第3回福岡市障がい者差別解消推進会議 議 事 1 今後の推進会議における条例見直しについて 資料1に基づき、事務局より説明を行った。質疑はなかった。 2 条例施行後の課題について 資料2に基づき、事務局より説明を行い、以下の質疑があった。 委員:「1 広報・啓発について」に「(2)ガイドラインの周知や合理的配慮の提供等に関する広報・啓発について」とあるが、資料に書いてあるように、市政に関する意識調査の中でも「条例も内容も知らない」という方が、この当時で72%。となっており、条例そのものの存在から啓発・周知をしなければならないと思ったので、具体的には「条例やガイドラインの周知」とする必要があるのではないか。また、資料の1(2)に「建設的な対話ができておらず、合理的配慮の不提供になっている事例が見受けられる。理解促進や建設的対話に関する啓発・周知を行う必要がある」と書いてあるが、啓発・周知だけではなくて、より具体性を持った研修が必要ではないか。 令和元年に条例が施行されて3年たっており、市もパンフレットや、啓発動画を作って障害者週間記念の集いの時に啓発や周知をしていただいているが、それとともに、例えばあらゆる関係の団体等に対する研修も必要じゃないかと思う。啓発・周知だけではなかなか中身が進まないのではないかという気がするが、いかがか。 事務局:資料の1(2)において、ガイドラインの周知に加え、条例の周知を入れたほうがいいのではないかということについて、年次報告書などさまざまな報告書に基づき課題をある程度抽出をしていることや、ガイドラインの内容やそもそも省庁の対応指針を何も知らなかったということもあり、このような形でまとめさせていただいたが、条例の周知なども引き続き取り組んでいかないといけないという認識があり、資料に記載をしているので、ご指摘のとおりと考える。 また、啓発だけではなく研修を行っていく必要があるのではないかというご意見を頂いたが、誰に向けた研修を想定されているのか。 委員:例えば障害のある人、障害者団体そのもの、条例の存在や合理的配慮の考え方など、特に合理的配慮の提供は施行まで3年の猶予があるが、法改正により事業者による合理的配慮の提供が義務ということになったので、例えば事業所も含め団体を特定せず、様々な場で研修をやっていく必要があるのではないか。 事務局:様々な方に研修を受けていただく取組みが必要ではないかという趣旨かと思うが、現在、出前講座や講習会に呼ばれて説明等を行っており、毎年度、推進会議において、前年度の研修等の実績を報告している。委員のご意見は、出前講座等を含めた広報・啓発をどう強化していくかというところでのご意見かと思う。今後の啓発におけるさまざまな手法については検討させていただければと考えている。 3 福岡市障害者差別解消条例改正に係る委員意見ヒアリング 事務局より進め方について説明の後、資料に基づき、各委員より説明があった(欠席委員除く)後、以下の意見交換があった。 委員:私も各委員の意見を聞き、多くの気付きがあった。私が一番感じるのは、いろんな条例が出ても、それを自分たちの住む地域社会の中に周知させるにはどうしたらいいのかなということである。 たまたま昨日、人権尊重推進協議会が校区であり、研修部会に私が配属された。今までいろんな人権問題の中から障害者問題を講座として取り上げたことはあったが、私が惜しいなと思ったのは、この前もここで意見を言わせていただいたと思うが、小学校で体験や障害者のお話などを学習している一方で、私たちが住んでいる地域の自治団体で学習をしようという形は進めているが、その材料というか教科書があるわけでもない。どの方に講師として来ていただいたらいいのかなというのが分からなかったが、ちょうど役所の出前講座があるということを今ここで初めて知ったので、早速、出前講座で申し込んで、地域で学習していきたい。 そういうことが知らされてない。私だけが知らなかったのかもしれないが、研修会を開いたり何かを地域に広げるためには、こういう手立てがあるということの広報は、力を入れていただきたいと思う。 確かに障害者教育は、人権とか社協とかいろいろ話には上がるが、どのようにして地域に知らせたらいいのか、研修会といっても年に1回するだけで終わりになる。それを定量的に継続的にシリーズ的というか、第1回、第2回、第3回と長く続けていくことで初めて、地域の中で障害のある方、ない方との交流があるのではないか。 校区でスポーツ振興会の人たちが一緒に障害者スポーツを勧めているが、参加するメンバーが同じ。どうしたら皆さんに一緒にスポーツを楽しむことができるのか。 指導者になるその委員会の委員は、町内の人たちであり、その人たちの研修の場に広報・周知も含めて目を向けていただきたいと思う。子どもたちと一緒に私たちも体験学習ができたら本当にいいなと思う。 委員:私も意見発表させていただいた出前講座の話に関することだが、私たちが取り組んでいるのは、小中学校、それから事業所も一部あり、そういう方々からの依頼を受け、実施しているが、先ほど委員がおっしゃったとおり、なかなか周知できていない。 団体のホームページにも出前講座関係を掲載しているが、中心になるのは学校になる。教育委員会では福祉に関する学習が必要だということで進めてあるため、対象は学校が主体になっている。でも実際には、日常生活の中で私たちが外に出る機会を与えてもらうためには、やはり一般市民の方々、より多くの方々に理解していただくことが必要になる。そういう意味では、もっともっと私たちもいろんなところに声掛けをしながらやっていく必要があるのかなと、今ご意見をお伺いして感じた。できれば各地区の公民館でもこういう講座的なことができると、もっともっと一般市民の方に周知できるのかなと感じた。 委員:委員の皆さんから出された意見で、法が改正されたので条例もそれに合わせて合理的配慮を法的義務にしましょうという話は当然出てきたが、事業所の方に合理的配慮を義務だと言っていく前段階として、合理的配慮をしやすいような事前の環境整備をしていくことが必要になると思う。事業所の方にそういうことをお願いするのはお金も伴っていくので、それは市が財政措置を講じるという、条例第13条の関係かもしれないが、合理的配慮を義務化するに当たって、財政上の措置ということで何かやっていけないかなと思った。 あと、資料43ページの「情報アクセシビリティ・コミュニケーションについて」という視点はすごく大事だと思う。そういうふうに発信したり受信したりすることができるようにしなければならないと言うだけでは、やっぱり何か足りないなと思う。 結局、そのために必要なお金の話も伴ってくると思っていて、その辺りは条例で定める話じゃないのかもしれないが、積極的にやっていけないかと思った。 委員:各委員から相談体制について多く意見が出された中で、事務局からも相談体制について、内閣府の調査を引用して、20政令指定都市中、ワンストップ窓口があり、一貫して調整、完結しているというお話があった。調査報告書の提言の中で、地方公共団体の窓口において、明示的に差別解消窓口が必要であるというふうに書かれていたのが、福岡市だったら障害者110番という形だと思うが、それが明示的だと言えるのか。障害者110番は障害者差別についても受け付けるといった、何かもう少しダイレクトに分かるようなことも必要と思う。 それから提言の中には、日常的な困り事の中に実は差別事例がたくさんあるんだと、それをくみ取っていくことが必要だということも紹介されていたが、まさに前回、条例を制定するに当たり、身近な相談機関ということでたくさんの区障害者基幹相談支援センターができたが、この3年間の実績を見るとほとんどそこから事例が上がってきていない状況があった。第1回の会議で、23名のコーディネーターが配置されて、相談体制を充実させていくという話があった中で、内閣府の調査の提言書にも、相談の人材育成のための研修プログラムやマニュアル、そういった差別事例など人権問題にセンシティブに対応できる相談者の育成が大事だということが書かれていたりするので、こういったことを含めた相談体制の充実が非常に大事なのかなと思う。特に、条例制定時に、身近な相談からこういったものを拾い上げていくという理念があったと思うが、そこが 3年間では残念ながらできていない。これは大きな想定外の課題だと思うので、そこを何とかクリアしていくということも、今後、具体的な仕組みとしてどういうことが必要なのかということを考える必要があると思った。 委員:委員のご意見の中で、特に第7条の「スポーツ、文化芸術活動その他生涯学習の分野」と、障害者の社会参加の視点の条例がなかったことを改めて、賛同する。それから、意見では、第3条に差別解消法改正により差別を解消するための支援措置の強化に関する項目の追加があったが、これは第11条の相談体制の充実の規定にあってもいいなどがあったらお聞きしたい。また、前文の5行、6行目の、「物理的な問題に加え、障害のある人に対する誤解、無理解、偏見などに基づく社会的障壁が存在している」を削除するというご意見に関して、この文言は条例制定時に、当時のつくる会がさまざまなアンケート事例に基づいて、なぜそういった偏見差別が生じるかというのを、こういった社会的な風土や意識によるところが大きいといった考えで提言させていただいた。そのため、必ずしも社会的障壁の説明ではない、イコールではないということを前提としながら、割と強調して提言させていただいた経緯がある。相談に関しては、第3条なのか第11条なのか分からないが、私もぜひ盛り込みをお願いしたい。 委員:先ほどおっしゃった第3条に関する意見は、第11条の相談体制に集約してもいいのかなと思った。 前文に関しては、意見として提出したが、私も拝見させていただきながら、おそらく最初の条例を作られる時にいろんな議論があってのことだろうなとは思っていた。その経緯を尊重することも大事なことだと思う。 意見交換 委員:市が作成した啓発動画は「私が助けて助けられる話」というテーマで、障害のある方もない方もwin-winの関係で、とてもいい動画だなというふうに思っている。見ていても軽やかで且つ重たくなくこういうふうな動画が市内あちこちでこれからも見受けられたらいいのではないかなと思う。作っていただいたことに大変感謝している。 昨年市が作成した小学生向けのリーフレットは、win-winの関係というか、どちらかというと「お願いします」という部分が強いリーフレットであった。私は違和感を感じており複数の方からも同じ感想を聞いたので敢えてここで申し上げておきたい。 もう1点、啓発動画の広報の方法として、YouTubeでいつでも見られるようにはしてあるが、通信環境が整っていないところでも見られるように、DVDにして市内の図書館などに置いていただくという方法はいかがだろうか。検討をお願いしたい。 事務局:啓発動画は、YouTubeだけではなく、区役所窓口やソラリアビジョンなど、さまざまなところで流していただくような取り組みを進めており、今頂いたご意見を踏まえて、さらに啓発を進めてまいりたい。 委員:資料1、資料3にもかかわってくるのかもしれないし、先ほど委員意見にもあったが、合理的配慮というものが何なのかという時に、定義としてどういうものを定義するかということもあると思う。けれども今現在、意識されていないというのは、ガイドラインを知らないというのもあるとは思うが、建設的な対話が非常に重要であると、当事者の間で。そこが今までいろんな啓発関係のものを見ても、重要視されていないのかなと。 ただ、現実の紛争の場面では、例えば職場の中で、降格という話の時に非常に重要になってくるのが、確か、ある程度法的な性格があるガイドラインだと思うが、障害のある当事者の方と人事当局のほうで、問題解決に向けた対話がされているかどうかというのは非常に重要な要素になる。 一昔前には、合理的配慮の好事例とされていた、学校の中でエレベータを設置するお金がないということで1階にしましたと、いろんな団体で好事例として挙げられていたケースがあると思うが、あれも結局、対話を続けていけば、周りの同じクラスの人にずっと1階というのは非常に申し訳なかったと、そういう負担があったとか、対話がうまく継続していましたというところが、色々な団体に対してあまりうまく伝わっていないような気がする。 そこをどうしていけばいいのかなと、今後の広報とか研修とか啓発についてはそこが非常に重要じゃないかなと思っている。言葉にしてしまうと、合理的配慮の定義は何ですかという話になると思うが、そこを意識していったほうがいいのかなというのを、今日のご意見を聞いていても思った。 委員:それぞれ委員の皆さま方から頂いたご意見をなるほどなと思いながら聞く一方で、例えばこれから事務局を預かるものとして、どうご提案をまとめていくかという思いも持ちながら聞かせていただいた。 個々の話は抜きにして、この条例自体、基本理念が第6条にある一方で、今日のご提案を聞いていると、ところどころに基本理念と実際に現実的な対応を求めるものが、そのまま置いてしまうと混在してしまう形になるかなと、どうまとめていこうかなと。 それと現実的な対応としてこれから考えていく時に、例えば一例として、小学校で啓発をしましょうという話になった時に、小学校は小学校で、啓発を義務付けられるとものすごく苦しい事情があったり、それぞれの立場からのお話もあるため、そういったところを踏まえて、これから意見を頂いてどうご提案をまとめていくかという思いを持ちながら、ただ、すごく皆さんが熱い思いで改正を目指してくださっているので、それをどう調整していけるかなと思って聞かせていただいた。 いずれにしても、頂いたご意見を真摯に踏まえて、事務局、そしてまた委員としてしっかりお聞かせいただきたいと思っている。