資料2 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(案)に係るパブリックコメント手続きについて 目次 1 市民意見募集概要 2 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(案)に対する市民意見(主なもの) 1 市民意見募集概要 (1)目的  障がいを理由とする差別の解消を目的とする条例案の策定にあたり,市民との情報共有を図り,市民意見を条例案に反映させるため,福岡市パブリック・コメント手続要綱に基づき,条例案を公表し,意見募集を実施しました。 (2)意見募集期間   平成30年1月22日(月)〜2月23日(金) (3)実施方法  @条例案の公表  市政だより平成30年1月1日号で告知の上,下記の本市機関及び障がい相談窓口にて条例案の閲覧および配布を行うとともに,2月2日に開催した「福岡市障がい者差別解消条例案タウンミーティング」にて条例案の説明を実施しました。  また,福岡市ホームページにも音声読み上げ対応のテキスト版と併せて掲載するとともに,条例案の点字版及び音声版を作成し,市役所本庁舎及び各区役所で利用できるようにしました。  ※閲覧・配布場所   ・福岡市役所本庁舎(保健福祉局,こども未来局,情報公開室,情報プラザ)   ・各区役所(福祉・介護保険課,健康課,市民相談室),各出張所   ・心身障がい福祉センター   ・福岡市市民福祉プラザ   ・西部療育センター   ・東部療育センター   ・精神保健福祉センター   ・こども総合相談センター   ・発達教育センター   ・発達障がい者支援センター   ・障がい者就労支援センター   ・区基幹相談支援センター(市内14か所)    A意見提出の方法  郵送,FAX,電子メール,福岡市ホームページからの送信,配布場所への持参により受け付けました。 (4)意見募集結果  @意見提出状況  提出者数・・・24人・団体(内訳:16人,8団体)  意見件数・・・69件  A意見集計結果   意見の分類(件数) 条例名  意見への対応 条例案どおり 2   意見の分類(件数) 第1章 総則(第1条―第5条)  意見への対応 修正 2 条例案どおり 5   意見の分類(件数) 第2章 基本理念(第6条)  意見への対応 条例案どおり 4   意見の分類(件数) 第3章 障がいを理由とする差別の禁止(第7条―第8条)  意見への対応 条例案どおり 13   意見の分類(件数) 第4章 障がいを理由とする差別を解消するための施策等(第9条―第19条)  意見への対応 修正 1 条例案どおり 6   意見の分類(件数) 第5章 福岡市障がい者差別解消推進会議(第20条―第25条)  意見への対応 条例案どおり 5   意見の分類(件数) 第6章 福岡市障がい者差別解消審査会(第26条―第31条)  意見への対応 条例案どおり 1   意見の分類(件数) 附則  意見への対応 条例案どおり 2   意見の分類(件数) 漢字表記  意見への対応 条例案どおり 1   意見の分類(件数) その他(質問,要望や今後参考にすべき内容等)  意見への対応 その他 27   合計  修正 3  条例案どおり 39  その他 27 (5) 福岡市障がい者差別解消条例タウンミーティング   @ 開催日時    平成30年2月2日 13:00〜15:20   A 場所    アクロス福岡 地下2階 イベントホール   B 参加人数    115名   C プログラム   ・はじめに    ・こんなときどうする 〜劇を交えた障がい者差別解消Q&A〜   (内容)劇を通じて障がい者差別解消の考え方を紹介   ・知的障がいや発達障がいの擬似体験   (内容)口頭で伝えられた絵を描くことを通じて,障がいのある方の捉え方を擬似体験   ・条例案についての説明・質疑   (内容)条例案の概要等について説明し,質疑応答を実施   ・閉会      2 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(案)に対する市民意見(主なもの)  (1)市民意見を受けて修正をしたもの    1 第1条「共生」を「共に生きる」に改めるべき。共生とは,違うものが共に生きるという意味もある。無用な誤解は避けるべく,題名にあわせ,共に生きるで良いのではないか。    (修正を行った理由)条例の名称にあわせるため。    2 第12条「差別に関する施策を実施」を「差別の解消に関する施策の実施」に改めるべき。「〜不当な差別的取扱いを行い,又は合理的配慮をしないことに関する施策」では差別の助長である。    (修正を行った理由)第3条や第4条で「差別の解消に関する施策」と規定しており,これに合わせるため。    3 市職員の理解を深めることが大事であるため,研修等の施策も必要だと考える。具体的には,第3条に次の項目を入れてほしい。(Fの意見の一部)     市は,障害のある人に対する支援を適切に行うため,全ての職員が合理的配慮の必要性を理解するよう研修その他必要な施策を講じること。     (修正を行った理由)市職員の理解促進を図る姿勢を明確にするため(第9条第2項に規定)。  (2)原案どおりとしたもの    「条例名」    4 条例名が長すぎる。たとえば,「福岡市障がい者差別解消条例」や「福岡市障がいを理由とする差別をなくす条例」などとできないのか。    5 条例名について。「撤廃」には,法や制度を整備し,行政が社会の,そして国民の先頭に立って取り組むという積極的意味があるが,「解消」にはそのような積極的意味はない。福岡市の積極的な意思を明確にするため,「障害者差別撤廃条例」とすべきだ。    (原案どおりとする理由)条例名については,条例検討会議や福岡市保健福祉審議会(障がい者保健福祉専門分科会)における委員の意見,「ユニバーサル都市・福岡」の趣旨を踏まえたものであるため。なお,通称としては「福岡市障がい者差別解消条例」とすることを想定している。    「第2条関係」    6 合理的配慮は,事業者等が考えた配慮方法ではなく,まず当事者の希望する方法を聞いたうえで,できるだけその希望に応じた配慮をしてほしい。具体的には,第2条第5号を次のようにしてほしい。     (5) 合理的配慮 障がい者の性別,年齢及び障がいの状態に応じ,かつ当事者の希望する方法で社会的障壁の除去のための必要かつ合理的な現状の変更又は調整をいう。    (原案どおりとする理由)合理的配慮の内容については,当事者の希望を踏まえつつ,事業者の負担の程度など個別の状況も勘案し,関係者間で意思疎通,建設的対話を図りながら具体的に決定していく必要があるため。    「第3条関係」    7 事業者等は障害者についての理解が進んでいないことから,まず市として理解を深める取組みを責務としてほしい。公共施設の建設などの際は,当事者の意見を聞いてから計画を立ててほしい。そのためには,市職員の理解を深めるための研修などの施策も必要だ。具体的には,第3条に次の項目を加えてほしい。     ・障害のある人への差別の多くが,障害に対する理解の不足から生じていることを踏まえ,障害に対する理解を広める取組を行い,定着させること。     ・公共的施設の整備その他障害のある人に関する施策を実施するに当たっては,障害のある人から意見を聴取するよう努めること。    (原案どおりとする理由)前者については,本条第1項に規定しているため。後者については,市民や事業者を含めて社会における障がいを理由とする差別の解消に関する基本的な市の責務の規定である本条になじまないため。    「第7条・第8条関係」    8 第7条にまず「何人も障がいを理由とする差別してはならない」と明記すべきだ。各分野別に差別禁止事項を設けることも大切だが,市や事業者だけが徹底しても不十分だと思う。    (原案どおりとする理由)第2条第3号(定義)において,障がいを理由とする差別は,「不当な差別的取扱いを行い,又は合理的配慮をしないこと」としたうえで,第6条第2号(基本理念)において,「何人も,障がいを理由とする差別により障がい者の権利利益を侵害してはならない」と規定し,メッセージ性を強めている。加えて,本条例の基本的な考え方としては,障がい者との交流を通じた相互理解を深め,差別をする側とされる側とに分けた対立構造ではなく,相互の立場を踏まえた建設的な対話を行うこととしており,この趣旨から市民に対する規制は適切ではないと考えるため。    9 事業者の合理的配慮義務について,努力義務を法的義務にしてほしい。    (原案どおりとする理由)民間事業者における合理的配慮の提供には様々なことが考えられ,何をしなければならないのかが具体的場面等によって異なるため,一律に義務付ける規定とすることは,様々な法的問題が生じることが懸念されるとの意見もあるため。当該規定については,社会における合理的配慮の浸透の状況等を踏まえ,条例施行から3年後の見直しの際に検討していく予定。    10 合理的配慮の要件として,第8条に,「障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって,そのことを認識できるとき。」の文言を挿入し,意思表示ができず,代弁者がいない緊急時も含む場合などを想定した規定にしてほしい。    (原案どおりとする理由)建設的対話を通じてその具体的内容が定まっていく合理的配慮について,障がい者やその家族等からの意思の表明がない場合にこれを義務付けることは,現実の場面での必要性はあるにしても条例で規定することは困難と考えられるため。なお,意思表明の主体を「障がい者及びその家族その他の関係者」と広くしている。    「第16条から第19条関係まで」       11 第16条,第19条について。命令の規定を設けるべき。また,公表だけでなく,刑事罰をもって臨むべき。    (原案どおりとする理由)本条例は,紛争が発生した場合「建設的な対話を行うことにより解決することを基本とする」(第6条第5号)ものであり,強制的な手法を用いることは本条例の理念と相容れないため。    12 第16条と第17条,第18条の指導助言,審査会への諮問,勧告については,推進会議に意見を求め,勧告については審査会に意見を求める2段階構えとなっているが,相談に関しては一貫してかかわり,必要な段階で意見を述べる流れが分かりやすく納得できる。審査会をなくして,推進会議に審査会の機能を移した方がよい。    (原案どおりとする理由)推進会議と審査会はそれぞれ異なる役割を担う機関であり,審査会は推進会議とは別に専門的な見地から公正な判断をするという機能に特化した機関とすることが望ましいと考えられるため。  (3)その他(要望や今後参考にすべき内容等)    13 身近な相談窓口として「基幹相談支援センター」を想定しているとのことだが,相談窓口は,アクセスしやすいことが重要なので,まずは区役所に窓口を置くべきだ。基幹相談支援センターは福祉サービスにつなげることが主な業務と思われるため,同センターに相談窓口機能を付加すべきでない。    14 差別事案が発生した場合の相談支援が的確に迅速に機能するように,障がい者110番など人員の充実もお願いしたい。    15 身近さと専門性が両立するような相談体制は,相談する方はどちらも同じと感じるので,責任もっての回答を期待する側からいえば,専門性の整備のみでいいのではないか。窓口はひとつにしてほしい。    16 附則の「検討」について。3年後の見直しは,推進会議を中心に勘案してほしい。    17 条例が生活の中で活きるためには,差別感情に蓋をしても仕方がないし,知らないうちに差別していることも多いので,条例の理念や障がい理解の啓発に力を入れてほしい。