資料3 福岡市保健福祉総合計画の進捗状況 目次 T 総論 1ページ U 健康・医療分野 4ページ V 地域分野 38ページ W 高齢者分野 76ページ X 障がい者分野 115ページ Y 成果指標一覧 166ページ ※各施策の「取組みの方向性」の番号と「進捗状況・課題・今後の方向性」に記載する番号はそれぞれ対応している。 1ページ T 総論 2ページ 総論 計画策定の基本理念と10年後のあるべき姿 基本理念  『市民が自立し,かつ相互に連携して支え合うという精神のもとに,高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され,住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面に調和のとれた健康福祉のまちづくり』 10年後のあるべき姿 @生涯現役社会  市民がそれぞれのライフステージに応じた健康づくりや生活習慣の改善を実践し,社会全体で健康寿命の延伸に取り組み,高齢になっても健康で意欲を持ちながら地域社会で活躍しています。 A「地域の力」・「民間の力」が引き出される社会  地域全体で地域課題を共有し,地域の皆がその解決に向けて互いに助け合っています。民間企業などもそれぞれの特色を活かし,市民生活を支える存在として積極的に社会貢献を行っています。 B福祉におけるアジアのモデルとなる社会  高齢者や障がいのある人をはじめ,支援が必要な誰もが安心して地域で自立した暮らしを営める社会づくりを進め,今後,高齢化を迎えるアジアの国々のモデルとなっています。 本計画で取り組む施策の方向性 @自立の促進と支援  市民一人ひとりが,社会を構成する一員として,自ら主体的に社会参加活動や健康づくり活動に取り組めるよう,また,市民の健康づくりを支える民間活動が活性化するよう,社会全体で支援に取り組みます。 A地域で生活できる仕組みづくり  地域での見守り活動の充実を図るなど,いつまでも誰もが自信と誇りを持って住み慣れた地域で生活できる環境を整えるため,様々な形で住民同士が助け合い・支え合い活動に参画できる仕組みづくりを進めます。 B安全・安心のための社会環境整備  高齢者や障がいのある人も,地域で誰もが当たり前に暮らせるように,ユニバーサルデザインの理念に基づき,ソフト・ハードの両面からバリアフリー化を推進し,アクセシビリティの向上を図るなど,安全・安心な生活を送るための社会環境を整備します。 3ページ 1 成果指標の動向 <成果指標>  以下,3つの方向性の順。 @自立の促進と支援  指標項目(対応する目標・出典) 健康寿命の延伸(厚生労働省が発表する「日常生活に制限のない期間」の推移)  初期値 男性 70.38歳,女性 71.93歳(平成22年度)  目標値 1歳以上延伸(令和2年度)  現状値 男性 71.04歳,女性 75.22歳(平成28年度) A地域で生活できる仕組みづくり  指標項目(対応する目標・出典) 地域での暮らしやすさ(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)  高齢者:地域での支え合いにより,子育て家庭や高齢者が暮らしやすい街だと感じる市民の割合  障がい者:障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じている市民の割合  初期値 高齢者 37.3%,障がい者 34.3%(平成26年度)  目標値 高齢者 58%,障がい者 57%(令和2年度)  現状値 高齢者 38.8%,障がい者 33.5%(平成30年度) B安全・安心のための社会環境整備  指標項目(対応する目標・出典) 安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)  初期値 39.6%(平成28年度)  目標値 上昇(令和2年度)  現状値 36.7%(平成30年度) グラフ @健康寿命の延伸  以下,H22,H25,H28年度,目標値の順。  男性 70.38 71.07 71.04 71.38  女性 71.93 72.99 75.22 72.93  出典:厚生労働省が発表する「日常生活に制限のない期間」の推移 A地域での暮らしやすさ  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  高齢者 37.3 36.9 44.1 40.6 38.8 58.0  障がい者 34.3 33.3 37.2 35.6 33.5 57.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 B安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合  目標値:数値の上昇  以下,H28,H29,H30年度の順。  39.6 37.9 36.7  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 4ページ U 健康・医療分野 5ページ 基本目標1 健康づくりの推進 目標の内容 ○乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくりに取り組み,特に高齢期を迎える前の50歳から60歳代の早い段階から,科学的根拠にも基づく認知症予防など,介護予防の取組みを進めます。 ○また,市民が子どもの頃から健康づくりに関心を持ち,積極的に取り組めるよう環境整備を進めるとともに,気軽に参加できる健康づくり支援の仕組みづくりを進めます。 施策の方向性 ○「健康日本21福岡市計画」等に基づき,食事,運動,喫煙,歯・口腔などの生活習慣の改善によって,市民の健康寿命の延伸を図るとともに,家庭・職場など,暮らしやライフスタイルの違いによって生じる健康づくりの差に配慮した取組みや,乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくり,うつ病等の心の健康づくりなどに取り組みます。 ○特に認知症予防や介護予防を重点的に取り組みます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策1-1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 ●施策1-2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 ●施策1-3 女性の健康づくりの推進 ●施策1-4 次世代の健康づくりの推進 ●施策1-5 心の健康づくりの推進 ●施策1-6 地域や職場などでの健康づくりの推進 ●施策1-7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○第2期「健康日本21福岡市計画」(平成25年度〜令和2年度)に基づき,家庭,学校,地域,職場など,福岡市のあらゆる場で健康づくりを推進しており,平成29年度末に中間評価を実施した。 ○市民の自主的かつ継続的な健康づくりの普及・啓発,特定健診受診率向上に向けた取組み,自殺予防の取組みなど,こころとからだの健康づくりに関する取組みを進めている。 【課題】 ○福岡市における医療費の約4割を生活習慣病が占め,要介護原因の約7割を生活習慣病とロコモティブシンドローム,認知症が占めている。特に男性は生活習慣病,女性はロコモティブシンドロームの割合が高く,それぞれに応じた介護予防の取組みが必要である。 ○よかドックや各種がん検診などの受診率が国の目標に比べて低いため,その向上が必要である。 【今後の方向性】 ○生活習慣病の予防,ロコモティブシンドローム予防,健診受診率向上の3つの柱で,年代や性別の特性に応じた健康づくりの取組みを進めることにより,要介護の原因となる疾病の予防への重点化を図る。 6ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @健康づくりに取り組んでいる人の割合(20歳以上)(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 56.1%(平成26年度) 75.0%(令和2年度) 55.5%(平成30年度) A初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均(保健福祉局調べ)  男性:80.4歳(平成26年度) 81.0歳(令和2年度) 80.5歳(平成30年度)  女性:83.5歳(平成26年度) 84.1歳(令和2年度) 84.2歳(平成30年度) B特定健診受診率  福岡市国民健康保険+協会けんぽ(福岡市在住加入者):35.1%(平成26年度) 50.0%(令和2年度) 33.5%(平成28年度)  福岡市国民健康保険:23.1%(平成26年度) 33.0%(令和2年度) 27.2%(平成30年度) C女性のがん検診受診率(過去2年以内に受診した市民の割合)(国民生活基礎調査・保健福祉局調べ)  子宮頸がん検診:39.5%(平成25年度) 50.0%(令和2年度) 35.9%(平成28年度)  乳がん検診:37.8%(平成25年度) 50.0%(令和2年度) 37.7%(平成28年度) 7ページ グラフ @健康づくりに取り組んでいる人の割合(20歳以上)  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  56.1 54.0 54.4 53.3 55.5 75.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 A初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  男性 80.4 80.6 80.7 80.9 80.5 81.0  女性 83.5 83.5 83.6 84.0 84.2 84.1  出典:保健福祉局調べ B特定健診受診率  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。−は記載なし。  協会けんぽ及び福岡市国民健康保険特定検診受診率 35.1 36.4 33.5 − − 50.0  福岡市国民健康保険特定検診受診率 23.1 21.6 23.0 25.7 27.2 33.0  出典:福岡市国民健康保険+協会けんぽ(福岡市在住加入者),福岡市国民健康保険特定健診結果 8ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策1-1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 取組みの方向性 @住民主体で参加しやすく,地域に根差した健康づくりや介護予防を推進し,その普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります。 A高齢者の身近なところで介護予防に取り組む自主グループの支援や,高齢者一人ひとりの健康づくりの取組みなどを応援するインセンティブ制度の検討などを行います。 B生活習慣の改善から始める認知症やロコモティブシンドロームの予防に関する取組みを,市・区・校区で体系化し,高齢期前から重点的に実施することを検討します。特に大学等と連携し,科学的根拠に基づいた保健指導ツールの活用や,運動・栄養などの保健指導等による予防効果等の分析とその結果の活用など,効果的な取組みについて検討し,推進していきます。  ※認知症については,予防からケア(支援)まで切れ目なく取り組む必要があるため,認知症の人や介護する人への支援については高齢者分野の「基本目標3 認知症施策の推進」に記載します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @地域における介護予防拠点(よかトレ実践ステーション)の創出・継続支援に取り組んでいる。 <主な事業> 〇よかトレ実践ステーションの創出  主体的に介護予防に取り組む高齢者のグループを「よかトレ実践ステーション」として認定し,よかトレDVDなどの提供や団体間の交流会,サポーター養成などにより活動の継続を支援  ・よかトレ実践ステーション登録校区・地区数:  目標 市内151校区・地区に1カ所ずつ(R元年度)  現状 市内141校区・地区,登録団体数388団体(H30年度)→市内148校区・地区,登録団体数455団体(R元年8月末) A介護予防をテーマとした出張講座などを通して,介護予防に取り組む自主グループを支援している。また,保健福祉センターでは,区や校区単位で生活習慣病予防に関する健康教育などを実施している。 <主な事業> 〇生き活きシニア健康福岡21事業  保健師などが,地域で介護予防に取り組む自主グループに対して,健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座である「生き活き講座」などを開催  ・事業実施回数・参加人数:3,956回 73,066人(H29年度)→ 3,987回 72,062人(H30年度) 〇健康教育・健康相談(40歳以上65歳未満対象)  生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所などにおいて健康教育や健康相談を実施  ・健康教育:28,650人(H29年度)→ 25,306人(H30年度)  ・健康相談:19,190人(H29年度)→ 17,116人(H30年度) B大学などの連携による科学的根拠に基づいた保健指導ツールの活用については,各区保健福祉センターの保健師などに研修を行い,平成28年8月より順次利用開始し,生活習慣病の発症予測と生活改善に向けた保健指導を行っている。また,ロコモティブシンドロームについては,啓発のため動画配信やイベントなどを行っている。 <主な事業> ○50歳・60歳代から始める認知症予防  認知症予防につながる糖尿病予防などの強化を図るため,保健指導ツールを特定健診結果説明や地域での健康教育・健康相談で利用し,行動変容を促す  ・保健指導ツール活用による意識・行動変容向上割合:  目標 95%(R2年度)  現状 92%(H29年度)→95.3%(H30年度) 【課題】 @よかトレ実践ステーションについては,自主グループやふれあいサロンなど既存団体への働きかけによる登録が中心であるが,将来的には,地域で介護予防推進の機運が高まり,地域が主体となってステーションが創出されるような働きかけが必要である。また併せて,地域とのつながりが少ない方へのアプローチについても検討していく必要がある。 【今後】 @・A・B健康づくりに取り組む市民を増やすためには,健康づくりの関心が低い層を取り込む必要があることから,引き続き「自然に」「楽しみながら」健康づくりに取り組める様々な仕組みづくりを進める。健康づくりは市民一人ひとりの主体的な取組みが基本となるが,個人の努力だけでは困難な場合も少なくないことから,行政をはじめ企業,大学,NPO,市民団体,医療機関などで連携し,今後も社会全体で健康づくりを支援していく。また,個人の生活習慣は社会環境で大きく左右されることから,健康づくりだけではなく,地域づくりや社会環境の整備なども含めた「広い意味でのまちづくり」として取組みを進めていく。 10ページ ●施策1-2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 取組みの方向性 @生活習慣病の早期発見のため,保健福祉センターや医療機関などでメタボリックシンドロームに着目して実施する特定健診・特定保健指導や胃,大腸,肺,子宮,乳房などの部位で実施する各種がん検診等を受診しやすい環境の整備を進めていきます。特に退職後の男性に対し,健診や健康づくりに取り組めるよう啓発を進めます。 A生活習慣病対策を進めるにあたっては,保健福祉センターや健康づくりサポートセンターを中心に,予防に取り組んでいきます。特に,健康づくりサポートセンターでは糖尿病をはじめとする生活習慣病の重症化予防を推進します。 B口腔保健支援センターを核に,歯科口腔保健事業を総合的・効果的に推進します。 C禁煙・受動喫煙防止対策を進めるため,「福岡市たばこ行動指針」の改定を行い,たばこがもたらす健康被害についての啓発,禁煙を希望する人へのサポートなどに積極的に取り組みます。 D今後,高齢化に伴い,がん患者の増加も見込まれるため,がん患者,そのご家族及びがん患者会への支援についても検討を行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @受診しやすい環境整備には実施医療機関の協力が不可欠であるため,福岡市医師会と定例協議の場を設け,受診率向上に向けて各種の検討を行っている。また,関係団体や企業などと連携して新たな健診の場づくりや,さまざまな広報媒体や機会を活用し啓発を進めている。 <主な事業> 〇よかドック,がん検診  40〜74歳の福岡市国民健康保険被保険者を対象とした生活習慣病予防のための特定健診及び特定保健指導の実施。職場などでがん検診を受診する機会がない福岡市民に対する胃がん,大腸がん,肺がん,子宮頸がん,乳がんなどの各種がん検診の実施  ・よかドック受診者数:54,276人(H29年度)→ 56,553人(H30年度)→ 18,737人(R元年8月末)  ・がん検診受診者数:150,689人(H29年度)→ 146,928人(H30年度)→ 54,040人(R元年8月末) ○健診受診率向上  個別勧奨ハガキを送付するほか,平成30年9月に健診専用サイトを開設。また,加入する保険が異なってもワンストップで各種健診が受診できる「よりみち健診」を総合図書館や特別養護老人ホームなどを会場に実施 A-1保健福祉センターにおいて,区や校区単位で生活習慣病予防に関する健康教育などを実施している。 <主な事業> 〇健康教育・健康相談(40歳以上65歳未満が対象)  生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所などにおいて健康教育や健康相談を実施  ・健康教育:28,650人(H29年度)→ 25,306人(H30年度)  ・健康相談:19,190人(H29年度)→ 17,116人(H30年度) A-2健康づくりサポートセンターでは,糖尿病重症化予防のために,境界型を含む糖尿病の患者等(以下「患者等」という。)及び糖尿病の予備群(以下「予備群」という。)として希望者を登録し,各支援対象者に応じた支援を実施している。 <主な事業> 〇糖尿病重症化予防事業  支援計画もしくは生活習慣改善計画の策定後,半年間,健康アドバイス情報の提供,電話や面談による相談対応,かかりつけ医との連携,アンケートによる改善項目の確認を実施  ・各支援対象者年間新規登録者数:  患者等支援 150人(H29年度)→ 115人(H30年度)→ 83人(R元年9月末)  予備群支援 1,192人(H29年度)→ 2,214人(H30年度)→ 1,156人(R元年9月末) 11ページ Bすべてのライフステージに対応した歯科口腔保健事業の推進のため,大学などの関係団体から構成された会議を開催し,協議を行っている。 <主な事業> 〇各種歯科健診[歯科節目健診(歯周疾患検診),妊婦歯科健康診査)],歯科口腔保健推進協議会  ・歯科節目健診(歯周疾患検診):1,780人(H29年度)→ 1,885人(H30年度)→ 961人(R元年10月末)  ・妊婦歯科健康診査:4,696人(H29年度)→ 4,801人(H30年度)→ 2,880人(R元年10月末) C世界禁煙デーにおける禁煙啓発キャンペーンや,「たばこ対策情報サイト」の開設,健康づくりサポートセンターにおける禁煙教室を実施している。 <主な事業> 〇たばこ(喫煙)対策  喫煙対策(禁煙サポート),受動喫煙対策,COPDの普及啓発  ・成人の喫煙率の減少:  目標 男性15%,女性4%(R2年度)  現状 男性26.8%,女性7.3%(H28年度) D福岡市のホームページ内に設けた「がん患者会」のページや市政だより,区役所や公民館へのチラシ配布などにより,がんサロンや講演会など,がん患者会の活動内容について紹介を行っている。 <主な事業> 〇がん患者会の活動についての広報  ・市ホームページ「がん患者会」のページ掲載患者団体数:21団体(H29年度)→ 23団体(H30年度)→ 24団体(R元年10月末)  ・がんサロン:10カ所(H29年度)→ 11カ所(H30年度)→ 11カ所(R元年10月末) 【課題】 @関係団体や企業などとの連携をさらに強化するとともに,できるだけ簡単に受診申込みができる仕組みづくりを進める必要がある。 A糖尿病重症化予防事業の患者等支援登録者数の増加及び支援の質向上に向けた取組みを行う必要がある。 B世代ごとの口腔の状態を把握するためのデータが不足している。 C受動喫煙防止対策については,健康増進法の一部改正の公布に伴い,市としても強力に対策を推進していく必要がある。 【今後】 @引き続き関係団体や企業などと連携し,啓発の強化や健診できる場の増に努めるとともに,予約センターとコールセンターの一本化など,申込みをしやすい仕組みづくりについても検討する。 A糖尿病重症化予防事業の推進に向けて,更なる医療機関への広報,訪問活動によりかかりつけ医との連携の強化に努めていくとともに,特に患者等支援対象者に対する質の高い支援を行うため,指定管理者と連携して,症例,事業改善策の検討会などを引き続き充実させていく。 B他課で実施した調査の中で,歯科口腔保健に関する結果の詳細分析や,歯科口腔保健に特化したアンケート調査の結果分析により現状把握を引き続き行う。 C令和2年4月の改正健康増進法の全面施行後に,たばこ行動指針に変わるガイドラインなどの策定を検討する。 D今後,高齢化に伴い,がん患者の増加も見込まれるため,がん患者,そのご家族及びがん患者会への支援についても引き続き検討を行う。 12ページ ●施策1-3 女性の健康づくりの推進 取組みの方向性 @保健福祉センター等で実施する各種健(検)診の場の活用,企業や民間事業所等との連携により,ライフステージに応じた女性の健康づくりを推進します。 A若い女性の低体重(やせ)や喫煙,妊娠中の飲酒などは,本人の健康への影響だけでなく,妊娠・出産など,子どもの健康面への影響が大きいため,若い頃から,基本的な生活習慣を身につけることができるよう,取組みを進めていきます。 B女性の骨粗しょう症検査の受診促進やロコモティブシンドロームの啓発など,若い頃から要介護状態にならないための取組みを進めていきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A乳幼児健診や母子健康教育・相談などの中で,母親に対し自身の健康管理について教育,相談などを行うほか,女性向け健康セミナーを実施している。また,毎年3月の女性の健康週間には,健康管理についての啓発や婦人がん検診などを行っている。 <主な事業> 〇4か月児健診(問診)  健診時の問診で妊娠中の飲酒状況を確認  ・妊婦の飲酒率:  目標 0%(R2年度)  現状 1.7%(H29年度)→ 1.2%(H30年度) B骨粗しょう症検査の結果説明時に,骨粗しょう症やロコモティブシンドロームの予防について,リーフレットなどを用い啓発を行っている。 <主な事業> 〇骨粗しょう症検査  ・受診者数(女性):5,683人(H29年度)→ 4,977人(H30年度)→ 1,668人(R元年8月末) 〇50歳・60歳代から始めるロコモ予防  高齢前期からのロコモ予防の重要性について広報啓発  ・ロコモティブシンドロームの認知度:  目標 80%(R2年度)  現状 28.6%(H28年度) 【課題】 Bロコモティブシンドロームの認知度が低いため,認知度向上や予防啓発に向けた取組みの強化が必要である。 【今後】 Bロコモ度テスト(立ち上がりテストなどの移動機能の状態を確認)や,正しい知識と予防の大切さを啓発するイベントの実施を継続する。 13ページ ●施策1-4 次世代の健康づくりの推進 取組みの方向性 @保健福祉センターや地域団体,保育所・幼稚園,学校など関係機関と家庭が連携して,基本的な生活習慣の定着を図り,次世代を担う子どもが,自立し健康に生きる力を育むことができるよう,心とからだの健康づくりを推進します。 A乳幼児の心身の健やかな成長と疾病や障がいの早期発見・早期治療などのため,乳幼児健診を行い,必要に応じて,保健指導や関係機関への紹介などを行います。 B育児を行う親の健康づくりを支援する環境づくりにも取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A・B-1 4か月児,10か月児,1歳6か月児,3歳児を対象にした健康診査を実施し,病気の早期発見治療に努め,必要に応じて保健指導や関係機関への紹介も行っている。また,保健師や母子訪問指導員などが妊娠期や出産後に家庭訪問を実施し,育児に関する保健指導を実施している。 <主な事業> 〇乳幼児健康診査,母子保健訪問指導  ・乳幼児健康診査受診者:  4か月児健診 14,090人(H29年度)→ 13,845人(H30年度)→ 6,412人(R元年9月末)  10か月児健診 12,946人(H29年度)→ 13,098人(H30年度)→ 6,280人(R元年9月末)  1歳6か月児健診 14,158人(H29年度)→ 13,787人(H30年度)→ 6,680人(R元年9月末)  3歳児健診 14,013人(H29年度)→ 14,086人(H30年度)→ 6,864人(R元年9月末)  ・母子保健訪問指導妊産婦訪問:実11,310件 延べ13,618件(H29年度)→ 実11,897件 延べ13,834件(H30年度) @・A・B-2福岡市立小中学校では,毎年5月〜7月に新体力テストを全学年実施し,各学校の体力・運動能力の実態を把握している。各学校では「体力向上推進プラン」を作成し,児童生徒の実態や課題に応じた取組みを実施している。 <主な事業> 〇「体力向上推進プラン」作成  年度初めに,各学校の実態に応じて,体力向上に向けた具体的目標,学習や学校全体としての取組みを計画  ・作成率:  小学校144校(100%)・中学校69校(100%)(H29年度)  小学校144校(100%)・中学校69校(100%)(H30年度)  小学校144校(100%)・中学校69校(100%)(R元年度) 【課題】 @・A  ・乳幼児健康診査における診察医の確保が難しい状況となっている。  ・平成30年度全国体力・運動能力調査では,福岡市の子ども達は,小学校5年生男子の平均は全国平均を上回ったが,小学校5年生女子の平均は下回った。また,中学校2年生男子,女子の平均は全国平均と同程度であった。(全国体力・運動能力調査は小学校5年生・中学校2年生が対象) 【今後】 @・A  ・乳幼児健康診査の診察医については,今後も市医師会などを通じて医師の確保に努める。  ・引き続き,以下の取組みを続け,児童生徒の体力向上の推進に努める。小学校体育科授業に実技指導員を派遣する。中学校にダンス学習を指導するスポーツ指導員を派遣する。  ・今後も,体力向上に係る教員研修会を実施し,教員の指導力の向上を図る。 14ページ ●施策1-5 心の健康づくりの推進 取組みの方向性 @メンタルヘルスや休養・睡眠に関する正しい知識の普及啓発に努め,心の健康づくりを推進します。 A心の病気の正しい理解と早期発見・早期治療の啓発を行うとともに,精神障がいのある人や心の病のためにひきこもっている人などが,地域で安心して生活できるように,本人や家族等への相談支援体制の充実を図ります。 B自殺予防対策については,社会全体で取り組むべき課題であり,「福岡市自殺対策総合計画」に基づき,ゲートキーパー(非専門家の支援者)の養成や自殺未遂者への支援など,自殺対策を総合的に推進します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @メンタルヘルスや休養・睡眠に関する正しい知識の普及啓発の為,各保健所や精神保健福祉センターにおいて啓発資料の常時配布などを実施している。 <主な事業> ○各保健所での健康展において,うつ病予防の啓発コーナーを設置 ○うつ病予防講座  ・講座開催数,参加者数:14回,326人(H29年度)→ 16回,342人(H30年度) ○働く世代の自殺予防講演会(博多区)  ・講座開催数,参加者数:1回,28人(H29年度)→ 1回,35人(H30年度) ○会社員のための健康情報定期便(うつ病に関する情報提供や相談窓口の紹介)の配布(博多区の企業に配付)  ・配付企業数:890社(H29年度)→ 795社(H30年度) ○うつ病市民啓発講演会  ・講座開催数,参加者数:1回,143人(H29年度)→ 1回,116人(H30年度) ○「みんなの集い」,「こころの健康づくり大会」などの普及啓発イベントの共催 ○精神保健福祉啓発交流事業「ハートメディア」,「ピアサポート講座」の実施 A各保健所及び精神保健福祉センターにおける精神保健福祉相談を実施している。また,相談窓口周知のため,案内ポスター「こころの健康ガイド」を医師会,歯科医師会,薬剤 師会などへ毎年度3,000部配布している。 <主な事業> ○各保健所及び精神保健福祉センターで精神保健福祉相談を実施 ○こころの健康づくりに関する相談件数  ・相談件数:5,200件(H29年度)→ 6,617件(H30年度) ○各保健所における精神保健家族講座を実施  ・講座開催数,参加者数:62回,808人(H29年度)→ 61回,732人(H30年度) ○電話相談事業を行う団体(福岡いのちの電話,心の電話−福岡)に対する補助 B平成30年度に改定した福岡市自殺対策総合計画に基づき,自殺対策を推進しており,一般市民,保健福祉関係者や教職員などの幅広い対象に応じたゲートキーパー養成研修や,救急隊,救急病院と連携した自殺未遂者への個別支援,関係機関と自殺未遂者支援連携体制構築のための会議の開催などを行っている。また,自殺対策協議会により関係機関の自殺対策にかかる進捗管理を行っている。 <主な事業> ○ゲートキーパー養成研修  ・養成者数:594人(H29年度)→ 1,616人(H30年度)→ 1,069人(R元年8月末) ○関係機関と自殺未遂者支援連携体制構築のため,自殺未遂者連携会議を開催 ○関係機関の連携強化及び自殺対策にかかる進捗管理のため,自殺対策協議会を開催 15ページ 【課題】 Aこころの健康づくりに関する電話や窓口での相談や,うつ病予防講座の参加者数がやや増加傾向にあり,ニーズが高まっているため,相談支援体制の更なる充実が必要である。 B様々な分野におけるゲートキーパーの養成と支援,自殺未遂者支援・自死遺族支援及び若年層の自殺予防の推進を図る必要がある。 【今後】 A引き続き,こころの健康ガイドを医療機関に掲示するとともに,相談支援従事者向けの研修の実施や,関係機関との更なる連携に努め,相談支援体制を充実させる。 B引き続き,関係機関と協力し,幅広い人材を対象としたゲートキーパーの養成を行うとともに,医療・司法・保健・福祉関係者などと連携した自殺未遂者支援体制構築のための連絡会や,自殺未遂者支援者研修,教育委員会や大学などと協力した教職員や大学生など対象の研修会を開催する。 16ページ ●施策1-6 地域や職場などでの健康づくりの推進 取組みの方向性 @地域の特性に合わせ,健康づくり講座や運動・栄養・休養等のプログラムを提供する事業を実施します。実施にあたっては,校区担当制による保健師活動を中心に,地域組織や自主グループなど,住民と行政の共働による住民主体の健康づくりを推進します。 A市全体での健康づくりの機運を醸成するため,職場での健康づくりや健康食などの商品開発,健康づくりに関する地域貢献などについて積極的に取り組む企業や団体を増やすための取組みを検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @保健福祉センターにおいて,区や校区単位で生活習慣病予防に関する健康教育などを実施している。 <主な事業> 〇健康教育・健康相談(40歳以上65歳未満が対象)  生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所などにおいて健康教育や健康相談を実施  ・健康教育:28,650人(H29年度)→ 25,306人(H30年度)  ・健康相談:19,190人(H29年度)→ 17,116人(H30年度) A健康づくり月間(10月)において、企業・大学などと連携したイベントなどの集中開催・PRを実施している。また,区や校区において,地域の様々な団体で構成される健康づくり実行委員会などを設置し,ウォーキンググループの活動支援などを実施している。 <主な事業> 〇健康づくり月間の啓発 ・健康づくり月間イベント参加者数:  目標 38,000人(R2年度)  現状 24,076人(H29年度)→ 52,455人(H30年度) 〇各区における「健康フェア」の開催 〇健康日本21福岡市計画推進事業  区や校区において,地域の様々な団体で構成される健康づくり実行委員会などの設置とともに,ウォーキンググループの活動支援や健康づくり発表会の開催など,地域の特性に合わせた健康づくりの実施 【課題】 @働く人の健康づくり支援にあたっては,健康情報の提供や健診機会を拡大する必要がある。 【今後】 @健(検)診や健康に関する測定をより身近な場所で受けられるよう,多くの市民が訪れる公共施設や民間施設を活用したイベント「よりみち健診」を引き続き実施する。 17ページ ●施策1-7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 取組みの方向性 @市民が健康づくりに関心を持ち,気軽に取り組むことができるよう,様々な健康づくり支援の仕組みづくりに積極的にチャレンジします。主な事業として,健(検)診受診や健康イベントへの参加,ウォーキング等の健康活動をポイント化し,市民に還元する事業や,教室参加型ではなく,市民がいつでもどこでも好きなときに参加できる通信型健康づくり事業などを推進します。 A高齢者や障がいのある人をはじめ,誰もが健(検)診を受けやすく,また,健康づくりに取り組みやすい環境づくりを進めます。特にハード面では,安心して外出できるよう,歩道のフラット化などユニバーサルデザインに基づいた道路整備や歩道の設置等による歩車分離などを進めるとともに,身近な場所で健康づくりに取り組めるよう,公園への健康遊具の設置などを進めます。 Bまた,歴史文化・観光施設や景観の良い場所などの地域資源を活かすなど,地域で取り組んでいるウォーキングマップづくりを支援し,ウォーキングホームページなどで広報を行います。 C健康づくりに関する種々のデータ把握と,その分析など科学的根拠に基づく効果的な施策展開のための仕組みづくりを進めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・B自分にあった健康づくりに取り組むきっかけとしていただく「健康づくりフェスタふくおか」を継続開催している。ウォーキングマップについては,各区において内容見直しの検討,更新を行い,ウォーキングホームページに掲載した。 <主な事業> 〇健康づくりフェスタふくおかの開催  ・来場者数:  目標 20,000人(R2年度)  現状 32,000人(H30年度)→ 32,000人(R元年度) 〇福岡市ウォーキングホームページ掲載,更新 〇ふくおか健康マイレージ(H29年度事業終了)  ・登録者数 2,041人(H29年度) 〇ラジオ番組とのコラボレーションによるウォーキングイベントの開催  ・参加者数:575人(H30年度)→ 531人(R元年度)(申込数 2,131人(H30年度)→ 3,379人(R元年度)) A-1歩道の新設・拡幅,既存歩道の段差解消や勾配の改善,歩車分離などを実施している。 <主な事業> 〇福岡市道路整備アクションプラン2020  本市の総合計画に基づき,道路分野における中期的な方向性や目標,優先的・重点的に取り組む事業を示すもので,「アクションプラン2020」では4年間(平成29〜令和2年度)の成果指標と優先的・重点的に取り組む事業を定めている。  ・生活関連経路のバリアフリー化された割合(福岡市が管理する国道,県道,市道):  目標 98%(R2年度)  現状 86%(H29年度)→ 87.5%(H30年度) A-2都市公園の整備や再整備などにあわせ,健康遊具の設置を行った。 <主な事業> 〇健康遊具の設置  ・総数:598基(H29年度)→ 618基(H30年度) C科学的根拠に基づく効果的な施策展開の仕組みづくりに向け,市民の健康づくりに関するアンケート調査を実施し,現在,詳細分析を行っている。 <主な事業> 〇市民の健康づくりアンケート調査(R元年度)  調査対象:市内在住の20歳以上の男女5,000人  回答状況:1,766人(回答率:35.32%) 【課題】 @健康づくりの関心が低い層(特に若い世代)に対し,ウォーキングなどの普及を推進する必要がある。 A生活関連経路以外の道路に関するバリアフリー化へのニーズも多くある。 18ページ 【今後】 @ウォーキング大会と他のイベントを組み合わせて実施するなど,様々なテーマと結びつけたウォーキング大会を継続実施する。 A  ・福岡市バリアフリー基本計画に基づき,生活関連経路に位置づけられている道路のバリアフリー化を優先的に進めるとともに,それ以外の箇所においても,歩道のフラット化などユニバーサルデザインに基づいた道路整備を引き続き推進する。  ・身近な場所で健康づくりに取り組めるよう,引き続き,公園の新規整備や再整備,施設更新の機会を捉えて,地域のニーズを踏まえながら,公園への健康遊具の設置を進める。 19ページ 基本目標2 医療環境の整備 目標の内容 ○高齢者が医療や介護が必要な状態になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられるよう,在宅医療と介護が連携した体制づくりを行います。 ○また,休日・夜間を含め,市民に良質で安全な医療が提供されるよう体制を整備するとともに,高度な医療の提供体制や,外国人も安心して医療機関を受診できる環境を整備します。 施策の方向性 ○福岡市は,身近なところに多数の医療施設が存在するなど,医療環境に比較的恵まれていますが,今後の高齢者人口の増加などに伴う認知症や急性期から回復期までの幅広い医療需要の増加への対応,外国人に対応できる医療の提供など,様々なニーズに応じた医療環境の充実が必要となっています。 ○限られた医療資源の中で,市民に良質な医療を継続して提供できるよう,取り組みます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策2-1 在宅医療・介護連携の推進 ●施策2-2 認知症医療提供体制の整備 ●施策2-3 難病対策の推進 ●施策2-4 急患・災害時医療体制の充実 ●施策2-5 市立病院等の充実 ●施策2-6 医療安全等対策の推進 ●施策2-7 医療の国際化の推進 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○在宅医療と介護の連携した体制づくりのため,関係団体との会議・ワーキンググループでの検討を進めている。また,関係職種向けの研修会を実施し,啓発を図っている。 ○市立病院の高度専門医療等の提供に向けた様々な取組みにより病床利用率や紹介率が向上する等,医療提供体制の充実が図られている。 ○平成29年度に設置した福岡アジア医療サポートセンターの対応言語を拡充する等,医療の国際化に向けた医療環境の整備が図られている。 【課題】 ○在宅医療を病院が支援する体制づくりを目指しているが,区によって進捗状況が異なるため,全市的に統一した体制づくりを進めていくことが必要である。 ○市立病院等のさらなる充実を図るためには,市立病院の医療機能等についての検討や受入体制の強化等に引き続き取り組むことが必要である。 ○外国人受入れ拡大に伴い,国が進める外国人の医療環境整備事業と福岡アジアサポートセンターの事業内容が重複する可能性がある。 【今後の方向性】 ○在宅医療と介護の連携した体制づくりのために,引き続き関係団体との会議・ワーキンググループにより,進捗管理や課題についての検討を行っていく。 ○人員体制の整備等により,市立病院として提供する高度専門医療等の機能の充実を図る。 ○医療の国際化に向け,現在設置している福岡アジア医療サポートセンターの事業内容について見直す。 20ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合(保健福祉局調べ) 10.0%(平成26年度) 11.7%(令和2年度) 10.9%(平成29年) グラフ  以下,H26,H27,H28,H29年度,目標値の順。  10.0 9.5 10.3  10.9 11.7  出典:保健福祉局調べ 21ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策2-1 在宅医療・介護連携の推進 取組みの方向性 @高齢者が医療や介護が必要になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,区保健福祉センターが中核となって,いきいきセンターふくおか(地域包括支援センター)とともに,地域の医療・介護関係者と協力して,在宅医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりや医療・介護関係者のための相談支援体制づくり,情報共有システムの開発などに取り組み,高齢者本人や家族の支援に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1市医師会と福岡市で構成する「在宅医療協議会」やそのワーキンググループを開催し,在宅医療推進のための取組みについて検討している。また,医療と介護の連携体制づくりのために,社会資源情報ブックの情報更新や,多職種連携研修会,市民啓発事業などを実施している。 @-2医療や介護の関係団体と福岡市で構成する「市地域ケア会議」やそのワーキンググループを開催し,(1)〜(3)のモデル事業を実施した。平成30年度から,(1)・(2)の講座を,令和元年度から(3)のセミナーを本格実施している。  (1)働き盛り世代向け講座  (2)専門職向け地域包括ケア講座(前・後編)  (3)終活応援セミナー <主な事業> 〇多職種連携研修会  ・開催回数:23回(H29年度)→ 22回(H30年度)→ 10回(R元年10月末) 〇市民啓発事業  ・開催回数:9回(H29年度)→ 16回(H30年度)→ 4回(R元年10月末) 〇働き盛り世代向け講座  ・開催回数:15回(H29年度)→ 17回(H30年度)→ 6回(R元年10月末) 〇終活応援セミナー  ・開催回数:3回(H30年度)→ 2回(R元年10月末) 〇専門職向け地域包括ケア講座(前・後編)  ・開催回数:前編7回 後編1回(H29年度)→ 前編11回 後編8回(H30年度)→ 前編4回 後編3回(R元年10月末) 【課題】 @今後,高齢者が急増し,病床数が増えないなか,在宅医療の需要が増加することが見込まれているが,それに携わる医師の不足が懸念され,また,医療・介護関係者の連携体制や,在宅医療や高齢期の備えに関する市民の理解も十分でない。 【今後】 @引き続き在宅医療協議会やワーキンググループを開催し,在宅医療提供体制の構築に向けた各取組みについて進捗管理や課題解決を図るとともに,様々な世代へ向けた啓発を継続して行っていく。 22ページ ●施策2-2 認知症医療提供体制の整備 取組みの方向性 @福岡市医師会や認知症疾患医療センターを中心とした,早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに,かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や,かかりつけ医への助言や専門医療機関といきいきセンターふくおか(地域包括支援センター)等との連携の推進役となる認知症サポート医の養成を行います。 A認知症が疑われるが受診を拒否する人などの自宅を訪問し,初期の支援を包括的・集中的に行い,適切な医療・介護サービスにつなげていく体制をつくります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @認知症サポート医を養成し,かかりつけ医,病院勤務医療従事者,歯科医師,薬剤師に向けた,認知症対応力を向上させるための研修を実施している。 <主な事業> 〇認知症サポート医の養成  ・認知症サポート医の養成人数:  目標 2名養成(R元年度)  現状 累計25名(H29年度)→ 累計27名(H30年度)→ 累計29名(R元年9月末)  ・認知症サポート医の登録人数:37名(H30年度) A認知症初期集中支援チームについては,平成29年度より博多区と早良区でのモデル事業を実施し,平成30年度から全市において本格実施している。なお,平成30年度は「認知症サポートチーム」が4チームに増えているが,3チームは2区をシフト制で担当していたため緊急対応が必要な事例に対応できないなどの状況にあったことから,令和元年度からは各区1チーム設置と拡大している。 <主な事業> 〇認知症初期集中支援推進事業  認知症になっても本人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けるために,認知症の人やその家族に関わる「認知症サポートチーム」を配置し,早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築  ・初期集中支援事業の実施状況:  目標 7チーム設置(R元年度)  現状 2チーム(H29年度)→ 4チーム(H30年度)→ 7チーム(R元年9月末) 【課題】 @本市が養成した認知症サポート医のほかにも,認知症サポート医養成研修を修了された医師が市内の医療機関などで活躍しているため,地域の医療体制づくりの推進役として連携していく必要がある。 A「認知症サポートチーム」は,認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し,関係を作りながら適切な医療,介護サービスに繋げるため,各区における事例を通じてスキルアップが重要である。 【今後】 @市医師会,市歯科医師会,市薬剤師会などの関係機関とともに認知症対応力の向上に取り組むとともに,認知症サポート医と連携し,早期発見・早期対応につなげていく。 A認知症サポートチームのスキルアップを図りながら,活動の効果や対応について分析・評価し,事業定着に向けた検討を行う。 23ページ ●施策2-3 難病対策の推進評価 取組みの方向性 @難病には様々な症状があり,また,症状に変動があることなど,一般的には理解されにくい難の特性について十分理解した上で,在宅難病療養者の社会参加を支援し,地域で尊厳を持って生活できるよう,難病療養者とその家族の声を十分に把握しながら支援の充実に努めます。 A平成30年度(2018年度)に予定されている福岡県からの移譲事務(特定医療費〔指定難病〕助成事業,在宅人工呼吸器使用患者支援事業)のスムーズな事務事業の移行を実施するとともに,保健福祉センターほか関係機関が緊密に連携し,地域の実情に応じた体制整備を図り,医療・生活・就労等の支援ニーズに対応したきめ細かな在宅療養支援を行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A平成30年4月に指定難病に係る特定医療費の支給認定業務などが県から権限移譲されたことを契機として,住民票や所得課税証明書の提出を不要とするなど申請手続きの簡素化を図った。また,在宅で療養する重症患者への支援として公費で訪問看護を実施する在宅人工呼吸器使用患者支援事業を開始した。さらに,各区保健福祉センターで医療講演会・相談会を開催するとともに,福岡市難病相談支援センターを開設(福岡県と共同運営)し,難病患者とその家族のニーズ把握に努めながら,相談支援体制の充実を図った。平成31年4月には地域における難病患者への支援体制に関する課題について情報を共有し,地域の実情に応じた体制の整備について難病患者支援に携わる関係機関などで協議を行う福岡市難病対策地域協議会を設置し,関係機関などの相互連携の緊密化を図っている。 【課題】 @・A難病患者の長期にわたる療養と社会参加への支援をより実効性のあるものとするため,福岡県や関係機関,団体などとより緊密に連携しながら,相談支援事業をはじめとした総合的な対策を講じる必要がある。 【今後】 @・A各区保健福祉センターと難病相談支援センターを連携させながら,相談支援事業の充実を図る。また,福岡市難病対策地域協議会において,関係機関や患者団体などと協議を重ねながら,難病対策推進を図っていく。 24ページ ●施策2-4 急患・災害時医療体制の充実 取組みの方向性 @市立急患診療センター・診療所における患者の増加,特に小児科患者の増加に対応するため,必ずしも急を要しない患者はできるだけ診療時間内に診療所を受診していただくよう,市民への救急医療に関する広報・啓発の充実に取り組むとともに,安全・安心な医療を提供するため,関係機関と協議し,休日,夜間等における診療体制の確保に努めます。 A災害時における医療を確実に提供するため,医師会等との連携強化及び福岡県等との協力体制の構築を図ります。また,中長期にわたる被災者の健康維持のため,避難所等の公衆衛生対策,慢性疾患対策,心のケア等を関係機関と連携して実施します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @医療機関受診の必要性などについて相談を受け付ける小児救急電話相談(#8000)の活用などについて広報を実施している。また,受診者の増加するインフルエンザの流行時期などには急患診療センターの診療体制を強化し対応している。 A平成30年6月改訂の地域防災計画にもとづき,災害時医療について福岡県など関係機関との連携に関して検討を実施している。 【課題】 @急患診療センターの受入患者数は減少傾向にあるが,さらに不要不急の受診者を減らし,患者増加時の対応に備える必要がある。 A災害時医療のあり方について,近年国内各地で起こる地震や豪雨災害の状況を踏まえた医療提供体制や受援体制の見直しを行い,関係機関との連携方法の検討に取り組む必要がある。 【今後】 @救急医療に関する広報・啓発を引き続き実施し,より一層の充実を図る。また,関係機関と引き続き協議を行い,休日,夜間などにおける診療体制を確保する。 A引き続き,福岡県や市医師会などの関係機関と災害時の連携方法について協議・検討を実施する。 25ページ ●施策2-5 市立病院等の充実 取組みの方向性 @福岡市立こども病院においては,小児に係る地域医療及び高度専門医療を担う小児総合医療施設として,小児医療及び周産期医療のさらなる充実を図ります。 A福岡市民病院においては,高度専門医療を担う地域の中核病院としての機能を維持するとともに,高度救急医療のさらなる充実を図り,新型インフルエンザ等の感染症発生時や災害発生時においては,福岡市における対策の中核的役割を果たします。 B両病院共に地域医療支援病院としての役割を踏まえて,地域の医療機関とのさらなる連携を図ります。 C離島における島しょ診療所については,関係機関と連携し,担当医師等を安定的に確保し,島民への適切な医療提供に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市立こども病院において,小児・周産期医療の診療体制の強化のため,NICU(新生児集中治療室)とGCU(回復治療室)の病床再編,HCU(高度治療室)の専任医師増員などを行い,重症患者の円滑な受入れに努めたことにより,良質な医療の提供が行われた。  ・病床利用率:  目標 84.9%(H29年度)→ 88.0%(H30年度)→ 90.4%(R元年度)  現状 88.7%(H29年度)→ 92.7%(H30年度)→ 93.1%(R元年7月末) A福岡市民病院において,救急専門医を1人増員するなど救急受入体制のさらなる充実を図るとともに,非常用発電設備及び備蓄物品の徹底した点検や,新型インフルエンザ発生を想定した関係機関との訓練実施により,災害など発生時の体制強化を図った。  ・救急搬送件数:  目標 2,700件(H29年度)→ 2,800件(H30年度)→ 3,000件(R元年度)  現状 3,011件(H29年度)→ 3,130件(H30年度)→ 958件(R元年7月末) B両病院において,地域の医療機関からの紹介患者や救急搬送の積極的な受入れを行うとともに,医療機関向けの情報発信・研修会などを開催した。  ・紹介率:  「福岡市立こども病院」  目標 80.0%(H29年度)→ 88.0%(H30年度)→ 87.8%(R元年度)  現状 87.9%(H29年度)→ 87.8%(H30年度)→ 95.0%(R元年7月末)  「福岡市民病院」  目標 84.0%(H29年度)→ 84.0%(H30年度)→ 88.0%(R元年度)  現状 86.5%(H29年度)→ 88.8%(H30年度)→ 88.3%(R元年7月末) C玄界診療所,能古診療所は福岡市医師会を指定管理者として,小呂診療所は済生会福岡総合病院と看護師(常駐)への委託により,島民への医療提供を行っている。 【課題】 @福岡市立こども病院においては,求められる高度小児医療,小児救急医療及び周産期医療を提供する病院としての役割を果たすため,必要な病床数や医療機能などについて,医療環境の変化を踏まえながら検討を進める必要がある。 A福岡市民病院においては,地域医療構想,医療計画にて求められる高度専門医療並びに救急医療体制を提供するために必要な取組みを継続して行うとともに,災害・新型インフルエンザなどの発生時やその他の緊急時には,事業継続計画に基づき,関係機関と連携のもと,市立病院として求められる役割を果たす必要がある。 【今後】 @福岡市立こども病院において,NICU再編に伴う重症患者の増加に対応するため,さらなる対応強化に向けた取組みを行う。 A福岡市民病院において,治療に係る新たな技術の導入について積極的に検討するとともに,より重篤な救急患者の受入れを行うなど,高度専門医療・高度救急医療のさらなる充実を図る。 B両病院において,地域の医療従事者に対するオープンカンファレンスなどの研修会実施など,かかりつけ医などの支援についてさらなる充実を図る。 26ページ ●施策2-6 医療安全等対策の推進 取組みの方向性 @医療に関する患者や家族等からの相談に対し適切に対応します。また,医療施設における院内感染や事故防止のため研修会を開催するとともに,医療施設に対して良質で安全な医療の提供に向けた指導や啓発を行います。 A薬局が地域に密着し,市民の健康づくりを支援する役割を果たすことができるよう,医薬分業等の啓発に努めます。さらに,ジェネリック医薬品の使用促進について,市民への啓発に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @患者や家族などからの医療に関する相談に対し,適切に対応するとともに,医療施設に対し,院内感染や事故防止のための研修会を実施している。 <主な事業> ○医療安全相談  ・相談件数(地域医療課,各区健康課の合計):1,596件(H29年度)→ 1,707件(H30年度) ○医療施設向け研修会  ・研修会開催件数,参加者数:9回,629人(H29年度)→ 9回,662人(H30年度)  ※R元年度は11月以降8回実施予定 Aジェネリック医薬品の使用促進についての講習会を実施している。 <主な事業> ○医薬品啓発講習会  ・講習会:開催件数,参加者数(地域医療課,各区健康課の合計)6回,234人(H29年度)→ 11回,351人(H30年度)→ 2回,50人(R元年10月末) 【課題】 @患者やその家族などが,様々な手段で医療に関する情報を容易に入手できるようになり相談の内容も治療の内容から医療従事者の接遇,制度に関する問合せなど多様化している。医療過誤の判断や医療施設との交渉など,医療安全相談窓口で対応可能な範囲を超えた相談が寄せられることもあり,相談窓口の位置づけの周知を図っていく必要がある。 Aジェネリック医薬品の使用促進については,その安全性と有効性の周知を図っているところではあるが,先発医薬品からの変更を望まない患者が一定数存在しているものと推定される。さらなるジェネリック医薬品の使用促進には,この層に対するアプローチの方法を検討する必要がある。 【今後】 @相談窓口の役割を明確に周知するため引き続き福岡市ホームページにて窓口の紹介を行うとともに,各区健康課にてパンフレットを配架し,窓口業務の周知を行っていく。 A福岡県や市医師会,市薬剤師会などの関係機関と共に「福岡地区ジェネリック医薬品地域協議会」を運営し,現状分析と課題の共有に努めながら引き続き取組みの充実を図っていく。 27ページ ●施策2-7 医療の国際化の推進 取組みの方向性 @福岡県との共同事業により,福岡アジア医療サポートセンターを運営し,外国人向けに医療に関する問い合わせに対応するとともに,医療機関向けに医療通訳派遣及び電話通訳を行います。 A国家戦略特区選定を契機として,高度な医療技術を有する外国医師による診療を活用した事業などを行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @外国人向け医療環境向上のため,平成29年4月から電話通訳・医療に関する案内サービスを24時間365日対応する「外国語対応コールセンター」を設置し,サービス内容の充実を図った。H30年度には,対応言語を15から17言語に拡充した。 <主な事業> 〇福岡アジア医療サポートセンターの運営  ・医療通訳ボランティア派遣:120件(H29年度)→ 91件(H30年度)  ・医療電話通訳:281件(H29年度)→ 584件(H30年度)  ・医療に関する案内:75件(H29年度)→ 194件(H30年度) A外国医師招へい事業により,高度な医療技術を有する外国医師を招へいし,手術とその治療光景を活用した講演会を行った。 <主な事業> 〇外国医師招へい事業(H29年度終了事業)  ・講演会の開催回数・参加者数:1回 67人(H28年度)→ 1回 57人(H29年度) 【課題】 @外国人受入れの拡大に伴い,国が新たに外国人の医療環境整備に取り組むため,福岡アジア医療サポートセンターの事業内容と重複する可能性がある。 【今後】 @国が取り組む外国人の医療環境整備や医療機関の対応などを勘案しながら,福岡アジア医療サポートセンターの事業内容について見直す。 28ページ 基本目標3 健康で安全な暮らしの確保 目標の内容 ○日頃から感染症等の正しい知識の普及啓発や,発生状況を把握するとともに,万一,市民に影響が及ぶような緊急事態と判断される感染症等の発生が確認された場合は,適切な初動対応を実践し,市民への被害を最小限にとどめます。 ○また,市民が危険ドラッグなどの害悪に巻き込まれないような社会を推進するとともに,薬物等の依存症に関する相談・支援事業を充実します。 ○さらに,食の安全安心や衛生的な生活環境の確保により,市民の健康で快適な生活を実現するとともに,人と動物が共に健やかに暮らすことができる社会をめざします。 施策の方向性 ○新型インフルエンザなど感染症の脅威や危険ドラッグの乱用,あるいは食の安全を はじめとする様々な問題から市民を守り,健康で安全な暮らしを確保していく施策を 中心に取り組みます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策3-1 感染症対策の推進 ●施策3-2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 ●施策3-3 食の安全安心の確保 ●施策3-4 環境衛生の推進 ●施策3-5 動物の愛護・適正飼育の推進 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○市ホームページなどにより感染症予防に関する知識の普及啓発を行うとともに,感染症発生時には拡大抑制のための対応を適切に行い,感染症対策に取り組んでいる。 ○薬物乱用防止対策推進協議会の開催や啓発資材の配布・キャンペーンの実施,さらに,薬物等依存の専門相談や本人・家族向けの教室を開き,薬物乱用および薬物等の依存症対策に関する施策の取組みを進めているところである。 ○食品関係営業施設への監視指導や食品の抜取り検査を行うとともに,HACCPに沿った衛 生管理の導入指導や市民向け講習会を実施し,食の安全安心の確保に関する取組みを進めている。 【課題】 ○新型インフルエンザ等の感染症発生時に使用するマスクなどの資材の備蓄について,計画的に管理する必要がある。 ○薬物乱用防止対策については,大麻事犯が増加しており,市民,特に若年層への正しい知識の普及が必要である。また,薬物等依存症対策については,相談従事者等の資質向上や,地域の依存症専門機関・回復施設等の社会資源の充実が課題である。 ○食の安全については,今後義務化されるHACCPに沿った衛生管理の普及のため,本市食品衛生監視員のスキルアップが重要である。また,生または加熱不十分な鶏肉等を原因食品とする食中毒が多発しており,患者は若年層に多いことから,若年層への食品衛生に関する正しい知識の啓発も重要である。 29ページ 【今後の方向性】 ○感染症対策のために備蓄している資材の備蓄状況について,現状を把握し,適宜補充を行う。 ○薬物乱用防止については,市民向け啓発イベントや大学内での啓発活動等により,主に若者を対象に正しい知識の普及を図る。薬物等依存症対策については,依存症支援者連絡会議等を通した関係機関との連携・研修会を通したプログラムの普及を図る。 ○HACCPの講習会や研修へ積極的に参加するとともに,HACCP導入指導に関する実践的な研修を実施し,食品衛生監視員のHACCPに関する知識の習得及び導入指導のスキルアップを図る。また,食品衛生に関する正しい知識をリスクコミュニケーション事業や食品衛生月間等の様々な機会を捉えて積極的に発信する。 30ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @各種感染症の集団発生件数(季節性インフルエンザ及び食中毒を除く)(福岡市感染症発生動向調査) 21件(一〜三類感染症 3件)(平成26年度) 減少(令和2年度) 44件(一〜三類感染症 1件)(平成30年度) A食に対して安心だと感じる市民の割合(20歳以上)(市政アンケート調査) 47.7%(平成21年度〜平成23年度平均) 55.0%(令和4年度) 72.2%(令和元年度) グラフ @各種感染症の集団発生件数(季節性インフルエンザ及び食中毒を除く)  目標値:件数の減少  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度の順。  各種感染症の集団発生件数 21 6 12 13 44  一〜三類感染症 3 1 3 2 1  出典:福岡市感染症発生動向調査 A食に対して安心だと感じる市民の割合(20歳以上)  以下,H21〜23平均,H26,H27,H28,H29,H30,R1年度,目標値の順。  47.7 61.0 62.1 60.5 60.6 67.6 72.2 55.0  出典:市政アンケート調査 31ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策3-1 感染症対策の推進 取組みの方向性 @感染症発生動向調査などの情報管理の充実,市民一人ひとりの知識や意識の向上をめざした普及啓発,防疫体制の強化等を図るとともに,感染症が発生した場合には,適切な防疫活動により感染の拡大及びまん延を防止します。 A一般防疫,予防接種,結核対策,エイズ・性感染症対策,肝炎対策の推進および感染症健康危機管理体制の充実を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A市ホームページや市政だよりによる情報発信や出前講座などにより,予防接種などについての制度の周知や感染症についての正しい知識の普及啓発に努めている。感染症発生時には,保健所を中心として,感染拡大防止の指導や健康調査の実施など,適切な対応を行っている。 【課題】 @新興感染症の発生時には,事例毎に効果的な啓発を行う必要がある。 A危機管理体制の整備の一環として,新型インフルエンザなどの感染症が発生した際に使用するマスクや防護服などの備蓄を行っており,計画的な管理が必要である。 【今後】 @新型インフルエンザなど新興感染症の発生時には,市政だよりや市ホームページへの専用ページ設置など,今後も引き続き,啓発方法について個別に検討を行う。 A現在の備蓄状況を確認し,適宜補充を行う。 32ページ ●施策3-2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 取組みの方向性 @薬物に対する正しい知識の普及啓発を行うなど,市民が危険ドラッグ等の害悪に巻き込まれることがないよう薬物乱用防止対策を推進します。 Aまた,薬物等の依存症に関する相談事業や依存症の本人・家族へのプログラムに沿った教室等を開催し,薬物等の依存症対策に取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @各種の啓発活動により,市民に対し正しい知識の普及を行った。また,薬物乱用防止対策推進協議会を開催し,関係機関の連携と情報共有を図った。 <主な事業> 〇市民に対する啓発活動  薬物乱用防止対策は正しい知識の普及が重要であるため,市民,特に若年層に向け,効果的な啓発を実施  ・学校への啓発資材配布(大学・短期大学・専修学校):19,560部(H29年度)→ 11,400部(H30年度)→ 4,313部(R元年10月末)  ・薬物乱用防止街頭キャンペーン(NO DRUG,KNOW DRUGキャンペーン及びイベント):キャンペーン期間2カ月,イベント1回(H28〜H30年度) 〇薬物乱用防止対策推進協議会  関係機関の連携と情報共有を図るため,関係団体,行政,警察,大学などを委員とする薬物乱用防止対策推進協議会を開催  ※R元年度は8月6日に開催 A薬物依存症の専門相談,依存症の本人,家族を対象に認知行動療法を用いた教室を実施した。 <主な事業> 〇薬物などの依存症に関する相談事業  専門相談を継続して実施  ※専門相談(毎週火・木 10:00〜13:00)  ・相談件数:電話68件,面接93件(H29年度)→ 電話85件,面接74件(H30年度)→ 電話51件,面接32件(R元年9月末) 〇依存症の本人・家族向けの教室  本人・家族向けの教室を継続して実施  ・アルコール家族教室(1クール5回×年間2クール):10回 延べ38名(H29年度)→ 10回 延べ28名(H30年度)→ 5回 延べ28名(R元年9月末)  ・薬物依存症家族教室(1クール5回×年間2クール):10回 延べ50名(H29年度)→ 10回 延べ43名(H30年度)→ 5回 延べ20名(R元年9月末)  ・薬物使用をやめたい方・やめ続けたい方への回復支援プログラム(月2回):24回 延べ124名(H29年度)→ 24回 延べ72名(30年度)→ 12回 延べ42名(R元年9月末) 【課題】 @薬物乱用問題は年々複雑化しており,危険ドラッグによる事件などは落ち着いたものの,大麻事犯が増加傾向である。また,特に若年層の間で,インターネットなどにおいて誤った情報が広がっていることが懸念されている。薬物乱用問題への対策として,まずは,市民へ薬物の正しい知識を普及することが重要である。 A  ・薬物に対する正しい知識の普及啓発を行うために,関係機関と協力して地域の実情に合わせた効果的な啓発事業を進める必要がある。また,薬物問題を抱える本人・家族は孤立しやすい傾向にあるため,機会を逃すことなく支援に繋げられるよう,相談従事者などの資質向上を図っていく必要がある。  ・薬物などの依存症に関する相談件数は増加し,市民のニーズは大きいと考えられる。回復支援プログラムでは就労などにより教室に参加できなくなる参加者も多いため,教室参加中に自助グループなどの継続して参加できる場へ繋いでいくことや,多様なニーズへの対応に向けて,地域の依存症専門医療機関や回復支援施設などの社会資源を充実する必要がある。 33ページ 【今後】 @市民向けの啓発イベントの開催や大学内での啓発などにより,大学生などの若者を対象に,引き続き薬物の正しい知識や薬物乱用の害などについて認識を深めてもらう。 A  ・依存症支援者連携会議などを通して築いた関係機関とのネットワークを活かしてニーズを把握し,引き続き研修の計画や支援を行っていく。また,他の事業においても様々な機会において薬物依存問題について触れ,引き続き幅広く啓発を行っていく。  ・依存症の本人・家族の支援については,地域で継続して支援が受けられるよう,医療機関や回復支援施設など関係機関との連携をさらに強化していく。また,依存症者やその家族が,適切な治療や支援に容易にアクセスできるよう,必要な情報の収集,提供などを行う。  ・国の依存症対策事業の動向を注視し,引き続き相談支援体制の充実を図る。 34ページ ●施策3-3 食の安全安心の確保 取組みの方向性 〇食の安全安心を確保するためには,食品関連事業者及び行政機関がそれぞれの責務を果たすとともに,消費者にもその役割を果たしていただくことが必要です。福岡市は,自らの責務を果たすために今後とも以下の施策に取り組みます。 @食の安全確保  食品関連事業者に対する監視指導や食品の抜き取り検査を効果的・効率的に実施するとともに,食品関連事業者による自主的な衛生管理を推進するため,個々の食品関連事業者に応じた適切な支援を行います。 A食の安心確保  消費者が食の安心を感じるためには,食の安全が確保された上で,消費者が正しい情報を入手し,その情報に基づき食を取捨選択できることが大切であると考えています。食に関する情報が氾濫する中,正確な情報を提供し続けるとともに,リスクコミュニケーション等を通して消費者の情報を読み解く力を高めていくよう支援に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1食品関連事業者に対する監視指導を実施している。 <主な事業> 〇食品関係営業施設の監視指導  施設基準,管理運営基準などの遵守状況の確認及び指導  ・食品衛生法の許可を要する施設及び食品衛生法の許可を要しない施設(福岡県 食品取扱条例の許可を要する施設を含む。)に対する監視件数(福岡市内食品関係営業施設数,延べ監視件数):47,996施設,65,185件(H29年度)→ 48,100施設,61,071件(H30年度)→ 48,245施設,13,419件(R元年6月末) 〇食品の抜き取り検査(収去検査)  工場,販売店などから抜き取った食品などの規格基準などの確認  ・収去検査における検査検体数:3,307検体(H29年度)→ 3,384検体(H30年度)→ 798検体(R元年6月末) @-2食品関連事業者による自主的な衛生管理(HACCP)への取組みを支援した。(〜H29年度) <主な事業> 〇福岡市HACCP型衛生管理導入支援事業(H29年度事業終了)  食品関連事業者に対するHACCP講習会の実施及び食品関係営業施設への民間コンサルタント派遣によるHACCP型衛生管理導入の支援  ・HACCP導入型衛生管理開始届の届出数:  目標 届出数の増加  現状 届出数21(H28年5月)→4 8(H30年3月) ・食品関連事業者向けHACCP講習会実施回数:3回(受講者数161名)(H29年度) ・食品関係営業施設への民間コンサルタント派遣回数:16回(対象2施設)(H29年度)  ※H30年6月に公布された改正食品衛生法によって,原則全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理が制度化(義務化)されたことから,H30年度以降は「事業者による自主的な衛生管理(HACCP)への取組み」については「支援」から「指導」に位置付けを変更し,必要な指導を上記の「監視指導」に包含して実施。 A市民に対し,食の安全安心の確保に関する情報提供を行っている。 <主な事業> 〇食の安全安心の確保に関する市民向け講習会の実施  ・講習会実施回数:268回(H29年度)→ 257回(H30年度) 〇市民向け生活衛生情報誌「暮らし上手のヒント」の発行  ・発行媒体数及び冊子発行部数:  発行媒体数 3媒体(フリーペーパー・WEB・冊子)(H30年度)  冊子発行部数 20,000部(H30年度) 〇カンピロバクタ−食中毒に関するリスク周知(大学生向け)  ・対象学校数:市内大学21校及び専門学校85校(H29年度)→ 市内大学など92校(H30年度) 35ページ 【課題】 @平成30年6月に,「HACCPに沿った衛生管理」が,法に基づく制度として位置づけられた。当該制度への円滑な移行を実現するためには,食品関連事業者に対して,効果的な指導・助言を行うことが重要であり,本市食品衛生監視員のHACCPに関する知識・スキルをより一層高める必要がある。 A食の安全安心の確保に関する知識と理解を深めるため,SNSやホームページ,リーフレットなどを用いて市民に情報提供しているが,加熱不十分な食肉類を原因とする食中毒事件は依然として多発していることから,食中毒リスクに関する正しい知識の啓発を行う必要がある。 【今後】 @HACCPの講習会や研修へ積極的に参加するとともに,HACCP導入指導に関する実践的な研修を実施し,食品衛生監視員のHACCPに関する知識の習得及び導入指導のスキルアップを図る。 A食品衛生に関する正しい知識を,リスクコミュニケーション事業や食品衛生月間などの様々な機会を捉えて積極的に発信する。 36ページ ●施策3-4 環境衛生の推進 取組みの方向性 @公衆浴場等の営業施設や貯水槽設置者に対する監視指導を実施するとともに,社会福祉施設に対して衛生上の助言や啓発を行います。 A火葬需要の推移を見ながら,適切な時期に火葬炉の整備を検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @立入検査計画などに基づいて各種施設への監視指導および衛生上の助言や啓発を実施している。 <主な事業> ○公衆浴場への監視指導  目標 公衆浴場への監視指導件数 延べ1,170件(H28〜R2年度)  現状 635件(進捗率54%)(H29年度) →912件(進捗率78%)(H30年度) →931件(進捗率80%)(R元年6月末) A火葬件数の伸びはおおむね予想どおり推移している。  ・火葬件数:10,623件(H29年度) →10,612件(H30年度) →5,248件(前年同月比+240件)(R元年9月末) 【課題】 @苦情,調査など立入に時間のかかる施設が増加しており,従来よりもより効率的に監視指導などを行う必要がある。 A将来的な火葬需要に対する火葬炉増設の必要性,既存火葬炉更新時期,火葬炉運用方法見直しなどが検討課題となっている。 【今後】 @引き続き計画などを見直すなどして,効率化を図る。 A上記課題も含めた施設整備検討を委託調査で実施中である。 37ページ ●施策3-5 動物の愛護・適正飼育の推進 取組みの方向性 @犬猫殺処分頭数ゼロに向けて,終生飼育及び不妊去勢手術等の啓発を飼い主に対して行うとともに,高齢者等が飼育困難となる前の早期発見に努めます。 A犬の登録や狂犬病予防注射に関する啓発を推進します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @離乳前子猫の譲渡を推進すべく,ミルクボランティア事業を実施した。 <主な事業> ○ミルクボランティア事業  動物愛護管理センターに収容された離乳前子猫を,市民ボランティアが概ね2カ月齢に達するまで哺育し,譲渡可能な子猫の数を増やすとともに殺処分数の削減を図るもの  ・離乳前子猫の譲渡頭数:  目標 100頭(H30年度)  現状 60頭(H29年度) →80頭(H30年度) →43頭(R元年9月末) A平成31年4月,令和元年5月に,狂犬病予防集合注射を実施したほか,狂犬病予防啓発キャンペーンとして,街頭での啓発を実施した。 <主な事業> ○狂犬病予防  ・登録犬すべてに対する年1回の予防注射実施(注射率):  目標 100%(R6年度)  現状 54.4%(H29年度)→ 53.6%(H30年度) 【課題】 @ミルクボランティアの登録数は56組(R元年9月末)であるが,離乳前子猫の収容頭数が最も多い第1四半期に対応するためにも登録数を増やす必要がある。 A狂犬病予防注射率が50数%で推移しており,狂犬病予防注射の必要性を認識していない市民が相当数存在する。 【今後】 @ミルクボランティアの通年公募を継続し,登録数の増加に努める。 A犬猫パートナーシップ店制度や様々な啓発イベントの実施により,狂犬病予防注射の必要性について啓発していく。 38ページ V 地域分野 39ページ 基本目標1 地域の絆づくり 目標の内容 ○子どもから大人まで,地域で生活する様々な人が楽しく顔の見える関係をつくる,地域づくりを進めます。 施策の方向性 ○自治会・町内会など小さなコミュニティを大切にし,見守りや防災といった支え合い・助け合い活動につながるような,住民相互の顔の見える関係づくりに取り組みます。 ○多くの住民が気軽に立ち寄り,交流できる「場づくり」を進めます。 ○地域の福祉課題を知り,住民の共働により取り組む地域福祉活動を確認し合う場を設け,話し合いの結果をプランとして「見える化」します。 ≪施策事業の体系≫ ●施策1-1 絆づくりの推進 ●施策1-2 校区・地区の目標づくりへの支援 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○コミュニティの醸成を図るため,「地域デビュー応援事業」を実施するほか,自治協議会などの地域での取組みを紹介するコミュニティ通信を作成している。また,地域活動の事例発表を行う“共創”自治協議会サミットを開催し,自治協議会などの特色のある取組事例などの情報共有を図っている。 ○福岡市社会福祉協議会が実施している,「ふれあいサロン」や「地域カフェ」,「家族介護 者のつどい」などの多様な居場所づくりに向けた,地域住民,地域団体,公民館や地域の事業所・施設などとの連携・協力体制づくりに向けたコーディネートや立ち上げ・運営に関する取組みを支援している。 ○福岡市社会福祉協議会における「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施している。また,地域の現状と課題を共有し,まちづくりの将来像や目標像などを策定しようとする校区を支援するため,校区住民を中心としたワークショップなど(校区ビジョン策定支援)を実施している。 【課題】 ○住民のコミュニティへの帰属意識が希薄化しており,自治会・町内会においても地域活動の担い手不足・固定化などが課題である。福岡市は,単身世帯,共同住宅,人口移動が多いため,地域コミュニティ意識が希薄化しやすい都市特性にある。 ○集いの場を立ち上げた後のプログラムの企画や運営,担い手の確保など継続した支援が必要である。 ○「校区福祉のまちづくりプラン」に基づく取組みを推進していくためには,策定後も継続的な支援が必要である。また,地域自主活動の醸成には地域差が発生し,その活動の進捗状況は様々である。さらに,活動の支援方策が多岐にわたり,行政内の複数の所管を全体調整する仕組みが煩雑になっている。 【今後の方向性】 ○地域活動にもっと興味を持ち,身近に感じていただけるよう,コミュニティ通信の掲載や共創自治協議会サミットの開催を継続するほか,自治協議会が主体的に行う地域活動を引き続き支援するとともに,住みよいまちづくりに向け,「共創」の取組みを進める。 ○地域の事業所・施設,病院,企業などとの連携・協力体制づくりを進め,地域貢献活動などのコーディネートを行うことにより,集いの場でのプログラムの企画や運営・人材の支援していく。 ○「校区福祉のまちづくりプラン」の策定及びこれに基づく具体的な取組みの早期実施に向けて,福岡市社会福祉協議会における取組みを支援していく。 40ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の策定校区数(校区社協会長アンケート) 1校区(平成26年度) 96校区(令和2年度) 46校区(平成30年度) A公民館の利用率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 24.7%(平成26年度) 50.0%(令和4年度) 23.6%(平成30年度) グラフ  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。 @校区福祉のまちづくりプランの策定校区数  1 14 22 24 46 96  出典:校区社協会長アンケート A公民館の利用率  24.7 24.2 28.2 24.8 23.6 50.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 41ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策1-1 絆づくりの推進 取組みの方向性 @身近で,楽しく,魅力ある活動が行われるよう,地域団体による様々な活動の実施を支援します。 A楽しい活動や参加する人のやりがいや生きがいにつながるような取組みを増やすため,地域の特性を生かした様々な工夫や人材の活用などを行っている他の地域の先進事例の共有化を図ります。 B自治協議会や自治会・町内会の活動状況を地域住民に広く周知することにより,自治会・町内会の役割の重要性と加入の必要性への理解を促進します。 C地域コミュニティの重要性について,マンションオーナーや管理会社への理解の促進を図ります。 D地域が行う絆づくりへの支援の充実を検討します。 E地域住民が気軽に立ち寄れる,地域住民等の運営によるふれあいサロンや地域カフェなど,人と人とのつながりを豊かにする様々な集いの場の立ち上げや運営を支援します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @自治会などの地域活動への新たな参加者の広がりや新たな担い手の発掘など,コミュニティの醸成を図るため,「地域デビュー応援事業」として,三世代交流事業など,自治会・町内会が行う住民相互の交流促進を図る事業を支援している。 <主な事業> 〇地域デビュー応援事業  自治会・町内会が行う,幅広い世代の住民が気軽に楽しく参加し,交流できるような工夫を凝らした新たな取組みの支援  ・申請数・参加者数・地域デビュー数:219件申請,34,837人が参加し,うち7,607人が地域デビュー(H29年度)→ 155件申請,23,983人が参加し,うち5,875人が地域デビュー(H30年度) A自治協議会などの地域での取組みを紹介するコミュニティ通信を作成し,年2回市ホームページに掲載している。また,地域活動の事例発表を行う“共創”自治協議会サミット(年1回約700名参加)を開催し,自治協議会などの特色のある取組事例などの共有を図っている。 B転入者に対し,自治会・町内会活動の重要性をPRするチラシを市民課窓口で配布するとともに,自治会・町内会長が加入を呼びかける際に活用できるチラシを提供している。また,平成29年度に,自治会・町内会長向けの「集合住宅向け自治会・町内会加入促進のてびき」,集合住宅入居者向けの「集合住宅入居者用パンフレット」を作成し,各自治会・町内会に配布している。 C集合住宅住民の自治会・町内会への加入促進に向けて,UR都市機構,福岡県宅建協会などとの協議を実施している。中でも,西区では,西区自治協議会会長会,福岡県宅建協会福岡西支部,西区役所の三者で,校区自治協議会並びに自治会・町内会が取り組む安全・安心で明るく住みよいまちづくり活動について,連携して取り組んでいく旨の協定を締結し,年1回程度の意見交換会を開催している。 D平成28年度から自治協議会への補助金を「自治協議会共創補助金」として拡充するとともに,地域の実情に応じ,柔軟に活用できるよう見直しを行っており,地域において絆づくりなどが進められている。 42ページ E福岡市社会福祉協議会が実施している,「ふれあいサロン」や「地域カフェ」,「家族介護者のつどい」などの多様な居場所づくりに向けた,地域住民,地域団体,公民館や地域の事業所・施設などとの連携・協力体制づくりに向けたコーディネートや立ち上げ・運営に関する取組みを支援している。 <主な事業> 〇多様な居場所づくりの支援  ふれあいサロンや地域カフェ,家族介護者のつどいなど,住民の様々な交流の場づくり(立ち上げ,運営)の支援  ・ふれあいサロン参加者数(実人数):9,541人(H29年度)→ 9,323人(H30年度)→ 8,911人(R元年9月末)  ・地域カフェ(社協把握)数:135カ所(H29年度)→ 151カ所(H30年度)→ 166カ所(R元年9月末)  ・家族介護者のつどい実施箇所数:市域2カ所,地域19カ所(H29年度)→ 市域2カ所,地域18カ所(H30年度)→ 地域8カ所(R元年9月末) 【課題】 @「地域デビュー応援事業」については,「組長未選出のマンションから組長を引き受けてくれる方がみつかった」,「自治会未加入者から加入の申し出があった」など,一定の成果は上がっているものの,依然として地域活動の担い手不足・固定化が課題となっている。 A・B・C住民のコミュニティへの帰属意識が希薄化しており,自治会・町内会においても地域活動の担い 手不足・固定化などが課題である。福岡市は,単身世帯,共同住宅,人口移動が多いため,地域コミュニティ意識が希薄化しやすい都市特性にある。  ・単独世帯:49.7%(指定都市1位(H27年))  ・共同住宅:76.9%(指定都市1位(H27年))  ・人口移動の多さ(居住10年未満人口比率):51.4%(指定都市1位(H27年)) D今後も地域が継続的に活動していくための支援が必要である。 E集いの場を立ち上げた後のプログラムの企画や運営,担い手の確保など継続した支援が今後も必要である。特に,「ふれあいサロン」については、参加者の固定化やボランティアの高齢化が課題となっており,新規参加者の受入れや後継者の育成を行っていく必要がある。 【今後】 @継続的支援やその他の自治会・町内会活動の支援策について検討していく。 A住民が地域活動にもっと興味を持ち,身近に感じていただけるよう,コミュニティ通信の掲載や共創自治協議会サミットの開催を継続する。 B自治会・町内会への加入促進チラシ及び集合住宅向けの手引き,パンフレットの配布・提供を継続する。 C必要に応じて,UR都市機構や福岡県宅建協会などの不動産関連団体などと,自治会・町内会への加入促進などに向けた連携について,協議を行っていく。 D「自治協議会共創補助金」などにより,自治協議会が主体的に行う地域活動を引き続き支援するとともに,住みよいまちづくりに向け,「共創」の取組みを進める。 E地域の事業所・施設,病院,企業などとの連携・協力体制づくりを進め,地域貢献活動などのコーディネートを行うことにより,集いの場でのプログラムの企画や運営・人材の支援を引き続き行う。また,担い手確保に向けたボランティア養成講座を実施するほか,様々な機会を捉えてふれあいサロンなど活動の更なる周知を図るとともに,いきいきセンターなど関係機関との情報共有を行い,様々な集いの場の立ち上げや運営を積極的に支援していく。 43ページ ●施策1-2 校区・地区の目標づくりへの支援 取組みの方向性 @地域住民が自分たちの住む地域の課題を主体的に考え,共有し,解決に向けて取り組んでいくために,校区社協や自治協議会等の地域団体による「校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)」の策定を福岡市・区社会福祉協議会(以下,この部において「社協」という。)と連携して支援していきます。 A地域住民が自分の地域に愛着が持てるよう,地域の魅力や特性を住民が共有し,幅広い多くの住民の参画により,楽しくまちづくりに取り組めるよう支援します。 B様々な地域情報の「見える化」を図り,校区保健福祉事業懇談会等において積極的に提供します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市社会福祉協議会における「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施している。 <主な事業> 〇校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の作成支援  住民が地域の課題を共有し,めざす姿や解決策を話し合う場(福祉座談会など)を設け,地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し,住民などへ広く周知する取組みを支援  ・プラン策定校区数:34校区(H29年度)→ 46校区(H30年度)→ 46校区(R元年9月末) A校区ごとの人口動態などの各種統計データなどを整理した「校区データ集」を作成しホームページに掲載している。また,地域の現状と課題を共有し,まちづくりの将来像や目標像などを策定しようとする校区を支援するため,校区住民を中心としたワークショップなど(校区ビジョン策定支援)を実施している。 <主な事業> 〇校区ビジョンの策定支援  ・ワークショップ実施数,参加者数:1校区にて実施,40人参加(H29年度)→ 1校区にて実施,40人参加(H30年度) B-1主に小学校区での地域ケア会議開催を通して,地域包括ケアの理念を共有しつつ,地域特性に応じた自主活動の必要性について地域住民や医療・介護の専門職間で共有するように努めた。一部の地域では,共有した地域ニーズについて,地域自主活動を検討するなど,具体的な地域での支え合いにつながった。 <主な事業> 〇高齢者地域支援会議(小学校区レベルの地域ケア会議)  小学校区レベルの“地域ケア会議”として,それぞれの地域の実情に合わせた取組みにつなげるため,地域住民,関係機関・団体,いきいきセンター(地域包括支援センター),行政などが,地域の高齢者の課題について意見交換を実施  ・会議実施校区・地区数:138校区・地区(H29年度)→ 139校区・地区(H30年度) B-2出生,死亡,要介護認定数,健診受診率などの統計情報について,校区単位で経年変化をグラフ化し,校区保健福祉事業懇談会などで提示して,地域課題を検討する材料として活用している。 <主な事業> 〇校区保健福祉事業懇談会  地域と共働による保健福祉事業を推進するため,校区の各団体代表と校区の保健福祉の課題などについて情報を共有するとともに,方針や連携体制について協議を実施  ・校区懇談会実施数:150地区,2,771人(H29年度)→ 150地区,2,786人(H30年度) 44ページ 【課題】 @校区において「校区福祉のまちづくりプラン」に基づく取組みを推進していくためには,策定後も継続的な支援が必要である。 B  ・高齢化の状況,地域資源,地域ニーズにより,地域自主活動の醸成には地域差が発生し,その活動の進捗状況は様々である。また,活動の支援方策が多岐にわたり,それらを全体調整する仕組みが複雑になっている。  ・従来のシステムからのデータだけではなく,今後は医療費や健診結果,介護費なども含めた福岡市データ分析システム「ケアビジョン」を活用し,地域情報の更なる見える化を図る必要がある。 【今後】 @「校区福祉のまちづくりプラン」の策定校区数は増加しているところであり,未策定校区におけるプランの策定や策定したプランに基づく具体的な取組みの実施に向けて,引き続き,福岡市社会福祉協議会における取組みを支援していく。 B今後も市レベルの地域ケア会議にて,市民局や住宅都市局など他局も含め,情報共有し,地域ニーズに応じた支援に努めていく。 45ページ 基本目標2 活動団体への支援と連携 目標の内容 ○地域福祉推進の柱である社会福祉協議会や民生委員・児童委員(以下,この部において「民生委員」という。)への支援とともに,様々な活動団体への支援と連携を図ります。 施策の方向性 ○市民福祉の向上に多大な役割を担う社会福祉協議会の活動を支援するとともに,連携して地域福祉を推進します。 ○社会福祉の精神をもって,常に住民の立場に立って相談に応じ,必要な援助を行う民生委員の活動を支援するとともに,負担軽減等の支援策を進めます。 ○社会福祉法人,ボランティアグループ,NPO,企業,大学等の地域福祉活動への参画を促進します。 ≪施策事業の体系≫ ●施策2-1 社会福祉協議会への支援と連携 ●施策2-2 民生委員への支援と連携 ●施策2-3 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○福岡市社会福祉協議会が策定した「第5期地域福祉活動計画」に基づく取組みや「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施した。 ○敬老祝金やシルバー手帳の配布,災害時要援護者台帳調査の終了により,福岡市からの依頼業務について,負担軽減につながった。また,平成27年度からの地域包括支援センター(いきいきセンター)の設置拡大や,平成30年度からのスクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置により,民生委員が活動しやすい体制を整えた。平成29年は民生委員制度創設100周年の年であり,福岡県民生委員児童委員協議会とともに博多どんたくパレードに参加するほか,街頭キャンペーンなども実施した。 ○福岡市社会福祉協議会が実施している,福祉施設などが実施している地域貢献の取組みなどの事例発信や各種ボランティア養成講座などの取組みを支援している。さらに,企業の地域貢献活動を推進することを目的とした「CSRセミナー」や勤労者のボランティア,社会貢献活動を推進することを目的にした「企業ボランティア育成事業(勤マルの日)」や企業の社会貢献活動取組事例集の作成などの取組みを支援した。 【課題】 ○「第5期地域福祉活動計画」に基づく取組みについては,取組みに対する支援の推進にあたり,目標設定や取組みの進捗状況などを適宜把握する必要がある。また「校区福祉のまちづくりプラン」に基づく取組みを推進するためには,策定後も継続的な支援が必要である。 ○民生委員に対する地域住民の認知度が低下傾向であり,広報活動を引き続き実施していく必要がある。また,民生委員活動については,なり手不足が生じている。 ○企業ボランティア育成事業などの取組みについては,より参加しやすい多様なプログラムを提案するなど,取組内容や企業などへの効果的な働きかけの検討が必要である。 【今後の方向性】 ○引き続き,福岡市社会福祉協議会との連携を密にしながら,「第5期地域福祉活動計画」に基づく取組みや「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施する。 ○民生委員が行っている相談業務や行政機関などへの協力業務など本来業務も含め,民生委員としての活動範囲について,一定の整理を行っていく。また,欠員地区のカバー体制についても,検討を進める。さらに,あらゆる機会を通じ,民生委員活動の広報に努めるとともに,民生委員が活動しやすい環境づくりに努め,なり手不足の解消を図っていく。 ○社会福祉協議会と連携し,社会福祉法人やNPO法人,企業など多様な主体が,地域貢献活動をするために必要なノウハウや検証を行うなど,多様な主体に向けた取組みの効果的な支援を図る。 46ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @民生委員・児童委員活動を負担に感じている割合(保健福祉局調べ) 70.6%(平成24年度) 50.0%(令和2年度) 63.8%(平成29年度) A校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の策定校区数【再掲】(校区社協会長アンケート) 1校区(平成26年度) 96校区(令和2年度) 46校区(平成30年度) グラフ A校区福祉のまちづくりプランの策定校区数  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  1 14 22 34 46 96  出典:校区社協会長アンケート 47ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策2-1 社会福祉協議会への支援と連携 取組みの方向性 @福岡市の地域福祉を連携して推進していくため,市社協「第5期地域福祉活動計画」(平成28年度〔2016年度〕〜平成32年度〔2020年度〕)の実施を支援します。 A地域住民が自分たちの住む地域の課題を主体的に考え,共有し,解決に向けて取り組んでいくために,校区社協や自治協議会等の地域団体による「校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)」の策定を社協と連携して支援していきます。【再掲】 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市社会福祉協議会が策定した「第5期地域福祉活動計画」に基づく各種の取組みに対する支援を実施している。  ・小地域福祉活動の推進  ・ボランティアによる社会参加の拡大  ・生活課題解決モデル開発など A福岡市社会福祉協議会における「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施している。 <主な事業> 〇校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の作成支援  住民が地域の課題を共有し,めざす姿や解決策を話し合う場(福祉座談会など)を設け,地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し,住民などへ広く周知する取組みを支援  ・プラン策定校区数:34校区(H29年度)→ 46校区(H30年度)→ 46校区(R元年9月末) 【課題】 @「第5期地域福祉活動計画」に基づく取組みに対する支援にあたり,目標設定の状況や取組みの進捗状況などを適宜把握する必要がある。 A校区において「校区福祉のまちづくりプラン」に基づく取組みを推進していくためには,策定後も継続的な支援が必要である。 【今後】 @引き続き,福岡市社会福祉協議会との連携を密にしながら,目標設定にかかる現状把握などを行い,「第5期地域福祉活動計画」に基づく取組みを支援する。 A「校区福祉のまちづくりプラン」の策定校区数は増加しているところであり,未策定校区におけるプランの策定や策定したプランに基づく具体的な取組みの実施に向けて,引き続き,福岡市社会福祉協議会における取組みを支援していく。 48ページ ●施策2-2 民生委員への支援と連携 @民生委員は,住民の身近な相談役・支援者であり,行政とのパイプ役として地域福祉の重要な役割を担っていますが,業務は年々増加しており,福岡市や社協と共働して取り組んでいる事業の見直し等を行うなど,負担軽減に取り組みます。 A民生委員のスキルアップのため,必要な各種研修等を実施し,必要な知識や技能の習得を支援します。 B民生委員の活動を市民に知ってもらうため,広報の推進を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @敬老祝金やシルバー手帳の配布,災害時要援護者台帳調査の終了,及び平成30年度から全中学校校区にスクールソーシャルワーカーを設置したことに伴い,福岡市からの依頼業務などについて,負担軽減につながった。また,福岡市が実施する健康づくりなど参加勧奨のため,高齢者名簿を貸与することとし,民生委員の訪問活動がしやすい体制を整えている。また,様々な機関などからの依頼事項について,内容を厳選することで,民生委員の負担軽減に努めている。 A新任研修,中堅研修,地区会長・副会長研修及び主任児童委員研修を実施している。また,各区でも専門部会研修を実施するほか,地区においても視察研修などを実施している。さらに,全国民生委員児童委員連合会が主催する各種研修についても,内容に応じて参加者を選定し受講している。 B民生委員活動強化週間を中心に,福岡市及び各区において,横断幕やポスターの掲示,デジタルサイネージの放映などを行っている。 【課題】 @福祉分野のみならず,災害対策や消費者保護,交通事故防止など幅広い分野で,福岡市や福岡市社会福祉協議会などからの依頼事項が多い。また,福祉関係団体をはじめ,多様な機関・団体からの役員就任依頼が増加している。 A民生委員活動の多様化や福祉課題の深刻化が進み,幅広い知識や傾聴などの相談技量を高めることが期待され,研修の重要性は一層高まっている。 B民生委員に対する地域住民の認知度が低下傾向であり,広報活動を引き続き実施していく必要がある。また,民生委員のなり手不足が大きな課題となっている。 【今後】 @民生委員が行っている相談業務や行政機関などへの協力業務など本来業務も含め,民生委員としての活動範囲について,令和元年度実施の民生委員へのアンケートおよび民生委員を推薦する自治協議会などへのアンケート結果を踏まえ,実施できるものから速やかに整理を行っていく。また,欠員地区のカバー体制についても,検討を進める。 A民生委員に対する研修については,適宜,内容の見直しを図るなど,引き続き,効果的な研修を実施していく。 B地域住民などへ,あらゆる機会を通じ,民生委員活動の広報に努めるとともに,民生委員が活動しやすい環境づくりに努め,新たな広報PRチラシの作成など,なり手不足の解消を図っていく。 49ページ ●施策2-3 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 取組みの方向性 @近年では福祉課題に取り組む各種ボランティアグループやNPO等も多くなっています。また,CSR(社会貢献活動)の一環として地域活動に取り組む企業も増えています。様々な主体が地域福祉の推進の一翼を担っていけるよう支援します。 A企業等の地域活動への参加を促進する仕組みを検討するとともに,セミナー等を開催し,企業と地域とのマッチングの場を提供します。 B地域における公益的な取組みが義務づけられる社会福祉法人が行う地域福祉,社会福祉の向上に向けた活動を社協と連携して支援します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・B福岡市社会福祉協議会や福祉施設などが実施している地域貢献の取組みなどの事例発信や各種ボランティア養成講座などボランティア育成のための取組みを支援している。 <主な事業> 〇各種ボランティア養成講座  ・シニア地域サポーター養成講座:  受講者数 153人(H29年度)→ 130人(H30年度)→ 112人(R元年10月末)  ・技術ボランティア養成講座:  受講者数 169人(H29年度)→ 175人(H30年度)→ 93人(R元年10月末)  ・課題別ボランティア養成講座:  受講者数:11人(H29年度)→ 18人(H30年度)→ 35人(R元年10月末) A福岡市社会福祉協議会が実施している,勤労者のボランティア,社会貢献活動を推進することを目的にした「企業ボランティア育成事業(勤マルの日)」などの取組みを支援している。 <主な事業> 〇企業ボランティア育成事業(勤マルの日)  勤労者がボランティアや社会貢献活動に参画できるよう,ボランティア体験プログラムを提供  ・参加者数:562人(H28年度)→ 521人(H29年度)→ 757人(H30年度) B社会福祉法人や株式会社の福祉事業所などが新たな「地域の担い手」として地域の課題解決に関われるように,福岡市社会福祉協議会が実施している,地域と事業所のコーディネートの取組みを支援している。 【課題】 A企業ボランティア育成事業などの取組みについては,より参加しやすい多様なプログラムを提案するなど,取組内容や企業などへの効果的な働きかけの検討が必要である。 【今後】 @・B社会福祉協議会と連携し,社会福祉法人やNPO法人,企業など多様な主体が,地域貢献活動をするために必要なノウハウや検証を行うなど,多様な主体に向けた取組みの効果的な支援を図る。 A社会福祉協議会が実施する,企業の社会貢献活動取組事例集を活用した企業などへの働きかけなどの取組みを支援していく。 50ページ 基本目標3 支え合い・助け合い活動の推進 目標の内容 ○地域での支え合い・助け合い活動を進めるとともに,様々な主体による新たな生活支援サービスの創出に向けた支援を行います。 施策の方向性 ○ふれあいネットワークやふれあいサロンを拡充するとともに,より効果的な実施に向けた支援策を検討します。 ○平常時の見守り活動と連動した災害時の助け合いの仕組みづくりを進めます。 ○元気な高齢者が活躍する新たな生活支援サービスの創出を支援します。 ○見守り活動などにおけるICT(情報通信技術)の利活用を進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策3-1 見守りと助け合い活動の推進 ●施策3-2 災害時に備えた見守りの仕組みづくり ●施策3-3 新たな生活支援サービスの創出 ●施策3-4 ICT(情報通信技術)の利活用 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○福岡市社会福祉協議会が実施している,ふれあいネットワークの新規立ち上げや活動の更なる拡充に向けた支援を行うほか,地域で結成された生活支援ボランティアグループに助成する「ご近所お助け隊支援事業」のほか,ふれあいサロンの新規立ち上げの支援や既存サロンの介護予防機能の強化を図るなど,地域の実情に応じた働きかけなどの取組みを支援している。 ○災害時の避難などに支援を要する者を対象に「避難行動要支援者名簿」を平成29年度から作成。地域の避難支援等関係者(校区自治協議会,校区社会福祉協議会,民生委員・児童委員)に提供し,地域ぐるみでの避難支援体制づくりを支援している。 ○多様な主体による多様な支援の充実などを図るため,生活支援コーディネーターの配置を進めている。 ○平成27年度から平成28年度末にかけて城南区別府校区においてICTを活用した高齢者の見守りモデル事業を実施した。平成29年度は,九州電力株式会社が別府校区において実施するスマートメーターを活用した見守りの社会実験について,福岡市社会福祉協議会とともに支援・協力を行った。 【課題】 〇ふれあいネットワークや生活支援ボランティアグループなどについては,地域における担い手の高齢化や固定化が進んでおり,新たな担い手の確保に取り組む必要がある。 ○避難行動要支援者名簿登載にかかる意向確認への回答率が約5割となっており,その改善を図る必要がある。また,地域における避難行動要支援者の個別支援計画の作成が進むよう,支援の充実を図る必要がある。 ○生活支援・介護予防活動の充実,関係者のネットワーク化などを進めるため,生活支援コーディネーターの配置を進める必要がある。 ○ICTを活用した地域の見守りについては,地域の見守り方や見守られる方の状況などが多様であるため,それぞれの状況に応じたICTツールを活用することが重要であることが分かってきた。しかしながら,地域の見守りに活用できる民間サービスは現時点では少なく,地域の実情に応じた見守り活動に繋がっていない。 51ページ 【今後の方向性】 ○社会福祉協議会における,活動者の掘り起しに向けた自治会・町内会や地域の各種団体などに対する積極的な働きかけなどの取組みを支援する。 〇避難行動要支援者名簿への登載にかかる意向確認については,すべての対象者に制度を分かりやすく説明した資料を同封したり,名簿制度にかかる出前講座を開催するなど,回答率向上に取り組む。また,個別支援計画については,市民局,保健福祉局及び区役所が連携し,地域の実情に合った地域ぐるみでの体制づくりなど,実効性のある計画となるよう支援する。 ○生活支援コーディネーターの配置を進めるとともに,関係主体,関係施策との効果的な連携を図り,地域における多様な主体による多様な支援の充実などを図る。 ○ICTを活用した地域の見守りについては,市民や地域に対し見守る側・見守られる側双方の状況に応じた見守りサービスの情報提供や,民間企業と連携した見守りに関する実証事業を行っている。こうした取組みや,実証の結果を発信し,市民や事業者にICTを活用した見守りの普及を促進していく。 52ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @ふれあいネットワークの見守り対象世帯数(市社協調べ) 35,108世帯(平成26年度) 45,000世帯(令和2年度) 42,845世帯(平成30年度) Aふれあいサロンの参加者数(実人数)(市社協調べ) 8,915人(平成26年度) 12,000人(令和2年度) 9,323人(平成30年度) B自主防災活動への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 9.2%(平成26年度) 25.0%(令和4年度) 11.3%(平成30年度) C公民館の利用率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)【再掲】 24.7%(平成26年度) 50.0%(令和4年度) 23.6%(平成30年度) グラフ  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。 @ふれあいネットワークの見守り対象世帯数  35,108 36,131 38,934 39,447 42,845 45,000  出典:市社協調べ Aふれあいサロンの参加者数  8,915 8,687 9,909 9,541 9,323 12,000 出典:市社協調べ B自主防災活動への参加率  9.2 8.1 13.1 11.7 11.3 25.0 出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 C公民館の利用率  24.7 24.2 28.2 24.8 23.6 50.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 53ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策3-1 見守りと助け合い活動の推進 取組みの方向性 @高齢者や障がいのある人など地域において支援を要する人々に関する情報交換と日常的な見守り活動ができるようふれあいネットワークの拡充や,活動の充実に向けて,支援の方策を検討します。また,支援を要する人々が地域で社会参加できるよう環境を整えます。 Aふれあいサロンの拡充や,より効果的な展開に向けて支援の方策を検討します。 B地域や校区で行われている様々な団体の助け合い活動を推進します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・B福岡市社会福祉協議会が実施する,ふれあいネットワークの新規立ち上げや地域福祉活動の支援を行う地域福祉ソーシャルワーカーの研修などによる機能強化を含む活動の充実のほか,地域で結成された生活支援ボランティアグループに助成する「ご近所お助け隊支援事業」の取組みを支援している。 <主な事業> 〇ふれあいネットワーク  地域住民や団体がネットワークをつくり,高齢者などの見守り活動などを実施  ・見守り世帯数:39,447世帯(H29年度)→ 42,845世帯(H30年度)→ 45,201世帯(R元年9月末) 〇ご近所お助け隊支援事業  日常のちょっとした困りごとを解決するため,地域住民により結成された生活支援ボランティアグループによるごみ出しや買い物支援などを実施  ・助成団体数(延べ団体数):18団体(H29年度)→ 18団体(H30年度)→ 21団体(R元年9月末) A福岡市社会福祉協議会が実施する,ふれあいサロンの新規立ち上げの支援や既存サロンについて,平成30年度は前年度に作成したフレイル予防体操リーフレットを関係各所へ配布し,介護予防機能の強化を図るなど,地域の実情に応じた働きかけなどの取組みを支援している。 <主な事業> 〇ふれあいサロン  閉じこもりがちな高齢者や障がいのある人などの孤独感の解消や寝たきり予防のため,健康づくりやレクリエーションなどサロン活動を実施  ・参加者数(実人数):9,541人(H29年度)→ 9,323人(H30年度)→ 8,911人(R元年9月末) 【課題】 @・Bふれあいネットワークや生活支援ボランティアグループなどについては,地域における担い手の高齢化や固定化が進んでおり,新たな担い手の確保に取り組む必要がある。 【今後】 @・B活動者の掘り起しに向けて,引き続き,福岡市社会福祉協議会の地域福祉ソーシャルワーカーによる自治会・町内会や地域の各種団体などに対する積極的な働きかけを行うほか,地域福祉ソーシャルワーカーについて研修などによる更なる機能強化を図る。 54ページ ●施策3-2 災害時に備えた見守りの仕組みづくり 取組みの方向性 @災害時に備え,日頃から災害時に支援を要する人々に関する情報交換や見守り活動の充実を支援します。 A地域の自主防災組織などが行う防災訓練への住民の参加を促すとともに,災害時に支援を要する人々への情報伝達や避難支援等が含まれた防災訓練が実施されるよう支援します。 B災害対策基本法の定めるところにより,災害発生時,又は災害が発生するおそれがある場合に,特に避難支援を要する者の名簿(以下「避難行動要支援者名簿」という。)を作成し,名簿情報(以下,この頁において「情報」という。)を提供することについて,本人の同意を得た者の情報を「福岡市地域防災計画」(以下「地域防災計画」という。)に定める者に提供します。 Cまた,情報の提供に際しては,地域防災計画に定めるところにより,情報の提供を受ける者に対して,情報漏えい防止のための措置を講じます。 D災害時における福祉避難所の確保や,市社協が設置する災害ボランティアセンターとの連携により,災害時の支援体制を構築します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市社会福祉協議会において,ふれあいネットワークに対し,災害時の避難支援と平常時の見守りの連動を視野に入れた働きかけを行っている。 A防災に関する講演会や出前講座などにより,地域の自主防災組織などによる訓練への参加の促進を行っている。また,避難支援等関係者向けのハンドブックを作成・配布し,災害時の避難に支援を要する人々の安否確認や避難誘導などの支援を防災訓練で実施されるよう支援している。 B災害対策基本法の改正に伴い,平成29年度から「避難行動要支援者名簿」を作成し避難支援等関係者へ提供している。 C「避難行動要支援者名簿取扱要領」を定め,名簿提供時に個人情報の適正な管理について指導している。 D-1福祉避難所として施設と協定を締結している。なお,特別養護老人ホームの整備にあたっては,平成24年度以降,福祉避難所の設置運営に関する協定を締結することを条件に公募しており,施設の開設後,順次協定を締結している。 <主な事業> 〇福祉避難所の確保  高齢者,障がい者など一般の避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者の受け入れ先である福祉避難所を確保  ・福祉避難所確保状況:  「協定締結施設」  高齢者施設 51施設(H29年度)→ 56施設(H30年度)→ 63施設(R元年10月末)  障がい者施設 39施設(H29年度)→ 39施設(H30年度)→ 38施設(R元年10月末)  「受入可能人数」  高齢者施設 1,531人(H29年度)→ 1,744人(H30年度)→ 1,883人(R元年10月末)  障がい者施設 486人(H29年度)→ 486人(H30年度)→ 513人(R元年10月末) D-2災害時におけるボランティア活動が効果的に実施されるよう災害ボランティアコーディネーター養成講座などを実施するとともに,災害ボランティア団体や自主防災組織などと共働してイベントなどを実施するなど平常時からのネットワークを構築している。 <主な事業> 〇災害ボランティア活動推進事業  防災への備えについて市民意識の向上を図るとともに,災害時の支援活動のあり方や災害ボランティアセンターの運営を学ぶ講座の開催 〇災害ボランティア養成講座  災害時に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・訓練などの実施 55ページ 【課題】 @ふれあいネットワークや地域の自主防災組織については,担い手の高齢化や固定化が進んでおり,新たな担い手の確保に取り組む必要がある。 B避難行動要支援者名簿登載にかかる意向確認への回答率が約5割となっており,その改善を図る必要がある。また,地域における避難行動要支援者の個別支援計画の作成が進むよう,支援の充実を図る必要がある。 D災害時における要配慮者の避難場所の確保は進んでいるが,福祉避難所の設置・運営に係る具体的な手順の整理が出来ていないため,マニュアルの整備が必要である。また,現在の災害ボランティアセンターマニュアルは,熊本地震のような都市型地震が起こった場合に十分対応できるものとはなっていない。 【今後】 @社会福祉協議会における,活動者の掘り起しに向けた自治会・町内会や地域の各種団体などに対する積極的な働きかけなどの取組みを支援する。 A地域の自主防災組織による防災訓練などについて,市民局,保健福祉局,区役所,消防局,大学,企業,NPOなどが連携し,地域の実情に合った訓練を実施するなどにより,今後も参加の促進を図る。 B個別支援計画の作成にあたっては,市民局,保健福祉局,区役所及び福岡市社会福祉協議会など関係団体が連携し,地域の実情に合った地域ぐるみでの体制づくりなど,実効性のある計画となるよう引き続き支援する。 D今後も地域防災計画の改訂に合わせた福祉避難所運営マニュアルの見直しを行う。また,災害ボランティアセンター運営マニュアルの見直しを行う。 56ページ ●施策3-3 新たな生活支援サービスの創出 取組みの方向性 @元気な高齢者が生活支援の担い手として社会参加することが,結果的に介護予防になるという,生活支援・社会参加・介護予防の融合を図る取組みを進めます。 A企業等が持つビジネスの力を地域課題の解決に生かせるように,地域や企業等の関係者間の出会いやつなぐ場をつくるなどコミュニティビジネス等の促進に向けて支援します。 B生活支援・介護予防活動の充実,関係者のネットワーク化などを進めるため,生活支援コーディネーターの配置を推進していく必要がある。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @高齢者に対する生活支援を行うボランティア団体の継続や,新たなボランティア創出を図ることを目的として,交流会,研修会などを実施している。 <主な事業> 〇生活支援ボランティアグループ  日常のちょっとした困りごとを解決するボランティアグループの支援(立ち上げ・運 営)。また,元気高齢者の活躍の場としても取組みを支援 A地域活動を応援している企業や商店街などを「“ふくおか”地域の絆応援団」として登録・公表するほか,応援団活動を推進する組織として「“ふくおか”地域の絆応援団評議会」を設置し,共催によりセミナーなどを実施している。平成29年度からは,専門スタッフである「共創コネクター」を配置しており,企業やNPO,大学生などと地域をつなぎ,地域の活性化や課題解決に向けた新たな取組みを支援している。 <主な事業> 〇“ふくおか”地域の絆応援団セミナー  応援団の取組みの輪を広げ,企業や商店街,NPO,大学など様々な主体と,地域の未来を共に創る「共創」の取組みを推進することを目的に,地域活動を応援している企業などの事例発表を行うセミナーを開催  ・セミナー開催数,参加者数:4回実施,延べ約270人参加(H29年度)→ 4回実施,延べ約150人参加(H30年度)  B高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう,在宅生活の支え手のすそ野を広げるため,生活支援・介護予防サービスの開発や担い手の養成,地域住民や介護事業所などの関係者間のネットワーク構築などを,多様な主体をつなぐことにより支援する生活支援コーディネーターの配置を推進している。 <主な事業> 〇生活支援コーディネーターの配置  各区社会福祉協議会及び各地域包括支援センターに配置  ・配置実績:4圏域にモデル配置(H29年度)→ 4区(区社協),28圏域(各地域包括支援センター)(H30年度)→ 7区(区社協),37圏域(各地域包括支援センター)(R元年度) 【課題】 @高齢者が生活支援の取組みなどに参加することに,生きがいや介護予防の効果も期待できることを踏まえ,地域における多様な取組みを支援する必要がある。 A地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて,広報活動などにより情報発信し,認知度を高め,活動の輪を広げていく必要がある。 B生活支援コーディネーターを配置し,地域に不足するサービスの創出やサービスの担い手の養成を進めます。 57ページ 【今後】 @引き続き,日常のちょっとした困りごとを解決するボランティアグループへの支援など,地域における多様な取組みを支援することにより,元気な高齢者の生活支援の取組みなどへの更なる参加促進を図る。 A引き続き「“ふくおか”地域の絆応援団セミナー」を開催するなど,地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて事例発表を行い,情報交換できる場をつくる。また,ホームページやSNSなどを活用して応援団活動についての情報発信を行う。「共創コネクター」の相談業務や情報収集・提供の機能を高め,多様な主体の地域活動への参画を促進するため,ホームページやパンフレットなどを活用し,広報を強化する。 B生活支援コーディネーターの配置を進めるとともに,関係主体,関係施策との効果的な連携を図り,地域における多様な主体による多様な支援の充実などを図る。 58ページ ●施策3-4 ICT(情報通信技術)の利活用 取組みの方向性 @見守りや認知症施策等,地域での支え合い・助け合い活動にICT(情報通信技術)を取り入れるなど,新たな手法の導入により,効果的・効率的な事業へ向け見直しを図り,活動者の負担軽減を図ります。 A地域の各種団体と連携の上,地域においてICTを活用したモデル事業の取組みを進めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A-1平成27年度から平成28年度末に城南区別府校区において,ICTを活用した高齢者の見守りモデル事業を実施した。平成29年度は,九州電力株式会社が別府校区において実施するスマートメーターを活用した見守りの社会実験を福岡市社会福祉協議会とともに支援・協力を行った。 <主な事業> ○平成27〜28年度見守りモデル事業  緊急通報装置やスマホなどを用いて日々の安否状況や緊急情報を見守られる方が発信し,見守る方の携帯電話などに通知される仕組み  ・実証期間:平成27年12月15日〜平成29年3月31日  ・参加者:見守る方93名,見守られる方44名 ○平成29年度見守り社会実験  電力使用量をスマートメーターが自動検知し,普段と異なる場合に見守る方の携帯電話などに通知される仕組み  ・実証期間:平成29年6月1日〜平成29年11月30日  ・参加者:見守る方55名,見守られる方30名 @・A-2認知症の人の早期発見・早期保護の取組みとして,行方不明時に協力サポーターへ特徴や写真を一斉送信する捜してメールや,個人情報を守った状態で発見者と介護者などが直接通話できる自動転送の仕組みがあるステッカーを案内している。平成30年度は,LoRaWAN対応端末を使用した見守りの実証実験を行った。(期間:平成30年6月1日から平成30年11月30日まで。参加者:95名) 【課題】 @・A  ・ICTを活用した地域の見守りについては,地域の見守り方や見守られる方の状況などが多様であるため,それぞれの状況に応じたICTツールを活用することが重要であることが分かってきた。しかしながら,地域の見守りに活用できる民間サービスは現時点では少なく,地域の実情に応じた見守り活動への活用に繋がっていない。  ・認知症の人の早期発見・早期保護の取組みは,介護者・関係者による捜索や通行人による警察への通報・保護が中心となっており,現時点におけるICTを活用した取組みについては,機器の操作性や,消費電力などの管理面,携帯端末の形状などの面から補完的なものにとどまっている。 【今後】 @・A  ・ICTを活用した地域の見守りについては,見守りサービス登録事業や保険外サービス情報提供サイト「ケアインフォ」などを通して,市民や地域に対し見守る側・見守られる側双方の状況に応じた見守りサービスの情報提供を行うとともに,地域の見守りの負担感の軽減などにつながるよう,民間企業と連携した見守りに関する実証事業を行っている。こうした取組みや,実証の結果を発信し,市民や事業者にICTを活用した見守りの普及を促進していく。  ・ICTを活用した認知症の人の早期発見・早期保護の取組みについては,情報通信技術の発展による新たな機器開発動向などにも留意し,市ホームページなどで,機器や見守りサービスを提供している企業からの情報を求め,情報提供を行っていく。 59ページ 基本目標4 人づくりと拠点づくり 目標の内容 ○福祉教育の推進を図るとともに,市民ボランティアの養成に取り組みます。また地域福祉活動の拠点づくりを進めます。 施策の方向性 ○あらゆる機会を通して福祉教育を推進します。 ○社協や校区社協,NPO等と連携して,地域福祉を担う人材について,元気高齢者や若者など新たな人材の発掘や育成に取り組むとともに,人材のスキルアップを図ります。 ○大学や企業等が持つ人材や専門知識,ノウハウをまちづくりに活かすとともに,学生等の地域コミュニティにおける活動促進を支援します。 ○ボランティア・NPO活動の拡充にむけ,ボランティアセンターの活性化及びNPO・ボランティア交流センター(あすみん)との連携を図ります。 ○住民の暮らしに身近な場所での地域福祉活動の拠点づくりを進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策4-1 福祉意識の醸成 ●施策4-2 支え手づくりの推進 ●施策4-3 ボランティア・NPO活動の拡充 ●施策4-4 地域の活動拠点づくり 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○福岡市社会福祉協議会が実施する,ふれあいネットワーク,ふれあいサロン,広報紙発行事業などに関する研修会や新たなボランティア活動などの担い手を養成するための講座などの取組みを支援している。また,地域活動を応援している企業や商店街などを「“ふくおか”地域の絆応援団」として登録・公表するほか,応援団活動を推進する組織として「“ふくおか”地域の絆応援団評議会」を設置し,共催によりセミナーなどを実施している。 ○ボランティアセンター(福岡市社会福祉協議会)が実施する,各種団体との連携を通じた,ボランティア活動における課題解決力の向上と活動者やグループの増加に向けた取組みを支援している。 ○老人福祉センターや老人いこいの家において,引き続き施設で様々な活動が行えるように,適切に運営・維持管理を行うとともに,老人福祉センターのあり方について検討を進めている。また,公民館においては,地域団体などと連携し,人材育成・発掘に向けた公民館主催事業など,地域の実情に応じた事業を実施している。 【課題】 ○地域福祉活動の担い手の高齢化や固定化が進んでおり,新たな担い手の養成に向けて取り組む必要がある。また,地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて,広報活動などにより情報発信し,認知度を高め,活動の輪を広げていく必要がある。 ○超高齢社会を迎えて,今後の老人福祉センターのあり方について,シニアの積極的な活動支援ができるように見直す必要がある。また,多様な場所を活用して,身近な場所での活動拠点づくりを一層進めていく必要がある。 【今後の方向性】 ○地域活動に参加しやすいメニューの提示を行うなど,地域活動に参加しやすいきっかけづくりに取り組むほか,引き続き,地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて事例発表を行い,情報交換できる場をつくる。また,ホームページやSNSなどを活用して応援団活動についての情報発信を行う。 ○今後の老人福祉センターのあり方を検討し,健康づくり・介護予防や創業就業などのシニアの積極的な活動支援を進める。 60ページ 2 成果指標の動向と分析 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @地域活動への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 55.6%(平成26年度) 70.0%(令和4年度) 49.7%(平成30年度) ANPO・ボランティア活動等への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 13.1%(平成26年度) 24.0%(令和4年度) 14.5%(平成30年度) グラフ  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。 @地域活動への参加率  55.6 52.9 54.5 53.3 49.7 70.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 ANPO・ボランティア活動等への参加率  13.1 14.4 16.6 16.6 14.5 24.0  出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 61ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策4-1福祉意識の醸成 取組みの方向性 @社協とも連携し,学校教育等を通じて,子どもの頃からの福祉教育の充実に努めます。 A共に交流する機会を提供するなど様々な場面を通じて,高齢者や障がいのある人への理解を促進する取組みを進めます。 B地域の課題を解決していくための学習(問題解決型),学習の結果を地域に還元していくための学習(地域還元型),住民自らが企画・参加しながら進める学習(協同参画型)を,あらゆる機会を通して地域の中で多様に設け,地域福祉の主体形成を図ります。 C広報紙をはじめとする各種チラシ・パンフレット等の紙媒体,ホームページ等の電子媒体,イベントや説明会等の対面での情報発信など,多様な手段を使って地域福祉推進の取組事例の紹介や,地域福祉活動の必要性や重要性についての普及啓発を図ります。また,ふれあいサロンや地域カフェ等を活用した情報の発信・共有などを進め,地域福祉活動への参加促進をめざします。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市社会福祉協議会が作成した中学生向けボランティア活動教材「わたしもあなたもボランティア」のホームページへの掲載や福祉体験学習マニュアル「福岡市の福祉教育お役立ちBOOK」を市内小中学校への配布などの取組みを支援している。 <主な事業> 〇わたしもあなたもボランティア冊子事業  障がいのある人や高齢者についての理解を促し,ボランティア活動の意義や重要性について考えるきっかけとすることを目的として,小中学生を対象に作成した冊子を市社協ホームページに掲載 〇福岡市の福祉教育お役立ちBOOK  福祉教育の推進を目的にガイドブックを作成 A福岡市社会福祉協議会が実施する,学校,企業などに出向き,障がい者や高齢者への理解の促進を目的として,疑似体験などを通じて学ぶ福祉教育プログラムなどの出前講座や出前講座の広報リーフレットの作成及び公民館などへ配布する取組みを支援している。 <主な事業> 〇出前講座  ・出前講座実施件数:37件(H29年度)→ 36件(H30年度)→ 35件(R元年10月末) B福岡市社会福祉協議会における「校区福祉のまちづくりプラン」の策定に向けた取組みに対する支援を実施している。 <主な事業> 〇校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の作成支援  住民が地域の課題を共有し,めざす姿や解決策を話し合う場(福祉座談会など)を設け,地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し,住民などへ広く周知する取組みを支援  ・プラン策定校区数:34校区(H29年度)→ 46校区(H30年度)→ 46校区(R元年9月末) C福岡市・区社会福祉協議会が実施する,広報紙「ふくしのまち福岡」や「社協ワーカーだより」などの作成及び民生委員などへの配布のほか,「福祉のまちづくり推進大会」を開催し,社会情勢を踏まえたテーマの福祉活動報告や記念講演などの地域福祉活動の必要性や重要性についての普及啓発や参加促進に関する取組みを支援している。 【課題】 B校区において「校区福祉のまちづくりプラン」に基づく取組みを推進していくためには,策定後も継続的な支援が必要である。 【今後】 B「校区福祉のまちづくりプラン」の策定校区数は増加しているところであり,未策定校区におけるプランの策定や策定したプランに基づく具体的な取組みの実施に向けて,引き続き,福岡市社会福祉協議会における取組みを支援していく。 C社会福祉協議会と連携し,引き続き,様々な機会をとらえ,チラシなどを活用して地域福祉活動について,普及・啓発を図っていくとともに,SNSの活用など情報発信の方法についても検討していく。 62ページ ●施策4-2 支え手づくりの推進 取組みの方向性 @社協等と連携し,地域で活動している人たちを対象とした講座の開催や,地域福祉活動へのアドバイスなどを行い,人材の育成を支援します。また地域住民をまとめ,牽引し,地域の福祉課題を解決する具体的な行動や実践に結びつけられるリーダーを育成します。さらに,地域福祉活動に参加していない住民への広報・啓発など,人材の掘り起こしを意識した事業の実施を支援します。 A元気な高齢者が自らの知識や能力を生かして地域福祉活動やボランティア活動に参加,活躍できるようにシニア向けのボランティア講座などを開催します。また,学生など若い世代が地域福祉活動に参加できるように,大学や社協等と連携し,学生ボランティアと地域を結びつける支援を行います。さらに,企業や各種団体の地域福祉活動への参加を促進するための施策を検討していきます。 B地域活動に取り組む人材を育成する研修会を開催するなど,支え手のスキルアップの支援を行います。また,女性役員の人材育成のための講座を開催するなど,地域役員としての女性の活躍を促進するための支援を行います。 C企業等が持つ人材を地域の福祉課題の解決に生かせるように,地域や企業などの関係者間の出会いやつなぐ場をつくるなどコミュニティビジネス等が促進されるように支援していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A福岡市社会福祉協議会が実施する,ふれあいネットワーク,ふれあいサロン,広報紙発行事業などに関する研修会や新たなボランティア活動などの担い手を養成するための講座などの取組みを支援している。 <主な事業> 〇シニア地域サポーター養成事業  シニア世代を中心とした地域福祉活動のボランティア養成講座を実施  ・シニア地域サポーター養成講座:受講者数:153人(H29年度)→ 130人(H30年度)→ 112人(R元年10月末) B地域活動に携わっている女性及び地域活動に関心のある女性を対象に,リーダーに求められる資質向上の機会やネットワークづくりの場を提供する「地域女性活躍チャレンジ塾」を実施するとともに,各校区での男女共同参画に関する取組みを支援するなど,地域活動における方針決定過程への女性の参画の促進に向けた取組みを進めている。 <主な事業> 〇地域女性活躍チャレンジ塾  ・開催数,参加者数:4回,15人(H29年度)→ 3回,15人(H30年度)→ 2回,22人(R元年度) C地域活動を応援している企業や商店街などを「“ふくおか”地域の絆応援団」として登録・公表するほか,応援団活動を推進する組織として「“ふくおか”地域の絆応援団評議会」を設置し,共催によりセミナーなどを実施している。平成29年度からは,専門スタッフである「共創コネクター」を配置しており,企業やNPO,大学生などと地域をつなぎ,地域の活性化や課題解決に向けた新たな取組みを支援している。 <主な事業> 〇“ふくおか”地域の絆応援団セミナー  応援団の取組みの輪を広げ,企業や商店街,NPO,大学など様々な主体と,地域の未来を共に創る「共創」の取組みを推進することを目的に,地域活動を応援している企業などの事例発表を行うセミナーを開催  ・セミナー開催数,参加者数:4回実施,延べ約270人参加(H29年度)→ 4回実施,延べ約150人参加(H30年度) 【課題】 @・A地域福祉活動の担い手の高齢化や固定化が進んでおり,新たな担い手の養成に向けて取り組む必要がある。 C地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて,広報活動などにより情報発信し,認知度を高め,活動の輪を広げていく必要がある。 63ページ 【今後】 @・A社会福祉協議会と連携し,新たな担い手を養成するための講座を実施するとともに,引き続き,地域活動に参加しやすいメニューの提示を行うなど,地域活動に参加しやすいきっかけづくりに取り組む。 C引き続き「“ふくおか”地域の絆応援団セミナー」を開催するなど,地域活動を応援している企業や商店街などの取組みについて事例発表を行い,情報交換できる場をつくる。また,ホームページやSNSなどを活用して応援団活動についての情報発信を行う。「共創コネクター」の相談業務や情報収集・提供の機能を高め,多様な主体の地域活動への参画を促進するため,ホームページやパンフレットなどを活用し,広報を強化する。 64ページ ●施策4-3 ボランティア・NPO活動の拡充 取組みの方向性 @ボランティア・NPO活動の拡充に向け,ボランティアセンターの活性化を図ります。 AボランティアセンターとNPO・ボランティア交流センター(あすみん)が連携を図ることにより,テーマ型市民活動団体であるNPOをエリア型市民活動団体である校区社協や自治協議会につなぎ,地域の課題解決を進めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @ボランティアセンター(福岡市社会福祉協議会)が実施する,各種団体との連携を通じた,ボランティア活動における課題解決力の向上と活動者やグループの増加に向けた取組みを支援している。 <主な事業> 〇ボランティアセンター  ボランティア活動に関する相談・登録・斡旋,ボランティアの育成,ボランティア活動に関する広報・情報提供などを目的とし,ボランティアセンターを設置  ・ボランティア登録者・団体数:個人1,814人,団体226団体(H29年度)→ 個人1,971人,団体226団体(H30年度)→ 個人2,035人,団体224団体(R元年9月末) Aボランティアセンターが実施する,ボランティアセンター登録団体の要件をNPOなど法人格をもつ団体や地域福祉分野以外の活動をしている団体も登録できることとする見直しについて支援している。 【課題】 @・Aボランティアの活動者やグループの増加に取り組む必要がある。 【今後】 @・Aボランティアセンターと連携し,引き続き,ボランティアのきっかけづくりとなる養成講座を実施するとともに,ホームページなどを活用した情報提供や啓発など更なる充実に努めていく。 65ページ ●施策4-4 地域の活動拠点づくり 取組みの方向性 @老人福祉センター及び老人いこいの家について,高齢者を中心とした社会参加活動の拠点としての機能を強化するため,施設で行われる様々な活動を支援します。 A老人福祉センターについて,健康づくり・介護予防や創業・就業など,シニアの積極的な活動支援にむけた機能への転換を検討します。 B空き家や集合住宅の空き部屋,公園,社会福祉施設等の地域福祉活動への活用について検討します。 C公民館について,地域コミュニティ活動を支援するため,地域団体等と連携し,人材育成・発掘のための取組みを実施するとともに,公民館だより等を活用し,地域の活動などの情報発信を支援していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @老人いこいの家について,引き続き施設で様々な活動が行えるように,維持管理を行っている。 <主な事業> ○老人いこいの家の設置・運営  高齢福祉の増進を図るため,高齢者に対して教養の向上,レクリエーション及び相互親睦のための場を提供  ・利用者数:326,491人(H29年度)→ 314,272人(H30年度)  ・建替対象の整備数:  目標 125館  現状 107館(H30年度) A老人福祉センターについて,適切に運営・維持管理を行うとともに,令和元年度より,「健康づくり」「就業・創業支援による『生きがいづくり』」の機能を強化した。 <主な事業> ○老人福祉センターの設置・運営  高齢者の各種相談,健康増進,教養の向上,レクリエーションなどを総合的に提供  ・利用許可証交付数:10,918人(H29年度)→ 10,441人(H30年度)→ 10,155人(R元年9月末)  ・年間延べ利用者数:492,638人(H29年度)→ 482,680人(H30年度)→ 235,290人(R元年9月末)  ・開園日数(7園平均):298日(H29年度)→ 297日(H30年度)→ 148日(R元年9月末) B-1福岡市市民福祉プラザについては,民間福祉活動の拠点として情報提供や相談,交流など様々な活動が行えるように維持管理を行っている。 <主な事業> 〇市民福祉プラザ  市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し,相互に助け合い,支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として,市民福祉の総合相談センターを設置  ・利用者数:297,269人(H29年度)→ 294,792人(H30年度)→ 143,168人(R元年9月末)  ・開館日数:346日(H29年度)→ 346日(H30年度)→ 177日(R元年9月末) B-2空き家などの資源の活用については,令和元年度より,福岡市社会福祉協議会が実施する,これまでの福祉転用の取組みをさらに広げていくため,空き家を活用してほしい人と活用したい人をマッチングする「社会貢献型空家バンク」の取組みを支援している。 C公民館においては,地域団体などと連携し,地域活動の担い手の育成に向けた公民館主催事業など,地域の実情に応じた事業を実施している。 <主な事業> ○公民館主催事業  ・参加延べ人数:417,202人(H29年度)→ 419,569人(H30年度)  ・実施延べ回数:8,677回(H29年度)→ 8,923回(H30年度) 66ページ 【課題】 A老人福祉センターについて,社会の情勢や高齢者のニーズを踏まえながら,時代に合った活用を図っていく必要がある。 B空き家の活用にあたっては,活用可能な空き家情報と活用のニーズの把握のほか,法務,税務,建築などの課題解決を担う各専門分野との効率的・効果的な連携や調整などを図っていく必要がある。 B・C多様な場所を活用して,身近な場所での活動拠点づくりを一層進めていく必要がある。また,運営などの担い手の確保に向けた支援が必要である。 【今後】 A老人福祉センターについて,令和元年度より,「健康づくり」「就業・創業支援による『生きがいづくり』」の機能を強化したところであり,引き続き,高齢者の積極的な社会参加活動の支援に取り組んでいく。 B  ・市民福祉プラザについて,引き続き,民間福祉活動の拠点機能,情報提供・相談機能,研修機能及び交流機能の更なる充実に努めていく。  ・住民の交流の場や福祉活動拠点などの空き家の活用について,「社会貢献型空家バンク事業」と連携を図りながら,取り組んでいく。 C公民館については,引き続き地域活性化に向け,担い手育成など地域コミュニティ活動に対する更なる支援の充実に努めていく。 67ページ 基本目標5 自立した生活のための環境づくり 目標の内容 ○市民の権利を擁護し,また,生活困窮者への支援など,すべての人が自立して生活するための環境づくりを進めます。 施策の方向性 ○サービスを必要とする市民が,必要なときに,適切な内容のサービスにアクセスできるよう,相談を含めた情報入手の方法が誰にでもわかりやすく,様々な媒体により情報提供される仕組みづくりを進めます。 ○判断能力が不十分な人が必要な支援を受けられるよう,権利擁護体制を充実する取組みを進めます。 ○生活困窮者の状態に応じた包括的・継続的な支援等を早期に実施し,支援対象者の自立の促進を図ります。 ○誰にでもやさしい地域づくりのため,年齢,性別,能力,背景等に関わらず,「どこでも,誰でも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの理念による地域づくりを推進します。 ≪施策事業の体系≫ ●施策5-1 情報提供と相談の仕組みづくり ●施策5-2 権利擁護体制の充実 ●施策5-3 生活困窮者への相談支援体制の充実 ●施策5-4 ユニバーサルデザインの理念による地域づくり 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○各事業の対象者などを踏まえ,様々な媒体により適切に情報提供を行っている。また,市内57カ所にいきいきセンターふくおかを設置し,高齢者の様々な相談を受けるとともに,その解決に向けて各関係機関と連携を図りながら支援を行っている。 ○権利擁護に関して,高齢者や障がいのある人,児童に対する虐待防止,配偶者による暴力防止のための活動を官民一体となって推進し,支援が必要な人には,関係部署が連携して対応している。 ○生活困窮者に対して,福岡市生活自立支援センターを中心として,就労その他の自立に関する相談支援を実施するとともに,ハローワークや社協をはじめとした関係機関や各種支援施策などとの連携強化に取り組んでいる。 ○旅客施設,車両,歩道,公園などのハード面のバリアフリー化は,バリアフリー基本計画(H25〜R2年度)に基づき,概ね順調に進んでいる。また,バス停付近などの市有地や民有地へベンチ設置を進めるベンチプロジェクトを推進している。 【課題】 ○事業や所属を超えた一体的な情報提供の実施が不十分な場合がある。また,高齢者の抱える課題が多様化し,支援する関係機関も多岐に渡ることから,適切な時期に支援を行うことが困難な場合がある。 ○高齢者の権利擁護に関して,世帯としての複合的な課題を抱えた事例などが増加しており,関係機関との連携や相談支援体制の強化を図る必要がある。 ○より多くの生活困窮者を相談につなげることが必要である。また,ホームレスに至る前の段階からの支援を充実させる必要がある。 ○施設ごとのバリアフリー化は着実に進められているが,心のバリアを取り除き,多様な人々の存在をお互いに理解し,支え合う「心のバリアフリー」は,浸透に時間を要するため,今後も継続的に普及・啓発をする必要がある。 68ページ 【今後の方向性】 〇関係所属における広報の実施状況を集約・整理し,一体的な情報提供の充実に努めるとともに,高齢者を支援する関係機関との情報共有及び支援体制の強化に努める。 ○中核機関(成年後見センター)の設置など,福岡市における権利擁護のネットワークの構築を目指す。 ○生活困窮者への相談支援事業について,関係機関ごとに事業説明会を実施するなどして,関係機関へさらなる周知を図るとともに,福岡市生活自立支援センターについて市民へ周知を図る。 ○「子ども向けバリアフリー教室」の開催や,「車いす利用者おでかけマップ」を用いたモニターツアーの開催,障がい当事者からアドバイスをいただく「バリアフリーのまちづくりサポーター制度」の働きかけなどを行い,心のバリアフリーの定着を図る。 69ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @ユニバーサルデザインの理念の理解度(市政アンケート調査) 48.7%(平成26年度) 70.0%(令和4年度) 41.3%(平成30年度) Aユニバーサルデザインの取組みへの評価(市政アンケート調査) 39.3%(平成26年度) 65.0%(令和4年度) 32.4%(平成30年度) グラフ  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。 @ユニバーサルデザインの理念の理解度  48.7 46.0 46.4 48.1 41.3 70.0  出典:市政アンケート調査 Aユニバーサルデザインの取組みへの評価  39.3 37.4 35.8 39.0 32.4 65.0 出典:市政アンケート調査 70ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策5-1 情報提供と相談の仕組みづくり 取組みの方向性 @市政だよりやパンフレット,チラシなどの紙媒体やホームページなどの電子媒体,地域の回覧板や掲示板など,多様な方法による情報提供を充実します。情報提供にあたっては,ユニバーサルデザインへ配慮し,合理的配慮に基づく情報のバリアフリーの視点にたったわかりやすい情報発信を行います。 A悩みや不安を抱えている方が,適切な相談窓口にたどり着き,必要な相談ができるよう各種相談窓口の周知を図ります。 B民生委員や自治会・町内会役員など身近な相談先から,区保健福祉センターやいきいきセンターふくおか(地域包括支援センター)などの専門的な相談先まで,各相談先が有機的に連携し,相談者の悩みや不安を効果的に解消できるように,総合的な相談機能の充実・強化に努めます。 C市民が良好な福祉サービスを選択できるよう,介護事業所などの情報提供を行うほか,社会福祉法人の現況報告書や財務諸表,市の監査状況を公開します。また事業者向けの研修を行うなど,事業者が提供するサービスの質の確保及び向上を図っていきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @各事業の対象者などを踏まえ,記者配付や市政だより,市ホームページ,Facebookなど,多様な方法により,また,広報課の作成した『ユニバーサルデザインに配慮した印刷物作成の手引き』などを参考に,分かりやすい情報発信に努めている。 ・主な広報実績:  記者配付 105件(H29年度)→ 133件(H30年度)  市政だより 39件(H29年度)→ 50件(H30年度)  デジタルサイネージ 17件(H29年度)→ 15件(H30年度) A相談窓口については,市政だよりや市ホームページのほか,チラシやポスター,イベントなど様々な手法により周知を図っている。 B市内57か所にいきいきセンターふくおかを設置し,高齢者の様々な相談を受けるとともに,その解決に向けて各関係機関と連携を図りながら支援を行っている。 <主な事業> 〇いきいきセンターふくおか運営  高齢者の健康や福祉,介護,権利擁護などに関する相談に応じ,身体状況に適した助言を行うなど,高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施。センターの円滑・適正な運営を図るため,職能団体や介護保険被保険者などで構成する地域包括支援センター運営協議会を設置 C介護事業所などの情報については,毎月更新し,市ホームページにて公開している。また,市の監査状況については,「社会福祉法人指導監査実施要綱」に基づき行う社会福祉施設・法人の過年度の指導監査の概要・結果を市ホームページにて公開している。なお,社会福祉法人の現況報告書や財務諸表については,市ホームページに公表を行っているサイトのリンクを貼り情報提供を行っている。 【課題】 @各事業の対象者などを踏まえ,事業ごとに適切な情報提供を行っている一方,より効果的・効率的な広報を行うためには,事業や所属を超えた一体的な情報提供を行うことが必要である。 B高齢者の抱える課題が多様化し,支援する関係機関も多岐にわたることから,適切な時期に支援を行うことが困難な場合がある。 【今後】 @関係所属における広報の実施状況を集約・整理し,その結果を踏まえ,今後の一体的な広報戦略について取り組んでいく。 B高齢者を支援する関係機関との連携強化を図り,各機関の専門知識を生かしたチーム対応によって総合的に高齢者やその家族を支援する体制を構築する。 71ページ ●施策5-2 権利擁護体制の充実 取組みの方向性 @高齢者や障がいのある人,児童に対する虐待,配偶者による暴力などについて,未然防止に向けた啓発,見守りによる早期発見,通報先の周知を行い,関係機関と連携し対応していきます。 A判断能力が十分でない人を対象に,契約に基づき,福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理を行う日常生活自立支援事業の普及・啓発とともに,事業の充実を図ります。 B成年後見制度普及のための広報を行うとともに,権利擁護の相談窓口である県弁護士会や司法書士会,市社協などと,いきいきセンターふくおか(地域包括支援センター),区保健福祉センターとの更なる情報共有・連携強化を図ります。また,成年後見制度の相談から利用に至るまでの手続きが円滑に行われるよう,総合的な相談支援体制の検討を進めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @高齢者や障がいのある人,児童に対する虐待防止,配偶者による暴力防止のための活動を官民一体となって推進し,支援が必要な人には,関係部署が連携して対応している。 <主な事業> 〇各区地域保健福祉課,いきいきセンターふくおかにおける高齢者虐待に係る対応  ・対応件数:271件(H29年度)→ 284件(H30年度)  ※養護者による虐待 A社会福祉協議会が実施する,日常生活自立支援事業を支援している。 <主な事業> 〇日常生活自立支援事業  ・利用件数:519件(H29年度)→ 473件(H30年度)→ 449件(R元年9月末)  ・新規契約件数:108件(認知症高齢者64件,知的障がい者12件,精神障がい者31件,その他1件)(H29年度)→ 66件(認知症高齢者41件,知的障がい者8件,精神障がい者17件)(H30年度)→ 20件(認知症高齢者6件,知的障がい者1件,精神障がい者13件)(R元年8月末)  ・新規相談件数:277件(H29年度)→ 305件(H30年度)→ 104件(R元年8月末)  ・問い合せ件数:214件(H29年度)→ 261件(H30年度)→ 123件(R元年8月末) B-1司法書士会や家庭裁判所,NPO法人などが実施する成年後見制度利用に関する無料相談会や説明会を後援・共催し,普及啓発活動を行っている。また,身寄りがなく判断能力が不十分な高齢者などについて,家庭裁判所に後見など開始の申立て(市長申立て)を行い,そのうち費用負担が困難な者については後見人報酬などを助成している。また,後見人などの新たな担い手として市民後見人を養成しており,研修修了者のうち,社会福祉協議会の市民参加型後見人バンクに登録した方は,福岡市社会福祉協議会が行う法人後見事業の実務担当者として活動している。 <主な事業> 〇成年後見制度利用支援事業,市民後見人養成事業  ・市長申立:47件(高齢44件,知的3件,精神0件)(H29年度)→ 47件(高齢44件,知的2件,精神1件)(H30年度)→ 13件(高齢12件,知的0件,精神1件)(R元年9月末)  ・報酬助成:25件(高齢20件,知的1件,精神4件)(H29年度)→ 27件(高齢22件,知的1件,精神4件)(H30年度)→ 15件(高齢13件,知的1件,精神1件)(R元年9月末)  ・市民参加型後見人の法人後見従事案件数  ※累計:47件(H29年度)→ 50件(H30年度) B-2社会福祉協議会における,平成31年4月より開所した,終活に関する相談対応,情報提供や終活出前講座などの啓発活動を担う「終活サポートセンター」のほか,身寄りのない方の葬儀・家財処分などの死後事務委任事業として,預託金による「ずーっとあんしん安らか事業」や,少額短期保険制度を活用して月払い制とした「やすらかパック事業」について支援を行っている。 <主な事業> 〇終活サポートセンター  ・相談者数:471件(R元年9月末)  ・出前講座実施件数:24件(R元年9月末) 〇ずーっとあんしん安らか事業  ・契約者数:103件(H29年度)→ 92件(H30年度)→ 91件(R元年9月末) 〇やすらかパック事業(平成29年度開始)  ・契約者数:12件(H29年度)→ 20件(H30年度)→ 32件(R元年9月末) 72ページ 【課題】 @夜間や休日などの各種相談体制などが不十分な部分があり,必要なときに適切なサービスを提供できていない場合がある。 A契約者に占める生活保護受給者や精神障がい者の割合や,複合的な生活課題を抱えた事例が増大し,支援内容が広範囲に及んでいる。また,新規相談件数なども増加していることから,現契約者及び今後の新規相談に対応していくための体制整備や関係機関との連携強化を図る必要がある。 B  ・高齢者人口の増加とともに成年後見制度の利用を必要とする人の増加が見込まれることから,後見人の育成・確保のほか,相談から利用に至るまでの支援体制の強化,潜在的需要に応えるための更なる広報・啓発が必要である。  ・福岡市では成年後見制度利用支援事業の対象者を市長申立て案件に限定しているが,専門職団体などの関係機関から助成対象者の拡大が求められている。 【今後】 @引き続き,それぞれ関係機関の相談体制の強化について,検討を進める。 A社会福祉協議会と連携し,日常生活自立支援事業の充実・効率化を図るとともに,関係機関との連携を強化しながら,効果的な支援を行う。 B家庭裁判所や福岡市社会福祉協議会をはじめとする関係機関との意見交換を継続的に実施し,国の成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ,福岡市における権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核となる機関の設置に向けた準備を進める。また,成年後見制度を利用しやすく,利用者がメリットを感じられるよう,広報・啓発活動を行うとともに総合的な支援体制のあり方の検討を行う。 73ページ ●施策5-3 生活困窮者への相談支援体制の充実 取組みの方向性 @生活困窮者が困窮状態から早期に脱却するため,最後のセーフティネットである生活保護に至る前の段階から本人の状態に応じた包括的かつ継続的な支援等を実施し,支援対象者の自立を促進するために,自立に向けての支援計画の策定及び就労支援や多様な支援施策等とのネットワークの構築を行います。 Aハローワークや社協等とも連携し,支援のネットワークの拡大を図ります。 B生活困窮者を早期に支援につなげていくことができるように,支援内容の周知を図るとともに,社会的孤立を解消し,地域の中でのつながりを再構築していく取組みを進めます。 Cホームレスが抱える課題に対して,市内の各自立支援施設が連携して対応していくことによって,地域社会の一員として自立した日常生活が送れるよう支援していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A・B生活困窮者の相談窓口である「福岡市生活自立支援センター」を中心として,就労その他の自立に関する相談支援を実施するとともに,ハローワークや福岡市社会福祉協議会をはじめとした関係機関や各種支援施策などとの連携強化に取り組んでいる。また,市政だよりやホームページによる広報,チラシなどの配布など,市民に対する支援の周知に努めているほか,地域における出前講座の実施や関係機関の会議への出席などを通じて,地域や関係機関と生活自立支援センターなどの連携による生活困窮者支援の推進を図っている。 <主な事業> 〇自立相談支援事業  ・新規相談受付件数:2,473件(H29年度)→ 2,921件(H30年度)→ 1,800件(R元年10月末) C居住場所や食事,医療などを提供し,必要に応じて就労自立に向けた支援や福祉的自立に向けた支援,生活に関する相談・指導を行っている。また,相談員が駅や公園,河川など市内全域を巡回して個別の相談に応じ,路上生活からの自立に向けた支援を行っている。さらに,路上生活から自立した者が,地域で安定した生活を送り,再度ホームレスに戻らないように,訪問面談などの支援を継続している。 <主な事業> 〇ホームレス自立支援事業  ・ホームレス数:181人(H29年1月現在)→ 171人(H30年1月現在)→ 168人(H31年1月現在)  ・自立支援施設新規入所者数:311人(H29年度)→ 278人(H30年度)→ 196人(R元年10月末)  ・巡回相談・アフターケア事業の延べ支援者数:6,919件(H29年度)→ 9,474件(H30年度)→ 5,872件(R元年10月末) 【課題】 @・A・Bより多くの生活困窮者を相談につなげるためには,事業の一層の周知及び関係機関との連携強化が必要である。 Cここ数年,路上生活者は減少しているが,仕事や生活の場を求めて市外から転入してくる者も多く,自立支援施設の入所者数は減少傾向にない。路上生活者が高齢化・長期化する一方で,路上と屋根のある場所(ネットカフェなど)を行き来する若年層などが恒常的に存在しているため,ホームレスに至る前の段階からの支援を図る必要がある。 【今後】 @・A・B市政だよりやホームページ,チラシなど,各種媒体による広報活動の充実や,関係機関ごとに事業説明会を実施するなどして,関係機関へのさらなる周知を図るとともに,効果的・効率的な広報の手法について引き続き検討を行う。 Cホームレスの巡回相談や住居設定後の支援を充実させるとともに,福岡市生活自立支援センターの周知を図り,中間就労の推進によりきめ細やかな就労支援を実施するなど,生活困窮者がホームレスに至る前の段階から本人の状態に応じた包括的かつ継続的な支援などを今後も実施する。 74ページ ●施策5-4 ユニバーサルデザインの理念による地域づくり 取組みの方向性 @高齢者や障がいのある人をはじめ,すべての人が安全かつ快適に暮らしていけるように,「福岡市バリアフリー基本計画」に基づく公共交通機関等の整備や,公共交通や住宅のバリアフリー化など誰もが暮らしやすい環境整備を推進していきます。また「福岡市バリアフリー基本計画」に基づく,重点整備地区においては,生活関連施設や生活関連経路のバリアフリー化を重点的かつ一体的に進めていきます。 A歩道のバリアフリー化等に加え,バス停や公園などで休憩できるベンチ等の設置の拡充について検討します。 B日常生活や社会生活におけるバリアを取り除くことで,高齢者や障がいのある人,妊産婦やベビーカーを使用する人,外国人などが,円滑に移動したり,施設の利用ができることなどの重要性について,市民一人ひとりが理解を深め,支え合うことができるよう「心のバリアフリー」を推進します。 C情報障がい者といわれる視覚・聴覚障がい者に対する情報提供の方法として,テキスト訳,音訳,点訳,拡大写本などのボランティア活動を支援します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @旅客施設,車両,歩道,公園などのハード面のバリアフリー化は,バリアフリー基本計画(H25〜R2年度)に基づき,概ね順調に進んでいる。 <主な事業> 〇ハード面のバリアフリー化  ・バリアフリー化が完了した駅数(一日当たりの平均利用者数が3千人以上):  目標 64駅(R2年度)  現状 63駅(H30年度)  ・重点整備地区内の歩道のバリアフリー化延長(km):  目標 41.7km(R2年度)  現状 37.5km(H30年度) A誰もが気軽に外出しやすいまち「ユニバーサル都市・福岡」の推進や,超高齢社会に対応した「支えるまちづくり」のため,バス停付近などの市有地や民有地へベンチ設置を進めるベンチプロジェクトを推進している。 <主な事業> 〇市有地へのベンチ設置数  ・市有地へのベンチ設置数:  目標 85カ所(R2年度)  現状 68カ所(H30年度) B施設の改修などの際,障がいのある人の視点を生かし,よりきめ細やかなバリアフリー化を進めるため,バリアフリーのまちづくりサポーター制度を設けるとともに,出前講座などの機会を捉えた「心のバリアフリー」広報誌の配付・啓発などに取り組み,ソフト面のバリアフリー化を推進している。 <主な事業> 〇ソフト面のバリアフリー化  ・小学校でのバリアフリー教室の年間開催数(九州運輸局と協力開催含む):  目標 4校(H30年度)  現状 5校(H30年度)  ・バリアフリー関連市民向け講座の開催数:8件(H29年度)→ 6件(H30年度)→ 5件(R元年9月末) C福岡市社会福祉協議会にて実施している,視覚・聴覚障がい者に対するボランティア養成講座およびサービス事業を支援している。 <主な事業> 〇在宅視覚障がい者サービス事業  視覚障がい者の生活の質(QOL)の充実を目的に,点訳及び触地図,音訳,外出ガイド,拡大写本活動,テキスト訳活動,パソコン操作指導活動などを支援・活性化 〇視覚障がい者のための点訳・朗読・ガイドボランティア養成講座  点訳,音訳,外出ガイド,拡大写本活動,テキスト訳活動のボランティア養成講座を実施 〇バリアフリー映画支援ボランティア養成講座  視覚・聴覚障がい者に映画を楽しむ機会を提供できるよう,日本語字幕と副音声による音声ガイドを付与したバリアフリー映画を作成するボランティア養成講座を実施 75ページ 【課題】 @・B施設ごとのバリアフリー化は着実に進められているが,心のバリアを取り除き,多様な人々の存在をお互いに理解し,支え合う「心のバリアフリー」は,浸透に時間を要するため,今後も継続的に普及・啓発をする必要がある。 A外出しやすいまちづくりを推進していくため,地域などの要望を踏まえながらベンチを効果的な場所へ設置していく必要がある。 【今後】 @引き続き,学識経験者・利用者・行政などで構成するバリアフリー推進協議会での意見を踏まえながら,関係者と連携して,バリアフリー基本計画に基づくハード面のバリアフリー化を推進する。 A引き続き,設置箇所について地域要望を受け付けるとともに,ふくおか応援寄付金の活用や,ベンチ購入補助制度によりベンチ設置を促進していく。 B「子ども向けバリアフリー教室」の開催や,「車いす利用者おでかけマップ」を用いたモニターツアーの開催,障がい当事者からアドバイスをいただく「バリアフリーのまちづくりサポーター制度」の働きかけなどを行い,心のバリアフリーの定着を図る。 76ページ W 高齢者分野 77ページ 基本目標1 いきいきとしたシニアライフの実現 目標の内容 ○高齢者が社会の中で役割を持っていきいきと暮らせるよう,積極的な社会参加活動を支援します。 施策の方向性 ○高齢者が社会の中で「居場所」と「出番」をもって,いつまでも元気で活躍し,生きがいのある生活を送ることができるよう,様々な社会参加活動を支援します。 ○社会参加活動の中でも特に望まれている就業分野について,シルバー人材センター等既存組織とのより良い連携方法を考えながら取組みを進めます。 ○社会参加の活動拠点の一つである老人福祉センターについて,人生90年時代に対応した内容に向けて見直しを進めます。 ○それぞれの意欲や能力に応じて「支える側」として活躍する人を応援する持続可能な制度や仕組みの創設に向け,既存施策の再構築を進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策1-1 社会参加活動の促進 ●施策1-2 就業を通じた生きがいづくりの支援 ●施策1-3 活動の拠点づくり 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○老人福祉センターや老人いこいの家などの各活動拠点において,趣味・教養・文化など,様々な活動が促進されるよう,支援を行っている。 ○シルバー人材センターへの人的・財政的支援を継続して実施するとともに,高齢者の意向や特性を踏まえた創業・就業支援の仕組みづくりなどについて検討を進めている。 ○老人福祉センターや老人いこいの家において,引き続き施設で様々な活動が行えるように,適切に運営・維持管理を行うとともに,令和元年度から,老人福祉センターの「健康づくり機能」を強化し,就業・創業支援による「生きがいづくり」機能を新たに付加している。 【課題】 ○身近な場所において,社会を支える積極的な社会参加活動や介護予防につながる活動など様々な活動を行う機会を増やす必要がある。 ○働きたい高齢者と企業の雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり,高齢者の就業を支援していく必要がある。 【今後の方向性】 ○各活動拠点や各種団体において,さらなる社会参加活動が促進されるよう様々な施策を検討する。 ○高齢者の就業支援や企業の雇用促進の方策などを検討・実施する。 ○老人福祉センターにおいて,健康づくり・介護予防や創業・就業などのシニアの積極的な活動支援を進める。 78ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @外出する頻度(週に4日以上外出する人の割合)(福岡市高齢者実態調査) 61.2%(平成22年度) 65.0%(令和元年度) 52.0%(平成28年度) A働いている高齢者の割合(福岡市高齢者実態調査) 35.3%(平成28年度) 38.3%(令和元年度) 35.3%(平成28年度)  ※H28の調査はH22の調査と設問が異なるため,数値は推計値。 79ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策1-1 社会参加活動の促進 取組みの方向性 @高齢者が社会の中で元気に活躍し,生きがいのある生活を送ることができるよう,趣味・教養・文化など,様々な活動を促進します。特に,ボランティア活動や就業など,社会を支える積極的な社会参加活動や介護予防につながる活動を促進します。 A文化芸術の持つ,集団活動や交流の推進による相互理解を向上させる力を活用し,高齢者の社会参加活動を促進します。 B老人クラブ活動の活性化や,住民団体による地域の見守り活動の推進などを通じて,高齢者の地域活動への参加促進を図ります。 C健康づくりや地域活動への参加促進に向け,高齢者一人ひとりの取組みや,地域における取組みを応援するインセンティブ制度の創設について検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A-1老人福祉センターや老人いこいの家などの各活動拠点において,各種講座・教室を実施するなど,趣味・教養・文化などの様々な活動が促進されるよう,支援を行っている。 <主な事業> 〇高齢者創作講座,シニア教室  高齢者の社会参加の意識高揚や相互親睦を図り,生きがいを高めるため,創造的活動への参加や,相互の教え合いを支援  ・延べ参加者数:199,897人(H29年度)→ 189,037人(H30年度)→ 97,421人(R元年9月末) @・A-2還暦の節目であり,退職などで生活スタイルの大きな転換が見込まれるアラカン(アラウンド還暦,60歳前後)世代を主な対象として,これからの過ごし方について考え,生きがいとしての就労や地域活動,余暇活動などを行うきっかけづくりを行っている。 <主な事業> ○アラカンフェスタ  ・延べ参加者数:4,676人(H29年度)→ 6,422人(H30年度) ○R60倶楽部  シニアが長年培った経験や技能,趣味や興味を活かして自らイベントを企画し,地域資源を活かした体験型の教室やツアーなどを実施  ・プログラム実施数:41プログラム(H29年度)→ 79プログラム(H30年度)→ 46プログラム(R元年9月末) B福岡市老人クラブ連合会及び地域の単位老人クラブの事業や活動に対する,補助金助成などの支援により,高齢者の地域活動への参加促進を図っている。 <主な事業> 〇老人クラブ活動支援  高齢者の社会参加及び健康づくりを推進するため,老人クラブ活動費及び福岡市老人クラブ連合会運営費,各種事業費などについて助成  ・年度末会員数:37,601人(H29年度)→ 36,155人(H30年度)  ・友愛訪問:班773,訪問員4,297人(H29年度)→ 班752,訪問員4,086人(H30年度)  ・ゲートボール大会:155人(H29年度)→ 133人(H30年度)  ・グラウンド・ゴルフ大会:2,310人(H29年度)→ 2,238人(H30年度)  ・囲碁将棋大会:451人(H29年度)→ 444人(H30年度) C健康づくりや社会参加などに関して,市民の行動変容を促進する仕組みづくりを行うため,市民の行動変容にどのような後押しが有効であるか,その要因や手法について,調査・検討を行っている。平成30年度は,健康や生活習慣などに関する市民意識調査を実施した。 80ページ 【課題】 B老人クラブの会員やクラブ数は経年的に減少傾向にあり,活動の活性化に向けた対策を検討する必要がある。 Cインセンティブ制度が,高齢者などの健康づくり・社会参加を効果的に後押しする施策となるよう,検討を行う必要がある。 【今後】 B全国老人クラブ連合会において「100万人会員増強運動」を推進しており,福岡市老人クラブ連合会においても「ふくふくクラブ福岡『会員増強運動』」と名付けて組織拡充に取り組んでいる。市としても,活動のPRをはじめ,福岡市老人クラブ連合会などと連携し,引き続き支援を行っていく。 C健康寿命の延伸につながるようなインセンティブ制度について,市民の行動変容の後押しとなるよう,市民意識調査の結果などを踏まえ,検討を進める。 81ページ ●施策1-2 就業を通じた生きがいづくりの支援 取組みの方向性 @シルバー人材センターによる就業先の確保・職域拡大・自立経営等に向けた機能強化について,助言や支援を行うとともに,福岡県70歳現役応援センターとの連携を図りながら,高齢者の就業を通じた生きがい活動の充実を図ります。 A産学官の連携により高齢者の活躍を応援する「福岡市シニア創業チャレンジ支援会議(仮称)」を設置し,高齢者の意向や特性を踏まえた新たな働き方の開発や,創業・就業支援の仕組みづくりを検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @シルバー人材センターへの人的・財政的支援により,高齢者の就業を通じた社会参加や地域の活性化を図っている。 <主な事業> 〇シルバー人材センター  就業を通じて高齢者の能力を活用し,高齢者の社会参加や地域の活性化を図るため,地域の日常生活に密着した臨時的かつ短期的な仕事を有償で引き受け,これを会員に提供  ・会員数:6,838人(H29年度)→ 6,967人(H30年度)→ 7,142人(R元年9月末)  ※以下,<>は派遣を含む数  ・就業率:71.5%(H29年度)→ 69.3%<74.3%>(H30年度)→ 57.8%<64.1%>(R元年9月末)  ・契約件数:15,873件(H29年度)→ 15,853件<16,515件>(H30年度)→ 9,545件<9,959件>(R元年9月末)  ・契約金額:2,104,234,000(H29年度)→ 2,076,970,000<2,302,991,000円>(H30年度)→ 1,149,728,000円<1,302,932,000円>(R元年9月末)  ・就業延人員:491,308人(H29年度)→ 483,390人<535,710人>(H30年度)→ 246,670人<280,397人>(R元年9月末) A高齢者の意向や特性を踏まえた就業・創業支援の仕組みづくりなどの手法について,検討を進めている。 <主な事業> 〇アクティブシニアの就業・創業支援(平成30年度まで)  事務職雇用開拓の強化やセミナーの開催などにより,高齢者の就業・創業を関係機関と連携・協力しながら促進  ・高齢者向けセミナーなど(主催・共催)参加者数:5回,742人(H29年度)→ 12回,945人(H30年度) 〇シニア活躍応援プロジェクト(令和元年度から)  働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり,高齢者の就業を応援  ・シニア活躍応援プロジェクト会議開催数:2回開催(R元年9月末)  ・高齢者向けイベント開催数,参加者数:43回,747人(R元年9月末)  ・高齢者雇用に向けた事業者への働きかけ:158社訪問(R元年9月末) 【課題】 @・A高齢者の多様なニーズに応じた就業機会を確保するため,職域拡大,受け皿拡大を図るとともに福岡市の特性を踏まえた就業分野の雇用開拓を進める必要がある。 【今後】 @・A高齢者への就業支援や事業者への働きかけを効果的に行うとともに,働きたい高齢者がいつまでも活躍できる環境づくりを進める。 82ページ ●施策1-3 活動の拠点づくり 取組みの方向性 @老人福祉センター及び老人いこいの家について,高齢者を中心とした社会参加活動の拠点としての機能を強化するため,施設で行われる様々な活動を支援します。(再掲) A老人福祉センターについて,健康づくり・介護予防や創業・就業など,シニアの積極的な活動支援にむけた機能への転換を検討します。(再掲) 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @老人いこいの家について,引き続き施設で様々な活動が行えるように,維持管理を行っている。 <主な事業> ○老人いこいの家の設置・運営  高齢者福祉の増進を図るため,高齢者に対して教養の向上,レクリエーション及び相互親睦のための場を提供  ・利用者数:326,491人(H29年度)→ 314,272人(H30年度)  ・建替対象の整備数:  目標 125館  現状 107館(H30年度) A老人福祉センターについて,適切に運営・維持管理を行うとともに,令和元年度より,「健康づくり」「就業・創業支援による『生きがいづくり』」の機能を強化した。 <主な事業> ○老人福祉センターの設置・運営  高齢者の各種相談,健康増進,教養の向上,レクリエーションなどを総合的に提供  ・利用許可証交付数:10,918人(H29年度)→ 10,441人(H30年度)→ 10,155人(R元年9月末)  ・年間延べ利用者数:492,638人(H29年度)→ 482,680人(H30年度)→ 235,290人(R元年9月末)  ・開園日数(7園平均):298日(H29年度)→ 297日(H30年度)→ 148日(R元年9月末) 【課題】 A老人福祉センターについて,社会の情勢や高齢者のニーズを踏まえながら,時代に合った活用を図っていく必要がある。 【今後】 A老人福祉センターについて,令和元年度より,「健康づくり」「就業・創業支援による『生きがいづくり』」の機能を強化したところであり,引き続き,高齢者の積極的な社会参加活動の支援に取り組んでいく。 83ページ 基本目標2 安心して暮らせるための生活基盤づくり 目標の内容 ○高齢者が地域で安心して暮らせるよう,住まいや助け合いの仕組みづくり,買い物・移動支援等,適切な施策を推進します。 施策の方向性 ○高齢者が安心して快適に暮らせるために,高齢者の心身の状況やニーズ等に応じた多様な住まいを確保するとともに,高齢者の住まいへの入居支援等の取組みを促進します。 ○公共交通施策との整合性を踏まえながら,買い物や移動が困難な高齢者や障がいのある人に対する支援策を検討します。 ○様々な主体の参画のもと,地域ごとの特徴に応じた地域ぐるみの支え合いの仕組みをつくるとともに,これまでの「配る福祉」から今後の「支える福祉」に向け,施策の再構築を図ります。 ○民間事業者の進出や各種技術の進展などを踏まえた効果的・効率的な事業実施に向け,既存事業の見直しを進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策2-1 住まいの確保 ●施策2-2 移動支援と買い物支援 ●施策2-3 支え合う地域づくり ●施策2-4 在宅生活支援施策の充実 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 〇「サービス付き高齢者向け住宅」の登録推進や市営住宅のバリアフリー化を図っており,また,大規模な市営住宅の建替えで創出された将来活用地には,福祉的機能の誘導を図るなど,地域課題を踏まえたまちづくりに取り組んでいる。 ○買い物支援については,香住丘校区において,引き続き買い物先への送迎モデルの検討を行うとともに,令和元年度より,企業・事業所・NPOなどの地域資源の掘り起こしを進め,これと地域をマッチングする取組みを開始した。 ○福岡市社会福祉協議会におけるふれあいネットワークやふれあいサロン,地域で結成された生活支援ボランティアグループに助成するご近所お助け隊支援事業などの取組みの実施や,民生委員の活動に対する支援などを実施している。 【課題】 ○地域の課題を踏まえた高齢者施設などの誘導を図るため,早期から地域の課題やニーズなどを把握するとともに,関係局との情報共有や連携が必要である。 ○日常の買い物などが困難な高齢者への支援について,様々な仕組みづくりが必要である。 【今後の方向性】 ○大規模な市営住宅の建替えで創出された将来活用地の活用については,早期に所管局と連携し,地域の課題に対応した機能の誘導を図るほか,高齢者の見守りや生活支援サービス,死後事務などのサービスを拡充し,入居時及び入居後の生活支援を行うことにより,より一層高齢者の居住の安定確保を図る。 ○公共交通施策として,使いやすい安全,安心,快適な交通環境づくりを進めるとともに,地域の実状を踏まえ,行政,地域,及び交通事業者の協力と連携のもと,日常生活を支える生活交通の確保を図る。買い物支援については,買い物先への送迎のほか,移動販売車の運行や臨時販売所の開設,商店などによる宅配など多様な方法を,民間の活力や地域の支え合いの力,ICTなどの新しい技術など,多様な社会資源を活かして具体化し,地域の特性やニーズに応じてそれに適した買い物支援が行えるよう,多様で持続可能な仕組みづくりに取り組んでいく。 ○ふれあいネットワークやふれあいサロンの更なる拡充,ご近所お助け隊支援事業や民生委員の活動に対する支援など,関係施策の効果的な実施を図る。 84ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @ボランティア活動をしている高齢者の割合(福岡市高齢者実態調査) 10.1%(平成25年度) 15.0%(令和元年度) 10.1%(平成28年度) A最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合(保健福祉局調べ) 10.0%(平成26年度) 11.7%(令和2年度) 10.9%(平成29年度) グラフ A最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合  以下,H26,H27,H28,H29年度,目標値の順。  10.0 9.5 10.3 10.9 11.7  出典:保健福祉局調べ 85ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策2-1 住まいの確保 取組みの方向性 @「福岡市住生活基本計画」及び「福岡市高齢者居住安定確保計画」に基づき,高齢者が安心して居住できる生活支援サービスが付いた高齢者向けの住宅や高齢者向け施設の供給促進,また,高齢者が居住する住宅のバリアフリー化等を進めることにより,高齢者の心身の状況やニーズに応じた多様な住まいの確保を促進します。 A多様化する心身の状況や住まいへの要望に対して,高齢者のニーズに沿った情報を提供し,安心して居住することができる住まいを選択できるよう支援するとともに,円滑に入居するための支援策の充実を図ります。 B市営住宅については,機能更新の際に,バリアフリー化を進めるとともに,高齢者施設等の導入により,地域拠点づくりを推進します。また,高齢者世帯等のより住宅困窮度が高い世帯に対して,市営住宅入居者の定期募集における優遇制度を実施するなど,市営住宅への入居を支援します。 C公的機関や医療機関,民間事業者など多様な主体との連携を強化しながら,今後増加が見込まれる住宅に居住しながら介護サービスや生活支援サービスなどを必要とする高齢者の住生活の支援を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @高齢者の単身・夫婦世帯が安心して居住できる住宅の供給促進を図るため,バリアフリー化や安否確認サービスなど一定の基準を満たす「サービス付き高齢者向け住宅」の登録を推進している。 <主な事業> 〇サービス付き高齢者向け住宅の登録  ・サービス付き高齢者向け住宅の登録戸数:  目標 年間約126戸  現状 「登録戸数」181戸(H29年度)→ 154戸(H30年度) 「累計戸数」3,004戸(H29年度)→ 3,158戸(H30年度) A住替えが困難な高齢者を対象に,民間賃貸住宅への入居に協力する「協力店(不動産事業者)」や入居中の様々な生活支援を担う「支援団体(民間企業やNPO)」と連携し,民間賃貸住宅への円滑な入居を支援する事業「住まいサポートふくおか」を実施している。 <主な事業> 〇住まいサポートふくおか  ・住まいサポートふくおかによる賃貸契約成約世帯数〈累計〉:  目標 200世帯(R2年度)  現状 177世帯(H29年度)→ 204世帯(H30年度)→ 233世帯(R元年10月末) B市営住宅ストック総合活用計画に基づいて,建替えや改善事業の際には住戸や共用部分のバリアフリー化を図っている。また,大規模な市営住宅の建替えで創出された将来活用地には,福祉的機能の誘導を図るなど,地域課題を踏まえたまちづくりに取り組んでいる。  「将来活用地における福祉施設誘導の事例」 月隈(デイサービス,クリニックなど),拾六町(特別養護老人ホーム,デイサービスなど) <主な事業> 〇市営住宅のバリアフリー化  ・市営住宅のバリアフリー化率:35%(H29年度)→ 37%(H30年度) C福岡市社会福祉協議会が実施している見守り活動である「ふれあいネットワーク」や地域で結成された生活支援ボランティアグループに助成する「ご近所お助け隊支援事業」のほか,身寄りがない高齢者の抱える死後事務の不安を解消するための「ずーっとあんしん安らか事業」と「やすらかパック事業」,また,日常生活自立支援事業や法人後見事業により金銭管理を含めた生活支援などの取組みを支援している。 86ページ 【課題】 @単身・夫婦のみ高齢者世帯の急激な増加などにより,「サービス付き高齢者向け住宅」のさらなる登録推進が必要である。 A「住まいサポートふくおか」について,関係機関や協力店への事業周知及び連携強化が必要である。特に,46社(R元年9月末)ある協力店の管理物件だけでは市内全域をカバーできておらず,さらなる協力店の登録を進める必要がある。 B大規模な市営住宅の建替えで創出された将来活用地の活用において,地域の課題を踏まえた高齢者施設などの誘導を図るためには,早期から地域の課題やニーズなどを把握するとともに,関係局との情報共有や連携が必要である。 C実施団体である社会福祉協議会の財源確保が課題である。また,各制度事業とふれあいネットワークのようなインフォーマルサポートとの連携が求められるため,さらなる社会福祉協議会との共働が必要である。 【今後】 @「サービス付き高齢者向け住宅」について,民間事業者に対し,登録制度及び登録を前提とする国の建設費補助制度などを広報・周知することにより,「サービス付き高齢者向け住宅」の供給を促進するとともに,高齢者の安定した居住の継続に向け,登録住宅の適正な維持・管理などについて事業者への助言・指導とともに,必要に応じて報告徴収や立ち入り検査などを引き続き実施する。 A「住まいサポートふくおか」について,協力店の登録を進めるために,業界団体が行う不動産事業者研修会などの場で,引き続き本事業の周知及び協力依頼を行うほか,協力店との連携強化に向けた方策について検討を行う。 B引き続き,大規模な市営住宅の建替えで創出された将来活用地の活用については,早期に所管局と連携し,地域の課題に対応した機能の誘導を図る。 C社会福祉協議会などと連携し,入居時及び入居後の生活支援を行うことにより,より一層高齢者の在宅生活の安定確保を図る。 87ページ 施策2-2 移動支援と買い物支援 取組みの方向性 @公共交通施策として,使いやすい安全,安心,快適な交通環境づくりを進めるとともに,地域特性を踏まえ,行政,地域,及び交通事業者の協力と連携のもと,日常生活を支える生活交通の確保を図ります。 A既存の公共交通ネットワークとの整合性を踏まえながら,買い物や通院が困難な高齢者に対して,地域での取組みを応援するなどの新たな移動支援策の実施を検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1鉄道駅のバリアフリー化の推進や,市内バス路線へのノンステップバスの導入促進を行っている。 <主な事業> 〇鉄道駅バリアフリー化  段差解消・転落防止設備・視覚障がい者用誘導ブロック,障がい者対応型便所の整備  ・対象の64駅のうち,63駅の整備が完了(H30年度) 〇ノンステップバスの導入  ・導入率:約32%(H29年度)→ 約37%(H30年度) @-2休廃止対策として,路線バスの休廃止に伴い,公共交通空白地となる地域において,代替交通の運行経費に補助を行っている。  5路線(H30年度):今宿姪浜線,板屋脇山線,志賀島島内線,脇山支線,金武橋本線 @-3不便地対策として,公共交通の利用が不便な地域や,それに準ずる地域において,地域主体の取組みに対する検討経費や,交通事業者が実施する試行運行の経費に補助を行っている。 @-4生活交通確保支援として,休廃止対策や不便地対策の対象以外の地域において,生活交通確保に向けた地域主体の取組みに対して,専門的なアドバイスなどの活動支援を行っている。 @-5高齢者の地下鉄の利用促進を目的に,65才以上を対象とした地下鉄全線定期券「ちかパス65」を販売している。 A-1平成29年2月から,市が地域団体に車両を貸し出し,地域ボランティアの運転,付添いにより,高齢者を店舗まで送迎する買い物支援のモデル事業を香住丘校区において実施するとともに,令和元年度より,企業・事業所・NPOなどの地域資源の掘り起こしを進め,これと地域をマッチングする取組みを開始している。 A-2高齢者の運転による交通事故が増加し社会問題となる中,安全な乗り物である地下鉄への利用転換を支援するため,運転免許を返納し「ちかパス65」を購入した方に1回の購入につき3,000ポイント(申し込みは2回まで)を付与する「運転免許返納割」サービスを平成29年5月3日より行っている。 88ページ 【課題】 @ 〇公共交通バリアフリー化促進事業  ・バス:バリアフリー法に基づく国の基本方針が改正(平成23年3月)され,令和2年度までに乗合。バスの70%をノンステップバスとする目標が定められたため,それに向けた取組みが必要である。  ・鉄道駅:バリアフリー法に基づく国の基本方針が改正(平成23年3月)され,令和2年度まで1日平均利用者数3,000人以上のすべての駅をバリアフリー化とする目標が定められたため,それに向けた取組みが必要である。 〇生活交通支援事業  ・人口減少が顕著な地域など,郊外部の生活交通路線の利用者数は減少傾向にある。  ・高齢化が進展する中,丘陵地の住宅地などでは,生活交通の確保が課題となっており,地域交通事業者と連携した取組みが必要である。  ・交通事業者の深刻な乗務員不足により,路線の維持・充実が困難な状況にある。 A-1香住丘校区におけるモデル事業を実施していく中で,運転ボランティアなどの担い手や車の確保,運行ルートやシフトの調整といった地域負担の軽減などの課題も把握できており,この買い物先への送迎モデルについて,より安定的に事業を継続できるよう検討するとともに,他の手法も含めて,より多様で持続可能な仕組みづくりが必要である。 A-2商店街が買い物支援などの地域課題解決に取り組もうとする場合には,地域ニーズに対応するための人手の確保が必要である。  ※H29年度福岡市商店街実態調査において,「取り組んでいない」と回答した7割の商店街のうちの50%は「人的余裕がない」と回答 【今後】 @ 〇公共交通バリアフリー化促進事業  ・バス:引き続き,バス事業者に積極的にノンステップバスを導入していただくよう,要請及び補助を行っていく。  ・鉄道駅:平成30年度末時点においては,1日あたりの平均利用者数が3,000人以上である市内64駅のうち63駅の整備が完了しており,残る香椎花園前駅が早期に整備が実施されるよう,鉄道事業者と調整を進めていく。 ○生活交通支援事業  ・引き続き,生活交通条例に基づく休廃止対策,不便地対策,生活交通確保支援に,しっかりと取り組んでいくとともに,地域の意見を伺いながら,関係局と連携して,総合的に生活交通の確保に努める。 A  ・買い物先への送迎のモデル事業について,より安定的に事業を継続できるよう検討を行うとともに,移動販売車の運行や臨時販売所の開設,商店などによる宅配など多様な方法を,民間の活力や地域の支え合いの力,ICTなどの新しい技術など,多様な社会資源を活かして具体化し,地域の特性やニーズに応じてそれに適した買い物支援が行えるよう,多様で持続可能な仕組みづくりに取り組んでいく。  ・商店街が買い物支援などの地域課題解決に取り組もうとする場合には,引き続き,商店街と自治協議会などの地域団体との意見交換会を実施するなどして,地域団体をはじめ,NPO法人,民間事業者などの外部団体との課題解決に向けた連携を促進することにより,支援に必要な人員の確保や地域ニーズの掘り起こしに取り組む。 89ページ ●施策2-3 支え合う地域づくり 取組みの方向性 @社会福祉協議会,民生委員・児童委員協議会,老人クラブ連合会,衛生連合会,自治協議会等,地域で活動する各種団体への支援や,様々な場面での連携を通じて,地域の特性に応じた住民同士の支え合い・助け合いの仕組みづくりを支援します。 A住民団体だけでなく,企業やNPO,介護事業者,大学などの多様な主体の地域の支え合い・助け合い活動への積極的な参加を促進するとともに,社会福祉法人の地域貢献活動を推進します。 B住民の地域コミュニティへの参加を促し,住民相互の顔の見える関係づくりを進めるため,住民が気軽に集まれる場づくりを進めます。住民の交流の場として空き家などの活用についても検討を進めます。 C高齢者の地域活動への参加を促すため,活動に取り組む高齢者を応援するインセンティブ制度の創設について検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A・B-1福岡市社会福祉協議会におけるふれあいネットワークやふれあいサロン,地域で結成された生活支援ボランティアグループに助成するご近所お助け隊支援事業などの取組みの実施や,民生委員の活動に対する支援などを実施している。 <主な事業> 〇ふれあいネットワーク  地域住民や団体がネットワークを作り,高齢者などの見守り活動などを実施  ・見守り世帯数:39,447世帯(H29年度)→ 42,845世帯(H30年度)→ 45,201世帯(R元年9月末) 〇ふれあいサロン  閉じこもりがちな高齢者や障がいのある人等の孤独感の解消や寝たきり予防のため,健 康づくりやレクリエーションなどサロン活動を実施  ・参加者数(実人数):9,541人(H29年度)→ 9,323人(H30年度)→ 8,911人(R元年9月末) 〇ご近所お助け隊支援事業(H29年度開始)  日常のちょっとした困りごとを解決するため,地域住民により結成された生活支援 ボランティアグループによるごみ出しや買い物支援などを実施  ・助成団体数(延べ団体数):18団体(H29年度)→ 18団体(H30年度)→ 21団体(R元年9月末) @・A・B-2空き家などの資源の活用については,令和元年度より,福岡市社会福祉協議会が実施する,これまでの福祉転用の取組みをさらに広げていくため,空き家を活用してほしい人と活用したい人をマッチングする「社会貢献型空家バンク」の取組みを支援している。 C健康づくりや社会参加などに関して,市民の行動変容を促進する仕組みづくりを行うため,市民の行動変容にどのような後押しが有効であるか,その要因や手法について,調査・検討を行っている。平成30年度は,健康や生活習慣などに関する市民意識調査を実施した。 【課題】 @・A・B  ・支え合う地域づくりを推進していくためには,地域で活動する各種団体などとの連携を図りながら,担い手の育成や参加を促進するための働きかけなどに,より一層取り組む必要がある。  ・空き家の活用にあたっては,活用可能な空き家情報と活用のニーズの把握のほか,法務,税務,建築などの課題解決を担う各専門分野との効率的・効果的な連携や調整などを図っていく必要がある。 Cインセンティブ制度が,高齢者などの健康づくり・社会参加を効果的に後押しする施策となるよう,検討を行う必要がある。 90ページ 【今後】 @・A・B  ・ふれあいネットワークやふれあいサロンの更なる充実,ご近所お助け隊支援事業や民生委員の活動に対する支援など,関係施策の効果的な実施を図る。  ・住民の交流の場や福祉活動拠点などの空き家の活用について,「社会貢献型空家バンク事業」と連携を図りながら,取り組んでいく。 C健康寿命の延伸につながるようなインセンティブ制度について,市民の行動変容の後押しとなるよう,市民意識調査の結果などを踏まえ,検討を進める。 91ページ ●施策2-4 在宅生活支援施策の充実 取組みの方向性 @介護保険制度の理念である「自立」を基本に,支援が必要な高齢者に対し,きめ細かな在宅生活支援サービスを提供していきます。 A民間サービスの参入やICT(情報通信技術)の進歩等を踏まえつつ,より効果的・効率的な在宅生活支援施策について,既存事業の見直しも含めて検討していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @緊急通報システムやおむつサービスなど,支援を必要とする高齢者が安心して在宅生活を送るためのサービスを実施している。 <主な事業> 〇緊急通報システム  在宅の一人暮らしなどの高齢者が,急病などの緊急時に無線発信機などを用いてセンターに通報し,消防局や近隣の協力員などが対応する仕組み  ・登録者数:5,172人(H29年度)→ 5,017人(H30年度) 〇おむつサービス  寝たきりなどによりおむつが必要な人に,おむつを定期的に配送し,その費用の一部を助成  ・利用者数:4,634人(H29年度)→ 4,974人(H30年度) 〇あんしんショートステイ  介護者の疾病や介護疲れなどの理由で介護保険を超えてショートステイを利用する場合の利用料金の一部を助成  ・登録者数:2,841人(H29年度)→ 2,725人(H30年度) A「食の自立支援・配食サービス」について,民間事業者の参入などを踏まえ,平成28年度末で一部地域を除いて事業を終了した。 【課題】 @高齢者数の増加に伴い,利用者数の増加が見込まれる。 【今後】 @社会の情勢や利用者ニーズを踏まえ,効果的・効率的な在宅支援施策について,引き続き検討していく。 92ページ 基本目標3 認知症施策の推進 目標の内容 ○今後増加する認知症の人や介護する人への支援に取り組みます。 施策の方向性 ○認知症の人を単に「支えられる側」と考えるのではなく,認知症の人の意志を尊重し,寄り添うことで,認知症の人ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう,認知症への理解を深める取組みを進めるとともに,本人やその家族に対する支援の充実を図ります。 ○医療・介護の専門職の認知症対応力の向上を図るほか,認知症の人が初期段階で適切な診断を受け,認知症の状態に応じた適時・適切なサービスを受けられる体制整備を進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策3-1 認知症に関する啓発の推進 ●施策3-2 適切な医療・介護サービスの提供 ●施策3-3 介護する人への支援の充実 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○認知症サポーター養成講座を実施し認知症の理解を深めるための普及・啓発活動を推進。また,地域や企業,小中学校などにおいて,認知症サポーター養成講座を実施し認知症サポーターの養成を進めている。 ○認知症初期集中支援チームを7チーム設置。また,かかりつけ医などの認知症対応力を向上させるための研修や,認知症サポート医の養成を実施している。 ○「働く人の介護サポートセンター」を開設し,仕事と介護の両立についての情報提供やアドバイスを行ったり,要支援・要介護者を在宅で介護している家族介護者に対し,「家族介護者のつどい」を実施して,相互交流・意見交換の機会を提供するなどしている。 【課題】 ○認知症の理解を深めるための普及・啓発活動を推進するために認知症サポーターのスキルアップやサポーターが地域で活躍できる場の提供,活躍できる場へつなぐ必要がある。 ○認知症の人を早期に相談,医療・介護につなぐ必要がある。 ○「働く人の介護サポートセンター」や「家族介護者のつどい」については,利用者を増やす必要がある。 【今後の方向性】 ○地域や職域で認知症の人や家族を手助けする認知症サポーターの養成を進める。また,認知症サポーターが認知症の人にやさしい地域づくりのために様々な場面で活躍してもらえるように,認知症サポーターステップアップ講座などの取組みを引き続き実施する。 ○認知症初期段階にある対象者の把握方法や支援内容を検討するほか,実施マニュアルの見直しを実施する。認知症の人を早期に相談し,医療・介護につなぐための啓発に向けた取組みを実施する。 ○働く人の介護サポートセンターについては,様々な広報媒体を活用するほか,企業の人事・労務担当部署への訪問などを通じて積極的に窓口の紹介を行い,支援を必要としている人への周知に努める。また,家族介護者支援については,家族介護者のニーズを把握し,より必要とされる支援ができるよう,実施方法を検討していく。 93ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @認知症の人が,住み慣れた地域で暮らし続けることができると思う人の割合(福岡市高齢者実態調査) 48.4%(平成28年度) 54.7%(令和元年度) 48.4%(平成28年度) A医療・介護専門職を対象とした認知症に関する研修受講者数(保健福祉局調べ) 3,150人(平成26年度) 8,000人(令和2年度) 5,712人(平成30年度) グラフ A医療・介護専門職を対象とした認知症に関する研修受講者数  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  3,150 3,640 4,064 5,077 5,712 8,000  出典:保健福祉局調べ 94ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策3-1認知症に関する啓発の推進 取組みの方向性 @社会全体で認知症の人を支える基盤として,誰もが認知症についての正しい知識を持ち,認知症の人や家族を支える手だてを知ることができるよう,認知症とその予防について,学校教育の場を含め,理解を深めるための普及・啓発活動を推進します。 A地域や企業,小・中学校などにおいて,認知症の人とその家族を支え,温かく見守る認知症サポーターの養成を進めるとともに,認知症サポーターなどによる認知症の人にやさしい地域づくりに取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A認知症サポーター養成講座を実施し認知症の理解を深めるための普及・啓発活動を推進している。また,地域や企業,小・中学校などにおいて,認知症サポーター養成講座を実施し認知症サポーターの養成を進めているとともに,認知症の人や家族を支えるために役に立ちたいという,意欲的なサポーターに対しステップアップ講座を開催している。 <主な事業> ○認知症普及啓発事業  認知症の人と家族を温かく見守る認知症サポーターを養成する講座の実施  ・認知症サポーター養成講座開催数〈累計〉:  目標 3,200回(R2年度)  現状 2,324回(H29年度)→ 2,664回(H30年度)→ 2,779回(R元年8月末)  ・認知症サポーター数〈累計〉:  目標 12万人(R2年度)  現状 89,527人(H29年度)→ 103,898人(H30年度)→ 108,317人(R元年8月末)  ・認知症サポーターステップアップ講座開催数:  目標 30回(R2年度)  現状 9回(H29年度)→ 14回(H30年度)→ 6回(R元年8月末) 【課題】 @認知症の理解を深めるための普及・啓発活動の推進に向けては,認知症サポーターのスキルアップが必要である。 A認知症サポーターが地域で活躍できる場の提供,活躍できる場へつなぐ必要がある。 【今後】 @・A地域や職域で認知症の人や家族を手助けする認知症サポーターの養成数は増加しており,引き続き養成を進める。また,認知症サポーターが認知症の人にやさしい地域づくりのために様々な場面で活躍してもらえるように,今後も認知症サポーターステップアップ講座などの取組みを実施する。 95ページ ●施策3-2 適切な医療・介護サービスの提供 取組みの方向性 @福岡市医師会や認知症疾患医療センターを中心とした,早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに,かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や,かかりつけ医への助言や専門医療機関と地域包括支援センター等との連携の推進役となる認知症サポート医の養成を行います。【再掲】 A認知症が疑われるが受診を拒否する人などの自宅を訪問し,初期の支援を包括的・集中的に行い,適切な医療・介護サービスにつなげていく体制をつくります。【再掲】 B認知症の人の支援に関わる医療・介護・福祉等多職種の顔の見える関係づくりを通して,個々の認知症の人に対する円滑な支援を行うとともに,認知症の容態に応じた適切なサービス提供の流れ(「認知症ケアパス」)を作成し,認知症の人やその家族,医療・介護関係者等が互いに共有・活用することを通して,認知症の人への切れ目ないサービスの提供につなげます。 C若年性認知症については,啓発により早期受診につなげるとともに,若年性認知症の人の特性を踏まえた,相談対応・就労・居場所づくりなどの支援に取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @認知症サポート医を養成し,かかりつけ医,病院勤務医療従事者,歯科医師,薬剤師に向けた,認知症対応力を向上させるための研修を実施している。 <主な事業> 〇認知症サポート医の養成  ・認知症サポート医の養成人数:  目標 2名養成(R元年度)  現状 累計25名(H29年度)→ 累計27名(H30年度)→ 累計29名(R元年9月末)  ・認知症サポート医の登録人数:37名(H30年度) A認知症初期集中支援チームについては,平成29年度より博多区と早良区でのモデル事業を実施し,平成30年度から全市において本格実施している。なお,平成30年度は「認知症サポートチーム」が4チームに増えているが,3チームは2区をシフト制で担当していたため緊急対応が必要な事例に対応できないなどの状況にあったことから,令和元年度からは各区1チーム設置と拡大している。 <主な事業> 〇認知症初期集中支援推進事業  認知症になっても本人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けるために,認知症の人やその家族に関わる「認知症サポートチーム」を配置し,早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築  ・初期集中支援事業の実施状況:  目標 7チーム設置(R元年度)  現状 2チーム(H29年度)→ 4チーム(H30年度)→ 7チーム(R元年9月末) B平成27年度から認知症ケアパスを作成。平成28年度からは認知症ケアパスの活用,普及,評価を実施している。平成29年度以降は本人向け冊子「もの忘れが気になるあなたへ」を作成し,薬局や郵便局など配布先を拡大して普及を図っている。 <主な事業> 〇認知症普及啓発事業  認知症の人やその家族などの状況に応じた適切なケアについての情報提供に向けた認知症ハンドブックと認知症啓発リーフレットを作成し,認知症サポート医・相談医などへ説明配付での活用を依頼 96ページ C若年性認知症について,啓発による早期受診,若年性認知症の人の特性を踏まえた相談対応・就労・居場所づくりなどの支援に取り組んでいる。 <主な事業> 〇認知症普及啓発事業  若年性認知症に関する講演会・研修会及び,若年性認知症の人の早期受診や早期相談・支援に向けた啓発を目的とする講演会・研修会の開催  ・講演会・研修会参加人数(年2回):延べ132人(H29年度)→ 延べ133人(H30年度) 【課題】 @本市が養成した認知症サポート医のほかにも,認知症サポート医養成研修を修了された医師が市内の医療機関などで活躍しているため,地域の医療体制づくりの推進役として連携していく必要がある。 A「認知症サポートチーム」は,認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し,関係を作りながら適切な医療,介護サービスに繋げるため,各区における事例を通じてスキルアップが重要である。 B認知症の人を早期に相談,医療・介護につなぐ啓発が必要である。 C若年性認知症の理解に向けては,継続した市民啓発の取組みと啓発メニューの充実が必要である。 【今後】 @・A・B・C認知症の人を早期に相談,医療・介護につなぐために,市医師会,市歯科医師会,市薬剤師会などの関係機関とともに認知症対応力の向上に取り組むとともに,認知症についての講演会の実施など,引き続き啓発のための取組みを実施し,早期発見・早期対応につなげていく。 97ページ ●施策3-3 介護する人への支援の充実 取組みの方向性 @家族など介護者への支援の充実を行い,介護者の精神的・身体的負担軽減と認知症の人の生活の質の改善につなげます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1平成28年7月より「働く人の介護サポートセンター」を開設し,働く人が介護に直面しても,介護と両立して仕事を続けられるように,情報提供やアドバイスを行っている。広報については,企業を訪問しての周知活動に加え,平成30年度から,企業向けの出張相談を行うこととしている。 <主な事業> 〇働く人の介護サポートセンター  ・相談件数:248件(H29年度)→ 344件(H30年度) @-2認知症高齢者の見守りや家族の相談・助言のための事業を実施し,介護者の精神的・身体的負担軽減と認知症の人の生活の質の改善に取り組んでいる。 <主な事業> 〇認知症高齢者家族やすらぎ支援事業  認知症高齢者の見守りや家族の相談・助言のため,認知症高齢者を自宅で介護する家族 の休息が必要な時などに介護経験があるボランティアが自宅を訪問  ・認知症高齢者家族やすらぎ支援事業利用世帯数:  目標 25世帯(R元年度)  現状 20世帯(H29年度)→ 12世帯(H30年度)→ 13世帯(R元年8月末) 〇認知症の人の見守りネットワーク事業  行方不明になった認知症の人の早期発見・保護のため,協力サポーターなどへの捜索協力依頼のメール配信や捜索のための機器利用を助成  ・認知症の人の見守りネットワーク事業登録制度利用者数:  目標 1,155名(R元年度)  現状 1,118名(H29年度)→ 1,111名(H30年度)→ 1,233名(R元年9月末)  ・捜索システム利用者数:  目標 52名(R元年度)  現状 37名(H29年度)→ 41名(H30年度)→ 51名(R元年9月末)  ・協力サポーター協力事業者数:  目標 7,500名(R元年度)  現状 6,944名(H29年度)→ 7,342名(H30年度)→ 7,531名(R元年9月末) 〇福祉相談  認知症高齢者を抱える家族からの悩み事相談に介護経験者が対応  ・認知症相談事業相談件数:  目標 35件(R元年度)  現状 35件(H29年度)→ 15件(H30年度)→ 7件(R元年6月末) @-3介護者の負担軽減,認知症の人の症状の安定を図るため認知症の人とのコミュニケーションケア技法であるユマニチュードの普及啓発に取り組んでおり,地域や児童・生徒向けの講座を行っている。 <主な事業> 〇「ユマニチュード」講座の実施  ・講座開催数,参加人数:12講座,573人(H29年度)→ 27講座,2,036名(H30年度)→ 13講座,521人(R元年9月末) @-4認知症の人やその家族の居場所づくりを促進するため,平成30年度より認知症カフェの開設運営にかかる補助金を創設し,認知症カフェの開設促進を行っている。  認知症カフェ開設数:16カ所(H29年度)→ 29カ所(H30年度)→ 32カ所(R元年9月末) 98ページ 【課題】 @  ・働く人の介護サポートセンターの相談件数については微増傾向にあるが,依然,低位置にとどまっているため,今後とも積極的な周知が必要である。  ・認知症の人とその家族や相談員の要望を踏まえながら,効果的な支援やメール事業のサポーターへの協力の働きかけ,新たな機器開発動向などにも留意し,早期に発見・保護できるような事業内容の改善が必要である。また,市民への普及・啓発方法についての検討が必要である。 【今後】 @  ・働く人の介護サポートセンターについては,今後も様々な広報媒体を活用し,企業の人事・労務担当部署への訪問などを通じて積極的に窓口の紹介を行い,支援を必要としている人への周知に努めていく。  ・認知症高齢者家族やすらぎ支援事業に関して,利用者側の要望など把握し,より多くの人に利用していただくため取組みを検討する。また,講演会などで支援を必要としている人への案内やメール事業のサポーターへの協力を働きかけていくとともに,市メルマガなどの広報媒体を利用した普及・啓発を引き続き行っていく。 99ページ 基本目標4 介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営 目標の内容 ○第6期介護保険事業計画を着実に推進します。(平成30年度からは,第7期介護保険事業計画を推進) 施策の方向性 ○生活支援サービスについて担い手の養成や開発など提供体制を整備するとともに,介護予防の普及・啓発に取り組みます。 ○長期的に大規模施設から在宅生活を支えるサービスへシフトするため,在宅生活を支えるサービスや住み慣れた地域で住み替えができる小規模施設の拡充を図ります。また,入所・居住系サービスを担保する施設サービスも一定量確保します。 ○「第6期福岡市介護保険事業計画」(平成27年度〔2015年度〕〜平成29年度〔2017年度〕)に基づき,介護保険制度を運営するとともに,介護保険サービスの適切な利用を推進します。また,平成29年度(2017年度)に,「第7期福岡市介護保険事業計画」(平成30年度〔2018年度〕〜平成32年度〔2020年度〕)を策定します。  ※現在は,「第7期福岡市介護保険事業計画」(平成30年度〔2018年度〕〜令和2年度〔2020年度〕)に基づき,介護保険制度を運営し,また,令和2年度(2020年度)に,「第8期福岡市介護保険事業計画」(令和3年度〔2021年度〕〜令和5年度〔2023年度〕)を策定します。 ○きめ細かな質の高い介護サービスを提供するため,引き続き事業者に対し,よりよいケアの実現に向けた指導を実施するとともに,介護人材の専門性や資質の向上に向けた研修機会の提供のほか,介護サービス情報の提供に努めます。また,介護保険サービスが利用しやすくなるよう,分かりやすい情報提供に努めます。 ○介護人材不足に対応するため,介護従事者の処遇改善については,引き続き,指定都市市長会などを通して国に対して要望するとともに,福岡市としても人材確保の支援に努めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策4-1 介護予防と生活支援サービスの充実強化 ●施策4-2 地域密着型サービスの整備 ●施策4-3 施設・居住系サービスの整備 ●施策4-4 介護人材の確保 1目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○高齢者の社会参加及び生きがいづくりを支援し,介護予防の推進を図るとともに,地域における高齢者のボランティア活動を奨励,支援することを目的として,介護支援ボランティア事業を実施した。また,地域における介護予防拠点(よかトレ実践ステーション)の創出,継続支援に取り組み,介護予防を推進している。 ○平成30年度においては,「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,小規模多機能型居宅介護,認知症高齢者グループホームや介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の整備を行っている。 ○介護保険事業者における介護サービスの向上を目的として,介護従事者などを対象とした様々な分野の研修を開催するとともに,平成30年度まで介護職を希望する人のための合同就職面談会などを開催することで介護人材の確保を支援してきた。 【課題】 ○よかトレ実践ステーションについては,自主グループやふれあいサロンなど既存団体への働きかけによる登録が中心であるが,将来的には,地域で介護予防推進の機運が高まり,地域が主体となってステーションが創出されるような働きかけが必要である。またあわせて,地域とのつながりが少ない方へのアプローチについても検討していく必要がある。 ○合同就職面談会の実施などにより介護人材の確保に努めてきたが,期待していた効果を得られなかった。一方で,高齢化の進展と労働力人口の減少により介護人材や福祉にたずさわる人材の不足は今後益々深刻になると見込まれている。 100ページ 【今後の方向性】 ○地域における介護予防拠点については,地域の特性など地域診断に基づいた創出計画をもとに,地域との協議を重ね,人と人とのつながりを通じて参加者や通いの場が継続して拡大していくような仕組みづくりを推進する。 ○介護人材の確保については,これまでの取組みを抜本的に見直し強化して,「労働環境・処遇の改善」,「新規参入促進」,「資質の向上」を総合的に推進していく。また,多様な福 祉にたずさわる人材の育成・確保にも取り組んでいく。 101ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @よかトレ実践ステーション登録校区・地区数(保健福祉局調べ) 150小学校区・地区のうち56小学校区・地区で登録(平成27年度) すべての小学校区・地区で登録(令和元年度) 151小学校区・地区のうち148小学校区・地区で登録(令和元年8月末) A介護人材確保事業参加者数(保健福祉局調べ) 177人(平成27年度) 270人(令和2年度) 771人(平成30年度) グラフ @よかトレ実践ステーション登録校区・地区数  以下,H27,H30,R1(8月末)年度,目標値の順。  56 123 148 150 出典:保健福祉局調べ A介護人材確保事業参加者数  以下,H27,H28,H29,H30年度,目標値の順。  177 193 427 771 270  出典:保健福祉局調べ 102ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策4-1 介護予防と生活支援サービスの充実強化 取組みの方向性 @住民主体で参加しやすく,地域に根差した介護予防を推進し,介護予防の普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります。 A社会参加や生きがいの充実などが,高齢者自身の介護予防にもつながることが期待できることから,元気な高齢者が生活支援サービスの担い手となるようなボランティア活動等を支援していきます。 B生活支援の担い手の養成やサービスの開発,関係者のネットワーク化,ニーズとサービスのマッチング等を行うことにより,生活支援サービスなどの提供体制づくりに努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @地域における介護予防拠点(よかトレ実践ステーション)の創出・継続支援に取り組んでいる。 <主な事業> 〇よかトレ実践ステーションの創出  主体的に介護予防に取り組む高齢者のグループを「よかトレ実践ステーション」として 認定し,よかトレDVDなどの提供や団体間の交流会,サポーター養成などにより活動の継続を支援  ・よかトレ実践ステーション登録校区・地区数:  目標 市内151校区・地区に1カ所ずつ(R元年度)  現状 市内141校区・地区,登録団体数388団体(H30年度)→ 市内148校区・地区,登録団体数455団体(R元年8月末) A高齢者の社会参加及び生きがいづくりを支援し,介護予防の推進を図るとともに,地域における高齢者のボランティア活動を奨励・支援することを目的として,介護支援ボランティア事業を実施している。 <主な事業> 〇介護支援ボランティア事業  65歳以上の高齢者が,受け入れ機関として指定を受けた市内の介護保険施設などでボランティア活動を行うと「ポイント」が付与され,たまったポイントを換金又は寄付することができる制度  ・介護支援ボランティアの登録者数及び登録施設数:  目標 実活動者数1,500人,登録施設数500施設(R元年度)  現状 実活動者数1,002人,登録施設数476施設(H29年12月末)→ 実活動者数1,012人,登録施設数510施設(H30年12月末) B高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう,在宅生活の支え手のすそ野を広げるため,生活支援・介護予防活動の充実や担い手の養成,地域住民や介護事業所などの関係者間のネットワーク構築などを,多様な主体をつなぐことにより支援する生活支援コーディネーターの配置を推進するとともに,高齢者に対する生活支援を行うボランティア団体の継続や,新たなボランティア創出を図ることを目的として,交流会,研修会などを実施している。 <主な事業> 〇生活支援コーディネーターの配置  各区社会福祉協議会及び各地域包括支援センターに配置  ・配置実績:4圏域にモデル配置(H29年度)→ 4区(区社協),28圏域(各地域包括支援センター)(H30年度)→ 7区(区社協),37圏域(各地域包括支援センター)(R元年度) 103ページ 【課題】 @よかトレ実践ステーションについては,自主グループやふれあいサロンなど既存団体への働きかけによる登録が中心であるが,将来的には,地域で介護予防推進の機運が高まり,地域が主体となってステーションが創出されるような働きかけが必要である。またあわせて,地域とのつながりが少ない方へのアプローチについても検討していく必要がある。 A・B生活支援・介護予防サービスの資源開発,関係者のネットワーク化などを進めるため生活支援コーディネーターの配置を進めるとともに,介護支援ボランティア事業,福岡市社会福祉協議会が実施するご近所お助け隊支援事業などの支援を効果的に実施する必要がある。 【今後】 @地域における介護予防拠点については,引き続き,地域の特性など地域診断に基づいた創出計画をもとに,地域との協議を重ね,人と人とのつながりを通じて参加者や通いの場が継続して拡大していくような仕組みづくりを推進する。また,市政だよりへの掲載や「福岡市介護予防応援Webサイト」の充実など,介護予防についての意識啓発や普及に努める。 A・B生活支援コーディネーターについて配置を進めるとともに,関係主体,関係施策などとの効果的な連携を図る。 104ページ ●施策4-2 地域密着型サービスの整備 取組みの方向性 @在宅での24時間365日の切れ目ないサービスを提供するため,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護について,地域的偏在やサービスの質の向上等に留意しながら整備していきます。 A認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)については,日常生活圏域間の均衡を踏まえつつ,高齢者数の増加に見合う定員数を確保していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの整備を行っている。 <主な事業> 〇定期巡回・随時対応型訪問介護看護  日中・夜間を通じて,定期的な巡回と随時の通報により居宅を訪問し,入浴,排せつ,食事などの介護や日常生活上の緊急時対応などを行うサービス  ・事業所数:  第7期整備目標量 21事業所(R2年度)  現状 11事業所(H29年度)→ 12事業所(H30年度)→ 13事業所(R元年9月末) 〇小規模多機能型居宅介護  「訪問」「通い」「宿泊」のサービスを利用者の状態に応じて組み合わせて,入浴,排せつ,食事などの介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス  ・事業所数(看護小規模多機能型居宅介護を含む):  第7期整備目標量 76事業所(R2年度)  現状 51事業所(H29年度)(内看護小規模多機能型居宅介護2事業所)→ 56事業所(H30年度)(内看護小規模多機能型居宅介護5事業所)→ 58事業所(R元年9月末)(内看護小規模多機能型居宅介護5事業所) 〇看護小規模多機能型居宅介護  小規模多機能型居宅介護の「訪問」「通い」「宿泊」に加え,必要に応じて「訪問看護」を一体的に行うサービス A「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,認知症高齢者グループホームの整備を行っている。 <主な事業> 〇認知症高齢者グループホーム  認知症高齢者の共同生活住居において,入浴,排せつ,食事などの介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス  ・整備量:  第7期整備目標量 2,437人分(R2年度)  現状 2,077人分,130事業所(H29年度)→ 2,070人分,130事業所(H30年度)→ 2,106人分,132事業所(R元年9月末) 【課題】 @,A「第7期福岡市介護保険事業計画」における整備目標量に対して不足しているため,目標量の確保に向けた取組みが必要である。 【今後】 @,A公募方法の工夫などをしながら,今後とも整備促進に努めていく。 105ページ ●施策4-3 施設・居住系サービスの整備 取組みの方向性 @介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)については,「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,計画的に整備を進めます。 A介護老人保健施設,特定施設入居者生活介護については,「第7期福岡市介護保険事業計画」期間中の新たな整備を行いませんが,次期計画の策定時に,あらためて整備の必要性を検討します。 B在宅生活が困難になっても,住み慣れた地域で住み替えができるよう,地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の整備が進むよう努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・B「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)及び地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)の整備を行っている。 <主な事業> 〇介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 〇地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)  ・整備量:  第7期整備目標量 6,220人分(R2年度)  現状 82施設,5,844人分(H29年度)(内地域密着型19施設,497人分)→ 85施設,5,970人分(H30年度)(内地域密着型21施設,555人分)→ 86施設,6,070人分(R元年9月末)(内地域密着型21施設,555人分) A介護老人保健施設及び特定施設入居者生活介護については,現在の利用状況などを踏まえて,第7期福岡市介護保険事業計画期間においても現状の定員を維持している。 【課題】 @・B「第7期福岡市介護保険事業計画」に基づき,整備は順調に進んでいる。 【今後】 @・A・B長期的に,大規模施設から在宅生活を支えるサービスへシフトすることを基本方針としており,在宅生活を支えるサービスの拡充や住み慣れた地域で住み替えができる小規模施設を拡充する一方で,入所・居住系ニーズを担保する施設サービスの整備を行うこととしている。 106ページ ●施策4-4 介護人材の確保 取組みの方向性 @高齢者が介護が必要な状態になっても安心して生活できるよう,要介護高齢者等に対する介護サービスの提供を支える介護人材を確保するため,市町村の役割とされている介護人材の資質・技術の向上を目的とした研修の実施に加え,介護人材の就労を支援するための事業や,事業所への定着を支援するための取組みを進めます。また,福岡市の基準による研修の実施や,生活支援分野での元気高齢者の活躍支援,ボランティアの育成など,介護人材のすそ野を広げるための取組みを検討します。 A市内で介護に携わる方々に対して,様々な機会を通じて,研修の場を提供し,資質向上の支援に努めます。 B介護サービス事業者に対して,事業所での研修の実施や,介護従業者への研修受講の機会の確保などを指導するとともに,介護従業者を対象に,地域包括ケア,権利擁護,介護技術などのサービスの向上に資する様々な分野の研修を開催するほか,国や民間団体が行う各種研修の案内を行うなど,介護従業者の意欲の向上を図ります。 Cその中でも,認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう,認知症高齢者等に対する介護サービスの充実と質の向上を図るため,認知症介護に関する実践者研修や,適切なサービスの提供に関する知識等を習得するための研修を実施し,認知症介護の専門職員を養成します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A福岡市介護人材合同就職面談会,福岡市介護人材就労支援及び定着支援研修を実施している。 <主な事業> 〇介護人材就労支援事業  介護職を希望する人のための合同就職面談会や介護福祉士などの有資格者などを対象 とした就労支援の研修を開催  ・介護人材合同就職面談会:  面談会開催回数,参加求職者数 2回,276人(H29年度)→ 2回,736人(H30年度)  ・介護人材就労支援研修:  研修実施回数,受講者数 3回,22人(H29年度)(H29年度で終了) 〇介護人材定着支援事業  介護の仕事に従事して日が浅い人を対象に,苦手な分野を克服できるよう,コース別の技術研修を開催  ・介護人材定着支援研修:  研修実施回数,受講者数 4回,129人(H29年度)→ 3回,35人(H30年度) ○介護に関する入門的研修(旧生活支援型訪問サービス従事者研修)  介護人材のすそ野を広げるため,介護未経験者向けの基本的な知識・技術を身に付けられる研修を実施(修了者は市総合事業の生活支援型訪問サービスの従事者となれる)  ・研修実施回数,研修修了者数 6回,195人(H30年度) A・B介護保険事業者研修については,平成30年度は,受講者の実務経験や役職に応じた内容にするため,平成29年度と比較して,各回の定員は概ね変更なく,実施回数を増やし,介護職員の研修機会の確保・拡充を図ることができた。同一の研修テーマにおいて,基礎編と実践編を実施するなど,従業員の勤続年数に応じ研修を実施した。また,グループワークや事例検討など,さらに現場で活かせる内容の研修を実施した。 <主な事業> 〇介護保険事業者研修事業  介護従事者などを対象とした,サービスの向上に資する様々な分野の研修を開催  ・研修実施回数,受講者数:29回,2,487人(H29年度)→ 33回,2,677人(H30年度)→ 13回,1,401人(R元年9月末)  ※うち,人材育成をテーマにした組織マネジメント研修3回(H29年度も3回実施) 107ページ C介護職員の資質や技術向上のため,「認知症介護実践者研修」や「認知症介護実践リーダー研修」などを実施した。平成30年度は,平成29年度と比較して,受講者数が20名程度増加した。 <主な事業> 〇認知症介護実践者等養成事業  高齢者介護実務者を対象にした,認知症高齢者の介護に関する実践的研修などを開催  ・研修実施回数,受講者数:13回,443人(H29年度)→ 13回,462人(H30年度)→ 5回,156人(R元年度9月末) 【課題】 @介護人材就労支援研修については,受講者数を十分に確保できなかった。また,合同就職面談会については,参加者数は大幅に増えたものの,採用率の向上には至らなかった。 B・C研修テーマによっては,申込者数が定員を下回るものや定員を大きく上回るものがあることや,開催時期によっても申込者数が大幅に異なるため,研修テーマ,研修回数,実施場所,開催時期などについて検討が必要である。 【今後】 @平成30年度に事業を抜本的に見直し,令和元年度からは,8つの新規事業を推進している。引き続き福祉・介護人材の確保・定着のための取組みを強化し,総合的に推進していく。 B・C研修受講者のアンケートなどから研修の実施状況などを確認し,研修テーマ,研修回数,実施場所,開催時期などについて検討を行い,引き続き研修機会の提供及び資質向上を図る。 108ページ 基本目標5 高齢者総合支援体制づくり 目標の内容 ○体制づくりを進めるとともに,様々な場面でのICT(情報通信技術)等の利活用を図ります。 施策の方向性 ○「いきいきセンターふくおか(地域包括支援センター)」や各種総合相談機能の充実・強化を図ります。 ○「地域ケア会議」を地域・市レベルの各階層において設置し,専門職と地域の関係者などが,それぞれの地域課題を把握し,課題解決に向けた検討などを行うことを通して,高齢者が地域で生活しやすい環境整備を重層的に進めます。 ○行政の持つビッグデータの集約・一元管理を行い,在宅サービスにおける多職種連携 の推進や,科学的根拠に基づいた施策の分析・評価・企画立案を進めるほか,ロボッ トなど最新技術の保健福祉分野への導入を進めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策5-1 地域包括支援センターと各種相談機能の充実 ●施策5-2 地域ケア会議の推進 ●施策5-3 ICT(情報通信技術)等の利活用 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○多様化・複雑化が急速に進んでいる相談に日々対応している,いきいきセンターふくおかの後方支援として,区地域保健福祉課は,助言や同行訪問,ケアカンファレンスへの出席などを行い,総合相談支援機能の確保に努めている。また,保健福祉局が主催する初任者研修などに加え,各区で職種別の研修等を実施している。 ○いきいきセンターふくおかの周知については,医療機関の巡回やふれあいサロン,介護予防事業など各センターが実施する地域活動の中で,地域や福岡市社会福祉協議会を含む校区の各種団体と連携を図りながら広報・啓発活動を実施している。 ○保健・福祉・医療に関する情報を一元的に集約・管理する情報通信基盤「地域包括ケア情報プラットフォーム」を平成27年度に構築し,各種データの集約を開始した。また,集約したビッグデータに基づき地域ニーズの分析や課題の見える化を行うデータ分析システム(careVISION)及び,医療・看護・介護に係る関係者が,支援対象者の身体状況などを共有し効率的なケアサービスの提供を実現するための在宅連携支援システム(careNOTE)の運用を平成28年度より開始し,それぞれ活用促進に向けた取組みを行っている。 【課題】 ○高齢者に関する相談の内容が多様化し,世帯として複雑な課題を抱える事例も多くなっており,職員個々人の支援技術向上だけではなく,いきいきセンターふくおかと関係機関の両者において,多職種の専門知識や経験を活かしあうチーム対応がますます必要になっている。 ○データ分析システムについては,操作にある程度の知識が必要であり,研修会を開催するなど,システムの定着化に向けた取組みを継続して進めていく必要がある。在宅連携支援システムについては,参加事業所や支援対象者の登録数は増加しているものの,参加事業所の業種に偏りが生じているため,多職種連携に向けた参加事業所の拡大に取り組む必要がある。 109ページ 【今後の方向性】 ○支援技術の向上に必要な研修の充実により職員ひとりひとりの質の向上を図るとともに,いきいきセンターふくおかの体制強化や関係機関との連携強化により,高齢者やその家族を支援する多職種のチームづくりを推進する。また,センター業務などの広報については,地域において連携時の重要な相手方となるケアマネジャーや民生委員,医療機関など,市民と身近に接する機会のある機関との相互理解・協力を進める視点を持って行っていく。 〇データ分析システムについては,引き続き研修会を開催するなど,利活用の定着に向けた取組みを進めていく。在宅連携支援システムについては,活用事例の周知などにより,多職種間での情報共有の活性化を促進していく。 110ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下,指標項目(対応する目標・出典),初期値,目標値,現状値の順。 @いきいきセンターふくおかの認知度(福岡市高齢者実態調査) 46.8%(平成25年度) 60.0%(令和元年度) 53.6%(平成28年度) A健康寿命延伸による要介護認定率の伸びの抑制※1(保健福祉局調べ)  要介護認定率(福岡市,各年度9月末時点,全認定者/第1号被保険者) 20.3%(平成26年度) 全国平均値(令和2年度) 20.4%(平成30年度)  要介護認定率(全国平均,各年度12月時点,第1号認定者/第1号被保険者) 17.9%(平成26年度) 全国平均値(令和2年度) 18.3%(平成30年度)  ※1 平成26年度の要介護認定率(全国平均値)は17.9%で,福岡市の20.3%は2.4ポイント高い状況である。健康寿命延伸を推進することにより,要介護認定率の伸びを抑制する。 グラフ A健康寿命延伸による要介護認定率の伸びの抑制  目標値:福岡市=全国平均  以下,H26,H27,H28,H29,H30年度の順。  福岡市 20.3 20.4 20.4 20.3 20.4  全国平均 17.9 18.0 18.0 18.1 18.3  出典:保健福祉局調べ 111ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策5-1 地域包括支援センターと各種相談機能の充実評価 取組みの方向性 @地域包括ケアの実現に向け,いきいきセンターふくおか(地域包括支援センター)の機能が十分に発揮されるよう,保健福祉局,区保健福祉センター,いきいきセンターふくおかの連携強化を図るとともに,いきいきセンターふくおかの質を高めるため,職員に対する研修を充実します。 A57か所に増設した「いきいきセンターふくおか」の周知を図るとともに,地域や社会福祉協議会などの関係機関との連携強化に取り組みます。 B介護についての知識や介護の技術を学ぶことができる「介護実習普及センター」など,各種相談窓口における相談機能の充実に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @いきいきセンターふくおかと連携を図るため,毎月定例会を実施したり,個別事例の支援において(助言,訪問同行,ケアカンファレンスに出席するなど)質の確保を図っている。また,職員研修については,保健福祉局で行う初任者研修や事例検討会に加え,各区で職種別の研修などを実施している。 <主な事業> 〇処遇困難事例進捗管理会議  虐待や困難事例について,区といきいきセンターが連携して支援が行えるよう対象者の情報を共有し,支援内容を確認・協議 Aいきいきセンターふくおかの周知については,医療機関の巡回やふれあいサロンへの参加,介護予防事業など各センターの活動の中で,地域や福岡市社会福祉協議会を含む校区の各種団体と連携を図りながら広報・啓発活動を実施している。 <主な事業> 〇いきいきセンターふくおか  高齢者の健康や福祉,介護,権利擁護などに関する相談に応じ,身体状況に適した助言を行うなど,高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施  ・センター業務の広報・啓発活動数:  目標 14,500件(H30年度)  現状 13,156件(H29年度)→ 12,091件(H30年度)→ 5,519件(R元年9月末) B介護実習普及センターにおいて,福祉用具,介護,資格,介護保険制度などの相談内容に対応している。 <主な事業> 〇介護実習普及センター  介護知識・介護技術の普及とともに,福祉用具の普及を図るため,福祉用具の展示・相談体制を整備  ・相談者数:2,950人(H29年度)→ 3,013人(H30年度)→ 1,404人(R元年9月末) 【課題】 @いきいきセンターふくおかでは相談の多様化や複雑な課題を抱える事例の増加に伴い,さらなる支援技術の向上や関係機関との円滑な連携を図るためのネットワーク力が求められている。また,職員の異動などによって支援や連携体制が途切れることのないよう,体制のあり方とあわせて研修について検討する必要がある。 A支援が必要な高齢者やその家族を把握し,早期に介入ができるよう地域や関係機関などとさらなる連携強化を図る必要がある。 B介護実習普及センターについて,介護に関する知識や技術が必要な方に広く活用されるよう,周知を図っていく必要がある。 112ページ 【今後】 @関係機関との連携強化として,引き続き地域ケア会議などを通した顔の見える関係づくりを進めるとともに,支援技術の向上のため,複雑な課題を有した事例への対応や,関係機関や地域とのネットワークづくりなどの必要な研修の充実を図る。 Aセンター業務などついては順調に周知が進んでいると考えられるため,地域の実情に応じ,継続的な広報が必要な相手方に対して重点的に広報活動を行うなど,効果的かつ効率的な実施に努める。また,地域の高齢者を支援する上で地域包括支援センターの重要なパートナーである,介護保険事業所ほか医療機関,民生委員などに対しては,周知を目的とするだけではなく,相互理解や協力を進める視点を持って広報・啓発活動などを実施する。 B具体的な講座や相談事業,イベントなどについて,従来の情報誌に加え,様々な媒体を活用しながら,引き続きより幅広い情報発信を行っていく。 113ページ ●施策5-2 地域ケア会議の推進 取組みの方向性 @「地域ケア会議」を運営することにより,各階層(市,区,おおむね中学校区,小学校区,個別)で地域課題の発見・解決を図り,高齢者が地域で生活しやすい環境整備を進めていきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @地域ケア会議5階層で高齢者支援,課題把握,取組み検討を行い,市地域ケア会議で関係機関などの進捗管理,連携推進を行った。 <主な事業> 〇地域ケア会議  市,区,概ね中学校区,小学校区,個別レベルの各階層において,専門職と地域の関係者などが,地域の課題を把握し,課題解決に向けて検討を進める会議を開催  ・会議実施回数:848回(うち,476件が高齢者の個別支援会議)(H29年度)→ 724回(うち,372件が高齢者の個別支援会議)(H30年度) 【課題】 @個別支援会議の課題を踏まえて,中学校区,区レベルの地域ケア会議にて課題を分析し,資源開発を図る必要がある。 【今後】 @今後も地域ケア会議の会議運営の改善を行いながら,各階層の地域ケア会議で把握された課題について,必要に応じて関係局・区と連携し,対応に取り組んでいく。また,高齢者の個別支援における自立支援や重度化防止の視点を強化できるよう引き続き取り組んでいく。 114ページ ●施策5-3 ICT(情報通信技術)等の利活用 取組みの方向性 @行政の保有する医療や介護,予防(健診)等に係る各種データを集約し,地域ごとのニーズ分析や課題の「見える化」を行い,科学的根拠に基づく適切な施策の企画・立案を実現し,医療・介護・予防・生活支援・住まいに係るサービスの充実化を図ります。 A情報通信ネットワークを活用し,本人の同意のもとに,生活や心身の状況,サービス提供時の注意点などの情報を在宅医療や看護・介護に係る関係者が共有することで,関係者の負担軽減とサービスの質の向上を図り,在宅で安心して生活できる環境を構築します。 B地域の見守りや介護現場など,様々な場面でのICT(情報通信技術)やロボットの利活用を進め,地域の負担軽減となる新たな見守りの仕組みの構築や,介護人材不足への対応を進めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @保健・福祉・医療に関する情報を一元的に集約・管理する情報通信基盤「地域包括ケア情報プラットフォーム」を平成27年度に構築し,各種データの集約を開始した。また,集約したビッグデータに基づき地域ニーズの分析や課題の見える化を行うデータ分析システム(careVISION)の運用を平成28年度より開始し,平成30年度には操作方法についての庁内研修会を開催するなど,定着に向けた取組みを行った。 A医療・看護・介護に係る関係者が,支援対象者の身体状況などを共有し効率的なケアサービスの提供を実現するため,平成28年10月より市内の一部地域で実施していた在宅連携支援システム(careNOTE)の実証実験について,平成30年度は全地域包括支援センターが参加するなど,参加事業所の拡大に向けた取組みを実施した。 B平成27年度から平成28年度末にかけて城南区別府校区においてICTを活用した高齢者の見守りモデル事業を実施した。平成29年度は,九州電力株式会社が別府校区において実施するスマートメーターを活用した見守りの社会実験について,福岡市社会福祉協議会とともに支援・協力を行った。 【課題】 @データ分析システムについては操作にある程度の知識が必要であり,引き続き研修会などを開催するなど,システムの定着に向けた取組みを進める必要がある。 A在宅連携支援システムについては,実証実験への参加事業所数,支援対象者の登録数は増加しているものの,参加事業所の業種に偏りが生じているため,多職種連携に向けた参加事業所の拡大に取り組む必要がある。 BICTを活用した地域の見守りについては,地域の見守り方や見守られる方の状況などが多様であるため,それぞれの状況に応じたICTツールを活用することが重要であることが分かってきた。しかしながら,地域の見守りに活用できる民間サービスは現時点では少なく,地域の実情に応じた見守り活動に繋げる必要がある。 【今後】 @データ分析システムについては,引き続き職員向けの研修会を開催するなど,利活用の定着に向けた取組みを進めて行く。 A在宅連携支援システムについては,さらなる参加事業所の拡大に努めるとともに,活用事例の周知などにより,多職種間での情報共有の活性化を促進していく。 B地域の見守りの負担感の軽減などにつながるよう,民間企業と連携した見守りに関する実証事業を行っており,この実証の結果を発信し,市民や事業者にICTを活用した見守りの普及を促進していく。 115ページ X 障がい者分野 116ページ 基本目標1 地域で安心して生活するための支援の充実 目標の内容 ○障がいのある人もその家族も,地域で安心して生活し続けることができる支援の充実を図ります。 施策の方向性 ○地域での生活を支援するため,在宅サービス,グループホーム,外出・移動などの支援の充実を図るとともに,身近な場所で相談支援を受けることのできる体制を強化します。 ○重度の障がいがある人に対する障がい福祉サービスの充実を図り,社会参加の支援や生活の質の向上をめざします。 ○地域で安心した生活を継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します。 ○施策の推進にあたっては,社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります。 ≪施策事業の体系≫ ●施策1-1 相談支援 ●施策1-2 在宅サービスの推進 ●施策1-3 移動・外出支援 ●施策1-4 施設サービス等の推進 ●施策1-5 生活用具等の給付 ●施策1-6 年金・手当等 ●施策1-7 住宅支援 ●施策1-8 保健・医療・リハビリテーション ●施策1-9 発達障がい児・者への支援 ●施策1-10 難病に関する施策の推進 ●施策1-11 災害対策の推進 ●施策1-12 事業所におけるサービスの質の向上 ●施策1-13 人材の育成・研修 ●施策1-14 「親なき後」の支援 117ページ 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○市内14カ所に,区基幹相談支援センターを設置し,24時間体制での相談対応を行うとともに,障がい福祉サービスを適正に提供できるよう,国の制度に基づき,障がい福祉サービス事業所に対し,集団指導や実地指導を実施し,必要に応じて指導や助言を行っている。また,平成29年7月から移動支援の対象者要件及びサービス内容を一部拡充し,外出支援の充実を図った。 ○重度訪問介護や,生活介護,医療型短期入所,重度障がい者等包括支援など,利用者の増加に対応しサービスを実施した。また,平成29年7月から意思疎通が困難な重度障がい者に対する入院時コミュニケーション支援事業を単身者以外の利用も可能となるよう拡充した。 ○障がい者が地域で生活するために必要な場であるグループホームについては,「グループホーム開設応援サイト」を市ホームページ上に設置し,不動産協力店登録制度の創設や設置費補助金の増額など,設置促進を図っている。 ○障がい者の地域生活への移行を進めていくための新たな手法やグループホームの設置促進策などを検討するため,地域生活支援協議会に「地域生活移行部会」を設置し,協議を進めている。 ○地域で安心した生活が送れるよう,医療的ケア,強度行動障がい,虐待その他の類型の3つに分類した緊急時の受入拠点を整備した。 【課題】 ○障がい者からの多様な相談に応じていくためには,相談支援体制のさらなる充実が必要である。 ○障がい者が地域で生活するために必要なグループホームについては,報酬体系や設置に適した物件の不足により設置が進んでいないことから,地域生活へ移行するにあたっての有効な手法を検討する必要がある。 ○医療的ケアが必要な重度障がい者を受け入れることができる短期入所施設が不足している。 【今後の方向性】 ○障がい者の地域生活への移行を進めるため,地域生活移行部会で検討した内容を踏まえ次期保健福祉総合計画への反映を図るとともに,新たな取組みを検討していく。 ○緊急時の受入拠点の体制強化を含め,地域生活支援拠点等の課題の抽出,また改善施策の検討を進めるなど引き続き地域生活支援拠点等整備に努めていく。 ○引き続き,地域生活支援の強化や社会参加の促進を図り,障がい者が必要な支援を受けながら,地域や家庭でいきいきと生活できるまちづくりをめざしていく。 118ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @まちの暮らしやすさ(暮らしやすいまちだと感じている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  41.6%(平成28年度) 50.0%(令和元年度) 41.6%(平成28年度) A相談窓口の認知度(困ったときに相談できる窓口を知っている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  35.9% ※2(平成25年度) 45.0%(令和元年度) 34.3%(平成28年度) B災害時の孤立度(「頼る人がいない」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  8.1%(平成25年度) 5.0%(令和元年度) 11.7%(平成28年度) C安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている人の割合(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  33.0%(平成28年度) 40.0%(令和元年度) 33.0%(平成28年度) D将来の暮らし方(将来,家族と同居できない場合に,希望する暮らし方として「一人暮らし」「共同生活できるところ」と回答した人の割合)※1(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  51.9%(平成25年度) 60.0%(令和元年度) 49.8%(平成28年度) ※1 「将来の暮らし方」は,障がい児についての数値 ※2 平成25年度の数値は,主要な各相談窓口(福祉事務所・保健所,あいあいセンター,障がい者110番,民生委員・児童委員,就労支援センター,社会福祉協議会)を知っていると回答した人の平均値を参考値として記載 ※3 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 120ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策1-1 相談支援 取組みの方向性 @相談支援に関わる人材育成やネットワーク構築については,福岡市障がい者基幹相談支援センターが中心となって進めます。また,障がい種別に関わらず,指定特定相談支援事業所のバックアップや困難事例への対応,サービス未利用者への支援などを行う区の基幹相談支援センター設置を検討します。 Aきめ細かく継続的な支援を行うため,指定特定相談支援事業所や相談支援専門員の増加など,相談支援体制の充実に向けた取組みを検討します。 B聴覚障がい者からの相談については,区役所や聴覚障がい者情報センターにおいて対応します。 C障害者手帳の取得の有無に関わらず,障がい者もしくは障がいが疑われる人で,必要な社会資源に結びついておらず社会から孤立していたり,サービスの適切な利用がされておらず,本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援や,触法障がい者の生活基盤づくりの支援を検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @平成29年度から各区に区障がい者基幹相談支援センターを設置している。 <主な事業> ○区障がい者基幹相談支援センター  全障がい一元化した,学齢以上の障がい児・者の24時間対応可能な一次相談窓で,地域の障がい福祉サービス事業所等関係機関との連携を図るなど,地域の体制づくりも実施  ・設置数:市内14カ所(R元年9月末) A区障がい者基幹相談支援センター従事者の人材育成に係る研修の実施及び訪問等による指導を実施している。 <主な事業> ○区障がい者基幹相談支援センターコーディネーター研修(H29年度まではサービス等利用計画作成研修)  ・開催回数:6回(H29年度)→8回(H30年度)→3回(R元年9月末) ○区障がい者基幹相談支援センター訪問指導の実施  ・実施回数:13回(H29年度)→12回(H30年度)→4回(R元年9月末) B平成28年度から各区の福祉・介護保険課の窓口に手話通訳者を嘱託員として配置し,窓口の手話通訳及び相談対応を行った。また,ろうあ者相談員を東区,博多区,早良区に配置した。 <主な事業> ○ろうあ者相談員・手話通訳者の配置  各区福祉・介護保険課に,聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 ・相談件数:  設置手話通訳者(7区) 5,329件(H29年度)→5,323件(H30年度)  ろうあ者相談員(3区) 383件(H29年度)→ 427件(H30年度) C区障がい者基幹相談支援センターがアウトリーチや地域団体などと連携して障がい者を地域で見守るパーソナルネットワークの形成など地域福祉の基盤づくりを推進している。福岡市障がい者等地域生活支援協議会に専門部会として触法障がい者部会を設置し,司法関係者などと連携した触法障がい者の支援に取り組んでいる。また,障がい福祉サービス事業所などを対象とした講演会を開催し,触法障がい者に関する理解の促進に取り組んでいる。 121ページ 【課題】 A平成29年4月の区障がい者基幹相談支援センターの設置に伴い,すべての障がいに対応するため,コーディネーターが幅広い専門的な知識や支援スキルを身に着ける必要がある。 C触法障がい者の支援については,地域福祉の基盤づくりを推進するため,民生委員など地域福祉関係者も含めた連携体制の構築が必要である。 【今後】 @区障がい者基幹相談支援センターの人材育成に係る指針などを策定し,人材育成に係る研修の充実・強化を図る。 A引き続き,市障がい者基幹相談支援センターの企画会議などでコーディネーター向けの研修内容や区障がい者基幹相談支援センターへの訪問計画などについて機能強化専門員やスーパーバイザ−らと協議し,コーディネーターの効率的な人材育成を計画・実践していく。 C区障がい者基幹相談支援センターが中心となり,地域福祉の基盤づくりを引き続き推進していく。触法障がい者の支援については,支援が進まないものについて,触法障がい者部会の中で支援計画を検証し,社会資源の開発改善に向け検討を行っていく。また,関係機関を対象とした講演会などを行い,連携体制構築に取り組んでいく。 122ページ ●施策1-2 在宅サービスの推進 取組みの方向性 @障がいのある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに,短期入所など重度障がい者に対する支援や居宅介護などのさらなる充実に努めます。 A施設入所者や入院中の精神障がい者の地域移行を進めていくため,障がい者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります。 B国に対しては,引き続き他の政令市と共同して確実な財源措置を求めていきます。 Cまた,市としても,施策の再構築や,事業所指導・監査などを通じたサービス適正化 により財源確保に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1 障がい福祉サービスのうち,短期入所については,介護者のレスパイトや緊急時に短期入所事業所が利用できるよう,事業所の拡充などに努めている。 <主な事業> ○短期入所  介護者の疾病などのため一時的に介護ができない場合に,施設,病院で宿泊を伴った預かりを実施  ・サービス利用実績  福祉型 3,768人日,医療型 700人日(H29年度)  福祉型 4,227人日,医療型 775人日(H30年度) @-2 重度障がい者に対する支援については,平成29年7月から重度障がい者入院時コミュニケーション支援事業の制度を拡充し,単身世帯以外の利用も可能としたことにより,支給決定者数が増加している。 <主な事業> ○重度障がい者入院時コミュニケーション支援  入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し,医療従事者との意思疎通を円滑化し,適切な治療が受けられるように支援を実施 ・利用人数 ※[ ]は延利用者数  18人[39人](H29年度) → 27人[72人](H30年度) → 12人[19人](R元年9月末) A福岡市障がい者等地域生活支援協議会に専門部会として,地域生活移行部会,精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会を設置し,施設入所者や入院中の精神障がい者の地域生活への移行を進めるための地域体制基盤整備などについて協議を進めている。 B二十一大都市心身障害者(児)福祉主管課長会議において,国への財源措置の要望を他都市と共同で行っている。 C障がい福祉サービス事業所に対し,集団指導や実地指導を実施し,必要に応じて指導や助言を行うことにより,適正なサービスの提供に努めている。 <主な事業> ○事務所への指導・助言  ・集団指導(定期):701件(参加率91.5%)(H29年度)→695件(参加率89.0%)(H30年度)→691件(参加率93.1%)(R元年度)  ・実地指導:142件(実施率24.0%)(H29年度)→113件(実施率14.5%)(H30年度)→21件(実施率 2.8%)(R元年9月末)  ・監査:1箇所(H29年度)→4箇所(H30年度)→2箇所(R元年9月末)  ・国保連点検以外の追加審査(返戻件数):204件(H29年度)→197件(H30年度)→65件(R元年9月末) 123ページ 【課題】 @短期入所事業所は徐々に増加しているが,利用者が希望する日に利用できない状況がある。また,医療的ケアが必要な障がいのある方の受け入れができる事業所が少ない。 【今後】 @平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定において,福祉型短期入所事業所で医療的ケアが必要な方の受け入れを積極的に支援するため,看護師配置にかかる新しい報酬体系や加算の新設・改定が行われており,引き続き,事業所の指定相談時や集団指導の時などに,この改定の周知を図り,医療的ケア児・者の受け入れ促進に努める。 124ページ ●施策1-3 移動・外出支援 取組みの方向性 @重度の知的障がいがある方などの外出の機会の確保を図るため,行動援護について,利用者の増加に対応したサービス提供体制の確保に努めます。 A移動支援については,国の制度の動向に留意するとともに,必要な財政負担も考慮しながら,より一層利用しやすいものとなるよう制度のあり方を検討します。 B地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて,外出支援のあり方を検証し,わかりやすく,使いやすい制度へ組み替えるなど,施策の再構築を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @行動援護の指定事業所が少ないため,居宅介護などの指定相談の際に,行動援護事業所の開設の働きかけを行っている。 <主な事業> ○行動援護  知的・精神障がいにより行動が著しく困難な常時介護を要する障がい児・者が外出する際に,必要な援助を実施  ・行動援護事業所数:27カ所(H29年度)→26カ所(H30年度) A平成29年7月から移動支援の対象者要件及びサービス内容を一部拡充した。拡充内容については,対象者要件を療育手帳B所持者で,外出不安があり,単独での外出が困難な者も対象とするとともに,サービス内容を散歩や目的地での活動中でも利用可能とした。 <主な事業> ○移動支援  一人での外出が困難な障がい児・者の目的地までの移動の介護を実施  ・サービス利用実績:1,059人(H29年度)→1,130人(H30年度) B平成29年度から福祉乗車証と福祉乗車券を統合して,新たな福祉乗車券として再構築した。  ・福祉乗車証交付実績:1,051人(〜H29年7月)  ・旧福祉乗車券交付実績:643人(〜H29年7月)  ・新福祉乗車券交付実績:19,001人(H29年8月〜H30年3月)→18,319人(H30年度) 【課題】 @行動援護事業所の開設の働きかけを行っているが,居宅介護に比べ資格要件が厳しいため,事業所数の増加が進んでいない。 A通学時やグループホーム入居中の移動支援利用などについて,利用対象拡大の要望がある。 【今後】 @引き続き,事業者説明会や実地指導,事業所指定などの機会に,関係法人に対し,行動援護事業開始や法人内従業者の行動援護従業者養成研修受講の働きかけを行い,事業所及び従業者の増加につなげる。 A移動支援の利用要件の緩和について,通学時の訓練目的利用を含め検討していく。また,引き続き事業所説明会や実地指導,事業所指定の際に,事業所職員に対して,制度について丁寧に説明していく。 125ページ ●施策1-4 施設サービス等の推進 取組みの方向性 @集団指導・実地指導を通じて良質な障がい福祉サービスの確保に努めます。また,就労移行支援及び就労継続支援A型に関しては,福岡労働局など関係部署との連携を図ります。 A地域活動支援センター(U型・V型・W型)については,施設経営の安定及び利用者処遇の向上のため,障がい福祉サービス事業への移行を支援していきます。 B強度行動障がいのある方に対し,拠点施設において24時間体制で支援員を配置し,3か月を目途に集中支援を行うことにより,個々の障がい特性に応じた支援方法を検討・作成し,行動問題の軽減を図るとともに,民間障がい福祉サービス事業者と協力して,受け入れ事業所の拡大を図ります。 C障がい者が地域で安心して生活が継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @事業所に対し,集団指導や抜き打ちを含めた実地指導を行い,適正なサービスの提供に努めている。また,就労継続支援A型事業所の新規指定相談については,国の通知に基づき,収益性の確保について厳しく審査を行っている。  ・集団指導:359件(H29年度)→373件(H30年度)  ・実地指導:164件[62件](H29年度)→168件[25件](H30年度)  ※[ ]は抜き打ちによるもの  ・監査:0カ所(H29年度)→1カ所(H30年度) A地域活動支援センターについては,運営などの実態を踏まえながら,障がい福祉サービス事業への移行を支援している。 B強度行動障がい者の支援については,平成27年度以降14人が集中支援事業を利用しており,行動問題が軽減された結果,生活介護サービス利用をはじめ,グループホームへの移行及び利用準備ができるまでになっている。(平成30年度は3人が利用) <主な事業> ○強度行動障がい者支援事業  地域での安定した生活をめざし,障がいの軽減及びサービス利用機会の拡充を図るため,共同支援,支援研修,支援拠点での集中支援事業を実施 C相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなどの機能を確保する地域生活支援拠点等整備の方針について,福岡市障がい者等地域生活支援協議会の提言を踏まえて平成29年度から地域生活支援拠点等整備に取り組んでいる。平成29年度から緊急時の受け入れ・対応拠点の開設を順次進め,平成30年11月から医療的ケアに対応する事業所を開設している。 <主な事業> ○障がい者の地域生活支援機能強化事業  緊急時の受け入れ・対応拠点を医療的ケア,強度行動障がい,虐待その他の類型の3つに分類し各1カ所整備 ○区障がい者基幹相談支援センター事業  ・区障がい者基幹相談支援センターを14カ所設置し,緊急時に24時間対応可能な相談支援体制を整備  ・障がい福祉サービス事業者や地域関係者を含めたネットワークの構築など地域の支援体制づくりを実施 126ページ 【課題】 @日中活動系サービスを提供している事業所については,良質な人材確保・定着が課題である。 B強度行動障がい者への支援については,集中支援終了後の受入れ先となるグループホームなどの確保が必要であり,また,地域移行後の支援においては,民間事業所における専門知識・技能の拡充が必要である。 C地域生活支援拠点等の整備においては,必要な5つの機能の連携体制を構築するとともに,緊急時の受け入れ・対応等円滑に行うための運用やニーズに応じた必要な事業所数の検討が必要である。 【今後】 @事業所に対し,研修の実施状況など人材育成及び職員の処遇改善に関する確認などを継続するとともに,良質なサービス確保を図るため,引き続き実地指導時などにおいて必要に応じて改善指導などを行っていく。 B強度行動障がい者への支援については,引き続き新たな拠点施設(移行型グループホーム)を活用し,民間障がい福祉事業者や地域への移行を促進する。支援拠点での支援や研修事業により,支援方法の開発,支援技術の向上,ノウハウ蓄積を図るとともに,支援人材の育成や集中支援のあり方を検討していく。 C平成30年9月に福岡市障がい者等地域生活支援協議会の専門部会である地域生活支援拠点等整備検討部会を再稼働させ,面的整備の進捗状況の評価や地域生活支援拠点等の課題の抽出,また改善施策の検討を進めており,引き続き地域生活支援拠点等整備に努めていく。 127ページ ●施策1-5 生活用具等の給付 取組みの方向性 @補装具や日常生活用具の給付を行うとともに,福祉用具に関する情報提供を行います。また,日常生活用具については,ICT(情報通信技術)の進展や,利用者ニーズに応じた内容となるよう給付品目の見直しを継続して検討します。 A民間事業者によるサービスの充実などの,社会情勢の変化に対応した施策の再構築を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A-1 補装具の給付実績については,横ばい傾向となっている。 <主な事業> ○補装具費の支給  身体上の障がいを補うための補装具の購入・借受け・修理にかかる費用を支給  ・支給件数:2,798件(交付 1,738件,修理 1,060件)(H30年度) @・A-2 日常生活用具の給付実績については,排せつ管理用具が全体の9割を占めており増加傾向だが,他の既存品目は横ばい傾向となっている。また,給付品目の見直しについては,平成29年7月から,人工鼻と視覚障がい者用音声ICタグレコーダーを新規種目として追加した。 <主な事業> ○日常生活用具の給付  在宅の障がい児・者に対し,日常生活がより円滑に行われるための用具を給付  ・給付実績:  介護・訓練支援用具 129件(H29年度)→116件(H30年度)  自立生活支援用具 348件(H29年度)→340件(H30年度)  在宅療養等支援用具 323件(H29年度)→289件(H30年度)  情報・意思疎通支援用具 448件(H29年度)→466件(H30年度)  排せつ管理支援用具 25,841件(H29年度)→27,479件(H30年度)  難聴児補聴器 19件(H29年度)→26件(H30年度) 【課題】 @・A日常生活用具への品目追加要望,耐用年数の短期化,対象者の拡大などの拡充要望が各方面から上がっている。(現在は,人工内耳の品目種目追加要望がある。)一方,汎用化にともない給付件数が極端に減少している品目,短時間に使用不能となり放置されている品目もあり,見直しが必要である。 【今後】 @・A引き続き,日常生活用具の品目追加や見直しについては,障がい児・者の利用状況などの把握,国の動向や他都市の状況を確認し,日常生活用具検討委員会の意見を参考として,随時進めていく。 128ページ ●施策1-6 年金・手当等 取組みの方向性 @引き続き国の所得補償制度を実施する中で,制度の周知や円滑な事務手続きに努めます。 A「『親なき後の生活の安心』『障がいの重度化,高齢化への対応』のための施策を強化するには,財源確保の観点から,個人給付事業なども含め,再構築の必要がある」との意見もあることから,障がい者や関係者の意見を伺いながら,福岡市重度心身障がい者福祉手当など,そのあり方について検討を行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @障害基礎年金や特別障害給付金については,国が主催する研修や,日本年金機構から講師を招いた独自の研修などをもとに,円滑に事務手続きを行っている。所得審査が必要な受給者に対しては,所得情報を日本年金機構へ報告している。また,障害者手帳等関係部署と連携しながらパンフレットの設置などを行い,制度の周知を図っている。 <主な事業> ○障害基礎年金  一定納付要件を満たしている人が,国民年金法に定められた1級又は2級の障がいの状態になった場合に支給(なお,市区町村の窓口は書類の受付のみを実施) ○特別障害給付金  国民年金に任意加入していなかったことにより障害基礎年金を受給できない人で,国民年金法により定められた1級又は2級の障がいの状態になった場合に支給(なお,市区町村の窓口は書類の受付のみを実施) A福岡市重度心身障がい者福祉手当については,市内に居住し,住民登録のある身体障害者手帳1級及び療育手帳Aの方に,毎年12月に在宅者20,000円,施設入所者15,000円を交付している。 <主な事業> ○福岡市重度心身障がい者福祉手当  重度の身体又は知的障がい児・者に対し手当を支給  ・支給実績:19,877人(H29年度)→9,830人(H30年度) 【課題】 @毎年増加傾向である障害基礎年金の裁定請求は,専門的な知識が必要なため,職員の知識の向上を図る必要がある。また,特別障害給付金については,対象者は少ないが障害基礎年金と同様,専門的な知識が必要なため,職員の知識の向上を図る必要がある。また,初診日や納付要件の確認など,年金機構と十分に協議の上,事務処理を進める必要がある。 【今後】 @昨年度に引き続き本年度(10月)において,日本年金機構から講師を招き,障害基礎年金などについての研修を実施しており,今後も研修などの実施により,知識の向上に努める。 A障がい者や関係者の意見を聞きながら,引き続き,手当のあり方について検討する。 129ページ ●施策1-7 住宅支援 取組みの方向性 @障がい児・者本人の自立の促進や,家族など介護を行う方の負担を軽減するために,住宅改造相談助成を継続して行います。 A障がい者グループホームに関しては,開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに,市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また,グループホームの報酬体系について,利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう,他都市と連携し,機会を捉えて国に要望していきます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @障がい児・者本人の自立の促進や,家族など介護を行う方の負担を軽減するため,住宅改造助成を行った。 <主な事業> ○障がい者等住宅改造相談助成事業  在宅の身体障がい児・者がいる世帯に対し,住宅を障がい児・者の居住に適するように改造する場合に,費用を所得に応じて助成  ・助成件数:55件(H29年度)→49件(H30年度) A-1 「福岡市障がい者グループホーム開設応援サイト」の設置  同サイトを市ホームページ上に設置しており,開設に役立つ法人向け情報を提供している。 A-2 「不動産協力店」登録制度の運用及び開設希望法人とのマッチング  不動産物件の紹介や物件オーナーへの説明などに協力可能な宅地建物取引業者を「不動産協力店」として登録し,市ホームページで紹介している。また,開設希望法人が求める物件情報を市ホームページ上に掲載,宅地建物取引業者とのマッチングの場を提供している。 A-3 設置費補助(市単費)の上限額の見直し及び補助金の交付  消防法改正に伴う消防用設備設置義務化への対応や重度障がい者の受け入れ促進を目的に上限額を増額し,開設法人に交付している。 <主な事業> ○グループホーム  地域で共同生活を営む住居において日常生活上の相談,介護などの支援を実施 ○障がい者グループホーム設置促進事業  グループホームの開設にあたり必要となる共用備品,敷金,事業開始前家賃及び消防設備設置費などを補助 【課題】 A経営実態を把握していない報酬体系や人材の不足などにより,特に重度障がい者向けのグループホームの設置が進んでいない。 【今後】 A引き続き,市営住宅をはじめとした,市有財産の活用とともに,従来の補助制度のこれまでの活用状況や効果を検証のうえ,補助制度の再構築等を検討するなど,事業者や関係局と連携しながらグループホームの設置促進に取り組んでいく。また,グループホームの経営実態を反映した報酬体系とするよう国に対し要望する。 130ページ ●施策1-8 保健・医療・リハビリテーション 取組みの方向性 @アルコールを含む依存症やひきこもり,発達障がい,性同一性障がいなどの専門性が高いニーズに関して,相談事業を行っています。また,アルコールを含む依存症やひきこもりに関しては,認知行動療法を用いた回復プログラムに沿った内容の教室を開催し,本人や家族に向けた支援を行います。 A国・県への財源措置を要望するとともに,医療費助成制度の優先順位などを適正化することにより,財源確保に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1 アルコールを含む依存症やひきこもり,発達障がい及び性同一性障がいに関する電話相談を毎週火曜日と木曜日,第1・3水曜日に実施している。また,市内の病院に協力を得て専門医による面接相談を行うほか,精神保健福祉センター医師による面接相談も行っている。 @-2 依存症対策事業として,各保健所や精神保健福祉センターにおいて,専門相談を実施しているほか,精神保健福祉センターにおいて家族教室を実施した。 <主な事業> ○精神保健福祉専門相談,依存症対策事業  ・各種相談件数,開催回数・参加者数 【各保健所】  依存症に関する相談件数:290件(H29年度)→387件(H30年度)  アルコールに関する相談件数:253件(H29年度)→339件(H30年度) 【精神保健福祉センター】  依存症(アルコール,薬物,ギャンブル等)専門相談件数:791件(H29年度)→699件(H30年度)→276件(R元年9月末)  家族教室:全20回,88名(H29年度)→全20回,71名(H30年度)→全10回,48名(R元年9月末)  薬物依存症者回復支援プログラム:全24回,124名(H29年度)→全24回,72名(H30年度)→全12回,41名(R元年9月末)  依存症市民講演会:1回,121名(H29年度)→1回,148名(H30年度)→未実施(R元年9月末) A自立支援医療(精神通院医療)については,障害者総合支援法に基づく国負担金が2分の1のため,毎年度国へ財源措置を要望している。また,現在の制度では通院医療のみであるが入院費用についても対象とするよう毎年国へ要望書を提出している。 【課題】 @依存症やひきこもり状態にある方などが早期に支援につながるよう相談窓口の周知を図るとともに,多様化するニーズに対応するため,職員の資質の向上及び,関係機関との連携強化が必要である。 【今後】 @関係機関との会議などにおいて相談窓口の周知徹底を図るとともに,引き続き支援者研修会や関係機関との連携会議を行い地域支援の充実を図っていく。 131ページ ●施策1-9 発達障がい児・者への支援 取組みの方向性 @発達障がい児・者への支援については,発達障がいへの理解が進んでいないことや,一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより,精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されています。 A幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進めるため,発達障がい者支援センター,療育センター,障がい者就労支援センター,発達教育センター,精神保健福祉センターなどの発達障がい関連施設の有機的な連携のあり方(既存の社会資源の集約再編,機能強化,利便性向上を図ることなど)を検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @発達障がい者支援センターについては,発達障がい児(者)に対する支援の総合窓口として,各種関係機関と連携を図りながら,相談対応や普及啓発,情報提供などを行っている。また,発達障がい児(者)の支援を行う事業所の職員を対象に,定期的に研修や支援方法の助言などを行っている。発達障がいへの市民の理解と認識を深めるため,毎年4月2日の世界自閉症啓発デー及び4月2日から8日の発達障がい啓発週間にあわせて,自閉症をはじめとする発達障がいへの広報啓発活動を行っている。 <主な事業> ○発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)  ・相談者数,延相談対応回数:1,514名,3,208回(H29年度)→1,404名,3,224回(H30年度)  ・関係機関連携・支援回数:1,306回(H29年度)→1,499回(H30年度)  ・普及啓発・研修実施回数,延受講者数:135回,5,158名(H29年度)→243回,5,856名(H30年度) ○世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間  世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間にあわせて,啓発イベント,福岡タワーブルーライトアップ及び発達障がいのある方の美術展の開催などを実施 A幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進めるため,平成30年3月に策定した基本構想をもとに,福岡市発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)基本計画を策定した。令和元年度は,基本計画に基づき基本設計を進めるとともに,発達障がい者支援センター及び障がい者就労支援センターの現状を踏まえ,運営内容や他機関との連携について検討を進めている。 【課題】 @発達障がいに関するすべての相談が発達障がい者支援センターに集中しており,医療機関の紹介など他機関でも対応可能な一次相談まで対応している。 Aライフステージを通じた一貫した支援体制を構築する中で,発達障がい者支援センターの狭隘化による,研修や面接の会場確保の困難さや,発達障がい者に向けた就労支援のニーズの高まりへの対処など,個々の課題への対応が必要である。 【今後】 @引き続き,区障がい者基幹相談支援センターとの連携などにより,相談体制の強化を図っていく。 A区障がい者基幹相談支援センターとの連携などにより,発達障がいに係る相談体制の強化を図る。また,福岡市発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備とあわせて,発達障がい関連施設の連携体制についても検討を進め,ライフステージを通じた一貫した支援体制を構築していく。 132ページ ●施策1-10 難病に関する施策の推進 取組みの方向性 @難病患者とその親など家族が地域で安心して生活できるよう,安定した療養生活の確保と生活の質(QOL)の向上を図ります。 A難病患者への訪問事業,難病医療講演会・相談会を開催するなど,疾病の理解や療養の支援・患者間の交流を促進し不安の軽減を図るとともに,難病(指定難病)の医療費助成や障がい福祉サービスを提供します。 B慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し,医療費の助成とあわせて,適切な情報提供を行います。また,身近な地域において,慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます。 C難病患者からの相談体制の充実を図るため,地域の実情等を把握し,福岡県難病相談・支援センターと連携しながら,ピアスタッフの地域での活動を支援します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A各区保健福祉センターで医療講演会・相談会を開催するとともに,福岡市難病相談支援センターを開設(福岡県と共同運営)し,難病患者とその家族のニーズ把握に努めながら,相談支援体制の充実を図った。平成31年4月には地域における難病患者への支援体制に関する課題について情報を共有し,地域の実情に応じた体制の整備について難病患者支援に携わる関係機関などで協議を行う福岡市難病対策地域協議会を設置し,関係機関などの相互連携の緊密化を図っている。 <主な事業> ○難病患者相談会など  ・講演会・相談会の開催回数,参加者数:17回,710人(H29年度)→32回,1,123人(H30年度)→13回,233人(R元年9月末時点) B難病相談支援センターに小児慢性特定疾病児童等自立支援員を配置し,患児や家族からの相談対応や関係機関向けの理解促進のための研修会を実施した。平成30年1月より小児慢性特定疾病医療費助成を受けている児童を在宅で介護している家族などの負担を軽減するため,人工呼吸器等装着者等を対象に「小児慢性特定疾病児童等レスパイト支援事業」を開始し,介護者が安心して在宅医療を継続できる環境を整備した(実施主体:福岡県,北九州市,福岡市,久留米市)。 C福岡市難病相談支援センターと連携しながら,ピアスタッフの養成・ピア相談の実施・ピアサポーターの派遣などを行い,相談者のニーズを踏まえた相談対応ができるよう,相談支援体制の充実を図った。 【課題】 C難病患者の長期にわたる療養と社会参加への支援をより実効性のあるものとするため,福岡県や関係機関,団体などとより緊密に連携しながら,相談支援事業をはじめとした総合的な対策を講じる必要がある。 【今後】 @・A・B・C難病患者とその家族の安定した療養生活の確保と生活の質(QOL)の向上を図るため、よりきめ細かい相談支援が行えるよう,各区保健福祉センターと難病相談支援センターを連携させながら,相談支援事業の充実を図る。また,福岡市難病対策地域協議会において,関係機関や患者団体などと協議を重ねながら,難病対策推進を図っていく。 133ページ ●施策1-11 災害対策の推進 取組みの方向性 @避難行動要支援者名簿の周知を進め,災害時における避難行動に支援が必要となる方に,名簿への登録を促し,日頃の声かけなど地域で支える取組みを進めます。 A特別な支援を必要とする障がい者(人工呼吸器使用者,人工透析者,視覚障がい者,聴覚障がい者,精神障がい者,難病患者等)については,医療機関との連絡,搬送,ホームヘルパー,保健師,手話通訳者の派遣依頼を行うほか,状況により社会福祉施設への緊急入所等,適切な配慮がされるよう努めます。 B災害時に避難所での生活が困難な障がい者などの災害弱者のため,2次避難所として設置する福祉避難所について,指定している福祉施設との協議を進め災害に備えます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @避難行動要支援者名簿については,平成28年度から市民局において,一定の要件を満たした者に対しDMによる通知を行い,地域への情報提供について意向の確認を行っている。 ・同意者名簿登録者数(障がい者のみ):6,683人(H29年度)→8,430人(H30年度)→8,549人(R元年度) A平成30年6月の福岡市地域防災計画の改定により,一時避難所における福祉避難室の設置や民間の宿泊施設の活用などについて避難対策マニュアルに盛り込まれた。 Bこれまで福祉避難所のあり方について障がい関係の事業所,団体などと協議を行い,各事業所のマニュアルを作成し,協定締結法人へ送付した(平成31年3月改定版送付)。 【課題】 @市民局からのDMだけでは周知が不十分であり,要支援者への個別アプローチを検討する必要がある。 A特別な支援が必要な障がい者の把握については,避難行動要支援者名簿への登録と地域で支える仕組みが不可欠である。また,大規模広域災害発生時については,連絡,搬送などに従事する行政職員や関係職員にかかる負担が大きく,また,医療機関や入所施設などへの受入れ対応についても現状では困難であるため,今後新たな仕組みづくりが必要である。 B災害時に二次避難所として設置する福祉避難所として協定を締結しているが,熊本地震などの大規模広域災害を想定した場合は,不足することが考えられる。 【今後】 @災害時に支援が必要な人については,引き続き市民局からのDM送付に加え,障がい者手帳取得時などに区役所窓口においても避難行動要支援者名簿への登録を促し,地域で支える取組みに繋いでいく。 A避難対策マニュアルに沿った対応を行い,適宜内容の見直しを行う。 B引き続き,福祉避難所のさらなる充実のため,協定を締結している法人が施設の新設などを行う際に,福祉避難所の協定施設とするよう働きかけるとともに,他法人にも協定締結を呼びかけるなど,福祉避難所の拡大に努めていく。 134ページ ●施策1-12 事業所におけるサービスの質の向上 取組みの方向性 @事業所間での協議会設置を後押しすることにより,サービス事業所自ら質の向上に努める仕組みを構築していきます。 A事業者説明会(集団指導)の実施や,各事業所における,運営方法やサービスの提供状況に関する確認(実地指導)を行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市民間障がい施設協議会の加入会員相互に各分野ごとの意見交換が行われており,現在の課題などについて情報共有が図られている。 A良質な障がい福祉サービスの確保に向けて,事業者への集団指導・実地指導などを適宜,実施している。  ・集団指導:359件(H29年度)→373件(H30年度)  ・実地指導:164件[62件](H29年度)→168件[25件](H30年度)  ※[ ]は抜き打ちによるもの  ・監査:0カ所(H29年度)→1カ所(H30年度) 【課題】 @現在,福岡市民間障がい施設協議会に加入している法人は,民間事業所全体の半数程度にとどまっており,より一層の拡充が必要である。 A制度の主旨を十分に理解していない事業所が散見されるため,良質な障がい福祉サービスを確保するために,新規指定の段階で審査を厳格化するとともに,適切なサービスの提供が行われていない事業所については,継続的に指導をしていく必要がある。 【今後】 @行政と同協議会の,より一層の連携により同協議会の拡充を図るとともに,引き続き情報共有及び障がい福祉サービスの向上に資する取組みを行う。 A国の指針に基づくサービスの質の維持・向上を目的とした従来の実地指導を行いつつ,新規指定の段階で審査を厳格化していくことで,不正の防止とともに,サービスの質のより一層の向上に努める。 135ページ ●施策1-13 人材の育成・研修 取組みの方向性 @障がい者(難病を含む)の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため,必要な知識,技能を有するホームヘルパーを養成します。 A聴覚障がい者などの福祉に理解と熱意を有する方を,手話通訳者,要約筆記者や介助員として養成するための講座を開催し,人材の育成と技術の向上を図ります。 B精神保健福祉業務に従事する職員やピアスタッフに対して,人材育成を目的に研修会を開催します。 C支援者の育成・確保をめざし,県とも協力して研修の機会の確保に努めます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @障がい児・者(難病を含む)へのサ−ビスの質の向上を図ることを目的とした,ホームヘルパースキルアップ研修を実施し,障がい者支援体制の充実とホ−ムヘルパーの技術向上に努めている。 <主な事業> ○ホームヘルパースキルアップ研修  ・研修開催回数: 6回(H29年度)→8回(H30年度)  ・研修参加人数: 210人(H29年度)→196人(H30年度) A聴覚障がい者情報センターにおいて手話通訳者,要約筆記者の養成を行った。 <主な事業> ○手話通訳者・要約筆記者の養成・派遣  手話通訳者・要約筆記者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣  ・手話通訳者養成:16人(H29年度)→11人(H30年度)  ・要約筆記者養成:9人(H29年度)→9人(H30年度)  また,聴覚障がい者情報センターにおいて,福岡市,福岡県,久留米市と合同で盲ろう者通訳介助員の養成を行った。 <主な事業> ○盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣  盲ろう者通訳・介助員を養成し,盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣。  ・盲ろう者通訳介助員養成:29人(H29年度)→19人(H30年度) B・C精神保健福祉業務に従事する職員などの技術水準の向上を図るため,基礎知識や専門知識などの習得を目的に研修会を実施した。 <主な事業> ○精神保健福祉に関する教育研修  ・各保健所における事例検討会 回数,参加人数:435回,3,066人(H29年度)→427回,2,967人(H30年度)  ・精神障がいに対応した地域包括ケアシステム構築に関する研修会  支援関係者研修 回数,参加人数:1回,69名(H30年度)  ・精神保健福祉センターにおける研修会  精神保健福祉従事者研修 回数,参加人数:6回,439人(H30年度)  精神障がい者支援体制の構築推進事業 出前講座 回数,参加人数:4回,210名(H30年度)  ピアスタッフスキルアップ研修 回数,参加人数:2回,延50名(H30年度) 136ページ 【課題】 @研修参加者数が横ばいであり,受講者が増加しない。また,難病の療養には,病状に応じた多種多様な課題があり,多様化するニーズに対応するためには,適切なホームヘルプサービスを提供できるホームヘルパーを養成する必要がある。 A聴覚障がい者の社会参加の機会が増えたことなどから,派遣依頼は増加しているが,対応可能な手話通訳者などが不足している。 B・C精神保健福祉に関する教育研修については,各関係機関との連携体制構築のための具体的な研修を進めていく必要がある。 【今後】 @引き続き,障がい者(難病含む)の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルパーサービスの提供に向けて,必要な知識・技能を有するホームヘルパーを養成する講座を実施するとともに,研修の周知を行い,受講者の増加を図る。 A引き続き,手話通訳者などの養成講座の効果的な周知広報を行い,受講者を増やすとともに活動可能な通訳者を増やす。 B・C引き続き,精神保健福祉業務に従事する職員などが経験や必要に応じた知識の習得ができるよう研修などの計画や情報提供を行う。また,新たなピアスタッフの養成や活躍の場の開拓など,活用のためのシステムつくりを進める。 137ページ ●施策1-14 「親なき後」の支援 取組みの方向性 ○障がいのある人の生活を支えている要素として,様々な障がい福祉サービスとともに,家族の存在は大変大きな部分を占めています。障がいのある人や家族が抱えている大きな不安の一つに,「親なき後の生活の不安」がありますが,障がいのある人も,その家族も安心して生活していくためには,早期から,親や家族が障がいのある人の介護などができなくなった場合どのように支援を継続していくかという後見的支援策とあわせて,障がいのある人自身が将来自立して生活できる環境を整備することが重要です。 ○そのため,「親なき後」の支援については,早期からの取組みも含め,施策の再構築など,財源の確保も見据えながら,各施策の効果的な実施と連携を推進し,基本理念に掲げる「障がいのある人が必要な支援を受けながら,自らの能力を最大限発揮し,地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくり」の実現に向けて取り組みます。 ○障害者手帳の取得の有無に関わらず,障がい者もしくは障がいが疑われる人で,必要な社会資源に結びついておらず社会から孤立していたり,サービスの適切な利用がされておらず,本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援を検討します。(再掲:施策1−1) ○障がいのある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに,短期入所など重度障がい者に対する支援や相談支援などのさらなる充実に努めます。(再掲:施策1−2) ○施設入所者や入院中の精神障がい者の地域移行を進めていくため,障がい者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります。(再掲:施策1−2) ○障がい者が地域で安心して生活が継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します。(再掲:施策1−4) ○「『親なき後の生活の安心』『障がいの重度化,高齢化への対応』のための施策を強化するには,財源確保の観点から,個人給付事業なども含め,再構築の必要がある」との意見もあることから,障がい者や関係者の意見を伺いながら,福岡市重度心身障がい者福祉手当など,そのあり方について検討を行います。(再掲:施策1−6) ○障がい者グループホームに関しては,開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに,市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また,グループホームの報酬体系について,利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう,他都市と連携し,機会を捉えて国に要望していきます。(再掲:施策1−7) ○障がいのある人が社会の一員として尊重され,自らの考えに基づいた決定をし,その考えを表明したり,行動したりするための支援のあり方を踏まえながら,成年後見制度の利用促進に向けた検討や,相談窓口などの充実を図ります。(関連:施策4−1) 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 ○平成29年度から市内14カ所に,区障がい者基幹相談支援センターを設置し,24時間体制での相談対応を行うとともに,障がい福祉サービスを利用していない障がい者の家庭訪問や地域の障がい福祉サービス事業所などの関係機関との連携体制構築に関する取組みを行っている。 ○緊急時の受け入れ・対応拠点を医療的ケア,強度行動障がい,虐待その他の類型の3つに分類し,各1カ所整備している。 ○障がい者が地域で生活する場であるグループホームについては,「グループホーム開設応援サイト」を市ホームページ上に設置し,不動産協力店登録制度の創設や設置費補助金の増額など,設置促進を図っている。 【課題】 ○医療的ケアが必要な重度障がい者を受け入れることができる短期入所施設が不足している。 ○障がい者からの多様な相談に応じていくためには,相談支援体制のさらなる充実が必要である。 ○経営実態を把握していない報酬体系や人材の不足などにより,特に重度障がい者向けグループホームの設置が進んでいない。 【今後】 ○引き続き,福岡市障がい者等地域生活支援協議会の各専門部会を活用し,地域生活支援の強化の議論を進め,障がい者が必要な支援を受けながら,地域や家庭でいきいきと生活できるまちづくりをめざしていく。また,グループホームの経営実態を反映した報酬体系とするよう国に対し要望する。 138ページ 基本目標2 就労支援・社会参加支援の充実 目標の内容 ○生きがいのある,充実した生活の実現をめざし,支援の充実を図ります。 施策の方向性 ○民間の就労支援事業者,就労支援センター,ハローワークなどと連携して,障がいのある人の雇用に対する理解促進や,企業とのマッチング,一般就労後の定着の促進などの支援を行います。 ○障がい者施設で作られる商品の製作販売や請負作業などの情報を広く紹介するとともに,官公庁や企業からの受注をコーディネートするなど,売上げの向上,工賃の向上を図ります。 ○社会参加を支援するため,合理的配慮の観点に基づく,意思疎通支援施策の充実を図ります。 ○障がいのある人のスポーツ・レクリエーション活動の振興を図るなど,引き続き各種社会参加活動の促進を図ります。 ○施策の推進にあたっては,社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります。 ≪施策事業の体系≫ ●施策2-1 就労支援 ●施策2-2 福祉的就労の底上げ ●施策2-3 交通支援 ●施策2-4 意思疎通支援 ●施策2-5 障がい者に配慮したまちづくりの推進 ●施策2-6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○障がい者に対する個別支援のほか,企業に対する啓発活動,就労移行支援事業所などへの技術的支援などの取組みを行った。 ○ときめきプロジェクト事業として,障がい者施設商品のコンクール「ときめきセレクション」や障がい者アート関連事業を実施するほか,広報誌などを活用した広報活動を行うとともに,平成29年度から,就労継続支援B型事業所における生産活動・工賃の実情調査・分析などを行っている。また,商品情報の整理集約,発注側への提供とともに,コーディネートによる受注・発注のミスマッチを解消するとともに,区役所などでの出張販売も実施するなど障がい者施設商品の販売促進を図っている。 ○平成28年度から各区の福祉・介護保険課の窓口に手話通訳者を嘱託員として配置し,窓口の手話通訳及び相談対応を行った。また,ろうあ者相談員を東区,博多区,早良区に配置した。 ○障がい者スポーツセンターや障がい者フレンドホームなど,障がい者の健康増進や社会参加推進のため,12施設を運営している。また,スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図ることを目的として,スポーツ大会や文化事業などを実施した。 さらには,社会適応訓練としてオストメイト社会適応訓練,音声機能障害発声訓練・指導者養成を実施している。 139ページ 【課題】 ○民間の就労移行支援事業所などは増加しているが,支援スキルが不十分な事業所も多く,事業所のスキルアップが必要である。 ○障がい者就労施設(就労継続支援B型事業所)における福岡市の平均工賃は全国の平均値を下回っているため,工賃のさらなる向上のための取組みを行う必要がある。 ○聴覚障がい者の社会参加の機会が増えたことなどから,派遣依頼は増加しているが,対応可能な手話通訳者・要約筆記者・盲ろう通訳介助員が不足している。 ○利用者から,施設の老朽化や利用者が増加したことによる利用のしづらさなどについて要望がある。また,スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図るための事業について,より多くの障がい者に参加してもらうための取組みや,また,広く市民に知ってもらうための広報を充実させる必要がある。 【今後の方向性】 ○就労支援センターでは,障がい者への個別支援を中心とした支援から,企業や民間の就労支援機関に対する技術的支援を中心とした支援を実施していく。 ○障がい者就労施設の工賃向上に向けたセミナー・勉強会の開催や個別支援などを引き続き実施するとともに,庁内や企業等への障がい者施設商品・サービスに関する情報発信や大量受注が可能となるように複数施設での受注のコーディネートをするなど,受注・発注のミスマッチを解消することにより,受注機会の拡大を図る。 ○引き続き,手話通訳者・要約筆記者・盲ろう通訳介助員養成講座の効果的な周知広報を行い,受講者を増やすとともに活動可能な通訳者等を増やしていく。 ○引き続き,委託先との連携や障がい者支援を行っているNPO団体と共働することにより,より多くの障がい者の参加を促進していく。また,様々な広報手段により市民への周知に努めていく。 140ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @障がいのある人の就労に対する社会の理解度(理解があると感じている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※)  28.7%(平成25年度) 40.0%(令和元年度) 33.0%(平成28年度) A外出の頻度(週に3回以上外出している人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※)  64.6%(平成25年度) 75.0%(令和元年度) 62.9%(平成28年度) Bコミュニケーションで困っていることの有無(困っている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※)  18.0%(平成25年度) 10.0%(令和元年度) 37.4%(平成28年度) ※ 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 141ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策2-1 就労支援 取組みの方向性 @就労支援センターを中心に,関係機関と連携しながら,就労移行支援事業所のスキルアップや企業の開拓を進めます。 A就職への困難度が高い,精神・発達障がい者への支援の充実を図るなど,社会情勢や雇用情勢の変化に応じた柔軟な施策の実施を図ります。 B障がいのある人を雇用する企業へのサポート体制を構築し,障がいのある人も企業も安心して働くことのできる環境整備を実施します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @福岡市障がい者就労支援センターにおいて,障がい者に対する個別支援のほか,企業に対する啓発活動,就労移行支援事業所などへの技術的支援などの取組みを行った。 <主な事業> ○福岡市障がい者就労支援センター  ・相談件数:7,041件(H29年度)→6,270件(H30年度)  ・就職者数:121人(H29年度)→119人(H30年度)  ・企業セミナー参加企業数:199社(H29年度)→166社(H30年度)  ・就労移行支援事業所研修会参加事業所数:107事業所(H29年度)→85事業所(H30年度) A・B特別支援学校高等部の生徒や福岡市障がい者就労支援センターに登録している方を対象に,市庁舎や区役所などで障がい者インターンシップを実施した。また,夢ふくおかネットワークを通して,特別支援学校高等部生徒の就労を促進している。 <主な事業> ○特別支援学校卒業生の就労促進  生徒の自立と社会参加を進めるため,学校,企業関係者,行政,学識経験者,保護者などで構成する「夢ふくおかネットワーク」において,関係団体・機関などとの連携を図り,企業などへ知的障がい特別支援学校卒業生の就労を促進  ・登録/配信企業・事業所数:250社(H29年度)→294社(H30年度)→340社(R元年9月末)  ・知的障がい特別支援学校卒業生数:151人(H29年度)→171人(H30年度)→168人(R元年9月末)  ・知的障がい特別支援学校企業就労者数:53人(H29年度)→51人(H30年度)  ・就労率:35.1%(H29年度)→29.8%(H30年度)  ・知的障がい特別支援学校卒業生 卒業半年後の定着率:97.5%(H28年度卒)→90.6%(H29年度卒) 【課題】 @民間の就労移行支援事業所が増加する中,精神障がい者や発達障がい者の就労支援を適切に実施出来るスキルが不十分な事業所なども多く,事業所のスキルアップが必要である。 また,県内の障がい者雇用率は上昇している一方で,県内の半数の企業が法定雇用率未達成であり,啓発や支援が必要である。 A・B ・インターンシップの受け入れ先が十分に確保出来ない。 ・博多高等学園を除く特別支援学校高等部卒業生の多くは,入学時に就労希望をしていても学年が進行するにつれ希望をしなくなる傾向が顕著である。そのため,高等部の授業「職業」の学習内容の充実や高等部を中心とした学校全体での進路指導の工夫改善が必要である。 142ページ 【今後】 @障がい者就労支援センターのあり方については,引き続き検討を行う。また,引き続き,障がい者就労支援センターを中心に雇用率未達成企業等に対して,障がい者雇用の啓発支援を行うほか,就労移行支援事業所への技術的支援を実施し,精神障がい者や発達障がい者等への適切な支援ができる事業所を育成する。 A・B引き続き,夢ふくおかネットワーク事業におけるセミナーや高等部での学習を通して,生徒の就労意欲を高め,保護者・教員には就労の可能性に気付くことができるようにする。また,企業に対しては,障がい者雇用の理解啓発とともに,より一層,学校と企業の連携が深まるよう取り組んでいく。 143ページ ●施策2-2 福祉的就労の底上げ 取組みの方向性 @障がい者施設商品の商品力・販売力強化,市民への情報発信を目的として,障がい者施設商品の販売・PRイベントなど,様々な取組みを行います。 Aときめきウェブにおいて,障がい者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介し,売上げの向上,工賃の向上を図ります。 B障がい者施設商品のアンテナショップとして「ときめきショップ」を設置し,売上げの向上を図ります。 Cときめきグッズ受注・発注コーディネート事業において,障がい者施設商品の情報を整理集約し,発注側(福岡市・企業など)に提供するとともに,コーディネートすることにより,受注・発注のミスマッチを解消し,障がい者施設商品の販売促進を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @ときめきプロジェクト事業として,障がい者施設商品のコンクール「ときめきセレクション」,商品販売やPRを行う「ときめきマーケット」,障がい者アート関連事業を実施するほか,広報誌等を活用した広報活動を行っている。また,平成29年度から,就労継続支援B型事業所における生産活動・工賃の実態調査・分析やセミナー・勉強会を実施するとともに,平均工賃が高い他都市の取組み・実例の研究を行っている。 <主な事業> ○ときめきプロジェクト  障がい者施設商品の商品力・販売力の強化や,魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 A「ときめきウェブ」での障がい者施設商品の製作販売・請負作業などの諸活動を広く紹介し,売上・工賃の向上を図っている。 B障がい者施設商品のアンテナショップ「ときめきショップ」を設置し,売上の向上を図っている。 C商品情報の整理集約,発注側への提供とともに,コーディネートによる受注・発注のミスマッチを解消するとともに,区役所などでの出張販売も実施するなど障がい者施設商品の販売促進を図っている。 <主な事業> ○ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業  障がい者施設商品の情報を整理・集約して発注側(福岡市・企業など)に提供するとともに,施設と企業などをつなぐコーディネートを実施 【課題】 @取組みは着実に浸透してきているが,市民・企業とのさらなる共働を進め,地域社会全体での取組みに発展させていく必要がある。障がい者就労施設(就労継続支援B型事業所)における福岡市の平均工賃は全国の平均値を下回っているため,工賃のさらなる向上のための取組みを行う必要がある。 A障がい者施設の新設・廃止,販売製品や請負作業などの変更があるため,変更内容について確認し,随時最新の情報に修正する必要がある。 C個々の障がい者施設がそれぞれ企業などから受注をしており,大量の受注ができない場合や納期の問題から,受注に至らないケースがある。 【今後】 @障がい者施設商品や障がい者アートを活用した啓発活動について,より効果的な方法を検討するとともに,障がい者就労施設の工賃向上に向けたセミナー・勉強会の開催や個別支援などを引き続き実施する。 A引き続き,ときめきウェブへの掲載希望について障がい者施設に適宜確認し,登録施設を増やしていくとともに,障がい者施設で実施している作業内容などに変更があった場合は,市へ届出をしてもらうことで変更内容を把握し,適宜情報の更新を行っていく。 C引き続き,庁内や企業などへの障がい者施設商品・サービスに関する情報発信や大量受注が可能となるように複数施設での受注のコーディネートをするなど,受発注のミスマッチを解消する。 144ページ ●施策2-3 交通支援 取組みの方向性 @地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて,外出支援のあり方を検証し,わかりやすく,使いやすい制度へ組み替えるなど,施策の再構築を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @平成29年度から福祉乗車証と福祉乗車券を統合して,新たな福祉乗車券として再構築するとともに,重度心身障がい者がタクシーを利用する場合にタクシー利用券を交付し,料金の一部を助成するなど,障がい者の外出の支援を行っている。 <主な事業> ○公共交通機関費用助成事業  重度障がい者などに対し,公共交通機関の運賃を助成  ・福祉乗車証交付実績:1,051人(〜H29年7月)  ・旧福祉乗車券交付実績:643人(〜H29年7月)  ・新福祉乗車券交付実績:19,001人(H29年8月〜H30年3月)→18,319人(H30年度) ○福祉タクシー料金の助成  経済的支援が必要な重度心身障がい者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成  ・交付人数:8,234人(H29年度)→8,518人(H30年度) ○自動車改造助成  身体障がい者が使用する自動車の改造費用の一部を助成  ・助成人数:39人(H29年度)→30人(H30年度) ○運転免許取得助成  障がい者が運転免許を取得した場合に,取得費用の一部を助成  ・助成人数:35人(H29年度)→45人(H30年度) 【課題】 @福祉乗車証については,障がい者団体から継続及び拡充の要望が寄せられている。 【今後】 @福祉乗車証については,継続の方向で具体的な検討を進めていく。 145ページ ●施策2-4 意思疎通支援 取組みの方向性 @日常のコミュニケーションに困難のある障がいの特性や,言語のひとつである手話についての啓発を進め,市民の理解の促進に努めます。 A合理的配慮の観点から手話通訳者・要約筆記者の派遣対象の拡大を図ります。 B区役所の設置手話通訳者の確保に努めます。 C重度障がい者に対する意思疎通支援のあり方については,国の動向も踏まえ,検討します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @全国ろうあ者大会にあわせ,手話ハンドブックを作成し,配布を行った。 A-1 聴覚障がい者情報センターにおいて,手話通訳者・要約筆記者の養成,派遣を行った。 <主な事業> ○手話通訳者・要約筆記者の養成・派遣  手話通訳者・要約筆記者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣  ・手話通訳者養成(修了者):16人(H29年度)→11人(H30年度)  ・手話通訳者派遣(延べ人数):2,518人(H29年度)→2,649人(H30年度)  ・要約筆記者養成(修了者):9人(H29年度)→9人(H30年度)  ・要約筆記者派遣(延べ人数):572人(H29年度)→497人(H30年度) A-2 聴覚障がい者情報センターにおいて,福岡市,福岡県,久留米市と合同で盲ろう者通訳介助員の養成を行った。また,聴覚障がい者情報センターから盲ろう者通訳介助員の派遣を行った。 <主な事業> ○盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣  盲ろう者通訳・介助員を養成し,盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣  ・盲ろう者通訳介助員養成(修了者):29人(H29年度)→19人(H30年度)  ・盲ろう者通訳介助員派遣(延べ人数):350人(H29年度)→266人(H30年度) B平成28年度から各区の福祉・介護保険課の窓口に手話通訳者を嘱託員として配置するとともに,ろうあ者相談員を東区,博多区,早良区に配置し,窓口の手話通訳及び相談対応を行った。 <主な事業> ○ろうあ者相談員・手話通訳者の配置  各区福祉・介護保険課に,聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置  ・対応件数  設置手話通訳者(7区):5,329件(H29年度)→5,323件(H30年度)  ろうあ者相談員(3区):383件(H29年度)→427件(H30年度) 146ページ C重度障がい者入院時コミュニケーション支援については,平成29年7月に制度を拡充し,単身世帯以外の利用も可能としたことにより,支給決定者数が増加した。 <主な事業> ○重度障がい者入院時コミュニケーション支援  入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し,医療従事者との意思疎通を円滑化し,適切な治療が受けられるように支援を実施  ・利用実員※[ ]は延利用者数:18人[39人](H29年度)→27人[72人](H30年度)→12人[19人](R元年9月末) 【課題】 A・B障害者差別解消法の施行に伴い,聴覚障がい者の社会参加の機会が増えたことなどから,派遣依頼は増加しているが,対応可能な手話通訳者・要約筆記者・盲ろう通訳介助員が不足している。 C重度障がい者入院時コミュニケーション支援の対象者は在宅の障がい者であるが,施設入所者の入院時利用の要望がある。 【今後】 A・B引き続き,手話通訳者・要約筆記者・盲ろう通訳介助員養成講座の効果的な周知広報を行い,受講者を増やすとともに活動可能な通訳者などを増やしていく。 C引き続き,利用者のニーズを的確に把握し,制度を適切に運用していく。 147ページ ●施策2-5 障がい者に配慮したまちづくりの推進 取組みの方向性 @障がいのある人もない人も,すべての人が安全かつ快適に社会参加していけるように,「福岡市バリアフリー基本計画」に基づき,誰もが暮らしやすい環境整備を推進します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1 旅客施設,車両,歩道,公園などのハード面のバリアフリー化は,バリアフリー基本計画(H25〜R2年度)に基づき,概ね順調に進んでいる。 <主な事業> ○ハード面のバリアフリー化  ・バリアフリー化が完了した駅数(一日当たりの平均利用者数が3千人以上) 目標:64駅(R2年度) 現状:63駅(H30年度)  ・重点整備地区内の歩道のバリアフリー化延長(km) 目標:41.7km(R2年度) 現状:37.5km(H30年度) @-2 施設の改修などの際,障がいのある人の視点を生かし,よりきめ細やかなバリアフリー化を進めるため,バリアフリーのまちづくりサポーター制度を設けるとともに,出前講座などの機会を捉えた「心のバリアフリー」広報誌の配付・啓発などに取り組み,ソフト面のバリアフリー化を推進している。 <主な事業> ○ソフト面のバリアフリー化  ・小学校でのバリアフリー教室の年間開催数(九州運輸局と協力開催含む) 目標:4校(H30年度) 現状:4校(H29年度)→5校(H30年度)→1校(R元年9月末)  ・バリアフリー関連市民向け講座の開催数 8件(H29年度)→6件(H30年度)→5件(R元年9月末) 【課題】 @施設ごとのバリアフリー化は着実に進められているが,心のバリアを取り除き,多様な人々の存在をお互いに理解し,支え合う「心のバリアフリー」は,浸透に時間を要するため,今後も継続的に普及・啓発をする必要がある。 【今後】 @ ・引き続き,学識経験者・利用者・行政などで構成するバリアフリー推進協議会での意見を踏まえながら,関係者と連携して,バリアフリー基本計画に基づくハード面のバリアフリー化を推進する。 ・「子ども向けバリアフリー教室」の開催や,「車いす利用者おでかけマップ」を用いたモニターツアーの開催,障がい当事者からアドバイスをいただく「バリアフリーのまちづくりサポーター制度」の働きかけなどを行い,心のバリアフリーの定着を図る。 148ページ ●施策2-6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 取組みの方向性 @障がい種別や状況に応じた社会適応訓練の実施や相互理解を向上させる力を持つ文化芸術の活用により,障がい者の社会参加を促進します。また,社会情勢やニーズの変化に対応しつつ,障がいのある人の健康の増進や社会参加の促進のために,引き続きスポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1 障がい者スポーツセンターや障がい者フレンドホームなど,障がい者の健康増進や社会参加推進のための事業を行っている。 <主な事業> ○障がい者スポーツセンター(さん・さんプラザ)  水泳・バスケットボール・卓球・トレーニングなどの機会の提供,障がい者スポーツの指導,指導者派遣,相談対応及び情報提供を実施  ・障がい者スポーツセンター利用者数:114,180人(H30年度) ○市立障がい者フレンドホーム  文化教室(絵画・陶芸など),更生相談,会議室提供を実施  ・主催事業(教室,相談等)(延べ):29,640人(H30年度) @-2 障がいのある人の健康の増進や社会参加の促進のため,スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図ることを目的として,スポーツ大会や文化事業などを実施した。 <主な事業> ○福岡市障がい者スポーツ大会  ・参加人員等:59団体,991人(H29年度) → 55団体,918人(H30年度) @-3 社会適応訓練としてオストメイト社会適応訓練,音声機能障害発声訓練・指導者養成を実施している。 <主な事業> ○社会適応訓練  音声機能障がい者に対する発声訓練や,ストマ用具装着者に対するストマ用具の使用法の指導や相談を実施  ・オストメイト社会適応訓練  実施回数:14回(H29年度)→12回(H30年度)  受講人数:321人(H29年度)→285人(H30年度)  ・音声機能障害発声訓練・指導者養成  実施回数:90回(H29年度)→90回(H30年度)  受講人数:1,469人(H29年度)→1,450人(H30年度) 【課題】 @ ・利用者から,施設の老朽化や利用者が増加したことによる利用のしづらさなどについて要望がある。 ・スポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図るための事業について,より多くの障がい者に参加してもらうための取組みや,また,広く市民に知ってもらうための広報を充実させる必要がある。 【今後】 @委託先との連携や障がい者支援を行っているNPO団体と共働することにより,より多くの障がい者の参加を促進していく。また,市政だよりや記者発表などの広報手段により,引き続き市民への周知に努めていく。 149ページ 基本目標3 障がいに対する理解の促進 目標の内容 ○障がいのある人もない人も,互いに尊重し合う共生社会の実現をめざします。 施策の方向性 ○共生社会の実現に向けて,互いの多様なあり方を尊重し,障がいへの理解を深め,偏見をなくしていく施策を推進します。 ○必要な情報が必要な人に届くよう,わかりやすい広報を行うとともに,点訳化や音訳化など,障がいの特性に配慮した情報の提供や,情報利用のための手段についての選択肢の拡大に努めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策3-1 啓発・交流の推進 ●施策3-2 広報・情報提供の充実 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○障がい者に対する理解促進を図るため,啓発イベント「障がい者週間記念の集い」や精神障がい者理解促進の為の普及啓発を実施した。また,学校に対してふくせき制度の更なる周知を図るため,ふくせき制度ガイドブックを配布した。 ○障がい保健福祉施策に関する広報については,必要に応じ,冊子やチラシ,市ホームページ,市政だよりなどで周知するほか,点字版の作成や冊子に音声コードを付加するなど,障がい特性に配慮した広報物の作成を行っている。また,市ホームページにおいては,PDF版とテキスト版を掲載し,音訳化を行っている。 【課題】 ○啓発イベントについては,より啓発効果が高いものとなるよう検討していく必要がある。 また,精神保健福祉に関しては,各区保健福祉センターや精神保健福祉センターが相談窓口であることを今後も継続して周知していく必要がある。なお,ふくせき制度については,入学式での紹介の希望は増加しており,参加と紹介を含めて考えていく必要がある。 ○障がい福祉施策を市民向けにまとめた「福岡市の障がい福祉ガイド」について,点字版の作成や音声コードの付加について検討する必要がある。 【今後の方向性】 ○啓発イベントについては,引き続き,実施主体となる団体などと連携し,事業内容を検討していく。また,精神保健福祉に関しては,案内ポスター「こころの健康ガイド」の配布先を増やし,相談窓口の周知のために更なる広報強化に努めていく。 なお,ふくせき制度については,特別支援学校に在籍する児童生徒が地域とのつながりが深められるよう更なる充実に努める。 ○「障がい福祉ガイド」については,市民からの要望を踏まえ,引き続き障がい特性に応じた情報提供に努める。 150ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @啓発・交流の頻度(「障がい者に対する理解を深める機会が少ない」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※)  19.7%(平成25年度) 10.0%(令和元年度) 20.2%(平成28年度) ※ 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 151ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策3-1 啓発・交流の推進 取組みの方向性 @障がいのある人もない人も,共に交流する機会を提供するなど,様々な場面で障がいに関する市民の理解を促進するための取組みを進めます。特に,子どもの頃から,体験学習や障がい当事者との交流を重ねることにより,障がいに関する理解や関心を持てるような環境づくりを進めます。 A障がい児や特別支援教育に対する認識や理解を促進し,地域において障がい児が育まれるよう,特別支援学校の児童生徒と地域の小・中学校の児童生徒との交流活動を推進するとともに,障がい児と同じ地域に住む子どもたちとの交流に取り組んでいる団体の活動を支援します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @-1 障がい者に対する理解促進を図るため,啓発イベント「障がい者週間記念の集い」を実施した。 <主な事業> ○障がい者週間  障がいについて市民の理解と認識を深めるため,「障害者週間(12月3日〜9日)」を中心として各種広報啓発活動を実施  ・障がい者週間記念の集い 来場者数:9,427人(H29年度)→7,854人(H30年度) @-2 精神障がい者理解促進の為の普及啓発のため,各保健所において,精神保健家族講座,健康展を実施している。また,相談窓口周知のため,案内ポスター「こころの健康ガイド」を3,000部作成,医師会,歯科医師会,薬剤師会へ毎年度に送付し,掲示を依頼するとともに,各保健所や精神保健福祉センターにおいて啓発資料を常時配布している。 <主な事業> ○精神保健家族講座  家族への障がいの理解,相互交流を促進  ・各保健所における精神保健家族講座の開催 回数,参加人数:全62回,808名(H29年度)→全61回,732名(H30年度) ○健康展  自殺予防,うつ病予防の啓発コーナーを設置  ・各保健所における健康展の参加人数:2,036名(H29年度)→1,593名(H30年度) ○精神保健福祉啓発交流事業  講演会や啓発映画上映,精神障がい者当事者による作品展,コンサート,バザーなどの啓発イベント(ハートメディア)を実施  ・参加人数:1,609名(H29年度)→1,836名(H30年度) ○心の健康づくり等市民講演会  ・ひきこもり市民講演会の参加人数:80名(H29年度)→144名(H30年度)  ・依存症市民講演会の参加人数:121名(H29年度)→148名(H30年度) A学校及び入学児童生徒の保護者に対して,ふくせき制度の周知を図っている。 <主な事業> ○ふくせき制度(交流及び共同学習)  特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域とのつながりを深めるため,居住する地域の小・中学校に副次的に籍を置き,交流を実施  ・入学式への参加(紹介を含む)率27.3%(H29年度)→22.8%(H30年度)→23.0%(R元年度) 152ページ 【課題】 @障がい者週間記念の集いについては,事業内容について,より啓発効果が高いものとなるよう検討していく必要がある。また,社会情勢や地域の状況に応じた取組みを検討していく必要がある。 A居住地校の入学式への参加希望は年度により増減がある。 【今後】 @障がい者週間記念の集いについては,引き続き,実施主体となる団体などと連携し,事業内容を検討していく。また,職域や様々な世代を対象に今後も継続して啓発事業を行っていく。 Aふくせき制度については,入学式の参加だけでなく,紹介を含めて周知していく。また,特別支援学校に在籍する児童生徒が地域とのつながりが深められるようふくせき制度の更なる充実に努める。 153ページ ●施策3-2 広報・情報提供の充実 取組みの方向性 @ICT(情報通信技術)の進展に対応しながら,わかりやすい広報を行うとともに,点訳化や音訳化など,障がいの特性に配慮した情報手段の提供に努めます。また,必要な情報が必要な人に届くよう,より効果的な情報提供の手法を検討します。 Aパソコン・スマートフォンなどが普及している状況から,ホームページを活用した情報提供のさらなる充実を図ります。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @・A障がい保健福祉施策に関する広報については,必要に応じ,冊子やチラシ,市ホームページ,市政だよりなどで随時,周知している。また,障がい福祉計画や障がい児・者等実態調査報告書を作成する際に,点字版の作成や冊子に音声コードを付加するなど,障がい特性に配慮した広報物の作成を行っている。なお,市ホームページにおいては,PDF版とテキスト版を掲載し,音訳化を行っている。 【課題】 @障がい福祉施策を市民向けにまとめた「福岡市の障がい福祉ガイド」について,点字版の作成や音声コードの付加について,検討する必要がある。 【今後】 @「障がい福祉ガイド」については,市民からの要望を踏まえ,引き続き障がい特性に応じた情報提供に努める。 154ページ 基本目標4 権利擁護の推進 目標の内容 ○障がいのある人の権利や尊厳を守るための施策を推進します。 施策の方向性 ○社会的に弱い立場になりがちな障がいのある人も,個人としての尊厳を保ちながら,その人らしい生活ができるよう,自らが選択・決定するための支援体制の整備に努めます。 ○虐待によって障がいのある人の権利や尊厳がおびやかされることを防ぎ,安定した生活や社会参加を支えるため,障がい者虐待の防止,養護者に対する支援などに関する施策を推進します。 ≪施策事業の体系≫ ●施策4-1 権利擁護・虐待防止 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○常設相談窓口を設置し,権利擁護に関する相談対応を実施するとともに,内容に応じて専門相談を行うほか,必要に応じて専門機関への依頼などを実施している。 ○市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)において,障がいに関する講演会の実施や虐待を受けた障がい者及びその養護者に対する支援を実施している。 【課題】 ○福岡市障がい者差別解消条例の施行に伴い,増加が見込まれる障がい者差別に関する相談への対応能力の向上を図る必要がある。 ○養護者による障がい者虐待に係る対応件数が増加しており,対応能力を向上するための取組みを行う必要がある。 【今後の方向性】 ○障がい者110番など障がい者差別に関する相談窓口の充実に向けた検討を行うほか,市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)の人員体制の強化を図り,人材育成研修など市の相談支援体制の強化を図るとともに,障がい者虐待の迅速かつ適切な対応体制の充実や障がい者虐待の防止・早期発見のための啓発活動に取り組む 155ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @障がい者の人権に関する問題点(「障がい者の意見や行動が尊重されないこと」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※)  17.1%(平成25年度)8.0%(令和元年度)12.7%(平成28年度) ※ 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 156ページ ●施策4-1 権利擁護・虐待防止 取組みの方向性 @障がいのある人が社会の一員として尊重され,自らの考えに基づいた決定をし,その考えを表明したり,行動したりするための支援のあり方を踏まえながら,相談窓口などの充実を図ります。 A成年後見制度については,国において見直しが進められており,その動向もみながら,利用促進に向けた検討を行います。 B障がい者虐待の防止及び早期発見のための啓発活動に取り組むとともに,虐待の通報・届出受理後は虐待再発防止のために養護者及び被虐待者に対し支援を行います。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @障がい者110番については,常設相談窓口を設置し,権利擁護に関する相談対応を実施するとともに,内容に応じて専門相談を行うほか,必要に応じて専門機関への依頼などを実施している。 <主な事業> ○福岡市障がい者110番  ・相談件数:244件(H29年度)→341件(H30年度)→60件(R元年7月末) A判断能力が不十分な精神障がい者及び知的障がい者など当事者による申立てが期待できない状況にある者について,市長申立て及び市長申立てを行った低所得者に対して報酬助成を実施している。 <主な事業> ○成年後見制度利用支援事業  市長申立て件数:3件(H29年度)→3件(H30年度)→1件(R元年度)  報酬助成件数:5件(H29年度)→5件(H30年度)→2件(R元年7月末) B市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)において,障がいに関する講演会の実施や虐待を受けた障がい者及びその養護者に対する支援を実施している。 <主な事業> ○基幹相談支援センター(虐待防止センター)  障がい者虐待の防止,養護者に対する支援などを促進  ・障がい者虐待防止に関する講演会などの開催回数:2回(H29年度)→2回(H30年度)→2回(R元年9月末)  ・虐待対応件数:48件(H29年度)→49件(H30年度)→21件(R元年9月末) 【課題】 @障がい者110番は権利擁護に関する相談窓口であるが,生活に関する様々な相談が寄せられるため,関係機関と連携した対応が必要である。また,障がいを理由とする差別に関する相談に効果的に対応するため,対応能力の向上を図る必要がある。 A福岡市では事業の対象者を市長申立案件に限定しているが,専門職団体などの関係機関から助成対象者の拡大が求められている。また,障がいのある方やその家族の後見制度に関する理解が不足している。 B養護者による障がい者虐待に係る対応件数が増加しており,対応能力を向上するための取組みを行う必要がある。 【今後】 @引き続き,区障がい者基幹相談支援センターなどの相談窓口と連携し,利用者のニーズに応じた相談支援を実施する。また,障がい者差別に関する相談窓口の充実に向けた検討を行う。 A引き続き,家庭裁判所や福岡市社会福祉協議会をはじめとする関係機関との意見交換を継続的に実施し,中核機関(成年後見センター)の設立など,福岡市における権利擁護のネットワークを構築する。また,成年後見制度を利用しやすく,利用者がメリットを感じられるよう,広報・啓発活動とともに総合的な支援体制のあり方の検討を高齢者の権利擁護部門と連携しながら行う。 B引き続き,市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)において区障がい者基幹相談支援センターや指定特定相談支援事業所向けの研修を充実させ,能力の向上に努める。 157ページ 基本目標5 差別解消のための施策の推進 目標の内容 ○障害者差別解消法の趣旨を踏まえながら,差別解消の推進に取り組みます。 施策の方向性 ○障がいの有無によって,分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,平成25年(2013年)に制定された障害者差別解消法などに基づき,障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組みます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策5-1 障害者差別解消法施行に伴う対応 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○平成30年6月に福岡市障がい者差別解消条例を制定し,平成31年1月から施行している。同条例制定後は,市政だより,ホームページ,パンフレット・ポスター・チラシ,出前講座などを通じた,条例の周知活動を行っている。障がいを理由とする差別に関する相談窓口については,障がい者110番に加え,市内14ヵ所の区障がい者基幹相談支援センターにも窓口を設置した。同条例に基づく附属機関として,福岡市障がい者差別解消推進会議及び福岡市障がい者差別解消審査会を設置し,会議を開催している。 【課題】 ○事業者や市民の障がいを理由とする差別に関する理解を深めるため,広報・啓発に取り組む必要がある。 【今後の方向性】 ○福岡市障がい者差別解消推進会議などを通じて,障がいのある人をはじめとする関係者の意見を聞きながら,啓発活動や相談対応,紛争の解決などに取り組む。 158ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @差別を受けた経験(差別を受けたりいやな思いをした経験の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査※) 29.2%(平成25年度) 20.0%(令和元年度)23.0%(平成28年度) ※ 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 159ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策5-1 障害者差別解消法施行に伴う対応 取組みの方向性 @法施行に合わせ作成した職員対応要領に基づき,障がいを理由とする差別の禁止に関して,福岡市役所の職員が率先して取り組みます。 A差別に関する紛争の防止などに向け,障がい者差別に関する相談窓口を設置し,関係者からの相談等に応じるとともに,「福岡市障がい者差別解消支援地域協議会」において,差別事案の解決に向けて協議します。 B障害者差別解消法の周知・啓発を進めるためのフォーラムの開催など,法の円滑な施行に向けて取り組みます。 Cまた,福岡市の実情を踏まえ,障がいを理由とする差別の解消に向けて,障がいのある方をはじめ関係者の意見を聞きながら,差別の解消を目的とする条例の制定に取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @eラーニングにおける研修や区役所の市民相談担当課職員向けの研修会を実施するなど,合理的配慮の考え方などについて市職員の理解を深めるための取組みを行っている。 A障がいを理由とする差別に関する相談窓口の委託先と連携しながら対応に当たっている。また,当該窓口に寄せられた相談について,福岡市障がい者差別解消推進会議(相談部会)において,事例の共有や解決に向けた協議などを行っている。 B福岡市障がい者差別解消推進会議などを通じて,障がいのある人をはじめとする関係者の意見を聞きながら,効果的な広報・啓発について検討を行っている。 C平成30年6月に福岡市障がい者差別解消条例を制定し,平成31年1月から施行している。 【課題】 B事業者や市民に対して,効果的な広報・啓発のあり方を具体的に検討する必要がある。 【今後】 B福岡市障がい者差別解消推進会議などを通じて,障がいのある人をはじめとする関係者の意見を聞きながら,効果的な啓発活動について検討していく。 160ページ 基本目標6 障がいのある子どもへの支援の充実 目標の内容 ○早期からの支援や,成長段階に応じた支援の充実を図ります。 施策の方向性 ○障がいのある子どもについては,「発達が気になる」など,障がいの疑いが生じた段階から,早期の対応,支援を行っていくことが重要です。障がいの早期発見と早期支援,そしてノーマライゼーションの理念の基に,一人ひとりの自立をめざした支援・療育体制の充実を図ります。 ○また,近年,特に発達障がい児の新規受診や相談が著しく増加していることから,発達障がい児とその家族への支援の充実に努めます。 ≪施策事業の体系≫ ●施策6-1 早期発見・早期支援 ●施策6-2 療育・支援体制の充実強化 ●施策6-3 発達障がい児の支援 1 目標達成に向けた進捗状況 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗状況】 ○「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,障がいの早期発見に努めるとともに,発達の気になる子どもやその家族の心配事に関する相談支援を行っている。 ○障がい児通所支援事業所の指定により支援体制の充実強化に努めており,相談については心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおいて未就学児への相談支援を,区障がい者会館相談支援センターや民間の相談支援事業所において就学時の相談支援を行っている。また,発達障がいに係る相談については,発達障がい者支援センターにて相談を受け付け,関係機関とも連携しながら支援を行っている。 ○発達障がいの特性がある子どもを把握し,早期支援に努めるとともに,保護者向けの研修により,家庭での実践を支援している。また幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援をすすめるため,福岡市発達障がい者支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備と並行して検討を進めている。 【課題】 ○障がいのある子どもについては,早期の対応,支援を行うことが重要であるが,近年,発達障がい児の新規受診や相談が著しく増加している。 ○幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進める為に,ライフステージ間における障がい情報伝達体制の構築が必要である。 【今後の方向性】 ○「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,引き続き,障がいの早期発見に努める。心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおいて,発達の気になる子どもやその家族の心配事に関する相談支援を行い,引き続き,支援の充実に努める。 ○一貫した支援を進めるために,発達障がい者支援センターや関係機関の機能の充実,強化を図るとともに,すでにあるツールを最大限活用することで,よりよい体制を実現していく。 161ページ 2 成果指標の動向 <成果指標>  以下、指標項目(対応する目標・出典)、初期値、目標値、現状値の順。 @療育や訓練を受けた経験(「受けた」又は「受けている」人の割合」)※1(福岡市障がい児・者等実態調査※3)  82.6%(平成25年度)85.0%(令和元年度)83.3%(平成28年度) ※1 「療育や訓練を受けた経験」は,障がい児についての数値 ※3 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成28年度実施。本計画期間中の実施は,令和元年度に予定されているため,目標値は,令和元年度調査時の数値とする。 162ページ 3 施策の進捗状況・課題と今後の方向性 ●施策6-1 早期発見・早期支援 取組みの方向性 @医療機関や乳幼児健康診査などの受診時に,「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,障がいの早期発見に努めます。 A区役所(保健福祉センター)や心身障がい福祉センター,療育センター,こども総合相談センターが連携しながら,“発達が気になった”段階から,家族も含めた支援に取り組みます。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,障がいの早期発見に努めている。 <主な事業> ○障がいの早期発見  乳幼児健康診査などを通じ,障がいの疑いがあると判断された場合は,専門機関の受診につなぎ,障がいの早期発見に努めるもの  ・新規受診者数:1,417名(H29年度) → 1,518名(H30年度) A心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおいて,発達の気になる子どもやその家族の心配事に関する相談支援を行っている。また,各保健福祉センターやこども総合相談センターと連携し,必要な支援について調整を行っている。 <主な事業> ○心身障がい福祉センター,東部・西部療育センター  障がい児(未就学児)の相談・診断・療育支援などを実施  ・心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおける相談・診断・判定人数:27,536名(H29年度)→29,252名(H30年度) ○こども総合相談センター  子どもに関する様々な問題に対して,保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を実施 【課題】 @障がいのある子どもについては,早期の対応,支援を行うことが重要である。 A近年,発達障がい児の新規受診や相談が著しく増加している。 【今後】 @・A「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,引き続き,障がいの早期発見に努める。 心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおいて,発達の気になる子どもやその家族の心配事に関する相談支援を行い,引き続き,支援の充実に努める。 163ページ ●施策6-2 療育・支援体制の充実強化 取組みの方向性 @障がいの重度・重複化や発達障がいの増加に対応するため,障がいのある子どもが,知的障がい・肢体不自由などの障がいの種別に関わらず,身近な地域で相談や訓練を受けることができるよう,障がい児の通園施設や放課後等デイサービスなどの療育体制や支援体制の充実強化に努めます。 A通園が困難な重症心身障がい児などに対する訪問療育を行うとともに,障がい児が通う保育所,幼稚園,認定こども園などへの支援や,障がい児施設などでの日帰りの一時支援や預かり時間の延長などにより,障がい児とその家族を地域で育む環境づくりを進めます。 B慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し,医療費の助成とあわせて,適切な情報提供を行います。また,身近な地域において,慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます。(再掲) C学校と行政,事業所などが連携し,就労に向けた取組みを推進します。 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @児童発達支援センターや放課後等デイサービスなどの障がい児通所支援事業所の指定により支援体制の充実強化に努めている。相談については心身障がい福祉センター及び西部,東部療育センターにおいて未就学児への相談支援を,区障がい者基幹相談支援センターや民間の相談支援事業所などにおいて就学児の相談支援をおこなっている。また,発達障がいに係る相談については,発達障がい者支援センターにて相談を受け付け,関係機関とも連携しながら支援を行っている。 <主な事業> ○児童発達支援センター  就学前の知的障がい児・肢体不自由児などを対象に,通園による訓練・保育などの療育を実施 ○放課後等デイサービス  学校通学中の障がい児に対して,放課後や長期休暇において,生活能力向上のための訓練などを継続的に提供することにより,学校教育と相まって障がい児の自立を促進するとともに,放課後などの居場所づくりを推進  ・事業所指定実績:  児童発達支援センター 11カ所(H29年度)→11カ所(H30年度)  放課後等デイサービス事業所 158カ所(H29年度)→184カ所(H30年度)  障がい児相談支援事業所 56カ所(H29年度)→66カ所(H30年度) A在宅障がい児の地域生活支援のため,訪問療育や外来療育,施設訪問などの各種サービスを社会福祉事業団へ委託し行っている。 <主な事業> ○障がい児等療育支援事業  外来療育,訪問療育,保育所・幼稚園などへの支援を実施  ・実施件数:  心身障がい福祉センター 8,133件(H29年度)→8,390件(H30年度)  西部療育センター 6,265件(H29年度)→5,843件(H30年度)  東部療育センター 5,565件(H29年度)→5,889件(H30年度) ○障がい児保育訪問支援事業  障がい児が入所している保育所などに対して,専門機関による訪問,助言などを実施 B難病相談支援センターに小児慢性特定疾病児童等自立支援員を配置し,患児や家族からの相談対応や関係機関向けの理解促進のための研修会を実施した。小児慢性特定疾病医療費助成を受けている児童を在宅で介護している家族などの負担を軽減するため,人工呼吸器等装着者などを対象に「小児慢性特定疾病児童等レスパイト支援事業」を実施した(実施主体:福岡県,北九州市,福岡市,久留米市)。 C就労支援センターを中心に在学中から職業相談,職場実習などの支援を行い,就職後についてもジョブコーチ支援などを行っている。 164ページ 【課題】 @放課後等デイサービス事業所が急増しているが,支援の質が低く,適切な発達支援を提供できない事業所がある。また事業所及び利用の急増により,障がい児通所給付費増加の原因となっている。 A障がい児とその家族を地域で支援していく環境づくりを促進する必要がある。 C特別支援学校以外の高校や専門学校の生徒の支援ニーズを把握することが難しく,就労支援につながらないことが多い。 【今後】 @平成28年度に事業所指定及び指導を担当する主査を設置し,平成29年度に職員を増員するなど適切な支援が提供されるよう事業所を指導しており,引き続き指導体制の強化に取り組んでいく。 A障がい児とその家族の地域生活支援のため,訪問療育や外来療育,施設訪問などの各種サービスを実施しており,引き続き実施する。 C夢ふくおかネットワーク事業における各種セミナーや体験会を通して,生徒の就労意欲を高め,保護者教員には就労の可能性に気付くことができるようにする。また,企業に対しては,障がい者雇用の理解啓発とともに,より一層,学校と企業の連携が深まるよう取り組んでいく。 165ページ ●施策6-3 発達障がい児の支援 取組みの方向性 @発達障がい者支援センターを中心に,自閉症などの発達障がいのある子どもとその家族に対し,乳幼児期から成人期までのライフステージに応じ,障がいの特性を踏まえた相談や一貫した支援を行います。 A専門家や団体,事業者,保健・教育・福祉関係者などで構成する「発達障がい者支援協議会」などを通じて,関係機関・団体の連携を強化し,支援体制の充実を図ります。 B発達障がいへの理解を促進するため,啓発活動に取り組みます。(再掲) C発達障がい者への支援については,障がいへの理解が進んでいないことや,一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより,精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されており,幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進めるため,既存の社会資源の集約再編や,機能強化,利便性向上を図ることなどを検討します。(再掲) 進捗状況・課題・今後の方向性 【進捗】 @発達障がいの特性がある子どもを把握し,早期の支援開始を図っている。また,保護者向けの研修により,家庭での実践を支援している。 ・発達障がい者支援センター職員数:9名(H29年度)→10名(H30年度) A発達障がい者支援協議会だけでなく,特別支援教育連携協議会や親の会との連絡会を通じて連携強化を図っている。 B毎年4月に,市内の親の会や当事者団体と協力して,啓発イベントを行っている。また,研修会,講演会を通して啓発を図っている。 C幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援をすすめるため,福岡市発達障がい支援・障がい者就労支援センター(仮称)の整備と並行して検討を進めている。 【課題】 @保護者向け研修など,実施拡大を望む声は大きいが,実施可能な職員数が限られており,今後職員の育成が必要である。 C一貫した支援を進める為に,ライフステージ間における障がい情報伝達体制の構築が必要である。 【今後】 @発達障がい者支援センター職員や,関係機関の支援者の人材育成に努めるともに,人員の適正な配置についても検討していく。 A・B共生社会実現に向けて,啓発活動は重要な取り組みであり,今後も実施方法等検討しながら継続的に行っていく。また,関係機関との連携も引き続き強化していく。 C一貫した支援を進めるために,発達障がい者支援センターや関係機関の機能の充実,強化を図るとともに,すでにあるツールを最大限活用することで,よりよい体制を実現していく。 166ページ Y 成果指標一覧 167ページ 総論 成果指標  以下,施策推進における3つの方向性ごとに記す。 @自立の促進と支援  指標項目 健康寿命の延伸(厚生労働省が発表する「日常生活に制限のない期間」の推移)  初期値 男性 70.38歳,女性 71.93歳(平成22年度)  目標値 1歳以上延伸(令和2年度)  現状値 男性 71.04歳,女性 75.22歳(平成28年度) A地域で生活できる仕組みづくり  指標項目 地域での暮らしやすさ(高齢者:地域での支え合いにより,子育て家庭や高齢者が暮らしやすい街だと感じる市民の割合)(障がい者:障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じている市民の割合)(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)  初期値 高齢者 37.3%,障がい者 34.3%(平成26年度)  目標値 高齢者 58%,障がい者 57%(令和2年度)  現状値 高齢者 38.8%,障がい者 33.5%(平成30年度) B安全・安心のための社会環境整備  指標項目 安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)  初期値 39.6%(平成28年度)  目標値 上昇(令和2年度)  現状値 36.7%(平成30年度) 168ページ 各論 成果指標(健康・医療分野)  以下,基本目標ごとに、成果項目,初期値,目標値,現状値の順。 1 健康づくりの推進 ○健康づくりに取り組んでいる人の割合(20歳以上)(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 56.1%(平成26年度) 75.0%(令和2年度) 55.5%(平成30年度) ○初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均(保健福祉局調べ)  男性:80.4歳(平成26年度) 81.0歳(令和2年度) 80.5歳(平成30年度)  女性:83.5歳(平成26年度) 84.1歳(令和2年度) 84.2歳(平成30年度) ○特定健診受診率  福岡市国民健康保険+協会けんぽ(福岡市在住加入者):35.1%(平成26年度) 50.0%(令和2年度) 33.5%(平成28年度)  福岡市国民健康保険:23.1%(平成26年度) 33.0%(令和2年度) 27.2%(平成30年度) ○女性のがん検診受診率(過去2年以内に受診した市民の割合)(国民生活基礎調査)  子宮頸がん検診:39.5%(平成25年度) 50.0%(令和2年度) 35.9%(平成28年度)  乳がん検診:37.8%(平成25年度) 50.0%(令和2年度) 37.7%(平成28年度) 2 医療環境の整備 ○最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合(保健福祉局調べ) 10.0%(平成26年度) 11.7%(令和2年度) 10.9%(平成29年) 3 健康で安全な暮らしの確保 ○各種感染症の集団発生件数(季節性インフルエンザ及び食中毒を除く)(福岡市感染症発生動向調査) 21件(一〜三類感染症 3件)(平成26年度) 減少(令和2年度) 44件(一〜三類感染症 1件)(平成30年度) ○食に対して安心だと感じる市民の割合(20歳以上)(市政アンケート調査) 47.7%(平成21年度〜平成23年度平均) 55.0%(令和4年度) 72.2%(令和元年度) 169ページ 各論 成果指標(地域分野)  以下,基本目標ごとに、成果項目,初期値,目標値,現状値の順。 1 地域の絆づくり ○校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の策定校区数(校区社協会長アンケート) 1校区(平成26年度) 96校区(令和2年度) 46校区(平成30年度) ○公民館の利用率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 24.7%(平成26年度) 50.0%(令和4年度) 23.6%(平成30年度) 2 活動団体への支援と連携 ○民生委員・児童委員活動を負担に感じている割合(保健福祉局調べ) 70.6%(平成24年度) 50.0%(令和2年度) 63.8%(平成29年度) ○校区福祉のまちづくりプラン(校区地域福祉活動計画)の策定校区数【再掲】(校区社協会長アンケート) 1校区(平成26年度) 96校区(令和2年度) 46校区(平成30年度) 3 支え合い・助け合い活動の推進 ○ふれあいネットワークの見守り対象世帯数(市社協調べ) 35,108世帯(平成26年度) 45,000世帯(令和2年度) 42,845世帯(平成30年度) ○ふれあいサロンの参加者数(実人数)(市社協調べ) 8,915人(平成26年度) 12,000人(令和2年度) 9,323人(平成30年度) ○自主防災活動への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 9.2%(平成26年度) 25.0%(令和4年度) 11.3%(平成30年度) ○公民館の利用率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査)【再掲】 24.7%(平成26年度) 50.0%(令和4年度) 23.6%(平成30年度) 4 人づくりと拠点づくり ○地域活動への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 55.6%(平成26年度) 70.0%(令和4年度) 49.7%(平成30年度) ○NPO・ボランティア活動等への参加率(福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査) 13.1%(平成26年度) 24.0%(令和4年度) 14.5%(平成30年度) 5 自立した生活のための環境づくり ○ユニバーサルデザインの理念の理解度(市政アンケート調査) 48.7%(平成26年度) 70.0%(令和4年度) 41.3%(平成30年度) ○ユニバーサルデザインの取組みへの評価(市政アンケート調査) 39.3%(平成26年度) 65.0%(令和4年度) 32.4%(平成30年度) 170ページ 各論 成果指標(障がい者分野)  以下,基本目標ごとに、成果項目,初期値,目標値,現状値の順。 1 いきいきとしたシニアライフの実現 ○外出する頻度(週に4日以上外出する人の割合)(福岡市高齢者実態調査) 61.2%(平成22年度) 65.0%(令和元年度) 52.0%(平成28年度) ○働いている高齢者の割合(福岡市高齢者実態調査) 35.3%(平成28年度) 38.3%(令和元年度) 35.3%(平成28年度) 2 安心して暮らせるための生活基盤づくり ○ボランティア活動をしている高齢者の割合(福岡市高齢者実態調査) 10.1%(平成25年度) 15.0%(令和元年度) 10.1%(平成28年度) ○最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合(保健福祉局調べ) 10.0%(平成26年度) 11.7%(令和2年度) 10.9%(平成29年度) 3 認知症施策の推進 ○認知症の人が,住み慣れた地域で暮らし続けることができると思う人の割合(福岡市高齢者実態調査) 48.4%(平成28年度) 54.7%(令和元年度) 48.4%(平成28年度) ○医療・介護専門職を対象とした認知症に関する研修受講者数(保健福祉局調べ) 3,150人(平成26年度) 8,000人(令和2年度) 5,712人(平成30年度) 4 介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営 ○よかトレ実践ステーション登録校区・地区数(保健福祉局調べ) 150小学校区・地区のうち56小学校区・地区で登録(平成27年度) すべての小学校区・地区で登録(令和元年度) 151小学校区・地区のうち148小学校区・地区で登録(令和元年8月末) ○介護人材確保事業参加者数(保健福祉局調べ) 177人(平成27年度) 270人(令和2年度) 771人(平成30年度) 5 高齢者総合支援体制づくり ○いきいきセンターふくおかの認知度(福岡市高齢者実態調査) 46.8%(平成25年度) 60.0%(令和元年度) 53.6%(平成28年度) ○健康寿命延伸による要介護認定率の伸びの抑制(保健福祉局調べ)  要介護認定率(福岡市,各年度9月末時点,全認定者/第1号被保険者) 20.3%(平成26年度) 全国平均値(令和2年度) 20.4%(平成30年度)  要介護認定率(全国平均,各年度12月時点,第1号認定者/第1号被保険者) 17.9%(平成26年度) 全国平均値(令和2年度) 18.3%(平成30年度) 171 各論 成果指標(障がい者分野)  以下,基本目標ごとに、成果項目,初期値,目標値,現状値の順。 1 地域で安心して生活するための支援の充実 ○まちの暮らしやすさ (暮らしやすいまちだと感じている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 41.6%(平成28年度) 50.0%(令和元年度) 41.6%(平成28年度) ○相談窓口の認知度(困ったときに相談できる窓口を知っている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 35.9%(平成25年度) 45.0%(令和元年度) 34.3%(平成28年度) ○災害時の孤立度(「頼る人がいない」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 8.1%(平成25年度) 5.0%(令和元年度) 11.7%(平成28年度) ○安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている人の割合(福岡市障がい児・者等実態調査) 33.0%(平成28年度) 40.0%(令和元年度) 33.0%(平成28年度) ○将来の暮らし方(将来,家族と同居できない場合に,希望する暮らし方とし て「一人暮らし」「共同生活できるところ」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 51.9%(平成25年度) 60.0%(令和元年度) 49.8%(平成28年度) 2 就労支援・社会参加支援の充実 ○障がいのある人の就労に対する社会の理解度(理解があると感じている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 28.7%(平成25年度) 40.0%(令和元年度) 33.0%(平成28年度) ○外出の頻度(週に3回以上外出している人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 64.6% (平成25年度) 64.6%(平成25年度) 75.0%(令和元年度) 62.9%(平成28年度) ○コミュニケーションで困っていることの有無(困っている人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 18.0%(平成25年度) 10.0%(令和元年度) 37.4%(平成28年度) 3 障がいに対する理解の促進 ○啓発・交流の頻度(「障がい者に対する理解を深める機会が少ない」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 19.7%(平成25年度) 10.0%(令和元年度) 20.2%(平成28年度) 4 権利擁護の推進 ○障がい者の人権に関する問題点(「障がい者の意見や行動が尊重されないこと」と回答した人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 17.1%(平成25年度) 8.0%(令和元年度) 12.7%(平成28年度) 5 差別解消のための施策の推進 ○差別を受けた経験(差別を受けたりいやな思いをした経験の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 29.2%(平成25年度) 20.0%(令和元年度) 23.0%(平成28年度) 6 障がいのある子どもへの支援の充実 ○療育や訓練を受けた経験(「受けた」又は「受けている」人の割合)(福岡市障がい児・者等実態調査) 82.6%(平成25年度) 85.0%(令和元年度) 83.3%(平成28年度)