法務省委託事業「ココロンセンターだより」91号 発行:令和5年3月 発行元:福岡市人権啓発センター 所在地:〒810-0073福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号健康づくりサポートセンター(あいれふ)8階 メールアドレス:jinkenkeihatsu.CAB@city.fukuoka.lg.jp 電話番号:092-717-1237(代表)、092-717-1247(人権啓発相談室) FAX番号:092-724-5162 CONTENTS「主な内容」 1ページ こころのオルゴールのマンガ紹介 2ページ 別府校区人尊協「まちが好きに、人を大切に」 3ページ 福岡市人権尊重作品紹介(令和3年度入選作品) 4ページ 人権啓発推進指導員のコーナー、おすすめ作品の紹介 1ページ(こころのオルゴールのマンガ紹介) 人権ラジオ番組をマンガに 学校や職場で活用を 福岡市が制作する人権ラジオ番組「こころのオルゴール」(令和4年度版)がマンガ本になりました。マンガにしたのは全ドラマ15本のうち、「すぐそばにいませんか、ヤングケアラー」(子ども)、「ヘイトスピーチを許さない社会へ」(外国人)、「『普通』『当たり前』に傷つくことも」(性的マイノリティ)―の3本。1部8ページ、A5判サイズ。学校や職場での人権教育、啓発に活用してください。無料で提供します(部数については要相談)。令和2~3年度版もあります。また、セリフ入りの動画「モーションコミック」も制作しました。福岡市人権啓発センターのホームページからユーチューブで閲覧できます。 お問い合わせ 福岡市人権啓発センター 092-717-1237 マンガの表紙画像 1ページは以上です。 2ページ(別府校区人尊協「まちが好きに、人を大切に」) まちが好きに、人を大切に-別府かるた 別府校区人権尊重推進協議会 あ…安心をみんなに届ける別府交番 別府校区人権尊重推進協議会(通称・人権を考える会 べふ)が5年がかりで制作した「別府かるた」の一番札です。安心・安全があってこその人権です。 「あ」~「ん」の46札のかるたには、「別府の今昔」と「人の営み」が表現されています。地域を知れば「まち」を大切にするようになり、そこに暮らす人たちの「人権」を尊重する気持ちにつながる-練りに練ったセンテンスと親しみやすい絵札には、そんなまちづくりへの思いが込められています。 ね…願わくば人権の思いを町すみずみに では、かるたで取り組みを紹介します。 別府かるたの写真 ■徹底議論が「優しい言葉」に 別府人尊協が発足したのは2013年、後ろから3番目の後発組織でした。小難しくなりがちな人権の理念を、分かりやすくどう具体化するか。それが「人権かるた」づくりでした。 まちの歴史を調べて地図を作り、2015年から2年にわたり、ウォークラリーを開催。その体験を読み札にしてもらいました。 べ…べふウォッチ歩いて知ったべふのまち 寄せられた句は歴史や自然、風物、友達、家族のことなどさまざま。選定した句は、メンバーが意見をぶつけ合うほどに優しい言葉になりました。同様に絵札も合宿までして仕上げました。 ■デジタル時代の気がかり ま…マラソンの難所たるや別府大橋 福岡マラソンの終盤コースになっているまちにはこんな歴史があります。 け…元寇の武者の足跡今いずこ/た…太閤道今はみんなの通学路 外敵を迎え撃つ鎌倉武士が駆け抜け、朝鮮出兵で豊臣秀吉が軍旗をなびかせました。 く…空襲だ樋井川に飛び込み命拾い 福岡空襲を逃れたお年寄りの話です。 し…昭和の子水路でざりがにめだか捕り 水も緑も豊かでした。 な…夏まつり輪になり踊る炭坑節 なんと、「福豊炭鉱」で石炭が掘られていたのです。 デジタル時代の今、気がかりなことがあります。 す…スマホより私をみてよお母さん/め…メールより優しさ伝わる君の声。 やはり子どもは自然の中で成長してほしい。 の…のびのびと木も子も育つ天神森/か…勝っても負けてもさいごは仲良し ■歩いて、感じて、住みやすく かるたは昨年3月に完成。早速、小学校で使われました。秋のウォークラリーは、「盗まれた別府かるたを取り戻せ」のタイトルで謎解きゲームをしました。かるたに登場した場所を巡って、句の意図も考える趣向です。今年も、読み聞かせサークルや高齢者サロンからの引き合いが相次いでいます。 別府かるたで遊んで、まちを歩いて、感じて、住みやすく。そして、日常の暮らしの中で身近な人を大切にする心が育ってほしいですね。かるたづくりで確信したことを最後の読み札にしました。「じ」を弱めにして発音してください。 ん…人権は人と人の間にある 「謎解きウォークラリー」のメンバーの写真 (別府校区人尊協の吉良文江会長、小﨑るり子啓発部長の取材で構成しました) 2ページは以上です。 3ページ(福岡市人権尊重作品紹介(令和3年度入選作品)) 福岡市人権尊重作品紹介(令和3年度入選作品) やさしい気もち 小学二年生 「あいての気もちになって、じぶんを考えてごらん。」と、おばあちゃんに言われたから、いろいろ考えてみました。 おとうさんの気もち。よるおそくまでしごとの日があって、大へんです。かえってきたら、おつかれさまとありがとうを言おうと思いました。 おかあさん。いつもごはんをつくったり、せんたくをしてくれてありがとう。だけど、「早くしなさーい。」と、すぐにおこるのでわたしはすぐに、おてつだいやしゅくだいをしようと思います。 おとうとが、大すきなのにいつもけんかをしてしまうから、わたしがやさしくしてあげようと思いました。 友だちの気もち。じぶんが、言われたくないことは、言わないようにします。もし、人からいやなことばを言われたら、あいての気もちになって、考えて、やさしい気もちになりたいなあと思いました。 夏休みなのに、一しょにあそべないおばあちゃんは、コロナの人のためにほけんじょでしごとをしています。 「こまっている人がいたらやさしくしてあげる。そうしたらじぶんがこまっているときにだれかがたすけてくれるよ。」とおしえてくれました。わたしはいつもやさしい気もちでいようと思います。 「やさしい気もち」は以上です。 いっしょに遊ぼう 小学校三年生 わたしが学校の中休みと昼休みにお友だちの女の子が、「いっしょに遊ぼう。何して遊ぶ。」といつも声をかけてくれます。 遊び終わった後、そのお友だちの女の子が、「今日楽しかったね。」と言ってくれるのでとてもうれしいです。 毎日遊びにさそってくれます。そのお友だちいがいの女の子もさそってくれます。 そのお友だちのおかげで学校がすきになりました。その子たちとすごすのもすきになって毎日とても楽しい一日をすごすことができます。 そのお友だちに「いっしょに遊ぼう。」と声をかけるといつでも仲間にいれてもくれます。とってもやさしいお友だちだなと思います。わたしもお友だちのように声をかけて遊んであげたり、仲間にいれてあげたりして、みんながえがおで楽しくすごせるように、自分からもそのお友だちみたいにまねしたいし、みんながしあわせにできるように、いつでもだれでもどこでもしあわせにしたいです。 それからわたしはお友だちのように、声をかけて遊んであげたり、仲間にいれてあげたりさそってあげたりすることができるようになりました。 それは、そのお友だちの言っていた「今日は楽しかったね。」と言う言葉を聞いて思ったのです。 それは、今日は楽しかったねという言葉を聞くとうれしいし、言われるがわも、うれしくなるからです。だからできるようになったのです。 つぎからも声をかけて遊んであげたり、仲間にいれてあげたり、さそってあげたりして、みんながもっとしあわせにすごせるように心がけて続けていきたいです。 「いっしょに遊ぼう」は以上です。 3ページは以上です。 4ページ(人権啓発推進指導員のコーナー、おすすめ作品の紹介) 4ページ上部(人権啓発推進指導員のコーナー) 人権啓発推進指導員のコーナー ◇公園点描、ぶらり歩けば 週末は、散策を心がけている。まだ肌寒いが、穏やかに晴れた日の午後は心地よい。お気に入りは大濠公園と舞鶴公園。水面を舞い飛ぶ水鳥の群れを眺めたりして、ゆったりと一人時間を楽しむ。 某日、家族連れとすれ違いざま、子どもの声が聞こえてきた。「ユニバーサルデザインって知ってる? 障がいのある無しに関係なく、誰でも使えるようにしてるデザインなんだって」。傍らの父親は知っているようだが、「へえ、そうなんだ」と、わざと驚いたふりをして子どもとの会話を楽しんでいる様子だ。 古代の迎賓館があった鴻臚館跡を歩けば、自転車に乗ったお年寄りから「ここは平和台球場だったんや。よう試合ば観に来よった」と話しかけられた。少し寂しげな姿に、「もしかすると、独り暮らしで話し相手が欲しいのかも」と勝手な想像が膨らんだ。 愛犬と散歩している人同士だと、じゃれ合う犬を介して、見ず知らずでも自然な会話が成り立つ。ところが、何のきっかけもなく人に話しかけるのは不自然だし、今のご時世、不審がられもするに違いない。 友達づくりを目的としたシニア対象の懇親会案内を新聞でよく見かけるが、年を重ねるほどに、話し相手という存在がこよなく大切になるのかもしれない。我が身に重ねてそう思う。(薮) ◇ゴルフ場に見るジェンダーギャップ― 夫と一緒にコースを回るようになって早10年。月1ゴルファーで飛距離が出ない私なので、赤ティー(レディスティー)から、青空の下、マスクを外して、クラブを振る爽快感。ストレスも一気に吹き飛ぶ。 ところが、最近、どこのゴルフ場も混みあっている。平日であっても、ホール間の待ちが発生-。 経済産業省の調査によると、2021年のゴルフ場入場者数は1000万人を超えたとのこと。(特定サービス産業動態統計)これはコロナ禍以前の2019年と比較すると27.9%という大幅増になっている。 この人気は競技の特性上、3密のリスクが少ないためとも言われているし、識者によると、コロナ禍で薄れてしまった人との関わりを求めてのことではないかとも。 中でも若年層、女性が増加しているらしい。女性客を取り込もうと、ゴルフ場の中にはパウダールーム等の施設の整備を進めているところも。ありがたいが、もっと力を入れて欲しいことが。 「このホール、何ヤード?」 どこを見ても何を見ても距離が不明な赤ティー。しかも、地面が平らではなく、傾いているティーグラウンドも。「男性と同じ料金を払っているのに…。女性は歓迎されていない。」と感じるのは私だけだろうか。 3月8日は国際女性デー。つい最近まで女人禁制だったイギリスの名門クラブもあると聞く。全ての人がゴルフの楽しさを分かち合える社会でありたい。(淀川) 4ページ上部は以上です。 4ページ下部(おすすめ作品紹介) ココロンセンターライブラリー新刊紹介! 人権問題に関する書籍、まんが、絵本、DVDを入荷しました。貸出を行っています。ぜひ、ご利用ください。 書籍「差別はたいてい悪意のない人がする-見えない排除に気づくための10章-」   著者:キム ジヘ 発行所:大月書店 「私は差別はしていない、私には関係ない。」という見方を変えてくれる思索エッセイです。韓国で16万部突破のベストセラーになったそうです。 筆者は韓国の大学の研究者で、差別に関わる科学的で理論的なとらえ方と、韓国における差別の事例が数多く述べられます。読み進めていくと、韓国のことなのに、日本でも、差別の構造が似通っていることに気づかされます。外の目で、自分の国にある差別の現実を見直すことができる本とも言えます。 特に、印象的だった文を2つ紹介します。 「差別とは、2つの集団を比較する二分法に見えるが、その二分法を複数の次元に重ねて立体的に見てこそ、差別の現実を多少なりと理解することができるのだ。」(本文p63より引用) 「何気なく、(いたずらで)投げた小石にカエルは打たれて死ぬ。」(本文p226より引用) 4ページ下部は以上です。 これで「ココロンセンターだより」91号は終わりです。