福岡市保健福祉総合計画(障害者分野)の中間評価について(抜粋) 「基本目標1 地域で安心して生活するための支援の充実」 目標達成に向けた進捗状況の中間評価 ・評価B 概ね順調  「相談窓口の認知度」については,平成29年度から各区に全障害一元化した,区障害者基幹相談支援センターを設置しており,数値の改善が見込まれる。  「災害時の孤立度(「頼る人がいない」と回答した人の割合)」については,初期値を下回っているが,平成28年度から避難行動要支援者名簿への登録と地域で支える仕組みづくりに努めているところである。  「将来の暮らし方」については,概ね横ばいで推移しているが,グループホームの不足などにより,障害者の「親なき後」の生活に対する不安によるものと考えられる。  平成29年度から,様々な障害者施策に取り組んでおり,支援の充実が図られつつあると考える。 進捗状況・課題・今後の方向性 1.相談支援体制(施策1−1) (進捗)  平成29年度から各区(市内14カ所)に24時間対応の相談体制として区障害者基幹相談支援センターを設置し,障害者本人やその家族からの,自立や社会参加などの在宅生活全般に関わる相談に応じ,サービスの調整を支援。 特定相談支援事業所従事者の人材育成に係る研修の実施,委託相談支援事業所に対する訪問等による指導を実施。 (課題と今後の方向性)  区障害者基幹相談支援センターでは,すべての障害に対応するため,コーディネーターが幅広い専門的な知識や支援スキルを身に着ける必要があり,同センターの人材育成の指針等を作成し,研修の充実を図る。 2.重度障害者に対する支援(施策1−2,1−4) (進捗)  重度訪問介護や,生活介護,医療型短期入所,重度障害者等包括支援など,利用者の増加に対応しサービスを実施した。平成29年7月から意思疎通が困難な重度障害者に対する 入院時コミュニケーション支援事業を単身者以外の利用も可能となるよう拡充した。  強度行動障害者の支援について,平成27年度以降11人が集中支援モデル事業を利用し,問題行動が軽減され,生活介護サービスやグループホーム利用へ移行している。 (課題と今後の方向性)  医療的ケアに対応できる短期入所事業所は依然として少なく,平成30年度の法改正に伴い,報酬体系や加算の新設・改定が行われており,その周知を図り,医療的ケア児・者の受け入れ促進に努めていく。 強度行動障害者への支援については,新たな拠点施設(移行型グループホーム)を活用し,民間障害福祉事業者や地域への移行を促進する。 3.緊急時受入れ体制の強化(施策1−4) (進捗)  平成29年度から,障害者の緊急時の受け入れ・対応拠点を,医療的ケア,強度行動障害,虐待その他の類型別に計3か所を整備した。 (課題と今後の方向性)  緊急時受け入れ・対応を円滑に進めるため,区基幹相談支援センターとの連携体制の強化を図るとともに,受け入れ事業所の拡充を検討する。 4.地域生活への移行の推進(施策1−2,1−7,1−14) (進捗) ・障害者の地域生活への移行にあたって,生活の場となるグループホームの設置促進を図るため,民間賃貸物件の情報提供や,設置費の補助を実施。 ・「グループホーム開設応援サイト」を市ホームページ上に開設(H28年度) ・不動産協力店登録制度の創設(H28年度) ・グループホーム設置促進事業の補助上限額の増額  グループホームの開設にあたり必要となる共用備品,敷金,事業開始前家賃及び改修費などを補助 (課題と今後の方向性)  事業報酬体系や人材の不足等により,グループホームの設置が進んでいない現状があり,障害者の地域生活への移行を推進するため,平成30年9月に地域生活移行専門部会を設置したところであり,現状を調査した上で新たな手法について検討していく。 「基本目標5 差別解消のための施策の推進」 目標達成に向けた進捗状況の中間評価 評価A 順調  「差別を受けた経験」については,順調に減少しており,これは,平成28年度に障害者差別解消法が施行され,徐々に障害を理由とする差別の解消への市民の認識が高まってきているためと考えられる。  その他,福岡市障害者差別解消条例を平成30年6月に制定した。同条例は,長い時間をかけてプロセスを踏み,小さな意見も含めて当事者の意見を取り入れられていると,当事者団体から評価された。  また,平成28年度以降,差別相談について,委託先や福岡市障害者差別解消支援地域協議会と連携し,的確に対応を行っている。  このほか,条例案のタウンミーティングや出前講座等の実施により,啓発活動を行っている。 進捗状況・課題・今後の方向性 ・差別解消のための施策の推進(施策5-1) (進捗)  平成28年8月から平成29年3月にかけて,「福岡市障害を理由とする差別を解消するための条例検討会議」を開催し,障害のある方をはじめ関係者の方々から,条例に規定する基本的な事項について意見を伺った。  また,平成29年9月から11月にかけて,福岡市保健福祉審議会障害者保健福祉専門分科会を開催し,条例原案について審議後,平成30年1月から2月にかけてパブリック・コメントを実施し,平成30年6月に条例を制定した。    さらに,平成28年4月に設置した相談窓口について,委託先と連携しながら対応に当たるととともに,当該窓口に寄せられた相談等について,福岡市障害者差別解消支援地域協議会において,事例の共有や解決に向けた協議等を行っている。 (課題と今後の方向性)  障害,障害者及び障害を理由とする差別の解消に対する理解を深めてもらうため,障害者差別解消法や福岡市障害者差別解消条例について広く市民や事業者に対し周知していく必要があり,市のホームページにおける関連情報の掲載や,差別解消に関する出前講座の実施のほか,わかりやすいパンフレットや,条例の解説書の作成,相談窓口の周知などを行っていく。