第5回福岡市障害者差別解消推進会議 議 事 1 「基本方針の改定に関する説明」 資料1に基づき、事務局より説明。委員からの質疑はなかった。 2「条例改正に関する委員意見ヒアリング」 資料2に基づき各委員から説明。その後、意見交換を行った。 委員:障害者差別を行ってはならないという規定について、この条例の中でも第6条に全部書いてあるが、第7条に追加するということでどのように効力に差があるのかという部分がよく分からない。 委員:現在の条例では、施策という概念が第7条に「不当な差別的取り扱いの禁止」、第8条に「合理的配慮の提供」という規定がある。ただし、第7条の不当な差別的取り扱いの禁止の主語は「市および事業者」、第8条の合理的配慮の提供の主体も「市と事業者」。市の場合は法的義務、事業者は努力義務となっている。第7条と第8条が属する第3章は「障害を理由とする差別の禁止」といういわば実効的な実体的な差別の禁止に関する規定である。第2章の基本理念の第6条第2号に差別はいけないと、「何人も障害を理由とする差別により障害者権利利益を侵害してはならない」とする規定があるが、あくまでも条文に書いてあるとおり、基本理念である。第3章はこの第2章の基本理念に対して、実体的にこういうことをしてはいけないというのが第3章である。第3章の第7条「不当な差別的取扱いの禁止」の前に、実体的規定として「何人もしてはいけない」と、そういう規定を入れていただきたいという内容である。現状、確かに全ての人、何人もという規定があるが、それはあくまでも基本理念にとどまっている。それを実際に条例上の規定で担保するというか、それは第3章の障害を理由とする差別の禁止、ここに1条設けていただきたいという趣旨である。理念と実体的な規定には大きな違いがあろうかと思っており、市民の実際の問題として差別をしてはいけないと。そういう規定がないと、例えば今後、推進会議の啓発の進め方が大きな課題になろうかと思うが、その時に基本理念だけの進め方は弱いのではないか。実体の規定として第3章の中に「何人も」と書いてあるので障害者に対する差別をしないでくださいという、いわば説得力というものが全然違うのではないかという考え方である。 委員:「何人も差別をしてはならない」という言葉を、分かりやすくぱっと目に付くような形で、明文化していただきたいなと思っている。市とか事業者は、今までいろいろ工夫されて一生懸命してくださっていると思う。だが、私人間での差別がまだまだなくならない。市民の意識を高めるために、もうちょっと意識をしていただくために、市民、何人もという形でぜひ入れていただきたいと思っている。 委員:障害者差別をしてはならないということ、それをより実効性のあるものにしていくために条例を見直していくというのは、大変重要な点かなと思う。ただ、今の条例を全体で見た中で、「障害を理由とする差別をしてはならない」という規定について、この条例の構成からすると、「してはならない」というところは理念で、この理念に基づきこの条例を施行していくという考え方になるのかなと思っている。もし第7 条に入れるとして、第7 条はかなり個別具体的な事例を書いている条項になっているので、その中に差別を行ってはならないという形の条文では、少しそぐわないのかなと感じた。 委員:今のお話の中で1 つだけ、こういうふうに改正をしていただきたいという中身は、第7 条を「何人も」とするのではなくて、第7 条の前に、つまり独立した条として「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」という規定を入れていただきたい。第7 条、第8 条はそのまま、合理的配慮の提供は法律が変わって事業者も義務になったので変わるのかもしれないが、第7 条を変えるのではなく、第7 条の前に条文を新たに設けて「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」とする。それで行政も事業者も市民も、全てに対してここで実体規定の対象になるという要望内容である。 委員:今のお話では第7条の前に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」という条文が入るということだが、同様の条文が第6条の第2号に入っている。基本理念だから、同様の条文が第7条にまた出てきても構わないということか。 委員:現在、第6条第2号に「何人も障害を理由とする差別により障害者の権利利益を侵害してはならない」とあり、同じ内容が、例えば新しい第7条に出てきていいのかということ、そういうお尋ねだということでよろしいか。第2 章は基本理念で、第3 章は障害を理由とする差別の禁止と、章の役割が条例の中では違うと位置付けている。今おっしゃったように、全く同じものが出てきていいのか、基本理念といわば実効性の話で出てきていいのかというのは、もし第7 条の前に、新第7 条というような形でその内容が入るということであれば、第6 条をどういうふうに整理するのかというのはまた考えさせていただきたいと思う。ただ、少なくとも基本理念の中で重要な部分ではあると思う。したがって基本理念の中にも残しておくべきで、第3 章はあくまでも実効規定、いわば実働の部分ですので、それには入れていただきたい。 委員:私もあまり法律に詳しいわけではないが、例えば憲法で第25 条「健康で文化的な最低限度の生活」の規定で、生活保護があるが、憲法解釈としてはプログラム規定という形で、第25 条をもって直接に生活保護を定めるものではなくて、生活保護法に委ねて、それを厚生労働大臣が基準として決めていくというのが今の裁判の大きな考え方の中にある。今回の場合は、1つの条例の中で定めるものであり、第6条第2号は確かに理念として書いているが、同じ条例の中なので、当該規定に基づいて直接的におかしいという言い方は、多分言えると思う。そういった意味では、第7条に別に持ってくるというのが絶対的に必要不可欠なものなのかどうかというのは、調べないと分からないが、ただお気持ちとして第6条が基本理念なので、第7条以降の実質的な禁止をする、差別の取扱いを禁止するという全体の取りまとめとして「何人も障害を理由とする差別を行ってはいけない」というところが、恐らくご意見の主な理由かなご推察する。その辺はあり方としてどうなのかというのは、見ていかないといけないかなと思う。 委員:もし例えば新7条に「何人も障害を理由とする差別を行ってはならない」という規定が入るのであれば、繰り返しになるが、第2章基本理念の第6条第2号の「何人も」と書いている部分についてどういう形がいいのか、勉強させていただき意見を出していきたいと思う。 委員:ご意見を賜ったので、事務局を含めてどういった形のご提案にさせていただくかというのを、一度検討させていただければと思う。 【以降非公開】