資料3-2 平成30年度 触法障がい者部会 報告書別紙 第14回 H30.7.17 NO.12 (整理された課題) 人との信頼関係が築きにくく就労も続かず、傷害、窃盗を繰り返していた。性格は素直なため、障がい特性を理解した福祉関係者の関わりで、更生していく可能性が見込まれたが、市外のため支援の継続が出来なかった。市外の事業所への引継ぎも試みたが受け入れ先の事業所との信頼関係が構築できず、福祉関係の支援に繋がらなかった。 (取り組む課題) ・触法障がい者のスキームに取り組んでいるのは、福岡県内では福岡市と北九州市だけであるため、県内の他の自治体にも同様な手法を広げていく事が必要である。 ・基幹センターがあればそこが対応できるが、ない場合の相談先の確認を行い、研修の企画など実施しスキームの取組みを広げていく。 ・県内の弁護士会は4つのブロックがあり(北九州・久留米・筑豊・福岡)、それぞれで成功事例を積み重ねていく。基幹と弁護士会が協働していくコンセンサスを取っていき、地域間格差をなくしていく取組みが必要である。 第15回 H30.9.12 NO.10 (整理された課題) 風俗関係や男性との関わりでの経緯から、犯罪に関係するトラブルを繰り返していた。金銭面での安定が図られたことにより、犯罪に繋がる行動は抑制されたが、福祉サービスの利用にあたっては障がい特性からくる行動面の難しさがあり、そのことを理解した上での専門的な対応が求められた。金銭管理は弁護士の関与で適切な支援に繋がったが、通帳を犯罪に使われ口座開設ができなくなる等、他にも同様の事例は多く、課題がある。 (取り組む課題) ・就労、居住系の障がい福祉サービスを提供する事業所が、本人の障がいによる行動特性が大きく変わらないことを理解し、緩やかな対応で見守りを実施するなど、個々に応じた支援体制について検討していく。 ・福祉サービス事業所で、触法障がい者に関する専門的な知識や支援方法のノウハウを持っているところは少ないが、積極的に受け入れている事業所からヒアリングを行う、研修や啓発活動を行うなどし、普及していく取組みが必要である。 ・司法関係者を中心に金銭問題を抱えた障がい者の権利擁護、成年後見制度について協議する場が必要である。 ・環境因から、障がい者が風俗関係やお金を安易に入手する方法を誤学習することをきっかけに、犯罪に関与する社会的な背景についても考えていく必要がある。 第16回 H30.11.14 NO.14 (整理された課題) 身体障がいとアルコール性せん妄のある高齢者で、他害行為を行い、軽微な犯罪も繰り返していた。様々な行動特性や症状が何からくるものなのかを検査するため、入院先の精神科病院を探したが断られた。地域包括支援センターへ入所先探しを依頼したが、今までの生活歴もあり、積極的に動いてもらえなかった。地域包括支援センターでは、障がいのことは良くわからないという理由もあると思われるが、そもそも高齢者の場合、介護保険の範疇になるため、ケアマネージャーや地域包括支援センターに積極的に動いてもらう必要がある。 (取り組む課題) ・地域包括支援センターを所管する市の担当部署から、触法高齢障がい者について周知していく。 ・障がいと地域包括分野のスタッフが参加する勉強会などがあれば、弁護士が参加して触法高齢障がい者への対応について話すことができるので、声をかけていく。 ・市として地域包括支援センター向けの勉強会などを企画してもらい、うまく連携して成功した事例などを取り上げてアピールしていく。行政としてもバックアップしていく事を打ち出してもらうとスムーズに繋がると思われる。 第17回 H31.1.23 NO.15 親族への傷害を繰り返していた。区の基幹センターの職員が、釈放された場合の生活の場を検討するため、検察官から依頼を受けて被疑者を交えた検察庁のケア会議に出席し、翌日は弁護士会からのスキーム依頼により被疑者の母親を交えた同様のカンファレンスに出席し、両方の支援が競合している事実を把握したものの、守秘義務があるため、どのような立ち位置で動いたら良いか迷った。不起訴となり、更生緊急保護により保護観察所が、更生保護施設か自立準備ホームへ繋ぐ検討を行い、居住地から遠い自立準備ホームの入居になった。居住地から遠い施設に決まったことに本人が納得せず、更に保護観察所を交えたケア会議を実施することとなった。今回のように、検察官と弁護士が同時進行で、別々に釈放後の生活をどうするか検討を行うことはあるが、検察庁が支援を検討していることが分った時点で、触法スキームは終了してもよいのではないか。 (取り組む課題) ・被疑者の状況について弁護士側と検察側が話合いをするのが一番良い。 ・検察からの依頼を受けて接見する方が、弁護士からの依頼を受けて接見するよりも時間が長いので、アセスメントを取りやすく、関係性を築きやすい。 ・地域で関わる支援者が、早期に関与することにより、本人の意向の聴き取りや家族の調整などが行いやすくなり、地域生活に向けてより良い検討ができるようになると思われる。