令和4年度第1回差別解消推進会議議事要旨 委員紹介 改選後初めての推進会議であるため、各委員の紹介を行った。 議 事 1 会長・副会長の互選 会長に河谷委員、副会長に清水委員が選出された。 2 福岡市障害者差別解消推進会議について 条例パンフレット及び資料1に基づき事務局より説明を行った。 3 相談部会委員の指名 資料2に基づき事務局より説明を行ない、以下の質疑を踏まえ、全員賛成により原案のとおりとされた。 委員:基本的には反対ではないが、ほとんどが聞こえる方々、また障害はあるけれども聞こえる方々として音声言語をコミュニケーションとされている方々である。 今後、障害当事者のそれぞれの代表というか、障害者によって文化やさまざまなものが個々に違うため、そこを考慮していただきたい。 事務局:原案にも当事者の方が含まれている。また、相談部会に関しては必要があれば当事者の方を参考にお呼びするといったこともできるようになっている。 事例によって、必要があれば当事者の方に来ていただくことはできると考えている。 委員:推進会議の委員や相談部会の委員について、障害当事者や家族の構成割合や専門家の構成割合を事務局はどのように考えて委員を選ばれたのか、考えをお聞きしたい。 多様な方の意見を聞いて建設的な対話を導いていく推進会議で様々な立場の方の意見をまとめていく中で、特に障害のある人の当事者や家族の意見をより広く知っていただくことも非常に大事と思う。そのため、構成割合について、また男女の割合等について、事務局としてどのようにこの委員を選ばれたかお尋ねしたい。 事務局:構成割合に関しては、推進会議委員を改選前の22人から26人に増やすとともに、当事者・家族の方を改選前の5名から7名としており、さらに当事者の方の声を推進会議に反映できるようにしているものと考えている。 男女比に関しては、福岡市の男女共同参画の計画上、女性委員の参画率が4割を超えるという目標があり、推進会議では4割を超えている状況である。 委員:そういった当事者や家族、また男女比の差と、きめ細かく配慮されてこの会議が構成されているということが可視化されて伝えると、より多様な意見をまとめて良い議論にできるのではないかと思う。そういったことも皆さんに分かるように提示してもらうと、よりいいのではないかなと思う。 4 福岡市障害者差別解消推進条例の見直しスケジュール 資料3に基づき事務局より説明。 委員:この条例ができる前に検討会議が8回、福岡市で開催され、条例の内容や30名近くの委員さんのご意見とかを整理した報告書が29年5月に福岡市からまとめていただいた。その報告書の中身は、様々な立場の方の条例に対する思いや考え方がまとめてあるので、次回の推進会議にその報告書、29年5月に福岡市がまとめられた報告書を資料として提出をしていただきたい。 なくす会で昨年の3月に福岡市の市民の方に対して、差別や福祉避難所、コロナ対応のことなど、5項目くらいのアンケートを行わせていただいた。差別に関してもいろんな事例とか障害のある方のご意見、感想をいただいたところであり、それを基にほぼ1年かけて、なくす会で現在の条例の改正要望を8項目にまとめて昨年12月に障害者支援課に提出した。 その会の要望書について、内容的にはアンケートを踏まえて要望をまとめたという作り方なので、できれば次回の会議に要望書を資料として提出をさせていただきたい。あるいは、その要望書について時間をいただいて、会からご説明をさせていただけないか要望したい。 また、今年度の2回目から7回目の推進会議の審議事項について説明があり、審議の内容が国との関係もあって前後するというお話があったが、できれば、例えば2回目に行う事、5回目、6回目に行う事など、推進会議で審議する粗のスケジュールを出していただければ、われわれも意見を整理して中身の濃い推進会議になるのではないかと考えている。 事務局:条例検討会議の報告書を資料として提出していただきたいということに関しては、可能と考えている。 大まかな審議の予定については、資料3の裏面に「審議事項予定」と書かれた枠囲みがあり、おおむねこの上から下に向かって会議を進めていきたいと考えている。第2回に関しては条例の施行状況の説明や施行状況に関する委員の意見をお伺いするといった機会になると考えている。第3回目で、条例改正に関する委員の皆さんからのご意見をいただけるような場を作りたいと考えている。 第3回に各委員からの意見と併せて要望書のご説明をいただくようなことになればいいのかなと考えている。 委員:先ほど、福岡市障害者差別解消条例のパンフレットの5ページに、事業者による合理的配慮の提供は努力義務、「するように努めなければならない」と書いてある。これは平成31年度1月1日施行の際作られたもので、今後、改定を予定しているとは思うが、事業者に対して合理的配慮の提供が義務になるということについて、法改正以前にアナウンスしたほうがい いと思う。こういう方法で検討されているというようなことを市としてアナウンスしたほうがいいと思うが、いつ頃の改定を検討されているのか。例えば、パブコメが出た段階でやるのかなど、考えておられることがあるのか。 事務局:基本的には当然パブリックコメント手続きを行う段階などで、条例を見直し、事業者による合理的配慮の提供が義務になるといったことが出てくるが、条例の見直しと国の法律の改正は別に考える必要があるため、国の法律の動きなどを見ながら、必要に応じて周知していかなければいけないと考える。 委員:今後の条例見直しについてのスケジュールだが、国の動きに合わせてのスケジュールだろうと思う。 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が今年の4月、先日も国会を通ったばかりで、多分夏ごろには国会で採決される見通しにあるのでないか。その情報アクセシビリティについて新しいバリアフリーを設けていくと、そことの絡みもあると思うので、それに合わせて福岡の条例の見直しも含まれるのではないかなと思っている。この先になると思うが、2回目なり、3回目なり、4回目なりのこの会議の時に合わせて、その情報分野についての取り組みについても盛り込んでいくような、そういう差別解消条例を見直していくことを希望している。 事務局:条例改正に当たっては委員の皆さまのご意見をお伺いする機会などもあり、ご意見を踏まえていろいろ検討していきたい。 委員:今後の議論について短いスケジュールで、スケジュール配分するのは大変だなと思っているが、私としては2点取り上げたい。 条例の見直しなので、先ほど委員も言われた条例制定時の検討会議の内容と、実際に条例が施行された後、障害者110番を中心に相談部会がしっかり具体的な事例を通して成果あるいは課題、あるいは啓発の必要性というのが一定の蓄積があると思う。理念も大事だが、実際に蓄積された相談部会の事例、議論できる範囲の情報でいいので、しっかり2つのベースを置いて議論していただきたいなと考えている。 特に検討会議の報告書は、私も条例整備の検討会議に参加させてもらったが、今回の法改正につながるような合理的配慮の問題、相談体制の問題、こういったところはしっかりと、賛成・反対は別にして当時の委員の方々の見解、あるいは福岡市の見解が明記されている。検討会の資料を皆さんも見ていただいて、その上で議論していただければというふうに思っている。 5 障害を理由とした差別の解消に資する取り組みの共有について 資料4に基づき事務局より説明。 委員:障害者団体はたくさんあり、それらの団体にも事例を集めてくださいというふうにお願いするのかどうか。障害者団体にもお願いしていただきたい。たくさんの情報を、好事例を持っていると思うので、それを出していただくようにするのも大切なのかなと思う。 事務局:今後の検討はさせていただきたいとは思うが、昨年は推進会議の関係機関の中での情報共有ということでご説明している。 例えばなくす会におかれては、様々な団体が構成団体として参加されていると思うので、そこに構成されている当事者の団体の方にも当然お聞きいただけるものと思っている。そのため、まずはこの推進会議の場にご参加いただいている委員を中心にご照会をさせていただければと考えている。 意見交換 委員:参考資料について、令和元年度の相談が72件、そして令和2年度が38件、昨年度が33件、相談を受ける件数が少しずつ減ってきている。減少している理由を説明していただきたい。 もしかしたら障害者差別解消条例が市民の皆さんに啓発となって、意識が高まった、そういういい効果なのかどうか。または、相談をどうしたらいいのか分からないということで相談がないのか。そこら辺のところがもし分かれば教えていただきたい。 事務局:過去、令和元年度からの数字が減っている理由についてのお尋ねだが、正直なところ詳細について分析ができているわけではない。理由ははっきりとしたものは分からないところはある。 令和元年は当然、条例が施行されて皆さんの意識というのもいろいろ高まってきたところもあるかと思うが、令和2年度、令和3年度は新型コロナウイルスの影響があって、まずは人と人との接触をなるべくしないということも影響しているのかなと考えている。 特に三密を避けるとか新型コロナウイルスの感染予防といったところで、障害のある方が社会に出る機会が、新型コロナウイルスがなかった頃に比べると減ってきている面はあるのではなかろうかと思っている。 委員:次回以降、国の動向を踏まえて、福岡市の条例についてもこれまでの状況を踏まえて改正に向けての議論をしていくということだが、20何人もいらっしゃる会議の中でより効果的に議論を行うためには、いろんな工夫が必要なのかなと個人的には考えている。 せっかく20何人のそれぞれの見識を持った素晴らしい方もいらっしゃるので、例えば実際に相談部会に挙がった事例を個人情報にかからない形で、具体的な事例を通しての学習をして、この問題についてどう考えるのかといったような何か工夫があると、今後議論する上でも抽象的なやりとりにならず、より地に足を付けた議論になっていくのではないかと思う。 議論の仕方のために何か具体的な事例を兼ねた学習会的なものや、少しグループ討議みたいな時間を設けるとか、何か議論を進めるに当たってより効果的に、より中身が濃い議論をするための工夫を考えていただけると、より生きていくのではないかと考えている。 事務局:どういった形で見直しの議論をしていくのかというのは検討させていただければと思う。具体的な資料を通した研修会といったところに関しては、個人情報は当然事例から除いたとしても、公開の場でやることがなかなか難しい。相談事例が公開の場の資料として残っていることに関して、相談をした方は、やはり差別を受けたということでご相談されているところも考えると、どういったやり方がいいのかというのは検討していくことが必要と考える。 委員:その点は非常に大事な点だと思う。ただ、ほかの自治体では事例を公開している、個人情報に配慮して公開をしているところもあるので、何か具体的な事例を基にしないとなかなか議論がかみ合わないところもあるのかなと考える。ぜひその点を慎重にご検討いただければと思う。 委員:私は発達障害者親の会の会員で、福岡市の条例パンフレットの最後のページにも掲載されている、ヘルプマークについてお話ししたい。 西日本新聞で、てんかんのある女子高生の方がヘルプマークをつけることで、一人で学校に行くことができるという記事を読んだ。発達障害と同様、外見では分かりづらい病気や障害のある方が、対処方法や緊急連絡先が記入されているヘルプマークをつけることで、親御さんも一人での通学を送り出すことができているとのことだった。以前、年頃の女の子がヘルプマークをつけていたことで性被害に遭った事例があると聞いた。一方、こんな活用事例もある事が分かり、心が前向きになった。先日県庁には、一階情報コーナーの扉にヘルプマークのポスターが貼ってあった。私の親の会でもヘルプマークをいただきに伺った。発達障害はなかなか外からは見えにくい障害なので、ヘルプマークをつける勇気がもてない方も多いが、必要な方にはどんどん届けてほしいと思っている。 あと一点、4月15日の市政だよりに、各区の障害者基幹相談支援センターの一覧表が掲載された。市政だよりに載ることでより多くの方に知っていただけると思っている。このような広報活動も継続してお願いしたい。 委員:ヘルプマークと障害者基幹相談支援センターについて伺いたい。まず、ヘルプマークと別に、福岡市はヘルプカードを発行しており、常に外に出すのではなくて、カードに必要事項を書いて持ち歩きするというものになっている。以前からヘルプマークを福岡市も発行してくれないだろうかというお話はしていたが、やっぱり福岡市はカードになるのか。また、基幹相談支援センターのお話が出たが、相談事例の件数も先ほど委員のほうから年々減っているという話が出ている。その中でメインは障害者110番のほうに相談が来ているが、福岡市に14カ所ある基幹相談支援センターにはほとんど1件も上がってきていないという実例がある。 上がってきていないということは、考え方によっては非常にいいのかなとは思うが、0ということは普通あり得ないと思う。3年間経過しても、地域の中でより良い相談を受けるという形で基幹相談支援センターがあるわけなので、その中で1件も上がってこないというのは、やっぱり様々な課題があると感じている。 事務局:ヘルプカードについては、裏面に対応してほしいことが書けるようなものということで、これは市として作成し、配布している。併せて、ヘルプマークについては、作成・配布の主体は福岡県になり、福岡市は福岡県からの依頼を受けて、区役所窓口などでヘルプマークを配布している。われわれとしてはヘルプカードもヘルプマークも、両方啓発できればいいかなと考えている。 基幹相談支援センターの件について、令和3年度は基幹相談支援センターからの相談は2件となっているが、過去の年度では相談が全くない年度や、あっても1件であるなど、現状では基幹からの相談の件数は少ないと考えている。 相談は障害者110番でも受けて、各市内14カ所の基幹相談支援センターでも受けることにはしているが、基幹相談支援センターに個別具体的な相談があれば、障害者110番につなぐというのが今の基本的なルールとなっている。ここに挙がっている2件や、あるいは過去の件数というのは個別具体の相談として基幹相談支援センターが障害者110番につないだ件数になっている。 それ以外の一般的な差別に関するご説明などの相談というのは、基幹相談支援センターでも場合によっては受けられているかとは思うが、やはり障害者110番に上がってくる件数は少ないという現状はある。 令和2年度は区の基幹相談支援センターの主任クラスが集まる会議の中で、改めて差別に関するご説明などを障害者110番と連携して行っている。そういった差別に関して区の基幹相談支援センターに対していろいろ説明する機会を、今後とも増やしていかないといけないかなというのは考えている。 委員:福岡市が昨年12月に初めて合理的配慮、あるいは社会モデルを分かりやすく説明するということで、啓発動画を作られた。特に若い方々30歳未満の方々にも分かりやすくというコンセプトで作られた。 一定のところでアップはされているが、せっかく今日、障害者の差別の解消を目的とした委員の方々を通してそういった啓発動画を広げるようなお考えを持ってあるのかどうか、啓発動画の今後の使い方をお伺いしたい。 2点目は、先ほどの条例の見直しであるため、相談部会で精査された事例を通した課題、それから成果、あるいは啓発に資するような事例、全てでなくていいので、典型的なそういった見直しをするような事例を個人情報に配慮した範囲内で、この委員会の中でも共有させていただけるかどうかお願いしたいが、この点について事務局にお答えいただきたい。 事務局:動画に関して、現状ではYouTubeに上げており、市のホームページからも閲覧可能となっている。 また、それとは別に、例えば区役所のデジタルサイネージやソラリアステージのビジョンでも、定期的に短いバージョンを流していただくようにお願いをしている。 昨年では、短いバージョンを期間限定ではあるが、JR博多シティのビジョンなどでも流していただくという取組みはしている。 一番長い本編の動画などに関しては、時間の関係があるので、いろんな関係機関の具体的にどこかのビジョンに流していただくというのはなかなか難しい部分もあるとは思うが、例えば各団体さんに市のYouTubeのリンクを貼っていただけるようにお願いをするとか、そういったことは今後検討していきたいと考えている。 それから事例の話はご意見として承らせていただきたいとは思っているが、こちらから条例改正に資する事例というのをどういうふうに出していくのかは個人情報の問題などいろいろあると思うため、そこは引き続き検討ができればと考える。 委員:啓発動画については、より良い啓発をするためにという協議会のテーマがいつか推進会議であった時に、各委員の方々も啓発動画を見てどうだったかとか、改善すべき点があるのかないのか、そういったご意見を頂くような場をつくっていただきたい。 事例については、条例に資する事例については課題、それから成果。やっぱり善処したもの。それから啓発に資するものを一応検討していただきたい。あとは今後の議論に委ねたい。 委員:先ほど条例制定に当たって当時の報告書を参考資料としてご提出をという要望について、条例制定の時にさまざまなご意見を頂戴して、それをまとめており、資料としてお出しするのはある意味当然かなと考えている。 一方で、今回の改正は、条例を既に制定して、実際の施行の状況、国の動向を踏まえながら改正案をどうしていくかというところが主眼である。このため委員の皆さまも代わっており、制定当時とは状況も変わっている。このため参考資料として出させていただく報告書、これは1つの見識として重要ではあるが、一方では、新たに委員となっていただいた方々がそこにとらわれる状況にならないように、特に新しい委員の方々におかれましては、自由に事務局にご意見を頂戴できれば。 次に、皆さま方から具体的な事例ということで意見をいただいているが、事務局の回答がなかなか前向きではないというふうにお受け止めかと思う。これは正直なところ、事例を出された方のご了解を頂くという点もあり、非常にシビアな話である。オープンになったあとに、「あれは自分の事例じゃないの?」といった、ご本人の了解を得ていないということになった時にリスクがあまりにも大きすぎるということで、非常にクローズのところで出させていただいているところもある。 だからといって、事例を出すつもりがないということではなく、あくまでご意見を出された皆さま方とお話をさせていただきながら、「この辺まででどうでしょうか」と、少し探りながらというところがあり、ご理解をいただければと考えている。 最後に委員から、基幹相談支援センターのお話をいただいたが、今般、福岡市は23人コーディネーターを増やすことができ、丁寧な対応をしっかりとさせていただきたいと思っている。