差別の解消に対する理解を深めてもらうため、市民や事業者などへの福岡市障がい者差別解消条例の周知を進める必要があります。 ※1 親なき後:275ページ参照 ※2 グループホーム:241ページ参照 (53ページ) 3 福岡100プロジェクトの推進 ○保健福祉総合計画で示している基本理念や施策の方向性を、スピード感を持って具現化していくため、2017年度(平成29年度)から、人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現をめざすプロジェクト「福岡100」をスタートさせました。 ○「福岡100」は、健康・医療・介護だけでなく、住まいや地域づくり、働き方なども含めた広い意味でのまちづくりに産学官民オール福岡で取り組んでいくもので、2025年度(令和7年度)までに100のアクションを実施することを目標としています。 【これまでの取組み事例】 ○保健・医療・介護などに関するビッグデータを一元的に集約・管理し、地域ニーズの見える化や医療・介護における多主体間の連携などを実現する「地域包括ケア情報プラットフォーム」 ○産学官民の共働※1により、楽しみながら自然に健康になれる新たなサービスの普及を促進する「福岡ヘルス・ラボ」 ○認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード※2」の普及をはじめとする「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」 ○かかりつけ医の機能強化のための「ICT(情報通信技術)を活用したオンライン診療※3」の実証と国家戦略特区※4を活用した「遠隔服薬指導※5」 ★福岡100特設ホームページ http://100.city.fukuoka.lg.jp/ ※1 共働:276ページ参照 ※2 ユマニチュード:280ページ参照 ※3 オンライン診療:275ページ参照 ※4 国家戦略特区:日本の経済活性化のために、地域限定で規制や制度を改革し、その効果を検証するために指定される特別な区域のこと。 ※5 遠隔服薬指導:国家戦略特別区域法に基づき、対面での服薬指導を規定している医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特例として、特別区域内に居住する者に対し、特定処方箋(医師等から対面以外の方法による診察に基づいて交付された処方箋)により調剤した薬剤を販売又は授与する場合に、薬剤師が薬剤の適正な使用のための情報提供及び必要な薬剤的知見について、テレビ電話等の装置等を用いて指導すること。 (54ページ) 第4章 健康福祉のまちづくりに向けて ○今後も少子高齢化がますます進展し、次のような現象がより顕著となっていきます。 ・要介護認定者や認知症の人の増加 ・障がいのある人の増加と、障がい者本人とその親の世代の高齢化 ・災害時の避難などに支援を要する人の増加 ・医療機関や介護施設などの受け皿が不足 ・地域社会を支える人材が不足 ○また、高齢者の単独世帯や共働きの核家族※1の増加などの社会環境の変化や、地域社会に暮らす人々の属性(年齢や性別、国籍、障がいの有無など)の多様化が進んでおり、次のような問題が発生・深刻化していく恐れがあります。 ・ひきこもり※2をはじめとした社会的孤立※3など既存の支援制度だけでは対応が難しい事例の社会課題化 ・介護、障がい、子育て、生活困窮など様々な分野に及ぶ、複雑化・複合化した課題の顕在化 ・多様化する福祉ニーズへの対応の困難化 ・高齢者・障がいのある人・児童への虐待などの人権の侵害 ・地域における個人情報の取り扱いの困難化 ○このような人口構造や社会環境の変化による課題が深刻化していく状況にあっても、持続可能な社会保障制度を維持し、本計画の基本理念である誰もが住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現に向けて取り組むため、本計画では、具体的な目標像とその達成に向けた施策の方向性を明らかにします。 ※1 核家族:276ページ参照 ※2 ひきこもり:279ページ参照 ※3 社会的孤立:277ページ参照 第2編 総論 (55ページ) 第2編 総論  総論では、本計画でめざす基本理念と「2040年のあるべき姿」を示し、その実現のために取り組む「施策の方向性」を示しました。  また、「2040年のあるべき姿」の実現に向けた取組みの担い手である市民・地域団体等・民間企業等・行政がどのような役割を果たすのかを整理するとともに、計画を推進するにあたっての計画の進行管理方法をまとめました。 第1部 計画がめざすもの  第1部では、前計画に掲げた基本理念を本計画に継承することを示し、基本理念を踏まえた近い将来の具体的な目標像として、「2040年のあるべき姿」を示しました。 第1章 計画策定の基本理念 ○前計画に掲げた福岡市福祉のまちづくり条例に基づく基本理念は、今日でも普遍性を持つものであるため、本計画でも継承します。 ●基本理念 『市民が自立※し、かつ相互に連携して支え合うという精神のもとに、高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され、住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面に調和のとれた健康福祉のまちづくり』 「福岡市福祉のまちづくり条例」 (基本理念) 第2条 福祉のまちづくりは、市民が自立し、及び相互に連携して支え合うという精神のもとに、次の各号に掲げる社会の実現を目指すことを基本理念として行うものとする。 (1)すべての市民が個人として尊重される社会 (2)すべての市民が生きがいをもてる社会 (3)すべての市民が地域での生活を保障される社会 (4)すべての市民が相互に支え合い連帯する社会 (5)すべての市民が安全かつ快適に生活できる社会 (6)すべての市民が福祉のまちづくりに参加する社会 (7)すべての市民が積極的に福祉の国際交流を行う社会 ※自立:総論(基本理念や施策の方向性など)に記載する「自立」については、支援を受けながらも自分で考えて行動できることを指す「自律」の意味も含めている。 (56ページ) 第2章 福岡市がめざす目標像 1 2040年にもたらされる状況 (1)客観的な事実に基づく予測(【図表47、48】) ○福岡市では、高齢者1人に対する生産年齢人口(15から64歳の人口)の人数は、1975年(昭和50年)の11.6人から、2040年(令和22年)には1.9人に減少し、社会保障制度の需給バランスが大きく変わっていきます。 【図表47】高齢者人口と生産年齢人口のバランスの変化 図  1975年(昭和50年) 65歳以上1人に対して、15から64歳は11.6人  2025年(令和7年) 65歳以上1人に対して、15から64歳は2.5人  2040年(令和22年) 65歳以上1人に対して、15から64歳は1.9人 出典:1975年(昭和50年)は「国勢調査(昭和50年)」(総理府)、2025年(令和7年)以降は「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」を基に保健福祉局で作成(福岡市) 【図表48】人口構造の変化 図  1975年は実績値、2025年以降は推計値 ○1975年(昭和50年) 人口:100.2万人 <1>高齢者人口(65歳以上) 6万人 <2>生産年齢人口(15から64歳) 70.4万人 <3>年少人口(14歳以下) 23.6万人 ○2025年(令和7年) 人口:159.2万人 <1>高齢者人口(65歳以上) 39.5万人 <2>生産年齢人口(15から64歳) 99.6万人 <3>年少人口(14歳以下) 20.1万人 ○2040年(令和22年)  人口:160.1万人 <1>高齢者人口(65歳以上) 49.7万人 <2>生産年齢人口(15から64歳) 93.7万人 <3>年少人口(14歳以下) 16.8万人 出典: 1975(昭和50年):「国勢調査」(昭和50年)(総理府)を基に保健福祉局で作成 2025(令和7年)以降:「福岡市の将来推計人口(平成24年3月)」(福岡市)  (57ページ) ○要介護認定者※1数や認知症の人の数、高齢者の単独世帯数が2015年(平成27年)から2040年(令和22年)で2倍以上に増加するとともに、障がい者数や生活保護世帯数のうち高齢者世帯数も増加する見込みです。そのため、医療費や介護費などの社会保障費も大幅に増加していきます。 ○また、暮らし方や地域や家庭のあり方の多様化などにより、いわゆるダブルケア※2などの複雑化・複合化した課題を抱える人や、ひきこもり※3など既存の制度だけでは対応が難しい課題を抱える人、介護は必要ないが日常生活におけるちょっとした困り事を抱える高齢者なども増えていくため、福祉ニーズが多様化していきます。 ○このように2040年(令和22年)は、高齢化と人口減少が進行し、社会保障制度の需給バランスの維持が危機的状況に陥る可能性があるとともに、地域で暮らす人々の暮らし方や家庭のあり方が多様化し、日常生活や経済面における個人や世帯ごとに異なる課題や、健康格差、所得格差などの様々な格差が生じることが見込まれています。 ○このような危機的状況を少しでも回避し、地域で安心して暮らし続けるための制度や仕組みの持続可能性を高めるためには、様々な主体が一体となって、地域の実情にあった共生の仕組みを早い段階から構築していくことが必要です。 ○さらに、2020年(令和2年)には、新型コロナウイルス感染症がパンデミックと言われる世界的な流行となりました。アジアのゲートウェイ都市である福岡市は、今後も新興感染症※4の脅威にさらされる可能性があります。そのため、感染拡大の防止の取組みとともに、新しい生活様式を取り入れた施策の推進が必要です。 (2)将来的に見込まれる要素(【図表49】) ○保健・福祉・医療に関する情報を一元的に集約したデータの分析や、エビデンス(科学的根拠)の蓄積・活用が進み、より効果的な施策の企画・実施・評価が行われるとともに、ICT(情報通信技術)の利活用により、医療・介護関係者や地域住民間で適切な情報共有が図られ、個々人の状態にあった質の高い医療・介護サービスが、より切れ目なく効果的・効率的に提供されることが見込まれます。 ○また、AI(人工知能)やIoT※5、ロボットなどに加え、医療現場におけるAR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの様々な技術の進展により、高齢者や障がいのある人などの支援に活用されていることが予測されます。 ○医療・介護分野での外国人の受け入れや、医療・介護サービスや関連する産業を他の国々に展開していく取組みの進展が予測されます。 ○世界で最も早く超高齢社会に突入した我が国における福祉のあり方は、急激なスピードで高齢化が進むアジア諸国のモデルとして注目され、アジアのリーダー都市をめざす福岡市においても、アジア諸国とその取組みや経験を共有し学び合っていることが期待されます。 ※1 要介護認定者:280ページ参照 ※2 ダブルケア:277ページ参照 ※3 ひきこもり:279ページ参照 ※4 新興感染症:277ページ参照 ※5 IoT:275ページ参照 (58ページ) 【図表49】先端技術が溶け込んだ2040年の社会における健康・医療・介護のイメージ 図 (1)不安要素 地方部では、さらなる人口減少に伴って担い手不足も深刻化するため、医療・介護へのアクセスが困難になるおそれ。  住む場所やライフスタイルに関わらず、必要十分な医療・介護にアクセスできる。誰もが役割を担うことができる。  例えば、離島で医療者の数が少ない場合でも、ローコストなモニタリングにより、急変を未然に防げる。そのうえ、何かあってもコミュニティと医療機関に知らせることで、医療者が到着するまでの間に、救急ドローン※2と隣人が到着し、応急処置できる。 (2)不安要素 都市部への人口集中がさらに進み、医療・介護需要が爆発的に増加するため、供給が間に合わないおそれ。  医療・介護リソースの多寡に関わらず、専門職が人と向き合う仕事に集中し、価値を届ける事に専念できる。  例えば、生活支援ロボットや、見守りセンサーネットワーク※1によって、介護士は、要介護者とのコミュニケーションや、その人のよりよい生き方の支援に時間を使うことができる。 (3)不安要素 人々の価値観が多様になり、社会の流動性も高まる中、自分が望む生き方を実現するために、どのような健康の選択肢があるか不明確。  日々の生活のあらゆる導線に、無意識に健康に導くような仕掛けが埋め込まれている。  例えば、歩くだけで健康になる街、住むだけで健康になる住宅。  ゆっくりと歩くことのできるレーンがある道路など、誰にとってもやさしい環境整備がされることで、足腰が弱くなっても安心して出かけることができ、自分の望む生き方ができる。 (4)不安要素 ライフステージにおける変化に対して心身が対応できず、一度「自分はもう終わりだ」と思ってしまうと、そのまま社会の中で置いていかれてしまいかねない。  心身機能が衰えても、技術やコミュニティによりエンパワー※3され、一人ひとりの「できる」が引き出される。  例えば、年老いて体の動きが悪くなっても、アシストスーツ※4によって、孫と一緒に遊ぶことができる。認知症の人も、体が動かない人も、人工知能やロボットなどのテクノロジーの助けを借りて、社会参画することができる。 出典:「未来イノベーションワーキング・グループ 中間とりまとめ(厚生労働省、経済産業省)」を基に保健福祉局が作成 ※1 見守りセンサーネットワーク:本計画では、見守られる要介護者の情報を感知し、介護士などにその情報を共有する仕組みを指す。 ※2 ドローン:無人航空機の一つ。 ※3 エンパワー:自己決定や自己実現を促すこと。 ※4 アシストスーツ:体に装着することで、動作を補助・拡張する衣服や装置のこと。 (59ページ) コラム エビデンスの活用について ○エビデンスとは施策の効果があることを示す科学的根拠や検証結果であり、ピラミッドの上層であればあるほど、より信頼性が高くなっています。 ○少子高齢化の進展や厳しい財政状況に直面する中で、市民にとって必要度の高い事業を実施するためには、限りある資源を最大限に活用し、健康寿命※3の延伸など具体的な成果を得られる施策を展開する必要があります。 ○そのためには、より信頼性の高いエビデンスを、できる限り収集・活用して施策を行っていくことが効果的です。 【エビデンスのピラミッド】 図  以下は、図の説明。  エビデンスのピラミッドは、5層になっており、上に行くほど信頼性が高くなる。5層の名称を上から順に記す。  系統的レビュー※1  ランダム化比較実験※2  調査データの分析  事例報告  権威の意見や理論・動物実験 <3つの視点・施策の方向性に関連するエビデンスの例> 表  視点・方向性ごとに記す。 1  エビデンス:年4回以上の「サロン※4」への参加で、認知症リスクが3割減少(2017年(平成29年)1月No095-16-25)  調査の概要と結果:年4回以上のサロン参加は認知症リスクを3割低下させることが分かった。サロンを設置し、軽い体操やおしゃべり、すごろくなどのゲームに参加してもらうことが認知症の予防に結びつくことが示された。 2  エビデンス:地域活動に参加する人が多い地域では抑うつ※5傾向になる人が少ない(2019年(平成31年)1月No158-18-21)  調査の概要と結果:地域の会、グループに参加している人の割合が6%多くなると、その後3年間でうつ傾向になる人が6から7%減少した。地域の市民活動を促進する環境整備が、高齢者の孤立を防ぎ、抑うつなどを予防できると考える。 3  エビデンス:歩きやすさを考慮した道路のリニューアルにより、住民の徒歩移動が増加  調査の概要と結果:リニューアルした道路の近隣住民において、リニューアル前と比べ、通勤時の徒歩移動割合が25%→35%、非通勤時徒歩移動割合が36%→50%に増加した。 ※エビデンスのピラミッド:「保健福祉局事業評価ガイドライン(平成30年度)」より抜粋(「Ackley, B. J., Swan, B. A., Ladwig, G., & Tucker, S. (2008). Evidence-basednursing care guidelines: Medical-surgical interventions.(p. 7).」,「Greenhalgh,Trisha. How to Read a Paper: the Basics of Evidence BasedMedicine.London:BMJ,2000.」,「Glover, Jan; Izzo, David; Odato, Karen & Lei Wang. EBM Pyramid< ttp://www.ebmpyramid.org/>. Dartmouth University/Yale University. 2006.」を基にDVSHLコンソーシアムが作成) ※エビデンスの事例  (1)から(2):一般財団法人 日本老年学的評価研究機構(JAGES) プレスリリース資料より抜粋  (3):平成30年度保健福祉局調査報告書(「今後における健康づくり施策への提言」)より抜粋(「D. A. Cohen, B. Han, K. P. Derose, S. Williamson, T. Marsh, and T. L. McKenzie, “Increasing Physical Activity in Parks: Results of a Randomized Controlled Intervention Trial Using Community-Based Participatory Research,” Am. J. Prev. Med., vol. 45, no. 5, pp. 590?7, Nov. 2013.」を基にDVSHLコンソシアムが作成) ※1 系統的レビュー:一定の基準を満たす論文を可能な限りすべて抽出し、データの偏りを限りなく除きながら、分析を行うこと。 ※2 ランダム化比較実験:研究の対象となる人を、複数の集団に無作為に分ける研究の手法で、各集団の性質の偏りを避けることで客観的な評価を行うことを目的としている。 ※3 健康寿命:276ページ参照 ※4 サロン:介護予防を目的に設置された交流の場。 ※5 抑うつ:「ゆううつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状。 (60ページ) 2 2040年のあるべき姿 ○基本理念やここまで述べてきた様々な観点を踏まえ、本計画では、「団塊ジュニア世代」全員が65歳以上を迎え、約3人に1人が高齢者となる2040年(令和22年)を見据え、「地域共生社会※1の実現」及び「2040年のあるべき姿」を次のとおり示します。 〈地域共生社会の実現〉(【図表50】) ○前計画においては、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、病気になったり介護が必要になっても、地域において、医療や介護、生活支援などが一体的に切れ目なく提供される「地域包括ケア」の実現をめざし、多職種連携や地域ケア会議※2による地域課題の発見及びその解決に向けた検討などを進めてきました。 ○一方で、全国的に、さらなる少子高齢化や人口減少の進展により、地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まっている中で、昨今、「社会的孤立※3」など既存の支援制度だけでは対応が困難な社会課題が顕在化するとともに、介護・障がい・子育て・生活困窮などの分野で「複雑化・複合化」した課題などが浮き彫りになっています。 ○このような社会状況の変化や「地域包括ケア」の理念を普遍化するという国の方針を踏まえ、本計画でも、年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず地域で暮らすすべての人が住み慣れた地域で安心して暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現をめざします。 ※1 地域共生社会:277ページ参照 ※2 地域ケア会議:111ページ参照 ※3 社会的孤立:277ページ参照 【図表50】地域共生社会とは  制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会 図  以下は、図の説明。 <1>支え・支えられる関係の循環:誰もが役割と生きがいを持つ社会の醸成  「すべての人の生活の基盤としての地域」と以下のような循環がある。  居場所づくり  社会とのつながり  多様性を尊重し包摂する地域文化  生きがいづくり  安心感ある暮らし  健康づくり、介護予防  ワークライフバランス <2>地域における人と資源の循環:地域社会の持続的発展の実現  「すべての社会・経済活動の基盤としての地域」(農林、環境、産業、交通…)と以下のような循環がある。  社会経済の担い手輩出  地域資源の有効活用、雇用創出等による経済価値の創出  就労や社会参加の場や機会の提供  多様な主体による、暮らしへの支援への参画。 出典:「第1回 地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(厚生労働省)」資料より抜粋 (61ページ) 〈2040年のあるべき姿〉 <1>いつまでも健康で生きがいを持ちながら活躍できる社会 ○市民がそれぞれのライフステージに応じた健康づくりや生活習慣の改善を実践し、社会全体で健康寿命※の延伸に取り組み、誰もが健康で生きがいを持ちながら地域社会で活躍しています。 <2>様々な主体が共に関わり合い、地域課題の解決に向け、力を発揮できる社会 ○地域全体で課題を共有し、様々な主体がその解決に向けて互いに助け合っています。民間企業などもそれぞれの特色を活かし、市民生活を支えるため、積極的に社会貢献を行っています。 <3>福祉におけるアジアのモデルとなる社会 ○高齢者や障がいのある人をはじめ、支援が必要な誰もが安心して地域で自立した暮らしを営める社会づくりを進め、高齢化が進むアジアの国々のモデルとなっています。 ※健康寿命:276ページ参照 (62ページ) 第2部 施策の基本的方針  第2部では、本計画でめざす「2040年のあるべき姿」を実現するために必要な視点と取り組む施策の方向性を示しました。  また、市民・地域団体等・民間企業等・行政の役割をそれぞれ整理しました。 第1章 施策の方向性 1 基本的な考え方 ○福岡市は超高齢社会の進展や社会構造の変化により、支援を必要とする人の増加と支え手の不足、個人や世帯の抱える課題の複雑化・複合化など、様々な課題に直面しています。また、今後も人口構造や社会環境の変化がますます進んでいくと考えられ、このままでは保健医療・福祉サービスの需給バランスや社会保障制度そのものの維持が困難となるおそれがあります。 ○一方で、現在、市民の平均寿命が延びるとともに、高齢者の体力・運動能力や60歳以上の人の社会参加意欲が向上傾向にあるなど、従来の高齢者像が大きく変わりつつあり、これまで支援される側と捉えられがちだった人たちも、それぞれのできる範囲で活躍できる場面が見られるようになっています。 ○これらの状況を踏まえ、「2040年のあるべき姿」を実現するためには、限りある資源を有効に活用しながら、市民一人ひとりをはじめとして、行政や民間企業などの様々な主体が柔軟に対応し、時代に応じた、人生100年時代を見据えた持続可能な制度や仕組みを構築する必要があります。 ○そのため、年齢などを条件に一律に「支えられる側」として施策を実施するのではなく、年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが生涯にわたって生きがいを持ち、意欲や能力に応じて役割を持って活躍するための施策や、支援が必要な人を社会全体で支え合う施策など、「支え合う福祉」に重点を置いた施策を推進します。 ○また、施策の推進にあたっては、行政だけでなく市民・企業・大学など、幅広い主体の参画を得ながら、その新たな発想や手法を取り入れるとともに、最新技術やエビデンス(科学的根拠)などを積極的に収集・活用し、より効果的に施策を推進します。 ○こうした「支え合う福祉」をはじめ、最新技術・エビデンスなどを活用した施策の内容や効果については、情報を整理し、高齢化問題に取り組むアジアの国々と共有し、学び合うことが重要です。 ○なお、国の動きに留意しながら、国民健康保険や介護保険、国民年金、生活保護などの社会保障制度を適切に運営するとともに、医療体制の確保や各種感染症対策の実施、公衆衛生の向上などの基盤整備を進めます。特に、新興感染症※発生時には、効果的な情報提供・啓発や医療提供体制の整備など、感染拡大の防止に取り組みます。さらに、日常の地域活動や社会参加活動だけでなく災害時なども含めた様々な場面において、感染防止のための新しい生活様式などを踏まえ、施策を推進します。 ○特に、新興感染症*発生時には、効果的な情報提供・啓発や医療提供体制の整備など、感染拡大の防止に取り組むとともに、社会経済環境の変化を踏まえて必要な支援を行います。さらに、日常の地域活動や社会参加活動だけでなく災害時なども含めた様々な場面において、感染防止のための新しい生活様式などを踏まえ、施策を推進します。 ※新興感染症:277ページ参照 (63ページ) 2 支え合う福祉の充実 ○「1 基本的な考え方」を踏まえ、本計画の基本理念及び「2040年のあるべき姿」を実現するため、次の「ひとづくり・しくみづくり・まちづくり」を柱として「支え合う福祉」の充実を図ります。 <1>誰もが意欲や能力に応じて活躍し支え合えるひとづくりを進める“ひとづくり” <2>支援が必要になっても地域で支え合いながら暮らし続けることができる仕組みをつくる“しくみづくり” <3>ユニバーサルデザインの視点に立った誰もが支え合いながら暮らすことができるまちづくりを進める“まちづくり” ○この「支え合う福祉」の3つの柱に基づき、本計画における施策の実施に向けた視点と施策の方向性を定めます。 ◆支え合う福祉の充実  「2040年のあるべき姿」を実現するために、従来の「支える側*」と「支えられる側」という枠組みに捉われることなく、誰もが様々な場面でできる範囲で担い手として活躍できる機会をつくり、支援が必要な人を社会全体で支え合うことができる「支え合う福祉」に重点を置いた施策を推進します。 ※支える側:276ページ参照 【支え合う福祉】 図  以下は、図の説明。  重なり合った3つの輪に書かれている内容を記す。 ひとづくり:誰もが意欲や能力に応じて活躍し支え合えるひとづくりを進める まちづくり:ユニバーサルデザインの視点に立った誰もが支え合いながら暮らすことができるまちづくりを進める しくみづくり:支援が必要になっても地域で支え合いながら暮らし続けることができる仕組みをつくる (64ページ) ひとづくり  誰もが意欲や能力に応じて活躍し支え合えるひとづくりを進める 【視点】 ○「健康」とは、WHO(世界保健機構)によると、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。 ○誰もがいつまでも健康で住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続け、望ましい最期を迎えるためには、市民一人ひとりが様々な場面での望ましいあり方を考え、選択する必要があります。若い頃からの健康づくりへの取り組み方、ワーク・ライフ・バランス※を意識した働き方、隣近所や様々な地域団体をはじめとした地域との関わり方、趣味やボランティア活動、就業などを通じて役割を持つなど生きがいを感じられる人生の過ごし方、人生最期の迎え方など、誰もが経験しうる場面が挙げられます。 ○また、少子高齢化の進展に伴う、医療・介護などの様々な分野における働き手・支え手の不足や福祉ニーズの多様化に対応するため、支援が必要な人を支える人材の確保に向けた取組みが必要です。 【施策の方向性】 ○市民一人ひとりがそれぞれの意欲や能力に応じて自立し、生きがいを持ちながら、人生の最期まで安心して暮らすことができるよう、若い頃からの健康づくりや介護予防、社会参加活動、地域活動などの取組みを支援します。 ○次の取組みなどにより、支援が必要な人を支える人材の確保につなげます。 ・子どものころから、高齢者や障がいのある人、認知症の人、外国人など支援が必要な人と関わり合う機会や学ぶ機会を設けることにより、共に生きる心を育み、支え合う意識を醸成 ・外国人を含めた保健医療・福祉分野の専門職の人材確保・育成を推進 ・民間企業や介護・福祉施設、家庭などにおいて、支援を行う人材の身体的・精神的負担を軽減するなど、担い手が活動しやすいよう社会全体で支援 ※ワーク・ライフ・バランス:仕事と生活の調和。老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態。 (65ページ) しくみづくり  支援が必要になっても地域で支え合いながら暮らし続けることができる仕組みをつくる 【視点】 ○人口構造や社会環境の変化により、ひきこもり※1などの従来の社会保障制度だけでは対応が困難な社会課題が顕在化するとともに、ダブルケア※2など、様々な分野で複雑化・複合化した課題など、これまでに経験したことのない新たな課題が顕在化しています。このような課題に対応していくための支援の方法を検討し、時代の変化に応じた新たな仕組みづくりを行うことが必要です。 ○そのためには、行政だけでなく地域において社会福祉法人や民間企業、大学などの多様な主体が連携するとともに、住民同士の支え合い・助け合い活動の強化が重要です。地域のつながりを強化することで、健康や教育、防災、治安などの分野においても良い影響が期待されます。 ○また、より効果的な支援を行うため、最新技術や様々な主体の専門知識など、あらゆる社会資源※3について、地域社会での活用を図る必要があります。 【施策の方向性】 ○高齢者や障がいのある人など、支援を要する人々に対して必要な支援が切れ目なく行き届くよう、相談体制の充実や関係機関との連携などに取り組みます。特に次の項目については、重点的に取り組みます。 ・複雑化・複合化した課題を抱える人々への包括的な支援体制の構築に向けた取組みの推進 ・災害時の避難などに支援を要する人々への総合的な支援の充実 ○地域の助け合い・支え合い活動が推進されるよう、次のとおり支援します。 ・世代を超えた住民同士の交流を促進し、地域のつながりを強化 ・地域活動の担い手の確保に向けた支援の実施 ○施策を進めるにあたっては、次の項目をはじめあらゆる社会資源を活用します。 ・AI(人工知能)、IoT※4、ロボットなどの最新技術 ・福祉人材※5などの専門職や、民間企業、大学などの専門知識や専門技術 ○アジア諸国と医療・介護・福祉分野での経験を共有し、介護人材※6をはじめとする福祉人材が還流※7する仕組みづくりを進めるなど、アジアのモデル都市をめざして、高齢化に伴う様々な課題に対して共に取り組みます。 ※1 ひきこもり:279ページ参照 ※2 ダブルケア:277ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 ※4 IoT:275ページ参照 ※5 福祉人材:279ページ参照 ※6 介護人材:276ページ参照 ※7 還流:276ページ参照 (66ページ) まちづくり  ユニバーサルデザインの視点に立った誰もが支え合いながら暮らすことができるまちづくりを進める 【視点】 ○年齢や性別、国籍、障がいの有無など、地域に暮らす人々の多様化が進んでいるため、ユニバーサルデザインの理念※1に基づき、様々な社会的障壁※2を取り除き、誰もが相互に人格と個性を尊重し合いながら共生しているまちづくりをさらに推進することが必要です。 ○また、まちづくりは健康づくりを推進するうえでも重要です。例えば、健康無関心層に対しては、健康に関する意識啓発や支援だけでなく、日常生活の中で自然と体を動かす取組みなど、本人が無理なく意識せずに健康になる行動を取れるような環境づくりを行うことが効果的です。 ○その環境づくりのためには、保健福祉施策による基盤整備だけではなく、住まいや地域づくり、働き方など、市民生活を取り巻くあらゆる分野を含む、広い意味でのまちづくりとして取り組むことが必要です。 【施策の方向性】 ○次の取組みなどにより、高齢者や障がいのある人をはじめ誰もが安全・安心な生活を送るためのまちづくりを進めます。 ・・施設や設備、サービス、制度、情報などが誰にとっても利用しやすい環境となるよう、ユニバーサルデザインの理念に基づく施設整備や情報発信等を推進するとともに、既にある社会生活上の障壁については、ハード・ソフトの両面からバリアフリー※3化を推進 ・支援を要する人のそれぞれの状況に応じた居住の安定確保 ○健康無関心層も含めた健康づくり・介護予防を推進するため、「暮らしの中で自然と健康になるまち」づくりを進めます。保健福祉分野だけでなく、住まいや地域づくり、働き方などの分野も含めて、各局区などがより連携し取り組むとともに、民間企業・大学などとも連携します。 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 社会的障壁:277ページ参照 ※3 バリアフリー:279ページ参照 (67ページ) 第2章 担い手のあるべき姿 1 担い手の役割 (1)市民 ○市民一人ひとりがいつまでも元気で自立した生活を送り、自らが望むライフスタイルを構築することができるよう、健康づくりへの取り組み方や働き方、地域との関わり方、人生の過ごし方、人生最期の迎え方など、様々な場面において望ましいあり方を考え、選択します。 ○特に、運動・食生活・休養など生活習慣を改善するほか、定期的な健康診断やがん検診の受診など、若い頃から自身の健康づくりを心掛けるとともに、いつまでも生きがいをもって活躍できるよう、学び直し※1の機会などを活用します。 ○また、ある場面では支援を受ける立場であっても、別の場面では意欲や能力に応じて支援を行ったり、主体的に地域福祉活動などに参加したり就業したりするなど、お互いに支え合い、助け合います。 (2)地域団体等 ○住民に最も身近な自治組織である自治会・町内会をはじめ、校区を運営していく住民自治組織である自治協議会※2や、地域福祉活動に取り組む校区社会福祉協議会※3、地域住民からの相談に応じて必要な援助を行う民生委員・児童委員※4、老人クラブ、PTAなどの地域の任意団体やNPO、ボランティアなどの様々な主体が、支援が必要な人がみな住み慣れた地域で安心して暮らせるように連携します。 (3)民間企業等 ○地域において市民の健康づくりや生活上の課題を抱えた人などを幅広く支えていくため、地域社会を構成する一員として、企業や社会福祉法人などの法人も、それぞれの専門性や先進的なアイデア、技術などを生かして活動を行うとともに社会的責任を果たします。 ○地域活動の多くを担っている高齢者だけでなく、働いている世代の参加を促進するため、民間企業や法人においては企業・法人活動を行うだけでなく、社員の地域活動への参加を支援し、地域と共存していく役割を果たします。また、支援を受けた社員はその知識や能力を地域社会に活用することが望まれます。 ※1 学び直し:本計画では、年齢などに関わりなくいつまでも活躍できるよう、社会人が大学での再教育や、通信教育・オンライン講座の受講、セミナーへの参加、書籍による独学などを行うことを指す。 ※2 自治協議会:276ページ参照 ※3 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 民生委員・児童委員:279ページ参照 (68ページ) ○さらに、保健福祉分野のあらゆるニーズに対し、民間企業をはじめ、大学・研究機関などが新たな発想や手法・アイデアなどを市民・地域へ提供することで、様々な課題解決が図られることが期待されます。 ○また、医療・介護・福祉関係者をはじめその他の分野においても、ロボットなどの最新技術の活用などにより、効率的・効果的な体制を整え、サービスの質の向上を図ることが望まれるとともに、介護・福祉施設においては、市民の在宅生活を支援する施設として、地域に開かれた住民福祉の拠点となっていくことが期待されます。 (4)行政 ○保健福祉施策を推進していくため、保健福祉分野以外の分野も含めた情報の共有や課題解決に向けた方策の検討などを、保健福祉局を中心として各局区などがより連携して行います。さらに、これらの取組みを加速させるため、市民や民間企業などの新たな発想や手法なども取り入れながら、健康・医療・介護だけでなく、住まいや地域づくり、働き方なども含めた広い意味でのまちづくりに、産学官民オール福岡で取り組みます。 ○より多くの市民が自分事として、また、意欲や能力に応じて健康づくりや社会参加活動、地域課題解決に向けた取組みなどが行えるよう支援するとともに、地域に必要な人材の育成や、情報格差※1に配慮した効果的な広報・啓発などを実施します。 ○さらに、地域において課題を抱えた人について、地域住民などが適切にその課題を把握し、関係機関と連携しながら課題解決が行えるよう、総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整などを行う包括的な支援体制の構築に向け、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを進めます。 2 担い手の創出 ○支援を必要とする人の増加や福祉ニーズの多様化などを踏まえ、引き続き、保健医療・福祉分野の専門職や地域活動の担い手などの人材確保につながるよう、支援を行います。 ○認知症の人や障がいのある人など、支援される側と捉えられがちな人たちも、できる範囲で様々な担い手となることができ、また、高齢者の体力・運動能力や60歳以上の人の社会参加意欲が向上傾向にあります。これらを踏まえ、従来の「支える側※2」と「支えられる側」とを固定化して捉えず、誰もが様々な場面に応じてできる範囲で担い手として活躍できる機会をつくり、社会全体で支え合うことができる「支え合う福祉」の充実を図ります。 ※1 情報格差:人々が取得できる情報の量・質の差。 ※2 支える側:276ページ参照 (69ページ) 3 担い手の共働※(【図表51】) ○「支え合う福祉」を充実し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる社会を実現するためには、行政だけでなく、地域の住民はもちろん、事業者やNPO、ボランティアなど地域社会を構成する多様な主体が、様々な取組みを主体的に実践していくとともに、相互に連携を図り、共働していくことが必要です。 ○そのため、それぞれの主体の取組みに関する情報発信に努めるとともに、地域課題を把握し、その解決に向けた多様な主体の共働について、それぞれの主体の持つ強みや得意分野を生かしながら推進します。 ※共働:276ページ参照 【図表51】支え合う福祉の推進体制  市民は、ある時は地域団体等の一員、ある時は民間企業等の一員となるなど、その時々で役割を変えながら、地域団体等・民間企業等・行政と連携・共働し、主体的に支え合う福祉を推進します。 図  以下は、図の説明。  中央の円の中に「市民」がおり、その周辺に「行政」「民間企業等」「地域団体等」と書かれ、役割を変えながら、連携・共働している。 資料:福岡市 (70ページ) 第3章 計画の進行管理(【図表52】) 1 目的 ○計画の進行管理については、計画の推進にあたり、国の動向などの社会経済情勢の変化も踏まえながら、「2040年のあるべき姿」の実現に向かって着実に施策の成果が出ているかを確認し、必要に応じて既存の取組みの改善や新たな課題の解決を図ることを目的とします。 2 手法 ○各施策の進捗状況や各論の基本目標ごとに設定した成果指標の動向から総合的に把握・分析を行い、本計画全体の推進状況の総括を行います。 ○その結果について、保健福祉審議会に報告し、同審議会において評価するとともに、市のホームページなどで公表します。 ○評価の結果については、その後の施策への反映や次期保健福祉総合計画の策定などに生かしていくものとします。 【図表52】PDCAサイクル 図  以下は、図の説明。  円の中心に「PDCAサイクルによる計画の推進」とあり、その周辺に<1>PLAN(計画)→<2>DO(実施)→<3>CHECK(評価)→<4>ACTION(改善)→<1>へ戻る矢印が書かれている。 資料:福岡市 第3編 各論 第1部 地域分野 (71ページ) 第3編 各論 第1部 地域分野 第1章 地域分野の基本理念等 1 基本理念  地域福祉とは、それぞれの地域において住民が安心して暮らせるよう、地域住民や公私の社会福祉関係者がお互いに協力して地域社会の福祉課題の解決に取り組む考え方のことをいいます。  地域福祉活動とは、地域に住む住民一人ひとりが、地域社会の一員として、地域福祉のことを考え、そこにある課題を発見し、その解決に向けて主体的に取り組むことをいいます。地域で生じている問題の解決に向けて、住民同士が集まって話し合い、共に取り組む地域福祉活動の姿を確認し合うことが基本となります。  地域には様々な人々がいます。子ども、介護を受けている人、障がいのある人など、いわゆる支援や見守りが必要な人々だけではなく、会社員、学生、主婦、商店主やそこで働く人々、古くから住んでいる人、新たに転入してきた人、外国人など、多様な人々が地域社会を構成しています。さらに企業、学校、ボランティア、NPO、協同組合、病院、福祉サービス事業所等の多様な主体も地域社会の一員であり、福岡市にはこれらの社会資源※1が数多く存在するという都市部の強みを生かし、個人に限定されない多様な主体とのつながりをつくることが重要となります。  福岡市におけるこれらのつながりは、都心部、郊外部、農山漁村部など、地域によって人口構成や生活の利便性等はもちろん、社会資源が大きく異なることから、小学校区ごとに組織された自治協議会※2による地域のまちづくりを中心として、地域ごとに多様な姿をみせています。  わが国は、これまで経験したことのない超少子高齢社会を迎え、社会的孤立※3等の関係性の貧困、ダブルケア※4やヤングケアラー※5、8050問題※6など、複合化・複雑化した課題が顕在化しています。これらは誰にでも起こりうる社会的なリスクでありながら、個別性が高く、従来の社会保障の枠組みでは十分な対応が難しいものであるといえます。これらの課題の解決に向け、制度・分野の枠や「支える側※7」「支えられる側」といった従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割をもち、支え合いながら暮らしていくことができる包摂的なコミュニティ、地域社会をつくる「地域共生社会※8」の実現をめざす必要があります。  これらの社会背景を踏まえ、地域福祉を推進するため、地域の特性に応じた支え合い・助け合い活動の様々なエリアにおける効果的な展開や、様々な世代の住民、地域団体や企業、NPO、社会福祉法人等、多様な主体の積極的な地域活動への参加とともに、専門相談機関の包括的な支援ネットワークの充実を図ることが求められています。 ※1 社会資源:277ページ参照 ※2 自治協議会:276ページ参照 ※3 社会的孤立:277ページ参照 ※4 ダブルケア:277ページ参照 ※5 ヤングケアラー:280ページ参照 ※6 8050問題:278ページ参照 ※7 支える側:276ページ参照 ※8 地域共生社会:277ページ参照 (72ページ)  このような点を踏まえ、地域分野の基本理念を以下のとおりとします。 【基本理念】  住民参加と自治を基盤とし、様々な主体が地域を構成する一員として相互に連携し、支え合う福祉コミュニティの形成を通して、すべての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現をめざします。 2 計画の位置づけ ○本分野を、社会福祉法第107条に基づく市町村地域福祉計画とし、福岡市社会福祉協議会※1(以下、この分野において「市社協」という。)が策定する地域福祉活動計画※2と相互に連携し、福岡市の地域福祉を推進します。 ○地域福祉計画と関連する「健康」「高齢者」「障がい者」「子ども」分野については、本計画の「健康・医療分野」「高齢者分野」「障がい者分野」及び「第5次福岡市子ども総合計画」と相互に連携を図ります。 ○また、成年後見制度※3の利用促進に関する内容については、「成年後見制度の利用促進に関する法律」に基づく、本市における成年後見制度利用促進基本計画として位置づけます。 3 基本目標 ○基本理念に基づき、5つの基本目標を定め、各施策を実施します。 (1)地域福祉活動推進のための基盤づくり ○地域福祉推進の柱である社会福祉協議会や民生委員・児童委員※4(以下、この分野において「民生委員」という。)への支援、連携を進めるとともに、あらゆる世代において、共に生きる心を育み、「支え合う共生の意識」の醸成を図ります。 ○また、ユニバーサルデザインの理念※5に基づき、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを進めます。 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 地域福祉活動計画:278ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 ※4 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※5 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 (73ページ) (2)身近な地域における絆づくり・支え合い活動の推進 ○住民に身近な圏域において、世代を超えた住民同士の多様な交流を促進し地域のつながりの強化を図ることや地域活動の担い手の確保に向けた支援を図るなど、様々な形で支え合い・助け合い活動に参加・参画できる仕組みづくりを進めます。 (3)人づくりと拠点づくり ○福祉教育の推進を図るため、市民ボランティア養成等の地域で活躍できる人づくりや、地域福祉活動の拠点づくりに取り組みます。 (4)多様な主体との連携・共働※1による地域づくり ○社会福祉法人・民間企業・大学や、福祉人材※2などの専門職のほか、NPO等の専門知識や専門技術など、あらゆる社会資源※3を活用した支援の仕組みづくりとともに、ICT(情報通信技術)の利活用や、AI(人工知能)やIoT※4、ロボットなどの最新技術の活用に向けた取組みを進めます。 (5)包括的な相談支援ネットワークの充実 ○地域と連携して支援を届けるため、地域特性に応じた多様な支援ネットワークの充実を図るほか、関係機関や多職種の連携を推進するなど、包括的な支援体制の構築に向けた取組みを進めます。 ※1 共働:276ページ参照 ※2 福祉人材:279ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 ※4 IoT:275ページ参照 (74ページ) 4 施策体系 ○基本目標に基づき、以下の体系により地域福祉施策を推進します。 〈推進施策〉 【基本目標1】地域福祉活動推進のための基盤づくり (1-1)地域福祉活動を推進する団体への支援と連携 (1-2)共生の意識の醸成 (1-3)ユニバーサルデザインの理念※1による地域づくり 【基本目標2】身近な地域における絆づくり・支え合い活動の推進 (2-1)絆づくりの推進 (2-2)校区・地区における主体的な福祉のまちづくりへの支援 (2-3)見守りと支え合い活動の推進 (2-4)見守りと災害時の助け合いの連携 (2-5)地域と連携した様々な分野の課題解決の取組み 【基本目標3】人づくりと拠点づくり (3-1)地域で活躍できる人づくり・福祉教育 (3-2)地域活動の促進に向けた環境整備 【基本目標4】多様な主体との連携・共働※2による地域づくり (4-1)社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 (4-2)ICT(情報通信技術)等の先進技術の利活用 【基本目標5】包括的な相談支援ネットワークの充実 (5-1)地域との連携による課題把握の仕組みづくり (5-2)権利擁護※3の体制充実とサービスの利用支援 (5-3)生活困窮者への相談支援体制の充実 (5-4)複合的な課題解決に向けた連携強化 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 ※3 権利擁護:276ページ参照 (75ページ) 【支え合いの地域づくりに向けた施策体系】 基本目標1 地域福祉活動推進のための基盤づくり ・地域福祉活動を推進する団体への支援と連携 ・共生の意識の醸成 ・ユニバーサルデザインの理念による地域づくり 「支え合いの地域づくり」 基本目標2 身近な地域における絆づくり・支え合い活動の推進 ・絆づくりの誰進 ・校区・地区における主体的な福祉のまちづくりヘの支援 ・見守りと支え合い活動の推進 ・見守りと火災時の助け合いの連携 ・地域と連携した様々な分野の課題解決の取組み 基本目標3 人づくりと拠点づくり ・地域で活躍できる人づくり・福祉教育 ・地域活動の促進に向けた環境整備 基本目標4 多様な主体との連携・共働による地域づくり ・社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 ・ICT(情報通信技術)の先進技術の利活用 「支援ネットワークの充実」 基本目標5 包括的な相談支援ネットワークの充実 ・地域との連携による課題把握の仕組みづくり ・権利擁護の体制充実とサービスの利用支援 ・生活困窮者への相談支援体制の充実 ・複合的な課題解決に向けた連携強化 (76ページ) 第2章 施策各論 【基本目標1】地域福祉活動推進のための基盤づくり 〈現状と課題〉 (1)生活圏域(【図表53】) ○人口160万人を超える福岡市は、行政単位として7つの区に分かれます。市レベルでは、地域福祉の推進を図るため、全市的な計画や各種団体との連携調整、サービスの提供などが実施されています。 ○概ね中学校区を単位とした圏域(30分以内に必要な在宅サービスが提供される圏域)を、日常生活圏域として、高齢者の総合相談窓口である「地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※1」が設置されています。 ○また、概ね小学校区を単位として、自治協議会※2や校区社会福祉協議会※3(以下、この分野において「校区社協」という。)をはじめとする住民団体が組織されています。各校区には、公民館や老人いこいの家※4などが設置され、様々な活動が行われています。 ○校区より小さい単位として自治会・町内会が全市で約2,300あり、8割を超える自治会・町内会では「ふれあいネットワーク」が組織され、見守り活動を行っています。自治会・町内会によっては地域の集会所を設けているところもあります。 ○さらに小さな単位に隣組や班といったものがあります。20世帯規模で、概ね、回覧板等が回るような単位です。 ○福岡市では一般的に地域コミュニティという場合には、まず自治協議会や自治会・町内会を示す場合が多く、実際に住民自治活動の中核となっていますが、身近な地域福祉活動は、自治会・町内会や隣組・班などの小さな単位で行われています。 ○このように福岡市では、圏域ごとに様々な活動が行われており、住民活動を支援する場合には、圏域レベルを踏まえた上で適切かつ重層的に施策を実施する必要があります。 ※1 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※2 自治協議会:276ページ参照 ※3 市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 老人いこいの家:102ページ参照 (77ページ) 【図表53】地域福祉における各圏域 図  以下は、図の説明。  「隣組・班レベルの圏域」を中心とした6重の圏域。内側から順に内容を記す。 ○隣組・班レベルの圏域:最も身近な生活圏域で、いわゆるご近所付き合いなど生活に密着した活動を行う。 ○自治会・町内会レベルの圏域:住民自治の基本となる圏域で住民全員による総会や自治会単位の活動が行われている。 ○小学校区レベルの圏域:行政機関では公民館があり、また、自治協議会や校区社会福祉協議会など地域コミュニティがつくられている。地域特性に応じた活動を展開する。 ○中学校区レベルの圏域:地域包括支援センターが設置されており、やや広域的に専門的な支援を行う。 ○区レベルの圏域:区役所、保健福祉センター、区社会福祉協議会など行政区に応じたサービスを提供する。 ○市レベルの圏域:市役所、市社会福祉協議会など、全市的な計画や調整、サービスを提供する。 資料:福岡市 (2)地域福祉を推進する団体との連携(【図表54】) ○社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき市区町村に設置され、地域福祉の推進を担っています。市社協は、地域福祉ソーシャルワーカー※1(CSW)の各区への配置などにより、住民による校区社協活動をコーディネートするなど、地域での福祉活動において重要な役割を担っています。 ○高齢者の単独世帯や共働きの核家族※2など、暮らし方や社会環境の変化に伴い、社会的孤立※3など既存の制度だけでは対応が難しい課題を抱える人が増えており、必要な支援を届けるため、地域資源の開発・コーディネートやアウトリーチ※4機能の強化を図る取組みなどを進める必要があります。 ※1 地域福祉ソーシャルワーカー:278ページ参照 ※2 核家族:276ページ参照 ※3 社会的孤立:277ページ参照 ※4 アウトリーチ:275ページ参照 (78ページ) ○民生委員※1は、民生委員法に基づく非常勤・特別職の地方公務員として、全市に約2300人配置され、地域の身近な相談役として、地域住民の様々な相談に応じ、関係機関につなぐなど、福祉の最前線を担っています。 ○支援を必要とする高齢者等が地域で増大していく一方で、近年は、民生委員のなり手不足が全国的な課題となっており、民生委員の負担軽減とともに、その活動を支援する対策が必要です。 ○校区では、自治協議会や校区社協のほか、衛生連合会※2や食生活改善推進員協議会※3、老人クラブ、子ども会、自主防災組織※4等の様々な団体が活動しています。地域福祉活動の推進に向け、これらの活動団体の連携をより強化する必要があります。 ○さらに、今後予想される福祉人材※5や地域活動の担い手不足に対応していくためには、地域における公益的な取組みが義務づけられている社会福祉法人のほか、ボランティアグループ、NPO、企業等、様々な団体の地域福祉活動への参画を促していく必要があります。 ※1 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※2 衛生連合会:275ページ参照 ※3 食生活改善推進員協議会:145ページ参照 ※4 自主防災組織:276ページ参照 ※5 福祉人材:279ページ参照 【図表54】民生委員の活動日数の推移 グラフ  以下は、年 活動日数 民生委員数の順。 1993年(H5) 111 1639 1994年(H6) 110 1650 1995年(H7) 109 1715 1996年(H8) 105 1745 1997年(H9) 112 1773 1998年(H10) 108 1881 1999年(H11) 115 1896 2000年(H12) 120 1899 2001年(H13) 122 1964 2002年(H14) 133 2030 2003年(H15) 144 2037 2004年(H16) 144 2114 2005年(H17) 152 2138 2006年(H18) 154 2134 2007年(H19) 151 2204 2008年(H20) 163 2237 2009年(H21) 164 2250 2010年(H22) 164 2280 2011年(H23) 169 2305 2012年(H24) 172 2306 2013年(H25) 166 2351 2014年(H26) 171 2359 2015年(H27) 170 2374 2016年(H28) 169 2384 2017年(H29) 164 2379 2018年(H30) 169 2372 出典:「福祉行政報告例」(厚生労働省) (79ページ) (3)共生の意識の醸成 ○市民一人ひとりがそれぞれの意欲や能力に応じて、生きがいを持ちながら人生の最期まで安心して暮らすことができるよう、尊厳が保持され、自立した生活が送れることが大切です。 ○社会構造の変化等により地域生活課題が多様化しており、認知症への理解、インクルーシブ教育※1、終活※2、成年後見、LGBT※3、社会的弱者※4やマイノリティ(社会的少数者)への権利擁護※5、児童の権利に関する条約の理念など、福祉意識を育むテーマも多様となっています。 ○また、偏見や差別は社会状況の変化に伴い新たに生じ、誰もが被害者・加害者になり得ることから、必要な、正しい知識や情報を伝えていくことが必要です。 ○福岡市は進学や就職、転勤等による人口移動が大きく、学生や若者等の単独世帯も多いまちです。また、福岡市に住む外国人が年々増加している中、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくような地域づくりを進める必要性が増しています。 ○このような社会背景の中で、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の基盤をつくるためには、子どもから大人まで学べる福祉教育の場や、各種のセミナー等の様々な機会を通じて、共に生きる心を育み、支え合う共生の意識を醸成することが重要です。 (4)バリアフリー※6のまちづくり ○福岡市では、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡※7」の実現を目標像として掲げており、条例等に基づき施設整備を進めることで、整備基準に適合した施設は着実に増えています。また、高齢者や障がいのある人への理解を深め、支え合うことができるよう、バリアフリー教室や出前講座などで「心のバリアフリー※8」の周知・啓発を行ってきました。 ○高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の改正により、既存施設を含むさらなるハード面の対策とともに、旅客支援等のソフト対策を一体的に推進することなどが求められており、引き続き、施設整備を進めるとともに、「心のバリアフリー」のさらなる周知、啓発を行うことが必要です。 ※1 インクルーシブ教育:275ページ参照 ※2 終活:277ページ参照 ※3 LGBT:レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字をまとめたもので、性的マイノリティの総称の一つ。 ※4 社会的弱者:雇用・就学の機会や人種・宗教・国籍・性別の違い、あるいは疾患などによって、所得・身体能力・発言力などが制限され、社会的に不利な立場にある人。 ※5 権利擁護:276ページ参照 ※6 バリアフリー:279ページ参照 ※7 ユニバーサル都市・福岡:280ページ参照 ※8 心のバリアフリー:276ページ参照 (80ページ) 【施策の方向性】 ○地域福祉活動をともに推進するため、社会福祉協議会や民生委員等への支援や連携を進めます。 ○あらゆる世代において、高齢者や障がいのある人、子ども、外国人などとの関わり合いや学ぶ機会を設けることにより、以下の観点を重視し、共に生きる心を育み、「支え合う共生の意識」の醸成を図ります。 ・年齢や性別、国籍を超えた関わり、子ども自身が有する権利の理解などを通じて、幼少期からの地域への意識と、暮らしや文化、価値観の多様性を認め合う意識を育む ・「支える」「支えられる」という関係性を超えて、多様な役割と参加の機会や地域での「支え合い」を生み出す ・個人が地域コミュニティにおける住民同士の関係性の中で自身の希望や能力に応じた役割を果たすことで、自身の「やりがい」や「生きがい」を育む ・住民と専門職の共働※1等を通じた地域に開かれた福祉により、社会的な孤立をなくし、地域社会への参加・参画を促す共生の文化を醸成する ○ユニバーサルデザインの理念※2に基づき、ハード・ソフトの両面からバリアフリー化を推進し、施設や設備、サービス、制度、情報などがより利用しやすい環境づくりを進め、高齢者や障がいのある人をはじめ誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを進めます。 ※1 共働:276ページ参照 ※2 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 (81ページ) 施策1-1 地域福祉活動を推進する団体への支援と連携 ○福岡市の地域福祉を連携して推進していくため、市社協・校区社協※1の地域福祉活動の指針である「地域福祉活動計画※2」の実施を支援します。 ○市社協は、社会的孤立※3などを背景とした地域生活課題に対応するため、地域福祉ソーシャルワーカー※4の配置を進めるなど、地域特性に応じた小地域福祉活動の充実に向けた取組みを推進しており、取組みの支援や連携を図ります。 ○住民の身近な相談役・支援者である民生委員※5は、行政とのパイプ役として地域福祉の重要な役割を担っており、スキルアップのため、各種研修等を実施し、必要な知識や技能の習得を支援するとともに、民生委員の活動を市民に知ってもらうため、広報の推進を図ります。 ○民生委員のなり手不足が全国的な課題であることを踏まえ、福岡市や社会福祉協議会と共働※6して取り組んでいる事業の見直しや支援の拡充など、負担軽減に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>社会福祉協議会地域福祉推進事業費補助金:地域福祉の推進に多大な役割を果たし、市民福祉の向上を目的とした事業を積極的に実施している福岡市社協に対する事業費の補助 <2>福岡市民生委員児童委員協議会補助金:日頃から、社会奉仕の精神をもって自主的に社会福祉の増進に努め、低所得者の自立更生の支援、高齢者・障がい者・児童・母子等の福祉向上及び公的社会福祉施策への協力等を行っている民生委員・児童委員の活動支援 施策1-2 共生の意識の醸成 ○広く市民の参加を募る福祉大会や、様々な福祉講座等の機会を通じて、あらゆる世代において、高齢者や障がいのある人、子ども、外国人などと関わり合う機会、互いの人格や権利について学ぶ機会を設けることにより、共に生きる心を育み、「支え合う共生の意識」の醸成を図ります。 ○地域福祉推進の取組事例の紹介や、地域福祉活動の必要性や重要性について、広報紙をはじめとする各種チラシ・パンフレット等の紙媒体、ホームページ等の電子媒体、イベントや説明会等の対面での情報発信など、多様な手段を使って普及啓発を図ります。また、ふれあいサロン※7や地域カフェ※8等を活用した情報の発信・共有などを進め、地域福祉活動への参加促進を図ります。 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 地域福祉活動計画:278ページ参照 ※3 社会的孤立:277ページ参照 ※4 地域福祉ソーシャルワーカー:278ページ参照 ※5 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※6 共働:276ページ参照 ※7 ふれあいサロン:279ページ参照 ※8 地域カフェ:277ページ参照 (82ページ) 【子どもの権利擁護※1の推進】 ○児童の権利に関する条約や児童福祉法に示された子どもの権利擁護の理念についてすべての市民が理解を深めることができるよう、様々な機会を捉えて啓発し、虐待、体罰、いじめの防止などに取り組むとともに、子どもに関わるあらゆる分野において、子どもの権利を尊重し、「子どもの最善の利益」を考慮した社会全体の取組みを推進します。(施策15)(第5次子ども総合計画より抜粋) 【現在の主な事業】 ※<社協>とは、福岡市社会福祉協議会※2が行う事業 <1>出前福祉講座<社協>:学校、企業等に出向き、身体障がい者や高齢者の疑似体験等を通じて、福祉やボランティア活動への理解を深め、活動への参加の動機付けを実施 <2>知的障がい者・発達障がい者を理解する疑似体験プログラム<社協>:市社協が作成した「知的障がい・発達障がいについて学ぶガイドブック」等を活用し、福岡市手をつなぐ育成会親の会の有志メンバーからなる「手をつなぐ応援隊」が疑似体験を通して障がい特性を理解するプログラムを実施 <3>市民福祉講演会<社協>:市民を対象に、今日的な福祉課題等をテーマにした講演会の実施 <4>ホームページ・広報紙<社協>:地域福祉活動への関心を喚起するため、社協が行う福祉活動や新規事業、その他福祉やボランティアに関する情報を広く市民に紹介 <5>福祉のまちづくり推進大会<市・社協>:福祉功労者の表彰、活動事例紹介、記念講演等を実施し、広く市民が福祉について考える機会を提供 <6>わたしもあなたもボランティア冊子事業<社協>:障がいのある人や高齢者についての理解を促し、ボランティア活動の意義や重要性について考えるきっかけとすることを目的として、小中学生を対象に作成した冊子を市社協ホームページに掲載 <7>終活※3サポートセンター<社協>:最期まで自分らしく生き、自分の生き方を決定していくため、終活全般の総合相談を行うほか、ふれあいサロンや地域カフェなどの場で出前講座を実施 【関連する施策】 ※認知症に関する理解促進については、高齢者分野の施策5-1参照 ※障がい理解・差別解消の推進については、障がい者分野の施策2-1参照 ※1 権利擁護:276ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※3 終活:277ページ参照 (83ページ) 施策1-3 ユニバーサルデザインの理念※1による地域づくり ○高齢者や障がいのある人をはじめ、すべての人が安全かつ快適に暮らしていけるように、「福岡市バリアフリー※2基本計画」に基づく公共交通や住宅のバリアフリー化など、誰もが暮らしやすい環境整備を推進します。また、「福岡市バリアフリー基本計画」に基づく重点整備地区においては、生活関連施設や生活関連経路のバリアフリー化を重点的かつ一体的に進めていきます。 ○生活関連経路のバリアフリー化等に加え、誰もが気軽に安心して外出できる環境づくりのため、身近な場所へのベンチ等の設置を進めます。 ○日常生活や社会生活におけるバリアを取り除くことで、高齢者や障がいのある人、妊産婦やベビーカーを使用する人、外国人などが、円滑に移動したり、施設を利用できることなどの重要性について、市民一人ひとりが理解を深め、支え合うことができるよう「心のバリアフリー※3」を推進します。 ○視覚障がい者や聴覚・言語障がい者などに対して、障がいの特性に応じ、電話やファックスを利用した災害時の避難情報配信や音声によらない119番緊急通報システムを整備します。また、テキスト訳や音訳、点訳、外出ガイドなどのボランティア活動を支援します。 【現在の主な事業】 <1>ユニバーサル都市・福岡※4の推進:年齢や性別、能力、国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが思いやりをもち、すべての人にやさしいまち「ユニバーサル都市・福岡」の実現をめざし、ユニバーサルデザインの普及啓発を実施 ・多様な媒体を活用した情報発信 ・市民や事業者等が参加するイベント等の実施 ・児童向け教材の作成、活用 <2>バリアフリー映画支援ボランティア養成講座<社協>:共生社会をめざすため、情報障がい者といわれる視覚・聴覚障がい者に、映画を楽しむ機会を提供できるよう、日本語字幕と副音声による音声ガイドを付与したバリアフリー映画を作成するボランティアの養成講座を開催 <3>在宅視覚障がい者サービス事業<社協>:視覚障がい者のQOLの充実を目的に、点訳(触地図作成を含む)、音訳、外出ガイド、拡大写本活動、テキスト訳活動、パソコン操作指導活動などを支援・活性化 <4>視覚障がい者のための点訳・朗読・ガイドボランティア養成講座<社協>:点訳、音訳、外出ガイド、テキスト訳活動のボランティア養成講座を実施 <5>知的障がい・発達障がい支援ボランティア養成講座<社協>:ボランティアグループへ所属するボランティアの養成講座を実施し、市内中学校の特別支援学級や障がい児施設の支援活動や、個人向けの外出支援や健康づくりのための散歩の同行などを実施 <6>ベンチプロジェクト:誰もが気軽に安心して外出できる環境づくりのため、市内全域にベンチ等の設置を推進 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 バリアフリー:279ページ参照 ※3 心のバリアフリー:276ページ参照 ※4 ユニバーサル都市・福岡:280ページ参照 (84ページ) 【関連する施策】 ※認知症とともに生きる施策の推進については、高齢者分野の施策5-4参照 ※ユニバーサルデザインの理念に基づくまちづくり・情報提供の推進については、障がい者分野の施策2-3参照 コラム 心のバリアフリーについて  みんなの「不便さ」は、施設を改善したり、最新式の機械に取り替えることだけでは解決しないこともあります。  みんなが一緒に気持ちよく暮らしていけるように、わたしたち一人ひとりが、相手の気持ちになって考え、みんなで助け合うことが「心のバリアフリー」です。 ○エレベーターは「みんな」のためのものだけど  エレベーターを待っている人の中には「エレベーターの方が楽」と思っている人がいる一方で、「階段で移動できない」という人や「階段で移動するととても危険で大変」という人もいます。 ○あなたにもこんな経験はありませんか?  重い荷物をもっていて、自分から譲ってとは言いづらいけど、電車で席を譲ってもらった。  外出中、急に気分が悪くなり、近くにいた人が「どうしましたか」と声をかけて、ベンチに座らせてくれた。 ○その人の身になって考えてみましょう  体調が良くない時や、慣れない場所で困った時、ちょっとしたひとことが嬉しいことがあります。困った人や手助けを必要としている人を見かけたら、その時の自分の気持ちを思い出してみましょう。 ○まずは声をかけてみましょう!  本人にたずねてみないと、その人がどんなことで困っているのかわかりません。「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてみましょう。 資料:福岡市 (85ページ) 【基本目標2】身近な地域における絆づくり・支え合い活動の推進 〈現状と課題〉 (1)地域特性 ○福岡市の小学校区は、都心・郊外・農山漁村・離島などの地域的な条件や、戸建て、集合住宅、賃貸など、住まい方の種類が組み合わさって、地域によって特色が異なります。 ○少子高齢化の進展状況も地域によって大きく異なり、高齢化率がすでに50%を超えた地域、10%に満たない地域、人口減少がはじまっている地域など、様々です。 ○福岡市は、古くからアジアの交流拠点として多様な文化を受け入れ発展しており、市内には、約4万人の外国人が暮らしています。 ○地域コミュニティへの支援策も、このような本市の地域特性を踏まえて実施する必要があります。 (2)地域活動への参加意識 ○個人が地域コミュニティにおける住民同士の関係性の中で、自身の希望や能力に応じて何らかの役割を果たすことは、自身の「やりがい」や「生きがい」を育むことにつながっていきます。また、地域やコミュニティにおいて、お互いを気にかけ支え合う関係性が育まれることは、社会的孤立※の発生・深刻化を防ぐことにも資するものです。 ○地域コミュニティとつながり、参加を図るためには、公民館をはじめとした様々な場、ボランティアや趣味活動を通じた活動の充実等のほか、ICT(情報通信技術)等を活用した情報発信などにより、誰もが望めば多様な経路でつながり、参加することのできる環境が整備されていることが必要です。 ○また、施策の実施においては、地域課題の共有等による校区、地区の主体的なまちづくりへの支援などとともに、健康づくりの啓発や、様々な活動に対する興味関心の喚起など、個人の自発的な意欲を促していくアプローチも大切です。 ○地域の絆づくりは、このような関係性の構築のため、地域分野の計画全般にわたって基盤となるものです。近所同士が必要なときに助け合える関係性をつくっていくためには、地域活動への参加者を増やしていく必要があります。 ※社会的孤立:277ページ参照 (86ページ) (3)見守り活動(【図表55】) ○福岡市では地域の見守り活動として、校区社協※1が中心となり、ふれあいネットワークを展開しています。前期の地域分野計画や「福岡市社会福祉協議会第5期地域福祉活動計画※2」ではふれあいネットワークの拡大を成果指標として掲げ、現在8割を超える自治会・町内会でネットワークが組織されています。 ○また、ライフライン企業等が参画し日頃の訪問活動を見守りに活かす「福岡見守るっ隊」等を結成し、より重層的な見守り体制を整えています。 ○近年、全国的に大規模な災害が多発する中で、平常時から地域での見守り活動を進めることは、高齢者や障がいのある人などへの支援など、災害時の助け合いにも資する取組みです。 ○見守りなどの地域福祉活動を充実させるためには、支援が必要な人などの情報を共有することが必要となります。様々な地域福祉活動の支援や、施策の企画実施においては、個人情報保護法等を踏まえ、個人情報について、必要な範囲内において有効に活用することが求められます。 ○ふれあいネットワークでは、見守り活動の幅を広げ、近隣住民による自然な助け合いとして、ごみ出しや電球交換といった日常生活のちょっとした困りごとを身近な地域で解決する生活支援ボランティア活動も行われています。こうした見守り活動は、孤立死の防止という役割とともに、様々な生活上の問題や地域の課題を発見する「課題把握ネットワーク」としての役割を持っています。今後、高齢者の単独世帯や認知症の人が増え続けることから、さらにきめの細かい見守りのネットワークづくりを進める必要があります。 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 地域福祉活動計画:278ページ参照 【図表55】福岡市がめざす重層的な見守り 図  ある場面では支援を受ける立場でも、別の場面では主体的に地域福祉活動等に参加  以下は、図の説明。  「ひとり暮らし高齢者、障がいのある人等」を囲む3重の円。内側から順に内容を記す。 <1>地域の見守り:近所づきあいや地域。ふれあいネットワーク。老人クラブ・友愛訪問。民生委員。自治会・町内会。お隣りさん。自治会・町内会。 <2>サービスとしての見守り:見守りや福祉サービスを利用する中での見守り。声の訪問。緊急通報システム。介護保険サービス。在宅医療。NPOのサービス。障がい福祉サービス。企業のサービス。 <3>企業等と連携した見守り(福岡見守るっ隊):家庭訪問業務の中での見守り。食事宅配。牛乳配達。新聞配達。ガス。水道。電気。郵便配達。コンビニ・スーパー。宅配・運送業。  <1>地域の見守り、<2>サービスとしての見守り、<3>企業等と連携した見守り(福岡見守るっ隊)は、区役所、各区社会福祉協議会、いきいきセンターふくおかが、支援・つなぎを行う。 資料:福岡市 (87ページ) (4)交流活動・支え合い(【図表56、57】) ○市民意識調査においては、近所同士の付き合いについて、「会えば挨拶する」「会えば立ち話をする」との回答が、合計で8割近くに達しています。 ○「お互いの家を行き来できる」「いざというときに相談したり助け合える」「普段から相談したり助け合っている」との、より深い近所付き合いを回答した人は、合計で約1割にとどまる一方で、約4割の人が、このような近所付き合いを理想と回答しています。 ○地域には、高齢者などが定期的に集まり、交流を行うふれあいサロン※1が現在約380あり、月1回以上定期的に開催されています。地域の何らかのグループ活動への参加を通して、無理のない運動や会話ができる機会があることは、「生きがいづくり」、「健康づくり」、さらには「認知症予防」の観点からも大切であり、このような機能を有するふれあいサロン活動が、住民の身近なところで展開されることが必要です。 ○また、今後、大幅に増加することが見込まれる高齢者などが、ある場面では支援を受ける立場であっても、当事者の目線を大切に、別の場面では主体的に地域福祉活動等に参加したり、就業したりするなど、意欲や能力に応じてお互いに支え合い、助け合うことができる共生の観点が重要です。 ○地域福祉活動の場においても、課題を抱えた人が地域の居場所づくりを支援したり、福祉施設の入居者が、地域でちょっとした困りごとを抱えた人を支援するボランティアとして活動したりする事例が見られ、地域共生社会※2の実現に向け、このような多様な参加の促進を図ることが重要です。 ※1 ふれあいサロン:279ページ参照 ※2 地域共生社会:277ページ参照 【図表56】憩いのサロン参加による認知症リスクの低減 ≪エビデンス≫  年4回以上の「サロン」への参加で、認知症リスクが3割減少 ≪調査の概要と結果≫  年4回以上のサロン参加は、認知症リスクを3割低下させることが分かった。サロンを設置し、軽い体操やおしゃべり、すごろくなどのゲームに参加してもらうことが認知症の予防に結びつくことが示された。 グラフ  サロン参加(n=152) オッズ比 約0.7  参加なし(n=1885) オッズ比 1.0  *P<0.05 **P<0.01 統計学的に有意であることを示している。 ※1年あたり3回以下の参加は「サロン参加なし」とみなした。 出典:一般社団法人 日本老年学的評価研究機構(JAGES)プレスリリース資料より抜粋【2017年(平成29年)1月No 095-16-25】 (88ページ) 【図表57】近所同士の付き合い(意識調査) 表  回答数:1399  以下は、項目 割合の順。 ○近所付き合いはありますか 会えば挨拶する 58.7 会えば立ち話をする 17.7 お互いの家を行き来できる 2.1 いざというときに相談したり助け合える 3.5 普段から相談したり助け合っている 3.9 近所付き合いはない 12.5 その他 0.5 無回答 1.1 ○理想とする近所同士の付き合い 会えば挨拶する 36.2 会えば立ち話をする 19.7 お互いの家を行き来できる 2.5 いざというときに相談したり助け合える 28.8 普段から相談したり助け合っている 8.4 近所付き合いはしたくない 2.6 その他 0.5 無回答 1.4 出典:「福岡市の保健福祉に関する意識調査報告書(令和元年度)」(福岡市) (89ページ) (5)見守りや支え合いを基盤とする地域福祉活動 ○見守りや支え合いは、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域をめざす地域包括ケアの取組みをはじめ、障がいや子どもなど様々な属性の課題解決に向けた取組みの基盤となるものです。 ○地域においては、保健医療福祉の専門職が関わる中で、地域住民が出会い、お互いを知る場や学び合う機会を設けることを通じて、新たなつながりができ、地域住民同士の気にかけ合う関係性が生まれている事例も見られます。また、地域の様々な方が気軽に集う場となっている「地域カフェ※1」の広がりとともに、地域住民やボランティア団体等による「子ども食堂」「認知症カフェ※2」など、多様な社会的課題の解決に向けた取組みが広がっています。 ○さらに、商業地、農業地域など、多様な地域性を抱える福岡市においては、これまで保健福祉以外の政策領域においても、地域とともに様々な取組みを行っており、このような施策の推進は、一人ひとりの多様な参加の機会の創出や地域社会の持続という観点からも重要です。 【施策の方向性】 ○地域コミュニティにおいて、個人が自身の「やりがい」や「生きがい」を育むことができるよう、絆づくりの推進に向けた取組みを支援します。 ○地域における見守りや支え合い、多様な参加の機会を確保する通いの場の充実など、高齢者や障がい者、子どもなどあらゆる属性の課題解決の基盤となる地域福祉の取組みを推進します。 ○一人ひとりの多様な参加の機会の創出や地域社会の持続という観点から、コミュニティ支援をはじめ、商店街振興やまちづくりなど、保健福祉以外の政策領域についても、市が持つ多様な社会資源※3の活用や、施策の連携促進を図ります。 ※1 地域カフェ:277ページ参照 ※2 認知症カフェ:278ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 (90ページ) 施策2-1 絆づくりの推進 ○身近で、楽しく、魅力ある活動が行われるよう、地域団体による様々な活動の実施を支援します。 ○楽しい活動や参加する人のやりがいや生きがいにつながるような取組みを増やすため、地域の特性を生かした様々な工夫や人材の活用などを行っている他の地域の先進事例の共有化を図ります。 ○自治協議会※1や自治会・町内会の活動状況を地域住民に広く周知することにより、自治会・町内会の役割の重要性と加入の必要性への理解を促進します。 ○地域コミュニティの重要性について、マンションオーナーや管理会社・管理組合への理解の促進を図ります。 ○地域住民が気軽に立ち寄れる、地域住民等の運営によるふれあいサロン※2や地域カフェ※3など、人と人とのつながりを豊かにする様々な集いの場の立ち上げや運営を支援します。 ○外国人との共生を進めるため、転入手続き時に生活ガイダンスを実施するなど、生活ルール・マナーなどの情報提供を行うとともに、外国人住民との交流を支援します。 【現在の主な事業】 <1>地域デビュー応援事業:自治会・町内会が行う、幅広い世代の住民が気軽に楽しく参加し、交流できるような工夫を凝らした新たな取組みの支援 <2>“共創”自治協議会サミット:自治協議会などでの特色ある活動事例の紹介 <3>共創自治協議会事業:自治協議会が主体的に行うまちづくり活動を支援し、地域住民の交流の場づくりや地域役員等の担い手づくりなど、住みよいまちづくりに向けた共創※4の取組みを推進 <4>多様な居場所づくりの支援<社協>:ふれあいサロンや地域カフェ、家族介護者のつどい、子ども食堂等、住民の様々な交流の場づくり(立ち上げ、運営)の支援 <5>各種事例集の発行<社協>:生活支援ボランティアグループ活動や多様な主体との共働による地域活動、企業の社会貢献活動等、先進的な事例の情報を集めた事例集の発行・共有化 ※1 自治協議会:276ページ参照 ※2 ふれあいサロン:279ページ参照 ※3 地域カフェ:277ページ参照 ※4 共創:276ページ参照 (91ページ) コラム 共創の地域づくりについて  福岡市では、2004年度(平成16年度)から小学校区を基本的な単位とする「自治協議会制度」を開始し、まちづくりにおける共働のパートナーとして、取組みを推進してきました。  これまでに多くの校区で「自治の確立」が進みましたが、2014年(平成26年)7月に「地域のまち・絆づくり検討委員会」を設置し、地域コミュニティによるまちづくりの推進と、それに向けた地域と行政のあり方について検討を行い、2015年(平成27年)10月に提言をいただきました。  いただいた提言を基に、2016年度(平成28年度)からは、企業NPO、大学など様々な主体を巻き込みながら、地域の未来を共に創る「共創」の取組みを推進しています。 (写真)地域の若手・専門学校・事業者による祭り コラム 外国人との共生について  福岡市は、在住外国人が年々増加し、これまで、多言語による情報提供、生活ルール・マナーの紹介、日本語習得の促進、外国人住民との交流支援、相談窓口の設置など、様々な支援を行っています。  今般、深刻な人手不足に対応するため、在留資格「特定技能」が創設され(2019年[平成31年]4月施行)、新たな外国人材の受け入れが開始しており、より一層、外国人にも住みやすいまちづくりが必要となっています。  外国人との共生は、外国人が、日本の風土・文化を理解するよう努めていくことに加え、受け入れる側の日本人も、共生社会の実現について理解し、協力するよう努めていくことが重要です。  福岡市においては、小学校区単位の取組みとして、地域のイベントなどの情報提供について、難しい言葉を言い替えたり、ルビをふるなどの「やさしい日本語」を活用し、外国人住民との交流を進める取組みなどがはじまっています。 (写真)地域における外国人住民との交流 (92ページ) 施策2-2 校区・地区における主体的な福祉のまちづくりへの支援 ○地域住民が自分たちの住む地域の課題を主体的に考え、共有し、解決に向けて取り組んでいくために、校区社協や自治協議会※1等の地域団体による「校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画※2)」の策定を市社協と連携して支援していきます。 ○地域の健康課題を「見える化」し、校区保健事業懇談会において共有及び方針の協議を行い、主体的に地域住民が健康なまちづくりを推進していけるように支援します。 ○地域住民が自分の地域に愛着が持てるよう、地域の魅力や特性を住民が共有し、幅広い多くの住民の参画により、楽しくやりがいをもってまちづくりに取り組めるよう支援します。 【現在の主な事業】 <1>校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の作成支援<社協>:住民が地域の課題を共有し、めざす地域像や解決策を話し合う場(福祉座談会など)を設け、地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し、住民等へ広く周知する取組みを支援 <2>校区福祉座談会事業<社協>:地域住民ワークショップなどの手法を活用しながら地域の実情を知り、課題を把握・共有し、解決策を検討する場として座談会を開催 <3>校区ビジョンの策定支援:ワークショップ等の手法を活用し、校区の将来像や目標等(ビジョン)を策定する自治協議会等への支援 <4>地域ケア会議の開催:小学校区レベルにおける地域ケア会議など、地域課題の発見や地域づくりなどを通して、それぞれの実情にあわせた取組みにつなげるため、地域住民、関係機関・団体、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※3、行政等が、地域の高齢者の課題について意見交換を実施 <5>校区保健福祉事業懇談会:地域との共働※4による保健福祉事業を推進するため、校区の各団体代表と校区の保健福祉の課題等について情報を共有するとともに、方針や連携体制について協議を実施 ※1 自治協議会:276ページ参照 ※2 地域福祉活動計画:278ページ参照 ※3 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※4 共働:276ページ参照 (93ページ) 施策2-3 見守りと支え合い活動の推進 ○高齢者や障がいのある人、子どもや子育て家庭など、地域において支援を要する人々に関する情報交換と日常的な見守り活動ができるよう、地域福祉ソーシャルワーカー※1を配置し、ふれあいネットワークの拡充を支援するとともに、支援を要する人々が地域で社会参加できるよう環境を整えます。 ○ふれあいネットワークなどによる地域の見守り、介護保険サービスなどの福祉サービスを利用する中での見守りのほか、企業の家庭訪問業務を見守りに活かす「福岡見守るっ隊」の取組みを進め、重層的な見守り体制を構築します。 ○地域や校区で行われている様々な団体の支え合い活動を推進します。 ○定期的な交流や運動プログラム等を通して孤立や認知症、介護予防を図るふれあいサロン※2について、さらなる拡充を支援します。 ○元気な高齢者がちょっとした生活支援ボランティア活動に参加したり、身近な場所に集い会話を楽しんだりすることには、介護予防の効果も認められており、社会参加・生活支援・介護予防のつながりに着目した取組みを進めます。 ○高齢者の生活支援・介護予防活動の充実等を図るため、生活支援コーディネーター※3の配置を進め、行政、社協、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※4等の関係主体が連携し、地域資源の発掘や担い手の養成などの資源開発、関係者間の情報共有や連携体制づくりなどのネットワーク構築、さらに住民ニーズとサービス資源のマッチングなど、多様な主体による多様な支援の充実を図ります。 【身近な地域における子育て支援の充実】 ○地域全体で子どもと子育て家庭を見守り支える環境をつくるため、身近な地域において乳幼児の親子や子どもたちが集い、安全に安心して活動できる交流の場や機会の提供、一時預け先の確保、身近な子育て相談、地域における人材の育成などに取り組みます。(施策3) 「主な事業」 ・地域子育て交流支援事業 ・地域ぐるみの子育てネットワークづくり ・ファミリー・サポート・センター事業(子育て援助活動支援事業) ・こんにちは赤ちゃん訪問事業など ※第5次子ども総合計画より抜粋 【現在の主な事業】 <1>ふれあいネットワーク<社協>:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 ※1 地域福祉ソーシャルワーカー:278ページ参照 ※2 ふれあいサロン:279ページ参照 ※3 生活支援コーディネーター:277ページ参照 ※4 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 (94ページ) <2>ふれあいサロン<社協>:閉じこもりがちな高齢者や障がいのある人等の孤立防止や介護予防、生きがいと健康づくり等を目的に、レクリエーションなどサロン活動を実施 <3>家族介護者支援<社協>:在宅で家族を介護している人を身近な地域で支える取組みを支援 <4>地域福祉ソーシャルワーカー(CSW)の配置<社協>:区社協の校区担当職員を全員地域福祉ソーシャルワーカー(CSW)として配置し、各区社協が蓄積した支援ノウハウや先進事例等を共有し、地域での見守りの仕組みづくりや居場所づくり、助け合い活動を支援 <5>福祉有償運送※1:NPO団体等が実施する福祉有償運送について、運送運営協議会を主宰するとともに、相談や実施団体への助言、指導、ボランティア運転手の養成支援などを実施 <6>生活支援体制整備事業:生活支援コーディネーターの配置などにより、地域における資源開発やネットワーク構築、ニーズとサービスのマッチングを実施、多様な主体による多様な支援の充実を促進 <7>生活支援ボランティアグループ支援(ご近所お助け隊支援事業)<社協>:日常のちょっとした困りごとを解決するボランティアグループの立ち上げ・運営や、元気高齢者の活躍の場として活動につなぐ支援を実施 グループに対し活動経費の一部を助成 <8>地域との協働による買い物等支援推進事業:買い物支援推進員を設置し、企業・事業所等の地域資源の掘り起こしを進め、これと地域をマッチングすることで、地域の特性やニーズに応じた、多様で持続可能な買い物支援の仕組みを構築 施策2-4 見守りと災害時の助け合いの連携 ○日頃から災害時の避難等に支援を要する人々(以下、「要支援者」という。)に関する情報交換や見守り活動の充実を支援します。 ○地域の自主防災組織※2などが行う防災訓練への住民の参加を促すとともに、要支援者への情報伝達や避難支援等を含む防災訓練が実施されるよう支援します。 ○災害対策基本法の定めにより、災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に、特に避難支援等を要する者の名簿(以下、「避難行動要支援者名簿※3」という。)を作成し、名簿情報(以下、この頁において「情報」という。)を提供することについて、本人の同意を得た者(福岡市避難行動要支援者名簿の提供に関する条例に基づき、同意したものと推定する者を含む)の情報を災害の発生に備え、避難支援等の実施に携わる関係者(以下、「避難支援等関係者」という。)に提供します。 ○個別避難計画※4作成に関するワークショップの実施や避難行動要支援者名簿の活用に関する手引きを作成・配布するなど、避難行動要支援者名簿制度の周知に努め、避難支援等関係者による災害時の避難支援等を促進します。 ○また、名簿情報の提供に際しては、情報の提供を受ける者に対して、情報漏えい防止のための措置を講じます。 ※1 福祉有償運送:279ページ参照 ※2 自主防災組織:276ページ参照 ※3 避難行動要支援者名簿:279ページ参照 ※4 個別避難計画:災害時の円滑な避難支援等につなげるため事前に作成しておく、避難行動要支援者の支援計画。 (95ページ) ○要配慮者については、その健康状態などに留意し、必要に応じて、避難所内に福祉避難室※1を設けるとともに、避難所での生活が困難な要配慮者のための福祉避難所※2の確保を行います。さらに市社協が運営する災害ボランティアセンターとの連携により、災害時の支援体制を構築するとともに、避難所や災害ボランティアセンターの運営に関しては、地域住民やボランティア、NPOや大学・企業等、多様な主体との連携・共働※3に努めます。 ○避難所の運営においては、男女双方の視点や性的マイノリティ、高齢者、障がい者、外国人等の視点にも配慮し、適切な支援に努めます。 ○指定避難所以外の避難者(車中泊・テント泊・在宅)については、ICT(情報通信技術)の活用や地域の協力などにより、必要な支援を行います。 ○災害情報の取得が難しい聴覚・視覚障がい者や外国人、観光客、ビジネス客に対しても、避難情報の提供や避難場所の周知について配慮します。 【現在の主な事業】 <1>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <2>災害ボランティア活動推進事業<社協>:災害への備えについて市民意識の向上を図るとともに、災害時の支援活動に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・講座・訓練を実施 <3>「地域福祉活動における個人情報共有化に関する取扱いの指針」の普及啓発出前講座<社協>:個人情報の保護と活用についての正しい理解を促し、地域で個人情報の取扱いのルール作りが進むよう、地域福祉活動推進の視点から作成した指針を活用した出前講座を実施 <4>福祉避難所:福祉施設等と福祉避難所に関する協定を締結し、避難所での生活が困難な者を受け入れるための二次避難所として開設 【関連する施策】 ※災害対策の推進については、高齢者分野の施策2-4参照及び障がい者分野の施策1-6参照 ※1 福祉避難室:279ページ参照 ※2 福祉避難所:279ページ参照 ※3 共働:276ページ参照 (96ページ) 施策2-5 地域と連携した様々な分野の課題解決の取組み ○地域における見守りや支え合いは、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域をめざす地域包括ケアの取組みをはじめ、障がいや子どもなど様々な属性の課題解決に向けた取組みの基盤であり、引き続き、関係施策を着実に推進するとともに、施策間の連携促進を図ります。 ○福岡市が商業地、農業地域など、多様な地域性を抱えることを踏まえ、一人ひとりの多様な参加の機会の創出や地域社会の持続という観点から、コミュニティ支援をはじめ、商店街振興やまちづくりなど、保健福祉以外の政策領域についても、市が持つ多様な社会資源※1の活用や、施策間の連携促進を図ります。 【図表58】 地域福祉の基盤となる見守りや支え合い 図  以下は、図の説明。  「見守り・支え合い(地域福祉の基盤)」と書かれた円の周りを8つの丸が囲んでいる。それぞれの円に書かれた内容を記す。  防犯・防災  障がい者支援  高齢者支援  子育て支援  (保健福祉以外の分野との連携)  コミュニティ支援  まちづくり  商店街振興  農業漁業振興 資料:福岡市 【地域包括ケアの推進(高齢者分野 基本目標1)】  「地域包括ケア」とは、高齢になっても誰もが住み慣れた地域で自立した生活を安心して続けることができるよう、医療や介護、生活支援などのサービスが一体的に切れ目なく提供される仕組みです。  医療や介護等の多職種や地域住民との共働※2のもと、個別ケースの支援のあり方の検討や地域の関係機関相互のネットワークの構築等を図るため、「地域ケア会議※3」の開催や、医療介護の連携、生活支援・介護予防活動の充実など、地域の実情に応じた様々な取組みを進めています。 ※1 社会資源:277ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 ※3 地域ケア会議:111ページ参照 (97ページ) 【住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくり(障がい者分野 施策1-1)】 障がい者及び障がい児の地域生活支援体制を構築し、福祉の増進を図るため、「障がい者等地域生活支援協議会」において関係機関、関係団体が相互の連携を図り、地域における障がい者・児への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備等について協議を進めるなど、障がいの有無に関わらず、すべての人が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会を実現するための取組みを進めています。 【子どもの健やかな育成に向けた地域や市民との共働、社会全体での支援(第5次子ども総合計画 基本的視点)】  第5次子ども総合計画において、すべての子どもが夢を描けるまちをめざして、すべての子どもの権利の尊重(視点1)、地域や市民との共働(視点4)、社会全体での支援(視点5)など、施策の推進にあたって必要となる5つの基本的視点を掲げ、施策の充実強化に取り組んでいます。 コラム 商店街振興について  福岡市には138(平成29年度福岡市商店街実態調査)の商店街があります。  商店街は、買い物をする場所であるのみならず、買い物に来た地域住民の憩いの場であるほか、地域のイベントや防犯・防災等の地域コミュニティ活動の一翼を担うなど、地域に住む人々とともにコミュニティを形成し、地域の暮らしを支える生活基盤として、多様なコミュニティ機能を担ってきました。  近年では、高齢化が進展する中、買い物困難者(買い物弱者)の問題が大変重要な課題となり、地域の商店街が、地元自治協議会※1や社会福祉協議会※2、校区内の企業と一緒に、その解決に取り組む例も見られます。  福岡市では、商店街が取り組む少子化・高齢化等の地域課題の解決に向けた事業に対し、一部費用を助成するなどして支援を行っています。 (写真)商店街と地域が取り組む買い物支援 ※1 自治協議会:276ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (98ページ) 【基本目標3】人づくりと拠点づくり 〈現状と課題〉 (1)地域における福祉教育の推進 ○より多くの人々が地域の支え合い・助け合い活動に参加するためには、自分たちが住む地域について考え、主体を形成するための福祉教育が基盤となります。福祉教育においては、子どもの豊かな成長の促進から地域福祉の推進まで、幅広い分野がテーマとなります。このため、子どもから大人まで学べる福祉教育の場が必要であり、学校や企業、地域での集まり、各種セミナー等において、福祉に関する様々な学習の機会や情報、福祉体験、交流の場を提供していく必要があります。 (2)地域福祉活動の拠点 ○同世代や同じ属性の住民が交流することを目的とした場や居場所は、共通の問題を抱える人同士が共感し合い、仲間となり、思いを分かち合うことができ、他者や社会とつながるきっかけともなることから、引き続き、多様に存在していくことが必要です。 ○さらに、住民の創意や自主性を受け止めることで、地域住民同士の関係性が多様に広がっていくことを促していくため、年齢や性別等の属性を超えて住民同士が交流できる場や居場所の必要性も高まっています。 ○福岡市の地域福祉活動の拠点として、校区レベルでは、公民館がその役割を担っており、引き続き、地域コミュニティ支援の中心的な役割が求められています。 ○公民館のほかにも、ボランティア活動者をはじめとした市民の福祉の全市レベルの拠点施設として「市民福祉プラザ」が、区レベルで市民活動に用いることが可能な施設として市民センター、老人福祉センター※1があり、校区レベルでは老人いこいの家※2があります。 ○地域福祉活動を推進するためには、活動拠点や交流の場を望む声が多く、身近な場所での拠点づくりを進める必要があります。 ※1 老人福祉センター:102ページ参照 ※2 老人いこいの家:102ページ参照 (99ページ) 【施策の方向性】 ○身近な地域における地域福祉活動や、高齢者や障がいのある人、子ども、外国人など支援が必要な人との関わり合い、研修等の機会を通じて、地域ぐるみで福祉を学び合う取組みを進めます。 ○他者や社会とつながるきっかけとなる場づくりを促進するため、公民館や老人福祉センター等の活用のほか、空家の福祉的な活用を支援するなど、地域福祉の拠点づくりを進めます。 (100ページ) 施策3-1 地域で活躍できる人づくり・福祉教育 ○社協※1等と連携し、地域で活動している人たちを対象とした講座の開催や、地域福祉活動へのアドバイスなどを行い、人材の育成を支援します。また、地域における研修等の機会を通して、自分たちの住む地域の課題を地域ぐるみで考える機会の提供や、地域住民をまとめ、牽引し、地域の福祉課題を解決する具体的な行動や実践に結びつけられるリーダーの育成を図ります。さらに、地域福祉活動に参加していない住民への広報・啓発など、人材の掘り起こしを意識した事業の実施を支援します。 ○高齢者や障がいのある人と交流する機会を提供するなど、様々な場面を通じて、高齢者や障がいのある人への理解を促進する取組みを進めます。 ○高齢となっても自らの知識や能力を生かして地域福祉活動やボランティア活動に参加、活躍できるようにシニア向けのボランティア講座などを開催します。また、学生など若い世代が地域福祉活動に参加できるように、大学や社協等と連携し、学生ボランティアと地域を結びつける支援を行います。 ○地域活動に取り組む人材を育成する研修会を開催するなど、支え手のスキルアップの支援を行います。また、女性リーダーを育成するための講座を開催するなど、地域の諸団体における女性の活躍を促進するための支援を行います。 【現在の主な事業】 <1>出前福祉講座<社協>【再掲】:学校、企業等に出向き、身体障がい者や高齢者の疑似体験等を通じて、福祉やボランティア活動への理解を深め、活動への参加の動機付けを実施 <2>校区福祉座談会事業<社協>【再掲】:地域住民ワークショップなどの手法を活用しながら地域の実情を知り、課題を把握・共有し、解決策を検討する場として座談会を開催 <3>校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画※2)の作成支援<社協>【再掲】:住民が地域の課題を共有し、めざす地域像や解決策を話し合う場(福祉座談会など)を設け、地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し、住民等へ広く周知する取組みを支援 <4>シニア地域サポーター養成事業<社協>:シニア世代を中心とした地域福祉活動のボランティア養成講座を実施 <5>公民館主催事業:地域活動ボランティア関連など、地域の実態に即した講座や、社会の動向に対応した講座等を実施 <6>「まなびアイふくおか」による情報提供:地域における市民の主体的な学習活動を支援するため、福岡市学習情報提供システム「まなびアイふくおか」(ホームページ)で講座・イベント情報や講師・指導者情報、公民館情報などの生涯学習に関する様々な情報を発信 <7>ふくおか共創プロジェクト:様々な主体を個別につなぐ専門スタッフ「共創コネクター」の配置や、興味ややりたいことを形にして活動につなげる「地域デザインの学校」の取組みなど、地域の活性化や課題解決に向けた新たな取組みを支援。地域とともに地域活動に取り組んでいる企業等の事例発表や、地域と企業等のマッチングを行うセミナー等の開催 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 地域福祉活動計画:278ページ参照 (101ページ) 【関連する施策】 ※支え合う環境づくりと福祉・介護人材※1の確保については、高齢者分野の施策2-3参照 ※認知症に関する理解促進については、高齢者分野の施策5-1参照 施策3-2 地域活動の促進に向けた環境整備 ○老人福祉センター※2について、高齢者の社会参加活動の拠点として講座や相談など様々な事業を実施するとともに、健康づくりや就業支援による生きがいづくりの機能強化を図ります。また、老人福祉センター及び老人いこいの家※3で行われる様々な活動を支援します。 ○公民館について、地域コミュニティ活動を支援するため、地域団体等と連携し、人材育成・発掘のための取組みを実施するとともに、公民館だより等を活用し、地域の活動などの情報発信を支援していきます。 ○地域の空家を居場所などの福祉目的に活用するため、市社協※4が実施する、空家を貸したい人と借りたい人のマッチングなどの取組みを支援します。 【身近な地域における子育て支援の充実】 ○地域全体で子どもと子育て家庭を見守り支える環境をつくるため、身近な地域において乳幼児の親子や子どもたちが集い、安全に安心して活動できる交流の場や機会の提供、一時預け先の確保、身近な子育て相談、地域における人材の育成などに取り組みます。(施策3) 「主な事業」 ・子どもプラザ(地域子育て支援拠点事業) 【子どもの居場所や体験機会の充実】 ○放課後や長期休暇などに子どもたちが安全に過ごし、それぞれの状況に応じて主体的に活動できる場を充実させるとともに、地域における居場所づくりや支え合いの活動を支援します。(施策6) ※第5次子ども総合計画より抜粋 【現在の主な事業】 <1>福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ):市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し、相互に助け合い、支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として、市民福祉の総合相談・支援センターを設置・運営 <2>企業や福祉施設との連携<社協>:企業や福祉施設が保有するスペース、資機材、人材、スキルの活用等に向けたコーディネートの実施 ※1 介護人材:276ページ参照 ※2 老人福祉センター:102ページ参照 ※3 老人いこいの家:102ページ参照 ※4 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (102ページ) <3>老人福祉センター:高齢者の健康の増進、教養の向上、レクリエーション、就業の支援による生きがいづくり及び各種相談等に関する事業を実施するため老人福祉センターを設置・運営 <4>老人いこいの家:高齢者に対して教養の向上、レクリエーション及び相互親睦のための場を提供し、高齢者福祉の増進を図るため、老人いこいの家を設置・運営 <5>多様な居場所づくりの支援<社協>【再掲】:ふれあいサロン※1や地域カフェ※2、家族介護者のつどい、子ども食堂等、住民の様々な交流の場づくり(立ち上げ、運営)の支援 <6>社会貢献型空家バンク事業<社協>:空家を子ども食堂や地域サロン、高齢・障がい福祉事業所等の活動拠点とするため、法務・税務・建築等の各種専門家と共働※3して総合相談窓口を設置・運営し、空家の福祉活用を推進 <7>子どもの食と居場所づくり支援事業:子どもたちへの温かい食事の提供に加えて、調理や学習支援、昔遊びなどの居場所づくり活動を行うNPOやボランティア団体等に対し、活動経費を一部助成 <8>地域の子どもプロジェクト<社協>:子ども食堂などの子どもの居場所の立ち上げ支援や、福祉施設、大学など多様な社会資源※4との連携・共働により、地域の居場所での学習支援や生活の知恵、文化、生活習慣の伝承等を実施 ※1 ふれあいサロン:279ページ参照 ※2 地域カフェ:277ページ参照 ※3 共働:276ページ参照 ※4 社会資源:277ページ参照 コラム 魅力ある地域の公園づくりについて  みなさんの身近にある公園も、あらゆる世代の方々が様々な活動を行うことができる貴重な場所であり、健康づくりや多世代交流、地域活動の場としても大きな役割を果たすポテンシャルを持っています。  福岡市では、公園活用の自由度を高めるため、公園利用者や地域の方々で話し合って、みなさん自身で公園の利用ルールを作り、地域で公園を管理運営することで、これまでの公園では実施の難しかったバーベキューやフリーマーケットなどの様々なイベントをできるようにする「コミュニティパーク事業」を展開するなど、地域にとって使いやすく魅力的な公園づくりを進めるとともに、地域コミュニティの活性化に寄与することをめざしています。 (写真)地域の春祭り(田隈中公園)(たぐまなかこうえん) (103ページ) 【基本目標4】多様な主体との連携・共働※1による地域づくり 〈現状と課題〉 (1)地域福祉活動の推進と多様な主体 ○地域の支え合い活動は、校区や自治会・町内会等の身近な場で行われていますが、より広い範囲での活動や、より組織的な仕組みの中での活動を望む市民も増えています。また、地域の事業所・施設・病院・企業等も地域社会の一員です。 ○様々な形態で活動する市民が増えることは、地域共生社会※2の実現をめざし、複雑化・複合化する地域課題・生活課題の解決に向けた取組みを進めるにあたっても有用であり、このような多様な主体と連携して地域の絆づくり・支え合いを支援することが必要です。 ○超高齢社会を迎え、介護等のニーズが増大する中で、在宅生活を送る高齢者を支えるには、住民による支え合い活動や専門職の確保にも限界があり、また、在宅生活の維持に必要なサービスをすべて介護保険制度等の公的施策で賄うことも難しくなります。多様で効率的かつ良好な民間福祉サービスなど、民間のビジネスの力を今後さらに活用することが必要です。 (2)社会福祉法人、NPO、企業等との連携 ○2016年(平成28年)の社会福祉法の改正において、社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ、各法人が創意工夫をこらした多様な地域における公益的な取組みを推進するなど、社会福祉法人の地域社会への貢献が求められています。 ○また、2020年(令和2年)6月の社会福祉法改正において、社会福祉法人が、経営基盤の強化を図るとともに、複雑化・多様化する福祉ニーズに対応することができるよう、新たな連携方策として、社会福祉連携推進法人※3制度が創設されています。 ○近年、大学等が地域に入り、地域の住民やNPO等とともに、地域の課題解決や地域づくりに継続的に参画し、地域の活性化や人材育成に資する取組みが拡大しています。こうした取組みは、大学等や地域にとって双方にメリットがあり、さらなる充実が望まれています。 ※1 共働:276ページ参照 ※2 地域共生社会:277ページ参照 ※3 社会福祉連携推進法人:277ページ参照 (104ページ) ○現在、地域において、コミュニティの成長と豊かな社会づくりをめざし、SDGs※1(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)を実施指針とするなど、CSR※2(社会貢献活動)を積極的に推進する企業も増えています。 ○市民が自ら社会の課題解決に参加する姿として、個人個人が様々なボランティア活動に参加したり、ボランティアグループを結成して活動したりする形があります。また、より事業性を高めた活動をめざして、NPOという形が選択されることも多くなっています。 ○NPO活動やボランティア活動全般については、NPO・ボランティア交流センター(あすみん)を拠点とし、また、社協※3が運営するボランティアセンターでは、福祉ボランティア活動を中心に、その支援を行っています。 ○福岡市では市社協がボランティアセンターを設置し、ボランティアの育成やコーディネートを行っていますが、複雑化・複合化する課題への対応力の向上を図るため、コーディネートの幅を企業にも広げるなど、ボランティアセンターの機能強化が求められます。 ○NPOには介護などの福祉事業を主としている団体もあり、社協ボランティアセンターとNPO・ボランティア交流センター(あすみん)は、より連携を深め、ボランティアやNPOなど広範な市民活動のさらなる拡充を図る必要があります。 ○地域社会を構成する多様な主体が、様々な取組みを主体的に実践していくとともに、相互に連携を図り、共働していくことが大切です。 (3)ICT(情報通信技術)等の利活用 ○近年ICTの進歩は目覚ましいものがあります。地域福祉活動の支え手の負担を軽減していくためには、こうした最新の技術の利活用を積極的に進めていく必要があります。 ○ICTの利活用にあたっては、近年のICT機器の普及等を踏まえ、積極的な情報発信に活用するとともに、ICTに馴染みのない方も多いことを踏まえ、利用率が他の世代に比べて低い高齢者のICTを使いこなす能力の向上を図るなど、ICTの活用が難しい方のアクセシビリティに配慮したアプローチが重要となります。 ○専門領域においては、保健・福祉・医療に関する情報や、各種の社会資源※4情報を一元的に集約・管理することで、エビデンス(科学的根拠)や蓄積されたデータの分析に基づく、より効果的な施策の企画・実施・評価ができる環境づくりとともに、地域包括ケアシステム※5に必要な多職種連携や、住民に対する切れ目のないサービス提供を図っています。 ※1 SDGs:275ページ参照 ※2 CSR:275ページ参照 ※3 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 社会資源:277ページ参照 ※5 地域包括ケアシステム:278ページ参照 (105ページ) ○少子高齢化の進展や厳しい財政状況に直面する中で、市民にとって必要度の高い事業を実施するためには、限りある資源を最大限に活用し、健康寿命※1の延伸など具体的な成果を得られる施策を展開する必要があり、そのためには、より信頼性の高いエビデンスを、できる限り収集・活用して施策を行っていくことが効果的です。 【施策の方向性】 ○社会福祉法人・民間企業・大学や福祉人材※2などの専門職や、NPO等の専門知識や専門技術など、あらゆる社会資源を活用した支援の仕組みづくりを進めます。 ○福祉人材不足等の様々な課題の解決や、より効率的・効果的な施策展開を図るため、ICT、AI(人工知能)やIoT※3、ロボットなどの最新技術や、エビデンスの活用に向けた取組みを進めます。 ※1 健康寿命:276ページ参照 ※2 福祉人材:279ページ参照 ※3 IoT:275ページ参照 (106ページ) 施策4-1 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 ○近年では福祉課題に取り組む各種ボランティアグループやNPO等のほか、SDGs※1を実施指針とするなどCDR※2(社会貢献活動)の一環として地域活動に取り組む企業が増えており、様々な主体が地域福祉の推進の一翼を担っていけるよう支援します。 ○企業等の地域への参加による地域活動の活性化や、ビジネスの力による地域課題の解決を図るため、セミナー等の開催や、企業等と地域とのマッチングなどの支援を実施します。 ○地域における公益的な取組みが責務とされている社会福祉法人による地域福祉、社会福祉の向上に向けた活動を、社協※3と連携して支援します。 ○ボランティア・NPO活動の拡充に向け、社協ボランティアセンターの活性化を図ります。 ○ボランティアセンターとNPO・ボランティア交流センター(あすみん)が連携を図ることにより、テーマ型の活動団体であるNPOをエリア型の活動団体である校区社協や自治協議会※4につなぎ、地域の課題解決を進めます。 【現在の主な事業】 <1>社会福祉法人による地域における公益的な取組みに向けた共働※5<社協>:市社協施設部会、各種別協議会、既存の事業所ネットワーク等の場を活用、社会福祉法人による地域における公益的な取組みについて提案や支援を実施 <2>企業ボランティア育成事業<社協>:勤労者がボランティアや社会貢献活動に参画できるよう、ボランティア体験プログラムを提供 <3>ボランティアセンター<社協>:ボランティア活動に関する相談・登録・斡旋、ボランティアの育成、ボランティア活動に関する広報・情報提供等を目的とし、ボランティアセンターを設置 <4>ボランティアコーディネーション事業<社協>:市民の技能や知識・経験を活用し、人材発掘やボランティアへの紹介調整を行い、地域課題の解決等の支援を実施 <5>NPO・ボランティア交流センター(あすみん):NPOやボランティアなどによる市民公益活動に関する情報・交流の場を提供するため設置 <6>ふくおか共創プロジェクト【再掲】:様々な主体を個別につなぐ専門スタッフ「共創コネクター」の配置や、興味ややりたいことを形にして活動につなげる「地域デザインの学校」の取組みなど、地域の活性化や課題解決に向けた新たな取組みを支援 地域とともに地域活動に取り組んでいる企業等の事例発表や、地域と企業等のマッチングを行うセミナー等の開催 ※1 SDGs:275ページ参照 ※2 CDR:275ページ参照 ※3 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 自治協議会:276ページ参照 ※5 共働:276ページ参照 (107ページ) <7>地域との協働による買い物等支援推進事業【再掲】:買い物支援推進員を設置し、企業・事業所等の地域資源の掘り起こしを進め、これと地域をマッチングすることで、地域の特性やニーズに応じた、多様で持続可能な買い物支援の仕組みを構築 <8>福岡100PARTNERS(パートナーズ):福岡100がめざす誰もが健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現に向けた取組みを実践・応援する企業や大学を「福岡100 PARTNERS」として登録し、産学官民一体となった福岡100の機運醸成を推進 <9>災害ボランティア活動推進事業<社協>【再掲】:災害への備えについて市民意識の向上を図るとともに、災害時の支援活動に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・講座・訓練を実施 <10>企業と連携したファンドレイジングの取組み<社協>:寄付付き商品事業(コーズマーケティング)の推進等により、企業のSDGsやCSR活動と社会課題の解決のコーディネートを実施 施策4-2 ICT(情報通信技術)等の先進技術の利活用 ○高齢者の見守りや介護サービス、地域での支え合い・助け合い活動等にICTを取り入れるなど、新たな手法の導入により、効果的・効率的な事業へ向け見直しを図り、活動者の負担軽減を図ります。 ○医療や介護における人材不足や、重症化予防などの様々な課題解決を図るため、ICT、IoT※やAI(人工知能)などの先進技術の活用に向けた取組みを進めます。 ○医療や介護などの行政において蓄積されているデータの分析や、エビデンス(科学的根拠)の収集・活用を通して、より効率的・効果的な施策の立案と推進を図ります。 【現在の主な事業】 <1>地域包括ケア情報プラットフォーム構築事業:高齢者やその家族に多様なサービスが一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアの実現に向け、保健・医療・介護等に関するビッグデータを一元的に集約・管理する情報通信基盤を構築し、ICTの活用により、地域ニーズの見える化や医療・介護における多主体間の連携などを実現するシステム <2>認知症の人の見守りネットワーク事業:行方不明になった認知症の人の早期発見・保護や、介護者の負担軽減につながるよう、認知症の人の登録制度や、捜してメールの配信等を実施 【関連する施策】 ※ICT(情報通信技術)やロボット等の利活用については、高齢者分野の施策1-3参照 ※IoT:275ページ参照 (108ページ) コラム 地域福祉活動におけるICTの活用等について  近年、スマートフォンをはじめとするICT機器の機能向上などを背景に、ちょっとした連絡や情報共有のためにアプリを活用するなど、ICT活用のすそ野が広がっています。  地域によっては、ICT機器に慣れない高齢者などを対象に、独自に地域講座などを開催する取組みも実施されています。  福岡市社会福祉協議会※1は、地域の実情に応じて、支援者の負担軽減や、活動の幅を広げるとともに、感染症対策をきっかけとして「はなれても、つながる」ことができるよう、ふれあいサロン※2、ふれあいネットワークなどの小地域福祉活動にICTの活用などの工夫を取り入れるための支援手法の構築に取り組むなど、持続的で幅のある地域福祉活動の充実をめざしています。 (写真)地域主体でICTについて学ぶ取組み ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 ふれあいサロン:279ページ参照 (109ページ) 【基本目標5】包括的な相談支援ネットワークの充実 〈現状と課題〉 (1)地域と連携したネットワークづくり・参加支援 ○必要とする人に支援を届けるため、相談支援に関わる多職種や多機関の連携とともに、地域住民や自治会・町内会等の地域住民組織、民生委員※1をはじめ、地域の多様な関係者との連携体制を構築していくことが必要です。 ○地域と連携したネットワークづくりについては、地域包括ケアの実現に向けた取組みを中心として、地域の見守りや多職種、多機関との連携のほか、社会福祉法人やNPOといった専門性を持つ機関等との連携など、地域の実情に応じた多様なネットワーク構築に向けた取組みを進めています。 ○複合化・複雑化した課題の背景には、社会的孤立※2など関係性の貧困があり、自己肯定感や自己有用感を回復して「やりがい」や「生きがい」を引き出すためには、本人・世帯が、他者や地域、社会と関わり自分に合った役割を見出すための多様な接点を確保することが重要です。 (2)様々な課題による権利擁護※3の必要性 ○市民が自分らしい生活を自分の意思で決定することを可能とする尊厳のある暮らしは、誰もが望む重要なことですが、現実には、高齢者・障がいのある人・児童に対する虐待、配偶者による暴力など、市民生活の様々な場面で、人権が侵害される状況が生じており、社会全体で取り組むべき重要な課題となっています。 ○高齢化の進展に伴い大きく増加することが見込まれる認知症の人のほか、知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない人が、日常生活の基本であるお金・財産の管理、医療・介護・福祉などの社会サービスを本人の意思に基づき適切に利用(契約)できる環境を整えていくことが強く求められています。 (3)生活困窮者などへの支援 ○社会・経済の構造的な変化に対応し、生活困窮者への支援を強化するため、2015年(平成27年)4月から生活困窮者自立支援法が施行されました。制度の背景として、雇用状況の変化や少子高齢化の進行、単独世帯やひとり親家庭の増加といった世帯構造も大きく変化していることが挙げられます。 ※1 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※2 社会的孤立:277ページ参照 ※3 権利擁護:276ページ参照 (110ページ) ○生活困窮者自立支援制度では、相談者の抱える課題を支援員が一緒に整理し、解決に向けたプランを作成して、相談者に寄り添いながら自立に向けた支援を行います。 ○失業や高齢、障がい、病気など様々な事情で現に生活に困窮している人や、そのおそれのある人が自立した生活を送るためには、早期に支援につなげ、包括的に支援していく仕組みづくりが必要です。 (4)多様な課題への対応に向けた多機関協働の必要性 ○「複雑化・複合化」した地域生活課題や「社会的孤立」など、医療保険・年金・介護保険・雇用保険など、個々のリスクに対処する制度体系や、対象者別の既存の支援制度だけでは対応が困難な課題などが浮き彫りになっています。 ○複合的な課題を有している事例については、個別性が高いことに加え、その背景にひきこもり※1等の本人や家族の社会的孤立、精神面の不調の問題、教育問題など福祉領域以外の課題などが関係する場合も多く、本人や世帯の個々の状況に応じた柔軟かつ継続的な対応が必要となってきます。 ○少子高齢化の進展に伴い、低額所得者や高齢者、子どもを養育するものなど、住宅の確保に特に配慮を要する人の、多様化や増加が見込まれます。 ○このような複合的な課題に対応するためには、相談を受け止める機能の充実とともに、特定の相談機関や窓口がすべてを丸抱えするのではなく、支援関係者全体が連携し対応するため、多機関協働を進め、連携の機能を強化することが求められます。 【施策の方向性】 ○地域と連携して支援を届け、課題を抱えた人の参加機会を確保するため、地域特性に応じた多様な支援ネットワークの充実を図ります。 ○関係機関や地域住民と連携しながら、高齢者・障がいのある人・児童に対する虐待、配偶者による暴力などの未然防止や早期発見、成年後見制度※2の利用促進など、権利擁護の取組みの充実を図ります。 ○様々な課題や事情で生活に困窮した人などについて、早期に支援につなげ、包括的に寄り添いながら支援する取組みを進めます。 ○高齢者や障がい者など様々な分野の相談機関や、医療、介護をはじめとした多職種の連携を推進します。 ○これらの施策を通じて、包括的な支援体制の構築に向けた取組みを進めます。 ※1 ひきこもり:279ページ参照 ※2 成年後見制度:277ページ参照 (111ページ) 施策5-1 地域との連携による課題把握の仕組みづくり ○社会的孤立※1など様々な課題を抱える人が、自己肯定感や自己有用感を回復して「やりがい」や「生きがい」を引き出すため、他者や地域、社会と関わる機会の創出を図ります。 ○高齢者や障がい者などの相談支援に関わる多職種や多機関の連携とともに、地域住民や自治会・町内会等の地域住民組織、民生委員※2をはじめ、社会福祉法人、福祉事業所など、地域の多様な関係者による気づきや支援のネットワークの充実を図ります。 ○ネットワークの充実にあたっては、行政の取組みだけではなく、地域ごとの社会資源※3の状況や社会福祉連携推進法人※4制度など近年の制度改正等を踏まえ、社会福祉法人やNPOといった主体ごとの特性や専門性を活かした取組みを支援します。 ○社会的なつながりが弱い孤立者などの個別支援にも資するよう、社協※5等とも連携し、多様な地域のネットワークと連携した取組みを支援します。 【子ども家庭支援体制の充実】 ○子ども家庭総合支援拠点において、子どもプラザ(地域子育て支援拠点事業)、民生委員・児童委員や主任児童委員、社会福祉協議会の地域福祉ソーシャルワーカー※6、保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業者、学校などの各機関や、居場所づくり等の地域活動に関わる住民と連携し、より身近な場所で子どもや家庭に寄り添い、課題を早期に把握し、支援できる地域づくりを推進します。(施策10) ※第5次子ども総合計画より抜粋 【現在の主な事業】 <1>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <2>地域福祉ソーシャルワーカー(CSW)の配置<社協>【再掲】:区社協の校区担当職員を全員地域福祉ソーシャルワーカー(CSW)として配置し、各区社協が蓄積した支援ノウハウや先進事例等を共有し、地域での見守りの仕組みづくりや居場所づくり、助け合い活動を支援 <3>地域ケア会議:専門職や地域関係者などによる検討を通じ、それぞれの高齢者に対する支援の充実に向けた課題の発見・解決を図るとともに、個々の課題から見えてくる地域課題を発見し、必要な社会資源づくり、政策の検討につなげるための地域ケア会議を市、区、概ね中学校区、小学校区、個別レベルに設置 <4>ふくおかライフレスキュー事業への参画<社協>:社会福祉法により社会福祉法人の責務とされた「地域における公益的な取組み」として、福岡県社会福祉法人経営者協議会と福岡県社協が主管する「ふくおかライフレスキュー事業」に市社協が参画し、社会的に孤立し、必要であるにもかかわらず制度やサービス等につながっていない方などに対し、地域の社会福祉法人と協働して専門性や資源を生かした緊急的支援、制度の狭間にある生活課題の解決を図る支援を実施 ※1 社会的孤立:277ページ参照 ※2 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 ※4 社会福祉連携推進法人:277ページ参照 ※5 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※6 地域福祉ソーシャルワーカー:278ページ参照 (112ページ) 【関連する施策】 ※地域ケア会議の推進については、高齢者分野の施策1-2参照 ※認知症の人や家族への支援の充実については、高齢者分野の施策5-3参照 ※住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくりについては、障がい者分野の施策1-1参照 施策5-2 権利擁護※1の体制充実とサービスの利用支援 【権利擁護の取組み】 ○高齢者・障がいのある人・児童に対する虐待、配偶者による暴力などについて、未然防止に向けた啓発、見守りによる早期発見、通報先の周知を行い、関係機関と連携し対応していきます。 ○判断能力が十分でない人を対象に、契約に基づき、福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理を行う日常生活自立支援事業の普及・啓発とともに、事業の充実を図ります。 【児童虐待防止対策と在宅支援の強化】 ○区役所・要保護児童支援地域協議会を中心に、学校や医療機関などと連携し、虐待の未然防止から、早期発見・早期対応、再発防止、被害を受けた子どもの回復と自立まで、切れ目のない取組みを社会全体で推進します。(施策11) ※第5次子ども総合計画より抜粋 【成年後見制度※2の利用促進】 ○成年後見制度利用促進のための広報を行うとともに、家庭裁判所、権利擁護の相談窓口である県弁護士会、司法書士会や社会福祉士会などと、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※3、区障がい者基幹相談支援センター※4、区保健福祉センター、市社協※5との情報共有や連携強化に引き続き努めていきます。 ○国の成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ、「広報」「相談」「成年後見制度利用促進(支援内容や後見人等候補者の検討等)」「後見人支援」などの機能を担い、成年後見制度の利用促進に向けた中核的な役割を果たす機関を設置し、その機能を段階的に整備していきます。 ○本人の身近な親族や福祉・医療・地域の関係者が、権利擁護の必要な人の発見・支援に努め、早期の段階から本人と関わり支援できるよう、地域連携ネットワークづくりに取り組みます。 ○地域連携ネットワークの機能・役割が適切に発揮されるよう、専門職団体、医療・金融等の関係機関や団体、家庭裁判所、行政等の関係者が集まり、協議できる場づくりに取り組みます。 ※1 権利擁護:276ページ参照 ※2 成年後見制度:277ページ参照 ※3 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※4 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 ※5 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (113ページ) 【図表59】成年後見制度に係る地域連携ネットワーク 図 ○地域連携ネットワークの役割  権利擁護支援の必要な人の発見・支援  早期の段階からの相談・対応体制の整備  意思決定支援・身上保護を重視した青年後見制度の運用に資する支援体制の構築 ○地域連携ネットワークの機能  広報機能、相談機能、利用促進機能、後見人支援機能、不正防止効果  以下は、図の説明。  協議会の中には、本人(認知症の人)のチーム(後見人等、ケアマネジャー、医療機関、介護サービス事業者)と本人(障がいのある人)のチーム(後見人等、相談支援専門員、医療機関、障がい福祉サービス事業者)がある。  いききセンターふくおか(地域包括支援センター)、区障がい者基幹相談支援センター、社会福祉協議会、民生委員・自治協議会等地域関係団体、弁護士会・司法書士会・社会福祉士会等専門職団体、民間団体・NPO等、医療・福祉関係団体、金融機関、福岡家庭裁判所がチームを支援している。  福岡家庭裁判所は福岡市の中核機関(相談対応、チームの支援、協議会の開催、福岡家庭裁判所との連携、後見人受任調整等の支援等)と連携している。ま、あ福岡市は、福岡県と連携・支援と行う。 ※チーム:本人に身近な親族、福祉・医療・地域等の関係者と後見人がチームとなって日常的に本人を見守り、本人の意思や状況を継続的に把握し必要な対応を行う体制。 資料:福岡市 【現在の主な事業】 <1>市民後見人※1養成事業:成年後見制度の新たな担い手である“市民後見人”を養成。養成研修を修了した人は、社協※2が行う法人後見事業の実務担当者や地域福祉活動の核となる人材として活動。また、家庭裁判所から選任された市民後見人が活動するための仕組みを検討 <2>成年後見制度利用支援事業:判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者等について、市長による成年後見制度利用のための申立てを行い、後見人などによる支援を確保。市長申立て※3において費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 <3>成年後見制度利用促進体制整備:権利擁護や意思決定支援が必要な認知症や障がいのある人など、成年後見を必要とする人が制度を利用しやすい社会をつくっていくための取組みの中核となる機関(中核機関)を開設し、成年後見制度利用促進に向けた体制を整備 <4>日常生活自立支援事業<社協>:高齢による認知症や精神・知的障がいにより、日常生活上の判断に不安を感じている方の日常金銭管理、福祉サービス利用援助、日常生活支援などを実施 【関連する施策】 ※認知症の人や家族への支援の充実については、高齢者分野の施策5-3参照 ※権利擁護・虐待防止の推進については、障がい者分野の施策2-2参照 ※1 市民後見人:277ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※3 市長申立て:276ページ参照 (114ページ) 施策5-3 生活困窮者への相談支援体制の充実 ○生活に困窮している人や困窮するおそれのある人の相談窓口として「福岡市生活自立支援センター」を設置し、相談者が抱える複合的な課題に対応するため、社会福祉士、精神保健福祉士、キャリアコンサルタントなどの資格を有した支援員を配置します。 ○生活自立支援センターでは、生活困窮者が困窮状態から早期に脱却するため、本人の状況に応じた包括的な支援を実施します。 ○直ちに一般就労に就くことが難しい人について、一般就労へのステップアップを図るための中間就労による支援を実施します。 ○生活困窮者を早期に支援につなぐことができるよう制度の周知を図るとともに、地域や福祉事務所、ハローワーク、社協※1、スクールソーシャルワーカー等の関係機関とも連携し、地域の中でのつながりを再構築する取組みを進めます。 ○生活習慣や子どもの育成環境に課題を抱えている生活困窮世帯の支援を行い、次の世代の将来における社会的・経済的自立を進めます。 ○巡回相談によりホームレスの路上からの自立を支援するとともに、ホームレスが抱える重複した課題に対して、各自立支援施設が連携して対応していくことによって、地域社会の一員として自立した日常生活が送れるよう支援します。 【子どもの貧困対策の推進】 ○食事などを通じて大人と関わる場や体験の機会を得られる居場所づくりを行う団体や地域活動を支援します。また、民生委員・児童委員※2や主任児童委員、保育所や学校、区役所(保健福祉センター)などの関係機関、居場所づくりを行っている団体や地域がつながり、子どもや家庭が抱える困難を早期に把握し支援できる地域ネットワークの構築を促進・支援します。(施策13) 「主な事業」 ・子どもの食と居場所づくり支援事業 ・貧困の状況にある子どもを支える地域ネットワーク構築事業 ・スクールソーシャルワーカー活用事業など ※第5次子ども総合計画より抜粋 【現在の主な事業】 <1>生活困窮者自立相談支援事業(生活自立支援センター):相談者一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成し、就労、生活その他の自立に関する相談支援を実施 <2>住居確保給付金:離職・廃業又は休業等による減収により住居を失うおそれのある者などに対し、就職活動を行うことを要件として家賃相当額を有期で支給 <3>就労準備支援事業:農業体験や清掃ボランティア、就職活動に向けたセミナーの開催などにより、就労に向けた生活リズムの改善や必要な基礎能力の習得を支援 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 民生委員・児童委員:279ページ参照 (115ページ) <4>認定就労訓練事業:市が認定した民間の訓練事業所において、「支援付き就労(中間的就労)」の場を提供 <5>ホームレス自立支援事業:相談員が市内全域を巡回し、ホームレスの状況を把握するとともに、個別の相談に対応し、路上からの自立を支援。住居のない者に対し衣食住を提供し、就労支援や居宅移行支援を実施 <6>子どもの健全育成支援事業:生活習慣や育成環境に課題を抱えている生活困窮世帯に対し、訪問や面談を通じて支援を実施 <7>生活福祉資金貸付制度<社協>:経済的自立、生活意欲の助長を図るため、低所得世帯や障がい者世帯、高齢者世帯に対し、低利子で貸付や支援を実施 <8>地域の子どもプロジェクト<社協>【再掲】:子ども食堂などの子どもの居場所の立ち上げ支援や、福祉施設、大学など多様な社会資源※1との連携・共働※2により、地域の居場所での学習支援や生活の知恵、文化、生活習慣の伝承等を実施 ※1 社会資源:277ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 (116ページ) 施策5-4 複合的な課題解決に向けた連携強化 ○関係機関や多職種連携の推進、地域生活課題の相談体制充実とともに、既存の制度だけでは対応が難しい課題を抱える人や、課題を抱えながらも潜在化している人などについて早期に支援につなげ、包括的に寄り添いながら支援する取組みなど、包括的な支援体制の構築に向けた取組みを進めます。 ○各専門相談機関等が抱える複合化・複雑化した地域生活課題に対応するため、分野を超えた多機関協働の機能強化に向けた検討を進めます。 【子ども家庭支援体制の充実】 ○各区役所を子ども家庭総合支援拠点として身近な場所での在宅支援体制を強化し、こども総合相談センター※(児童相談所)と区役所の機能分化を推進することにより、児童虐待の発生・再発の予防などに取り組みます。(施策10) 「主な事業」 ・区子育て支援推進事業 ・家庭児童相談室 ・要保護児童支援地域協議会など ※第5次子ども総合計画より抜粋 【住宅確保要配慮者に対する居住支援の充実】 1 居住支援体制の構築 ○行政と公的・民間賃貸住宅事業者、NPO等の民間支援団体などの連携により、低額所得者や高齢者などの住宅確保要配慮者が、それぞれの状況に応じて適切な住宅を確保できるように、福祉的配慮や入居・生活支援などに取り組み、居住支援の充実を図ります。(第4章 基本方針2) 「現在の主な事業」 ・福岡市居住支援協議会の充実 ・居住支援法人との連携 ※福岡市住宅確保用配慮者賃貸住宅供給促進計画より抜粋 ※こども総合相談センター:269ページ参照 (117ページ) 【図表60】包括的な支援体制の構築に向けた連携強化 図  以下は、図の説明。 <1>各専門相談機関等の連携強化  「多機関協働の機能強化」  高齢:地域包括支援センター  障がい:障がい者基幹相談支援センター  子ども:子育て世代包括支援センター、子ども総合相談センター、子ども家庭総合支援拠点等  生活困窮など:生活自立支援センター、その他の支援ネットワーク・居住支援、精神保健等 <2>地域と連携したネットワーク  地域ケア会議、障がい者等地域生活支援協議会(区部会)、子育て支援のネットワークの中に、企業、地域住民、社福法人、事業所、店舗、学校、NPOが繋がり合っている。また、近隣のつながりや多様な場づくり・参加支援などが行われている。さらに、<1>と<2>は、気づきや支援を行う。 資料:福岡市 【現在の主な事業】 <1>地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)運営:高齢者の健康や福祉、介護、権利擁護※等に関する相談に応じ、身体状況に適した助言を行うなど、高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施。センターの円滑・適正な運営を図るため、職能団体や介護保険被保険者などで構成する地域包括支援センター運営協議会を設置 <2>区障がい者基幹相談支援センター:学齢以上の障がい児・者等を対象とする24時間対応の一次相談窓口で、地域の障がい福祉サービス事業所等関係機関との連携を図るなど、地域の体制づくりを実施 <3>子育て世代包括支援センター:区保健福祉センターに子育て世代包括支援センターを設置し、関係機関が連携して妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を実施 <4>生活困窮者自立相談支援事業(生活自立支援センター)【再掲】:相談者一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成し、就労、生活その他の自立に関する相談支援を実施 ※権利擁護:276ページ参照 (118ページ) <5>地域ケア会議【再掲】:専門職や地域関係者などによる検討を通じ、それぞれの高齢者に対する支援の充実に向けた課題の発見・解決を図るとともに、個々の課題から見えてくる地域課題を発見し、必要な社会資源※1づくり、政策の検討につなげるための地域ケア会議を市、区、概ね中学校区、小学校区、個別レベルに設置 <6>障がい者等地域生活支援協議会:障がい児・者の福祉、医療、教育、雇用などの各分野の関係者等が相互の連携を図り、地域における障がい児・者へのよりよい支援体制について協議するために設置 <7>要保護児童支援地域協議会:医師、弁護士、警察、教育、保育などの機関で構成する協議会において、要保護児童の保護及び自立支援、要支援児童・特定妊婦への支援を図るため、情報交換や支援内容の協議、啓発・広報などを実施 <8>住まいサポートふくおか(福岡市居住支援協議会事業)<市、社協>:住み替えでお困りの高齢者等を支援するため、福岡市社会福祉協議会※2をコーディネーターとして、入居に協力する「協力店」の確保や入居支援を行う「支援団体」によるプラットフォームを構築し、民間賃貸住宅への円滑入居及び入居後の生活を支援 <9>福岡市居住支援協議会:住宅確保要配慮者の状況及び民間賃貸住宅市場の動向に関する情報を共有するとともに、民間賃貸住宅を活用した住宅確保要配慮者の円滑入居支援策の効果的な推進を実施 【関連する施策】 ※こころの健康づくりの推進(精神保健対策の推進)については、健康・医療分野の施策1-5参照 ※1 社会資源:277ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (119ページ) 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために、次の項目を成果指標とします。 〈成果指標〉 ○基本目標1 地域福祉活動推進のための基盤づくり <1>多様性を認めることができる市民の割合  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和8年度)  出典:新規調査 <2>地域福祉活動についての認知度  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和8年度)  出典:新規調査 <3>ユニバーサルデザインの認知度  現状値:48.4%(令和元年度)  目標値:70.0%(令和6年度)  出典:市政アンケート調査 ○基本目標2 身近な地域における絆づくり・支え合い活動の推進 <1>地域などと関係を持つための情報に、主体的にアクセスできる市民の割合  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和8年度)  出典:新規調査 <2>ふれあいネットワークの見守り対象世帯数  現状値:44674人(令和元年度)  目標値:51000人(令和8年度)  出典:市社協調べ <3>地域の子どもの居場所《社協》  現状値:56団体(令和2年度)  目標値:増加(令和8年度)  出典:市社協調べ <4>避難行動要支援者の個別支援計画の作成件数  現状値:557件(令和2年度)  目標値:2000件(令和6年度)  出典:市民局調べ <5>認知症カフェ※の設置圏域数  現状値:26圏域(令和元年度)  目標値:59圏域(令和7年度)  出典:保健福祉局調べ ○基本目標3 人づくりと拠点づくり <1>地域などと関係を持つための情報に、主体的にアクセスできる市民の割合【再掲】  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和8年度)  出典:新規調査 <2>福祉活動について学ぶ機会の有無  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和8年度)  出典:新規調査 <3>地域福祉活動への参加状況  現状値:14.5%(令和元年度)  目標値:増加(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 ※認知症カフェ:278ページ参照 (120ページ) ○基本目標4 多様な主体との連携・共働※1による地域づくり <1>地域などと関係を持つための情報に、主体的にアクセスできる市民の割合【再掲】  現状値:14.5%(令和元年度)  目標値:増加(令和7年度)  出典:新規調査 <2>NPO、ボランティア活動の参加率  現状値:15.3%(令和元年度)  目標値:24.0%(令和6年度)  出典:福岡市基本計画の成果指標に係る意識調査 <3>ホームページやSNSで情報を得る高齢者の割合  現状値:11.6%(令和元年度)  目標値:22.0%(令和7年度)  出典: 高齢者実態調査 ○基本目標5 包括的な相談支援ネットワークの充実 <1>多機関協働の仕組みの構築  現状値:新たな仕組みの検討(令和3年度)  目標値:新たな仕組みの実施(令和8年度)  出典:(記載なし) <2>個別レベルの地域ケア会議※2の開催回数(自立支援に資する地域ケア会議を除く)  現状値:377件(令和元年度)  目標値:400件(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <3>成年後見制度※3の認知度  現状値:22.1%(令和元年度)  目標値:40.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <4>関係機関との支援調整会議の開催回数  現状値:60回(令和元年度)  目標値:90回(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ ※1 共働:276ページ参照 ※2 地域ケア会議:111ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 第2部 健康・医療分野 (121ページ) 第2部 健康・医療分野 第1章 健康・医療分野の基本理念等 1 基本理念  健康とは、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義され、誰もがいつまでも意欲や生きがいを持ちながら生活していくための基盤となるものです。  しかしながら、高齢化の進展に伴い、現状のまま推移すると、要介護認定者※1数は、2025年度(令和7年度)には2015年度(平成27年度)の1.3倍、2040年度(令和22年度)には2倍に、死亡者数は、2025年(令和7年)には、2015年(平成27年)の1.3倍、2040年(令和22年)には1.6倍に増加すると予測されています。  このため、高齢期を迎える前の現役世代からの健康づくりの取組みを重点的に実施するなど、誰もがより長く元気に活躍できるよう、生涯にわたる健康づくりを総合的に推進し、健康寿命※2の延伸に取り組むことが重要です。  また、人の生命・身体に関わる医療・保健衛生などの分野は、市民の健康維持に大きな役割を果たすことから、誰もが必要なときに安心して医療や介護が受けられるような環境づくりを進めるとともに、感染症や食中毒などから市民を守り、より健康で安全な暮らしの実現を進める必要があります。  このような点を踏まえ、健康・医療分野の基本理念を以下のとおりとします。 【基本理念】  すべての市民が早い段階から積極的に健康づくりに取り組み、健康寿命の延伸を図るとともに、家庭や地域で自分らしい生活を安心して送ることができる社会及び子どもから高齢者までが健康で安全・安心な暮らしを享受できる社会の形成をめざします。 ※1 要介護認定者:280ページ参照 ※2 健康寿命:276ページ参照 (122ページ) 2 計画の位置づけ ○本分野は、健康・医療・保健衛生に係る施策全般にわたる方向性及び取組みを示すもので、食育基本法に基づく「福岡市食育推進計画」や自殺対策基本法に基づく「福岡市自殺対策総合計画」と整合性を図りつつ策定し、健康増進法第8条第2項に定める市町村健康増進計画とします。 ○また、他の法律の規定に基づく計画であって、健康・医療・保健衛生に関する事項を定めるものと調和を保ちつつ策定します。 3 基本目標 ○基本理念に基づき、3つの基本目標を定め、各施策を実施します。 (1)健康づくりの推進 ○子どもから高齢者までそれぞれのライフステージに応じた健康づくりを社会全体で推進し、市民の健康寿命※1の延伸を図ります。 ○また、市民が子どもの頃から健康づくりに関心を持ち、積極的に取り組める環境づくりを進めます。 (2)医療環境の整備 ○様々なニーズに応じた医療環境の充実が求められるため、限られた医療資源※2の中で、市民に良質な医療を継続して提供できるよう、取り組みます。 (3)健康で安全な暮らしの確保 ○国際化に伴う感染症危機管理体制を強化します。また、薬物乱用対策、依存症対策に取り組みます。 ○市民の健康で安全な暮らしを確保するため、食品衛生や環境衛生などに関する施策を推進するとともに、動物の愛護・適正飼育に関する取組みを進めます。 ※1 健康寿命:276ページ参照 ※2 医療資源:医師・歯科医師・薬剤師・看護師・臨床検査技師・その他医療スタッフなどの「人的資源」、病院、診療所、保健施設などの医療施設、医療機器、医療材料などの「物的資源」のこと。 (123ページ) 4 施策体系 ○基本目標に基づき、以下の体系により健康・医療施策を推進します。 〈推進施策〉 【基本目標1】健康づくりの推進 (1-1)超高齢社会に対応する健康づくりの推進 (1-2)生活習慣病※1対策の推進 (1-3)女性の健康づくりの推進 (1-4)次世代の健康づくりの推進 (1-5)こころの健康づくりの推進(精神保健対策の推進) (1-6)地域や職場などでの健康づくりの推進 (1-7)健康づくり支援の仕組みと環境づくり 【基本目標2】医療環境の整備 (2-1)在宅医療※2・介護連携の推進 (2-2)救急医療体制・災害時の保健医療体制の充実 (2-3)難病対策の推進 (2-4)がん対策の推進 (2-5)市立病院等の充実 (2-6)医療安全等対策の推進 (2-7)外国人にもやさしい保健医療環境の推進 【基本目標3】健康で安全な暮らしの確保 (3-1)感染症対策の推進 (3-2)薬物乱用及び薬物依存症の対策の推進 (3-3)食品衛生の推進 (3-4)環境衛生の推進 (3-5)動物の愛護・適正飼育の推進 ※1 生活習慣病:277ページ参照 ※2 在宅医療:276ページ参照 (124ページ) 第2章 施策各論 【基本目標1】健康づくりの推進 〈現状と課題〉 (1)超高齢社会に対応する健康づくりの推進 ○高齢者人口(65歳以上の人口)の増加に伴い、介護が必要となる人は増えていきます。2015年度(平成27年度)の要介護認定者※1数約6万2千人が、2025年度(令和7年度)には約8万2千人(1.3倍)、2040年度(令和22年度)には約12万4千人(2倍)になると推計されます。 ○また、認知症の人の数も、2015年度(平成27年度)の約3万3千人が、2025年度(令和7年度)には約4万4千人(1.3倍)、2040年度(令和22年度)には約6万9千人(2.1倍)になると推計されます。 ○要介護高齢者の多くが、加齢による心身虚弱状態であるフレイル※2を経て徐々に要介護状態に陥ることから、高齢期になっても自立した日常生活を送るためには、加齢に伴い低下する運動機能や認知機能をできる限り維持し、フレイルに至らないことが重要です。 (2)-1 生活習慣の改善(【図表61、25(再掲)、62、63、64】) ○福岡市の主要な死因は、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患といった生活習慣病※3関連が上位を占めています。 ○福岡市の国民健康保険及び後期高齢者医療費の約4割を悪性新生物(がん)、循環器系の疾患(心疾患など)、高血圧、糖尿病などの生活習慣病関連が占めています。 ○要介護状態となった原因は、ロコモティブシンドローム※4(運動器症候群)関連(22.4%)に次いで、生活習慣病関連(18.7%)が高くなっています。特に男性は生活習慣病関連が最も高い割合(29.8%)を占めています。 ○がん、心疾患、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、運動や食生活、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によってもたらされ、症状を自覚する頃にはかなり進行していることが多くなっています。一度発症してしまうと、治療をしても完治が難しかったり、後遺症を残してしまったりするケースも少なくありませんが、日常生活の中で、適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙など生活習慣の改善により、発症や重症化を予防することができるため、若い頃から生活習慣を見直し、改善することが重要です。 ※1 要介護認定者:280ページ参照 ※2 フレイル:279ページ参照 ※3 生活習慣病:277ページ参照 ※4 ロコモティブシンドローム:280ページ参照 (125ページ) 【図表61】2019年(令和元年)主な死因別死亡者数の割合 グラフ  以下は、死因 割合の順。 悪性新生物 30.3 心疾患 11.3 肺炎 6.6 老衰 6.3 脳血管疾患 6.1 誤嚥性肺炎 3.4 不慮の事故 3.2 腎不全 1.7 アルツハイマー病 1.7 血管性及詳細不明の認知症 1.6 その他 27.8 出典:「人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省) 【図表25】福岡市医療費の内訳(国民健康保険及び後期高齢者医療費のみ)(再掲) グラフ  以下は、疾患名 割合の順。 悪性新生物 11.0 循環器系の疾患 6.7 高血圧性の疾患 5.0 脳出血・脳血管の疾患 8.2 糖尿病 2.9 腎不全 5.4 その他 60.8 資料:福岡市(令和元年5月分) (126ページ) 【図表62】要介護状態になった原因 グラフ  以下は、原因 割合の順。 ●全体(回答数:3398) 生活習慣病関連 18.7 ロコモティブシンドローム関連(運動器症候群)関連 22.4 認知症 16.3 その他 20.4 無回答 22.2 ●男性(回答数:1017) 生活習慣病関連 29.8(脳血管疾患 23.4、心臓病 4.0、糖尿病 2.4) ロコモティブシンドローム関連 13.9(腰痛症 5.8、転倒などにより骨折 5.6、リウマチ以外の関節疾患 1.2、骨粗しょう症 1.0、リウマチ 0.3) 認知症 11.3 その他 24.5 無回答 20.5 ●女性(回答数:2322) 生活習慣病関連 14.1(脳血管疾患 9.9、心臓病 2.7、糖尿病 1.5) ロコモティブシンドローム関連 26.1(転倒などにより骨折 13.8、腰痛症 5.4、骨粗しょう症 3.2、リウマチ以外の関節疾患 2.7、リウマチ 1.0) 認知症 18.4 その他 18.8 無回答 22.6 (注)全体(回答数:3,398)には男女の別が不明な回答も含むため、男女の合計値とは合わない。 出典:「令和元年度高齢者実態調査」(福岡市) <1>栄養・食生活 ○栄養・食生活との関連が深いとされる疾病にはがん、循環器疾患、糖尿病、骨粗しょう症などがあります。 ○バランスのとれた適切な量と質の食事を、1日3食規則正しく食べることが健康なからだの土台となります。生活習慣病を予防するためには、食生活を整えることが重要です。 ○野菜摂取不足などの栄養の偏り、朝食の欠食に代表されるような食習慣の乱れなどが見られるほか、若い女性のやせ、高齢者の低栄養傾向などの健康面での問題にも目を向ける必要があります。 <2>運動・身体活動 ○普段から元気にからだを動かすことで、糖尿病、心臓病、脳卒中、がん、足腰の痛み、うつ、認知症などになるリスクを下げることができます。 ○市民の健康を阻害している要因の上位は、「適正でないBMI※」と「身体活動(運動)量の不足」であることがわかっています。また、「適正でないBMI」の傾向として、男性は肥満(BMI25以上)の割合が、女性はやせ(BMI18.5未満)の割合が高い傾向が見られました。 ※BMI:275ページ参照 (127ページ) ○日頃(おおむね週1回以上)の運動習慣がない層は30から50代の働く世代が多く、これらの年齢層をターゲットとした運動習慣の定着化に向けた取組みが必要となっています。 ○これまで福岡市では、市民が取り組みやすい運動としてウォーキングを推奨しており、2019年度(令和元年度)のウォーキング人口は約35万人に達しました。今後も市民が日常的に継続して歩くことにつながる取組み、仕組みづくりが重要です。 【図表63】日頃(おおむね週1回以上)の運動習慣がない人の割合 グラフ  回答数:男性699、女性1051  以下は、項目 男性 女性の割合の順。 全体 38.3 51.2 20代 37.5 53.2 30代 51.2 66.9 40代 43.0 62.8 50代 46.0 57.21 60代 34.1 40.2 70代以上 28.6 37.8 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) <3>休養 ○休養は、栄養・食生活、運動・身体活動とあわせ、健康のための3要素のひとつであり、特に、睡眠が量的に不足したり、質的に悪化したりすると、健康上の問題や生活への支障が生じ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高くなります。 ○日常的に質・量ともに十分な睡眠をとり、余暇などで体や心を養うことは、心身の健康の観点から重要です。 <4>喫煙 ○喫煙は、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、歯周病などの危険性を高めます。 ○受動喫煙についても、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中などの病気のリスクが高くなることがわかっています。 ○2019年度(令和元年度)の喫煙率は男性24.7%・女性7.4%となっており、2012年度(平成24年度)の喫煙率(男性26.4%・女性11%)と比較すると減少傾向にあります。 128ページ <5>飲酒 ○過度な飲酒は、全身の臓器に悪い影響を及ぼし、がんや高血圧などの様々な健康問題のリスクを高めます。 ○未成年の飲酒はその成長発達に、妊娠中の飲酒は胎児の発育に悪影響を及ぼします。 ○生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をする人の割合は、40から50代が高く、これらの年代をターゲットとした取組みが必要です。 【図表64】生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている人の割合 グラフ  回答数:男性699、女性1051  以下は、項目 男性 女性の割合の順。 全体 16.4 13.0 20代 6.3 15.3 30代 14.3 12.8 40代 20.6 15.7 50代 27.0 18.51 60代 20.0 14.4 70代以上 8.5 5.1 出典:「市民の健康づくりに関するアンケート調査(令和元年度)」(福岡市) <6>歯・口腔の健康 ○歯・口腔の健康は、食事や会話など日常生活を営む上で重要であり、生活の質の向上に寄与します。 ○むし歯と歯周病は、歯の喪失の主な原因であり、さらに歯周病は、糖尿病や心臓血管疾患、呼吸器疾患などと関連があるとされています。 ○歯の喪失や口腔機能の低下(オーラルフレイル)は、低栄養など全身の様々な健康問題につながります。 ○生涯を通じた歯科疾患の予防と口腔機能の維持・向上のため、正しい知識の普及啓発や個人の状況に応じた歯科保健指導を行うことが重要です。 ○関係団体、機関と連携して、歯・口腔に対する市民の関心を高め、ライフステージに応じた歯・口腔の健康づくりを支援するための環境整備を進める必要があります。 (129ページ) (2)-2 生活習慣病※1の早期発見と重症化予防(【図表65、66、67】) ○福岡市と全国の死亡率を比較すると、悪性新生物(がん)や糖尿病が全国より高く、心疾患や脳血管疾患などの死亡率は低くなっています。 ○各種がん検診や、よかドック※2(福岡市国民健康保険の特定健診)の受診率は、全国に比べてかなり低くなっています。 ○生活習慣病の早期発見に向け、市民全体に対する生活習慣病の啓発の強化や各種健(検)診の受診率向上に取り組むとともに、治療中断者などへの受療勧奨などにより、重症化予防に取り組む必要があります。 【図表65】2015年(平成27年)年齢調整死亡率※ グラフ  以下は、死亡原因 全国 福岡市の年齢調整死亡率の順。 ○男性 悪性新生物 165.3 167.2 心疾患(高血圧を除く) 65.4 40.5 肺炎 38.3 35.8 脳血管疾患 37.8 30 自殺 23 21.2 不慮の事故 19.3 16 老衰 10.1 6.5 肝疾患 9.8 9.1 慢性閉塞性肺疾患 7.5 5 腎不全 7.3 5 大動脈瘤及解離 6.4 6.2 糖尿病 5.5 8.2 高血圧性疾患 1.7 4.1 ○女性 悪性新生物 165.3 167.2 心疾患(高血圧を除く) 34.2 20.8 肺炎 21 15 脳血管疾患 15.8 15.3 自殺 13.4 8.3 不慮の事故 8.9 7.4 老衰 8 7.5 肝疾患 4 3.4 慢性閉塞性肺疾患 3.5 3.2 腎不全 3.3 4.7 大動脈瘤及解離 2.5 2.5 糖尿病 1.1 2 高血圧性疾患 1.1 1.1 出典:「人口動態統計特殊報告」(厚生労働省) ※1 生活習慣病:277ページ参照 ※2 よかドック/特定健診:141ページ参照 ※3 年齢調整死亡率:278ページ参照 (130ページ) 【図表66】2019年(令和元年)がん検診受診率(全国・福岡市) グラフ  以下は、項目 全国 福岡市受診率の順。 胃がん検診 42.4 40.2 大腸がん検診(40から69歳) 44.2 36.7 肺がん検診(40から69歳) 49.4 43.9 乳がん検診(40から69歳)(2年間) 47.4 44.2 子宮頸がん検診(20から69歳)(2年間) 43.7 41.5 ※会社での定期健康診断や人間ドックなどを含む 出典:「令和元年国民生活基礎調査」(厚生労働省) 【図表67】2019年度(令和元年度)特定健診受診率(政令市比較) グラフ  以下は、政令指定都市名 受診率の順。 仙台市 49.0 新潟市 38.9 さいたま市 38.0 千葉市 37.6 静岡市 34.1 浜松市 32.9 北九州市 32.7 神戸市 32.0 熊本市 30.9 岡山市 30.3 名古屋市 29.0 堺市 27.4 京都市 27.3 福岡市 27.2 相模原市 26.7 川崎市 25.9 横浜市 25.4 広島市 25.0 大阪市 22.3 札幌市 20.5 資料:福岡市 (131ページ) <1>がん ○国の推計では、生涯のうちに約2人に1人が、がんに罹患するとされており、死亡原因の第1位となっています。福岡市のがんによる死亡率(年齢調整死亡率)は、全国平均よりも高い状況になっています。 ○福岡市のがん検診の受診率は、全国平均を下回り、政令市と比較してもいずれも下位となっています。 ○がんの早期発見・早期治療のために、市民に対するがん啓発の強化と受診率向上対策の一層の強化が必要です。 <2>糖尿病・高血圧などの生活習慣病対策 ○生活習慣病の早期発見・早期治療のために、各保険者に特定健診の実施が義務づけられており、福岡市は国民健康保険の保険者として、よかドックを実施していますが、受診率は全国平均を大きく下回っています。 ○糖尿病は放置すると神経障害・網膜症・腎症などの合併症を引き起こしますが、特に腎症が進行(重症化)し末期腎不全に陥ると人工透析を要する状態となり、日常生活に支障をきたします。 ○生活習慣病予防に向けて、市民全体への働きかけが必要であり、医療保険者と連携し、勤労層やその家族に対する啓発などに取り組む必要があります。 (3)女性の健康づくりの推進(【図表68】) ○福岡市は、20歳以上のどの年代においても女性の数が男性の数を上回っているという特徴があります。高齢者人口(65歳以上の人口)を男女別でみると、女性人口は男性人口の約1.4倍(2019年〔令和元年〕9月末時点)となっており、また、平均寿命が男性より長いため、年齢が高くなるほど女性の割合が高くなっており、今後ますます増加が予測されています。 ○男女共に、いつまでも元気で輝いた生活を送るためには、健康であることは欠かせませんが、特に女性は、妊娠・出産などによるホルモンバランスの変化もあり、年齢やライフステージにあわせた健康づくりを心がけることが必要です。また、出産前後の育児不安が強い時期における母親への支援も必要です。 ○女性はもともと男性に比べて骨量が少ないことや、閉経による女性ホルモンの減少などの影響もあり、骨粗しょう症になりやすく、転倒による骨折や腰痛症なども含めて、ロコモティブシンドローム※(運動器症候群)により要介護状態になる割合が高くなっています。 ※ロコモティブシンドローム:280ページ参照 (132ページ) ○ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防に向けて、できるだけ若い頃から、ライフステージに応じ、適切な運動・栄養・休養などの生活習慣の実践に取り組むことが必要です。 【図表68】福岡市5歳階級別人口ピラミッド(2018年〔平成30年〕) グラフ  以下は、年齢 男性 女性の人数の順。 0から4歳 35949 33602 5から9歳 35065 33417 10から14歳 33155 31835 15から19歳 35685 34919 20から24歳 53202 55180 25から29歳 45770 51243 30から34歳 48202 54179 35から39歳 52274 58214 40から44歳 58348 62929 45から49歳 58159 62330 50から54歳 48424 51941 55から59歳 43020 45689 60から64歳 40887 44301 65から69歳 47257 53310 70から74歳 35877 43772 75から79歳 25871 36318 80から84歳 17791 29766 85から89歳 9939 21000 90から94歳 3726 11269 95から99歳 641 3408 100歳以上 57 646 注:人口は、2018年(平成30年)9月の推計人口 出典:「福岡県人口移動調査(2018年)」(福岡県) (4)次世代の健康づくりの推進 ○子どもたちは、一人ひとりがこれからの社会を支え創造する大切な存在です。近年、子どもを取り巻く社会環境が変化している中、乳幼児期・学齢期などに、食事・運動・睡眠といった基本的な生活習慣を身につけさせ、心とからだの健康づくりを推進していく必要があります。 ○この時期の健康づくりは、家庭を中心に、保育所・幼稚園・学校などが重要な役割を担っており、行政や家庭、地域、学校などが連携しながら、次世代を担う子どもたちをしっかり育んでいくことが重要です。 (5)こころの健康づくりの推進 ○こころの健康は、人がいきいきと自分らしく生きるための重要な条件であり、生活の質に大きく影響するため、こころの健康づくりの取組みが重要です。 ○人間が社会で生きていく上では、常になんらかのストレスにさらされます。市民の健康づくりに関するアンケート調査(2019年度〔令和元年度〕)では「ストレスで体調がおかしくなったと感じることがある」と答えた人は全体の34.5%おり、その対処能力を高め、ストレスと上手につきあうことが、こころの健康に欠かせない要素となっています。 (133ページ) ○ひきこもり※1の問題を抱えた人が長期化・高齢化しており、早期に支援につながり回復・社会参加できるよう、ひきこもりの理解促進や地域における支援体制の構築に向けた取組みをさらに推進する必要があります。 ○自殺には多様かつ複合的な要因や背景があり、社会・経済活動の急激な変化に影響を受けやすく、社会全体として自殺対策の取組みをさらに進めることが必要です。 (6)地域や職場などでの健康づくりの推進 <1>地域との共働※2で取り組む健康づくり ○地域では、校区担当制により活動している保健師が支援を行い、健康づくり実行委員会や衛生連合会※3、自治協議会※4、食生活改善推進員協議会※5などを中心に健康づくりの取組みを実施しています。 ○地域における住民の自主的な健康づくり活動の浸透を図るため、今後も地域の健康課題に応じた支援を積極的に行っていく必要があります。 <2>企業などとの連携による健康づくり ○福岡市は、生産年齢人口(15から64歳の人口)の割合が66.0%(2015年〔平成27年〕時点)を占めており、加入保険に関わらず、切れ目のなく、市民一人ひとりが健康づくりに取り組めるような環境整備を行っていく必要があります。 ○そのため、行政や企業、大学、医療機関、医療保険者などがそれぞれの役割と機能を果たしながら連携を図っていくことが必要です。 (7)健康づくり支援の仕組みと環境づくり ○健康づくりは一人ひとりの主体的な取組みが基本となりますが、個人の努力だけでは困難な場合も少なくありません。行政をはじめ企業、大学、NPO、市民団体、医療機関などが連携し、社会全体で健康づくりを支援していくことが重要です。 ○健康づくりに取り組む市民を増やすためには、健康無関心層を取り込む必要があることから、「自然に」「楽しみながら」健康づくりに取り組める様々な仕組みづくりが必要です。 ○また、個人の生活習慣は社会環境で大きく左右されることから、健康づくりだけではなく、地域づくりや社会環境の整備なども含む、広い意味でのまちづくりとして取り組むことが必要です。 ※1 ひきこもり:279ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 ※3 衛生連合会:275ページ参照 ※4 自治協議会:276参照ページ  ※5 食生活改善推進員協議会:145ページ参照 (134ページ) 【施策の方向性】 ○運動や食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣を改善し、歯・口腔保健を推進することにより、市民の健康寿命※の延伸を図るとともに、家庭・職場など、暮らしやライフスタイルの違いによって生じる健康づくりの環境の差に配慮した取組みや、乳幼児期、学齢期、成人期、壮年期、高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくり、うつ病対策などのこころの健康づくりなどに取り組みます。 ○市民の自主的な健康づくりを支援するため、健康づくりに取り組みやすい環境づくりを進めるとともに、行政をはじめ企業、大学、NPO、市民団体、医療機関などと連携し、家庭や職場、地域などで健康づくりを進めます。 ○健康無関心層も含めた健康づくりを推進するため、地域づくりや社会環境の整備なども含めた「暮らしの中で自然と健康になるまちづくり」を進めます。 ※健康寿命:276ページ参照 (135ページ) 施策1-1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 ○住民主体で参加しやすく、地域に根差した健康づくりや介護予防を推進し、その普及啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります。 ○高齢者の身近なところで介護予防に取り組む自主グループの支援や、高齢期前からの健康づくりの取組みなどを応援する仕組みづくりの検討などを行います。 ○生活習慣の改善からはじめるロコモティブシンドローム※1(運動器症候群)の予防に関する取組みを、高齢期前から重点的に実施します。 ○高齢者の多様な健康課題に対応し、きめ細かな支援を実施するため、フレイル※2予防や生活習慣病※3の重症化予防など、保健事業と介護予防の一体的な実施を推進します。 ○認知症については、予防からケア(支援)まで切れ目なく取り組む必要があるため、認知症の人や介護する人への支援については高齢者分野の「認知症フレンドリーなまちづくりの推進」に記載します。 【現在の主な事業】 <1>介護予防教室:筋トレや体操など、自宅でできる内容を中心とした運動、認知症予防などの講話、お口の体操などの健康づくりプログラムを開催 <2>生き活きシニア健康福岡21:保健師などが、地域で健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座を実施する「生き活き講座」及び「運動から始める認知症予防教室」などを開催 <3>高齢者元気づくり応援事業(よかトレ実践ステーション):住民が主体的かつ、気軽に介護予防に取り組める場として、祝いめでた体操や黒田節体操、椅子に座ってできる簡単な体操など、6種類のよかトレ体操を実践している団体をよかトレ実践ステーションとして認定 <4>健康教育・健康相談:生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため、保健福祉センター・公民館・集会所などでの健康教育や健康相談を実施 <6>50歳、60歳代から始めるロコモ予防:ロコモティブシンドロームに関する知識の普及、ロコモ度テスト(下肢筋力・歩幅・身体状態や生活状況)を活用した市民参加型イベントなどを実施 <6>【国民健康保険事業】適正服薬推進事業:国民健康保険被保険者のうち、同じ薬効の薬を重複して服用している人や、飲みあわせの悪い薬の服用をしている人に対して、服薬情報のお知らせを送付し、医療機関や薬局への相談を促す個別勧奨事業を実施 【関連する施策】 ※介護予防の推進については、高齢者分野の施策3-3参照 ※認知症に関する理解促進については、高齢者分野の施策5-1参照 ※認知症に対する適切な医療・介護サービスの提供と予防の推進については、高齢者分野の施策5-2参照 ※認知症の人や家族への支援の充実については、高齢者分野の施策5-3参照 ※1 ロコモティブシンドローム:280ページ参照 ※2 フレイル:279ページ参照 ※3 生活習慣病:277ページ参照 (136ページ) コラム フレイルとは? ○フレイルとは、「加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下した状態のこと」をさし、「健康」と「要介護」の中間の状態にあることをいいます。 ○フレイルは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)やサルコペニア※などの「身体的フレイル」のほか、孤独や閉じこもりなどの「社会的フレイル」、うつ・認知機能低下などの「精神・心理的フレイル」と呼ばれる様々な側面があります。 ○フレイルの状態が長く続き、悪化していけば、要介護や寝たきりのリスクが高まります。一方で、早期に適切な対策を行うことで健康な状態を取り戻すことが十分に可能であり、予防・改善するには、「運動習慣をもつ」「栄養価が高い食事をしっかりかんで食べる」「積極的に社会参加」をバランスよく実践することが大切です。 図  以下は、図の説明。  縦軸は、心身の機能、横軸は健康寿命(加齢)。  左から、「健康」「虚弱(フレイル)」「要介護」と加齢にともない、心身の機能は衰える。  「フレイル」には、「身体的フレイル」(ロコモティブシンドローム、サルコペニアなど)、社会的フレイル(孤独、閉じこもりなど)、精神・心理的フレイル(うつ、認知機能低下など)の側面がある。 出典:平成27年度厚生労働省老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費補助金)「口腔機能・栄養・運動・社会参加を総合化した複合型健康増進プログラムを用いての新たな健康づくり市民サポーター養成研修マニュアルの考案と検証(地域サロンを活用したモデル構築)を目的とした研究事業実施報告書」のデータを基に作成 ※サルコペニア:加齢などにより筋肉量が減少し筋力や身体機能が低下している状態。 (137ページ) 施策1-2 生活習慣病※1対策の推進 (1)生活習慣の改善 1.栄養・食生活 ○主食・主菜・副菜がそろったバランスのよい食事の大切さや減塩の推進など健全な食生活の普及啓発に取り組みます。 ○健康づくりや食生活改善に配慮したメニューやサービスを行う店舗の増加に取り組みます。 ○特定健診(よかドック※2)、よかドック30など、生活習慣病予防のための健診と結びついた、きめ細かな栄養指導を展開します。 ○「福岡市食育推進計画」に基づき、家庭、地域、学校、職場などとの連携のもと、ライフステージに応じた食育を推進します。 【現在の主な事業】 <1>食生活改善活動・栄養改善:食生活改善推進員の養成、成人・高齢者に対する栄養指導や相談、減塩に関する広報・啓発や適塩料理教室などを実施 <2>食育推進:料理教室や普及啓発イベントの開催、健康・食育パートナーズ店舗の普及 <3>骨粗しょう症検査:骨粗しょう症検査の実施、「要指導」と判定された人に食生活などを指導 <4>#がめ煮つくろう:栄養があり、地元の食材も使う福岡の郷土料理「がめ煮」を通して、家庭や地域に「食」に対する関心を深めていく取組みを実施 2.運動・身体活動 ○年齢や性別に応じた適切な運動やトレーニングなどの啓発を通じて、適正なBMI※3の維持やロコモティブシンドローム※4(運動器症候群)につながる筋肉量低下の予防を図ります。 ○保健福祉センターなどで運動教室や健康イベントなどを開催し、市民が楽しみながら体を動かす機会を提供します。 ○市民が「気軽に」「楽しみながら」参加できるウォーキングイベントの開催や、福岡市地下鉄が進めている「サブウェイ・ダイエット」との連携、民間団体などが開催するウォーキングイベントなどへの広報協力などにより、市民のウォーキングを推進します。 ※1 生活習慣病:277ページ参照 ※2 よかドック・特定検診:141ページ参照 ※3 BMI:275ページ参照 ※4 ロコモティブシンドローム:280ページ参照 (138ページ) 【現在の主な事業】 <1>ウォーキングの推進:ウォーキングイベントの開催、サブウェイ・ダイエットとの連携、専用ホームページなどによる広報 <2>50歳、60歳代から始めるロコモ予防【再掲】:ロコモティブシンドロームに関する知識の普及、ロコモ度テスト(下肢筋力・歩幅・身体状態や生活状況)を活用した市民参加型イベントなどを実施 3.休養 ○睡眠と生活習慣病に関する正しい知識の普及に取り組みます。 ○壮年期・中年期の睡眠が不足がちになるため、特に30から50歳代に向けた啓発に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>健康づくり関連事業:保健福祉センターや公民館などで行う健康づくりに関する教室などで睡眠に関する情報提供 4.喫煙 ○たばこがもたらす健康被害や禁煙についての啓発を進めるとともに、禁煙を希望する人へのサポートに取り組みます。 ○望まない受動喫煙が生じないよう、多くの市民が利用する施設において、健康増進法に基づく受動喫煙対策を推進します。 【現在の主な事業】 <1>たばこ(喫煙)対策:たばこの害に関する普及啓発、世界禁煙デー市民啓発キャンペーンや福岡市健康づくりサポートセンターでの禁煙教室などを実施 <2>受動喫煙対策:受動喫煙対策に関する普及啓発、改正健康増進法に伴う義務違反者・施設への行政指導などを実施 5.飲酒 ○アルコールによる健康被害や適正な飲酒量について、様々な機会を通じて啓発を行い、市民への理解促進を図ります。 ○過度な飲酒など健康リスクを高める飲酒についての保健相談などに取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>アルコール保健対策:生活習慣病のリスクを高める量の飲酒に関する広報啓発、適正飲酒指導 コラム 生活習慣病のリスクを高める飲酒量 ○健康日本21(第2次)では、『生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、純アルコール量で1日当たり男性40g以上、女性20g以上飲むこと』と定義されています。(主な酒類の純アルコール量の換算の目安は下記のとおりです。) 表  以下は、お酒の種類 アルコール度数(%) 純アルコール量(g)の順。 ビールロング缶(500ml) 5 20 清酒1合(180ml) 15 22 チューハイ缶1本(350ml) 7 20 焼酎(25度)1合(180ml) 25 36 ワイン1杯(120ml) 12 12 資料:福岡市 6.歯・口腔の健康 ○口腔保健支援センターを核に、福岡市歯科口腔保健推進協議会の開催や各種歯科健診の実施など歯科口腔保健事業を総合的・効果的に推進します。 ○歯科疾患の予防、ライフステージの特性に応じた歯科口腔保健の推進、歯科口腔保健を推進するための社会環境の整備などに取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>歯科健診事業:歯科節目健診(歯周疾患検診)、乳幼児歯科健診、妊婦歯科健診、障がい児歯科健診などの各種歯科健診を実施 <2>普及啓発事業:出前講座や歯科講演会、「歯と口の健康週間」に係るイベントなどを実施 <3>口腔保健支援センター事業:関係機関・団体と連携強化を図り、本市の状況に応じた歯科口腔保健施策を推進 (140ページ) コラム 福岡市民の健康阻害要因分析結果 ○2019年(令和元年)に実施した「市民の健康づくりに関するアンケート調査」により把握した市民の生活習慣や健康状態などと、生活習慣の健康へのリスクに関する「国立がん研究センターの先行研究結果」などを用いて、市民の健康を阻害している要因分析を行いました。 ○具体的な分析手法としては、例えば、先行研究(下記参照)によりBMI※1が30以上の男性は、BMIが23から26の男性と比べ、1.97倍の健康リスクがあるとされており、市民アンケート調査により確認した、こうしたリスク要因を抱えている市民の割合と掛け合わせることで、これらの要因が、市民の健康にどの程度影響しているのかを算出したものになります。 ○このような分析手法により、市民の健康阻害要因を分析したところ、上位2位が男女ともに、「適正でないBMI」と「身体活動(運動)量の不足」という結果となり、現在、こうしたリスクを抱える市民の約2割について、状況を改善することで、市民の健康寿命※2が0.3年から0.6年延伸する効果が見込めることがわかりました。 【市民の健康阻害要因を改善(市全体で2割改善)した場合の寿命延伸効果】 表  以下は、項目 男性 女性の延伸寿命(年)の順。 適切な飲酒習慣 0.08 0.02 喫煙者の減少 0.22 0.10 BMIを適正な値にする(肥満・痩せすぎの改善) 0.64 0.29 身体活動(運動)量の増加(週150分以上の中強度の運動) 0.39 0.38 糖尿病有病率の減少 0.21 0.12 【生活習慣における健康リスク】(国立がんセンター研究センター多目的コホート研究成果) 表  以下は、項目 健康リスク要因(各項目において死亡率が上昇する状況) 健康リスク(男性) 健康リスク(女性)(倍)の順。 ○飲酒習慣 週に5日以上飲酒し、週のアルコール摂取量が300g以上450g未満 1.29 1.29 週に5日以上飲酒し、週のアルコール摂取量が450g以上 1.55 1.55 ○喫煙習慣 現在、喫煙習慣がある 1.55 1.89 ○BMI BMIが19未満 2.26 1.94 BMIが19以上21未満 1.57 (記載なし) BMIが21以上23未満 1.33 (記載なし) BMIが27以上30未満 1.38 (記載なし) BMIが30以上 1.97 1.91 ○運動習慣 ウォーキングなどの中強度の運動を週150分以上行う習慣がない 1.33 1.41 ○糖尿病 医師から糖尿病の指摘があった 1.60 1.98 ※相対死亡率:健康リスク要因について、そうでない人(飲酒習慣 週に5日以内の飲酒。喫煙習慣 現在、喫煙習慣がない。BMI 男性はBMI23以上27未満、女性はBMI19以上30未満。運動習慣 ウォーキングなどの中強度の運動を週150分以上行う習慣がある。糖尿病 医師から糖尿病の指摘がない)と比べ、死亡率が何倍になるかを算出したもの ※アルコール摂取量は、139ページのコラム「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」参照 出典:「福岡市健康づくりアンケートを用いた健康課題ごとの余命延伸効果の推計」(福岡市) ※1 BMI:275ページ参照 ※2 健康寿命:276ページ参照 (141ページ) (2)生活習慣病※の早期発見と重症化予防 1.がん ○検診を受診していない人を対象に、電話や郵便などで再度受診を呼び掛ける(コール・リコール)など、個別の受診勧奨を強化します。 ○受診後に「精密検査が必要」と指摘を受けた方への再検査の受診勧奨など、精度管理(検診が正しく行われているかを評価し、不備な点を改善すること)の向上に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>がん検診:胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんなどの各種がん検診を実施 <2>よりみち健診:お出かけのついでに様々な健診を受診できる「よりみち健診」を実施 <3>健診専用サイト「けんしんナビ」によるインターネット予約:各区保健福祉センターなどで実施する特定健診・がん検診などのインターネット予約を実施 【関連する施策】 ※がん対策の推進については、健康・医療分野の施策2-4参照 2.糖尿病・高血圧などの生活習慣病対策 ○国民健康保険については、特定健診の受診率・特定保健指導の実施率向上に取り組むとともに、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、重症化予防の保健指導に取り組みます。 ○加入保険に関わらず、市民全体の生活習慣病の早期発見、重症化予防のため、医療関係者や各医療保険者などと連携した啓発や仕組みづくりに取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>【国民健康保険事業】特定健診・特定保健指導(よかドック):40から74歳の福岡市国民健康保険被保険者を対象とした生活習慣病予防のための健診、その結果に応じた適切な情報提供及び特定保健指導を実施 <2>【国民健康保険事業】生活習慣病重症化予防事業:健診結果から、生活習慣病(脳卒中、心筋梗塞、人工透析)の重症化リスクが高い未治療者への保健指導及び医療機関の受診勧奨を実施 <3>【国民健康保険事業】糖尿病性腎症重症化予防事業:「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」に基づき、健診結果やレセプトデータを活用し、糖尿病の重症化リスクが高い人への保健指導及び医療機関の受診勧奨を実施 <4>よかドック30&ヘルシースクール:30歳代を対象に特定健診とほぼ同一内容の健診及び保健指導を実施 <5>糖尿病の重症化予防事業:福岡市健康づくりサポートセンターにおける糖尿病の重症化リスクが高い人への栄養・運動指導、治療中断防止の取組みを実施 <6>慢性腎臓病(CKD)対策:慢性腎臓病(CKD)予防の普及啓発、医療従事者の対応力向上研修を実施 ※生活習慣病:277ページ参照 (142ページ) 施策1-3 女性の健康づくりの推進 ○保健福祉センターなどで実施する各種健(検)診の場の活用や企業・民間事業所などとの連携により、ライフステージに応じた女性の健康づくりを推進します。 ○若い女性のやせや喫煙、妊娠・授乳中の飲酒などは、本人の健康への影響だけでなく、妊娠・出産など、子どもの健康面への影響が大きいため、若い頃から、基本的な生活習慣を身につけることができるよう、取組みを進めていきます。また、出産後、母体の回復状況や精神状態などの把握を行い、産後うつの予防などに取り組みます。 ○女性のがん検診や骨粗しょう症検査の受診促進、ロコモティブシンドローム※(運動器症候群)の啓発など、若い頃から要介護状態にならないための取組みを推進します。 【現在の主な事業】 <1>妊婦健診、妊婦歯科健診:妊娠期の健康に関する健診 <2>女性の健康セミナー:女性特有の健康問題に対する健康教育・健康相談を実施 <3>産婦健康診査:産後間もない母親に対する健康診査を実施し、関係機関と連携して母子への早期支援を実施 <4>がん検診【再掲】:胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんなどの各種がん検診を実施 <5>骨粗しょう症検査【再掲】:骨粗しょう症検査の実施、「要指導」と判定された人に食生活などを指導 <6>50歳、60歳代から始めるロコモ予防【再掲】:ロコモティブシンドロームに関する知識の普及、ロコモ度テスト(下肢筋力・歩幅・身体状態や生活状況)を活用した市民参加型イベントなどを実施 ※ロコモティブシンドローム:280ページ参照 (143ページ) 施策1-4 次世代の健康づくりの推進 ○保健福祉センターや地域団体、保育所・幼稚園、学校など関係機関と家庭が連携して、基本的な生活習慣の定着を図り、次世代を担う子どもが、自立し健康に生きる力を育むことができるよう、心とからだの健康づくりを推進します。 ○生活や遊びの中で子どもが食に興味を持つよう、発達段階に応じた食育を進めることにより、「食を営む力の基礎づくり」に取り組みます。 ○乳幼児の心身の健やかな成長と疾病や障がいの早期発見・早期治療などのため、乳幼児健診を行い、必要に応じて、保健指導や関係機関への紹介などを行います。 ○育児を行う親の健康づくりを支援する環境づくりにも取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>乳幼児健康診査:4か月児、10か月児、1歳6か月児、3歳児を対象にした健康診査 <2>母子保健訪問指導:保健師や母子訪問指導員などによる妊娠・出産や育児に関する保健訪問指導 <3>食育推進事業:子どもの健全な食習慣の形成などのため、保健福祉センターなどでの離乳食教室や親と子の料理教室などを実施 <4>各学校における体力向上の取組み:各学校における児童生徒の体力の実態と課題の把握、及び実態に応じた体力向上に関する指導などを実施 【関連する施策】 ※障がいの早期発見・早期支援については、障がい者分野の施策4-1参照 (144ページ) 施策1-5 こころの健康づくりの推進(精神保健対策の推進) ○メンタルヘルス※1に関する正しい知識の普及啓発に努め、こころの健康づくりを推進します。 ○うつ病や様々な依存症など、こころの病気の正しい理解と早期発見・早期治療の啓発を行うとともに、精神障がいのある人が地域で安心して生活できるように、本人や家族などへの相談支援体制の充実を図ります。また、複合的な課題を有する場合については、関係課・関係機関が連携して解決にあたります。 ○ひきこもり※2支援については、相談機関の周知や市民への理解促進をさらに進めるとともに、関係機関との連携強化を行い、一人ひとりに合った効果的な支援を推進します。 ○自殺対策については、自殺予防に関する相談支援を強化するとともに、「福岡市自殺対策総合計画」に基づき、様々な分野におけるゲートキーパー※3の養成や自殺未遂者への支援、若年層への自殺予防教育など、自殺対策を総合的に推進します。 【現在の主な事業】 <1>健康づくり関連事業:保健福祉センターや公民館などで行う健康づくりに関する教室などでメンタルヘルスに関する情報提供を実施 <2>精神保健相談・訪問指導事業:こころの健康相談、訪問指導、母子精神保健相談を実施 <3>ひきこもり対策推進事業:ひきこもり専門相談、家族教室、市民講演会、支援者研修会を実施、ひきこもり成年地域支援センターの設置 <4>自殺予防対策事業:うつ予防教室、ゲートキーパー養成講座、自殺予防キャンペーン、自殺対策推進センター事業の実施 【関連する施策】 ※精神障がい者の地域生活支援については、障がい者分野の施策1-1参照 ※依存症対策については、障がい者分野の施策1-3参照 ※1 メンタルヘルス:280ページ参照 ※2 ひきこもり:279ページ参照 ※3 ゲートキーパー:悩んでいる人の自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人のこと。「命の門番」とも位置付けられる。 (145ページ) 施策1-6 地域や職場などでの健康づくりの推進 ○地域の特性にあわせ、健康づくり講座や運動・栄養・休養などのプログラムを提供する事業を実施します。実施にあたっては、校区担当制による保健師活動を中心に、地域組織や自主グループなど、住民と行政の共働※1による住民主体の健康づくりを推進します。 ○厚生労働省策定の「地域・職域連携推進ガイドライン」(2019年〔令和元年〕9月)に基づき、職場での健康づくりや、健康づくりに関する地域貢献などについて積極的に取り組む企業や団体を増やすための取組みを検討します。 【現在の主な事業】 <1>健康教育・健康相談【再掲】:生活習慣病※2予防や健康増進に関する知識普及のため、保健福祉センター・公民館・集会所などでの健康教育や健康相談を実施 <2>衛生連合会※3の活動支援:地域で健康づくりを進める衛生連合会の活動支援 <3>食生活改善推進員協議会の活動支援:地域で食育分野の健康づくり活動を行う食生活改善推進員協議会の支援 <4>校区保健福祉事業懇談会の開催:校区衛生連合会、自治協議会※4など地域健康づくりに関する多様な団体と区保健福祉センター職員などで、地域の健康課題や保健福祉事業について協議 ※1 共働:276ページ参照 ※2 生活習慣病:277ページ参照 ※3 衛生連合会:275ページ参照 ※4 自治協議会:276ページ参照 (146ページ) コラム 健康ふくおか10か条について ○福岡市では、市民の健康づくりの目標として「健康ふくおか10か条」を掲げ、地域における健康づくりを推進しています。 健康ふくおか10か条 第1条 健康(適正)体重を知り、維持しましょう  健康(適正)体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22です。 第2条 運動を、身近なところで楽しみながら日常生活の中に取り入れましょう  適度にからだを動かすことは、糖尿病・高血圧等の生活習慣病や、ロコモティブシンドロームの予防につながります。 第3条 人との交流を楽しみ、上手にストレスを解消しましょう  積極的な休養も大切です。運動・旅行・趣味など自分なりのリフレッシュ法をみつけましょう。 第4条 家族や仲間と楽しく食事をしましょう  1日1回は、みんなで顔をあわせながら、ゆっくり楽しく食卓を囲む時間をつくりましょう。 第5条 朝食で元気な1日を始めましょう  朝食は1日を元気に過ごすための活力源です。少しだけ早起きして、食事をとるようにしましょう。 第6条 質・量を考えて、主食・主菜・副菜を基本に、薄味の食事をしましょう  バランスのよい食事は生活習慣病予防の基本です。毎食野菜を食べ、塩分をとりすぎないように心がけましょう。 第7条 たばこの悪影響を知り、禁煙、受動喫煙防止の輪を広げましょう  たばこは、がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)等の危険性を高め、多くの病気の原因になります。たばこの悪影響を理解し、たばこの煙からみんなの健康を守りましょう。 第8条 適正飲酒を守りましょう  未成年者の飲酒は禁止されています。大人は休肝日(お酒を飲まない日)をつくり、適量(日本酒で1合程度)を守るようにしましょう。 第9条 8020を目指して歯の定期的なチェックを受けましょう  食後の歯みがきと定期的な歯科健診で、「8020」(80歳で自分の歯を20本以上保つこと)を目指しましょう。 第10条 年に1回は健診を受けましょう  定期的に健診(がん検診を含む)を受け、生活習慣の改善に生かしていきましょう。日頃から相談できるかかりつけ医を持ちましょう。 資料:福岡市 (147ページ) 施策1-7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり ○健康無関心層も含め、市民が健康づくりに関心を持ち、「自然に」「楽しみながら」取り組むことができるよう、ICT(情報通信技術)等を利活用するとともに、行政・企業・大学などが連携し、エビデンス(科学的根拠)やデータも活用しながら、様々な健康づくり支援の仕組みづくりを進めます。 ○高齢者や障がいのある人をはじめ、誰もが健(検)診を受けやすく、健康づくりに取り組みやすい環境づくりを進めます。特にハード面では、安心して移動できるよう、ユニバーサルデザインに基づいた道路のバリアフリー※1化や歩道の設置などによる歩車分離などを進めるとともに、身近な場所で健康づくりに取り組めるよう、公園への健康遊具の設置などを進めます。 ○また、日常の暮らしの中で、自然と体を動かし健康になれるまちづくりをハード・ソフトの両面から進めます。 【現在の主な事業】 <1>健康づくりチャレンジ事業:市民が健康づくりに関心を持ち、気軽に取り組むことができるよう、10月の健康づくり月間における健康づくり関連事業・広報展開を実施、「健康づくりフェスタふくおか」などの健康づくりイベントを開催 <2>健康づくり・スポーツサイトによる情報発信:健康づくり情報を集約化したホームページを運営 <3>健診専用サイト「けんしんナビ」によるインターネット予約【再掲】:各区保健福祉センターなどで実施する特定健診※2・がん検診などのインターネット予約を実施 <4>福岡ヘルス・ラボ:産学官民の共働※3で「楽しみながら」「自然に」健康になれる新たなサービス・製品などの普及を促進する取組みを実施 <5>福岡100PARTNERS(パートナーズ)【再掲】:福岡100がめざす誰もが健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現に向けた取組みを実践・応援する企業や大学を「福岡100 PARTNERS」として登録し、産学官民一体となった福岡100の機運醸成を推進 <6>魅力的な活動の場づくり(移動や運動しやすい環境づくり):公園への健康遊具の設置、道路のバリアフリー化や歩車分離など、市民が安心して気軽に移動や運動ができる環境整備 【関連する施策】 ※ユニバーサルデザインの理念による地域づくりについては、地域分野の施策1-3参照 ※1 バリアフリー:279ページ参照 ※2 よかドック・特定健診:141ページ参照 ※3 共働:276ページ参照 (148ページ) 【基本目標2】医療環境の整備 〈現状と課題〉 (1)在宅医療※1・介護連携の推進(【図表69、8(再掲)、70】) ○高齢化の進展に伴い、福岡市では今後、高齢者が急増し、病床数が増加しないなか、図表69のとおり、在宅医療を必要とする患者数が、2025年(令和7年)には、2013年(平成25年)比の約2.5倍の約2万2千人になると推計されています。 ○また、図表8の通り、高齢者の増加に伴い死亡者数も増加し、2015年(平成27年)は約1万1千人ですが、2025年(令和7年)には約1万4千人(約1.3倍)、2040年(令和22年)には約1万8千人(約1.6倍)となると推計され、認知症の人の数も高齢者・要介護者の増加と比例して増加していきます。 ○2018年度(平成30年度)の「福岡県在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院・在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料届出施設調査」によると、市内の訪問診療の患者数は約1万2千人と増加していますが、今後さらに増加することが見込まれます。また、訪問診療の約7割が有料老人ホームなどの高齢者施設で提供されています。 ○また、市民の在宅医療に対する意識については、図表70のとおり、約45%の人が最期を迎えたい場所として自宅、介護サービスが受けられる施設を選んでいますが、実際には約8割の人が医療機関で亡くなっています。 ○医療と介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活ができる環境を整備するために、より一層、在宅医療提供体制の構築と在宅医療・介護連携を推進していくとともに、認知症への対応力の強化や自宅や施設での看取り※2ができる体制づくりも必要となります。加えて、在宅療養という選択肢があることを広く市民へ啓発していく必要があります。 ○難病や重度障がいなど医療依存※3度が高くても、地域で生活できる環境が求められることから、小児、難病患者、末期がん患者など様々な在宅医療のニーズへの対応も必要となっています。 ※1 在宅医療:276ページ参照 ※2 看取り:279ページ参照 ※3 医療依存(度):275ページ参照 (149ページ) 【図表69】2025年における在宅医療を必要とする患者数(推計) グラフ  以下は、年 1日あたりの患者数の順。 2013年(注1)(平成25年) 8724 2025年(注2)(令和7年) 21679  約2.5倍になっている。 (注1)2013年(平成25年)は、訪問診療を行っている患者数を示す。数値としては、地域医療構想における推計値の「在宅医療等のうち訪問診療分(医療機関所在地ベース)」の値を用いている。 (注2)2025年(令和7年)は、病床等から在宅医療へ転換する需要を含んだ患者数を示す。数値としては、地域医療構想における推計値の「在宅医療等(患者住所地ベース)」から、老人保健施設の需要(定員数)を除いた値を用いている。 出典:平成28年度福岡県地域医療構想資料「回復期、慢性及び在宅医療等の医療需要」(福岡県) 【図表8】福岡市における死亡者数の将来推計(再掲) グラフ  以下は、年 死亡者数の順。 1990年(平成2年) 6216 1995年(平成7年) 7130 2000年(平成12年) 7992 2005年(平成17年) 8759 2010年(平成22年) 10131 2015年(平成27年) 11166 2020年(令和2年) 12716 2025年(令和7年) 14363 2030年(令和12年) 15881 2035年(令和17年) 17228 2040年(令和22年) 18379 ※2015年までは実績値。2020年以降は推計値。 出典:「福岡市の将来人口推計(平成24年3月)」(福岡市) (150ページ) 【図表70】最期を迎えたい場所 グラフ (回答者数:1764)  以下は、場所 割合の順。 自宅(親族の家を含む) 29.5 医療施設 35.8 介護サービスが受けられる施設 15.1 その他 0.7 わからない 15.5 無回答 3.5 (注)対象:福岡市内にお住まいの60歳以上の方 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査報告書」 (2)救急医療体制・災害時の保健医療体制の充実 ○夜間や休日など、一般の医療機関の診療時間外の急病患者に対処するため、市立急患診療所を設置し診療を行っています。また、急患診療所で対処できない重症患者のために、二次医療機関※を確保しています。 ○市立急患診療所については、患者急増期は診療体制を増強するなど対応を図ってきましたが、祝日や連休など特定の時期は待ち時間の長時間化が解消されておらず、引き続き待ち時間対策に係る検討が必要です。 ○急患診療所の従事者の多くは、他の医療機関に勤務しており、現在、国が推進している働き方改革が、急患診療所への従事に影響を及ぼすことが想定されます。 ○近年全国的に多発している大規模災害の発生時における医療を確保するため、医療供給体制の構築や、福岡市医師会、福岡県などの関係機関との連携強化が必要です。また、災害時の被災者の健康維持においては、避難所などにおける公衆衛生、健康管理にかかる取組みが必要です。 ※二次医療機関:入院や専門的な検査を必要とする患者を担当する医療機関。 (151ページ) (3)難病対策の推進 ○「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく医療費助成の対象となる指定難病は、2019年(令和元年)7月1日に333疾病に拡大されており、「児童福祉法」に基づく小児慢性特定疾病※1医療費助成制度の対象疾病も同様に2019年(令和元年)7月1日に762疾病に拡大されています。適切な医療の確保や経済的負担軽減のため、医療費助成制度を安定的かつ円滑に実施していく必要があります。 ○難病患者、小児慢性特定疾病児童等(以下、「難病患者」という。)及びその家族が長期にわたり療養生活を送りながらも社会参加への機会が確保され、地域社会において尊厳を持って生活できるよう、保健・医療・福祉・就労・教育の総合的な対策を推進していく必要があります。 ○難病患者の社会参加促進や多様化するニーズに対応するためには、難病患者だけでなく、社会全体が難病に関する正しい知識と理解をもつことが必要です。 ○難病患者は、疾病によって症状が様々であり、定期的な治療・服薬が必要なことから、災害時に適切な治療・服薬を継続するための取組みが必要です。特に在宅で療養する人工呼吸器使用者は、身体機能障害の重さや医療依存※2の高さから、災害時の避難が非常に困難を伴うので、その対策が必要です。 (4)がん対策の推進 ○国の推計では、生涯のうちに約2人に1人が、がんに罹患するとされており、死亡原因の第1位となっています。福岡市でもほとんどの世代で病死原因の第1位となっており、がんによる死亡率(年齢調整死亡率※3)は、全国平均よりも高い状況になっています。 ○がん対策は、がん対策基本法により都道府県に策定が義務付けられたがん対策推進計画に基づいて実行されています。 ○福岡市のがん検診受診率は、全国平均を下回り、政令市と比較してもいずれも下位となっており、がんに対する知識や早期発見・早期治療の重要性についての啓発の強化と、受診率向上対策の一層の強化が必要です。 ○また、がん患者やその家族に対して、治療にかかる負担の軽減や精神的な支えなども重要となっています。 ※1 小児慢性特定疾病:277ページ参照 ※2 医療依存(度):275ページ参照 ※3 年齢調整死亡率:278ページ参照 (152ページ) (5)市立病院等の充実 ○福岡市立こども病院においては、中核的な小児総合医療施設として、小児医療及び周産期医療※1の提供を行っています。福岡市民病院においては、4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞及び糖尿病)への対応を中心とした高度専門医療並びにより重篤な救急患者の受入れを行う高度救急医療の提供、感染症や災害発生時の緊急対応などを行っています。 ○両病院ともに、地方独立行政法人※2制度の特長である自律性、自主性を最大限に生かし、医療を取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しつつ、効率的な病院経営を行っています。 ○今後も、医療環境の変化を踏まえながら、市立病院としてまた地域医療支援病院※3として求められる役割を果たしつつ、健全な病院経営のもと、高度専門医療、救急医療などのさらなる充実を図ることが必要です。また、福岡市民病院については、開院後30年以上経過しており、今後のあり方について検討が必要です。 ○福岡市立島しょ診療所※4は、玄界島(げんかいじま)、能古島(のこのしま)に医科、歯科の診療所を設置し、島民のかかりつけ医としての機能を担っています。また、小呂島おろのしま)の小呂診療所には看護師が常駐し、月1回の渡島診療によって、島民の健康管理を行っています。今後も、島民の貴重な医療施設として継続的な医療の提供が必要です。 (6)医療安全等対策の推進 ○医療は人の命、身体にかかわるサービスであり、適切な医療の提供が市民の健康に直結することから、良質かつ安全な医療の提供を行うためには、地域の医療施設や薬局などに対し、適切な指導や情報提供を行っていくことが重要です。 ○高齢化の進展に伴い、多剤服用※5による副作用の懸念の高まりや、がんの外来治療の増加などの変化に対応するため、地域において医療施設や薬局などが連携していくことが重要です。 ○医療費削減に有効なジェネリック医薬品※6の普及が十分には進んでいないため、啓発していく必要があります。 ※1 周産期医療:277ページ参照 ※2 地方独立行政法人:278ページ参照 ※3 地域医療支援病院:277ページ参照 ※4 島しょ診療所:278ページ参照 ※5 多剤服用:複数の併存疾患を治療するため、多くの薬物を服用すること。 ※6 ジェネリック医薬品:276ページ参照 (153ページ) (7)外国人にもやさしい保健医療環境の推進 ○福岡市の在住外国人数、一時滞在外国人数は、ともに増加傾向にあります。 ○受付から会計まで、外国人に十分に対応できる医療機関は少なく、外国人が医療機関を受診する際に、言葉や文化の違いによる大きな壁があることから、外国人も受診しやすい医療環境を確保する必要があります。 ○母子保健、感染症対策などの保健所業務においても、外国人世帯に対応する事例が増加していることから、多言語での対応が必要となっています。 【施策の方向性】 ○誰もが、医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられるよう、在宅医療と介護が連携した体制づくりを行います。 ○難病患者の医療費助成等の経済的支援を行うとともに災害時の支援についても検討します。また、がん対策については、がんの早期発見・早期治療の効果的・効率的な推進に取り組みます。 ○また、休日・夜間・災害時を含め、市民に良質で安全な医療が提供されるよう体制を整備するとともに、高度な医療提供体制や、外国人も安心して保健医療サービスが受けられる環境を整備します。 (154ページ) 施策2-1 在宅医療※1・介護連携の推進 ○医療や介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を送ることができるよう、福岡市医師会などと連携し、在宅医療を担う医療機関を増やす取組みや在宅医を支える病院のバックアップ体制づくり、代診医制度※2の仕組みづくりなどに引き続き取り組みます。また、保健福祉センターが中核となって、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※3とともに、医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりを進めます。 ○在宅医療や看取り※4、認知症に関する知識や意識を深めるための医療・介護関係者に対する研修や市民を対象とした啓発を実施し、誰もが在宅医療や看取りについて考え、選択できるような環境づくりを進めていきます。 ○医療・介護関係者のための相談支援体制づくり、情報共有システムの普及などの取組みを進めていきます。 【現在の主な事業】 <1>専門職からの相談窓口の設置:医療・介護関係者から在宅医療に関する相談を受け、支援を行う窓口を設置 <2>医療・介護関係者への研修:医療・介護関係者が在宅医療に関する知識を深め、連携するための症例検討会や研修会などを実施 <3>在宅医療・介護に関する市民啓発:市民一人ひとりが健康や将来の生活について考えるための在宅医療や介護に関する講演会の開催やパンフレットの配布などを実施 【関連する施策】 ※医療・介護関係者のための情報共有システムについては、高齢者分野の施策1-3参照 ※1 在宅医療:276ページ参照 ※2 代診医制度:かかりつけ医の不在時等に他の医師が訪問診療や往診を行うバックアップの仕組み。 ※3 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※4 看取り:279ページ参照 (155ページ) コラム オンライン診療、オンライン服薬指導について ○オンライン診療とは、医師―患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為であり、オンライン服薬指導とは、テレビ電話等の装置を用いて、薬剤師が薬剤の適正な使用のための情報提供及び必要な薬剤的知見に基づく指導を行うことです。オンライン診療は2018年度(平成30年度)から、オンライン服薬指導は2020年(令和2年)9月から公的医療保険の対象となりました。 ○オンライン診療は、医療の質のさらなる向上、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)の確保、患者が治療に能動的に参画することによる治療の効果の最大化を目的として行われるもので、対面診療の補完として実施することとされています。そのため、オンライン診療を公的医療保険で利用するためには、<1>事前に一定期間対面診療を受けていること、<2>緊急時には対面診療が可能であること、<3>定期的に医学管理が必要な慢性疾患であること等の条件が設けられています。また、オンライン服薬指導についても、事前に対面での服薬指導を受けていることや前提となる診療がオンライン診療又は訪問診療であること等の制限があります。 ○オンライン診療やオンライン服薬指導は、介助が必要な高齢者にとっては、通院介助者の負担が軽減し、かかりつけ医から診療を受け続けることが可能となったり、通院が中断しがちな多忙な勤労世代にとっては、受診の利便性が向上することにより治療からの脱落防止につながるなどの効果が期待できます。また、訪問診療や訪問服薬指導を行う医師や薬剤師にとっても、移動負担の軽減につながります。 ○2020年(令和2年)4月からは、新型コロナウイルス感染防止対策として、時限的・特例的な取扱いとして初診からの利用も認められたことにより、全国で利用が広がりつつあります。しかしながら、時限的・特例的な取扱いが終了した後の初診からの利用については、対面診療を行わないことによる疾患の見逃しや重症化リスクなどの安全性の課題、医師双方の本人確認などの信頼性について課題などが指摘されています。国においては、オンライン診療やオンライン服薬指導が、患者や医師、薬剤師が安心して活用できるような仕組みとなるよう、具体的な検討が進められています。 図  以下は、図の説明。  オンライン診療からオンライン服薬の流れを示した図。図に付された説明を記す。 <1>診療(オンライン)→<2>処方箋送付→<3>服薬指導(オンライン)→<4>薬配送→外出不要! (156ページ) 施策2-2 救急医療体制・災害時の保健医療体制の充実 ○市立急患診療所の待ち時間対策として、引き続き患者急増期における診療体制の強化や、ICT(情報通信技術)の活用による業務の効率化を図るほか、急患診療所の適正な利用について市民への救急医療に関する広報・啓発の充実に取り組みます。また、安全・安心な医療を提供するため、関係機関と連携し、休日・夜間における診療体制の確保に取り組みます。 ○急患診療所の従事者にかかる働き方改革の影響について、必要に応じて医師会などの関係機関と協議するなど、持続可能な救急医療体制の構築を図ります。 ○災害時における医療を確実に提供するため、医療供給体制の検討やDHEAT※(災害時健康危機管理支援チーム)の編成を進めるとともに、医師会や福岡県などの関係機関との協力体制の構築を図ります。また、被災者の健康維持のため、避難所などにおける公衆衛生、健康管理にかかる取組みを関係機関と連携して実施します。 【現在の主な事業】 <1>市立急患診療所事業:市立急患診療所を設置し、休日などにおける急病患者に適切な医療を提供 ※DHEAT:Disaster Health Emergency Assistance Teamの略称。災害時健康危機管理支援チームを指す。 (157ページ) 施策2-3 難病対策の推進 ○難病患者の経済的な負担を軽減するため、医療費助成を安定的に継続して実施します。また、難病に対する理解促進を推進するとともに、難病患者の社会参加を支援し、地域社会で尊厳を持って生活できるよう支援の充実に取り組みます。 ○人工呼吸器使用患者など在宅で療養する重症難病患者に対して、公費による訪問看護※1などの経済的な支援を行うとともに、介護している家族に対しても支援の充実に取り組みます。また、関係機関と連携しながら災害時の支援についても検討を進めていきます。 【現在の主な事業】 <1>難病患者等医療費助成事業:指定難病患者、小児慢性特定疾病※2児童等に対する医療費の助成、日常生活用具の給付 <2>難病患者等患者支援事業:相談支援事業、難病講演会、小児慢性特定疾病児童等レスパイト※3支援事業を実施 <3>在宅人工呼吸器使用患者支援事業:難病患者のうち在宅人工呼吸器使用患者への支援 <4>難病患者等訪問指導事業:難病患者等に対し、保健師などが訪問し、療養に必要な保健指導を実施 <5>難病患者等ホームヘルパー養成研修事業:難病患者等のホームヘルプサービスを行うホームヘルパーを養成 【関連する施策】 ※難病患者支援については、障がい者分野の施策1-4参照 ※1 訪問看護:279ページ参照 ※2 小児慢性特定疾病:277ページ参照 ※3 レスパイト:280ページ参照 (158ページ) 施策2-4 がん対策の推進 ○がんについての知識やがん検診の重要性についての啓発、がん検診の受診率の向上及び検診の精度管理など、がんの早期発見・早期治療の効率的・効果的な推進に向け取り組みます。 ○がん患者、その家族及びがん患者会への支援についても継続して取り組みます。 ○児童生徒に、がんについての正しい知識を身につけさせることに偏ることなく、いのちを大切にする心を育むことも充実させます。 【現在の主な事業】 <1>がん検診【再掲】:胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんなどの各種がん検診を実施 <2>よりみち健診【再掲】:お出かけのついでに様々な健診を受診できる「よりみち健診」を実施 <3>健診専用サイト「けんしんナビ」によるインターネット予約【再掲】:各区保健福祉センターなどで実施する特定健診・がん検診などのインターネット予約を実施 <4>小児・AYA世代※1がん患者在宅療養生活支援事業:40歳未満のがん患者を対象に訪問介護※2、福祉用具※3貸与・購入等に要する費用の一部を助成 <5>骨髄等移植ドナー助成事業:骨髄等移植ドナーに対する助成 <6>医療費助成:小児慢性特定疾病※4児童などに対する医療費助成、日常生活用具給付 <7>がんの教育:児童生徒に、自身の健康管理をはじめ、がんの予防や早期発見に関する重要性を認識させるとともに、いのちを大切にする心を育成 【関連する施策】 ※がん検診については、健康・医療分野の施策1-2参照 ※1 AYA世代:AYA(アヤ)は,Adolescent and Young Adultの略称。15歳から39歳の思春期・若年成人の世代を指す。 ※2 訪問介護:279ページ参照 ※3 福祉用具:279ページ参照 ※4 小児慢性特定疾病:277ページ参照 (159ページ) 施策2-5 市立病院等の充実 ○福岡市立こども病院においては、小児に係る地域医療、救急医療及び高度専門医療を担う小児総合医療施設として、小児医療及び周産期医療※1のさらなる充実を図ります。 ○福岡市民病院においては、高度専門医療を担う地域の中核病院としての機能を維持するとともに、高度救急医療のさらなる充実を図り、新型インフルエンザなどの感染症発生時や災害発生時においては、福岡市における対策の中核的役割を果たします。また、福岡市民病院の現状、地域医療構想や医師の働き方改革など公立病院を取り巻く医療環境の変化などを踏まえ、あり方の検討を進めます。 ○両病院共に地域医療支援病院※2としての役割を踏まえて、地域の医療機関とのさらなる連携を図ります。 ○離島における島しょ診療所※3については、関係機関と連携し、担当医師などを安定的に確保し、島民の健康保持に必要な医療を提供します。 【現在の主な事業】 <1>市立病院事業:地方独立行政法人※4福岡市立病院機構が運営する、福岡市立こども病院及び福岡市民病院の市立2病院において、市民等に対する安全・安心な医療を提供 <2>市立島しょ診療所事業:市立島しょ診療所を設置し、島しょの住民にその健康保持に必要な医療を提供 ※1 周産期医療:277ページ参照 ※2 地域医療支援病院:277ページ参照 ※3 島しょ診療所:278ページ参照 ※4 地方独立行政法人:278ページ参照 (160ページ) 施策2-6 医療安全等対策の推進 ○医療に関する患者や家族などからの相談に対し適切に対応します。また、医療施設における院内感染や事故防止のため研修会を開催するとともに、医療施設や薬事施設に対して良質で安全な医療の提供に向けた指導や啓発を行います。 ○薬局が地域に密着し、市民の健康づくりを支援する役割を果たすことができるよう、薬局機能強化の推進などに取り組みます。さらに、ジェネリック医薬品※の使用促進について、市民への啓発に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>医療安全相談窓口:各区保健所窓口において、医療に関する市民からの相談や苦情などに対応 <2>医療安全研修会:医療の質の向上と安全の確保を図ることを目的として、病院及び診療所の管理者又は従業者を対象に行う医療の安全に関する研修を実施 <3>医療監視:病院、診療所などが関連法規を遵守し、適正な管理を行っているかを検査するための施設立入調査を実施 <4>薬事監視:薬局、店舗販売業、高度管理医療機器等販売業などが関連法規を遵守し、適正な管理を行っているかを検査するための施設立入調査を実施 <5>医薬品に関する啓発講習会:かかりつけ薬局の推進やジェネリック医薬品の普及等を目的とした市民向けの講習会を開催 <6>【国民健康保険事業】適正服薬推進事業【再掲】:国民健康保険被保険者のうち、同じ薬効の薬を重複して服用している人や、飲みあわせの悪い薬の服用をしている人に対して、服薬情報のお知らせを送付し、医療機関や薬局への相談を促す個別勧奨事業を実施 施策2-7 外国人にもやさしい保健医療環境の推進 ○外国人が医療機関を受診する際、言葉による壁を取り除き、受診しやすいものとする必要があることから、電話による医療通訳を行います。また、外国人からの医療に関する問い合わせに対応します。 ○外国人にもやさしい医療環境の取組みについて、広報・啓発を進めます。 ○外国人がいる世帯に対して適切な保健指導や相談支援、結核などの感染症が発症した際の健康状態の確認を行うためなどの、相談対応や家庭訪問時における電話通訳サービスを活用します。また、母子健康手帳やちらしなどの多言語化に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>医療通訳など:外国人向けに医療機関での通訳や医療に関する案内を実施 <2>保健所の通訳等:保健所での相談、訪問時の電話通訳(母子保健・乳幼児に関する相談など、感染症(結核患者など)に対する体調の確認や相談など)。母子健康手帳、問診票、ちらし等の多言語化 ※ジェネリック医薬品:276ページ参照 (161ページ) 【基本目標3】健康で安全な暮らしの確保 〈現状と課題〉 (1)感染症対策の推進(【図表71、72、73、74、75、76、77】) <1>一般防疫※ ○感染症については、入院事例を含む個別症例のほか、保育所や高齢者施設等の社会福祉施設や医療機関などにおいて、腸管出血性大腸菌感染症、ノロウイルスによる感染性胃腸炎などの集団感染事例も継続して発生しています。また近年、麻しんや風しんなどの全国的流行が見られており、各種感染症の予防や発生時の感染拡大防止について、適切な措置と継続的な情報提供を行うことが必要です。 【図表71】福岡市における腸管出血性大腸菌感染症発生状況 表  以下は、年度 発生届出数 うち入院者数 うち集団発生件数 人数の順。 2010(平成22年度) 85 10 0 0 2011(平成23年度) 75 6 3 11 2012(平成24年度) 93 11 2 21 2013(平成25年度) 148 12 2 90 2014(平成26年度) 68 5 2 21 2015(平成27年度) 57 10 1 6 2016(平成28年度) 62 5 2 10 2017(平成29年度) 84 10 2 35 2018(平成30年度) 55 11 0 0 2019(令和元年度) 72 11 0 0 資料:福岡市 <2>予防接種 ○小児の予防接種については、おおむね95%を超える接種率を維持していますが、学童期に実施する2種混合第2期、日本脳炎第2期の接種率は75から90%とやや低い状況です。 ○2020年(令和2年)10月からロタウイルスワクチンが定期の予防接種となり、複雑化する予防接種制度を適切かつ安全に運用することが重要です。 <3>結核対策 ○結核は、2019年(令和元年)は約200名の患者が新たに生じるなど最大の慢性感染症です。 ○高齢者や外国生まれの結核患者など結核発症リスクの高い特定の集団が存在する等、地域の実情に応じた重点的な事業実施が必要です。 ※一般防疫:275ページ参照 (162ページ) ○DOTS※1(直接服薬確認療法)の普及によって治療完遂に向けた患者支援を行い、再発や多剤耐性菌※2の発生を防止して、結核感染の連鎖を断つことが重要です。 【図表72】結核罹患率の年次推移 グラフ  以下は、年 福岡市 全国の罹患率(人口10万対)の順。 1989年(平成元年) 46.7 43.1 1993年(5年) 38.5 38.0 1998年(10年) 30.4 32.4 2003年(15年) 23.2 24.8 2008年(20年) 20.9 19.4 2013年(25年) 15.0 16.1 2015年(27年) 14.4 14.4 2016年(28年) 12.4 13.9 2017年(29年) 12.2 13.3 2018年(30年) 10.4 12.3 2019年(令和元年) 12.9 11.5 出典:「結核登録者情報調査年報集計」(厚生労働省) 【図表73】2019年(令和元年)福岡市新登録結核患者割合(年代別) グラフ  以下は、年代 男 女 合計の患者数の順。 0から14歳 0 1 1  15から19歳 5 1 6 20から29歳 47 20 67 30から39歳 6 1 7 40から49歳 7 1 8 50から59歳 7 0 7 60から69歳 5 4 9 70から79歳 20 14 34 80歳以上 38 28 66 グラフ  以下は、年代 割合の順。 0から39歳 39.5 40から64歳 10.2 65歳以上 50.2 (注)2019年(令和元年)福岡市における新登録結核患者数 205人 出典:「結核登録者情報調査年報集計」(厚生労働省) ※1 DOTS:275ページ参照 ※2 多剤耐性菌:多くの抗菌薬(抗生剤)が効かなくなった細菌のこと。 (163ページ) 【図表74】新登録結核患者に占める外国生まれの結核患者割合の年次推移 グラフ  以下は、年 福岡市 全国の割合の順。 2010年(平成22年) 9.0 4.1 2011年(平成23年) 5.5 4.1 2012年(平成24年) 6.5 5.0 2013年(平成25年) 14.2 5.2 2014年(平成26年) 11.5 5.6 2015年(平成27年) 10.8 6.4 2016年(平成28年) 18.2 7.6 2017年(平成29年) 18.9 9.1 2018年(平成30年) 20.6 10.7 2019年(令和元年) 32.7 10.7 出典:「結核登録者情報調査年報集計」(厚生労働省) <4>エイズ・性感染症対策 ○HIV※は、感染後も自覚症状がない時期が続くことがあり、エイズを発症した状態でHIV感染が判明することも多く、新規報告数の約3割を占めていることから、HIV感染の早期発見に向けた取組みが必要です。 ○また、性感染症は、自覚症状がある場合でも医療機関を受診しないことがあるため、早期発見・早期治療につながるよう、正しい知識の啓発の継続・強化が重要です。 【図表75】福岡市HIV感染者・エイズ患者の新規報告数 グラフ  以下は、年 感染者数 患者数 合計人数の順。 2010年(平成22年) 24 16 40 2011年(平成23年) 31 11 42 2012年(平成24年) 30 11 41 2013年(平成25年) 32 7 39 2014年(平成26年) 34 15 49 2015年(平成27年) 20 7 27  2016年(平成28年) 35 28 63 2017年(平成29年) 39 15 54 2018年(平成30年) 23 17 40 2019年(令和元年) 30 21 51 資料:福岡市 ※HIV:275ページ参照 (164ページ) <5>肝炎対策 ○肝炎(ウイルス性肝炎)の持続感染者は、全国でB型が110万人から140万人、C型が190万人から230万人と推定され、国内最大の感染症とされています。 ○自覚症状がないことが多いので、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんなどのより重篤な疾患に進行するおそれがあるため、早期発見・早期治療の推進が重要です。 【図表76】福岡市肝炎ウイルス検査受検者累積数 グラフ  以下は、年 保健福祉センター 医療機関 合計の受検者数の順。 2013年(平成25年) 8728 83637 92365 2014年(平成26年) 9301 98174 107475 2015年(平成27年) 9811 112350 122161 2016年(平成28年) 10233 124875 135108 2017年(平成29年) 10648 137220 147868 2018年(平成30年) 11275 143648 159923 2019年(令和元年) 11587 159743 171330 資料:福岡市 <6>感染症健康危機管理体制 ○感染症については、交通等の発達に伴う人・物の交流・移動の増大やグローバル化の進展等により、限定的な地域での感染にとどまらず、国内での感染拡大、さらには国境を越えて国際社会全体に感染が拡大する事態が発生しやすくなっており、今後、エボラ出血熱、MERS※1(中東呼吸器症候群)、ジカウイルス感染症や今般の新型コロナウイルス感染症など、様々な新興感染症※2が国際的に脅威となるおそれがあります。 ○特に、九州・西日本地域の発展を支えるアジアのゲートウェイである福岡市においては、他の都市よりも感染症に関する備えが重要となっています。 ○世界的に流行する恐れがあり、生活に影響を及ぼす新たな感染症に備えるためには、保健所体制や医療提供体制、検査体制の強化など、今後も感染防止対策を継続的に強化し、健康危機管理体制の充実を図っていくことが重要です。 ※1 MERS:Middle East respiratory syndrome(中東呼吸器症候群)の略称。平成24年9月以降、サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している。 ※2 新興感染症:277ページ参照 (165ページ) 【図表77】福岡市の感染症対策及び新型インフルエンザ等対策に係る体制図 図 ○福岡市感染症危機管理対策本部 【役割】総合的対策の検討及び決定・庁内の情報共有 ○感染症危機管理専門委員会 【役割】福岡市感染症危機管理対策本部に対する情報交換及び技術的助言・指導 ○福岡市新型インフルエンザ等対策本部 【役割】新型インフルエンザ等に関する全市的な対応策の実施検討、情報共有 資料:福岡市 (2)薬物乱用及び薬物依存症の対策の推進 ○薬物乱用問題は年々複雑化しており、特に大麻事犯が増加傾向にあります。また、インターネットなどによる誤った情報の広がりが懸念されていることから、関係機関と連携して大麻をはじめとする薬物乱用防止に取り組む必要があります。 ○薬物などの依存症の回復には、依存症の適切な診断と本人や家族の理解・協力が必要であり、本人や家族を孤立させないよう、地域で関係機関が連携して支援に取り組むことが必要です。 (3)食品衛生の推進 ○食品の安全性を確保するためには、食品関連事業者・行政・消費者がそれぞれの責務や役割を果たしながら連携して取り組む必要があります。また、食品の生産から製造・販売までの供給行程の各段階において、食品の安全性を確保するための必要な措置が適切に行われなければなりません。 ○近年の食をとりまく環境の変化や国際化の進展などに対応し、食品衛生管理の国際基準である「HACCP※(ハサップ)」に沿った衛生管理が義務化されるなど、食品関連事業者自らが実施する衛生管理の向上が求められています。 ※HACCP:275ページ参照 (166ページ) (4)環境衛生の推進 ○旅館や公衆浴場等の環境衛生施設や貯水槽水道施設、社会福祉施設などは、不適切な管理が行われると健康危害の発生原因となるため、衛生水準の維持・向上が重要となっています。 ○福岡市では、高齢化に伴う死亡者数の増加に対応するため、福岡市葬祭場の施設整備、運用の見直しを検討する必要があります。 (5)動物の愛護・適正飼育の推進(【図表78】) ○飼育放棄による飼い主からの引き取りや飼い主不明の犬・猫を動物愛護管理センターが収容しています。収容した犬・猫については、元の飼い主への返還や新しい飼い主への譲渡に努めることで殺処分の削減に取り組んでおり、2019年度(令和元年度)には犬猫の実質的殺処分頭数※がゼロになりました。 ○収容頭数を減らすための不適切な飼い主に対するさらなる適正飼育の啓発や、継続的な譲渡推進などの取組みが求められます。 ※実質的殺処分頭数:負傷による死亡や獣医師により疾病等を理由に譲渡困難と判断した個体を除く。 【図表78】福岡市の犬猫の実質的殺処分頭数と譲渡頭数 グラフ  以下は、年 実質的殺処分頭数 譲渡頭数 合計頭数の順。 2015年(平成27年) 301 176 477 2016年(平成28年) 187 262 449 2017年(平成29年) 95 253 348 2018年(平成30年) 50 242 292 2019年(令和元年) 0 197 197 資料:福岡市 (167ページ) 【施策の方向性】 ○日頃から感染症の発生状況を把握し、市民への正しい知識の情報提供や、感染症の予防対策についての啓発を行うとともに、今後も世界で発生が懸念される社会的影響の大きな感染症に備えて、保健所体制及び検査体制の強化、医療提供体制の拡充などを引き続き行い、感染拡大を可能な限り抑制し、市民の生命及び健康を守ります。 ○また、市民が薬物などの害悪に巻き込まれないような社会の構築を推進するとともに、薬物などの依存症に関する相談・支援事業を充実します。 ○さらに、食品の安全性や衛生的な生活環境の確保により、市民の健康で快適な生活を実現するとともに、人と動物が共に健やかに暮らすことができる社会をめざします。 (168ページ) 施策3-1 感染症対策の推進 ○感染症発生動向調査などの情報管理の充実、市民一人ひとりの知識や意識の向上をめざした普及啓発、防疫体制の強化等を図るとともに、感染症が発生した場合には、適切な防疫活動により感染の拡大を防止します。 <1>一般防疫※1の推進 ○平時より、保健福祉センターを中心として、感染症に関する相談対応、地域団体等に対する健康教育、社会福祉施設や医療機関を対象とした研修会を開催するなど、感染症の発生予防に取り組みます。 ○感染症発生時には、その拡大を防止するため、患者・接触者等の健康調査、感染拡大防止の指導等を適切に行います。 ○また、福岡県等の関係機関と連携し、相互の発生状況など感染症情報の収集・分析と提供・公開を行い、早期の防疫体制の確立を図ります。 <2>予防接種の推進 ○感染症の罹患や重症化及び感染拡大を予防するために、医療機関と連携し、安全で有効な予防接種事業の実施に取り組みます。 ○また、予防接種に関する正しい知識の普及・啓発を推進し、広報活動の効果を検証・評価の上、改善を図りながら、適正な実施の確保に取り組みます。 <3>結核対策の推進 ○患者の発生動向を正確・迅速に把握しながら、積極的疫学調査に基づき、感染源・感染経路の究明を的確に行い、確実な接触者健診を実施します。 ○すべての患者に対しDOTS※2(直接服薬確認療法)を実施し、治療完遂に向けた患者支援を行います。 ○また、高まん延国※3出身者ほかハイリスクグループ※4等に対しては、定期の健康診断の実施促進に取り組みます。 ○さらに地域の関係機関等へ適切に情報提供及び研修を行うなど人材育成に努めながら、広く一般への正しい知識の普及・啓発を図ります。 <4>エイズ・性感染症対策の推進 ○HIV※5感染者、エイズ・性感染症患者の早期発見・早期治療のため、検査事業・相談事業を推進します。 ※1 一般防疫:275ページ参照 ※2 DOTS:275ページ参照 ※3 高まん延国:(結核の)罹患率が高い国のこと。 ※4 ハイリスクグループ:結核発病の危険が高いグループ(高齢者、住所不定者、結核の高まん延地域からの入国者等)のこと。 ※5 HIV:275ページ参照 (169ページ) ○また、関係機関と連携し、MSM※1などの個別施策層や若年層を中心とした幅広い世代への正しい知識の普及・啓発を推進し、感染予防及び感染者・患者への差別防止を図ります。 <5>肝炎対策の推進 ○ウイルス性肝炎の早期発見・早期治療のため、医療機関と連携し、検査事業の促進に取り組みます。 ○また、患者が安心して適正な治療を受けられるよう、医療費助成制度に関する十分な情報提供と相談受付・フォローアップ体制の整備を図ります。 <6>感染症健康危機管理体制の充実 ○新型インフルエンザ等感染症や新興感染症※2の流行に備え、個人防護具等の医療資材の整備を行うとともに、検疫所や指定医療機関など関係機関と連携し、平素からの情報交換、連携体制の確認、訓練を実施します。 ○新型インフルエンザ等感染症の発生時には、国や県の通知、及び「福岡市新型インフルエンザ等対策行動計画」等に基づき、関係機関と連携の上、全庁的な危機管理体制により迅速に対応し、感染拡大を可能な限り抑制し、市民の生命及び健康を守ります。 ○特に、新型コロナウイルス感染症などの新興感染症が、指定感染症とされた場合などには、国や県の通知に加え、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、速やかに、市民等に対して正しい情報の提供や必要な支援を行います。また、感染症の拡大防止に向け、市民生活及び市民経済に及ぼす影響が最小となるよう、保健所体制及び検査体制の強化、医療提供体制の拡充などに取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>感染症一般防疫:感染症発生動向調査による情報収集及び発生時における感染拡大防止などの防疫活動の実施 <2>各種感染症検査事業:患者の早期発見・早期治療を目的とした各種検査事業(エイズ・性感染症、肝炎ウイルス、風しん、結核)の実施 <3>予防接種事業:感染症の拡大防止等のための、予防接種法に基づく各種予防接種の実施 ※1 MSM:Men who have Sex with Menの略称。男性間で性行為を行う者のこと。 ※2 新興感染症:277ページ参照 (170ページ) 施策3-2 薬物乱用及び薬物依存症の対策の推進 ○薬物に対する正しい知識の普及啓発を行うなど、市民が大麻等の害悪に巻き込まれることがないよう薬物乱用防止対策を推進します。 ○薬物等の依存症に関する相談事業や、依存症本人の回復プログラム、家族教室等を開催するとともに、支援機関や自助グループとの連携を進め、薬物等の依存症対策に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>薬物乱用防止対策:関係機関と連携したキャンペーンの実施や啓発資材の配布など、薬物乱用防止啓発事業を実施 <2>薬物依存症対策:専門相談、薬物依存症者回復支援プログラム、薬物依存問題を抱える家族のための教室、依存症支援者連携会議、コホート調査会議などを実施 【関連する施策】 ※依存症対策については、障がい者分野の施策1-3参照 施策3-3 食品衛生の推進 ○最新の科学的知見に基づき、食品関連事業者に対する監視指導や危害発生リスクを考慮した食品の検査を実施し、食品の安全性を確保します。 ○食品関連事業者が自らの営業における食品衛生上の危害要因を正しく認識し、HACCP※に沿った衛生管理を適切に実施できるよう指導します。 ○食品衛生に関する正しい知識の普及や情報の収集・整理分析及び提供に努めるとともに、食品衛生の向上にかかわる人材の養成及び資質の向上を図ります。 ○食品の安全性について正確で分かりやすい情報の提供や市民及び食品関連事業者との食品の安全性確保の取組みなどに関する意見交換(リスクコミュニケーション)の促進を図ります。 【現在の主な事業】 <1>食品関連事業者への監視指導:飲食店などへの立入検査、食品の検査、HACCPに沿った衛生管理の推進 <2>リスクコミュニケーション:食の安全に関する情報提供、食品の安全性確保の取組みなどに関する意見交換 ※HACCP:275ページ参照 (171ページ) 施策3-4 環境衛生の推進 ○環境衛生施設や貯水槽に対する監視を実施するとともに、社会福祉施設に対して衛生上の助言や啓発を行い、施設管理者による継続的な衛生管理を促すことで、衛生水準の向上を図ります。 ○福岡市葬祭場では、今後もより効率的な施設運営に取り組んでいくために、火葬件数の推移にあわせて、施設の整備、運用の見直しを検討します。 【現在の主な事業】 <1>施設の監視:環境衛生関係施設に対する営業の許可、立入検査などの実施 <2>社会福祉施設の支援:社会福祉施設の環境衛生を確保するための助言や情報提供 <3>飲用水の衛生対策:専用水道や簡易専用水道に対する立入検査などの実施 <4>福岡市葬祭場:福岡市葬祭場の管理運営 施策3-5 動物の愛護・適正飼育の推進 ○ボランティア・ペットショップ・獣医師などとの連携共働※のもと、飼い主等に対して継続的な適正飼育の啓発を行うとともに、動物愛護管理センターが収容した犬・猫については、適切な譲渡を推進していくことで、2019年度(令和元年度)に達成した実質的殺処分ゼロの継続をめざします。 【現在の主な事業】 <1>犬猫パートナーシップ店制度:飼い主への適正飼育の講習や犬猫へのマイクロチップの装着など、市の基準を満たしたペットショップ等を認定 <2>ミルクボランティア事業:収容した離乳前の子犬・子猫について、2ヵ月齢程度になるまで、授乳などの支援をボランティアが担い、福岡市獣医師会との協力体制による適切な健康管理の後、その個体を新たな飼い主に譲渡 <3>譲渡サポート店制度:犬猫と飼い主の出会いの場を増やすため、適切な譲渡に協力するペットサロンやペットホテルなどを認定 ※共働:276ページ参照 (172ページ) 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために、次の項目を成果指標とします。 〈成果指標〉 ○基本目標1 健康づくりの推進 <1>初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均  現状値:男性81.0歳、女性84.3歳(令和元年度)  目標値:男性81.6歳、女性85.1歳(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <2>健康づくりに取り組んでいる人の割合(20歳以上)  現状値:55.4%(令和元年度)  目標値:75.0%(令和8年度)  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 <3>特定健診※受診率(40から74歳)  現状値:27.2%(令和元年度)  目標値:40.0%(令和5年度)  出典:保健福祉局調べ <4>がん検診受診率 <1>胃がん(40から69歳) <2>大腸がん(40から69歳) <3>肺がん(40から69歳) <4>子宮頸がん(20から69歳) <5>乳がん(40から69歳)  現状値:<1>40.2% <2>36.7% <3>43.9% <4>41.5% <5>44.2%(令和元年度)  目標値:<1>50.0% <2>50.0% <3>50.0% <4>50.0% <5>50.0%(令和8年度)  出典:国民生活基礎調査(厚生労働省) <5>自殺死亡率(人口10万人あたり)  現状値:15.6(平成30年)  目標値:13.0以下(令和8年)  出典:厚生労働省人口動態統計 ※よかドック・特定健診:141ページ参照 (173ページ) ○基本目標2 医療環境の整備 <1>訪問診療の患者数  現状値:11,626人(令和元年度)  目標値:22,000人(令和8年度)  出典:福岡県在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院・在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料届出施設調査 <2>病院における事業継続計画(BCP)策定率  現状値:16.5%(平成30年度)  目標値:100%(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <3>市立病院における医療サービス、患者サービス及び医療の質の向上に関する評価  現状値:A(令和元年度)  目標値:B以上(令和8年度)  出典:福岡市立病院機構に係る年度業務実績評価 ○基本目標3 健康で安全な暮らしの確保 <1>小児予防接種の接種率  現状値:77.3%(令和元年度)  目標値:90.0%(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <2>食中毒の年間発生件数  現状値:26件(令和元年度)  目標値:23件以下(令和3年度から令和8年度の平均)  出典:生活衛生関係事業統計 <3>環境衛生関連施設等の行政検査不適合率  現状値:7.0%(令和元年度)  目標値:0%(令和8年度)  出典:生活衛生関係事業統計 <4>犬猫の収容頭数  現状値:犬159頭、猫415頭(令和元年度)  目標値:犬100頭以下、猫250頭以下(令和8年度)  出典:生活衛生関係事業統計 第3部 高齢者分野 (175ページ) 第3部 高齢者分野 第1章 高齢者分野の基本理念等 1 基本理念  全国的に高齢化が進む中、福岡市も2017年(平成29年)に高齢化率が21%を超え、超高齢社会を迎えました。高齢化率は今後も上昇し、2025年(令和7年)には24.8%、2040年(令和22年)には31.0%と約3人に1人が高齢者になることが予測されています。  福岡市全体の人口は、2035年(令和17年)をピークに人口減少を迎える一方で、高齢者の数はその後も増加し続けると予測されています。  さらに、高齢者の単独世帯は、2015年(平成27年)の8万世帯から、2025年(令和7年)には1.5倍の11万9千世帯、2040年(令和22年)には2.2倍の17万6千世帯に増加する見込みです。  しかし、65歳以上の人の中には、自分自身は高齢者と言われるのはまだ早いと考える人が増えており、国の高齢社会対策大綱でも、「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつある。」とされています。  こうした状況を踏まえ、今後の福岡市においても、高齢者の活躍に大きな期待が寄せられています。福岡市がこれからも活力ある都市として発展し続けていくためには、高齢者が生きがいのある毎日を送り、健康を維持していくことで、心身共に元気な高齢者が増えていくことが不可欠です。いわゆる健康寿命※1を延ばし、意欲や能力に応じて社会の中で活躍できる仕組みや環境を作っていく取組みがさらに求められています。  その一方で、高齢化の進展に伴い、加齢や疾病によって医療や介護が必要となる高齢者も今後増えていくと予測されており、高齢者の単独世帯が増加していくことで、社会的孤立※2などの課題も多く生じてくることが考えられます。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、引き続き切れ目のないサービス提供の仕組みづくりが必要となります。  また、行政や介護事業所が提供するサービスとあわせて、地域住民やボランティア、NPO、民間企業など、多様な主体による生活支援があれば、住み慣れた地域でより長く安心して暮らし続けることが可能となります。こうした場面において、高齢者にもその意欲や能力に応じて活躍していただくことで、支援が必要な人を社会全体で支え合う福祉の充実が図れるものと期待されます。  さらに、超高齢社会を迎えた福岡市の経験や取組みを、これから急速に高齢化が進み様々な課題に取り組むアジアの国々と共有することで、アジアのモデル都市として貢献することにつながります。 ※1 健康寿命:276ページ参照 ※2 社会的孤立:277ページ参照 (176ページ)  このような点を踏まえ、高齢者分野の基本理念を以下のとおりとします。 【基本理念】  高齢者が年齢に関わらず、意欲や能力に応じ、生きがいをもっていきいきと活躍することができ、医療や介護が必要になっても、できるだけ住み慣れた地域で安全・安心に暮らすことができる社会を実現します。 2 計画の位置づけ  本分野は、介護保険法第117条第1項に定める介護保険事業計画と一体的に、また、社会福祉法第107条に基づく地域福祉計画、その他の法律の規定による計画であって高齢者の福祉に関する事項を定めるものと調和を保ちつつ策定し、老人福祉法第20条の8に定める市町村老人福祉計画とします。 3 基本目標 ○基本理念に基づき、5つの基本目標を定め、各施策を実施します。 (1)地域包括ケアの推進 ○高齢者をはじめとして、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つの分野のサービスを一体的に提供する「地域包括ケア」を推進し、「地域共生社会*」の実現につなげることをめざします。 (2)安心して暮らせる基盤づくり ○高齢者の暮らしの基盤となる住まいの確保、日常生活に不可欠な買い物などの生活支援、そして支え合えるコミュニティや人材の確保に取り組みます。また、災害等が発生した場合に、高齢者の安全・安心を確保できる仕組みづくりを進めます。 (3)いつまでもいきいきと活躍できる環境づくり ○高齢者が社会に参加することは、生きがいや介護予防、ひいては健康寿命*の延伸にもつながります。高齢者一人ひとりが、年齢を重ねても、意欲や能力に応じて様々な形で社会に参加し、いきいきと活躍できる環境づくりを進めます。 ※1 地域共生社会:277ページ参照 ※2 健康寿命:276ページ参照 (177ページ) (4)要支援・要介護高齢者等への支援体制の充実 ○介護や支援が必要な高齢者が適切な介護サービスを利用できるよう、介護保険制度を円滑に運営するとともに、制度の持続可能性を確保するための取組みを推進します。介護サービスについては、人材の確保と質の向上に取り組むとともに、市民ニーズに対応した介護サービス基盤を整備します。さらに、高齢者本人や家族などの介護者への支援のため、介護サービスに加えて様々な在宅支援サービスを提供します。 (5)認知症フレンドリーなまちづくりの推進 ○認知症の人が認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるよう、関係機関との連携を図りながら認知症の人や家族に対する支援の充実を図るとともに、市民や企業が認知症に関する理解を深める取組みや認知症の人や家族が自分らしく認知症とともに社会参加できる取組みを進めるなど、産学官民オール福岡で認知症フレンドリーなまちづくりを推進します。 (178ページ) 4 施策体系 ○基本目標に基づき、以下の体系により高齢者施策を推進します。 〈推進施策〉 【基本目標1】地域包括ケアの推進 (1-1)地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※1と各種相談機能の充実 (1-2)地域ケア会議※2の推進 (1-3)ICT(情報通信技術)やロボット等の利活用 【基本目標2】安心して暮らせる基盤づくり (2-1)住まいの確保と住環境の整備 (2-2)日常生活の支援等 (2-3)支え合う環境づくりと福祉・介護人材※3の確保 (2-4)災害対策の推進 【基本目標3】いつまでもいきいきと活躍できる環境づくり (3-1)社会参加の促進 (3-2)就業の支援 (3-3)介護予防の推進 (3-4)活動の場づくり 【基本目標4】要支援・要介護高齢者等への支援体制の充実 (4-1)持続可能な介護保険制度の運営 (4-2)介護サービス基盤の整備 (4-3)介護サービスの質の向上 (4-4)生活支援サービス※4の提供 【基本目標5】認知症フレンドリーなまちづくりの推進 (5-1)認知症に関する理解促進 (5-2)適切な医療・介護サービスの提供と予防の推進 (5-3)認知症の人や家族への支援の充実 (5-4)認知症とともに生きる施策の推進 主な老人福祉事業の目標量 ※1 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※2 地域ケア会議:186ページ参照 ※3 介護人材:276ページ参照 ※4 生活支援サービス:277ページ参照 (179ページ) コラム 「高齢者」とは何歳から  「高齢者」というと65歳からと連想する人が多いでしょう。  『高齢者=65歳以上』とする考え方は、1956年(昭和31年)に国際連合が、65歳以上の人口が全人口の7%を超えた状態の社会を「高齢化社会」と呼んだことに由来するのではないかとされており、この割合は日本を含め多くの国で使用されています。  しかし近年では、「高齢者」にあたる年齢の捉え方に変化が生じており、内閣府が、2014年度(平成26年度)に全国の60歳以上の人を対象に実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査結果」では、「高齢者」は、70歳以上と考える人が29.1%、75歳以上が27.9%、80歳以上が18.4%、65歳以上が6.4%の順となっており、このほか、年齢では判断できないと答えた人が10.4%と、当事者の多くは65歳以上と考えていないことがわかります。  2017年(平成29年)1月には、日本老年学会と日本老年医学会が合同で、近年の高齢者の心身の老化現象に関する種々のデータを検討した結果、近年の75歳以上が、65歳以上を高齢者と呼びはじめた当時と心身の状態が同程度であるとして、65歳から74歳までを「准高齢者」、75歳以上を「高齢者」と、高齢者の定義を見直す提言を行っています。  福岡市でも、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされる健康寿命※が、2016年(平成28年)のデータでみてみると、男性が71.04年、女性が75.22年という結果が出ています。  65歳を過ぎても心身の健康が保たれ、活発な社会活動を行っている人が増えていることで、これまでの「高齢者」に対する意識は変わってきています。 〔問〕高齢者とは何歳以上か グラフ  以下は、年代 割合の順。 60歳以上 1.1 65歳以上 6.4 70歳以上 29.1 75歳以上 27.9 80歳以上 18.4 85歳以上 2.5 これ以外の年齢 0.3 年齢では判断できない 10.4 わからない 1.3 無回答2.6 出典:「平成26年度高齢者の日常生活に関する意識調査結果」(内閣府) ※健康寿命:276ページ参照 (180ページ) 第2章 施策各論 【基本目標1】地域包括ケアの推進(【図表45(再掲)】)  福岡市の地域包括ケアにおいては、「2025年のめざす姿」として、「多様な主体による支え合い・助け合いの実現」、「一体的で切れ目のない支援による住み慣れた地域での暮らしの実現」、「市民の主体的な取組みによる自立生活の実現」を掲げ、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つの分野ごとに取組みの方向性を定め、地域住民、事業者、関係機関・団体など多くの関係者とともに、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた取組みを推進しています。  昨今、社会的孤立※1など関係性の貧困の社会課題化、ダブルケア※2やヤングケアラー※3、8050問題※4など、複合化・複雑化した課題が顕在化しています。このような課題の解決に向け、制度・分野の枠や「支える側※5」「支えられる側」といった従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割をもち、支え合いながら暮らしていくことができる「地域共生社会※6」の実現が、国において、今後の福祉政策の理念とされています。  このような社会背景や、福岡市が抱える多様な地域特性を踏まえ、地域包括ケアの取組みを深め、普遍化していくためには、行政だけでなく、地域住民や事業者、NPO、ボランティア、民間企業など地域における多様な主体が、相互に連携し、共働※7して支え合う関係性をさらに推進していく必要があります。 【図表45】地域包括ケアの姿(再掲) 図  以下は、図の説明。  「住まい」(自宅・サービス付き高齢者向け住宅等)を「介護」(介護が必要になったら、地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護・認知症高齢者グループホームなど))、「医療」(病気になったら、通院・入院)、「生活支援・介護予防」(いつまでも元気にくらすために)の3つとそれぞれ連携している。  ケアマネジャー、区役所、いきいきセンター、公民館が相談・コーディネート等を行う。 ※おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的にはおおむね中学校区)を単位として想定 出典:「平成27年版厚生労働白書」(厚生労働省)を基に作成 ※1 社会的孤立:277ページ参照 ※2 ダブルケア:277ページ参照 ※3 ヤングケアラー:280ページ参照 ※4 8050問題:278ページ参照 ※5 支える側:276ページ参照 ※6 地域共生社会:277ページ参照 ※7 共働:276ページ参照 (181ページ) 〈現状と課題〉 (1)地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※1や各種相談窓口の充実(【図表79】) ○高齢者の暮らしにおいて生じる様々な困り事について、身近な地域で相談に応じ支援する機関として、福岡市では、おおむね中学校区ごとに、57の地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)を設けています。 ○地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)では、高齢者や家族をはじめ、それを支援する民生委員・児童委員※2などからの相談に応じるとともに、地域のネットワーク構築、虐待防止や成年後見制度※3の利用促進等の権利擁護※4、介護支援専門員※5(ケアマネジャー)支援などの機能を果たすことで、高齢者等の保健医療の向上及び福祉の増進を図っています。 ○近年、相談者数を示す実相談件数に比べ、延相談件数が伸びてきていることから、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)に寄せられる相談内容の多様化や困難化が進んでいると考えられます。高齢者数の増加に伴う相談件数の増加という量的な変化への対応だけでなく、相談内容の質的な変化にも適切に対応していくため、相談対応・支援業務の質の向上や職員体制の充実等を図っていく必要があります。 ○福祉用具※6や住宅改造など在宅介護に関する相談に応じる介護実習普及センターをはじめ、各種相談機能の充実を図っていく必要があります。 【図表79】地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)への相談件数 グラフ  以下は、年度 実相談件数(万件) 延べ相談件数(万件) 高齢者数(万人)の順。 2006年(平成18年) 1.7 2.6 22.2 2016年(平成28年) 2.4 14.1 32.3 2017年(平成29年) 3.0 15.8 33.3 2018年(平成30年) 3.1 16.1 34.1 2019年(令和元年) 2.7 17.0 34.8 資料:福岡市 ※1 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※2 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 ※4 権利擁護:276ページ参照 ※5 介護支援専門員:要介護者の自立支援や家族等介護者の介護負担軽減のための必要な援助に関する専門的知識を有する人で「ケアマネジャー」とも呼ばれる。要介護者や家族の依頼を受けて、その心身の状況や置かれている環境、要介護者や家族の希望を勘案して、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成するとともに、介護サービス事業者との連絡調整等の支援を行う。 ※6 福祉用具:279ページ参照 (182ページ) (2)地域ケア会議※1の推進 ○地域包括ケアシステム※2を実現するための仕組みとして「地域ケア会議」を推進しています。 ○「地域ケア会議」は、保健・医療・介護などの専門職や地域関係者などによる個別事例の検討を通じ、それぞれの高齢者に対する支援の充実に向けた課題の発見・解決を図るとともに、個々の課題から見えてくる地域の課題や社会資源※3を把握し、必要な政策の検討につなげることをめざすものです。 ○人口160万人を超える福岡市では、日常生活圏域が多数存在し、それぞれの地域特性が異なっていることから、各地域の社会資源状況などの実情を踏まえて、高齢者の生活を支える仕組みづくり、取組みを進めていくことが必要となっています。 ○地域包括ケアの住まい、医療、介護、予防、生活支援の各分野の取組みが一体的に切れ目なく提供できるように、関係機関・団体、行政が連携して分野を横断した取組みを進めていく必要があります。 (3)ICT(情報通信技術)やロボット等の利活用 ○高齢化の進展による医療費や介護費用の増加等により、健康・医療情報の分析に基づく効果的・効率的な保健事業をPDCAサイクルで実施する「データヘルス計画」の取組みを進めています。介護予防事業においてもエビデンス(科学的根拠)に基づく効果的な施策が求められていますが、そのためには行政の持つビッグデータの活用が不可欠です。 ○ICTの利活用により、保健・福祉・医療に関する情報を一元的に集約・管理し、蓄積されたデータの分析に基づく、より効果的な施策の企画・実施・評価を行える環境づくりを推進しています。 ○行政のデータに加えて各種の社会資源情報も一元的に集約の上、管理・分析を行うことによって、適切な事業評価や効果的な施策の企画実施が可能となるとともに、地域包括ケアシステムに必要な多職種連携や、住民に対する切れ目ないサービス提供の実現にも大きく寄与することとなります。 ○超高齢社会及び人口減少社会の進展が見込まれ、社会保障費用の増大、及び介護の担い手不足が深刻な問題となる中、今後も将来にわたって持続可能な社会としていくためには、福祉・介護現場の職員の負担軽減やサービスの質の向上をめざして、AI(人工知能)やIoT※4、介護ロボットなどの最新技術の積極的な導入が必要です。 ※1 地域ケア会議:186ページ参照 ※2 地域包括ケアシステム:278ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 ※4 IoT:275ページ参照 (183ページ) ○負担が増大している福祉・介護現場の事務処理の効率化のため、申請先の行政側において、ICTなどの最新技術を最大限活用した事務の簡素化・効率化を進めていく必要があります。 ○高齢者のICT利用率は他の世代に比べて低く、ICTに馴染みのない方も多いことから、ICTの利活用にあたっては、高齢者のICTを使いこなす能力の向上を図るためのアプローチも重要となります。 【施策の方向性】 ○高齢者に関するニーズが多様化し、さらに課題が複雑化、複合化した社会状況の中で、個人や地域、それぞれの実情や特性に応じた地域づくりを進めることにより、地域包括ケアを推進していきます。 ○地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)や各種総合相談機能の充実・強化を図ります。 ○「地域ケア会議」を地域から市レベルまでの各階層において設置し、専門職と地域の関係者などが、それぞれの地域課題を把握し、課題解決に向けた検討などを行うことを通して、高齢者が地域で生活しやすい環境整備を重層的に進めます。また、行政内はもとより、関係機関・団体と行政が連携し、分野を横断して課題解決に取組みます。 ○行政の持つビッグデータの集約・一元管理を行い、在宅サービスにおける多職種連携の推進や、エビデンス(科学的根拠)に基づいた施策の分析・評価・企画立案を進めるほか、AI(人工知能)やIoT、介護ロボットなど最新技術の医療・保健福祉分野への導入を進めます。 (184ページ) 施策1-1 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)と各種相談機能の充実 ○地域包括ケアの実現に向け、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)の機能が十分に発揮されるよう、職員(保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員※1等)の高齢者人口(65歳以上の人口)に応じた配置を進めるとともに、職員研修の充実、働きやすい職場づくりなどに取り組んでいきます。また、地域、社会福祉協議会※3、保健・医療・介護・福祉・法律等の関係機関などとの顔の見える関係づくりを基本に多職種間の連携や、相談対応・支援力の向上に取り組みます。 ○介護についての知識や介護の技術を学ぶことができる「介護実習普及センター」や働く人のための介護の相談窓口「働く人の介護サポートセンター」、終活※4全般の総合相談を行う「終活サポートセンター」など、各種相談窓口における相談機能の充実を図ります。 ○ダブルケアやヤングケアラー、8050問題等の課題について関係機関への啓発等を行い、関係機関が連携してこれらの課題を抱える高齢者やその家族などを早期に発見し適切な支援につなげるよう、取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)運営【再掲】:高齢者の健康や福祉、介護、権利擁護※5等に関する相談に応じ、身体状況に適した助言を行うなど、高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施。センターの円滑・適正な運営を図るため、職能団体や介護保険被保険者などで構成する地域包括支援センター運営協議会を設置 <2>介護実習普及センター事業:介護講座の実施などにより介護知識・介護技術の普及を図るとともに、福祉用具※2の展示・相談体制を整備し、福祉用具の普及を促進 <3>働く人の介護サポートセンター:働く人が介護に直面した場合でも離職せずに介護と両立して仕事を続けられるよう専門の相談員が情報提供やアドバイスを実施 <4>終活サポートセンター<社協>:最期まで自分らしく生き、自分の生き方を決定していくため、終活全般の総合相談を行うほか、ふれあいサロン※6や地域カフェ※7などの場で出前講座を実施 ※1 主任介護支援専門員:介護支援専門員(ケアマネジャー)のうち、一定の実務経験を有し、主任介護支援専門員研修を修了した人。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などにおいて、地域での多職種協働・連携の態勢づくりと個々の介護支援専門員に対する支援を行う。 ※2 福祉用具:279ページ参照 ※3 市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※4 終活:277ページ参照 ※5 権利擁護:276ページ参照 ※6 ふれあいサロン:279ページ参照 ※7 地域カフェ:277ページ参照 (185ページ) 施策1-2 地域ケア会議※1の推進 ○福岡市では「地域ケア会議」を、市・区・おおむね中学校区・小学校区、個別の各階層に設置し、保健・医療・介護などの専門職や地域住民との共働※2のもと、それぞれの課題解決能力の向上や、地域の関係機関相互の連携を高めていきます。 ○地域ケア会議で把握された地域課題について、多世代に向けた自立生活の啓発や、最期まで自分らしく生きるための支援・啓発など、分野横断的な取組みをさらに進めていきます。 ○介護予防の観点で高齢者の自立を支援していくための「自立支援に資する地域ケア会議」を実施していきます。 【図表80】福岡市の地域ケア会議 図 ○地域ケア会議の機能 <1>個別課題解決 <2>ネットワーク構築 <3>地域課題発見 <4>地域づくり・資源開発 <5>政策形成  以下は、図の説明。  ピラミッドの頂点に「市レベルの地域ケア会議」があり、その下は4段階に分かれている。それぞれ下から上へ向かって矢印が描かれている。  ピラミッドの上から順に担当毎の地域ケア会議の名称を記す。 ●市保健福祉局  市レベルの地域ケア会議(保健・医療・介護などの専門の部会を設置) ●各区保健福祉センター  区ベルの地域ケア会議(保健・医療・介護などの専門の部会を設置) ●各区保健福祉センター/地域包括支援センター  「おおむね中学校区レベルの地域ケア会議」(開催エリアは1圏域ないし複数圏域)の下に「小学校区レベルの地域ケア会議」があり、さらにその下に「個別レベルの地域ケア会議」がある。  「個別レベルの地域ケア会議」で個別課題が解決され、頂点の「市レベルの地域ケア会議」で政策形成が行われる。 ※(主な会議参加者) 地域団体、民生委員・児童委員、保健医療関係者、介護サービス事業者、居宅介護支援専門員、司法関係者、本人、家族、社会福祉協議会、行政等 ※課題に応じて適切な階層の会議で検討を進めていく 資料:福岡市 ※1 地域ケア会議:186ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 (186ページ) 【現在の主な事業】 <1>地域ケア会議【再掲】:専門職や地域関係者などによる検討を通じ、それぞれの高齢者に対する支援の充実に向けた課題の発見・解決を図るとともに、個々の課題から見えてくる地域課題を発見し、必要な社会資源※1づくり、政策の検討につなげるための地域ケア会議を市、区、概ね中学校区、小学校区、個別レベルに設置。2018年度(平成30年度)からは、介護予防の観点を強化した自立支援型地域ケア会議を開催。高齢者一人ひとりの生活の質の向上とともに、会議参加者のスキルアップの場となるよう実施 施策1-3 ICT(情報通信技術)やロボット等の利活用 ○情報通信ネットワークを活用し、本人の同意のもとに、生活や心身の状況、サービス提供時の注意点などの情報を在宅医療※2や看護・介護に係る関係者が共有することで、関係者の負担軽減とサービスの質の向上を図り、在宅で安心して生活できる環境づくりを推進していきます。 ○行政の保有する医療や介護、予防(健診)等に係る各種データを集約し、地域ごとのニーズ分析や課題の「見える化」を行い、エビデンス(科学的根拠)に基づく適切な施策の企画・立案を実現し、医療・介護・予防・生活支援・住まいに係るサービスの充実化を図ります。 ○福祉・介護現場においては、職員の負担軽減及びサービスの質の向上をめざして、様々な場面でのAI(人工知能)やIoT※3、介護ロボットの利活用を進め、積極的な導入を支援・促進していきます。また、同時に、ICT技術を最大限に活用し、手続きの電子化や提出書類の削減など、行政側の事務の簡素化・効率化も進めていきます。 ○様々な手続きの電子化やICTを活用した情報発信が進む中、ICT機器の操作に不慣れな高齢者がスマートフォンやタブレット等に慣れ親しむための取組みを進めていきます。 ※1 社会資源:277ページ参照 ※2 在宅医療:276ページ参照 ※3 IoT:275ページ参照 【図表81】ICTの利活用 図  以下は、図の説明。  情報通信技術(情報システム、ネットワーク、各種デバイス、ビッグデータ)を活用して、高齢者本人の状況を下記の箇所とやりとりする。 <1>家族・地域:支援者による見守り <2>訪問看護師・ヘルパー:サービスの提供と生活状況の記録 <3>ケアマネジャー:各事業者への情報提供 <4>医療機関:生活状況に応じた医療サービスの提供 <5>行政:現状の分析・解析 資料:福岡市 (187ページ) 【現在の主な事業】 <1>地域包括ケア情報プラットフォーム構築事業【再掲】:高齢者やその家族に多様なサービスが一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアの実現に向け、保健・医療・介護等に関するビッグデータを一元的に集約・管理する情報通信基盤を構築し、ICTの活用により、地域ニーズの見える化や医療・介護における多主体間の連携などを実現するシステム <2>AI(人工知能)を活用した「ケアプラン作成支援システム」構築事業:行政や民間が保有するデータやAI等を活用することにより、科学的知見に基づいた、介護予防・重度化防止に資するケアプランの作成を支援するシステムの開発 <3>ICTを活用した認知症の早期発見:ICT等を活用した認知機能の簡易検査を実施 <4>福祉人材※確保事業:介護ロボット・IoT等の導入促進などによる「労働環境・処遇の改善」に関する事業を実施(事業の一部抜粋) <5>ケア・テック・ベンチャー支援:ケア分野における現場の課題とスタートアップ企業のアイデアや技術を結びつけ、課題解決を促進 <6>高齢者向けスマホ・タブレット講座:老人福祉センターにおいて、スマホ・タブレットの基本的な操作やアプリの使用法などに関する講座を実施 <7>公民館スマホ塾:公民館において、高齢者等を対象にスマートフォンの使い方等を学べる講座を実施 ※福祉人材:279ページ参照 (188ページ) 【基本目標2】安心して暮らせる基盤づくり 〈現状と課題〉 (1)住まいの確保とバリアフリー※1の推進(【図表82】) ○高齢者一人ひとりの健康状態や家族の状況、経済状況は様々であり、高齢者の住まいへのニーズも多様化しているなど、高齢者の個々の状況に応じた多様な住まい(住宅・施設)の確保が求められています。 ○令和元年度福岡市高齢者実態調査によれば、現在の住まいに、「老朽化している」、「手すりがなかったり、室内に段差があるなどバリアフリー化されてない」などの困り事を抱えている高齢者が約2割いるという結果が出ています。介護が必要になってもできるだけ住み慣れた場所で暮らし続けられるよう、住まいのバリアフリー化の推進も必要です。 ○バリアフリー化され、見守りや生活支援サービス※2の付いた高齢者向け住宅のニーズは年々高まっています。 ○家庭環境や経済面など様々な理由によって、自立した生活が困難な高齢者のための住まいとして、軽費老人ホームなど、できるだけ低額で利用できる住まいも必要となります。 ※1 バリアフリー:279ページ参照 ※2 生活支援サービス:277ページ参照 【図表82】住まいで困っていること グラフ 回答数:1764  以下は、困っていること 割合の順。 老朽化している 21.5% 手すりがなかったり室内に段差がある等バリアフリー化されてない 19.0 家賃が高い 6.9 せまい 6.6 集合住宅のエレベーターがない 5.3 日照・騒音など,環境が悪い 4.6 自分の居室がない 2.2 立ち退き要求を受けている 0.4 その他 3.9 特になし 51.2 無回答 2.1 出典:「令和元年度福岡市高齢者実態調査」(福岡市) (189ページ) (2)福岡市の特性に応じた住まい方 ○福岡市は政令市の中で、民間賃貸住宅の割合が最も高いという特徴があります。民間賃貸住宅への入居に関し、高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯は、「病気や居室内での死亡などへの不安」などを理由に入居を断られる場合があるため、高齢者が自らのニーズに合った住まいへ円滑に入居できるための支援が必要です。 ○市営住宅については、昭和50年代前半までに大量供給した住宅の老朽化が進行していることから、高齢化などの社会情勢に対応しながら、適切に機能更新を図る必要があります。 コラム 高齢者の住まい方いろいろ  高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯などを対象とした住まいとして注目されているのが、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームです。  サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者の居住の安定確保に関する法律いわゆる「高齢者住まい法」の改正により創設されたもので、住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面に加え、安否確認や生活相談サービス等を提供することなどにより、高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯が安心して暮らすことができる環境を備えた民間の賃貸住宅です。(2020年〔令和2年〕3月末現在で、福岡市内に約3200戸)  また、有料老人ホームとは、専ら高齢者のみが入居し、入浴、排せつ、食事の提供、洗濯・掃除など家事の供与の介護等サービスを提供する施設として、老人福祉法に規定されている施設です。  有料老人ホームはそのサービスの提供に応じて、さらに介護付、住宅型、健康型の3つに分けられます。(2020年〔令和2年〕3月末現在で、福岡市内の住宅型の定員約7200人、介護付の定員約4200人)  このほかにも、三世代同居や高齢者の近くにその子ども世帯が近居するなど、少子高齢化に対応した住まい方として見直されています。  また、複数人の仲間と一つ屋根の下で助け合って暮らすグループリビング※やシェアハウスなどの住まい方もあります。友人や知人など、血縁ではないつながりを大切にしながら、一人暮らしや夫婦二人暮らしの高齢者などの孤独な生活への不安に応えるかたちで生まれてきたもので、気の合う仲間と一緒に楽しく生活していけることや、家賃が低く抑えられることなどのメリットがあるようです。 ※グループリビング:一人暮らしの不安を考慮するため、複数人の仲間と一つ屋根の下で助け合って暮らす暮らし方。 (190ページ) (3)買い物などの日常生活の支援等 ○超高齢化、世帯の単身化が進む中、日常生活において支援を要する高齢者が増加しているほか、支援ニーズが多様となっており、日常生活の中でも欠くことができない買い物等の支援を実施する必要があります。 ○買い物や通勤、通院など、日常生活に欠かすことができない人の移動、いわゆる生活交通の確保は重要です。また、身体的な理由などから、日常生活の歩行や移動に支障がある高齢者や、寝たきりのために一般の交通機関の利用が困難な高齢者などへの支援も必要です。 (4)福岡市の特性に応じた支え合いの仕組み ○全国的に高齢化が進む中、福岡市も一貫して高齢化率が上昇し、特に、後期高齢者(75歳以上の高齢者)の単独世帯が、急激に増加することが見込まれ、住民同士の支え合い・助け合いが非常に重要となっています。また、福岡市は住民異動が頻繁で、隣近所との関係が希薄化しやすいと考えられるため、様々な方法を凝らして、その特性に応じた支え合いの仕組みを築いていく必要があります。 ○地域やコミュニティにおいて、お互いを気にかけ支え合う関係が育まれることは、社会的孤立※の発生・深刻化を防ぐことにも資するものであり、誰もが望めば多様な経路でつながり、参加することのできる環境が整備されていることが必要です。 ※社会的孤立:277ページ参照 (191ページ) コラム 高齢者の運転を考える  福岡市に住む60歳以上の人を対象として、2019年度(令和元年度)に実施した高齢者実態調査(※1)において、外出する際の交通手段は何かという問いに対して、徒歩や路線バスに次いで自家用車の運転が3位となり、自家用車は高齢者の交通手段として高いニーズがあることがわかっています。  また、福岡市では、高齢者人口(65歳以上の人口)が増加しており、65歳以上の運転免許保有者が2018年(平成30年)に152523人と、これまでの4年間で約1.2倍に増加(※2)しています。  一方で、高齢運転者による交通事故への不安もあります。警察庁の統計資料によると、2019年(令和元年)の75歳以上の高齢運転者が第1当事者(※3)となる死亡事故は全国で401件と、過去10年間で最少の件数となりましたが、免許人口10万人当たりでは6.9件で、75歳未満の運転者の件数と比較すると2.2倍となっています。福岡市でも、65歳以上の高齢者が第1当事者となる交通事故の全事故に対する割合は、2016年(平成28年)が15.6%、2017年(平成29年)が16.5%、2018年(平成30年)が16.8%(※2)と、少しずつ増えています。  今後も高齢運転者の増加が予想されており、高齢運転者が、交通事故を起こさないため、加齢による自らの身体機能や認知機能の低下に気づき、安全運転を心がけることが必要です。また、夜は見えにくいので運転しないようにしよう、雨の日は視界が悪いから運転しないようにしよう、など交通事故を起こさないためのルールづくりが必要になります。運転する日の体調や、天候、路面状況などにあわせた運転への心がけも必要です。  さらに、交通事故を防止し、その被害を軽減できる、安全運転サポート車(通称・サポカー)への代替や、後付けの安全運転支援装置を備え付けることも有効です。 (※1)福岡市内在住の60歳以上3000人を対象に調査を実施し、1866人(62.2%)から回答を得ました。 (※2)「福岡市の交通事故」出典 (※3)「第1当事者」とは、最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいいます。また、過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいいます。 【安全運転サポート車】  衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進等抑制装置等が搭載された自動車 ○衝突被害軽減ブレーキ 車載レーダー等により前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対し警報し、さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキが作動します。 ○ペダル踏み間違い時加速抑制装置 停止時や低速走行時に、前方や後方の壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込んだ場合には、エンジン出力を抑える等により急加速を防止します。 【後付けの安全運転支援装置】  既販車に後付けで設置する、ペダル踏み間違い急発進等抑制装置等 (192ページ)  高齢運転者の事故に特有なこととして、大きな事故の前に小さな事故を多発するということが挙げられます。例えば、車庫入れに時間がかかるようになった、車に小さな傷が増えたなどといった場合には注意が必要です。家族がそのような運転の変化に気がついた場合には、家族で運転について考え、ルールづくりや安全運転支援装置の活用などに取り組むことが大切です。大切な家族を加害者にしないため、加害者の家族にならないため、早いうちから運転について、家族で話合うことが重要です。 (5)地域包括ケアを支える福祉・介護人材※1の確保 ○少子化による労働力人口の減少と高齢化の一層の進行に伴い全産業的に人手不足が進み、人材獲得のための競争が激化しています。高齢者が、介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、地域包括ケアを支える福祉・介護人材の確保が大きな課題となっており、今後さらなる深刻化が予測されます。 ○このうち、介護サービスの担い手については、福岡県では2025年度(令和7年度)には約9500人不足すると推計されており、この推計値と要介護認定者※2数における福岡県と福岡市の割合を用いて試算すると、福岡市は約5500人となります。中でも、訪問介護※3員の有効求人倍率は2019年度(令和元年度)の全国平均で15倍を超えており、特に深刻な問題となっています。また、福岡市における離職率は全国や福岡県よりも高くなっています。今後、認知症や医療ニーズをあわせ持つ要介護高齢者の増大が見込まれており、介護人材の確保は、ますます重要になっています。 【参考】2025年度(令和7年度)の福岡県の介護人材(推計値) 表 需要見込み 95246人 供給見込み 85790人 差 約9500人 ※厚生労働省が2018年(平成30年)5月に公表した「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」 ○一方、介護分野への外国人人材の受入は進んでおり、2017年(平成29年)9月の在留資格「介護」創設、同年11月の技能実習への介護分野追加に加えて、2019年(平成31年)4月からは在留資格「特定技能」が創設され、今後も外国人の受入は拡大していく見込みです。 ○福岡市で活躍する外国人人材が、帰国後も介護分野で活躍できるよう人材還流※4の仕組みをつくることが期待されています。 ※1 介護人材:276ページ参照 ※2 要介護認定者:280ページ参照 ※3 訪問介護:279ページ参照 ※4 還流:276ページ参照 (193ページ) (6)災害時の支援体制づくり ○全国的に大規模な災害が多発する中で、平常時から地域での見守り活動を進めることは、災害時の助け合いや高齢者の円滑な避難支援にも資する取組みです。 ○公民館や小学校などの一般的な避難所や、同避難所内に必要に応じて設置される福祉避難室※1での生活が困難な高齢者等を受け入れるために、福祉避難所※2を開設しますが、今後、高齢者数の増加とともに、要配慮者数も増加が見込まれており、大規模な災害の発生も想定した福祉避難所の確保が必要です。 ○福岡市は交流人口も多いため、災害発生時には、市民以外の高齢者の安全・安心の確保にも配慮する必要があります。 【施策の方向性】 ○高齢者が安心して快適に暮らせるために、高齢者の心身の状況やニーズ等に応じた多様な住まいを確保するとともに、高齢者の住まいへの入居支援等の取組みを促進します。 ○高齢者等の日常生活の支援については、そのニーズの把握や、必要なサービスとのマッチングなどを図ります。特に買い物への支援については、多様な社会資源※3を活かし、地域ごとの特性やニーズに応じた多様で持続可能な買い物支援の取組みを進めます。 ○日常生活の歩行や移動に支障がある要介護高齢者や、寝たきりのために一般の交通機関の利用が困難な高齢者などに対して支援を行っていきます。 ○公共交通による生活交通の確保については、生活交通条例に基づき、休廃止対策や不便地対策などに取り組み、持続可能な生活交通の確保に努めます。 ○市全体やその圏域ごとの特性に応じて、高齢者や子ども、学生や外国人などの地域住民はもとより、企業やNPO、介護事業者、大学等の多様な主体が相互に連携し、その意欲や能力に応じて役割を持って活躍することで、高齢者が社会的に孤立することがないよう支え合いの仕組みづくりを進めます。 ○福祉・介護人材の確保に向けて、介護事業者の経営力強化などの「労働環境・処遇の改善」、外国人人材の受入支援を含む「新規人材の参入促進」及び「資質の向上」を総合的に推進します。 ○災害時における高齢者の円滑な避難支援体制の構築を図るとともに、特別な配慮を必要とする高齢者のために福祉避難所の確保を推進します。 ※1 福祉避難室:279ページ参照 ※2 福祉避難所:279ページ参照 ※3 社会資源:277ページ参照 (194ページ) 施策2-1 住まいの確保と住環境の整備 ○「福岡市住生活基本計画」及び「福岡市高齢者居住安定確保計画」に基づき、高齢者が安心して居住できる生活支援サービス※1(安否確認・生活相談)が付いた高齢者向けの住宅や高齢者向け施設の供給促進、また、高齢者が居住する住宅のバリアフリー化等を進めることにより、高齢者の心身の状況やニーズに応じた多様な住まいの確保を促進します。 ○心身の状況等により、多様化する住まいへの要望に対して、高齢者のニーズに沿った情報を提供し、安心して居住することができる住まいを選択できるよう支援するとともに、円滑に入居するための支援策の充実を図ります。 ○公的機関や医療機関、民間事業者など多様な主体との連携を強化しながら、今後増加が見込まれる、住宅に居住しながら介護サービスや生活支援サービス※2などを必要とする高齢者の住生活の支援と質の確保を図ります。 ○市営住宅については、機能更新の際に、バリアフリー化を進めるとともに、高齢者世帯等のより住宅困窮度が高い世帯に対して、入居者の定期募集における優遇制度を実施するなど、市営住宅への入居を支援します。 ○「福岡市住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、住宅セーフティネット機能の強化を図るため、民間の賃貸住宅を活用し、セーフティネット住宅の登録促進や、入居者負担軽減に向けた経済的支援を実施します。 ○家庭環境や経済面など様々な理由により、自立した生活が困難な高齢者の住まいを確保するため、軽費老人ホームの運営費の支援などを行います。 【現在の主な事業】 <1>サービス付き高齢者向け住宅の供給促進:高齢者の単独・夫婦世帯が安心して居住できる住宅の供給促進を図るため、バリアフリー化や安否確認サービスなど一定の基準を満たす「サービス付き高齢者向け住宅」の登録を推進 <2>住宅改造相談センター:身体機能の低下した高齢者やその家族が住宅をその高齢者に適するように改造する場合、改造方法や助成制度などに関する相談対応や情報提供を実施 <3>住宅改修費の支給:手すりの取り付けや段差解消などの住宅改修を行う場合に、その費用の一部を支給 <4>高齢者住宅改造助成事業:要介護者等のいる世帯に対し、住宅を改造する際の費用の一部を助成(原則として住宅改修費の支給対象となるものを除く) <5>住まいサポートふくおか(福岡市居住支援協議会事業)<市、社協>【再掲】:住み替えでお困りの高齢者等を支援するため、福岡市社会福祉協議会※2をコーディネーターとして、入居に協力する「協力店」の確保や入居支援を行う「支援団体」によるプラットフォームを構築し、民間賃貸住宅への円滑入居及び入居後の生活を支援 ※1 生活支援サービス:277ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (195ページ) <6>市営住宅におけるユニバーサルデザインの導入推進:市営住宅の機能更新では、室内外の段差解消やエレベーター設置などのバリアフリー化に加え、玄関等への手すりの設置、水栓のレバー化など誰もが暮らしやすいように、ユニバーサルデザインの導入を推進 <7>セーフティネット住宅入居支援事業:住宅セーフティネット機能強化を図るため、高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅(セーフティネット住宅)の登録促進や、入居者負担軽減及び居住環境向上のための経済的支援を実施(改修費補助、家賃低廉化補助、家賃債務保証料低廉化補助) <8>軽費老人ホーム運営費補助:身体的機能の低下や高齢のため、独立した生活に不安がある高齢者が、低廉な利用料で入所できる施設である軽費老人ホームの運営を支援 (196ページ) 施策2-2 日常生活の支援等 ○生活支援については、行政、社会福祉協議会※1、地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※2等が連携し、社会福祉連携推進法人※3制度など近年の制度改正を踏まえ、地域資源の発掘や担い手の養成などの資源開発、関係者間の情報共有や連携体制づくり等のネットワーク構築、高齢者等の住民ニーズとサービス資源のマッチングなどにより、多様な主体による多様な支援の充実を図ります。 ○特に、買い物支援については、移動販売車の運行や臨時販売所の開設、買い物先への送迎など多様な方法を、民間の活力や地域の支え合いの力、ICT(情報通信技術)などの新しい技術等、多様な社会資源※4を活かして具体化し、地域の特性やニーズに応じた支援に取り組んでいきます。 ○日常生活の歩行や移動に支障がある要介護高齢者等に対して、介護保険制度において、訪問介護※5員による外出支援や歩行器などの貸与を行っていくとともに、寝たきりのために一般の交通機関の利用が困難な高齢者等に対して、寝台タクシー料金の一部を助成するなどの支援を行っていきます。 ○公共交通施策として、誰もが使いやすい安全、安心、快適な交通環境づくりを進めるとともに、行政、市民及び交通事業者の協力と連携のもと、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に努めます。 ※1 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※2 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※3 社会福祉連携推進法人:277ページ参照 ※4 社会資源:277ページ参照 ※5 訪問介護:279ページ参照 (197ページ) 【現在の主な事業】 <1>生活支援体制整備事業【再掲】:生活支援コーディネーター※1の配置などにより、地域における資源開発やネットワーク構築、ニーズとサービスのマッチングを行い、多様な主体による多様な支援の充実を促進 <2>地域との協働による買い物等支援推進事業【再掲】:買い物支援推進員を設置し、企業・事業所等の地域資源の掘り起こしを進め、これと地域をマッチングすることで、地域の特性やニーズに応じた、多様で持続可能な買い物支援の仕組みを構築 <3>商店街社会課題解決型補助金:商店街が行う少子化・高齢化等の社会課題に対応した集客力向上及び売上増加の効果のある事業(買い物困難者(買い物弱者)支援等)に対して、その対象経費の一部を補助 <4>介護予防・生活支援サービス※2事業:要支援者等に対して、専門職によるサービスを必要とする人を対象とした、従来の訪問介護・通所介護と同等である介護予防型サービスと、専門職によるサービスを必要としない人を対象とした、従来の訪問介護・通所介護よりも割安な料金で利用できる生活支援型サービスを実施 <5>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <6>生活支援ボランティアグループ支援(ご近所お助け隊支援事業)<社協>【再掲】:日常のちょっとした困りごとを解決するボランティアグループの立ち上げ・運営や、元気高齢者の活躍の場として活動につなぐ支援を実施。グループに対し活動経費の一部を助成 <7>訪問介護(介護保険サービス):訪問介護員が居宅を訪問し、食事、入浴、排せつ、通院・外出の付き添いなどの身体介護や調理、洗濯、買い物などの生活援助を実施、また、通院などを目的とした乗車介助(介護タクシー)を実施 <8>福祉用具貸与(介護保険サービス):日常生活の自立を支援するため、車いす、特殊寝台、床ずれ予防用具、歩行補助つえなどの福祉用具を貸与 <9>移送サービス:寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者に、寝台タクシー料金の一部を助成 <10>福祉有償運送※3【再掲】:NPO団体等が実施する福祉有償運送について、運送運営協議会を主宰するとともに、相談や実施団体への助言、指導、ボランティア運転手の養成支援などを実施 <11>公共交通バリアフリー※4化促進事業:福岡市バリアフリー基本計画に基づき、誰もが使いやすい安全、安心、快適な交通環境づくりのため、ノンステップバス・ユニバーサルデザインタクシーの導入や鉄道駅のバリアフリー化を促進 <12>生活交通支援事業:バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域における代替交通の確保や、公共交通が不便な地域における地域が主体となった生活交通確保の取組みへ支援 ※1 生活支援コーディネーター:277ページ参照 ※2 生活支援サービス:277ページ参照 ※3 福祉有償運送:279ページ参照 ※4 バリアフリー:279ページ参照 (198ページ) 施策2-3 支え合う環境づくりと福祉・介護人材※1の確保 ○社会福祉協議会※2、民生委員・児童委員※3協議会、老人クラブ連合会、衛生連合会※4、自治協議会※5等、地域で活動する各種団体への支援や、様々な場面での連携を通じて、地域の特性に応じた住民同士の支え合い・助け合いの仕組みづくりを支援します。 ○住民団体だけでなく、企業やNPO、介護事業者、大学などの多様な主体の地域の支え合い・助け合い活動への積極的な参加を促進するとともに、社会福祉法人の地域での公益的な取組みを推進します。 ○住民の地域コミュニティへの参加を促し、住民相互の顔の見える関係づくりを進めるため、住民が気軽に集まれる場づくりを進めます。住民の交流の場として空き家などの活用を進める市社会福祉協議会への支援を行っていきます。 ○高齢者が、介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、喫緊の課題である福祉・介護サービスの担い手を確保するため、介護事業者の経営力強化などの「労働環境・処遇の改善」、外国人人材の受入支援を含む「新規人材の参入促進」及び「資質の向上」に総合的に取り組みます。 ○あわせて、介護に関する入門的研修の実施や、介護事業所向け研修の充実、介護ボランティアの登録・活用など、福祉・介護人材のすそ野を広げ、定着を促進する様々な取組みを進めます。 ※1 介護人材:276ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※3 民生委員・児童委員:279ページ参照 ※4 衛生連合会:275ページ参照 ※5 自治協議会:276ページ参照 【図表83】福祉人財が輝くための施策のイメージ図 図  以下は、図の説明。  3つの施策(下記)から「福祉人材が輝くまちへ」へ矢印が伸びている。 <1>新規人材の参入促進 ○各団体による既存の広報啓発活動の連携による一体的PRと、ターゲットに合わせた効果的な広報・啓発 ○幼少時から「介護」に出合う機会を増やす ○多様な人材が介護の世界に入りやすい環境づくり ○外国人人材の受け入れに関する知見の共有化、まち全体での受け入れ <2>労働環境・処遇の改善 ○働く人の満足度を上げる職場づくりを支援 ○働き方の選択肢を多様化し、介護専門職の負担軽減を支援 ○職場のスタッフ同士の交流促進を支援 <3>資質の向上 ○介護のプロとしてのキャリアアップやキャリアパスの構築を支援 資料:福岡市 (199ページ) 【現在の主な事業】 <1>社会福祉協議会地域福祉推進事業費補助金【再掲】:地域福祉の推進に多大な役割を果たし、市民福祉の向上を目的とした事業を積極的に実施している福岡市社会福祉協議会に対する事業費の補助 <2>福岡市民生委員児童委員協議会補助金【再掲】:日頃から、社会奉仕の精神をもって自主的に社会福祉の増進に努め、低所得者の自立更生の支援、高齢者・障がい者・児童・母子等の福祉向上及び公的社会福祉施策への協力等を行っている民生委員・児童委員の活動支援 <3>老人クラブ活動支援:高齢者の社会参加及び健康づくりを推進するため、老人クラブ活動費及び福岡市老人クラブ連合会運営費、各種事業費等について助成 <4>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <5>ふれあいサロン<社協>【再掲】:閉じこもりがちな高齢者や障がいのある人等の孤立防止や介護予防、生きがいと健康づくり等を目的に、レクリエーションなどサロン活動を実施 <6>多様な居場所づくりの支援<社協>【再掲】:ふれあいサロンや地域カフェ※1、家族介護者のつどい、子ども食堂等、住民の様々な交流の場づくり(立ち上げ、運営)の支援 <7>社会貢献型空家バンク事業<社協>【再掲】:空家を子ども食堂や地域サロン、高齢・障がい福祉事業所等の活動拠点とするため、法務・税務・建築等の各種専門家と共働※2して総合相談窓口を設置・運営し、空家の福祉活用を推進 <8>福祉人材※3確保事業【再掲】:介護の経営力強化や介護ロボット・IoT※4等の導入促進などの「労働環境・処遇の改善」、業界一体となった福祉・介護の魅力発信などの「新規人材の参入促進」、研修を通した「資質の向上」など、総合的な取組み <9>外国人介護人材受入支援事業:外国人介護人材の受入促進のための相互支援プラットフォームにおいて、官民一体となり、安全で継続的な受入等の仕組みや福岡ならではの魅力づくりを実施 <10>介護に関する入門的研修:介護予防・日常生活支援総合事業※5の生活支援型訪問サービスや地域での介護の担い手を養成する研修の実施 【関連する施策】 ※見守りと支え合い活動の推進については、地域分野の施策2-3参照 ※1 地域カフェ:277ページ参照 ※2 共働:276ページ参照 ※3 福祉人材:279ページ参照 ※4 IoT:275ページ参照 ※5 介護予防・日常生活支援総合事業:276ページ参照 (200ページ) 施策2-4 災害対策の推進 ○災害時に支援を必要とする高齢者が円滑に避難できるよう、平常時から避難行動要支援者名簿※1の管理や地域の見守り活動等の仕組みづくりを進めるとともに、防災担当部署、区役所、社会福祉協議会※2などの関係機関と連携して避難支援の体制構築を図ります。 ○一般的な避難所や福祉避難室※3での生活が困難な高齢者等のための福祉避難所※4の確保、さらに市社協が運営する災害ボランティアセンターなどとの連携により、災害発生時の支援体制の構築を図ります。また、福祉避難所などで必要となる食料等は、施設などと連携しながら確保を図っていきます。 【現在の主な事業】 <1>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <2>災害ボランティア活動推進事業<社協>【再掲】:災害への備えについて市民意識の向上を図るとともに、災害時の支援活動に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・講座・訓練を実施 <3>福祉避難所の確保:一般的な避難所や福祉避難室での生活が困難な高齢者を受け入れるための福祉避難所を確保(施設自体の安全性やバリアフリー※5化が図られていること、避難スペースや職員の確保などを要件に、老人福祉施設等と協定を締結) 【関連する施策】 ※見守りと災害時の助け合いの連携については、地域分野の施策2-4参照 ※1 避難行動要支援者名簿:279ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※3 福祉避難室:279ページ参照 ※4 福祉避難所:279ページ参照 ※5 バリアフリー:279ページ参照 (201ページ) 【基本目標3】いつまでもいきいきと活躍できる環境づくり 〈現状と課題〉 (1)「人生100年」時代の到来 ○日本は、平均寿命が、2019年(令和元年)現在で、男性81.41年、女性87.45年と、世界でも最高水準の長寿国となっています。平均寿命は今後さらに伸びるものと予測され、いまや「人生100年」時代が目前に迫っています。 ○こうした時代にあっては、65歳を超え高齢期に入ってからも、20年、30年という長い期間を過ごすことになります。この期間を元気に活動的に過ごすことが、一人ひとりが生きがいのある人生を送る上で、これまで以上に重要となっています。 (2)高齢者の社会参加 ○平均寿命の延伸に伴って、「自らを高齢者だと考えない」人が増えるなど、高齢者自身の意識も大きく変わってきました。実際に、歩行速度が10年程度若返っているという報告(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)もあるなど、高齢者の身体能力も高まっています。 ○高齢者の社会参加への意欲は高く、2017年度(平成25年度)に内閣府が行った「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」では、健康・スポーツや趣味、地域行事、就業などの活動を行いたいと考えている人は、60歳以上の72.5%にのぼっています。 ○高齢者が、積極的に社会と関わり、社会に参加することは、生きがいや健康づくり、社会的孤立※1の防止、ひいては健康寿命※2の延伸にもつながります。 ○また、社会においても、少子高齢化が急速に進展する中、地域コミュニティや事業所など様々な場所で人材不足が課題となっており、高齢者の活躍に大きな期待が寄せられています。 ○高齢者一人ひとりが、年齢を重ねても意欲や能力に応じて様々な形で社会に参加し、社会の中で活躍できるよう、環境づくりにさらに取り組んでいく必要があります。 (3)「働きたい」高齢者の支援(【図表84、85】) ○様々な社会参加活動の中でも、特に就業については、高齢者の意欲が非常に高い一方で、65歳以上の人のうち実際に働いている人は24.2%にとどまっている現状があります。 ※1 社会的孤立:277ページ参照 ※2 健康寿命:276ページ参照 (202ページ) ○こうした状況の背景には、高齢者が希望する仕事と実際の業務のミスマッチ、就業に関する情報の不足、さらには高齢者の多様なニーズに応じた就業機会の確保や高齢者雇用に関する事業者の理解促進の必要性など、様々な課題があります。 ○これらの課題を踏まえ、今後、働きたい高齢者がその希望をかなえられるよう積極的に支援するとともに、高齢者のニーズを踏まえた就業機会の確保や職場環境の整備を図り、高齢者が活躍できる社会づくりを進めていくことが重要です。 【図表84】高齢者の就業意欲 グラフ  (回答数:1922)  以下は、意欲 全体 60から64歳 65から69歳 70から74歳の順。単位は%。 現在働いており、今後も働き続けたい 47.1 66.0 46.9 31.0 働きたいが、働いていない 15.1 13.9 15.3 15.8 現在働いており、今後は働くつもりはない 3.3 3.5 4.0 2.4 働くつもりはない 34.5 16.4 33.8 50.7 不明 0.1 0.2 0.0 0.0 出典:「福岡市高齢者の就業に関する調査(令和元年度)」(福岡市) 【図表85】高齢者の就業率(全国、福岡市) グラフ  以下は、年度 福岡市 全国の就業率の順。 2007年(平成19年) 19.8 22.4 2014年(平成24年) 18.2 21.3 2017年(平成29年) 24.2 24.4 出典:「就業構造基本統計調査」(総務省) (203ページ) (4)介護予防の推進(【図表86】) ○介護予防とは、介護が必要な状態となることをできるかぎり防ぐ(遅らせる)、また、介護が必要となった場合に、その悪化をできるかぎり防ぎ、さらには軽減をめざす取組みのことです。若年期・壮年期から健康づくりに励み、高齢期に入ってからも取組みを続けることが大切です。 ○介護予防教室や生き活き講座、認知症予防教室など各種講座の実施とともに、よかトレ実践ステーション※1の創出・継続支援やふれあいサロン※2の介護予防機能強化などにより、住民が身近な地域で主体的かつ、気軽に介護予防活動に取り組むことのできる通いの場づくりが進んでいます。 ○ボランティア活動を行った高齢者にポイントを付与し、溜まったポイントを換金又は寄付できる介護支援ボランティア事業※3を通じて、高齢者の社会参加や生きがいづくりを支援しています。 ○高齢者が支援を要する状態となっても、尊厳を保持し、住み慣れた地域でその人らしく暮らし続けることができるよう、介護予防の観点で多職種協働による自立支援に資する地域ケア会議※4を定例的に開催しています。個々の高齢者の身体状況、生活の質の維持・改善をめざすとともに、地域課題の抽出とその解決をめざした検討につなげています。 ○本人の意向や身体的な状況により、通いの場に参加しない、あるいはできない人についても、その中で何らかの支援ニーズを有する人を把握し、必要な支援につなげる取組みを進めていくことが必要となっています。 ※1 よかトレ実践ステーション:135ページ参照 ※2 ふれあいサロン:279ページ参照 ※3 介護支援ボランティア事業:209ページ参照 ※4 地域ケア会議:186ページ参照 (204ページ) 【図表86】介護予防事業のイメージ図 図  以下は、図の説明。  ピラミッドに書かれた介護予防事業を下から順に記す。 ○すべての世代への健康づくり・介護予防の啓発 ○元気高齢者  地域リハビリテーション活動支援事業、高齢者の運動習慣定着推進事業(ケア・トランポリン教室)、生き活き講座、介護支援ボランティア事業、よかトレ実践サポーター養成事業、よかトレ実践ステーション・よかトレ実践ステーション支援事業 ○虚弱高齢者  介護予防郵送啓発事業、運動からはじめる認知症予防教室、訪問型介護予防事業、介護予防教室 「介護保険認定申請」  自立支援に資する地域ケア会議、AIを活用した「ケアプラン作成システム」構築事業 「重度化防止に向けた取り組み」 ○要支援  〔要支援〕介護予防給付、介護予防・生活支援サービス、各種研修 ○要介護  〔要介護〕介護給付 資料:福岡市 (5)活動の場づくり ○高齢者の健康の増進、教養の向上、レクリエーション、就業の支援等の活動の場として、各区に1か所ずつ老人福祉センター※1を設置しています。 ○高齢者の教養の向上、レクリエーション及び相互親睦の場として、小学校区に1か所ずつ老人いこいの家※2を設置しており、超高齢社会において、高齢者が地域福祉活動の中心的役割を担うことや公民館とともに地域コミュニティの核となることが期待されています。 ○地域福祉活動を推進するためには、活動拠点や交流の場を望む声が多く、高齢者も参加しやすい身近な場所での拠点づくりを進める必要があります。 ※1 老人福祉センター:102ページ参照 ※2 老人いこいの家:102ページ参照 (205ページ) 【施策の方向性】 ○高齢者一人ひとりが、意欲や能力に応じて社会で元気に活躍し、生きがいのある生活を送ることができるよう、高齢者の社会参加を促進・支援します。 ○特に、高齢者の意欲が高い就業については、高齢者の多様なニーズを踏まえた就業支援や、年齢を重ねても働き続けられる環境づくりに取り組みます。 ○住民主体で参加しやすく、地域に根差した健康づくりや介護予防を推進し、その普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります。 ○身近な地域において、高齢者を中心に人が集い、様々な活動を行うことができる場や機会を提供します。 (206ページ) 施策3-1 社会参加の促進 ○高齢者が社会の中で元気に活躍し、生きがいのある生活を送ることができるよう、地域活動やボランティア活動、趣味や健康づくりの活動、就業など、社会参加にかかわる様々な活動を促進・支援します。 ○高齢者が自ら企画・実施するイベントや、高齢者同士が教え合う教室など、高齢者の主体的な活動を支援します。 ○退職などで生活スタイルの大きな転換が見込まれる世代に対し、社会参加に関する情報を幅広く提供し、社会参加のきっかけづくりに取り組みます。 ○老人クラブが行う地域活動やボランティア活動、教養・健康づくりのための活動を支援します。 ○一人ひとりの特性に応じ、健康づくりや地域活動などへ気軽に取り組めるよう、後押しの仕組み(インセンティブ制度)の検討を進めます。 【現在の主な事業】 <1>福祉バス:高齢者、障がい者団体等の研修会、レクリエーション等の活動を促進するため、貸切バスの利用料の一部を助成 <2>高齢者乗車券:高齢者の社会参加を促進し、高齢者福祉の向上に寄与するため、交通費の一部を助成 <3>高齢者創作講座・シニア教室:高齢者の社会参加の意識高揚や相互親睦を図り、生きがいを高めるため、創造的活動への参加や、相互の教え合いを支援 <4>アラカン※フェスタ:これからの生き方・過ごし方を主体的に考え、趣味や地域・ボランティア活動、起業や就労などを行うきっかけづくりのため、60歳前後を中心とする幅広い世代が、必要な情報や人に出合えるイベントを開催するとともに、これらの世代が自らイベントなどを企画・実施する「R60倶楽部」の活動を支援 <5>老人クラブ活動支援【再掲】:高齢者の社会参加及び健康づくりを推進するため、老人クラブ活動費及び福岡市老人クラブ連合会運営費、各種事業費等について助成 <6>全国健康福祉祭参加支援:毎年開催される全国健康福祉祭へ参加する福岡市選手団の参加費等の一部を助成 ※アラカン:275ページ参照 (207ページ) 施策3-2 就業の支援 ○高齢者の「働きたい」との意欲が就業につながるよう、高齢者の多様なニーズを踏まえ、求職活動の開始から就業に至るまで、段階に応じた支援を行います。 ○高齢者の就業の場の拡大を図るため、企業に対する高齢者の雇用拡大に向けた働きかけなどを行うとともに、高齢者を雇用する上での課題の解決に向けた支援を行います。 ○関係機関との連携を強化し、効果的なマッチング体制を構築するとともに、高齢者がより身近な場所で就業に関する情報を得られる環境の整備を図るなど、高齢者の就業を支える仕組みや環境づくりに取り組みます。 ○シルバー人材センターによる就業先の確保・職域拡大・自立経営等に向けた機能強化について、助言や支援を行うなど、高齢者の就業を通じた生きがい活動の充実を図ります。 【現在の主な事業】 <1>シニア活躍応援プロジェクト:働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり、高齢者の就業を応援するため、「高齢者への就業支援」「企業への働きかけ」「高齢者が活躍できる環境づくり」の取組みを展開 <2>就労相談窓口事業:各区に設置している「就労相談窓口」において、15歳以上の求職者を対象に、個別相談を行うほか、求人企業の紹介等を行い就職を支援 <3>シルバー人材センター:就業を通じて高齢者の能力を活用し、高齢者の社会参加や地域の活性化を図るため、地域の日常生活に密着した臨時的かつ短期的な仕事を有償で引き受け、これを会員に提供 (208ページ) 施策3-3 介護予防の推進 ○できる限り住み慣れた地域で自立した生活を続けることができるよう、高齢者の身近な所に介護予防に取り組める場を増やすとともに取組みの継続支援を行い、地域住民主体による介護予防を推進していきます。推進にあたっては、PDCAサイクルを念頭に、引き続き専門職の関与や他の事業との連携を行います。 ○通いの場に参加できない人には、多様な課題を抱える人や閉じこもりがちで健康状態が把握できていない人がいることも考えられるため、医療や健診の情報等も活用し、必要な支援につなぐ取組み(高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施)を推進します。 ○高齢者がさらに健康寿命※1を伸ばし、自分らしく生きていけるよう、AI(人工知能)などの先端技術の活用や、地域ケア会議※2における個別事例の検討などにより、介護予防・重度化防止の取組みを推進します。 【現在の主な事業】 <1>介護予防教室【再掲】:筋トレや体操など、自宅でできる内容を中心とした運動、認知症予防などの講話、お口の体操などの健康づくりプログラムを開催 <2>生き活きシニア健康福岡21【再掲】:保健師などが、地域で健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座を実施する「生き活き講座」及び「運動から始める認知症予防教室」などを開催 <3>高齢者元気づくり応援事業(よかトレ実践ステーション)【再掲】:住民が主体的かつ、気軽に介護予防に取り組める場として、祝いめでた体操や黒田節体操、椅子に座ってできる簡単な体操など、6種類のよかトレ体操を実践している団体をよかトレ実践ステーションとして認定 <4>小呂島(おろのしま)介護予防事業:島内に介護サービス事業所のない小呂島において、住民主体で運営する介護予防サロンを開設、レクリエーション体操や健康チェック等の実施 ※1 健康寿命:276ページ参照 ※2 地域ケア会議:186ページ参照 (209ページ) <5>訪問型介護予防事業:65歳以上の高齢者のうち、心身の状況により通所の教室への参加が困難な方を対象に、保健師や健康運動指導士が訪問し、介護予防や生活習慣病※1予防に関することをアドバイス <6>介護支援ボランティア事業:65歳以上の高齢者が、受入機関として指定を受けた市内の介護保険施設等でボランティア活動を行うと「ポイント」が付与され、たまったポイントを換金又は寄付することができる制度 <7>介護予防・生活支援サービス※2事業【再掲】:要支援者等に対して、専門職によるサービスを必要とする人を対象とした、従来の訪問介護※3・通所介護と同等である介護予防型サービスと、専門職によるサービスを必要としない人を対象とした、従来の訪問介護・通所介護よりも割安な料金で利用できる生活支援型サービスを実施 <8>AI(人工知能)を活用した「ケアプラン作成支援システム」構築事業【再掲】:行政や民間が保有するデータやAI等を活用することにより、科学的知見に基づいた、介護予防・重度化防止に資するケアプランの作成を支援するシステムの開発 施策3-4 活動の場づくり ○老人福祉センターについて、高齢者の社会参加活動の拠点として、講座や相談など様々な事業を実施するとともに、健康づくりや就業支援による生きがいづくりの機能強化を図ります。 ○老人福祉センター及び老人いこいの家で、高齢者が主体的に行う様々な活動を支援します。 ○地域の空家を居場所などの福祉目的に活用するため、市社会福祉協議会*が実施する、空家を貸したい人と借りたい人のマッチングなどの取組みを支援します。 【現在の主な事業】 <1>老人福祉センター【再掲】:高齢者の健康の増進、教養の向上、レクリエーション、就業の支援による生きがいづくり及び各種相談等に関する事業を実施するため老人福祉センターを設置・運営 <2>老人いこいの家【再掲】:高齢者に対して、教養の向上、レクリエーション及び相互親睦のための場を提供し、高齢者福祉の増進を図るため、老人いこいの家を設置・運営 <3>多様な居場所づくりの支援<社協>【再掲】:ふれあいサロン※5や地域カフェ※6、家族介護者のつどい、子ども食堂等、住民の様々な交流の場づくり(立ち上げ、運営)の支援 <4>社会貢献型空家バンク事業<社協>【再掲】:空家を子ども食堂や地域サロン、高齢・障がい福祉事業所等の活動拠点とするため、法務・税務・建築等の各種専門家と共働※7して総合相談窓口を設置・運営し、空家の福祉活用を推進 ※1 生活習慣病:277ページ参照 ※2 生活支援サービス:277ページ参照 ※3 訪問介護:279ページ参照 ※4 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※5 ふれあいサロン:279ページ参照 ※6 地域カフェ:277ページ参照 ※7 共働:276ページ参照 (210ページ) 【基本目標4】要支援・要介護高齢者等への支援体制の充実 〈現状と課題〉 (1)介護保険制度の持続可能性:増え続ける介護保険費用、不足する介護人材※1(【図表87】) ○近年、健康意識の高まりなどから、元気な高齢者が増えているものの、今後、福岡市では医療や介護のニーズが高くなる後期高齢者(75歳以上の高齢者)も増えていくことが予測されています。今後、要介護認定者※2が増え介護保険費用の増加が予測される一方、サービスを提供する介護人材がますます不足し、介護保険制度の安定的な持続が課題となります。 ○保険者である福岡市には、介護保険制度の持続可能性を確保するため、さらなる介護予防や重度化防止といった取組みや介護人材確保に向けた取組みなどを行うことが求められます。 ※1 介護人材:276ページ参照 ※2 要介護認定者:280ページ参照 【図表87】要介護認定者数及び認定率の推移 グラフ  以下は、年 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5認定者数 認定率の順。 2018年(平成30年) 14313 9707 13042 10170 7667 6755 5339 66993 20.4 2019年(令和元年) 14300 10126 13408 10491 7770 6905 5240 68240 20.3 2020年(令和2年) 14540 10600 13710 10600 7900 6980 5160 69490 20.4 2025年(令和7年) 16660 13870 16530 12180 9500 8190 5190 81820 22.0 2040年(令和22年) 23380 19610 25040 19350 15410 13420 8170 124380 25.9 (注)要介護認定者数及び認定率は、2018年(平成30年)、2019年(令和元年)は9月末現在の数値。2020年(令和2年)、2025年(令和7年)、2040年(令和22年)は保健福祉局で推計した数値 出典:「第8期福岡市介護保険事業計画(案)」(福岡市) (211ページ) (2)多様なニーズへの対応 ○高齢者の単独世帯や認知症の人など、支援を必要とする高齢者が増加しており、生活支援の必要性が高まっています。 ○要支援者等の多様な生活支援ニーズに対応するためには、介護サービス事業者が提供する専門的なサービスから住民主体の支援まで、多様な担い手による多様なサービスの提供が不可欠であり、NPO法人やボランティアの育成、地域組織等の活動や活性化への支援などが重要となっています。 ○医療や介護を必要とする高齢者のニーズに適切に対応していくため、在宅生活を支援する地域密着型サービス※1や、在宅生活が困難な人に対する入所・居住系サービス※2の整備が必要です。 (3)住み慣れた地域での生活の継続 ○令和元年度福岡市高齢者実態調査によると、高齢者の5割以上、介護者の4割以上は住み慣れた自宅での生活や介護を希望しています。 ○このような現状から、高齢者が住み慣れた地域でできる限り生活を続けられるよう、夜間や緊急時に、通い・泊まり・見守り等の対応が可能であり、看取り※3等の終末期のケアも期待できるサービスの拡充が必要です。また、介護サービスとあわせて、利用者ニーズを踏まえた、様々な形での在宅生活の支援を行っていくことが重要です。 (4)介護サービスの質の向上 ○介護サービス事業者の新規参入が進む中、介護サービスの質が落ちないよう一定のレベル以上に維持し、かつ向上を図ることが必要です。 ○メンタルヘルス※4を含め介護人材※5が活動しやすい環境整備も、介護サービス事業者には求められています。 ○介護を実践する人が、認知症のことをよく理解し、認知症の人それぞれの価値観や個性などを尊重した、本人主体の介護を行えるよう、人材の育成が必要です。 ※1 地域密着型サービス:278ページ参照 ※2 入所・居住系サービス:278ページ参照 ※3 看取り:279ページ参照 ※4 メンタルヘルス:280ページ参照 ※5 介護人材:276ページ参照 (212ページ) コラム 年齢階級別・男女別の認定率  年齢階級別の認定率(人口に対する要支援・要介護と認定された人の割合)をみると、年齢が高くなるほど認定率は高くなることが分かります。2019年(令和元年)において、65から69歳では3.2%の認定率が、75から79歳では15.2%、85から89歳では56.7%になります。  5年前の2014年(平成26年)と2019年(令和元年)を比較すると、80から84歳では2014年(平成26年)の35.1%に対して、2019年(令和元年)は32.5%と2.6ポイント低下するなど、すべての年齢階級において認定率が低下しています。この要因としては、市民の健康意識の高まりや福岡市の介護予防等の取組みの成果が考えられます。  また、2019年(令和元年)の認定率を男女で比較すると、65から74歳では男性の方が高いのに対し、75歳以上では女性の方が高くなっています。全体でも女性の方が高く、令和元年度福岡市高齢者実態調査によると、女性の場合、介護が必要な状態となった原因は「転倒などによる骨折」が最も多いことから、ロコモティブシンドローム※(運動器症候群)予防に関する取組みが重要といえます。 ※ロコモティブシンドローム:280ページ参照 【年齢階級別認定率の推移(各年9月現在)】 グラフ  以下は、年齢 2014年(平成26年) 2019年(令和元年)の認定率の順。 65から69歳 3.3 3.2 70から74歳 7.7 6.6 75から79歳 17.0 15.2 80から84歳 35.1 32.5 85から89歳 58.9 56.7 90歳以上 80.4 80.2 【男女別の年齢階級別認定率(令和元年9月現在)】 グラフ  以下は、年齢 男性 女性の認定率の順。 65から69歳 3.7 2.8 70から74歳 7.0 6.4 75から79歳 13.6 16.3 80から84歳 26.4 36.3 85から89歳 45.5 62.1 90歳以上 68.9 83.4 出典:福岡市 (213ページ) 【施策の方向性】 ○介護保険事業計画に基づき、介護保険制度を円滑に運営するとともに、介護保険制度の持続可能性を確保するための取組みを進めます。また、高齢者の多様なニーズに対応したサービスを実施するとともに、介護分野への多様な担い手の確保を図ります。 ○住み慣れた地域での生活を支える、小規模多機能型居宅介護※などの地域密着型サービスを拡充するとともに、入所・居住系サービスを担保する施設サービスも一定量確保します。 ○すべての利用者にきめ細かな質の高い介護サービスが提供されるよう、引き続き事業者に対し、よりよいケアの実現に向けた指導を実施するとともに、介護人材の専門性や資質の向上、職場の環境整備などに向けた研修機会の提供に取り組みます。また、介護保険サービスが利用しやすくなるよう、分かりやすい情報提供に取り組みます。 ○介護保険サービスに加えて、住み慣れた地域で可能な限り自立した在宅生活を営むことができるよう、要援護高齢者のニーズや介護の状態、家族の状況に応じた様々な在宅サービスを提供します。 ※小規模多機能型居宅介護:215ページ参照 (214ページ) 施策4-1 持続可能な介護保険制度の運営 ○「第8期福岡市介護保険事業計画」及び「第9期福岡市介護保険事業計画」に基づき、介護保険制度の円滑な運営を図ります。増加する認定申請に対応するため、要介護認定事務センターにおいて円滑に認定事務を行います。 ○生活支援サービス※1の充実を図るため、介護予防・日常生活支援総合事業※2において、生活支援型サービスを実施し、利用者の負担軽減や新たな担い手の確保を行います。 ○介護サービスの担い手を確保するため、介護の経営力強化などの「労働環境・処遇の改善」、外国人人材の受入支援を含む「新規人材の参入促進」及び「資質の向上」に総合的に取り組みます。 ○あわせて、介護に関する入門的研修を実施し、介護予防・日常生活支援総合事業の従事者を養成するとともに、介護分野へ多様な人材の参入を促します。 ○制度の持続可能性を確保しながら、高齢者が住み慣れた地域での生活を続けられるよう、行政だけでなく事業者や地域団体など幅広い参画を得ながら、最新技術やエビデンス(科学的根拠)などを積極的に収集・活用し、より効果的に施策を推進します。 ○高齢者の身近な所に介護予防に取り組める場を増やし、地域住民主体による介護予防を推進するとともに、AI(人工知能)などの先端技術を活用した介護予防・重度化防止などに取り組みます。 ○広報紙をはじめ、各種チラシ・パンフレット、ホームページ、出前講座や介護実習普及センターによる介護講座など、様々な機会を活用し、幅広い世代に向けて、介護保険制度、高齢者福祉や介護に関する理解の促進と普及啓発に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>要介護認定事務センター:市全体の要介護認定に係る事務手続きを、事務センターとして集約化 <2>介護予防・生活支援サービス事業【再掲】:要支援者等に対して、専門職によるサービスを必要とする人を対象とした、従来の訪問介護※3・通所介護と同等である介護予防型サービスと、専門職によるサービスを必要としない人を対象とした、従来の訪問介護・通所介護よりも割安な料金で利用できる生活支援型サービスを実施 【関連する施策】 ※福祉・介護人材※4の確保については、高齢者分野の施策2-3参照 ※介護予防の推進については、高齢者分野の施策3-3参照 ※1 生活支援サービス:277ページ参照 ※2 介護予防・日常生活支援総合事業:276ページ参照 ※3 訪問介護:279ページ参照 ※4 介護人材:276ページ参照 (215ページ) 施策4-2 介護サービス基盤の整備 ○地域密着型サービス※1や特別養護老人ホーム等については、介護保険事業計画において、高齢者の状況等を踏まえ、整備目標量を定め計画的に整備を進めていきます。 ○在宅での24時間365日の切れ目ないサービスを提供するため、小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった在宅生活を支援するサービスの整備を進めるとともに、サービスの普及促進に取り組みます。 ○認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)については、認知症の人が住み慣れた地域で生活を継続できるよう、日常生活圏域間の均衡や要介護認定者数の増加を踏まえつつ、整備を進めていきます。 ○特別養護老人ホームは、入所申込者の状況などを踏まえ、整備を進めます。 【現在、計画的に整備を進めている介護サービス】 <1>地域密着型サービス <1>-1 小規模多機能型居宅介護:「通い」「宿泊」「訪問」のサービスを利用者の状態に応じて組みあわせて、入浴、排せつ、食事等の介護その他日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス <1>-2 看護小規模多機能型居宅介護:小規模多機能型居宅介護の「通い」「宿泊」「訪問」に加え、必要に応じて訪問看護※2を一体的に行うサービス <1>-3 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:日中・夜間を通じて、定期的な巡回と随時の通報により居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事等の介護や療養上の世話などを行うサービス <1>-4 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム):認知症高齢者の共同生活住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス <2>介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):常時の介護が必要な人が入所し、介護等、日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う施設 ※1 地域密着型サービス:278ページ参照 ※2 訪問看護:279ページ参照 (216ページ) 施策4-3 介護サービスの質の向上 ○介護に携わる者(介護従事者)に対して、様々な機会を通じて、研修の場を提供し、資質向上の支援に取り組みます。 ○介護サービス事業者に対して、事業所での研修の実施や、介護従事者への研修受講の機会の確保などを指導するとともに、介護従事者を対象に、地域包括ケア、権利擁護※、介護技術などのサービスの向上に資する様々な分野の研修を開催するほか、国や民間団体が行う各種研修の案内を行うなど、介護従事者の意欲の向上を図ります。 ○認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう、認知症高齢者等に対する介護サービスの充実と質の向上を図る認知症介護に関する実践者研修や、適切なサービスの提供に関する知識等を習得するための研修を実施し、認知症介護の専門職員を養成します。 【現在の主な事業】 <1>介護保険事業者研修事業:介護従事者を対象にした、サービスの向上に資する様々な分野の研修の実施 <2>認知症介護実践者等養成事業:認知症介護実践者等の養成のための研修の実施 <3>ふれあい相談員派遣事業:「ふれあい相談員」が、施設を訪ね、利用者や家族の話を聞き、相談に応じたり、利用者の生活を観察する一方、施設のサービスの状況を把握し、問題改善に向けて両者の橋渡しをすることで、介護サービス等の質の向上につなげるもの ※権利擁護:276ページ参照 (217ページ) 施策4-4 生活支援サービス※の提供 ○介護保険制度のほか、寝たきりなどでおむつが必要な人へのおむつの配送や、ショートステイなどの料金の助成、住宅改造費用の助成などにより、高齢者やその家族の在宅生活を支援するとともに介護の負担軽減を図ります。 ○高齢者の単独世帯等が安心して生活ができるよう、緊急時の不安を解消し、安全を確保するサービスを提供します。 【現在の主な事業】 <1>おむつサービス:寝たきりなどによりおむつが必要な人に、おむつを定期的に配送し、その費用の一部を助成 <2>あんしんショートステイ:介護者の疾病や介護疲れ等の理由で介護保険を超えてショートステイを利用する場合の利用料金の一部を助成 <3>生活支援ショートステイ:要介護・要支援の認定を持たない人がショートステイを利用する場合に料金の一部を助成 <4>高齢者住宅改造助成事業【再掲】:要介護者等のいる世帯に対し、住宅を改造する際の費用の一部を助成(原則として住宅改修費の支給対象となるものを除く) <5>声の訪問:在宅の一人暮らし等の高齢者に対し、原則1日1回電話で安否を確認し、孤独感の解消を図るとともに、各種相談の助言を実施 <6>緊急通報システム:在宅の一人暮らし等の高齢者が、急病など緊急時に無線発信機等を用いてセンターに通報し、消防局や近隣の協力員などが対応 ※生活支援サービス:277ページ参照 (218ページ) 【基本目標5】認知症フレンドリーなまちづくりの推進 〈現状と課題〉 (1)認知症の人の数の推移(【図表88】) ○認知症は誰にでも起こり得る脳の病気によるもので、厚生労働省によると2012年(平成24年)には、全国で、65歳以上高齢者の約7人に1人が認知症であると報告されています。今後、高齢化の進展に伴い認知症の人の数はさらに増加し、2025年(令和7年)には、65歳以上の高齢者に対する割合は、約5人に1人になると報告されています。 ○福岡市でも認知症の人の数は増えていくと推計しています。単身化・核家族※化が進む中、今後、高齢者の単独世帯や高齢者のみの世帯で認知症のある人も増えていくと予測されます。 ※核家族:276ページ参照 【図表88】認知症の人の数の推移 グラフ  以下は、年度 認知症の人の数の順。 2019年度(令和元年度) 37306 2020年度(令和2年度) 37610 2025年度(令和7年度) 43690 2040年度(令和22年度) 68700 (注)認知症の人の数は、福岡市の要介護認定者に占める日常生活自立度U以上(訪問調査時の評価)の人の数について、2019年度(令和元年度)は年度末の値、2020年度(令和2年度)・2025年度(令和7年度)・2040年度(令和22年度)は2019年度(令和元年度)の値と要介護認定者数を基に推計した値 出典:「第8期福岡市介護保険事業計画」(福岡市) (219ページ) (2)認知症フレンドリーシティ・プロジェクトの推進(【図表89】) ○今後も認知症の人の増加が見込まれる中、認知症施策を効果的・効率的に推進するため、認知症施策全体を認知症フレンドリーシティ・プロジェクトと総称し、様々な取組みを推進しています。 ○認知症は誰もが関わる可能性がある身近なものとなっており、認知症とともに自分らしく生活していくためには、社会全体が認知症の人の視点に立った取組みを行っていくことが重要です。 ○このような視点のもと、産学官民オール福岡で、認知症の人が認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちづくりに取り組んでいます。 (3)認知症についての正しい知識と理解 ○認知症の人や家族が住み慣れた地域で安心して生活していくためには、誰もが認知症についての正しい知識と理解を持ち、認知症の人を社会全体で支えていくことが必要です。 ○福岡市では、認知症についての正しい知識と理解を促進するため、認知症サポーター※1養成講座を実施しており、その受講者数は、10万人を超えました。今後、認知症の人を支える地域づくりのために、さらにサポーターを養成するとともに、サポーターとなった人が様々な場面で活躍できるような取組みが必要となっています。 ○すべての人がケアに参加できるまちをめざし、認知症の人とのコミュニケーション・ケア技法であるユマニチュード※2の普及に取り組んでいます。 (4)認知症に対する医療・介護サービス ○認知症の症状が進行してから医療機関を受診するケースがみられるため、認知症の早期発見・早期診断・早期対応に向けた支援が必要となっています。 ○医療・介護の専門職が、認知症のことをよく理解し、認知症の人それぞれの価値観や個性などを尊重した、本人主体の介護を行えるよう、人材の育成が必要となっています。 ○認知症の人への支援のため、医療・介護関係者が顔の見える関係を築き、コミュニケーションをとりながら連携を図っていくことが求められています。 ※1 認知症サポーター:278ページ参照 ※2 ユマニチュード:280ページ参照 (220ページ) (5)認知症の人や家族への支援 ○認知症の人が記憶障がいや認知障がいから不安に陥り、その結果まわりの人との関係が損なわれることもしばしばみられ、家族など介護する人が疲弊してしまうケースも少なくありません。介護そのものに対する支援だけでなく、人や地域とのつながりの場づくりなど介護者の精神的・身体的負担を軽減する取組みが必要です。 ○認知症診断後、孤立した生活によって起こる認知症の進行や生活障がいの複雑化を防ぐため、認知症の人や家族を支援する取組みが必要です。 (6)若年性認知症※1の人への支援 ○若年性認知症の人には、初期症状が認知症特有のものでないため、診断が難しいことや、就労や生活費、子どもの教育費等の経済的な負担が大きいこと、就労や社会参加に対する意欲が高いにも関わらず、受け入れる場がないことなど、高齢者とは異なる特徴や課題があります。その一方で、若年性認知症特有のサービスが少なく、様々な制度を利用しなければならない状態にあります。 ○若年性認知症の人の活躍の場を創出するとともに、若年性認知症の人が利用できる様々な制度について、わかりやすく情報を提供し、高齢者とは異なる視点での、医療、介護、就労・居場所づくり、家族支援などの一体的な支援が必要となっています。 (7)成年後見制度※2の利用 ○認知症の進行により、判断能力が低下しても、生活の基本であるお金・財産の管理、医療・介護・福祉などの社会サービスを本人の意思に基づき適切に利用(契約)できる環境を整えていくことが強く求められています。 (8)認知症とともに生きる ○認知症の人の増加が今後も見込まれる中、認知症の人や介護者が自分らしく暮らすためには、認知症とともに今まで通り社会参加できることが重要です。 ○国においても、認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また認知症があってもなくても同じ社会でともに生きるという「共生」を大きな柱の一つとしています。 ○そのためには、行政だけでなく地域や企業など様々な団体がオール福岡でまちづくりを推進していくことが必要であり、多くの市民が認知症の人の視点に立った取組みを行っていくことが必要です。 ※1 若年性認知症:277ページ参照 ※2 成年後見制度:277ページ参照 (221ページ) 【図表89】認知症フレンドリーシティ・プロジェクト 図 オール福岡で推進 認知症フレンドリーシティ:認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち ○理解促進  市民が認知症のことを正しく理解し、認知症の人を支える基礎づくりを推進:ユマニチュードの普及、認知症サポーターの養成 ○支援の充実  介護者の負担軽減と当時者の生活の質の改善を図る:ピアサポート※1活動、見守りの推進 ○医療・介護サービスの提供  認知症を早期発見し適切な対応に繋げるための取組み推進:認知症疾患医療センター※3、認知症対応力向上研修 ○共生の推進  認知症になってもこれまでと変わらす暮らせるまちづくりを推進:福岡オレンジパートナーズ※2の推進、認知症デザインの普及 資料:福岡市 【施策の方向性】 ○認知症の人が認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるよう、地域住民や企業等が認知症について正しく理解するための啓発を推進します。 ○医療・介護の専門職の認知症対応力の向上を図るほか、認知症の人が初期段階で適切な診断を受け、症状に応じた適時・適切なサービスを受けられる体制整備を進めます。 ○認知症の人の意志を尊重し、寄り添う取組みを推進するとともに、介護者の精神的・身体的負担軽減と認知症の人の生活の質の改善を図るため、介護者に対する支援の充実を図ります。また、成年後見制度の利用が必要な人の早期発見・支援につながる環境づくりを進めます。 ○認知症の人を単に「支えられる側」と考えるのではなく、尊厳と希望を持って認知症とともに生きることができる社会をめざし、認知症の人が活躍のできる場の創出など産学官民オール福岡で認知症の人の視点に立った取組みを推進します。 ※1 ピアサポート:279ページ参照 ※2 福岡オレンジパートナーズ:225ページ参照 ※3 認知症疾患医療センター:278ページ参照 (222ページ) 施策5-1 認知症に関する理解促進 ○社会全体で認知症の人を支えるため、誰もが認知症についての正しい知識を持ち、認知症の人やその家族を支える手だてを知ることができるよう、学校教育の場を含め、理解を深めるための普及・啓発活動を推進します。 ○地域や企業、小・中学校などにおいて、認知症の人とその家族を支え、温かく見守る認知症サポーター※1の養成を進めるとともに、認知症サポーターなどによる認知症の人にやさしい地域づくりに取り組みます。 ○多くの市民が認知症のことを理解し、正しい接し方ができるよう、家族介護者や専門職だけでなく、地域住民や児童生徒などに対するユマニチュード※2講座の実施に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>認知症普及啓発事業:認知症サポーター養成講座の実施、若年性認知症※3講演会の実施等 <2>ユマニチュードの普及啓発:認知症コミュニケーション・ケア技法であるユマニチュード講座の実施 ※1 認知症サポーター:278ページ参照 ※2 ユマニチュード:280ページ参照 ※3 若年性認知症:277ページ参照 (223ページ) 施策5-2 適切な医療・介護サービスの提供と予防の推進 ○福岡市医師会や認知症疾患医療センター※1を中心とした、早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに、かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や、かかりつけ医への助言や専門医療機関と地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※2等との連携の推進役となる認知症サポート医※3の養成を行います。 ○医療・介護の専門職からなる「認知症サポートチーム(認知症初期集中支援チーム)」が訪問し、認知症の人やその家族に早期の段階で集中的に関わり、適切な医療・介護サービスにつなぎます。 ○認知症の人の支援に関わる医療・介護・福祉等多職種の顔の見える関係づくりを通して、個々の認知症の人に対する円滑な支援を行います。 ○認知症の容態に応じた適切なサービス提供の流れ(「認知症ケアパス※4」)を作成し、認知症の人やその家族、医療・介護関係者等が互いに共有・活用することを通して、認知症の人への切れ目ないサービスの提供につなげます。 ○ICT(情報通信技術)等を活用した認知機能の簡易検査を様々な機会を捉え実施するなど、認知症の早期発見・早期対応を図るとともに、認知症予防のための啓発を推進します。 【現在の主な事業】 <1>認知症疾患医療センター運営:認知症疾患医療センターを設置し、認知症相談や鑑別診断等を実施 <2>認知症地域医療支援事業:認知症サポート医の養成、医療従事者に認知症対応力向上研修を実施 <3>認知症介護実践者等養成事業【再掲】:認知症介護実践者等の養成のための研修の実施 <4>ICTを活用した認知症の早期発見【再掲】:ICT等を活用した認知機能の簡易検査を実施 ※1 認知症疾患医療センター:278ページ参照 ※2 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※3 認知症サポート医:278ページ参照 ※4 認知症ケアパス:認知症の人の状態に応じた適切なサービス提供の流れ。 (224ページ) 施策5-3 認知症の人や家族への支援の充実 ○家族など介護者への支援の充実を行い、介護者の精神的・身体的負担軽減と認知症の人の生活の質の改善につなげます。 ○認知症本人が自身の経験を踏まえ、同じ立場にある認知症の人の相談や交流を実施することにより、認知症本人も当事者の暮らしを支える担い手として活動できるよう支援します。 ○認知症の人や家族、地域住民が気軽に集い、専門家等を交え、相談、交流、情報交換できる認知症カフェ※1の開設を促進し、認知症の人や家族の居場所づくりをはじめ、地域で支え合う体制づくりに取り組みます。 ○若年性認知症※2については、啓発により早期受診につなげるとともに、若年性認知症の人の特性を踏まえた、相談対応・就労・居場所づくりなどの支援に取り組みます。 ○本人の身近な親族や福祉・医療・地域の関係者が、成年後見制度※3の利用が必要な人の発見・支援に努め、早期の段階から本人と関わり支援できるよう、地域連携ネットワークづくりに取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>認知症高齢者家族介護者支援事業:認知症介護経験のあるボランティアが、認知症の人の見守り、話し相手、家族の相談に応じることで、認知症の人の介護者の負担を軽減 <2>認知症の人の見守りネットワーク事業【再掲】:行方不明になった認知症の人の早期発見・保護や、介護者の負担軽減につながるよう、認知症の人の登録制度や、捜してメールの配信等を実施 <3>認知症本人のピアサポート※4*活動支援事業:認知症の人同士の交流、相談ができる場である認知症本人ミーティングや認知症本人の声発信の機会を設定 <4>認知症カフェ設置促進事業:認知症の人や家族の居場所づくりなどのため認知症カフェの開設を支援 <5>認知症普及啓発事業【再掲】:認知症サポーター※5養成講座の実施、若年性認知症講演会の実施等 <6>成年後見制度利用支援事業【再掲】:判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者等について、市長による成年後見制度利用のための申立てを行い、後見人などによる支援を確保。市長申立て※6において費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 <7>成年後見制度利用促進体制整備【再掲】:権利擁護※7や意思決定支援が必要な認知症や障がいのある方など、成年後見を必要とする人が制度を利用しやすい社会をつくっていくための取組みの中核となる機関(中核機関)を開設し、成年後見制度利用促進に向けた体制を整備 ※1 認知症カフェ:278ページ参照 ※2 若年性認知症:277ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 ※4 ピアサポート:279ページ参照 ※5 認知症サポーター:278ページ参照 ※6 市長申立て:276ページ参照 ※7 権利擁護:276ページ参照 (225ページ) 施策5-4 認知症とともに生きる施策の推進 ○企業等が認知症を理解し、認知症にフレンドリーなサービス等を提供することが非常に有益であることを共有し、その創出につなげるなど行政だけでなく産学官民オール福岡で認知症にやさしいまちづくりを推進します。 ○認知症の人は、認知症になってもできるだけこれまでと変わらず生活していくことを望んでいます。そのため認知症の人が活躍できる環境を整備するとともに、認知症に対する誤解や偏見をなくすための取組みを推進します。 ○認知症とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちの実現に向けて、認知症の人が過ごしやすい住環境を整えていくために、医療・介護施設や住宅だけでなく、まちの中にある様々な施設において、認知症の人にもやさしいデザインの導入を促進します。 【現在の主な事業】 <1>福岡オレンジパートナーズの構築推進:企業等が積極的に認知症に関する課題への取組みを推進する場「福岡オレンジパートナーズ」を構築、推進し、認知症にフレンドリーなサービス等の提供を促進 <2>認知症社会参加推進(オレンジアクティブ):認知症の人が活躍する場の象徴として、認知症の人がスタッフとして働くオレンジアクティブ(認知症の人の活躍の場づくり)の運営支援 <3>認知症の人にもやさしいデザインの普及:認知症の人がストレスなく安心して暮らせる住環境の整備を推進するため、「認知症の人にもやさしいデザイン」の普及を促進 (226ページ) 〈主な老人福祉事業の目標量〉 ○老人福祉法において、市町村は、確保すべき老人福祉事業の量等を定めることとなっています。ここに記載する老人福祉事業と介護保険事業計画に記載されている事業とをあわせて、市町村老人福祉計画で定めることとされている老人福祉事業とします。 【主な老人福祉事業の目標量】 表  以下は、概要 2020年度(令和2年度)〔実績〕 2026年度(令和8年度)〔目標〕の順。 ○養護老人ホーム  環境上の理由や経済的理由により、居宅において養護を受けることが困難な高齢者が措置により入所する施設 307人分 307人分 ○軽費老人ホーム  無料又は低額な料金で、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を提供する施設 1217人分 1217人分 ○老人福祉センター  高齢者の各種相談、健康増進、教養の向上、レクリエーション等を総合的に提供するため、老人福祉センターの設置・運営 7か所 7か所 (227ページ) 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために、次の項目を成果指標とします。 〈成果指標〉 ○基本目標1 地域包括ケアの推進 <1>住み慣れた地域で暮らし続けることができる高齢者の割合  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <2>地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)※1の認知度  現状値:63.0%(令和元年度)  目標値:80.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <3>個別レベルの地域ケア会議※2の開催数(自立支援に資する地域ケア会議を除く)  現状値:377件(令和元年度)  目標値:400件(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <4>ホームページやSNSで情報を得る高齢者の割合  現状値:11.6%(令和元年度)  目標値:22.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 ○基本目標2 安心して暮らせる基盤づくり <1>住まいに関する安心度(「住まいで困っていることの有無」について「ない」と回答した高齢者の割合)  現状値:51.2%(令和元年度)  目標値:55.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <2>住まいサポートふくおかによる賃貸契約成約世帯数  現状値:243世帯(令和元年度)  目標値:360世帯(令和7年度)  出典:福岡市住生活基本計画 <3>介護労働者の離職率  現状値:20.9%(平成30年度)  目標値:全国平均並み(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <4>災害時の安心度(災害時に手助けを頼める人が「常時いる」もしくは「時間帯によってはいる」と回答した人の割合)  現状値:82.8%(令和元年度)  目標値:90.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 ○基本目標3 いつまでもいきいきと活躍できる環境づくり <1>外出する頻度(週に4日以上外出する人の割合)  現状値:70.8%(令和元年度)  目標値:77.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <2>働いている高齢者の割合  現状値:37.7%(令和元年度)  目標値:41.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 ※1 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):278ページ参照 ※2 地域ケア会議:186ページ参照 (228ページ) <3>ボランティア活動をしている高齢者の割合  現状値:12.8%(令和元年度)  目標値:24.0%(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <4>よかトレ実践ステーション※1の創出数  現状値:546か所(令和元年度)  目標値:920か所(令和7年度)  出典:保健福祉局調べ ○基本目標4 要支援・要介護高齢者等への支援体制の充実 <1>年齢層別要介護認定率(※65から74歳、75から84歳、85歳以上)  現状値:65から74歳 4.87%、75から84歳 22.47%、85歳以上 65.97%(令和元年9月末)  目標値:65から74歳 4.4%、75から84歳 19.4%、85歳以上 65.6%(令和8年9月末)  出典:保健福祉局調べ <2>初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均  現状値:男性81.0歳、女性84.3歳(令和元年度)  目標値:男性81.6歳、女性85.1歳(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <3>地域密着型サービス※2事業所数 <3>-1 定期巡回・随時対応型訪問介護看護  現状値:16事業所(令和2年9月末)  目標値:29事業所(令和6年3月末)  出典:保健福祉局調べ <3>-2 (看護)小規模多機能型居宅介護※3  現状値:57事業所(令和2年9月末)  目標値:80事業所(令和6年3月末)  出典:保健福祉局調べ <3>-3 認知症高齢者グループホーム  現状値:2097人分(令和2年9月末)  目標値:2385人分(令和6年3月末)  出典:保健福祉局調べ <4>介護保険事業者研修の受講者数  現状値:実績値(令和2年度)  目標値:増加(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ ○基本目標5 認知症フレンドリーなまちづくりの推進 <1>認知症を正しく理解するために行動している人の割合  現状値:(記載なし)  目標値:増加(令和7年度)  出典:高齢者実態調査 <2>ユマニチュード※4講座の実施校区数  現状値:33校区(令和元年度)  目標値:145校区(令和7年度)  出典:保健福祉局調べ <3>認知症対応力向上研修の修了者数(累計)  現状値:1243人(令和元年度)  目標値:2300人(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <4>認知症カフェ※5の設置圏域数  現状値:26圏域(令和元年度)  目標値:59圏域(令和7年度)  出典:保健福祉局調べ <5>オレンジアクティブ(認知症の人の活躍の場づくり)の年間実施回数  現状値:実績値(令和2年度)  目標値:36回(令和6年度)  出典:保健福祉局調べ ※1 よかトレ実践ステーション:135ページ参照 ※2 地域密着型サービス:278ページ参照 ※3 小規模多機能型居宅介護:215ページ参照 ※4 ユマニチュード:280ページ参照 ※5 認知症カフェ:278ページ参照 第4部 障がい者分野 (229ページ) 第4部 障がい者分野 第1章 障がい者分野の基本理念等 1 基本理念  福岡市の人口は2020年(令和2年)5月に160万人を突破し、今後も人口増加が続くと見込まれますが、全国的に高齢化が進む中、福岡市も一貫して高齢化率が上昇し、2040年(令和22年)の高齢化率は31.0%になると予測されています。また、2020年度(令和2年度)の人口に対する障がいの出現率(障がいのある人の割合)は5.1%と上昇傾向にあり、身体障害者手帳の所持者のうち65歳以上の所持者が約70%を占めるなど高齢化が進んでいます。障がい福祉サービスの利用者数も増え、障がいのある人などを市全体で支援するために、扶助費※1などの義務的な経費が年々増加しています。また、障がいのある人を支える家族の高齢化も進んでおり、「親なき後※2」への対応も課題となります。障がい福祉施策全体を、社会情勢やニーズの変化を踏まえた、より効果的な施策体系にしていくとともに、持続可能な制度として設計していく必要があります。  計画の見直しにあたり、2019年度(令和元年度)に実施した「福岡市障がい児・者等実態調査」において、障がいのある方々の生活の実態や福祉施策などについて、様々なご意見をいただきました。「年金など所得保障の充実」「保健・医療制度等の充実」「相談体制の充実」「就労支援の充実」などの施策を求める意見が多くありました。また、老後や将来のこと、健康や障がいに関すること、生活費などの経済的なことに対する不安の声が聞かれました。特に、自身の判断能力が十分でない知的障がい、精神障がい、発達障がいのある当事者の家族からは切実な声が挙がっています。  障がいのある人やその家族が住み慣れた地域で安心していきいきと生活していくためには、障がいのある人の意思を十分に尊重した支援をすることが重要です。また、障がいのある人が自らの能力を最大限に発揮した生活を送るための環境整備や、生涯におけるこまやかな支援の充実、緊急時に必要な対応ができる体制の整備など、障がいのある人を地域全体で支え合うことができるよう「支え合う福祉」を充実していくことこそが「親なき後」の不安の解消につながります。 ※1 扶助費:279ページ参照 ※2 親なき後:275ページ参照 (230ページ)  このような点を踏まえ、障がい者分野の基本理念を以下のとおりとします。 【基本理念】  福岡市では「障がいのある人とない人が等しく地域の中で自立し、社会の一員として共に生きる社会」をめざし、高齢障がい者及び、「親なき後※1」の地域での生活を見据えた総合的な支援など、『障がいのある人が必要な支援を受けながら、自らの能力を最大限発揮し、地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくり』をめざします。 2 計画の位置づけ  本分野は障害者基本法第11条第3項に定める市町村障害者計画として、「第6期福岡市障がい福祉計画(障害者総合支援法に定める市町村障害福祉計画)」や子どもに関する分野の基本的な計画である「第5次福岡市子ども総合計画」との整合を図りながら策定するものです。 3 基本目標 ○基本理念・考え方に基づき、4つの基本目標を定め、各施策を実施します。 (1)安心して地域で暮らせる基盤づくり ○障がいのある人自身が自立して生活できる環境を整備するなど、障がいのある人の「親なき後」の支援の充実を図ります。 ○障がいのある人もその家族も、地域で安心して生活し続けることができる支援の充実を図ります。 ○重度の障がいや発達障がいがある人、難病患者等に対する社会資源※2の充実を図り、社会参加の支援や生活の質の向上をめざします。 (2)多様性を認め合い、大切にし合うまちづくり ○障がいのある人の権利や尊厳を守るための施策を推進します。 ○障害者差別解消法や福岡市障がい者差別解消条例の趣旨を踏まえながら、差別解消の推進に取り組みます。 ○物理的な障壁や心理的な障壁、伝達手段による情報面での障壁、その他あらゆる障壁を取り除き、すべての人が互いに尊重し、支え合う共生社会の実現をめざします。 ※1 親なき後:275ページ参照 ※2 社会資源:277ページ参照 (231ページ) (3)誰もがいきいきと暮らせる環境づくり ○自己決定が尊重され、自己実現を図ることができる共生社会の実現をめざします。 ○障がいのある人が必要な支援を受け、より豊かに、生きがいを持って、自分らしい人生をいきいきと送ることができる社会の実現をめざします。 ○社会参加及び社会貢献をとおして、誰もが幸福を実感できる社会の実現をめざします。 (4)子どもの健やかな成長 ○ノーマライゼーション※の理念のもとに、一人ひとりの自立をめざした支援・療育体制の充実を図ります。 ○子どもとその家族に対し、乳幼児期から成人期までのライフステージを通じた一貫した支援や、成長段階に応じた支援の充実を図ります。 ○子どもの社会的自立や就学に向けた相談や支援をおこなうとともに、地域交流の支援、理解の促進などに取り組み、共生社会の実現をめざします。 ※ノーマライゼーション:278ページ参照 (232ページ) 4 施策体系 ○基本目標に基づき、以下の体系により障がい者施策を推進します。 〈推進施策〉 【基本目標1】安心して地域で暮らせる基盤づくり (1-1)住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくり (1-2)良質な福祉サービスの推進と福祉を支える人づくり (1-3)日常生活の支援による自立促進 (1-4)重度障がい・発達障がい・難病等に関する施策の推進 (1-5)家族支援に関する施策の推進 (1-6)災害対策の推進 【基本目標2】多様性を認め合い、大切にし合うまちづくり (2-1)障がい理解・差別解消の推進 (2-2)権利擁護※1・虐待防止の推進 (2-3)ユニバーサルデザインの理念※2に基づくまちづくり・情報提供の推進 【基本目標3】誰もがいきいきと暮らせる環境づくり (3-1)就労支援 (3-2)スポーツ・レクリエーション・文化芸術活動の推進 (3-3)移動・外出の支援 【基本目標4】子どもの健やかな成長 (4-1)早期発見・早期支援 (4-2)療育・支援体制の充実強化 (4-3)発達障がい児への支援 (4-4)特別支援教育※3の推進 【保健福祉総合計画各論障がい者分野の施策体系イメージ】 図  以下は、図の説明。  「地域社会での共生:親鳴きあとを親あるうちに」の周りに書かれた4つの施策の内容を記す。 ○多様性を認め合い、大切にし合うまちづくり  障がい理解、権利擁護、ユニバーサルデザイン ○誰もがいききと暮らせる環境づくり  就労、レクリエーション、外出支援 ○子どもの健やかな成長  早期発見、療育・支援体制、発達障がい児、教育 ○安心して地域で暮らせる基礎づくり  地域生活、福祉サービス、日常生活、重度・発達障がい難病等、家族支援、災害対策 ※1 権利擁護:276ページ参照 ※2 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※3 特別支援教育:278ページ参照 (233ページ) 第2章 施策各論 【基本目標1】安心して地域で暮らせる基盤づくり 〈現状と課題〉 (1)住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくり(【図表90、91、92】) ○障がいのある人とその家族が地域で安心して生活していくためには、障がいのある人自身が必要な支援を受けながら、自立して生活できる環境を整備することが重要です。 ○障がいのある人の親元からの自立や病院・入所施設からの地域移行を支援するための体制の構築や、体験の場・機会の確保が必要です。 ○障がいのある人の重度化・高齢化を見据え、住み慣れた地域での生活を支援するため、地域生活の安心感を担保する機能を備えるとともに、保健・医療・福祉の緊密な連携による支援体制の整備が必要です。 ○介護者の急病など緊急時に、障がいのある人を短期入所※1事業所などで一時的に受け入れ・対応する体制を整備しています。 ○障がいのある人が地域の一員として暮らしやすくなるように、地域住民への理解促進の働きかけをおこなう必要があります。 ○区障がい者基幹相談支援センター※2は一次相談窓口として相談に応じるとともに、地域の障がい福祉サービス事業者など関係機関との連携を図るなど、地域福祉の基盤づくりも担っています。 ○地域で生活する障がいのある人や相談件数が増加傾向にあるため、相談体制の拡充が必要です。 ○経済的困窮や社会的孤立、介助者の高齢化やヤングケアラーの存在など相談の複雑化・多様化に対応するため、専門性の確保や、実態の把握と適切な対応が必要です。 (2)良質な福祉サービスの推進と福祉を支える人づくり ○障がい福祉サービスの利用者は年々増加しており、さらなる充実が求められています。 ○人材の確保が十分でない状況にあり、良質なサービスの確保や障がいの多様化を踏まえた人材育成が必要となります。 ○様々な障がいに対応するため、支援者が幅広い知識を身につけるとともに、専門的な支援スキルを有する人材の育成が重要です。 ※1 短期入所:248ページ参照 ※2 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 (234ページ) ○精神障がい者の地域移行・地域定着の推進においてピアサポート※1が有効とされており、取組みを推進することが必要です。 〇ICT(情報通信技術)の活用による障がい福祉サービス事業所の業務効率化、AI(人工知能)やIoT※2、介護ロボットの活用などによる障がい福祉現場の職員の負担軽減やサービスの質の向上が必要です。 (3)日常生活の支援による自立促進 ○障がいのある人が「親なき後※3」にも地域で安心して生活していくためには生活の場・住まいの確保が重要です。 ○生活用具の給付などによる障がいのある人への自立支援の促進が求められます。 ○情報の取得が難しい聴覚・視覚障がい者に対して、点字版、音声版テキスト版のほか、手話通訳や音声コード※4の活用などの支援の充実が求められます。 〇障がいのある人の自立促進のため、生活用具や、情報提供の手段としてICT(情報通信技術)を活用していくことが求められている。 (4)重度障がい・発達障がい・難病等に関する施策の推進 ○障がいのある人が地域で生活を続けていくためには重度障がいなど障がい特性に応じた支援ができる住まいの確保が重要です。 ○住まいの場の一つであるグループホーム※5において、重度障がい者を適切に支援するには、設置事業者の費用負担が大きくなることから、受け入れが進んでいません。 ○医療的ケア※6が可能な短期入所※7事業所について、「利用できる事業所が少ない」「利用したいとき(特に急病等の緊急時)に利用できない」との声が寄せられていますが、障がい者支援施設など本体施設の一部を利用するため、大幅な定員増は厳しい状況です。 ○強度行動障がい※8者への支援として、集中支援事業において、個々の障がい特性に応じた支援方法を検討・作成し、行動問題の軽減を図っていますが、集中支援後の利用者の移行先として、受け入れ体制の整ったグループホーム等の確保が困難な状況です。 ○今後は、より多くの民間障がい福祉サービス事業者において、強度行動障がい者一人ひとりの障がい特性に応じた支援を行うための専門知識や支援技能の拡充が必要です。 ※1 ピアサポート:279ページ参照 ※2 Iot:275ページ参照 ※3 親なき後:275ページ参照 ※4 音声コード:275ページ参照 ※5 グループホーム:241ページ参照 ※6 医療的ケア:275ページ参照 ※7 短期入所:248ページ参照 ※8 強度行動障がい:276ページ参照 (235ページ) ○発達障がい児・者への支援については、発達障がいへの理解が進んでいないことや、一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより、精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されています。 ○発達障がい者に向けた就労支援のニーズの高まりへの対処など、個々の課題への対応が必要です。 ○難病患者、小児慢性特定疾病※児童等及びその家族が長期にわたり療養生活を送りながらも社会参加への機会が確保され、地域社会において尊厳を持って生活できるよう、保健・医療・福祉・就労・教育の総合的な対策を推進していく必要があります。 (5)家族支援に関する施策の推進 ○障がいのある人の家族への支援は、障がいのある人への支援と同じように重要です。障がいを受容できずに本人へ不適切な対応をしたり、周りの理解が足りないことで、家族がつらい思いをしたりしている場合もあります。 ○身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者及び難病患者のすべてにおいて、現在家族と同居している人が多く、今後も家族と一緒に生活することを望んでいます。 ○主な介助者は、身体障がい者と難病患者は配偶者、知的障がい者と発達障がい者は母親といずれも偏りが見られます。 ○障がいのある人が地域での生活を続けるためには、介助している家族の負担を軽減し、支える仕組みが必要です。 【図表90】希望する今後の暮らし方 表  以下は、順位 希望する今後の暮らし方の順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 家族と一緒に暮らしたい(38.8%) 2位 一人で暮らしたい(19.3%) 3位 高齢者施設に入所したい(9.8%) 4位 グループホームなどの地域の中で仲間と共同生活できるところで暮らしたい(3.1%) 5位 障がい者施設に入所したい(1.7%) ○知的障がい者(N=563) 1位 グループホームなどの地域の中で仲間と共同生活できるところで暮らしたい(24.9%) 2位 家族と一緒に暮らしたい(22.1%) 3位 障がい者施設に入所したい(12.2%) 4位 一人で暮らしたい(12.1%) 5位 高齢者施設に入所したい(2.5%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 家族と一緒に暮らしたい(34.2%) 2位 一人で暮らしたい(31.7%) 3位 グループホームなどの地域の中で仲間と共同生活できるところで暮らしたい(2.4%) 4位 高齢者施設に入所したい(2.4%) 5位 友人と一緒に暮らしたい(1.6%) ○発達障がい児・者(N=258) 1位 家族と一緒に暮らしたい(28.7%) 2位 一人で暮らしたい(27.9%) 3位 グループホームなどの地域の中で仲間と共同生活できるところで暮らしたい(11.2%) 4位 障がい者施設に入所したい(1.7%) 5位 (記載なし) ○難病患者(N=661) 1位 家族と一緒に暮らしたい(47.2%) 2位 一人で暮らしたい(15.9%) 3位 高齢者施設に入所したい(6.4%) 4位 グループホームなどの地域の中で仲間と共同生活できるところで暮らしたい(3.5%) 5位 障がい者施設に入所したい(2.0%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) ※小児慢性特定疾病:277ページ参照 (236ページ) 【図表91】相談支援の観点から不足している社会資源※ グラフ 回答数:120  以下は、不足している社会資源 割合の順。 医療ケアが可能な短期入所施設 40.8 グループホーム 36.7 障がい者が入居できる住まい 30.8 強度行動障がいに対応できる短期入所施設 25.8 高度なスキルを持ったホームヘルパー等の人材 25.8 福祉サービス事業者や地域活動支援センター等の日中活動の場 19.2 障がい者支援施設(入所) 29.2 連携できる医師・医療機関 18.3 対象者の範囲が広く、利便性が高い移動支援事業 17.5 知的障がい者以外にも対応できる日中一時支援 8.3 障がい者の権利擁護のための専門機関 8.3 虐待防止(予防)のための官民一体となった取り組み 4.2 その他 14.2 特にない 0.8 無回答 6.7 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) ※社会資源:277ページ参照 (237ページ) 【図表92】自宅やグループホーム※で生活するために必要なこと ○身体障がい者 手帳等級別 表  以下は、必要なこと 全体 手帳等級重度(1・2級) 中度(3・4級) 軽度(5・6級) 無回答の割合の順。 合計人数 760 356 280 106 17 主治医や医療機関が近くにあること 29.6 26.4 34.5 28.2 23.5 調理や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 29.2 29.5 28.7 29.2 30.0 スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 27.0 23.2 32.2 26.7 21.5 家族と同居できること 19.1 21.1 17.2 18.9 8.5 昼間の介護を頼める人がいること 14.8 15.9 15.3 10.0 15.0 夜間の介護を頼める人がいること 113.5 15.0 13.4 8.6 15.0 仕事があること 13.5 13.3 12.0 20.1 (記載なし) 短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること 11.4 11.7 10.0 13.2 17.1 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 11.3 11.6 10.5 12.6 8.5 介護を受けながら日中活動を行う施設に通えること 9.5 9.8 8.3 13.2 (記載なし) ガイドヘルパー(外出の介護を頼める人)のサービスがあること 7.17.9 6.2 6.8 8.5 就労や生活の自立、機能の回復へ向けて訓練を受けられる施設に通えること 6.4 7.7 4.1 7.4 8.5 グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること 3.6 4.6 2.6 3.4 (記載なし) 施設で働けること 1.9 1.8 1.5 3.7 (記載なし) その他 1.9 2.9 1.0 1.4 (記載なし) 特にない 11.9 12.7 11.2 12.1 8.5 無回答 10.1 10.2 9.6 9.2 20.8 ○知的障がい者 手帳等級別 表  以下は、必要なこと 全体 手帳判定重度(A1〜A3) 中度(B1) 軽度(B2) 無回答の割合の順。 全体人数 563 262 142 121 39 調理や掃除、洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 37.3 37.5 46.1 28.9 30.1 仕事があること 27.2 10.9 37.2 54.5 16.0 家族と同居できること 23.0 24.3 16.4 30.6 14.5 グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること 22.1 27.2 20.114.1 19.7 短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること 19.2 30.4 10.6 5.8 16.3 介護を受けながら日中活動を行う施設に通えること 19.1 34.7 5.8 2.9 13.2 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 18.6 13.7 19.9 30.2 10.6 夜間の介護を頼める人がいること 18.5 30.8 7.2 5.6 16.4 主治医や医療機関が近くにあること 18.4 19.2 15.3 20.5 18.1 スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 16.2 10.7 17.8 27.9 11.3 ガイドヘルパー(外出の介護を頼める人)のサービスがあること 12.6 19.1 10.5 4.5 2.1 夜間の介護を頼める人がいること 12.2 20.3 4.5 3.2 13.3 施設で働けること 11.1 13.5 10.6 6.6 11.0 就労や生活の自立、機能の回復へ向けて訓練を受けられる施設に通えること 7.9 7.9 9.6 7.6 2.1 無回答 7.6 8.1 6.0 5.4 17.5 特にない 5.9 2.2 10.3 6.8 11.2 その他 3.6 4.9 3.3 2.4 (記載なし) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) ※グループホーム:241ページ参照 (238ページ) (6)災害対策の推進 ○災害時において障がいのある人の安否確認や避難状況の把握、さらに避難時に支援を必要とする避難行動要支援者情報の伝達や避難誘導、避難所での生活に不安の声が寄せられており、避難時における安全・安心の確保が必要です。 ○障がいのある人の災害対策の推進にあたっては、障がいの特性や状況に応じた対応が必要であり、当事者団体や親の会等と連携しながら取組みを進める必要があります。 【施策の方向性】 ○様々な障がいや障がい者家族の多様なニーズに対応した相談支援体制と障がい福祉サービス、外出・移動の支援、住まいの場の確保など、障がいのある人が地域で生活していくための支援の充実を図ることで、「親なき後」の不安の解消を図ります。 ○障がいのある人が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、地域生活支援拠点等※の機能の充実・強化に取り組むとともに、専門的なスキルのある人材の育成や社会資源の開発に取り組み、地域福祉の基盤づくりを進めます。 〇ICT(情報通信技術)などの活用による障がい福祉サービス事業所の業務効率化や良質なサービス提供を促進します。 ○医療的ケアが必要な障がい児・者の受け入れが可能な障がい福祉サービス事業所の充実に取り組みます。 ○医療的ケアが必要な障がい児・者への支援を適切に行うため、専門性を有する人材を育成します。 ○強度行動障がい者の安定した生活を支援するため、専門的な知識や技能を備えた人材を育成し、受け入れが可能な事業所の拡大を図ります。 ○障がいのある人の家族の慢性的な疲れや心身の負担を軽減することで、障がいのある人とその家族の生活が継続できるよう、家族を支える体制づくりに取り組みます。 ○全国的に大規模な災害が多発する中で、平常時からの見守り活動等を進めることで、地域の防災力の向上を図り、障がいのある人などの避難者対策や要配慮者対策に資する取組みを進めます。 ※地域生活支援拠点等:278ページ参照 (239ページ) 施策1-1 住み慣れた地域で生活を続けられる体制づくり ○区障がい者基幹相談支援センター※1において、学齢以上の障がい児・者等を対象とする24時間対応の一次相談窓口として、引き続き支援に取り組みます。 ○区障がい者基幹相談支援センターの積極的な訪問による相談対応や地域団体などとの連携により、障がいのある人を地域で見守る仕組みづくりなど地域福祉の基盤づくりを推進します。 ○福岡市障がい者等地域生活支援協議会の専門部会において、障がいのある人が地域で安心して生活できるよう、これまで取り組んできた地域生活支援拠点等※2について定期的に評価し、課題解決に向けて検討するとともに、その機能の充実・強化に取り組みます。 【図表93】地域生活支援拠点等のイメージ 以下は、図の説明。  【地域の体制づくり】が中心にあり、その周りに【体験の機会】グループホームなど、【緊急時受入れ】短期入所、【専門性】【相談】障がい者基幹相談支援センターがある。 資料:厚生労働省 ○市障がい者基幹相談支援センターは区障がい者基幹相談支援センターのコーディネーター向けの研修の充実・強化を図るとともに、区障がい者基幹相談支援センターへの訪問・助言等を行い、人材育成に取り組みます。 ○触法障がい者※3の支援について、関係機関を対象とした講演会や研修などを行うとともに、社会資源※4の開発、改善に取り組みます。 ※1 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 ※2 地域生活支援拠点等:278ページ参照 ※3 触法障がい者:障がいがあり犯罪を起こした人。 ※4 社会資源:277ページ参照 (240ページ) ○精神障がい者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、保健・医療・福祉関係者・当事者等による協議の場を通じて、関係機関の重層的な連携による支援体制を構築し、地域の課題を共有した上で、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステム※1の構築に資する取組みをおこないます。 ○精神障がい者が安心して暮らしやすくなるための普及啓発を推進します。 ○経済的困窮や介助者の高齢化、ヤングケアラー等の課題について関係機関への啓発等を行い、関係機関が連携してこれらの課題を抱える障がい者やその家族などを早期に発見し適切な支援につながるよう、取り組みます。 ○障がい者手帳の取得の有無に関わらず、障がいのある人もしくは障がいが疑われる人で、本人が抱えている課題の解決につながっていない人についても、年齢や性別、障がいの特性など相談者の状況に配慮しながら保健・医療・その他専門機関と連携し、支援に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>計画相談支援:特定相談支援事業所が利用者の状況を勘案し、サービス等利用計画を作成。作成後は計画が適切かどうか定期的に検証し必要な支援を実施 <2>地域移行支援:施設や精神科病院から退所・退院する人に対して、地域における生活に移行するための活動に関する相談等を実施 <3>地域定着支援:施設・精神科病院からの退所・退院により単身生活に移行した人などに対して、常時の連絡体制を確保し、緊急事態の相談等を実施 <4>自立生活援助:入所施設から一人暮らしに移行した人等に対する定期的な利用者宅訪問等により、助言や関係機関との連絡調整等を実施 <5>身体障がい者相談員・知的障がい者相談員:障がい児・者の日常生活の問題について、地域において相談員が各種相談に応じるとともに、援助を実施 <6>市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター):障がい者の虐待防止支援及び地域生活に関する相談支援の中核的機能を一体的にあわせ持ち、障がい者の相談支援体制の充実・強化と区障がい者基幹相談支援センターの支援及び人材育成を実施 <7>区障がい者基幹相談支援センター【再掲】:学齢以上の障がい児・者等を対象とする24時間対応の一次相談窓口で、地域の障がい福祉サービス事業所等関係機関との連携を図るなど、地域の体制づくりを実施 <8>聴覚障がい者情報センター:聴覚障がい者や盲ろう者などの各種相談に応じるとともに、総合的なコミュニケーション支援を実施 <9>ろうあ者相談員・手話通訳者の配置:各区福祉・介護保険課に、聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 <10>発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター):発達障がいについて、相談や普及啓発、研修などを実施 <11>心身障がい福祉センター(あいあいセンター):障がい者の相談・診断・リハビリテーション・自立訓練※2等を実施し、障がい児(未就学児)の相談・診断・療育支援などを実施 <12>東部・西部療育センター:障がい児(未就学児)の相談・診断・療育支援などを実施 ※1 地域包括ケアシステム:278ページ参照 ※2 自立訓練:277ページ参照 (241ページ) <13>発達教育センター:障がいのある子どもたちの就学相談や教育相談などを実施 <14>障がい者の地域生活支援機能強化事業:障がい者の地域での暮らしの安心感を担保し、障がい者の親元からの自立や施設等からの地域生活への移行、地域生活の継続を図るため地域生活支援機能の強化を実施 <15>緊急時の受け入れ・対応事業:介護者の急病など緊急時に、短期入所※1事業所などで一時的な受け入れを実施 <16>グループホーム:主として夜間において、地域で共同生活を営む住居での相談や介護など、日常生活上の援助を実施 <17>障がい者等地域生活支援協議会【再掲】:障がい児・者の福祉、医療、教育、雇用などの各分野の関係者等が相互の連携を図り、地域における障がい児・者へのよりよい支援体制について協議するために設置 <18>コミュニケーション支援員等派遣事業:意思疎通が困難な障がい者の短期入所先へ日常的に支援を行っているヘルパー等のコミュニケーション支援員を派遣し、共同支援を実施 <19>触法障がい者支援スキーム:県弁護士会からの依頼に基づき、市・区障がい者基幹相談支援センターが福祉・医療機関等と連携して、触法障がい者の個々の特性を踏まえた、更生支援計画書を作成することにより、釈放後の円滑かつ適切な支援を実施 <20>精神障がい者支援体制の構築推進事業:保健・医療・福祉関係者協議の場の設置、精神障がい者の家族支援、精神障がい者の地域移行関係職員に対する研修やピアサポート※2の活用に係る事業についての検討、アウトリーチ※3支援に係る事業についての検討、入院中の精神障がい者の地域移行に係る事業についての検討を実施 <21>一般精神保健相談・訪問指導事業:精神保健相談、訪問指導などを実施し、精神障がいの早期発見・治療を促進 <22>精神保健家族講座:精神障がい者の家族に対して、正しい知識の普及を図るとともに、家族相互の交流を促進 <23>精神科救急医療システム事業:休日、夜間等に緊急な医療を必要とする精神障がい者に対し、24時間365日速やかに適正な医療を提供できる体制を整備 <24>ピアスタッフ※4スキルアップ研修:地域活動支援センターや事業所などでスタッフやボランティアとして従事している精神障がい者を対象に、対人面のスキルアップや仲間づくりなどを目的とした研修会を実施 <25>精神保健福祉啓発交流事業:講演会や作品展等の「ハートメディア」や「ピアサポート講座」を実施 <26>地域活動支援センターT型:精神障がい者に対し、創作的活動などを提供するとともに、相談支援などを実施 <27>地域活動支援センターU型・V型・W型等:創作的活動又は生産活動を提供し、社会との交流を促進 ※1 短期入所:248ページ参照 ※2 ピアサポート:279ページ参照 ※3 アウトリーチ:275ページ参照 ※4 ピアスタッフ:279ページ参照 (242ページ) 施策1-2 良質な福祉サービスの推進と福祉を支える人づくり ○障がいのある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに、支援のさらなる充実に取り組みます。また、現場で応用可能な実技演習を取り入れた、より実効性のある研修を実施します。 ○集団指導・実地指導を通じて良質な障がい福祉サービスの確保に取り組みます。 〇障がい福祉サービス事業所がICT(情報通信技術)などを活用し、業務の効率化や良質なサービス提供ができるよう取り組みます。 ○多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、ヘルパーを対象とした研修を実施します。 ○医療的ケア※1児などへの支援を適切に行える医療的ケア児等コーディネーターを養成します。 ○手話通訳者、要約筆記者や盲ろう者通訳・介助員を養成するための講座を開催し、人材の育成と技術の向上を図ります。 ○精神保健福祉業務に従事する職員やピアスタッフ※2に対して、人材育成を目的に研修会を開催します。また、ピアサポート※3の活用の仕組みづくりについて検討します。 ○福祉サービスの充実や人材の確保について、他の政令市と共同し、引き続き国へ確実な財源措置を求めていきます。 【現在の主な事業】 <1>障がい福祉サービス(在宅):居宅介護、重度訪問介護※4、重度障害者等包括支援、訪問入浴サービス、短期入所※5(福祉型・医療型)を実施 <2>障がい福祉サービス(施設):療養介護※6、生活介護※7、施設入所支援※8、自立訓練※9(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援※10、就労定着支援※11、就労継続支援A型※12、就労継続支援B型※13を実施 <3>地域活動支援センターT型【再掲】:精神障がい者に対し、創作的活動などを提供するとともに、相談支援などを実施 ※1 医療的ケア:275ページ参照 ※2 ピアスタッフ:279ページ参照 ※3 ピアサポート:279ページ参照 ※4 訪問介護:279ページ参照 ※5 短期入所:248ページ参照 ※6 療養介護:医療と常時介護を必要とする障がい者に、主として昼間に医療機関で看護や介護、日常生活上の支援を行う障がい福祉サービス。 ※7 生活介護:常時介護を必要とする障がい者に、主として昼間に、日常生活上の支援や生産活動の機会の提供などを行う障がい福祉サービス。 ※8 施設入所支援:施設に入所している障がい者を対象に夜間や休日の日常生活上の支援を行う障がい福祉サービス。 ※9 自立訓練:277ページ参照 ※10 就労移行支援:262ページ参照 ※11 就労定着支援:262ページ参照 ※12 就労継続支援A型:262ページ参照 ※13 就労継続支援B型:262ページ参照 (243ページ) <4>地域活動支援センターU型・V型・W型等【再掲】:創作的活動又は生産活動を提供し、社会との交流を促進 <5>ホームヘルパースキルアップ研修:居宅介護などの従事者を対象に、障がい児・者へのサービスの質の向上を図ることを目的とした研修会を開催 <6>難病患者等ホームヘルパー養成研修事業【再掲】:難病患者等のホームヘルプサービスを行うホームヘルパーを養成 <7>相談員研修(身体・知的):相談員の業務遂行に必要な知識を深め、相談業務の円滑化を図ることを目的とした研修を実施 <8>手話通訳者の養成・派遣:手話通訳者を養成し、聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 <9>要約筆記者の養成・派遣:要約筆記者を養成し、聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 <10>盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣:盲ろう者通訳・介助員を養成し、盲ろう者が公的機関などに赴くときに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 <11>ピアスタッフスキルアップ研修【再掲】:地域活動支援センターや事業所などでスタッフやボランティアとして従事している精神障がい者を対象に、対人面のスキルアップや仲間づくりなどを目的とした研修会を実施 <12>精神保健福祉に関する教育研修:精神保健福祉業務に従事する職員などの技術水準の向上を図るため、基礎知識や専門知識等の習得を目的に研修会を開催 <13>発達障がい支援者向け研修:自閉症スペクトラム※1の方の支援者を対象に、障がいの特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 <14>ペアレントメンター※2養成研修:発達障がいの子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的支援を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 <15>医療的ケア児等コーディネーター養成研修:医療的ケア児等に対する支援を適切に行える人材を養成 ※1 自閉症スペクトラム:276ページ参照 ※2 ペアレントメンター:279ページ参照 (244ページ) 施策1-3 日常生活の支援による自立促進 ○「親なき後※1」も安心して生活できるよう、市内のグループホーム定員数を増やす必要があることから、開設時に必要な共用備品や敷金などの経費を補助することで、設置促進に取り組みます。 ○障がいのある人の地域での住まいを確保するため、民間賃貸住宅等への入居支援を行います。 ○福岡市は政令市の中でも民間賃貸住宅の割合が最も高いという特徴があります。障がい者は「近隣住民とのトラブル」などを理由に民間賃貸住宅への入居を断られる場合があるため、障がい者のニーズにあった住まいへ円滑に入居できるための支援を行います。 ○障がい児・者本人の自立の促進や、家族など介護を行う方の負担を軽減するために、住宅改造相談助成を継続して行います。 ○補装具や日常生活用具の給付を行うとともに、これらの福祉用具※2に関する情報提供を行います。また、日常生活用具については、ICT(情報通信技術)の進展や、利用者ニーズに応じた内容となるよう給付品目の見直しを継続して検討します。 ○手話通訳者、要約筆記者や盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣を行います。 ○依存症の当事者や、家族の方などを適切な医療・支援に結びつけることができるよう、福岡県・北九州市と連携し、依存症専門医療機関の整備に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>グループホーム【再掲】:主として夜間において、地域で共同生活を営む住居での相談や介護など、日常生活上の援助を実施 <2>重度障がい者グループホーム受入促進事業:重度障がい者を受け入れるグループホーム設置事業者に対し、運営費を補助 <3>障がい者グループホーム設置促進事業:グループホームの開設にあたり必要となる共用備品購入費、敷金、事業開始前家賃及び消防用設備にかかる費用などを補助 <4>障がい者住宅入居等支援事業(居住サポート):一般住宅への入居を希望する障がい者に対して、入居に必要な調整等を行うとともに家主などへの相談・助言を実施 <5>住まいサポートふくおか(福岡市居住支援協議会事業)〈市、社協〉【再掲】:住み替えでお困りの障がい者・高齢者を支援するため、福岡市社会福祉協議会※3をコーディネーターとして、入居に協力する「協力店」の確保や入居支援を行う「支援団体」によるプラットフォームを構築し、民間賃貸住宅への円滑入居及び入居後の生活を支援 <6>セーフティネット住宅入居支援事業【再掲】:住宅セーフティネット機能強化を図るため、障がい者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅(セーフティネット住宅)の登録促進や、入居者負担軽減及び居住環境向上のための経済的支援を実施(改修費補助、家賃低廉化補助、家賃債務保証料低廉化補助) ※1 親なき後:275ページ参照 ※2 福祉用具:279ページ参照 ※3 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 (245ページ) <7>障がい者住宅改造相談助成事業:在宅の身体障がい児・者がいる世帯に対し、住宅を障がい児・者の居住に適するように改造する場合に、費用を所得に応じて助成 <8>在宅酸素療法者に対する電気料助成:在宅酸素療法を必要とする呼吸機能障がい者などを対象に、酸素濃縮器の使用にかかる電気料金の一部を助成 <9>補装具費の支給:身体上の障がいを補うための補装具の購入や修理にかかる費用を支給 <10>日常生活用具の給付:在宅の障がい児・者、難病患者に対し、日常生活がより円滑に行われるための用具を給付 <11>手話通訳者の養成・派遣【再掲】:手話通訳者を養成し、聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 <12>要約筆記者の養成・派遣【再掲】:要約筆記者を養成し、聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 <13>盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣【再掲】:盲ろう者通訳・介助員を養成し、盲ろう者が公的機関などに赴くときに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 <14>ろうあ者相談員・手話通訳者の配置【再掲】:各区福祉・介護保険課に、聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 <15>重度障がい者入院時コミュニケーション支援:入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し、医療従事者との意思疎通を円滑にし、適切な治療が受けられるように支援を実施 <16>点字図書給付事業:視覚障がい児・者に対し、点字本と墨字本(原本)の価格差を助成 <17>市政情報の点字化等:市政だよりなどで点字版や音声版等を作成 <18>自立支援医療制度(更生医療、精神通院医療、育成医療):障がいの軽減・除去に関する治療に対し、医療費の自己負担率を1割とするもの <19>重度障がい者医療費助成制度:重度障がい児・者の保険診療にかかる医療費の自己負担相当額を助成 <20>精神科救急医療システム事業【再掲】:休日、夜間等に緊急な医療を必要とする精神障がい者に対し、24時間365日速やかに適正な医療を提供できる体制を整備 <21>地域障がい者フィットネス教室:あいあいセンターで、機能維持のための体操・ヨガなどを実施 <22>高次脳機能障がい者リハビリ教室:スポーツセンター・早良・西フレンドホームで、社会生活力向上のための言語療法・作業療法を実施 <23>依存症対策推進事業:依存症専門相談、薬物依存者回復支援プログラム、家族教室、市民講演会、支援者連携会議、依存症専門医療機関の選定 <24>福祉電話の貸与等:障がい者に電話やファックスを貸与するとともに、電話による安否確認・各種相談などを実施 <25>徘徊知的障がい者捜索システム事業:徘徊の恐れのある知的障がい者に持たせる携帯端末の初期費用を所得に応じて助成 <26>緊急通報システム【再掲】:急病などの緊急事態の際、受信センターへ簡単に通報できる緊急通報機器を設置 <27>NET119緊急通報システム:音声での119番通報が困難な人がスマートフォン等でどこからでも119番通報することができるシステム (246ページ) <28>障害基礎年金:国民年金保険料の納付要件を満たしている人が、一定の障がいの状態にある場合に支給(なお、市区町村の窓口では請求書類の受付のみを実施) <29>特別障害給付金:国民年金に任意加入していなかったことにより障害基礎年金を受給できない人が、一定の障がいの状態になった場合に支給(なお、市区町村の窓口では請求書類の受付のみを実施) <30>障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金等を受給していて、前年の所得が一定以下の場合に支給(なお、市区町村の窓口では請求書類の受付のみを実施) <31>特別障がい者手当:在宅で日常生活において常時特別の介護を要する20歳以上の重度障がい者に手当を支給 <32>障がい児福祉手当:重度障がい児に手当を支給 <33>特別児童扶養手当:障がい児を養育する父母等に手当を支給 <34>重度心身障がい者福祉手当:重度の身体又は知的障がい児・者に対し手当を支給 <35>心身障害者扶養共済制度:障がい児・者の保護者の相互扶助のため、保護者が死亡等の後、年金を支給 【関連する施策】 ※薬物依存症対策については、健康・医療分野の施策3-2参照 (247ページ) 施策1-4 重度障がい・発達障がい・難病等に関する施策の推進 ○重度障がい者を受け入れるグループホーム※1設置事業者に対して、運営費を補助することで、グループホームにおける重度障がい者の受け入れを促進します。 ○重度障がい者を多く受け入れるグループホームについては開設費用に対する補助限度額を引き上げ、また、既存のグループホームにおいて重度障がい者を受け入れる場合については消防用設備の設置費を補助対象とすることで、重度障がい者向けグループホームの設置を促進します。 ○重度障がい者向けグループホームの整備推進のため、市有財産も含めた物件の活用などにも取り組みます。 ○事業所の指定相談時や集団指導時などに周知を図り、医療的ケア※2が必要な障がい者の受け入れ促進に取り組みます。 ○短期入所※3の報酬体系について、医療的ケアが必要な障がい者の受け入れ促進や安定的運営に資するよう、他都市と連携し、機会を捉えて国に要望していきます。 ○強度行動障がい※4者支援研修事業や共同支援事業の継続実施により、民間障がい福祉サービス事業所などへの専門知識や支援技術の拡充を行い、強度行動障がい者の受け入れ事業所の拡大を図ります。 ○強度行動障がい者に対し、支援拠点において個々の行動問題の分析や支援方法を検討・作成し、行動問題の軽減を図るため、24時間体制で集中的に支援し、地域生活への移行を図ります。 ○発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備を進めます。 ○発達障がい者支援センターを中心に、区障がい者基幹相談支援センター※5など各関係機関との連携を図り、乳幼児期から成人期までのライフステージを通じた一貫した支援に取り組むなど、発達障がい児・者とその家族に対して、支援体制の強化を図ります。 ○発達障がい者支援センターにおいて、支援者の養成や巡回相談などに取り組むとともに、保護者向け講座の開催や子育てサロン等へのペアレントメンター※6の派遣など、保護者支援に取り組みます。 ○専門家や団体、事業者、保健・教育・福祉関係者等で構成する発達障がい者支援地域協議会などを通じて、関係機関・団体の連携を強化し、支援体制の充実を図ります。 ○発達障がいの理解促進のため、啓蒙活動や市民向け講座を実施します。 ○難病患者の経済的な負担を軽減するため、医療費助成を安定的に継続して実施するとともに、障がい福祉サービスを提供します。 ※1 グループホーム:241ページ参照 ※2 医療的ケア:275ページ参照 ※3 短期入所:248ページ参照 ※4 強度行動障がい:276ページ参照 ※5 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 ※6 ペアレントメンター:279ページ参照 (248ページ) ○難病相談支援センターにおいて、療養や日常生活、就学・就労の相談支援、患者交流会等の活動に対する支援、ピアスタッフ※の育成や活動支援を実施します。また、同センター及び保健福祉センターにおいて、難病に関する講演会・研修会等を開催し、難病に関する理解促進と患者支援に取り組みます。 ※ピアスタッフ:279ページ参照 【図表94】重度障がい者グループホーム受入促進事業 地域における重度障がい者の居住の場を確保 グループホームにおける重度障がい者の受け入れを促進  重度障がい者を受け入れるためにグループホームの運営に必要な支援をすることで、重度障がい者の受け入れを促進する。 図  以下は、図の説明。  グループホームへ、運営費補助による職員の加配を行うことにより、重度障がい者の受け入れを促進する。 資料:福岡市 【現在の主な事業】 <1>グループホーム【再掲】:主として夜間において、地域で共同生活を営む住居での相談や介護など、日常生活上の援助を実施 <2>重度障がい者グループホーム受入促進事業【再掲】:重度障がい者を受け入れるグループホーム設置事業者に対し、運営費を補助 <3>障がい者グループホーム設置促進事業【再掲】:グループホームの開設にあたり必要となる共用備品購入費、敷金、事業開始前家賃及び消防用設備にかかる費用などを補助 <4>重度障がい者入院時コミュニケーション支援【再掲】:入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し、医療従事者との意思疎通を円滑にし、適切な治療が受けられるように支援を実施 <5>短期入所(福祉型強化・医療型):介護者が疾病などで一時的に介護ができない場合、医療的ケアが必要な障がい者に対し、施設、病院で宿泊を伴った日常生活上の支援を実施 <6>強度行動障がい者支援事業:地域での安定した生活をめざし、行動問題の軽減及び障がい福祉サービス利用機会の拡充を図るため、共同支援、支援要請研修に加え、支援拠点での集中支援を実施 <7>発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)【再掲】:発達障がいについて、相談や普及啓発、研修などを実施 <8>発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備:発達障がい者支援と障がい者就労支援を一体的に行うとともに、障がい者の社会参加場として中央フレンドホームの複合施設の整備を実施 (249ページ) <9>世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間:市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障がい啓発週間(4月2日から8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 <10>発達障がい支援者向け研修【再掲】:自閉症スペクトラム※1の方の支援者を対象に、障がいの特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 <11>ペアレントメンター養成研修【再掲】:発達障がいの子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的支援を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 <12>難病患者等医療費助成事業【再掲】:指定難病患者、小児慢性特定疾病※2児童等に対する医療費の助成、日常生活用具の給付 <13>難病患者等患者支援事業【再掲】:相談支援事業、難病講演会、小児慢性特定疾病児童等レスパイト※3支援事業を実施 <14>在宅人工呼吸器使用患者支援事業【再掲】:難病患者のうち在宅人工呼吸器使用患者への支援 <15>難病患者等訪問指導事業【再掲】:難病患者等に対し、保健師などが訪問し、療養に必要な保健指導を実施 <16>難病患者等ホームヘルパー養成研修事業【再掲】:難病患者等のホームヘルプサービスを行うホームヘルパーを養成 【関連する施策】 ※難病対策については、健康・医療分野の施策2-3参照 ※1 自閉症スペクトラム:276ページ参照 ※2 小児慢性特定疾病:277ページ参照 ※3 レスパイト:280ページ参照 (250ページ) 施策1-5 家族支援に関する施策の推進 ○障がいのある人の家族が地域や社会から取り残されないよう、家族を支援する人材を育成します。また、障がい者の家族に対して正しい知識の普及を図り、家族の相互交流を促進するなど、支援体制の構築に向けた取組みを推進します。 ○介護者が一時的に介護できない場合や、休息を図る等のために、レスパイト※1事業を実施し、家族の介護負担軽減に取り組みます。 ○医療的ケア※2が必要な障がい児・者が利用できる短期入所事業所や日中一時支援事業所について、受け入れ可能な事業所の拡大を図ります。 【現在の主な事業】 <1>ペアレントメンター※3養成研修【再掲】:発達障がいの子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的支援を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 <2>精神保健家族講座【再掲】:精神障がい者の家族に対して、正しい知識の普及を図るとともに、家族相互の交流を促進 <3>依存症対策推進事業【再掲】:依存症専門相談、薬物依存者回復支援プログラム、家族教室、市民講演会、支援者連携会議、依存症専門医療機関の選定 <4>訪問型在宅レスパイト事業:医療的ケアを必要とし、人工呼吸器又は気管カニューレを装用した障がい者の介護者の負担軽減を図るため、医療保険適用範囲を超える自宅等での訪問看護※4に要する費用を助成 <5>医療的ケア児在宅レスパイト事業:医療的ケア児の家族の負担軽減を図るため、医療保険適用範囲を超える自宅等での訪問看護に要する費用を助成 <6>短期入所(福祉型強化・医療型)【再掲】:介護者が疾病などで一時的に介護ができない場合、医療的ケアが必要な障がい者に対し、施設や病院で宿泊を伴った日常生活上の支援を実施 <7>日中一時支援事業:介護者が疾病などのために一時的に介護ができない場合に、施設などでの日帰りの預かりを実施 ※1 レスパイト:280ページ参照 ※2 医療的ケア:275ページ参照 ※3 ペアレントメンター:279ページ参照 ※4 訪問看護:279ページ参照 (251ページ) 施策1-6 災害対策の推進 ○災害時に障がい者が円滑に避難できるよう、平常時から避難行動要支援者名簿※1の管理や地域の見守り活動等の仕組みづくりを進めるとともに、防災担当部署、区役所、社会福祉協議会※2などの関係機関が連携して避難支援を行う体制の構築を図ります。 ○また、名簿情報の提供に際しては、提供を受けるものに対して、情報漏洩防止のための措置を講じるよう指導します。 ○公民館などの避難所や同避難所内に必要に応じ設置される福祉避難室※3での生活が困難な障がい者のための福祉避難所※4の確保、さらに市社協が運営する災害ボランティアセンターなどとの連携により、災害発生時の支援体制の構築を図ります。また、福祉避難所等で必要となる食料等は、施設などと連携しながら確保に取り組みます。 ○特別な支援を必要とする障がい者については、医療機関との連携など適切な配慮がされるよう取り組みます。 ○災害発生時、情報の取得が難しい聴覚・視覚障がい者に対し、避難情報の提供や避難場所の周知について配慮します。 【現在の主な事業】 <1>ふれあいネットワーク<社協>【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり、高齢者などの見守り活動等を実施 <2>災害ボランティア活動推進事業<社協>【再掲】:災害への備えについて市民意識の向上を図るとともに、災害時の支援活動に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・講座・訓練を実施 <3>「地域福祉活動における個人情報共有化に関する取扱いの指針」の普及啓発出前講座<社協>【再掲】:個人情報の保護と活用についての正しい理解を促し、地域で個人情報の取扱いのルールづくりが進むよう、地域福祉活動推進の視点から作成した指針を活用した出前講座を実施 <4>福祉避難所の確保【再掲】:一般的な避難所での生活が困難な障がい者を受け入れるための福祉避難所を確保(施設自体の安全性やバリアフリー※5化が図られていること、避難スペースや職員の確保などを要件に、障がい者支援施設等と協定を締結) <5>避難情報配信システム:避難情報の入手が困難な方を対象に、事前登録された自宅の固定電話等に音声やFAXで避難勧告等の情報を配信 【関連する施策】 ※災害対策については、地域分野の施策2-4参照 ※1 避難行動要支援者名簿:279ページ参照 ※2 (市・区・校区)社会福祉協議会:277ページ参照 ※3 福祉避難室:279ページ参照 ※4 福祉避難所:279ページ参照 ※5 バリアフリー:279ページ参照 (252ページ) 【基本目標2】 多様性を認め合い、大切にし合うまちづくり 〈現状と課題〉 (1)障がい理解・差別解消の推進(【図表95、96-<1>、96-<2>】) ○障がいのある人もない人も、お互いの人格と個性を尊重し合う共生社会を実現するためには、障がいへの理解は不可欠です。令和元年度(2019年度)に実施した「福岡市障がい児・者実態調査」において、「障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと」について、すべての障がいに共通して「障がいに対する理解を深める」が上位2位以内に挙がっていることから、障がいへの理解を深める取組みを継続的に行う必要があります。 【図表95】障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと  以下は、順位 望むことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(45.0%) 2位 障がいに対する理解を深める(39.1%) 3位 企業で障がい者を積極的に雇用する(23.2%) 4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(18.8%) 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する(9.1%) ○知的障がい者(N=563) 1位 障がいに対する理解を深める(55.4%) 2位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(34.6%) 3位 企業で障がい者を積極的に雇用する(31.5%) 4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(25.2%) 5位 障がい者施設等で作ったものを購入する(15.3%) ○身体・知的障がい児(N=543) 1位 障がいに対する理解を深める(71.6%) 2位 企業で障がい者を積極的に雇用する(49.7%) 3位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(39.6%) 4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(24.1%) 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する(16.4%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 障がいに対する理解を深める(43.7%) 2位 一般企業で働ける(働き続ける)ための支援(29.1%) 3位 企業で障がい者を積極的に雇用する(23.7%) 4位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(22.3%) 5位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(13.1%) ○発達障がい児・者(N=258) 1位 障がいに対する理解を深める(76.0%) 2位 企業で障がい者を積極的に雇用する(54.3%) 3位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(27.5%) 4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(17.4%) 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する(15.1%) ○難病患者(N=661) 1位 障がいに対する理解を深める(44.2%) 2位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる(43.9%) 3位 企業で障がい者を積極的に雇用する(25.6%) 4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする(16.9%) 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する(8.9%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) ○2019年度(令和元年度)に実施した「福岡市障がい児・者実態調査」において、「差別を受けたり、いやな思いをした経験がある」と回答した人の割合は、前回(2016年度〔平成28年度〕)調査に比べいずれも減少しているものの、依然として知的障がい者や、身体・知的障がい児、の障がいで発達障がい児・者では4割前後となっています。 ○障がいを理由とする差別に関する相談等については、福岡市障がい者110番※1や区障がい者基幹相談支援センター※2で実施していますが、2019年(平成31年)1月の「福岡市障がい者差別解消条例」施行後、相談件数は増加傾向にあります。 ※1 福岡市障がい者110番:257ページ参照 ※2 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 (253ページ) ○障がいを理由とする差別が起こる原因として、障がいに関する理解不足による誤解や偏見などが考えられることから、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮※の提供など、「福岡市障がい者差別解消条例」に関する広報・啓発について、市民や事業者へのより効果的な周知方法を検討する必要があります。 ○「福岡市障がい者差別解消条例」において、条例施行から3年経過後に条例の規定について検討し、その検討結果に基づき必要な措置を講じることとしています。 【図表96-<1>】差別を受けたり嫌な思いをした経験 グラフ  以下は、障がいの種別 嫌な思いをした経験がある ない 無回答の割合の順。 身体障がい者(回答数:760) 13.6 77.4 8.9 知的障がい者(回答数:563) 37.8 54.5 7.7 身体・知的障がい児(回答数:543) 44.4 53.2 2.4 精神障がい者(通院)(回答数:701) 24.4 55.9 19.7 発達障がい児・者(回答数:258) 46.1 51.6 2.3 難病患者(回答数:661) 12.4 83.1 4.5 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) 【図表96-<2>】差別を受けたり嫌な思いをした経験 グラフ  以下は、障がいの種別 嫌な思いをした経験がある ない 無回答の割合の順。 身体障がい者(回答数:849) 20.6 69.9 9.6 知的障がい者(回答数:474) 56.3 34.4 9.2 身体・知的障がい児(回答数:455) 61.5 35.4 3.1 精神障がい者(通院)(回答数:1038) 33.2 60.8 6.0 発達障がい児・者(回答数:309) 63.8 30.7 5.5 難病患者(回答数:504) 17.7 76.0 6.3 出典:「平成28年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) ※合理的配慮:276ページ参照 (254ページ) (2)権利擁護※・虐待防止の推進(【図表38(再掲)】) ○障がいのある人は、家庭内、学校、職場など、日常生活の様々な場面で権利を損なわれやすい状況にあります。特に、知的障がい、精神障がいなどは、その障がいの特性から、意思表示能力が十分ではありません。誤解や偏見も生じやすいため、本人の意図しない状況になってしまったり、被害に遭ってもその状況を周囲に伝えられなかったりすることもあります。 ○自分で問題を解決することが困難な人に対する支援として、福岡市障がい者110番や区障がい者基幹相談支援センターにおいて相談等を行っています。 ○障がいのある人の人権に関して問題があると思うこととして、すべての障がいに共通して「人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと」や「差別的な言動を受けること」が上位5位以内に挙がっているほか、発達障がい者では「発達障がいの特性から生じる困難さに対し、配慮がなされないこと」の割合が6割弱と高く、1位となっています。 ○知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない人が、日常生活の基本であるお金・財産の管理、医療・介護・福祉などの社会サービスを本人の意思に基づき適切に利用(契約)できる環境を整えていくことが強く求められています。 ※権利擁護:276ページ参照 【図表38】障がい者の人権に関して問題があると思うこと(再掲) 表  以下は、順位 問題があると思うことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと(29.8%) 2位 特にない(28.4%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(17.5%) 4位 差別的な言動を受けること(13.5%) 5位 聴覚や視覚に障がいのある人へ必要な情報を伝える配慮が足らないこと(10.8%) ○知的障がい者(N=563) 1位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(28.0%) 2位 差別的な言動を受けること(27.4%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(19.3%) 4位 特にない(19.1%) 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(15.2%) ○身体・知的障がい児(N=543) 1位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(41.3%) 2位 差別的な言動を受けること(35.5%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(31.3%) 4位 学校の受け入れ体制が不十分なこと(20.4%) 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(17.9%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 差別的な言動を受けること(24.4%) 2位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと(22.5%) 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(22.0%) 4位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(21.8%) 5位 特にない(20.5%) ○発達障がい児・者(N=258) 1位 発達障がいの特性から生じる困難さに対し、配慮がなされないこと(57.8%) 2位 学校における一人ひとりの特性に応じた支援体制が不十分なこと(37.2%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(30.6%) 4位 差別的な言動を受けること(29.5%) 5位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(21.7%) ○難病患者(N=661) 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと(32.1%) 2位 特にない(30.0%) 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと(18.6%) 4位 差別的な言動を受けること(15.0%) 5位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと(12.9%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (255ページ) (3)ユニバーサルデザインの理念※1に基づくまちづくり・情報提供の推進 ○歩道、公園などのハード面のバリアフリー※2化は、バリアフリー基本計画に基づき、概ね順調に進んでいますが、2019年度(令和元年度)に実施した「福岡市障がい児・者実態調査」において、「障がい者の人権に関して問題があると思うこと」について尋ねたところ、身体に障がいのある人及び難病患者の約3割が、「道路の段差や建物の階段など、外出先での不便が多いこと」を挙げており、今後もハード面の整備が必要です。 ○「福岡市障がい児・者実態調査」の「障がい者の人権に関して問題があると思うこと」として、「聴覚や視覚に障がいのある人などへの必要な情報を伝える配慮が足らないこと」についても、視覚・聴覚障がいがある方の約3割前後がそう感じており、必要な情報が必要な人に必ずしも届いていない現状があります。 ○障がいのある人は、障がいの特性により情報を得られる手段・方法が限られる場合があるため、障がいの有無にかかわらず、すべての人が必要な情報を得ることができるよう、手段・方法の選択肢を増やしたり、情報を得る機会を増やしたりすることが求められています。 【施策の方向性】 ○障がいのある人の権利や尊厳を守るため、適切な支援に取り組みます。また、成年後見制度※3の利用が必要な人の早期発見・支援につながる環境づくりを進めます。 ○障がいのある人との交流を通じた障がい理解を促進するための施策に取り組みます。 ○福岡市障がい者差別解消推進会議などにおいて関係者の意見を聞きながら、障がい者差別解消条例の啓発活動に取り組みます。 ○情報提供の手段として、視覚障がい者へは音声コード※4や点字・拡大版、聴覚障がい者へは手話通訳、知的障がい者へはわかりやすい表現を工夫するなど、すべての人が必要な情報を得られるように、ICT(情報通信技術)の活用を含めた情報提供・発信に取り組みます。 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 バリアフリー:279ページ参照 ※3 成年後見制度:277ページ参照 ※4 音声コード:275ページ参照 (256ページ) 施策2-1 障がい理解・差別解消の推進 ○障がいのある人とない人が交流する機会を提供するなど、様々な場面で障がいに関する市民の理解を促進するための取組みを進めます。特に、子どもの頃から、体験学習や障がい当事者との交流を重ねることにより、障がいに関する理解や関心を持てるような環境づくりを進めます。 ○障害者差別解消法施行にあわせ作成した職員対応要領に基づき、障がいを理由とする差別の解消に関し、福岡市職員が率先して取り組みます。 ○合理的配慮※1の不提供などの事案解決に向け、福岡市障がい者110番※2や区障がい者基幹相談支援センターにおいて関係者からの相談等に応じるとともに、事例の分析を行い、「福岡市障がい者差別解消推進会議」において、差別事案の解決に向けて協議します。 ○「福岡市障がい者差別解消条例」の周知・啓発を進めるため、福岡市障がい者差別解消推進会議などを通じて、障がいのある人をはじめとする関係者の意見を聞きながら、効果的な啓発活動に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>障がい者週間記念事業:障がいについて市民の理解と認識を深めるため、「障害者週間(12月3日から9日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 <2>世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間【再掲】:市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障がい啓発週間(4月2日から8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 <3>発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)【再掲】:発達障がいについて、相談や普及啓発、研修などを実施 <4>障がい児地域交流支援事業、地域交流支援コーディネーター派遣事業:障がい児と地域の子どもたちとの交流を積極的に行う団体に対して、交流事業への補助や障がい児への支援について助言するコーディネーターの派遣を実施 <5>ふくせき制度(交流及び共同学習):特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域とのつながりを深めるため、居住する地域の小・中学校に副次的に籍を置き、交流を実施 ※1 合理的配慮:276ページ参照 ※2 福岡市障がい者110番:257ページ参照 (257ページ) <6>精神保健福祉啓発交流事業【再掲】:講演会や作品展等の「ハートメディア」や「ピアサポート※1講座」を実施 <7>精神保健福祉に関する市民講演会:依存症、精神疾患全般に関する市民向け講演会を開催 <8>補助犬啓発事業:小・中学校への出前授業や市民向け啓発イベントなど、補助犬に関する啓発活動を実施 <9>ボランティアセンター<社協>【再掲】:ボランティア活動に関する相談・登録・斡旋、ボランティアの育成、ボランティア活動に関する広報・情報提供等を目的とし、ボランティアセンターを設置 <10>福祉教育:障がいの理解促進のため出前講座などを実施 <11>ときめきプロジェクト:工賃向上と障がい理解の促進のため、障がい者施設商品の商品力・販売力の強化を図るとともに、魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 <12>障がい者社会参加推進センター:障がい理解と障がい者の社会参加促進のため、障がい者による出前福祉体験学習や障がい者差別解消条例の啓発等を行うとともに、障がい者の生活訓練を実施 <13>障がい者差別解消条例施行関連経費:障がい者差別解消条例の趣旨を踏まえ、市民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進 <14>福岡市障がい者110番:障がい者の権利擁護*2や差別解消に係る相談等に対応するための常設相談窓口を設置し、内容に応じて専門相談を行うほか、必要に応じて専門機関との連絡調整、支援などを実施 <15>区障がい者基幹相談支援センター【再掲】:学齢以上の障がい児・者等を対象とする24時間対応の一次相談窓口で、地域の障がい福祉サービス事業所等関係機関との連携を図るなど、地域の体制づくりを実施 ※1 ピアサポート:279ページ参照 ※2 権利擁護:276ページ参照 (258ページ) 施策2-2 権利擁護※1・虐待防止の推進 ○障がいのある人が社会の一員として尊重され、自らの考えに基づいた決定をし、その考えを表明したり、行動したりするための支援のあり方を踏まえながら、福岡市障がい者110番や区障がい者基幹相談支援センターにおいて権利擁護に関する相談等を行います。 ○区障がい者基幹相談支援センターのコーディネーターを対象に権利擁護に関する情報共有や研修等を行いスキルアップに取り組みます。 ○成年後見制度※2の利用が必要な人については、早期から将来を見据えて、制度の周知や利用の促進、地域連携ネットワークづくりに取り組みます。 ○障がい者虐待の防止及び早期発見のための啓発活動に取り組むとともに、虐待の通報・届出受理後は虐待再発防止のために速やかに養護者、施設従事者、使用者及び被虐待者に対し支援を行います。 【現在の主な事業】 <1>成年後見制度利用支援事業【再掲】:判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者等について、市長による成年後見制度利用のための申立てを行い、後見人などによる支援を確保。市長申立て※3において費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 <2>成年後見制度利用促進体制整備【再掲】:権利擁護や意思決定支援が必要な認知症や障がいのある方など、成年後見を必要とする人が制度を利用しやすい社会をつくっていくための取組みの中核となる機関(中核機関)を開設し、成年後見制度利用促進に向けた体制を整備 <3>日常生活自立支援事業<社協>【再掲】:高齢による認知症や精神・知的障がいにより、日常生活上の判断に不安を感じている方の日常金銭管理、福祉サービス利用援助、日常生活支援などを実施 <4>福岡市障がい者110番【再掲】:障がい者の権利擁護や差別解消に係る相談等に対応するための常設相談窓口を設置し、内容に応じて専門相談を行うほか、必要に応じて専門機関との連絡調整、支援などを実施 <5>精神科入院患者の人権確保等:病院実地指導、現地診察などにより病院の適正な管理運営と入院患者の人権確保を図るほか、精神医療審査会において、入院患者などからの退院請求や処遇改善請求の審査を実施 <6>市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)【再掲】:障がい者の虐待防止支援及び地域生活に関する相談支援の中核的機能を一体的にあわせ持ち、障がい者の相談支援体制の充実・強化と区障がい者基幹相談支援センターの支援及び人材育成を実施 <7>区障がい者基幹相談支援センター【再掲】:学齢以上の障がい児・者等を対象とする24時間対応の一次相談窓口で、地域の障がい福祉サービス事業所等関係機関との連携を図るなど、地域の体制づくりを実施 ※1 権利擁護:276ページ参照 ※2 成年後見制度:277ページ参照 ※3 市長申立て:276ページ参照 (259ページ) 【関連する施策】 ※権利擁護への取組みについては、地域分野の施策5-2参照 施策2-3 ユニバーサルデザインの理念※1に基づくまちづくり・情報提供の推進 ○障がいのある人もない人も、すべての人が安全かつ快適に社会参加できるよう、「福岡市バリアフリー※2基本計画」に基づき、誰もが暮らしやすい環境整備を推進します。 ○障がいのある人とのふれあい等の体験活動を通じて、頭で理解するだけでなく、「心のバリアフリー※3」を身につける取組みを推進します。 ○障がい保健福祉施策や会議の情報など、障がいのある人に必要・有益な情報について、点字や拡大版などのほかに、スマートフォンアプリを活用した音声コードなど、情報の伝達手段に配慮して発信します。 ○パソコン・スマートフォンなどが普及している状況から、ホームページを活用した情報提供のさらなる充実を図ります。 ○点訳化や音訳化など、障がいの特性に配慮した手段による情報提供に取り組みます。また、必要な情報が必要な人に届くよう、ICT(情報通信技術)の進展など社会情勢の変化に対応しながら、より効果的な情報提供の手法を検討します。 【現在の主な事業】 <1>ハード面のバリアフリー化:バリアフリー基本計画に基づき、旅客施設、車両、歩道、公園などのバリアフリー化を推進 <2>ソフト面のバリアフリー化:施設の改修等の際、障がいのある人の視点を生かし、よりきめ細かなバリアフリー化を進めるため、「バリアフリーのまちづくりサポーター制度」の活用を促すとともに、出前講座等の機会を捉え、「心のバリアフリー」を推進 <3>障がい保健福祉施策に関する広報:計画の策定や福祉サービスの制度改正に関する内容などについて、冊子やチラシ、福岡市ホームページ、市政だよりなどで周知 <4>障がい保健福祉施策に関する情報提供:毎年、福岡市障がい保健福祉施策に関する事業概要を紹介する冊子「福岡市の障がい福祉ガイド」を作成 <5>市政情報の点字化等【再掲】:市政だよりなどで点字版や音声版等を作成 <6>音声コードの活用:市政情報の提供手段として音声コードの活用を推進 <7>避難情報配信システム【再掲】:避難情報の入手が困難な方を対象に、事前登録された自宅の固定電話等に音声やFAXで避難勧告等の情報を配信 【関連する施策】 ※ユニバーサルデザインの理念による地域づくりについては、地域分野の施策1-3参照 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 バリアフリー:279ページ参照 ※3 心のバリアフリー:276ページ参照 (260ページ) 【基本目標3】誰もがいきいきと暮らせる環境づくり 〈現状と課題〉 (1)就労支援(【図表37(再掲)】) ○就労支援事業における福祉的就労※については、持続的な工賃向上のために短期的な取組みではなく、持続して売上増加を実現する経営が求められますが、商品開発や営業活動、販売促進のノウハウが乏しく、専門家による支援が必要な事業所も多くあります。 〇就労移行支援及び就労継続支援において、在宅でのサービス利用を希望する人にICT(情報通信技術)機器等を活用した支援を行うことが必要です。 ○就労支援として必要なこととして、すべての障がいにおいて「調子の悪いときに休みを取りやすくする」が上位3位以内に挙がっているほか、知的障がい者、発達障がい児・者では、「仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援」を望む割合が高く第1位となっています。 ※福祉的就労:障がい者の自立更生の促進や、生きがいづくりのため、就労継続支援事業所等で働くこと。 【図表37】就労支援として必要なこと(再掲) 表  以下は、順位 必要なことの順。 ○身体障がい者(N=760) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(35.3%) 2位 在宅勤務(29.9%) 3位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(29.4%) 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(23.5%) 5位 工賃(収入)の増加(20.8%) ○知的障がい者(N=563) 1位 仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援(41.7%) 2位 工賃(収入)の増加(37.2%) 3位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(36.6%) 4位 試しにいろいろな仕事(作業)を体験してみること(30.6%) 5位 仕事(作業)の内容の簡略化などの配慮(28.8%) ○精神障がい者(通院)(N=701) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(54.8%) 2位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(44.7%) 3位 工賃(収入)の増加(35.4%) 4位 在宅勤務(31.0%) 5位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(29.8%) ○発達障がい児・者(N=85) 1位 仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援(61.2%) 2位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(57.6%) 3位 発達障がいの特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮(56.5%) 4位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(50.6%) 5位 工賃(収入)の増加(43.5%) ○難病患者(N=661) 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする(54.0%) 2位 短時間勤務などの労働(作業)時間の配慮(41.3%) 3位 在宅勤務(39.8%) 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮(34.5%) 5位 収入の増加(21.5%) 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (261ページ) (2)スポーツ・レクリエーション・文化芸術活動の推進 ○障害者差別解消法の趣旨に則り、各市立障がい者フレンドホーム※1や福岡市立障がい者スポーツセンター※2に限らず、あらゆる場所で障がい者の社会参加が進むような支援を行う必要があります。 (3)移動・外出の支援 ○障がいのある人は、移動の困難さゆえに外出を控えることになりがちです。移動・外出の支援は、障がいのある人が社会参加をする上で必要であり、2020年度(令和2年度)に共働き世帯における障がい児の通学時利用やグループホーム※3入居者の移動支援の利用を拡充するなどし、要件を緩和したところです。 ○行動援護事業所※4の開設を働きかけていますが、居宅介護に比べ資格要件が厳しいなどの理由もあり、事業所の数が増えていません。 ○移動・外出の支援の一環として、公共交通機関運賃や福祉タクシー料金など、移動にかかる費用の一部を助成しており、障がいのある人の社会参加をする一助となっており、利用者からのニーズも高くなっています。 【施策の方向性】 ○障がい者施設商品の商品力の向上や販売力の強化、市民への情報発信を目的とした様々な取組みを行い、それらを地域社会全体での取組みとすることで、障がい者施設の工賃向上を支援します。 〇就労移行支援及び就労継続支援において、新たな生活様式の定着を見据え、ICT(情報通信技術)機器等を活用し、在宅でのサービス利用を促進します。 ○障がいの有無にかかわらず、就労や余暇活動など、自分らしい生活をいきいきと送れるようサービスの充実を図るとともに、障がいのある人が地域で活躍する機会を確保するなど、障がいのある人の社会参加を促進します。 ○障がいのある人の外出の機会の確保を図るため、社会情勢の変化や利用者のニーズ、国の動向を踏まえながら移動・外出サービスの充実を図ります。 ※1 市立障がい者フレンドホーム:263ページ参照 ※2 福岡市立障がい者スポーツセンター:264ページ参照 ※3 グループホーム:241ページ参照 ※4 行動援護事業所:行動に著しく困難を有し常時介護を要する知的・精神障がい児・者が外出する際に、必要な援助を実施する事業所。 (262ページ) 施策3-1 就労支援 ○障がい者就労支援センターと民間の就労移行支援事業所等、ハローワークなどとの連携を図り、障がいのある人の雇用に対する理解促進や、企業とのマッチング、一般就労後の定着の促進などの支援を行います。 ○障がい者就労支援センターを中心に、関係機関と連携しながら、就労移行支援事業所のスキルアップや企業の開拓を進めます。 〇就労移行支援及び就労継続支援において、テレビ電話やパソコンなどのICT(情報通信技術)機器等を活用した就労機会の拡大が進むように、取り組み事例の紹介や制度の周知を図ります。 ○精神・発達障がい者等への支援の充実を図るなど、社会情勢や雇用情勢の変化に応じた柔軟な施策の実施を図ります。 〇企業側に障がいへの理解及び障がい者に対する偏見をなくすための啓発や適切な支援を行うための研修などを実施します。 ○障がいのある人を雇用する企業へのサポート体制を構築し、障がいのある人も企業も安心して働くことのできる環境整備を実施します。 ○障がい者施設商品やその生産活動等を紹介するホームページ「ときめきウェブ※1」において、障がい者施設の諸活動を広く紹介し、売上げの向上及び工賃の向上を支援します。 ○障がい者施設商品のアンテナショップとして「ときめきショップ※2」を設置し、売上げの向上及び工賃の向上を支援します。 ○ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業において、障がい者施設商品の情報を整理集約し、発注側(福岡市・企業など)に提供するとともに、大量受注が可能となるようコーディネートすることにより、受注・発注の機会拡大を図ります。 【現在の主な事業】 <1>障がい者就労支援センター:障がい者の就労促進のため、関係機関などのネットワークの中心となり、障がい者や企業、民間就労支援事業所に対する総合的支援を実施 <2>発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備【再掲】:発達障がい者支援と障がい者就労支援を一体的に行うとともに、障がい者の社会参加場として中央フレンドホームの複合施設の整備を実施 <3>障がい者インターンシップ事業:市庁舎や区役所等を障がい者の職場実習の場として提供 <4>就労移行支援:一般企業等への就労を希望する障がい者に、一定期間、就労に必要な知識及び能力向上のために必要な訓練・求職活動の支援を実施 <5>就労定着支援:就労移行支援等を利用し、一般企業等に就職した障がい者の就労継続を図るため、就労に伴い生じた生活面での課題解決などの支援を実施 ※1 ときめきウェブ:263ページ参照 ※2 ときめきショップ:263ページ参照 (263ページ) <6>就労継続支援A型:一般企業等での就労が困難な障がい者に、雇用契約に基づく働く場を提供するとともに、知識及び能力向上のために必要な訓練・支援を実施 <7>就労継続支援B型:一般企業等での就労が困難な障がい者に、働く場を提供するとともに知識及び能力向上のために必要な訓練・支援を実施(A型での雇用が困難な人が対象) <8>特別支援学校卒業生の就労促進:生徒の自立と社会参加を進めるため、学校、企業関係者、行政、学識経験者、保護者などで構成する特別支援学校高等部就労促進ネットワーク(夢ふくおかネットワーク)において、関係団体・機関などとの連携を図り、生徒の自立と社会参加を進め、企業などへの就労を促進 <9>ときめきプロジェクト【再掲】:工賃向上と障がい理解の促進のため、障がい者施設商品の商品力・販売力の強化を図るとともに、魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 <10>ときめきウェブ:障がい者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介するときめきウェブの運用管理、登録施設の追加などを実施 <11>ときめきショップ:常設店舗「ときめきショップ」を設置し、施設商品販売促進・情報提供を実施 <12>ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業:障がい者施設商品の情報を整理・集約して発注側(福岡市・企業など)に提供するとともに、施設と企業などをつなぐコーディネートを実施 施策3-2 スポーツ・レクリエーション・文化芸術活動の推進 ○障がい種別や状況に応じた社会適応訓練を実施するとともに、ICT機器の操作に不慣れな人に対し、スマートフォンやタブレットなどを活用できる取り組みを進めるなど障がい者の社会参加の促進を図ります。 ○相互理解をもたらす文化芸術活動等を通じ、障がい者の社会参加を促進するとともに、自らの生きがいを高め、豊かな日常生活を送れるよう支援します。 ○社会情勢やニーズの変化に対応しつつ、障がいのある人の健康増進及び障がい理解促進のため、関係団体と連携してスポーツ・レクリエーション・文化芸術活動の振興を図ります。 ○障がい者の文化芸術活動や社会参加を促進するため、中央障がい者フレンドホームの整備を進めます。 【現在の主な事業】 <1>社会適応訓練:音声機能障がい者に対する発声訓練や、ストマ用具装着者に対するストマ用具の使用法の指導や相談を実施 <2>障がい者社会参加推進センター【再掲】:障がい理解と障がい者の社会参加促進のため、障がい者による出前福祉体験学習や障がい者差別解消条例の啓発等を行うとともに、障がい者の生活訓練を実施 <3>在宅重度障がい者レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の重度身体障がい者に外出の場や他の参加者との交流の場を提供 (264ページ) <4>在宅重度障がい児親子レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の障がい児と保護者を対象に野外活動の機会を提供 <5>福岡市立点字図書館:点字図書、録音図書、CD図書の郵送貸出や、点訳・音訳・朗読ボランティアの育成・指導・活動援助 <6>市立障がい者フレンドホーム:文化教室(絵画・陶芸・スマートフォンなど)、更生相談、研修室提供を実施(市内に6カ所設置) <7>発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備【再掲】:発達障がい者支援と障がい者就労支援を一体的に行うとともに、障がい者の社会参加場として中央フレンドホームの複合施設の整備を実施 <8>福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)【再掲】:市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し、相互に助け合い、支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として、市民福祉の総合センターを設置・運営 <9>福岡市立障がい者スポーツセンター(さん・さんプラザ):水泳・バスケットボール・卓球・トレーニングなどの各種スポーツ教室実施、障がい者スポーツの指導者講習会、スポーツ医事相談対応及び情報提供 <10>福祉バス【再掲】:高齢者、障がい者団体等の研修会、レクリエーション等の活動を促進するため、貸切バスの利用料の一部を助成 <11>福岡市障がい者スポーツ大会:市内居住の障がい者の機能回復・健康増進・交流等を図るスポーツ・レクリエーション大会の開催 <12>全国障害者スポーツ大会:毎年秋に開催される全国障害者スポーツ大会へ福岡市選手団を派遣 <13>障がい者ボウリング大会:障がい者スポーツ・レクリエーションの一層の推進のため、福岡都市圏障がい者ボウリング大会を実施 <14>社会参加促進事業:NPO・大学等と連携し、障がい者等による文化芸術活動の支援や特別支援学校へのアーティスト派遣等を実施 (265ページ) 施策3-3 移動・外出の支援 ○移動支援については、国の制度の動向に留意するとともに、必要な財政負担も考慮しながら、より一層利用しやすいものとなるよう制度のあり方を検討します。 ○引き続き、重度障がい者に対して、公共交通機関を利用する際の運賃の一部を助成します。 【現在の主な事業】 <1>同行援護:視覚障がいのため移動に著しい困難を有する障がい児・者が外出する際に、必要な援助を実施 <2>行動援護:行動に著しく困難を有し常時介護を要する知的・精神障がい児・者が外出する際に、必要な援助を実施 <3>移動支援:一人での外出が困難な障がい児・者が外出する際に、必要な援助を実施 <4>自動車改造費の助成:障がい者が、就労などに伴い、自らが使用する自動車を改造する際に要する経費を助成 <5>自動車運転免許取得の助成:自動車運転免許の取得に要する費用の一部を助成 <6>公共交通機関費用助成:重度障がい者などに対し、公共交通機関の運賃を助成 <7>福祉タクシー料金の助成:在宅の重度障がい者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成 <8>移送サービス【再掲】:寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な障がい者に、寝台タクシー料金の一部を助成 <9>福祉有償運送※【再掲】:NPO団体等が実施する福祉有償運送について、運送運営協議会を主宰するとともに、相談や実施団体への助言、指導、ボランティア運転手の養成支援などを実施 ※福祉有償運送:279ページ参照 (266ページ) 【基本目標4】子どもの健やかな成長 〈現状と課題〉 (1)早期発見・早期支援(【図表97】) ○障がいのある子どもについては、「発達が気になる」など、障がいの疑いが生じた段階から、早期の対応、支援を行っていくことが重要です。 ○障がい児の保護者の障がいの診断・判定を受けた頃の苦労、悩み、不安として、「障がいのことや福祉の制度についての情報が少なかった」が最も多く、次いで「身近に相談できる相手がいなかった」「保健所や福祉事務所、専門機関でもっと指導してほしかった」「相談機関がわからなかった」などとなっており、障がいのある子どもをもつ保護者のニーズに対応した相談支援や情報提供が求められています。 【図表97】障がいの診断・判定を受けた頃の苦労、悩み、不安(身体・知的障がい児) グラフ  回答数:543(複数回答)  以下は、項目 割合の順。 障がいのことや福祉の制度についての情報が少なかった 55.6 身近に相談できる相手がいなかった 29.5 保健所や福祉事務所、あるいは病院などの専門機関でもっと指導してほしかった 23.2 相談機関がわからなかった 22.8 子どもの介護・介助の手助けがほしかった 21.4 家族が働いているため、仕事上に問題が生じた 19.3 適切な療育施設がほしかった 17.5 適切な医療機関がほしかった 9.6 医療費に悩んだ 5.5 その他 13.8 特にない 9.2 無回答 2.9 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (267ページ) (2)療育・支援体制の充実強化(【図表98】) ○療育センター等における新規受診児数が引き続き増加しており、特に発達障がい児の新規受診や相談の増加が顕著であることから、相談・診断・療育機能について早急に充実を図る必要があります。 ○障がいのある児童生徒数の増加や放課後等デイサービス利用者数の大幅な増加がみられ、障がいのある子どもの学校における支援や、放課後や休日の支援ニーズに対する施策の充実、支援の質の向上などが求められています。 【図表98】通園・通学先に望むこと(身体・知的障がい児) グラフ  回答数:524(複数回答)  以下は、項目 割合の順。 能力や障がいの状況にあった支援をしてほしい 43.1 個別的な支援を充実してほしい 36.5 就学相談や進路相談などの相談体制を充実してほしい 32.6 関係機関などと連携を密にしてほしい 30.7 施設・設備・教材を充実してほしい 21.8 通常の学級での学習や交流の機会を増やしてほしい 12.2 その他 8.2 特にない 18.9 無回答 5.0 出典:「令和元年度福岡市障がい児・者等実態調査」(福岡市) (3)発達障がい児への支援 ○発達障がい児・者への支援については、発達障がいへの理解が進んでいないことや、一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより、精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されています。(再掲) (4)特別支援教育※の推進 ○特別支援教育を必要とする児童生徒数の増加やニーズの多様化を踏まえ、個に応じた支援の充実、就労へ向けた力を身につける職業体験の確保など自らの可能性を追求できる環境の整備などが求められています。 ※特別支援教育:278ページ参照 (268ページ) 【施策の方向性】 ○障がいの早期発見と早期支援、そして“ノーマライゼーション※1”の理念のもとに、一人ひとりの自立をめざした支援・療育体制の充実に取り組みます。 ○関係部局や障がい福祉サービス事業所等が連携し、障がいのある子どもの福祉の向上や自立に向けた訓練等に関する相談や利用支援を行うとともに、放課後や休日の支援ニーズに対応できるよう、放課後等における支援の充実や質の向上を図ります。 ○発達障がい児の新規受診や相談の増加に対応できるよう、発達障がい児とその家族への支援の充実に取り組みます。 ○学校においては本人や保護者との合意形成のもと、合理的配慮※2の提供に努めるとともに、関係機関と連携した十分な情報共有のもと、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援の充実に取り組みます。 ※1 ノーマライゼーション:278ページ参照 ※2 合理的配慮:276ページ参照 (269ページ) 施策4-1 早期発見・早期支援 ○医療機関や乳幼児健康診査などの受診時に、「障がいの疑いがある」とされた場合に、専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い、障がいの早期発見に取り組みます。 ○区役所(保健福祉センター)や心身障がい福祉センター、療育センター、こども総合相談センターが連携しながら、“発達が気になった”段階から、家族も含めた支援に取り組むとともに、進学等のライフステージの変化にあわせ、保健・医療・教育・その他専門機関と協力しながら、切れ目のない支援に取り組みます。 【現在の主な事業】 <1>障がいの専門機関などの連携による早期発見・早期支援:乳幼児が、健診などを通じ、障がいの疑いがあると判断された場合は、総合的機関である心身障がい福祉センターや療育センターで発達状況などの医学的診断などを行い、適切な療育を実施 <2>こども総合相談センター:子どもに関する様々な問題に対して、保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を実施 <3>発達教育センター【再掲】:障がいのある子どもたちの就学相談や教育相談などを実施 <4>心身障がい福祉センター、東部・西部療育センター【再掲】:障がい児(未就学児)の相談・診断・療育支援などを実施 施策4-2 療育・支援体制の充実強化 ○障がいの重度・重複化や発達障がいの増加に対応するため、障がいのある子どもが知的障がい・肢体不自由などの障がいの種別にかかわらず、身近な地域で相談や訓練を受けることができるよう、児童発達支援などの支援体制を充実強化します。 ○療育センター等の新規受診児数の増加等に対応するため、南部療育センター(仮称)の整備を行います。 ○通園が困難な重症心身障がい児などに対する訪問療育を行うとともに、障がい児が通う保育所、幼稚園、認定こども園などへの支援や、障がい児施設などでの日帰りの一時支援や預かり時間の延長などにより、障がい児とその家族を地域で育む環境づくりを進めます。 ○就学している障がい児に対し、放課後や長期休暇に生活能力向上のための訓練などを行う放課後等デイサービスの充実と質の向上に取り組みます。 ○特別支援学校に通学する障がい児に放課後などの活動の場を提供する特別支援学校放課後等支援事業を全校で実施します。 (270ページ) ○障がいの有無にかかわらず互いに学び合う教育環境を実現するため、ふくせき制度※1や交流及び共同学習への取組み、特別支援学校に加えて小中学校における医療的ケア※2の実施など、インクルーシブ教育※3の充実を図ります。 【現在の主な事業】 <1>児童発達支援センター:就学前の知的障がい児・肢体不自由児などを対象に、通園による訓練・保育などの療育を実施 <2>放課後等デイサービス:学校通学中の障がい児に対して、放課後や長期休暇において、生活能力向上のための訓練などを継続的に提供することにより、学校教育と相まって障がい児の自立を促進するとともに、放課後などの居場所づくりを推進 <3>保育所等訪問支援事業:保育所などの安定した利用を促進するため、保育所などを利用中の障がい児や今後利用する予定の障がい児に対して、障がい児支援の経験を有する職員が訪問し、保育所などにおける集団生活適応のための専門的な支援を提供 <4>居宅訪問型児童発達支援:児童発達支援等を受けるために外出することが著しく困難な障がい児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他必要な支援を実施 <5>障がい児入所施設:障がい児を家庭で養育できないとき、入所させて保護し、必要な支援を実施 <6>障がい児等療育支援事業:外来療育、訪問療育、保育所・幼稚園などへの支援を実施 <7>特別支援保育(さぽーと保育)事業:保育施設において特別な支援を必要とする児童(障がい児や医療的ケア児など)と他の児童との日常的な交流による両者の健全な成長発達及び豊かな人間性の育成を推進し、もって児童福祉の増進を図る。また、特別な支援を行うための加配保育士等や医療的ケアを実施するための看護師等の雇用費を助成するとともに、専門機関による訪問、助言、研修などの支援を実施 <8>特別支援学校放課後等支援事業:特別支援学校内にて、放課後などの児童・生徒の活動の場の提供と、保護者の就労及びレスパイト※4支援を実施 <9>療育訓練:在宅の脳性マヒなどの心身障がい児への宿泊型のリハビリ訓練を実施 ※1 ふくせき制度:256ページ参照 ※2 医療的ケア:275ページ参照 ※3 インクルーシブ教育:275ページ参照 ※4 レスパイト:280ページ参照 (271ページ) 施策4-3 発達障がい児への支援 ○発達障がい者支援センターを中心に、区障がい者基幹相談支援センター※1など各関係機関との連携を図り、発達障がいがある子どもとその家族に対して、乳幼児期から成人期までのライフステージを通じた一貫した支援に取り組むなど支援体制の強化を図ります。 ○発達障がい者支援センターにおいて、支援者の養成や巡回相談などに取り組むとともに、保護者向け講座の開催や子育てサロン等へのペアレントメンター※2の派遣など、保護者支援に取り組みます。 ○専門家や団体、事業者、保健・教育・福祉関係者等で構成する発達障がい者支援地域協議会などを通じて、関係機関・団体の連携を強化し、支援体制の充実を図ります。 ○発達障がいの理解促進のため、啓発活動や市民向け講座を実施します。 【現在の主な事業】 <1>発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)【再掲】:発達障がいについて、相談や普及啓発、研修などを実施 <2>世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間【再掲】:市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障がい啓発週間(4月2日から8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 <3>発達障がい支援者向け研修【再掲】:自閉症スペクトラム※3の方の支援者を対象に、障がいの特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 <4>ペアレントメンター養成研修【再掲】:発達障がいの子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的支援を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 <5>発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備【再掲】:発達障がい者支援と障がい者就労支援を一体的に行う施設の整備を行うとともに、発達障がい者の子どもから大人までの一貫した支援体制の検討 【関連する施策】 ※発達障がい児・者の支援については、障がい者分野の施策1-4参照 ※1 区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 ※2 ペアレントメンター:279ページ参照 ※3 自閉症スペクトラム:276ページ参照 (272ページ) 施策4-4 特別支援教育※1の推進 ○特別支援学校によるセンター的機能の取組みや、各区の特別支援教育コーディネーター※2による特別支援教育連携協議会を中心に、各校種(小・中学校、高等学校、特別支援学校等)における組織的な支援体制の構築に取り組みます。 ○保護者、関係機関と連携して作成する個別の教育支援計画と個別の指導計画を活用し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた教育や、卒業後の将来を見据えた専門的かつ連続性のある支援・指導の充実などに取り組みます。 ○障がいの有無にかかわらず互いに学び合う教育環境を実現するため、ふくせき制度や交流及び共同学習への取組みなど、インクルーシブ教育※3の充実を図ります。 ○児童生徒が安心して学ぶことができるように学校看護師による医療的ケア※4を実施し、教育機会の確保や保護者の負担軽減を図ります。 【現在の主な事業】 <1>特別支援学級の設置:小・中学校において、知的障がい、自閉症、情緒障がい、肢体不自由、聴覚障がい、視覚障がい、病弱等、障がいのある児童生徒の学びの場を、児童生徒の実態や学校の状況等を踏まえ、適切に設置 <2>通級指導教室の設置:通常の学級に在籍する聴覚障がい、言語障がい、自閉症又はそれに類する障がいのある児童生徒の学びの場の設置 <3>ふくせき制度(交流及び共同学習)【再掲】:特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域とのつながりを深めるため、居住する地域の小・中学校に副次的に籍を置き、交流を実施 <4>小・中学校における医療的ケアの実施:特別支援学校に加え、小・中学校にも学校看護師及び学校指導医を配置し、医療的ケアを支援する学校体制の整備・運営 <5>特別支援学校卒業生の就労促進【再掲】:生徒の自立と社会参加を進めるため、学校、企業関係者、行政、学識経験者、保護者などで構成する特別支援学校高等部就労促進ネットワーク(夢ふくおかネットワーク)において、関係団体・機関などとの連携を図り、生徒の自立と社会参加を進め、企業などへの就労を促進 <6>発達教育センターによる相談・支援:児童生徒の障がいの状態及び適正等を的確に把握し、学校教育などについて保護者や教職員などを対象に教育相談を実施。また、障がいのある児童生徒の就学について専門的な立場から就学相談を実施 ※1 特別支援教育:278ページ参照 ※2 特別支援教育コーディネーター:学校における特別支援教育の推進のため、校内の教員から選出し、主に校内委員会、校内研修の企画・運営、関係諸機関との連絡・調整、保護者からの相談の窓口など、学校におけるコーディネーター的な役割を担う人。 ※3 インクルーシブ教育:275ページ参照 ※4 医療的ケア:275ページ参照 (273ページ) 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために、次の項目を成果指標とします。 〈成果指標〉 ○基本目標1 安心して地域で暮らせる基盤づくり <1>まちの暮らしやすさ(「障がいのある人が暮らしやすいまち」だと回答した人の割合)  現状値:42.3%(推計)(令和元年度)  目標値:50.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 <2>障がい福祉サービスの利用者数  現状値:12630人(令和元年度)  目標値:17420人(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <3>共同生活援助の月間利用人数  現状値:1136人(令和元年度)  目標値:1920人(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <4>相談支援体制の充実・強化(区障がい者基幹相談支援センター※が地域の相談支援事業者等へ専門的指導・助言・連携強化の取り組みを行った件数)  現状値:716件(令和元年度)  目標値:800件(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ <5>災害時の安心度(「災害時に頼れる人がいる」もしくは「頼る必要がない」と回答した人の割合)  現状値:78.9%(推計)(令和元年度)  目標値:85.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 ○基本目標2 多様性を認め合い、大切にし合うまちづくり <1>障がいを理由とする差別を受けた経験がない人の割合(「ここ2から3年の間に、障がいがあるため、差別を受けたりいやな思いをしたこと」について「ない」と回答した人の割合)  現状値:66.7%(令和元年度)  目標値:70.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 <2>コミュニケーションのとりやすさ(「コミュニケーションで困っていることの有無」について「ない」と回答した人の割合)  現状値:54.0%(令和元年度)  目標値:65.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 ※区障がい者基幹相談支援センター:117ページ参照 (274ページ) <3>ユニバーサルデザインの理念※1に基づくまちづくりや、バリアフリー※2の進捗度(「ここ2から3年の間に、福岡市は、安全・安心のための社会環境整備が進んでいる」と回答した人の割合)  現状値:32.6%(推計)(令和元年度)  目標値:40.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 ○基本目標3 誰もがいきいきと暮らせる環境づくり <1>外出のしやすさ(「外出時に不便や困難が特にない」と回答した人の割合)  現状値:20.8%(令和元年度)  目標値:25.0%(令和7年度)  出典:障がい児・者等実態調査 <2>障がい福祉サービスを通じた一般就労への移行者数  現状値:463人(令和元年度)  目標値:749人(令和8年度)  出典:保健福祉局調べ ○基本目標4 子どもの健やかな成長 <1>専門的かつ連続性のある指導・支援の展開(「個別の教育支援計画及び個別の指導計画に沿った支援が行われるとともに、適切に引継ぎができているか」の設問に対し、「はい」と回答した割合)  現状値:87.5%(令和元年度)  目標値:95.0%(令和6年度)  出典:第2次福岡市教育振興基本計画 <2>療育センター等における支援件数  現状値:88335件(令和元年度)  目標値:100000件(令和8年度)  出典:こども未来局調べ <3>発達障がい児に関する相談実人数  現状値:2024人(令和元年度)  目標値:2724人(令和8年度)  出典:こども未来局・保健福祉局調べ <4>専門的かつ連続性のある指導・支援の展開(知的障がい特別支援学校高等部3年生で就労を希望している生徒(5月時点)の卒業時の就労率)  現状値:96.4%(令和元年度)  目標値:100%(令和6年度)  出典:第2次福岡市教育振興基本計画 <5>チームとしての組織的な支援体制の充実(「校内支援委員会で具体的な支援方法が決定されているか」の設問に対し、「はい」と回答した割合)  現状値:84.5%(令和元年度)  目標値:95.0%(令和6年度)  出典:第2次福岡市教育振興基本計画 ※1 ユニバーサルデザインの理念:280ページ参照 ※2 バリアフリー:279ページ参照 参考資料 (275ページ) <用語説明> BMI:Body Mass Index(体格指数)の略称。肥満度を指す国際的な指標。「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で算出される。日本肥満学会の定めた基準では、18.5未満が「やせ」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」に分類される。 CSR:Corporate social responsibilityの略称。利益の追求だけでなく、環境への配慮、地域社会への貢献を行うなど、企業の果たすべき社会的責任をいう。 DOTS:Directly Observed Treatment Short Course(直接服薬確認療法)の略称。確実な服薬のため、服薬支援者が患者の服用を確認する行為のこと。 HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略称。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。 HIV:Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)の略称。エイズ発症の原因ウイルスのこと。 IoT:Internet of Thingsの略称。「様々な物がインターネットにつながること」「インターネットにつながる様々な物」を指す。 SDGs:Sustainable Development Goalsの略称。「誰一人取り残さない」社会の実現をめざして、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むために、2015年(平成27年)の国連サミットで採択された国際社会全体の持続可能な開発目標のこと。 アウトリーチ:地域に出向いて課題を把握し、解決に向けて取り組むこと。 アラカン:アラウンド還暦の略称。退職などで生活スタイルの大きな転換が見込まれる60歳前後世代のこと。 一般防疫:感染症一般について行う、発生や流行の予防活動のこと。 医療依存(度):バイタルサイン(脈、呼吸、体温、血圧、意識レベル)の測定や経管栄養、人工呼吸器の管理などの医療的ケアを常時必要とするなど、生命の維持に医療が欠かせない状態の度合い。 医療的ケア:一般的に学校や在宅等で日常的に行われている、たんの吸引、経管栄養、気管切開部の衛生管理等の医療行為を指す。 インクルーシブ教育:障がいのある子どもが、その能力や可能性を最大限に伸ばし、地域社会の一員として豊かに生きることができるように、障がいのある人と障がいのない人が共に学ぶこと。インクルーシブ教育は、その仕組みのこと。 衛生連合会:地域における健康づくり活動等を推進することにより、健康で文化的な市民生活の増進に寄与することを目的とした団体。市・各区・各校区衛生連合会で構成され、市・区衛生連合会は地域の健康づくり活動の支援、校区衛生連合会は自治協議会の構成団体として健康づくりを中心とした地域活動を担う。 親なき後:本計画では、親が亡くなった場合に加え、障がいのある人を介護している親や家族が病気になるなどで、介護を継続することができなくなった状態を指す。 音声コード:印刷物の文字情報をコードに変換し、それをスマートフォンアプリで読み取ることにより、印刷物の内容が音声で読み上げられる機能。 オンライン診療:医師・患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムで行うこと。 (276ページ) 介護人材:本計画では、介護に関係する業務に従事する人のことを指す。 介護予防・日常生活支援総合事業:高齢者が要介護状態等となることを予防するとともに、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援する事業。具体的には、介護予防教室や要支援者等への訪問サービス・通所サービス等がある。 核家族:夫婦とその結婚していない子どもだけの世帯、夫婦のみの世帯や父親又は母親とその結婚していない子どもだけの世帯のこと。 還流:本計画では、福岡市で活躍する外国人人材が帰国後も活躍することを指す。 共創:自治協議会と市がパートナーとして、企業や商店街、NPO、大学などの様々な主体と地域の未来を共に創り出すこと。 共働:複数の主体が、目標を共有し共に力を合わせて活動すること。 強度行動障がい:直接的な他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的な他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が「通常考えられない頻度と形式で出現している状態」を指す。かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態。 健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。 権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人(例:寝たきりの高齢者、認知症高齢者、障がいのある人等)の立場に立って、代弁し主張すること、権利行使ができるよう支援すること。 合理的配慮:障がいのある人が受ける日常生活や社会生活での様々な制限の原因となる社会的障壁を取り除くために、障がいのある人に対し、個別の状況に応じて行われる配慮。 心のバリアフリー:年齢、性別や国籍、障がいの有無等を問わず、だれもが一緒に気持ちよく暮らしていけるよう、一人ひとりが相手の気持ちになって考え、助け合うこと。 在宅医療:通院が困難な場合等に、医師や看護師等の医療従事者が患者の自宅等に訪問し、医療サービスを提供すること。 支える側:一人ひとりができる範囲で地域活動や社会活動に参加するだけでなく、創業したり就業したりと、様々な形で社会参加すること。 ジェネリック医薬品:新薬の特許が切れた後に製造販売される、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果を持つ医薬品のこと。 自主防災組織:「自分たちの地域は自分で守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成する組織であり、災害による被害を予防し、軽減するための活動を行う組織。 自治協議会:おおむね小学校区を単位として、防犯・防災、子ども、環境、福祉など様々な事柄について話し合いながら、校区を運営する自治組織。 市長申立て:成年後見制度の利用が必要な状況であるにも関わらず、本人や家族共に申立てを行うことが難しい場合など、特に必要があるときに市長が申し立てを行うもの。 自閉症スペクトラム:自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障がいが含まれる。(スペクトラムとは「連続体」の意)。典型的には、相互的な対人関係の障がい、コミュニケーションの障がい、興味や行動の偏り(こだわり)の3つの特徴が現れる。 (277ページ) 市民後見人:親族以外の市民による後見人のこと。弁護士などの専門職後見人と同様に家庭裁判所が選任し、判断能力が十分でない人の金銭管理や日常生活における契約など本人を代理して行う。 社会資源:社会的ニーズを充足する様々な物資や人材のこと。 社会的孤立:家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態。 社会的障壁:障がいがある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。 (市・区・校区)社会福祉協議会:社会福祉法に基づく、地域住民及び公私の福祉機関、団体などにより構成された、「公共性」「自主性」をもった民間福祉団体。全国、都道府県・政令指定都市、市町村にそれぞれ設置されている。 社会福祉連携推進法人:社会福祉法人間で連携することを目的として設立される法人。社会福祉法人の経営基盤の強化を図るとともに、複雑化・複合化した福祉ニーズに対応するため、地域共生社会の実現に資する業務や災害対応、福祉人材の確保や人材育成、設備、物資の共同購入などを行う。 若年性認知症:65歳未満で発症する認知症。 終活:元気なうちから人生の最終段階までの過ごし方について自ら考え、準備すること。 周産期医療:妊娠後期から出産までの母体と、その子ども(新生児早期)に対する総合的な医療のこと。産科と小児科による一貫した医療提供体制が必要となる。 小児慢性特定疾病:児童又は児童以外の満20歳に満たない者が当該疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれのあるものであって、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が定めるもの。 自立訓練:一定期間、障がい者に身体機能や生活能力向上のための必要な訓練を行う障がい福祉サービス。 新興感染症:新しく認識された感染症で、局地的に、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症のこと。 生活支援コーディネーター:高齢者の地域において、生活支援・介護予防活動の充実に向けたコーディネート機能(主に資源開発やネットワーク構築の機能)を果たす人。 生活支援サービス:介護保険の円滑な実施を促進するために設けられた、在宅の高齢者が自立した生活ができるように支援するために、市町村が行う保健福祉サービスの一つ。 生活習慣病:食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称。 成年後見制度:認知症等のために判断能力が不十分であると家庭裁判所が認めた場合に、成年後見人などが財産管理等を行い、本人を保護・支援するもの。 ダブルケア:1人の人や1つの世帯が同時期に介護と育児の両方に直面すること。 地域医療支援病院:地域医療の確保を図るため、かかりつけ医等からの紹介患者に対する医療の提供、救急医療の提供等の役割を担う病院のこと。 地域カフェ:一般的な営利目的のカフェと異なり、地域の中の「居場所」「たまり場」として、人と人が交流することを目的に実施されているもの。 地域共生社会:年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず地域で暮らすすべての人が住み慣れた地域で安心して暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会。 (278ページ) 地域生活支援拠点等:障がい児・者の高齢化・重度化や「親なき後」を見据え、障がい児・者が地域生活を継続するために必要な5つの機能(<1>相談、<2>緊急時の受け入れ・対応、<3>体験の機会・場、<4>専門的人材の確保・養成、<5>地域の体制づくり)を確保した、障がい児・者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制。 地域福祉活動計画:地域社会を構成するすべての人々が、地域における様々な課題や問題を解決し、福祉のまちづくりを進めるための行動計画。社会福祉協議会にて策定する。 地域福祉ソーシャルワーカー:地域福祉活動に携わる者・団体への支援、孤立者などへの個別支援、地域福祉課題の分析などに取り組むために、配置された専任職員。 地域包括ケアシステム:誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制。 地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか):高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができるように、健康や福祉、介護などに関する相談を受けたり、その人の身体状況に最も適したアドバイスを行うなど、必要な支援を包括的に担う機関。福岡市では、おおむね中学校区ごとに57か所・2支所設置している。(平成27年12月現在) 地域密着型サービス:地域に密着して、認知症や一人暮らしの高齢者の増加を踏まえ、高齢者が住み慣れた地域での生活を継続できるように支援する比較的小規模なサービス。 地方独立行政法人:住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施される必要のある事務・事業のうち、地方公共団体自身が直接実施する必要はないものの、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的・効果的に行わせるため、地方公共団体が設立する法人のこと。 島しょ診療所:島の診療所のこと。福岡市では玄界島、能古島、小呂島に診療所を設置している。 特別支援教育:障がいのある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援するという視点に立ち、幼児・児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの。 入所・居住系サービス:日常生活に必要なサービスや介護保険サービスを受けることができる高齢者向けの住まいのこと。 認知症カフェ:認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いを理解し合う場。 認知症サポーター:認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者であり、全国で養成されている。 認知症サポート医:地域でかかりつけ医の認知症診断等に関する相談役等の役割を担う医師。 認知症疾患医療センター:認知症の速やかな鑑別診断や、行動・心理症状(BPSD)と身体合併症に対する急性期医療、専門医療相談、関係機関との連携、研修会の開催等を担う医療機関。福岡市では、九州大学病院及び福岡大学病院に設置している。(令和2年10月現在) 年齢調整死亡率:年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整しそろえた死亡率。 ノーマライゼーション:障がいのある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会をめざす理念。 8050問題:80歳代の親が50歳代のひきこもりの子の生活を支えることから起こる社会問題。 (279ページ) 発達障がい:自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能の障がいであってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの(発達障害者支援法より抜粋)。 バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去(フリー)すること。 ピアサポート:障がいのある当事者が、自らの体験を活かして仲間の障がい者を支えること。 ピアスタッフ:「ピア」は「同僚、仲間」の意味。障がいのある当事者で、同じような障がいのある人に支援者として関わる人。 ひきこもり:様々な要因の結果として、社会参加(就学、就労、交遊)を回避し、原則的には、6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていても該当)を示す現象。 避難行動要支援者名簿:災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な人であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する人の名簿。避難の支援、安否の確認、その他の避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために必要な措置を実施するための基礎とする。 福祉人材:本計画では、福祉分野(介護、障がい、保育)に関する業務に従事する人のことを指す。 福祉避難室:避難生活の一部に配慮や見守りが必要な高齢者や妊産婦などに対応するため、避難所である公民館や学校の教室などに設けるスペースのこと。 福祉避難所:一般の避難所では生活することが困難な要配慮者(高齢者や障がいのある人など)を受け入れるために開設する避難所(二次避難所)。 福祉有償運送:タクシー等の公共交通機関を単独で利用することが困難な要介護者や障がい者等の会員に対し、NPO等が自家用自動車を使用して、有償で行うドア・ツー・ドアの個別輸送サービス。 福祉用具:<貸与>車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、歩行器、移動用リフト等。<販売>腰掛便座、入浴補助用具等。 扶助費:高齢者、障がいのある人、生活困窮者などに対して市が行う支援に要する経費(生活保護費など)。 ふれあいサロン:家に閉じこもりがちな高齢者や障がい者等の孤独感の解消や寝たきり、認知症の予防、介護予防などを目的とした集いの場を広げる事業。 フレイル:加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下した状態のこと。「健康」と「要介護」の中間の状態にあることをいう。 ペアレントメンター:発達障がいの子どもを持つ保護者に、様々な情報を提供するとともに、相談や助言を行う、発達障がいがある子どもを育てた経験を有する保護者。 訪問介護:ホームヘルパー等が居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事等の身体介護や調理、洗濯等の生活援助を行う。通院等を目的とした、乗降介助(介護タクシー)も利用できる。 訪問看護:看護師等が居宅を訪問して療養上の世話や必要な診療の補助を行うこと。 看取り:人生の最終段階において、本人の意思や権利を最大限に尊重して行われる医療とケアのこと。 民生委員・児童委員:「民生委員」は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々で、「児童委員」を兼ねる。「児童委員」は、地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談・支援を行う。 (280ページ) メンタルヘルス:精神面における健康のこと。 ヤングケアラー:本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども。 ユニバーサルデザインの理念:年齢、性別や国籍、障がいの有無等を問わず、すべての人が自由に快適に利用でき、行動できるような思いやりあふれる配慮を、まちづくりやものづくりなどのあらゆる場面で、ハード・ソフトの両面から行っていこうとする考え方。 ユニバーサル都市・福岡:ユニバーサル都市とは、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、誰もが思いやりを持ち、すべての人にやさしいまちのこと。福岡市は、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げている。 ユマニチュード:「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を基本とした、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションにもとづいたケアの技法。 要介護認定者:日常生活において、介護が必要な状態の軽減や重度化の防止のために支援が必要な状態にある人(要支援者)や、常時介護を必要とする状態にある人(要介護者)と認定された人。要支援者は要支援1・2に、要介護者は要介護1から5までに区分される。本計画書においては、要支援状態と認定された人と要介護状態と認定された人の両方を要介護認定者としている。 レスパイト:一時中断、息抜き、休息などの意味。障がい福祉サービスでは、介護を行う家族の休息、負担軽減等を意図している。 ロコモティブシンドローム(運動器症候群):骨、関節、筋肉などの運動器に障がいが起き、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下している状態のこと。 (281ページ) 2 福岡市福祉のまちづくり条例 平成10年3月30日 条例第9号 改正 平成17年6月23日条例第110号 目次 第1章 総則(第1条―第9条) 第2章 基本的な市の施策(第10条―第14条) 第3章 市民福祉の推進 第1節 市民の自立(第15条―第18条) 第2節 地域福祉の推進(第19条―第22条) 第3節 ボランティア活動の促進(第23条・第24条) 第4章 対象施設等の整備 第1節 対象施設の整備(第25条―第36条) 第2節 公共車両等及び住宅の整備(第37条・第38条) 第5章 雑則(第39条) 附則 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は,すべての市民が一人の人間として尊重され,地域社会において相互に支え合い,生きがいのある生活が保障され,様々な社会活動に参加することができる福祉のまちづくりについて,基本理念並びに市民,事業者及び市それぞれの責務を明らかにするとともに,多数の者が利用する施設の整備に関する基本的な事項を定めることにより,福祉のまちづくりを総合的かつ計画的に推進し,もって優しさに満ちた健やかでやすらぎのある福祉社会の実現に資することを目的とする。 (基本理念) 第2条 福祉のまちづくりは,市民が自立し,及び相互に連携して支え合うという精神のもとに,次の各号に掲げる社会の実現を目指すことを基本理念として行うものとする。 (1) すべての市民が個人として尊重される社会 (2) すべての市民が生きがいをもてる社会 (3) すべての市民が地域での生活を保障される社会 (4) すべての市民が相互に支え合い連帯する社会 (5) すべての市民が安全かつ快適に生活できる社会 (6) すべての市民が福祉のまちづくりに参加する社会 (7) すべての市民が積極的に福祉の国際交流を行う社会 (定義) 第3条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 高齢者,障がい者等 高齢者,障がい者,妊産婦その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。 (2) 対象施設 病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,共同住宅,交通機関の施設,道 (282ページ) 路,公園その他の公共的利用部分を有する施設で規則で定めるものをいう。 (3) 公共的利用部分 対象施設のうち多数の者の利用に供する部分をいう。 (4) 公共車両等 交通機関の用に供する電車,バス,船舶その他規則で定めるものをいう。 (平成17条例110・一部改正) (市民の責務) 第4条 市民は,福祉のまちづくりに関する理解を深めるとともに,福祉のまちづくりに寄与する活動に積極的に参加し,及び当該活動においてその有する能力を発揮することにより,福祉のまちづくりの推進に努めなければならない。 2 市民は,高齢者,障がい者等に対して,安全かつ快適に日常生活又は社会生活を送るための協力を行うよう努めなければならない。 (平成17条例110・一部改正) (事業者の責務) 第5条 事業者は,地域社会を構成する一員として,その果たすべき役割を認識し,積極的に福祉のまちづくりの推進に努めなければならない。 2 事業者は,自ら所有し,又は管理する対象施設及び公共車両等を,高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために,これらの整備その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。 (平成17条例110・一部改正) (市の責務) 第6条 市は,この条例の趣旨にのっとり,福祉のまちづくりに関する施策を策定し,及び実施する責務を有する。 2 市は,自ら所有し,又は管理する対象施設及び公共車両等を,高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために,これらの整備その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。 (平成17条例110・一部改正) (総合的推進) 第7条 市民,事業者及び市は,福祉のまちづくりに関するそれぞれの責務を自覚するとともに,相互に協力し,一体となって福祉のまちづくりの推進を図るものとする。 2 市は,市民及び事業者と連携し,福祉のまちづくりを推進する体制を整備するものとする。 (地方公共団体間の協力の推進) 第8条 市は,福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,近隣の地方公共団体との必要な連携を図るとともに,近隣の地方公共団体に対し,情報の提供その他の必要な協力を行うものとする。 (国際的協力の推進) 第9条 市民,事業者及び市は,福祉のまちづくりに関して,アジアその他の地域の都市又は国際的に福祉活動を行う団体への情報の提供その他の協力に努めるものとする。 第2章 基本的な市の施策 (基本計画の策定等) 第10条 市長は,福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,福祉のまちづくりに関する基本となる計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。 2 市長は,基本計画を定め,又は変更したときは,速やかにこれを公表しなければならない。 (市民の理解) 第11条 市は,市民の福祉のまちづくりに関する正しい理解を深め,福祉のまちづくりに積極的に参加しようとする意欲を高めるよう必要な施策を実施するものとする。 2 市は,福祉のまちづくりに関する情報の収集並びに調査及び研究を行うとともに,その情報 (283ページ) を市民及び事業者に積極的に提供するよう努めるものとする。 (福祉教育の推進) 第12条 市は,高齢者,障がい者等に対する理解と思いやりのあるこどもを育成するため,福祉教育の推進に努めるものとする。 (平成17条例110・一部改正) (人材育成) 第13条 市は,社会福祉事業に携わる者の専門的,技術的能力その他の資質の向上を図るため,必要な措置を講じるよう努めるものとする。 (表彰) 第14条 市長は,福祉のまちづくりの推進に関して功績のあった者に対し,規則で定めるところにより,表彰を行うことができる。 第3章 市民福祉の推進 第1節 市民の自立 (健康の増進) 第15条 市民は,生涯にわたって自らの健康の保持増進に努めるものとする。 2 事業者は,その事業のために雇用している勤労者の健康の保持増進に努めるものとする。 3 市は,市民の健康の保持増進のため,保健,医療及び福祉に関する施策相互を有機的に連携させるとともに,これらの施策を総合的かつ計画的に講じるものとする。 (こどもの育成) 第16条 市民,事業者及び市は,こどもの心身ともに健やかな成長を図るため,母性の保護,子育ての支援及び家庭教育の環境の整備に努めるものとする。 (生涯学習の推進) 第17条 市民は,生きがいのある豊かな生活を営むため,生涯にわたって学習するよう自主的に努めるものとする。 2 市は,市民が生涯にわたって学習する機会を確保するため,学習環境その他の条件の整備に努めるものとする。 (就労の確保) 第18条 事業者は,障がい者及び高齢者に対し,就労の機会を提供するよう努めるものとする。 2 市は,障がい者及び高齢者の就労の機会を確保するため,事業者に対する広報,啓発その他必要な施策を講じるものとする。 (平成17条例110・一部改正) 第2節 地域福祉の推進 (地域福祉の推進) 第19条 地域の福祉の増進に寄与する関係団体及び個人は,地域社会で相互に尊重し,支え合い,連携して福祉の向上を図るものとする。 2 市民,事業者及び市は,前項の団体及び個人と連携して,健やかでやすらぎのある地域社会を構築するよう努めるものとする。 (安全な生活の確保) 第20条 市民,事業者及び市は,災害が発生したときその他緊急時において,地域住民が相互に助け合うことができる地域づくりに努めるものとする。 2 市は,高齢者,障がい者等が安全に生活を営むことができるようにするため,防災,交通の安全の確保等に関し,必要な施策を講じるものとする。 (平成17条例110・一部改正) (相互理解の促進) 第21条 市民,事業者及び市は,地域住民の相互理解を促進するため,交流の機会の確保に努め (284ページ) るものとする。 (施設の提供) 第22条 事業者及び市は,自らが所有し,又は管理する施設を地域福祉の推進のための利用に供するよう努めるものとする。 第3節 ボランティア活動の促進 (ボランティア活動への参加) 第23条 市民及び事業者は,自らの能力を活かし,自主的にボランティア活動に参加するよう努めるものとする。 (ボランティア活動への支援) 第24条 事業者は,その事業のために雇用している勤労者が,積極的にボランティア活動に参加することができるよう必要な条件の整備に努めるものとする。 2 市は,市民及び事業者によるボランティア活動を促進するため,ボランティア活動に関する情報の提供,助言,指導者の育成その他の必要な支援を行うものとする。 第4章 対象施設等の整備 第1節 対象施設の整備 (整備基準等) 第25条 市長は,高齢者,障がい者等が対象施設を安全かつ円滑に利用できるようにするための公共的利用部分の構造及び設備に関する基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。 2 市長は,整備基準のほか,高齢者,障がい者等が整備基準により確保される水準よりも高度な水準で対象施設を安全かつ円滑に利用できるようにするための公共的利用部分の構造及び設備に関する基準を定めることができる。 3 整備基準及び前項の基準は,対象施設の種類及び規模ごとに規則で定める。 (平成17条例110・一部改正) (整備基準の遵守) 第26条 対象施設の新設又は改修(対象施設が建築物である場合にあっては,増築,改築,建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕若しくは同条第15号に規定する大規模の模様替をいい,対象施設の全部又は一部を別種の対象施設とする用途の変更を含む。以下同じ。)を行おうとする者(改修を行うことにより対象施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとする者を含む。)は,当該新設又は改修後の対象施設を整備基準に適合させなければならない。 2 前項の規定は,新設若しくは改修後の対象施設が整備基準に適合している場合と同等以上に高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるものであると市長が認める場合又は対象施設の規模,構造,利用の目的若しくは対象施設の敷地若しくはその周辺の土地の形状その他の事情により当該対象施設を整備基準に適合させることが著しく困難であると市長が認める場合については,適用しない。 (平成17条例110・一部改正) (既存施設の整備) 第27条 この条例又はこの条例に基づく規則の規定の施行又は適用の際,現に存する対象施設を所有し,若しくは管理する者又は現に対象施設の新設若しくは改修を行っている者は,当該対象施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない。 (維持保全) 第28条 対象施設を所有し,又は管理する者(以下「対象施設の所有者等」という。)は,第26条第1項又は前条の規定により整備基準に適合させた対象施設を引き続き当該整備基準に適合した状態に維持し,保全するよう努めなければならない。 2 市長は,前項の対象施設について,公共的利用部分の構造又は設備に関して高齢者,障がい (285ページ) 者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための措置を講じる必要があると認めるときは,当該対象施設の所有者等に対し,必要な指導又は助言を行うことができる。 (平成17条例110・一部改正) (事前協議) 第29条 対象施設のうち規則で定める種類及び規模に該当する施設(以下「特定施設」という。)の新設又は改修を行おうとする者(改修を行うことにより特定施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとする者を含み,改修を行うことにより特定施設に該当しないこととなる特定施設の当該改修を行おうとする者を除く。以下「特定整備主」という。)は,新設又は改修を行おうとする特定施設及びその工事の内容について,規則で定めるところにより,あらかじめ市長と協議しなければならない。これらの事項について内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときも,また同様とする。 2 前項の規定による協議(以下「事前協議」という。)は,規則で定める日までに開始しなければならない。 3 市長は,特定整備主が計画する特定施設の公共的利用部分の構造及び設備が,整備基準に適合しないこととなると認めるときは,その特定整備主に対し,必要な指導又は助言を行うことができる。 (工事完了の届出及び完了検査) 第30条 特定整備主は,特定施設の新設又は改修の工事を完了したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長にその旨を届け出て,特定施設の公共的利用部分の構造及び設備に関し,市長の検査を受けなければならない。 2 市長は,前項の検査の結果,当該検査に係る特定施設が整備基準に適合していないと認めるときは,特定整備主に対し,必要な指導又は助言を行うことができる。 (適合証の交付) 第31条 市長は,前条第1項の検査の結果当該検査に係る特定施設が整備基準に適合していると認めるときは,同項の規定による届出をした者に対し,当該特定施設が整備基準に適合することを証する証票(以下「適合証」という。)を交付するものとする。 2 前項に定める場合を除くほか,対象施設の所有者等は,当該対象施設を整備基準に適合させたときは,規則で定めるところにより,市長に対し,適合証の交付を請求することができる。 3 市長は,前項の規定による請求があった場合において,当該対象施設が整備基準に適合していると認めるときは,当該請求をした者に対し,適合証を交付するものとする。 4 市長は,交付した適合証に係る対象施設が整備基準に適合しないこととなったときは,適合証の交付を受けた当該対象施設の所有者等に対し,適合証の返還を命じることができる。 (勧告) 第32条 市長は,特定整備主が第29条第2項に規定する日までに事前協議を開始しなかったときは,当該特定整備主に対し,直ちに事前協議を開始するよう勧告することができる。 2 市長は,特定整備主が第30条第1項の規定による届出を行わなかったときは,当該特定整備主に対し,直ちに当該届出を行うよう勧告することができる。 3 市長は,第29条第3項又は第30条第2項に規定する指導又は助言を受けた特定整備主がその指導又は助言に正当な理由がなく従わなかったときは,当該特定整備主に対し,その指導又は助言に従うよう勧告することができる。 (立入調査等) 第33条 市長は,第26条及び第28条から前条までの規定を施行するために必要な限度において,対象施設の所有者等又は特定整備主に対し,対象施設が整備基準に適合するように設計され,工事され,又は維持され,保全されているかどうかについて,報告若しくは資料の提出を求め,又は職員に対象施設に立ち入らせ,及び調査させることができる。 (286ページ) 2 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,対象施設の所有者等又は特定整備主の請求があったときは,これを提示しなければならない。 (国等に関する特例) 第34条 国,地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)については,第29条,第30条,第31条第1項及び第32条の規定は,適用しない。 2 国等は,特定施設の新設又は改修を行おうとするとき(改修を行うことにより特定施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとするときを含み,改修を行うことにより特定施設に該当しないこととなる特定施設の当該改修を行おうとするときを除く。)は,その工事に着手する前に,規則で定めるところにより,市長に通知しなければならない。 (対象施設の総合的整備) 第35条 土地区画整理事業,市街地再開発事業,一団地の住宅施設その他の市街地の整備に関する事業の施行者は,その事業の施行区域の全体を高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるように,対象施設相互の連続性に配慮して,総合的に整備しなければならない。 (平成17条例110・一部改正) (福祉に配慮した設計者等の育成) 第36条 市長は,福祉のまちづくりに配慮した対象施設の企画,設計及び工事の施工に携わる技術者を育成するよう努めるものとする。 第2節 公共車両等及び住宅の整備 (公共車両等の整備) 第37条 公共車両等を所有し,又は管理する者は,当該公共車両等を高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための整備を行うよう努めるものとする。 (平成17条例110・一部改正) (住宅の整備) 第38条 市長は,住宅(共同住宅の公共的利用部分を除く。)について,高齢者,障がい者等が安全かつ快適に生活できるようにするための構造及び設備に関する指針を定め,当該指針に沿った住宅の普及に努めるものとする。 (平成17条例110・一部改正) 第5章 雑則 (委任) 第39条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。 附 則 この条例は,平成10年4月1日から施行する。ただし,第3条第2号から第4号まで,第5条第2項,第6条第2項,第14条及び第4章の規定は,規則で定める日から施行する。 (平成10年規則第92号により附則ただし書に規定する規定は,平成11年4月1日から施行) 附 則(平成17年6月23日条例第110号) この条例は,公布の日から施行する。 (287ページ) 3 福岡市保健福祉審議会条例 平成19年3月15日 条例第11号 改正 平成23年12月22日条例第33号 平成24年3月29日条例第10号 平成26年3月27日条例第50号 (設置) 第1条 社会福祉をはじめとした保健福祉施策を総合的に推進するため,社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下「社福法」という。)第7条第1項に規定する地方社会福祉審議会,障害者基本法(昭和45年法律第84号。以下「障基法」という。)第36条第1項に規定する合議制の機関及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第9条第1項に規定する地方精神保健福祉審議会として,福岡市保健福祉審議会(以下「審議会」という。)を置く。 (平成23条例33・平成24条例10・一部改正) (所掌事務) 第2条 審議会は,次に掲げる事項について調査審議し,市長の諮問に答え,意見を述べるほか必要な事務を処理するものとする。 (1) 社福法第7条に規定する社会福祉に関すること。 (2) 障基法第36条第1項に規定する障がい者施策に関すること。 (3) 精神保健福祉法第9条に規定する精神保健及び精神障がい者福祉に関すること。 (4) その他市長が特に必要と認めること。 (平成23条例33・平成24条例10・一部改正) (組織) 第3条 審議会は,委員35人以内で組織する。 2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは,審議会に臨時委員を置くことができる。 (委員) 第4条 審議会の委員及び臨時委員は,社福法第8条及び第9条第2項に規定する者のうちから,市長が任命する。 2 委員及び臨時委員の任命に当たっては,審議会が様々な障がい者の意見を聴き障がい者の実情を踏まえた調査審議を行うことができるよう,配慮するものとする。 3 委員の任期は,3年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。 4 委員は,再任されることができる。 5 臨時委員は,当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは,解任されるものとする。 6 委員及び臨時委員は,その職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,また同様とする。 (平成24条例10・平成26条例50・一部改正) (委員長及び副委員長) 第5条 審議会に委員長及び副委員長を置き,委員の互選によってこれを定める。 2 委員長は,会務を総理し,審議会を代表する。 3 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき,又は委員長が欠けたときは,その職務を代理する。 (288ページ) (会議) 第6条 審議会の会議は,委員長が招集し,委員長がその議長となる。 2 委員長は,委員の4分の1以上が審議すべき事項を示して招集を請求したときは,審議会を招集しなければならない。 3 審議会は,委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ,会議を開くことができない。 4 審議会の議事は,出席した委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,委員長の決するところによる。 (専門分科会) 第7条 審議会は,専門の事項を調査審議するため,次の各号に掲げる専門分科会を置き,当該各号に定める事項を調査審議するものとする。 (1) 地域保健福祉専門分科会 地域保健福祉に関する事項 (2) 高齢者保健福祉専門分科会 高齢者の保健福祉に関する事項 (3) 障がい者保健福祉専門分科会 社福法第11条第1項に規定する身体障がい者の福祉に関する事項その他障がい者の保健福祉に関する事項 (4) 健康づくり専門分科会 健康づくりに関する事項 (5) 民生委員審査専門分科会 社福法第11条第1項に規定する民生委員の適否の審査に関する事項 2 審議会は,前項各号に定める事項以外の事項を調査審議するため,必要に応じその他の専門分科会を置くことができる。 3 専門分科会の委員は,審議会の委員及び臨時委員のうちから委員長が指名する。 4 専門分科会に専門分科会長(以下この条において「分科会長」という。)及び副専門分科会長(以下この条において「副分科会長」という。)を置き,委員の互選によってこれを定める。 5 分科会長は,専門分科会の会務を総理する。 6 副分科会長は,分科会長を補佐し,分科会長に事故があるとき,又は分科会長が欠けたときは,その職務を代理する。 7 専門分科会は,必要があると認めるときは,会議に参考人の出席を求め,意見を聴くことができる。 8 審議会は,法令に定めがあるもののほか,規則で定めるところにより,専門分科会の決議をもって,審議会の決議とすることができる。 9 前条の規定は,専門分科会について準用する。この場合において,同条中「審議会」とあるのは「専門分科会」と,「委員長」とあるのは「分科会長」と,「委員の4分の1」とあるのは「専門分科会の委員の4分の1」と,「委員及び議事に関係のある臨時委員」とあるのは「専門分科会の委員」と読み替えるものとする。 (審査部会) 第8条 社会福祉法施行令(昭和33年政令第185号)第3条第1項に規定する審査部会は,障がい者保健福祉専門分科会に置くものとする。 (庶務) 第9条 審議会の庶務は,保健福祉局において処理する。 (委任) 第10条 この条例に定めるもののほか,審議会の運営に関し必要な事項は,規則で定める。 附 則 (施行期日) 1 この条例は,平成20年4月1日から施行する。 (経過措置) (289ページ) 2 この条例による廃止前の福岡市社会福祉審議会条例(平成12年福岡市条例第16号。次項において「廃止前の社会福祉審議会条例」という。)による福岡市社会福祉審議会並びにその委員長,副委員長,委員及び臨時委員は,それぞれ,この条例の施行の日(次項において「施行日」という。)において,この条例の規定により置かれた審議会並びにその委員長,副委員長,委員及び臨時委員となるものとする。 3 廃止前の社会福祉審議会条例による福岡市社会福祉審議会に置かれた地域福祉専門分科会,高齢者福祉専門分科会,障がい者福祉専門分科会及び民生委員審査専門分科会並びに審査部会並びにそれらの専門分科会長,専門分科会副会長及び専門分科会の委員は,それぞれ,施行日において,この条例の規定により置かれた地域保健福祉専門分科会,高齢者保健福祉専門分科会,障がい者保健福祉専門分科会及び民生委員審査専門分科会並びに審査部会並びにそれらの専門分科会長,副専門分科会長及び専門分科会の委員となるものとする。 4 この条例の施行の際現に委員である者の任期は,平成21年1月20日までとする。 (福岡市社会福祉審議会条例等の廃止) 5 次に掲げる条例は,廃止する。 (1) 福岡市社会福祉審議会条例 (2) 福岡市障がい者施策推進協議会条例(昭和52年福岡市条例第22号) (3) 福岡市精神保健福祉審議会条例(平成8年福岡市条例第15号) 附 則(平成23年12月22日条例第33号) この条例は,公布の日から施行する。 附 則(平成24年3月29日条例第10号) この条例は,規則で定める日から施行する。 (平成24年規則第78号により平成24年5月21日から施行) 附 則(平成26年3月27日条例第50号)抄 この条例は,公布の日から施行する。 (290ページ) 4 福岡市保健福祉審議会条例施行規則 平成20年3月31日 規則第36号 改正 平成23年12月22日規則第93号 平成25年2月7日規則第15号 (趣旨) 第1条 この規則は,福岡市保健福祉審議会条例(平成19年福岡市条例第11号。以下「条例」という。)第10条の規定に基づき,福岡市保健福祉審議会(以下「審議会」という。)の運営に関し必要な事項を定めるものとする。 (専門分科会) 第2条 条例第7条第8項の規定により審議会の決議とする事項は,次の各号に掲げる専門分科会の区分に応じ,当該各号に定める事項とする。 (1) 地域保健福祉専門分科会 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第107条に規定する市町村地域福祉計画に関する事項 (2) 高齢者保健福祉専門分科会 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の8第1項に規定する市町村老人福祉計画に関する事項及び介護保険法(平成9年法律第123号)第117条第1項に規定する市町村介護保険事業計画に関する事項 (3) 障がい者保健福祉専門分科会 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画に関する事項及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項に規定する市町村障害福祉計画に関する事項 (4) 健康づくり専門分科会 健康増進法(平成14年法律第103号)第8条第2項に規定する市町村健康増進計画に関する事項 (5) 条例第7条第2項の規定により置かれた専門分科会 あらかじめ審議会の委員長が定めた事項 2 専門分科会長は,専門分科会における調査審議の結果を審議会の委員長に報告するものとする。 (平成23規則93・平成25規則15・一部改正) (部会) 第3条 専門分科会長が必要と認めるときは,専門分科会に部会を置くことができる。 2 部会の委員は,専門分科会に属する委員及び臨時委員のうちから専門分科会長が指名する。 3 部会に部会長及び副部会長を置き,部会の委員の互選によってこれを定める。 4 部会長は,部会の会務を総理する。 5 副部会長は,部会長を補佐し,部会長に事故があるとき,又は部会長が欠けたときは,その職務を代理する。 (審査部会) 第4条 条例第8条に規定する審査部会は,次に掲げる事項を調査審議するものとする。 (1) 社会福祉法施行令(昭和33年政令第185号)第3条第1項に規定する身体障がい者の障がいの程度の審査 (2) 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第15条第2項に規定する医師の指定に当たっての意見 (3) 更生医療を担当する医療機関の指定等に当たっての意見 (291ページ) 2 前条第3項から第5項までの規定は,審査部会について準用する。 (規定外の事項) 第5条 この規則に定めるもののほか,審議会の運営に関し必要な事項は,審議会の委員長が定める。 附 則 (施行期日) 1 この規則は,平成20年4月1日から施行する。 (福岡市社会福祉審議会条例施行規則の廃止) 2 福岡市社会福祉審議会条例施行規則(平成12年福岡市規則第99号)は,廃止する。 附 則(平成23年12月22日規則第93号) この規則は,公布の日から施行する。 附 則(平成25年2月7日規則第15号) この規則は,平成25年4月1日から施行する。 (292ページ) 5 諮問 保総第201号 令和元年9月3日 福岡市保健福祉審議会  委員長 石 田 重 森 様 福岡市長  島 宗 一 郎 福岡市保健福祉総合計画等の策定について(諮問)  福岡市における保健福祉施策につきましては,平成28年6月に策定した「福岡市保健福祉総合計画」等に基づき,総合的かつ計画的に推進しております。  福岡市におきましても,少子高齢化の進展により,すべての団塊の世代が75歳を迎える令和7年(2025年)には約4人に一人,団塊の世代ジュニアが65歳を迎える令和22年(2040年)には約3人に一人が高齢者となることが見込まれております。 このような中で,地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まってきているとともに,介護・障がい・生活困窮などの「地域生活課題の複雑化・複合化」や既存の支援制度では対応が困難な「制度の狭間」の問題など,これまでの社会保障制度では対応困難な課題が顕在化してまいります。 今後,高齢者や障がいのある人をはじめ,すべての市民が一人の人間として尊重され,住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができる,健康福祉のまちづくりを実現するためには,こうした社会情勢の変化に的確に対応していくことが,より一層重要となってまいります。 このため,福岡市が目指すべき保健福祉施策の基本的な方向性を明らかにするとともに,社会情勢の変化によってこれまでに経験したことのない超高齢社会に対応した施策を総合的に検討し,市民と共に健康福祉のまちづくりを推進してまいりたいと考えております。  つきましては, 1 「福岡市保健福祉総合計画」(令和3年度〜令和8年度)の策定について 2 「第8期福岡市介護保険事業計画」(令和3年度〜令和5年度)の策定について 3 「第6期福岡市障がい福祉計画」(令和3年度〜令和5年度)の策定について 以上,保健福祉総合計画及び二つの実施計画の策定について貴審議会のご意見を伺いたく,諮問いたします。 (293ページ) (294ページ) 7 計画策定の経緯 (1) 福岡市保健福祉審議会における審議体制 福岡市保健福祉審議会における審議は、総会、調整会議、専門分科会の体制で実施しました。 (295ページ) (2)計画策定の経緯 年 度 内 容 保健福祉審議会(◎総会、〇専門分科会、●調整会議)議会報告(□)その他(◆) 令和元年度 ◆諮問(9/3) ◎総会【策定開始】(9/3) □福祉都市委員会(9/19) ●調整会議(10/28) ○高齢者保健福祉専門分科会(11/22) ○地域保健福祉専門分科会(11/26) ○健康づくり専門分科会(12/3) ○障がい者保健福祉専門分科会(12/4) ●調整会議(1/27) ◎総会【序論・総論とりまとめ】(2/4) 令和2年度 ○高齢者保健福祉専門分科会(8/17、10/29) ○健康づくり専門分科会(8/21、10/27) ○障がい者保健福祉専門分科会(8/24、11/6) ○地域保健福祉専門分科会(8/28、11/5) ●調整会議(12/23) □福祉都市委員会(2/19) ◆パブリック・コメント(3/1〜3/31) 令和3年度 ◎総会【審議会委員の一斉改選】(4/6) ●調整会議(5/28) ◎総会【答申案】(7/6) ◆答申(7/13) ◆計画策定(  /  ) (296ページ) 8 福岡市保健福祉審議会等委員名簿 (1)福岡市保健福祉審議会委員(令和3年7月6日現在) 氏名     役職・専門分野等 備考 委員長  石田 重森  福岡大学名誉学長(保険論、年金論、社会保障論) 石橋 雄一  福岡市自治協議会等7区会長会代表 〜R2.6.4 小山 毅   福岡市自治協議会等7区会長会代表 R2.6.5〜 伊藤 豪   福岡大学商学部准教授(保険論、社会保障論) 副委員長 岩城 和代  弁護士 岩田 直仁  西日本新聞社論説委員会委員 岡田 靖   独立行政法人国立病院機構九州医療センター副院長 楢橋 貞雄  公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 小川 全夫  九州大学名誉教授/特定非営利活動法人アジアン・エイジング・ビジネスセンター理事長 鬼塚 恒   弁護士 尾花 康広  福岡市議会福祉都市委員会委員 川上 陽平  福岡市議会福祉都市委員会委員 鬼ア 信好  久留米大学大学院客員教授 吉良 潤一  医療法人社団高邦会福岡中央病院脳神経センター長 〜R3.3.31 磯部 紀子  九州大学大学院医学研究院神経内科学教授 R3.5.1.〜 古賀 康彦  福岡市介護保険事業者協議会会長 〜R3.4.11 渡邊 恭順  福岡市介護保険事業者協議会会長 R3.4.12〜 近藤 里美  福岡市議会福祉都市委員会委員 副委員長 田 仁   九州大学大学院経済学研究院産業マネジメント専攻教授 高野 和良  九州大学大学院人間環境学研究院人間科学部門共生社会学教授 R3.4.1〜 樗木 晶子  福岡歯科大学客員教授 東野 洋子  福岡市七区男女共同参画協議会代表 〜R2.6.30 矢ア 幸子  福岡市七区男女共同参画協議会代表 R2.7.1〜 中原 義驕@ 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会相談役 〜R1.10.31 清水 邦之  社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 R1.11.1〜 二宮 利治  九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野教授(腎臓学、公衆衛生学、疫学) (297ページ) 納富 恵子  福岡教育大学大学院教育学研究科教授(特別支援教育・発達障がい) 野口 幸弘  西南学院大学大学院人間科学研究科非常勤講師(特別支援教育、障がい児・者福祉、地域福祉) 長谷川 浩二 一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 〜R2.7.5 大村 重成  一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 R2.7.6〜 鳩野 洋子  九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野教授(公衆衛生看護学) 花田 敏秀  社会福祉法人福岡市手をつなぐ育成会理事長 濱ア 裕子  久留米大学人間健康学部教授(コミュニティ福祉論、発達環境論) 〜R3.3.31 平井 彰   一般社団法人九州経済連合会常務理事 事務局長 平川 みどり 福岡市公民館館長会会長 〜R2.10.10 南  幸盛  福岡市公民館館長会副会長 R2.11.20〜 平田 泰彦  一般社団法人福岡市医師会副会長 〜R2.7.9 藤原 繁   一般社団法人福岡市医師会副会長 R2.7.10〜 松尾 りつ子 福岡市議会福祉都市委員会委員 宮本 政智  一般社団法人福岡市精神保健福祉協議会理事 森  英鷹  福岡市議会福祉都市委員会委員 森住 勝子  福岡市民生委員児童委員協議会会長 〜R1.11.30 小田原 睦子 福岡市民生委員児童委員協議会会長 R1.12.4〜 安元 佐和  福岡大学医学部医学教育推進講座主任教授(小児科(小児神経学)、医学教育、障がい者医療、特別支援教育、こども虐待)    吉村 展子  社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 〜R3.3.31 橋本 淳   社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 R3.4.1〜 (298ページ) (2)地域保健福祉専門分科会委員(令和3年7月6日現在) 氏名     役職・専門分野等 備考 石橋 雄一  福岡市自治協議会等7区会長会代表 〜R2.6.4 小山 毅   福岡市自治協議会等7区会長会代表 R2.6.5〜 分科会長 岩城 和代  弁護士 大谷 順子  子どもNPOセンター福岡代表理事 R1.10.1〜 小川 全夫  九州大学名誉教授/特定非営利活動法人アジアン・エイジング・ビジネスセンター理事長 尾花 康広  福岡市議会福祉都市委員会委員 高野 和良  九州大学大学院人間環境学研究院人間科学部門共生社会学教授 R1.10.1〜 樗木 晶子  福岡歯科大学客員教授 党  一浩  小規模多機能施設めおといわ「ゆい」施設長 R1.10.1〜 東野 洋子  福岡市七区男女共同参画協議会代表 〜R2.6.30 矢ア 幸子  福岡市七区男女共同参画協議会代表 R2.7.1〜 中原 義驕@ 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会相談役 〜R1.10.31 清水 邦之  社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 R1.11.1〜 鳩野 洋子  九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野教授(公衆衛生看護学) 濱ア 裕子  久留米大学人間健康学部教授(コミュニティ福祉論、発達環境論) 〜R3.3.31 松尾 りつ子 福岡市議会福祉都市委員会委員 南  伸太郎 ラボラトリオ株式会社代表取締役 R1.10.1〜 平川 みどり 福岡市公民館館長会会長 〜R2.10.10 南  幸盛  福岡市公民館館長会副会長 R2.11.20〜 森住 勝子  福岡市民生委員児童委員協議会会長 〜R1.11.30 小田原 睦子 福岡市民生委員児童委員協議会会長 R1.12.4〜 山内 泰   NPO法人ドネルモ代表理事 R1.10.1〜 山田 雄三  福岡大学地域ネット推進センター助教 R1.10.1〜 副分科会長(〜R3.3.31) 吉村 展子  社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 〜R3.3.31 副分科会長(R3.4.6〜) 橋本 淳   社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 R3.4.1〜 (299ページ) (3)高齢者保健福祉専門分科会委員(令和3年7月6日現在) 氏名     役職・専門分野等 備考 石丸 修平  福岡地域戦略推進協議会事務局長 R1.8.30〜 副分科会長 伊藤 豪   福岡大学商学部准教授(保険論、社会保障論) 岩城 和代  弁護士 小川 全夫  九州大学名誉教授/特定非営利活動法人アジアン・エイジング・ビジネスセンター理事長 尾籠 晃司  福岡国際医療福祉大学医療学部作業療法学科教授(老年精神医学) R1.8.30〜 川上 陽平  福岡市議会福祉都市委員会委員 鬼ア 信好  久留米大学大学院客員教授 古賀 康彦  福岡市介護保険事業者協議会会長 〜R3.4.11 渡邊 恭順  福岡市介護保険事業者協議会会長 R3.4.12〜 近藤 里美  福岡市議会福祉都市委員会委員 柴口 里則  公益社団法人福岡県介護支援専門員協会会長 R1.8.30〜 田 仁   九州大学大学院経済学研究院産業マネジメント専攻教授 高野 和良  九州大学大学院人間環境学研究院人間科学部門共生社会学教授 R3.4.1〜 田川 布美子 第2号被保険者 R1.8.30〜 党  一浩  小規模多機能施設めおといわ「ゆい」施設長 R1.8.30〜 楢橋 貞雄  公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 濱ア 裕子  久留米大学人間健康学部教授(コミュニティ福祉論、発達環境論) 〜R3.3.31 平井 彰   一般社団法人九州経済連合会常務理事 事務局長 平田 泰彦  一般社団法人福岡市医師会副会長 〜R2.7.9 分科会長   藤原 繁   一般社団法人福岡市医師会副会長 R2.7.10〜 村上 幸子  第1号被保険者 R1.8.30〜 蛛@ 竜一  公益社団法人認知症の人と家族の会福岡県支部代表 R1.8.30〜 吉村 展子  社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 〜R3.3.31 橋本 淳   社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 R3.4.1〜 (300ページ) (4)障がい者保健福祉専門分科会委員(令和3年7月6日現在) 氏名     役職・専門分野等 備考 市原 礼子  公募委員 H30.11.1〜 稲栄 康代  公募委員 H30.11.1〜 岩田 直仁  西日本新聞社論説委員会委員 鬼塚 恒   弁護士 尾花 康広  福岡市議会福祉都市委員会委員 分科会長(〜R3.3.31) 吉良 潤一  医療法人社団高邦会福岡中央病院脳神経センター長 〜R3.3.31 磯部 紀子  九州大学大学院医学研究院神経内科学教授 R3.5.1.〜 倉富 信行  公募委員 H30.11.1〜 佐々木 淳司 精神障がい者相談支援センターピア相談員 H30.12.28〜 副分科会長(〜R1.10.31) 中原 義驕@ 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会相談役 〜R1.10.31 副分科会長(R1.12.4〜) 清水 邦之  社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 R1.11.1〜 分科会長(R3.4.6〜) 納富 恵子  福岡教育大学大学院教育学研究科教授(特別支援教育・発達障がい) 野口 幸弘  西南学院大学大学院人間科学研究科非常勤講師(特別支援教育、障がい児・者福祉、地域福祉) 登本 弘志  福岡市身体障がい者相談員 R1.11.1〜 長谷川 浩二 一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 〜R2.7.5 大村 重成  一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長  R2.7.6〜 花田 敏秀  社会福祉法人福岡市手をつなぐ育成会理事長 平井 彰   一般社団法人九州経済連合会常務理事 事務局長 枡田 充生  一般社団法人福岡市民間障がい施設協議会 理事長 R1.7.1〜 宮本 政智  一般社団法人福岡市精神保健福祉協議会理事 向井 公太  福岡市知的障がい者相談員 H30.12.28〜 森  英鷹  福岡市議会福祉都市委員会委員 安元 佐和  福岡大学医学部医学教育推進講座主任教授(小児科(小児神経学)、医学教育、障がい者医療、特別支援教育、こども虐待) 山本 稔   福岡市立若久特別支援学校校長 R1.6.1〜R3.3.31 野口 信介  福岡市立東福岡特別支援学校校長 R3.6.1〜 吉田 恒代  福岡市民生委員児童委員協議会副会長 〜R1.11.30 谷村 幸子  福岡市民生委員児童委員協議会副会長 R2.1.7〜 (301ページ) (5)健康づくり専門分科会委員(令和3年7月6日現在) 氏名     役職・専門分野等 備考 石橋 雄一  福岡市自治協議会等7区会長会代表 〜R2.6.4 小山 毅   福岡市自治協議会等7区会長会代表  R2.6.5〜 岩田 直仁  西日本新聞社論説委員会委員 大部 正代  公益社団法人福岡県栄養士会会長 R1.10.1〜 大村 重成  一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 R2.7.6〜 副分科会長 岡田 靖   独立行政法人国立病院機構九州医療センター副院長 尾籠 晃司  福岡国際医療福祉大学教授(老年精神医学) R1.10.1〜 片平 祐志  全国健康保険協会福岡支部長 R1.10.1〜 川上 陽平  福岡市議会福祉都市委員会委員 川嵜 弘詔  福岡大学医学部精神医学教室主任教授(精神医学) R1.10.1〜 吉良 潤一  医療法人社団高邦会福岡中央病院脳神経センター長 〜R3.3.31 磯部 紀子  九州大学大学院医学研究院神経内科学教授 R3.5.1.〜 下川 京子  福岡市食生活改善推進員協議会会長 R1.10.1〜 田中 泰三  一般社団法人福岡市薬剤師会会長 R1.10.1〜 分科会長 樗木 晶子  福岡歯科大学客員教授 中原 義驕@ 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会相談役 〜R1.10.31 清水 邦之  社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 R1.11.1〜 永原 絹子  一般社団法人福岡市歯科医師会常務理事 R1.10.1〜 二宮 利治  九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野教授(腎臓学、公衆衛生学、疫学) 橋本 幹生  福岡市衛生連合会会長 〜R2.7.29 山ア 一   福岡市衛生連合会会長 R2.8.11〜 鳩野 洋子  九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野教授(公衆衛生看護学) 馬場 英司  九州大学大学院医学研究院連携社会医学分野教授(腫瘍内科) R1.10.1〜 平田 泰彦  一般社団法人福岡市医師会副会長 〜R2.7.9 藤原 繁   一般社団法人福岡市医師会副会長 R2.7.10〜 松尾 りつ子 福岡市議会福祉都市委員会委員 森  英鷹  福岡市議会福祉都市委員会委員 (302ページ) 9 パブリック・コメント手続きによる市民意見募集の結果概要 (1)意見募集期間 令和3年3月1日〜令和3年3月31日 (2)閲覧・配布場所 情報プラザ、情報公開室、各区役所・出張所、各区保健福祉センター、 保健福祉局総務課などで閲覧・配布を行うとともに、福岡市ホームページにおいて公表 (3)意見の提出者数 提出者数18人・団体 (内訳:FAX7 、ホームページ3 、電子メール6 、郵送1、持参1) (4)意見の件数 意見件数62件 項目          件数  意見への対応          修 正 原案通り 1 全般     2    0  2 2 序論・総論     12   8   4 3 各論   @ 地域分野     20   9   11   A 健康・医療分野  3   1   2   B 高齢者分野 10   4   6   C 障がい者分野 15   7   8   合 計   62   29  33