資料1 協議シート 1ページ〜2ページ 1 第6条への新規追加について (1) 条文 たたき台 (規定なし) 調整案 (規定なし) (2) 委員意見 資料2 P1のとおり (3) これまでの議論について ・委員案(障害があることによる差別をしない人間の形成のための教育、療育及び保育の重要性に鑑み、障害のある人と障害のない人が共に生き、共に育ちあう社会を実現するため、可能な限り同じ場所で教育、保育及び療育を実施するよう努めるものとする。)について、国の方針等を考慮し、たたき台へは追加しませんでした(令和4年度第7回推進会議)。 ・第7回会議の後、委員案が提示されました(インクルーシブ教育及び共生社会実現のために、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に教育、保育及び療育をうけられること、及び多様な学びの場の選択も含め条件整備に努めるものとする。)(令和4年度第8回推進会議)。 (4) 調整案の考え方 ・文科省によると「インクルーシブ教育システム」については、「共生社会の形成に向けて、障害者権利条約に基づくインクルーシブ教育システムの理念が重要であり、その構築のため、特別支援教育を着実に進めていく必要があると考える。」また、「インクルーシブ教育システムの構築については、諸外国においても、それぞれの課題を抱えながら、制度設計の努力をしているという実情がある。各国とも、インクルーシブ教育システムの構築の理念に基づきながら、漸進的に対応してきており、日本も同様である」(いずれも文部科学省HP:「特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告」より抜粋)とされています。 ・上記を踏まえると、委員案(令和4年度第8回推進会議)は、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」報告を基に提案されていると考えられますが、今後、国においてインクルーシブ教育システムの理念に基づき漸進的に対応がなされる中で、委員案を条例に規定すると、国の方針と条例の規定について、将来的に齟齬が生じる可能性があると考えます。 ・委員案のうち、「条件整備に努める」という文言は、義務を課しているようになっており、理念規定にはそぐわないものと考えています。 ・療育については、国の報告書(児童発達支援ガイドライン)では「障害児支援の専門機関である児童発達支援センター等の役割は後方支援」であるとされていること、また、教育・保育がすべての子どもを対象とするものである一方、療育は発達支援が必要な子どもに対する特別な支援であって同列ではないこと、仮に「療育」を規定した場合には「障害のない子ども」が「療育(障害児支援)を受けられる」となることから、規定できないと考えます。 3ページ 2 第3章に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」規定を追加することについて (1) 条文 たたき台 (規定なし) 調整案 (規定なし) (2) 委員意見 資料2 P2〜P5のとおり (3) これまでの議論について ・事務局より、障害者差別解消法成立後に制定された政令市の条例及び福岡県条例では、「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」という趣旨の規定が基本理念と実体規定の両方に規定されている条例はない旨説明しました(令和4年度第7回推進会議)。 ・事務局より、一般私人間の事案については逐条解説に記載の通り、私人間の話し合いで解決するのが望ましいと考えていること、市としては一般私人間の事案に関する「調整・あっせん」を行わず、啓発は現行条例でも基本理念に基づき行っていることから、委員提案は理念的な規定であると考えられ、基本理念(第6条第2号)と重複することになるため、第3章には規定していない旨説明しました(令和5年度第1回推進会議)。 (4) 調整案の考え方 ・第3章に規定を追加することについては、既に第6条第2号に「何人も障害を理由とした差別により障害者の権利利益を侵害してはならないこと」という規定があり、第3章に追加したとしても、その効果は第6条第2号と変わらないと考えるため、規定していません。 4ページ〜5ページ 3 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について (1) 条文 たたき台 第8条 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 削除 調整案 第8条 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 (2) 委員意見 資料2 P6〜P9のとおり (3) これまでの議論について ・事務局より、内閣府が作成した法のQ&Aにおいては、「『合理的配慮』とは、社会的障壁の除去を必要としている障害者が現に存在する場合における個別の対応として求められるものであり、配慮を求められる相手方から見て、当該者が障害者なのか、配慮を必要としているか否かが分からない場合についてまで、具体的に配慮を義務付けることが困難なためである。」などとされていることから、意思の表明がない場合は、具体的に条例で合理的配慮の提供を義務(あるいは努力義務)付け、勧告、公表などの対応を行うことは困難と考えられる旨説明しました(令和5年度第1回推進会議)。 ・意思表示がない場合の合理的配慮の提供について、事業者に対し、この場合はこうしてほしいという説明が難しいという意見がありました(令和5年度第1回推進会議)。 ・意思表示が困難な人がいるということを条例でもどこかで確認するという意味でも、合理的配慮の提供について努力義務までは求めないが、条例には、内閣府の基本方針に記載された内容を踏まえた趣旨の文言を追記していただきたいとの意見がありました(令和5年第1回推進会議)。 (4) 調整案の考え方 ・仮に、内閣府の基本方針の文言「当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。」という文言を踏まえ条例に規定する場合、「適切と思われる配慮」とは何を指すのか、明確にする必要があります。 ・平成28年度に開催された条例制定検討会議でも同様の議論があり、事務局から、適切と思われる配慮について、「この場合の配慮とは具体的にどのような意味なのでしょうか(文字どおりの意味であれば、「心くばり」や「気遣い」という意味になりますが、合理的配慮の定義にはそのような意味は含まれていません)。」、「仮に「配慮」が文字どおりの意味だとして、合理的配慮が具体的な行動としての「現状の変更又は調整」を意味するのに対し、「心くばり」や「気遣い」という、具体的な行動を伴うものかどうかやや曖昧な概念を義務付けることが妥当なのでしょうか。」といった説明がなされ、結果として条例には規定されなかった経緯があります。 ・上記を踏まえ、調整案には意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供の規定や、「適切な配慮」という用語を用いた規定をしていません。 ・逐条解説には「障害者等からの意思の表明がない場合でも、障害者の様子などから社会的障壁の除去が必要と考えられる場合には、自主的に適切な配慮を行うことが望ましいと考えられます。」と記載しており、今後とも、啓発は必要と考えています。