たたき台に係る委員意見 ・清成委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 ・友廣委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2 ・中原委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P5 ・松田委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P7 ・馬男木委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P8 ・向井委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10 ・吉住委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13 P1 委員氏名 清成 厚美 委員 改正が必要と考える条文 第9条第1項 改正案 個人としての意見です。 第4章 第1節 第9条第1項に追加。 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障がいのある人の状況を理解し、障がい、障がい者及び障がいを理由とする差別の解消に対する理解を深めるために計画的に必要な啓発活動を行うとともに、事業者が障がいを理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう、事業者に対し、情報の提供を行うものとする。又、地域や家庭、学校等において、子どもの頃から障がい児・者と交流を深め、障がいの有無にかかわらず共に助け合い、学びあう心を育む場を提供するものとする。 理由 学校で差別についての学習があっても、地域や家庭が子ども達の成長を止めている。学ぶ場を提供するという事は、地域や家庭も共に理解を深める場を作るという事ではないかと思います。 改正が必要と考える条文 第3章 改正案 「何人も障がいを理由とする差別を行ってはならない」は追加しなくていいと思います。 理由 基本理念(2)にきちんと書かれていることでいいと思います。私たち市民一人ひとりの意識の持ち方ではありますが、丁寧にすすめていくことが大切だと思います。私たち障がい者の団体が地域にどんどん入っていって、理解を深めていただく機会を作っていきたいと思っています。 P2 委員ご氏名 友廣道雄 委員 改正が必要と考える条文 第6条9号に追記、現行9号は10号とする。 改正案 (9)インクルーシブ教育及び共生社会実現のために、障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限り共に教育、保育及び療育を受けられること、及び多様な学びの場の選択も含め条件整備に努めるものとする。 理由 「障害者権利委員会からの日本政府へ勧告(2022 年9月)」において、分離された特別な教育をやめる目的で〜障害のある子どもがインクルーシブ教育を受ける権利を認識すること。「文部科学省の新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告(2020年1 月)」で、インクルーシブ教育において、障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限り同じ場で共に学ぶことを追求することが明記されている。条例をつくる会、差別をなくす会が把握した教育、保育、療育の領域において多くの差別事例が寄せられている。 改正が必要と考える条文 協議事項2 第9 条第9条第1項 改正案 第9条 市は,事業者及び市民の,障がい,障がい者及び障がいを理由とする差別の解消に対する理解を深めるために、必要な教育・啓発活動を行うとともに,事業者が障がいを理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう,事業者に対し,情報の提供を行うものとする。 理由 障がい者差別の多くが、幼少期からの誤った障がい者観や無知によって培われた風土に根ざしており、子どもの頃から正しい障がい者に対する教育が必要である。また大人を対象とした社会教育的視点も必要である。 P3 改正が必要と考える条文 協議事項4 新規 改正案 第3章 障害を理由とする差別の禁止 第7条 何人も障がいを理由とする差別をしてはならない。(現行7条は8条とし、以下条文を繰り下げる。)第15条 個別相談をした障害者及びその家族その他の関係者は,前条第2項の対応により解決が図られない事案について,市長に対し,必要な措置を講じ,又は指導若しくは助言をするよう申出をすることができる。ただし,当該申出は私人間の事案及び、当該申出をすることが当該障害者の意思に反することが明らかであるときは,当該障害者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。(下線部分追記) 理由 障がい者110 番、条例を作る会、差別をなくす会の事例においても、地域住民や公共交通機関利用者、親族など市民間の差別事例が多くあり、市民であっても、不当な差別的取り扱いはしてはならない。できる合理的配慮は自然に行う。という市民も含む社会的慣行を醸成し、差別の解消を促進するために、市民についても罰則を伴わない実体規定として謳うべきである。 改正が必要と考える条文 協議事項6 改正案 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。なお、障害のある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって、意思の表明がない場合においても、そのことを認識し得る場合においては、合理的配慮の提供に努めるものとする。 理由 合理的配慮は、当事者の意思の表明がなされることが前提であるが、家族や支援者等の介助者不在時に、心身の機能やその時の状況や環境下で、自らの意思の表明がしたくてもできない人がいる。周囲が明らかにその状況を認識できる場合には、合理的配慮の提供がなされるべきである。ただ、関わる人がその認識ができるかどうかは、障がい理解や置かれた状況によって一概には決められず建設的対話と事例、意思決定支援の理解などを積み上げ、啓発や働きかけを行うことをめざすべきである。 P4 ※質問 第15 条の市長への申出、16条の指導または助言の対象に、福岡市、福岡県、国等の行政機関も含まれるでしょうか。 P5 委員ご氏名 中原 義隆 委員 改正が必要と考える条文 第11条 改正案 第11 条 市は、第6条の基本理念にのっとり、障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるための人材の育成及び確保のための措置その他の必要な体制の充実を図るものとする。2 市は、前項の体制を整備するに当たっては、障がい者の権利擁護の視点を踏まえつつ、当該体制が次の各号のいずれにも該当するよう考慮するものとする。(1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。(2) 障がい及び障がい者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。(3) 相談員は専門知識を高めるため専門研修教育を受けること。 理由 ・障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるための体制の充実を図る。となっていてその為、(1)身近に相談窓口があること。(2)障がい及び障がい者に関し専門的知識を有する者が相談をうけること。となっているが身近にある相談窓口は市内の14か所にある(基幹相談支援センター)の窓口である。ここの相談員の方たちには、障がい及び障がい者差別解消条例等に関する専門的知識を高めるための研修教育をうけていただくために、(3)に新規追加を明記してください。・実効性のある条例になるため。・3年間の運用のなかで殆ど相談事例件数がない。・相談員の方たちの話では、障がいについては難しくて殆ど知らない。 P6 理由(続き)・差別のことも良くわからない。・職員の増員をしてある(20数人の増員がありなおのこと研修教育を)。・条例の条文に明記してないと時間の経過や職員の異動、交代などで研修がおざなりになることも生じかねない(明記し義務付けが必要)。 P7 委員氏名 松田 慶子 委員 改正が必要と考える条文 第8条(たたき台より)市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 改正案 第8条 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。特に福祉関係者などは積極的に意思決定支援を行い、適切な配慮を求める必要がある。 理由 条文にいれていただきたい。発達障がい者や知的障がい者、精神障がい者は、移行支援事業所やA型B型、基幹相談支援センターなどで多く福祉関係者に関わってもらっています。そんな中、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、又は、意思の表明がなくとも、障がい者の様子から社会的障壁の除去が必要と考えられる場合には、福祉関係者などは、代弁者となっていただき、積極的に意思決定支援をおこない、適切な配慮を求める必要があると思います。 P8 委員ご氏名 馬男木 幸子 委員 改正が必要と考える条文 協議事項2 について 改正案 ・第6条(4)条文は改正しない。・逐条解説に次の一文を追記する。家庭、学校を始めとする社会のあらゆる場面において、子どもの頃から障がいに関する知識や理解を深め、障がいの有無にかかわらず共に助け合い、学び合う心をはぐくむことは、障がいを理由とする差別をなくすために重要です。 理由 第7回会議でも同様の発言をしましたが、「逐条解説に」という点を改めてお伝えしたく、意見を提出させていただきます。 改正が必要と考える条文 協議事項4 について 改正案 ・第7条の第1項に、福岡県条例第8条第1項の規定を参考に以下の条文を追記する。第7条 すべての人は、障がいのある人に対し、あらゆる場面において、不当な差別的取扱いを行ってはならない。2 市(市が設立した地方独立行政法人を含む。次条第1項及び第21 条第3号において同じ。)及び事業者は,その事務又は事業を行うに当たり,次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより,障がい者の権利利益を侵害してはならない。 理由 ・第5条市民の役割、第6条基本理念、第7条実体規定に、「市」「事業者」「市民」について規定することは、差別解消に重要だと思う。「市民=障がいがない人」ではなく、障がいがある人も含めた「市民=すべての人」とし、障がいの有無にかかわらずみんなで差別解消に取り組むことを明記してはどうかと考える。 P9 改正が必要と考える条文 協議事項5  改正案 ・第7条(6)情報の提供及び意思疎通の分野における次の取扱い イ 障害者が(略)障害を理由として、当該意思疎通を図ることを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件の付すること。 理由 ・現行条文でもしっかり規定はされていると思うが、吉住委員の意見を聞いて「意思表示の受領」と「受ける」に限定されているように感じた。情報の提供、意思表示の受領だけでなく双方でのコミュニケーションのやりとりが行われると思うので、「意思疎通」の方が適切な表現と考える。 改正が必要と考える条文 協議事項6 改正案 ・第8条改正案「又はそのことが客観的に認識しうる場合」は削除する。 理由 ・逐条解説P18 に、「意思の表明を要件としているのは、具体的に誰がどのような社会的障壁の除去を必要としているかはっきりしない場合にまで、条例で合理的配慮を義務づけることは困難と考えられる」とあり、改正により市に加え事業者の義務になることを踏まえると、同じ事象においても「客観的認識」は人によって異なると思われるため、条文に入れることは控えた方がよいと考える。もちろん表明がない場合でも自主的に適切な配慮を行うことが望ましいため、逐条解説には記載その旨記載する。 P10 委員ご氏名 向井公太 委員 改正が必要と考える条文 (審査会への諮問)第17条 改正案 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7条又は第8条の規程に違反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた国、福岡県、福岡市又は事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障がい者差別解消審査会に諮問することができる。 理由 第1 条は条例の目的を定めるものであり、一方、差別事案を起こす可能性は事業者だけでなく、各々職員対応要領を定めることとなっていることからも分かるように国、福岡県、福岡市にもあるので、改正案のとおり定める必要がある。  改正が必要と考える条文 協議事項4(何人も) 改正案 別紙(P12)のとおり 理由 現行条例では、市及び事業者とは異なり、市民社会を構成する大きな要素である市民が障がいによる差別を行っていない対象から抜け落ちている。市民の7割以上が条例の存在そのものを知らない異常な現状を改善するための啓発活動のためにも条例に明記する必要がある。 P10からP11 改正が必要と考える条文 協議事項6(合理的配慮) 改正案 市及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。なお、障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって、そのことを認識し得る場合においては、合理的配慮の提供に努めるものとする。 理由 条例の性格は障がいのある人もない人も共に生きるまちである共生社会を目指す条例であり、そのことを考えれば、自らの意思表明ができない人に対する建設的対話のはたらきかけを行うことを目指すべきである。さもなければ、自らの意思表明が困難な障がい者の存在を否定することに繋がる。また、合理的配慮について、具体的判断基準を追求することは合理的配慮の否定に通じるものである。事例 車椅子を利用している方が、高いところにある商品を取ることができずに困っている場合で、意思の表明はないが、周囲の人が何らかの配慮が必要なことを認識できる状況をいう。(新潟市条例逐条解説)  P12 別紙 改正が必要と考える条文 第6条2号 改正案 (2)すべて障がいのある人は、障がいを理由とする差別を受けない権利を有する。    改正が必要と考える条文 (規定なし) 改正案 第3 章障がいを理由とする差別の禁止 (新規) 何人も障がいを理由とする差別をしてはならない。    改正が必要と考える条文 第14条2項2号 (2)個別相談(私人間での事案を除く。以下同じ)に係る事案の関係者間の調整又はあっせん     P13 福岡市障がい者差別解消条例改正に係る意見について 第8回会議に向けての意見書 委員氏名 吉住 寛之 2023年2月6日月曜日 下記8項目について取り急ぎ意見を述べます。 1月24日に第7回会議が開催されて、2月6日までが期限の意見書提出のため、十分な時間が取れず、誤字脱字、漢字変換のミス、稚拙な表現、説明の過不足等多々あるかと思います。その点はどうぞご容赦ください。 1 条例の対象範囲 2 差別概念の定義 3 情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障 4 障碍者との交流 5 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供 6 合理的配慮の促進 7 災害時の障害者支援 8 啓発活動等 P14 1 条令の対象範囲 ◆第3 回会議での吉住意見 1 改正が必要と考える条文 第2条第1号 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的、断続的又は周期的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 2 改正の概要 障害者の定義において、過去、未来、推測による障害、家族や関係者も加えるかどうかの検討が必要であると考えます。 3 理由 障害者権利条約一般的意見6号では、障害に基づく差別は、現在障害がある人、過去に障害があった人、将来障害を持つようになる素因がある人、障害があると推定される人に加えて、障害のある人の関係者に対して行われる可能性があるとされています。ハンセン病国家賠償訴訟やハンセン病家族訴訟等の事例でも分かるように、障害に基づく差別は、その時点に留まらず、過去や未来にも渡り、また本人だけではなく、家族や関係者にも取り返しのつかない影響を及ぼします。また、コロナ禍での多くの一般的な差別事案をみても、コロナ罹患者だけでなく、治癒した人、PCR陽性者や濃厚接触者等の推定の人、その家族、医療関係者に及ぶ事例を多数仄聞します。そのため、差別は社会構造上の問題であり、条例の対象範囲について、これまでの3年間の相談実績を踏まえて、今一度条令の対象範囲を検討する必要があると考えます。 ◆第7 回会議での事務局意見 現行と同じ。国の基本方針において同様の議論があり、規定は見送られているため未反映。 <資料> ○第64 回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録より抜粋 ・法の対象範囲を法に定められているものから過去・未来といった形で広げていったり、あるいは差別の概念についても間接差別というように広げていってしまうことは、少なくとも今の時点では、逆に理解を難しくしてしまう面もあるのではないかと思っています。そういう意味では、現時点ではいずれも望ましくないのではと考えています。※上記の意見があり、その後、基本方針の案には具体的な規定がない。 P15 ◆第8 回会議での吉住意見 第3回会議では議論の論点として提示した趣旨であり、条文に盛り込むかどうかは具体的な相談実績やなくす会のアンケート結果を踏まえて、障害者政策委員会と同様の議論をこの推進会議の中でも望むものでした。そこで、第64回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録における下記事例の取り扱いについて事務局のお考えを確認したいと思います。 事例:「特別支援学校に通う医療的ケア児の保護者(母)は、看護師等の配置がされているにもかかわらず、通学時の付添いが必要、服薬時や子供の様子が変わった場合には必ず学校にいかなければならず、仕事を入れることができなくなった」家族等に対する差別として捉えるのではなく、本人に対する不当な差別あるいは合理的配慮の不提供として捉えるお考えでしょうか。なお、第64回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録から抜粋した下記意見があります。 ------------------- ○石川委員長 続きまして、岡田委員、お願いします。 ○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。先ほど佐藤委員の方から、差別の調査についてということで発言を促していただきましたので、少しそのことをお話しさせていただきます。2019 年に当会で精神障害当事者の家族に対する差別や偏見に関する実態把握全国調査というものを行いまして、30.22%の方が、家族が差別を受けた経験があると回答がありました。具体的には、多分これは親の立場だと思うのですけれども、発病の原因を負わされる、あるいは無視される、挨拶をしても返してもらえない、暴言や嫌味を言われるなど、家族に向けられた差別や偏見の事例がたくさん挙がっております。これらは他の親族や地域住民、支援者、行政職員、警察官、商店街の人など、あらゆる立場の人からの偏見に満ちた誤解、育て方や遺伝などは間違った情報なのですけれども、あるいは深刻な社会的排除や差別、例えば結婚が破談になったり、会社を辞めざるを得ない状況になるなどが含まれておりました。特に私が深刻だと感じましたのは、主に障害当事者の兄弟の方だと思うのですけれども、お見合いの相手から、親族に精神障害者がいるのでお付き合いできませんと断られたり、精神障害者の家系の者をこちらの家族に迎えることができないというように、人生に関わる大きな差別を受けている現実が分かりました。このことから、差別に関しては家族への配慮が必要であるという記載があるといいのではないかと考えております。以上です。ありがとうございます。 ------------------- 上記の状況は、なくす会でのアンケート結果からも伺えます。このような事実や問題がある以上、何らかの対応を推進会議でも考えていく必要があると思います。個人的には、逐条解説で、「障害者」の定義において、障害者の家族への配慮にも触れ、「障害者の家族等は社会的障壁により様々な制約を受ける場合があることにも留意する」といった文章を追記するのも一案と考えます。 P16 2 差別概念の定義 ◆第3回会議での吉住意見 1 改正が必要と考える条文 第2条第3号 (3) 障害を理由とする差別 客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別の事情がないにもかかわらず、不当な差別的取扱いを行い、又は合理的配慮をしないことをいう。 2 改正の概要 条令では、差別概念の定義が無く、間接差別、関連差別、ハラスメントについての検討が必要であると考えます。 3 理由 障害者権利条約の差別の概念には、「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限」が差別とされており、間接差別、ハラスメント、交差差別、複合差別及び関連差別が含まれています。また、障害者権利条約一般的意見6号では、差別類型として、@直接差別(関連差別含む)、A間接差別、B合理的配慮の不提供、Cハラスメント、があるとしています。差別の定義・概念を明確化することは、障害者差別について社会的な認識を広げ、差別の解消に資するものである一方、条令で差別の定義を設ける場合には、あらゆる差別を禁止している障害者権利条約との関係で、かえって条約よりも差別を狭く定義してしまうことや、条令の定義に該当しないものは差別に当たらないと捉えられてしまうことも充分に懸念されます。そのため、これまでの3年間の相談実績を踏まえた福岡市の実情に合った差別の概念や類型化について議論が必要と考えます。 ◆第7回会議での事務局意見 現行と同じ。国の基本方針において同様の議論があり、規定は見送られているため未反映。 <資料> ○第64 回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録より抜粋 ・男女雇用機会均等法では、間接差別について、法律で実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものと定義した上で、省令でこれを具体的に定めています。間接差別というだけでは、どのようなものが不当な差別的取扱いに当たるのかが分からないので、どのようなものが不当な差別的取扱いとして禁止される間接差別に当たるかを具体的に説明する必要があると考えますが、障害に基づく間接差別は多岐にわたるものが想定されますので、これをどのように具体的に説明するかというのは慎重な検討を要する事柄だと考えます。・差別の禁止の実効性を確保するために、義務づけの対象となる事業者にとって、禁止の対象ができるだけ明確になることが望ましく(以下略) ※上記の意見があり、その後、基本方針の案には具体的な規定がない。 P17からP18 ◆第8回会議での吉住意見 第3回会議では議論の論点として提示した趣旨であり、条文に盛り込むかどうかは具体的な相談実績やなくす会のアンケート結果を踏まえて、障害者政策委員会と同様の議論をこの推進会議の中でも望むものでした。そこで、第64回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録に取り上げられた事例について事務局のお考えを確認したいと思います。 間接差別または関連差別の事例 「4DX のシアターで映画鑑賞を希望したところ、座席が動くなどの理由で車いす使用者が拒否された」 「自閉症のある子が感覚過敏がありマスクの着用ができないと伝えたところ、宿泊を断られた」 自治体の採用試験において、受験資格に「活字印刷による出題に対応できる方」や「自力通勤、自立勤務できる方」、「口頭による面接試験ができる方」などと記載している事例 「盲導犬等の補助犬を連れて飲食店に入ろうとしたら拒否された」事例 「車椅子利用者が車椅子での入店を拒否された」事例 ハラスメント事例 「知人の障害者と飲みにいったら、居酒屋に『車いすの人が入れるような店じゃねーよ』と言われた」。 また、第64 回障害者政策委員会(R4.4.26)議事録から抜粋した下記意見があります。 ------------------- ○石川委員長 ありがとうございました。続きまして、野澤委員、お願いします。 ○野澤委員 野澤です。私、3時過ぎに出なければいけないので、間に合わないかと思ってひやひやしたのですけれども、ぎりぎりでありがとうございます。障害者の範囲と間接差別のところで、皆さんの意見を聞いていたり、資料を読んでいて感じたのですけれども、障害者の範囲の中に家族というのはちょっと難しいのかなと思うのですね。間接差別のところも、事業者の方にとっては曖昧で、見極めが難しくて不明確だったりするとなかなか難しいのかなと率直に思うのですけれども、そうだと本当に分かりやすい差別しか救ってもらえないな、法律はそういうものなのだなと思ってしまうのですね。この法律ができたときに、私も知的な障害の子がいる関係で、知的障害の親の会で、差別解消法がようやくできたといってあちこちでセミナーをやったり、研修会をやったりしたのですけれども、あまりぴんときてもらえないですね。これは身体障害の人たちの法律ねと見られるのですね。そうではないのだと、私、そのときは盛んに言ったのですけれども、今、改めて見るとやはり分かるような気がした。知的な障害、うちは自閉症でいろいろな行動も問題、特性があるのですけれども、小さな頃からずっと曖昧で、見極めが難しくて、不明確な間接差別とかハラスメントをいろいろな場面でいっぱい受けてくるわけです。それがすごいダメージなのですよ。 例を挙げて、これが適切で分かりやすい例かどうかも難しいので、ここが難しさなのですけれども、例えばバスとか高速道路とかで割引制度を使おうと思って手帳を見せると、「障害者なのか」と大きな声で見せしめのように言われたり、ちゃんと提示しているにもかかわらず、「見えないんだよ」と嫌がらせをされたり、スーパーへ行ってちょっとパニックになると、警備員の人が「迷惑だ」と言われて、それは迷惑だろうなと思うのですけれども、警備員の方の高圧的な態度とか、排他的な雰囲気にはものすごく敏感に、ネガティブに響いてしまったりするのですね。これを立証するというのはなかなか難しいのですね。とても分かりにくいです。でも、分かりにくいからこそダメージになるのです。悪意のある人には巧妙にやられるのです。結局、なかなか社会に参加しにくくなる。委縮してしまう。一方で、今度は親が、障害のある子供にとっては社会的な参加を制限する加害者的な立場になるわけです。ストレスがたまったりして虐待に近いことになれば、まさに加害者になってしまうわけですね。そうすると、間接差別やハラスメントの被害者であり、障害のある本人に対しては虐待とか差別の加害者になるという二重のつらい立場に立たされるわけですね。ここは何とかしてほしいなと思います。法律というのはこういうものを救えないのかなと思うと、とてもむなしい気持ちになります。もう一つ皮肉なのは、強い親もいるのです。そこで負けずにちゃんと闘って、乗り越えて局面を開いていく親もいるのです。そうすると、やはり親の個人の責任、もっと頑張れと言われるのですね。普通の平均的な親がとても生きにくい。法律にも救ってもらえない。せっかくできた法律ですので、この辺のところも救えるようなものに、ぜひこの機会にしてほしい、したいなと思います。間接差別とかハラスメントという言葉を使うかどうかは別にして、非常に分かりにくい、不明確で曖昧なものでも、家族や本人の社会生活を制限するとか阻害するものがあるのだということは分かりやすく丁寧に明示してほしいと思いますし、こういうものを建設的対話の俎上に上げるようなものにしていただきたいと思っております。以上です。 ------------------- 上記の状況は、なくす会でのアンケート結果からも伺えます。このような事実や問題がある以上、何らかの対応を推進会議でも考えていく必要があると思います。個人的には、逐条解説で、4号の不当な差別的取り扱いや5号の合理的配慮の提供の具体例を別表記載として示し、基本方針で挙げられているような具体的事例を多く示すことで、より差別の定義を明確にすることが必要と考えます。 P19 3 情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障 第6条第7号について 第7回提出した意見と同じです。 第7条第6号について 第7回提出した意見と同じです。 4 障害者との交流 1 第6条第4号への規定の追加について 2 改正案 4)何人も家庭や学校、地域を始めとする社会のあらゆる場面において、障害者との交流を通じて子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、学び合う心をはぐくむこと。 3 理由 障害者権利委員会が痛烈に勧告したように、日本の特別支援教育は障碍者権利条約が示しているインクルーシブ教育ではなく、分離教育であるのがその実態です。私も盲学校に通った経験と教職を務めた経験があり、今もその現状は大きく変わっていません。そもそも「交流」をしないといけない前提そのものが分離であり、ダイバーシティ&インクリュージョンできていない、未だ障害のある子とない子が社会の中で交じり合っていない証左です。ただ、日本や福岡市の現状や法制度の状況等を鑑み、前回提出された意見を一文にまとめ、その理念がより具体的に示されるようにしました。 <参考> 逐条解説 第6条第4号 ○ 障害者に対する誤解、無理解、偏見などは、障害者との交流の機会が少ないという社会背景があると考えられることから、交流を通じて理解を深めていくという理念を規定しています。これは、福岡市が市政の柱の一つとして推進している「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の考え方にも通じるものです。 P20 5 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供 1 第8条への追加の規定について 2 改正案 市又は事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、社会的障壁の除去について、障害者の意思の表明がない場合であっても、その障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、その障害者に対して合理的配慮の提供の促進のために建設的対話を働きかけるように努めなければならない。 3 理由 現行の「意思の表明」の文言には、第77回での松尾医院からの質問でALSの患者や天畠大輔参議院議員の意思疎通方式である「あ・か・さ・た・な話法」なども含まれるかについて、事務局から何らかの「身振り」等も含まれるとの回答がありました。そのため、音声言語によらない瞬きなどの表情筋を使った顔の動きや身振り手振りなども「意思の表明」にふくまれることが分かりました。残された課題は、意思の表明が困難な知的障害や発達障害などで家族や介助者、支援者がいない場面での「意思の表明」であり、それについて基本方針の文言を借りて上記のように提案します。また条令上の条文だけでなく、逐条解説や対応要領や対応指針でもわかりやすく意思の表明が困難な障害者の状況についても丁寧に説明することが必要だと考えます。 福岡市条例の逐条解説 ○ 「意思の表明」には、言語(手話を含む。)だけでなく、筆談や身振り手振りなどが広く含まれます。 ○ 「意思の表明」を要件としているのは、具体的に誰がどのような社会的障壁の除去を必要としているかはっきりしない場合にまで、条例で合理的配慮を義務づけることは困難と考えられるためです。ただし、障害者等からの意思の表明がない場合でも、障害者の様子などから社会的障壁の除去が必要と考えられる場合には、自主的に適切な配慮を行うことが望ましいと考えられます。 基本方針 エ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。その際には、社会的障壁を解消するための方法等を相手に分かりやすく伝えることが望ましい。また、障害者からの意思表明のみでなく、障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が、本人を補佐して行う意思の表明も含む。なお、意思の表明が困難な障害者が、家族や支援者・介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 P21 6 合理的配慮の促進 1 第6条3号 第6条 障害を理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念に基づき行うものとする。(3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること 2 改正案 (3) 社会生活のあらゆる場面で社会的障壁の除去のため、合理的配慮を行うことがよりいっそう促進され、社会的障壁を生まない環境整備に繋げる必要があること 3 理由 障害の社会モデルの考えによれば、究極的には全ての人にとって社会的障壁が除去され、合理的配慮も行わなくても障害者が障害者でない者と同様な権利を保障されて社会生活を行うようにできることが理想です。行政も事業者も合理的配慮が法的義務になるため、「促進」ではなく、より一歩進んだ表現にすることが大切だと考えます。基本方針でも合理的配慮と環境整備との関係が示されたように、個別具体的な合理的配慮がそもそも社会的障壁を生まないUDな社会的環境整備に繋がることが肝要だと考えます。 7 災害時の障害者支援 1 第6 条9 号の逐条解説 条令第6条9号 (9) 非常災害時において障害者の安全を確保するため,非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。逐条解説 第6条第9号 ○ 非常災害時における障害者の安全を確保する観点から、事前の体制整備や災害時の支援について規定しています。 2 改正案 逐条解説第6条第9号 ○ 非常災害時における障害者の安全を確保する観点から、事前の体制整備や災害時の支援について規定しています。その際、特に事前の避難誘導や発災後の避難所や仮設住宅の利用、在宅避難した障害者への支援について、環境整備や合理的配慮の観点から充分に配慮される必要があります。 P22 3 理由 1月28日土曜日のココロンセミナーで、「災害と社会」という熊本学園大学 東 俊裕先生の講演がありました。そこで、「災害を巡る障害者等の重要課題」について、下記のように示されています。 1 事前の避難誘導(要配慮者利用施設入所者に対する取り組み、在宅の避難行動要)支援者に対する取り組み 2 発災後の避難所や仮設住宅の利用(福祉による支援の限界、避難所に存在する社会的障壁、福祉避難所の限界、バリアフルな仮設住宅) 3 在宅避難した障害者への支援(公的支援から取り残される障害者、顕在化しない被災障害者の状況、生活再建(住環境・生活環境の復旧・復興)に向けた支援体制の構築) そこで、逐条解説に具体的に過去の課題点の重要事項を明示することが大切であると考えます。 <参考> 障害者権利委員会の総括所見 A 災害対策基本法を改正し、合理的配慮の提供を含む障害者のプライバシー及び非差別の権利を強化し、防災・減災及び危機・人道的緊急事態に関連した問題に関しても改正すること。 B 危険な状況や人道的緊急事態において提供されるシェルター、仮設住宅、その他のサービスが、年齢と性別を考慮し、 アクセス可能で障害者を含むものであることを確認すること。 C 障害者とその家族を含むコミュニティ全体が防災・減災計画に参加し、安全でアクセスしやすい集合場所、緊急避難所、避難経路を特定するコミュニティ・フォーカルポイントに基づく個々の緊急計画や支援システムを開発することにより、 強靭なコミュニティを構築すること。 D 危険な状況や人道的緊急事態において、すべての障害者とその家族が、利用しやすい形式と適切な装置で必要な情報を受け取ることができる ようにすること。 E 「仙台防災枠組2015-2030」に従い、あらゆるレベルの防災計画・戦略および気候変動に関する政策が、障害者と共に策定され、あらゆるリスク状況において障害者特有のニーズに明示的に対応することを確保すること。 F COVID-19の対応と復興計画に、ワクチン、保健サービス、その他パンデミックの悪影響に取り組むための経済・社会プログラムへの平等なアクセスの確保に関しても、障害を主流化し、緊急時に障害者を非施設化し、地域社会で生活するための適切な支援を提供するための措置を採用すること。 P23 8 啓発活動等 1 第9条1項 2 改正案 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために計画的に必要な啓発活動を行うとともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うことができるよう、事業者に対し、情報の提供や必要な支援を行うものとする。 3 理由 事業者に対して「情報提供」だけでなく、中原委員も発言されていたように、明石市の取り組みのように、事業者に対して環境整備や合理的配慮の提供実施のための補助金など具体的な支援も行うべきだと考えます。 <参考> 明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例(抜粋) (市の責務) 第4 条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる施策を推進するものとする。 (1) 合理的配慮の提供のあり方について積極的に調査及び研究を行うとともに、率先して合理的配慮の提供を行うこと。 (2) 地域社会において、障害者である市民と障害者でない市民が互いに理解し、ともに安心して暮らすことができるようにするため、市民、事業者及び行政機関等が合理的配慮の提供を行うための支援(以下「合理的配慮の提供支援」という。)を行うこと。 (3) 障害を理由とする差別の解消の意義及び基本理念に対する市民の理解を深めるため、市民及び事業者の協力を得て、障害に関する理解(以下「障害理解」という。)に関する取組を行うこと。 (4) 障害を理由とする差別の解消に関する相談を受け、紛争解決に向けて必要な支援を行うこと。 第2章 合理的配慮の提供支援及び障害理解の啓発 (合理的配慮の提供支援に関する施策の実施) 第8条 市は、市民、事業者及び行政機関等が合理的配慮の提供を容易に行うことができるよう、合理的配慮の提供支援に関する施策を実施するものとする。 (障害理解に関する施策の実施) 第9条 市は、障害及び障害者に対する市民の理解を深めるため、障害理解に関する研修の実施その他の必要な取組を行うものとする。 2 市は、障害者と障害者でない者との相互理解を深めるため、障害者と障害者でない者が互いに交流することができる機会の提供その他の必要な取組を行うものとする。