資料2 1ページ 1 第6条第7号について (1) 条文 たたき台 第6条 略 (1)〜(6) 略 (7) すべての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに、障害者に対しては、コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (8)〜(9) 略 調整案 第6条 略 (1)〜(6) 略 (7) すべての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報(高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用によって得られる情報を含む。以下この条及び第7条において同じ。)の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利並びに情報を取得し、利用し円滑に意思疎通を図ることができる権利を有するとともに、障害者に対しては、情報の取得、利用、コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (8)〜(9) 略 (2) 委員意見 資料3 P11、P17 (3) 調整案の考え方 ・前回会議で障害者の権利の主体性に関するご意見をいただきましたが、現行条例の「情報(略)の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利」に加えて、新たに「情報を取得し、利用し円滑に意思疎通を図ることができる権利」を規定しており、障害者の主体性は確保された内容になっているものと考えています。 ・委員案(資料3:P11)では「障害者に対しては、情報の取得、利用、コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。」という内容について規定がなく、障害のない人も障害のある人も、障害者に対して情報の取得利用などの機会を保障する必要があるのではないかと考えており、調整案のとおりとしています。 ・コミュニケーション手段については、全てが網羅できるものではないため、調整案の「その他の意思疎通のための手段」になると考えます。手話については、手話言語とされており、言語に含まれるという意味で「言語(手話を含む)」と表記しているものです。 ・「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」において、「情報アクセシビリティ」は「情報の取得及び利用」の略称として用いられており、調整案のとおりとしています。 ・コミュニケーション手段や情報アクセシビリティなど、ご意見の趣旨は逐条解説に記載することは可能です。 2ページ 2 第6条への新規追加について 各局照会中につき、継続審議 3ページ 3 第3章に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」規定を追加することについて (1) 条文 たたき台 (規定なし) 調整案 (規定なし) (2) 委員意見 資料3 P1、P3、P4、P5、P8 (3) 調整案の考え方 @一般私人間の調整・あっせんについて ・今回、委員案では第15条に一般私人間の事案について除外規定が追加されていますが、第14条第2項第2号に規定する調整・あっせん(以下「調整・あっせん」といいます。)には除外規定がないことから、一般私人間の事案について調整・あっせんを行うものとなっています。 ・現行条例では、一般私人間の事案について、調整・あっせんを行っていません(逐条解説において、一般私人間(隣人関係、家族関係など)の事案について、「原則として私人間の話し合いで解決するのが望ましいと考えられる」ためと記載しています。)。 ・内閣府が作成した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 Q&A集」においては、「事業者でない一般私人の行為や個人の思想、言論については、法により規制することは不適当と考えられることから対象としていない。」とされ、また、障害者基本法改正(第4条の差別の禁止)の際の国会(第177国会 参議院 内閣委員会 第14号 平成23年7月28日)において、「この法律の改正自体は障害者ではない方々の個人の権利を制約をするという趣旨ではない」「憲法19条で言う思想、良心の自由というのは、いかなる思想を抱こうとも、これは内心の領域にとどまる限りは絶対の自由という、そういう形のものでございますので、そこに国家権力が介入をするということはあってはならない」との大臣発言がありました。また、条例制定検討会議では、民法・刑法などの一般法以上に行動を制約することについて、他の法令とのバランスを欠くとの考えもあったところです(参考資料1)。 ・市としては、一般私人間の事案については逐条解説に記載の通り、私人間の話し合いで解決するのが望ましいと考えていることから、調整又はあっせんを行いません。 ・なお、福岡県条例では、「何人も」と規定していますが、個別相談があった場合、行政機関や事業者が相手方の事案も含め、相談者からの情報をもとに情報提供などの対応は行っていますが、市と同様の行政機関、事業者も含め市と同様の「調整・あっせん」は行っていません。 A規定の重複について ・前述の通り、市としては一般私人間の事案に関する「調整・あっせん」を行わず、啓発は現行条例でも基本理念に基づき行っていることから、委員提案は理念的な規定であるものと考えられます。 ・基本理念(第6条第2号)と委員提案の実体規定は重複することになるため、規定を追加することはできないものと考えます。 ・なお、第6条第1号の修正については、第6条第2号がそのまま規定されており、追加する必要はないものと考えます。 4ページ 4 第7条第6号の規定について (1) 条文 たたき台 第7条 略 (1)〜(5) 略 (6) 情報の提供及び意思表示の受領の分野における次に掲げる取扱い ア 障害者から情報の提供を求められた場合において、当該情報の提供により他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該情報の提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 障害者が意思を表示する場合において、その選択した意思表示の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障があるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該意思表示の受領を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 (7)〜(8) 略 調整案 第7条 略 (1)〜(5) 略 (6) 情報の取得及び利用並びに意思疎通の分野における次に掲げる取扱い ア 障害者が情報の取得及び利用を行う場合において、当該情報の取得及び利用により他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該情報の取得及び利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 イ 障害者が意思疎通を行う場合において、その選択した意思疎通の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障があるときその他の客観的に合理的な理由があるときを除き、障害を理由として、当該意思疎通を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を付すること。 (7)〜(8) 略 (2) 委員意見 資料3 P12 (3) 調整案の考え方 ・委員意見は、いわゆる間接差別(例:車いすの障害者に対し、障害を理由とはしないが、車いすの利用を理由として、入店拒否などを行うこと)に関連するものと考えられますが、国の基本方針の改定に係る議論(第70回障害者政策委員会)の中で、「何が差別に該当するか事前に予測がつかないものを差別の概念に含めることについては、事業活動を委縮させることから適切ではない。また、実効性のある法規範とするには何が禁止されるものかを明確にすべき」といった意見などがあり、結果として差別の定義には間接差別が規定されていないことを踏まえ、案の通りとしています。 ・ただし、基本方針では、不当な差別的取扱いの説明の中で、「車いす、補助犬その他の支援機器等(略)等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。」と規定されており、逐条解説に基本方針と同様の趣旨の記載を行います。 5ページ ・また、「他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められるとき」の規定については、障害者権利条約の定義における「他の者との平等を基礎として」と同じ趣旨であると考えることから、案の通りとしています。 【参考】障害者権利条約(抜粋) 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。 6ページ 5 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について (1) 条文 たたき台 第8条 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 削除 調整案 第8条 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 (2) 委員意見 資料3 P1、P3、P6、P14 (3) 調整案の考え方 ・実体規定の追加については3で整理したとおりであり、案には規定していません。 ・内閣府が作成した法のQ&Aにおいては、「『合理的配慮』とは、社会的障壁の除去を必要としている障害者が現に存在する場合における個別の対応として求められるものであり、配慮を求められる相手方から見て、当該者が障害者なのか、配慮を必要としているか否かが分からない場合についてまで、具体的に配慮を義務付けることが困難なためである。」などとされています。また、逐条解説においても、同様の記載があります。 ・上記を踏まえると、意思の表明がない場合は、具体的に条例で合理的配慮の提供を義務(あるいは努力義務)付け、勧告、公表などの対応を行うことは困難と考えられるため、調整案には規定していません。なお、条例検討会議報告書(参考資料1)においても、同様の記載があります。 ・建設的対話については、調整案として一旦提示したものの、委員意見では義務規定となっており、当該規定を追加すると、建設的対話をしていないことをもって、第8条違反になる恐れがあります。 ・建設的対話は、合理的配慮の提供に当って非常に重要なものと考えていますが、合理的配慮の提供に当たって、障害者と事業者等が対話を重ね、共に解決策を検討していくという双方のやり取りをいうとされ(参考資料2:P6)、合理的配慮の提供にあわせて行われるものです。 ・建設的対話を一方的に拒否する場合は、合理的配慮の提供義務違反になる可能性があるとされているように(参考資料2:P4)、建設的対話を義務や努力義務にすると、合理的配慮の提供義務違反と重複する可能性があるため、調整案には規定していません。 ・ただし、建設的対話の考え方については、逐条解説に基本方針を踏まえた記載を行うなど、これまで以上に啓発を行う必要があると考えています。 7ページ 6 第9条第1項への規定の追加について (1) 条文 たたき台 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために計画的に必要な啓発活動を行うとともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう、事業者に対し、情報の提供を行うものとする。 調整案 調整案 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために計画的に必要な啓発活動を行うとともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう、事業者に対し、情報の提供を行うものとする。 (2) 委員意見 資料3 P4、P15 (3) 調整案の考え方 ・教育については、前回会議でも説明したように、本条は啓発活動に関する規定であり、教育は既に学習指導要領に基づき取り組まれているため、規定していません。 ・ただし、今後とも推進会議の意見を聴きながら、啓発活動として教育と連携した取組みを行っていきます。 ・社会教育の推進については、各区では、「障害等に対する理解」を深めるため、その他の人権課題などの取組みと同様に、地域とともに取り組んでいます。また、福祉局では、啓発活動として、(市民)団体や企業を対象に出前講座を実施しており、現在の啓発活動には、社会教育的な面も有していると考えていることから、規定していません。 ・その他必要な支援については、本条は啓発活動に関する規定であり、啓発活動、情報提供以外に具体的に何か想定されるのかが不明なため、規定していません。 ・交流については、前回会議でも説明したように、第10条で交流について規定しているため、本条には規定していません。 ・ただし、逐条解説には、これらのご意見の趣旨を踏まえた記載をすることは可能と考えています。 8ページ 7 第17条への規定の追加について (1) 条文 たたき台 (審査会への諮問) 第17条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7条又は第8条の規定に違反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 調整案 (審査会への諮問) 第17条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7条又は第8条の規定に違反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 (2) 委員意見 資料3 P9 (3) 調整案の考え方 ・市については、現行条例においても、市は「『第16条の必要な措置を講じ』た段階で解決することが当然と考えられるため(逐条解説)」諮問の対象にしておらず、変更の必要はないと考えているため、規定していません。 ・福岡市内であっても、福岡市外(市外の事務所やイベント開催など)であっても、差別事案が発生した場合は、当然に福岡市が対応すると考えられ、同様の考え方に基づくと、国や他の地方公共団体が相手方である事案が福岡市内で発生した場合は、当該相手方が対応すべきものであるため、国、地方公共団体について規定していません。