資料8 緊急時受け入れ・対応拠点事業所の活動について 1,緊急時受け入れ・対応拠点について ・地域で生活する障がい児・者の緊急時の支援を行うための最終的なセーフティネットとして,介護者の急病等の緊急時に,障がい者等の一時的な受け入れ対応を行う。 ・3類型(医療的ケアを含む重度身体障がい者,強度行動障がい者,虐待・その他)1か所ずつの指定短期入所事業所に空床を確保。 ・受け入れ対応を行う事業所には,受け入れ調整や事前登録,関係機関との調整を行うコーディネーターを配置。 2,緊急時受け入れ・対応拠点事業所の利用状況 【類型T】重度身体障がい者(医療的ケア含む) 施設名:きらきら WITH YOU 運用:平成30年11月開始 29年度 緊急対応  件数 − 日数 − 体験利用 件数 − 日数 − 30年度 緊急対応  件数 1(1) 日数 4 体験利用 件数 0 日数 0 令和元年度 緊急対応  件数 11(9) 日数 70 体験利用 件数 2(2) 日数 4 事前登録実人数 障がい者 45 障がい児 18 【類型U】強度行動障がい者 施設名:か〜む 運 用:平成30年2月開始 29年度 緊急対応  件数 0 日数 0 体験利用 件数 1(1) 日数 11 30年度 緊急対応  件数 10(6) 日数 32 体験利用 件数 5(5) 日数 20 令和元年度 緊急対応  件数 6(4) 日数 24 体験利用 件数 4(4) 日数 8 事前登録実人数 障がい者 49 障がい児 2 【類型V】虐待・その他 施設名:ひまわりランド 運 用:平成29年12月開始 29年度 緊急対応  件数 3(3) 日数 68 体験利用 件数 0 日数 0 30年度 緊急対応  件数 10(10) 日数 379 体験利用 件数 0 日数 0 令和元年度 緊急対応  件数 11(9) 日数 167 体験利用 件数 0 日数 0 事前登録実人数 障がい者 1 障がい児 0 ※「件数」欄の( )は実利用者数を記載。 ※事前登録は運用開始からの総数。(令和元年度末時点) 3,事例について (1)相談があったケースで受け入れに至らなかった事例(T類型) ? 気管切開をしている乳幼児(1歳)の登録相談。 →緊急リスクのある家庭環境ではあったが、自身でカニューレの抜去行為がある為、常時目が離せずリスクが高い。抜去時の救命対応など総合的な観点から検討しお断りをした。呼吸器着用している方の事前登録相談が数件あり。 →医療ケアが対象外レベル(呼吸器管理は医療行為)であるためお断りをした。 ? 登録者の緊急受け入れ案件で、母(主介護者)の体調不良による受け入れの相談であったが、利用者自身も体調不良であった。 →福祉型施設で医師がいないため、治療などの判断ができないため対象外となり、医療型施設で受け止めとなった。 ? 医ケア有だが事前登録なしの緊急案件で、普段利用している短期入所先に空きがなく、相談が来た。担当医師はすぐに指示書を用意するといわれるが、本人の医ケアの内容などの詳細が不明であったため、受け入れを迷っていたところ、基幹センターが新たな(初回利用の)受け止め先(医療型短期入所)を探して対応した。 (2)受入がスムーズだった事例 @基幹相談支援センターとの連携 T類型 ? 緊急受け入れ中の利用者が体調不良になった際、基幹相談支援センターが主治医と連絡を取り、受診の対応をした。 ? 緊急受け入れ中の利用者が発作の群発を訴え、かかりつけ病院への救急搬送を希望され救急車の要請をした。その際、深夜3時頃にも関わらず搬送先の病院に、基幹相談支援センターの担当職員が病院に来てくれた。 ? 主介護者の入院による緊急受け入れ中、主介護者の退院のめどが立たなかったため、基幹センターの担当者が次の受け止め先(病院・施設)を探して、1週間で次の受け止め先に移行できた。 ? 医ケア有だが事前登録なしの緊急案件で、普段利用している短期入所先に空きがなく、相談が来た。担当医師はすぐに指示書を用意するといわれるが、本人の医ケアの内容などの詳細が不明であったため、受け入れを迷っていたところ、基幹相談支援センターが新たな(初回利用の)受け止め先(医療型短期入所)を探して対応した U類型 ? 普段基幹相談支援センターが関わっていない事例で緊急事態が起こったときに、基幹相談支援センターが本人の様子を実際に確認した時点で「か〜む」に連絡があり、「か〜む」も含めた関係者で担当者会議を開き、緊急利用へと至った。 ? 計画相談事業所と基幹相談支援センターが家庭の状況を把握しており、緊急利用が起こる前に緊急登録が済んでいた。加えて、リスクが高いケースでは、早めに体験利用を行い、有事の際に備えていた。 A他事業所との連携 ? 普段使っている生活介護や短期入所と連携し、受け入れ先や送迎を分担できた事例。 ? 普段利用している生活介護事業所が自費対応で2日ほど夜間に預かった事例。 ? コミュニケーション支援員派遣事業、共同支援事業で訪問看護事業所や訪問介護事業所、生活介護事業所等と連携し、引継ぎを行った事例。 4,課題 これまでの緊急対応から浮かび上がってきた課題を整理すると、「地域課題」と「対応上の課題」の2種類に分類することができる。ここでは、全類型に共通する課題と類型ごとの課題に整理した上で、「地域課題」と「対応上の課題」に分類して記載する。 (1)全類型共通の課題 (ア)移送について【地域課題・対応上の課題】 緊急対応時に家族が送迎できない場合、本人の送迎を基幹相談支援センターに対応してもらうことが多くある。 (イ)未就学児の緊急時対応【地域課題】 全類型とも未就学児に対する専門性を持ち合わせていないため、対応が難しい。また、基幹相談支援センターが相談支援を行う対象者は就学児以上となっているため、未就学児の緊急時にはどこが窓口となり対応するのか整理する必要がある。 (ウ)地域の短期入所事業所の確保【地域課題】 地域の短期入所が足りていないことから、定期利用の短期入所先を確保できていない対象者も多い。そのため、緊急時に一般の短期入所施設を探しても未契約者をなかなか受け止められないため、拠点施設に流れやすい。 (エ)体調不良・感染症時の受け入れ【対応上の課題】 家族・本人がインフルエンザ等の感染症にり患し家庭での支援が難しくなり,緊急利用を希望された際、体調不良時の対応の判断や感染拡大の観点から緊急受け入れ施設では対応が難しい。 (2)各類型特有の課題 @ T類型 (ア)移送について【地域課題・対応上の課題】 T類型では座席に座れない方やストレッチャー利用の方がいるため、普通車での移送が難しく、手段は限られてくる。 また緊急受け入れ中に、普段利用している生活介護などに通所できるとよいと思うが、移送が問題になる。 ※短期入所事業所が生活介護事業所に送迎することは算定不可 (イ)医療度の高い方(福祉型の受け入れ範囲を超える方)の緊急時の受け入れ先【地域課題】 T類型(福祉型短期入所)での対応が難しい重度の医ケア利用者の緊急時の受け入れ先が少ない。またT類型で対応できる医ケアの範囲があまり理解されておらず、登録(契約)の時点で範囲を超えていることが発覚するケースがある。 (ウ)原則利用日数の超過 1週間で自宅に帰れない場合、次の受け止め先・対応が見つからず原則日数を超えてしまうことがある。(医ケア対応可能な受け入れ先が少ないため) A U類型 (ア)自宅から出ることが難しい登録者の緊急時対応【地域課題】 本人のこれまでの経験と障がい特性により、長年家から出られずに過ごしている対象者の緊急時には、事業所に来所してもらうことが難しいことがある。また、緊急受け入れに向けた体験利用も難しい。 (イ)事前アセスメントの評価について【対応上の課題】 事前登録にあたって、本人に来所してもらうことが難しいことが多いため、行動の状態像を知るために、支援者が家庭や通所先を訪問して対象者を確認することも多い。現在の月報では相談、来所等は記録されるが、アセスメントの訪問等の件数は記録されることがない。 B V類型 (ア)利用の長期化【対応上の課題・地域課題】 緊急受け入れが原則である1週間を超えるケースがある。特に、虐待ケースや精神障がい者手帳を持つ利用者のケースは、利用が長期化する傾向がある。 (イ)アセスメント情報の不足【対応上の課題】 虐待ケースはアセスメント情報がないことがあるため、対応やコミュニケーションの難しさがある。