第4回福岡市障害者差別解消推進会議 議 事 1 条例見直しにあたっての課題について 資料1に基づき、事務局より説明の後、資料2に基づき各委員から説明。その後、意見交換を行った。 資料2の分類:合理的配慮の提供について、各委員より説明。その後、以下の意見交換を実施した。 委員: 18番の事例についてはとても大事だと思った。 私たちも校区社協という住民組織の方と一緒に地域福祉を進めているが、現行の条例から、逐条解説では努力義務がある事業者に町内会等の地域団体も含まれていると書かれていて、また今回の条例が改正されるということになっている。福岡市社協としても時機を見て校区社協の皆さんへの研修なども行なっていかなければいけないと思っているが、そうした組織に対する法の周知が大事だと思うので、18番については今後議論ができるといいと思った。 (発言者なし) 資料2の分類:啓発・研修について、各委員より説明。その後、以下の意見交換を実施した。 委員: 私が所属する団体について、通所、入所施設が所属しているが、皆地域の人たちである。利用者も職員も最終的には地域に帰り、グループホームも地域の中にある。団体では、定例会でいつも代表の人、施設長が出てくるので、地域の中に事業所があるので、地域の人たちに自分たちから積極的に出て行って、そして地域の人たちにもっと理解してもらうように努力をしましょうという話はしている。 私も個人的には地域の人間である。民生委員もしている。地域の中で「研修を、研修を」とずっと意見が出ていたが、年間を通して地域はたくさん研修をしている。人権尊重推進委員会も社会福祉協議会も、民生委員は福岡市でも各区でも地区でも、年間を通して人権にかかわる研修をたくさんしている。逆に、どういう研修を地域で行っているかアンケートを取り、皆さんに知っていただきたい。それでも差別はなくならない。 それでももっともっと研修してほしいと言われる気持ちは分かるが、私たち対象者も地域に出ていく必要がある。また、地域の人間としてもこれ以上どんな研修をしたらいいかと、本当に年間を通して、各種団体、防災も含めて、防災訓練をする時に高齢者の人だけではなくて障害者をどのように避難させたらいいのだろうか、そういうことも考えながらみんなやっている。そういうことも皆さんに知っていただきたい。 委員:先ほど「啓発・研修」のところで委員から発表があった13ページの16番、「ビルなど建物の建築工事の際には実際に当事者の意見を参考にすること」について、お話が出ていたように、バリアフリー法の改正も国のでは2019年になると思うが、「2020行動計画」の中で東京オリンピック・パラリンピックに向けて、特にホテルやビル、旅館の基準の見直しが行われている。例えば共生社会の行動計画、UD会議になるが、障害者の視点を生かすというところが強く打ち出してある。 障害者の偏見をなくす心のバリアフリーでは、全ての子どもたちや学校の教員たちにバリアフリーの研修を行うと。これも順次、小学校、それから高等学校、大学まで、まず教員の方々から理解していくことを国では進めている。 また、トイレの問題。これが非常に重要で、駅や空港では98%ぐらいトイレの完備がしてあるが、これも問題点が非常に多い。 ホテルや旅館の基準の見直しが大きく見直されて、オリンピック・パラリンピックに向けて外国から来られる様々な旅行団体などのために、みんなで使えるホテルにするということが建前だったと思う。それが例えばこの条例の中にどれだけ盛り込めるかということをいろいろ検討してほしい。 というのが、間口を1〜2センチ広くすれば車いすが入るといったことや、部屋の中も車いすで動きやすく工夫すれば、特別な部屋を作らなくても宿泊ができる。福岡市内では博多駅筑紫口の前に都ホテルが新しく建ちました。まだ私は実際に見学はしていないが、どの部屋でも車いすで利用できるということを聞いている。 今までは、バリアフリールームを例えば50室に1つ設置しなければいけないみたいなことがあったが、トイレもそうだが必要以上に広く、また、そのような部屋の数が少ない。しかし、立派な部屋なので、今度は逆に料金が高い、全く利用できないような料金となっていた。こういうことがずっと今まであったのをあえてなくしていこうということで、工夫すればいろんな方が、例えば大きな電動車いすに乗った方でも利用できるというふうになっている。 こういうことが先ほど申し上げたように、ユニバーサルデザインのまちづくり、バリアフリー法の改正に伴い、この中にどれだけ書き込めるかということもいろいろ皆さんのご意見を頂きたい。この差別解消条例が、本当に福岡市の条例の実効性が問われるところじゃなかろうかと思っている。 委員:企業や行政など啓発・研修をもっと実施する必要があるかと思う。 事例16のビルの改修、トイレの改修のためにいろんな障害者に入っていただいて意見を聞き、見てもらっているが、その中には聴覚障害者の当事者が入っていない。私たち聴覚障害は見えない障害と言われていて、私たちとしては、もしトイレの中で倒れた場合に私たちは声を出して助けを求めることができない。周りの人たちも分からない。周りから聞かれても聞こえないし、限界がある。そのため、行政も、聞こえない人も一緒に改善する ということを入れてほしい。視覚障害や肢体不自由、知的障害の方々はその中に入っているが、聴覚障害は外されている。企業も行政もそういうところが足りないと思っている。だから積極的に研修を開くべき。 そして、警察官に対する問題について、ある事例では、盲ろう者は手話が必要なので、家族から、本人が外を歩く際に見かけたら家までぜひ保護、連れて帰ってほしいと警察に言ったが、警察官の理解がないために盲ろうの方を捕まえて、警察の留置所に留置してしまったということがあった。家族としては本人が帰ってこないので大変心配されて警察に尋ねたところ、留置所にいた、保護されていたということだった。 家族は大変怒り、「どうしてこういうことがあったのか。この人は盲ろう者で、手話が必要。手助けしてなぜ連れて帰ってきてくれなかったのか」と。警察官は盲ろう者に対して保護したつもりではいたが、その対応の方法が間違っていた。つまり啓発・研修が足りないということだと思う。 そのため、盲ろう者の特徴は何なのか、それぞれの障害の特徴は何なのか、障害に合わせてきちんと啓発・研修をすべきだと思う。条例の中にもきちんとそういうことを強く盛り込んでほしい。 委員:皆さんのご意見をいろいろ聞きながら私が感じたことといえば、皆さんに、条例改正する部分を聞いていただきたいのは、やっぱり地域で住んでいる私たちの自治会の協力というか、そこのところを一生懸命広めていかないと机上の空論になってしまっているような気がした。私たちが住んでいる基本的なところで決まるのは、自治会、会長会で決まることが多いので、自治会の規約の中に障害者解消の意見も取り入れなければいけないと考えてもらいたいので、その項目を改定の中に入れていただきたいと思った。 委員の意見では「合理的配慮をするように努めなければならない」ではなく、「合理的配慮をするように」とちょっと少し優しくしてあるが、個人的には「合理的配慮をしなければならない」と、もう少し強い姿勢を入れてもいいのではないか。しっかり考えてもらうためには、やっぱり地域に住んでいる私たちそれぞれが理解をするためには、自治会を動かすことが一番大事なことではないかと思った。 委員:先ほどの意見で、地域に当事者自らが出て行くということは非常に私も感銘を受けている。私自身も視覚障害だが、自治協議会や児童委員・民生委員の皆さんと一緒に企画を作って、講演会で研修をすることはよくある。その時に大事にしているのは、知識だけではなくて実践できる体験型の研修をする。明日からでも地域の中にそういう障害の方がいたら声掛けをして、コミュニケーションを取るといったことを必ずその研修の中に盛り込む。 例えば実際には、災害の時の避難要支援者に対し、実際に避難所はどう運営したらいいのか。まちには必ず課題があるので、それを必ず当事者と一緒に話し合って、場合によっては大学や専門学校の先生に来ていただいて、一緒にそこを計画していくということをいくつかの公民館で、実際に地域の中で課題を解決していくという取り組みをしている。そのためにはやはり当事者、家族がメインになってやっていくことが非常に大事かなと思った。 資料2の分類:「市民による障害者に対する差別の研修の規定の追加」「相談体制等」「推進会議委員の任命」「環境の整備」「国・県・市と条例に基づく行政指導等との関係」「教育」「表彰」について、一括して各委員より説明。その後、以下の意見交換を実施した。 委員:3の「市民による障害者に対する差別禁止の規定の追加」について、第7条に「何人も障害のある人に対して、障害を理由とする差別をしてはならない」という、委員と同じ意見で、今回ぜひとも改正していただきたいと思っている。 発達障害のある方というのはいろんなタイプの人がいるが、特に傷つきやすい、感覚に過敏があったりとか温度に過敏だったりする方も多い。 今日、たまたま西鉄電車で来る時にヘルプマークを付けている女性に会った。黒の長袖のカーディガンを着て、長いスカートに黒のスパッツをはいて暑いだろうなと思ったが、自分を守っているような感じがした。ヘルプマークを付けていることで何とか出掛けているのかもしれないと思った。地下鉄、西鉄に乗ったが、ヘルプマークも優先席の上の分かりやすいところに掲示されていた。 また、ある30代前のお嬢さんが「ヘルプマークを付けることで会社にも行けるようになった」という話も聞いた。目に見えない障害だからこそ誤解されやすく傷つくことも多かったと思う。 彼女たちが安心して出かけられるような福岡市にするためにもぜひとも第7条の最初に「何人も障害のある方に対して障害を理由とする差別をしてはならない」という言葉を入れていただきたい。 委員:先ほどお話があった相談体制の充実ということで、私も一貫してお願いしているが、ぜひ障害者基幹相談支援センターの業務内容の中に、「差別解消相談窓口」と明記をしていただきたいと思っている。ホームページを見ると、これが全く入っていない。身近に気軽に相談できるということで区の障害者基幹相談支援センターに相談窓口ができたと私は理解している。 そして関係職員の研修、これをぜひ行っていただきたい。そういう仕組みをきちっと作っていただきたいと思っている。なぜなら、いろんな事例があるが、やはり相談から全てが始まっていくわけであり、だからそこが充実していなければ、なかなかいろんなことが進んでいかないと私は思っているので、ぜひお願いしたいと思っている。 最終的には、特に障害の重い方が福岡市の中で安心安全に過ごせるということがわれわれの最終目的ではなかろうかと、この条例の目的ではないかと私は思っているので、いろんなご意見が出てくると思うが見直しをしていただければと思っている。 委員:今日、私も事例と要望的なものを申し上げたが、自分が推進会議に期待するところは、意見交換のような気がする。もちろん審議のほうも大事だが、ぜひ地域の問題とか事業所の合理的配慮の義務付けなど、各事業所の方々が委員におられるので、そういった方の意見も、どのような合理的配慮の提供があるかとか表彰の仕方とか、そういった意見交換の場をぜひ事務局のほうでも時間をとっていただきたいという要望で、時間制限があるとは思うが協議の場を取っていただければと思う。 委員:今日はさまざまな意見をいただき、勉強させていただいたこと、そして事務局を取りまとめる者として、さまざまな角度から聞かせていただいた。 その中で例えば研修に関しては、委員より、民生委員の立場から、今非常にご負担が掛かっておられる現状をお伺いし、啓発の方法について、研修が全てなのか、といった辺りも特定の方にご負担が掛かるということではなくて、少し幅広で考えていかなければならないと思った。また、委員の任命に当たって、当事者の方を加えるというお話もいただいた。それに関して、障害者の会議、委員会、審議会等を作る時に私どもが行政の立場として一番考えるのは、その当事者の方の意見がその障害がある人の総じた意見なのかどうかという判断がなかなか付かないので、団体の代表の方に入ってもらって、意見を取りまとめて聞かせていただくのが主なやり方となっている。そういった基本の考え方とどうかというところも含めて、考えないといけないなということ。 今日はどうしてもご意見頂いた委員の方は障害のある方、当事者の方、もしくはその関係ある団体といった方々のご意見がほとんどであった。それはそれで非常にありがたいと思っているが、一方で、具体的にこれから検討を進めるに当たって、事業者の方々のご意見、これはぜひお伺いしたいと考えている。 その中で、もしかすると当事者の方のご意見が具体的であるが故に、なかなか事業者の代表としてご意見が出しにくいようなところが仮にあるとすれば、様式4でお示ししたような形でもいいので、ご意見をいただく機会を何らかの形で設けたいとも思っている。 いずれにしても、この推進会議は両方、事業者の方々、そして当事者、その関係の団体の方々、そういった方々のご意見を頂きながら福岡市として条例をまとめていきたいということになるため、しっかり会長の下、意見がまとまっていけるようなものを事務局としても出していかなければならないと考えている。 ※意見交換会議時間の関係で、意見交換はなかった。