資料2 平成28年度 福岡市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)主な事業報告 事業名 福岡市の相談支援体制の強化の取組 取組根拠(課題) 福岡市全体の障がい者に係る相談支援体制が円滑に機能するように、各種の支援が必要である。 事業計画 ・総合的・専門的な相談支援を行い、相談支援センター等への助言等による人材育成の支援を行う。 ・相談支援に関する研修会等を企画実施する。 実施内容 ・企画会議を月1回開催し、市から委託を受けた相談支援スーパーバイザー及び機能強化専門員と共に相談支援センターの課題に対応し、委託相談支援センター等を定期的及び要請に応じて訪問、人材育成の支援を行った。福岡市の計画相談マニュアル、アセスメント、モニタリング、セルフプラン等各種様式の整備を行い、指定特定相談支援事業所からの計画相談に関する相談に対して助言等を行った。 ・相談支援専門員の資質向上のため、相談支援に関する研修会及び計画相談に従事する相談支援専門員の専門研修を実施した。経験年数によって、必要となる知識が異なることから、内容は基礎的なものから福岡市のリーダー的な役割を育成するものと、人材育成ビジョンを意識した内容とした。将来的には、国が実施する相談支援従事者指導者研修への派遣や、福岡県で行われる相談支援従事者初任者研修や現任研修の講師として登用できる人材を育成していくことができることを目的としている。 ・触法障がい者部会の設置が承認されたことをうけ、触法の入口支援を実施する。 実施結果 ・総合的・専門的な相談支援、助言等による人材育成の支援として、相談支援センター他へ計18回の訪問を行った。困難事例について会議等で支援方法や方向性等についてアドバイスを行ったり、各相談支援センターからの依頼に対するマネジメントを積極的に行った。 ・相談支援及び計画相談の従事者に計5回研修を実施し、延べ253名の参加があった。次年度からの区の基幹センター設置を見据えて指定特定事業所向けの研修と別に、委託相談支援事業所向けの研修として、「地域の協同体制、仕組み作り」「ファシリテーション技術」をテーマとした研修会を実施し、各区で取り組む事業が滞りなく進めることができるようにした。相談面接技術研修・演習等を行ったことで、相談支援専門員の相談支援等に対する理解がより深まった。 ・触法障がい者部会の設置にあたり、11件の依頼を受け、弁護士と共に触法障がい者の支援を行った。福祉が関わることの成果については、28年第2回の障がい者等地域生活支援協議会にて報告した。 ・相談支援の経験の浅い委託相談事業所職員向けに、相談支援の基本的な考えをまとめた、福岡市相談支援ガイドラインを作成し配布した。 今後の課題 ・委託の相談支援センター等の支援困難事例や指定特定相談支援事業所への計画相談に関する助言等を継続し、相談支援スーパーバイザーが現場で直接OJTを実施することで一層の相談支援専門員の質の向上を図る必要がある。 ・研修の柱である「サービス等利用計画作成従事者研修」は、多様な経験年数やニーズ等に対応するため、テーマ別、障がい種別ごと等の方法を取り入れ、相談窓口として3障がいに対応できるように実施してきた。 今後は区の障がい者基幹相談支援センターが設置されることになるため、地域作りや指定特定相談支援事業所へのアドバイス、区ごとに地域の実情に応じた研修実施ができるような人材育成が必要である。 事業名 地域移行・地域定着の促進の取組 取組根拠(課題) ・平成24年度に地域移行支援が法定サービスとして認められたが、全国的にも精神科病院等からの地域移行が進んでおらず、福岡市内においても同様に地域移行・地域定着支援の利用が少なく支援が進んでいない現状がある。 事業計画 ・医療関係者、福祉関係者へ地域移行の重要性と、それに向けた取り組みを検討するために、福岡市精神保健福祉センターと共同で、関係職員への研修会を実施する。また、地域移行に関する課題を関係者で検討できる場の設置に向けた検討を実施する。 実施内容 ・地域移行支援に関する研修会にて、精神科病院等からの地域移行の利用について、相談支援事業所と精神科医療機関が現状について情報交換を行った。 ・地域移行・地域定着の促進に関する取組を検討する会議等に参加した。 実施結果 ・研修会では、当事者とその関係者へ登壇いただき、当事者からは地域移行の支援を受けたことでの退院へ向けた気持ちの変化や支援の必要性、関係者からはそれぞれの機関の具体的な役割とチームで関わった取組について発言してもらった。関係機関からの報告により、より具体的な動き方がわかり、参加者からも役に立つ情報であったとの声を得られた。 ・研修を企画する中で、地域移行が進まない原因を検討する場の設置の必要性が共通認識され、専門部会の設置に向けた取り組みに向けて動き出した。 今後の課題 ・精神科病院と一般相談支援事業所や特定相談支援事業所が、地域移行・地域定着についてお互いの現状や役割について情報交換・共有する場を作り、行政・福祉サービス事業所等も含めたうえで事例検討、ネットワークを構築することが必要である。 ・長期入院患者は65歳以上が多いので、障がい福祉関係者だけでなく、介護保険サービスの利用も考えられることから、介護保険関係者とも一緒に協議していかなければ、退院後の居住の場の話が進まないと考えられる。 ・福岡市内の入院病床がある精神科は限られており、市外の精神科病院に入院している場合の連携についても検討が必要である。 事業名  権利擁護・虐待の防止 取組根拠(課題) 障がい者虐待防止の取組強化及び障がいの理解を深めてもらうため広報啓発活動等に取り組んでいく必要がある。 事業計画 ・障がい者虐待防止センターとしての役割を担う。 ・障がい者虐待防止の研修を企画実施する。 ・障がい者虐待防止に向けた広報や啓発活動を行う。 実施内容 ・障がい者虐待防止センターとして、障害者虐待防止法と「福岡市障がい者虐待対応マニュアル」をもとに、虐待対応が終結するまでの一連の支援を行い、虐待の防止と被虐待障がい者を保護又は支援するために行政や関係機関等と連携した。  ・障がい者虐待に関する法律や早期発見・早期対応の方策について、市職員や相談支援事業所を対象とした研修を企画実施した。 ・虐待対応において養護者からの分離等による一時的な保護を行うため、市が緊急一時保護事業先を設けているが、より一層の効果が図られるよう委託先(短期入所事業所)にアンケート調査を行った。 実施結果 ・市及び関係機関との連携が増え、体制の整備を図る事が必要となった。 ・市職員を対象とした研修を2回開催し、虐待対応の初任者を中心に演習と講義を通して養護者による虐待対応の基本的な視点、流れについて、弁護士・社会福祉士を講師として開催し、相談支援事業所職員に対しては、虐待が疑われる場合の具体的対応方法及び虐待対応の流れについて演習形式で研修を行い、9割以上の方から参考になったとの評価(アンケート結果)を得た。 ・緊急一時保護受入委託事業所の受入体制や周知が十分でない、徹底することが必要となった。 今後の課題 ・養護者による虐待対応としては、迅速・確実に保護できる体制の構築を福岡市と協議していくとともに保護や措置について的確に判断し、区担当課と虐待防止センターが共通認識を持って速やかに対処できるよう市職員や関係者の研修の企画に取り組む必要がある。 ・緊急一時保護受入事業を円滑に行うための周知・調整をしていくことが必要である。