資料3 条例改正に係る委員意見 ・清成委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 ・清水委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2 ・友廣委員、向井委員(※) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P3 ・中原委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P33 ・松野委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P34 ・馬男木委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P35 ・吉住委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P39 ・吉田(真)委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P44 ※友廣委員、向井委員は同じ資料をお二人で説明されます。 P1 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員氏名 (一社)福岡市精神保健福祉協議会 清成厚美 (改正が必要と考える条文) 第6条(1) (改正案)すべての障害者が、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する事。 (理由)障害者でなくても差別されている現実がある。  (改正が必要と考える条文) 第6条(8) (改正案) 女性やLGBT等であること理由に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、及び児童である障害児に対しては、年齢に応じた適切な支援が必要であることを踏まえること。 (理由)時代に沿った文言にしてほしい。 P2 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員ご氏名 清水 邦之委員 (改正が必要と考える条文) 第8条第1項、第2項 (改正案) 事業者による合理的配慮の提供が義務化となったので文言の変更が必要である。 (理由) 障害者差別解消法の改正があり、事業者への合理的配慮の提供が義務化されたため。 (改正が必要と考える条文) 第9条(啓発活動等) (改正案) 小学校等学校教育の中で障害や障害者への理解を深める啓発活動が必要である。 (理由)小学校低学年児童は先入観がなく素直に受け入れる力があるため。 (改正が必要と考える条文) 第11条第2項 (改正案) 障害当事者によるピア相談の窓口があることも知らしめてはどうか。 (理由)身体障害者相談員が任命され活動しているため。 P3 推進会議・説明資料(概要版) 条例改正要望項目について(概要) 福岡市障害者差別をなくす会2022/7/1 1 市民による障害者に対する差別の禁止について 第7条の前に下記の一条を追加する 何人も障害を理由とする差別を行ってはならない ? 罰則規定は無し ? 福岡県では明記されており、現条例では法的効力が問題となる ? 障害者権利条約においても個人を排除してはおらず、社会モデルの考え方からすれば社会を構成する全ての人を出発点としており、内閣の基本方針においても条例で規定することは認められている ? 第7条の実体規定で、市民についても差別することは禁止されていると謡う必要がある 2 第7条(不当な差別的取扱いの禁止) 第3号教育、療育及び保育の分野における次に掲げる取扱い ア (現行条例に下線太字を追記する) 教育、療育及び保育において必要と認められる適切な指導及び支援が行われないことについてやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、教育、療育若しくは保育を行いことを拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を附すこと。 ? 「医療的ケア児等支援法」が2021年9月に施行された。しかし現場においては「客観的に合理的な理由がある場合を除き」の文言を利用して乱用して適切な対応が取られない恐れがあり、療育や保育、教育を受ける権利を確保する必要がある。 P4 3.事業者の合理的配慮の提供 4.意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供 について 8条を以下の通り改正する 第8条 (下線部分変更) 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表示があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 3項 全文を追加 3 市又は事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、社会的障壁の除去について、障害者及びその家族その他関係者が必要としている場合又はそのことが客観的に認識し得る場合、合理的配慮の提供をしなければならない。ただし、建設的な対話を通して、その実施に伴う負担が過重であることが明らかになった場合はその限りではない。 ? 事業者の合理的配慮の義務は国連障害者権利条約、国の差別解消法でも謡われている。 ? 当事者の意思表示によるものと同等・並列に客観的な必要かつ認識できる状況における合理的配慮の提供を条文においても明確にする。 P5 5 啓発について 下線箇所を追記する (啓発活動等) 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために、福岡市保健福祉総合計画や障害福祉計画に数値目標を記載するなど計画的に、必要な啓発活動を行うともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取り組みを積極的に行なうことができるよう、事業者に対し、情報の提供および研修を行うものとする。 2 市長は、職員が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるため第1項と同様に計画的に研修の機会を確保するものとする。 (3項 全文追加) 3 第1項及び第2項の啓発活動や研修に取り組むに当たっては、障害者、その家族その他関係者の意見を聞くものとする。 (表彰)下線部分追加 第12条 市長は、障害を理由とする差別の解消に関して功績のあった者に対し、表彰を行うことができる。 ? 啓発促進に具体性をもたらすため、福岡市保健福祉総合計画等を加え、表彰対象を合理的配慮に限定せず差別解消全般に拡大する。 ? 市政に関する意識調査では条例の存在そのものを知らない市民が7割を超えており、より具体性や計画性をもつ啓発を行う必要がある。 P6 6 相談体制について 下線箇所を追記及び変更する (相談体制の充実) 第11条 市は、第6条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための環境の整備、相談員の専門性の向上をはじめとする相談の充実を図るものとする。 2 市は、前項の体制を整備するに当たっては、障害者の権利擁護の視点を踏まえつつ、当該体制が次の各号のいずれにも該当するようしなければならない。 (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。 (2) 障害及び障害者に関し専門的知識を有する者並びに当事者又は家族が相談を受けること。 (3) 全文追加 (3) 障害者差別が障害者の人権を侵すものであることを認識すること。 第14条 障害者及びその家族その他の関係者又は事業者は、市に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる。なお、市は、相談窓口の所在を市民に周知すること。 (審査会への諮問) 第17条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7条の規定に反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた国、福岡県、福岡市又は事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 ? 相談体制充実にための専門性の向上を図るとともに、審査会の諮問対象に国、福岡県、福岡市を加える。 ? 相談体制の拡充を図るとともに、専門性の向上が必要である。また、条例では国、福岡県の取り扱いが不明であり審査対象に加えることで明確化を図るべきである。 P7 7 推進会議について 下線部分を追記及び変更する 第22条 2 委員は、障害者並びに福祉、医療、教育、雇用その他障害者の権利の擁護について優れた識見及び実務経験を有する者及び公募で応募した者のうちから、障害の状況の多様性に配慮することに留意し、市長が任命する。 第23条 (部会) 推進会議に、次に掲げる事務を行わせるため、相談部会を置く。 (1) 条例第14条第2項の個別相談及び相談部会に属する委員が所属する機関が対応した障害を理由とする差別に関する相談について、問題解決に向けて分析及び助言(次号に規定する事項を除く)を行うこと。 (2) 条例第21条第1項第2号及び第3号に関する事項 (3) 条例第11条第1項の体制及び障害を理由とする差別に関する相談に係る対応のあり方を検討すること。 (4) 前3号に掲げるもののほか、障害を理由とする差別に関する相談に係る事項について検討すること。 2 推進会議に、必要に応じて、その他の部会を置くことができる。 ? 推進会議委員に公募委員を加え障害の多様性への配慮を規定し、相談部会の役割を条例に規定する。 ? 特別支援教育関係者・医療関係者の参加が必要であるとともに、相談部会について要領でなく、条例で規定する必要がある。 P8 8 その他・教育について 9)を次のように改正し、現行の(9)を(10)とする。 (9)障害があることによる差別をしない人間の形成のための教育、療育及び保育の重要性に鑑み、障害のある人と障害のない人が共に生き、共に育ちあう社会を実現するため、可能な限り同じ場所で教育、保育及び療育を実施するよう努めるものとする。 ? 教育・療育・保育が果たす初期の人間関係における重要性に鑑み、教育・療育・保育における差別を認めない教育等の実施を基本理念に謳いこむ。 P9 条例改正に関する要望書 現行条例と改正案比較表 及び改正理由 令和4年7月1日 福岡市障害者差別解消推進会議の皆様 福岡市障害者差別をなくす会 世話人代表 向井公太 平成31年1月1日に「福岡市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」(以下、条例とします)が施行されて3年を過ぎようとしています。 昨年は障害者差別解消法の改正も行われました。また、コロナ禍の下、東京パラリンピックも開催され、障害や障害者に対する理解も深まったのではないかと思います。 福岡市障害者差別をなくす会(以下、なくす会とします)では、条例施行3年後の見直しの参考とするため、令和3年1月から4月にかけて差別体験アンケートを行いました。 その概要を次ページに記します。 アンケート結果から見えてきた課題 今回のアンケート結果では142件の好事例が回答され、条例施行前に比べ障害者差別は 改善が見られます。 一方で、未だ差別事例があることが分かりました。 また、福岡市の市民意識調査では約7割を超す市民が条例の存在そのものを知らという結果が出ています。 これらの結果、次の課題を指摘します。 @ 障害当事者への丁寧な説明や市民への障害及び障害者への正しい理解を図ることが必要である。 A 合理的配慮の提供について正確な理解が必要である。 B 現在の条例では、私人間の出来事については対象とならないが、事例の内容から差別に該当すると思われる事例が相当数ある。 C 事業者の合理的配慮の提供を義務とする必要がある。 D 市民による差別の禁止を条例に規定する必要がある。 アンケートの結果や他自治体、国の障害者差別に関する取組みの前進を踏まえて、条例の改正は必須であり、それにより福岡市においても差別解消の一層の取組みが推進されるものとなくす会では考えています。 推進会議委員の皆様の条例改正に対するご理解をいただき、共生社会を目指す福岡市づくりに共に進めることを切望いたします。 P10 目 次 T.障害者差別体験アンケート概要 1.アンケート全体像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 ? 目的等 ? 回答数と回答者の属性等 ? 障害種別(複数の障害がある方は該当するものすべて) 2.差別体験について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 ? 差別体験の有無とその時期、受けた場所 ? 差別の類型ごとの件数 3.好事例について ? 各領域ごとの件数 4.差別体験の代表的事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5.好事例( 特に社会の変化を感じる事例 ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6 U.現行条例と改正案比較表および改正理由 1. 市民による障害者に対する差別の禁止について・・・・・・・・・・・・・9 2. 第7条(不当な差別的取扱いの禁止)第3号教育、療育及び保育の分野に おける次に掲げる取扱い・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・11 3. 事業者の合理的配慮の提供について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 4. 意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について・・・・・・・14 5. 啓発について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 6. 相談体制について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 7. 推進会議について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 8. その他・教育について・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・22 9. アンケートにおける、その他、いまだに起こっている差別事例・・・ ・・24 P11 T.障害者差別体験アンケート概要 1.アンケート全体像 ■目的等 実施者 福岡市障害者差別をなくす会 目的 福岡市障害者差別解消条例の施行3年を迎え、その見直しに役立てる 実施期間 令和3年1月から3月31日 実施対象 なくす会構成団体・個人および市民 実施方法 ・事業所等を通じてアンケート用紙を配布・回収 ・WEB上からQRコードで用紙をダウンロードし郵送・メールで返送 ・WEB上のアンケートフォームより直接回答 ・その他 アンケート項目 質問1. 障害があることで、差別されたこと、いやだったこと、悲しかったこと 質問2. 障害により困っていた時にやさしく接してもらったり、困った問題も解決できたこと(質問1,2については平成31年1月から、今までの間に起きたこと) 質問3. 新型コロナウイルスが広がって困ったこと、不安に感じたこと 質問4. 災害時に福祉避難所が公開されていないため直接行くことができず、1次避難所に行き、その後福祉避難所に移動する方法についてどう思うか 質問5. 最近の記録的な大雨や超大型台風について心配なことがあるか その他自由記述 ■回答数と回答者の属性等 回答者数と件数 回答者数 79人 回答件数 103件 回答者の属性等 本人 34人 家族 40人 支援者 5人 合計 79人 ■障害種別(複数の障害がある方は該当するものすべて) 肢体不自由 4件 視覚 13件 聴覚 3件 身体その他 6件 知的 38件 発達 23件 精神 14件 難病 2件 合計 103件 P12 2.差別体験について ■差別体験の有無とその時期、受けた場所 差別体験の有無 ある 75件 ない 1件 その他 1件 合計77件 体験した時期 1年以内 31件 1年〜2年以内 34件 合計65件 体験した場所 仕事・職場 14件 病院・医療 14件 教育関係 11件 店・買い物・サービス 18件 家族 11件 地域 10件 乗り物 11件 合計99件 ■差別の類型ごとの件数 不当な差別的取扱い該当 14件 合理的配慮の不提供 15件 その他(暴言、ハラスメント・嫌がらせ、いやな思い、虐待など 40件 いずれにも該当しない 18件 合計 87件 3.好事例について ■各領域ごとの件数 全回答数142件 医療 19件 福祉 22件 商品・サービス 16件 建物・交通機関 10件 労働 7件 教育 9件 政治・司法・資格・行政 4件 私人間 44件 肉親 6件 判断不明 5件 P13 4. 差別体験アンケートの代表的事例(23事例) A 不当な差別的取り扱い (お店・買い物・サービスなど)1 ヘルパーさんと食べ物屋に入店しようとしたが断られた。 (お店・買い物・サービスなど)2 身体障害の方で、クレジットカードが作れず困っていた。 (不動産)3 賃貸物件を探すため不動産会社を数社訪問した。保証人のことや収入面などいろんなことを聞かれ、障害があること、生活保護を受けていることを理由に断られた。 (仕事・職場)4 該当する障害者の受け入れ実績がないことを理由に採用されなかった。 (仕事・職場)5 店で働いていたが単純作業しかさせてもらえなかった。 (教育関係)6 名前呼びの時に長く座っていられず、叱られて、教室の外に引きずり出された。 (教育関係)7 支援学級児童が交流をする際、通常学級の名簿の順番が50音順ではなく最後に追加されている。 (地域)8 店のエレベーターに乗る時、入れるスペースがあるのに一般人に「乗れません、無理です」と言われた。 (家族)9 必要ななことは筆談してくれるが大事なことは自分抜きで決められてしまう。 B 合理的配慮の不提供 (仕事・職場)1 職安の障害者窓口で求職者登録すると、最寄りの職安では紹介や相談に応じてもらえなくなる。 (教育関係)2 学校の避難訓練で、障害児だけヘルメットなどの身支度をさせられた。 (交通機関)3 バスに乗って、座席に座る前で手すりにもつかまってないうちに、発車されて危なかった。 (お店・買い物・ サービスなど)4 CDを探してほしいと店員さんにお願いしたが「今は忙しい」と断られた (お店・買い物・ サービスなど)5 電車に乗っているとき、次の駅のアナウンスが聞こえず、降りる駅がわからなく困った (お店・買い物・ サービスなど)6 TVの通信販売で申し込んだが、申し込みは電話対応のみでFAXでは受け付けてもらえなかった。 C 暴言を受けたり、嫌な思いをした事例 (教育関係)1 学校の同級生から「支援級の子は馬鹿だから支援級だ」と言われた (教育関係)2 学校の先生と相談して障害をクラスでオープンにしたら、無視や仲間外れが一層ひどくなった。 (交通機関)3 車椅子でバスに乗車する際、バスの運転手の方がとても面倒な様子でスロープを出していて、悲しかった。 P14 (お店・買い物・サービスなど)4 ファミレスで 店員から露骨な表情をされ、客もずずっと見て視線で追われる。 (地域)5 白杖で歩行していると、対向してきた人が「危ない」と私の連れに言って通り過ぎる。危険物扱いをされたようで、ヒヤッとすることも少なくない。 (家族)6 兄弟に障害者がいることで兄弟の婚約が破談になった。 (家族)7 法事で親戚から、子どもについて「暗い」「親の育て方が悪い」とひどい言葉を浴びせかけられ悲しい思いをした。 (家族)8 親戚から冠婚葬祭に来るなと言われた。 5.好事例 (特に社会の変化を感じる事例)(32事例) (領域) 1.医療 (内容)病院の看護師さんが薬とかでわからなかったらGHの人から電話してもいいですよと言ってもらえた。電話が苦手だからよかった。 (領域) 1.医療(内容)難聴だと伝えると、身振りや筆談などで対応してくれる (領域) 3.商品、サービス(内容)商品をビニールに入れられないとき、手を貸してくれて「甘えてください」と言われた時、すごく助かったし、嬉しかった。 (領域) 3.商品、サービス(内容)トイレ案内・店内案内を詳しくしていただく。特にトイレには行くごとに連れて行っていただきました。 (領域) 3.商品、サービス(内容)成人式の前撮りの時に、働いでる方全ての方が、障害があることを伝えなくても、感じ取って楽しくフォローしてくれました。本当に素晴らしいお店だと感動しました。 (領域) 3.商品、サービス(内容)どうしても声が出てしまう利用者との食事を終えたあと、お店のかたへの謝罪を行った際に、とってもすてきな笑顔で『また来て下さい!』っていって下さったときは救われました。 (領域) 3.商品、サービス(内容)スーパーのレジでお金を出すのが時間がかかっているとき、レジ係が急がなくてよいですよ!と声掛けしてくださって息子も対応できた (領域) 3.商品、サービス(内容)多くの方は優しく接してくれるか、見ないふりをしてくれている (領域) 4.建物、交通機関(内容)天神からのバス内では、乗車すると、運転手さんに座席を譲るようにアナウンスをしていただきました。(アナウンスの回数は満員のときには確率が高いように思います) (領域) 4.建物、交通機関(内容)電車の改札にてスロープの有無を優しく聞いてくれ、準備してもらった。 (領域) 4.建物、交通機関(内容)乗り物では乗客の方からほぼ席を譲っていただいたり、運転手さんには、「どなたか席を譲っていただけませんか」とアナウンスしてくださる方もおられ不自由はありません。 P15 (領域) 4.建物、交通機関(内容)電車を利用する際、車椅子で乗り降りなど対応が年々丁寧になっている感じがする。 (領域) 4.建物、交通機関(内容)乗りたい電車が車いすが入らなくて座席まで(前面展望席のため、かなり距離あり)介助をしながら移動になってしまったのですが、乗務員さんたちが一丸となって助けてくれた。降りるときも皆でならんで見送ってくださり、涙が出そうになりました (領域) 4.建物、交通機関(内容)バスの運転手さん、朝渋滞の混雑の中、天神バス停近くで、お客さんが下車後、白状を持った私をおりやすいようにバス停ギリギリまでバスを近づけてくれました。駅のタクシー乗り場から乗った運転手さん、自宅まで乗ったあと、玄関まで誘導してくれ、門扉の鍵まで開けてくれました。 (領域) 4.建物、交通機関(内容)職場で職員の人達に優しく指導をしてもらったり、楽しい話を交わしたりした ことで、成長できた (領域) 4.建物、交通機関(内容)2 度目の就労したての頃、職場での悩みについて支援事業所の方に会社と本人の 間に立ってていねいな支援をしていただいたことはとても有難かったです (領域) 6.教育(内容)先生の指示が読み取れず、集団行動についていけない時に、早めに丁寧に教え て貰った (領域) 6.教育(内容)ことばの遅れがあるので学校のみんなの前で発言する事が難しい状況ですが、 担任の先生がフォローしてくださり安心感を得て、発音が不明瞭ながら一人で 発表をする事ができました。 (領域) 6.教育(内容)共感してくれる同士がいた。 (領域) 8.政治、司法、資格、行政(内容)情報が欲しくて区役所には行ったものの、どこへ行けばよいのかわからないでいたら、丁寧に担当課を教えていただき、担当課でも通り一遍の情報だけでなく、以前調べた情報と前置きはありましたが手書きの情報をいただいた (領域) 9.私人間(内容)エレベーターを譲ってくれたり、ドアを持ってくれたり、何気ない心遣いをしてくださる方は少なくない (領域) 9.私人間(内容)買い物に行ったとき、入り口で待っているときに何かお手伝いしましょうかと声をかけてもらったり、電車が混んでいるときに席を譲ってもらったり、歩いているとき知らない子どもから挨拶しもらったした時。 (領域) 9.私人間(内容)慣れない路線でのラッシュ通勤で冷や汗ポタポタしていたら、ヘルプマークに気付いた男性の方に席を譲っていただいたこと (領域) 9.私人間(内容)近所の方からよく挨拶してもらったり、ぶどうのおすそ分けをしてくれた。騒いで迷惑かけた時も声を掛けてくれていました。嬉しかったです。 (領域) 9.私人間(内容)挨拶をしていただいたり、ご本人の挨拶に対して気持ちよく答えていただきました。買い物先では レジの際 お金の出し入れに時間がかかったのに 嫌な顔せずに待 っていただきました (領域) 9.私人間(内容)作業所の送迎車の停車場所の前にある会社の従業員の皆さんがいつも親切にし てくださいます。 P16 (領域) 9.私人間(内容)ゴミ出しのとき、雨が降っていて傘がさせないので団地の人がわざわざ家に来てくれてゴミ出しをしてくれた (領域) 9.私人間(内容)障害者トイレに女性が長蛇の列で並んでいた時、息子を連れて列に並んだら、隣でジュースを売っていた売店の女店員さんが列の一番前の人に順番を譲ってくれるよう頼んでくれた。列に並んでいた人たちも「どうぞ」と快く譲ってくれた。 (領域) 9.私人間(内容)こだわりが強く、毎日近所のマンションに寄っていた際、声をかけてくださり、それ以来現在も出会うと声をかけてくださっている。同マンションに何人もいらっしゃる。 (領域) 9.私人間(内容)大雨のとき、民生委員の方が電話で様子を聞いてくれた。 町内会長さんが会うと声掛けを良くしてくれる (領域) 9.私人間(内容)台風で不安なときに連絡くれた、とか、親族のお葬式で大変な時に声をかけてくれた、という何気ないことですが、それが大事なんだと思う。 (領域) 9.私人間(内容)地域では、通学中の小学生が障害のある大きなお兄さんに笑顔で挨拶してくれる事に感謝。 P17 U.現行条例と改正案比較表および改正理由 1.市民による障害者に対する差別の禁止について (現行条例)  規程なし (条例改正案) (以下赤文字が改正箇所)  第7条の前に下記の1条をおく 何人も障害を理由とする差別を行ってはならない。 改正理由等 ? 市民についても義務 ただし罰則規定はなし ? 条例は理念に留まっており具体性がなく、改正案によれば、障害者に対する差別に関して市民により強いメッセージを送ることが出来る。一方で、市条例では市民に対しては啓発啓蒙によるべきであり罰則規定は設けるべきではない。 ? 条例第2条第2号社会的障壁のベースにある社会モデルの考え方からすれば、社会を構成する全ての人を出発点としており、その意味で市民も差別解消に関する当事者であることから、市民についても義務であるべきである。障害者権利条約においても個人を排除しておらず、内閣の基本方針においても条例で規定することは認められている。 【参考】 ? 障害者権利条約 第4条 一般的義務 1―――締約国は、次のことを約束する。(e)いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するためのすべての適当な措置を取ること。(日本政府仮訳2009年版) ? 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」において、いわゆる上乗せ、横出し条例を認めている。 ? 市民に対して例えば合理的配慮の提供を求めることが、個人の思想・言論に入り込む恐れがあるとする考え方があるが、合理的配慮の提供はある行為を求めるものであり、言論の自由とは無関係である。思想の自由というが、そもそも障害者差別は正しいという思想及び差別行為と、障害者差別を解消するという法的価値観を比較すれば、後者が優先するのは当然である。 ? 福岡県条例が福岡市において適用されることは明らかであり、障害者差別を解消する方向で適用している県条例に対し、これを否定するような市条例はその法的効力が問題となる。 ? 「合理的配慮の提供」の範囲を、罰則はなしとしても市民の義務を「義務」にするかは、単なる文言や条例、法律、条約との整合性に留まらず、いかにこの条例の趣旨や障害のある当事者家族、支援者の思いを多くの市民に知っていただき共有化することが大切である。 17 P18 ? 福岡市の調査によれば条例等の周知状況が極めて低く、義務規定を通じて市民に周知をする必要がある。 【参考】令和2年度市政に関する意識調査 質問 障害者差別解消条例を知っていますか? 条例があることも、内容も知っている 5.1% 条例があることは知っているが、内容は知らない 21.0% 条例があることも、内容も知らない 72.0% 無回答 2.0% 質問 「合理的配慮の提供」という言葉や考え方を知っていますか? 言葉も考え方も知っている 9.4% 言葉は知っているが、考え方は知らない 13.0% 言葉は知らないが、考え方は知っている 21.5% 言葉も考え方も知らない 53.7% 無回答 2.5% ? 「何人も」不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供の義務付けをしている条例は岩手県、熊本県、長崎県、さいたま市などがある。 【参考】 滋賀県条例 第1章 総則 (県民および事業者の責務) 第5条 県民および事業者は、基本理念にのっとり、障害等に関する理解を深めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進等に関する施策に協力しなければならない。 第2章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策 第1節 障害を理由とする差別の禁止 第6条 何人も、障害を理由とする差別をしてはならない。 ? アンケートにおける差別事例 @ 本人(身体) お店のエレベーターに乗るとき、入れるスペースがあるのに一般人に「乗れません、無理です」と言われた。 A 家族 発達 法事の席で、部屋に入れなかった息子(自閉症)を見た親族から、皆の前で「暗い」「親の育て方が悪い」とひどい言葉を浴びせかけられ家族皆悲しい思いをした。 B 家族 精神 兄弟に障害者がいることで弟の婚約が破談になった。 P19 2.第7条(不当な差別的取扱いの禁止)第3号教育、療育及び保育の分野における次に掲げる取扱い (現行条例) ア 客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、教育、療育若しくは保育を行うことを拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を附すること。 (条例改正案) ア 教育、療育及び保育において必要と認められる適切な指導及び支援が行われないことについてやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、教育、療育若しくは保育を行うことを拒否し、若しくは制限し、又はこれらに条件を附すること。 改正理由等 昨年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し、9月施行となった。しかし、現場においては「客観的に合理的な理由がある場言いを除き」の文言を乱用して適切な対応が取られない恐れがある。そのような中、教育、療育及び保育において教育等を受ける権利を確保するために、条例において目的の明確化が必要であるため。 P20 3.事業者の合理的配慮の提供について (現行条例) 第8 条(合理的配慮) 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をするように努めなければならない。 (条例改正案) 第8 条(合理的配慮) 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 改正理由等 ? 内閣府の考え方は国連の考え方を基にしている。無差別・平等の考え方は民間企業に適用されることは明らかであり、障害による差別を撤廃 するため適当な措置をとることも条約に謳われている。 ? 条約は特定の場合を想定しており、均衡を失しない、過度の負担をしないという趣旨である。条約の趣旨から建設的な対話を通じて折り合える ことを目指している。 ? 合理的配慮の提供と過度の負担条項は対になっている。 ? 国において、昨年5 月障害者差別解消法改正法が成立し、事業者の合理的配慮の提供は義務となっており、国民的コンセンサスが得られている。 ? 令和3 年3 月のなくす会アンケート事例から→好事例、建設的な対話、事業者への研修、表彰制度の充実・活用に言及する。 ? 福岡市における調査における「合理的配慮の提供」に対する周知状況が極めて低く、義務規定を通じて市民に周知をする必要がある。 【参考】令和2 年度市政に関する意識調査 質問 「合理的配慮の提供」という言葉や考え方を知っていますか? 言葉も考え方も知っている 9.4% 言葉は知っているが、考え方は知らない 13.0% 言葉は知らないが、考え方は知っている 21.5% 言葉も考え方も知らない 53.7% 無回答 2.5% P21 【参考】A)アンケートにおける差別事例 (事例の中での事業者の合理的配慮の提供に関わるものの割合は17.2%(15/87)である。) @ 本人 発達, 精神 職安の障害者窓口で求職者登録をすると、その職安窓口のみ対応になり、最寄りの職安での求職紹介や相談ができない。 A 本人 視覚 学校施設全体の避難訓練なのに、自分たちだけヘルメットなどの身支度をさせられた。 B 家族 知的 大学病院の受付窓口で、多目的トイレ内でオムツ交換用のベッドの設置があるかと質問をしたが、(面倒くさそうに)「じゃあ今日だけ特別に診療台を貸します」と返答された。「今日だけ特別」に借りる気も失せ、他の商業施設へ立ち寄り交換した。 C 本人 身体:まだ座ってもいず、ポールにつかまってもいなかったのに発車され危なかった。 D 本人 視覚:CDを探してほしいと店員さんにお願いしたが「今は忙しい」と断られた。 E 本人 自閉症 病院(精神科)受診の予約の連絡をしたが、初診のときは来てから終わるまで3時間程度かかりますが大丈夫ですかと聞かれ、うちの子は待つことがなかなか難しいので、途中で待つことができなくなるかもしれなと伝えると、「それならうちで診ることはできません。他へ行ってください」と言われた。 F 本人 聴覚 電車に乗っているとき、次の駅のアナウンスが聞こえなかった。何度も聞こえないことがあり、降りる駅がわからなく困った。 G 本人 聴覚:TVの通信販売で先着〇〇人のTEL申し込みでFAXでは受け付けてくれなかった。 B) アンケートにおける事業者の合理的配慮の提供または「やさしくしてもらった」、「困った問題も解決できた」事例 @ 店舗で、障害者手帳に挟んでいた交通系電子マネーで支払をしようとしたところ、ゆっくりとした口調で説明しながら、丁寧な対応をしていただいた。 A 電車の改札口にてスロープの有無をやさしく聞いてくれ、準備してもらった。 B 歯科で障害を考慮した診察をしてくれた。 C 体重の増加でひざが痛いとき、作業所が配慮してくれて、座ってできる仕事をさせてくれた。 D 天神からのバス内では、乗車すると、運転手さんに座席を譲るようにアナウンスをしていただきました。 E バスの運転手さん、朝渋滞の混雑の中、天神バス停近くで、お客さんが下車後、白杖を持った私を降りやすいようにバス停ぎりぎりまでバスを近づけてくれました。 P22 4.意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について (現行条例) 第8条(合理的配慮) 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表示があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表示があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をするように努めなければならない。 (条例改正案) 第8条(合理的配慮) 第8条3項として以下を加える。 3 市又は事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、社会的障壁の除去について、障害者及びその家族その他の関係者が必要としている場合又はそのことが客観的に認識し得る場合、合理的配慮の提供をしなければならない。ただし、建設的な対話を通して、その実施に伴う負担が過重であることが明らかになった場合はその限りでない。 P23 改正理由等 ? 市民の合理的配慮の提供を条文で義務と規定するとともに、事業者の合理的配慮の提供義務が法において義務とされたことに伴い、意思決定支援の尊重にみられるようにすべての人が意思を有しているとの立場から、意思表示が明確でない障害者への合理的配慮の提供について義務とする。 ? 当事者の意思表示によるものと同等・並列に、客観的な必要かつ認識できる状況における合理的配慮の提供を条文においても明確にする。 【参考】新潟市障害者差別禁止条例 第2条(定義)4号 合理的配慮 次に掲げる場合において,障害のある人の人格,人権及び意向 を尊重し,障害のある人の性別,年齢,障害の状態等に応じて,社会的障壁の除去 の実施について必要かつ合理的な変更及び調整を行うことであって,その実施に伴う負 担が過重でないものをいいます。 ア 障害のある人が社会的障壁の除去を求めている場合 イ 障害のある人が意思の表明を行うことが困難であって,その保護者,保護者以 外の家族その他の当該障害のある人を支援する者が,その障害のあ る人のため に社会的障壁の除去を求めている場合 ウ 障害のある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって,そのことを 認識しうるとき。障害のある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって,そのことを 認識しうるとき。 【参考】(アンケートにおける差別事例) 家族 精神 身体拘束、PICU利用。成年後見制度担当者の本人の意思決定の無視。 ※PICU:こどもの集中治療室 P24 (現行条例) (啓発活動等) 第9条 市は、事業者及び市民の、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために必要な啓発活動を行うともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取り組みを積極的に行なうことができるよう、事業者に対し、情報の提供を行うものとする。 2 市長は、職員に対し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるための研修の機会を確保するものとする。 (条例改正案) (啓発活動等) 第9条 市は、事業者及び市民が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるために、福岡市保健福祉総合計画や障害福祉計画に数値目標を記載するなど計画的に、必要な啓発活動を行うともに、事業者が障害を理由とする差別の解消のための取り組みを積極的に行なうことができるよう、事業者に対し、情報の提供および研修を行うものとする。 2 市長は、職員が多様な障害のある人の状況を理解し、障害、障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めるため第1項と同様に計画的に研修の機会を確保するものとする。 (3項 追加) 3 第1項及び第2項の啓発活動や研修に取り組むに当たっては、障害者、その家族その他関係者の意見を聞くものとする。 P25 (現行条例) (表彰) 第12 条 市長は、合理的配慮をすることに関して功績のあった者に対し、表彰を行うことができる。 (条例改正案) (表彰) 第12 条 市長は、障害を理由とする差別の解消に関して功績のあった者に対し、表彰を行うことができる。 改正理由等 ? 福岡市が実施している市民意識調査においても、条例の存在やその内容について市民に周知されていないことが判明している。 ? 効果的に施策を実施するうえはモニタリングが必要である。そのため、福岡市保健福祉総合計画や障害福祉計画に数値目標を記載するなど計画的に実施する必要がある。 ? 啓発活動や研修を企画・実施するに当たって真に実効性あるものとするために、障害者等の意見を聞く必要がある。 ? 表彰を合理的配慮に関するのみでなく、障害者差別の解消全般を対象とすることにより、より多くの市民や事業者の参加が見込まれるとともに、差別の解消に向けての機運・取組みが推進される。 P26 (現行条例) (相談体制の充実) 第11 条 市は、第6 条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための相談の充実を図るものとする。 2 市は、前項の体制を整備するに当たっては、当該体制が次の各号のいずれかにも該当するよう考慮するものとする。 (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。 (2) 障害及び障害者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。 第2 節 障害を理由とする差別に関する相談等 (相談) 第14 条 障害者及びその家族その他の関係者又は事業者は、市に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる。 (条例改正案) (相談体制の充実) 第11 条 市は、第6 条の基本理念にのっとり、障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための環境の整備、相談員の専門性の向上をはじめとする相談の充実を図るものとする。 2 市は、前項の体制を整備するに当たっては、障害者の権利擁護の視点を踏まえつつ、当該体制が次の各号のいずれにも該当するようしなければならない。 (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。 (2) 障害及び障害者に関し専門的知識を有する者並びに当事者又は家族が相談を受けること。 (3)の追加 (3) 障害者差別が障害者の人権を侵すものであることを認識すること。 第14 条 障害者及びその家族その他の関係者又は事業者は、市に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる。なお、市は、相談窓口の所在を市民に周知すること。 P27 (現行条例) (審査会への諮問) 第17 条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7 条の規定に反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 (条例改正案) (審査会への諮問) 第17 条 市長は、前条の規定による指導又は助言(第7 条の規定に反することを理由としてなされたものに限る。)をした場合において、当該指導又は助言を受けた国、福岡県、福岡市又は事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わないときは、福岡市障害者差別解消審査会に諮問することができる。 改正理由等 ? 相談に関わる者の専門性を担保するため、職員の専門的研修が必要である。専門性のベースに権利擁護に関する理解が必要である。 ? 差別に関する相談における福岡市障害者基幹相談支援センターの位置づけを明確にするとともに、同センター職員の専門的研修が必要である。 ? 相談体制の整備の一つとして、身体障害者相談員及び知的障害者相談員及びピア相談員を条例の相談体制に関わるよう位置づけ、これらに対して専門的研修を行う必要がある。あわせて、福岡市障害者基幹相談支援センターとこれらの相談員が連携体制をもつようにすべきである。 ? 市内のすべての障害福祉サービス事業所に対して、相談に関する研修を行う必要がある。 ? 11 条に「身近さ」と「専門性」に加え、当事者主体、権利擁護の文言を入れる必要がある。 ? 17 条の逐条解説の「なお」以降は福岡市を手続きの対象から除外している。 ? 5 年前のアンケートでは行政が関わっている事例が多い。福岡市も事業者と同様に取り扱うべきである。 ? 対象機関として県、国の出先機関や裁判所の取り扱いが不明であるが、県、国の機関も対象とすべきである。審査会の審査対象に市、県、国の出先機関や裁判所も入れ、合理的配慮の提供においては審査会の対象とすべきである。 ? 逐条解説に相談以降のフロー図をつけるべきである ? 件数が減少している中、「相談窓口の周知には努力すること」との文言を入れるべきである。 P28 7.推進会議について (現行条例) 第5章 福岡市障害者差別解消推進会議 第22条(組織及び委員) 2 委員は、障害者並びに福祉、医療、教育、雇用その他障害者の権利の擁護につい て優れた識見及び実務経験を有する者のうちから、市長が任命する。 第23条(部会) 推進会議は、必要に応じて、部会を置くことができる。 (条例改正案) 第22条2項を以下のように改正する 2 委員は、障害者並びに福祉、医療、教育、雇用その他障害者の権利の擁護について優れた識見及び実務経験を有する者及び公募で応募した者のうちから、障害の状況の多様性に配慮することに留意し、市長が任命する。 第23条(部会) 推進会議に、次に掲げる事務を行わせるため、相談部会を置く。 (1) 条例第14条第2項の個別相談及び相談部会に属する委員が所属する機関が対応した障害を理由とする差別に関する相談について、問題解決に向けて分析及び助言(次号に規定する事項を除く)を行うこと。 (2) 条例第21条第1項第2号及び第3号に関する事項 (3) 条例第11条第1項の体制及び障害を理由とする差別に関する相談に係る対応のあり方を検討すること。 (4) 前3号に掲げるもののほか、障害を理由とする差別に関する相談に係る事項について検討すること。 P29 2 推進会議に、必要に応じて、その他の部会を置くことができる。 【趣旨・解説】 ○ 本条は、推進会議に部会を置くことができる旨を規定するものです。 ○ 令和2年3月現在、推進会議の部会としては、個別相談について問題解決に向けた分 析や助言を行うことなどを目的とする相談部会を設置しています。相談部会の所掌事務 などの詳細については、「福岡市障害者差別解消推進会議運営要領」で規定していま す。 改正理由等 第22条 ・当事者・家族の参加 公募委員制度の設置 ・特別支援教育関係者及び医師関係者の参加 第23条 推進会議相談部会の役割の条例における明記の必要 P30 8.その他・教育について (現行条例) 2章 基本理念 第6条 障害を理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる基本理念に基づき行こなうものとする。 (9) 非常災害時において障害者の安全を確保するため、非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。 (条例改正案) (9)を次のように改正し、現行の(9)を(10)とする。 (9)障害があることによる差別をしない人間の形成のための教育、療育及び保育の重要性に鑑み、障害のある人と障害のない人が共に生き、共に育ちあう社会を実現するため、可能な限り同じ場所で教育、保育及び療育を実施するよう努めるものとする。 逐条解説 条例第6条第9号として以下を挿入し、現行の第9号を第10号とする。 障害があることによる差別をしない人格の形成のための教育、療育及び保育を実施するためには、教育機関が医療機関、福祉関係者等の関係機関と連携するとともに、障害のある人にとって教育支援計画の作成を通じて必要な配慮・支援を行う必要があるとともに、教育に携わる職員の専門性の向上を図るための研修を実施することが必要である。 P31 改正理由等 ? 教育・療育・保育が果たす初期の人間関係における重要性に鑑み、教育・療育・保育における差別を認めない教育等の実施を基本理 念に謳いこむ。 【参考】アンケートにおける事例 @ 家族 発達 学校の同級生から「支援級の子は馬鹿だから支援級だ」と言われた。 A 保育士 発達 名前呼びの時に長く座っていられない時に、酷くしかられて、教室の外に引きずり出されたりする事が何度かあった。 B 家族 知的 市内の支援学級児童が交流をする際、通常学級における名簿の順番が50 音順ではなく最後に追加されている。 C 本人 精神 学校の先生と相談して障害をクラスのみんなにオープンにしたところ、無視や仲間はずれが一層ひどくなった。学校から通学を続けるなら医師の診断書を提出しなさいといわれ、私に許可なく主治医と学校が連絡をとって、主治医に学校にいくことは許可できない、診断書も書かないといわれた。 P32 9 アンケートにおける、その他、いまだに起こっている差別事例 福岡市の条例施行後2年が経過したが、今なお以下のような、障害当事者が嫌な思いを抱いたり、不当な差別的取り扱いがなされる事例が発生している。 @ 本人 発達, 精神 該当する障害者の受け入れ実績がないことを理由に採用されなかった。 A 支援者 身体(肢体)、知的 車椅子でバスに乗車する際、運転手がとても面倒な様子でスロープを出していたことが悲しかった。 B 支援者 施設に通所している身体障害者の方が、クレジットカードが作れず困っていた。 C 家族 知的, 発達, 自閉症 家のまわりを歩けば差別に必ず遭う。冷たい視線 面白がられて見物される。ファミレスで店員から露骨な表情で見られ、客もみな必ずずっと見て目で追われる。 D 支援者 知的, 発達 ファーストフード店で働いていたが単純作業しかさせてもらえなかった。 E 本人 持続性気分障害・強迫性神経障害 1人暮らしを希望し、不動産会社を数件見て回ったが、家を借りる際に保証人のことや収入面などいろんなことを聞かれた。その中で断られる理由が、障害を持っていること、生活保護を受けていることだった。 F 本人、家族 知的 新学期になり乗車する人が変化すると笑われたり指さしがある。父方の親戚から冠婚葬祭に来るなと言われた。 G 本人 視覚 道路、施設内、店内などを白杖で歩行していて、対向してきた人が「こらあぶない」と連れや子供に言って通り過ぎる。気を付けて歩いてはいるが、何か危険物扱いをされたようで、ヒヤッとすることも少なくありません。 H 家族 知的 ヘルパーさんと食べ物屋で入店を断られた P33 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員ご氏名 中原 義隆 委員 (改正が必要と考える条文) 記載なし (改正案)合理的配慮の不提供における相談対応結果(資料の12P表11)。「事業者調整にて納得」が10項目中一番多い。R1 →12件 50.0% R2 →9件 56.2% R3 →7件 63.6% 相談窓口は、110番窓口相談員2名であっせんも含めやっている。もっと相談員窓口の充実が必要である。相談員は窓口機能である基幹相談支援センターの育成が大事である。センター窓口相談員の研修を行い充実してほしい(条例検討会議からお願いしたことである。)他自治体の条例の内容を調べ、比較していただきたい。 1.調整あっせん 2.紛争解決 3.相談員育成 等々  (理由)地域に根差した実効性のある条例にするため。体制にする。 P34 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員ご氏名 松野 浩二 委員 (改正が必要と考える条文) 第4条第2項に追加 (改正案) 国との役割分担、相互連携、協力について明文化する (理由)障害者差別解消法の改定により、国との役割分担、連携協力について新設されたため (改正が必要と考える条文) 第8条第2項 (改正案) 事業所による社会的障壁の除去の実施に係る、合理的配慮の提供を義務化する (理由)障害者差別解消法の改定により、現行の努力義務から義務へと改定されたため (改正が必要と考える条文) 第11条第1項 (改正案) 差別を解消するための支援措置の強化として、相談に対応する人材の育成及び確保のための措置について明文化する (理由)障害者差別解消法の改定により、市の取り組むべき事項として追加されたため (改正が必要と考える条文) 新規追加 (改正案) 障害を理由とする差別及びその解決のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うように努める内容を明文化する (理由)障害者差別解消法の改定により、市の努力義務として新たに追加されたため P35 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員ご氏名 馬男木 幸子 委員 (改正が必要と考える条文) 前文 1行目 (改正案) かけがえのない個人として尊重され ?個人の尊厳が確保され (理由)・基本的人権に並ぶキーワードは、「個人の尊厳」であり、尊重より尊厳の方が適切。前文の文章の中で、個人の尊重が3度記載されているので、1行目は「尊厳」としてはどうか。 (改正が必要と考える条文) 前文 2行目 (改正案) 個性と能力 ?個性と可能性 (理由)・障害構造モデルでは、機能、能力ではなく、社会的不利という社会レベルの障害、環境要因が重視されており、能力に着目することは適切とは言えない。 (改正が必要と考える条文) 前文5〜6行目 (改正案) 物理的な問題に加え、・・・偏見などに基づく ?削除 (理由)・第2条(2)の定義との整合性を図る。 (改正が必要と考える条文) 前文9〜10行目 (改正案) 状況にあり ?いわゆる「親亡き後」等の現実があり (理由)・政策課題としての親亡き後の問題を表現する。 (改正が必要と考える条文) 前文10行目 (改正案) 非常に深刻かつ切実である。 ?深刻さを増している。 (理由)・当事者・親の高齢化、人口減少社会の進行による担い手不足といった推移を踏まえると、「増している」という表現の方が適当。 (改正が必要と考える条文) 前文18〜19行目 (改正案) 障害を理由とするいかなる種類の差別もない ?障害を理由とする差別のない (理由)・第2条(3)の定義との整合性を図る。 P36 (改正が必要と考える条文) 第1条1〜2行目 (改正案) 市の責務並びに事業者及び市民の役割 ?市及び事業者の責務並びに市民の役割 (理由)・障害者差別解消法改正により事業者による合理的配慮の提供が義務化された。 (改正が必要と考える条文) 第1条3行目 (改正案) 社会を構成する主体 ?社会を構成する権利主体 (理由)・人権・差別の問題で重要となる主体の概念は、権利主体。 (改正が必要と考える条文) 第1条4行目 (改正案) 参画し ?参加し (理由)・完全参加と平等という国連・障害者の十年の基本コンセプトから見ても、あえて「参画」と、用語を使い分ける必然性はない。逆に、分かりにくさを招くことも想定される。 (改正が必要と考える条文) 第1条5行目 (改正案) 実現に資することを目的とする。 ?実現を目指すことを目的とする。 (理由)・前文の条例を制定する目標との整合性を図る。 (改正が必要と考える条文) 第2条 1行目 (改正案) それぞれ当該各号 ?当該各号 (理由)・表現の重複を避ける。 (改正が必要と考える条文) 第2条(1)3行目 (改正案) 状態にあるもの ?状態にある者 (理由)・誤字の修正。 (改正が必要と考える条文) 第2条(4)1行目 (改正案) 障害者でない者 ?障害のない者※他の条文でも同様。 (理由)・第2条(1)障害者という用語の定義を受けた表現だと思われるが、障害者と健常者の分断を感じさせる表現で、違和感がある。条例の名称「障害のある人もない人も共に生きるまちづくリ」という地域共生社会の実現という基調にもそぐわない。 (改正が必要と考える条文) 第3条(改正案) 以下の2項目を追加。 ?市は、障害を理由とする差別に関する相談委対応する人材を育成し又はこれを確保する。市は、障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報(事例等)の収集、整理及び提供に努めるものとする。(理由)・障害者差別解消法改正により差別を解消するための支援措置の強化が盛り込まれたため。 P37 (改正が必要と考える条文) 第4条(改正案) (事業者の役割) ?(事業者の責務) (理由)・障害者差別解消法改正により事業者による合理的配慮の提供が義務化され責務となった。 (改正が必要と考える条文) 第6条 (1)1行目(改正案) 基本的人権 ?侵すことのできない永久の権利として国民に信託されたものである基本的人権 (理由)・憲法第97条(基本的人権の本質)の規定を引用。基本的人権の重みを表現する。 (改正が必要と考える条文) 第6条 (1)2行目(改正案) 生活を保障される権利 ?生活水準を保障される権利 (理由)・権利条約に規定される条項「生活水準への権利」を準用する。 (改正が必要と考える条文) 第6条(4)(改正案) 以下を追記。 ?家庭、学校を始めとする社会のあらゆる場面において、子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、学び合う心をはぐくむこと。 (理由)・交流を通じて障害又は障害者に対する理解を深めることは重要であり、より具体的に記載することで、さらなる理解促進ができると考える。 (改正が必要と考える条文) 第7条(3)(改正案) ア、イに加え、以下を追記。 ?障害者の年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育、療育又は保育が受けられるようにするために必要な指導又は支援を行わないこと。 (理由)・アの教育等の拒否、制限、条件を付すことを禁ずるだけでなく、受けられるようにするための支援を積極的に講じるべきと考える。 (改正が必要と考える条文) 第7条項目追加(改正案) 項目の追加。 ?スポーツ、文化芸術活動その他生涯学習の分野における次に掲げる取扱い(理由)・パラリンピックのようにスポーツや文化芸術活動は個性や能力を発揮し活躍できる分野であり、その機会を奪わないために、この分野における不当な差別的取扱いの禁止を記載すべきではないかと考える。 (改正が必要と考える条文) 第8条 2 3〜4行目(改正案) 合理的配慮をするように努めなければならない ?合理的配慮をしなければならない(理由)・障害者差別解消法の改正により、事業者による合理的配慮の提供について、法的義務とされた。 (改正が必要と考える条文) 第8条(改正案) 市及び事業者の判断に係る内容の説明を追加 ?市及び事業者は、不当な差別的取り扱いに該当しない正当な理由があると判断する場合及び合理的配慮の不提供に該当しない過重な負担になると判断する場合には、障害者にその内容を説明し、理解を得るよう努めるものとする。(理由)・「正当な理由」「合理的配慮の提供ができない過重な負担」がある場合には、建設的な対話のもとで相互理解が必要と思われるため。 P38 (改正が必要と考える条文) 第15 条 4 2〜3 行目(改正案) 福岡市障害者差別解消審査会 ?福岡市障害者差別解消審査会(以下「審査会」という。)(理由)・体裁を統一。・第17 条・第18 条(1)の福岡市障害者差別解消審査会は、「審査会」という用言に変更。 (改正が必要と考える条文) 第15 条 2 2 行目(改正案) 行うことができる。 ?行うものとする。(理由)・人間の尊厳の不可侵を定め、障害による差別の禁止を定め、これらの規定の下位規範としての差別是正措置を定めた条項では、「できる」規定は基本的に馴染まない。権利性を曖昧にしてしまうため。 (改正が必要と考える条文) 第17 条 4 行目(改正案) 諮問することができる。 ?諮問するものとする。(理由)・人間の尊厳の不可侵を定め、障害による差別の禁止を定め、これらの規定の下位規範としての差別是正措置を定めた条項では、「できる」規定は基本的に馴染まない。権利性を曖昧にしてしまうため。 (改正が必要と考える条文) 第18 条 2 行目(改正案) 勧告することができる。 ?勧告するものとする。(理由)・人間の尊厳の不可侵を定め、障害による差別の禁止を定め、これらの規定の下位規範としての差別是正措置を定めた条項では、「できる」規定は基本的に馴染まない。権利性を曖昧にしてしまうため。 (改正が必要と考える条文) 第19 条 2 行目(改正案) 公表することができる。 (理由)・人間の尊厳の不可侵を定め、障害による差別の禁止を定め、これらの規定の下位規範としての差別是正措置を定めた条項では、「できる」規定は基本的に馴染まない。権利性を曖昧にしてしまうため。 (改正が必要と考える条文) 第22 条 2 1 行目(改正案) その他障害者の権利の擁護 ?その他障害者の権利の保障(理由)・権利の擁護はアドボカシー活動を表現する用語として使われることが多く、委員を任命する分野を狭めてしまうことにつながりかねない。 (改正が必要と考える条文) 第22 条 3 1 行目(改正案) 職務上知ることができた秘密 ?職務上知り得た秘密(理由)・一般的な表現に修正。 P39 福岡市障害者差別解消条例改正に係る意見について 委員氏名 吉住 寛之 2022年6月20日月曜日 福岡市障害者差別をなくす会としての意見につきましては、世話人代表 向井公太から連盟で意見書が提出しているかと思います。ここでは、個人の委員として、それ以外の意見について4点提出します。 P40 「尊厳」の文言 1 改正が必要と考える条文 前文 2 改正案の概要 <○○>の箇所に「尊厳」の文言を追加します。 すべて人は、障害の有無にかかわらず、平等に、かけがえのない個人として尊重され、地域社会で自らの個性と能力を発揮しながら<尊厳をもって>心豊かに生活する権利を有している。 しかしながら、現実には、日常生活の様々な場面において、障害のある人が障害を理由として不利益な取扱いを受けているという実態が<あり、これまで障害のある人の尊厳が深く傷つけられてきている。> 3 理由 「Nothing about us ,without us! (私達ぬきに私達のことを決めないで!)」。21世紀初の権利条約である障害者権利条約が成立した原動力となったこのキャッチフレーズにみられるように、障害当事者の主体性(自己決定)が真に共生社会を構築するための原点です。差別の本質は、その個人の人間としての尊厳を侵害することであり、障害者権利条約や条例第6条第1号の基本理念にも「尊厳」と言う文言が明記されています。そのため、受動的な「尊重」のみならず、主体的な「尊厳」を前文に盛り込むべきだと考えます。 P41 条令の対象範囲 1 改正が必要と考える条文 第2条第1号 2 改正の概要 障害者の定義において、過去、未来、推測による障害、家族や関係者も加えるかどうかの検討が必要であると考えます。 3 理由 障害者権利条約一般的意見6号では、障害に基づく差別は、現在障害がある人、過去に障害があった人、将来障害を持つようになる素因がある人、障害があると推定される人に加えて、障害のある人の関係者に対して行われる可能性があるとされています。 ハンセン病国家賠償訴訟やハンセン病家族訴訟等の事例でも分かるように、障害に基づく差別は、その時点に留まらず、過去や未来にも渡り、また本人だけではなく、家族や関係者にも取り返しのつかない影響を及ぼします。 また、コロナ禍での多くの一般的な差別事案をみても、コロナ罹患者だけでなく、治癒した人、PCR陽性者や濃厚接触者等の推定の人、その家族、医療関係者に及ぶ事例を多数仄聞します。 そのため、差別は社会構造上の問題であり、条例の対象範囲について、これまでの3年間の相談実績を踏まえて、今一度条令の対象範囲を検討する必要があると考えます。 P42 差別概念の定義 1 改正が必要と考える条文 第2条第3号 2 改正の概要 条令では、差別概念の定義が無く、間接差別、関連差別、ハラスメントについての検討が必要であると考えます。 3 理由 障害者権利条約の差別の概念には、「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限」が差別とされており、間接差別、ハラスメント、交差差別、複合差別及び関連差別が含まれています。 また、障害者権利条約一般的意見6号では、差別類型として、@直接差別(関連差別含む)、A間接差別、B合理的配慮の不提供、Cハラスメント、があるとしています。 差別の定義・概念を明確化することは、障害者差別について社会的な 認識を広げ、差別の解消に資するものである一方、条令で差別の定義を設ける場合には、あらゆる差別を禁止している障害者権利条約との関係で、かえって条約よりも差別を狭く定義してしまうことや、条令の定義に該当しないものは差別に当たらないと捉えられてしまうことも充分に懸念されます。 そのため、これまでの3年間の相談実績を踏まえた福岡市の実情に合った差別の概念や類型化について議論が必要と考えます。 P43 情報アクセシビリティ・コミュニケーションについて 1 改正が必要と考える条文 第6条7号、第7条6号 2 改正の概要 障害者権利条約第21条及び障害者アクセシビリティコミュニケーション施策推進法第3条の趣旨・内容を踏まえて、情報の取得及び利用並びに意思疎通について、その手段や選択の機会の保障に留まらず、デジタル時代を見据えた誰も取り残されない情報の受発信者としての権利の主体性を確保した内容にすべきと考えます。 3 理由 2022年5月19日(木)、国会で「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が成立し、その趣旨・内容を的確に反映するために改正が必要だと考えます。 この法律では、障害のある人が情報を「受け取る」だけでなく「発信する」際も、主体的に自分がその手段を選択できることや、誰もがどの地域においても同一内容の情報を同一時点において情報を取得できるようにすることが基本理念に据えられています。これは、従来の社会が考える障害のある人の状況に合わせた情報の提供や機会の保障だけでなく、情報取得や利用の手段においても、障害の種類や程度に応じて障害当事者が希望する選択肢が充分に保障され、それらが円滑に利用できることが必要であり、これらが担保されてはじめて「情報アクセシビリティ・コミュニケーション」という人権が保障されることが明示されました。 特にデジタル時代において、全ての障害のある人が、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにする観点は、先の条例制定審議で充分に検討されてこなかったものです。 またこの法律では、国や地方公共団体の責務にとどまらず、事業者の責務(努力義務)や国民の責務、国・地方公共団体・事業者等の相互の連携協力や、当事者等の意見の尊重も明記されています。これは、情報アクセシビリティ・コミュニケーションの権利が、障害当事者の努力や歩み寄りなどの障害の医学モデルではなく、障害の社会モデルの考えにより社会にその対応責任があることを明確に示したものだと考えます。 そのため、情報アクセシビリティ・コミュニケーションの保障は、障害のある人が社会参加をするために欠かせない権利であり、以て障害のある人の尊厳や人権を確保することに繋がり、福岡市障害者差別解消条令にもその理念を反映させることが必要不可欠と考えます。 以上。 P44 委員ご氏名 吉田 真己 委員 (改正が必要と考える条文)第8条第2項(改正案)事業者による合理的配慮の提供について、現行の努力義務から法的義務に改正する。 (理由)障害者差別解消法の改正により、事業者による合理的配慮の提供について、法的義務とされたため。