第2回福岡市障害者差別解消推進会議議事要旨 議 事 1 相談部会長からの報告 資料1に基づき委員(相談部会長)より説明 委員: 10月31日までの差別の事例、相談を受けた数についてだけは、障害者差別の事例がまだまだあるということで皆さんにも理解していただく趣旨から、推進会議の中で、年度途中の実績だけは報告してもいいのではないか。 事務局:件数だけでも都度この会議の場で報告したほうが良いのではないかというご意見を踏まえて検討させていただく。 委員:資料1の相談案件の(2)の個別事例の後半部分で、差別に該当すると考えるが、本人がその後の調整あっせんを希望されず、差別の解消に向けた取組みをこういう場合は挙げるべきかどうかという議論になったとあるが、どういう議論になったかを報告していただきたい。 委員:例えば、関係の企業や団体などに対して、あるいは行政に対して、本人が受けた差別の解消に向けてどう対応するかというところになると、ご本人がいろんな理由で「対応はもう必要はない」というお話があった。  相談部会としては、まずご本人の気持ちを大事にしなければならないということは当然だが、同時に、ご相談があったケースの課題、あるいはその課題の重要性について相談部会としてどう考えるかというところで、今後そういう事例が出てきた場合については、例えばご本人の希望を尊重して事業者に働きかけないのか、行政に働きかけるのかなど、部会の中で取扱いについて意見交換をして、その結果の対応になると思う。 委員:あくまでご本人の意思であるため、対応は意思を尊重するというのは当然だが、差別を繰り返さないということで、そこから何かしら考えなきゃいけないテーマとか、何か提起されるものがあるのであれば、差別をなくしていくという立ち位置で考えたら、相談部会で論議していただくという前提だが、差別があったというのは事実なので、一概にこうすべきだと言えないが、丁寧にここも努力してもらいたい。 委員:意見交換で、「小中高を対象にした心のバリアフリーにおける障害の分野と、リーフレットによる小学生に対する障害理解の啓発」について意見があったということだが、どのような意見があったのかお聞きしたい。また、福岡市の担当に、このリーフレットをどのような形で活用されるのかお聞きしたい。 委員:教育委員会のバリアフリー教育の一環の障害分野と、保健福祉局の小学生に向けての障害の理解の教育とがリンクしているかという質問であった。  教育委員会と保健福祉局は、教育と行政というところでそれぞれ目的があるわけだが、教育だけ、福祉だけではなく、現場の先生の中でも連携する形で使用していきたいという回答があった。 事務局:障害のある当事者の方のお話を聞いたり、あるいは車いす体験をしたりといったことを行う福祉教育の際にお使いいただくために各小学校の4年生全員に配付している。  併せて、市のホームページなどにもリーフレットのデータを公開し、あるいは福岡市身体障害者福祉協会が出前講座という形で各小学校とやりとりをされるというふうに聞いており、リーフレットをお配りして、ご活用いただけるように、取組みを進めていきたいと考えている。 2 今後の福岡市障害者差別解消推進会議について 資料2に基づき事務局より説明 委員:委員が属する関係機関の取組みを共有し、お互いの取組みを知り合うのは、とてもいいことだと思う。  資料2の様式案を見ると、個別事例に対応したものを記載するイメージで作られていると思う。もちろん、個別事例の共有は必要であるが、自分の団体の場合は、起こった差別事例に対してどうしたかということだけではなく、差別が起こらないように予防、啓発というところでの福祉教育に取り組んでいる団体であるため、そういった取組みも共有させていただきたい。様式の「取組みの種類」にそういった取組みが記載できるように項目を増やしていただきたい。 事務局:今おっしゃったような取組みもご報告しやすくなるような形で様式を変えていきたい。 委員:今回提案頂いた取組みの共有については非常に大事なことで、早速お願いしたい。  令和2年度の「福岡市の市政に関する意識調査」という福岡市の調査があり、その中で、「障害者差別解消条例を知っていますか」という質問に対して、「条例があることも内容も知らない」という方が72%。福岡市民で7割以上の方がこの数字だけを見ると「知らない」という回答されている。  各団体の取組みの共有も非常に大事だが、それと同時に、市民に対してまず条例があることを、この共有というテーマと同時に、何か1つ条例の存在そのものを周知していくことを当面の推進会議のテーマとして挙げていただきたい。  8月に配付された推進会議の資料の中の資料4「令和2年度相談実績における差別解消の現状と課題について」という資料の中でも大きな課題として、「ガイドラインの周知・理解」というのが挙がっている。色々な各省庁のガイドラインとか、事業所とか、それから市民も含めて理解されていないというのが現状と課題に挙がっており、そことも通じるものがある。  そのため、まず市民に条例があるということ、大まかな内容を知ってもらうこと、パンフレットやリーフレットを市民に配布していただいたけれども、7割以上の方が条例を「知らない」という現状がある中で、様々なやり方を、今若い人に対してSNSを使って啓発を進めるということも、推進会議のもう1つのテーマとして挙げていただければと思う。 委員:啓発の重要さというお話だったと思うが、時間がたってくるとなかなか皆さんの意識が薄れてくるということが、何につけてもあるので、繰り返し啓発をやっていくということが大事ではないか。 事務局:委員ご指摘のとおり、法律、条例の考え方を知っていただくというのは非常に大事なことだと思っており、どういった形で皆さんに知っていただくのがいいのかを考えながら、取り組んでいる。  例えば今年度、新たな取組みとして、条例を周知するということではないが、障害のある方への配慮などについて皆さんに知っていただくための動画を制作中で、啓発に関する取組みというのは必ずやっていかないといけないと考えている。引き続き、推進会議のご意見を頂きながら、啓発を進めていきたい。 委員:この障害者差別解消条例そのものの啓発も大事だが、市民や国民がどう条例や差別について関わっていいかということが、なかなか理解しにくいことが結構ある。  好事例も大事だと思うが「こういうことをすればいいんだな」とか、それに近づいていけるようなことが非常に大事かなと思う。何でも厳しく「こういうことをしてはいけませんよ」「こういうことは駄目ですよ」だけでは、皆さんもだんだんと気持ちが離れてくる感じがするため「こんなことがいいんだな」とか、そういうことも気付いていただければ本当にありがたい。 委員:事例の共有は非常にいいと思う。皆さんの参考になるのではないかと思う。  私たち障害者団体が参加するだけの事例が起きた場合、今後解決ができた場合、合理的配慮の好事例を載せることは、福岡市の範囲になるのか、それともそれ以外も含まれるのか。福岡市以外の、例えば春日市の合理的配慮などを参考としてもいいのか。  もう1つは、市民の方が、障害者差別解消法や条例があるということを知らない方もいるが、私たち当事者も、差別を受けたという場合に、相談をどこに持って行ったらいいのか分からない方もいるので、SNS等を使って、ツイッターとかフェイスブックなども使いながら、そういう事例があるということも周知できれば。  横浜では、聴覚障害者だけで観覧車に乗るのが危ないという事例があり、また、ジェットコースターに聴覚障害者だけで乗るのが危ないとことで、断られたという例がある。ツイッターやフェイスブックに載せたことによって、それが拡散し、あとでそれが公になり問題が解決したというようなことがある。相談をどこに持っていったらいいのかというのが、当事者では分からない場合は、フェイスブックとかツイッターなどで載せて拡散するという方法もあるかと思う。  相談できる窓口があり、安心して、いつでもどんな時でも相談できますよと、電話、メール、ラインで相談できる、見て分かるようにそういうことを示すということも必要ではないか。 事務局:1点目の質問について、今回の対象については、福岡市内で起こった出来事でお願いしたい。2点目の質問について、相談窓口の周知に関しては、様々な機会を捉えて相談窓口の周知をしていきたい。 委員:みんなが見てすぐに分かって相談できる、スムーズに相談できる環境が必要だと思っているので、今ある方法だけではまだまだ足りないと思う。  例えばインターネット、動画等を使って、「窓口がありますよ」というのを、何か起こった時にはそこで相談できますよというのを広めていくなど、積極的にいろんな方法を駆使して知らせていく取組みも必要と思う。予算の問題もあるかと思うが、そこを研究していただきたい。 ※質疑応答後、賛成多数により承認され、令和4年度の第1回推進会議において、各団体における障害を理由とする差別の解消に資する取組みについて、共有することとなった。 3 障害者差別解消法の改正について 資料3に基づき事務局から説明 委員:1点目は、資料中、3番目の「支援措置の強化」の1項目目に、基本方針の中で定める事項として、「支援措置の実施に関する基本的事項を追加する」とある。この支援措置というのはまだ出てないから分からないかも知れないが、啓発といったことなのか、もう少し踏み込んだ直接的な何らかの解消のための支援というものを組み込もうとしているのか、どう読み取ればいいのか。2点目は、事業所が合理的配慮を義務化されるというところで、福岡市の条例はそこまで入っていないので、法律との整合性が検討の課題になってくるのかどうか、お尋ねしたい。 事務局:1点目については、まだ詳細を知らされていないので、今後の国の推移等を見守っていきたい。2点目は、法律が義務化されたため、条例がそれよりも弱い努力義務ということはないと思っている。あとは国の法改正のタイミングなどを考慮しながら検討を進めていくことになる。 委員:当初この条例を検討する中から、一律に努力義務というよりも、大きな企業と事業所とは意味が違うから、大きな企業は義務化が必要という意見が検討委員会の時も出ていたが、福岡市は事業者に対しては努力義務ということであったので、法律が変わったら、やはり義務化に変えていくという形かなと思う。 4 意見交換 推進会議委員の任期が令和4年2月28日までとなっており、委員改選が予定されていることから、この3年間の感想を含め、出席委員より一言ずつ意見発表があった。 5 その他 事務局より、市内のある障害者施設で短期入所を希望された障害のある方が、ワクチンを打たれていなかったということで、施設の方々としてはクラスターが非常に怖いということもあってご利用を控えていただいたという話があり、国からはワクチンの不接種を理由に利用を拒否するということは、障害者差別解消の観点からも不適切であるということが通知で出ていることを踏まえた通知を全施設、全事業者の方に送付したことについて報告があった。