表紙 福岡市保健福祉総合計画  平成28年6月  福岡市 表紙の絵について 表紙の絵は,障がいのある人が描いた絵です。 仲間たちの楽しく演奏している様子が描かれた絵は,様々な人たちが様々な活動により 一つのものを作り上げていくという姿であり,市民が自立し かつ相互に連携して支え合うという 福岡市の健康福祉のまちづくりの基本理念を象徴しているものです。 音声コードについて この計画書には,より多くの方に情報を提供するためエスピーコードをつけています。活字文書読み上げ装置を使って,内容を音声で聞くことができます。 はじめに  福岡市は,現在全国に比べて若くて元気と言われておりますが,その福岡市も2025年には4人に1人が高齢者となってまいります。  これから迎える超子高齢社会は,高齢者が急速に増加する一方で,子どもや働く人が大幅に減少していく社会です。団塊の世代が後期高齢者となるなど,人口構造が大きく変化する10年後を見据え,福岡市では「福岡市保健福祉総合計画」を策定し,高齢者や障がいのある人をはじめ,すべての市民が住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができる「健康福祉のまちづくり」を実現するための方向性をお示しいたしました。  計画では,健康づくりなどの「自立の促進と支援」,地域での見守り活動の充実などの「地域で生活できる仕組みづくり」,ICT情報通信技術 の活用などの「安全・安心のための社会環境整備」の3つの方向性を掲げ,具体的な施策に取り組むとともに,来たる超少子高齢社会に対応していくため,「配る福祉から支える福祉」への政策転換など,持続可能な仕組みづくりに向けて,施策を再構築してまいります。  また,施策の推進にあたっては,行政だけでなく,地域や企業,団体なども含め多くの方々と共にチャレンジしながら,持続可能な仕組みをつくり,その成果が九州や全国から注目され,これから急速に高齢化が進むアジアの国々にとってのモデルになっていくことができるよう市をあげて取り組んでまいります。  最後に,福岡市保健福祉審議会の委員の皆様をはじめ,計画策定にご尽力いただきました多くの方々に,深く感謝申し上げます。  平成28年6月  福岡市長 島 宗一郎 このページに文章の記載はありません。 福岡市保健福祉総合計画の構成  はじめに本計画の全体構成の概要を図示します。 第1編 序論p1から 計画の位置づけ,社会動向など 第2編 総論p43から   総論では,本計画がめざすものと,それを実現するための政策転換による基本的方針や施策の方向性等の全体像を示します。  ・基本理念  ・10年後のあるべき姿  ・政策転換による基本的方針  ・施策の方向性  ・推進施策 第3ペン 各論p63から   各論では,総論を踏まえ,4つの分野別に具体的な施策を示します。 各論の4分野について  各論は,計画のポイントである“健康づくり”,“地域づくり”を中心とし,すべての世代を対象とする目的別の「健康・医療分野」・「地域分野」と,対象者別の「高齢者分野」・「障がい者分野」の4分野で構成します。 ・目的別  健康・医療分野 健康づくり p65から   地域分野 地域づくり p107から  ・対象者別  高齢者分野 p145から   障がい者分野 p181から  第4編 計画の進行管理 p229から  参考資料 p231から  このページに文章の記載はありません。 目次 以下は,みだし,ページ数の順です。 第1編 序論 p1 第1部 計画の策定にあたって p1 第1章 計画策定の趣旨 p1 第2章 計画の策定根拠と計画期間 p2 1 策定根拠 p2 2 計画期間 p3 第3章 計画の位置づけ p4 1 他の計画との相関関係 p4 2 ライフステージごとの関わり方 p5 第2部 計画策定の背景 p6 第1章 国と福岡市の動向 p7 1 国の動向 p7 2 福岡市の動向 p10 第2章 市民の意識 p25 1 市民意識調査 実施時期:平成26年(2014年) p25 2 高齢者実態調査 実施時期:平成25年(2013年) p29 3 障がい児・障がい者等実態調査 実施時期:平成25年(2013年) p32 第3章 前計画の振り返り p35 1 前計画に基づく施策推進の考え方 p35 2 前計画に基づく健康福祉のまちづくりの取組み p36 3 健康福祉のまちづくりに向けて p41 第2編 総論 p43 第1部 計画がめざすもの p43 第1章 計画策定の基本理念 p43 第2章 10年後のあるべき姿 2025年を見据えた目標像  p44 1 10年後にもたらされる状況 p44 2 福岡市がめざす10年後のあるべき姿 p46 第3章 政策転換 新たな発想による政策の推進  p48 第2部 政策転換による基本的方針 p55 第1章 施策の方向性 p55 1 基本的な考え方 p55 2 3つの方向性 p55 3 3つの方向性に基づく推進施策 p56 第2章 担い手の役割 p60 1 市民の役割 p60 2 地域の役割 p60 3 行政の役割 p61 第3章 成果指標 p62 第3ペン 各論 p63 第1部 健康・医療分野 p65 第1章 健康・医療分野の基本理念等 p65 1 基本理念 p65 2 計画の位置づけ p65 3 基本目標 p66 4 施策体系 p67 第2章 施策各論 p68 基本目標1 健康づくりの推進 p68 施策1ノ1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 p76 施策1ノ2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 p77 施策1ノ3 女性の健康づくりの推進 p78 施策1ノ4 次世代の健康づくりの推進 p78 施策1ノ5 心の健康づくりの推進 p79 施策1ノ6 地域や職場などでの健康づくりの推進 p80 施策1ノ7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり p81 基本目標2 医療環境の整備 p82 施策2ノ1 在宅医療・介護連携の推進 p88 施策2ノ2 認知症医療提供体制の整備 p89 施策2ノ3 難病対策の推進 p90 施策2ノ4 急患・災害時医療体制の充実 p91 施策2ノ5 市立病院等の充実 p92 施策2ノ6 医療安全等対策の推進 p93 施策2ノ7 医療の国際化の推進 p93 基本目標3 健康で安全な暮らしの確保 p94 施策3ノ1 感染症対策の推進 p100 施策3ノ2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 p102 施策3ノ3 食の安全安心の確保 p103 施策3ノ4 環境衛生の推進 p104 施策3ノ5 動物の愛護・適正飼育の推進 p104 第3章 成果指標 p106 第2部 地域分野 p107 第1章 地域分野の基本理念等 p107 1 基本理念 p107 2 計画の位置づけ p108 3 基本目標 p109 4 施策体系 p110 第2章 施策各論 p111 【基本目標1】地域の絆づくり p111 施策1ノ1 絆づくりの推進 p116 施策1ノ2 校区・地区の目標づくりへの支援 p117 【基本目標2】活動団体への支援と連携 p118 施策2ノ1 社会福祉協議会への支援と連携 p120 施策2ノ2 民生委員への支援と連携 p121 施策2ノ3 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 p121 【基本目標3】支え合い・助け合い活動の推進 p122 施策3ノ1 見守りと助け合い活動の推進 p125 施策3ノ2 災害時に備えた見守りの仕組みづくり p126 施策3ノ3 新たな生活支援サービスの創出 p127 施策3ノ4 ICT情報通信技術の利活用 p128 【基本目標4】人づくりと拠点づくり p129 施策4ノ1 福祉意識の醸成 p132 施策4ノ2 支え手づくりの推進 p133 施策4ノ3 ボランティア・NPO活動の拡充 p134 施策4ノ4 地域の活動拠点づくり p135 【基本目標5】自立した生活のための環境づくり p136 施策5ノ1 情報提供と相談の仕組みづくり p139 施策5ノ2 権利擁護体制の充実 p140 施策5ノ3 生活困窮者への相談支援体制の充実 p141 施策5ノ4 ユニバーサルデザインの理念による地域づくり p142 第3章 成果指標 p144 第3部 高齢者分野 p145 第1章 高齢者分野の基本理念等 p145 1 基本理念 p145 2 計画の位置づけ p146 3 基本目標 p146 4 施策体系 p147 第2章 施策各論 p148 【基本目標1】いきいきとしたシニアライフの実現 p148 施策1ノ1 社会参加活動の促進 p152 施策1ノ2 就業を通じた生きがいづくりの支援 p153 施策1ノ3 活動の拠点づくり p153 【基本目標2】安心して暮らせるための生活基盤づくり p154 施策2ノ1 住まいの確保 p158 施策2ノ2 移動支援と買い物支援 p159 施策2ノ3 支え合う地域づくり p160 施策2ノ4 在宅生活支援施策の充実 p161 【基本目標3】認知症施策の推進 p162 施策3ノ1 認知症に関する啓発の推進 p165 施策3ノ2 適切な医療・介護サービスの提供 p166 施策3ノ3 介護する人への支援の充実 p167 【基本目標4】介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営 p168 施策4ノ1 介護予防と生活支援サービスの充実強化 p171 施策4ノ2 地域密着型サービスの整備 p172 施策4ノ3 施設・居住系サービスの整備 p172 施策4ノ4 介護人材の確保 p173 【基本目標5】高齢者総合支援体制づくり p174 施策5ノ1 地域包括支援センターと各種相談機能の充実 p177 施策5ノ2 地域ケア会議の推進 p177 施策5ノ3 ICT情報通信技術等の利活用 p178 第3章 成果指標 p180 第4部 障がい者分野 p181 第1章 障がい者分野の基本理念等 p181 1 基本理念 p181 2 計画の位置づけ p184 3 基本目標 p184 4 施策体系 p185 5 障害者総合支援法の見直しとの関係について p186 第2章 施策各論 p187 【基本目標1】地域で安心して生活するための支援の充実 p187 施策1ノ1 相談支援 p193 施策1ノ2 在宅サービスの推進 p194 施策1ノ3 移動・外出支援 p195 施策1ノ4 施設サービス等の推進 p196 施策1ノ5 生活用具等の給付 p197 施策1ノ6 年金・手当等 p198 施策1ノ7 住宅支援 p199 施策1ノ8 保健・医療・リハビリテーション p200 施策1ノ9 発達障がい児・障がい者への支援 p201 施策1ノ10 難病に関する施策の推進 p202 施策1ノ11 災害対策の推進 p203 施策1ノ12 事業所におけるサービスの質の向上 p203 施策1ノ13 人材の育成・研修 p204 施策1ノ14 「親なき後」の支援 p205 【基本目標2】就労支援・社会参加支援の充実 p206 施策2ノ1 就労支援 p209 施策2ノ2 福祉的就労の底上げ p210 施策2ノ3 交通支援 p210 施策2ノ4 意思疎通支援 p211 施策2ノ5 障がい者に配慮したまちづくりの推進 p211 施策2ノ6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 p212 【基本目標3】障がいに対する理解の促進 p213 施策3ノ1 啓発・交流の推進 p215 施策3ノ2 広報・情報提供の充実 p216 【基本目標4】権利擁護の推進 p217 施策4ノ1 権利擁護・虐待防止 p218 【基本目標5】差別解消のための施策の推進 p219 施策5ノ1 障害者差別解消法施行に伴う対応 p221 【基本目標6】障がいのある子どもへの支援の充実 p222 施策6ノ1 早期発見・早期支援 p224 施策6ノ2 療育・支援体制の充実強化 p225 施策6ノ3 発達障がい児の支援 p226 第3章 成果指標 p227 第4編 計画の進行管理 p229 参考資料 p231  1 用語集 p231  2 総論と各論の対応表 p238  3 成果指標 総論の成果指標[上位概念]と各論の成果指標の関係 p239  4 福岡市福祉のまちづくり条例 p240  5 諮問 p245  6 答申 p246  7 計画策定の経緯 p247  8 福岡市保健福祉審議会等 委員名簿 p249  9 パブリック・コメント手続きによる市民意見募集の結果概要 p257 索引  分野横断的に記載のある主な施策について掲載場所を示します。  以下は,主な施策ごとの,主な掲載箇所,ページの順です。 1 地域包括ケアに関すること ・地域包括ケア  総論 p46  健康・医療分野 p76, p80, p88, p89  地域分野 p116からp125, p127からp140, p142  高齢者分野 p148からp178  障がい者分野 p193, p196, p205 2 推進施策p56以降参照 に関すること ・社会参加活動の支援 総論 p56  地域分野 p116, p117, p127, p132からp135  高齢者分野 p152, p153, p159, p160, p171  障がい者分野 p195, p201, p205からp215, p221 ・健康づくり・介護予防 健康づくり 総論 p56 健康・医療分野 p76からp81  高齢者分野 p152, p153, p171 ・健康づくり・介護予防 介護予防  総論 p56  健康・医療分野 p76  高齢者分野 p171 ・相談体制の充実と自立の支援 総論 p57  健康・医療分野 p76からp80, p88からp90, p93, p100からp102  地域分野 p139  高齢者分野 p161, p167, p177  障がい者分野 p193, p196, p201, p218, p224, p226 ・権利擁護 総論 p57  地域分野 p140  高齢者分野 p177  障がい者分野 p215からp218 ・差別解消  総論 p57  健康・医療分野 p100  地域分野 p142  障がい者分野 p215, p216, p221 ・地域での支え合い  総論 p57  地域分野 p116からp139, p141  高齢者分野 p160, p177  障がい者分野 p193, p196, p203, p205, p215 ・認知症への対応  総論 p58  健康・医療分野 p76, p89  地域分野 p128  高齢者分野p165からp167, p173 ・障がい特性等に配慮した総合的な支援  総論 p58  健康・医療分野 p90, p102  地域分野 p125, p132  障がい者分野 p193からp226 ・人材育成  総論 p58  健康・医療分野 p80, p90  地域分野 p120, p121, p127, p132からp134  高齢者分野 p153, p165, p173  障がい者分野 p193, p201, p202, p204, p211, p226 ・公共施設・公共交通の整備  総論 p58  地域分野 p142  高齢者分野 p153, p159  障がい者分野 p210, p211 ・誰もが住みやすい居住環境の整備  総論 p58  地域分野 p142  高齢者分野 p158  障がい者分野 p197, p199 ・ICT情報通信技術等の利活用  総論 p58  健康・医療分野 p88  地域分野 p128  高齢者分野 p178  障がい者分野 p197, p216 ・医療体制,健康危機管理体制の充実及び生活環境の向上  総論 p59  健康・医療分野 p88, p89, p91からp100, p103, p104  高齢者分野 p166  障がい者分野 p200からp202 ・持続可能な社会保障制度の維持  総論 p59  健康・医療分野 p77, p93  地域分野 p141  高齢者分野 p171, p172  障がい者分野 p198, p225 3 その他 ・依存症対策  健康・医療分野 p102  障がい者分野 p200 ・生活支援サービス  地域分野 p127  高齢者分野 p171 ・難病患者支援  健康・医療分野 p90  障がい者分野 p202 ・バリアフリーの推進  地域分野 p142  高齢者分野 p158, p159  障がい者分野 p211 このページに文章の記載はありません。 第1編 序論 このページに文章の記載はありません。 1ページ 第1編 序論  序論では,計画を策定するにあたっての基本的な事項である根拠法や計画の位置づけなどのほか,策定の背景として,国の動向や福岡市の各種データ,市民意識調査の結果等をまとめました。 第1部 計画の策定にあたって  第1部では,本計画を策定する際の前提となる課題認識や計画策定の根拠法のほか,本計画の位置づけや他の計画との関係性などを記載しました。 第1章 計画策定の趣旨 全国的に少子高齢化の進展によりすでに人口減少社会に突入していますが,平均寿命をみると,平成26年2014年で男性が80.50歳,女性が86.83歳と,日本は世界有数の長寿国といえます。 長寿の実現に大きく寄与した現在の社会保障制度ですが,世界に類を見ない速度で進む少子高齢化など,激変する社会経済情勢の変化にあわせて,国においても持続可能な社会保障制度へと見直しが進められてきました。 福岡市においては,明治22年1889年の市制施行から124年を経過した平成25年2013年5月に,人口が150万人を突破しました。 福岡市には大学などの高等教育機関が多数存在することなどから,全国でも若者15歳から29歳 率が高い都市といえますが,近年では若者が減少してきており,また,一方で平成27年2015年には,いわゆる「団塊の世代」が65歳以上を迎えました。 将来の人口推計によると,福岡市の人口は平成47年2035年に160.6万人にまで達することが見込まれており,全国でも数少ない人口が増え続ける都市ですが,同時に,高齢者人口が数万人単位で増加していくことも予測されています。 年少人口や生産年齢人口15から64歳の人口の割合が減少し,高齢者人口の割合の増加が顕著な全国と同様に,福岡市においてもこれまでに経験したことのない超高齢社会の到来が,目前に迫っています。 2ページ 福岡市ではこれまで,平成10年1998年に福岡市福祉のまちづくり条例を公布施行し,全国に先駆けて同条例に基づき保健・医療・福祉に関する施策を網羅した「福岡市保健福祉総合計画」計画期間:平成12年度(2000年度)から22年度(2010年度)を策定して施策を推進してきました。 その後,平成17年2005年3月には同計画の中間見直しを行い,平成23年度2011年度からは改定した「福岡市保健福祉総合計画」計画期間:平成23年度(2011年度)から27年度(2015年度)に基づき施策を推進してきたところです。 ・本計画では,超高齢社会を迎えるにあたり,「持続可能で生活の質の高いまち」を構築し,また,「10年後の将来に向けた あるべき姿」を達成するため,今後の道筋を示すものです。 第2章 計画の策定根拠と計画期間 1 策定根拠 本計画は,福岡市福祉のまちづくり条例第10条に定める「福祉のまちづくりに関する基本となる計画」であり,前計画と同様に,福岡市における保健・医療・福祉など様々な分野の各計画を横断的につなぐ基本理念と,取り組む施策の方向性を明らかにする保健福祉行政のマスタープランとして策定します。 また,一方で本計画は,高齢者や障がいのある人など,誰もが地域で安心していきいきと生活していくための指針となる計画であり,本市の保健福祉施策の方向性を総合的に示す計画です。 そのために,社会福祉法に定める市町村地域福祉計画や,老人福祉法に定める市町村老人福祉計画,障害者基本法に定める市町村障害者計画といった,法定計画を一体化して策定します。  参考条文 「福岡市福祉のまちづくり条例」  第10条 市長は,福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,福祉のまちづくりに関する基本となる計画以下「基本計画」という。 を定めるものとする。 「社会福祉法」  第107条 市町村は,地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画以下「市町村地域福祉計画」という。 を策定し,又は変更しようとするときは,あらかじめ,住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに,その内容を公表するよう努めるものとする。 3ページ 「老人福祉法」  第20条の8 市町村は,老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業以下「老人福祉事業」という。 の供給体制の確保に関する計画以下市町村老人福祉計画という。を定めるものとする。 「障害者基本法」  第11条  3 市町村は,障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに,当該市町村における障害者の状況等を踏まえ,当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画以下市町村障害者計画という。を策定しなければならない。 2 計画期間 ・本計画の計画期間は,平成28年度2016年度から平成32年度2020年度までの5年間とします。 ・なお,本計画に基づき施策を推進していくにあたっては,社会経済情勢の変化や関係法令の改正,社会保障制度改革などの動向にも対応する必要があるため,計画期間は前計画 計画期間:平成23年度(2011年度)から27年度(2015年度)と同様に5年間としますが,計画期間中であっても,必要に応じて見直しを行うこととします。 4ページ 第3章 計画の位置づけ 1 他の計画との相関関係 ・平成24年2012年12月に,福岡市が長期的にめざす都市像を示した「福岡市基本構想」及び,基本構想に掲げる都市像の実現に向けた方向性を示した「第9次福岡市基本計画」が策定されました。本計画は,生活の質の向上と都市の成長の好循環を創り出すという「第9次福岡市基本計画」の基本戦略のうち,「生活の質の向上」をめざすものであり,平成25年度2013年度から28年度2016年度までに具体的に取り組む事業を示す「政策推進プラン」及び行政運営の仕組みや手法を見直し財政健全化の取組みを示す「行財政改革プラン」いずれも平成25年(2013年)6月策定を踏まえた計画とします。 ・「第6期福岡市介護保険事業計画」平成27年(2015年)3月策定及び「第4期福岡市障がい福祉計画」平成27年(2015年)3月策定をはじめ,「健康日本21福岡市計画」や「福岡市バリアフリー基本計画」いずれも平成25年度(2013年度)策定などの,保健福祉施策に関する分野別計画は,本計画における基本理念や基本方針に基づき進めていくものです。 【図表1】関係図  資料:福岡市作成  以下は,図の説明です。  福岡市福祉のまちづくり条例に含まれる保健福祉総合計画地域福祉計画,老人福祉計画,障害者計画は基本構想を頂点とするピラミッド型と連携しています。ピラミッド型は3段階に分かれ,上から2段目は第9次福岡市基本計画,3段目は政策推進プラン・行財政改革プランで,お互いに連動しています。  さらに保健福祉総合計画は子ども総合計画 こども未来局,高齢者居住安定確保計画 住宅都市局,地域防災計画 市民局,スポーツ振興計画 市民局などとも連携しています。  また,以下に示す計画と整合性・一体性を保っています。  健康:健康日本21福岡市計画,食育推進計画  高齢者:介護保険事業計画  障がい者:障がい福祉計画  その他:バリアフリー基本計画,動物愛護管理推進実施計画,食の安全安心の確保に関する基本方針など 5ページ 2 ライフステージごとの関わり方 ・本計画は複数の計画を一体化しており,取り扱う分野が,健康・医療分野,地域分野,高齢者分野,障がい者分野と多岐にわたります。 ・そこで,市民の皆さんにとって,それぞれどのような関わりがあるのか,世代ごとに分けて模式化しました。 【図表2】ライフステージとの関係  資料:福岡市作成  以下は図の内容です。  乳幼児期は0から5歳,学齢期は6から17歳,成人期は18から39歳,壮年期は40から64歳,高齢期は65から74歳と75歳以上です。  健康・医療分野  乳幼児期:母子の健康づくり  学齢期から高齢期:こころの健康づくり  学齢期:児童生徒の健康づくり  成人期から高齢期:健康の保持・増進,生活習慣病の予防  壮年期から高齢期:介護予防,認知症予防  学齢期後半から高齢期:女性の健康づくり  地域分野  乳幼児期から高齢期:担い手の連携による地域課題解決に向けた地域社会づくり 情報提供,相談体制の確立,ボランティア活動支援 ,要援護者の把握・見守り・参加  高齢者分野  壮年期から高齢期:生きがいづくり,社会参加支援,就労支援  高齢期:介護予防,介護サービスの提供,認知症施策の推進  障がい者分野  乳幼児期:障がい児の療育  学齢期:障がい福祉サービス,障がい児支援  成人期から高齢期:地域生活支援,就労支援,社会参加の支援,各種障がい福祉サービスの充実 6ページ 第2部 計画策定の背景  第2部では,計画策定の背景として,全国的な人口減少問題や社会保障制度改革などの動向,福岡市の人口動態や保健福祉に関連する各種データ,福岡市が実施した市民意識調査等の結果における特徴的な項目などから,現在の福岡市が置かれている状況について概括しました。  また,前計画の進捗状況から,どのような成果が上がったのか,また,どのような施策を市が進めてきたのかを振り返りました。 第1章 国と福岡市の動向 1 国の動向 1.平均寿命の延びと人口減少問題 ・日本人の平均寿命は,医療技術の進歩や,食生活,居住環境などが向上したことにより,男性が平成26年2014年に80.50歳となり,世界4位に,また,女性も過去最高の86.83歳となり,3年連続で世界一となるなど,男女ともに過去最高を更新しました。 ・「平成27年版高齢社会白書」によると,日本の総人口は,平成26年2014年 10月1日時点 1億2708万人と,平成23年2011年から4年連続減少しました。現在,総人口は長期の人口減少過程に入っており,平成38年2026年に人口1億2000万人を下回った後も減少を続け,平成60年2048年には1億人を割って9913万人となり,平成72年2060年には8674万人になると推測されています。 次の7ページに続きます。 7ページ 第1章 国と福岡市の動向は,前のページにも記載 図表3高齢化の推移と将来推計 出典:平成27年版高齢社会白書内閣府  資料2010年までは総務省国勢調査 2014年は総務省人口推計 平成26年10月1日現在,2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所日本の将来推計人口 平成24年1月推計の出生中位・死亡中位仮定の推計結果 注釈1950年から2010年の総数は年齢不詳含む。高齢化率の算出は分母から年齢不詳を除している。 グラフ 以下は,年次,75歳以上,65から74歳,15から64歳,0から14歳の人口,総人口単位は万ニン,高齢化率65歳以上人口割合,単位は%の順。平成25 2013ネンまでは実績値,平成27 2015ネン以降は推計値。 昭和25 1950ネン 107 309 5017 2979、8411 4.9 昭和30 1955ネン 139 338 5517 3012、9008 5.3 昭和35 1960ネン 164 376 6047 2843、9430 5.7 昭和40 1965ネン 189 434 6744 2553、9921 6.3 昭和45 1970ネン 224 516 7212、2515 10,467 7.1 昭和50 1975ネン 284 602 7581 2722、11194 7.9 昭和55 1980ネン 366 699 7883 2751、11706 9.1 昭和60 1985ネン 471 776 8251 2603、12105 10.3平成2 1990ネン 597 892 8590 2249、12361 12.1 平成7 1995ネン 717 1109 8716 2001、12557 14.6  平成12 2000ネン 900 1301 8622 1847 12,693 17.4 平成17 2005ネン 1160 1407 8409 1752、12777 20.2 平成22 2010ネン 1407 1517 8103 1680、12806 23.0 平成25 2013ネン 1560 1630 7901 1639、12730 25.1 平成27 2015ネン 1646 1749 7682 1583、12660 26.8 平成32 2020ネン 1879 1733 7341 1457、12410 29.1 平成37 2025ネン 2179 1479 7084 1324、12066 30.3 平成42 2030ネン 2278 1407 6773 1204、11662 31.6 平成47 2035ネン 2245 1495 6343 1129、11212 33.4 平成52 2040ネン 2223 1645 5787 1073、10728 36.1 平成57 2045ネン 2257 1600 5353 1012、10221 37.7 平成62 2050ネン 2385 1383 5001 939、9708 38.8 平成67 2055ネン 2401 1225 4706 861、9193 39.4 平成72 2060ネン 2336 1128 4418 791、8674 39.9 8ページ 2.財政状況と社会保障制度改革 ・我が国の社会保障は,1960年代の高度経済成長期以降に,右肩上がりの経済成長と低失業率,正規雇用・終身雇用の男性労働者と専業主婦と子どもという核家族モデル,充実した企業の福利厚生,住民同士のつながりが強い地域社会を背景として,国民皆保険・皆年金を中心として形作られ,これまで国民生活を支えてきました。 ・しかし,急速な少子高齢化の進展,非正規雇用労働者の増大などの雇用基盤の変化,家族形態・地域基盤の変化など,社会保障制度を支える環境が変わってきています。 ・加えて医療技術の高度化も進む中,社会保障費は増大し,平成23年度2011年度 は107兆4950億円と過去最高の水準となりました。こうした変化に対応し,主として高齢者世代を給付の対象とする社会保障から,すべての世代が安心感と納得感の得られる「全世代型」の社会保障へ転換することが求められています。 【図表4】社会保障給付費の推移  出典:「平成24年度社会保障費用統計」国立社会保障・人口問題研究所   注釈1 高齢者関係給付費とは,年金保険給付費,高齢者医療給付費,老人福祉サービス給付費及び高年齢雇用継続給付費を合わせたもので昭和48年度から集計  注釈2 高齢者医療給付費は,平成19年度までは旧老人保健制度からの医療給付額,平成20年度は後期高齢者医療制度からの医療給付額及び旧老人保健制度からの平成20年3月分の医療給付額等が含まれている。  以下はグラフの説明です。数値は、およその数です。  昭和45年度1970年度に3兆5千億円だった社会保障給費と高齢者関係給付費の合計は平成24年度2012年度には107兆円となり,社会保障給付費の対国民所得比は1970年度 5%,2012年度 31%となっています。 9ページ 国においては,社会保障の充実・安定化と財政健全化を喫緊の課題として,平成20年2008年 から「社会保障国民会議」を皮切りに,社会保障と税の一体改革が始まり,平成25年2013年 12月5日,「社会保障制度改革プログラム法」が成立しました。 社会保障制度の安定財源確保のために消費税率が平成26年2014年4月から8%に,引き上げられ,平成29年2017年、4月からは10%に、引き上げられる予定となっており,消費税引き上げによる増収分は,社会保障4経費 年金,医療,介護,子育て に割り当てられることとされています。 3.障がい者の権利擁護※1 ,差別解消に向けた取組み 平成18年度2006年度 に国連で採択された障害者の権利に関する条約 以下,「障害者権利条約」という。 の締結に向けて,日本では,障害者基本法等の改正や障害者総合支援法の成立など,条約の批准に向けた種々の国内法の整備が行われました。 平成25年2013年 6月には,障害者基本法第4条の差別禁止の基本原則を具体化し,すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく,相互の人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者差別解消法が成立し,平成28年2016年 4月に施行されました。 この法律では,行政機関や事業者等に社会的障壁※2 の除去に必要な合理的配慮※3 の提供を求めています。福岡市では,市役所職員が適切な対応をするための職員対応要領を策定し,相談窓口を設置するとともに,関係機関との連携を図るため「福岡市障害者差別解消支援地域協議会」を組織しました。 ・平成26年2014年 1月,日本は障がい者権利条約を締結し,翌月,同条約は我が国において効力を発生しましたので,福岡市も障がい者の権利の実現と人権尊重に向けた取組み等をより一層強化していく必要があります。 ※1 権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人 例:寝たきりの高齢者,認知症高齢者,障がいのある人等 の立場に立って,代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること ※2 社会的障壁:p234参照 ※3 合理的配慮:障がいのある人が受ける日常生活や社会生活でのさまざまな制限の原因となる社会的障壁を取り除くために,障がいのある人に対し,個別の状況に応じて行われる配慮 10ページ 4.生活困窮者の自立の促進に向けた取組み ・平成25年2013年 12月に生活困窮者自立支援法が成立し,平成27年2015年 4月に施行となりました。これにより,全国の市及び福祉事務所を設置する町村において,生活保護に至る前の生活困窮者への支援が開始されました。 ・福岡市においても,生活自立支援センターを設置し,生活困窮者の自立に向けた支援を実施しています。 2 福岡市の動向 1.人口の推移 ・福岡市は平成25年2013年 5月に人口150万人を突破しました。平成26年2014年 8月1日時点では約151.7万人で前計画作成時の平成22年2010年 10月1日時点の146.4万人から約5万人増加しています。 ・今後も人口増加が続き,平成47年2035年 には160.6万人でピークを迎えると予測されます。 2.人口構造 ・福岡市の人口構造 平成26年(2014年)7月時点 は,生産年齢人口 15から64歳の人口 の割合が66.8%で国の61.4%を上回っている一方,高齢者人口 65歳以上 の割合は19.4%で国の25.7%を下回っており,全国平均と比較して若い年齢構成となっています。 3.高齢化率及び高齢者数の推移 1 高齢化率の上昇 ・全国的にも高齢化が進む中,福岡市も一貫して高齢化率は上昇し,平成22年2010年 の高齢化率は17.4%ですが,平成37年2025年 には24.8%,平成52年2040年 は31.0%,その後も高齢化は進み,平成62年2050年 には34.3%になると予測されています。 ・また,福岡市の特徴として仕事等で転入し定住する方も多く,地域と関わりが少ないまま高齢期になってしまった方も増加していると考えられます。 2 高齢者人口の増加 ・65歳以上の高齢者人口は,平成22年2010年 の25万4千人が,平成37年2025年 は39万6千人 1.6倍 ,平成52年2040年 では49万7千人 2.0倍 になります。福岡市は人口が増え続けている全国でも数少ない都市ですが,高齢者人口の増加はそれを大きく上回ります。 ・その中でも伸びが大きいのは後期高齢者75歳以上の高齢者 人口で,平成22年2010年 は11万8千人ですが,団塊の世代がすべて75歳以上となる平成37年2025年 には22万8千人 1.9倍 となり,この数は,平成27年2015年 9月1日時点の,早良区の人口約21万6千人 を超えています。 11ページ 【図表5】福岡市の人口と高齢化率の推移  出典:「国勢調査平成22年度 」総務省 ,「福岡市の将来人口推計平成24年3月 」福岡市  グラフ  以下は,年次,75歳以上,65から74歳,15から64歳,0から14歳の人口,合計,高齢化率65歳以上人口割合,高齢化率75歳以上人口割合 の順です。なお2010年までは実績値,2015年以降は推計値です。 昭和60年1985年  34000 57000 816000、252000 1160000 7.8% 2.9% 平成2年1990年  45000 68000 886000、231000 1237000 9.1% 3.6% 平成7年1995年  54000 88000 933000、205000 1285000 11.0% 4.2% 平成12年2000年  71000 107000 968000 191000 1342000 13.3% 5.3% 平成17年2005年  94000 120000 984000 188000 1401000 15.2% 6.7% 平成22年2010年  118000 136000、998,000 192000 1464000 17.4% 8.1% 平成27年2015年  150000 172000、1002000 201000 1525000 21.1% 9.8% 平成32年2020年  182000 185000、996000 204000 1568000 23.4% 11.6% 平成37年2025年  228000 168000、996000 201000 1592000 24.8% 14.3% 平成42年2030年  256000 166000、993000 189000 1604000 26.3% 16.0% 平成47年2035年  270000 185000、975000 176000 1606000 28.3% 16.8% 平成52年2040年  284000 213000、937000 168000 1601000 31.0% 17.7% 平成57年2045年  304000 220000、901000 165000 1590000 32.9% 19.1% 平成62年2050年  336000 203000、870000 164000 1573000 34.3% 21.3% ※65歳以上の人口:平成22 2010ネン 254000,平成37 2025ネン 396000,平成52 2040ネン 497000 4.一人暮らし高齢者及び高齢者のみの世帯数の推移 ・後期高齢者75歳以上の高齢者 の単身世帯は,平成22年2010年 に3万1千世帯,平成37年2025年 には7万4千世帯2.4倍 ,平成52年2040年 には11万1千世帯3.6倍 と急激に増加します。 12ページ 【図表6】世帯構成の推移  出典:「国勢調査平成22年度 」総務省 ,「福岡市の将来人口推計平成24年3月 」福岡市  グラフ  以下は,年次,2人以上世帯数,単独世帯数,単独世帯数64歳以下,65から74歳,75歳以上の世帯数 ,単独世帯比率の順です。なお2010年までは実績値,2015年以降は推計値です。また,単独世帯数が2人以上世帯数より多くなるのは2020年です。  昭和60年1985年  289000 143000 131000,8000,4000  33.2%  平成2年1990年  306000 178000 160000,11000,6000  36.7%  平成7年1995年  321000 219000 193000,16000,9000  40.5%  平成12年2000年  339000 256000 220000,21000,16000  43.1%  平成17年2005年  355000 278000 232000,24000,21000  43.9%  平成22年2010年  369000 337000 274000,33000,31000  47.7%  平成27年2015年  384000 362000 280000,41000,42000  48.5%  平成32年2020年  393000 399000 297000,47000,55000  50.4%  平成37年2025年  398000 435000 315000,45000,74000  52.2%  平成42年2030年  399000 469000 332000,46000,90000  54.0%  平成47年2035年  398000 500000 347000,54000,100000  55.7%  平成52年2040年  396000 530000 353000,65000,111000  57.2% 5.要介護認定者※数と認知症高齢者数の増加 ・高齢者人口の増加に伴い,介護が必要となる方も増えていきます。現状のまま推移すると,平成25年度2013年度 の要介護認定者数約5万7千人が,平成37年2025年 には約10万人 1.8倍 になると予測されます。 ・また,認知症高齢者の数も,平成25年度2013年度 の約2万9千人が,平成37年2025年 には約5万5千人 1.9倍になると予測されます。 ※ 要介護認定者:p237参照 13ページ 【図表7】要介護高齢者と認知症高齢者の将来推計  出典:「高齢者の保健と福祉に関する総合ビジョン 平成26年 」高齢者の保健と福祉に関する総合ビジョン策定会議   注釈1 要介護認定者数については,平成26年2014年 1月時点の要介護認定区分の割合を,将来人口推計に乗じて算出した。  注釈2 認知症高齢者数は,平成26年2014年 1月時点で,福岡市の要介護認定者に占める日常生活自立度2以上の高齢者の割合を,要介護認定者数の推計に乗じて算出した。  注釈3 人口については,平成26年2014年は住民基本台帳 平成26年1月の値を参照し,平成27年2015年 以降は「福岡市の将来人口推計」福岡市 の値を参照した。 グラフ  以下は,年次,要介護高齢者数 要支援1,2,要介護1,2,3,4,5 ,認知症高齢者数の順です。  平成26年2014年  57000 12000,8000,11000,9000,7000,6000,5000 ,29000  平成32年2020年  84000 17000,11000,16000,14000,10000,9000,8000 ,45000  平成37年2025年  100000 20000,12000,19000,16000,12000,11000,10000 ,55000  平成42年2030年  117000 23000,14000,22000,19000,14000,13000,12000 ,65000  平成47年2035年  132000 25000,16000,25000,22000,16000,15000,13000 ,74000  平成52年2040年  144000 26000,17000,27000,24000,18000,17000,15000 ,83000  平成57年2045年  152000 27000,18000,28000,25000,19000,18000,16000 ,88000  平成62年2050年  161000 29000,19000,30000,26000,20000,19000,17000 ,93000 ・女性の平均寿命は男性より長く,高齢者の人口は女性のホウが多いことから,要介護認定を受けている人のうち,要介護3から5の認定者の男女比は,年齢が高くなるほど女性が多くなります。 【図表8】要介護認定者数要介護3から5   出典:福岡市平成26年12月末時点  以下はグラフの説明です。  75歳までは男女の認定者数はほぼ同数ですが,それ以降女性の割合が増え,89歳では男性約180人に対し女性は約750人となっています。 14ページ 6.障がいのある人の推移 福岡市の障がい児・障がい者数 身体障がい者手帳,療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の所持者数,重複含む は,平成25年度2013年度 で71196人,人口に対する出現率は4.9%であり,市民の約21人に1人が身体,知的又は精神障がい があるという状況です また,人口に占める身体・知的・精神障がい者の 割合はいずれも増加傾向にあり,特に精神障がい者 の割合は,平成22年度2010年度 から平成25年度2013年度 の伸び率が33.4%と,高い伸び率を示しています。精神障害者保健福祉手帳の所持者数は10333人であり,平成12年度2000年度 と25年度2013年度 を比較すると,5.4倍となっています 発達障がい※ については,全国的に見ても正確な人数が把握できていない状況ですが,福岡市発達障がい者支援センターの相談状況をみると成人の相談が特に増加しています ※ 発達障がい:p236参照 図表9 障がい者数及び人口に占める割合の推移  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市   注釈1 平成17年度調査までの統計は手帳未所持者を含んでいたため,未所持者を除外して再集計を行っている  注釈2 精神障害者保健福祉手帳は,平成7年10月から開始。7年度は未集計 グラフ   以下は,年度,身体障がい者,知的障がい者,精神障がい者,合計の人数,出現率の順です  平成7年度1995  25268 3818 記載なし 29086 2テン3%  平成12年度2000  32296 4998 1929 39223 3テン0%  平成17年度2005  39413 5881 4633 49927 3テン7%  平成22年度2010  48526 8101 7747 64374 4テン5%  平成25年度2013  51557 9306 10333 71196 4テン9% 15ページ 1 身体障がい児・障がい者 平成25年度2013年度 の身体障がい児・障がい者数 身体障がい者手帳所持者数は51557人で,20歳代以下が2438人 身体障がい児・障がい者数全体の4.7%に対して,30歳以上は49119人 同95.3% となっています。 特に60歳代以上は,他の年代に比べて,増加人数も相対的な割合も伸びてきています。 【図表10】身体障がい者の年齢構成の推移  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市   注釈 年齢別ニンズウについては,平成17年度調査までの統計は手帳未所持者を含む。 グラフ  以下は,年度,20歳代以下,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代以上,合計人数の順です。  平成7年度1995  2295 1897 3670 5256、12380 25498  平成12年度2000  2083 1351 2683 6070、20179 32366  平成17年度2005  2395 1658 2520 5984、26980 39537  平成22年度2010  2382 1876 2874 5793、35601 48526  平成25年度2013  2438 1716 2890 5228、39285 51557 【図表11】身体障がい者数の年齢別将来推計  出典:福岡市  注釈1 平成25年度時点の出現率を,将来人口推計に乗じて算出した。  注釈2 人口については,「福岡市の将来人口推計」福岡市 の値を参照した。 グラフ  以下は,年度,20歳代以下,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代以上,合計人数の順です。  平成25年度2013年度  2438 1716 2890 5228、39285 51557 ※30歳以上 49119  平成32年度2020年度  2349 1624 3124 5903、44785 57785  平成37年度2025年度  2260 1597 2873 6793、48175 61698  平成42年度2030年度  2208 1441 2823 7006、52040 65518  平成47年度2035年度  2164 1320 2781 6450、56936 69651  平成52年度2040年度  2106 1305 2509 6346、60166 72433  平成57年度2045年度  2015 1356 2299 6249、62029 73948  平成62年度2050年度  1935 1371 2274 5639、64051 75271 16ページ 2 知的障がい児・障がい者 ・平成25年度2013年度 の知的障がい児・障がい者数療育手帳所持者数 は9306人で,このうち,20歳代以下が5258人 知的障がい児・障がい者数全体の56.5% ,30歳以上が4048人 同43.5% であり,身体障がい に比べて20歳代以下の占める割合が高く,全体の6割弱を占めています 図表12 知的障がい者の年齢構成の推移  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市   注釈 年齢別ニンズウについては,平成17年度調査までの統計は手帳未所持者を含む グラフ  以下は,年度,20歳代以下,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代以上,合計人数の順です  平成7年度1995年度  3341 581 571 250 250 ヨンセンキュウヒャクキュウジュウサン  平成12年度2000年度  3494 1054 613 508 336 6005  平成17年度2005年度  3908 1126 552 558 372 6516  平成22年度2010年度  4458 1456 935 621 631 8101  平成25年度2013年度  5258 1590 1057 623、778 9306 3 精神障がい児・障がい者 平成25年度2013年度 の精神障がい児・障がい者数 精神障害者保健福祉手帳所持者数 は10333人で,30歳代以上はほぼ同じ割合ですが,20歳代以下は他の年代の半分程度になっています 図表13 精神障がい者の年齢構成の推移  出典:福岡市 グラフ  以下は,年度,20歳代以下,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代以上,合計人数の順です  平成19年度2007年度  522 1268 1289 1326、1210 5615  平成22年度2010年度  721 1671 1972 1543、1840 7747  平成25年度2013年度  1089 2049 2740 2000、2455 10333 17ページ 7.生活保護世帯の推移 ・生活保護世帯数は,平成26年度2014年度 32571世帯で,保護率28.89‰となっています。雇用情勢の悪化に伴い生活保護世帯は急増しており,ここ数年,伸びは鈍化してきたものの,高齢化に伴い,依然増加傾向が続いています。 【図表14】生活保護世帯数と保護費の推移  出典:福岡市 グラフ  以下は,年度,生活保護世帯数,保護費単位は億円 ,保護率単位はパーミル の順です。  平成12年度2000年度 14215 420 15.78 平成13年度2001年度 14853 423 16.25 平成14年度2002年度 15682 443 16.86 平成15年度2003年度 16563 472 17.62 平成16年度2004年度  17408 500 18.30 平成17年度2005年度 18038 503 18.65 平成18年度2006年度 18460 504 18.72 平成19年度2007年度 19118 503 19.14 平成20年度2008年度 20096 533 19.92 平成21年度2009年度 23525 614 22.67 平成22年度2010年度 27403 703 25.91 平成23年度2011年度  29549 750 27.38 平成24年度2012年度 31154 784 28.63 平成25年度2013年度 32014 795 28.93 平成26年度2014年度  32571 804 28.89 8.充実した医療環境 ・福岡市は,人口10万人当たりの医療施設数が政令市の中でも上位であり,暮らしの身近なところに医療機関が存在している環境にあります。 【図表15】政令指定都市における人口10万タイ医療施設数上位7位   出典:「平成26年医療施設調査」厚生労働省 を基に作成  平成26年10月1日現在 表  以下は,項目毎の順位,都市名,人口10万タイ医療施設数です。  病院  1位 熊本市 12.7 2位 札幌市 10.6 3位 北九州市 9.3 4位 岡山市 7.6 5位 福岡市 7.5 6位 京都市・神戸市・広島市 7.2 参考  福岡県 9.0,全国 6.7  一般診療所  1位 大阪市 125.8 2位 京都市 108.4 3位 神戸市 101.8 4位 広島市 99.7 5位 北九州市 99.5 6位 福岡市 96.8 7位 岡山市 96.5 参考  福岡県 90テン1 全国 79.1  歯科診療所  1位 大阪市 83.9 2位 北九州市 69.1 3位 福岡市 66.2 4位 札幌市 63.3 5位 名古屋市 62.9 6位 神戸市 61.3 7位 新潟市 60.8 参考  福岡県 60テン3 全国 54.0 18ページ 9.平均寿命と健康寿命※ の差 平成22年度2010年度 の福岡市の平均寿命は,男性が79.84歳,女性が86.71歳であり,日常生活に制限のない期間である健康寿命 男性が70.38歳,女性が71.93歳 との差は,それぞれ9.46年,14.78年となっています また,大都市20都市 と比較すると,福岡市の健康寿命は,男性は全国平均70.42歳 と同程度ですが,女性は全国平均73.62歳 より1歳以上短くなっています これらのことから,できるだけ健康寿命を延ばし,平均寿命との差を縮めていくことが必要です ※ 健康寿命:厚生労働省の定義では,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」となっており,介護や支援などを受けずに,自立して日常生活を送ることができる期間のことをいう 図表16 平均寿命と健康寿命の差 平成22年度   出典「健康日本21第2次 の推進に関する参考資料 平成24年 厚生労働省 ,平成22年 市区町村別生命表 厚生労働省 ,平成25年度厚生労働科学研究費補助金による「健康日本21 第2次 の推進に関する研究班」発表のデータを基に作成 グラフ  福岡市男性   平均寿命 79.84歳  健康寿命 70.38歳  平均寿命と健康寿命の差 9.46年  福岡市女性   平均寿命 86.71歳  健康寿命 71.93歳  平均寿命と健康寿命の差 14.78年  全国男性   平均寿命 79.55歳  健康寿命 70.42歳  平均寿命と健康寿命の差 9.13年  全国女性   平均寿命 86.30歳  健康寿命 73.62歳  平均寿命と健康寿命の差 12.68年 19ページ 【図表17】大都市20都市 の健康寿命平成22年度   出典:平成25年度厚生労働科学研究費補助金による「健康日本21 第2次 の推進に関する研究班」発表のデータを基に作成 表  以下は,男性の都市名,健康寿命,女性の都市名,健康寿命の順です。  1位 浜松市 72.98 浜松市 75.98  2位 千葉市 71.93歳 静岡市 74.63歳  3位 さいたま市 71.50歳 仙台市 74.42歳  4位 相模原市 71.43歳 京都市 74.34歳  5位 静岡市 71.28歳 横浜市 74.14歳  6位 横浜市 70.93歳 さいたま市 73.92歳  7位 名古屋市 70.48歳 相模原市・名古屋市 73.68歳  8位 仙台市 70.42歳 なし  9位 福岡市 70.38歳 新潟市 73.59歳  10位 京都市 70.14歳 神戸市 73.33歳  11位 神戸市 70.10歳 札幌市 73.18歳  12位 広島市 70.01歳 東京都区部 73.13歳  13位 東京都区部 69.71歳 千葉市・川崎市 73.06歳  14位 札幌市・堺市 69.55歳  15位 なし 岡山市 72.71歳  16位 新潟市 69.47歳 広島市 72.23歳  17位 川崎市 69.29歳 北九州市 72.20歳  18位 岡山市 69.01歳 大阪市 72.12歳  19位 北九州市 68.46歳 福岡市 71.93歳  20位 大阪市 68.15歳 堺市 71.86歳  参考  福岡県 69.67歳 72.72歳,全国 70.42歳 73.62歳 20ページ 10.医療費の推移 ・福岡市国民健康保険の医療費は,平成25年度2013年度 には,医療費総額が約1133億円,一人当たり医療費が310803円となっており,年々増加しています。 【図表18】福岡市国民健康保険医療費の推移  出典:福岡市 グラフ  以下は,年度,医療費総額,1人当たりの医療費の順です。  平成21年度2009年度  1046億円 293812円  平成22年度2010年度  1073億円 297441円  平成23年度2011年度  1107億円 303628円  平成24年度2012年度  1120億円 306738円  平成25年度2013年度  1133億円 310803円 ・福岡市の後期高齢者75歳以上の高齢者 の医療費は,平成25年度2013年度 には,医療費総額が約1576億円,一人当たり医療費が1241576円となっており,年々増加しています。 【図表19】福岡市後期高齢者医療費の推移  出典:福岡市 グラフ  以下は,年度,医療費総額,1人当たりの医療費の順です。  平成21年度2009年度  1307億円 1189256円  平成22年度2010年度  1404億円 1227923円  平成23年度2011年度  1471億円 1239228円  平成24年度2012年度  1528億円 1240285円  平成25年度2013年度  1576億円 1241576円 21ページ 11.医療費に占める生活習慣病の割合 ・福岡市の医療費の内訳をみると,国民健康保険及び後期高齢者医療費の約4割を生活習慣病関連が占めています。 アクセイ新生物 がん,心疾患,高血圧,糖尿病トウの生活習慣病は,喫煙,食べ過ぎや塩分の多い食事,運動不足など,長い間の生活習慣によってもたらされるため,その多くは,生活習慣の改善により,その発症や重症化を回避することができます。 ・市民一人ひとりの行動によって予防が可能であり,できるだけ早い時期から改善に取り組むことが必要です。 【図表20】福岡市医療費の内訳 国民健康保険及び後期高齢者医療費のみ   出典:福岡市平成24年5月分   注釈 調剤費及び歯科診療医療費 後期高齢者 は含まない グラフ  以下は,疾患名,割合の順です。  悪性新生物 10.5%  循環器系の疾患 8.1%  高血圧性の疾患 6.2%  脳出血・脳血管の疾患 7.4%  糖尿病 3.6%  その他 64.2% 22ページ 12.福岡市の予算の推移保健福祉関係一般会計の推移  ・福岡市の一般会計予算額が増減して推移する中,保健福祉費の予算額は年々増加を続けており,一般会計の約4分の1を占めるに至っています。このことは,保健福祉関係事業の規模拡大や内容の充実を図り,着実に市民サービスの向上をめざしてきた結果であるといえます。【図表21】,【図表23】 ・しかしながら,今後,扶助費※1 や医療・介護保険繰出金※2 等,経常的経費※3 が増加傾向にあるため,重要施策の推進や新たな課題に対応するために使える財源,政策的経費に使える一般財源は減少していく傾向にあります。【図表22】 ※1 扶助費:高齢者,障がいのある人,生活困窮者などに対して市が行う支援に要する経費生活保護費など  ※2 医療・介護保険繰出金:医療,介護保険の特別会計 特定の事業を行う場合に一般の歳入歳出と区分して経理する会計 に一般会計 特別会計に属さないすべての会計 から支出する経費のこと ※3 経常的経費:年々繰返し経常的に支出される経費 1 福岡市の財政状況の見通し 1ノ1 福岡市の一般財源総額と経常経費の見通し  現行制度,現状推移を前提とした姿 【図表21】一般財源総額と経常的経費  出典:「行財政改革プラン平成25年6月 」福岡市  グラフ  以下は,年度,一般財源総額,経常的経費の順です。  平成25年度2013年度  3910億円 3626億円  平成26年度2014年度  3908億円 3787億円  平成27年度2015年度  3939億円 3858億円  平成28年度2016年度  4056億円 3962億円  平成29年度2017年度  4084億円 3944億円  平成30年度2018年度  4079億円 3980億円  平成31年度2019年度  4102億円 3995億円  平成32年度2020年度  4111億円 3994億円  平成33年度2021年度  4153億円 4003億円  平成34年度2022年度  4168億円 4062億円 23ページ 1ノ2 中期的な財政収支の見通し 一般財源ベース   現行制度,現状推移を前提とした姿 【図表22】財政収支の見通し  出典「行財政改革プラン平成25年6月 」福岡市  試算の前提  市税収入等の推計に用いる名目経済成長率は平成24年8月「経済財政の中長期試算」慎重シナリオ の成長率を適用26年度 2.6%,27年度 1.8%,28年度 2.2%  地方交付税等は,27年度に調査予定の国勢調査人口を,28年度に反映している。 臨時財政対策債は一般財源地方交付税等 に計上 一般財源の「その他」は地方譲与税・交付金,財政調整基金繰入金等 財政調整基金繰入金は,26年度以降計上していない  歳出はすべて一般財源ベースであり,国庫支出金や地方債などの特定財源を,事業費から差し引いた金額 人件費,扶助費等の経常経費は,過去の伸び率等を考慮し推計 地方債は26年度以降,800億円で推移するものと仮定 表  以下は,区分,25年度2013年度 ,26年度2014年度 ,27年度2015年度 ,28年度2016年度 の順です。単位は億円。  市税収入 2686 2715 2699 2736  地方交付税等 781 743 715 740  その他 443 450 525 580  一般財源総額1  3910 3908 3939 4056  人件費 775 781 771 767  公債費 877 891 914 916  扶助費 605 628 645 663  医療・介護保険繰出金 366 378 392 404  公共施設等の改修・修繕 124 158 160 221  補助費等 323 345 352 354  その他物件費等 556 606 624 637  経常的経費計2  3626 3787 3858 3962  政策的経費に使える一般財源1 マイナス2  284 121 81 94 24ページ 2  福岡市の保健福祉費の推移 2ノ1 保健福祉費の内訳と推移予算額  【図表23】当初予算額の推移  出典:福岡市 表  以下は,項目,23年度2011年度 ,24年度2012年度 ,25年度2013年度 ,26年度2014年度 ,27年度2015年度 の順です。単位は億円。  一般会計予算額 7662 7662 7596 7763 7820  保健福祉費予算額 1723 1813 1881 1960 1985  一般会計に占める割合%  22.5 23.7 24.8 25.2 25.4  経常的経費 1672 1763 1835 1914 1951  政策的経費 51 50 46 46 34 2ノ2 保健福祉費の内訳と一般会計に占める割合の推移決算額  【図表24】決算額等の推移  出典:福岡市 グラフ  以下は,項目,平成22,23,24,25,26年度の決算額単位は億円 の順です。 % の順です  社会福祉費 216 209 204 204 244   保健衛生費 126 146 144 138 157   高齢福祉費 291 308 314 322 335   障がい福祉費 270 288 316 338 360   生活保護費 734 786 826 838 850  災害救助費 0.3 0.2 0.3 0.3 0.2  一般会計全体に占める保健福祉費の割合 21.7% 22.7% 24.0% 24.0%  25.2% 25ページ 第2章 市民の意識  本計画を策定するに当たり,平成25年度2013年度 から26年度2014年度 にかけて,市民等を対象とした各種調査を実施しました。その中から特徴的な結果をまとめます。 1 市民意識調査 実施時期:平成26年(2014年)  【調査の目的】 福岡市に在住する20歳以上の住民の 保健福祉施策に関する意識やご意見などのデータを収集・分析し,本計画の策定にいかすことを目的に,調査を実施しました 1.福祉の満足度 【全体傾向】 福祉の充実度について,「満足している」7.4% ,どちらかといえば満足している」36.1% を合わせた満足している人の割合は43.5%となっています。 【図表25】福祉の満足度  出典「市政に関する意識調査 平成26年 福岡市  グラフ  回答数:2475   以下は,帯グラフに示された内容です  満足している 7.4%  どちらかといえば満足している 36.1%  「満足している」+「どちらかといえば満足している」割合 43.5%  どちらかといえば不満 21.1%  不満 7.4%  「どちらかといえば不満」+「不満である」割合 28.5%  わからない 25.8%  無回答 2.2% 福祉の充実について満足している項目の上位には,各種健診や健康教育などの「健康づくり」48.9% ,「保健・福祉・医療に関する情報提供や案内」37.6% ,国民健康保険や生活保護などの「生活の安定確保」25.6% ,救急医療や感染症対策の充実といった「医療体制・健康危機管理体制」21.9% があがっています 一方で,不満がある項目では,犬猫の飼い方 マナー,殺処分減少などの「動物愛護・適正飼育」24.7% が最も多く,続いて満足している項目にも挙がった 国民健康保険や生活保護などの「生活の安定確保」23.8% ,建物や道路等の都市施設のバリアフリー※ 化など「ユニバーサルなまちづくりの推進」20.8% が上位となっています ※ バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁 バリア となるものを除去 フリー すること 26ページ 2.地域活動への参加実績と参加意向 1 地域での助け合い活動等への参加状況 【全体傾向】 ・住民参加による地域での助け合い活動等への参加状況をみると,「参加している」14.4% ,「たまに参加している」18.7% を合わせた「参加している」人の割合は33.1%となっています。 ・また,「参加していない」26.5% と「ほとんど参加していない」18.0% を合わせた「参加していない」人の割合は44.5%と,「参加していない」44.5% 人が「参加している」33.1% 人の割合をやや上回っています。 【図表26】住民参加による地域での助け合い,支え合い活動への参加状況  出典:「福岡市保健福祉総合計画策定等にかかる市民意識調査 平成26年 」福岡市  グラフ 回答数:1909   以下は,円グラフに示された内容です。  参加している 14.4%  たまに参加している 18.7%  ほとんど参加していない 18.0%  参加していない 26.5%  そのような活動があることを知らない 20.5%  無回答 2.0% 2 地域での助け合い活動等への今後の参加意向 【全体傾向】 ・住民参加による地域での助け合い活動等への今後の参加意向をみると,「参加したい」6.8% と「機会があれば参加したい」52.8% を合わせた「参加意向のある」人の割合は59.6%で,「参加したくない」10.2% と「どちらかといえば参加したくない」25.4% を合わせた「参加意向のない」人の35.6%を大きく上回っています。 ・また,「参加意向のある」人の割合59.6% は,地域での助け合い活動等への参加状況で実際に参加していると答えた人の割合33.1% を大きく上回っています。 27ページ 【図表27】住民参加による地域での助け合い,支え合い活動への参加意向  出典:福岡市保健福祉総合計画策定等にかかる市民意識調査 平成26年 福岡市  グラフ  回答数:1909   以下は,円グラフに示された内容です。  参加したい 6.8%  機会があれば参加したい 52.8%  どちらかといえば参加したくない 25.4%  参加したくない 10.2%  無回答 4.9% 3.行政に望むこと 【全体傾向】 ・福岡市に力を入れて取り組んでほしい保健・医療・福祉分野の施策については,「4. 高齢者・障がい者になっても自宅で生活が続けられるサービスの充実」の割合が56.5%で最も高く,次いで「1. 保健・福祉・医療に関する情報提供や案内の充実」50.8% ,「2. 身近なところでの相談窓口の充実」49.1% ,「7.災害時などに地域で助け合う体制づくり」41.4% などとなっています。 【図表28】福岡市に力を入れて取り組んでほしい保健・医療・福祉分野の施策  出典:「福岡市保健福祉総合計画策定等にかかる市民意識調査 平成26年 」福岡市  グラフ  回答数:1909  複数回答  以下は,棒グラフに示された内容です。  4. 高齢者・障がい者になっても自宅で生活が続けられるサービスの充実 56.5%  1. 保健・福祉・医療に関する情報提供や案内の充実 50.8%  2. 身近なところでの相談窓口の充実 49.1%  7. 災害時などに地域で助け合う体制づくり 41.4%  3. 建物や道路など都市施設のバリアフリー化の推進 30.5%  5. 健康づくり活動や健康教育の充実 20.3%  6. NPO・ボランティア活動等の活性化 13.1%  8. その他 1.5%  9. 現状のままでよい 2.3%  10. 特にない 4.6%  無回答 2.8% 28ページ 4.サービス水準と負担 税金のバランス 【全体傾向】 ・福岡市が提供するサービスの水準と,市民が負担する税金のバランスについての考えは,「負担は現状維持のまま,サービスの内容を見直すべきである」が63.4%と過半数を占めています。 ・以下「負担が増えても,サービスの維持・充実に努めるべきである」21.0% ,「負担が減るよう,サービスを縮小・廃止すべきである」6.1% の順になっています。 【図表29】サービス水準と負担 税金のバランス  出典:「福岡市保健福祉総合計画策定等にかかる市民意識調査 平成26年 」福岡市  グラフ  回答数:1909   以下は,円グラフに示された内容です。  負担が増えても,サービスの維持・充実に努めるべきである 21.0%  負担は現状維持のまま,サービスの内容を見直すべきである 63.4%  負担が減るよう,サービスを縮小・廃止すべきである 6.1%  その他 2.7%  無回答 6.9% 29ページ 2 高齢者実態調査 実施時期:平成25年(2013年)  【調査の目的】 ・福岡市に在住する高齢者などの保健福祉に関するニーズ・意識などを把握することにより,「福岡市介護保険事業計画」の策定に必要な基礎的データを収集・分析するとともに,福岡市の高齢者福祉施策の向上に資することを目的に,調査を実施しました。 1.健康状態 【全体傾向】 ・健康状態は,「健康で,普通に生活している」の46.5%,「何らかの病気や障がいはあるが,日常生活は自立,外出もできる」の45.2%を合わせた9割の人が自立した生活を送っています。 ・高齢者のみの世帯では,「健康で,普通に生活している人と,「何らかの病気や障がいはあるが,日常生活は自立,外出もできる人を合わせた「自立した生活をしている人は90.7%と,前回調査の88.9%をやや上回っています。 【図表30】健康状態 経年比較   出典:「平成25年度高齢者実態調査」福岡市  グラフ  以下は,年度,「健康で,普通に生活している」,「何らかの病気や障がいはあるが,日常生活は自立,外出もできる」,「何らかの病気や障がいはあるが,家の中では自立,外出はできない」,「病気や障がいがあって日中もベッドの上での生活が主体である」,「病気や障がいがあって1日中ベッドの上にいる」,「無回答」の割合の順です。単位は%。  平成25年度回答数:2985  46.5 45.2 5.6 1.2 0.5 1.0  「高齢者世帯のみ」回答数:1376  39.5 51.2 6.3 1.2 0.5 1.2  平成22年度回答数:2939  44.0 45.9 6.0 2.1 0.8 1.2  「高齢者世帯のみ」回答数:1346  37.0 51.9 6.6 2.6 0.6 1.3  平成19年度回答数:3161  41.3 46.8 7.5 1.7 1.1 1.7  「高齢者世帯のみ」回答数:1455  33.4 53.7 8.6 1.6 1.2 1.4  平成16年度回答数:2722  45.4 41.7 8.5 1.6 1.9 0.9  平成13年度回答数:2881  47.4 41.5 7.1 1.9 1.3 0.8 30ページ 2.今後の介護意向 【全体傾向】 ・介護が必要になったときは,「在宅で,家族の介護と介護サービスを併せて介護を受けたい」,「施設等に入所したいが,サービスが充実すれば,在宅で生活したい」,「在宅で,介護保険サービス※ を中心に介護を受けたい」,「在宅で,できるかぎり家族だけの介護を受けたい」を合わせた58.6%が「在宅で生活したい」との意向を持っています。 ※ 介護保険サービス:介護保険制度により受けられる訪問介護などのサービス 【図表31】今後の介護意向性別・年齢別   出典:「平成25年度高齢者実態調査」福岡市  グラフ  以下は,性別・年齢別ごとの,「在宅で,できるかぎり家族だけの介護を受けたい」,「在宅で,家族の介護と介護サービスを併せて介護を受けたい」,「在宅で,介護保険サービスを中心に介護を受けたい」,「施設等に入所したいが,サービスが充実すれば在宅で生活したい」,「施設に入所したい」,「その他」,「わからない」,「無回答」の割合の順です,単位は%。  全体回答数:2985  10.4 20.0 10.6 17.6 22.1 1.6 13.7 4.1  性別  男性回答数:1315  13.9 23.5 10.2 16.3 18.3 1.4 13.2 3.3  女性回答数:1609  7.7 17.3 11.1 18.6 25.2 1.7 14.0 4.4  年齢別  60から64歳回答数:720  7.5 18.8 11.0 18.9 24.7 1.7 16.9 0.6  65から69歳回答数:680  9.1 21.2 11.9 17.9 22.6 1.5 14.0 1.8  70から74歳回答数:590  9.7 18.1 10.8 20.5 24.9 1.0 11.4 3.6  75から79歳回答数:428  12.4 21.5 8.6 13.1 19.6 0.5 18.5 5.8  80から84歳回答数:312  17.3 19.2 11.5 15.1 16.7 2.6 9.0 8.7  85歳以上回答数:213  13.6 23.9 8.0 16.4 16.9 3.3 5.6 12.2 31ページ 3.行政への要望 【全体傾向】 ・高齢者施策の充実に向けて,行政に今後,特に力を入れてほしい高齢者に関する施策は,「医療や介護の在宅サービスを充実させる施策」が42.6%で最も多く,次いで「在宅生活困難者に対し,施設・居住系サービスを充実させる施策」が30.7%で続いており,医療,介護に関するサービスの充実に関する内容が上位になっています。 【図表32】今後,特に力を入れてほしい高齢者に関する施策  出典:「平成25年度高齢者実態調査」福岡市  グラフ  全体回答数:2985  複数回答  以下は,棒グラフに示された内容です。  医療や介護の在宅サービスを充実させる施策 42.6%  在宅生活困難者に対し,施設・居住系サービスを充実させる施策 30.7%  意欲と能力に応じた就業機会が得られるよう支援する施策 18.8%  施設や道路,交通などにおける,高齢者にやさしいまちづくり 18.4%  地域の中で支え合うようなネットワークを構築する施策 18.2%  食事や運動など健康づくり・介護予防を行う環境を整える施策 16.5%  高齢者のための良質な住まいを確保する施策 13.8%  認知症高齢者に対する支援体制を充実させる施策 13.1%  情報提供や環境づくりを推進する施策 12.7%  講座などを通じて,豊かで健康的な生活を送れるよう支援する施策 12.0%  地域活動など,高齢者の社会貢献活動を支援する施策 11.9%  従事者の介護サービスの質の確保・向上に関する施策 9.8%  高齢者からの相談への対応力を充実させる施策 4.8%  高齢者の財産を守り,権利の行使を確保する施策 4.5%  その他 2.4%  無回答 9.9% 32ページ 3 障がい児・障がい者等実態調査 実施時期:平成25年(2013年)  【調査の目的】 ・福岡市に居住する障がい児・障がい者等の生活実態や意識,福祉施策に対する要望等を把握するとともに,「福岡市障がい福祉計画」及び「福岡市障害者計画」の策定に活用することを目的に,調査を実施しました。 1.地域から受けたい支援や交流の内容複数回答 上位5項目  【全体傾向】  ほとんどの障がいで「定期的な声かけ見守り 」,精神障がい者通院 では「相談相手」が第1位 ・地域から受けたい支援や交流の内容は,精神以外の障がいでは「普段から定期的に声かけなどをする見守る 」が第1位となっています。精神障がい者通院 では「相談相手になる」26.5% が第1位であり,「普段から定期的に声かけなどをする見守る 」は第3位となっています。 ・知的障がい者と身体・知的障がい児では「外出時に付き添う」が第3位に挙がっています。 【図表33】地域から受けたい支援や交流の内容  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市  表 以下は,障がいの種別,上位5項目の順です。  身体障がい者N=849  1位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 23.5%  2位 世間話をして一緒に過ごす16.3%  3位 趣味やスポーツ活動を一緒にする13.8%  4位 簡単な身の回りの世話をする12.8%  5位 相談相手になる12.6%   知的障がい者N=474  1位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 29.1%  2位 地域の行事やイベントに一緒に参加する24.7%  3位 外出時に付き添う19.4%  4位 趣味やスポーツ活動を一緒にする18.8%  5位 世間話をして一緒に過ごす17.2%   身体・知的障がい児N=455  1位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 48.6%  2位 地域の行事やイベントに一緒に参加する35.8%  3位 外出時に付き添う25.7%  4位 趣味やスポーツ活動を一緒にする23.5%  5位 相談相手になる14.5%   精神障がい者通院 N=1038  1位 相談相手になる26.5%  2位 世間話をして一緒に過ごす22.6%  3位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 20.0%  4位 趣味やスポーツ活動を一緒にする20.0%  5位 地域の行事やイベントに一緒に参加する15.6%   発達障がい児・障がい者N=309  1位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 36.2%  2位 趣味やスポーツ活動を一緒にする28.5%  3位 地域の行事やイベントに一緒に参加する27.2%  4位 相談相手になる22.7%  5位 世間話をして一緒に過ごす21.0%   難病患者N=504  1位 普段から定期的に声かけなどをする見守る 22.8%  2位 趣味やスポーツ活動を一緒にする19.8%  3位 世間話をして一緒に過ごす18.5%  4位 地域の行事やイベントに一緒に参加する17.5%  5位 相談相手になる16.3%  33ページ 2 障がい者福祉施策として国や県,市に力を入れてほしいこと複数回答 上位5項目 全体傾向 医療・所得保障,就労支援等が上位 身体障がい者知的障がい者精神障がい者通院 難病※1 患者では障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実 年金など所得保障の充実が共通して上位1・2位に挙がっています 身体・知的障がい児では特別支援教育※2の充実34.7%発達障がい※3児・障がい者では就労支援の充実44.7%が第1位に挙がっています 身体・知的障がい児発達障がい児・障がい者では乳幼児から成人期までの支援を一貫して実施できる仕組みづくりが上位に入っています ※1 難病p235参照※2特別支援教育p235参照※3、発達障がいp236サンショウ 図表34 障がい者福祉施策として国や県 市に力を入れてほしいこと 出典 平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査福岡市 表 以下は障がいの種別上位5項目の順です 身体障がい者N=849 1位年金など所得保障の充実39.8% 2位障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実38.2% 3位困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実16.4%4位障がい者にやさしいまちづくりの推進バリアフリーの推進など15.6% 5位居宅介護や移動支援など在宅生活支援サービスの充実14.9% 知的障がい者N=474 1位年金など所得保障の充実40.1% 2位障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実31.5% 3位グループホームなどの地域で共同生活できる住まいの整備20.8% 4位就労支援の充実働くための訓練や職場定着など19.8% 5位困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実19.4% 身体・知的障がい児N=455 1位特別支援教育の充実34.7%2位年金など所得保障の充実34.5%3位就労支援の充実働くための訓練や職場定着など31.9%4位障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実24.6%5位乳幼児期から成人期までの支援を一貫して実施できる仕組みづくり23.7% 精神障がい者通院N=1038 1位障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実35.9% 2位年金など所得保障の充実30.3%3位就労支援の充実働くための訓練や職場定着など28.9% 4位困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実18.0%5位障がい者手帳が利用できる割引等のサービスの充実16.1% 発達障がい児・障がい者N=309 1位就労支援の充実働くための訓練や職場定着など44.7%2位年金など所得保障の充実33.7%3位乳幼児期から成人期までの支援を一貫して実施できる仕組みづくり32.7%4位障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実31.1%5位障がい者に対する社会全体の理解を深めるための啓発や教育の充実28.2% 34ページ 難病患者N=504 1位 障がい者に配慮した保健医療体制及び医療費公費負担制度の充実48.2% 2位年金など所得保障の充実44.6% 3位困ったときにいつでも専門職員が相談に応じてくれる体制の充実21.6% 4位就労支援の充実働くための訓練や職場定着など16.3% 5位居宅介護や移動支援など在宅生活支援サービスの充実14.5% 3.障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと複数回答上位5項目  全体傾向 障がいに対する理解を深める 企業での積極的な雇用等が上位 障がい者支援として地域社会や企業等に望むことをみると,身体障がい者では「公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる」,それ以外では「障がいに対する理解を深める」がそれぞれ第1位となっています すべての障がいに共通して「障がいに対する理解を深める」や「企業で障がい者を積極的に雇用する」,「公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる」,「障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする」が上位5位以内となっています 精神障がい者通院 では「一般企業で働ける働き続けるための支援」が第2位に挙がっています 図表35 障がい者支援として地域社会や企業等に望むこと 出典「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市  表 以下は,障がいの種別,上位5項目の順です 身体障がい者N=849 1位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる38.6%  2位 障がいに対する理解を深める38.1% 3位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする23.0% 4位 企業で障がい者を積極的に雇用する21.7% 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する9.4%  知的障がい者N=474 1位 障がいに対する理解を深める57.6% 2位 企業で障がい者を積極的に雇用する32.6% 3位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる31.0%  4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする28.5% 5位 障がい者施設等で作ったものを購入する17.0%  身体・知的障がい児N=455 1位 障がいに対する理解を深める73.0% 2位 企業で障がい者を積極的に雇用する49.7% 3位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる39.8%  4位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする28.8% 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する22.0%  精神障がい者通院 N=1038 1位 障がいに対する理解を深める57.0% 2位 一般企業で働ける働き続ける ための支援29.0% 3位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる27.8% 4位 企業で障がい者を積極的に雇用する26.2% 5位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする17.9%      35ページ 発達障がい児・障がい者N=309 1位 障がいに対する理解を深める80.3% 2位 企業で障がい者を積極的に雇用する62.8% 3位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする25.2% 4位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる22.3% 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する11.0% 難病患者N=504 1位 障がいに対する理解を深める49.6% 2位 公共交通機関や建物等を障がい者が利用しやすいようにつくる42.3% 3位 障がい者等を支える地域活動やボランティア活動を活発にする25.2% 4位 企業で障がい者を積極的に雇用する24.8% 5位 地域の行事やイベントに障がい者が参加しやすいよう配慮する8.5% 第3章 前計画の振り返り 前計画に基づき保健福祉施策にどのように取り組んできたのか,またその取組状況を振り返ります 1 前計画に基づく施策推進の考え方 1.前計画の基本理念 福岡市福祉のまちづくり条例に基づく前計画の基本理念は,市民の自立と連携を基にした普遍的なものでもあることから,前計画でもこれを継承し,基本理念を次のとおりとしました 市民が自立し,かつ相互に連携して支え合うという精神のもとに,高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され,住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面※に調和のとれた健康福祉のまちづくり ※ハード面では高齢者や障がいのある人をはじめすべての人が安全かつ快適に利用できる都市施設の整備をソフト面では市民福祉の向上や健康増進などにつながる取組みを一体的に進めていくまちづくりのこと 2.前計画で定めた健康福祉のまちづくりの視点 視点1 自助 生きがいのある健康な暮らし いきいきと健やかに暮らせる社会参加と健康づくりの推進 市民一人ひとりにとって利用しやすい保健福祉サービスの仕組みづくりを進めるとともに,自主的・自発的な社会参加活動や継続的な健康づくりを推進することにより,“生きがいのある健康な暮らし”の実現をめざします 視点2 共助 支え合いのある地域づくり 相互に支え合い尊重し合える地域福祉の総合的な推進 地域での支え合い活動への関心を高め 活動に参画しようという意識を醸成するため学習・教育の機会を拡充し,また,活動の担い手となる人材を育成するとともに活動の活性化を図り 活動の輪を広げることにより支え合いのある地域づくりを推進します 36ページ 視点3 公助  安全・安心な市民生活  いつまでも住み慣れた地域で安全・安心に暮らせる基盤整備の推進  各種社会保障制度をはじめとする保健福祉サービスや,医療体制,健康危機管理体制などの暮らしを守るセーフティネットが必要なときに適切に利用できるよう基盤整備を推進し,いつまでも住み慣れた地域で暮らせる,“安全・安心な市民生活”の実現をめざします。 【図表36】自助・共助・公助による取組み例   資料:福岡市作成 図  以下は,図に示された内容です。  視点1 生きがいのある健康な暮らし:自身や家族の生活,健康を維持し,その人らしく暮らすための取組み →自助  自身や周囲の方の協力を得ながら,自身の課題を解決  視点2 支え合いのある地域づくり:地域住民,地域団体,事業者,行政など,様々な主体が協力し合う取組み →共助  多様な主体が参加する重層的な取組み  ・ニーズの把握  ・生活課題の解決  ・共に支え合う仕組み  視点3 安全・安心な市民生活:市民の安全・安心な暮らしのための政策的な取組み 自身や地域の努力だけでは解決の困難なもの  →公助  行政等による取組み ※「自助」と「共助」,「共助」と「公助」,「自助」と「公助」がそれぞれ両向き矢印で結ばれています。 2 前計画に基づく健康福祉のまちづくりの取組み 1.各種計画の指標と進捗状況 ・前計画では,各種施策を推進することで,計画の基本理念にどの程度近づいているかを継続して見守り,モニターしていくために,「自助」「共助」「公助」の視点で5つの「モニタリング指標」を設定しました。 ・また,前計画は総合計画であるとともに地域福祉計画としての性格をあわせ持つものであったため,「モニタリング指標」とは別に,地域分野の進捗状況を把握するための「計画目標」を定めました。 ・本計画では,地域分野に加え,高齢者分野及び障がい者分野に関する計画を一体化するため,「福岡市高齢者保健福祉計画」及び「福岡市障がい保健福祉計画」いずれも,計画期間:平成24年度(2012年度)から平成26年度(2014年度) に定めた主要項目の進捗状況をまとめます。 37ページ 2.モニタリング指標の推移と,計画策定のための市民意識調査結果 ・ここでは,5つのモニタリング指標の推移とあわせて,本計画の策定にあたり,実施した市民意識調査の結果を比較します。 【図表37】モニタリング指標の推移と意識調査結果の推移  出典:福岡市 表  以下は,モニタリング指標,21,24,25,26年度の調査結果 単位は% の順です。なお調査名は次のとおりです。  21年度:市政に関する意識調査※1   24,25年度:市政アンケート調査※2   26年度:保健福祉総合計画策定のための市民意識調査※3   自助 1.保健・医療・福祉に関する情報提供について,どの程度満足しているか  満足している割合 記載なし  25.1 33.5 37.6  不満がある割合 記載なし  6.6 6.5 16.3 2.保健・医療・福祉に関する相談について,どの程度満足しているか  満足している割合 記載なし  10.8 13.7 13.5  不満がある割合 記載なし  5.1 5.6 15.0  共助 3.住民参加による地域での支え合い活動に参加しているか  「参加している」+「たまに参加している」人の割合 31.0 33.0 33.4 33.1  「ほとんど参加していない」+「参加していない」人の割合 51.1 54.2 55.8 44.5 4.今後,住民参加による地域での支え合い活動が行われる場合,どのように関わりたいか  「参加したい」+「機会があれば参加したい」人の割合 62.8 65.0 67.0 59.6  「どちらかといえば参加したくない」+「参加したくない」人の割合 33.7 33.1 32.5 35.6  公助 5.福祉の充実についてどの程度満足しているか  「満足している」+「どちらかといえば満足している」人の割合 33.0 43.3 48.9 43.5※4   「どちらかといえば不満」+「不満である」人の割合 40.1 17.8 15.7 28.5※4  ※1から※4については,次の38ページに説明文が記載されています。 38ページ 市民意識調査等の結果から,「自助・共助・公助」それぞれに定めた市民の満足度や考え方等を示すいずれの指標も,若干ではありますが向上してきており,市民の「健康福祉のまちづくり」に関する意識は総じて向上しているといえます。 このことは,前計画に基づき取り組んできた保健・医療・福祉施策が,市民のニーズに沿ったものであったと,一定の評価が得られているものと考えられます。 しかしながら,いずれの指標に関する伸びも,数値としては僅か数ポイント程度であり,福岡市の取組みとして,改善と充実の余地はまだまだあると考えられ,市民の満足度を高めていく取組みを続けていく必要があります。 各年度の調査概要 1 調査目的  ※1 前計画に反映するため,保健福祉局で質問を作成 実施主体は市長室広聴課   ※2 前計画の進行管理のため,保健福祉局で質問を作成 実施主体は市長室広聴課   ※3 次期計画を策定するため,保健福祉局で実施  ※4 市長室広聴課が実施 2 調査対象者  ※1 ,※3 ,※4 市内に居住する満20歳以上の男女から無作為抽出した4500名  ※2 市内に居住する満20歳以上の男女から無作為抽出し,承諾を得た約600名 3.計画目標の進捗達成 状況 【図表38】計画目標の進捗 達成 状況の推移  出典:福岡市 表 1 ふれあいネットワークを構築している自治会・町内会の数 ・ふれあいネットワーク事業については,地域福祉ソーシャルワーカー・モデル事業トウを実施し,既存ネットワークの充実や新規ネットワークの立ち上げ支援を行ってきました。  24年度 1648 72.0% 25年度 1671 72.5% 26年度 1723 74.9% 27年度目標 2040 90.0%  2 ふれあいサロンの箇所数 ・ふれあいサロンについては,年々実施箇所は広がってきており,目標数値は達成しました。  24年度 316 25年度 327 26年度 352 27年度目標  330 3 地域福祉ソーシャルワーカー・モデル事業の実施 ・地域福祉ソーシャルワーカー1人が1から2校区を3年間城南区は2年間 担当し,地域に密接に関わることで地域活動を推進し,校区の高齢者の見守り活動の充実や,様々な地域支援の手法の開発などの成果を得ることができました。  24年度 7校区1地域  25年度 7校区1地域  ※25年度を以て シュウリョウ 39ページ 表のつづき  4 要援護者情報の提供に関する覚書を締結した自治協議会等の数 校区・地区  ・要援護者情報の提供に関する覚書の締結については,福岡セイホウ沖地震を契機に,平成18年度から,災害時要援護者の安否確認等を実施いただける自治協議会と「覚書」を締結し,要援護者情報の提供を行っています。平成26年度末時点,121校区・地区と覚書を締結しており,順次,提供校区・地区は拡大しています。  24年度 107  25年度 116  26年度 121  27年度目標  149 5 地域包括ケアシステムの構築  37年度目標  高齢者の要介護度が重度になっても,住み慣れた地域で生活を安心して続けることができるよう,保健予防 ,医療,介護,生活支援,住まいの5つのサービスが一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを構築する。 ・地域包括ケアシステムの構築については,検討会議を設置し関係機関等の連携強化を進めるとともに,2つのモデル事業を実施しました。また,地域包括支援センターを増設することにより,相談支援体制の充実強化を図りました。 1 「地域包括ケアシステム検討会議」による検討平成24年度設置   関係機関・団体からなる「地域包括ケアシステム検討会議」,「専門部会」を設置し,現状・課題の共有,相互の連携強化,具体的取組みの検討を実施。 2 「医療と介護の連携強化」と「地域で高齢者を支える仕組みづくり」の2つのモデル事業を実施   平成25から26年度   医療,介護分野を中心とした多職種連携及び地域における支え合い,助け合いの仕組みづくりを開始。 3 「地域包括ケアアクションプラン」の作成 平成26年度   平成24年度,25年度の検討会議・専門部会での議論を踏まえ,2025年のめざす姿と平成27年度から3年間の関係機関・団体・行政による具体的な取組の共有を図ることを目的とした「地域包括ケアアクションプラン」を作成。 4 相談支援体制の充実  地域包括支援センターを39か所から57か所へ増設。平成27年度  40ページ 4.高齢者分野・障がい者分野の計画の進捗状況 【図表39】福岡市高齢者保健福祉計画 平成24年度から26年度 に定める項目の進捗状況の推移  出典:福岡市 表 以下は,項目, 24,25,26年度の順です 特別養護老人ホームの整備数 4396人  4797人  5126人 認知症高齢者グループホームの整備数  1614人  1687人  1777人 いきいきセンターふくおかの設置箇所数  39か所  39か所  39か所 【図表40】福岡市障がい保健福祉計画 平成24年度から26年度 に定める こうもくの進捗状況の推移  出典:福岡市 表  以下は,項目,24,25,26年度の順です。 1 施設入所者 平成17年10月1日時点 の地域生活への移行 1ノ1 施設入所者のうち,地域生活へ移行する者の数 261人 292人 319人 1ノ2 平成17年10月1日時点と比較した施設入所者の減少数 95人 80人 67人 2 入院中の精神障がい者の地域生活への移行 2ノ1 1年未満入院者の平均退院率 73.30% 72.30% 71.90% 2ノ2 高齢長期入院者の退院数 65歳以上5年以上入院者  6人 13人 12人 3 福祉施設から一般就労への移行 3ノ1 就労支援を目的とする通所施設から一般就労する者の数 138人 204人 203人 3ノ2 就労支援を目的とする通所施設の利用者数 3ノ2ノ1 就労移行支援の利用者数 392人 460人 606人 3ノ2ノ2 就労継続支援A型 の利用者数 206人 409人 722人 41ページ 3 健康福祉のまちづくりに向けて ・福岡市では,福岡市福祉のまちづくり条例に掲げる健康福祉のまちづくりを進めるため,限られた財源の中,様々な課題を解決するための施策を実施してきました。新規事業への着手や,既存事業の拡充を図ってきた結果,本市の保健福祉費の規模は着実に増加を続け,一般会計総額に占める割合は約4分の1に至っています。 ・一方で,これまでに経験したことのない超高齢社会の到来が目前に迫っており,地域においては,要介護認定者※ の増加をはじめ,単身高齢者や認知症高齢者の増加,高齢化に伴う高齢障がい者の増加など,支援が必要になる方々が増えていくことが予測されます。 ・また,高齢化率が高まる一方で,支え手となる生産年齢人口15から64歳の人口 の割合は減少していくことから,現役世代の負担が増加します。結果として世代間での公平感が失われるだけでなく,制度維持が難しくなるおそれさえ否定できません。 ・個々の課題を解決するために,施策の積み上げを繰り返す「従来どおりの計画」では,持続可能な社会保障制度と健康福祉のまちづくりを進めていくことは困難な状況にあります。 ・そこで本計画では,各種統計の将来推計等から予測される福岡市の将来像を踏まえた上で,まずは団塊の世代が75歳以上となる平成37年2025年 を見据え,10年後のあるべき姿を示すとともに,そこに至るまちづくりの方向性を示し,推進施策や必要な取組みを明らかにします。 ※ 要介護認定者:p237参照 42ページ このページに文章の記載はありません。 第2編 総論 このページに文章の記載はありません。 43ページ 第2編 総論  総論では,本計画でめざす基本理念と「10年後のあるべき姿」を示し,その実現のために政策転換を実践することとし,政策転換によりどのような施策に重点的に取り組んでいくのか,その方向性を示しました。 また,10年後のあるべき姿の実現に向けて,実際に地域における支え合い・助け合い活動の担い手がどのような役割を果たすのかを整理するとともに,計画全体を一体的に評価していくための成果指標の考え方を示し,総論の後に続く各論の上位概念として,総論の成果指標を設定しました。 第1部 計画がめざすもの  第1部では,本計画でめざす基本理念と,基本理念を踏まえた近い将来の具体的な目標像として,新たに「10年後のあるべき姿」を掲げました。また,その実現のための「政策転換」の考え方について示しました。 第1章 計画策定の基本理念  前計画に掲げた福岡市福祉のまちづくり条例に基づく基本理念は,今日でも普遍性を持つものであるため,本計画でも継承いたします。 ・基本理念  「市民が自立し,かつ相互に連携して支え合うという精神のもとに,高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され,住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面に調和のとれた健康福祉のまちづくり」 福岡市福祉のまちづくり条例 基本理念  第2条 福祉のまちづくりは,市民が自立し,および相互に連携して支え合うという精神のもとに,次の各号に掲げる社会の実現を目指すことを基本理念として行うものとする。 1 すべての市民が個人として尊重される社会 2 すべての市民が生きがいをもてる社会 3 すべての市民が地域での生活を保障される社会 4 すべての市民が相互に支え合い連帯する社会 5 すべての市民が安全かつ快適に生活できる社会 6 すべての市民が福祉のまちづくりに参加する社会 7 すべての市民が積極的に福祉の国際交流を行う社会 44ページ 第2章 10年後のあるべき姿2025年を見据えた目標像  1 10年後にもたらされる状況 1.客観的な事実に基づく予測 少子化の進展により現役世代の割合が減少する一方,支えられる側とされる,支援が必要な高齢者が増加するため,医療機関や介護施設などの受け皿不足や,介護人材※1 などの働き手・支え手の供給が先細りし,地域社会を支える人材が不足します 高齢化の進展により,平成25年2013年 と平成37年2025年 の将来予測とを比較すると,介護が必要となる方が約1.8倍になり,認知症高齢者数も約1.9倍に増加します 医療や介護の需要が急速に拡大する結果,医療費・介護費用が劇的に増嵩し,保険料など現役世代の負担増加にも直結するため,需給バランスが崩れ,持続可能な社会保障システムの維持に課題が生じます。 このため,若い頃から生活習慣病の予防をはじめとした健康づくり・介護予防に取り組むとともに,必要性が高まる生活支援サービス※2 の担い手を増やすことなどが重要になっています 地域において見守りや支え合いを進めていく上では,支援が必要な高齢者や障がいのある人に関する情報を共有しておくことが必要となりますが,個人情報保護法の影響もあり,自治協議会※3 等の各種団体の活動にも支障をきたすなど,個人情報の取扱いはさらに困難になっています さらに加齢により身体機能が低下した結果転倒骨折により身体に障がいを負う高齢者が増加するなど高齢化は身体障がい者数にもその影響が見られ60歳代以上の身体障がい者数は身体障がい者全体の約8割を占めるに至っています ※1 介護人材:本計画では介護に関係する業務に従事する人のことを指す。 ※2 生活支援サービス:介護保険の円滑な実施を促進するために設けられた在宅の高齢者が介護に頼らずに自立した生活ができるように支援するために市町村が行う保健福祉サービスのひとつ ※3 自治協議会:おおむね小学校区を単位として防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら,校区を運営する自治組織 45ページ また知的障がい者や精神障がい者が増加するとともに親の世代も含めた高齢化が進んでいます。 障がい者分野では平成23年2011年の障害者基本法の改正で社会モデルに基づく障がい者の概念が盛り込まれるなど法整備が進んでいます。事業者による合理的配慮※1の提供などにより社会のあらゆる場面で障がいのある人の社会参加を支援する取組みが進み 福岡市政の柱の一つであるユニバーサル都市福岡※2の取組みが一層強化されています ※1 合理的配慮:障がいのある人が受ける日常生活や社会生活でのさまざまな制限の原因となる社会的障壁を取り除くために 障がいのある人に対し 個別の状況に応じて行われる配慮 ※2 ユニバーサル都市 福岡:ユニバーサルデザインの理念に基づいた 誰もが思いやりを持ち すべての人にやさしいまちのこと。福岡市はみんながやさしい みんなにやさしいユニバーサル都市 福岡をまちづくりの目標像として掲げ市政の柱の一つとして推進している 2.将来的に見込まれる要素 ICT※3 情報通信技術の利活用によりこれまで行政内で断片的に管理されていた医療や介護予防健診等に係る各種データを集約 整理しそれらのデータ分析に基づく施策の企画実施評価や医療 介護関係者や地域住民間で適切な情報共有が図られ個々人の状態にあった質の高い医療介護サービスが切れ目なく効果的効率的に提供されています ICT端末の活用などにより地域の支え合い活動が活発に行われまた高齢者施設など様々な場面でRTロボット技術が活用されています 一層の国際化の進展に伴い福岡市には高齢化が進むアジアの国々から地域包括ケアシステムをはじめ 医療福祉介護健康分野の政策専門知識産業活動などの視察学習にたくさんの人が訪れています。高齢化に関する様々な国際会議が開催されこの分野に関する課題解決に先進的に取り組む「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」としてアジアの中で存在感のある都市となっています ※3 ICT 情報通信技術の略称 46ページ 2 福岡市がめざす10年後のあるべき姿  誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために,病気になったり介護が必要になっても,地域において,医療や介護,生活支援などが一体的に切れ目なく提供される「地域包括ケア」の実現をめざします。  この中で,障がいのある人については,さらに,相談支援,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなどを推進し,障がいの重度化・高齢化や「親なき後※1 」の生活の安心も見据えた支援をめざします。 【図表41】地域包括ケアの姿  出典:「平成27年版厚生労働白書」厚生労働省 を基に作成 図 ※おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域 具体的にはおおむね中学校区 を単位として想定  以下は,図の説明です。  住まいを中心に右上から時計まわりに「介護が必要になったら通所・入所 」,「いつまでも元気に暮らすために生活支援・介護予防」,「病気になったら医療通院・入院 」と書かれ,それらと相互に連携する矢印が書かれています。さらに区保健福祉センター・地域包括支援センター・ケアマネジャー等が相談・コーディネート等を行っています。 ・また,若い頃からの健康づくりや高齢期を迎える前からの介護予防などによって,健康寿命※2 の延伸に努め,結果として医療費・介護費用の伸びを抑えるとともに,支え手となる人材の育成・確保や保険料の供給増加を図り,「制度の安定=暮らしの安定」を実現します。 ※1 親なき後:本計画では親が亡くなった場合に加え障がいのある人を介護している親や家族が病気になるなどで,介護を継続することができなくなった状態を指す ※2 健康寿命:厚生労働省の定義では,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」となっており,介護や支援などを受けずに,自立して日常生活を送ることができる期間のことをいう 47ページ ・このような観点から福岡市がめざす3つの10年後のあるべき姿を次に示します。 10年後のあるべき姿 1 生涯現役社会 ・市民がそれぞれのライフステージに応じた健康づくりや生活習慣の改善を実践し,社会全体で健康寿命※ の延伸に取り組み,高齢になっても健康で意欲を持ちながら地域社会で活躍しています。 ※ 健康寿命:p46参照 2 「地域の力」・「民間の力」が引き出される社会 ・地域全体で地域課題を共有し,地域の皆がその解決に向けて互いに助け合っています。民間企業などもそれぞれの特色を活かし,市民生活を支える存在として積極的に社会貢献を行っています。 3 福祉におけるアジアのモデルとなる社会 ・高齢者や障がいのある人をはじめ,支援が必要な誰もが安心して地域で自立した暮らしを営める社会づくりを進め,今後,高齢化を迎えるアジアの国々のモデルとなっています。 48ページ 第3章 政策転換 新たな発想による政策の推進  ・今後,福岡市においても,少子高齢化が一層進展し,支え手が不足する一方で支援が必要な方々が増加する超高齢社会が確実に到来します。 ・福岡市では,これまで様々な課題に対して幅広くかつ十分に手当をすることをめざし,新たな事業を展開するとともに既存事業を拡充してきました。人口の増加が今後も見込まれ,税収の伸びは期待できるものの,社会保障関係費等の増加により,さらに厳しい財政運営となっていきます。 ・このような状況において,「生活の質の向上」を図るためには,持続可能な制度や仕組みに施策を再構築する必要があります。 制度上,年齢等を条件に一律に「支えられる側」として実施してきた施策から,年齢を重ねても意欲や能力に応じて活躍できるための施策への転換や,支援が必要な人を社会全体で支え合う施策への転換を図るなど,「支える側」に重点を置いた施策のあり方を検討することが重要になってきます。 ・そこで,10年後のあるべき姿とそこにたどり着くための道筋となる施策の方向性を定め,市民にとって必要度の高い事業に資源を集中的に投下できるよう「政策転換」を行います。 ・政策転換に当たっては,社会経済情勢の変化や市民ニーズを踏まえ,施策の必要性・有効性を検証すると同時に,市民や地域及び行政の役割分担を明確化していきます。 政策転換  超高齢社会の到来に備え, 1 「10年後のあるべき姿」を明確化し, 2 あるべき姿の実現のために推進施策の方向性を定め, 3 限りある資源を最大限に活用するよう市民にとって必要度の高い事業へ「選択と集中」を図ることにより,「健康福祉のまちづくり」を進めます。 49ぺージ 具体的な政策転換の考え方 1 施策の進め方の転換 従来,様々な課題に対応した事業をきめ細やかに行政が立案し,その実施によって,課題を解決してきた。 しかし,これからは 施策の対象者は拡大を続けており,限られた財源の中で優先順位を検討の上,実施事業の選択と集中を進めなければならない 「転換」  事業実施に当たっては,あるべき姿を定め,その達成の為に,より必要性が高い施策を充実します! 2 高齢者の捉え方の転換 一般的に「高齢者」といえば「65歳以上」のこと。 しかし,実際は 平均寿命到達まで約20年の期間がある。 身体能力が高く,まだまだ元気で社会に貢献したいと思う方が多い。 自身が高齢者と呼ばれることには違和感がある。 「転換」  これからの「高齢者」とは,一律にではなく個人のちからに着目します! ・65歳以上の高齢化率が上昇 ・平成25年2013年 :4人に1人が高齢者 高齢化率:25.1%  ・平成37年2025年 :3.3人に1人が高齢者 高齢化率:30.3%  ・平均寿命の延び ・男性 昭和31年1956年  63.59歳,平成26年2014年  80.50歳,その差+16.91歳  ・女性 昭和31年1956年  67.54歳,平成26年2014年  86.83歳,その差+19.29歳 ※コラム 何歳からが高齢者? 参照p52  「転換」 「高齢」であることは特別なことではない! 50ページ 支え手が減少し,もはや現役世代だけでは支えられない。  昭和40年:安心の胴上げ型65歳以上1人に対して20から64歳は9.1人   平成24年:不安定な騎馬戦ガタ65歳以上1人に対して20から64歳は2.4人  このままだと  平成62年:負担の大きい肩車型65歳以上1人に対して20から64歳は1.2人  「転換」  65歳以上になってもできる範囲で「支えられる側」から「支える側※ 」へ! ※ 「支える側」とは?:一人ひとりができる範囲で地域活動や社会活動に参加するだけでなく,創業したり就業したりと,様々な形で社会参加することです。 図  以下は,図の説明です。  65歳以上の人は,意欲や能力に応じてできる範囲で現役世代の皆さんたちと一緒に支える側に。支援が必要な時は支えられる側に。 51ページ 3 障がい者の捉え方の転換 ・これまで障がい福祉施策は,「障がいのある人を支援することで社会に適合させていく」という考え方 医学モデル が主流であった。 「転換」  障がいのある人も主体性をもって,いきいきと生活し,あらゆる分野の活動に参加する社会の一員であると捉えます。すなわち,障がいのある人が受ける制限は,機能障がい,のみに起因するものではなく,社会における様々な障壁によって生ずるとする,いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえ,ユニバーサルデザイン※ の思想に基づき,社会が適切に対応していくことで 障がいのある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会の実現をめざします。 ※ ユニバーサルデザイン:年齢,性別,能力,背景等にかかわらず,できるだけ多くの人が自由に快適に利用でき,行動できるように,ものづくり,情報,サービスや街づくりなどあらゆる場面で,あらかじめ,思いやりのある配慮を行うという考え方 ※障害者基本法では,障がいのある人が各自の能力を最大限発揮できるよう,意思決定支援や,コミュニケーション支援,相談支援,日常生活のための支援など,それぞれの障がいの特性や生活実態等に応じて,必要な支援を行うことをうたっています。 52ページ コラム 何歳からが高齢者? ・福岡市では,これから急速に高齢化が進みますが,そもそも何歳から「高齢者」と呼ばれているのでしょうか。国連の WHO 世界保健機構では65歳以上とされていますが,それでは,わたしたち自身は,何歳からを「高齢者」と思っているのでしょうか。 ・平成15年度2003年度 に内閣府が発表した「年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査」の結果を見てみます。 問 高齢者の定義 年齢   出典:年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査 平成15年度 内閣府  帯グラフ  以下は,高齢者の定義年齢 ,20代回答数:528 ,30代回答数:663 ,40代回答数:633 ,50代回答数:668 ,60から64歳回答数:519 ,65から74歳回答数:666 ,75歳以上回答数:264 ,総数回答数:3941 が回答した割合の順です。単位は%。  およそ55歳以上 1.7 0.5 0.2 1.2 0.4 0 0 0.6  およそ60歳以上 15.2 6.8 5.7 5.2 5.4 5.0 4.5 6.8  およそ65歳以上 25.9 19.0 17.5 16.2 17.7 17.9 13.3 18.5  およそ70歳以上 40.9 51.7 48.2 51.9 47.8 51.2 45.1 48.7  およそ75歳以上 6.3 8.6 14.2 14.2 15.0 15.8 18.9 12.9  およそ80歳以上 1.9 4.8 5.4 5.7 7.9 6.0 15.5 6.0  一概には言えない 8.1 8.6 8.7 5.5 5.8 4.1 2.3 6.5  無回答 0 0 0.2 0 0 0.2 0.4 0.1 ・世代によって多少の差はありますが,「およそ70歳以上」を「高齢者」と捉えているという回答が最も多いことがわかります。 ・それでは,「年齢が何歳になったら高齢者」ということではなく,年齢以外ではどのような時期から「高齢者」だと思いますか?という問いに対してはどうでしょうか。 53ページ 問 高齢者の定義 年齢以外   出典:「年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査平成15年度 」内閣府  帯グラフ  以下は,高齢者の定義,20代回答数:528 ,30代回答数:663 ,40代回答数:633 ,50代回答数:668 ,60から64歳回答数:519 ,65から74歳回答数:666 ,75歳以上回答数:264 ,総数回答数:3941 が回答した割合の順です。単位は%。  子どもが結婚したり独立した時期 0.8 0.5 0 0.3 0.2 0.6 0 0.4  仕事から引退し,現役の第一線を退いた時期 18.9 13.9 10.0 9.6 12.3 11.6 9.8 12.3  年金を受給するようになった時期 29.4 21.9 23.2 21.0 18.3 26.4 20.5 23.1  子どもなどに養われるようになった時期 8.5 11.9 12.0 11.7 10.0 8.4 8.7 10.4  からダの自由がきかないと感じるようになった時期 30.1 38.2 41.1 41.8 43.7 40.7 45.8 39.8  配偶者と死別した時期 0.2 0.5 0.2 0.3 0.2 1.1 2.3 0.5  介護が必要になった時期 11.0 11.9 13.0 14.2 12.9 9.8 9.8 12.0  その他 0.6 0.9 0.6 0.9 1.7 0.9 2.7 1.0  無回答 0.6 0.5 0 0.3 0.6 0.6 0.4 0.4 ・「からダの自由がきかないと感じるようになった時期」と考えている人が最も多いことがわかります。 ・年齢を重ねても,心もからだも元気な方々が多く,自分たちはもちろんまわりの人たちも「高齢者」とは思っていないのです。 ・いまや,65歳に到達したことをもって,一律に「高齢者」と呼ぶのは時代にマッチしていないのかもしれません。 ・いくつになってもこれまでに培ってきた知恵や能力を後世に伝えていただくため,社会で思う存分にその力を発揮していただき,社会の担い手となっていただくことを期待します。  福岡市健康づくりイメージキャラクター よかろーもんが説明しています『1956年にWHO世界保健機構 が65歳以上人口の比率を「高齢化率」と定義して調査してから,「65歳以上」が「高齢者」との認識が一般的に広まったみたいだけど,当時とくらべて15歳以上も平均寿命が延びた現代に,65歳の方をまだまだ「高齢者」とは呼べないよねえ』 ※平均寿命 昭和31年1956年  男性 63.59歳 女性 67.54歳 平成26年2014年  男性 80.50歳 女性 86.83歳 54ページ ・これまで示した「基本理念」,「10年後のあるべき姿」,「政策転換」の関連性を次のとおり図示します。 【図表42】本計画がめざすところ  資料:福岡市作成 平成28年2016年  計画スタート  政策転換  1 10年後のあるべき姿を明確化する。  2 計画期間に推進する施策の方向性を定める。  3 必要度の高い施策に選択と集中を図る。 平成32年2020年  計画期間の終了。 平成37年2025年  あるべき姿の達成。 以下は,図の説明です。  山の麓から計画がスタートし,山の中腹に「10年後のあるべき姿」,頂上には「福岡市福祉のまちづくり条例に基づく基本理念」が書かれています。 「福岡市福祉のまちづくり条例に基づく基本理念」  「市民が自立し,かつ相互に連携して支え合うという精神のもとに,高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され,住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面に調和のとれた健康福祉のまちづくり」 55ページ 第2部 政策転換による基本的方針  第2部では,福岡市がめざす10年後のあるべき姿を実現する為に必要な「政策転換」により,どのような施策に取り組むのか,その方向性を示すとともに,計画期間中に取り組む代表的な施策を定めました。  また,健康福祉のまちづくりの担い手となる市民・地域・行政の役割をそれぞれ整理しました。  総論の最後に,計画全体を一体的に評価していくための成果指標の考え方を示し,総論の後に続く各論の上位概念として総論の成果指標を設定しました。 第1章 施策の方向性 1 基本的な考え方 ・将来,確実に到来する「人口急減・超高齢社会」というこれまでに福岡市が経験したことがない状況を克服して行く必要があります。 ・「第9次福岡市基本計画」に掲げる都市経営の基本戦略である,「都市の成長」を「生活の質の向上」につなげ,その好循環を創り出すとともに,本計画の基本理念である「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくり」および10年後のあるべき姿である,生涯現役社会,「地域の力」・「民間の力」が引き出される社会,福祉におけるアジアのモデルとなる社会の実現をめざすため,本計画で取り組む施策の方向性を次のとおり定めます。 2 3つの方向性 1 自立の促進と支援 施策の方向性1  ・市民一人ひとりが,社会を構成する一員として,自ら主体的に社会参加活動や健康づくり活動に取り組めるよう,また,市民の健康づくりを支える民間活動が活性化するよう,社会全体で支援に取り組みます。 2 地域で生活できる仕組みづくり 施策の方向性2  ・地域での見守り活動の充実を図るなど,いつまでも誰もが自信と誇りを持って住み慣れた地域で生活できる環境を整えるため,様々な形で住民同士が助け合い・支え合い活動に参画できる仕組みづくりを進めます。 3 安全・安心のための社会環境整備 施策の方向性3  ・高齢者や障がいのある人も,地域で誰もが当たり前に暮らせるように,ユニバーサルデザインの理念に基づき,ソフト・ハードの両面からバリアフリー※1 化を推進し,アクセシビリティ※2 の向上を図るなど,安全・安心な生活を送るための社会環境を整備します。 ※1 バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁 バリア となるものを除去フリー すること ※2 アクセシビリティ:施設,設備,サービス,情報,制度等の利用しやすさ 56ページ 3 3つの方向性に基づく推進施策 ・施策を推進する方向性は,保健福祉行政全体を見通した上で3つを定めたものであり,それぞれの方向性は相互に関わり合う関係にあります。 ・また,方向性を定めて重点的に取り組む具体的な保健福祉施策は,すべての世代を対象とする「健康・医療分野」及び「地域分野」,並びに対象者別の「高齢者分野」及び「障がい者分野」との4分野に分けて,「第3ペン 各論」で整理します。 ・3つの方向性に基づき取り組む各種施策は,それぞれの分野ごとに厳密に分けられる性格のものばかりではなく,複数の分野に関わるものがあることから,ここでは,その中から代表的な施策と施策推進の考え方を整理します。 1.社会参加活動の支援 ・誰もがいつまでも生きがいを持って活躍できるように,ボランティア活動や生涯学習,就労支援,余暇活動などへの社会参加活動を促進するために支援していきます。 ・また,高齢者や障がいのある人の社会参加を促すため,外出や移動の支援を行います。 2.健康づくり・介護予防 ・健康寿命※ の延伸には,日々の健康の維持増進や体力づくりだけでなく,職場や医療機関,保健所等で実施する健診の機会を積極的に活用するなど,若い頃から市民一人ひとりが健康に高い関心を持ち,その実践に取り組むことが必要です。このため,市民が自主的に取り組む健康づくりを支援します。 ・また,高齢者や障がいのある人等が,一日でも長く自立した生活が送れるよう,自主的な健康管理やいつまでも要介護状態にならないような取組みを支援します。 ・特に,これからの介護予防は,社会参加活動や支え合い活動への積極的な参加が結果的に介護予防につながるという考えが重要であり,介護予防・生活支援・社会参加が融合した取組みを進めます。 ※ 健康寿命:厚生労働省の定義では,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」となっており,介護や支援などを受けずに,自立して日常生活を送ることができる期間のことをいう。 57ページ 3.相談体制の充実と自立の支援 ・必要な人が必要なときに最適なサービスを受けることができるよう,身近な生活圏域で,福祉サービス等の利用に関する情報提供や相談体制の充実を図ります ・若い頃から高齢期の生活を想定し,自らの健康だけでなく,生活の自立,経済的な自立などの自立度を高めていけるよう支援します ・また,「障がいがある人の自立」を,「障がいのある人が地域において必要な支援を受けながら,自己選択と自己決定に基づき生活できる状態」と捉え,障がいのある本人が適切に意思決定を行い,その意思を表明することができるよう,相談の実施等による意思決定を支援するとともに,意思疎通のための手段を選択する機会の提供を進めます 4.権利擁護※1  ・すべての高齢者や障がいのある人が,基本的人権を持つ個人としての尊厳を保ちながら,日常生活や社会生活を営むことができるよう,住み慣れた地域での自立や社会参加の支援を推進するため,その人なりの意思決定を支援するとともに,成年後見制度※2 の利用促進,虐待への対応など権利擁護の取組みを進めます。 ※1 権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人 例:寝たきりの高齢者,認知症高齢者,障がいのある人等 の立場に立って,代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること ※2 成年後見制度:認知症等のために判断能力が不十分であると家庭裁判所が認めた場合に、成年後見人などが財産管理等を行い,本人を保護・支援するもの 5.差別解消 ・社会的に弱い立場の方々に対するすべての差別が無くなるように,心のバリアフリー※3 を進めます。 ・特に,障がいを理由とする差別は障がいのある人の自立や社会参加に深刻な悪影響を与えます。そのため,企業,市民団体等の差別解消の活動を支援するとともに,障がいに対する正しい理解を持ち,同じ地域に暮らす住民同士の相互理解を深めるために,様々な場面での広報・啓発活動に取り組んでいきます ※3 バリアフリー:p236参照 6.地域での支え合い ・高齢になっても障がいがあっても住み慣れた地域でつながり 関わり合いが保てるよう,住民同士の見守りなど地域全体で支え合う仕組みづくりを支援します 58ページ 7.認知症への対応 認知症を予防するためには,高齢期を迎える前から生活習慣の改善に取り組むことが重要であり,大学等と連携して効果的な取組みを検討し,推進していきます また,認知症の人が住み慣れた地域で安心して尊厳を保ちながら生活できるよう,認知症の早期の段階からの適切な診断と対応,認知症に関する正しい知識と理解に基づく本人や家族への支援など,総合的かつ継続的な支援体制を整えます 8.障がい特性等に配慮した総合的な支援 性別,年齢,障がいの状態,生活の実態等に応じた施策を充実します また,障がいのある人が人生における全段階を通じて適切な支援が受けられるよう,教育,福祉,医療,雇用等の各分野の有機的な連携のもと,施策を総合的に展開し,切れ目のない支援を行います 9.人材育成 それぞれの地域で活動を行うのは,行政であり地域の住民であり,あらゆる立場の市民です。介護の現場などの人材確保が困難な場面でそれぞれが異なる役割をきちんと果たし,誰もが誰かの役に立てるように,人材育成を行います 10.公共施設・公共交通機関の整備 道路や公園等の都市基盤施設や官公庁舎や学校等の公共施設を整備・改修をする際のバリアフリー※1 化推進をはじめ,鉄道駅等のバリアフリー化やノンステップバスの導入促進等により,誰もが安心して外出できる環境を整えます 11.誰もが住みやすい居住環境の整備 住まいは安定した生活を実現する上での拠点です。高齢になっても障がいがあっても,住み慣れた地域で暮らせる居住環境を整えます 12. ICT※2 情報通信技術 等の利活用 保健・福祉・医療等に関する情報を一元的に集約・管理する仕組みを構築し,地域分析,事業分析等を行い,データに基づく施策展開を図ります また,医療や介護関係者等,多様な主体間の情報連携により,切れ目のない効果的・効率的なサービスの提供や,地域での支え合い活動の負担軽減や活性化を図ります さらに,介護現場や様々な場面でのロボットの導入促進を図ります ※1 バリアフリー:p236参照 ※2 ICT:情報通信技術の略称 59ページ 13.医療体制,健康危機管理体制の充実及び生活環境の向上 市民が安全安心な生活を送る上で必要な,救急医療体制の整備,医療安全対策など,市民が安心して医療が受けられる医療体制の充実強化を図ります また,結核,ウイルス性肝炎,エイズ・性感染症,風しんなど各種感染症対策を講じるとともに,新興感染症や新型インフルエンザ等 グローバル化に伴う感染リスクの高まりを受け,健康危機管理体制の充実を図ります 市民生活の基盤をなす食品衛生,環境衛生の確保,動物愛護管理の推進などにより,暮らしの衛生向上を図ります 14.持続可能な社会保障制度の維持 国民健康保険や介護保険,国民年金など,持続可能な社会保障制度となるよう国に働きかけます。また,国において進められる「社会保障と税の一体改革」による社会保障制度改革に留意しながら,適切に制度を運営するとともに,市が主体となって,医療費の適正化等に取り組みます さらに,市民に最も身近な基礎自治体として,地域の実情を考慮した,健康づくりや支え合いの仕組みづくりなどの施策の推進に取り組みます 国民健康保険,生活保護・生活困窮者自立支援制度についての取組みの方向性 1 国民健康保険の安定的な運営 平成30年度2018年度 から都道府県が国民健康保険事業の中心的な役割を担うこととなりますが,国民健康保険制度が長期的に安定したものとなるよう,引き続き国に働きかけるとともに,国民健康保険事業の財政健全化を図るため,国民健康保険料の収納率向上による収入の確保やデータヘルス計画※に基づく保健事業の推進などの医療費適正化に取り組みます ※データヘルス計画:健康・医療情報の分析に基づく,効率的,効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施するための保健事業実施計画 2 生活保護の適正実施及び生活困窮者の自立支援 社会状況に応じた生活保護制度となるよう国に働きかけるとともに,生活に困窮した市民に対して,個別世帯の困窮状況や程度に応じた適正な保護の実施に努め,自立の支援を推進します また,生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者本人の状態に応じた包括的かつ継続的な支援等を実施し,支援対象者の自立を促進します 60ページ 第2章 担い手の役割 本計画に掲げる「10年後のあるべき姿」を実現するためには,行政だけでなく,地域の住民はもちろん,事業者やボランティアなど地域社会を構成する多様な主体が,相互に連携を図るとともに,それぞれ主体的に様々な取組みを実践していくことが必要です 地域に暮らす誰もが,できる範囲で何らかの形で地域社会の中で支え合い,助け合いに携わることで,支えられるだけでなく支え手としての役割を果たし,支援が必要な高齢者も障がいのある人も,住み慣れた地域で暮らすことが当たり前の社会づくりを進めます 1 市民の役割 将来的に誰もが支えられる側になる可能性は否定できません できる限り長く自立した生活を送ることができるよう運動・食生活・休養など生活習慣を改善するほか,定期的な健康診断や癌検診の受診など自身の健康づくりを心掛けます また,元気に活動できる市民は,地域活動に参加したり就労したりするなど,ある場面では支援を受ける立場であっても,できる分野では支える側になるなど,お互いに支え合い,助け合います 2 地域の役割 支援が必要な高齢者や障がいのある人などが安心して地域で暮らせるように,住民に最も身近な自治組織である自治会・町内会をはじめ,校区を運営していく住民自治組織である自治協議会※1や,地域福祉活動に取り組む校区社会福祉協議会,地域住民からの相談に応じて必要な援助を行う民生委員・児童委員※2などが連携し,活動します また,老人クラブ,PTA等の地域の任意団体や,NPOやボランティアも見守り・支え合いに関わります また,地域において市民の健康づくりや要介護者,障がいのある人などを幅広く支えていくため地域社会を構成する一員として企業や社会福祉法人等の法人も,それぞれの専門性を生かして社会的責任を果たします 地域での様々な活動の多くを実際に担っているのは高齢者が中心であり,働いている世代の参加を促進するため,民間企業においては企業活動を行うだけでなく,社員が企業からの支援を受けながら地域活動に参加するなど,地域と共存していく役割が期待されます ※1 自治協議会:おおむね小学校区を単位として,防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら,校区を運営する自治組織 ※2 民生委員・児童委員:p237参照 61ページ 3 行政の役割 ・福岡市は,自らの健康づくりに自主的に取り組む市民を支えるとともに,市民や地域だけでは解決が難しい共助の仕組みづくりや人材育成,広報・啓発などを支援します。 ・また,要介護者や障がいのある人など,地域で暮らす上で支援が必要な市民のほか,介護に携わる方々に対する支援を行います。 62ページ 第3章 成果指標 本計画に定める3つの施策の方向性に基づいた取組みを進めることにより,地域包括ケアの実現をはじめ,10年後のあるべき姿にどの程度近づけたのか,その成果を把握し,その後の施策に反映するため,計画の成果指標を設定します 成果指標については,計画全体を一体的に評価していくため,総論の成果指標を図表44のとおり設けるとともに,総論の成果指標を上位概念とする各論の成果指標を第3ペン 各論のそれぞれの分野別計画の中で定めます なお,進行管理の際には成果に係る数値データをあわせて示すことで,効果的・効率的な改善につながる評価を行います 図表43 成果指標の体系図  資料:福岡市作成 図  以下は,図の説明です  総論の成果指標[上位概念] の下に各論の成果指標があり,それぞれの下に数値が設定されています 【図表44】総論の成果指標[上位概念]  資料:福岡市作成 表 以下は,3つの方向性ごとの,成果指標,現状値平成26年度,目標値平成32年度です 1 自立の促進と支援  成果指標:健康寿命の延伸厚生労働省が発表する「日常生活に制限のない期間」の推移   現状値:男性 70.38歳,女性 71.93歳 平成22年度   目標値:1歳以上延伸 2 地域で生活できる仕組みづくり 成果指標:地域での暮らしやすさ 高齢者:地域での支え合いにより,子育て家庭や高齢者がくらしやすいまちだと感じる市民の割合。障がい者:障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じている市民の割合  現状値: 高齢者 37.3%,障がい者 34.3%※   目標値:高齢者 58%,障がい者 57% 3 安全・安心のための社会環境整備  成果指標:安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合  現状値:新設のため現状値なし 平成28年度調査  目標値:上昇  ※ 出典:福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 平成26年度 福岡市 第3ペン 各論 このページに文章の記載はありません。 63ページ 第3ペン 各論  各論で定める4つの分野別計画「健康・医療分野」,「地域分野」,「高齢者分野」,「障がい者分野」は,総論に定めた“計画がめざすもの”や“政策転換による基本的方針”3つの施策の方向性や推進施策などを踏まえ まとめました  なお,総論で定めた3つの施策の方向性や推進施策と,各論における施策との関係については,参考資料p238 に一覧表形式で掲載しました。 参考 各論の内容に関する留意事項 【現在の主な事業】  施策ごとに,施策の内容を補足する目的で,平成27年度2015年度 に実施している事業の中から主なものを,「現在の主な事業」として掲載しました 【成果指標】 上位概念としての総論の成果指標を具体化する各論の成果指標を定めました 年度については,現状値としては平成26年度2014年度 ,目標値としては計画終了期間である平成32年度2020年度 の数値を掲げました。ただし,データの出典が数年置きに行われる調査などについては,直近の調査年度を記載しました 【関連する施策】 各論における各施策項目において,詳しい内容が記載されている参照先や,関連の記載がある主な施策を次のとおり記載しました 記載例 「関連する施策」 ※認知症医療提供体制については,健康医療分野の施策2ノ2p89 参照 ※認知症施策の推進については,高齢者分野の施策3ノ1から3ノ3p165から167 参照 ※認知症施策に携わる介護人材の確保については,高齢者分野の施策4ノ4p173 参照 ※介護予防については,高齢者分野の施策4ノ1p171 と関連あり このページに文章の記載はありません。 64ページ 第一部 健康・医療分野 このページに文章の記載はありません。 65ページ 第1部 健康・医療分野 第1章 健康・医療分野の基本理念等 1 基本理念  健康は,すべての市民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち,心豊かに自分らしい生活を続けるために,最も優先されるものです。  近年,人々のライフスタイルも多様化し,物質的な豊かさを求める時代から,心の豊かさやゆとり・活力を求める時代へと大きく転換し,心身共に健康づくりを強く意識した生活がますます重要視されてきています。  しかしながら,高齢化の進展に伴い,現状のまま推移すると平成37年2025年 には,要介護認定者数※1 は平成25年2013年 の1.8倍,認知症高齢者数は同年の1.9倍に増加すると予測されています。平均寿命の延伸以上に健康寿命※2 を延ばしていくことは,個人の生活の質の低下を防止するとともに,社会的負担を軽減する上でも重要です。  このため,高齢期を迎える前の現役世代からの健康づくりの取組みを重点的に実施するなど,生涯にわたる健康づくりを総合的に推進していく必要があります。  また,人の生命・身体に関わる医療・保健衛生等の分野は,市民の健康維持に大きな役割を果たすことから,誰もが必要なときに安心して医療や介護が受けられるような環境づくりを進めるとともに,感染症や食中毒等から市民を守り,より健康で安全な暮らしの実現を進める必要があります。  このような点を踏まえ,健康・医療分野の基本理念を以下のとおりとします。 「基本理念」  超高齢社会を迎えるにあたって,すべての市民が早い段階から積極的に健康づくりに取り組み,健康寿命の延伸を図るとともに,家庭や地域で自分らしい生活を安心して送ることができる社会,及び子どもから高齢者までが健康で安全・安心な暮らしを享受できる社会の形成をめざします。 ※1 要介護認定者:p237参照 ※2 健康寿命:厚生労働省の定義では,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」となっており,介護や支援などを受けずに,自立して日常生活を送ることができる期間のことをいう。 2 計画の位置づけ  本分野は,本市の健康・医療施策全般にわたる方向性及び取組みを示すもので,健康増進法に基づく「健康日本21福岡市計画」や,食育基本法に基づく「福岡市食育推進計画」は,本分野に示した内容と整合性・一体性を保ちながら推進するものです。 66ページ 3 基本目標 ・基本理念に基づき,3つの基本目標を定め,各施策を実施します。 1.健康づくりの推進 ・乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくりに取り組み,特に高齢期を迎える前の50歳から60歳代の早い段階から,科学的根拠にも基づく認知症予防など,介護予防の取組みを進めます。 ・また,市民が子どもの頃から健康づくりに関心を持ち,積極的に取り組めるよう環境整備を進めるとともに,気軽に参加できる健康づくり支援の仕組みづくりを進めます。 2.医療環境の整備 ・高齢者が医療や介護が必要な状態になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられるよう,在宅医療※1 と介護が連携した体制づくりを行います。 ・また,休日・夜間を含め,市民に良質で安全な医療が提供されるよう体制を整備するとともに,高度な医療の提供体制や,外国人も安心して医療機関を受診できる環境を整備します。 3.健康で安全な暮らしの確保 ・日頃から感染症等の正しい知識の普及啓発や,発生状況を把握するとともに,万一,市民に影響が及ぶような緊急事態と判断される感染症等の発生が確認された場合は,適切な初動対応を実践し,市民への被害を最小限にとどめます。 ・また,市民が危険ドラッグ※2 などの害悪に巻き込まれないような社会を推進するとともに,薬物等の依存症に関する相談・支援事業を充実します。 ・さらに,食の安全安心や衛生的な生活環境の確保により,市民の健康で快適な生活を実現するとともに,人と動物が共に健やかに暮らすことができる社会をめざします。 ※1 在宅医療:通院が困難な場合等に,医師や看護師等の医療従事者が患者の自宅等に訪問し,医療サービスを提供すること ※2 危険ドラッグ:p232参照 67ページ 4 施策体系 ・基本目標に基づき,以下の体系により健康・医療施策を推進します。 推進施策 表  以下は,基本目標, 施策の順です。 【基本目標1】健康づくりの推進  1ノ1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進  1ノ2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進  1ノ3 女性の健康づくりの推進  1ノ4 次世代の健康づくりの推進  1ノ5 心の健康づくりの推進  1ノ6 地域や職場などでの健康づくりの推進  1ノ7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 【基本目標2】医療環境の整備  2ノ1 在宅医療・介護連携の推進  2ノ2 認知症医療提供体制の整備 2ノ3 難病対策の推進  2ノ4 急患・災害時医療体制の充実  2ノ5 市立病院等の充実  2ノ6 医療安全等対策の推進  2ノ7 医療の国際化の推進 【基本目標3】健康で安全な暮らしの確保  3ノ1 感染症対策の推進  3ノ2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進  3ノ3 食の安全安心の確保  3ノ4 環境衛生の推進  3ノ5 動物の愛護・適正飼育の推進 68ページ 第2章 施策各論 【基本目標1】健康づくりの推進 現状と課題 1.超高齢社会に対応する健康づくり ・高齢化の進展に伴い,疾病構造は大きく変化しました。現在,悪性新生物 がん,心疾患,脳血管疾患といった生活習慣病が増加し,主要な死因となっています。 ・認知症高齢者の数は,平成25年度2013年度 では約2万9千人ですが,平成37年2025年 には約5万5千人 1.9倍 になると予測されています。  ※福岡市の認知症高齢者数の推移は総論p12の【図表7】を参照  ・健康づくりは一人ひとりの主体的な取組みが基本となりますが,個人の努力だけでは困難な場合も少なくありません。行政をはじめ企業,大学,NPO,市民団体,医療機関等が連携し,社会全体で健康づくりを支援していくことが重要です。 69ページ 【図表45ノ1】平成22年度 年齢調整死亡率 男性   出典:「平成22年度人口動態特殊報告データ」厚生労働省   注釈 資料は10万人あたりの人数 グラフ  以下は,死因,全国,福岡県,福岡市の10万人あたりの人数の順です。  悪性新生物 182.4 198.0 183.3  心疾患 高血圧性を除く 74.2 52.8 43.5  脳血管疾患 49.5 43.7 39.3  肺炎 46.0 50.7 50.1  自殺 29.8 31.6 31.0  不慮の事故 24.2 26.2 22.6  カン疾患 11.2 12.1 10.6  慢性閉塞性肺疾患 9.1 10.5 10.7  腎不全 8.3 7.7 6.3  老衰 6.9 3.6 3.3  大動脈瘤および解離 6.9 8.1 6.5  糖尿病 6.7 8.3 7.8  高血圧性疾患 2.0 3.1 4.0 【図表45ノ2】平成22年度年齢調整死亡率 女性   出典:平成22年度人口動態特殊報告データ 厚生労働省   注釈 資料は10万人あたりの人数 グラフ  以下は,死因,全国,福岡県,福岡市の10万人あたりの人数の順です。  悪性新生物 92.2 96.4 101.3  心疾患 高血圧性を除く  39.7 30.9 26.5  脳血管疾患 26.9 24.0 21.0  肺炎 18.9 20.5 20.5  自殺 10.9 11.2 11.6  不慮の事故 10.0 10.4 7.9  カン疾患 8.9 5.5 4.7  慢性閉塞性肺疾患 4.8 4.9 4.5  腎不全 3.8 3.5 2.6  老衰 3.3 3.0 2.7  大動脈瘤及び解離 3.2 3.8 3.4  糖尿病 1.4 2.2 2.3  高血圧性疾患 1.4 1.6 1.8 70ページ 2.生活習慣病対策・重症化予防対策 1  医療費の約4割を占める生活習慣病 ・国民健康保険及び後期高齢者医療費の約4割を悪性新生物 がん ,心疾患,高血圧,糖尿病などの生活習慣病関連が占めています ・生活習慣病は,要介護状態となった原因の中でも最も高い割合 3割弱 を占めており,これは長い間,運動不足や偏った食生活,喫煙など不健康な生活を続けることで,発症のリスクが高まります。特に男性は要介護状態となった原因として生活習慣病による割合が4割強と高くなっており,中でも退職後は,職場での健診や保健指導の機会を失うため,この年代の健康づくりが重要となっています。 ・内臓脂肪の蓄積による肥満に「高血糖」「高血圧」,「脂質異常」を2つ以上併せもつメタボリックシンドローム※ は,生活習慣病を発症するリスクが高いため,できるだけ早く生活習慣の改善に取り組むことが必要です。 ・歯・口腔の健康については,歯周病が成人期以降の歯の喪失の主要原因であるばかりでなく,糖尿病等のリスク要因となっています。また,高齢期には誤嚥性肺炎が多くなっており,歯周病とあわせてこれらの予防のため,正しい知識の普及啓発や個人の状況に応じた歯科保健指導を行うことが重要です。 ※ メタボリックシンドローム:腹囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満に加えて,「高血糖」「高血圧」「糖質異常」の危険因子のうちいずれか2つ以上を併せもった状態のこと。これらの危険因子は1つだけでも動脈硬化を招くが,複数の因子が重なることによって互いに影響しあい,動脈硬化が急速に進行する。「メタボリック」は「代謝」の意 図表20 福岡市医療費の内訳 国民健康保険及び後期高齢者医療費のみ 再掲   P21と同じものです 71ページ 図表46 要介護状態になった原因  出典「平成25年度高齢者実態調査」福岡市   注釈 全体回答数:5291 には男女の別が不明な回答も含むため,男女の合計値とは合わない グラフ  以下は,帯グラフの内容です。単位は%  全体回答数:5291   生活習慣病関連 26.9  ロコモティブシンドローム関連 運動器症候群関連 26.9  認知症 16.8  その他 29.4  男性回答数:1480   生活習慣病関連 脳血管疾患 27.7,心臓病 7.5,糖尿病 4.9 計40.1  ロコモティブシンドローム関連 腰痛症 6テン2,転倒などにより骨折 4.5,  リウマチ以外の関節疾患 1.9,骨粗しょう症 1テン3,リウマチ 0.6 計14.5  認知症 11.7  その他 33.7  女性回答数:3633   生活習慣病関連 脳血管疾患 13テン4,心臓病 5.5,糖尿病 2.4 計21.3  ロコモティブシンドローム関連 転倒などにより骨折 13テン4,腰痛症 7.6,骨粗しょう症 5.2,  リウマチ以外の関節疾患 3.8,リウマチ 2.2 計32.2  認知症 19.2  その他 27.3 2 がん患者の状況 国の推計では,生涯のうちに約2人に1人が,がんに罹患するとされており,死亡原因の第1位となっています。特に福岡市の女性の悪性新生物による死亡率は,全国平均及び福岡県平均よりも高い状況になっています※p69の図表45ノ2を参照  高齢化に伴うがん患者の増加が見込まれる中,今後,がん患者や がん患者会への支援が重要となってきます 3.女性の健康づくり 福岡市は,20歳以上のどの年代においても女性の数が男性の数を上回っているという特徴があります。高齢者人口を男女別でみると,女性人口は男性人口の約1.5倍 平成26年(2014年)12月末時点 となっており,また,平均寿命が男性より長いため,年齢が高くなるほど女性の割合が高くなっており,今後ますます増加が予測されています 男女共に,いつまでも元気で輝いた生活を送るためには,健康であることは欠かせませんが,特に女性は,妊娠・出産などによるホルモンバランスの変化もあり,年齢やライフステージに合わせた健康づくりを心掛けることが必要です 72ページ ・女性はもともと男性に比べて骨量が少ないことや,閉経による女性ホルモンの減少などの影響もあり,骨粗しょう症になりやすく,転倒による骨折や腰痛症なども含めて,ロコモティブシンドローム※ 運動器症候群 により要介護状態になる割合が高くなっています。 ・女性の要介護認定率をみてみると,男性の約1.7倍と高く,女性の要介護認定数は男性の2.5倍 平成26年(2014年)12月末時点 となっており,今後,ますます増加することが予測されています。 ・特に女性の要介護状態になった原因の約3割がロコモティブシンドロームであることから,予防に向けて,できるだけ若い頃から,ライフステージに応じ,適切な運動・栄養・休養などの生活習慣の実践に取り組むことが必要です。 ※ ロコモティブシンドローム:骨,関節,筋肉などの運動器の衰えによって生じる転倒骨折,腰痛症,関節疾患,骨粗しょう症などの症状のこと 【図表8】要介護認定者数 要介護3から5 再掲   p13と同じものです。 73ページ 図表47】要介護認定率 年齢別・男女別  出典:福岡市 平成26年3月  グラフ 以下は,年齢,男,女の割合順です。単位は%。  65から69歳 3.6 3.0 70から74歳 7.4 7.6 75から79歳 14.1 18.8 80から84歳 26.7 39.4  85から89歳 47.0 62.7 90歳以上 69.7 82.9 図表48】人口ピラミッドの変化  出典:「福岡市の将来人口推計 平成24年3月」福岡市  グラフ 以下は,年齢,男性,女性の人口の順です  平成27年2015ネン  0から4歳 36429 34490 5から9歳 33854 31983 10から14歳 33026 31315 15から19歳 35479、34,956 20から24歳 46473 48362 25から29歳、52,685 59500 30から34歳 48882 57159 35から39歳 54029 60025 40から44歳 59601 64579 45から49歳 51408、55702 50から54歳 45329、48,619 55から59歳 41816 44605 60から64歳、44,602 48,374 65から69歳 46770 53037 70から74歳、31,814 40125 75から79歳 23678 33650 80歳以上、31,018 61734  平成37年2025ネン  0から4歳 32508 30788 5から9歳 34561 32659 10から14歳 36297 34474 15から19歳 36156、34,849 20から24歳 39845 40987 25から29歳、42,349 48483 30から34歳 47841 54703 35から39歳 51378 58861 40から44歳 48348 57017 45から49歳 53829 60647 50から54歳 59194、64,994 55から59歳 50164 55215 60から64歳、43,122、47,530 65から69歳 38559 43252 70から74歳、39,545 46362 75から79歳 39125 49577 80歳以上、48,374 90602  平成52年2040ネン  0から4歳 28116 26628 5から9歳 28146 26617 10から14歳 29971 28472 15から19歳 34480、33,223 20から24歳 41453 42280 25から29歳、45,017 49456 30から34歳 41647 46265 35から39歳 40529 45419 40から44歳 41322 48197 45から49歳 47393 54974 50から54歳 50930、59,387 55から59歳 47259 56868 60から64歳、51,109、59,387 65から69歳 54130 62745 70から74歳、43,791 52546 75から79歳 35158 44142 80歳以上、74,765 129444 74ページ 4.次世代の健康づくり ・子どもたちは,一人ひとりがこれからの社会を支え創造する大切な存在です。 近年,子どもを取り巻く社会環境が変化している中,乳幼児期・学齢期などに,基本的な生活習慣を身につけさせ,心とからだの健康づくりを推進していく必要があります。 ・この時期の健康づくりは,家庭を中心に,学校・保育所・幼稚園トウが重要な役割を担っており,行政,家庭や地域,学校等が連携しながら,次世代を担う子どもたちをしっかり育んでいくことが重要です。 5.心の健康づくり ・近年増加傾向にあるうつ病は,多くの人がかかる可能性がある病気であり,心の健康づくりの取組みが重要です。 ・自殺者数は減少傾向にあるものの,死亡原因としては上位に位置しており,引き続き自殺対策の取組みが必要です。 6.地域や職場などでの健康づくり 1 地域での健康づくり ・地域では,校区担当制により活動している保健師が支援を行い,校区健康づくり実行委員会や衛生連合会※1 ,自治協議会※2 などを中心に健康づくりの取組みを実施しています。 ・地域における住民の自主的な健康づくり活動の浸透を図るため,今後も地域の健康課題に応じた支援を積極的に行っていく必要があります。 ※1 衛生連合会:地域における健康づくり活動等を推進することにより,健康で文化的な市民生活の増進に寄与することを目的とした団体。市,各区,各校区衛生連合会で構成され,市,区衛生連合会は地域の健康づくり活動の支援,校区衛生連合会は自治協議会の構成団体として健康づくりを中心とした地域活動を担う。 ※2 自治協議会:おおむね小学校区を単位として,防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら,校区を運営する自治組織 2 小規模の事業所での健康づくり ・福岡市の産業構造別の就業者数をみると,第3次産業に従事する人が全体の9割近くを占め,そのうち6割にあたる人が従業員数50人未満の事務所や商店などの小規模の事業所で働いています。小規模の事業所で働く人々は,福利厚生面などにおいて大企業で働く人々より健康づくりの取組みが難しいと思われます。 ・これらの人々が引退後,地域でいきいきと活躍するためには,若い頃からの健康づくりが大切です。 75ページ 【図表49】福岡市の第3次産業従事者の規模別構成比 民営のみ   出典:「平成26年経済センサス 基礎調査 速報版 」総務省  グラフ  以下は,従業員数,割合の順です。  1から4人 9.8%  5から9人 12.2%  10から19人 14.8%  20から29人 9.7%  30から49人 10.6%  50から99人 13.0%  100から199人 10.0%  200から299人 5.6%  300人以上 14.2% 施策の方向性 ・「健康日本21福岡市計画」等に基づき,食事,運動,喫煙,歯・口腔などの生活習慣の改善によって,市民の健康寿命※ の延伸を図るとともに,家庭・職場など,暮らしやライフスタイルの違いによって生じる健康づくりの差に配慮した取組みや,乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくり,うつ病等の心の健康づくりなどに取り組みます。 ・特に認知症予防や介護予防を重点的に取り組みます。 ※ 健康寿命:p233参照 76ページ 施策1ノ1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 住民主体で参加しやすく,地域に根差した健康づくりや介護予防を推進し,その普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります 高齢者の身近なところで介護予防に取り組む自主グループの支援や,高齢者一人ひとりの健康づくりの取組みなどを応援するインセンティブ制度※1 の検討などを行います 生活習慣の改善から始める認知症やロコモティブシンドローム※2 の予防に関する取組みを,市・区・校区で体系化し,高齢期前から重点的に実施することを検討します。特に大学等と連携し,科学的根拠に基づいた保健指導ツールの活用や,運動・栄養などの保健指導等による予防効果等の分析とその結果の活用など,効果的な取組みについて検討し,推進していきます 認知症については,予防からケア支援まで 切れ目なく取り組む必要があるため,認知症の人や介護する人への支援については高齢者分野の「基本目標3 認知症施策の推進」p162からp167参照 に記載します ※1 インセンティブ制度:インセンティブ制度は市民の健康づくりなどの取組みに対して報奨を付与する制度で,これにより市民の行動変容を促進するもの。取組みに応じてポイントを付与し,市民は貯めたポイントで特典を得られるなどの仕組みがある ※2 ロコモティブシンドローム:p237参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 介護予防教室65歳からの健康づくり教室 :自宅でできる内容を中心とした運動,認知症予防などの講話,口腔体操など各健康づくりプログラムを開催。教室終了以後は,健康づくりに取り組む市民を増やすため,自主グループとして活動できるよう支援を実施 生き活きシニア健康福岡21:保健師などが,地域で健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座を実施する「生き活き講座」及び「認知症予防教室」などを開催 健康教育・健康相談:生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 「関連する施策」 ※認知症医療提供体制については,健康医療分野の施策2ノ2 p89参照 ※認知症施策の推進については,高齢者分野の施策3ノ1から3ノ3 p165から167参照 ※認知症施策に携わる介護人材の確保については,高齢者分野の施策4ノ4 p173参照 ※介護予防については,高齢者分野の施策4ノ1 p171と関連あり 77ページ 施策1ノ2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 生活習慣病の早期発見のため,保健福祉センターや医療機関などでメタボリックシンドローム※ に着目して実施する特定健診・特定保健指導や胃,大腸,肺,子宮,にゅうぼうなどの部位で実施する各種がん検診等を受診しやすい環境の整備を進めていきます。特に退職後の男性に対し,健診や健康づくりに取り組めるよう啓発を進めます 生活習慣病対策を進めるにあたっては,保健福祉センターや福岡市健康づくりサポートセンターを中心に,予防に取り組んでいきます。特に,サポートセンターでは糖尿病をはじめとする生活習慣病の重症化予防を推進します 口腔保健支援センターを核に,歯科口腔保健事業を総合的・効果的に推進します。 禁煙・受動喫煙防止対策を進めるため,「福岡市たばこ行動指針」の改定を行い,たばこがもたらす健康被害についての啓発,禁煙を希望する人へのサポートなどに積極的に取り組みます。 今後,高齢化に伴い,がん患者の増加も見込まれるため,がん患者,そのご家族及びがん患者会への支援についても検討を行います ※ メタボリックシンドローム:p237参照 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 特定健診・特定保健指導 よかドック :40から74歳の福岡市国民健康保険被保険者を対象とした生活習慣病予防のための健診,その結果に応じた適切な情報提供及び特定保健指導 よかドックサーティ&ヘルシースクール:30歳代を対象に特定健診とほぼ同一内容の健診及び保健指導を実施 がん検診:胃がん,大腸がん,肺がん,子宮頸いがん,にゅうがんなどの各種がん検診 健康教育・健康相談【再掲】:生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 糖尿病重症化予防:福岡市健康づくりサポートセンターを中心に糖尿病予備群または患者に対する保健指導 歯科節目健診シシュウ疾患検診 :35,40,50,60,70歳の市民を対象にしたシシュウ疾患検診 福岡市たばこ行動指針の改定:たばこについて社会全体で取り組む行動指針である「福岡市たばこ行動指針」の改定を検討・実施 78ページ 施策1ノ3 女性の健康づくりの推進 保健福祉センター等で実施する各種健診の場の活用,企業や民間事業所等との連携により,ライフステージに応じた女性の健康づくりを推進します 若い女性の低体重 やせや 喫煙,妊娠中の飲酒などは,本人の健康への影響だけでなく,妊娠・出産など,子どもの健康面への影響が大きいため,若い頃から,基本的な生活習慣を身につけることができるよう,取組みを進めていきます 女性の骨粗しょう症検査の受診促進やロコモティブシンドローム※ の啓発など,若い頃から要介護状態にならないための取組みを進めていきます ※ ロコモティブシンドローム:p237参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 若い世代の料理教室:食事の大切さや料理の楽しさを体験できる料理教室 女性の健康相談:女性特有の健康問題に対する個別相談 骨粗しょう症検査:骨粗しょう症検査,及び「要指導」と判定された人に食生活等を指導 施策1ノ4 次世代の健康づくりの推進 保健福祉センターや地域団体,保育所・幼稚園,学校など関係機関と家庭が連携して,基本的な生活習慣の定着を図り,次世代を担う子どもが,自立し健康に生きる力を育むことができるよう,心とからだの健康づくりを推進します 乳幼児の心身の健やかな成長と 疾病や障がいの早期発見・早期治療などのため,乳幼児健診を行い,必要に応じて,保健指導や関係機関への紹介などを行います 育児を行う親の健康づくりを支援する環境づくりにも取り組みます 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 乳幼児健康診査:4か月児,10か月児,1歳6か月児,3歳児を対象にした健康診査 母子保健訪問指導:保健師や母子訪問指導員等による妊娠・出産や育児に関する保健訪問指導 食育推進事業:子どもの健全な食習慣の形成等のための,保健福祉センター等での離乳食教室や親と子の料理教室等 各学校における体力向上の取組み:各学校における児童生徒の体力の実態と課題の把握,及び実態に応じた体力向上に関する指導等 関連する施策 ※障がい児支援の取組みについては,障がい者 分野の施策6ノ1 p224参照 79ページ 施策1ノ5 心の健康づくりの推進 メンタルヘルスや休養・睡眠に関する正しい知識の普及啓発に努め,心の健康づくりを推進します 心の病気の正しい理解と早期発見・早期治療の啓発を行うとともに,精神障がいのある人や心の病のためにひきこもっている人などが,地域で安心して生活できるように,本人や家族等への相談支援体制の充実を図ります 自殺予防対策については,社会全体で取り組むべき課題であり,「福岡市自殺対策総合計画」に基づき,ゲートキーパー※ 非専門家の支援者 の養成や自殺未遂者への支援など,自殺対策を総合的に推進します ※ ゲートキーパー:悩んでいる人に気づき,声をかけ,話を聞いて,必要な支援につなげ,見守る人のこと 【現在の主な事業】 表 以下は,事業名,事業概要の順です 精神保健相談・訪問指導事業:心の健康相談,訪問指導,講演会や啓発イベント等 自殺予防対策事業:うつ予防教室,ゲートキーパー養成講座,自殺予防キャンペーン,自殺予防情報センター事業等自殺対策 ボランティア活動支援等事業:ボランティア講座,精神保健家族講座等 アルコール保健対策:アルコール関連問題に関する知識の普及啓発,適正飲酒指導,アルコール依存症等の相談 80ページ 施策1ノ6 地域や職場などでの健康づくりの推進 地域の特性に合わせ,健康づくり講座や運動・栄養・休養等のプログラムを提供する事業を実施します。実施にあたっては,校区担当制による保健師活動を中心に,地域組織や自主グループなど,住民と行政の共働※1 による住民主体の健康づくりを推進します 市全体での健康づくりの機運を醸成するため,職場での健康づくりや健康食などの商品開発,健康づくりに関する地域貢献などについて積極的に取り組む企業や団体を増やすための取組みを検討します ※1 共働:p232参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 健康教育・健康相談【再掲】:生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 健康日本21福岡市計画推進事業 区・校区事業 :区や校区において,地域の様々な団体で構成される健康づくり実行委員会等の設置とともに,ウォーキンググループの活動支援や健康づくり発表会の開催など,地域の特性に合わせた健康づくりの実施 衛生連合会※2 の活動支援:地域で健康づくりを進める衛生連合会の活動支援 食生活改善推進員協議会の活動支援:地域で食育分野の健康づくり活動を行う食生活改善推進員協議会の支援 健康日本21福岡市計画推進会議の開催:企業,大学,民間団体,行政,医療関係者など,健康づくりに関する多様な団体から組織された会議 ※2 衛生連合会:p232参照 81ページ 施策1ノ7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 市民が健康づくりに関心を持ち,気軽に取り組むことができるよう,様々な健康づくり支援の仕組みづくりに積極的にチャレンジします。主な事業として,健診受診や健康イベントへの参加,ウォーキング等の健康活動をポイント化し,市民に還元する事業や,教室参加型ではなく,市民がいつでもどこでも好きなときに参加できる通信型健康づくり事業などを推進します 高齢者や障がいのある人をはじめ,誰もが健診を受けやすく,また,健康づくりに取り組みやすい環境づくりを進めます。特にハード面では,安心して外出できるよう,歩道のフラット化などユニバーサルデザイン※ に基づいた道路整備や歩道の設置等による歩車分離などを進めるとともに,身近な場所で健康づくりに取り組めるよう,公園への健康遊具の設置などを進めます また,歴史文化・観光施設や景観の良い場所などの地域資源を活かすなど,地域で取り組んでいるウォーキングマップづくりを支援し,ウォーキングホームページなどで広報を行います 健康づくりに関する種々のデータ把握と,その分析など科学的根拠に基づく効果的な施策展開のための仕組みづくりを進めます ※ ユニバーサルデザイン:年齢,性別,能力,背景等にかかわらず,できるだけ多くの人が自由に快適に利用でき,行動できるように,ものづくり,情報,サービスや街づくりなどあらゆる場面で,あらかじめ,思いやりのある配慮を行うという考え方 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 健康づくりポイント事業の実施 ふくおか健康マイレージ :ウォーキングなどの毎日の健康づくりや健診受診,イベント参加などの活動をポイント化し,市民にインセンティブを付与する事業 健康づくり・スポーツサイトによる情報発信:健康づくり情報を集約化したホームページを運営 シンク・ヘルス・プロジェクト:10月の健康づくり月間における企業等と連携した健康づくり関連事業,広報展開 健康づくりイベントの開催:誰もが安心して参加・交流できる健康づくりイベント「健康フェア」や「健康づくりフェスタふくおか」等 82ページ 魅力的な活動の場づくり 外出や運動しやすい環境づくり :公園への健康遊具の設置,歩道のフラット化や歩車分離など,市民が安心して気軽に外出や運動ができる環境整備 歩きたくなるまちづくりの推進:ウォーキングマップづくりの支援・ウォーキングホームページ等による広報 関連する施策 ※インセンティブ制度(高齢者)については,高齢者分野の施策1ノ1 p152 ,2ノ3 p160参照 ※ユニバーサルデザインについては,地域分野の施策5ノ4 p142参照 基本目標2】医療環境の整備 現状と課題 1.在宅医療※ ・介護連携 高齢化が急速に進む中で,高齢者が医療と介護が必要になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,在宅医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりが求められています 現在,市内で亡くなる方のうち,8割以上の方が病院で,約1割の方が自宅で亡くなっていますが,平成27年版高齢社会白書によると,55歳以上の方の54.6%が自宅で最期を迎えたいと望んでいます 今後,団塊の世代が,後期高齢者75歳以上の高齢者 となり,医療と介護が必要となる割合が急増する平成37年2025年 に向けて,地域の医療・介護関係機関と協力して,在宅医療・介護が連携した体制づくりを行う必要があります ※ 在宅医療:p233参照 図表50】平成25年福岡市における死亡場所別にみた構成割合  出典「平成25年度保健統計年報」福岡市  回答数:10849  グラフ 以下は,円グラフの数値です。  病院 82.1% 診療所 1.3% 介護老人保健施設 0.7% 老人ホーム 2.9% 自宅 11.1% その他 2.1% 図表51】最期を迎えたい場所  出典:平成27年版高齢社会白書」内閣府 を基に作成  注釈 対象:全国55歳以上の男女  回答者数:1919  グラフ 以下は,円グラフの数値です  自宅 54.6% 医療施設 27.7% ケア付き住宅 4.1% 特養などの福祉施設 4.5% 子どもの家 0.7% 兄弟姉妹など親族の家 0.4% その他 1.1% わからない 6.9% 83ページ 2.認知症医療提供体制 高齢化の進展に伴い,認知症の人の増加が見込まれており,厚生労働省の報告によると,平成37年2025年 には,65歳以上の高齢者に対する割合は,5人に1人になると予測されています 認知症の人が住み慣れた地域で生活できるよう,認知症の状態に応じた適時・適切な医療を受けられる体制が必要です 3.難病患者の療養支援等 国の難病対策においては,昭和47年1972年 に「難病対策要綱」が策定されて以来,42年ぶりに対策を見直し,平成26年2014年 5月に「難病※1 の患者に対する医療等に関する法律」が公布され,平成27年2015年 1月に施行されました 本市においても,これまでも実施してきた訪問相談事業や福祉サービスなどに加え,同法に基づき,地域で生活する難病患者が安心して療養できるよう,公平かつ安定的な医療費助成を行うとともに,関係機関とのネットワークによる,医療・生活・就労等の支援ニーズに対応した適切なサービス提供が求められます 医療依存度※2 の高い在宅難病療養者に関して,在宅療養体制の整備及び平常時からの災害対策の検討が必要です ※1 難病:p235参照 ※2 医療依存度:バイタル 脈,呼吸,体温,血圧,意識レベル の測定や経管栄養,人工呼吸器の管理など医療的ケアを常時必要とするなど,生命の維持に医療が欠かせない状態の度合い 図表52】福岡市の難病関係医療受給者数の推移  出典:福岡市  注釈 平成25年度までは56疾病,平成26年度は110疾病 グラフ  以下は,年度,受給者数の順です。  平成21年度2009年度  7497  平成22年度2010年度  8032  平成23年度2011年度  9305  平成24年度2012年度  9116  平成25年度2013年度  9687  平成26年度2014年度  9958 84ページ 4.急患・災害時医療体制 市立急患診療所の患者の増加,中でも小児科の患者が増加していることに伴い,待ち時間が長時間化しており,患者の待ち時間対策について検討が必要です。特に,風邪やインフルエンザが流行する患者急増期は体制を増強して対応を図っていますが,さらなる診療体制の強化,及び市民に向けた救急医療に関する広報・啓発を強化する必要があります 災害時における医療を確保するため,福岡市医師会や福岡県等の関係機関との連携強化が必要です。また,中長期にわたる被災者の健康維持においては,特に避難所等の公衆衛生対策,慢性疾患対策,心のケアが必要です 図表53】急患診療センター小児科,急患診療所小児科の患者数の推移  出典:福岡市 注釈 平成24年1月より,急患診療センター小児科では,受診対象年齢を「15歳まで」から「12歳まで」に変更 グラフ  以下は,年度,急患診療センター,急患診療所,合計患者数の順です  平成17年度2005年度  33622 5447 39069  平成18年度2006年度  34028 6466 40494  平成19年度2007年度  34484 6191 40675  平成20年度2008年度  35306 5985 41291  平成21年度2009年度  47262 11490 58752 新型インフルエンザ流行   平成22年度2010年度  39394 6820 46214  平成23年度2011年度  41484 6505 47989  平成24年度2012年度  38038 5471 43509  平成25年度2013年度  38490 5910 44400  平成26年度2014年度  37248 5688 42936 85ページ 5.市立病院等 福岡市立こども病院においては,小児医療及び周産期医療※1 の提供を行っています。福岡市民病院においては,高度救急医療の提供及び感染症対策,災害発生時の緊急対応等を行っています 両病院共に,地方独立行政法人※2 制度の特徴である自律性,自主性を最大限に発揮し,医療を取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しつつ,効率的な病院経営を行っています 今後も,健全な病院経営のもと,引き続き,地域の医療機関等との機能分担や連携を図るとともに,高度専門医療,救急医療等を提供し,地域における医療水準の向上,市民等の健康の維持及び増進に寄与していくことが必要です ※1 周産期医療:妊娠後期から出産までの母体と,その子ども 新生児早期 に対する総合的な医療のこと。産科と小児科による一貫した医療提供体制が必要となる ※2 地方独立行政法人:p235参照 福岡市民病院 救急診療棟 写真 外観写真が掲載されています  建物概要  1階 救急処置室,感染症専用診察室,MRI※3   2階 講堂 非常時は仮設病床50床   3階 第2医局,更衣室等  4階 感染症病棟4床  ※3 MRI:磁気共鳴画像の略称。磁気の力を利用して,あらゆる角度から体内の断面像を撮影する「磁気共鳴画像検査」を行うための医療機器のこと 【図表54】福岡市立こども病院 居住地別 外来・入院患者構成比 平成26年度   出典:「年報2014年度平成26年度 」福岡市立こども病院  グラフ  以下は,居住地,構成比 単位は% の順です  外来延患者   福岡市 60.1 東区 13.4,博多区 5.8,中央区 7.7 南区 6.8,城南区 3.3,早良区 11.2,西区 11.9   福岡市を除く福岡県内  29.3 福岡都市圏 23.4 福岡都市圏外 5.9   福岡県外 10.6 九州8.4,中国・四国 1.3,その他 0.9   入院延患者   福岡市 46.4 東区 12.7,博多区 4.3,中央区 4.6 南区 4.0,城南区 2.7,早良区 8.3,西区 9.8   福岡市を除く福岡県内  25.6 福岡都市圏 18.0 福岡都市圏外 7.6   福岡県外 28.0 九州 22.5,中国・四国 2.4,その他 3.1  86ページ 島しょ診療所※1 については,島民のかかりつけ医となり,家族の病歴 健康状態 薬のアレルギーの有無,日頃の生活環境などを把握し,より適切な治療やアドバイスが行えるため,島民にとっては貴重な医療施設となっています。このため,できるだけ医師を固定化し,継続的な医療の提供が必要です ※1 島しょ診療所:島の診療所のことで,福岡市では玄界島,能古島,小呂島に診療所を設置している 6.医療安全等対策 医療は人の生命,身体に関わるサービスであり,適切な医療の提供が市民の健康に直結することから,良質かつ安全な医療の提供を行うためには,地域の医療機関に対し,適切な指導や情報提供を行っていくことが重要です 薬局については,患者本位の医薬分業※2 が十分には進んでいない状況にあり,今後はかかりつけ薬局として,地域住民の健康づくりを支える役割を担うことが必要です 医療費削減に有効なジェネリック医薬品※3 の普及が十分には進んでいない状況です ※2 医薬分業:薬の処方は医師又は歯科医師が,調剤や薬歴管理,服薬指導を薬剤師が分担して行い,それぞれの専門性を発揮して医療の質の向上を図ろうとする制度 ※3 ジェネリック医薬品:新薬の特許が切れた後に製造販売される,新薬と同一の有効成分を同一量含み,同一の効能 効果を持つ医薬品のこと 7.医療の国際化 福岡市の在住外国人数,一時滞在外国人数は,共に増加傾向にあります 受付から会計まで,外国人に十分に対応できる医療機関は少なく,外国人が医療機関を受診する際に,言葉による大きな壁があることから,外国人に向けた医療環境を整える必要があります 図表55福岡市内在住の外国人数の推移 出典:福岡市統計書 福岡市  グラフ 以下は,国名,平成22,23,24,25,26年度の人数の順 総数 23651 24555 24155 25963 27459 中国 12176 12526 11911 11840 11246 韓国 朝鮮 6226 6277 6242 6198 6264 ネパール 473 624 867 1712 2503 ベトナム 307 426 485 1335 2006 フィリピン 899 955 914 944 1008 その他 3570 3747 3736 3934 4432 87ページ 図表56】福岡空港,博多港からの入国外国人  出典「出入国管理統計」法務省  グラフ  以下は,年度,福岡空港,博多港,総数の順です。  平成22年度2010年度  483651 276959 760610  平成23年度2011年度  407233 180038 587271  平成24年度2012年度  560623 206636 767259  平成25年度2013年度  687020 199253 886273  平成26年度2014年度  884143 193167 1077310 図表57】病院探しで困った経験  出典:「福岡市外国籍市民医療アンケート調査報告書 平成26年度 福岡市   平成26年度回答数:410人 グラフ  以下は,円グラフの内容です  ある 57.4%  ない 39.6%  無回答 3.0% 図表58】不満の内容  出典:「福岡市外国籍市民医療アンケート調査報告書 平成26年度 福岡市   平成26年度回答数:410人 グラフ  以下は,棒グラフの内容です  病院代が高い 57.2%  言葉が通じない 40.8%  その他 19.7% 平成26年2014年 3月に国家戦略特区※ に選定され,規制改革を利用して高度な医療の提供に取り組む環境が整いつつあります ※ 国家戦略特区:日本の経済活性化のために,地域限定で規制や制度を改革し,その効果を検証するために指定される特別な区域のこと 88ページ 施策の方向性 福岡市は,身近なところに多数の医療施設が存在するなど,医療環境に比較的恵まれていますが,今後の高齢者人口の増加などに伴う認知症や 急性期※1 から回復期※2 までの幅広い医療需要の増加への対応,外国人に対応できる医療の提供など,様々なニーズに応じた医療環境の充実が必要となっています 限られた医療資源※3 の中で,市民に良質な医療を継続して提供できるよう,取り組みます ※1 急性期:症状が急激に現れる時期,病気に なり始めの時期 ※2 回復期:患者の容態が急性期症状から脱し,病気が治癒に向かっている時期 ※3 医療資源:医師・歯科医師・薬剤師・看護師・臨床検査技師・その他医療スタッフなどの「人的資源」,病院,診療所,保健施設などの医療施設,医療機器,医療材料などの「物的資源」などのこと 施策2ノ1 在宅医療※4 介護連携の推進 高齢者が医療や介護が必要になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,区保健福祉センターが中核となって,いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター※5 とともに,地域の医療・介護関係者と協力して,在宅医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりや 医療・介護関係者のための相談支援体制づくり,情報共有システムの開発などに取り組み,高齢者本人や家族の支援に努めます ※4 在宅医療:p233参照 ※5 地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができるように,健康や福祉,介護などに関する相談を受けたり,その人の身体状況に最も適したアドバイスを行うなど,必要な支援を包括的に担う機関。福岡市では,おおむね中学校区ごとに57か所・2支所設置している。平成27年12月現在  現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 地域包括ケア情報プラットフォームの構築:在宅医療の提供体制整備や 医療・介護関係者連携のための情報分析及び活用を行う「地域包括ケア情報プラットフォーム」を構築 在宅医療コーディネーター 仮称 の設置:医療・介護関係者から在宅医療に関する相談を受け,支援を行う「在宅医療コーディネーター 仮称 」の設置を検討 89ページ 医療・介護関係者への研修:在宅高齢者を支える専門職が連携するための症例検討会や研修会等 在宅医療・介護に関する市民啓発:市民一人ひとりが健康や将来の生活について考えるための在宅医療や介護に関する講演会等 関連する施策 ※地域包括ケア情報プラットフォームについては,高齢者分野の施策5ノ3 p178参照 施策2ノ2 認知症医療提供体制の整備 福岡市医師会や認知症疾患医療センター※1 を中心とした,早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに,かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や,かかりつけ医への助言や専門医療機関と いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター※2 等との連携の推進役となる認知症サポート医の養成を行います 認知症が疑われるが受診を拒否する人などの自宅を訪問し,初期の支援を包括的・集中的に行い,適切な医療・介護サービスにつなげていく体制をつくります ※1 認知症疾患医療センター:p236参照 ※2 地域包括支援センター:p88参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 認知症医療連携システム:認知症の人の早期発見・早期治療につなげるための医療機関連携システムを福岡市医師会や認知症疾患医療センターと連携して運用 認知症疾患医療センター:認知症に関する専門医療相談や鑑別診断,認知症に関する啓発等を行う認知症専門医療機関の運営 認知症地域医療支援事業:かかりつけ医や病院勤務の医療従事者を対象にした認知症対応力向上研修を開催 関連する施策 ※認知症予防については,健康・医療分野の施策1ノ1 p76参照 ※認知症施策の推進については,高齢者分野の施策3ノ1から3ノ3 p165から167参照 ※認知症施策に携わる介護人材の確保については,高齢者分野の施策4ノ4 p173参照 90ページ 施策2ノ3 難病※1 対策の推進 難病には様々な症状があり,また,症状に変動があることなど,一般的には理解されにくい難病の特性について十分理解した上で,在宅難病療養者の社会参加を支援し,地域で尊厳を持って生活できるよう,難病療養者とその家族の声を十分に把握しながら支援の充実に努めます 平成30年度2018年度 に予定されている福岡県からの移譲事務 特定医療費(指定難病)助成事業,在宅人工呼吸器使用患者支援事業 のスムーズな事務事業の移行を実施するとともに,保健福祉センターほか関係機関が緊密に連携し,地域の実情に応じた体制整備を図り,医療・生活・就労等の支援ニーズに対応したきめ細かな在宅療養支援を行います ※1 難病:p235参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 特定医療費指定難病 助成:指定難病306疾病 平成27年7月1日改正 について,「指定難病の保険診療に係る医療費の自己負担分の一部が公費負担となる事業」の申請等に関する受付事務を各区保健福祉センターで実施 県からの受託事業  特定疾患治療研究事業:対象疾患4疾患 平成27年1月1日改正 について,「療養費の自己負担分の一部が公費負担となる事業」の申請等に関する受付事務を各区保健福祉センターで実施 県からの受託事業  小児慢性特定疾病医療費助成事業:小児慢性特定疾病※2 704疾病 平成 二十七年1月1日改正 に罹患している児童について,医療費の自己負担分の一部を助成 難病患者等訪問指導事業:難病患者及び慢性関節リウマチ患者に対し,保健師などが訪問し,療養に必要な保健指導を実施 難病患者相談会等:難病患者・家族などを対象に難病に関する講演会や相談会などを各区保健福祉センターで開催 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業:難病患者などの多様化するニーズに対応した 適切なホームヘルプサービスを提供するため,必要な知識,技能を有するホームヘルパーを養成 ※2 小児慢性特定疾病:児童又は児童以外の満20歳に満たない者が当該疾病にかかっていることにより,長期にわたり療養を必要とし,及びその生命に危険が及ぶおそれのあるものであって,療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が定めるもの 関連する施策 ※難病患者支援については,障がい者分野の施策1ノ10 p202参照 91ページ 施策2ノ4 急患・災害時医療体制の充実 市立急患診療センター・診療所における患者の増加,特に小児科患者の増加に対応するため,必ずしも急を要しない患者はできるだけ診療時間内に診療所を受診していただくよう,市民への救急医療に関する広報・啓発の充実に取り組むとともに,安全・安心な医療を提供するため,関係機関と協議し,休日,夜間等における診療体制の確保に努めます 災害時における医療を確実に提供するため,医師会等との連携強化及び福岡県等との協力体制の構築を図ります。また,中長期にわたる被災者の健康維持のため,避難所等の公衆衛生対策,慢性疾患対策,心のケア等を関係機関と連携して実施します 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 市立急患診療所事業:市立急患診療所を設置し,休日等における急病患者に適切な医療を提供 関連する施策 ※精神科救急医療については,障がい者分野の施策1ノ8 p200参照 92ページ 施策2ノ5 市立病院等の充実 福岡市立こども病院においては,小児に係る地域医療及び高度専門医療を担う小児総合医療施設として,小児医療及び周産期医療※1 のさらなる充実を図ります 福岡市民病院においては,高度専門医療を担う地域の中核病院としての機能を維持するとともに,高度救急医療のさらなる充実を図り,新型インフルエンザ等の感染症発生時や災害発生時においては,福岡市における対策の中核的役割を果たします 両病院共に地域医療支援病院※2 としての役割を踏まえて,地域の医療機関とのさらなる連携を図ります 離島における島しょ診療所※3 については,関係機関と連携し,担当医師等を安定的に確保し,島民への適切な医療提供に努めます ※1 周産期医療:p234参照 ※2 地域医療支援病院:地域医療の確保を図るため,かかりつけ医等からの紹介患者に対する医療の提供.救急医療の提供等の役割を担う病院のこと ※3 島しょ診療所:p235参照 【現在の主な事業】 表 以下は,事業名,事業概要の順です 市立病院事業:地方独立行政法人※4 福岡市立病院機構が運営する,福岡市立こども病院及び福岡市民病院の市立2病院において,市民等に対する安全・安心な医療を提供 市立島しょ診療所事業:市立島しょ診療所を設置し,島しょの住民にその健康保持に必要な医療を提供 ※4 地方独立行政法人:p235参照 93ページ 施策2ノ6 医療安全等対策の推進 医療に関する患者や家族等からの相談に対し適切に対応します。また,医療施設における院内感染や事故防止のため研修会を開催するとともに,医療施設に対して良質で安全な医療の提供に向けた指導や啓発を行います。 薬局が地域に密着し,市民の健康づくりを支援する役割を果たすことができるよう,医薬分業※1 等の啓発に努めます。さらに,ジェネリック医薬品※2 の使用促進について,市民への啓発に努めます ※1 医薬分業:p231参照 ※2 ジェネリック医薬品:p233参照 【現在の主な事業】 表 以下は,事業名,事業概要の順です 医療安全相談窓口:各区保健所窓口において,医療に関する市民からの相談や苦情などに対応 医療監視:病院,診療所などが関連法規を遵守し,適正な管理を行っているかを検査するための施設立入調査 医薬品に関する啓発講習会:かかりつけ薬局の推進やジェネリック医薬品の普及等を目的とした市民向けの講習会 施策2ノ7 医療の国際化の推進 福岡県との共同事業により,福岡アジア医療サポートセンターを運営し,外国人向けに医療に関する問い合わせに対応するとともに,医療機関向けに医療通訳派遣及び電話通訳を行います 国家戦略特区※3 選定を契機として,高度な医療技術を有する外国医師による診療を活用した事業などを行います ※3 国家戦略特区:p233参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 福岡アジア医療サポートセンター:福岡県と共同して外国人向けに医療に関する案内を行うとともに,医療機関向けに通訳サービスを提供 医療の国際化に関する事業補助:市内医療機関における,高度な医療技術を有する外国医師による診療を活用した事業に対する補助 94ページ 基本目標3 健康で安全な暮らしの確保 現状と課題 1.感染症対策 1  一般防疫※1  ・感染症については,入院事例を含む個別症例のほか,保育所や高齢者施設等の社会福祉施設や医療機関などにおいて,腸管出血性大腸菌感染症,ノロウイルスによる感染性胃腸炎などの集団感染事例も継続して発生しています。また近年,風しんやデング熱などの全国的流行が見られており,各種感染症の予防や発生時のまん延防止について,適切な措置と継続的な情報提供を行うことが必要です 図表59 福岡市における腸管出血性大腸菌感染症発生状況   出典:福岡市 表  以下は,年度,発生届出数 うち入院者数 ,うち集団発生件数,人数の順です  17年度、61 14 0 0 18年度、95 23 3 22 19年度、115 18 1 12 20年度、83 10 1 19 21年度、113 13 2 22 22年度、85 10 0 0 23年度、75 6 3 11 24年度、93 11 2 21 25年度、148 12 2 90 26年度、68 5 2 21 2 予防接種 小児の予防接種については,おおむね95%を超える接種率を維持していますが,学童期に実施する2種混合第2期,日本脳炎第2期の接種率は60から70%とやや低い状況です 今後,新たなワクチンの定期接種化も検討されており,複雑化する予防接種制度を適切かつ安全に運用することが重要です 3 結核対策 ・結核患者数は,減少傾向にあるものの,毎年約200名の患者が新たに生じるなど最大の慢性感染症であり,罹患率の減少傾向は鈍化しています 高齢者や外国生まれの結核患者など 結核発症リスクの高い特定の集団が存在する等,地域の実情に応じた重点的な事業実施が必要です ドッツ※2 直接服薬確認療法 の普及によって治療完遂に向けた患者支援を行い,再発や多剤耐性菌※3 の発生を防止して,結核感染の連鎖を断つことが重要です ※1 :一般防疫:感染症一般について行う,発生や流行の予防活動のこと ※2 :ドッツ:直接服薬確認療法の略称。確実な服薬のため,服薬支援者が患者の服用を確認する行為のこと ※3 多剤耐性菌:多くの抗菌ヤク 抗生剤 がきかなくなった細菌のこと 95ページ 【図表60】結核罹患率の年次推移 出典:「結核登録者情報調査年報集計」厚生労働省  グラフ 以下は,年次平成 ,福岡市,全国の罹患率人口10万タイ の順です 元年1989年 46.7 43.1 5年1993年 38.5 38.0 10年1998年 30.4 32.4 15年2003年 23.2 24.8 17年2005年 22.4 22.2 18年2006年 21.8 20.6 19年2007年 21.2 19.8 20年2008年 20.9 19.4 21年2009年 19.3 19.0 22年2010年 18.3 18.2 23年2011年 14.9 17.7 24年2012年 15.5 16.7 25年2013年 15.0 16.1 26年2014年 14.3 15.4 【図表61】平成26年福岡市新登録結核患者割合 年代別   出典:「結核登録者情報調査年報集計」厚生労働省   注釈 平成26年福岡市における新登録結核患者数 218人 グラフ 以下は,年齢,割合の順です  0から39歳 18% 40から64歳 19% 65歳以上 63% グラフ 以下は,年齢,男,女の患者数の順です。  0から14歳 0 1 15から19歳 0 0 20から29歳 14 9 30から39歳 8 8 40から49歳 8 6 50から59歳 13 3 60から69歳 24 6 70から79歳 22 21 80歳以上、三十九 36 【図表62】新登録結核患者に占める外国生まれの結核患者割合の年次推移  出典:「結核登録者情報調査年報集計」厚生労働省  グラフ  以下は,年次平成 ,福岡市,全国の割合の順です  19年2007年 3.6% 3.3% 20年2008年 7.6% 3.36% 21年2009年 6.8% 3.9% 22年2010年 9.0% 4.1% 23年2011年 5.5% 4.1% 24年2012年 6.5% 5.0% 25年2013年 14.2% 5.2% 26年2014年  11.5% 5.6% 96ページ 4 エイズ・性感染症対策 平成26年2014年 は感染者・患者数合計が49名となり,過去最多となっています。新規HIV※ ヒト免疫不全ウイルス 感染者は20から30歳代 20歳代は過去最多 ,新規エイズ患者は20歳代以上の年代を中心に増加傾向です 一方,抗体検査件数は減少傾向にあるなど,市民の関心が低下していることが懸念されており,啓発の継続・強化が重要です ※ HIV :ヒト免疫不全ウイルス の略称。エイズ発症の原因ウイルス 図表63】福岡市HIV感染者/エイズ患者の新規報告数  出典:福岡市 グラフ 以下は,年次年号は平成 ,感染者,患者の人数の順です。  17年2005年  22 4  18年2006年  20 8  19年2007年  17 7  20年2008年  20 8  21年2009年  24 15  22年2010年  24 16  23年2011年  31 11  24年2012年  30 11  25年2013年  32 7  26年2014年  34 15 5 肝炎対策 肝炎 ウイルス性肝炎 の持続感染者は,全国でB型が110万人から140万人,C型が190万人から230万人と推定されます。自覚症状がないことが多いので,適切な時期に治療を受けることなく,肝硬変や肝がんへ移行する感染者が多く存在するため,早期発見・早期治療の推進が重要です 図表64】福岡市肝炎ウイルス検査受検者累積数 出典:福岡市 グラフ 以下は,年次年号は平成 ,保健福祉センター,医療機関,合計の受検者数の順です  20年2008年  6259 18455 24714  21年2009年  7035 33415 40450  22年2010年  7497 46912 54409  23年2011年  7879 59524 67403  24年2012年  8220 71172 79392  25年2013年  8728 83637 92365  26年2014年  9301 98174 107475 97ページ 6 感染症健康危機管理体制 近年,海外で流行しているエボラ出血熱,マーズ※1 中東呼吸器症候群 等の新興感染症※2 や,今後,発生しうる新型インフルエンザ等感染症への備えとして,健康危機管理体制の充実は,国際化が進む本市にとって重要な課題の一つです ※1 マーズ:中東呼吸器症候群の略称。平成24年9月以降,サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している ※2 新興感染症:かつては知られていなかった,新しく認識された感染症で,局地的に,あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症のこと 【図表65】福岡市の感染症対策に係る体制図  資料:福岡市作成 図 以下は,図の説明です  「福岡市感染症危機管理対策本部」の役割は,総合的対策の検討及び決定・庁内の情報共有です  「福岡市感染症防疫対策会議」の役割は,具体的な防疫対策の検討及び決定です  「感染症危機管理専門委員会」の役割は,情報交換及び技術的助言・指導です  「福岡市感染症危機管理対策本部」は「福岡市感染症防疫対策会議」に対して総合的対策に基づく指示を出します。また「感染症危機管理専門委員会」は「福岡市感染症危機管理対策本部」と「福岡市感染症防疫対策会議」に対して技術的助言・指導を行います 2.薬物乱用及び薬物等の依存症対策 危険ドラッグ※3 の使用者が二次的な犯罪や健康被害を起こす事例が多発しているなど,深刻な社会問題となっており,福岡県や福岡県警と連携して 危険ドラッグをはじめとする薬物の乱用防止に取り組む必要があります 薬物等の依存症の本人や家族に対する十分な支援が行われていないため,相談体制等の充実が必要です ※3 危険ドラッグ:p232参照 98ページ 3.食の安全安心の確保 食の安全は健康で文化的な生活を営むために不可欠のものですが,まだ十分に確保できているとはいえません。また,食の安全をめぐる国内外の問題や,製造工程が複雑になり,消費者からみえにくくなったこと等により,食の安心が揺らいでいることも否めません。市民生活の基礎である食について,安全を確保し,さらには安心の確保を進めていくことが求められています 【図表66】福岡市における食中毒発生状況  出典:「平成26年度生活衛生事業統計」福岡市  グラフ  以下は,原因,平成22年2010年 ,23年2011年 ,24年2012年 ,25年2013年 ,26年2014年の件数の順です。合計以外の数値は,積み上げ棒グラフから読み取ったおよその数です  カンピロバクター 4 7 12 7 11  ノロウイルス 3 1 4 1 2  その他の細菌 2 7 4 3 0  寄生虫 1 1 0 2 2  自然毒 0 1 3 0 1  合計 10 17 23 13 16 4.環境衛生の推進 公衆浴場等の営業施設や貯水槽水道施設,社会福祉施設などは,不適切な管理が行われると健康危害の発生原因となるため,衛生水準の維持・向上が重要となっています 火葬需要の増加見込みに合わせた適切な時期に火葬炉の増設が必要です 99ページ 5.動物の愛護・適正飼育の推進 飼い主の高齢化などの理由で犬猫の飼育継続が困難となる場合や安易な飼育放棄などの問題があるため,飼い主に対する適切な助言や指導が必要です 図表67ノ1】福岡市に収容された犬の措置状況  出典:「平成26年度生活衛生事業統計」福岡市  グラフ 以下は,年度年号は平成 ,殺処分,死亡,譲渡,返還の頭数の順です  21年度2009年度  145 5 112 140  22年度2010年度  82 9 94 126  23年度2011年度  56 3 123 104  24年度2012年度  81 5 87 100  25年度2013年度  42 12 99 104  26年度2014年度 22 22 119 139 図表67ノ2】福岡市に収容された猫の措置状況  出典:「平成26年度生活衛生事業統計」福岡市  グラフ 以下は,年度年号は平成 ,殺処分,死亡,譲渡,返還の頭数の順です  21年度2009年度  1920 57 54 3  22年度2010年度  662 87 34 1  23年度2011年度  515 75 68 4  24年度2012年度  402 70 58 5  25年度2013年度  375 75 126 4  26年度2014年度  335 89 102 3 狂犬病予防注射※1 の実施率が低下していることから,飼い主に対して狂犬病※2 の恐ろしさや注射の大切さを啓発し,理解を得ることが課題です ※1 狂犬病予防注射:狂犬病予防法に基づき,狂犬病の予防・まん延を防止する目的で,飼い犬に 年1回の接種義務がある予防注射のこと ※2 狂犬病:p232参照 【図表68】福岡市における犬の狂犬病予防注射実施状況  出典:「平成26年度生活衛生事業統計」福岡市  グラフ 以下は,年度年号は平成 ,注射実施頭数,注射実施率の順です  21年度2009年度  35192 59.1%  22年度2010年度  34651 58.2%  23年度2011年度  34920 55.5%  24年度2012年度  34955 54.7%  25年度2013年度  34617 52.9%  26年度2014年度  35031 53.5% 100ページ 施策の方向性 新型インフルエンザなど感染症の脅威や危険ドラッグ※1 の乱用,あるいは食の安全をはじめとする様々な問題から市民を守り,健康で安全な暮らしを確保していく施策を中心に取り組みます ※1 危険ドラッグ:p232参照 施策3ノ1 感染症対策の推進 感染症発生動向調査などの情報管理の充実,市民一人ひとりの知識や意識の向上をめざした普及啓発,防疫体制の強化等を図るとともに,感染症が発生した場合には,適切な防疫活動により感染の拡大及びまん延を防止します 1 一般防疫※2 の推進 平時より,保健福祉センターを中心として,感染症に関する相談対応,地域団体等に対する出前講座,社会福祉施設や医療機関を対象とした研修会を開催するなど,感染症の発生予防に努めます 感染症発生時には,そのまん延を防止するため,患者・接触者等の健康調査,感染拡大防止の指導等を適切に行います また,福岡県ほか関係機関と連携し,相互の発生状況など感染症情報の収集・分析と提供・公開を行い,早期の防疫体制の確立を図ります ※2 一般防疫:p231参照 2 予防接種の推進 感染症の罹患や重症化及びまん延を予防するために,医療機関と連携し,安全で有効な予防接種事業の実施に努めます また,予防接種に関する正しい知識の普及・啓発を推進し,広報活動の効果を検証・評価の上,改善を図りながら,適正な実施の確保に努めます 3 結核対策の推進 患者の発生動向を正確・迅速に把握しながら,積極的疫学調査に基づき,感染源・感染経路の究明を的確に行い,確実な接触者健診を実施します すべての患者に対しドッツ※3 直接服薬確認療法 を実施し,治療完遂に向けた患者支援を行います また,高まん延国出身者ほかハイリスクグループ※4 等に対しては,定期の健康診断の実施促進に努めます。 さらに地域の関係機関等へ適切に情報提供及び研修を行うなど人材育成に努めながら,広く一般への正しい知識の普及・啓発を図ります ※3 ドッツ:p231参照 ※4 結核対策におけるハイリスクグループ :結核発病の危険が高い 高齢者,住所不定者,結核の高まん延地域からの入国者等 グループのこと 101ページ 4 エイズ・性感染症対策の推進 HIV※1 ヒト免疫不全ウイルス 感染者,エイズ・性感染症患者の早期発見・早期治療のため,検査事業・相談事業を推進します また関係機関と連携し,MSM※2 男性間で性行為を行う者 などの個別施策層や若年層を中心とした幅広い世代への正しい知識の普及・啓発を推進し,感染予防及び感染者・患者への差別防止を図ります ※1 HIV:p231参照 ※2 MSM:男性同性間で性行為を行う者のこと 5 肝炎対策の推進 ウイルス性肝炎の早期発見・早期治療のため,医療機関と連携し,検査事業の促進に努めます また,患者が安心して適正な治療を受けられるよう,医療費助成制度に関する十分な情報提供と相談受付・フォローアップ体制の整備を図ります 6 感染症健康危機管理体制の充実 新型インフルエンザ等感染症や新興感染症※3 の流行に備え,個人防護具等の医療資材の整備を行うとともに,検疫所や指定医療機関など関係機関と連携し,平素からの情報交換,連携体制の確認,訓練を実施します 新型インフルエンザ等感染症の発生時には,「福岡市新型インフルエンザ等対策行動計画」に基づき,関係機関と連携の上,全庁的な危機管理体制により迅速に対応し,感染拡大を可能な限り抑制し,市民の生命及び健康を守るとともに,市民生活及び市民経済に及ぼす影響が最小となるよう努めます ※3 新興感染症:p234参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 感染症一般防疫:感染症発生動向調査による情報収集及び発生時におけるまん延防止などの防疫活動 各種感染症検査事業:患者の早期発見・早期治療を目的とした各種検査事業 エイズ・性感染症,肝炎ウイルス,風しん  予防接種事業:感染症のまん延防止等のための,予防接種法に基づく各種予防接種 102ページ 施策3ノ2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 薬物に対する正しい知識の普及啓発を行うなど,市民が危険ドラッグ※ 等の害悪に巻き込まれることがないよう薬物乱用防止対策を推進します また,薬物等の依存症に関する相談事業や依存症の本人・家族へのプログラムに沿った教室等を開催し,薬物等の依存症対策に取り組みます ※ 危険ドラッグ:p232参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 薬物乱用防止対策:関係機関と連携したキャンペーンの実施や啓発資材の配布など,薬物乱用防止啓発事業 精神保健福祉専門相談:薬物などの依存症に関する電話相談と専門医師の面接相談による支援 薬物依存問題を抱える家族のための教室:薬物依存症や本人への関わり方について,家族が学ぶ教室 薬物依存症者回復支援プログラム:薬物使用をやめたい方,やめ続けたい方への回復支援プログラム 関連する施策 ※依存症対策については,障がい者分野の施策1ノ8 p200と関連あり 103ページ 施策3ノ3 食の安全安心の確保 食の安全安心を確保するためには,食品関連事業者及び行政機関がそれぞれの責務を果たすとともに,消費者にもその役割を果たしていただくことが必要です。福岡市は,自らの責務を果たすために今後とも以下の施策に取り組みます 1 食の安全確保 食品関連事業者に対する監視指導や食品の抜き取り検査を効果的・効率的に実施するとともに,食品関連事業者による自主的な衛生管理を推進するため,個々の食品関連事業者に応じた適切な支援を行います 2 食の安心確保 消費者が食の安心を感じるためには,食の安全が確保された上で,消費者が正しい情報を入手し,その情報に基づき 食を取捨選択できることが大切であると考えています。食に関する情報が氾濫する中,正確な情報を提供し続けるとともに,リスクコミュニケーション等を通して消費者の情報を読み解く力を高めていくよう支援に努めます 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 飲食店等の監視指導:飲食店等の施設基準,管理運営基準等の遵守状況の確認及び指導 食品の抜き取り検査:工場,販売店等から抜き取った食品等の規格基準等の確認 リスクコミュニケーション:食品に由来する健康被害の発生頻度や重篤度,許容範囲等について,消費者,事業者等と行う双方向的な対話 104ページ 施策3ノ4 環境衛生の推進 公衆浴場等の営業施設や貯水槽設置者に対する監視指導を実施するとともに,社会福祉施設に対して衛生上の助言や啓発を行います 火葬需要の推移を見ながら,適切な時期に火葬炉の整備を検討します 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 施設の監視:環境衛生関係施設に対する営業の許可,立入検査等 社会福祉施設の支援:社会福祉施設の環境衛生を確保するための助言や情報提供 飲用水の衛生対策:専用水道や簡易専用水道に対する立入検査等 施策3ノ5 動物の愛護・適正飼育の推進 犬猫殺処分頭数ゼロに向けて,終生飼育※1 及び不妊去勢手術※2 等の啓発を飼い主に対して行うとともに,高齢者等が飼育困難となる前の早期発見に努めます 犬の登録※3 や狂犬病予防注射※4 に関する啓発を推進します ※1 終生飼育:動物の寿命が尽きるまで,適正に飼育すること ※2 不妊去勢手術:p237参照 ※3 犬の登録:p231参照 ※4 狂犬病予防注射:p232参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 動物愛護適正飼育啓発事業:適正飼育の普及のため,犬猫の飼い主等への啓発及び動物取扱業者等への監視指導,動物愛護管理センター収容される犬猫の譲渡 動物管理事業:犬の登録,狂犬病予防注射の実施を推進し,狂犬病の発生及びまん延を予防 105ページ コラム 高齢化とペット ペットを飼っている理由 平成26年度ペットに関する市民意識調査より 複数回答   出典:「平成26年度 ペットに関する市民意識調査」福岡市  グラフ  回答数:292 複数回答   以下は,理由と割合の順です  気持ちが安らぐから 60.3%  自分が動物好きだから 42.8%  家族が動物好きだから 40.1%  育てるのが楽しいから 28.8%  子どもの情操教育のため 17.5%  捨てられた動物を助けたいから 13.0%  家庭内がうまくいくから 11.6%  防犯に役立つから 10.6%  その他 8.9%  わからない 1.4%    ねこが話しているイラスト 「福岡市では,市民の約4分の1がペットを飼っているんだよ。一緒にいることで「気持ちの安らぎ」を得られるという人も沢山いるんだね」  いぬが話しているイラスト 「でも,飼い主が高齢になって飼い続けられなくなって困っている。 という話をよく聞くんだ。人の高齢化がペットにとっての問題にまでなってきているんだね」 106ページ 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために,次の項目を成果指標とします 成果指標 表 以下は,指標項目,現状値,目標値,対応する目標,出典 の順です 1 健康づくりに取り組んでいる人の割合 20歳以上   56.1%平成26年度  75.0%平成32年度  【基本目標1】福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 2 初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均 2ノ1 男性 80.4歳平成26年度  81.0歳平成32年度  【基本目標1】保健福祉局調べ 2ノ2 女性 83.5歳平成26年度  84.1歳平成32年度 【基本目標1】保健福祉局調べ 3 特定健診受診率 23.1%平成26年度 ※1  40.0%平成32年度 ※1  【基本目標1】※1 福岡市国民健康保険特定健診結果 4 女性のがん検診受診率 過去2年以内に受診した市民の割合  4ノ1 子宮頸がん検診20から69歳  39.5% 平成25年度 34.3% 平成26年度 50.0% 平成32年度  【基本目標1】国民生活基礎調査 福岡市実施の 癌検診受診率  4ノ2 乳がん検診40から69歳  37.8%平成25年度 19.1%平成26年度   50.0%平成32年度  【基本目標1】国民生活基礎調査 福岡市実施の 癌検診受診率  5 最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合 10.0%平成26年度  11.7%平成32年度  【基本目標2】保健福祉局調べ 6 各種感染症の集団発生件数 季節性インフルエンザを除く  21件 うち一から三類感染症:3件 平成26年度 減少 平成32年度  【基本目標3】福岡市感染症発生動向調査 7 食に対して安心だと感じる市民の割合 20歳以上  47.7%平成21年度から平成23年度平均  55.0%平成34年度  【基本目標3】市政アンケート調査  ※1 協会けんぽの被保険者の受診データを追加し設定する予定。同協会からデータを取得次第,設定する    平成28年度中に取得予定  第2部 地域分野 このページに文章の記載はありません。 107ページ 第2部 地域分野 第1章 地域分野の基本理念等 1 基本理念  地域福祉とは,それぞれの地域において住民が安心して暮らせるよう,地域住民や公私の社会福祉関係者がお互いに協力して地域社会の福祉課題の解決に取り組む考え方のことをいいます。  地域福祉活動とは,地域に住む住民一人ひとりが,地域社会の一員として,地域福祉のことを考え,そこにある課題を発見し,その解決に向けて自ら取り組むことをいいます。地域で生じている問題の解決に向けて,住民同士が集まって話し合い,共に取り組む地域福祉活動の姿を確認し合うことが基本となります。  地域には様々な人々がいます。子ども,介護を受けている人,障がいのある人など,いわゆる支援や見守りが必要な人々だけではなく,会社員,学生,主婦,商店シュやそこで働く人々,古くから住んでいる人,新たに転入してきた人,外国人,これらの人々が地域社会を構成しています。そのような個人だけではなく,企業,病院,学校,介護事業者,コンビニエンスストアなども地域社会の一員です。無縁社会※1 を克服し地域福祉を推進していくには,ツナガリの再構築が不可欠となりますが,福岡市では,企業,学校,ボランティア,NPO,協同組合,病院,福祉サービス事業所等の多様な社会資源※2 が数多く存在するという都市部の強みをいかし,人に限定されない多様な主体とのつながりをつくることが重要となります。  福岡市では,小学校区ごとに組織された自治協議会※3 が地域のまちづくりの主体として活動していますが,都心部,郊外部,農山漁村部など,地域によって人口構成や生活の利便性等はもちろん,社会資源も大きく異なり,多様な姿をみせています。  超高齢社会を迎え,これから地域では生活上の課題が一層多様化し拡大するばかりでなく,新たな課題も発生してきます。その課題解決のためには,地域の特性に応じた支え合い・助け合い活動が,自治会・町内会などの小さな単位から市レベルまでの様々なエリアで効果的に展開され,元気高齢者をはじめとした様々な世代の住民,地域団体や企業,NPO,社会福祉法人等,多様な主体が積極的に参加することが求められています。 ※1から※3については,次のページの音声コードをお聞きください。 108ページ 前ページの※1〜※3です。 ※1 無縁社会:単身者の増加等により,家族,親族,地域社会における人間関係の希薄化などから,社会の中で孤立している人が増えている社会をいう。 ※2 社会資源:社会的ニーズを充足するさまざまな物資や人材のこと ※3 自治協議会:おおむね小学校区を単位として,防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら,校区を運営する自治組織  このような点を踏まえ,地域分野の基本理念を以下のとおりとします。 「基本理念」  住み慣れた地域の中で,誰もが,自分らしく日常生活を送ることができるように,住民参加と自治を基盤とし,様々な主体が地域を構成する一員として相互に連携し,支え合う福祉コミュニティを実現します。 2 計画の位置づけ  本分野は社会福祉法第107条に基づく市町村地域福祉計画として,地域福祉の方向性及び取組みを示すものであり,福岡市社会福祉協議会※1 以下,この部において「市社協」という。 が策定する「第5期地域福祉活動計画※2 」平成28年度(2016年度)から平成32年度(2020年度) と相互に連携して福岡市の地域福祉を推進します。  なお,地域福祉計画の対象分野である「高齢者」や「障がい者」,「子ども」分野については,本計画の「高齢者分野」「障がい者分野」及び「第4次福岡市子ども総合計画※3 」平成27年度(2015年度)から平成31年度(2019年度) に詳細を記載するものとし,「地域分野」とあわせて福岡市の地域福祉計画とします。 ※1 福岡市社会福祉協議会 市社協 :p236参照 ※2 地域福祉活動計画:p235参照 ※3 第4次福岡市子ども総合計画:p235参照 109ページ 3 基本目標 ・基本理念に基づき,5つの基本目標を定め,各施策を実施します。 1.地域の絆づくり ・子どもから大人まで,地域で生活する様々な人が楽しく顔の見える関係をつくる,地域づくりを進めます。 2.活動団体への支援と連携 ・地域福祉推進の柱である社会福祉協議会や民生委員・児童委員※1 以下,この部において「民生委員」という。 エの支援とともに,様々な活動団体への支援と連携を図ります。 3.支え合い・助け合い活動の推進 ・地域での支え合い・助け合い活動を進めるとともに,様々な主体による新たな生活支援サービス※2 の創出に向けた支援を行います。 4.人づくりと拠点づくり ・福祉教育の推進を図るとともに,市民ボランティアの養成に取り組みます。また地域福祉活動の拠点づくりを進めます。 5.自立した生活のための環境づくり ・市民の権利を擁護し,また,生活困窮者への支援など,すべての人が自立して生活するための環境づくりを進めます。 ※1 民生委員・児童委員:p237参照 ※2 生活支援サービス:介護保険の円滑な実施を促進するために設けられた,在宅の高齢者が介護に頼らずに自立した生活ができるように支援するために,市町村が行う保健福祉サービスのひとつ 110ページ 4 施策体系 ・基本目標に基づき,以下の体系により地域福祉施策を推進します。 推進施策 表  以下は、基本目標、施策の順です。 【基本目標1】地域の絆づくり 1ノ1 絆づくりの推進 1ノ2 校区・地区の目標づくりへの支援 【基本目標2】活動団体への支援と連携  2ノ1 社会福祉協議会への支援と連携  2ノ2 民生委員への支援と連携  2ノ3 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 【基本目標3】支え合い・助け合い活動の推進  3ノ1 見守りと助け合い活動の推進  3ノ2 災害時に備えた見守りの仕組みづくり  3ノ3 新たな生活支援サービスの創出  3ノ4 ICT 情報通信技術 の利活用 【基本目標4】人づくりと拠点づくり  4ノ1 福祉意識の醸成  4ノ2 支え手づくりの推進  4ノ3 ボランティア・NPO活動の拡充  4ノ4 地域の活動拠点づくり 【基本目標5】自立した生活のための環境づくり  5ノ1 情報提供と相談の仕組みづくり  5ノ2 権利擁護体制の充実  5ノ3 生活困窮者への相談支援体制の充実  5ノ4 ユニバーサルデザインの理念による地域づくり 111ページ 第2章 施策各論 【基本目標1】地域の絆づくり 現状と課題 1.生活圏域 ・150万人を超える人口の福岡市は,行政単位として,7つの区に分かれます。その下に,おおむね中学校区を単位に日常生活圏域 30分以内に必要な在宅サービスが提供される圏域 が設けられ,高齢者の地域における総合相談窓口である いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター※1  が設置されています。 ・地域においては,小学校区を単位として,自治協議会※2 や校区社会福祉協議会 以下,この部において「校区社協」という。 をはじめとする住民団体が組織されています。また各校区には公民館や老人いこいの家などが設置されて,ここを拠点に様々な活動が行われています。 ・校区より小さい単位として自治会・町内会が全市で約2300あり,福岡市の約80%の自治会・町内会では「ふれあいネットワーク」が組織され,見守り活動を行っています。自治会・町内会によっては地域の集会所を設けているところもあります。 ・さらに小さな単位に隣組や班といったものがあります。20世帯規模で,回覧板等が回る単位ということができます。 ・福岡市では一般的に地域コミュニティや地域といった場合,まず小学校区単位の自治協議会を示す場合が多く,実際に住民自治活動の中核となっていますが,身近な地域福祉活動は,自治会・町内会や隣組・班の単位で行われています。 ・住民活動を支援する場合,様々な圏域レベルを踏まえた上での適切な施策が必要になってきます。 ※1 地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができるように,健康や福祉,介護などに関する相談を受けたり,その人の身体状況に最も適したアドバイスを行うなど,必要な支援を包括的に担う機関。福岡市では,おおむね中学校区ごとに57か所・2支所設置している。 ※2 自治協議会:p234参照 112ページ 【図表69】地域福祉における各圏域  資料:福岡市作成 図  以下は図の説明です。  市レベルの圏域の中に区レベルの圏域が含まれ,さらにその中に中学校区レベルの圏域と 段々圏域が小さくなり,6段階に分かれています。大きな圏域から順にシルします。  市レベルの圏域:市役所,市社会福祉協議会など,全市的な計画や調整,サービスを提供する。  区レベルの圏域:区役所,保健福祉センター,区社会福祉協議会など 行政区に応じたサービスを提供する。  中学校区レベルの圏域:地域包括支援センターが設置されており,やや広域的に専門的な支援を行う。  小学校区レベルの圏域:行政機関では公民館があり,また,自治協議会や校区社会福祉協議会など 地域コミュニティが作られている。地域特性に応じた活動を展開する。  自治会・町内会レベルの圏域:住民自治の基本となる圏域で住民全員による総会や自治会単位の活動が行われている。  隣組・班レベルの圏域:もっとも身近な生活圏域で,いわゆるご近所付き合いなど生活に密着した活動を行う。 113ページ 2.地域特性 ・福岡市の小学校区は,都心・郊外・農山漁村・離島などの地域的な条件や,コ建て,集合住宅,賃貸など,住まい方の種類が組み合わさって,地域によって特色が異なります。 ・少子高齢化の進展状況も地域によって大きく異なり,高齢化率がすでに40%を超えた地域,まだ10%に満たない地域,すでに人口減少が始まった地域,人口増が続き 保育所が不足している地域など,様々です。 ・コミュニティへの支援策も様々な地域の特色に応じて行っていく必要があります。 【図表70】校区別人口ピラミッド  出典:「福岡市住民基本台帳 平成27年3月時点 」 グラフ  以下は,校区別の年齢,男,女の人数の順です。  西区姪浜  0から4歳 531 488、5から9歳 470 417、10から14歳 391 381、15から19歳 296 331  20から24歳 343 404、25から29歳 408 464、30から34歳 603 687、35から39歳 700 793  40から44歳 778 806、45から 49歳 637 581、50から54歳 477 429、55から59歳 314 297  60から64歳 299 348  65から69歳 275 302  70から74歳 186 254  75から79歳 155 198  80歳以上 191 350  東区照葉  0から4歳 340 323、5から9歳 428 409、10から14歳 320 286、15から19歳 151 148、20から24歳 45 56、25から29歳 59 91、30から34歳 183 265、35から 39歳 341 416、40から44歳 452 483、45から49歳 313 244、50から54歳 166 136、55から59歳 87 73、60から64歳 60 62、65から69歳 57 52、70から 74歳 27 34、75から79歳 21 16、80歳以上 18 44  早良区曲淵  0から4歳 0 2、5から9歳 0 1、10から14歳 2 2、15から 19歳 4 4、20から24歳 1 4、25から29歳 1 2、30から 34歳 3 1、35から39歳 2 4、40から44歳 5 1、4ジュウ5から 49歳、4 3、50から54歳 3 8、55から59歳 9 6、60から 64歳 10 5、65から69歳 4 6、70から74歳 7 12、 75 から79歳 5 12、80歳以上 10 18 114ページ ・福岡市は,5年間で全世帯の4割が異動する転入・転出が多いという特徴を持っています。また賃貸住宅の割合が政令市の中でも最も高いことなどもあり,隣に誰が住んでいるかわからない,民生委員※ が訪問してもなかなか玄関を開けてもらえないなど,顔の見える関係づくりが難しくなっています。 ※ 民生委員・児童委員:p237参照 3.地域活動への参加意識 ・地域の絆づくりは,地域分野の計画全般にわたって基盤となるものです。近所同士が必要なときに手助けできる関係性をつくっていくためには,地域活動への参加者を増やしていく必要があります。 ・市民意識調査においては,地域での支え合い・助け合い活動への参加や近所づきあいについて,半数以上の人たちが参加したい,近所づきあいをしたいと考えている一方で,実際に参加したことがある人は3割程度となっており,気軽に地域活動へ参加できるようなきっかけづくりが必要です。 【図表26】住民参加による地域での助け合い,支え合い活動への参加状況 再掲   p26と同じものです。 【図表27】住民参加による地域での助け合い,支え合い活動への参加意向 再掲   p27と同じものです。 115ページ ・地域における人のつながりを,ソーシャルキャピタル※1 社会関係資本 といいますが,平成23年2011年 の東日本大震災や,海外における調査の結果,ソーシャルキャピタルが豊富な地域では,住民の健康状態も良好であるという実証結果が出ています。今後,高齢者の健康寿命※2 を延伸するためにも,地域の絆づくりがきわめて重要です。 ※1 ソーシャルキャピタル:社会関係資本。人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる,信頼,基盤,ネットワークといった社会組織の特徴 ※2 健康寿命:厚生労働省の定義では,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」となっており,介護や支援などを受けずに,自立して日常生活を送ることができる期間のことをいう。 【図表71】地域における人のつながりについて  出典:厚生労働省 グラフ  以下は,グラフに付された説明です。  23市町村141小学校区在住の後期高齢者22721名  農村部 r=−0.32,p<0.01,  準都市部 r=−0.39,p<0.05,  都市部 r=−0.33,p=0.051  可住地人口密度:農村部 1平方キロメートルあたり0から1000人,準都市部 1平方キロメートルあたり1000から1500人,都市部 1平方キロメートルあたり1500人以上  8種類の地域組織 政治団体,業界・同業者団体,ボランティアのグループ,老人クラブ,宗教関係団体,スポーツ関係の団体,町内会・自治会,趣味関係のグループ いずれかへの参加  グループ参加率が高い 絆の強い 地域では認知症リスクシャ率が低い  ボランティアグループ等の地域組織への参加割合が高い地域ほど,認知症リスクを有する後期高齢者の割合が少ない相関が認められた。 ・地域福祉を進めるためには,地域住民自らが,地域の課題を考え,地域のめざすべき方向を確認し合うことが重要となります。そのため,様々な情報が必要となり,地域の情報を「見える化」し,提供の上,話し合いの場づくりに向けた支援が必要です。 116ページ 施策の方向性 ・自治会・町内会など小さなコミュニティを大切にし,見守りや防災といった支え合い・助け合い活動につながるような,住民相互の顔の見える関係づくりに取り組みます。 ・多くの住民が気軽に立ち寄り,交流できる「場づくり」を進めます。 ・地域の福祉課題を知り,住民の共働※1 により取り組む地域福祉活動を確認し合う場を設け,話し合いの結果をプランとして「見える化」します。 ※1 共働:p232参照 施策1ノ1 絆づくりの推進 ・身近で,楽しく,魅力ある活動が行われるよう,地域団体による様々な活動の実施を支援します。 ・楽しい活動や参加する人のやりがいや生きがいにつながるような取組みを増やすため,地域の特性を生かした様々な工夫や人材の活用などを行っている他の地域の先進事例の共有化を図ります。 ・自治協議会※2 や自治会・町内会の活動状況を地域住民に広く周知することにより,自治会・町内会の役割の重要性と加入の必要性への理解を促進します。 ・地域コミュニティの重要性について,マンションオーナーや管理会社への理解の促進を図ります。 ・地域が行う絆づくりへの支援の充実を検討します。 ・地域住民が気軽に立ち寄れる,地域住民等の運営によるふれあいサロンや地域カフェなど,人と人とのつながりを豊かにする様々な集いの場の立ち上げや運営を支援します。 ※2 自治協議会:p234参照 【現在の主な事業】 ※〔社協〕とは,福岡市・区社会福祉協議会が行う事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 地域デビュー応援事業:自治会・町内会が行う,幅広い世代の住民が気軽に楽しく参加し,交流できるような工夫を凝らした新たな取組みの支援 コミュニティ通信:自治協議会や自治会・町内会での特色ある活動事例の紹介 活力あるまちづくり支援事業:自治協議会が主体的に行うまちづくり活動を支援し,市民と行政との共働によるまちづくりを推進 多様な居場所づくりの支援〔社協〕:ふれあいサロンや地域カフェ,家族介護者のつどい等,住民の様々な交流の場づくり 立ち上げ,運営 の支援 各種事例集の発行〔社協〕:地域カフェ,生活支援ボランティアグループ活動等,先進的な事例の情報を集めた事例集の発行・共有化 117ページ 施策1ノ2 校区・地区の目標づくりへの支援 ・地域住民が自分たちの住む地域の課題を主体的に考え,共有し,解決に向けて取り組んでいくために,校区社協や自治協議会※1 等の地域団体による「校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画※2  」の策定を福岡市・区社会福祉協議会 以下,この部において「社協」という。 と連携して支援していきます。 ・地域住民が自分の地域に愛着が持てるよう,地域の魅力や特性を住民が共有し,幅広い多くの住民の参画により,楽しくまちづくりに取り組めるよう支援します。 ・様々な地域情報の「見える化」を図り,校区保健福祉事業懇談会等において積極的に提供します。 ※1 自治協議会:p234参照 ※2 地域福祉活動計画:p235参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画 の作成支援〔社協〕:住民が地域の課題を共有し,めざす姿や解決策を話し合う場 福祉座談会など を設け,地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し,住民等へ広く周知する取組みを支援 校区福祉座談会事業〔社協〕:地域住民ワークショップなどの手法を活用しながら 地域の実情を知り,課題を把握・共有し,解決策を検討する場として座談会を開催 校区データ集・校区ビジョンの作成支援:校区ごとの人口動態等の各種統計データ等を整理した「校区データ集」の作成。それを基にワークショップ等の手法を活用し,校区の目標等 ビジョン を作成する自治協議会への支援 高齢者地域支援会議:小学校レベルの“地域ケア会議”として,それぞれの地域の実情に合わせた取組みにつなげるため,地域住民,関係機関・団体,いきいきセンター 地域包括支援センター※3  ,行政等が,地域の高齢者の課題について意見交換を実施 校区保健福祉事業懇談会:地域と共働※4 による保健福祉事業を推進するため,校区の各団体代表と校区の保健福祉の課題等について情報を共有するとともに,方針や連携体制について協議を実施 ※3 地域包括支援センター:p235参照 ※4 共働:p232参照 118ページ 【基本目標2】活動団体への支援と連携 現状と課題 1.社会福祉協議会 ・社会福祉協議会は,それぞれ法人格を持つ市社協※1 と区社会福祉協議会 以下,この部において「区社協」という。 があり,市社協が本部,区社協が支部的役割を担い活動しています。さらに,住民による校区社協が地域での福祉活動の主役を担っています。 ・加速化する少子高齢化や社会経済情勢の変化により,地域では孤立死やごみ屋敷,生活困窮者の増加など,様々な問題が拡大しています。社会福祉協議会はこれらの課題解決に向けて,地域福祉ソーシャルワーカー※2 CSW を配置するなど,各種取組みを進めています。 ・今後は,アウトリーチ※3 機能のさらなる強化,政策提言能力の向上,NPOや企業・社会福祉法人等多様な主体や団体との連携・中間支援機能の強化など,より一層の活躍が求められています。このような社会的要請に応えるべく,市社協は,具体的な事業の方向性や展開方策を定める「第5期地域福祉活動計画※4 」平成28年度(2016年度)から平成 32年度(2020年度) を策定しています。 ※1 福岡市社会福祉協議会 市社協 :p236参照 ※2 地域福祉ソーシャルワーカー:地域福祉活動に携わる者・団体への支援,孤立者などへの個別支援,地域福祉課題の分析などに取り組むために,配置された専任職員 ※3 アウトリーチ:地域に出向いて課題を把握し,解決に向けて取り組むこと ※4 地域福祉活動計画:p235参照 119ページ 2.民生委員※1  ・民生委員は全市に約2300人配置され,地域の相談役として,地域住民の様々な相談に応じ,関係機関につなぐなど,福祉の現場を担っています。 ・しかしながら,多様化・増大する問題への対応のため,質的・量的にも業務が増加しており,なり手がいないという声が多数聞かれています。今後支援が必要な高齢者が地域に増大することが見込まれるため,民生委員の負担軽減とともに,その活動を支援する対策が必要です。 ※1 民生委員・児童委員:p237参照 【図表72】民生委員の活動日数の推移  出典:「福祉行政報告例」厚生労働省  グラフ  以下は,年次年号は平成,活動日数,民生委員数の順です。 5年1993年、111、1639 6年1994年、110、1650 7年1995年、109、1715 8年1996年、105、1745 9年1997年、112、1773 10年1998年、108、1,881 11年1999年、115、1896  12年、2000年、120、1,899 13年2001年、122、1964  14年、2002年、133、2030  15年、2003年、144、2,037  16年、2004年、144、2114  17年、2005年、152、2138  18年、2006年、154、2134  19年、2007年、151、2,204  20年、2008年、163、2237  21年、2009年、164、2250  22年、2010年、164、2280  23年、2011年、169、2,305  24年、2012年、172、2306  25年、2013年、166、2351  26年、2014年、171、2359 3.その他の活動団体 ・校区では,自治協議会※2 や校区社協のほか,衛生連合会※3 や食生活推進協議会,老人クラブ等の様々な団体が活動しています。地域福祉活動の推進に向け,これらの団体間の連携をより強化する必要があります。 ・従来の地域団体のほか,今後予想される支え手不足に対応していくためには,地域における公益的な取組みが義務づけられる社会福祉法人のほか,ボランティアグループ,NPO,企業等,様々な団体の地域福祉活動への参画を促していく必要があります。 ※2 自治協議会:p234参照 ※3 衛生連合会:地域における健康づくり活動等を推進することにより,健康で文化的な市民生活の増進に寄与することを目的とした団体。市,各区,各校区衛生連合会で構成され,市,区衛生連合会は地域の健康づくり活動の支援,校区衛生連合会は自治協議会の構成団体として健康づくりを中心とした地域活動を担う。 120ページ 施策の方向性 ・市民福祉の向上に多大な役割を担う社会福祉協議会の活動を支援するとともに,連携して地域福祉を推進します。 ・社会福祉の精神をもって,常に住民の立場に立って相談に応じ,必要な援助を行う民生委員※1 の活動を支援するとともに,負担軽減等の支援策を進めます。 ・社会福祉法人,ボランティアグループ,NPO,企業,大学等の地域福祉活動への参画を促進します。 ※1 民生委員・児童委員:p237参照 施策2ノ1 社会福祉協議会への支援と連携 ・福岡市の地域福祉を連携して推進していくため,市社協※2 「第5期地域福祉活動計画※3 」平成28年度(2016年度)から平成32年度(2020年度) の実施を支援します。 ・地域住民が自分たちの住む地域の課題を主体的に考え,共有し,解決に向けて取り組んでいくために,校区社協や自治協議会※4 等の地域団体による「校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画 」の策定を社協と連携して支援していきます。再掲  ※2 福岡市社会福祉協議会 市社協 :p236参照 ※3 地域福祉活動計画:p235参照 ※4 自治協議会:p234参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 社会福祉協議会地域福祉推進事業費補助金:社会福祉事業の推進に多大な 役割を果たし,市民福祉の向上を目的とした事業を積極的に実施している福岡市社会福祉協議会に対する事業費の補助 校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画 の作成支援〔社協〕【再掲】: 住民が地域の課題を共有し,めざす姿や解決策を話し合う場 福祉座談会など を設け,地域ごとの課題や特性に応じた福祉活動の展開を支援。その話し合いの過程をプランとして記録に残し,住民等へ広く周知する取組みを支援 「関連する施策」 ※校区・地区の目標づくりについては,地域分野の施策1ノ2 p117 参照 121ページ 施策2ノ2 民生委員※1 への支援と連携 ・民生委員は,住民の身近な相談役・支援者であり,行政とのパイプ役として地域福祉の重要な役割を担っていますが,業務は年々増加しており,福岡市や社協と共働※2 して取り組んでいる事業の見直し等を行うなど,負担軽減に取り組みます。 ・民生委員のスキルアップのため,必要な各種研修等を実施し,必要な知識や技能の習得を支援します。 ・民生委員の活動を市民に知ってもらうため,広報の推進を図ります。 ※1 民生委員・児童委員:p237参照 ※2 共働:p232参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 福岡市民生委員・児童委員協議会補助金:日頃から,社会奉仕の精神をもって自主的に社会福祉の増進に努め,低所得者の自立更生の支援,高齢者・障がい者・児童・母子等の福祉向上及び公的社会福祉施策への協力等を行っている民生委員の活動支援 施策2ノ3 社会福祉法人・NPO・企業等への支援と連携 ・近年では福祉課題に取り組む各種ボランティアグループやNPO等も多くなっています。また,CSR※3 社会貢献活動 の一環として地域活動に取り組む企業も増えています。様々な主体が地域福祉の推進の一翼を担っていけるよう支援します。 ・企業等の地域活動への参加を促進する仕組みを検討するとともに,セミナー等を開催し,企業と地域とのマッチングの場を提供します。 ・地域における公益的な取組みが義務づけられる社会福祉法人が行う地域福祉,社会福祉の向上に向けた活動を社協と連携して支援します。 ※3 CSR:利益の追求だけでなく,環境への配慮,地域社会への貢献を行うなど,企業の果たすべき社会的責任をいう。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 社会福祉法人による地域における公益的な取り組み に向けた協働〔社協〕:市社協連絡協議会施設部会,各種別協議会,既存の施設・事業所連絡会等の場を活用, 社会福祉法人による地域における公益的な取り組みについて検討・実施 CSRセミナー〔社協〕:企業が積極的な社会貢献・ボランティア活動に参画できるよう,企業や勤労者を対象にセミナーを開催 企業ボランティア育成事業〔社協〕:勤労者がボランティアや社会貢献活動に参画できるよう,ボランティア体験プログラムを提供 122ページ 【基本目標3】支え合い・助け合い活動の推進 現状と課題 1.見守り活動 ・福岡市では地域の見守り活動として,校区社協が中心となり,ふれあいネットワークを展開しています。前期の「福岡市高齢者保健福祉計画」や「第4期地域福祉活動計画※」ではふれあいネットワークの拡大を成果指標として掲げ,現在約8割の自治会・町内会でネットワークが組織されています。 ・また,ライフライン企業等が参画する「福岡見守るっ隊」等を結成し,より重層的な見守り体制を整えています。 ※地域福祉活動計画:p235参照 【図表73】福岡市がめざす重層的な見守り  資料:福岡市作成 図  以下は,図の説明です。  地域で支援を要する方 ひとり暮らし高齢者,障がいのある人等を中心に3重の円が取り囲んでいます。内側から順に1 地域の見守り,2 サービスとしての見守り,3 福岡見守るっ隊と書かれています。それらは,区役所,各区社会福祉協議会,いきいきセンター福岡と 支援・つなぎを行っています。それぞれの説明を以下にシルします。 1 地域の見守り  近所付き合いや地域活動としての見守り。ボランティア,お隣さん,自治会・町内会,民生委員,老人クラブ友愛訪問,ふれあいネットワーク 2 サービスとしての見守り  福祉サービスを利用する中での見守り。企業のサービス,障がい福祉サービス,NPOのサービス,在宅医療,介護保険サービス,緊急通報システム,声の訪問 3 福岡見守るっ隊  家庭訪問業務の中での見守り。宅配・運送業,コンビニ・スーパー,郵便配達, 電気,水道,ガス,新聞配達,牛乳配達,配食サービス 123ページ ・ふれあいネットワークでは,見守り活動の延長線上で近隣住民による自然な助け合いとしてごみ出しや電球交換といった簡易な生活支援活動も行われています。こうした見守り活動は,孤立死の防止という役割と共に,様々な生活上の問題や地域の課題を発見する「課題抽出ネットワーク」としての役割を持っています。今後,単身高齢者や認知症の人が増え続けるため,さらにきめの細かい見守りのネットワークづくりを進める必要があります。 【図表74】ふれあいネットワーク活動者数  出典:福岡市社会福祉協議会 グラフ  以下は,年度年号は平成,活動者数の順です。  22年度2010年度 10262  23年度2011年度 10444  24年度2012年度 10635  25年度2013年度 10644  26年度2014年度 11533 ・いざ災害が起骨た場合には,普段からの見守りや支え合いの関係が重要な役割を果たします。平常時の見守り活動と連動した,災害時に支援を要する人々を支える仕組みづくりが必要となっています。 2.交流活動・生活支援 ・地域には,高齢者などが定期的に集まり,交流を行うふれあいサロンが現在約370あり,月1回以上定期的に開催されています。地域の何らかのグループ活動への参加を通して,無理なく運動したり,会話ができる機会があることは,「生きがいづくり」の点からも大切です。このような機能を有するふれあいサロン活動が,住民の身近なところで展開されることが必要です。 【図表75】ふれあいサロン延べ活動者数  出典:福岡市社会福祉協議会 グラフ  以下は,年度年号は平成,活動者数の順です。  22年度2010年度 43662  23年度2011年度 46361  24年度2012年度 48486  25年度2013年度 50384  26年度2014年度 52014 124ページ ・在宅生活を送る高齢者を,住民による支え合い・助け合い活動だけで支援していくことはできませんが,介護等のニーズが増え続ける一方で,それに対応できるだけの専門職の確保にも限界があり,在宅生活の維持に必要なサービスをすべて介護保険制度等の公的施策で賄うことも難しくなります。効率的で良好な民間福祉サービスなど,民間のビジネスの力を今後さらに活用することが必要です。 ・また,今後大幅に増加する元気な高齢者の方々が元気なうちは支える側へ,生活支援サービス※1 等の担い手となって,一定の報酬を得ながら活動できる柔軟な形の高齢者就労 地域就労のまちづくりが大きな課題となります。 ・近年ICT※2 情報通信技術の進歩は目覚ましいものがあります。地域福祉活動の支え手の負担を軽減していくためには,こうした最新の技術の利活用を積極的に進めていく必要があります。 ・一方で,高齢者のICT利用率は他の世代に比べて低く,また,ICTに馴染みのない方も多いことから,ICT利活用にあたっては,高齢者のICTを使いこなす能力を向上させることが重要となります。 ※1 生活支援サービス:p234参照 ※2 ICT:情報通信技術の略称 施策の方向性 ・ふれあいネットワークやふれあいサロンを拡充するとともに,より効果的な実施に向けた支援策を検討します。 ・平常時の見守り活動と連動した災害時の助け合いの仕組みづくりを進めます。 ・元気な高齢者が活躍する新たな生活支援サービスの創出を支援します。 ・見守り活動などにおけるICTの利活用を進めます。 125ページ 施策3ノ1 見守りと助け合い活動の推進 ・高齢者や障がいのある人など地域において 支援を要する人々に関する情報交換と日常的な見守り活動ができるようふれあいネットワークの拡充や,活動の充実に向けて,支援の方策を検討します。また,支援を要する人々が地域で社会参加できるよう環境を整えます。 ・ふれあいサロンの拡充や,より効果的な展開に向けて支援の方策を検討します。 ・地域や校区で行われている様々な団体の助け合い活動を推進します。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 ふれあいネットワーク〔社協〕:地域住民や団体がネットワークをつくり,高齢者などの見守り活動等を実施 ふれあいサロン〔社協〕:閉じこもりがちな高齢者や 障がいのある人等の孤独感の解消や寝たきり予防のため,健康づくりやレクリエーションなどサロン活動を実施 生活支援ボランティアグループ〔社協〕:日常のちょっとした困りごとを 解決するボランティアグループの支援立ち上げ・運営。また,元気高齢者の活躍の場としての取組みを支援 家族介護者支援〔社協〕:在宅で家族を介護している人を身近な地域で支える取組みを支援 地域福祉ソーシャルワーカーCSWの配置〔社協〕:区社協の校区担当職員を全員地域福祉ソーシャルワーカー※1  CSWとして配置し,これまでのモデル的配置で蓄積した支援ノウハウを共有した,地域での見守りの仕組みづくりや助け合い活動を支援 福祉有償運送:福祉有償運送※2 運営協議会を適切に運営していくことを通して,事業者に対し,相談,助言,指導を行うほか,ボランティア運転手の養成などを支援 ※1 地域福祉ソーシャルワーカー:p235参照 ※2 福祉有償運送:タクシー等の公共交通機関を単独で利用することが困難な要介護者や障がい者等の会員に対し,NPO等が自家用自動車を使用して,有償で行うドア・ツー・ドア の個別輸送サービス 126ページ 施策3ノ2 災害時に備えた見守りの仕組みづくり ・災害時に備え,日頃から災害時に支援を要する人々に関する情報交換や見守り活動の充実を支援します。 ・地域の自主防災組織※1などが行う防災訓練への住民の参加を促すとともに,災害時に支援を要する人々への情報伝達や避難支援等が含まれた防災訓練が実施されるよう支援します。 ・災害対策基本法※2の定めるところにより,災害発生時,又は災害が発生するおそれがある場合に,特に避難支援を要する者の名簿 以下「避難行動要支援者名簿※3」という。を作成し,名簿情報 以下,この頁において「情報」という。を提供することについて,本人の同意を得た者の情報を「福岡市地域防災計画※4」 以下「地域防災計画」という。に定める者に提供します。 ・また,情報の提供に際しては,地域防災計画に定めるところにより,情報の提供を受ける者に対して,情報漏えい防止のための措置を講じます。 ・災害時における福祉避難所※5の整備や,市社協※6が設置する災害ボランティアセンターとの連携により,災害時の支援体制を構築します。 ※1 自主防災組織:p233参照 ※2 災害対策基本法:p233参照 ※3 避難行動要支援者名簿:p236参照 ※4 福岡市地域防災計画:p236参照 ※5 福祉避難所:p236参照 ※6 福岡市社会福祉協議会 市社協:p236参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 ふれあいネットワーク〔社協〕【再掲】:地域住民や団体がネットワークをつくり,高齢者などの見守り活動等を実施 災害ボランティア活動推進事業〔社協〕:防災への備えについて市民意識の向上を図るとともに,災害時の支援活動のあり方や災害ボランティアセンターの運営を学ぶ講座の開催 災害ボランティア養成講座〔社協〕:災害時に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・訓練等の実施 「地域福祉活動における個人情報共有化に関する取扱いの指針」の作成〔社協〕:個人情報の保護と活用についての正しい理解を促し,地域で個人情報の取扱いのルール作りが進むよう,地域福祉活動推進の視点から指針を作成 福祉避難所の整備:避難所生活において特別な配慮を必要とする災害時要援護者の受け入れ先である福祉避難所を整備 127ページ 施策3ノ3 新たな生活支援サービス※1の創出 ・元気な高齢者が生活支援の担い手として社会参加することが,結果的に介護予防になるという,生活支援・社会参加・介護予防の融合を図る取組みを進めます。 ・企業等が持つビジネスの力を地域課題の解決に生かせるように,地域や企業等の関係者間の出会いやつなぐ場をつくるなどコミュニティビジネス※2等の促進に向けて支援します。 ・生活支援コーディネーター※3を配置し,地域に不足するサービスの創出やサービスの担い手の養成を進めます。 ※1 生活支援サービス:p234参照 ※2 コミュニティビジネス:地域資源を活かしながら地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むもの ※3 生活支援コーディネーター:高齢者の生活支援・介護サービスの体制整備を推進していくことを目的とし,地域において,生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能 主に資源開発やネットワーク構築の機能を果たす者 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 生活支援ボランティアグループ〔社協〕【再掲】:日常のちょっとした困りごとを解決するボランティアグループの支援 立ち上げ・運営。また,元気高齢者の活躍の場としても取組みを支援 買い物困難者支援モデルの開発〔社協〕:企業が保有するバスを活用し行う「買い物支援バス」の運行,移動販売を行う障がい者施設とのマッチングによる買い物支援等,校区社協,自治会・町内会等との協働により展開する買い物困難者支援モデルの事業開発 「関連する施策」 ※生活支援サービスについては,高齢者分野の施策4ノ1p171と関連あり 128ページ 施策3ノ4 ICT※情報通信技術の利活用 ・見守りや認知症施策等,地域での支え合い・助け合い活動にICT 情報通信技術 を取り入れるなど,新たな手法の導入により,効果的・効率的な事業へ向け見直しを図り,活動者の負担軽減を図ります。 ・地域の各種団体と連携の上,地域においてICTを活用したモデル事業の取組みを進めます。 ※ICT:p231参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 緊急通報システム:在宅の一人暮らし等の高齢者が,急病など緊急時に無線発信機等を用いてセンターに通報し,消防局や近隣の協力員などが対応する仕組み 徘徊高齢者等ネットワーク事業:徘徊高齢者の早期発見・保護のため,協力サポーター等への捜索協力依頼のメール配信や捜索のための機器利用助成 ICT活用による要介護高齢者在宅生活支援モデル事業:要介護高齢者の平常時及び緊急時の在宅生活をサポートするため,ICT 情報通信技術 を活用した地域の見守り体制の充実のためのモデル事業を実施 「関連する施策」 ※認知症予防については,健康・医療分野の施策1ノ1 p76参照 ※認知症医療提供体制については,健康医療分野の施策2ノ2 p89参照 ※認知症施策の推進については,高齢者分野の施策3ノ1から3ノ3 p165から167参照 ※認知症施策に携わる介護人材の確保については,高齢者分野の施策4ノ4 p173参照 129ページ 【基本目標4】人づくりと拠点づくり 現状と課題 1.福祉教育 ・より多くの人々が地域の支え合い・助け合い活動に参加するためには,地域福祉の主体を形成する福祉教育が基盤となります。子どもの豊かな成長を促すための福祉教育と,地域福祉を推進するための福祉教育の,両方が必要となります。このため,子どもから大人まで学べる福祉教育の場が必要であり,学校や企業,地域での集まり,各種セミナー等において,福祉に関する様々な学習の機会や情報,福祉体験,交流の場を提供していく必要があります。 2.支え手づくり ・地域の支え合い・助け合い活動は,校区や自治会等の身近な場で行われていますが,より広い範囲での活動や,より組織的な仕組みの中での活動を望む市民も増えています。様々な形態で活動する市民が増えることは,複雑・多様化する地域課題・生活課題の解決や,福祉コミュニティの実現にとっても有用です。 ・近年,大学等が地域に入り,地域の住民やNPO等とともに,地域の課題解決や地域づくりに継続的に取り組み,地域の活性化や人材育成に資する,いわゆる「域学連携※1」の取組みが拡大しています。 こうした取組みは,大学等や地域にとって双方にメリットがあり,さらなる充実が望まれています。 ・現在,地域において,コミュニティの成長と豊かな社会づくりをめざし,CSR※2 社会貢献活動を積極的に推進する企業も増えています。 ・市民が自ら社会の課題解決に参加する姿として,個人個人が様々なボランティア活動に参加したり,ボランティアグループを結成して活動したりする形があります。また,より事業性を高めた活動をめざして,NPOという形が選択されることも多くなっています。 ・NPO活動やボランティア活動全般については,「NPO・ボランティア交流センター あすみん」を拠点とし,また,福祉ボランティア活動については,社協が運営するボランティアセンターを拠点として,その支援を行っています。 ※1 域学連携:様々な課題を抱えている地域に大学等が入り,住民とともに地域の課題解決や地域づくりに継続的に取り組むことで,若者に地域への理解を促し,地域で活躍する人材として育成することにつなげるもの。あわせて,地域に気づきを促し,地域住民をはじめとする人材育成に資する。 ※2 CSR:p231参照 130ページ 【図表76】ボランティアセンター延べ活動者数  出典:福岡市社会福祉協議会 グラフ  以下は,年度年号は平成,活動者数の順です。  22年度2010年度 2982  23年度2011年度 3217  24年度2012年度 3801  25年度2013年度 5132  26年度2014年度 5987 ・福岡市では市社協※がボランティアセンターを設置するとともに,区社協が各区ボランティアセンターを設け,ボランティアの育成やコーディネートを行っていますが,多様化・深刻化・複雑化し,拡大する地域課題・生活課題に対応しきれていない現状があります。今日的課題への対応力の向上を図るため,ボランティアセンターの機能強化が求められます。 ・NPOには介護事業など福祉における活動を主としている団体もあり,ボランティアセンターとNPO・ボランティア交流センター あすみんは,より連携を深め,ボランティア・NPO活動のさらなる拡充を図る必要があります。 ※福岡市社会福祉協議会 市社協:p236参照 131ページ 3.地域福祉活動の拠点 ・福岡市の地域福祉活動の拠点として,校区レベルでは,公民館がその役割を担っており,引き続き,地域コミュニティ支援の中心的な役割が求められています。 ・これ以外にも,全市レベルでボランティア活動者をはじめとした市民の福祉の拠点施設として「市民福祉プラザ」が,区レベルで市民活動に用いることが可能な施設として,市民センター,老人福祉センターがあり,校区レベルでは老人いこいの家があります。 ・地域福祉活動を推進するためには,活動拠点や交流の場を望む声が多く,身近な場所での拠点づくりを進める必要があります。 【図表77】自治会・町内会の運営や活動にあたっての課題  出典:「平成26年度自治協議会・自治会等 アンケート」福岡市 グラフ  回答数:1727複数回答  以下は,項目,割合の順です。  会合や催しを行える場所が少ない 20.7%  予算が足りない 17.1%  ノウハウがない 13.2%  事務処理の体制が十分でない 11.2%  校区内に自治協議会等に参加していない団体が多い 8.2%  自治協議会等に参加している団体間の連携が難しい 7.6%  その他 2.4%  特に課題はない 36.7% 施策の方向性 ・あらゆる機会を通して福祉教育を推進します。 ・社協や校区社協,NPO等と連携して,地域福祉を担う人材について,元気高齢者や若者など新たな人材の発掘や育成に取り組むとともに,人材のスキルアップを図ります。 ・大学や企業等が持つ人材や専門知識,ノウハウをまちづくりに活かすともに,学生等の地域コミュニティにおける活動促進を支援します。 ・ボランティア・NPO活動の拡充にむけ,ボランティアセンターの活性化及びNPO・ボランティア交流センターあすみんとの連携を図ります。 ・住民の暮らしに身近な場所での地域福祉活動の拠点づくりを進めます。 132ページ 施策4ノ1 福祉意識の醸成 ・社協とも連携し,学校教育等を通じて,子どもの頃からの福祉教育の充実に努めます。 ・共に交流する機会を提供するなど様々な場面を通じて,高齢者や障がいのある人への理解を促進する取組みを進めます。 ・地域の課題を解決していくための学習 問題解決型,学習の結果を地域に還元していくための学習 地域還元型,住民自らが企画・参加しながら進める学習 協同参画型を,あらゆる機会を通して地域の中で多様に設け,地域福祉の主体形成を図ります。 ・広報紙をはじめとする各種チラシ・パンフレット等の紙媒体,ホームページ等の電子媒体,イベントや説明会等の対面での情報発信など,多様な手段を使って地域福祉推進の取組事例の紹介や,地域福祉活動の必要性や重要性についての,普及啓発を図ります。また,ふれあいサロンや地域カフェ等を活用した情報の発信・共有などを進め,地域福祉活動への参加促進をめざします。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 出前福祉講座〔社協〕:学校,企業等に出向き,障がい者疑似体験,高齢者疑似体験等を通じて,福祉やボランティア活動への理解を深め,活動への参加の動機付けを実施 市民福祉講座〔社協〕:市民を対象に,今日的な福祉課題等をテーマにした講演会の実施 ホームページ・広報紙〔社協〕:地域福祉活動への関心を喚起するため,社協が行う福祉活動や新規事業,その他福祉やボランティアに関する情報を広く市民に紹介 福祉のまちづくり推進大会 福岡市・社協:福祉功労者の表彰,活動事例紹介,記念講演等を実施し,広く市民が福祉について考える機会を提供 校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画※1 の作成支援〔社協〕:校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画 の策定過程を福祉教育の一環と位置づけ,住民主体の“学びの環境作り”“地域の福祉力を高める学習運動”とする取組み わたしもあなたもボランティア冊子事業〔社協〕:障がいのある人や高齢者についての理解を促し,ボランティア活動の意義や重要性について考えるきっかけとすることを目的として,小中学生を対象に作成した冊子を市社協※2 ホームページに掲載 福岡市の福祉教育お役立ちブック〔社協〕:福祉教育の推進を目的にガイドブックを作成 ※1 地域福祉活動計画:p235参照 ※2 福岡市社会福祉協議会 市社協:p236参照 133ページ 施策4ノ2 支え手づくりの推進 ・社協等と連携し,地域で活動している人たちを対象とした講座の開催や,地域福祉活動へのアドバイスなどを行い,人材の育成を支援します。また地域住民をまとめ,牽引し,地域の福祉課題を解決する具体的な行動や実践に結びつけられるリーダーを育成します。さらに,地域福祉活動に参加していない住民への広報・啓発など,人材の掘り起こしを意識した事業の実施を支援します。 ・元気な高齢者が自らの知識や能力を生かして地域福祉活動やボランティア活動に参加,活躍できるようにシニア向けのボランティア講座などを開催します。また,学生など若い世代が地域福祉活動に参加できるように,大学や社協等と連携し,学生ボランティアと地域を結びつける支援を行います。さらに,企業や各種団体の地域福祉活動への参加を促進するための施策を検討していきます。 ・地域活動に取り組む人材を育成する研修会を開催するなど,支え手のスキルアップの支援を行います。また,女性役員の人材育成のための講座を開催するなど,地域役員としての女性の活躍を促進するための支援を行います。 ・企業等が持つ人材を地域の福祉課題の解決に生かせるように,地域や企業などの関係者間の出会いやつなぐ場をつくるなどコミュニティビジネス※などが促進されるように支援していきます。 ※コミュニティビジネス:p233参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 シニアアシストふくおか事業〔社協〕:高齢者の技能や知識・経験を活用し,人材発掘やボランティアへの紹介調整を行い,地域課題の解決等の支援を実施 シニア地域サポーター養成事業〔社協〕:シニア世代を中心とした地域福祉活動のボランティア養成講座を実施 134ページ 施策4ノ3 ボランティア・NPO活動の拡充 ・ボランティア・NPO活動の拡充に向け,ボランティアセンターの活性化を図ります。 ・ボランティアセンターとNPO・ボランティア交流センターあすみんが連携を図ることにより,テーマ型市民活動団体であるNPOをエリア型市民活動団体である校区社協や自治協議会※につなぎ,地域の課題解決を進めます。 ※自治協議会:p234参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 ボランティアセンター〔社協〕:ボランティア活動に関する相談・登録・斡旋,ボランティアの育成,ボランティア活動に関する広報・情報提供等を目的とし,ボランティアセンターを設置 NPO・ボランティア交流センターあすみん:NPOやボランティアなどによる市民公益活動に関する情報・交流の場を提供するため設置 災害ボランティア養成講座〔社協〕【再掲】:災害時に迅速に対応できる人材の育成を目的とした研修・訓練等の実施 ボランティアグループ結成時支援資金助成事業〔社協〕:ボランティアセンターの登録グループで,グループ結成から間もないグループの活動を軌道に乗せ,安定的な活動の継続と活動内容の充実をはかるため,結成時支援としての活動費を助成 135ページ 施策4ノ4 地域の活動拠点づくり  老人福祉センター及び老人いこいの家について,高齢者を中心とした社会参加活動の拠点としての機能を強化するため,施設で行われる様々な活動を支援します。  老人福祉センターについて,健康づくり・介護予防や創業・就業など,シニアの積極的な活動支援にむけた機能への転換を検討します。 ・空き家や集合住宅の空き部屋,公園,社会福祉施設等の地域福祉活動への活用について検討します。 ・公民館について,地域コミュニティ活動を支援するため,地域団体等と連携し,人材育成・発掘のための取組みを実施するとともに,公民館だより 等を活用し,地域の活動などの情報発信を支援していきます。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 市民福祉プラザ:市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し,相互に助け合い,支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として,市民福祉の総合相談センターを設置 企業や福祉施設との連携〔社協〕:企業や福祉施設が保有するスペースの活用トウに向けたコーディネートの実施 老人福祉センター:高齢者の各種相談,健康増進,教養の向上,レクリエーション等を総合的に提供するため,老人福祉センターを設置・運営 老人いこいの家:高齢者に対して教養の向上,レクリエーション及び相互親睦のための場を提供し,高齢者福祉の増進を図るため,老人いこいの家を設置・運営 136ページ 【基本目標5】自立した生活のための環境づくり 現状と課題 1.情報入手・相談窓口 ・地域での生活を支えるための福祉サービスについては,行政機関や社会福祉法人等の事業所,ボランティア団体など多様な主体から提供されています。また,市民の情報入手の方法は,紙媒体,電子媒体など,年代や個人によって様々であり,市民一人ひとりが,多くのサービスの中から,適切なサービスにアクセスできる仕組みづくりが必要です。仕組みづくりにあたっては,情報入手方法としての「口コミ」の有用性への配慮が重要となります。 ・市民アンケートでは,自分が今抱えている悩みについて,家族以外の地域の人や行政機関に相談する人は少ないという結果となっています。誰もが気軽に安心して相談できるよう,相談窓口の周知や相談機能の充実などの取組みが必要です。 【図表78】不安の相談について  出典:「福岡市保健福祉総合計画策定にかかる市民意識調査 平成26年」福岡市 グラフ  回答数;673  以下は,相談相手,相談したことがない,相談したことがある,無回答の順です。単位は%。  ア 家族 7.1 86.3 6.5  イ 友人・知人・同僚 20.4 63.9 15.8  ウ 近所の人 65.8 13.8 20.4  エ 町内会・自治協議会等の役員 76.5 2.7 20.8  オ 民生委員・児童委員 75.0 4.3 20.7  カ いきいきセンターふくおか 71.8 8.3 19.9  キ 障がい者生活支援相談室,知的・精神障がい者相談支援センター 75.3 3.7 21.0  ク 区役所や各区保健福祉センター 67.0 12.9 20.1  ケ 精神保健福祉センター 76.8 2.2 21.0  コ 市・区社会福祉協議会 77.1 1.6 21.2  サ NPOやボランティア 77.0 1.3 21.7  シ かかりつけの病院・薬局 27.0 60.9 12.0  ス 弁護士などの有料のサービス 75.3 3.3 21.4  セ その他 29.9 0.7 69.4 137ページ 2.権利擁護※1 ・市民がその人らしい生活を自分の意思で送ることを可能とする尊厳のある暮らしは,誰もが望む重要なことですが,現実には,高齢者や障がいのある人,児童に対する虐待,配偶者による暴力など,市民生活の様々な場面で,人権が侵害される状況が生じており,社会全体で取り組むべき重要な課題となっています。 ・成年後見申立件数は年々増加しており,成年後見に対するニーズは,今後ますます増加することが予想され,家族関係の希薄化などを背景に,後見人等の担い手は「家族」から弁護士,司法書士など「専門職」へと大きくシフトしています。今後増大する後見ニーズに対応していくため,市民後見人を含む第三者後見人が活動できる環境の整備が必要です。 ※1 権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人 例:寝たきりの高齢者,認知症高齢者,障がいのある人等の立場に立って,代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること 3.生活困窮者 ・収入が減ったことや,主たる生計維持者が病気や介護により稼働できなくなった場合や,年金等で生活している高齢者などが,経済的に困窮し生活保護へ至るというケースが拡大しています。生活困窮者の多くは,相談機関もわからず,また相談する人もいないため,社会的に孤立している人も少なくありません。生活に困窮している人たちが,生活保護に至ることなく,いち早く課題解決に結び付けられるように支援していく包括的な仕組みづくりが必要です。 4.バリアフリー※2 対策 ・福岡市においては,「みんながやさしい,みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡※3」を目標像として掲げています。これまでに条例等により施設のバリアフリー化は,一定の進捗が見られるものの施設単位にとどまり,連続的なバリアフリー化が図られていないところがあり,今後も都市施設のバリアフリー化を推進していくことが求められています。 ・地域では,年齢,性別,障がいの有無や国籍など違いを超えて,様々な住民が生活しています。それぞれが持つ多様な特性やお互いの違いを理解し,相互に認め合うことが大切であり,「心のバリアフリー」を推進するなど,誰にでも快適な環境づくりを推進していくことが必要です。 ※2から※3は次のページの音声コードをお聞きください。 138ページ 前ページの※2から※3です。 ※2 バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁 バリア となるものを除去 フリー すること ※3 ユニバーサル都市・福岡:ユニバーサルデザインの理念に基づいた,誰もが思いやりを持ち,すべての人にやさしいまちのこと。福岡市は,「みんながやさしい,みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げ,市政の柱の一つとして推進している。 施策の方向性 ・サービスを必要とする市民が,必要なときに,適切な内容のサービスにアクセスできるよう,相談を含めた情報入手の方法が誰にでもわかりやすく,様々な媒体により情報提供される仕組みづくりを進めます。 ・判断能力が不十分な人が必要な支援を受けられるよう,権利擁護※1 体制を充実する取組みを進めます。 ・生活困窮者の状態に応じた包括的・継続的な支援等を早期に実施し,支援対象者の自立の促進を図ります。 ・誰にでもやさしい地域づくりのため,年齢,性別,能力,背景等に関わらず,「どこでも,誰でも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザイン※2の理念による地域づくりを推進します。 ※1 権利擁護:p233参照 ※2 ユニバーサルデザイン:年齢,性別,能力,背景等に関わらず,できるだけ多くの人が自由に快適に利用でき,行動できるように,ものづくり,情報,サービスや街づくりなどあらゆる場面で,あらかじめ,思いやりのある配慮を行うという考え方 139ページ 施策5ノ1 情報提供と相談の仕組みづくり ・市政ダヨリやパンフレット,チラシなどの紙媒体やホームページなどの電子媒体,地域の回覧板や掲示板など,多様な方法による情報提供を充実します。情報提供にあたっては,ユニバーサルデザイン※1へ配慮し,合理的配慮※2に基づく情報のバリアフリー※3の視点にたったわかりやすい情報発信を行います。 ・悩みや不安を抱えている方が,適切な相談窓口にたどり着き,必要な相談ができるよう各種相談窓口の周知を図ります。 ・民生委員※4 や自治会・町内会役員など身近な相談先から,区保健福祉センターやいきいきセンターふくおか地域包括支援センター※5 などの専門的な相談先まで,各相談先が有機的に連携し,相談者の悩みや不安を効果的に解消できるように,総合的な相談機能の充実・強化に努めます。 ・市民が良好な福祉サービスを選択できるよう,介護事業所等の情報提供を行うほか,社会福祉法人の現況報告書や財務諸表,市の監査状況を公開します。また事業者向けの研修を行うなど,事業者が提供するサービスの質の確保及び向上を図っていきます。 ※1 ユニバーサルデザイン:p138参照 ※2 合理的配慮:障がいのある人が受ける日常生活や社会生活でのさまざまな制限の原因となる社会的障壁を取り除くために,障がいのある人に対し,個別の状況に応じて行われる配慮 ※3 バリアフリー:p236参照 ※4 民生委員・児童委員:p237参照 ※5 地域包括支援センター:p235参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 市政だより・ホームページ:市政の重要施策から各施設の行事まで市政情報を幅広く市民に情報提供 いきいきセンターふくおか運営:高齢者の健康や福祉,介護,権利擁護※6等に関する相談に応じ,身体状況に適した助言を行うなど,高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施。センターの円滑・適正な運営を図るため,職能団体や介護保険被保険者などで構成する地域包括支援センター運営協議会を設置 介護保険事業者研修事業:介護従業者を対象にした,サービスの向上に資する様々な分野の研修の実施 ※6 権利擁護:p233参照 140ページ 施策5ノ2 権利擁護※1 体制の充実 ・高齢者や障がいのある人,児童に対する虐待,配偶者による暴力などについて,未然防止に向けた啓発,見守りによる早期発見,通報先の周知を行い,関係機関と連携し対応していきます。 ・判断能力が十分でない人を対象に,契約に基づき,福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理を行う日常生活自立支援事業の普及・啓発とともに,事業の充実を図ります。 ・成年後見制度※2 普及のための広報を行うとともに,権利擁護の相談窓口である県 弁護士会や司法書士会,市社協※3などと,いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター※4,区保健福祉センターとの更なる情報共有・連携強化を図ります。また,成年後見制度の相談から利用に至るまでの手続きが円滑に行われるよう,総合的な相談支援体制の検討を進めます。 ※1 権利擁護:p233参照 ※2 成年後見制度:認知症等のために判断能力が不十分であると家庭裁判所が認めた場合に,成年後見人などが財産管理等を行い,本人を保護・支援するもの ※3 福岡市社会福祉協議会 市社協:p236参照 ※4 地域包括支援センター:p235参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 市民後見人養成事業:成年後見制度の新たな担い手 である“市民後見人”を養成。養成研修を修了した人は,社協が行う法人後見事業の実務担当者や地域福祉活動の核となる人材として活動。また,家庭裁判所から選任された市民後見人が活動するための仕組みを検討 成年後見制度利用支援事業:判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者等について,市長による成年後見制度利用のための申立てを行い,後見人などによる支援を確保。市長申立てにおいて費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 日常生活自立支援事業〔社協〕:高齢による認知症や精神・知的障がいにより,日常生活上の判断に不安を感じている方の日常金銭管理,福祉サービス利用援助,日常生活支援等を実施 「関連する施策」 ※権利擁護への取組み 高齢者 について,高齢者分野の施策5ノ1p177と関連あり ※権利擁護への取組み 障がい者 について,障がい者分野の施策3ノ1p215,施策3ノ2p216,施策4ノ1p218参照 141ページ 施策5ノ3 生活困窮者への相談支援体制の充実 ・生活困窮者が困窮状態から早期に脱却するため,最後のセーフティネットである生活保護に至る前の段階から本人の状態に応じた包括的かつ継続的な支援等を実施し,支援対象者の自立を促進するために,自立に向けての支援計画の策定及び就労支援や多様な支援施策等とのネットワークの構築を行います。 ・ハローワークや社協等とも連携し,支援のネットワークの拡大を図ります。 ・生活困窮者を早期に支援につなげていくことができるように,支援内容の周知を図るとともに,社会的孤立を解消し,地域の中でのつながりを再構築していく取組みを進めます。 ・ホームレスが抱える重複した課題に対して,市内の各自立支援施設が連携して対応していくことによって,地域社会の一員として自立した日常生活が送れるよう支援していきます。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 生活困窮者自立相談支援事業:市内1か所に窓口を設定し,相談支援,就労支援,住居確保給付金の支給を実施 生活困窮者である子どもの学習支援事業:生活困窮家庭の子どもに対する学習支援や保護者への養育支援を実施 ホームレス自立支援事業:住居がない者への衣食住を提供 生活福祉資金貸付制度〔社協〕:経済的自立,生活意欲の助長を図るため,低所得世帯や障がい者世帯,高齢者世帯に対し,低利子で貸付や支援を実施 子どもの居場所づくり支援〔社協〕:家庭で満足に食事がとれない子どもに地域住民が関わるきっかけをつくり,子どもの居場所づくりや食育を通して,地域ぐるみで子どもを育てる取組みを支援 142ページ 施策5ノ4 ユニバーサルデザイン※1の理念による地域づくり ・高齢者や障がいのある人をはじめ,すべての人が安全かつ快適に暮らしていけるように,「福岡市バリアフリー基本計画※2」に基づく公共交通機関等の整備や,公共交通や住宅のバリアフリー※3化など 誰もが暮らしやすい環境整備を推進していきます。また「福岡市バリアフリー基本計画」に基づく,重点整備地区においては,生活関連施設や生活関連経路のバリアフリー化を重点的かつ一体的に進めていきます。 ・歩道のバリアフリー化等に加え,バス停や公園などで休憩できるベンチ等の設置の拡充について検討します。 ・日常生活や社会生活におけるバリアを取り除くことで,高齢者や障がいのある人,妊産婦やベビーカーを使用する人,外国人などが,円滑に移動したり,施設の利用ができることなどの重要性について,市民一人ひとりが理解を深め,支え合うことができるよう「心のバリアフリー」を推進します。 ・情報障がい者といわれる視覚・聴覚障がい者に対する情報提供の方法として,テキスト訳,音訳,点訳,拡大写本などのボランティア活動を支援します。 ※1 ユニバーサルデザイン:p237参照 ※2 福岡市バリアフリー基本計画:p236参照 ※3 バリアフリー:p236参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 バリアフリー映画支援ボランティア養成講座〔社協〕:共生社会をめざすため,情報障がい者といわれる 視覚・聴覚障がい者に,映画を楽しむ機会を提供できるよう,別途日本語字幕と副音声による音声ガイドを付与したバリアフリー映画を作成するボランティアの養成講座を開催 在宅視覚障がい者サービス事業〔社協〕:視覚障がい者 の生活の質 QOLの充実を目的に,点訳,音訳,外出ガイド,拡大写本活動,テキスト訳活動,パソコン操作指導活動などを支援・活性化 視覚障がい者のための点訳・朗読・ガイドボランティア養成講座〔社協〕:点訳,音訳,外出ガイド,拡大写本活動,テキスト訳活動のボランティア養成講座を実施 143ページ コラム ユニバーサルデザインとバリアフリーについて   どちらも,すべての人が安全かつ快適に暮らしていけるまちをつくろうという目標は同じですが,バリアフリーは,障がいなどによりもたらされるバリアに対処するとの考え方であるのに対し,ユニバーサルデザインはあらかじめ,障がいの有無,年齢,性別,人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインするという考え方です。  現在福岡市は,「ユニバーサルデザイン」の理念に基づき,バリアフリーのまちづくりを進めています。 事例で紹介すると ・歩道のバリアフリー化 歩車道の段差解消,誘導ブロック設置 ・ユニバーサルデザインの例 誰にもわかりやすい  シャンプーとリンスの容器の形は良く似ているため,目で見ないと区別できない物があります。そのため,さわって区別できるようにシャンプーの容器にギザギザをつけています。 144ページ 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために,次の項目を成果指標とします。 成果指標 表  以下は,指標項目,現状値,目標値,備考 対応する目標,出典の順です。 1 校区福祉のまちづくりプラン 校区地域福祉活動計画 の策定校区数 1校区 平成26年度 96校区 平成32年度 【基本目標1,2】校区社協会長アンケート 策定の必要性を感じていると回答した校区の割合 2 公民館の利用率 24.7% 平成26年度 50.0% 平成34年度 【基本目標1,3】福岡市基本計画の成果指標に関する意識調査 3 民生委員・児童委員活動を負担に感じている割合 70.6% 平成24年度 50.0% 平成32年度 【基本目標2】保健福祉局調べ 4 ふれあいネットワークの 見守り対象世帯数 35108世帯 ヘイ成26年度 45000世帯 平成32年度 【基本目標3】市社協調べ 5 ふれあいサロンの参加者数 実人数 8,915人 平成 26年度 12,000人 平成32年度 【基本目標3】市社協調べ 6 自主防災活動への参加率 9.2% 平成26年度 25.0% 平成34年度 【基本目標3】市政アンケート調査 7 地域活動への参加率 53.6% 平成26年度 70.0% 平成34年度 【基本目標4】市政アンケート調査 8 NPO・ボランティア活動等への参加率 13.1% 平成26年度 24.0% 平成34年度 【基本目標4】市政アンケート調査 9 ユニバーサルデザインの理念の理解度 48.7% 平成26年度 70.0% 平成34年度 【基本目標5】市政アンケート調査 10ユニバーサルデザインの取組みへの評価 39.3% 平成26年度 65.0% 平成34年度 【基本目標5】市政アンケート調査   第3部 高齢者分野  このページに文章の記載はありません。 145ページ 第3部 高齢者分野 第1章 高齢者分野の基本理念等 1 基本理念  福岡市がこれから迎える超高齢社会では,高齢者が数の上で大きな割合を占め,社会の中で重要な役割を担っていくことが期待されています  福岡市でも今後65歳未満の人口が減っていきます  一方,大幅に増加する65歳以上の方々は,自分自身を高齢者であると考える方は少なく,まだまだ頑張りたいと考えています。また身体機能も大幅に向上しています  心身共に元気な高齢者が,生きがいのある毎日を送り,健康を維持していくためには,意欲や能力に応じて社会の中で活躍できる仕組みや環境を作っていくことが必要です。また,そのことは福岡市がこれからも活力ある都市として発展し続けていくためには不可欠な要素です  あわせて,加齢によって介護や医療が必要になった場合には,できるだけ長く在宅で暮らし続けることができるよう,切れ目のないサービス提供の仕組みが必要となります。行政や介護事業所が提供するサービスにあわせ,近隣の方による生活支援があれば,より長く住み続けることが可能となります。こうした場面においても,元気な高齢者の方々が支える側として活躍いただくことが大いに期待されています  このような新たな仕組みを実現し,持続可能なものとするためには,高齢者の方々が少数で若者や壮年層が多かった時代の制度や考え方では,対応できなくなっています  高齢者の方々が「支えられる側」だけではなく,「支える側」として活躍できる仕組みが必要となっており,こうした制度の創設に向けて,既存施策の再構築が必要です  また,高齢化は日本だけでなく,世界共通の課題となっています。特にこれから急速に高齢化が進むアジアの国々は,日本の取組みに注目しており,福岡市においても,この分野におけるアジアの国々との交流が盛んになっています。福岡市がこの分野で持続可能な施策に先導的に取り組むことは,高齢社会対応のモデルとしてアジアの国々にも貢献することにつながります  このような点を踏まえ,高齢者分野の基本理念を以下のとおりとします 基本理念  高齢者が年齢に関わらず,意欲や能力に応じ,生きがいをもって いきいきと活躍することができ,介護が必要になっても,できるだけ住み慣れた地域で,安全・安心に暮らすことができる社会を実現します 146ページ 2 計画の位置づけ  本分野は,介護保険法第117条第1項に定める介護保険事業計画と一体的に,また,社会福祉法第107条に基づく地域福祉計画,その他の法律の規定による計画であって 高齢者の福祉に関する事項を定めるものと調和を保ちつつ策定し,「介護保険事業計画」とあわせて老人福祉法第20条の8に定める市町村老人福祉計画とします。 3 基本目標 ・基本理念に基づき,5つの基本目標を定め,各施策を実施します。 1.いきいきとしたシニアライフの実現 ・高齢者が社会の中で役割を持って いきいきと暮らせるよう,積極的な社会参加活動を支援します。 2.安心して暮らせるための生活基盤づくり ・高齢者が地域で安心して暮らせるよう,住まいや助け合いの仕組みづくり,買い物・移動支援等,適切な施策を推進します。 3.認知症施策の推進 ・今後増加する認知症の人や介護する人への支援に取り組みます。 4.介護保険サービス※1の適切な利用の推進と円滑な制度運営 ・第6期介護保険事業計画を着実に推進します。 5.高齢者総合支援体制づくり ・体制づくりを進めるとともに,様々な場面でのICT ※2 情報通信技術等の利活用を図ります。 ※1 介護保険サービス:介護保険制度により受けられる訪問介護などのサービス ※2 ICT:情報通信技術の略称 147ページ 4 施策体系 ・基本目標に基づき,以下の体系により高齢者施策を推進します。 推進施策 表  以下は,基本目標,施策の順です。 【基本目標1】いきいきとしたシニアライフの実現  1ノ1 社会参加活動の促進  1ノ2 就業を通じた生きがいづくりの支援  1ノ3 活動の拠点づくり 【基本目標2】安心して暮らせるための生活基盤づくり  2ノ1 住まいの確保   2ノ2 移動支援と買い物支援  2ノ3 支え合う地域づくり  2ノ4 在宅生活支援施策の充実 【基本目標3】認知症施策の推進  3ノ1 認知症に関する啓発の推進   3ノ2 適切な医療・介護サービスの提供  3ノ3 介護する人への支援の充実 【基本目標4】介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営  4ノ1 介護予防と生活支援サービスの充実強化  4ノ2 地域密着型サービスの整備  4ノ3 施設・居住系サービスの整備  4ノ4 介護人材の確保 【基本目標5】高齢者総合支援体制づくり  5ノ1 地域包括支援センターと各種相談機能の充実  5ノ2 地域ケア会議の推進  5ノ3 ICT 情報通信技術 等の利活用 主な老人福祉事業の目標量 148ページ 第2章 施策各論 【基本目標1】いきいきとしたシニアライフの実現 現状と課題 1.平均寿命の延伸  我が国の平成26年2014年の平均寿命は男性80.50歳,女性86.83歳と世界最高水準となっており,今後さらに伸びていくと予想されます。昭和30年代半ばから40年代半ばの高齢化率6から7%の頃には,人生65年といわれていましたが,いまや人生90年時代となり,65歳で定年退職を迎えた人は,その後20,30年という長い期間を過ごすことになります。この期間を元気に活動的に暮らすことは,一人ひとりが 生きがい のある人生を送る上で不可欠な要素です ・WHO世界保健機構では,「高齢者に優しい都市国際ネットワーク」づくりを進めており,福岡市民のいきいきとしたシニアライフの実現のためには,こうした国際的な動きにも注目しながら,よりよい施策立案のための情報交流も重要となってきます 2.外出  東京都健康長寿医療センターによると,高齢者が家に閉じこもることなく,積極的に外に出かけることは,介護予防や認知症予防に非常に効果があるとされています。高齢者実態調査では,外出しない理由で最も多いのは,「特に外出する用事がない」となっており,仕事や趣味・学習・文化活動・社会参加など,社会のあらゆる場面で積極的に活躍できるよう支援していく必要があります。 149ページ 【図表79】介護予防・認知症予防における外出の効果  出典:「老人研ニュース ナンバー.219 2007.3」東京都健康長寿医療センター  注釈1 新潟県Y市65歳以上の高齢者を対象に2000年から2年間追跡調査した結果  注釈2 もともとの健康状態や社会的役割の差による影響を除いて比較  外出頻度と歩行障害発生のリスク  ※歩行障害のなかった人のみを追跡し,外出頻度の独立した影響を算出した。 グラフ  以下は,外出頻度,リスクの順です。  イチニチ1回以上 955人 1.00倍  ニサンニチに1回 128人 1.78倍  1週間に1回以下 46人 4.02倍  外出頻度と認知機能障害発生のリスク  ※認知機能障害のなかった人のみを追跡し,外出頻度の独立した影響を算出した。 グラフ  以下は,外出頻度,リスクの順です。  イチニチ1回以上 912人 1.00倍  ニサンニチに1回 125人 1.58倍  1週間に1回以下 49人 3.49倍 150ページ 3.就労  高齢者の就労は,生きがいだけでなく,収入を確保する点からも重要です。多様な価値観を持つ「団塊の世代」をはじめ,増加する高齢者の方々が求める就労の場や社会参加の姿は多種多様となっています。  福岡市ではシルバー人材センターが短期的な軽労働の提供など生きがい就労支援の役割を担っていますが,就業先や業種が限定的であり,今後増加が予想されるホワイトから層退職者にとって魅力あるものとなっていないため,会員数は長期にわたって減少傾向です。高齢者のニーズに沿った新しい働き方の開発など,就業促進に向けた検討が必要となっています。 【図表80】高齢者の有業者率の比較  出典:「平成24年就業構造基本調査」総務省統計局 グラフ  以下は,県名,有業者率の順です。  長野県 27.8% 山梨県 26.5% 東京都 24.8% 静岡県 24.5% 島根県 24.1% 福井県 24.1% 富山県 23.4% 岐阜県 23.3% 群馬県 22.7% 三重県 22.6% 愛知県 22.5% 香川県 22.5% 佐賀県 22.4% 鳥取県 22.3% 栃木県 22.2% 高知県 22.1% 和歌山県 22.1% 滋賀県 22.0% 千葉県 21.9% 青森県 21.8% 埼玉県 21.8% 京都府 21.7% 山口県 21.5% 石川県 21.5% 広島県 21.4% 岩手県 21.3% 山形県 21.3% 全国 21.3% 岡山県 21.0% 徳島県 21.0% 熊本県 20.9% 新潟県 20.9% 神奈川県 20.7% 宮崎県 20.7% 茨城県 20.6% 大分県 20.3% 福島県 19.9% 鹿児島県 19.9% 大阪府 19.8% 愛媛県 19.2% 宮城県 18.6% 長崎県 18.5% 兵庫県 18.3% 福岡市 18.3% 奈良県 18.0% 福岡県 17.8% 秋田県 17.8% 北海道 17.4% 沖縄県 15.3% 151ページ 4.高齢者の活躍 少子化の影響により,これから福岡市でも社会を支える人口が減っていきます。介護分野の人材不足が深刻化しており,また地域コミュニティにおいても,支え手不足や後継者不足が問題になっています。地域をはじめ社会の様々な場面では高齢者の活躍に期待が寄せられており,参加を支援する仕組みづくりが必要です 「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」内閣府によると,健康・スポーツ,地域行事,就業などに活動・参加したい60歳以上の方は72.5%となっています。また,高齢になっても就業意欲は非常に高く,約7割の方が65歳を過ぎても働き続けたいと希望しています 【図表81】何歳ごろまで仕事をしたいか  出典:「平成25年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査結果」内閣府  注釈 60歳以上の男女を対象とした調査 グラフ  以下は,年齢,割合の順です。  60歳くらい 11.8%  65歳くらい 21.4%  70歳くらい 23.6%  75歳くらい 10.1%  76歳以上 2.7%  働けるうちはいつまでも 29.5% ・平均寿命が延びた現在では,65歳からを高齢者とする意識は変わってきました。また歩行速度が10年程度若返っているという報告があるなど,身体能力が高く,これからも何かをしたいという方々がほとんどです。一人ひとりの意欲と能力に応じて,社会の「支え手」として積極的に活躍できるよう支援することが必要です。 ・高齢者の社会参加や健康増進,教養の向上,レクリエーション等の活動拠点として各区に イチカショ ずつ整備している老人福祉センターは,当初の設置から50年近くが経過しており,時代のニーズにあわせた活用方法の検討が必要となっています。 施策の方向性 ・高齢者が社会の中で「居場所」と「出番」をもって,いつまでも元気で活躍し,生きがいのある生活を送ることができるよう,様々な社会参加活動を支援します。 ・社会参加活動の中でも特に望まれている就業分野について,シルバー人材センター等既存組織とのより良い連携方法を考えながら取組みを進めます。 152ページ 社会参加の活動拠点の一つである老人福祉センターについて,人生90年時代に対応した内容に向けて見直しを進めます それぞれの意欲や能力に応じて「支える側」として活躍する人を応援する持続可能な制度や仕組みの創設に向け,既存施策の再構築を進めます 施策1ノ1 社会参加活動の促進 ・高齢者が社会の中で元気に活躍し,生きがいのある生活を送ることができるよう,趣味・教養・文化など,様々な活動を促進します。特に,ボランティア活動や就業など,社会を支える積極的な社会参加活動や介護予防につながる活動を促進します ・文化芸術の持つ,集団活動や交流の推進による相互理解を向上させる力を活用し,高齢者の社会参加活動を促進します ・老人クラブ活動の活性化や,住民団体による地域の見守り活動の推進などを通じて,高齢者の地域活動への参加促進を図ります ・健康づくりや地域活動への参加促進に向け,高齢者一人ひとりの取組みや,地域における取組みを応援するインセンティブ制度※の創設について検討します ※インセンティブ制度:インセンティブ制度は市民の健康づくりなどの取組みに対して報奨を付与する制度で,これにより市民の行動変容を促進するもの。取組みに応じてポイントを付与し,市民は貯めたポイントで特典を得られるなどの仕組みがある 【現在の主な事業】 表 以下は,事業名,事業概要の順です 老人クラブ活動支援:高齢者の社会参加及び健康づくりを推進するため,老人クラブ活動費及び福岡市老人クラブ連合会運営費,各種事業費等について助成 福祉バス:老人クラブや心身障がい者,母子団体等を対象に,研修やレクリエーション等の活動参加を助成 高齢者創作講座・老人教室:高齢者の社会参加の意識昂揚や相互親睦を図り,生きがいを高めるため,創造的活動への参加や,相互の教え合いを支援 全国健康福祉祭参加支援:毎年開催される全国健康福祉祭へ参加する福岡市選手団の参加費等の一部を助成 高齢者乗車券:高齢者の社会参加を推進し,高齢者福祉の向上に寄与するため,交通費の一部を助成   153ページ アラカンフェスタ:これからの生き方・過ごし方を主体的に考え,趣味や地域・ボランティア活動,起業や就労などを行うきっかけづくりのため,60歳前後を中心とする幅広い世代が,必要な情報や人に出会えるイベントを開催 シルバー手帳:高齢者福祉について理解を深め,健康で明るい生活を送っていただくための手帳を配布 施策1ノ2 就業を通じた生きがいづくりの支援  シルバー人材センターによる就業先の確保・職域拡大・自立経営等に向けた機能強化について,助言や支援を行うとともに,福岡県70歳現役応援センターとの連携を図りながら,高齢者の就業を通じた生きがい活動の充実を図ります。  産学官の連携により高齢者の活躍を応援する「福岡市シニア創業チャレンジ支援会議 仮称」を設置し,高齢者の意向や特性を踏まえた新たな働き方の開発や,創業・就業支援の仕組みづくりを検討します。 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 シルバー人材センター:就業を通じて高齢者の能力を活用し,高齢者の社会参加や地域の活性化を図るため,地域の日常生活に密着した臨時的かつ短期的な仕事を有償で引き受け,これを会員に提供 就労相談窓口事業:各区に設置している「就労相談窓口」において,15歳以上の求職者を対象に,個別相談,セミナーを開催するとともに,求職者の多様なニーズに合わせた求人情報を紹介 アクティブシニアの創業・就業支援:産学官連携の推進組織「福岡市シニア創業チャレンジ支援会議 仮称」の設置に向けた準備会の開催や高齢者の創業・就業のためのセミナー等を実施 施策1ノ3 活動の拠点づくり  老人福祉センター及び老人いこいの家について,高齢者を中心とした社会参加活動の拠点としての機能を強化するため,施設で行われる様々な活動を支援します。再掲  老人福祉センターについて,健康づくり・介護予防や 創業・就業など,シニアの積極的な活動支援にむけた機能への転換を検討します。再掲 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 老人福祉センター【再掲】高齢者の各種相談,健康増進,教養の向上,レクリエーション等を総合的に提供するため,老人福祉センターを設置・運営 老人いこいの家【再掲】高齢者に対して教養の向上,レクリエーション及び相互親睦のための場を提供し,高齢者福祉の増進を図るため,老人いこいの家を設置・運営 154ページ 【基本目標2】安心して暮らせるための生活基盤づくり 現状と課題 1.安心して地域で暮らすこと  高齢者が安心して地域で暮らし続けるためには,暮らしの基盤となる住まいが確保されていること,買い物など日常生活に不可欠な移動手段が確保されていること,そしていざというときに助け合えるコミュニティがあることが必要です 2.住まいにおけるバリアフリー※  「福祉施策は,住まいに始まり住まいに終わる」といわれるように,住まいは,高齢者が地域で暮らし続けるための基盤となります  平成25年度高齢者実態調査によると,高齢者の約45%は現在の住まいに,「老朽化している」「手すりがなかったり室内に段差があるなどバリアフリー化されてない」などの困りごとを抱えています。介護が必要になってもできるだけ住み慣れた場所で暮らし続けられるよう,住まいのバリアフリー化の推進が必要です。 ※バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁 バリア となるものを除去 フリー すること 【図表82】住まいで困っていること  出典:「平成25年度高齢者実態調査」福岡市  回答数:2985 グラフ  以下は,項目,割合の順です。  老朽化している 20.4%  手すりがなかったり室内に段差があるトウ バリアフリー化されてない 15.9%  せまい 7.7%  家賃が高い 6.4%  集合住宅のエレベーターがない 5.6%  日照・騒音など,環境が悪い 5.5%  自分の居室がない 2.5%  立ち退き要求を受けている 0.2%  その他 3.6%  特になし 45.8%  無回答 9.0% 155ページ 3.高齢者の状況に応じた住まい方 高齢者一人ひとりの健康状態や家族の状況,経済状況は様々であり,高齢者の住まいへのニーズも多様化しているなど,高齢者の個々の状況に応じた多様な住まい 住宅・施設 の確保が求められています 特に,バリアフリー※1化され,見守りや生活支援サービス※2の付いた高齢者向け住宅の供給を促進していくことが必要です。また,近年,様々な住まい方を求める人も増えており,国においてグループリビング※3などの新しい住まい方が検討されています ※1 バリアフリー:p154参照 ※2 生活支援サービス:介護保険の円滑な実施を促進するために設けられた,在宅の高齢者が介護に頼らずに自立した生活ができるように支援するために,市町村が行う保健福祉サービスのひとつ ※3 グループリビング:一人暮らしの不安を考慮するため,食事等をともにし 高齢者同士 仲間づくりや交流を行う暮らし方 4.福岡市の特性に応じた住まい方 福岡市は政令市の中でも,民間賃貸住宅の割合が最も高いという特徴があります。民間賃貸住宅への入居に関し,単身高齢者や高齢者夫婦世帯は,病気や居室内での死亡などへの不安」などを理由に入居を断られる場合があるため,高齢者が自らのニーズに合った住まいへ円滑に入居できるための支援が必要です 市営住宅については,昭和40年代に大量供給した住宅の老朽化が進行していることから,高齢化などの社会情勢に対応しながら,適切に機能更新を図る必要があります また,高齢者世帯等で民間賃貸住宅等では対応できない真の住宅困窮者に対して,適正かつ的確な入居を図る必要があります 今後は家庭環境や,経済的理由など,様々な理由によって,自立した生活が困難な高齢者も増えていくと予想されます。こうした問題に対応するため,軽費老人ホームを含め,できるだけ低額で利用できる住まいの確保が必要となります 5.移動支援・買い物支援 買い物・通院などの日常生活や社会生活を維持するためには,移動手段の確保が重要となります。【図表83】によると,荷物の持ち帰りが発生する買い物に関する自立度が最初に低下するため,移動支援策の検討にあたっては,公共交通施策との整合性を踏まえながら,買い物支援の視点を併せて検討する必要があります 156ページ 【図表83】要支援1から要介護2の認定調査結果 自立している人の割合  出典:「社会保障審議会介護保険部会 第45回 平成25年」厚生労働省 グラフ 以下は,項目, 要支援1 n=851756, 要支援2 n=855173, 要介護1 n=1047954, 要介護2 n=854999のおよその割合の順です n=二次判定件数。単位は%。  身の回り動作ADL  歩行できる 100 98 91 80  移動自立 99 88 80 49  排便自立 100 98 89 50  排尿自立 100 97 80 43  食事摂取自立 100 100 100 88  着脱ズボン自立 100 90 72 32  着脱上衣自立 100 90 75 38  整髪自立 100 100 91 72  洗顔自立 100 99 88 62  口腔清潔自立 100 100 85 60  洗身自立 85 54 34 10  つめ切り自立 78 49 40 15  生活行為IADL  薬の内服自立 80 78 21 15  金銭管理自立 75 70 24 18  簡単な調理自立 60 49 21 9  買い物自立 41 21 9 2  外出頻度 週1回以上 78 71 60 55 6.福岡市の特性に応じた支え合いの仕組み ・単身世帯が全世帯の半数以上を占めることになる福岡市では,住民同士の支え合い・助け合いが非常に重要です。福岡市は住民移動が頻繁で,隣近所との関係が希薄化しやすいと思われるため,様々な方法を凝らして,それぞれの特色に応じた支え合いの仕組みを築いていく必要があります。そのためには,地域住民はもちろん,民間企業,社会福祉法人,NPO等の多様な主体が地域の様々な活動に参加し,支援が必要な人を支え合う施策の推進が必要です。 157ページ ・こうした施策に取り組んでいくため,年齢等を条件とする一律の施策を,高齢者や障がいのある人を見守り,支え合う地域を支援する持続可能な制度や仕組みに再構築していき,従来の「配る福祉」から「支える福祉」え転換を図るなど,時代のニーズに沿った施策の検討が必要です。 ・福岡市では高齢者の在宅生活を支援するため,介護保険制度を補完する種々のサービスを行っています。これまでのサービスに加え,民間事業者の進出やICT※情報通信技術機器の発達などをみながら,より効果的・効率的なサービス提供に向けた施策の検討が必要となっています。 ※ICT:p231参照 施策の方向性 ・高齢者が安心して快適に暮らせるために,高齢者の心身の状況やニーズ等に応じた多様な住まいを確保するとともに,高齢者の住まいへの入居支援等の取組みを促進します。 ・公共交通施策との整合性を踏まえながら,買い物や移動が困難な高齢者や障がいのある人に対する支援策を検討します。 ・様々な主体の参画のもと,地域ごとの特徴に応じた地域ぐるみの支え合いの仕組みを作るとともに,これまでの「配る福祉」から今後の「支える福祉」に向け,施策の再構築を図ります。 ・民間事業者の進出や各種技術の進展などを踏まえた効果的・効率的な事業実施に向け,既存事業の見直しを進めます。 施策2ノ1 住まいの確保  「福岡市住生活基本計画」及び「福岡市高齢者居住安定確保計画」に基づき 高齢者が安心して居住できる生活支援サービス※1が付いた高齢者向けの住宅や高齢者向け施設の供給促進 また 高齢者が居住する住宅のバリアフリー※2化等を進めることにより 高齢者の心身の状況やニーズに応じた多様な住まいの確保を促進します 多様化する心身の状況や住まいへの要望に対して高齢者のニーズに沿った情報を提供し安心して居住することができる住まいを選択できるよう支援するとともに 円滑に入居するための支援策の充実を図ります 158ページ 施策2ノ1 住まいの確保については,前のページにも記載しています。 市営住宅については機能更新の際 にバリアフリー化を進めるとともに 高齢者施設等の導入により 地域拠点づくりを推進します また 高齢者世帯等の より住宅困窮度が高い世帯に対して 市営住宅入居者の定期募集における優遇制度を実施するなど市営住宅への入居を支援します 公的機関や医療機関 民間事業者など多様な主体との連携を強化しながら今後増加が見込まれる住宅に  居住しながら、介護サービスや生活支援サービスなどを必要とする高齢者の住生活の支援を図ります ※1 生活支援サービスp234参照 ※2 バリアフリーp236参照 現在の主な事業 表  以下は 事業名,事業概要の順です サービス付き高齢者向け住宅の供給促進:高齢者の単身 夫婦世帯が安心して居住できる住宅の供給促進を図るため バリアフリー化や安否確認サービスなど一定の基準を満たすサービス付き高齢者向け住宅の登録を推進 高齢者住まい 生活支援モデル事業:保証人や緊急連絡先を確保できない高齢者を支援するため 福岡市社会福祉協議会※3をコーディネーターとして 入居に協力する協力店や入居支援を行う支援団体によるプラットフォームを構築し 民間賃貸住宅への円滑入居及び入居後の生活を支援 高齢者住宅相談支援事業:民間賃貸住宅等を探す高齢者に対して本人の生活状態や住宅の希望等を聞いた上でそれぞれの状況に応じた住宅及び生活支援サービス等に関する情報を提供 市営住宅におけるユニバーサルデザインの導入推進:市営住宅の機能更新では室内外の段差解消やエレベーター設置などのバリアフリー化に加え 玄関等への手すりの設置 水栓のレバー化など 誰もが暮らしやすいように ユニバーサルデザイン※4の導入を推進 市営住宅タテカエによる高齢者福祉施設等の誘致:地域拠点づくりの実現を図るため,市営住宅のタテカエを契機に,タテカエにあわせて確保した将来活用地を活用しながら,地域課題対応のための施設の誘致を検討 ※3福岡市社会福祉協議会 市社協p236参照 ※4ユニバーサルデザイン:年齢 性別 能力 背景等にかかわらず できるだけ 多くの人が自由に快適に利用でき行動できるようにものづくり,情報,サービスや街づくりなどあらゆる場面であらかじめ思いやりのある配慮を行うという考え方 159ページ 住宅改造相談センター:身体機能の低下した高齢者やその家族が住宅をその高齢者に適するように改造する場合,改造方法や助成制度などに関する相談や情報の提供 軽費老人ホーム運営費補助: 身体的機能の低下や高齢のため,独立した生活に不安がある高齢者が,低廉な利用料で入所できる施設である軽費老人ホームの運営を支援 施策2ノ2 移動支援と買い物支援 公共交通施策として,使いやすい安全,安心,快適な交通環境づくりを進めるとともに,地域特性を踏まえ,行政,地域,及び交通事業者の協力と連携のもと,日常生活を支える生活交通の確保を図ります 既存の公共交通ネットワークとの整合性を踏まえながら,買い物や通院が困難な高齢者に対して,地域での取組みを応援するなどの新たな移動支援策の実施を検討します  現在の主な事業  表 以下は,事業名,事業概要の順です 移送サービス:寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者に,寝台タクシー料金の一部を助成 福祉有償運送 再掲:福祉有償運送※運営協議会を適切に運営していくことを通して,事業者に対し,相談,助言,指導を行うほか,ボランティア運転手の養成などを支援 公共交通バリアフリー化促進事業:鉄道駅等のバリアフリー化設備の整備や,市内バス路線へのノンステップバスの導入促進を目的として,整備費用の一部を補助 生活交通支援事業:バス路線の休廃止に伴い 公共交通が空白となる地域について 代替交通機関の確保を行うもの また公共交通が不便な地域における,地域が主体となった生活交通確保に向けた取組みへの支援 地域との共生を目指す元気商店街応援事業:商店街や商店街と連携したNPO法人等が 少子化・高齢化等の社会課題解決のために,その商店街を舞台として取り組む事業に対して,その事業経費の一部を助成 ※福祉有償運送:タクシー等の公共交通機関を単独で利用することが困難な要介護者や障がい者等の会員に対し,NPO等が自家用自動車を使用して,有償で行う ドア・ツー・ドアの個別輸送サービス 関連する施策 ※バリアフリーについては,地域分野施策5ノ4p142参照 160ページ 施策2ノ3 支え合う地域づくり 社会福祉協議会,民生委員・児童委員協議会,老人クラブ連合会,衛生連合会※1,自治協議会※2等,地域で活動する各種団体への支援や,様々な場面での連携を通じて,地域の特性に応じた住民同士の支え合い・助け合いの仕組みづくりを支援します 住民団体だけでなく,企業やNPO,介護事業者,大学などの多様な主体の地域の支え合い・助け合い活動への積極的な参加を促進するとともに,社会福祉法人の地域貢献活動を推進します 住民の地域コミュニティへの参加を促し,住民相互の顔の見える関係づくりを進めるため,住民が気軽に集まれる場づくりを進めます。住民の交流の場として空き家などの活用についても検討を進めます 高齢者の地域活動への参加を促すため,活動に取り組む高齢者を応援するインセンティブ制度※3の創設について検討します ※1 衛生連合会:地域における健康づくり活動等を推進することにより,健康で文化的な市民生活の増進に寄与することを目的とした団体。市,各区,各校区衛生連合会で構成され,市,区衛生連合会は地域の健康づくり活動の支援,校区衛生連合会は自治協議会の構成団体として健康づくりを中心とした地域活動を担う。 ※2 自治協議会:おおむね小学校区を単位として,防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら,校区を運営する自治組織 ※3 インセンティブ制度:p232参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です ふれあいネットワーク〔社協〕再掲】地域住民や団体がネットワークをつくり,高齢者などの見守り活動等を実施 ふれあいサロン〔社協〕再掲】 閉じこもりがちな 高齢者や 障がい者等の孤独感の解消や寝たきり予防のため,健康づくりやレクリエーションなどサロン活動を実施 社会福祉協議会地域福祉推進事業費補助金【再掲】: 社会福祉事業の推進に 多大な 役割を果たし,市民福祉の向上を目的とした事業を積極的に実施している福岡市社会福祉協議会※4に対する事業費の補助 福岡市民生委員・児童委員協議会補助金【再掲】:日頃から,社会奉仕の精神をもって自主的に社会福祉の増進に努め,低所得者の自立更生の支援,高齢者・ 障がい者・ジドウ・母子等の福祉向上及び公的社会福祉施策への協力等を行っている民生委員・児童委員※5の活動を支援 ※4 福岡市社会福祉協議会 市社協:p236参照 ※5 民生委員・児童委員:p237参照 161ページ 老人クラブ活動支援【再掲】高齢者の社会参加及び健康づくりを推進するため,老人クラブ活動費及び福岡市老人クラブ連合会運営費,各種事業費等について助成 敬老金・敬老祝品:多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者に,敬老金及び敬老祝品を贈呈 「関連する施策」 ※地域づくりについては,第2部 地域分野p107から144参照 施策2ノ4 在宅生活支援施策の充実  介護保険制度の理念である「自立」を基本に,支援が必要な高齢者に対し,きめ細かな在宅生活支援サービスを提供していきます。 ・民間サービスの参入やICT※情報通信技術の進歩等を踏まえつつ,より効果的・効率的な在宅生活支援施策について,既存事業の見直しも含めて検討していきます。 ※ICT:p231参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 生活支援ショートステイ:要介護・要支援の認定を持たない人がショートステイを利用する場合に料金の一部を助成 声の訪問:在宅の一人暮らし等の高齢者に対し,原則イチニチ1回電話で安否を確認し,孤独感の解消を図るとともに,各種相談の助言をする仕組み 緊急通報システム【再掲】:在宅の一人暮らし等の高齢者が,急病など緊急時に無線発信機等を用いてセンターに通報し,消防局や近隣の協力員などが対応する仕組み 食の自立支援・配食サービス:単身又は高齢者のみの世帯に属し,虚弱等のため食生活に支援が必要な人に対して昼食を配送 おむつサービス:寝たきりなどによりおむつが必要な人に,おむつを定期的に配送し,その費用の一部を助成 あんしんショートステイ:介護者の疾病や介護疲れ等の理由で介護保険を超えてショートステイを利用する場合の利用料金の一部を助成 162ページ 【基本目標3】認知症施策の推進 現状と課題 1.認知症の人の推計 ・認知症は誰にでも起こり得る脳の病気によるもので,厚生労働省の報告によると平成24年2012年には,全国で,65歳以上高齢者の約7人に1人が認知症であると推計されています。今後,高齢化の進展に伴い 認知症の人はさらに増加し,平成37年2025年には,65歳以上の高齢者に対する割合は,5人に1人になると予測されています。 ・福岡市で要介護認定を受けている高齢者のうち約5割の方が認知症を有しています。単身化・核家族化が進む中,今後,ひとり暮らし高齢者世帯や高齢者のみの世帯で認知症のある人が増えていくと予測しています。 【図表7】要介護高齢者と認知症高齢者の将来推計再掲  p12と同じものです。 163ページ 2.認知症についての正しい知識と理解 認知症の人や家族が住み慣れた地域で安心して生活していくためには,誰もが認知症についての正しい知識と理解を持ち,認知症の人を社会全体で支えていくことが必要です。福岡市では認知症についての正しい知識と理解を促進するため,認知症サポーター※養成講座を実施しており,その受講者数は,6万人を超えました 今後,認知症の人を支える地域づくりのために,さらにサポーターを養成するとともに,サポーターとなった方が様々な場面で活躍できるような取組みが必要となっています ※ 認知症サポーター:認知症を正しく理解して,認知症の人や家族を温かく見守る応援者であり,全国で養成されている 3.認知症に対する医療・介護サービス 認知症の早期発見が遅れ,認知症の症状が悪化してから医療機関を受診するケースがみられるため,認知症への対応,早期診断につなげる体制の構築が必要となっています 医療・介護の専門職が,認知症のことをよく理解し,認知症の人それぞれの価値観や個性などを尊重した,本人主体の介護を行えるよう,人材の育成が必要となっています また,認知症の人への支援のため,医療・介護関係者が顔の見える関係を築き,コミュニケーションをとりながら連携を図って行くことが求められています 4.まわりの人への支援 認知症の人が記憶障がいや 認知障がいから 不安に陥り,その結果 まわりの人との関係が損なわれることもしばしばみられ,家族など介護する人が疲弊してしまうケースも少なくありません。介護そのものに対する支援だけでなく,人や地域との,つながり,のバづくりなど介護者の精神的・身体的負担を軽減する取組みが必要です 団塊の世代が高齢者となった中で,働き盛り世代の家族介護者が今後急増していくと考えられるため,介護者の仕事と介護の両立支援が必要です また,晩婚化によって,既存の育児サービス,介護サービスを利用しながら,子育て 孫も含む と親の介護を同時にしなければならない世帯 ダブルケア負担の世代 の増加が予測され,子育てと介護の両立支援も必要となっています 164ページ 5.若年性認知症 ・若年性認知症の人には,初期症状が認知症特有のものでないため,診断が難しいことや,就労や生活費,子どもの教育費等の経済的な問題が大きいこと,就労や社会参加に対する意欲が高いにも関わらず,受け入れる場がないことなど,高齢者とは異なる特徴があります。その一方で,若年性認知症特有のサービスが少なく,様々な制度を利用しなければならない状態にあります。 ・若年性認知症の人が利用できる様々な制度について,わかりやすく情報を提供するとともに,高齢者とは異なる視点での,医療,介護,就労・居場所づくりなどの一体的な支援が必要となっています。 施策の方向性 ・認知症の人を単に「支えられる側」と考えるのではなく,認知症の人の意志を尊重し,寄り添うことで,認知症の人ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう,認知症への理解を深める取組みを進めるとともに,本人やその家族に対する支援の充実を図ります。 ・医療・介護の専門職の認知症対応力の向上を図るほか,認知症の人が初期段階で適切な診断を受け,認知症の状態に応じた適時・適切なサービスを受けられる体制整備を進めます。 165ページ 施策3ノ1 認知症に関する啓発の推進 ・社会全体で認知症の人を支える基盤として,誰もが認知症についての正しい知識を持ち,認知症の人や家族を支える手だてを知ることができるよう,認知症とその予防について,学校教育の場を含め,理解を深めるための普及・啓発活動を推進します。 ・地域や企業,小・中学校などにおいて,認知症の人とその家族を支え,温かく見守る認知症サポーター※の養成を進めるとともに,認知症サポーターなどによる認知症の人にやさしい地域づくりに取り組みます。 ※認知症サポーター:p236参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 認知症サポーター養成事業:認知症の人と家族を温かく見守る認知症サポーターを養成する講座の実施 認知症普及啓発事業:認知症に関する啓発のための講演会などの実施 認知症施策総合推進事業:認知症地域支援推進員の配置による医療・介護など多職種連携の推進や認知症の人と家族への支援 「関連する施策」 ※認知症予防については,健康医療分野の施策1ノ1p76参照 ※認知症施策に携わる介護人材の確保については,高齢者分野の施策4ノ4p173参照 166ページ 施策3ノ2 適切な医療・介護サービスの提供 福岡市医師会や認知症疾患医療センター※1を中心とした,早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに,かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や,かかりつけ医への助言や専門医療機関と地域包括支援センター※2等との連携の推進役となる認知症サポート医の養成を行います。再掲 認知症が疑われるが受診を拒否する人などの自宅を訪問し,初期の支援を包括的・集中的に行い,適切な医療・介護サービスにつなげていく体制をつくります。再掲 認知症の人の支援に関わる医療・介護・福祉等多職種の顔の見える関係づくりを通して,個々の認知症の人に対する円滑な支援を行うとともに,認知症の容態に応じた適切なサービス提供の流れ「認知症ケアパス」を作成し,認知症の人やその家族,医療・介護関係者等が互いに共有・活用することを通して,認知症の人への切れ目ないサービスの提供につなげます 若年性認知症については,啓発により早期受診につなげるとともに,若年性認知症の人の特性を踏まえた,相談対応・就労・居場所づくりなどの支援に取り組みます ※1 認知症疾患医療センター:p236参照 ※2 地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができるように,健康や福祉,介護などに関する相談を受けたり,その人の身体状況に最も適したアドバイスを行うなど,必要な支援を包括的に担う機関。福岡市では,おおむね中学校区ごとに57か所・2支所設置している。平成27年12月現在 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 認知症医療連携システム【再掲】:認知症の人を早期発見・早期治療につなげるための医療機関連携システムを福岡市医師会や認知症疾患医療センターと連携して運用 認知症疾患医療センター【再掲】:認知症に関する専門医療相談や鑑別診断,認知症に関する啓発等を行う認知症専門医療機関の運営 認知症地域医療支援事業【再掲】:かかりつけ医や病院勤務の医療従事者を対象にした認知症対応力向上研修を開催 認知症介護実践者等養成事業【再掲】:高齢者介護実務者を対象にした,認知症高齢者の介護に関する実践的研修等を開催 167ページ 認知症施策総合推進事業【再掲】:認知症地域支援推進員の配置による医療・介護など多職種連携の推進や認知症の人と家族への支援 若年性認知症相談窓口の設置等:若年性認知症についての総合相談窓口の設置,若年性認知症の人が利用できる制度案内のリーフレットの配布及び窓口担当職員への研修等 「関連する施策」 ※認知症医療提供体制については,健康医療分野の施策2ノ2p89と関連あり 施策3ノ3 介護する人への支援の充実  家族など介護者への支援の充実を行い,介護者の精神的・身体的負担軽減と認知症の人の生活の質の改善につなげます。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 認知症高齢者家族やすらぎ支援事業:認知症高齢者の見守りや家族の相談・助言のため,認知症高齢者を自宅で介護する家族の休息が必要なときなどに介護経験があるボランティアが自宅を訪問 徘徊高齢者等 ネットワーク事業【再掲】:徘徊高齢者の早期発見・保護のため,協力サポーター等への捜索協力依頼のメール配信や捜索のための機器利用を助成 福祉相談 認知症介護相談:認知症高齢者を抱える家族からの悩み事相談に介護経験者が対応 家族介護者支援事業:介護負担軽減と心身のリフレッシュを図るため,家族介護者に対し,相互交流・意見交換の機会の提供や介護技術の習得・公的サービスの紹介 168ページ 【基本目標4】介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営 現状と課題 1.介護保険サービス※1 ・要介護認定者※2数の増加に伴い,介護給付費も年々増加しています。介護保険制度の運営や高齢者の保険料の負担に多大な影響を与えています。 ・一人暮らしの高齢者や認知症高齢者など,支援を必要とする高齢者が増加しており,生活支援の必要性が高まっています。 ・要支援者等の多様な生活支援ニーズに対応するためには,介護サービス事業者が提供する専門的なサービスから住民主体の支援まで,多様な担い手による多様なサービスの提供が不可欠であり,NPO法人やボランティアの育成,地域組織等の活動支援などが重要となっています。 ・高齢者実態調査によると,高齢者の6割程度,介護者の7割以上は住み慣れた住宅での生活や介護を希望しており,そのためには夜間や緊急時に対応でき,通い・泊り・見守り等の対応が可能なサービスの拡充が必要です。 ・一方で,入所・居住系ニーズへの適切な対応も必要であり,きめ細かでバランスのとれた介護基盤の整備が求められています。 ※1介護保険サービス:p232参照 ※2要介護認定者:p237参照 2.介護予防 ・介護予防については,現在も介護予防教室や生き活き講座,認知症予防教室などをはじめ,要介護状態になることを予防するための取組みを進めています。 ・今後は住民の積極的な参加と住民自身の運営による自律的な取組みを推進していくことが重要となります。 ・これまでの介護予防は,心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちであり,介護予防で得られた活動的な状態をバランスよく維持するための活動や社会参加を促す取組みが必ずしも十分でなかったという課題があります。 ・これからの介護予防は,地域の中に生きがい・役割を持って生活できるよう居場所と出番づくりなど,社会参加活動や支え合い・助け合い活動への積極的な参加の支援などを実施し,結果的に介護予防につながるという考え方であり,介護予防・生活支援・社会参加が融合した取組みが必要です。 169ページ 【図表84】介護予防・生活支援・社会参加の融合イメージ図  出典:「地域支援事業の新しい総合事業の市町村による円滑な実施に向けた調査研究事業」厚生労働省 図  以下は,図の説明です。  従来の考え方では「介護予防」「生活支援」「社会参加」の3つをそれぞれ別の円としてとらえていましたが,総合事業での考え方では,それら3つの円が重なった形でとらえています。 3.介護人材※の確保 ・「2025年度に向けた介護人材にかかる需給推計 確定値 」厚生労働省 によると,福岡県全体での平成37年度2025年度の介護人材の需要見込みが約9万4千人に対し,供給見込みが約8万4千人となっており,約1万人が不足すると推計されています。福岡市においても,認知症や医療ニーズをあわせ持つ 要介護高齢者の増大が見込まれており,介護人材の確保は,ますます重要になっています。 ※介護人材:本計画では,介護に関係する業務に従事する人のことを指す。 170ページ 施策の方向性 ・生活支援サービス※1について担い手の養成や開発など提供体制を整備するとともに,介護予防の普及・啓発に取り組みます。 ・長期的に大規模施設から在宅生活を支えるサービスへシフトするため,在宅生活を支えるサービスや 住み慣れた地域で住み替えができる小規模施設の拡充を図ります。また,入所・居住系サービスを担保する施設サービスも一定量確保します。 ・「第6期福岡市介護保険事業計画」平成27年度(2015年度)から平成29年度(2017年度)に基づき,介護保険制度を運営するとともに,介護保険サービス※2の適切な利用を推進します。また,平成29年度2017年度に,「第7期福岡市介護保険事業計画」平成30年度(2018年度)から平成32年度(2020年度)を策定します。 ・きめ細かな質の高い介護サービスを提供するため,引き続き事業者に対し,よりよいケアの実現に向けた指導を実施するとともに,介護人材の専門性や資質の向上に向けた研修機会の提供のほか,介護サービス情報の提供に努めます。また,介護保険サービスが利用しやすくなるよう,分かりやすい情報提供に努めます。 ・介護人材※3不足に対応するため,介護従事者の処遇改善については,引き続き,指定都市市長会などを通して 国に対して要望するとともに,福岡市としても人材確保の支援に努めます。 ※1 生活支援サービス:p234参照 ※2 介護保険サービス:p232参照 ※3 介護人材:p232参照 171ページ 施策4ノ1 介護予防と生活支援サービス※の充実強化 ・住民主体で参加しやすく,地域に根差した介護予防を推進し,介護予防の普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります ・社会参加や生きがいの充実などが,高齢者自身の介護予防にもつながることが期待できることから,元気な高齢者が生活支援サービスの、担い手、となるようなボランティア活動等を支援していきます  生活支援の担い手の養成やサービスの開発,関係者のネットワーク化,ニーズとサービスのマッチング等を行うことにより,生活支援サービスなどの提供体制づくりに努めます ※生活支援サービス:p234参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 介護予防教室 65歳からの 健康づくり教室 【再掲】:自宅でできる内容を中心とした運動,認知症予防などの講話,口腔体操など各健康づくりプログラムを開催。教室終了以降は,健康づくりに取り組む市民を増やすため,自主グループとして活動できるように支援を実施 生き活きシニア福岡21【再掲】:保健師などが,地域で健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座を実施する「生き活き講座」及び「認知症予防教室」などを開催 小呂島介護予防事業:島内に介護サービス事業所のない小呂島において,住民主体で運営する介護予防サロンを開設,レクリエーション体操や健康チェック等の活動 訪問型介護予防事業:65歳以上の高齢者のうち,心身の状況により通所の教室への参加が困難な方を対象に,保健師や運動指導士が訪問し,介護予防や生活習慣病予防に関することをアドバイス 介護支援ボランティア事業:65歳以上の高齢者が,受入機関として指定を受けた市内の介護保険施設等でボランティア活動を行うと「ポイント」が付与され,たまったポイントを換金又は寄付することができる制度 「関連する施策」 ※介護予防については,健康医療分野の施策1ノ1p76と関連あり ※生活支援サービスについては,地域分野の施策3ノ3p127と関連あり 172ページ 施策4ノ2 地域密着型サービスの整備 在宅での24時間365日の切れ目ないサービスを提供するため,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護について,地域的偏在やサービスの質の向上等に留意しながら整備していきます 認知症対応型共同生活介護 認知症高齢者グループホームについては,日常生活圏域間の均衡を踏まえつつ,高齢者数の増加に見合う定員数を確保していきます 計画的に整備を行う地域密着型サービスの概要 表 以下は,事業名,事業概要の順です 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:日中・夜間を通じて,定期的な巡回と随時の通報により居宅を訪問し,入浴,排せつ,食事等の介護や日常生活上の緊急時対応などを行うサービス 小規模多機能型居宅介護:「訪問」「通い」「宿泊」のサービスを利用者の状態に応じて組み合わせて,入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス 看護小規模多機能型居宅介護:小規模多機能型居宅介護の「通い」「訪問介護※1」「宿泊」に加え,必要に応じて「訪問看護※2」を一体的に行うサービス 認知症対応型共同生活介護 認知症高齢者グループホーム: 認知症高齢者の キョウドウ生活住居 において,入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練を行うサービス ※1訪問介護:訪問介護員 ホームヘルパー等が居宅を訪問し,入浴,排せつ,食事等の介護,その他調理・洗濯・掃除等の日常生活上の世話を行う。 ※2訪問看護:看護師等が居宅を訪問して療養上の世話又は必要な診療の補助を行う。 施策4ノ3 施設・居住系サービスの整備 介護老人福祉施設 特別養護老人ホームについては,「第6期福岡市介護保険事業計画」に基づき,計画的に整備を進めます 介護老人保健施設,特定施設入居者生活介護については,「第6期福岡市介護保険事業計画」期間中の新たな整備を行いませんが,次期計画の策定時に,あらためて整備の必要性を検討します 在宅生活が困難になっても,住み慣れた地域で住み替えができるよう,地域密着型介護老人福祉施設 特別養護老人ホーム の整備が進むよう努めます 計画的に整備を行う施設・居住系サービスの概要 表 以下は,事業名,事業概要の順です 介護老人福祉施設 特別養護老人ホーム:常時の介護が必要な人が入所し,介護等,日常生活の世話,機能訓練,健康管理及び療養上の世話を行う施設 介護老人保健施設:看護,医療的管理下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話を行い,在宅への復帰をめざすための施設 特定施設入居者生活介護:有料老人ホーム等に入居している要介護者について,介護等,日常生活の世話,機能訓練,健康管理及び療養上の世話を行うもの 173ページ 施策4ノ4 介護人材※1の確保 高齢者が介護が必要な状態になっても安心して生活できるよう,要介護高齢者等に対する介護サービスの提供を支える介護人材を確保するため,市町村の役割とされている介護人材の資質・技術の向上を目的とした研修の実施に加え,介護人材の就労を支援するための事業や,事業所への定着を支援するための取組みを進めます また,福岡市の基準による研修の実施や,生活支援分野での元気高齢者の活躍支援,ボランティアの育成など,介護人材のすそ野を広げるための取組みを検討します 市内で介護に携わる方々に対して,様々な機会を通じて,研修の場を提供し,資質向上の支援に努めます。 介護サービス事業者に対して,事業所での研修の実施や,介護従業者への研修受講の機会の確保などを指導するとともに,介護従業者を対象に,地域包括ケア,権利擁護※2,介護技術などのサービスの向上に資する様々な分野の研修を開催するほか,国や民間団体が行う各種研修の案内を行うなど,介護従業者の意欲の向上を図ります その中でも,認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう,認知症高齢者等に対する介護サービスの充実と質の向上を図るため,認知症介護に関する実践者研修や,適切なサービスの提供に関する知識等を習得するための研修を実施し,認知症介護の専門職員を養成します ※1 介護人材:p232参照 ※2 権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人 例:寝たきりの高齢者,認知症高齢者,障がいのある人等の立場に立って,代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 介護人材就労支援事業:介護職を希望する人のための合同就職面談会や介護福祉士などの有資格者等を対象とした就労支援の研修を開催 介護人材定着支援事業:介護の仕事に従事して日が浅い人を対象に,苦手な分野を克服できるよう,コース別の技術研修を開催 介護保険事業者研修事業:介護従業者を対象にした,サービスの向上に資する様々な分野の研修を開催 認知症介護実践者等養成事業【再掲】高齢者介護実務者を対象にした,認知症高齢者の介護に関する実践的研修等を開催 関連する施策 ※認知症予防については,健康・医療分野の施策1ノ1p76参照 ※認知症医療提供体制については,健康医療分野の施策2ノ2p89参照 ※認知症施策の推進については,高齢者分野の施策3ノ1から3ノ3p165から167参照 174ページ 【基本目標5】高齢者総合支援体制づくり 現状と課題 1.地域包括支援センター※1,各種相談窓口 高齢者の暮らしにおいて生じる様々な困りごとについて,身近な場所で,ワンストップで相談に応じる機関として,福岡市では,おおむね中学校区ごとに,57の,いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター を設けています いきいきセンターふくおかでは,高齢者や家族をはじめ,それを支援する民生委員・児童委員※2などからの相談に応じるとともに,地域のネットワーク構築,権利擁護※3,介護支援専門員※4 ケアマネジャー 支援等の機能を果たすことで,高齢者等の保健医療の向上及び福祉の増進を図っています 高齢者数の増加に伴い,その役割はさらに重要となることから,質の向上など,今後とも相談機能等の充実・強化を図っていく必要があります また,福祉用具※5や住宅改造など在宅介護に関する相談に応じる介護実習普及センターをはじめ,各種の相談機能の充実を図っていく必要があります ※1 地域包括支援センター:p235参照 ※2 民生委員・児童委員:p237参照 ※3 権利擁護:p233参照 ※4 介護支援専門員:p232参照 ※5 福祉用具:車いす,特殊寝台,床ずれ防止用具,歩行器,移動用リフト等 2.地域ケア会議 高齢者が要介護状態になっても,可能な限り住み慣れた地域で安心して生活を続けるためには,本計画のそれぞれの各論で扱った,「保健 予防 」「医療」「介護」「生活支援」「住まい」の5つの分野のサービスを包括的かつ継続的に提供する必要があります。これを地域包括ケアシステムといい,それを実現するための仕組みとして「地域ケア会議」の設置を進めています 地域ケア会議ワ,保健・医療・介護などの専門職や地域関係者などによる検討を通じ,それぞれの高齢者に対する支援の充実に向けた課題の発見・解決を図るとともに,個々の課題から見えてくる地域課題を発見し,必要な社会資源づくり※6,政策の検討につなげることをめざすものです ※6 社会資源:社会的ニーズを充足するさまざまな物資や人材のこと 175ページ 福岡市では「地域ケア会議」を,市・区・概ね中学校区・小学校区,個別の各階層に設置し,保健・医療・介護などの専門職や地域住民との共働※1のもと,それぞれの課題解決能力の向上や,地域の関係機関相互の連携を高めていくこととしています 人口150万人の大都市である福岡市では,日常生活圏域が多数存在し,それぞれの地域特性が異なっていることから,各地域の社会資源※2状況などの実情を踏まえて,高齢者の生活を支える仕組みづくり,取組みを進めていくことが必要となっています ※1 共働:p232参照 ※2 社会資源:p174参照 図表85 福岡市の地域ケア会議  資料:福岡市作成  地域ケア会議の機能  1 個別課題解決  2 ネットワーク構築  3 地域課題発見  4 地域づくり・資源開発  5 政策形成 ※1 主な会議参加者 地域団体,民生委員・児童委員,保健医療関係者,介護サービス事業者,居宅介護支援専門員,司法関係者,本人,家族,社会福祉協議会,行政等 ※2 課題に応じて適切な階層の会議で検討を進めていく 図  以下は,図の説明です ピラミッド型の頂点に「市レベルの地域ケア会議」があり,その下は4段階に分かれています。それぞれ下から上へ向かって矢印が書かれています。また,「個別レベルの地域ケア会議」で個別課題が解決され,頂点の「市レベルの地域ケア会議」で政策形成が行われます ピラミッド型の上から順に担当毎の地域ケア会議の名称をシルします 市保健福祉局 市レベルの地域ケア会議 保健・医療・介護などの専門部会を設置 各区保健福祉センター 区レベルの地域ケア会議 保健・医療・介護などの専門部会を設置 各区保健福祉センター・地域包括支援センター 個別レベルの地域ケア会議・小学校区レベルの地域ケア会議・概ね中学校区レベルの地域ケア会議 開催エリアは1圏域ないし複数圏域 176ページ 3 ICT※1 情報通信技術 の利活用 ・高齢化の進展による医療費や介護費用の増加等により,財政的な制約が強まる中,各種の施策にはこれまで以上に,効果的・効率的な実施が求められています。特に介護予防事業では科学的根拠に基づく効果的な施策が求められていますが,そのためには行政の持つ膨大なデータの活用が不可欠です ・国においても,健康・医療情報の分析に基づく効果的・効率的な保健事業をPDCAサイクルで実施する「データヘルス計画※2」の取組みを進めています ・行政のデータに加えて各種の社会資源※3情報も一元的に集約の上,管理・分析を行うことによって,適切な事業評価や効果的な施策の企画実施が可能となるとともに,地域包括ケアシステムに必要な多職種連携や,住民に対する切れ目ないサービス提供の実現にも大きく寄与することとなります ・このため,保健・福祉・医療に関わる各種情報基盤の構築とともに,その活用方法の検討が必要です ※1 ICT:p231参照 ※2 データヘルス計画:健康・医療情報の分析に基づく,効率的,効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施するための保健事業実施計画 ※3 社会資源:p234参照 施策の方向性 「いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター ※4」や各種総合相談機能の充実・強化を図ります 「地域ケア会議」を地域・市レベルの各階層において設置し,専門職と地域の関係者などが,それぞれの地域課題を把握し,課題解決に向けた検討などを行うことを通して,高齢者が地域で生活しやすい環境整備を重層的に進めます 行政の持つビッグデータの集約・一元管理を行い,在宅サービスにおける多職種連携の推進や,科学的根拠に基づいた施策の分析・評価・企画立案を進めるほか,ロボットなど最新技術の保健福祉分野への導入を進めます。 ※4 地域包括支援センター:p235参照 177ページ 施策5ノ1 地域包括支援センター※1と各種相談機能の充実  地域包括ケアの実現に向け,いきいきセンターふくおか 地域包括支援センター の機能が十分に発揮されるよう,保健福祉局,区保健福祉センター,いきいきセンターふくおかの連携強化を図るとともに,いきいきセンターふくおかの質を高めるため,職員に対する研修を充実します。 ・57か所に増設した「いきいきセンターふくおか」の周知を図るとともに,地域や社会福祉協議会などの関係機関との連携強化に取り組みます。 ・介護についての知識や介護の技術を学ぶことができる「介護実習普及センター」など,各種相談窓口における相談機能の充実に努めます。 ※1 地域包括支援センター:p235参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 いきいきセンターふくおか運営【再掲】:高齢者の健康や福祉,介護,権利擁護※2等に関する相談に応じ,身体状況に適した助言を行うなど,高齢者の自立した生活維持に向けた支援を実施。センターの円滑・適正な運営を図るため,職能団体や介護保険被保険者などで構成する地域包括支援センター運営協議会を設置 介護実習普及センター:介護知識・介護技術の普及とともに,福祉用具※3の普及を図るため,福祉用具の展示・相談体制を整備 福祉相談 認知症介護相談【再掲】:認知症高齢者を抱える家族からの悩み事相談に介護経験者が対応 ※2 権利擁護:p233参照 ※3 福祉用具:p237参照 「関連する施策」 ※権利擁護への取組みについては,地域分野の施策5ノ2p140参照 施策5ノ2 地域ケア会議の推進  「地域ケア会議」を運営することにより,各階層 市,区,おおむね中学校区,小学校区,個別 で地域課題の発見・解決を図り,高齢者が地域で生活しやすい環境整備を進めていきます。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 地域ケア会議の開催:市,区,概ね中学校区,小学校区,個別レベルに専門職と地域の関係者などが,地域の課題を把握し,課題解決に向けて検討を進める会議を設置 178ページ 施策5ノ3 ICT※1 情報通信技術等の利活用 行政の保有する医療や介護,予防 健診 等に係る各種データを集約し,地域ごとのニーズ分析や課題の「見える化」を行い,科学的根拠に基づく適切な施策の企画・立案を実現し,医療・介護・予防・生活支援・住まいに係るサービスの充実化を図ります 情報通信ネットワークを活用し,本人の同意のもとに,生活や心身の状況,サービス提供時の注意点などの情報を在宅医療※2 や 看護・介護に係る関係者が共有することで,関係者の負担軽減とサービスの質の向上を図り,在宅で安心して生活できる環境を構築します 地域の見守りや介護現場など,様々な場面でのICT情報通信技術やロボットの利活用を進め,地域の負担軽減となる新たな見守りの仕組みの構築や,介護人材※3不足への対応を進めます ※1 ICT:p231参照 ※2 在宅医療:通院が困難な場合等に,医師や看護師等の医療従事者が患者の自宅等に訪問し,医療サービスを提供すること ※3 介護人材:p232参照 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 地域包括ケア情報プラットフォーム構築事業:行政の保有する多様なデータを集約し,地域包括ケアに係るニーズ分析を行うとともに,情報の共有による在宅医療・介護関係者間のシームレスな連携を実現するための情報通信基盤を整備 ICT活用による 要介護高齢者 在宅生活支援モデル事業【再掲】:要介護高齢者の平常時及び緊急時の在宅生活をサポートするため,ICT情報通信技術を活用した地域の見守り体制の充実のためのモデル事業 図表86 ICT情報通信技術の利活用  資料:福岡市作成 図 以下は,図の説明です 高齢者本人のデータは情報通信技術 情報システム・ ネットワーク・各種デバイス・ビッグデータを使って,行政,医療機関,ケアマネジャー,訪問看護士・ヘルパー,家族・地域と共有されます。以下に項目別の役割をシルします  行政:現状の分析・解析  医療機関:生活状況に応じた医療サービスの提供  ケアマネジャー:各事業者への情報提供  訪問看護士・ヘルパー:サービスの提供と生活状況の記録  家族・地域:支援者によるみまもり 179ページ   主な老人福祉事業の目標量  老人福祉法において,市町村は,確保すべき老人福祉事業の量等を定めることとなっています。ここに記載する老人福祉事業と介護保険事業計画に記載されている事業とをあわせて,市町村老人福祉計画で定めることとされている老人福祉事業とします。 【主な老人福祉事業の目標量】 表  以下は,概要,平成27年度実績,平成32年度目標の順です。 養護老人ホーム:環境上の理由や経済的理由により,居宅において養護を受けることが困難な高齢者が措置により入所する施設 367人分 307人分※1 軽費老人ホーム:無料又は低額な料金で,食事の提供その他日常生活上必要な便宜を提供する施設 1217人分 1217人分 老人福祉センター※2:高齢者の各種相談,健康増進,教養の向上,レクリエーション等を総合的に提供するため,老人福祉センターを設置・運営 7か所 7か所 ※1 養護老人ホームの定員数の減少は,市立松濤園の民間施設への移行に伴うもの ※2 老朽化した博多区長生園については,平成28年度に解体するとともに,後継施設のあり方を検討 180ページ 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために,次の項目を成果指標とします 成果指標 表 以下は、指標項目、現状値、目標値、備考対応する目標,出典の順です 1 外出する頻度 週に4日以上外出する人の割合 61.2% 平成22年度 65.0% 平成31年度 【基本目標1】福岡市高齢者実態調査 2 働いている高齢者の割合 平成28年度※1 平成31年度※1  【基本目標1】福岡市高齢者実態調査  3 ボランティア活動をしている高齢者の割合 10.1% 平成25年度  15.0% 平成31年度 【基本目標2】福岡市高齢者実態調査 4 最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合 10.0% 平成26年度 11.7% 平成32年度 【基本目標2】保健福祉局調べ 5 認知症の人が,住み慣れた地域で暮らし続けることができると思う人の割合 平成28年度※1   平成31年度※1【基本目標3】福岡市高齢者実態調査 6 医療・介護専門職を対象とした認知症に関する研修受講者数  3150人 平成26年度  8000人 平成32年度 【基本目標3】保健福祉局調べ 7 介護予防に取り組む自主グループ創設数 57圏域中53圏域でグループ創設  市内に70グループ 平成27年度 57圏域すべての圏域でグループ創設  市内に114グループ 平成32年度 【基本目標4】保健福祉局調べ 8 介護人材確保事業参加者数 177人 平成27年度  270人 平成32年度 【基本目標4】保健福祉局調べ 9 いきいきセンターふくおかの認知度 46.8% 平成25年度 60.0% 平成31年度  【基本目標5】福岡市高齢者実態調査 10 健康寿命延伸による要介護認定率の伸びの抑制※2 20.3% 平成26年度  全国平均値 平成32年度 【基本目標5】保健福祉局調べ ※1 平成28年度に実施する高齢者実態調査に基づき設定する。 ※2 平成26年度の要介護認定率全国平均値は17.9%で,福岡市の20.3%は2.4ポイント高い状況である。健康寿命延伸を推進することにより,要介護認定率の伸びを抑制する。 第4部  障がい者分野  このページに文章の記載はありません。 181ページ 第4部 障がい者分野 第1章 障がい者分野の基本理念等 1 基本理念  福岡市は,平成25年2013年5月に人口150万人を突破しました。全国的な人口減少傾向にあって,福岡市は今後20年の間人口が増え続けると予想されている,元気で住みやすいまちです。一方で,全国平均を上回るペースで高齢化が進んでおり,平成37年2025年には,将来推計人口159万人のうち,4分の1が65歳以上の高齢者になると予測されています。また,人口に占める障がい者の割合も増加傾向にあり,身体障がい者手帳の所持者のうち60歳以上の所持者が75%以上を占めるなど高齢化が進むとともに,手帳所持者数が平成37年2025年には現在の約1.2倍の約62000人に上ると推計されています。知的障がい者,精神障がい者も増加しており,障がい福祉サービスの利用者数も増え,扶助費※1などの経常的経費※2が増加傾向にあります。これに伴い,重要施策の推進や新たな課題に対応するために使える財源政策的経費に使える財源は限られていくことから,障がい福祉施策全体を,社会情勢やニーズの変化を踏まえた,より効果的な施策体系にしていく必要があります。  計画の見直しにあたり,平成25年度2013年度に実施した「福岡市障がい児・障がい者等実態調査」において,障がいのある方々の生活の実態や福祉施策などについて,様々なご意見をいただきました。「施策が充実してきた」というご意見がある一方で,「依然サービスが不足している」「障がいに対する理解が進んでいない」「収入がない,又は少ないため生活が安定しない」「一見して障がいがあることがわからないため配慮に欠けた対応をされる」などのご意見もありました。 また,障がいのある本人や家族の高齢化が進む中,多くの方から「親が亡くなった後の生活の不安」や「障がいの重度化」,「障がい者及び介護者の高齢化」に対する不安の声が聞かれました。特に,自身の判断能力が十分でない知的障がい,精神障がい,発達障がい※3のある当事者の家族からは切実な声が挙がっています。 ※1扶助費:高齢者,障がいのある人,生活困窮者などに対して市が行う支援に要する経費生活保護費など ※2 経常的経費:年々繰返し経常的に支出される経費 ※3 発達障がい:p236参照 182ページ  障がいのある本人も,その家族も,安心していきいきと生活していくためには,将来自立して生活できる環境を整備することが重要であり,生涯における各段階に応じたこまやかな支援を充実させていく必要があります。 住み慣れた家庭や地域で安心して生活し続けることができる社会の早期実現を図るため,障がいの早期発見・早期支援への取組み,自立に向けた就労支援の強化,障がいが重度化しても住み慣れた家庭や地域で生活を続けられる障がい福祉 サービスの充実などが求められます。さらに,生活の身近な場所に,緊急時にも相談でき,必要な対応が可能な体制を整備するなど,地域全体で支える仕組みを構築し,「親なき後※1の生活の安心」にもつながる施策が求められています ※1親なき後:本計画では,親が亡くなった場合に加え,障がいのある人を介護している親や家族が病気になるなどで,介護を継続することができなくなった状態を指す  このような点を踏まえ,障がい者分野の基本理念を以下のとおりとします 「基本理念」  福岡市では,これまでも「障がいのある人とない人が等しく地域の中で自立し,社会の一員として共に生きる社会」をめざし,障がい福祉施策を進めてきました。今後,「人口急減・超高齢社会」といった,深刻な社会情勢の変化が予想される中,高齢障がい者及び,「親なき後」の地域での生活を見据えた総合的な支援など,「障がいのある人が必要な支援を受けながら,自らの能力を最大限発揮し,地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくり」をめざします  また,基本理念の実現に向け,以下の考え方に基づき施策を総合的に実施します 1.障がいのある人の自己決定の尊重及び意思決定の支援 ・障がいのある人が社会の一員として尊重され,自らの考えに基づいた決定をし,その考えを表明したり,行動したりするための支援を行います ・また,障がいの特性から,十分な判断を行うことや意思の表明が困難な場合に,その人の権利が損なわれることのないよう,権利擁護※2の推進に取り組みます ※2権利擁護:自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人 例:寝たきりの高齢者,認知症高齢者,障がいのある人トウの立場に立って,代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること 183ページ 2.当事者本位の総合的な支援 一人ひとりが主体的に歩んでいく人生において,生涯の全段階を通じて適切な支援を受けられるよう,教育,福祉,医療,就労などの各分野の有機的な連携のモト,施策を総合的に展開し,切れ目のない支援を行います 3.障がい特性などに配慮した支援 障がいのある人への支援は,性別や年齢,発達障がい※3や強度行動障がい※4などの障がいの状態,生活の実態などに応じ,個別的な支援の必要性を踏まえて実施するとともに,周囲の理解の促進に向けた広報・啓発活動の推進や人材の育成など施策の充実を図ります ※3 発達障がい:p236参照 ※4 強度行動障がい:直接的な他害 噛み付き,頭突き 等や,間接的な他害 睡眠の乱れ,同一性の保持 等,自傷行為等が「通常考えられない頻度と形式で出現している状態」を指す。かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態 4.地域社会における共生 障がいのある人が地域で生活する一員として,あらゆる分野の活動に参加する機会や,どこで誰と住むかの選択の機会を確保し,障がいが重度化したり,親なき後※1も,地域で安心した生活を継続できるよう,障がい福祉サービスの充実を図り,相談,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を推進します ※1 親なき後:p182参照 5.差別の解消 障がいを理由とする差別を解消するためには,障がいのある人が安心して日々生活したり,働いたりする上で,その活動を制限し社会への参加を制約する社会的障壁※2を取り除くことが重要です 誰もが等しく基本的人権を有する,かけがえのない個人として尊重されるよう,差別の解消に向けた広報・啓発活動を継続して実施するとともに,障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう,個々の場面において社会的障壁を除去するための取組みを進めていきます ※2 社会的障壁:p234参照 6.アクセシビリティ※3の向上 ・「アクセシビリティ」とは,階段のスロープ化や案内板への点字表示などの施設・設備の「利用しやすさ」や,広報誌の点訳やホームページの読み上げ機能の充実などのサービス,情報,制度などの「利用しやすさ」を意味します ※3 アクセシビリティ:施設,設備,サービス,情報,制度等の利用しやすさ 184ページ ・障がいのある人の生活上の困難さは,障がいそのものと社会的な要因の双方にあると考えられています。障がいの状態,年齢,性別などに関わりなく,障がいのある人の社会参加を実質的なものとし,安心して生活できるようにするために,ユニバーサルデザイン※4の理念に基づき,社会への参加を制約している,事物,制度,慣行,観念などの社会的障壁の除去を進め,ソフト,ハードの両面にわたる社会のバリアフリー※5化を推進し,アクセシビリティの向上を図ります。 ※4ユニバーサルデザイン:年齢,性別,能力,背景等にかかわらず,できるだけ多くの人が自由に快適に利用でき,行動できるように,ものづくり,情報,サービスや街づくりなどあらゆる場面で,あらかじめ,思いやりのある配慮を行うという考え方 ※5バリアフリー:高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁 バリア となるものを除去 フリー すること 2 計画の位置づけ ・本分野は障害者基本法第11条第3項に定める市町村障害者計画として,「第4期福岡市障がい福祉計画 障害者総合支援法に定める市町村障がい福祉計画」や子どもに関する分野の基本的な計画である「第4次福岡市子ども総合計画※1」との整合を図りながら策定するものです。 ※1第4次福岡市子ども総合計画:p235参照 3 基本目標 ・基本理念・考え方に基づき,6つの基本目標を定め,各施策を実施します。 1.地域で安心して生活するための支援の充実 ・障がいのある人もその家族も,地域で安心して生活し続けることができる支援の充実を図ります。 2.就労支援・社会参加支援の充実 ・生きがいのある,充実した生活の実現をめざし,支援の充実を図ります。 3.障がいに対する理解の促進 ・障がいのある人もない人も,互いに尊重し合う共生社会の実現をめざします。 4.権利擁護※2の推進 ・障がいのある人の権利や尊厳を守るための施策を推進します。 ※2権利擁護:p233参照 5.差別解消のための施策の推進 ・障害者差別解消法の趣旨を踏まえながら,差別解消の推進に取り組みます。 6.障がいのある子どもへの支援の充実 ・早期からの支援や,成長段階に応じた支援の充実を図ります。 185ページ 4 施策体系 ・基本目標に基づき,以下の体系により障がい者施策を推進します。 推進施策 表  以下は,基本目標,施策の順です。 【基本目標1】地域で安心して生活するための支援の充実  1ノ1 相談支援  1ノ2 在宅サービスの推進  1ノ3 移動・外出支援  1ノ4 施設サービス等の推進  1ノ5 生活用具等の給付  1ノ6 年金・手当等  1ノ7 住宅支援  1ノ8 保健・医療・リハビリテーション  1ノ9 発達障がい児・障がい者への支援  1ノ10 難病に関する施策の推進  1ノ11 災害対策の推進  1ノ12 事業所におけるサービスの質の向上  1ノ13 人材の育成・研修  1ノ14「親なき後」の支援 【基本目標2】就労支援・社会参加支援の充実  2ノ1就労支援  2ノ2福祉的就労の底上げ  2ノ3交通支援  2ノ4意思疎通支援  2ノ5障がい者に配慮したまちづくりの推進  2ノ6スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 【基本目標3】障がいに対する理解の促進  3ノ1啓発・交流の推進  3ノ2広報・情報提供の充実 【基本目標4】権利擁護の推進  4ノ1権利擁護・虐待防止 【基本目標5】差別解消のための施策の推進  5ノ1障害者差別解消法施行に伴う対応 【基本目標6】障がいのある子どもへの支援の充実  6ノ1早期発見・早期支援  6ノ2療育・支援体制の充実強化  6ノ3発達障がい児の支援 186ページ 5 障害者総合支援法の見直しとの関係について  国は,平成28年2016年における,障害者総合支援法の施行後3年を目途とした障がい福祉サービスのあり方などについての見直しを進めています。この見直しに当たっては,障がいのある人の自立や就労を支援するための効率的なサービス提供のあり方,必要な支援の度合いに応じたサービス提供のあり方,制度を支える財源・負担のあり方などについて幅広く検討を行い,制度の持続可能性の確保を図るべきであるとしています。  このような国の動向や社会情勢の変化も踏まえ,計画期間中においても必要に応じて本計画の見直しを行うものとします。 187ページ 第2章 施策各論 【基本目標1】地域で安心して生活するための支援の充実 現状と課題 ・障がいの有無に関わらず,誰もが地域社会の中で安心して生活することができるよう,福岡市では「みんながやさしい,みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡※1」をまちづくりの目標像に掲げ,その実現のため様々な取組みを行っています。これまでも,短期入所や移動支援の充実,グループホームの設置促進などを行ってきましたが,少子高齢化の進展や一人暮らし世帯の増加など,地域社会を取り巻く環境は大きく変化し,福祉サービスに対するニーズはますます複雑・多様化しています。 ・また,障がいのある人の高齢化や障がいの重度化が進む中で,家族も高齢化しており,親が先に亡くなった後,あるいは,親や家族が障がいのある人の介護などができなくなった場合に,どのようにして支援を継続していくかという,いわゆる「親なき後※2の生活の不安」への取組みが重要となっています。 ※1ユニバーサル都市・福岡:ユニバーサルデザインの理念に基づいた,誰もが思いやりを持ち,すべての人にやさしいまちのこと。福岡市は,「みんながやさしい,みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げ,市政の柱の一つとして推進している。 ※2親なき後:p232参照 1.相談支援 ・相談支援体制については,対象とする障がい種別,年齢や役割が機能的に整理されていない状況にあります。 ・保健・医療・リハビリテーションについては,相談の内容が,多様化,複雑化してきており,より専門性の高い支援が求められています。 188ページ 2.在宅・施設サービス ・在宅サービスについては,医療的ケア※1が必要な重度心身障がい児・障がい者が利用できる短期入所事業所が求められていますが,受け皿となる事業所が少ない状況にあります。 ・移動支援については,利用対象者やサービス内容の拡充についての要望が多数出されています。 ・生活用具については,給付品目の追加や支給要件の緩和などの要望があります。 ・グループホーム整備の伸びが鈍く,見込み数に達していない状況にあります。 ・事業者の新規参入が進む中,サービスの質を一定のレベル以上にすることが必要とされています。 ・「施設事業所からみて不足している社会資源※2」を前回調査回答平成22年度(2010年度)と比較すると,「強度行動障がい※3に対応できる短期入所施設」「医療ケアが可能な短期入所施設」の割合が大きく伸びています。 ※1医療的ケア:p232参照 ※2社会資源:p234参照 ※3強度行動障がい:p233参照 189ページ 【図表87ノ1】相談支援の観点から不足している社会資源 事業所回答  出典 平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査 福岡市  回答数:41 グラフ  以下は,項目,割合事業所数の順です。  医療ケアが可能な短期入所施設 46.3% 19事業所  強度行動障がいに対応できる短期入所施設 29.3% 12事業所  障がい者が入居できる住まい 29.3% 12事業所  グループホーム・ケアホーム 24.4% 10事業所  高度なスキルを持ったホームヘルパー等の人材 19.5% 8事業所  連携できる医師・医療機関 19.5% 8事業所  対象者の範囲が広く,利便性が高い移動支援事業 17.1% 7事業所  福祉サービス事業所や地域活動支援センター等の日中活動の場 12.2% 5事業所  障がい者支援施設入所 12.2% 5事業所  虐待防止予防のための官民一体となった取り組み 4.9% 2事業所  障がい者の権利擁護のための専門機関 4.9% 2事業所  その他 7.3% 3事業所  特にない 0.0% 0事業所  無回答 12.2% 5事業所 【図表87ノ2】相談支援の観点から不足している社会資源 事業所回答  出典:「平成22年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市  回答数:26 グラフ  以下は,項目,割合事業所数の順です。  グループホーム・ケアホーム 53.8% 14事業所  対象者の範囲が広く,利便性が高い移動支援事業 26.9% 7事業所  虐待防止予防のための官民一体となった取り組み 26.9% 7事業所  医療ケアが可能な短期入所施設 23.1% 6事業所  強度行動障がいに対応できる短期入所施設 23.1% 6事業所  障がい者の権利擁護のための専門機関 23.1% 6事業所  高度なスキルを持ったホームヘルパー等の人材 19.2% 5事業所  障がい者が入居できる住まい 19.2% 5事業所  連携できる医師・医療機関 15.4% 4事業所  福祉サービス事業所や地域活動支援センター等の日中活動の場 15.4% 4事業所  障がい者支援施設入所 3.8% 1事業所  その他 19.2% 5事業所  特にない 3.8% 1事業所  無回答 3.8% 1事業所 190ページ  自宅や地域で生活するために必要なこととして身体障がい者手帳所持者のうち重度1・2級者,療育手帳所持者のうち重度A1からA3者では中度・軽度の方と比べ昼間の介護を頼める人夜間の介護を頼める人を望む割合が高く療育手帳重度では特に短期入所など緊急時に宿泊できるところを望む割合が高くなっています 図表88 自宅や地域で生活するために必要なこと 手帳等級別身体障がい者 表 以下は,自宅や地域で生活するために必要なこと,全体,手帳等級 重度1・2級,中度3・4級,軽度5・6級,無回答の順です。単位は%。  調査数人 849 437 297 96 19  主治医や医療機関が近くにあること 36.8 34.1 42.9 35.8 8.9  食事や掃除・洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 33.1 35.1 30.4 31.8 36.6  家族と同居できること 27.2 24.5 33.3 24.0 10.6  スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 24.5 21.3 30.6 24.2 3.3  昼間の介護を頼める人がいること 15.7 21.8 11.5 12.3 3.2  夜間の介護を頼める人がいること 15.3 18.8 10.4 15.5 8.9  短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること 12.7 12.9 11.9 16.9 1.4  仕事があること 11.2 8.9 12.3 19.3 8.2  地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 10.6 9.0 13.1 8.2 19.6  ガイドヘルパー外出の介護を頼める人のサービスがあること 6.1 7.9 4.6 3.9 0  介護や訓練を受けるため施設に通えること 5.6 5.6 4.5 9.6 0  グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること 4.2 5.1 3.6 2.7 1.8  施設で働けること 1.4 0.9 1.4 3.3 5.8  その他 1.3 1.5 1.5 0.4 0  特にない 7.3 4.7 9.7 10.5 14.7  無回答 9.7 11.2 5.6 12.9 24.1 手帳等級別知的障がい者 表 以下は,自宅や地域で生活するために必要なこと,全体,手帳判定 重度A1からA3,中度B1,軽度B2,無回答の順。単位は%。  調査数人 474 206 126 119 24  食事や掃除・洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること 33.1 33.9 33.7 32.1 28.0  家族と同居できること 28.5 34.4 24.5 25.3 14.3  短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること 22.8 39.0 7.9 11.8 15.3  主治医や医療機関が近くにあること 20.6 21.9 20.5 21.6 4.9  仕事があること 19.2 4.0 29.5 37.6 4.5  グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること 14.7 15.0 15.0 13.6 16.2 次のページに続きます 191ページ 前のページの続きです。  地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること 14.3 8.5 15.0 26.4 0  夜間の介護を頼める人がいること 12.3 22.0 4.9 2.8 14.6  施設で働けること 11.6 9.1 15.8 12.2 9.1  昼間の介護を頼める人がいること 11.0 20.1 3.5 2.3 15.0  スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること 10.6 6.7 13.2 14.3 13.2  介護や訓練を受けるため施設に通えること 9.8 19.4 2.9 2.5 0  ガイドヘルパー外出の介護を頼める人のサービスがあること 8.4 12.9 7.0 2.2 8.5  その他 1.0 0.8 0.8 0.7 4.3  特にない 6.5 1.7 9.2 11.2 10.2  無回答 10.4 9.5 15.0 7.7 7.0 3.年金・手当など 障害基礎年金などによる所得保障のあり方については,国において検討課題とされています 福岡市重度心身障がい者福祉手当については,より効果的な事業への転換が望ましいとする意見があり,そのあり方が検討課題となっています 4.発達障がい※1・難病※2 発達障がい者や強度行動障がい※3者に対応できる人材や事業所が少ない状況にあります。 発達障がいについては,一見しただけでは,障がいがあるとはわかりにくいことから,学校や職場での周囲の理解や障がい特性に応じた配慮が十分でない状況にあります 難病患者が障がい福祉サービスの対象となったことの認知度が低い状況にあります。また,難病患者の約半数が働きたい,働き続けたいと考えていますが,就労に対する社会の理解及び配慮が十分でない状況にあります ※1 発達障がい:p236参照 ※2 難病:p235参照 ※3 強度行動障がい:p233参照 5.災害対策 災害時の支援対策が十分でない状況にあり,災害時の安否確認や避難及び避難所での支援体制づくりを進める必要があります 6.人材育成 人材の確保や研修受講の機会の確保が十分でない状況にあり,障がいの多様化を踏まえた人材育成が必要となります 192ページ 施策の方向性 ・地域での生活を支援するため,在宅サービス,グループホーム,外出・移動などの支援の充実を図るとともに,身近な場所で相談支援を受けることのできる体制を強化します。 ・重度の障がいがある人に対する障がい福祉サービスの充実を図り,社会参加の支援や生活の質の向上をめざします。 ・地域で安心した生活を継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します。 ・施策の推進にあたっては,社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります。 193ページ 施策1ノ1 相談支援 相談支援に関わる人材育成やネットワーク構築については,福岡市障がい者基幹相談支援センターが中心となって進めます。また,障がい種別に関わらず,指定特定相談支援事業所のバックアップや困難事例への対応,サービス未利用者への支援などを行う区の基幹相談支援センター設置を検討します きめ細かく継続的な支援を行うため,指定特定相談支援事業所や相談支援専門員の増加など,相談支援体制の充実に向けた取組みを検討します 聴覚障がい者からの相談については,区役所や聴覚障がい者情報センターにおいて対応します 障がい者手帳の取得の有無に関わらず,障がい者もしくは障がいが疑われる人で,必要な社会資源※1に結びついておらず社会から孤立していたり,サービスの適切な利用がされておらず,本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援や,触法障がい者の生活基盤づくりの支援を検討します ※1社会資源:社会的ニーズを充足するさまざまな物資や人材のこと 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 計画相談支援:指定特定相談支援事業所が 障がい福祉サービス及び地域相談支援の利用者の状況を勘案し,サービス等利用計画案及びサービス等利用計画を作成。サービス等利用計画が適切かどうか利用状況を検証し必要な支援を実施 サービス等利用計画作成従事者研修:サービス等利用計画を作成する相談支援専門員のスキルアップ研修を実施 身体障がい者相談員・知的障がい者相談員:障がい児・障がい者の日常生活の問題について,地域において相談員が各種相談に応じるとともに,援助を実施 障がい者生活支援相談室:主に身体・知的障がい者の相談に対して関係機関で連携し対応 相談は,窓口,電話のほか,訪問による相談も対応 知的障がい者相談支援センター・精神障がい者相談支援センター:在宅などの知的障がい者,精神障がい者の相談支援を実施 障がい者基幹相談支援センター 虐待防止センター :障がい者の虐待防止支援及び地域生活に関する相談支援の中核的機能を一体的に併せ持ち,障がい者の相談支援体制を充実 聴覚障がい者情報センター:聴覚障がい者や盲ろうしゃなどの各種相談に応じるとともに,総合的なコミュニケーション支援を実施 ろうあ者相談員・手話通訳者の配置:各区福祉・介護保険課に,聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 発達障がい者支援センター ゆうゆうセンター :発達障がい※2について,相談や普及啓発,研修などを実施 194ページ こども総合相談センター:子どもに関する様々な問題に対して,保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を実施 心身障がい福祉センター,東部・西部療育センター:障がい児 未就学児の相談・診断・療育支援等を実施 発達教育センター:障がいのある子どもたちの就学相談や教育相談,自立活動などを実施 ※2発達障がい:p236参照 施策1ノ2 在宅サービスの推進 障がいのある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに,短期入所など重度障がい者に対する支援や居宅介護などのさらなる充実に努めます 施設入所者や入院中の精神障がい者の地域移行を進めていくため,障がい者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります 国に対しては,引き続き他の政令市と共同して確実な財源措置を求めていきます また,市としても,施策の再構築や,事業所指導・監査などを通じたサービス適正化により財源確保に努めます 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です 居宅介護:ホームヘルパーによる身体介護・家事援助などを実施 重度訪問介護:身体介護・家事援助に加え,外出時の移動の支援や見守り,コミュニケーション支援などを実施 重度障害者等包括支援:介護の必要がとても高い人に,居宅介護など複数のサービスを包括的に実施 短期入所 福祉型・医療型:介護者の疾病などのため一時的に介護ができない場合に,施設,病院で宿泊を伴った預かりを実施 訪問入浴サービス:家庭での入浴が困難な障がい者宅を訪問し,入浴サービスを提供 日中一時支援 日中預かり:介護者の疾病などのため一時的に介護ができない場合に,施設などで日帰りの預かりを実施 重度障がい者 入院時コミュニケーション支援:入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し,医療従事者との意思疎通を円滑化し,適切な治療が受けられるように支援を実施 生活サポート:居宅介護 ホームヘルプ 対象でない障がい者に対し,一定期間,自立に向けた家事援助支援を実施 障がい者配食サービス:単身又は障がい者のみ及びこれと同等の世帯に属し,障がいのため調理が困難で,食生活に支援が必要な方に対して昼食を配送 在宅酸素療法者に対する電気料助成:身体障がい者のうち,在宅酸素療法を必要とする呼吸機能障がい者などを対象に,酸素濃縮器の使用にかかる電気料金の一部を助成 195ページ 施策1ノ3 移動・外出支援 重度の知的障がい がある方などの外出の機会の確保を図るため,行動援護について,利用者の増加に対応したサービス提供体制の確保に努めます ・移動支援については,国の制度の動向に留意するとともに,必要な財政負担も考慮しながら,より一層利用しやすいものとなるよう制度のあり方を検討します。 ・地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて,外出支援のあり方を検証し,わかりやすく,使いやすい制度へ組み替えるなど,施策の再構築を図ります。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 同行援護:視覚障がいにより移動が著しく困難な障がい児・障がい者に対し,外出時の移動に必要な情報の提供,移動の援護を実施 行動援護:知的・精神障がいにより行動が著しく困難な常時介護を要する障がい児・障がい者が外出する際に,必要な援助を実施 移動支援:一人での外出が困難な障がい児・障がい者の目的地までの移動の介護を実施 地下鉄料金助成:重度障がい者などに対し,市営地下鉄の運賃を助成 福祉乗車券交付:70歳以上の障がい者に対し,公共交通機関の運賃を助成 福祉タクシー料金の助成:経済的支援が必要な重度心身障がい者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成 移送サービス【再掲】:寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者や障がい者に,寝台タクシー料金の一部を助成 福祉有償運送【再掲】:福祉有償運送※運営協議会を適切に運営していくことを通して,事業者に対し,相談,助言,指導を行うほか,ボランティア運転手の養成などを支援 ※福祉有償運送:タクシー等の公共交通機関を単独で利用することが困難な要介護者や障がい者等の会員に対し,NPO等が自家用自動車を使用して,有償で行うドア・ツー・ドアの個別輸送サービス 196ページ 施策1ノ4 施設サービス等の推進 集団指導・実地指導を通じて良質な障がい福祉サービスの確保に努めます。また,就労移行支援及び就労継続支援A型に関しては,福岡労働局など関係部署との連携を図ります 地域活動支援センター 2型・3型・4型 については,施設経営の安定及び利用者処遇の向上のため,障がい福祉サービス事業への移行を支援していきます 強度行動障がい※のある方に対し,拠点施設において24時間体制で支援員を配置し,3か月を目途に集中支援を行うことにより,個々の障がい特性に応じた支援方法を検討・作成し,行動問題の軽減を図るとともに,民間障がい福祉サービス事業者と協力して,受け入れ事業所の拡大を図ります 障がい者が地域で安心して生活が継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します ※強度行動障がい:p233参照 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です 生活介護:常時介護を必要とする人に,施設での日中の介護などを実施 施設入所支援:入所している人を対象に夜間の介護を実施 自立訓練:身体機能,生活能力の向上のために必要な訓練を実施 就労移行支援:一般企業などへの就労を希望する人に対する訓練を実施 就労継続支援A型:通所により,雇用契約に基づく就労の機会を提供 就労継続支援B型:通所により,就労の機会や生産活動の機会を提供 療養介護:医療と常時介護を必要とする人への看護,介護などの援助を実施 地域活動支援センター1型:精神障がい者の相談支援や創作的活動などの機会提供,関係機関との連携強化を実施 地域活動支援センター 2型・3型・4型 等:創作的活動又は生産活動の機会の提供及び社会との交流を促進 強度行動障がい者支援事業:地域での安定した生活をめざし,障がいの軽減及びサービス利用機会の拡充を図るため,共同支援,支援員養成研修に加え,拠点での集中支援をモデル事業として実施。 197ページ 施策1ノ5 生活用具等の給付 補装具や日常生活用具の給付を行うとともに,福祉用具※1 に関する情報提供を行います。また,日常生活用具については,ICT※2情報通信技術の進展や,利用者ニーズに応じた内容となるよう給付品目の見直しを継続して検討します 民間事業者によるサービスの充実などの,社会情勢の変化に対応した施策の再構築を図ります ※1福祉用具:車いす,特殊寝台,床ずれ防止用具,歩行器,移動用リフト等 ※2ICT:情報通信技術の略称 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です 補装具費の支給:身体上の障がいを補うための補装具の購入や修理にかかる費用を支給 日常生活用具の給付:在宅の障がい児・障がい者に対し,日常生活がより円滑に行われるための用具を給付 福祉電話の貸与等:障がい者に電話やファックスを貸与するとともに,電話による安否確認・各種相談などを実施 徘徊知的障がい者 捜索システム事業:徘徊のおそれのある知的障がい者に持たせる携帯端末の初期費用を所得に応じて助成 緊急通報システム:急病などの緊急事態の際,受信センターへ簡単に通報できる緊急通報機器を設置 小児慢性特定疾病児日常生活用具の給付:小児慢性特定疾病※3医療費助成制度の認定を受けた児に対し,日常生活用具を給付 ※3 小児慢性特定疾病:児童又は児童以外の満20歳に満たない者が当該疾病にかかっていることにより,長期にわたり療養を必要とし,及びその生命に危険が及ぶおそれのあるものであって,療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が定めるもの 198ページ 施策1ノ6 年金・手当等 引き続きクニの所得補償制度を実施する中で,制度の周知や円滑な事務手続きに努めます 「「親なき後※の生活の安心」「障がいの重度化,高齢化への対応」のための施策を強化するには,財源確保の観点から,個人給付事業なども含め,再構築の必要がある」との意見もあることから,障がい者や関係者の意見を伺いながら,福岡市重度心身障がい者福祉手当など,そのあり方について検討を行います ※親なき後:p232参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 障害基礎年金:一定納付用件を満たしている人が,国民年金法に定められた1級又は2級の障がいの状態になった場合に支給 なお,市区町村の窓口は書類の受付のみを実施 特別障害給付金:国民年金に任意加入していなかったことにより障害基礎年金を受給できない人で,国民年金法により定められた1級又は2級の障がいの状態になった場合に支給 なお,市区町村の窓口は書類の受付のみを実施 特別障がい者手当:在宅で日常生活の常時特別な介護を要する20歳以上の重度障がい者に手当を支給 障がい児福祉手当:重度障がい児に手当を支給 特別児童扶養手当:障がい児を養育する父母などに手当を支給 福岡市重度心身障がい者福祉手当:重度の身体又は知的障がい児・障がい者に対し手当を支給 心身障害者扶養共済制度:障がい児・障がい者の保護者の相互扶助のため,保護者が死亡などの後,年金を支給 199ページ 施策1ノ7 住宅支援 障がい児・障がい者本人の自立の促進や,家族など介護を行う方の負担を軽減するために,住宅改造相談助成を継続して行います 障がい者グループホームに関しては,開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに,市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また,グループホームの報酬体系について,利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう,他都市と連携し,機会を捉えて国に要望していきます 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 障がい者等住宅改造相談助成事業:在宅の身体障がい児・障がい者がいる世帯に対し,住宅を障がい児・障がい者の居住に適するように改造する場合に,費用を所得に応じて助成 グループホーム:地域で共同生活を営む住居において日常生活上の相談,介護などの支援を実施 障がい者 グループホーム設置促進事業:グループホームの開設にあたり必要となる共用備品,敷金,事業開始前家賃及び改修費などを補助 福祉ホーム:障がい者に低額な料金で居室その他設備を提供 障がい者 住宅入居等支援事業 居住サポート :一般住宅への入居を希望する障がい者に対して,入居に必要な調整を行うとともに家主などへの相談・助言を実施 200ページ 施策1ノ8 保健・医療・リハビリテーション アルコールを含む依存症やひきこもり,発達障がい※1,性同一性障がい※2などの専門性が高いニーズに関して,相談事業を行っています。また,アルコールを含む依存症やひきこもりに関しては,認知行動療法※3を用いた回復プログラムに沿った内容の教室を開催し,本人や家族に向けた支援を行います 国・県への財源措置を要望するとともに,医療費助成制度の優先順位などを適正化することにより,財源確保に努めます ※1 発達障がい:p236参照 ※2 性同一性障がい:p234参照 ※3 認知行動療法:認知 ものの受け取り方や考え方 に働きかけて気持ちを楽にする精神療法心理療法の一種 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 自立支援医療制度更生医療,精神通院医療,育成医療:障がいの軽減・除去に関する治療に対し,医療費の自己負担率を1割とするもの 重度障害者医療費助成制度:保険診療にかかる医療費の自己負担相当額を助成 精神科救急医療システム:休日,夜間において,精神症状悪化のため,入院が必要になった場合の病床の確保などを実施 地域障がい者フィットネス教室:あいあいセンターで,機能維持のための体操・ヨガなどを実施 高次脳機能障がい者リハビリ教室:スポーツセンター,早良・西フレンドホームで,社会生活力向上のための言語療法・作業療法を実施 精神障がいの早期発見・治療促進:精神保健相談,訪問指導などを実施し,精神障がいの早期発見・治療を促進 精神保健福祉専門相談:アルコールを含む依存症やひきこもり,発達障がい及び性同一性障がいに関する電話相談と専門医師の面接相談による支援 依存症対策事業:薬物依存症の本人に対して,依存症の改善を図る回復プログラムを実施。また,アルコールを含む薬物依存症の家族を対象に認知行動療法を用いた家族教室を開催 ひきこもり対策事業:「ひきこもり地域支援センター」において,成人期ひきこもりシャの支援を実施。また,ひきこもりシャの家族を対象に認知行動療法を用いた家族教室を開催 精神障がい者の退院促進事業:長期入院精神障がい者の円滑な地域生活への移行に向けた地域の環境整備や医療機関,関係機関及び事業所の意識の向上を図る事業を実施 「関連する施策」 ※依存症対策については,健康・医療分野の施策3ノ2p102と関連あり 201ページ 施策1ノ9 発達障がい※1ジ・発達障がい者への支援 発達障がい児・障がい者への支援については,発達障がいへの理解が進んでいないことや,一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより,精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されています 幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進めるため,発達障がい者支援センター,療育センター,障がい者就労支援センター,発達教育センター,精神保健福祉センターなどの発達障がい関連施設の有機的な連携のあり方既存の社会資源※2の集約再ヘン,機能強化,利便性向上を図ることなどを検討します ※1 発達障がい:p236参照 ※2 社会資源:p234参照 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です 発達障がい者支援センター ゆうゆうセンター【再掲】:発達障がいについて,相談や普及啓発,研修などを実施 世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間:市民の理解と認識を深めるため,「世界自閉症啓発デー 4月2日」「発達障がい啓発週間 4月2日から8日 」を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障がい児日中一時支援 就学ゼン児童 :介護者の疾病などにより一時的に介護ができない場合に,施設などで日帰りの預かりを実施 発達障がい児放課後等支援事業:通常学級及び特別支援学級に通学する発達障がい児に,放課後などの活動の場を提供するとともに,保護者の就労とレスパイトの時間の確保を支援 自閉症スペクトラム支援者養成研修:自閉症スペクトラム※3の方の支援者を対象に,障がいの特性についての理解を深めるとともに,支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修:発達障がいの子どもの保護者が,同じ経験をした先輩として,別の保護者の相談にのり,前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 ※3自閉症スペクトラム:自閉症,アスペルガー症候群,そのほかの広汎性発達障がいが含まれる。スペクトラムとは「連続体」の意。典型的には,相互的な対人関係の障がい,コミュニケーションの障がい,興味や行動の偏り こだわり の3つの特徴が現れる。 「関連する施策」 ※発達障がい児への取組みについては,施策6ノ3p226参照 202ページ 施策1ノ10 難病※1に関する施策の推進 難病患者とその親など家族が地域で安心して生活できるよう,安定した療養生活の確保と生活の質 QOL の向上を図ります 難病患者への訪問事業,難病医療講演会・相談会を開催するなど,疾病の理解や療養の支援・患者間の交流を促進し不安の軽減を図るとともに,難病 指定難病 の医療費助成や障がい福祉サービスを提供します 慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し,医療費の助成とあわせて,適切な情報提供を行います。また,身近な地域において,慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます 難病患者からの相談体制の充実を図るため,地域の実情等を把握し,福岡県難病相談・支援センターと連携しながら,ピアスタッフ※2の地域での活動を支援します ※1 難病:p235参照 ※2ピアスタッフ:「ピア」は「同僚,仲間」の意味。障がいのある当事者で,同じような障がいのある人に支援者として関わる人 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です 特定医療費指定難病助成【再掲】:指定難病306疾病 平成27年7月1日改正 について,指定難病の保険診療にかかる医療費の自己負担分の一部が公費負担となる事業の申請などに関する受付事務を各区保健福祉センターで実施 県からの受託事業 特定疾患治療研究事業【再掲】:対象疾患4疾患 平成27年1月1日改正 について,「療養費の自己負担分の一部が公費負担となる事業」の申請などに関する受付事務を各区保健福祉センターで実施 県からの受託事業 小児慢性特定疾病医療費助成事業【再掲】:小児慢性特定疾病※3 704疾病,平成27年1月1日改正 に罹患している児童について,医療費の自己負担分の一部を助成 難病患者等訪問指導事業【再掲】:難病患者及び慢性関節リウマチ患者に対し,保健師などが訪問し,療養に必要な保健指導を実施 難病患者相談会等【再掲】:難病患者・家族などを対象に難病に関する講演会や相談会などを各区保健福祉センターで開催 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業【再掲】:難病患者などの多様化する ニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため,必要な知識,技能を有するホームヘルパーを養成 ※3小児慢性特定疾病:p234参照 「関連する施策」 ※難病対策については,健康・医療分野の施策2ノ3p90参照 203ページ 施策1ノ11 災害対策の推進 避難行動要支援者名簿※1の周知を進め,災害時における避難行動に支援が必要となる方に,名簿への登録を促し,日頃の声かけなど地域で支える取組みを進めます 特別な支援を必要とする障がい者 人工呼吸器使用者,人工透析者,視覚障がい者,聴覚障がい者,精神障がい者,難病※2患者等 については,医療機関との連絡,搬送,ホームヘルパー,保健師,手話通訳者の派遣依頼を行うほか,状況により社会福祉施設への緊急入所等,適切な配慮がされるよう努めます 災害時に避難所での生活が困難な障がい者などの災害弱者のため,2次避難所として設置する福祉避難所※3について,指定している福祉施設との協議を進め災害に備えます ※1避難行動要支援者名簿:p236参照 ※2 難病:p235参照 ※3福祉避難所:p236参照 「関連する施策」 ※地域における災害対策については,地域分野の施策3ノ2p126参照 施策1ノ12 事業所におけるサービスの質の向上 ・事業所間での協議会設置を後押しすることにより,サービス事業所自ら質の向上に努める仕組みを構築していきます ・事業者説明会 集団指導 の実施や,各事業所における,運営方法やサービスの提供状況に関する確認 実地指導 を行います 施策1ノ13 人材の育成・研修 障がい者 難病※1を含む の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため,必要な知識,技能を有するホームヘルパーを養成します 聴覚障がい者などの福祉に理解と熱意を有する方を,手話通訳者,要約筆記者や介助員として養成するための講座を開催し,人材の育成と技術の向上を図ります 精神保健福祉業務に従事する職員やピアスタッフ※2に対して,人材育成を目的に研修会を開催します 支援者の育成・確保をめざし,県とも協力して研修の機会の確保に努めます ※1 難病:p235参照 ※2ピアスタッフ:p236参照 204ページ 施策1ノ13 については,前のページにも記載しています 現在の主な事業 表 以下は,事業名,事業概要の順です サービス等利用計画作成従事者研修 再掲 サービス等利用計画を作成する 相談支援専門員のスキルアップ研修を実施 ホームヘルパースキルアップ研修:居宅介護などの従事者を対象に,障がい児・障がい者へのサービスの質の向上を図ることを目的とした研修会を開催 難病患者等ホームヘルパースキルアップ研修:難病患者のニーズに対応した テキセツなホームヘルプサービスを提供するため,難病の基礎知識や保健・医療・福祉制度のほか,患者の心理的援助法などの知識・技能の習得を目的に研修会を開催 相談員研修 身体・知的:相談員の業務遂行に必要な知識を深め,相談業務の円滑化を図ることを目的とした研修を実施 手話通訳者の養成・派遣:手話通訳者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 要約筆記者の養成・派遣:要約筆記者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣:盲ろう者通訳・介助員を養成し,盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 ピアスタッフスキルアップ研修:地域活動支援センターや事業所などでスタッフやボランティアとして従事している精神障がい者を対象に,対人面のスキルアップや仲間づくりなどを目的とした研修会を開催 精神保健福祉に関する教育研修:精神保健福祉業務に従事する職員などの技術水準の向上を図るため,基礎知識や専門知識などの習得を目的に研修会を開催 自閉症スペクトラム支援者養成研修 再掲 自閉症スペクトラム※3の方の 支援者を対象に,障がいの特性についての理解を深めるとともに,支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修再掲 発達障がい※4の子どもの保護者が,同じ経験をした先輩として,別の保護者の相談にのり,前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 ※3自閉症スペクトラム:p234参照 ※4 発達障がい:p236参照 施策1ノ14 親なき後※1の支援 障がいのある人の生活を支えている要素として様々な障がい福祉サービスとともに,家族の存在は大変大きな部分を占めています。障がいのある人や家族が抱えている大きな不安の一つに親なき後の生活の不安がありますが障がいのある人もその家族も安心して生活していくためには早期から親や家族が障がいのある人の 205ページ 施策1ノ14 親なき後の支援については前のページにも記載しています 介護などができなくなった場合どのように支援を継続していくかという後見的支援策とあわせて障がいのある人自身が将来自立して生活できる環境を整備することが重要です そのため親なき後の支援については早期からの取組みも含め施策の再構築など財源の確保も見据えながら各施策の効果的な実施と連携を推進し基本理念に掲げる障がいのある人が必要な支援を受けながら,自らの能力を最大限発揮し地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくりの実現に向けて取り組みます 障がい者手帳の取得の有無に関わらず障がい者もしくは障がいが疑われる人で必要な社会資源※2に結びついておらず社会から孤立していたりサービスの適切な利用がされておらず,本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援を検討します 障がいのある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに,短期入所など重度障がい者に対する支援や相談支援などのさらなる充実に努めます 施設入所者や入院中の精神障がい者の地域移行を進めていくため,障がい者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります 障がい者が地域で安心して生活が継続できるよう,相談,体験の機会・場の確保,緊急時の受け入れ・対応,地域の支援体制づくりなど,総合的な支援を検討します 親なき後の生活の安心,障がいの重度化,高齢化への対応のための施策を強化するには,財源確保の観点から,個人給付事業なども含め,再構築の必要があるとの意見もあることから,障がい者や関係者の意見を伺いながら,福岡市重度心身障がい者福祉手当など,そのあり方について検討を行います 障がい者グループホームに関しては,開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに,市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また,グループホームの報酬体系について,利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう他都市と連携し,機会を捉えて国に要望していきます 障がいのある人が社会の一員として尊重され自らの考えに基づいた決定をしその考えを表明したり行動したりするための支援のあり方を踏まえながら,成年後見制度※3の利用促進に向けた検討や相談窓口などの充実を図ります 関連:施策4ノ1 ※1から3の説明は次のページにあります 206ページ ※1親なき後p232参照 ※2社会資源p234参照 ※3成年後見制度 認知症等のために判断能力が不十分であると家庭裁判所が認めた場合に成年後見人などが財産管理等を行い本人を保護・支援するもの 基本目標2 就労支援・社会参加支援の充実 現状と課題 障がいのある人が地域社会の一員として自立した生活をするために就労は大きな柱となりますがとりわけ対人関係に困難を抱えがちな発達障がい※1のある人は就職が難しい状況にあります。障がいの特性に応じた支援の充実を図るとともに乳幼児期から成人期までの一貫した支援が必要です また地域行事への参加やスポーツを楽しむ機会など障がいのある人の社会参加の支援や視覚障がい・聴覚障がいのある人へのコミュニケーション支援の充実を図るとともに誰もが安全で快適に暮らせるまちづくりの推進が求められています※1 発達障がいp236参照 1 就労 民間就労支援事業所の増加に伴い支援に対するノウハウが十分でない事業所が存在しています 福祉的就労※2については商品力や販売力の向上が工賃向上につながっていない状況があります 就労支援として必要なこととして知的障がい者,発達障がい児・障がい者では仕事 作業上の援助や本人 周囲への助言を行う者による支援を望む割合が高く発達障がい児・障がい者では発達障がいの特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮が第1位となっています ※2福祉的就労 障がい者の自立更生の促進や生きがいづくりのため就労継続支援事業所等で働くこと 図表89 就労支援として必要なこと上位5位まで 出典 平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査 表 以下は障がいの種別,順位,必要なこと割合の順です 身体障がい者N=849 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする30.6% 2位 在宅勤務29.0% 3位 短時間勤務などの労働作業時間の配慮26.3% 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮23.9% 5位 障がい者雇用のきっかけづくりトライアル雇用16.8% 知的障がい者N=474 1位 仕事作業上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援41.1% 2位 調子の悪いときに休みを取りやすくする36.1% 3位 短時間勤務などの労働作業時間の配慮32.0% 4位 工賃収入の増加28.5% 5位 仕事作業の内容の簡略化などの配慮28.2% 次のページに続きます 207ページ 206ページ図表89の続きです 精神障がい者通院N=1038 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする60.8% 2位 短時間勤務などの労働作業時間の配慮44.1% 3位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮31.6% 4位 在宅勤務28.2% 5位 仕事作業上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援24.8% 発達障がい児・障がい者N=309 1位 発達障がいの特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮71.2% 2位 仕事作業上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援68.6% 3位 試しにいろいろな仕事作業を体験してみること50.5% 4位 調子の悪いときに休みを取りやすくする49.8% 5位 短時間勤務などの労働作業時間の配慮48.5% 難病患者N=504 1位 調子の悪いときに休みを取りやすくする54.4% 2位 短時間勤務などの労働作業時間の配慮36.1% 3位 在宅勤務35.1% 4位 通院時間の確保・服薬管理など医療上の配慮31.9% 5位 配置転換などの人事管理面についての配慮16.5% 身体・知的障がい児及び発達障がい※ジ・障がい者では,地域で生活するために必要なこととして仕事があることと回答した人の割合が5割程度となっており自宅や地域で生活するために就労支援は必要な取組みとなっています※発達障がいp236参照 図表90ノ1 自宅や地域で生活するために必要なこと 身体・知的障がい児 出典 平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査 福岡市 グラフ 回答数455 以下は項目,割合の順です 仕事があること44.0% 子どもの見守りを頼める人がいること42.2% 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること23.3% グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること18.2% 家族と同居できること18.0% 短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること16.7% 食事や掃除,洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること16.3% 施設で働けること15.8% 主治医や医療機関が近くにあること12.7% 介護や訓練を受けるための施設に通えること11.2% 昼間の介護を頼める人がいること9.7% ガイドヘルパー外出の介護を頼める人のサービスがあること9.5% 夜間の介護を頼める人がいること8.8% スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること7.9% その他3.5% 特にない3.5% 無回答2.6% 図表90ノ2 自宅や地域で生活するために必要なこと 発達障がい児・障がい者 出典 平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査 福岡市 グラフ 回答数309 以下は項目,割合の順です 仕事があること57.6% 地域や職場の人たちが障がいについて理解があること44.7% 地域で何でも相談できる相談員や相談窓口があること25.9% 家族と同居できること19.1% 食事や掃除,洗濯などの家事の手伝いを頼める人がいること18.4%  次のページに続きます 208ページ 207ページ図表90ノ2の続きです 病院や施設に通えること14.2% 主治医や医療機関が近くにあること12.6% グループホームなどの仲間と共同生活できる場があること11.0% 短期入所など緊急時に宿泊できるところがあること9.4% スーパーや銀行などの生活に必要な機関が近くにあること8.7% 子育ての相談ができたり,手伝いを頼める人がいること7.8% 緊急時に子どもを預けられる所があること6.8% ガイドヘルパー外出の介護を頼める人のサービスがあること5.5% 施設で働けること4.9% 夜間の介護を頼める人がいること4.5% 昼間の介護を頼める人がいること2.3% その他3.9% 特にない1.6% 無回答3.6% 2.社会参加 公共交通機関助成については制度の複雑性や利便性の地域格差を考慮した仕組みとなっていない状況があります 障害者差別解消法の趣旨に則り各フレンドホームや障がい者スポーツセンターに限らずあらゆる場所で障がい者の社会参加が進むような支援を行う必要があります 3.意思疎通 手話通訳者,要約筆記者などへのニーズに対する支援の範囲や人材確保について検討が求められています 手話通訳などの様々な情報にアクセスする支援の充実が求められています 施策の方向性 民間の就労支援事業者,就労支援センター,ハローワークなどと連携して障がいのある人の雇用に対する理解促進や企業とのマッチング,一般就労後の定着の促進などの支援を行います 障がい者施設で作られる商品の製作販売や請負作業などの情報を広く紹介するとともに官公庁や企業からの受注をコーディネートするなど売上げの向上,工賃の向上を図ります 社会参加を支援するため合理的配慮※の観点に基づく意思疎通支援施策の充実を図ります 障がいのある人のスポーツ・レクリエーション活動の振興を図るなど引き続き各種社会参加活動の促進を図ります 施策の推進にあたっては社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります ※合理的配慮:障がいのある人が受ける日常生活や社会生活でのさまざまな制限の原因となる社会的障壁を取り除くために障がいのある人に対し個別の状況に応じて行われる配慮 209ページ 施策2ノ1 就労支援 ・就労支援センターを中心に,関係機関と連携しながら,就労移行支援事業所のスキルアップや企業の開拓を進めます。 ・就職への困難度が高い,精神・発達障がい※シャへの支援の充実を図るなど,社会情勢や雇用情勢の変化に応じた柔軟な施策の実施を図ります。 ・障がいのある人を雇用する企業へのサポート体制を構築し,障がいのある人も企業も安心して働くことのできる環境整備を実施します。 ※ 発達障がい:p236参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 福岡市障がい者就労支援センター:障がい者の就労促進のため,関係機関などのネットワークの中心となり個々の障がい者に対する総合的支援を実施 障がい者インターンシップ事業:市庁舎や区役所などを障がい者の職場実習の場として提供 就労移行支援【再掲】:一般企業などへの就労を希望する人に対する訓練を実施 就労継続支援A型【再掲】:通所により,雇用契約に基づく就労の機会を提供 就労継続支援B型【再掲】:通所により,就労の機会や生産活動の機会を提供 特別支援学校卒業生の就労促進:生徒の自立と社会参加を進めるため,学校,企業関係者,行政,学識経験者,保護者などで構成する「夢ふくおかネットワーク」において,関係団体・機関などとの連携を図り,企業などへの就労を促進 就職支度金:施設などにおける訓練を終了し,就職する障がい者に対し,就職に必要な物品を購入した費用を支給 精神障がい者社会適応訓練事業:職親 一般事業所 のもとで就労訓練を実施 210ページ 施策2ノ2 福祉的就労※の底上げ ・障がい者施設商品の商品力・販売力強化,市民への情報発信を目的として,障がい者施設商品の販売・PRイベントなど,様々な取組みを行います。 ・ときめきウェブにおいて,障がい者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介し,売上げの向上,工賃の向上を図ります。 ・障がい者施設商品のアンテナショップとして「ときめきショップ」を設置し,売上げの向上を図ります。 ・ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業において,障がい者施設商品の情報を整理集約し,発注側 福岡市・企業など に提供するとともに,コーディネートすることにより,受注・発注のミスマッチを解消し,障がい者施設商品の販売促進を図ります。 ※福祉的就労:p236参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 ときめきプロジェクト:障がい者施設商品の商品力・販売力の強化や,魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 ときめきウェブ:障がい者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介するときめきウェブの運用管理,登録施設の追加などを実施 ときめきショップ:常設店舗「ときめきショップ」を設置し,施設商品販売促進・情報提供を実施 ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業:障がい者施設商品の情報を整理・集約して発注側 福岡市・企業など に提供するとともに,施設と企業などをつなぐコーディネートを実施 施策2ノ3 交通支援 ・地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて,外出支援のあり方を検証し,わかりやすく,使いやすい制度へ組み替えるなど,施策の再構築を図ります。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 自動車改造費の助成:障がい者が,就労などに伴い,自らが使用する自動車を改造する際に要する経費を助成 自動車運転免許取得の助成:自動車運転免許の取得に要する費用の一部を助成 地下鉄料金助成【再掲】:重度障がい者などに対し,市営地下鉄の運賃を助成 福祉乗車券交付【再掲】:70歳以上の障がい者に対し,公共交通機関の運賃を助成 福祉タクシー料金の助成【再掲】:経済的支援が必要な重度心身障がい者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成 211ページ 移送サービス【再掲】:寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者や障がい者に,寝台タクシー料金の一部を助成 施策2ノ4 意思疎通支援 日常のコミュニケーションに困難のある障がいの特性や,言語のひとつである手話※1についての啓発を進め,市民の理解の促進に努めます。 合理的配慮※2の観点から手話通訳者・要約筆記者の派遣対象の拡大を図ります。 区役所の設置手話通訳者の確保に努めます。 重度障がい者に対する意思疎通支援のあり方については,国の動向も踏まえ,検討します。 ※1 言語のひとつである手話:手話は,ろう者の集団のなかから自然発生的に生まれた言語で,手,身体,表情などを使って表現するもので,日本語とは異なる言語構造を持っており,独自の言語として使用されている。 ※2 合理的配慮:p233参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 重度障がい者 入院時コミュニケーション支援【再掲】:入院中の意思疎通が困難な重度の障がい者に対し,医療従事者との意思疎通を円滑化し,適切な治療が受けられるように支援を実施 手話通訳者の養成・派遣【再掲】:手話通訳者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 要約筆記者の養成・派遣【再掲】:要約筆記者を養成し,聴覚障がい者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣【再掲】:盲ろう者通訳・介助員を養成し,盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 ろうあ者相談員・手話通訳者の配置【再掲】:各区福祉・介護保険課に,聴覚障がい者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 点字図書給付事業:視覚障がい児・障がい者に対し,点字本と墨字本 原本の価格差を助成 市政情報の点字化等:市政便りなどで点字版や音声版などを作成 施策2ノ5 障がい者に配慮したまちづくりの推進 ・障がいのある人もない人も,すべての人が安全かつ快適に社会参加していけるように,「福岡市バリアフリー基本計画※3」に基づき,誰もが暮らしやすい環境整備を推進します。 ※3福岡市バリアフリー基本計画:p236参照 「関連する施策」 ※バリアフリーについては,地域分野の施策5ノ4p142参照 212ページ 施策2ノ6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 ・障がい種別や状況に応じた社会適応訓練の実施や相互理解を向上させる力を持つ文化芸術の活用により,障がい者の社会参加を促進します。また,社会情勢やニーズの変化に対応しつつ,障がいのある人の健康の増進や社会参加の促進のために,引き続きスポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図ります。 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 社会適応訓練:音声機能障がい者に対する発声訓練や,ストマ用具装着者に対するストマ用具の使用法の指導や相談を実施 障がい者社会参加推進センター:障がい者の結婚相談や生活訓練,出前講習を実施し,社会参加を促進 在宅重度障がい者レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の重度身体障がい者に野外活動訓練の場を提供 在宅障がい児親子レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の障がい児と保護者を対象に野外活動の機会を提供 福岡市立点字図書館:点字図書,録音図書,CD図書の郵送貸出などを実施 市立障がい者フレンドホーム:文化教室絵画・陶芸など,更生相談,会議室提供を実施 福岡市市民福祉プラザ【再掲】:市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し,相互に助け合い,支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として,市民福祉の総合センターを設置 障がい者スポーツセンター さん・さんプラザ :水泳・バスケットボール・卓球・トレーニングなどの機会の提供,障がい者スポーツの指導,指導者派遣,相談対応及び情報提供 福祉バス【再掲】:老人クラブや心身障がい者,母子団体などを対象に,研修やレクリエーションなどの活動参加を助成 福岡市障害者スポーツ大会:障害者スポーツ大会の開催 全国障害者スポーツ大会:全国障害者スポーツ大会への福岡市選手団の派遣を実施 障がい者ボウリング大会:福岡都市圏障がい者ボウリング大会,全国障がい者ボウリング大会を実施 エイブル・アート事業等:NPOと共働※した障がい者による美術などの作品の制作展示など。障がい者関連イベントへの後援 ※共働:p232参照 213ページ 【基本目標3】障がいに対する理解の促進 現状と課題 障がいのある人もない人も,お互いの人格と個性を尊重し合う共生社会を実現するためには,障がいエの理解は不可欠です。これまでも,「障がい者週間」などを通じて,交流の機会を設けてきましたが,障がいエの理解はまだまだ不十分です また,障がいのある人は,障がいの特性により,情報を得られる方法が限られる場合があります。必要な情報を得る方法の選択肢を増やしたり,機会を増やすことが求められています 1.啓発・交流 ・障がい者週間では,当事者や支援者の団体が中心となって啓発を行っていますが,啓発活動への参加団体などが限られている状況があります。 ・地域から受けたい支援・交流の内容では,すべての障がいにおいて,地域から受けたい支援として「普段から定期的に声かけなどをする 見守る 」を望む回答が2割以上あります 【図表91】地域から受けたい支援・交流の内容 上位5位まで  p32【図表33】と同じものです。 214ページ 2.広報・情報提供 広報・情報提供については,すべての障がいにおいて,福岡市の福祉施策情報については5割程度が「市政だより」を手掛かりとしていることから,引き続き「市政だより」を活用するとともに,広報媒体の充実や,相談窓口における的確な情報提供を図る必要があります。 【図表92】福岡市の福祉施策情報を知る手掛かりとなっているもの 上位5位まで  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市 表 以下は,障がいの種別,順位,情報を知る手掛かりとなっているもの割合の順です。  身体障がい者N=849 1位 市政だより63.2% 2位 テレビ・ラジオ29.3% 3位 新聞28.4% 4位 福祉事務所区役所の福祉・介護保険課21.1% 5位 民生委員・児童委員8.1%  知的障がい者N=474 1位 市政だより50.4% 2位 福祉事務所区役所の福祉・介護保険課23.6% 3位 テレビ・ラジオ20.6% 4位 施設19.0% 5位 新聞16.9%  身体・知的障がい児N=455 1位 市政だより65.1% 2位 福祉事務所区役所の福祉・介護保険課23.5% 3位 あいあいセンター,西部・東部療育センター22.6% 4位 ホームページ16.7% 5位 新聞12.1%  精神障がい者通院N=1038 1位 市政だより46.5% 2位 テレビ・ラジオ27.1% 3位 新聞18.9% 4位 ホームページ16.5% 5位 区役所健康課など14.0%  発達障がい児・障がい者N=309 1位 市政だより57.9% 2位 ゆうゆうセンター36.2% 3位 ホームページ23.3% 4位 新聞18.8% 5位 テレビ・ラジオ18.4%  難病患者N=504 1位 市政だより67.1% 2位 新聞29.4% 3位 テレビ・ラジオ24.0% 4位 福祉事務所区役所の福祉・介護保険課13.7% 5位 ホームページ12.9% 施策の方向性 共生社会の実現に向けて,互いの多様なあり方を尊重し,障がいエの理解を深め,偏見をなくしていく施策を推進します。 必要な情報が必要な人に届くよう,わかりやすい広報を行うとともに,点訳化や音訳化など,障がいの特性に配慮した情報の提供や,情報利用のための手段についての選択肢の拡大に努めます。 215ページ 施策3ノ1 啓発・交流の推進 障がいのある人もない人も,共に交流する機会を提供するなど,様々な場面で障がいに関する市民の理解を促進するための取組みを進めます。特に,子どもの頃から,体験学習や障がい当事者との交流を重ねることにより,障がいに関する理解や関心を持てるような環境づくりを進めます 障がい児や特別支援教育※1に対する認識や理解を促進し,地域において障がい児が育まれるよう,特別支援学校の児童生徒と地域の小・中学校の児童生徒との交流活動を推進するとともに,障がい児と同じ地域に住む子どもたちとの交流に取り組んでいる団体の活動を支援します ※1 特別支援教育:p235参照 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 障がい者週間:障がいについて市民の理解と認識を深めるため,「障がい者週間 12月3日から9日」を中心として各種広報啓発活動を実施 世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間【再掲】:市民の理解と認識を深めるため,「世界自閉症啓発デー 4月2日」「発達障がい啓発週間 4月2日から8日」を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障がい者支援センター ゆうゆうセンター【再掲】 :発達障がい※2について,相談や普及啓発,研修などを実施 ※2 発達障がい:p236参照 障がい児地域交流支援事業,地域交流支援コーディネーター派遣事業:障がい児と地域の子どもたちとの交流を積極的に行う団体に対して,交流事業への補助や障がい児への支援について助言するコーディネーターの派遣を実施 ふくせき制度 交流及び共同学習 :特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域とのつながりを深めるため,居住する地域の小・中学校に副次的に籍を置き,交流を実施 精神保健家族講座:家族への障がいの理解,相互交流を促進 精神保健福祉啓発交流事業「ハートメディア」「ピアサポート講座」:アート展覧会,ミニコンサート,講演会,ピアカウンセリング,社会復帰施設の物品販売などを実施 精神保健福祉に関する市民講演会:ひきこもりや依存症,精神疾患全般に関する市民向け講演会を開催 ほじょけん啓発事業:小中学校への出前授業や市民向け啓発イベントなど,ほじょけんに関する啓発活動を実施 ボランティアセンター:ボランティア登録の受付,ボランティア 個人・団体 の支援,養成講座などを実施 福祉教育:障がいの理解促進のため出前講座などを実施 216ページ ときめきプロジェクト【再掲】:障がい者施設商品の商品力・販売力の強化や,魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 障がい者社会参加推進センター【再掲】:障がい者の結婚相談や生活訓練,出前講習を実施し,社会参加を促進 施策3ノ2 広報・情報提供の充実 ICT※1 情報通信技術の進展に対応しながら,わかりやすい広報を行うとともに,点訳化や音訳化など,障がいの特性に配慮した情報手段の提供に努めます。また,必要な情報が必要な人に届くよう,より効果的な情報提供の手法を検討します。 パソコン・スマートフォンなどが普及している状況から,ホームページを活用した情報提供のさらなる充実を図ります。 ※1ICT:p231参照 【現在の主な事業】 表 以下は,事業名,事業概要の順です。 障がい保健福祉施策に関する広報:計画の策定や福祉サービスの制度改正に関する内容などについて,冊子やチラシ,福岡市ホームページ,市政だよりなどで周知 障がい保健福祉施策に関する情報提供:毎年,福岡市障がい保健福祉施策に関する事業概要を紹介する冊子「福岡市の障がい福祉」を作成 発達障がい者支援センター ゆうゆうセンター【再掲】:発達障がい※2について,相談や普及啓発,研修などを実施 ※2 発達障がい:p236参照 【基本目標4】権利擁護※1の推進 現状と課題 障がいのある人は,家庭内,学校,職場など,日常生活の様々な場面で権利を損なわれやすい状況にあります。特に,知的障がい,精神障がいなどは,その障がいの特性から,意思表示能力が十分ではありません。誤解や偏見も生じやすいため,本人の意図しない状況になってしまったり,被害に遭ってもその状況を周囲に伝えられないこともあります。自分で問題を解決することが困難な人に対する支援体制の整備が求められています。 217ページ 基本目標4 権利擁護の推進の現状と課題は前のページにも記載しています 障がい者の人権に関して問題があると思うこととして,すべての障がいに共通して人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないことや差別的な言動を受けることなどが上位5位以内に挙がっているほか,発達障がい※2 者では発達障がいの特性から生じる困難さに対し,配慮がなされないことの割合が7割弱と高く,1位となっています 親なき後※3の生活を見据えた後見的支援策として親なき後のみならず,早期から将来を見据えた制度の周知や利用の促進を図っていく必要があります ※1権利擁護:p233参照※2発達障がい:p236参照※3親なき後:p232参照 図表93 障がい者の人権に関して問題があると思うこと 上位5位まで  出典:平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査 福岡市 表 以下は,障がいの種別,順位,問題があると思うこと割合の順です 身体障がい者N=175 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと25.3% 2位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと15.0% 3位 差別的な言動を受けること13.7% 4位 聴覚・視覚障がい者などへ必要な情報を伝える配慮が足らないこと10.8% 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと10.6% 知的障がい者N=267 1位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと29.9% 2位 差別的な言動を受けること29.3% 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと19.2% 4位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと14.8% 5位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと12.3% 身体・知的障がい児N=280 1位 差別的な言動を受けること45.1% 2位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと41.3% 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと30.8% 4位 学校の受け入れ態勢が不十分なこと21.8% 5位 病院や福祉施設において不当な扱いや虐待を受けること16.7% 精神障がい者通院N=345 1位 差別的な言動を受けること31.4% 2位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと28.0% 3位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと22.6% 4位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと22.4% 5位 就職・職場で不利な扱いを受けること16.2% 発達障がい児・障がい者N=197 1位 発達障がいの特性から生じる困難さに対し,配慮がなされないこと67.3% 2位 差別的な言動を受けること32.7% 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと29.8% 4位 学校における一人ひとりの特性に応じた支援体制が不十分なこと29.4% 5位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと28.5% 難病患者N=89 1位 道路の段差や建物の階段など外出先での不便が多いこと23.0% 2位 人々の障がい者に対する理解を深める機会が少ないこと19.2% 3位 働ける場所や能力を発揮する機会が少ないこと16.7% 4位 差別的な言動を受けること15.3% 5位 障がい者の意見や行動が尊重されないこと12.9% 218ページ 施策の方向性 社会的に弱い立場になりがちな障がいのある人も,個人としての尊厳を保ちながら,その人らしい生活ができるよう,自らが選択・決定するための支援体制の整備に努めます 虐待によって障がいのある人の権利や尊厳がおびやかされることを防ぎ,安定した生活や社会参加を支えるため,障がい者虐待の防止,養護者に対する支援などに関する施策を推進します 施策4ノ1 権利擁護※1・虐待防止 障がいのある人が社会の一員として尊重され自らの考えに基づいた決定をし,その考えを表明したり,行動したりするための支援のあり方を踏まえながら,相談窓口などの充実を図ります 成年後見制度※2については,国において見直しが進められており,その動向もみながら,利用促進に向けた検討を行います 障がい者虐待の防止及び早期発見のための啓発活動に取り組むとともに,虐待の通報・届出受理後は虐待再発防止のために養護者及び被虐待者に対し支援を行います ※1権利擁護:p233参照 ※2成年後見制度:p234参照 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です 成年後見制度利用支援事業【再掲】:判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者などについて,市長による成年後見制度利用のための申立てを行い,後見人などによる支援を確保。市長申立てに必要となる費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 日常生活自立支援事業〔社協〕【再掲】:高齢による認知症や精神・知的障がいにより,日常生活上の判断に不安を感じている方の日常金銭管理,福祉サービス利用援助,日常生活支援などを実施 福岡市障がい者110番:常設相談窓口を設置し,内容に応じて専門相談を行うほか,必要に応じて専門機関への依頼などを実施 精神科入院患者の人権確保等:病院実地指導,現地診察などにより病院の適正な管理運営と入院患者の人権確保を図るほか,精神医療審査会において,入院患者などからの退院請求や処遇改善請求の審査を実施 基幹相談支援センター 虐待防止センター【再掲:障がい者虐待の防止,養護者に対する支援などを促進 関連する施策 ※権利擁護への取組みについては,地域分野の施策5ノ2p140と関連あり 219ページ 基本目標5 差別解消のための施策の推進 現状と課題 国連の障がい者権利条約の批准に向けた国内法制度の整備の一環として,障害者差別解消法が公布され,平成28年2016年4月に施行されました。この法律では,障がいを理由とした不当な差別的取り扱いはもちろん,社会的障壁※1を除くための合理的配慮※2を提供しないということについても,差別に当たるとされています また,差別を解消するための支援措置として,相談体制の整備,啓発活動,関係者によるネットワークの構築などについて定めています 法施行に合わせ,障がいを理由とする差別の禁止に関して福岡市役所の職員が適切に対応するため,合理的配慮の提供の具体例などを示す職員対応要領を作成しました また,差別に関する紛争の防止などに向け,関係者からの相談等に的確に応じるため,障がい者差別に関する相談窓口を設置するとともに,関係機関との連携を図るため,「福岡市障害者差別解消支援地域協議会」を組織しました この法律に関連し,福岡市のほぼすべての障がい者団体で構成される「福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会」から,「障がいを理由とする差別の禁止を目的とする条例」の制定を求める要望が出されています 平成25年度2013年度に実施した「福岡市障がい児・障がい者等実態調査」において,「差別を受けたり,嫌な思いをした経験がある」と回答した人は,身体障がい者では約2割ですが,知的障がい者や,身体・知的障がい児,発達障がい※3ジ・障がい者では6割前後にまで上ります。特に,障がいを理由とした差別は,障がいのある人の自立や社会参加に深刻な悪影響を与えるため,解消するための施策を推進する必要があります ※1 社会的障壁:p234参照 ※2 合理的配慮:p233参照 ※3 発達障がい:p236参照 【図表94】差別を受けたり嫌な思いをした経験  出典「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市 グラフ  以下は,障がいの種別,嫌な思いをした経験がある,ない,無回答の割合の順です。単位は%。  身体障がい者 回答数:849 20.6 69.9 9.6  知的障がい者 回答数:474 56.3 34.4 9.2  身体・知的障がい児 回答数:455 61.5 35.4 3.1  精神障がい者 通院 回答数:1038 33.2 60.8 6.0  発達障がい児・障がい者 回答数:309 63.8 30.7 5.5  難病患者 回答数:504 17.7 76.7 6.3 220ページ 差別を受けた内容では,すべての障がいに共通して「近所の人たちの対応で不愉快な思いをした」や「相談機関・相談窓口に行ったとき,職員の対応で不愉快な思いをした」が上位5位以内に挙がっています また,身体・知的障がい児では施設や園,学校の職員及び児童生徒の対応で不愉快な思いをした」が第1位となっています 図表95 差別を受けた内容 上位5位まで  出典「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市 表 以下は,障がいの種別,順位,内容割合の順です 身体障がい者N=175 1位 バス,電車,タクシーの乗員の対応で不愉快な思いをした29.9% 2位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした22.9% 3位 障がいを理由とした不採用や解雇22.5% 4位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした17.9% 5位 学校,職場,施設などで不当な扱いを受けた16.3% 知的障がい者N=267 1位 学校,職場,施設などで不当な扱いを受けた33.5% 2位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした31.4% 3位 バス,電車,タクシーの乗員の対応で不愉快な思いをした20.7% 4位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした17.5% 5位 施設職員及び他の利用者の対応で不愉快な思いをした13.9% 身体・知的障がい児N=280 1位 施設やエン,学校の職員及びタの児童生徒の対応で不愉快な思いをした44.6% 2位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした38.2% 3位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした21.1% 4位 バス,電車,タクシーの乗員の対応で不愉快な思いをした12.9% 5位 病院等で診察を断られた7.9% 精神障がい者通院N=345 1位 病気を理由とした不採用や解雇32.2% 2位 学校,職場,施設などで不当な扱いを受けた29.3% 3位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした23.5% 4位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした18.6% 5位 病院等で診察を断られた9.6% 発達障がい児・障がい者N=197 1位 学校,職場,施設などで不当な扱いを受けた57.4% 2位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした31.0% 3位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした19.3% 4位 病院等で診察を断られた16.8% 5位 バス,電車,タクシーの乗員の対応で不愉快な思いをした13.2% 難病患者N=89 1位 学校,職場,施設などで不当な扱いを受けた31.5% 2位 疾患を理由とした不採用や解雇30.3% 3位 相談機関・相談窓口に行った時,職員の対応で不愉快な思いをした18.0% 4位 近所の人たちの対応で不愉快な思いをした15.7% 5位 バス,電車,タクシーの乗員の対応で不愉快な思いをした14.6% 221ページ 施策の方向性 ・障がいの有無によって,分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,平成25年2013年に制定された障害者差別解消法などに基づき,障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組みます。 施策5ノ1 障害者差別解消法施行に伴う対応 ・法施行に合わせ作成した職員対応要領に基づき,障がいを理由とする差別の禁止に関して,福岡市役所の職員が率先して取り組みます。 ・差別に関する紛争の防止などに向け,障がい者差別に関する相談窓口を設置し,関係者からの相談等に応じるとともに,「福岡市障害者差別解消支援地域協議会」において,差別事案の解決に向けて協議します。 ・障害者差別解消法の周知・啓発を進めるためのフォーラムの開催など,法の円滑な施行に向けて取り組みます。 ・また,福岡市の実情を踏まえ,障がいを理由とする差別の解消に向けて,障がいのある方をはじめ関係者の意見を聞きながら,差別の解消を目的とする条例の制定に取り組みます。 222ページ 基本目標6 障がいのある子どもへの支援の充実 現状と課題 障がいのある子どもへの支援については,東部療育センターの開所平成23年(2011年)4月や特別支援学校放課後等支援事業の実施校の全校拡大など,取組を進めてきました 一方で,「心身障がい福祉センター」などを新規に受診する障がい児が増加しており,特に発達障がい※に関する相談は10年前の3倍に上っており,さらなる療育体制の整備が急務になっています ※発達障がい:p236参照 1.早期発見・早期支援 心身障がい福祉センターなどを新規に受診する障がい児や保護者などからの相談が増加しており,相談体制の充実が求められています 障がいの診断・判定を受けた頃の苦労,悩み,不安としては,「障がいのことや福祉の制度についての情報が少なかった」が5割を超えて最も多く,次いで「身近に相談できる相手がいなかった」,「保健所や福祉事務所,専門機関でもっと指導してほしかった」などとなっています 【図表96】障がいの診断・判定を受けた頃の苦労,悩み,不安 身体・知的障がい児  出典「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市  回答数:455 グラフ   以下は,項目,割合の順です。  障がいのことや福祉の制度についての情報が少なかった 52.7%  身近に相談できる相手がいなかった 31.9%  保健所や福祉事務所,専門機関でもっと指導してほしかった 24.8%  相談機関がわからなかった 23.7%  子どもの介護・介助の手助けがほしかった 22.0%  適切な療育施設がほしかった 16.9%  家族が働いているため,仕事上に問題が生じた 12.3%  適切な医療機関がほしかった 11.0%  医療費に悩んだ 1.5%  その他 12.7%  特にない 7.5%  無回答 2.2% 223ページ 2.療育・支援 ・児童発達支援センターへの通園希望者や幼稚園・保育園に在籍する障がい児が増加しており,療育・支援体制の充実が求められています。 ・通園・通学先に望むこととしては,「能力や障がいの状況にあった支援をしてほしい」が最も多く,「就学相談や進路相談などの相談体制を充実してほしい」や「個別的な支援を充実してほしい」が続き,次いで「関係機関などと連携を密にしてほしい」となっています。 【図表97】通園・通学先に望むこと 身体・知的障がい児  出典:「平成25年度福岡市障がい児・障がい者等実態調査」福岡市  回答数:417 グラフ  以下は,項目,割合の順です。  能力や障がいの状況にあった支援をしてほしい 48.0%  就学相談や進路相談などの相談体制を充実してほしい 41.7%  個別的な支援を充実してほしい 38.4%  関係機関などと連携を密にしてほしい 34.8%  施設・設備・教材を充実してほしい 24.0%  通常の学級での学習や交流の機会を増やしてほしい 10.6%  その他 10.1%  特にない 11.8%  無回答 2.2% 3.発達障がい※ ・幼児期に発達障がいと診断される児童や発達障がい者支援センターへの相談者が増加しており,相談・支援体制の充実が求められています。 ※発達障がい:p236参照 224ページ 施策の方向性 ・障がいのある子どもについては,「発達が気になる」など,障がいの疑いが生じた段階から,早期の対応,支援を行っていくことが重要です。障がいの早期発見と早期支援,そしてノーマライゼーション※の理念の基に,一人ひとりの自立をめざした支援・療育体制の充実を図ります ・また,近年,特に発達障がい児の新規受診や相談が著しく増加していることから,発達障がい児とその家族への支援の充実に努めます ※ノーマライゼーション:障がいのある人もない人も,互いに支え合い,地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会をめざす理念 施策6ノ1 早期発見・早期支援  医療機関や乳幼児健康診査などの受診時に,「障がいの疑いがある」とされた場合に,専門機関である心身障がい福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い,障がいの早期発見に努めます  区役所 保健福祉センターや心身障がい福祉センター,療育センター,こども総合相談センターが連携しながら,“発達が気になった”段階から,家族も含めた支援に取り組みます 【現在の主な事業】 表  以下は,事業名,事業概要の順です 障がいの早期発見:乳幼児健康診査p78参照などを通じ,障がいの疑いがあると判断された場合は,専門機関の受診につなぎ,障がいの早期発見に努めるもの こども総合相談センター【再掲】子どもに関する様々な問題に対して,保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を実施 発達教育センター【再掲】障がいのある子どもたちの就学相談や教育相談,自立活動などを実施 心身障がい福祉センター,東部・西部療育センター【再掲】:障がい児未就学児の相談・診断・療育支援などを実施 225ページ 施策6ノ2 療育・支援体制の充実強化 障がいの重度・重複化や発達障がい※の増加に対応するため,障がいのある子どもが,知的障がい・肢体不自由などの障がいの種別に関わらず,身近な地域で相談や訓練を受けることができるよう,障がい児の通園施設や放課後等デイサービスなどの療育体制や支援体制の充実強化に努めます。 通園が困難な重症心身障がい児などに対する訪問療育を行うとともに,障がい児が通う保育所,幼稚園,認定こども園などへの支援や,障がい児施設などでの日帰りの一時支援や預かり時間の延長などにより,障がい児とその家族を地域で育む環境づくりを進めます。 慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し,医療費の助成とあわせて,適切な情報提供を行います。また,身近な地域において,慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます。再掲 学校と行政,事業所などが連携し,就労に向けた取組みを推進します。 ※発達障がい:p236参照 現在の主な事業  表  以下は,事業名,事業概要の順です。 児童発達支援センター:就学前の知的障がい児・肢体不自由児などを対象に,通園による訓練・保育などの療育を実施 放課後等デイサービス:学校通学中の障がい児に対して,放課後や長期休暇において,生活能力向上のための訓練などを継続的に提供することにより,学校教育と相まって障がい児の自立を促進するとともに,放課後などの居場所づくりを推進 特別支援学校放課後等支援事業:特別支援学校内にて,放課後などの児童・生徒の活動の場の提供と,保護者の就労及びレスパイト支援を実施 障がい児入所施設:障がい児を家庭で養育できないとき,入所させて保護し,必要な支援を実施 障がい児等療育支援事業:外来療育,訪問療育,保育所・幼稚園などへの支援を実施 障がい児保育:発達に遅れがある,又は心身に障がいを有する子どもを保育所などに受け入れ,健常児とともに統合保育を実施し,健全な成長発達を促進するなど,障がい児の福祉の増進を図るため,巡回訪問指導,研修,保育士雇用費の助成などを実施 障がい児保育訪問支援事業:障がい児が入所している保育所などに対して,専門機関による訪問,助言などを実施 私立幼稚園障がい児支援事業:障がい児が通園する幼稚園に対して,専門機関による訪問,助言などを実施 保育所等訪問支援事業:保育所などの安定した利用を促進するため,保育所などを利用中の障がい児や今後利用する予定の障がい児に対して,障がい児支援の経験を有する職員が訪問し,保育所などにおける集団生活適応のための専門的な支援を提供 226ページ 療育訓練:在宅の脳性マヒなどの心身障がい児への宿泊型のリハビリ訓練を実施 特別児童扶養手当 再掲:障がい児を養育する父母などに手当を支給 障がい児福祉手当 再掲:重度障がい児に手当を支給 施策6ノ3 発達障がい※1児の支援 発達障がい者支援センターを中心に,自閉症などの発達障がいのある子どもとその家族に対し,乳幼児期から成人期までのライフステージに応じ,障がいの特性を踏まえた相談や一貫した支援を行います。 専門家や団体,事業者,保健・教育・福祉関係者などで構成する発達障がい者支援協議会などを通じて,関係機関・団体の連携を強化し,支援体制の充実を図ります。 発達障がいへの理解を促進するため,啓発活動に取り組みます。再掲 発達障がい者への支援については,障がいへの理解が進んでいないことや,一人ひとりの障がい特性に応じた支援が十分ではないことなどにより,精神障がいなどの二次障がいの発生が指摘されており,幼児期から学齢期,成人期までの一貫した支援を進めるため,既存の社会資源※2の集約再編や,機能強化,利便性向上を図ることなどを検討します。再掲 ※1 発達障がい:p236参照 ※2 社会資源:p234参照 現在の主な事業 表  以下は,事業名,事業概要の順です。 発達障がい者支援センター ゆうゆうセンター再掲:発達障がいについて,相談や普及啓発,研修などを実施 世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間 再掲:市民の理解と認識を深めるため,世界自閉症啓発デー 4月2日 発達障がい啓発週間 4月2日から8日を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障がい児日中一時支援 就学前児童 再掲:介護者の疾病などにより一時的に介護ができない場合に,施設などで日帰りの預かりを実施 発達障がい児放課後等支援事業 再掲:通常学級及び特別支援学級に通学する発達障がい児に,放課後などの活動の場を提供するとともに,保護者の就労とレスパイトの時間の確保を支援 自閉症スペクトラム支援者養成研修 再掲:自閉症スペクトラム※3の方の支援者を対象に,障がいの特性についての理解を深めるとともに,支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修 再掲:発達障がいの子どもの保護者が,同じ経験をした先輩として,別の保護者の相談にのり,前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 ※3自閉症スペクトラム:p234参照 227ページ 第3章 成果指標  本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために,次の項目を成果指標とします。 成果指標表 以下は,指標項目,現状値,目標値,備考対応する目標,出典の順です。 (1) まちの暮らしやすさ 暮らしやすいまちだと感じている人の割合 ※2 35.0% 平成31年度【基本目標1】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 2相談窓口の認知度 困ったときに相談できる窓口を知っている人の割合 35.9%※3 平成25年度 45.0% 平成31年度 【基本目標1】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 3災害時の孤立度 「頼る人がいない」と回答した人の割合 8.1% 平成25年度 5.0% 平成31年度 【基本目標1】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 4安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている人の割合 ※2 ※2 【基本目標1】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 5将来の暮らし方 将来,家族と同居できない場合に,希望する暮らし方として「一人暮らし」「共同生活できるところ」と回答した人の割合※1  51.9% 平成25年度 60.0% 平成31年度 【基本目標1】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 6障がいのある人の就労に対する社会の理解度 理解があると感じている人の割合 28.7% 平成25年度 40.0%平成31年度【基本目標2】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 7外出の頻度 週に3回以上外出している人の割合 64.6% 平成25年度 75.0% 平成31年度 【基本目標2】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 8コミュニケーションで困っていることの有無 困っている人の割合 18.0% 平成25年度 10.0% 平成31年度 【基本目標2】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 9啓発・交流の頻度「障がい者に対する理解を深める機会が少ない」と回答した人の割合 19.7% 平成25年度 10.0% 平成31年度 【基本目標3】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 10障がい者の人権に関する問題点「障がい者の意見や行動が尊重されないこと」と回答した人の割合 17.1% 平成25年度  8.0% 平成31年度 【基本目標4】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 11差別を受けた経験 差別を受けたりいやな思いをした経験の割合 29.2% 平成25年度 20.0% 平成31年度 【基本目標5】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 12療育や訓練を受けた経験 「受けた」または「受けている」人の割合※1 82.6% 平成25年度 85.0% 平成31年度 【基本目標6】福岡市障がい児・障がい者等実態調査※4 ※1「将来の暮らし方」「療育や訓練を受けた経験」ワ,障がい児についての数値。 ※2平成28年度に実施する障がい児・障がい者等実態調査に基づき設定する。 ※3,※4の説明については228ページで説明します。 228ページ ※3平成25年度の数値は,主要な各相談窓口福祉事務所・保健所,あいあいセンター,障がい者110番,民生委員・児童委員,就労支援センター,社会福祉協議会を知っていると回答した人の平均値を参考値として記載 ※4 実態調査は,3年ごとの実施であり,直近は平成25年度実施。本計画期間中の実施は,28年度と31年度に予定されているため,目標値は,平成31年度調査時の数値とする。 第4編 計画の進行管理 このページに文章の記載はありません。 229ページ 第4編 計画の進行管理  第4編では,計画を推進するにあたっての計画の進行管理方法をまとめました。 1 目的  計画の推進にあたっては,国の動向などの社会経済情勢の変化も踏まえながら,めざす姿の実現に向かって着実に進んでいるかを確認し,必要に応じて施策の進め方を軌道修正するため進行管理を行うことが重要です。  10年後のあるべき姿である「生涯現役社会」,「地域の力・民間の力が引き出される社会」,「福祉におけるアジアのモデルとなる社会」の実現に向けた政策転換による基本的方針 3つの施策の方向性や推進施策など や総論で定めた成果指標に基づき,各論で定めた各施策の進捗状況や成果指標を把握・分析・評価し,新たな課題の解決を図ることを目的とします。 2 手法  保健福祉局が主体となり,関連局と連携しながら 施策の取組状況の総括を行い,保健福祉審議会に毎年報告し,同審議会において評価するとともに,市のホームページ等で公表します。 1 成果指標の有効活用  本計画期間は,平成28年度2016年度から平成32年度2020年度までの5年間であることから, 5年後の目標値を定めた成果指標による定量的な分析を,総論と各論の成果指標および成果に係る数値データをあわせて体系ダてて行います。 【図表43】成果指標の体系図 再掲  p62と同じものです。 230ページ なお,成果指標については,事業の効果や成果を測るための指標 アウトカム と,活動回数などの事業の結果 アウトプット 指標をそれぞれ設定し,それらを関連づけることで,より効果的・効率的な施策や事業の実施につながる分析・評価を行うことが重要です。 コン計画期間中に,取組みの一つとして,ICT※情報通信技術を活用することで,行政の保有する保健 予防,医療,介護,生活支援,住まいに関するデータを集約・分析し,科学的根拠に基づく施策の立案や評価を行う仕組みを構築し活用します。 ※ICT:情報通信技術の略称 2.計画,実行,評価,改善ピーディーシーエーサイクルの活用  進行管理は,計画→実行→評価→改善ピーディーシーエーサイクルの手法を用います。 1 計画 P 各施策や前年度の取組み結果を踏まえた事業について,毎年の予算審議で決定します。 2 実行 D 事業を実施します。 3 評価 C 各施策の進捗状況を把握・分析・評価します。 4 改善 A 評価結果を踏まえ,必要に応じて事業の改善を検討します。 【図表98】ピーディーシーエーサイクル  資料:福岡市作成 図  以下は,図の説明です。  ピーディーシーエーサイクルによる計画の推進の図です。円の回りに書かれた内容を右上から時計回り  1 プラン 計画→2 ドゥー実施→3 チェック評価→4 アクション改善 →1 に戻ります。 参考資料 このページに文章の記載はありません。 231ページ 1 用語集 ※文字数の関係上,一部の説明を簡略化しています 表 以下は 用語 説明の順です 1 CSR 利益の追求だけでなく 企業の果たすべき社会的責任をいう 2 ドッツ 直接服薬確認療法の略称 確実な服薬のため 服薬支援者が患者の服用を確認する行為のこと  3 HIV ヒト免疫不全ウイルスの略称 エイズ発症の原因ウイルス 4 ICT情報通信技術の略称  5 マーズ 中東呼吸器症候群の略称 平成24年9月以降 サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している  6 MRI 磁気共鳴画像の略称 磁気の力を利用してあらゆる角度から体内の断面像を撮影するための医療機器のこと 7 MSM 男性同性間で性行為を行う者のこと 8 アウトリーチ:地域に出向いて課題を把握し 解決に向けて取り組むこと 9 アクセシビリティ:施設 設備 サービス 情報 制度等の利用しやすさ 10 域学連携:様々な課題を抱えている地域に大学等が入り 住民とともに地域の課題解決や地域づくりに継続的に取り組むことで 若者に地域への理解を促し 地域で活躍する人材として育成することにつなげるもの あわせて 地域に気づきを促し 地域住民をはじめとする人材育成に資する 11 一般防疫 感染症一般について行う 発生や流行の予防活動のこと 12 犬の登録 狂犬病予防法に基づき 生後91日齢以上の犬を飼育している所有者に義務づけられている市町村への登録のこと 13 医薬分業 薬の処方は医師又は歯科医師が調剤や薬歴管理 服薬指導を薬剤師が分担して行い,それぞれの専門性を発揮して医療の質の向上を図ろうとする制度 14 医療・介護保険繰出金 医療 介護保険の特別会計に一般会計から支出する経費のこと 15 医療依存度 脈,呼吸,体温,血圧,意識レベルの測定や経管栄養 人工呼吸器の管理など医療的ケアを常時必要とするなど 生命の維持に医療が欠かせない状態の度合い 232ページ 16 医療資源:医師・歯科医師・その他医療スタッフなどの人的資源,病院,診療所などの物的資源などのこと。 17 医療的ケア:医師法等により,医師及び看護師のみが行うことができる医療行為の一部であり,たんの吸引,経管栄養,導尿,呼吸管理など,重度障害児・者 重症心身障害児・者 等の生活支援のために行う行為のこと。 18 インセンティブ制度:インセンティブ制度は市民の健康づくりなどの取組みに対して報奨を付与する制度。 19 衛生連合会:地域における健康づくり活動等を推進することにより,健康で文化的な市民生活の増進に寄与することを目的とした団体 20 親なき後:本計画では,親が亡くなった場合に加え,障がいのある人を介護している親や家族が病気になるなどで,介護を継続することができなくなった状態を指す 21介護支援専門員:要介護者の自立支援や家族等介護者の介護負担軽減のための必要な援助に関する専門的知識・技術を有する人で「ケアマネジャー」とも呼ばれている 22介護人材:本計画では,介護に関係する業務に従事する人のことを指す 23介護保険サービス:介護保険制度により受けられる訪問介護などのサービス 24回復期:患者の容態が急性期から脱し,病気が治癒に向かっている時期 25危険ドラッグ:覚せい剤,麻薬などに化学構造を似せて作られ,これらと同様の薬理作用を有するもののこと。 26急性期:症状が急激に現れる時期,病気になり始めの時期 27狂犬病:犬や人をはじめ全ての哺乳類に感染するウイルス感染症で,主に感染動物に咬まれることで罹患し,発症するとほぼ100%死亡する。日本国内では昭和32年を最後に発生はないが,世界各国では今日でも発生が報告され,年間5万人程度が死亡している 28狂犬病予防注射:狂犬病予防法に基づき,狂犬病の予防・まん延を防止する目的で,飼い犬に年1回の接種義務がある予防注射のこと 29共働:複数の主体が,目標を共有しともに力を合わせて活動すること 233ページ 30強度行動障がい 直接的な他害 噛み付き等や間接的な他害,睡眠の乱れ,同一性の保持等,自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現している状態 31グループリビング 一人暮らしの不安を考慮するため食事等をともにし高齢者同士仲間づくりや交流を行う暮らし方 32経常的経費 年々繰返し経常的に支出される経費 33 ゲートキーパー 悩んでいる人に気づき 声をかけ 話を聞き 必要な支援につなげ 見守る人のこと 34 健康寿命 厚生労働省の定義では健康上の問題で日常生活が制限されず生活できる期間,介護や支援などを受けずに自立して日常生活を送ることができる期間 35言語のひとつである手話 手話はテ,体,表情などを使って表現するもので日本語とは異なる言語構造を持っており独自の言語として使用されている 36権利擁護 自身の権利や支援のニーズを表明することの困難な人等の立場に立って代弁し主張すること,権利行使ができるよう支援すること 37合理的配慮 障がいのある人が受ける日常生活や社会生活でのさまざまな制限の原因となる社会的障壁を取り除くために障がいのある人に対し個別の状況に応じて行われる配慮 38国家戦略トック 日本の経済活性化のために地域限定で規制や制度を改革し その効果を検証するために指定される特別な区域 39コミュニティビジネス 地域資源を 活かしながら 地域課題の解決をビジネスの手法で取り組むもの 40災害対策基本法 国土並びに国民の生命,身体及び財産を災害から保護するため防災に関し必要な災害対策の基本を定める法律 41在宅医療 通院が困難な場合等に医師や看護師等が患者の自宅等に訪問し医療サービスを提供する 42ジェネリック医薬品 新薬の特許が切れた後に製造販売される新薬と同一の有効成分を同一量含み同一の効能・効果を持つ医薬品 43自主防災組織 地域において地震,火災,その他の災害による被害の防止又は軽減を図るための活動を行うことを目的とする組織 234ページ 44自治協議会 おおむね小学校区を単位として防犯・防災,こども,環境,福祉などさまざまな事柄について話し合いながら校区を運営する自治組織  45自閉症スペクトラム 自閉症,アスペルガー症候群,そのほかの広汎性発達障がいが含まれる相互的な対人関係の障がい,コミュニケーションの障がい,興味や行動の偏り こだわりの3つの特徴が現れる  46社会資源 社会的ニーズを充足するさまざまな物資や人材のこと  47社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいう 48 周産期医療 妊娠後期から出産までの母体と新生児早期に対する総合的な医療のこと 49 終生飼育 動物の寿命が尽きるまで適正に飼育すること  50 小児慢性特定疾病 満20歳に満たない者が当該疾病にかかっていることにより 長期にわたり療養を必要とし及びその生命に危険が及ぶおそれのあるものであって 療養のために多額の費用を要するもの 51 新興感染症 新しく認識された感染症で局地的にあるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症のこと  52生活支援コーディネーター 高齢者の生活支援・介護サービスの体制整備を推進していくことを目的とし地域において生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能 主に資源開発やネットワーク構築の機能を果たす者  53生活支援サービス 介護保険の円滑な実施を促進するために設けられた在宅の高齢者が介護に頼らずに自立した生活ができるように支援するために市町村が行う保健福祉サービスのひとつ  54 性同一性障がい 生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち かつ自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者  55成年後見制度 認知症等のために判断能力が不十分であると家庭裁判所が認めた場合に成年後見人などが財産管理等を行い本人を保護・支援するもの  56ソーシャルキャピタル 社会関係資本  235ページ 57第4次福岡市子ども総合計画:福岡市における子どもに関する分野の基本的な計画 58多剤耐性菌:多くの抗菌ヤクがきかなくなった細菌のこと 59地域医療支援病院:地域医療の確保を図るため かかりつけ医等からの紹介患者に対する医療の提供,救急医療の提供等の役割を担う病院のこと 60地域福祉活動計画:社会福祉協議会にて策定する 地域社会を構成するすべての人びとが地域における様々な課題や問題を解決し福祉のまちづくりを進めるための活動を展開する上での行動計画 61地域福祉ソーシャルワーカー:地域福祉活動に携わる者・団体への支援,孤立者などへの個別支援,地域福祉課題の分析などに取り組むために配置された専任職員 62 地域包括支援センター:健康や福祉,介護などに関する相談を受けたりその人の身体状況に適したアドバイスを行うなど高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができるように支援を行う機関 福岡市ではおおむね中学校区ごとに57か所・2支所設置している 63 地方独立行政法人:その地域において確実に実施される必要のある事務・事業のうち地方公共団体自身が直接実施する必要はないものの 民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的・効果的に行わせるため地方公共団体が設立する法人のこと 64データヘルス計画:健康・医療情報の分析に基づく効率的,効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施するための保健事業実施計画 65 島しょ診療所:島の診療所のことで 福岡市では玄界島,能古島,小呂島に診療所を設置している 66特別支援教育:障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援するという視点に立ち幼児児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握しその持てる力を高め生活や学習上の困難を改善又は克服するため適切な指導及び必要な支援を行うもの 67 難病:発病の機構が明らかでなく 治療方法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とする疾病のこと 68認知行動療法:認知 ものの受け取り方や考え方に働きかけて気持ちを楽にする精神療法心理療法の一種 236ページ 69認知症サポーター 認知症を正しく理解して認知症の人や家族を温かく見守る応援者 70認知症疾患医療センター 認知症の鑑別診断,専門医療相談,合併症対応,医療情報提供等を行うとともに地域の医療従事者や介護・福祉従事者等を対象とした研修を行う医療機関 71ノーマライゼーション 障がいのある人もない人も互いに支え合い地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会をめざす理念 72 結核対策におけるハイリスクグループ 結核発病の危険が高い 高齢者,住所不定者,結核の高まん延地域からの入国者等 グループのこと 73 発達障がい 自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの 74バリアフリー 高齢者や障がいのある人などが社会生活をしていく上で障壁となるものを除去すること 75ピアスタッフ 障がいのある当事者で同じような障がいのある人に支援者として関わる人 76避難行動要支援者名簿 災害が発生し 又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの 以下避難行動要支援者という の把握に努めるとともに避難行動要支援者について避難の支援,安否の確認その他の避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために必要な措置を実施するための基礎とする名簿 77福岡市社会福祉協議会 社会福祉法に基づく地域住民及び公私の福祉機関,団体などにより構成された公共性 自主性をもった民間福祉団体 78福岡市地域防災計画 災害対策基本法第42条の規定に基づき災害に関わる事務又は業務に関し総合的かつ計画的な対策を定めた計画 79福岡市バリアフリー基本計画 福岡市におけるバリアフリー化推進に関する基本的な方針を示すもの 80 福祉的就労 障がい者の自立更生の促進や生きがいづくりのため就労継続支援事業所等で働くこと 81福祉避難所 老人福祉センター,防災拠点型地域交流スペースを有する社会福祉施設,特別支援学校などを利用して設置される要援護者のために特別な配慮がなされた避難所 237ページ 82福祉有償運送 公共交通機関を単独で利用する事が困難な要介護者や障がい者等の会員に対しNPO等が自家用自動車を使用して有償で行うドアツードアの個別輸送サービス 83福祉用具  車いす 特殊寝台 床ずれ防止用具 歩行器等 84扶助費 高齢者,障がいのある人,生活困窮者等に対して市が行う支援に要する経費 85不妊去勢手術 オスメスの生殖に必要な部位を切除し 生殖不能な状態とする手術 86訪問介護 ホームヘルパー等が居宅を訪問し入浴 排せつ等の介護 調理・洗濯等の日常生活上の世話を行う 87訪問看護 看護師等が居宅を訪問して療養上の世話または必要な診療の補助を行う 88民生委員・児童委員 民生委員は厚生労働大臣から委嘱され 常に住民の立場に立って相談に応じ必要な援助を行い社会福祉の増進に努める方々で 児童委員を兼ねる 児童委員は地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように 子どもたちを見守り子育ての不安や妊娠中の心配事等の相談・支援を行う 89無縁社会 単身者の増加等により家族 親族 地域社会における人間関係の希薄化等から社会の中で孤立している人が増えている社会 90メタボリックシンドローム 腹囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満に加えて高血糖 高血圧,糖質異常の危険因子のうちいずれか2つ以上を併せもった状態 91ユニバーサルデザイン 年齢,性別,能力,背景等にかかわらず多くの人が自由に快適に利用でき行動できるよう あらゆる場面であらかじめ思いやりのある配慮を行うという考え方 92ユニバーサル都市・福岡 ユニバーサルデザインの理念に基づいた 誰もが思いやりを持ちすべての人にやさしいまちのこと 93要介護認定者 日常生活において,介護が必要な状態の軽減や重度化の防止のために支援が必要な状態にある人や常時介護を必要とする状態にあると認定された人 本計画書においては要支援状態と認定された人と要介護状態と認定された人双方を要介護認定者としている 94ロコモティブシンドローム  骨 関節 筋肉等の運動器の衰えによって生じる転倒骨折 腰痛症 関節疾患 骨粗しょう症等の症状 238ページ 2,総論と各論の対応表 総論3つの方向性,1,自立の促進と支援,2,地域で生活できる仕組みづくり,3,安全・安心のための社会環境整備 14の推進施策,1社会参加活動の支援,2健康づくり・介護予防,3相談体制の充実と自立の支援,4権利擁護,5差別解消,6地域での支え合い,7認知症への対応,8障がい特性トウに配慮した総合的な支援,キュウ人材育成,10公共施設・公共交通機関の整備,11誰もが住みやすい居住環境の整備,12ICT情報通信技術等の利活用,13医療体制,健康危機管理体制の充実及び生活環境の向上,14持続可能な社会保障制度の維持 各論 表 以下は分野ごとの基本目標,対応する総論の3つの方向性の番号,施策,対応している14の推進施策の番号の順です 健康・医療分野,1,2,3,,2,3,5,7,8,9,12,13,14 1,健康づくりの推進,1,,1ノ1超高齢社会に対応する健康づくりの推進,2,3,7,1ノ2生活習慣病対策,重症化予防対策の推進,2,3,14,1ノ3女性の健康づくりの推進,2,3,1ノ4 次世代の健康づくりの推進,2,1ノ5 心の健康づくりの推進,2,3,1ノ6地域や職場などでの健康づくりの推進,2,3,9,1ノ7健康づくり支援の仕組みと環境づくり,2 2,医療環境の整備,2,3,,2ノ1在宅医療,介護連携の推進,3,12,13,2ノ2認知症医療提供体制の整備,3,7,13,2ノ3難病対策の推進,3,8,9,2ノ4急患,災害時医療体制の充実,13,2ノ5市立病院等の充実,13,2ノ6医療安全等対策の推進,3,13,14,2ノ7医療の国際化の推進,13 3,健康で安全な暮らしの確保,3,,3ノ1感染症対策の推進,3,5,13,3ノ2薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進,3,8,3ノ3 食の安全安心の確保,13,3ノ4環境衛生の推進,13,3ノ5動物の愛護,適正飼育の推進,13 地域分野,1,2,3,,1,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14 次のページに続きます 238ページの続きです 1,地域の絆づくり,1,2,,1ノ1絆づくりの推進,1,6,1ノ2校区,地区の目標づくりへの支援,1,6 2,活動団体への支援と連携,2,,2ノ1社会福祉協議会への支援と連携,6,9,2ノ2民生委員への支援と連携,6,9,2ノ3社会福祉法人,NPO・企業等への支援と連携,6,9 3,支え合い・助け合い活動の推進,1,2,3,,3ノ1見守りと助け合い活動の推進,6,8,3ノ2災害時に備えた見守りの仕組みづくり,6,3ノ3新たな生活支援サービスの創出,1,6,9,3ノ4ICTの利活用,6,7,12 4 人づくりと拠点づくり,1,2,,4ノ1福祉意識の醸成,1,6,8,9,4ノ2支え手づくりの推進,1,6,9 4ノ3ボランティアNPO活動の拡充,1,6,9,4ノ4地域の活動拠点づくり,1,6 5,自立した生活のための環境づくり,1,2,3,5ノ1情報提供と相談の仕組みづくり,3,6,5ノ2権利擁護体制の充実,4,5ノ3生活困窮者への支援体制の充実,6,14,5ノ4ユニバーサルデザインの理念による地域づくり,5,10,11 高齢者分野,1,2,3,,1,2,3,4,6,7,9,10,11,12,13,14 1,いきいきとしたシニアライフの実現,1,1ノ1社会参加活動の促進,1,2,1ノ2就業を通じた生きがいづくり支援,1,1ノ3活動の拠点づくり,1,2,9,10 2,安心して暮らせるための生活基盤づくり,1,2,2ノ1住まいの確保,11,2ノ2移動支援と買い物支援,1,10,2ノ3支え合う地域づくり,1,6,2ノ4在宅生活支援施策の充実,3 3,認知症施策の推進,2,3ノ1認知症に関する啓発の推進,7,9,3ノ2適切な医療・介護サービスの提供,7,13,3ノ3介護する人への支援の充実,3,7 4,介護保険サービスの適切な利用の推進と円滑な制度運営,1,2,3,4ノ1介護予防と生活支援サービスの充実強化,1,2,14,4ノ2地域密着型サービスの整備,14,4ノ3施設・居住系サービスの整備,14,4ノ4介護人材の確保,7,9 次のページに続きます 238ページの続きです 5,高齢者総合支援体制づくり,1,2,3,,5ノ1地域包括支援センターと各種相談機能の充実,3,4,5ノ2地域ケア会議の推進,6,5ノ3ICT情報通信技術等の利活用,12 障がい者分野,1,2,3,1,3,4,5,6,8,9,10,11,12,13,14 1 地域で安心して生活するための支援の充実,1,2,3,1ノ1相談支援,3,6,8,9,1ノ2在宅サービスの推進,8,1ノ3移動・外出支援,1,8,1ノ4施設サービス等の推進,3,6,8,1ノ5生活用具等の給付,8,11,12,1ノ6年金・手当等,8,14,1ノ7住宅支援,8,11,1ノ8保健・医療・リハビリテーション,8,13, 1ノ9 発達障がい児・障がい者への支援,1,3,8,9,13,1ノ10難病に関する施策の推進,8,9,13,1ノ11災害対策の推進,6,8,1ノ12事業所におけるサービスの質の向上,8,1ノ13 人材の育成・研修,8,9,1ノ14「親なき後」の支援,1,6,8 2,就労支援・社会参加支援の充実,1,2,3,2ノ1就労支援,1,8,2ノ2福祉的就労の底上げ,1,8,2ノ3交通支援,1,8,10,2ノ4意思疎通支援,1,8,9,2ノ5障がい者に配慮したまちづくりの推進,1,8,10,2ノ6スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進,1,8 3,障がいに対する理解の促進,1,2,3,3ノ1啓発・交流の推進,1,4,5,6,8,3ノ2広報・情報提供の充実,4,5,8,12 4,権利擁護の推進,1,2,3,4ノ1権利擁護・虐待防止,3,4,8 5,差別解消のための施策の推進,1,2,3,5ノ1障害者差別解消法施行に伴う対応,1,5,8 6,障がいのある子どもへの支援の充実,1,2,6ノ1早期発見・早期支援,3,8,6ノ2療育・支援体制の充実強化,8,14,6ノ3 発達障がい児の支援,3,8,9 239ページ 3 成果指標 総論の成果指標と各論の成果指標の関係 表 以下は 総論 分野 各論の順です 健康寿命の延伸 1健康 健康づくりに取り組んでいる人の割合の上昇 20歳以上 初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均 男性 女性 特定健診受診率 女性の癌検診受診率 過去2年以内に受診した市民の割合 子宮頸癌検診,乳がん検診 2地域 ふれあいサロンの参加者数実人数 地域活動への参加率  NPOボランティア活動等への参加率 3高齢 外出する頻度 週に4日以上外出する人の割合 働いている高齢者の割合 介護予防に取り組む自主グループの創設数 健康寿命の延伸による要介護認定率の延びの抑制 4障がい 外出の頻度 地域での暮らしやすさ 高齢者 地域での支え合いにより子育て家庭や高齢者が暮らしやすいまちだと感じる市民の割合 障がい者 障がいのある人が暮らしやすいまちだと感じている市民の割合 1健康 最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合 2地域 校区福祉のまちづくりプランの策定校区数 公民館の利用率 民生委員児童委員活動を負担に感じている割合 ふれあいネットワークの見守り対象世帯数 ふれあいサロンの参加者数 実人数 自主防災活動への参加率 地域活動への参加率  NPOボランティア活動等への参加率 3高齢 ボランティア活動をしている高齢者の割合 最期まで自宅で暮らせる高齢者の割合 認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けることができると思う人の割合 医療介護専門職を対象とした認知症に関する研修受講者数 介護人材確保事業参加者数 いきいきセンターふくおかの認知度 4障がい まちの暮らしやすさ 相談窓口の認知度 将来の暮らし方  障がいのある人の就労に対する社会の理解度  外出の頻度 コミュニケーションで困っていることの有無 啓発 交流の頻度 障がい者の人権に関する問題点 差別を受けた経験 療育や訓練を受けた経験 安全安心のための社会環境整備ができていると感じている市民の割合 1健康 各種感染症の集団発生件数季節性インフルエンザを除く 食に対して安心だと感じる市民の割合 20歳以上 2地域 ユニバーサルデザインの理念の理解度 ユニバーサルデザインの取組みへの評価 3高齢 外出する頻度週に4日以上外出する人の割合 4障がい 災害時の孤立度 安全 安心のための社会環境整備ができていると感じている人の割合 240ページ 4福岡市福祉のまちづくり条例 平成10年3月30日 条例第9号改正 平成17年6月23日条例第110号 目次 第1章 総則 第1条から第9条第2章 基本的な市の施策 第10条から第14条第3章 市民福祉の推進 第1節 市民の自立 第15条から第18条第2節 地域福祉の推進 第19条から第22条第3節 ボランティア活動の促進 第23条・第24条第4章 対象施設等の整備 第1節 対象施設の整備 第25条から第36条第2節 公共車両等及び住宅の整備 第37条・第38条第5章 雑則 第39条 附則 第1章総則 目的 第1条この条例はすべての市民が一人の人間として尊重され地域社会において相互に支え合い生きがいのある生活が保障され様々な社会活動に参加することができる福祉のまちづくりについて基本理念並びに市民,事業者及び市それぞれの責務を明らかにするとともに多数の者が利用する施設の整備に関する基本的な事項を定めることにより福祉のまちづくりを総合的かつ計画的に推進しもって優しさに満ちた健やかでやすらぎのある福祉社会の実現に資することを目的とする 基本理念 第2条福祉のまちづくりは市民が自立し及び相互に連携して支え合うという精神のもとに次の各号に掲げる社会の実現を目指すことを基本理念として行うものとする 1すべての市民が個人として尊重される社会 2すべての市民が生きがいをもてる社会 3すべての市民が地域での生活を保障される社会 4すべての市民が相互に支え合い連帯する社会 5すべての市民が安全かつ快適に生活できる社会 6すべての市民が福祉のまちづくりに参加する社会 7すべての市民が積極的に福祉の国際交流を行う社会 定義 第3条この条例において次の各号に掲げる用語の意義はそれぞれ当該各号に定めるところによる 1高齢者,障がい者等 高齢者,障がい者,妊産婦その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう 2対象施設 病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,共同住宅,交通機関の施設,道路,公園その他の公共的利用部分を有する施設で規則で定めるものをいう 3公共的利用部分 対象施設のうち多数の者の利用に供する部分をいう 4公共車両等 交通機関の用に供する電車,バス,船舶その他規則で定めるものをいう 平成17条例110・一部改正 市民の責務 第4条 市民は福祉のまちづくりに関する理解を深めるとともに福祉のまちづくりに寄与する活動に積極的に参加し及び当該活動においてその有する能力を発揮することにより福祉のまちづくりの推進に努めなければならない 2市民は高齢者,障がい者等に対して 241ページ 安全かつ快適に日常生活又は社会生活を送るための協力を行うよう努めなければならない 平成17条例110・一部改正 事業者の責務第5条 事業者は地域社会を構成する一員としてその果たすべき役割を認識し積極的に福祉のまちづくりの推進に努めなければならない  2 事業者は自ら所有し又は管理する対象施設及び公共車両等を高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするためにこれらの整備その他必要な措置を講じるよう努めなければならない 平成17条例110・一部改正 市の責務 第6条 市はこの条例の趣旨にのっとり福祉のまちづくりに関する施策を策定し及び実施する責務を有する  2 市は自ら所有し又は管理する対象施設及び公共車両等を高齢者,障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするためにこれらの整備その他必要な措置を講じるよう努めなければならない 平成17条例110・一部改正 総合的推進 第7条 市民,事業者及び市は福祉のまちづくりに関するそれぞれの責務を自覚するとともに相互に協力し一体となって福祉のまちづくりの推進を図るものとする 2市は市民及び事業者と連携し福祉のまちづくりを推進する体制を整備するものとする 地方公共団体間の協力の推進 第8条市は福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため近隣の地方公共団体との必要な連携を図るとともに近隣の地方公共団体に対し情報の提供その他の必要な協力を行うものとする 国際的協力の推進 第9条市民,事業者及び市は福祉のまちづくりに関してアジアその他の地域の都市又は国際的に福祉活動を行う団体への情報の提供その他の協力に努めるものとする 第2章 基本的な市の施策 基本計画の策定等 第10条市長は福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため福祉のまちづくりに関する基本となる計画以下基本計画というを定めるものとする 2市長は基本計画を定め又は変更したときは速やかにこれを公表しなければならない 市民の理解 第11条 市は市民の福祉のまちづくりに関する正しい理解を深め福祉のまちづくりに積極的に参加しようとする意欲を高めるよう必要な施策を実施するものとする 2市は福祉のまちづくりに関する情報の収集並びに調査及び研究を行うとともにその情報を市民及び事業者に積極的に提供するよう努めるものとする 福祉教育の推進第12条 市は高齢者,障がい者等に対する理解と思いやりのあるこどもを育成するため福祉教育の推進に努めるものとする平成17条例110・一部改正 人材育成第13条 市は社会福祉事業に携わる者の専門的,技術的能力その他の資質の向上を図るため必要な措置を講じるよう努めるものとする 表彰第14条 市長は福祉のまちづくりの推進に関して功績のあった者に対し規則で定めるところにより表彰を行うことができる 第3章 市民福祉の推進第1節 市民の自立 健康の増進第15条 市民は生涯にわたって自らの健康の保持増進に努めるものとする 2事業者はその事業のために雇用している勤労者の 242ページ 健康の保持増進に努めるものとする 3 市は市民の健康の保持増進のため保健,医療及び福祉に関する施策相互を有機的に連携させるとともにこれらの施策を総合的かつ計画的に講じるものとする こどもの育成第16条 市民,事業者及び市はこどもの心身ともに健やかな成長を図るため母性の保護,子育ての支援及び家庭教育の環境の整備に努めるものとする 生涯学習の推進第17条 市民は生きがいのある豊かな生活を営むため生涯にわたって学習するよう自主的に努めるものとする2 市は市民が生涯にわたって学習する機会を確保するため学習環境その他の条件の整備に努めるものとする 就労の確保第18条 事業者は障がい者及び高齢者に対し就労の機会を提供するよう努めるものとする 2 市は障がい者及び高齢者の就労の機会を確保するため事業者に対する広報啓発その他必要な施策を講じるものとする平成17条例110・一部改正 第2節 地域福祉の推進 地域福祉の推進第19条地域の福祉の増進に寄与する関係団体及び個人は地域社会で相互に尊重し支え合い連携して福祉の向上を図るものとする 2 市民,事業者及び市は前項の団体及び個人と連携して健やかでやすらぎのある地域社会を構築するよう努めるものとする 安全な生活の確保第20条 市民,事業者及び市は災害が発生したときその他緊急時において地域住民が相互に助け合うことができる地域づくりに努めるものとする 2 市は高齢者,障がい者トウが安全に生活を営むことができるようにするため防災,交通の安全の確保トウに関し必要な施策を講じるものとする平成17条例110・一部改正 相互理解の促進第21条 市民,事業者及び市は地域住民の相互理解を促進するため交流の機会の確保に努めるものとする 施設の提供第22条 事業者及び市は自らが所有し又は管理する施設を地域福祉の推進のための利用に供するよう努めるものとする 第3節 ボランティア活動の促進 ボランティア活動への参加第23条 市民及び事業者は自らの能力を活かし自主的にボランティア活動に参加するよう努めるものとする  ボランティア活動への支援第24条 事業者はその事業のために雇用している勤労者が積極的にボランティア活動に参加することができるよう必要な条件の整備に努めるものとする 2 市は市民及び事業者によるボランティア活動を促進するためボランティア活動に関する情報の提供,助言,指導者の育成その他の必要な支援を行うものとする 第4章 対象施設等の整備 第1節 対象施設の整備 整備基準等第25条市長は高齢者,障がい者等が対象施設を安全かつ円滑に利用できるようにするための公共的利用部分の構造及び設備に関する基準以下整備基準というを定めるものとする  2市長は整備基準のほか高齢者,障がい者等が整備基準により確保される水準よりも高度な水準で対象施設を安全かつ円滑に利用できるようにするための公共的利用部分の構造及び設備に関する基準を定めることができる 3整備基準及び前項の基準は対象施設の種類及び規模ごとに規則で定める平成17条例110・一部 243ページ 改正 整備基準の遵守第26条 対象施設の新設又は改修対象施設が建築物である場合にあっては増築 改築 建築基準法昭和25年法律第201号第2条第14号に規定する大規模の修繕若しくは同条第15号に規定する大規模の模様替をいい対象施設の全部又は一部を別種の対象施設とする用途の変更を含む 以下同じを行おうとする者改修を行うことにより対象施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとする者を含むは当該新設又は改修後の対象施設を整備基準に適合させなければならない 2前項の規定は新設若しくは改修後の対象施設が整備基準に適合している場合と同等以上に高齢者 障がい者等が安全かつ円滑に利用できるものであると市長が認める場合又は対象施設の規模 構造 利用の目的若しくは対象施設の敷地若しくはその周辺の土地の形状その他の事情により当該対象施設を整備基準に適合させることが著しく困難であると市長が認める場合については適用しない 平成17条例110・一部改正 既存施設の整備第27条 この条例又はこの条例に基づく規則の規定の施行又は適用の際 現に存する対象施設を所有し若しくは管理する者又は現に対象施設の新設若しくは改修を行っている者は当該対象施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない 維持保全第28条 対象施設を所有し又は管理する者以下 対象施設の所有者等というは第26条第1項又は前条の規定により整備基準に適合させた対象施設を引き続き当該整備基準に適合した状態に維持し保全するよう努めなければならない 2 市長は 前項の対象施設について 公共的利用部分の構造又は設備に関して高齢者 障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための措置を講じる必要があると認めるときは当該対象施設の所有者等に対し必要な指導又は助言を行うことができる 平成17条例110・一部改正 事前協議第29条 対象施設のうち規則で定める種類及び規模に該当する施設以下 特定施設 という の新設又は改修を行おうとする者改修を行うことにより特定施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとする者を含み改修を行うことにより特定施設に該当しないこととなる特定施設の当該改修を行おうとする者を除く 以下 特定整備主 という は新設又は改修を行おうとする特定施設及びその工事の内容について規則で定めるところによりあらかじめ市長と協議しなければならない これらの事項について内容の変更規則で定める軽微な変更を除くをしようとするときもまた同様とする 2 前項の規定による協議以下 事前協議 というは規則で定める日までに開始しなければならない 3 市長は特定整備主が計画する特定施設の公共的利用部分の構造及び設備が整備基準に適合しないこととなると認めるときはその特定整備主に対し必要な指導又は助言を行うことができる 工事完了の届出及び完了検査第30条 特定整備主は特定施設の新設又は改修の工事を完了したときは規則で定めるところにより速やかに市長にその旨を届け出て特定施設の公共的利用部分の構造及び設備に関し市長の検査を受けなければならない 244ページ 2市長は前項の検査の結果 当該検査に係る特定施設が整備基準に適合していないと認めるときは特定整備主に対し必要な指導又は助言を行うことができる 適合証の交付 第31条 市長は 前条第1項の検査の結果当該検査に係る特定施設が整備基準に適合していると認めるときは同項の規定による届出をした者に対し当該特定施設が整備基準に適合することを証する証票以下 適合証 という を交付するものとする 2 前項に定める場合を除くほか対象施設の所有者等は当該対象施設を整備基準に適合させたときは規則で定めるところにより市長に対し適合証の交付を請求することができる 3 市長は前項の規定による請求があった場合において当該対象施設が整備基準に適合していると認めるときは 当該請求をした者に対し適合証を交付するものとする 4 市長は交付した適合証に係る対象施設が整備基準に適合しないこととなったときは適合証の交付を受けた当該対象施設の所有者等に対し適合証の返還を命じることができる 勧告第32条 市長は 特定整備主が第29条第2項に規定する日までに事前協議を開始しなかったときは当該特定整備主に対し直ちに事前協議を開始するよう勧告することができる 2 市長は特定整備主が第30条第1項の規定による届出を行わなかったときは当該特定整備主に対し直ちに当該届出を行うよう勧告することができる 3 市長は第29条第3項又は第30条第2項に規定する指導又は助言を受けた特定整備主がその指導又は助言に正当な理由がなく従わなかったときは当該特定整備主に対しその指導又は助言に従うよう勧告することができる 立入調査等第33条 市長は 第26条及び第28条から前条までの規定を施行するために必要な限度において対象施設の所有者等又は特定整備主に対し対象施設が整備基準に適合するように設計され工事され又は維持され保全されているかどうかについて報告若しくは資料の提出を求め又は職員に対象施設に立ち入らせ及び調査させることができる 2前項の規定により立入調査をする職員はその身分を示す証明書を携帯し対象施設の所有者等又は特定整備主の請求があったときはこれを提示しなければならない 国等に関する特例 第34条 国 地方公共団体その他規則で定める者以下国等という については第29条 第30条 第31条第1項及び第32条の規定は 適用しない 2国等は特定施設の新設又は改修を行おうとするとき改修を行うことにより特定施設に該当することとなる施設の当該改修を行おうとするときを含み改修を行うことにより特定施設に該当しないこととなる特定施設の当該改修を行おうとするときを除く はその工事に着手する前に 規則で定めるところにより市長に通知しなければならない 対象施設の総合的整備第35条 土地区画整理事業 市街地再開発事業 一団地の住宅施設その他の市街地の整備に関する事業の施行者はその事業の施行区域の全体を高齢者 障がい者等が安全かつ円滑に利用で 245ページ きるように対象施設相互の連続性に配慮して総合的に整備しなければならない 平成17条例110・一部改正 福祉に配慮した設計者等の育成第36条 市長は福祉のまちづくりに配慮した対象施設の企画 設計及び工事の 施工に携わる技術者を育成するよう努めるものとする 第2節 公共車両等及び住宅の整備 公共車両等の整備第37条 公共車両等を所有し又は管理する者は当該公共車両等を高齢者 障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするための整備を行うよう努めるものとする平成17条例110・一部改正 住宅の整備第38条 市長は住宅共同住宅の公共的利用部分を除くについて高齢者 障がい者等が安全かつ快適に生活できるようにするための構造及び設備に関する指針を定め当該指針に沿った住宅の普及に努めるものとする 平成17条例110・一部改正 第5章 雑則 委任第39条 この条例の施行に関し必要な事項は 規則で定める 附則 この条例は平成10年4月1日から施行する ただし第3条第2号から第4号まで第5条第2項 第6条第2項 第14条及び第4章の規定は 規則で定める日から施行する 平成10年規則第92号により附則ただし書に規定する規定は 平成11年4月1日から施行 附則平成17年6月23日条例第110号 この条例は 公布の日から施行する 5 諮問 ホセイ 第1号 平成26年4月2日 福岡市保健福祉審議会 委員長 いしだ しげもり様 福岡市長 たかしま そういちろう 福岡市保健福祉総合計画の改定等について諮問 福岡市における保健・医療・福祉施策につきましては平成23年12月に改定した福岡市保健福祉総合計画等に基づき総合的かつ計画的に推進しています しかしながら昨年人口150万人を突破した福岡市におきましても少子高齢化はさらに進行しており就業人口の割合は減少するとともに団塊の世代が75歳を迎える平成37年には約四人に一人が高齢者となることが見込まれています 今後高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができる健康福祉のまちづくりを実現するためにはこうした社会情勢の変化に的確に対応していくことがより一層重要となってまいります 次のページに続きます 246ページ 前ページの続きです そこで現在の保健福祉総合計画 福岡市高齢者保健福祉計画 福岡市障がい保健福祉計画を再構築し より市民生活に即した施策を検討することといたしました 各分野別の実施計画と総合計画を一体的に策定することにより保健・医療・福祉に関する保健福祉施策をこれまで以上に充実したものとなるよう総合的に検討し併せて,今後本市が目指すべき施策の基本的な方向性を明らかにし市民と共に健康福祉のまちづくりを推進してまいりたいと考えております つきましては 1 福岡市保健福祉総合計画 平成28年度から平成32年度の改定について 2 第6期福岡市介護保険事業計画 平成27年度から平成29年度の策定について 3 第4期福岡市障がい福祉計画 平成27年度から平成29年度の策定について 以上 総合計画の改定及び二つの実施計画の策定について貴審議会のご意見を伺いたく 諮問いたします 6 答申 ホフクシン 第1号 平成28年5月25日 福岡市長 たかしま そういちろうサマ 福岡市保健福祉審議会 委員長 いしだ しげもり 福岡市保健福祉総合計画の改定について答申 平成26年4月2日付ホセイ第1号により諮問のあった標記の件について本審議会で慎重に審議を重ねた結果 別添のとおり答申します 今回の総合計画においては団塊の世代が75歳を迎える10年後を見据えその10年後のあるべき姿として 1生涯現役社会,2地域の力・民間の力が引き出される社会 3福祉におけるアジアのモデルとなる社会を提示いたしました そこでこれまで年齢等をもって一律に支える側 支えられる側と区切っていた捉え方を転換したとえ年齢を重ねても意欲や能力に応じて活躍できるための施策や支援が必要な人を社会全体で支え合う施策への重点化を図る政策転換を掲げました 具体的な施策につきましては1自立の促進と支援,2地域で生活できる仕組みづくり,3安全・安心のための社会環境整備といった3つの方向性を示した上で政策転換にも沿った施策を各論にまとめてあります 次のページに続きます 247ページ 前ページの続きです 福岡市におきましてはこの答申を踏まえ市民が自立しかつ相互に支え合うという精神のもとに高齢者や障がいのある人をはじめすべての市民が一人の人間として尊重され住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるハード・ソフト両面に調和のとれた健康福祉のまちづくりという基本理念の実現に向けて着実に取組みを推進されるよう切に希望します 7 計画策定の経緯 1福岡市保健福祉審議会における審議体制  福岡市保健福祉審議会における審議は,総会,専門分科会,部会の体制で実施しました。 図  以下は,図の説明です。  左側に「総会」,その右側に「合同分科会地域保健福祉専門分科会,高齢者保健福祉専門分科会」「障がい者保健福祉専門分科会」の2つの分科会があり,さらにその右側に「地域分野部会」「高齢者分野部会」「健康・医療分野部会」の3つの部会名が書かれています。  2つの分科会は,「総会」と線で結ばれています。  3つの部会は,「合同分科会」と線で結ばれ,「健康・医療分野部会」は「障がい者保健福祉専門分科会」とも結ばれています。 248ページ 2 計画策定の経緯 表  保健福祉審議会総会・答申、専門分科会,部会,議会報告,その他  以下は,年度,内容の順です 平成25年度  第2委員会 2月18日  平成26年度  総会 諮問  4月2日   合同分科会 地域と高齢者  11月27日,2月5日   障がい者保健福祉専門分科会  12月2日,2月4日   総会 総論とりまとめ  3月17日  平成27年度  第2委員会 6月29日  合同分科会 地域と高齢者 7月27日,12月4日,12月25日  障がい者保健福祉専門分科会 7月28日,8月26日,10月2日,11月9日,12月4日  健康・医療分野部会 8月20日,10月5日  地域分野部会 8月31日,9月30日,11月5日  高齢者分野部会 9月8日,10月2日,11月5日  第2委員協議会 10月20日  少子・高齢化対策特別委員会 高齢化対策 12月2日  総会 1月19日  第2委員会 2月22日  パブリック・コメント 3月1日から3月30日 平成28年度  障がい者保健福祉専門分科会 4月18日  総会 5月16日  答申 5月25日  計画策定 6月1日  以下は、表に記された矢印の説明です  平成26年度から27年度初頭にかけて「総論」,27年度中旬にかけて「各論」,28年度にかけて「全般」と記されています。 249ページ 8 福岡市保健福祉審議会等委員名簿 1福岡市保健福祉審議会委員平成28年5月16日現在 表  以下は,氏名,役職・専門分野等,備考の順です。 阿部 正剛 福岡市議会第2委員会委員 池田 良子 福岡市議会第2委員会委員 石田 重森 委員長 福岡大学名誉学長(保険論,年金論,社会保障論) 伊藤 豪 福岡大学商学部准教授(保険論,社会保障論) 今林 ひであき 福岡市議会第2委員会委員 平成27年5月1日まで 岩城 和代 副委員長 福岡市地域包括支援センター運営協議会会長,弁護士 江藤 仁章 福岡地区中小企業体連合会福岡県中小企業団体中央会事務局長 平成26年4月25日まで 野々上 幸治 福岡地区中小企業団体連合会福岡県中小企業団体中央会事務局長 平成26年4月26日から 大神 朋子 弁護士 岡田 靖 独立行政法人国立病院機構九州医療センター臨床研究センター長 小川 全夫 九州大学名誉教授 加藤 めぐみ 福岡市老人福祉施設協議会代表 鬼ア 信好 久留米大学文学部社会福祉学科教授(社会福祉学),社会福祉士,精神保健福祉士 吉良 潤一 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野教授(神経内科) 楠 正信 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月3日から 倉元 達朗 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月3日から 櫻井 千惠美 福岡市七区男女共同参画協議会代表 篠原 達也 福岡市議会第2委員会委員 平成27年5月1日まで 柴田 瑠美子 独立行政法人国立病院機構福岡病院小児科医 平成27年2月28日まで 蛛@涼一 九州大学副学長 平成27年2月28日まで 竹之内 徳盛 公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 平成27年6月18日まで 岡田 光生 公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 平成27年6月19日から 田代 芳樹 西日本新聞社論説委員会委員 250ページ 谷口 芳満 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年3月31日まで 竹中 章 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年4月1日から 樗木 晶子 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授(循環器内科学,生理学,臨床看護学) 平成27年3月1日から 手塚 裕一 公益社団法人福岡県高齢者能力活用センター事務局長 平成27年2月28日まで 中原 義隆 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 長柄 均 一般社団法人福岡市医師会副会長 納富 恵子 福岡教育大学大学院教授(特別支援教育・医学) 野口 幸弘 西南学院大学人間科学部社会福祉学科教授(特別支援教育,障がい児・障がい者支援,地域福祉,行動障がい支援) 野田 ルリ子 福岡市民生委員児童委員協議会常任理事 橋爪 誠 九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座災害救急医学分野主幹教授 平成27年3月1日から 長谷川 浩二 一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 鳩野 洋子 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授(公衆衛生看護学) 浜崎 太郎 福岡市議会第2委員会委員 Mア 裕子 久留米大学文学部社会福祉学科教授(社会福祉学,地域福祉論,建築学) 平成27年3月1日から 廣田 勝義 福岡市公民館館長会会長 平成26年5月28日まで 西頭 敬一郎 福岡市公民館館長会会長 平成26年5月29日から 宮本 政智 福岡市精神保健福祉協議会副会長 向井 公太 社会福祉法人福岡市手をつなぐ育成会理事長 安元 佐和 福岡大学医学部、医学教育推進講座主任教授(小児神経学)  平成27年3月1日から 山口 繁実 福岡市自治協議会等7区会長会代表 山ア 安則 筑紫女学園大学大学院人間科学部教授(地域福祉,福祉ボランティア等)平成27年2月28日まで 山根 哲男 福岡市介護保険事業者協議会会長 平成27年7月2日まで 井ア 進 福岡市介護保険事業者協議会会長 平成27年7月3日から ※現委員35人任期:平成27年3月1日から平成30年2月28日 251ページ 2 地域保健福祉専門分科会委員平成28年5月16日現在 石田 重森 福岡大学名誉学長(保険論,年金論,社会保障論) 岩城 和代 分科会長 福岡市地域包括支援センター運営協議会会長,弁護士 今林 ひであき 福岡市議会第2委員会委員 平成27年5月1日まで 小川 全夫 九州大学名誉教授 楠 正信 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月3日から 倉元 達朗 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月3日から 櫻井 千惠美 福岡市七区男女共同参画協議会代表 佐々木 喜美代 NPOアジアン・エイジング・ビジネスセンター上席研究員 平成27年7月27日から 棧原 弘司 NPO法人イーネーム、プラットフォーム 理事長 平成27年7月27日から 篠原 達也 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月2日まで 宗 寿彦 株式会社 ふくや 網の目コミュニケーション室室長 平成27年7月27日から 谷口 芳満 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年3月31日まで 竹中 章 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年4月1日から 樗木 晶子 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授(循環器内科学,生理学,臨床看護学) 平成27年3月17日から 十時 裕 有限会社ブランドゥ代表 平成27年7月27日から 中原 義隆 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 平成27年3月17日から 長柄 均 一般社団法人福岡市医師会副会長 西頭 敬一郎 福岡市公民館館長会会長 野田 ルリ子 福岡市民生委員児童委員協議会常任理事 鳩野 洋子 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授(公衆衛生看護学) Mア 裕子 久留米大学文学部 社会福祉学科教授(社会福祉学,地域福祉論,建築学)  平成27年3月17日から 山内 泰 NPO法人ドネルモ代表理事 平成27年7月27日から 山口 繁実 副分科会長 福岡市自治協議会等7区会長会代表 山ア 安則 筑紫女学園大学大学院人間科学部教授(地域福祉,福祉ボランティア等) 平成27年2月28日まで 252ページ 3高齢者保健福祉専門分科会委員平成28年5月16日現在 阿部 正剛 福岡市議会第2委員会委員 池田 良子 福岡市議会第2委員会委員 石田 重森 副分科会長 福岡大学名誉学長(保険論,年金論,社会保障論) 泉 賢祐 公益社団法人福岡県社会福祉士会相談役 伊藤 豪 福岡大学商学部准教授(保険論,社会保障論) 今林 栄子 第2号被保険者 平成27年2月28日まで 岩城 和代 福岡市地域包括支援センター運営協議会会長,弁護士 内田 秀俊 公益社団法人認知症の人と家族の会福岡県支部代表 岡田 靖 独立行政法人国立病院機構 九州医療センター臨床研究センター長 平成27年3月17日から 尾籠 晃司 福岡大学医学部精神医学教室准教授 平成27年7月27日から 小田原 睦子 福岡市民生委員児童委員協議会常任理事 笠松 範子 第2号被保険者 平成27年2月28日まで 加藤 めぐみ 福岡市老人福祉施設協議会代表 樺嶋 尚子 第2号被保険者 平成27年7月27日から 鬼ア 信好 久留米大学文学部 社会福祉学科教授(社会福祉学,社会福祉士,精神保健福祉士) 熊谷 秋三 九州大学基幹教育院教授 平成27年7月27日から 黒岩 悦子 公益社団法人福岡県看護協会常任理事 佐藤 芙美子 第1号被保険者 平成27年2月28日まで 柴口 里則 公益社団法人福岡県介護支援専門員協会会長 白津 陽一 第1号被保険者 平成27年2月28日まで 瀬尾 隆 一般社団法人福岡市薬剤師会会長 平成27年7月27日から 高田 仁 九州大学大学院経済学研究院教授 平成27年7月27日から 竹之内 徳盛 公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 平成27年6月18日まで 岡田 光生 公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 平成27年6月19日から 田代 芳樹 西日本新聞社論説委員会委員 平成27年2月28日まで 田中 喜美子 公益社団法人福岡県介護福祉士会副会長 平成27年7月27日から 253ページ 谷口 芳満 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年3月31日まで 竹中 章 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 平成28年4月1日から 手塚 裕一 公益社団法人福岡県高齢者能力活用センター事務局長 平成27年2月28日まで 中野 千恵 公益社団法人福岡県介護福祉士会副会長 平成27年2月28日まで 長柄 均 分科会長 一般社団法人福岡市医師会副会長 野々上 幸治 福岡地区中小企業団体連合会福岡県中小企業団体中央会事務局長 平成27年3月17日から 橋爪 誠 九州大学 大学院 医学研究院先端医療医学講座 災害救急医学分野主幹教授 平成27年3月17日から 馬場 英司 九州大学 大学院医学研究院九州連携臨床腫瘍学講座教授 平成27年7月27日から 浜崎 太郎 福岡市議会第2委員会委員 Mア 裕子 久留米大学 文学部社会福祉学科教授(社会福祉学,地域福祉論,建築学) 平成27年3月17日から 堀田 謙一郎 一般社団法人福岡市歯科医師会常務理事 平成27年7月27日から 村上 幸子 第1号被保険者 平成27年7月27日から 守山 正樹 福岡大学医学部教授(公衆衛生学) 平成27年7月27日から 山根 哲男 福岡市介護保険事業者協議会会長 平成27年7月2日まで 井ア 進 福岡市介護保険事業者協議会会長 平成27年7月3日から 254ページ 4 障がい者保健福祉専門分科会委員 平成28年5月16日現在 伊藤 嘉彦 精神障がい者地域活動支援センターT型そよかぜのまち相談員 平成27年7月27日まで 佐々木 淳司 精神障がい者地域活動支援センターT型そよかぜのまち相談員 平成27年7月28日から 海老原 俊恵 愛宕浜キッズ・レゴ代表 大神 朋子 弁護士 吉良 潤一 分科会長 九州大学大学院医学研究院神経内科学分野教授(神経内科) 楠 正信 福岡市議会第2委員会委員 平成27年7月3日から 工藤 幸 福岡市知的障がい者相談員 篠原 達也 福岡市議会第2委員会委員 平成27年5月1日まで 柴田 瑠美子 独立行政法人口腔リツ病院機構福岡病院小児科医 平成27年2月28日まで 進藤 和昭 福岡市民間障がい施設協議会会長 平成28年3月9日まで 椎葉 亮 福岡市民間障がい施設協議会会長 平成28年4月1日から 嶋 正章 福岡市立生の松原特別支援学校校長 平成27年2月28日まで 田代 芳樹 西日本新聞社論説委員会委員 平成27年3月17日から 中原 義隆 副分科会長 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 納富 恵子 福岡教育大学大学院教授(特別支援教育・医学) 野口 幸弘 西南学院大学人間科学部社会福祉学科教授(特別支援教育,障がい児・障がい者支援,地域福祉,行動障がい支援) 野々上 幸治 福岡地区中小企業団体連合会福岡県中小企業団体中央会事務局長 平成26年4月26日から 長谷川 浩二 一般社団法人福岡県精神科病院協会副会長 長谷川 雅寛 福岡市立博多高等学園校長 平成27年7月28日から 浜崎 太郎 福岡市議会第2委員会委員 水野 英隆 医療法人にのさかクリニック 地域生活ケアセンター小さなたね 所長 溝口 伸之 株式会社きらきら代表取締役社長 宮本 政智 福岡市精神保健福祉協議会副会長 向井 公太 社会福祉法人福岡市テをつなぐ育成会理事長 安元 佐和 福岡大学 医学部医学教育推進講座主任教授(小児神経学)平成27年3月17日から 山田 隆義 福岡市身体障がい者相談員 吉田 恒代 福岡市民生委員児童委員協議会副会長 255ページ 5 健康・医療分野部会委員  岡田 靖 副部会長、独立行政法人国立病院機構九州医療センター臨床研究センター長 尾籠 晃司 福岡大学医学部精神医学教室准教授 樗木 晶子 部会長 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授(循環器内科学,生理学,臨床看護学) 橋爪 誠 九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座災害救急医学分野主幹教授 鳩野 洋子 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授公衆衛生看護学 馬場 英司 九州大学大学院医学研究院九州連携臨床腫瘍学講座教授 守山 正樹 福岡大学医学部医学科教授(公衆衛生学) 安元 佐和 福岡大学医学部医学教育推進講座主任教授(小児神経学) ※審議期間:平成27年8月20日から平成27年10月5日 6 地域分野部会委員 岩城 和代 部会長 福岡市地域包括支援センター運営協議会会長,弁護士 小川 全夫 九州大学名誉教授 佐々木 喜美代 NPOアジアン・エイジング・ビジネスセンター上席研究員 棧原 弘司 NPO法人イーネームプラットフォーム理事長 宗 寿彦 株式会社ふくや網の目コミュニケーション室室長 谷口 芳満 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 十時 裕 有限会社ブランドゥ代表 中原 義隆 社会福祉法人福岡市身体障害者福祉協会会長 西頭 敬一郎 福岡市公民館館長会会長 山内 泰 NPO法人ドネルモ代表理事 山口 繁実 副部会長 福岡市自治協議会等区会長会代表 ※審議期間:平成27年8月31日から平成27年11月5日 256ページ 7高齢者分野部会委員  井ア 進 福岡市介護保険事業者協議会会長 石田 重森 副部会長 福岡大学名誉学長(保険論,年金論,社会保障論) 内田 秀俊 公益社団法人認知症の人と家族の会福岡県支部代表 岡田 光生 公益社団法人福岡市老人クラブ連合会会長 尾籠 晃司 福岡大学医学部精神医学教室准教授 小田原 睦子 福岡市民生委員児童委員協議会常任理事 加藤 めぐみ 福岡市老人福祉施設協議会代表 鬼ア 信好 久留米大学 文学部社会福祉学科教授(社会福祉学,社会福祉士,精神保健福祉士) 熊谷 秋三 九州大学基幹教育院教授 柴口 里則 公益社団法人福岡県介護支援専門員協会会長 田 仁 九州大学大学院経済学研究院教授 谷口 芳満 社会福祉法人福岡市社会福祉協議会常務理事 長柄 均 部会長 一般社団法人福岡市医師会副会長 Mア 裕子 久留米大学 文学部社会福祉学科教授(社会福祉学,地域福祉論,建築学) ※審議期間:平成27年9月8日から平成27年11月5日 257ページ 9 パブリック・コメント手続きによる市民意見募集の結果概要 1 意見募集期間  平成28年3月1日から平成28年3月30日 2 閲覧・配布場所  情報プラザ,情報公開室,各区役所・出張所,各区保健福祉センター,保健福祉局政策推進課などで閲覧・配布を行うとともに,福岡市ホームページにおいて公表 3 市民説明会等実施  参加者計125名内訳:市民説明会27名,団体への説明会98名 4 意見の提出者数  提出者数 45人・団体  内訳:FAX 23,ホームページ 10,電子メール 6,郵送4,持参 2 5 意見の件数  意見件数 161件 表  以下は,項目,件数,意見への対応修正,原案通りの順です。 1 全般 4 1 3 2 序論・総論 9 4 5 3 各論  1健康・医療分野 13 2 11  2地域分野 18 3 15  3高齢者分野 24 4 20  4障がい者分野 89 5 84 4 その他 4 1 3 合計 161 20 141 このページに文章の記載はありません。 このページに文章の記載はありません。 福岡市保健福祉総合計画 福岡市保健福祉局政策推進課 〒810−8620 福岡市中央区天神1−8−1 電話番号 092-733-5344 FAX 092-733-5587 メールアドレス seisaku.PHWB@city.fukuoka.lg.jp