福岡市障害者差別解消条例の見直しについて 目次 1 前文                    ・・・・・・・・・・・ P1 2 第1条(目的)               ・・・・・・・・・・・ P2 3 第2条(定義)               ・・・・・・・・・・・ P3 4 第3条(市の責務)             ・・・・・・・・・・・ P4 5 第4条(事業者の責務)           ・・・・・・・・・・・ P5 6 第6条(基本理念)             ・・・・・・・・・・・ P6 7 第7条(不当な差別的取扱いの禁止)     ・・・・・・・・・・・ P9 8 第8条(合理的配慮の提供)         ・・・・・・・・・・・ P13 9 第9条(啓発活動等)            ・・・・・・・・・・・ P15 10 第11条(相談体制の充実)           ・・・・・・・・・・・ P17 11 第12条(表彰)                ・・・・・・・・・・・ P18 12 第14条(相談)                ・・・・・・・・・・・ P19 13 第15条(市長への申出)            ・・・・・・・・・・・ P20 14 第17条(審査会への諮問)           ・・・・・・・・・・・ P21 15 第22条(組織及び委員)            ・・・・・・・・・・・ P22 16 第23条(部会)                ・・・・・・・・・・・ P23 (作業者注・条文について、現行の条例からの修正点は、《二重山形かっこ書き》で前後を挟んでいる。) 1ページ 1 前文 すべて人は、障害の有無にかかわらず、平等に、かけがえのない個人として尊重され、地域社会で自らの個性と能力を発揮しながら心豊かに生活する権利を有している。 しかしながら、現実には、日常生活の様々な場面において、障害のある人が障害を理由として不利益な取扱いを受けているという実態がある。また、障害のある人が、自己実現を求め、自ら望むような社会参加をしたいと願っても、それを困難にしている物理的な問題に加え、障害や障害のある人に対する誤解、無理解、偏見などに基づく社会的障壁が存在し、障害のある人の社会参加の妨げとなっている。障害のある人の多くがこのような不利益な取扱いや社会的障壁のために、自ら望む生き方を諦めざるを得ず、日常生活の様々な場面において家族等に依存することを余儀なくされ、その家族等を失えばたちまち生活自体が困難になってしまう状況にあり、家族等の不安もまた非常に深刻かつ切実である。 そのような中で、平成18年に国際連合において障害者の権利に関する条約が採択され、障害のある人の社会参加の妨げとなっている社会的障壁を社会の責任で取り除き、障害を理由とする差別をなくし、障害のある人もない人も等しく基本的人権を享有する社会を目指すことが国際的に求められるようになった。 日本国憲法においては、個人の尊重と法の下の平等がうたわれており、我が国では、障害者の権利に関する条約の批准や障害者基本法の改正、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定など、障害を理由とする差別の解消に向けた様々な取組みがなされてきた。 福岡市においても、国際社会や国の動向を踏まえた取組みを進めてきたが、障害を理由とするいかなる種類の差別もない社会を実現するためには、市、事業者及び市民が一体となって努力していくことが必要である。 このような認識のもと、障害を理由とする差別の解消の推進に向けた基本理念を明らかにし、障害の有無にかかわらず、すべての人が個人として尊重される社会の実現を目指して、この条例を制定する。 (1) 考え方 用語等の修正について、条例の背景やその時の思い、趣旨は変わらないようにしながらも、より適切な言葉があれば、修正するべきという趣旨の意見がありました。 また、前文は条例制定の背景、理念、決意等を述べる文章であり、国(参議院HP)によると、他の条文を改正するからといって前文まで改正することは珍しいケースであるとされています。 それらを踏まえ検討した結果、改正箇所はありませんでした。 (2) 主な委員意見 ○最初に制定された条例の背景やその時の思い、趣旨は変わらないようにしながらも、より適切な言葉があれば、修正することは悪くないと思う。 2ページ 2 第1条(目的) 第1条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、市《及び事業者》の責務並びに市民の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、障害者が、社会を構成する主体の一員として、自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画し政策決定に関わることができる環境を構築し、もってすべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会の実現に資することを目的とする。 (1) 考え方 第3条において、事業者の「役割」を「責務」に修正したことを踏まえ、規定の修正を行いました。 (2) 主な委員意見 ○障害者差別解消法(以下「法」という)改正により事業者による合理的配慮の提供が義務化されたため、事業者の責務とするべき。 3ページ 3 第2条(定義) 第2条 この条例において使用する用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的、断続的又は周期的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (3) 障害を理由とする差別 客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別の事情がないにもかかわらず、不当な差別的取扱いを行い、又は合理的配慮をしないことをいう。 (4) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく、障害を理由として、障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすることをいう。 (5) 合理的配慮 障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じた社会的障壁の除去のための必要かつ合理的な現状の変更又は調整をいう。 (6) 事業者 市内で事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第3章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。)及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (7) 独立行政法人等 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第2条第5号に規定する独立行政法人等をいう。 (8) 地方独立行政法人 法第2条第6号に規定する地方独立行政法人をいう。 (1) 考え方 用語の修正等に関する意見がありましたが、法制的な理由で修正していません。 障害者の定義や差別概念の定義について、具体的な改正案の提示はありませんでしたが、検討が必要との意見がありました。 (2) 主な委員意見 ○障害者の定義において、過去、未来、推測による障害、家族や関係者も加えるかどうかの検討が必要。 ○差別概念の定義がなく、間接差別、関連差別、ハラスメントについての検討が必要。 ? 4ページ 4 第3条(市の責務) 第3条 市は、第6条の基本理念にのっとり、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解の促進を図るとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策を策定し、及びこれを実施するものとする。 《2 市は、障害を理由とする差別及びその解消のための取組みに関する情報の収集、整理及び提供に努めるものとする。》 (1) 考え方 法改正及び委員意見により、第2項として、市は、障害を理由とする差別及びその解消のための取組みに関する情報の収集、整理及び提供に努める規定を追加しました。 また、国との役割分担、相互連携、協力について明文化すべきとの意見もありましたが、法より具体的な内容の提案がなく、規定しませんでした。 なお、法改正により、障害を理由とする差別に関する相談に対応する人材を育成し、確保する責務が明確化されたことに伴い、本条に追加するよう意見がありましたが、第11条に規定しました。 (2) 主な委員意見 ○法に同様の記載があり(法第16条第2項)、福岡市は政令指定都市であるため、他の小規模な市町村よりは事例は多いと思ったこと、推進会議でも皆さんが取り組まれた好事例も含めての事例の収集、そしてそれをこの会議で共有したことがとても参考になったため、この条例改正の機会に文言を追加してはどうかと思った。 ○法改正(法第3条第2項)の内容を踏まえ、国との役割分担、相互連携、協力について明文化するべき。 5ページ 5 第4条(事業者の《責務》) 第4条 事業者は、第6条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うとともに、市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (1) 考え方 第8条に定める事業者による合理的配慮の提供について、努力義務から義務に改正することを踏まえ、条文の見出しを役割から責務に修正しました。 「事業者は、」の後に「特に福祉に携わる者は、」を記載すべきという意見がありましたが、当該規定は事業者全体に関する規定であることを考慮すると、事業の業種が異なることで差をつけているようにも捉えられることになることを踏まえ、規定しませんでした。 (2) 主な委員意見 ○法改正(法第8条第2項)により事業者による合理的配慮の提供が義務化されたため、事業者の責務とするべき。 ○発達障害や知的障害のあるものは、差別を受けていても意思表示できない、又は差別だと認識できていないことがあるため、「事業者は」の後に「特に福祉に携わる者は、」を記載すべき。 ○事業者の中に福祉に携わる者というのが当然に入っており、法的な効果は変わらない点、もし福祉に携わる者ということで規定をするのであれば、福祉に携わる者の定義も別途必要になるという点、福祉に携わる者ということにプラスして責務を負わすということになり、それで良いのかどうかという点を検討しなければならないのではないか。 6ページ 6 第6条(基本理念) 第6条 障害を理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる基本理念に基づき行うものとする。 (1) すべての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。 (2) 何人も、障害を理由とする差別により障害者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには、合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4) 何人も、障害者との交流を通じて障害又は障害者に対する理解を深めていくこと。 (5) 障害を理由とする差別に関する紛争が発生した場合には、相手方の立場を踏まえた建設的な対話を行うことにより解決することを基本とすること。 (6) すべての障害者は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され、地域社会において他の人々とともに暮らす権利を有すること。 (7) すべての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報《(高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用によって得られる情報を含む。以下この条及び第7条において同じ。)》の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利《並びに情報を取得し、利用し円滑に意思疎通を図ることができる権利》を有するとともに、障害者に対しては、《情報の取得、利用、》コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (8) 女性《や性的マイノリティ》である障害者は、障害に加えて女性《や性的マイノリティ》であることにより複合的に困難な状況に置かれている場合があること、及び児童である障害者に対しては、年齢に応じた適切な支援が必要であることを踏まえること。 (9) 非常災害時において障害者の安全を確保するため、非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。 (1) 考え方 第1号について、実体規定に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」規定の追加に伴い修正するよう意見がありましたが、実体規定の追加は行わなかったため、修正しませんでした。 第3号について、「合理的配慮を行うことがよりいっそう促進され、社会的障壁を生まない環境整備に繋げる必要があること」と修正すべきという意見がありましたが、内閣府の基本方針の環境の整備に関する内容等を踏まえ、修正しませんでした。 第4号について、「家庭、学校を始めとする社会のあらゆる場面において、子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、(作業者注:ここからP7)学び合う心をはぐくむこと。」という規定を追加するべきといった意見がありましたが、通常、基本理念には具体的に規定しないことが常套であるといった意見などを踏まえ、条例には規定せず、意見の趣旨を踏まえ逐条解説に記載します。 P7 第7号について、委員意見などを踏まえ、以下の通り修正しました。 ・「情報」について、デジタル社会を踏まえた内容に修正しました。 ・すべての障害者は、情報を取得し、利用し円滑に意思疎通を図ることができる権利を有する旨の規定を追加しました。 ・「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(いわゆる、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)を踏まえ、規定を修正しました。 また、具体的なコミュニケーション手段について、詳細を記載すべきという意見、「情報アクセシビリティ」という文言を規定すべきという意見がありました。 コミュニケーション手段については、全ての手段を網羅して規定することは困難といった意見を踏まえ、「情報アクセシビリティ」については、「情報アクセシビリティ」が「情報の取得及び利用」とされていることから、それぞれ修正を行いませんでした。 ただし、コミュニケーション手段や情報アクセシビリティに関する意見については、趣旨を踏まえ逐条解説に記載します。 第8号について、意見を踏まえ、「性的マイノリティである障害者」を追加しました。 新たに、インクルーシブ教育に関する規定(障害のある子どもと障害のない子どもが、可能な限り共に教育・保育を受けられるような環境が求められること)を追加するよう意見がありましたが、インクルーシブ教育については、国において漸進的に取り組んでいるなかで、条例に規定すると将来的に国の方針と齟齬が生じる可能性があること、基本理念に教育を追加するなら、雇用の分野など、第7条に規定する分野もバランスをとって基本理念に規定する必要が出てくるという意見を踏まえ、規定しませんでした。 (2) 主な委員意見 @第1号 ○論点で指摘された基本理念と実体規定の「重複」を避け、「障害者」を主語として条例の目的を明確化するため「、及びその権利の実現のため障害者は差別を受けることがあってはならない」との規定が必要。 A第3号 ○事業者の合理的配慮も法的義務になるという目途が立った。翻って福岡市の障害者差別解消条例の理念において、「合理的配慮の提供が促進されること」ということだけでは弱く、時間の経過とともに立法事実が集積されつつある現在において、もう少し進んだ表現があっていいのではないかと思う。 B第4号 ○できるだけ幼少期の頃から障害者とのかかわりを持った方が本当に心から自然に理解をしていただくということは定説になっている。やはり学校教育の中でも、例えばクラスもしくは学年に1人でも障害のある方がいらっしゃったら、そのクラスの子は自然に関わっていくというか、理解ができているというのは現実な(作業者注:ここからP8)ので、ぜひこのまま通していただきたい。 P8 ○具体的な規定というのは、基本理念には通常あまり入れないというのが作り方としては常套であり、その点をどの項目に入れていくのかという点を議論していただくほうがよろしいのではないかと思う。 A第7号 ○情報の受け取りだけではなくて発信も含めて広く情報の取得・利用、そして円滑な意思疎通ということの規定を自ら選択してできること、それからデジタル社会に即したことを明記することが必要と思う。 ○手話だけが具体列挙されているというのは逆におかしいのではないかと思う。具体列挙するのであれば、ほかのコミュニケーション手段についても提示をしないとバランスを欠くと思う。 ○多種多様な障害、精神障害や発達障害等、身体障害以外の方のコミュニケーション手段を考えるということも想定される。そうしたことも考えると、ただ例示で尽きるものではないので、定義を規定しても全ての障害のある方を網羅できる訳ではないのではないかという懸念がある。 ○「情報アクセシビリティ」は「近づきやすさ」「利用のしやすさ」「便利であること」など訳されている。「情報アクセシビリティ」という文言を入れていただきたい。 B第8号 ○「女性」だけでなく、「LGBT等」を追加し、時代に沿った文言にしてほしい。 P9 7 第7条(不当な差別的取扱いの禁止) 第7条 市(市が設立した地方独立行政法人を含む。次条第1項及び第21条第3号において同じ。)及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (1) 福祉サービスの分野における次に掲げる取扱い ア 第三者の生命、身体又は財産を保護するためやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援が行われることなく、障害者の意思に反して、障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第11項に規定する障害者支援施設をいう。)その他の福祉サービスを行う施設における生活を強制すること。 (2) 医療の分野における次に掲げる取扱い ア 第三者の生命、身体又は財産を保護するためやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、医療の提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 他の法令に特別の定めがある場合を除き、障害者の意思に反して、入院その他の医療を受けることを強制し、又は自由な行動を制限すること。 (3) 教育、療育及び保育の分野における次に掲げる取扱い ア 《教育、療育及び保育において必要と認められる適切な指導又は支援が行われないことについてやむを得ない場合その他の》客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、教育、療育若しくは保育を行うことを拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すること。 イ 障害者若しくはその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいい、同条に規定する保護者のない場合における里親(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第1項第3号の規定により委託を受けた里親をいい、里親のない場合における当該子女の監護及び教育をしている者を含む。)を含む。)の意見を聴かず、若しくは意思を尊重せず、又はこれらの者に必要な説明を行わずに、障害者が就学する学校(学校教育法第1条に規定する小学校、中学校、中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。 (4) 雇用の分野における次に掲げる取扱い ア 業務の性質上やむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、障害者の応募若しくは採用を拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すること。 イ 合理的配慮をしてもなお業務の遂行が困難な場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、賃金、労働時間、配置、昇進、教育訓練、福利厚生その他の労働条件について障害者でない者と異なる不利益な取扱いをし、又は解雇若しくは退職を強制すること。 P10 (5) 建物及び公共交通機関の分野における次に掲げる取扱い ア 建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、不特定多数の者の利用に供される建物の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 旅客施設(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第5号に規定する旅客施設をいう。)又は車両等(同条第7号に規定する車両等をいう。)の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、公共交通機関(交通機関の用に供する電車、バス、船舶、タクシー及び飛行機をいう。)の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 (6) 情報の《取得》及び《利用並びに意思疎通》の分野における次に掲げる取扱い ア 障害者《が》情報の《取得及び利用を行う》場合において、当該情報の《取得及び利用》により他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該情報の《取得及び利用》を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 障害者が意思疎通を行う場合において、その選択した意思疎通の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障があるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該意思《疎通》を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 (7) 商品の販売等及び不動産の売買等の分野における次に掲げる取扱い ア 客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、商品の販売若しくはサービス(福祉サービスを除く。)の提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すること。 イ 建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、不動産の売買、賃貸、転貸若しくは賃借権の譲渡を拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すること。 《(8) スポーツ、文化芸術活動その他の生涯学習活動を行う場合において、スポーツ、文化芸術活動その他の生涯学習活動を行うことを拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を付け、その他障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすること。》 (1) 考え方 「何人も障害を理由とする差別をしてはならない」規定や、市や事業者に加え、第7条や第8条に、市民に関する規定を追加するよう意見がありました。 あわせて、実体規定追加の効果として、啓発の強化に加え、一般私人間の事案についても調整・あっせんを行うよう意見がありましたが、市としては、啓発については基本理念に基づき現在でも実施しており、一般私人間の事案については調整・あっせんを行わないため(P20参照)、仮に実体規定に追加したとしても、その効果は第6条第2号と変わらず、法施行後に制定された他の政令市や福岡県条例では、理念規定と実体規定に重複して「何人も障害を理由とした差別をしてはならない」旨の規定が(作業者注:ここからP11)ないことを踏まえ、規定していません。 P11 第3号アについて、委員意見を踏まえ、「教育、療育及び保育において必要と認められる適切な指導又は支援が行われないことについてやむを得ない場合」を追加しました。 なお、「障害者の年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育、療育又は保育が受けられるようにするために必要な指導又は支援を行わないこと。」という規定を新たに追加するよう意見がありましたが、不当な差別的取扱いとは、「正当な理由なく、障害を理由として、障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすることをいう。(第2条第4号)」と条例で定義しており、意見は障害者でないものと異なる取扱いを定めるものではないため、規定しませんでした。 第6号について、委員意見を踏まえ、「情報の提供」「意思表示の受領」をそれぞれ、「情報の取得および利用」「意思疎通」に規定を修正しました。 また、「障害を理由として」という規定を「障害及びその特性に応じたコミュニケーション手段を理由として、」とするよう意見がありましたが、第7条は不当な差別的取扱いに関する規定であり、不当な差別的取扱いとは、第2条第4号において「正当な理由なく、障害を理由として、障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすることをいう。」としているため、規定しませんでした。 ただし、意見の趣旨はいわゆる間接差別等に関するものであり、障害者差別解消法が定める基本方針を踏まえ、逐条解説に記載を行います。 また、「他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるとき」「選択した意思疎通の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障があるとき」を削除するよう意見もありましたが、法学的な観点での意見を踏まえ、削除しませんでした。 第8号について、委員意見を踏まえ規定を追加しました。 (2) 主な委員意見 @実体規定 ○市民に勧告や公表を課すということは全然考えていないが、実体規定の対象に市民を入れることで、少なくとも障害者を差別することはいけないことだという趣旨で、基本理念だけでは足りないのではないか。 ○まだまだ私人間での差別がなくならない現状があり、現行の第7条の前に、実体規定として、「何人も障害者に対して差別をしてはならない」という言葉是非を入れていただきたい。 ○理念規定が大事だからこそ、より具体的にここで再度、実体規定に規定すべきだと思う。 〇基本理念においては、市、事業者、市民の責務・役割を定めているのに対して、実体規定である第3章においては市民に関する規定がない。条例の形としてもおかしいし、現在の条例では市民は何もしないでよいのであるとの反対解釈を生む恐れがあるので、市民についても規定すべきである。 〇条例に書いてないことを逐条解説で規定できるのか。逐条解説の本来の趣旨から逸脱しているのではないか。 ○基本理念にしっかり謳ってあるので、その考え方が条例全体にかかっているのではないかと思っている。 やはり3年たって浸透してないところが大きな課題の1つではないかと思っている。じゃあ具体的に何がどう駄目だったのか、今後どうしていくのかというところは、具体的な取組みの中でしっかり議論して進めていく形がいいと思う。 P12 ○当事者の方、利用者の方にも、いろんなそういうことでもめ事があった時は事業所として解決策を見つけながら、みんなで本当に仲良くやっていけるように、できるように努力している。みんなが努力をすれば、そんなに条例の中にこれを加えなきゃいけないって、そんなにしなくてもいいのではないかなと思う。 A第3号 ○「医療的ケア児等支援法」が2021年9月に施行されたことを踏まえ、療育や保育、教育を受ける権利を確保する必要がある。 ○アの教育等の拒否、制限、条件を付すことを禁ずるだけでなく、受けられるようにするための支援を積極的に講じるべき。 C第6号 ○障害者権利条約第21条や障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法にかかわるので、この趣旨内容を何らかの形で条例に反映していく必要がある。 ○情報の取得及び利用並びに意思疎通の分野において、障害者がどういうコミュニケーション手段を利用して意思疎通をし、情報を取得するかというのは、その人の障害と一体不可分だと思う。 ○「他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるとき」や「選択した意思疎通の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障があるとき」については、何を具体的に想定しているのか分からないし、逆に委縮効果を生むので削除してほしい。 ○客観的・合理的な理由が明らかにない場合には、最大限障害者の方が情報の取得・利用ができるので、例外的に障害にかかわる方が情報を取得する時にそういったことがあるのではないかというよりは、そこの範囲まではぎりぎりまで取得ができるということを表している。 D第8号 ○パラリンピックのようにスポーツや文化芸術活動は個性や能力を発揮し活躍できる分野であり、その機会を奪わないために、この分野における不当な差別的取扱いの禁止を記載すべき。 P13 8 第8条(合理的配慮の提供) 第8条 市《及び事業者》は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 (1) 考え方 事業者による合理的配慮の提供について、法改正や委員意見を踏まえ、努力義務から義務に改めました。 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について、義務や努力義務を課すべきといった意見がありましたが、内閣府が作成した法のQ&Aにおいては、「『合理的配慮』とは、社会的障壁の除去を必要としている障害者が現に存在する場合における個別の対応として求められるものであり、配慮を求められる相手方から見て、当該者が障害者なのか、配慮を必要としているか否かが分からない場合についてまで、具体的に配慮を義務付けることが困難なためである。」などとされていることを踏まえ、規定しませんでした。 建設的対話について本条や第2条(定義)に定義を規定するとともに、合理的配慮の提供に当たっての義務として規定すべきといった意見がありましたが、当該規定を追加すると、建設的対話をしていないことをもって、第8条違反になる恐れがあること、建設的対話とは、合理的配慮の提供に当たって、障害者と事業者等が対話を重ね、共に解決策を検討していくという双方のやり取りをいうとされ、合理的配慮の提供にあわせて行われるものであり、内閣府の資料では、建設的対話を一方的に拒否する場合は、合理的配慮の提供義務違反になる可能性があるとされ、建設的対話を義務や努力義務にすると、合理的配慮の提供義務違反と重複する可能性があるため、規定しませんでした。 市及び事業者が不当な差別的取扱いに該当しない正当な理由があると判断する場合や、合理的配慮の不提供に該当しない過重な負担になると判断する場合には、障害者にその内容を説明し、「理解を得るよう努めるものとする」旨の規定を追加すべきとの意見がありましたが、法においても具体的な規定はなく、基本方針では、合理的配慮の不提供に当たり、行政機関や事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、「理解を得るよう努めることが望ましい」とされていることを踏まえ、規定しませんでした。 (2) 主な委員意見 ○障害者差別解消法の改正により、事業者による合理的配慮の提供について、法的義務とされたため、条例も義務にすべき。 ○全て条例で一律に律したいとか規制するとかではなく、あくまでも共生社会の一環であり、啓発や対話が前提である。垣根がない対話がないと、絶対に啓発も進まない。それを前提として、そういったレアなケースがあった場合には条例としてもお目こぼしがなく取り上げていただきたい。 ○事業所の立場では、どういったレベルが合理的配慮を必要な段階なのかというのが、(作業者注:ここからP14)やはり個人個人で恐らく違うと思う。そこを統一見解でこの場合はこうしてくださいという条例というのは難しいのではないかと思うし、その条例を皆さんに知っていただきたいという立場としても、こういう場合はこういうふうにしてくださいという説明が難しいのではないかと思う。 P14 ○障害者の中には自分の意思も発言も表明できない人が、われわれが想像している分野とか領域以上におられると思う。そういう方の意思を、表現は悪いが拾い上げる、救い上げるためにも、建設的対話の働きかけをやってほしい。 ○「正当な理由」「合理的配慮の提供ができない過重な負担」がある場合には、建設的な対話のもとで相互理解が必要と思われるため。 〇市民についても、差別の解消を推進していくために、合理的配慮を努力義務とすべきである。 P15 9 第9条(啓発活動等) 第9条 市は、事業者及び市民が《多様な障害のある人の状況を理解し、》障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために《計画的に》必要な啓発活動を行うとともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう、事業者に対し、情報の提供を行うものとする。 2 市長は、《職員が多様な障害のある人の状況を理解し、》職員に対し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるため《計画的に》研修の機会を確保するものとする。 (1) 考え方 委員意見に基づき、「多様な障害のある人の状況を理解し」「計画的に」という規定を追加しました。 第9条第1項について、必要な啓発活動に加え、教育や社会教育の追加に関する意見がありましたが、教育や社会教育については、啓発活動の一環として教育と連携した取組みは重要であるものの、「市は、事業者及び市民が(略)障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために(略)教育を行う」となり、事業者に対して教育を行うとなること、社会教育については、市の取組みとして出前講座を実施するとともに、各区では、「障害等に対する理解」を深めるため、その他の人権課題などの取組みと同様に、地域とともに取り組んでおり、啓発活動に含まれるため、規定しませんでした。 また、事業者に対し、合理的配慮の提供のための補助金など、財政的な支援を行うなどといった趣旨で「必要な支援」といった規定を追加するといった意見もありましたが、趣旨は、現行条例の第13条「財政上の措置」の規定に含まれているため、規定しませんでした。 あわせて、「地域や家庭、学校等において、子どもの頃から障害児・者と交流を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、学びあう心を育む場を提供するものとする。」という規定を追加する意見がありましたが、趣旨は、現行条例の第10条「交流の推進」に含まれているため、規定しませんでした。 なお、教育や交流については、委員意見の趣旨を踏まえて逐条解説に記載を行う予定です。 (2) 主な委員意見 ○福岡市のアンケート結果(令和2年度市政に関する意識調査)で7割以上の市民が条例の名前や内容も知らないという現状を考えた時に、「保健福祉総合計画」や「障害福祉計画」などに具体的な数値目標を立てながら計画的に行っていくことは非常に大切かなと思う。 ○差別をなくす風土づくりの教育の必要性を入れていただきたいと思う。これが障害者差別をなくす会で行ったアンケート、さまざまな市民間の差別を含めた差別をなくすスタートになると思っている。 P16 ○地域の中で人権学習や啓発にもかかわっており、子どもたちが学校などでしっかり学んできても、私たち地域や保護者が勉強する機会が少ないため、子どもたちがせっかく学んできたものを伸ばせてないのではないかといつも思っている。 ○地域の中で子どもたちも含め社会に住んでいるわれわれみんなが、触れ合う機会を作る。それは自治協議会やいろんなところの団体関係への活動が生かされていくような社会づくりが大事かなと思う。 〇障害者差別は幼少期から培われた体験や風土に根ざしていて、こどもの頃から地域や社会で障害児者と交流を深め、学びあう心をはぐくむことが必要である。 P17 10 第11条(相談体制の充実) 第11条 市は、第6条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための《人材の育成及び確保のための措置その他の必要な》体制の充実を図るものとする。 2 市は、前項の体制を整備するに当たっては、《障害者の権利擁護の視点を踏まえつつ、》当該体制が次の各号のいずれにも該当するよう考慮するものとする。 (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。 (2) 障害及び障害者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。 (1) 考え方 法改正及び委員意見を踏まえ、第1項に人材の育成及び確保に関する規定を追加しました。 委員意見を踏まえ、第2項に「障害者の権利擁護の視点を踏まえつつ」という規定を追加しました。 第2項第2号に相談を受ける者として「当事者又は家族」を加えるよう委員意見がありましたが、障害を理由とする差別に関する相談体制としては、障害者基幹相談支援センター・障害者110番で受け、個別支援は障害者110番で行うため、修正しませんでした。 第2項に第3号として「相談員は専門知識を高めるため専門研修教育を受けること。」という規定を追加するべきという委員意見がありましたが、新たに第1項に追加する人材の育成及び確保に関する規定に含まれているため、規定しませんでした。また、同じく「障害者差別が障害者の人権を侵すものであることを認識すること。」という規定を追加するよう意見がありましたが、本条には、「第6条の基本理念にのっとり」との規定があり、意見の趣旨は第6条第2号に規定されていることから、追加しませんでした。 (2) 主な委員意見 ○条例施行がなされて3年間の状況を見ると、障害者基幹相談支援センターに相談に来るということが、非常に皆無に近い。地域の中で身近なところで相談が気軽に受けられるような体制づくりをぜひやっていただきたい。とにかく研修を受け、専門性を高めることが本当に必要ではないかと実感している。 ○差別を受けている、差別の相談内容はコーディネーターの気付きが必要なのかなと感じているところであるので、障害者110番にご協力いただきながら内容を検討して、区の基幹センターのコーディネーターの方に計画的に研修を実施していきたいと考えている。 P18 11 第12条(表彰) (表彰) 第12条 市長は、《障害を理由とする差別の解消》に関して功績のあった者に対し、表彰を行うことができる。 (1) 考え方 委員意見を踏まえ、「合理的配慮をすること」から「障害を理由とする差別の解消」に修正しました。 (2) 主な委員意見 ○表彰を合理的配慮に関するのみでなく、障害者差別の解消全般を対象とすることにより、より多くの市民や事業者の参加が見込まれるとともに、差別の解消に向けての機運・取組みが推進される。 P19 12 第14条(相談) 第14条 障害者及びその家族その他の関係者又は事業者は、市に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる。 2 市は、前項の規定による相談(以下「個別相談」という。)を受けた場合は、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。 (1) 必要な説明、情報の提供その他の障害を理由とする差別を解消するために必要な支援 (2) 個別相談に係る事案の関係者間の調整又はあっせん (3) 関係行政機関に対する通告、通報その他の通知 (4) 次条第1項の規定による申出をするために必要な支援 (1) 考え方 第1項に「市は、相談窓口の所在を市民に周知すること」との規定を追加するよう意見がありましたが、既に相談窓口の所在の周知は実施済であるため、追加しませんでした。 (2) 主な委員意見 ○件数が減少している中、「相談窓口の周知には努力すること」との文言を入れるべきである。 P20 13 第15条(市長への申出) 第15条 個別相談をした障害者及びその家族その他の関係者は、前条第2項の対応により解決が図られない事案について、市長に対し、必要な措置を講じ、又は指導若しくは助言をするよう申出をすることができる。ただし、当該申出をすることが当該障害者の意思に反することが明らかであるときは、当該障害者の家族その他の関係者は、当該申出をすることができない。 (1) 考え方 第3章に「何人も障害を理由とした差別をしてはならない」などの規定の追加に伴い、市民には第18条や第19条に規定する勧告や公表を行わないよう、第15条の除外規定に「一般私人間の事案を除く」を追加するよう意見がありました。 これまで、市では、一般私人間の事案に関しては、原則として私人間の話し合いで解決するのが望ましいと考えられるため、第14条第2項第2号に規定する「個別相談に係る事案の関係者間の調整又はあっせん(以下「調整・あっせん」といいます。)」第15条に規定する「市長への申出」、第16条に規定する「指導・助言」の対象とはならないとしていました(逐条解説)。 委員案では、実体規定に追加することにより啓発に資するという意見や、一般私人間の事案について、市が調整・あっせんを実施することとされていましたが、一般私人間の事案については、法のQ&Aなどを踏まえると、原則として私人間の話し合いで解決するのが望ましいと考えることから、市としては調整・あっせんを行わないため、規定の追加はしませんでした。 (2) 主な委員意見 ○勧告・公表といった罰則的なことはなくても相談として取り扱ってあっせん・調整をしていただきたい。 ○私人間の事案について、市は何もしないということでしょうか。 P21 14 第17条(審査会への諮問) 第17条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7条又は第8条の規定に違反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 (1) 考え方 事業者による合理的配慮を努力義務から義務に改正することに伴い、審査会への諮問の対象となる事由に第8条の規定に違反した場合を加えました。 対象者に、国、地方公共団体、福岡市を加えるよう委員より意見がありました。 市については、「第16条の必要な措置を講じた段階で解決することが当然(逐条解説)」と考えているため、規定していません。国、地方公共団体が相手方である事案が福岡市内で発生した場合は、当該相手方が対応すべきものであるため、国、地方公共団体について規定していません。 (2) 主な委員意見 ○国であっても県であっても、例えば北九州市であっても筑紫野市であっても、かかわりが必要であれば福岡市民はかかわってくるという生活の実態がある。 ○たらい回しになって、うやむやになって、県と国だからあとは対応できませんという感じがよくある。自分としては、条例でもそういった事案の対象としては入れてほしい。 P22 15 第22条(組織及び委員) 第22条 推進会議は、委員30人以内をもって組織する。 2 委員は、障害者並びに福祉、医療、教育、雇用その他障害者の権利の擁護について優れた識見及び実務経験を有する者及び公募で応募した者のうちから、市長が任命する。 3 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。 (1) 考え方 委員意見を踏まえ、委員の任命について公募を行う規定を追加しました。 委員の任命に当たり「障害の状況の多様性に配慮することに留意し」という文言を追加するよう意見がありましたが、条例施行規則第8条では、委員の構成について「障害を理由とする差別の解消に関する多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮するものとする。」と規定しているため、規定しませんでした。 (2) 主な委員意見 ○「障害の状況の多様性に配慮することに留意し」ということで付け加えたのは、基本的に社会は多様な人間で構成されているということで、その社会の中で差別が起きている。そのためにさまざまな人が関われる窓口を実現できる手段として、公募を考える必要があるのではないか。 P23 16 第23条(部会) 第23条 《推進会議に、次に掲げる事務を行わせるため、相談部会を置く。 (1) 第14条第2項の個別相談及び相談部会に属する委員が所属する機関が対応した障害を理由とする差別に関する相談について、問題解決に向けて分析及び助言(次号に規定する事項を除く)を行うこと。 (2) 第21条第1項第2号及び第3号に関する事項 (3) 第11条第1項の体制及び障害を理由とする差別に関する相談に係る対応のあり方を検討すること。 (4) 前3号に掲げるもののほか、障害を理由とする差別に関する相談に係る事項について検討すること。》 《2》 推進会議は、必要に応じて、《その他の》部会を置くことができる。 (1) 考え方 相談部会は、現行条例では、福岡市障害者差別解消推進会議運営要領(以下「運営要領」といいます。)を基に設置していますが、委員意見を踏まえ、条例に規定します。 (2) 主な委員意見 ○第16条を見ると、これは指導助言をするかしないかの意見を聞くのは推進会議となっているが、実質この業務が相談部会の役割になっている。 こういった重要な役割を条例に相談部会という名称を位置付けて、なおかつこの業務について位置付けるべき。