資料2 逐条解説に対する委員意見とその対応  原案:P5 ○「自らの意思で」については、あらゆる意思伝達手段を用いて本人が意思を表明する(本人の意思の表明が困難な場合には、その家族や支援者が本人を補佐する場合を含みます)ことが重要です。  委員意見:○「自らの意思で」については、あらゆる意思伝達手段を用いて本人が意思を表明する(本人の意思の表明が困難な場合には、その家族や支援者が本人を補佐する場合を含みます)ことが重要ですし、そのための環境を整えることが大切です。  対応(案):一部文言を調整のうえ、原案を修正します。○「自らの意思で」については、あらゆる意思伝達手段を用いて本人が意思を表明する(本人の意思の表明が困難な場合には、その家族や支援者が本人を補佐する場合を含みます)ことが重要です。また、そのための環境を整えることが大切です。  原案:P7 ○「社会的障壁」については、障害者基本法や障害者差別解消法と同様の規定としています。  委員意見:○社会的障壁(社会のかべ)とは、障害のある人を暮らしにくく、生きにくくする社会にあるもの全部です。・事物…通行、利用しにくい施設、設備など早口で分かりにくく、あいまいな案内や説明などの事がら ・制度…利用しにくい制度など ・慣行…障害のある方の存在を意識していない慣習、文化など ・観念…障害のある方への偏見など  対応(案):内閣府ホームページ(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答)より以下のとおり修正します。 ○社会的障壁とは、障害のある方にとって、日常生活や社会生活を送る上で障壁となるような、社会における事物(通行、利用しにくい施設、設備など)、制度(利用しにくい制度など)、慣行(障害のある方の存在を意識していない慣習、文化など)、観念(障害のある方への偏見など)その他一切のものをいいます。  原案:P7 ○「正当な理由」の有無は、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されます。判断基準については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)の「第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項」の「2 不当な差別的取扱い (2)正当な理由の判断の視点」に記載してあるとおりです。  委員意見:○正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。行政機関等及び事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止など)  対応(案):委員意見は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」からの抜粋ですので、資料編のページが参照できるよう以下のとおり修正します。 ○「正当な理由」の有無は、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されます。判断基準については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)の「第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項」の「2 不当な差別的取扱い (2)正当な理由の判断の視点」に記載してあるとおりです。(資料編63ページ参照)  原案:P12 ○本号を具体化する規定として、第7条と第8条があります。(略)それは、この条例が、「差別をする側」と「差別をされる側」という対立構造を生み出すことが目的なのではなく、建設的対話や相互理解が重要であり、市民に対して規制をしていると受け取られるような条例にすべきではないと考えたためです。  委員意見:○本号を具体化する規定として、第7条と第8条があります。(略)それは、この条例が、「差別をする側」と「差別をされる側」という対立構造を拡大させることではなく、市民に対しては規制ではなく、建設的対話や相互理解を通じて差別をなくしていくことが重要であると考えています。  対応(案):本条例第1条「すべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会の実現に資することを目的とする」から、「対立構造を生み出すことが目的なのではなく」という原案のとおりとさせていただきます。  原案:P13 第6号 ○障害の有無にかかわらず、すべての人は、どこで誰と生活するかを選ぶことができ、地域社会で他の人々とともに暮らす権利がありますが、本条は、すべての障害者がこの権利を有することを確認するために規定したものです。同様の趣旨の規定が、障害者権利条約第19条、障害者基本法第3条第2号に謳われています。  委員意見:第6号に次の文を追加してください。 ○本号の趣旨から、グループホーム建設の際の地域住民の同意は不要です。 理由 全国的に、また福岡市においても、グループホーム設置時に地域住民と話し合いを求められるケースがある。(私自身も念書を求められるなど地域住民と6回ほど話し合った経験あり。)  対応(案):グループホームなどの障害者関連施設の開設に際して周辺住民の同意は不要です。ただし、この号は、すべての人がどこでだれと生活するかを選ぶことができるという規定であり、グループホーム設置にあたって地域住民の同意が不要であるとの文言は、条例の解釈を記載する逐条解説の趣旨にそぐわないのではないかと考えられます。従って、原案のとおりとさせていただきますが、今後、グループホームなどの障害者関連施設の開設に当たって、同意が不要であることの広報について検討を行ってまいります。  原案:P13 ○非常災害時における障害者の安全を確保する観点から、事前の体制整備や災害時の支援について規定しています。  委員意見:○今や日本は、いつどこでどんな災害がおこるかわからない時代になってきました。災害は、障害者を最も不利な状況下にさらされる時があります。非常災害時に障害者が排除されず、障害者の安全を確保する観点から、事前の体制整備や災害時の支援について規定しています。  対応(案):この規定は社会情勢や時代背景にかかわらず必要な規定であること、災害は、障害者を最も不利な状況下にさらされる時があるか否にかかわらず、非常災害時における障害者の安全確保は重要であると考えるため、原案のとおりとさせていただきます。  原案:P15 ○第6条第2号の基本理念を具体化するため、市と事業者に対して、不当な差別的取扱いをすることによって、障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。 本条各号は、不当な差別的取扱いの例示として規定しているため、これらに該当しない場合であっても不当な差別的取扱いに該当することはあり得ます。なお、障害者に対して、やむを得ない場合、客観的な理由がある場合においては、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取り扱いが認められる場合があります。これについては、基本方針の「第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項」の「2 不当な差別的取扱い (2)正当な理由の判断の視点」に記載してあります。  委員意見:○解説の構成が「客観的な合理的がある場合」の説明が前面にきており、(中には3つの○のうち2つがその理由の説明となっている。)何より大事なことは、行ってはならない不当な差別の解説と内容が前面に出ることが大切ではないかと思う。最初の方で、きちんとしてはならない差別行為の解説と事例をのべた後に、ただしという流れでの客観的に合理的な理由がある場合の説明を行う。  対応(案):不当な差別的取扱いについては、条例第7条各号において、行ってはならない取扱いを例示しており、用語や解釈上必要な解説を行っているものです。基本方針の参照が必要な部分については、該当ページを記載します。○(略)なお、障害者に対して、やむを得ない場合、客観的な理由がある場合においては、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取り扱いが認められる場合があります。これについては、基本方針の「第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項」の「2 不当な差別的取扱い (2)正当な理由の判断の視点」に記載してあります(資料編63ページ参照)。  原案:P17 ○「客観的に合理的な理由がある場合」とは、例えば、障害の程度が重く、どうしても集団での保育になじまないと考えられる児童について、やむを得ず保育所での保育を断ることなどが考えられます。  委員意見:○第3号の「客観的に合理的な理由がある場合」の例として「集団での保育がなじまない」場合を挙げられているが、この内容は誤解をうみやすい。「集団での療育」は障害児の通園施設でも取り組まれていることもあり、この表現だとどこもいけなくなる。さらに「なじまない」という言い方は、ややもすると本人側だけの理由とされ、合理的配慮のもと保育所での受け止めていくという視点がかすんでしまうのではないか。この例は、削除したほうがいいのではないか。 ○第3号の事例の2番目の記載例を次のようにしてください。 「○『客観的に合理的な理由がある場合』とは、例えば、特別支援学校でなければ教育を実現することが出来ないことを学校が立証した場合など、限定的な場合に限られ、本人や保護者の意に反した場合には不当な差別的取扱いに当たりうるところです。」 理由 現在の記述が果たして「客観的に合理的な理由がある場合」の条件を満足させているか疑問である。また、保護者、本人に救われがたいとの印象を与えかねない表現である。  対応(案):例示を以下に改めます(文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針より)。○「客観的に合理的な理由がある場合」とは、例えば、学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者である利用者に障害の状況等を確認することなどが考えられます。  原案:P18 ○情報の提供及び意思表示の受領の分野における不当な差別的取扱いの例としては、次のようなケースが考えられます。・障害者から窓口で情報の提供を求められたが、窓口が混雑していることを理由に情報を提供しない。  委員意見:第6号の差別的ケースの例に次の文を加えてください。 ・目の前にはいる本人を無視して、介助者・支援者や付き添いの者のみに話しかける。 理由 私たちが日常的に無意識に犯しやすい事例です。障害者にとっては、自身を無視され差別されたと感じるものです。  対応(案):内閣府リーフレットの表現にあわせ一部文言を調整のうえ、原案に追加します。 ・本人を無視して、介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかける。  原案:P19 ○なお、事業者の合理的配慮の提供については、何をしなければならないのかが具体的場面等によって異なるため、努力義務としていますが、事業者にも積極的な役割が求められることは、前文や第4条に規定しているとおりです。  委員意見:○「事業者の合理的配慮については、まだ新しい概念であり、市民・事業者に浸透しておらず、何をしなければならないかが具体的場面等によってことなるため、今の時点では、義務付けまでにいたらず、努力義務としています。しかし、事業者が積極的な役割が求められることは、第4条に規定しているとおりです。」  対応(案):「福岡市障害を理由とする差別を解消するための条例検討会議報告書」では、民間事業者の合理的配慮の義務化について「民間事業者についても法的義務にすべきであるとの強い意見もありましたが、民間事業者における合理的配慮の提供には様々なことが考えられ、何をしなければならないのかが具体的場面等によって異なるため、一律に義務付ける規定とすることは、様々な法的問題が生じることが懸念されるとの意見もあり、義務規定とはしておりません。」とあり、条例検討会議委員の様々な意見を踏まえ、原案どおりとさせていただきます。  原案:P21 ○市の職員への研修については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する福岡市職員対応要領」第8条でも規定しています。(略)  委員意見:○市の職員への研修については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する福岡市職員対応要領」第8条でも規定しています。その規定に内容は「2 研修は、新規採用者から管理・監督者に至るまで体系的に実施するとともに、各職場においても、計画的に取り組むものとする。3 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図るものとする。 4 前項のマニュアル等の作成に当たっては、既に様々な場面において日常的に実践されている合理的配慮の好事例を収集し、障害種別ごとの合理的配慮の考え方及び具体例を提示するものとする。 5 前項の具体例の提示に当たっては、障害当事者の意見を聴取し、マニュアル等に反映させるものとする。」と具体的に規定されている。  対応(案):資料編のページが参照できるよう以下のとおり修正します。 ○市の職員への研修については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する福岡市職員対応要領」第8条でも規定しています(資料編102ページ参照)。  原案:P25 ○本条〜第19条では、相談に関する一連の流れを規定しています。 (略) ○「関係行政機関」としては、例えば、法務局の人権擁護部署、労働局・労働基準監督署、障害者虐待防止センター、こども総合相談センター、発達教育センターなどが挙げられます。  委員意見:最後に次の文を加えてください。 ○「相談」とは、福岡市内で発生した差別に関する相談をいいます。 理由 本条例がいわゆる属人主義に立つものか属地主義に立つものか明確ではないので、明確にするため。  対応(案):意見を踏まえ追加します。追加箇所は以下のとおりとします。 ○本条〜第19条では、相談に関する一連の流れを規定しています。 ○「相談」とは、福岡市内で発生した差別に関する相談をいいます。 (略) ○「関係行政機関」としては、例えば、法務局の人権擁護部署、労働局・労働基準監督署、障害者虐待防止センター、こども総合相談センター、発達教育センターなどが挙げられます。