資料3 たたき台の協議事項について 1 第4条(事業者の責務)に関する規定の追加について 第4条に「特に福祉に携わる者は、」との規定を追加するように提案がありますが、当該規定は事業者全体に関する規定であることを考慮すると、事業の業種が異なることで差をつけているようにも捉えられることになるため、各委員での協議が必要と考えます。 現行 第4条 事業者は、第6条の基本理念にのっとり、障がいを理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うとともに、市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努めるものとする。 委員意見 第4条 事業者は、特に福祉に携わる者は、第6条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うとともに、市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努めるものとする。 理由 ・発達障害や知的障害のあるものは、差別を受けていても意思表示できない、又は差別だと認識できていないことがある。身近に接する福祉に携わるものから、声を上げることが必要不可欠。 2 第6条第4号への規定の追加について 委員意見では、「より具体的に記載することで、さらなる理解促進ができると考える。」とありますが、本条は基本理念であり、具体的な記載を行うことで、どのような理由でさらなる理解促進につながるのか確認が必要と考えます。 なお、委員提案は、名古屋市条例の規定を参考にしたと思われますが、名古屋市条例の基本理念には、提案された規定のほか、福岡市の現行条例第6条第4号のような規定はありません(参考資料2参照)。 現行 第6条 障害を理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる基本理念に基づき行うものとする。 (1)〜(3) 略 (4) 何人も、障害者との交流を通じて障害又は障害者に対する理解を深めていくこと。 (以下略) 委員意見 第6条 障害を理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる基本理念に基づき行うものとする。 (1)〜(3) 略 (4) 何人も、障害者との交流を通じて障害又は障害者に対する理解を深めていくこと。 家庭、学校を始めとする社会のあらゆる場面において、子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、学び合う心をはぐくむこと。 (以下略) 理由 ・交流を通じて障害又は障害者に対する理解を深めることは重要であり、より具体的に記載することで、さらなる理解促進ができると考える。 3 第6条第7号への規定の追加について 委員より、情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障を踏まえて規定の修正について意見をいただいており、具体的な条文案について、ご意見をお願いします。 現行 第6条 略 (1)〜(6) 略 (7) すべての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに、障害者に対しては、コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (以下略) 委員意見 第6条 略 (1)〜(6) 略 (7) すべての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに、障害者に対しては、コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 ※情報の取得及び利用並びに意思疎通について、その手段や選択の機会の保障にとどまらず、デジタル時代を見据えた誰も取り残されない情報の受発信者としての権利の主体性を確保した内容にすべき。 (以下略) 理由 ・情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障は、障害のある人が社会参加をするために欠かせない権利であり、以て障害のある人の尊厳や人権を確保することに繋がる。 4 第3章に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」規定を追加することについて 当該規定については、委員によってご意見が分かれたところであり、改めて協議が必要と考えています。 障害者差別解消法成立後に制定された政令市の条例及び福岡県条例では、「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」という趣旨の規定が基本理念と実体規定の両方に規定されている条例はありません(参考資料2参照)。 また、法制課からは、「何人も、障害を理由とする差別を行ってはならない」は「行為の主体」や「差別」の内容が抽象的であるため、新たに規定を置くのであれば、可能な限り具体的なものとする必要があるとの見解がありました。 なお、福岡県条例は、以下の通り規定しています。 (不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供) 第八条 何人も、障害のある人に対し、あらゆる分野において、不当な差別的取扱いを行ってはならない。 2 何人も、合理的配慮の提供を誠実に行うことにより、社会的障壁の除去に可能な限り努めなければならない。 【参考】障害者差別解消法成立後に制定された各条例における「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」規定の状況 福岡県条例 基本理念× 実体規定○ 仙台市条例 基本理念○ 実体規定× 新潟市条例 基本理念規定なし 実体規定○ 名古屋市条例 基本理念○ 実体規定× 広島市条例 基本理念○ 実体規定× 北九州市条例 基本理念○ 実体規定× 福岡市条例 基本理念○ 実体規定× 現行 規定なし 委員意見 第 条 何人も障害を理由とする差別を行ってはならない。 理由 ・罰則規定は無し。 ・福岡県では明記されており、現条例では法的効力が問題となる。 ・障害者権利条約においても個人を排除してはおらず、社会モデルの考え方からすれば社会を構成する全ての人を出発点としており、内閣の基本方針においても条例で規定することは認められている。 ・第7条の実体規定で、市民についても差別することは禁止されていると謡う必要がある ・発達障害は目に見えない障害であるゆえ、私人間での差別行為が後を絶たないため。 5 第7条第6号への規定の追加について 委員より、情報の取得及び利用並びに意思疎通について、情報の受発信者としての権利の主体性を確保した内容にすべきとのご意見をいただいており、具体的な条文案について、ご意見をお願いします。 現行 第7条 市(市が設立した地方独立行政法人を含む。次条第1項及び第21条第3号において同じ。)及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (1)〜(5) 略 (6) 情報の提供及び意思表示の受領の分野における次に掲げる取扱い ア 略 イ 略 委員意見 第7条 市(市が設立した地方独立行政法人を含む。次条第1項及び第21条第3号において同じ。)及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (1)〜(5) 略 (6) 情報の提供及び意思表示の受領の分野における次に掲げる取扱い ア 略 イ 略 ※情報の取得及び利用並びに意思疎通について、その手段や選択の機械の保障にとどまらず、デジタル時代を見据えた誰も取り残されない情報の受発信者としての権利の主体性を確保した内容にすべき。 理由 ・情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障は、障害のある人が社会参加をするために欠かせない権利であり、以て障害のある人の尊厳や人権を確保することに繋がる。 6 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について 障害者差別解消法では、第7条第2項及び第8条第2項において、「意思の表明があった場合において(略)合理的な配慮をしなければならない」となっており、基本方針においては、当該規定を踏まえ、「当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、(略)自主的な取組に努めることが望ましい。」とされています。 委員提案の通り規定する場合は、条例上は意思表示が明確でない者に対して、社会的障壁の除去について必要としていることが客観的に認識しうる場合は、合理的配慮の提供が義務となるため、当該規定が法以上の規制になることを踏まえ、改めて協議が必要と考えます。 現行 第8条 略 委員意見 第8条 略 ・市又は事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、社会的障壁の除去について、障害者及びその家族その他の関係者が必要としている場合又はそのことが客観的に認識しうる場合、合理的配慮の提供をしなければならない。ただし、建設的な対話を通して、その実施に伴う負担が過重であることが明らかになった場合はその限りではない。 理由 ・当事者の意思表示によるものと同等・並列に客観的な必要かつ認識できる状況における合理的配慮の提供を条文においても明確にする。