資料1 第5期障がい福祉計画(素案)に関する意見及び回答 第2 障がい保健福祉施策をめぐる現状について 1.第2章 障がい保健福祉施策関連事業費の現状(P8) ホームヘルプサービス 24年度3,516 27年度4,244 増減率120.7 自立支援給付費(施設介護給付費) 24年度10,715 27年度14,479 増減率135.1 医療(自立支援医療・重度障がい者医療)24年度10,161 27年度11,413 増減率112.3 上記のデータより下記の「」の部分につき,記述上の意図的な操作が懸念されるので,疑念なき記述を望む。 p8;当該箇所(「」部分) 「その主な原因としては,」事業所数の増加に伴う日中活動系の施設サービス利用者数の増加やホームヘルプサービス利用者数の増加,「障がい者医療費助成対象者数の増加」が挙げられます。 (理由) (ア)「障がい者医療費助成対象者数の増加」については,唐突に固有事業名が記述されています。 (イ)前段のデータ等の記述では,医療(自立支援医療・重度障がい者医療)としています。医療の項目では24年度,27年度の増減は112%増であり,しかも2事業を含めてのものです。該当箇所の文中で,固有事業名を唐突に記載されていることには疑念が生じると承知いたしますが如何でしょうか。 (ウ)重度障がい者医療費助成制度については,利用者負担導入につき,議会も含め問題となり,対象者の95%が年収100万円未満であることが判明し,当局はこの案件を修正提案した経緯があります。したがって,この案件を再び提案される方向であれば,丁重な記述を求めます。 【回答】  該当箇所につきましては,ご意見を踏まえ,「・・・ホームヘルプサービス利用者の増加などが挙げられます」と修正することとし,次回の障がい者保健福祉専門分科会において,福岡市から提案いたします。 第3−2 障がい福祉サービス等に関する数値目標について 2.施設入所者数の減少について(P10)  地域移行は,重要な施策の柱の一つであるはずです。単に,数値目標を設定しないとせず,共同生活援助の利用促進を図るなどして,引き続き移行促進を図る。と明記して下さい。 【回答】   施設入所者の実績については,一定の地域生活移行が見込まれる一方で,新たな入所者の増もあることから,横ばい傾向となっております。 また,強度行動障がい者など重度障がい者の地域生活移行への課題もあるなど,地域の実情を鑑み,原案どおりとさせていただきます。 3.(2)「精神障がい者にも対応した・・・」という見出しについて(P11) @の協議の場が精神障がいだけなのか,全障がい全般に関するものなのか,判断に迷う。見出しが内容を的確に表すようにお願いしたい。 (理由) (2)の見出しに「精神障がいにも・・・」,AとBに精神障がいという文字が続くので,協議の場が精神障がいに限定されたことのような印象をもってしまう。 【回答】   「(2)精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築」という表現につきましては,国が示す基本指針と同じ表現としておりますので,原案どおりとさせていただきます。  また,協議の場につきましても,精神障がいに限定した協議の場を設置することとしておりますので,原案どおりとさせていただきます。 4.地域生活支援拠点の目標値策定の記載については,より具体的な整備の指針を明記して下さい。(P13) 【回答】   目標値策定の記載につきましては,ご意見を踏まえ「下記国指針および協議会提言を踏まえ,地域生活支援拠点等として必要な機能を確保する体制を各区に整備。」と修正することとし,「次回の障がい者保健福祉専門分科会において,福岡市から提案いたします。  5.児童発達支援センターの設置について(P16) 32年度末の目標値12か所はどのようにして算出されたのか? 現在の実績値を基にした将来予測,1か所での支援可能数を適正に把握することが必要ではないか。 (理由) 実績値の27年から28年へは約15%増加している。また28年度実績7,455人をセンター数11か所で単純平均すると1か所で746人。これらのことから1か所増加では明らかに不十分ではないか。 また増える一方の広汎性発達障害は幼児期にどれだけ良質の専門的支援を出来るかでその後の発達に大きな影響があり,将来の福祉的支出の抑制につながる。十分な支援を受けられる環境を整えることは経済的効果の面からもその後の市財政に及ぼす効果は大きいと思われる。 【回答】  児童発達支援の1日当たりのサービス提供可能人数につきましては,福祉型児童発達支援センター9か所・380名に加え,保育所等との並行通園を行う児童発達支援センターの分園4か所・40名の合計420名が定員となっております。 32年度末の児童発達支援センター設置箇所数の目標値設定にあたっては,同年度の月間延利用者数の見込(9,132名)を平日の開所日数(21日を想定)で除して1日あたりの利用者数(434名)を算定いたしました。児童発達支援の定員の合計は420名であるため,福祉型児童発達支援センターを1か所増設して10か所とし,2か所の医療型児童発達支援センターと合わせ,全体で12か所とすることを数値目標としているものでございます。 6.保育所等訪問支援について(P16)  こども未来局「障がい児保育訪問支援事業」との統合の検討。 (理由) 27,28年度実績がゼロであるが,療育センターなどから幼稚園・保育園等に支援に出向いている事実は耳にしています。それはこども未来局の「障がい児保育訪問支援事業」でしょうか。 いずれにしても目的や内容は同じものではないかと推測しますが,そうであれば同内容の事業は局を超えて調整を検討されても良いかと考えます。 【回答】  保育所等訪問支援は平成24年度の児童福祉法改正により障がい児通所支援に位置づけられた事業でございます。 福岡市ではそれとは別に,従来から障がい児支援の専門職員が施設を訪問して,施設職員に対して専門的な見地から助言や研修を行う「障がい児保育訪問支援事業」や「私立幼稚園障がい児支援事業」といった類似の訪問支援事業を福岡市社会福祉事業団に委託して実施しております。  専門職員が施設を訪問する点は共通していますが,保育所等訪問支援は保護者からの申請に基づき,障がい児が集団生活になじめるよう,施設職員への助言のほか本人への働きかけも行うもので,サービス利用にあたっては申請手続きや利用者負担金が発生します。一方,他の類似事業は障がい児を受入れている施設からの申請に基づいて行われ,施設職員全体が支援対象となることから,障がい児の保護者の利用者負担金等は発生いたしません。  保育所等訪問支援とその類似事業は相互に補完し合うものであり,今後も引き続きそれぞれ実施してまいります。  なお,保育所等訪問支援につきましては,実際に利用された方から好評であり,保護者の方が希望するサービスを選択できるよう,引き続き事業の周知を図ってまいります。 7.重症心身障がい児を支援する放課後等デイサービスについて(P17) 重症心身障がい児の定義,申込を正当な理由で断らないこと,受入時の合理的配慮義務等を補足する。 (理由) 現在,医ケア児や重症児,知的障がいの重度の子どもは敬遠されている状況があります。 数値目標と合わせて,そのことに注意が働くような表記の仕方が望ましい。 【回答】  「第5期障がい福祉計画」の内容につきましては,国の基本指針に即し,「障害者総合支援法」に基づく障がい福祉サービス等に関する数値目標の設定及び各年度のサービス需要を見込むとともに,サービス提供体制の確保や推進のための取組みを定めるものでございます。 今回いただきましたご意見のうちサービス提供拒否の禁止及び合理的配慮提供の義務につきましては,重症心身障がい児等への支援だけではなく,障がい児・者支援施策全般に係る議論でございますので,本計画の趣旨や全体の構成,および他の計画との関係性を考慮し,原案どおりでご理解願います。 なお重症心身障がい児の定義につきましては,いただいたご意見をふまえ,素案17頁Aの最後に,行政サービス一般に用いられる「重症心身障がい児」の定義について補足いたします。 第3−3 障がい福祉サービスに関する各サービスの見込量について 8.短期入所(福祉型)(医療型) 第5期計画の見込み量について(P20) 実績から推測できる数字の根拠を示し,現実性のある目標値を設定されるべきと考えます。 (理由) ・福祉型 実績値の27年度と28年度を比較すると対前年比41.25%増。 ・医療型 同様の計算で対前年比19.2%増。 これから類推すると計画案の数字が適切であるとは判断しにくい。 【回答】   短期入所の見込量につきましては,平成25年度から28年度にかけての障がい者の出現率や福祉サービスの支給決定伸び率,28年度の短期入所の実利用者数などから,見込数を算出しておりますので,原案どおりとさせていただきます。 9.共同生活援助の利用者数の数値目標について(P21)  @数値目標をかかげているが,現実性のある内容であるのか,人材確保を含めての方策を入れておく必要があると思います。  A当該事業は,利用者の地域移行を担保する主要な事業ですが,第4期の実績は低位に留まっています。第5期の目標については,重点事業の明記及び方策については,達成するために有効な支援策を検討する。等の文言を追記して下さい。 【回答】  「見込量確保のための方策」の本文中に,「さまざまな手法により」と記載しており,人材確保の方策の検討についてもこの中に含まれる趣旨で記載しております。 グループホームの設置促進にあたっては,良質な人材を確保するため,経営実態に見合う報酬水準を確保するよう,機会を捉えて国に要望してまいります。 B27年度〜28年度の伸び率の趨勢により表記の数値となるのか確認願います。 C第4期の達成進捗率が著しく停滞しており,その理由の分析をお願いします。 【回答】  伸び率の趨勢と設置促進に取組みによる伸びを見込んで算定しております。設置がまだ十分でない理由の分析につきましては,適宜事業者との意見交換を行うなど分析に努めてまいります。 D全障がい,障害程度,支援区分等が内包された目標値になっています。 補足としてでも良いので障害程度別,区分別の利用者数の目標値の明記をお願いします。 (理由) 福岡市内には知的と身体に重い障害がある重度重複者のグループホームは皆無です。 その不足は,軽度者グループホーム数に隠れて,全く見えない状態になっています。社会的課題の明確化,社会資源確保のためには,別に明記する必要があり強く求めます。 【回答】   重度障がい者向けグループホームの設置促進は,今後の重要施策と考えておりますが,障がい程度別や区分別の利用者数の目標値については,今後,グループホームの設置促進策を具体化していく中で,様々な課題を踏まえた施策の検討が必要になってくると考えます。そのため,現状において今回の計画への具体的な数値の明記は困難と考えております。 重度障がい者向けグループホームの設置促進に向けて,経営実態に見合う報酬水準を確保するとともに,良質な人材の確保が図られるよう,機会を捉えて国に要望してまいります。 10.計画相談支援 第5期計画の見込み量について(P22) 数値の根拠を明確にし,適正な目標値を検討されたい。 (理由) @相談支援体制の第4期目標数値と実績の大きな乖離についての分析,説明及び30年度以降の数値設定の根拠を説明して下さい。 A実績値27年度から28年度へは28.46%増加しています。このことから計画案の数値が適切とは判断しにくい。 【回答】  計画相談支援の見込量は障がい福祉サービスの支給決定者見込数と同じ値となります。 第4期計画については,過去3年の障がい福祉サービス支給決定者数の伸び率から見込量を算出しておりましたが,見込量と実績に大きな乖離が生じたため,平成30年度以降については,障がい福祉サービス支給決定者数の伸び率に加え,推計人口や過去の障がい者の出現率を基に,より現実的な見込量を算出しております。 また,計画相談支援については,平成27年4月から全ての障がい福祉サービス支給申請者にに対して必須とされ,福岡市においては,新規または更新申請時に計画相談支援を導入しておりますが,支給決定期間が3年の方などもいるため,平成27年度から平成29年度までで全てのサービス利用者に計画相談が導入されることとなります。 平成28年度末のサービス等利用計画の作成率は93.7%で,ほぼ全ての利用者に計画相談が導入されているため,平成29年度以降は大きな増加はなく,人口動態等を踏まえて算出した見込量が妥当と考えるため,原案どおりとさせていただきます。 11.医療型児童入所施設 第5期計画の見込み量について(P23) 増え続ける重症心身障がい児の受け皿が絶対に必要です。 23人という数は常にふさがっている病床であり,それ以外の人は利用することができません。そういった状況をどのように改善しようとされているのか,他の項目では読み取れません。 一時的入院や短期入所などを受け入れることができる入所施設がもう1か所必要です。 (理由) 現在は国立病院機構福岡病院1か所であり,常に満床の状態で利用できないのは周知の事実であり,この状況は長く放置されてきました。こども部会において,「緊急時等にも受け入れられない」「市外に行くことも難しい」等の多くの意見がありました。 在宅重視の昨今ですが,重度の子の家族にも休養や病気の時に安心して預けられるセーフティネットがなければ在宅は続けられません。 重症心や医ケア児が安心して利用できる短期入所や一時的な入院等が出来る医療型入所施設は福岡市内にもう1か所の整備が必要です。 蛇足ですが,平成26人に福岡市に療養介護施設ができて以来,福祉型・医療型ともに短期入所が大幅に増加しています。それまでは行政は短期入所稼働率は40%ととらえていましたが,実際はこれほどのニーズがあり,重度の子を持つ家族はギリギリまで耐える生活をしていたことがわかっていただけると思います。どうぞ,障害の重い人たちと家族が福岡市で幸せに暮らしていけるような環境の整備をお願いいたします。 【回答】  医療型障がい児入所支援は,在宅で生活する障がい児の緊急時の受入れやご家族のレスパイトを目的としたサービスではなく,18歳未満の障がい児を施設入所させて,保護,日常生活の指導,独立自活に必要な知識技能の付与及び治療といった支援を提供するものでございます。 障がい児入所施設の整備につきましては,県が域内市町村と連携しながら入所が必要な障がい児のニーズを把握し,都道府県障害児福祉計画において広域的な観点から施設の必要入所定員総数を定めることとされ,市町村障害児福祉計画では,障がい児入所施設の整備については計画に記載するべき事項とされておりません。 福岡市といたしましては,障がい児入所支援の「見込量の確保のための方策」(24頁)において「障がい児が必要な支援を受けることができるよう,適切に対応します。」としており,福岡市の利用見込量を県へ提供するなど県との情報共有を積極的に図るとともに,需要見込みに変化が生じた場合についても,定員の拡充を県に働きかけるなど適切に対応してまいります。 12.障がい児相談支援について,28年度実績停滞の理由の分析,説明及び30年度以降の数値設定の根拠を説明して下さい。(P24) 【回答】   障がい児相談支援につきましては,年間延利用者ベースでは平成27年度(1,975名)から28年度(3,307名)にかけて大きく利用が伸びております。しかし第4期計画期間中の実績については,年度末の月間利用者数を報告することとしており,28年度実績については29年3月のサービス利用者が少なかったため,前年比で実績が減少したものでございます。  第5期計画における見込量につきましては,計画相談が必須である障がい児通所支援の各サービスの支給決定者数の見込をもとに算出したものでございます。 13.医療的ケア児支援調整コーディネーターの配置 第5期計画の見込み量について(P23) 各区に1人(最低)は必要です。 (理由) 医療の進歩により医療ケア児は確実に増加しており知的障害のない医ケア児等も増えています。その子どもたちが医療機関から在宅生活へ安心して移行するためには医療・福祉・療育・地域などとの上質なコーディネートができる人材こそが必要です。 各区に1人は必須であり,区基幹相談センターとの連携を密にしながら切れ目のない支援が継続できる体制を整えることが必要です。 【回答】   医療的ケア児支援調整コーディネーターにつきましては,その資格要件及び業務内容が国において明らかとされていないことから,第5期計画においては少なくとも1名以上は配置するものとし,今後は国の動向も踏まえながら,県が主催するコーディネーター養成講座について,市内の相談支援事業所等に対し受講を働きかけるなど,人材の育成とコーディネーターの配置を進めてまいります。 14.地域生活支援事業(移動支援事業)について(P29)  市町村の裁量の中で,移動支援の中身について利用しやすいサービスとなり,増加を見込んでいることはありがたいことです。  今回の計画の中で議論すべきものではないかもしれませんが,移動支援の単価についても要検討ではないかと思います。 【回答】   移動支援の単価につきましては,障がい福祉サービスにおける同行援護の単位数を準用しております。今後も国の報酬改定の状況を踏まえ,適切に設定してまいります。 その他 15.福祉サービスを担う人材確保について  この計画の中に街づくりの視点やソフト面での充実(啓発)について,文言の中に少しでも含まれるといいのではないでしょうか?社会づくりの意義に賛同を与える意味でも。 【回答】  「第5期障がい福祉計画」の内容につきましては,国の基本指針に即し,「障害者総合支援法」に基づく障がい福祉サービス等に関する数値目標の設定及び各年度のサービス需要を見込むとともに,サービス提供体制の確保や推進のための取り組みを定めるものでございます。 今回,いただきましたご意見につきましては,平成28年6月に策定した「福岡市保健福祉総 合計画障がい者分野」において,障がい者に配慮したまちづくりの推進や広報・情報提供の充実として,その推進方策を定めており,今後も同計画に基づき,施策の推進及び事業の進捗管理を 行ってまいります。