資料1 「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(仮称)」原案の修正に係る趣旨説明について ※略称について  検討会議原案・・・条例検討会議報告書でまとめられた条例原案(第3回(資料1))  前回案・・・第3回専門分科会で提示した福岡市の条例原案(第3回(資料4))  修正案・・・第3回専門分科会の結果を踏まえて修正した福岡市の条例原案(第4回(資料4)) ○ 目次 (検討会議原案・前回案) 目次 前文 第1章 総則(第1条―第6条) 第2章 障がいを理由とする差別の禁止(第7条・第8条) 第3章〜第6章 略 附則 (修正案) 目次 前文 第1章 総則(第1条―第5条) 第2章 基本理念(第6条) 第3章 障がいを理由とする差別の禁止(第7条―第8条) 第4章〜第7章 略 附則 (修正の趣旨・理由)  変更前(検討会議原案・前回案)においては,基本理念は条例全体に通底する基本原理であることから,総則の章に規定していました。 第3回障がい者保健福祉専門分科会において,基本理念を一つの章として独立させるべきとの意見があったため,第2章として独立して規定しています。 ○ 第2条(定義) (検討会議原案・前回案)  (定義) 第3条 この条例において使用する用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 障がい 身体障がい,知的障がい,精神障がい,発達障がい,難病その他の心身の機能の障がいをいう。 (2) 障がい者 障がいがある者であって,障がい及び社会的障壁により継続的,断続的又は周期的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (3)〜(10) 略 (修正案)  (定義) 第2条 この条例において使用する用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 障がい者 身体障がい,知的障がい,精神障がい,発達障がい,難病その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって,障がい及び社会的障壁により継続的,断続的又は周期的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2)〜(9) 略 (修正の趣旨・理由)  「障がい」及び「障がい者」の定義について,第3回障がい者保健福祉専門分科会において,一つにまとめるべきとの意見があったため,「障がい者」の定義に「障がい」を含めることとしました。 ○ 第6条(基本理念) (検討会議原案) (基本理念) 第2条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) 略 (2) 何人も,不当な差別的取扱いにより障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4)〜(9) 略 (前回案) (基本理念) 第2条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) 略 (2) 何人も,不当な差別的取扱いにより障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 何人も,社会的障壁の除去のためには,合理的配慮の促進が必要であることを認識し,その理解を深めていくこと。 (4)〜(9) 略 (修正案) (基本理念) 第6条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) 略 (2) 何人も,障がいを理由とする差別により障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4)〜(9) 略 (修正の趣旨・理由)  基本理念の第3号については,条例検討会議においても様々な意見があり,「メッセージ性を重視して『何人も合理的配慮を行う必要がある』旨の規定とするべき」との意見がある一方で,「個人の思想や言論を規制するおそれを考慮して慎重に考えるべき」との意見がありました。 第3回障がい者保健福祉専門分科会における意見を踏まえ,条例のメッセージ性を強めるため,第2号を合理的配慮の不提供の禁止もあわせた規定にすることとし,「何人も,障がいを理由とする差別により障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。」としました。また,基本理念の章を独立させ,第3章の前に「第2章 基本理念」の章を置いています。 ○ 第12条(財政上の措置) (検討会議原案・前回案)  なし (修正案) (財政上の措置) 第12条 市長は,障がいを理由とする差別に関する施策を実施するため,予算の範囲内において,必要な財政上の措置を講じるものとする。 (修正の趣旨・理由)  財政上の措置に関する規定について,変更前(検討会議原案・前回案)においては,福岡市の条例では一般的に規定を設けていないことや,財政上の措置に関する個別の規定を設けずとも条例が制定されれば一定の措置を講じるべきことが明らかとなること等から,規定は設けていませんでした。  第3回障がい者保健福祉専門分科会において,財政措置に関する規定を入れるべきとの意見があったため,本条を新設しています。 ○ 第14条(相談) (検討会議原案・前回案) (相談) 第13条 障がい者及びその家族その他の関係者又は事業者は,市に対し,障がいを理由とする差別に関する相談(以下「特定相談」という。)をすることができる。 2 市は,特定相談を受けた場合は,必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。 (1)〜(3) 略 (修正案) (相談) 第14条 障がい者及びその家族その他の関係者又は事業者は,市に対し,障がいを理由とする差別に関する相談(以下「個別相談」という。)をすることができる。 2 市は,個別相談を受けた場合は,必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。 (1)〜(3) 略 (修正の趣旨・理由)  市に対してなされた障がいを理由とする差別に関する相談の名称について,変更前(検討会議原案・前回案)においては,「特定相談」としていました。 第3回障がい者保健福祉専門分科会において,「特定相談」の表現は特定相談支援事業所と混同するため修正すべきとの意見があったため,「個別相談」と修正しています。 ○ 第15条(市長への申出) (検討会議原案・前回案) (市長への申出) 第14条 特定相談をした障がい者及びその家族その他の関係者は,次の各号のいずれにも該当する場合は,市長に対し,その旨を申し出て,必要な指導又は助言をすることを求めることができる。ただし,当該申出をすることが障がい者の意思に反していることが明らかであるときは,障がい者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。 (1) 事業者が第7条又は第8条第2項の規定に違反する取扱いを行ったことを理由として,特定相談がなされたとき。  (2) 事業者が前号の取扱いを是正する措置を講じないことにより,障がいを理由とする差別の解消の推進に支障が発生し,又は拡大するおそれがあるとき。 2〜4 略 (修正案) (市長への申出) 第15条 個別相談をした障がい者及びその家族その他の関係者は,市長に対し,必要な措置を講じること又は指導若しくは助言をすることを求めることができる。ただし,当該申出をすることが障がい者の意思に反していることが明らかであるときは,障がい者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。 2〜4 略 (修正の趣旨・理由)  どのような事案を市長への申出の対象とするかについて,変更前(検討会議原案・前回案)においては,相談の段階では「市による差別事案」と「事業者による差別事案」を区別することなく受け付けることとしたうえで,「市による差別事案」について市長に申出を行い市に対して行政指導を求めるということは背理であることから,解釈上の疑義が生じないようにするため,市長への申出の対象を「事業者による差別事案」のみとする規定としていました。  第3回障がい者保健福祉専門分科会において,「事業者による差別事案」だけを市長への申出の対象とするのは妥当でなく,行政による事案も含めるべきであるとの意見があったため,対象を限定しない規定に修正することとしました。  この修正により,「市による差別事案」についても,市長への申出の対象となります。この点につき,「市長に対し,必要な措置を講じること…を求める」と規定することにより,申出を行う人は,「市長が市に対し行政指導を行うこと」を求めるのではなく,市に必要な措置を求める規定としています。 ○ 第16条(指導又は助言等) (検討会議原案) (指導又は助言) 第15条 市長は,前条第2項の調査の結果,当該申出に相当の理由があると認めるときは,必要な指導又は助言をするものとする。 (前回案) (指導又は助言) 第15条 市長は,前条第2項の調査の結果,当該申出に相当の理由があると認めるときは,福岡市障がい者差別解消推進会議の意見を聴いたうえで,必要な指導又は助言をするものとする。 (修正案) (指導又は助言等) 第16条 市長は,前条第2項の調査の結果,当該申出に相当の理由があると認めるときは,福岡市障がい者差別解消推進会議の意見を聴いたうえで,必要な措置を講じること又は指導若しくは助言をするものとする。 (修正の趣旨・理由)  第15条で「必要な措置を講じること」という文言を追加した関係で,本条も同様に追加しています。 ○ 第22条(組織及び委員) (検討会議原案・前回案) (組織及び委員) 第21条 略 2 委員は,障がい者及び福祉,医療,教育,雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3 略 (修正案) (組織及び委員) 第22条 略 2 委員は,障がい者並びに福祉,医療,教育,雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見及び実務経験を有する者のうちから,市長が任命する。 3 略 (修正の趣旨・理由)  福岡市障がい者差別解消推進会議の委員の資格要件について,変更前(検討会議原案・前回案)においては,「障がい者並びに福祉,医療,教育,雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見を有する者」と規定していましたが,第3回障がい者保健福祉専門分科会において,識見だけでなく障がい者に関わった経験を有することも委員の資格要件とすべきとの意見があったため,「実務経験」の文言を追加しています。 ○ 第28条(組織及び委員) (検討会議原案・前回案) (組織及び委員) 第27条 略 2 委員は,審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ,かつ,法律または行政に関して優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3 略 (修正案) (組織及び委員) 第28条 略 2 委員は,審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ,かつ,法律,行政又は障がい者の権利の擁護について優れた識見及び実務経験を有する者のうちから,市長が任命する。 3 略 (修正の趣旨・理由)  福岡市障がい者差別解消審査会の委員の資格要件について,変更前(検討会議原案・前回案)においては,「優れた識見を有する者」と規定していましたが,第3回障がい者保健福祉専門分科会において,実務経験を有することも委員の資格要件とすべき旨の意見があったため,「実務経験」の文言を追加しています。  また,変更前(検討会議原案・前回案)においては,福岡市障がい者差別解消審査会について,差別事案に関し福岡市が勧告を行うべきかどうかを第三者の専門的な見地から公正な判断をする機関と捉え,委員の資格要件を「法律または行政に関して優れた識見を有する者」と規定していましたが,第3回障がい者保健福祉専門分科会において,推進会議と審査会の委員は障がい者に関わった経験を有することを要件にすべきとの意見があったため,「障がい者の権利の擁護」の文言を追加しています。 ○ 第29条(専門委員) (検討会議原案・前回案) (専門委員) 第28条 略 2 専門委員は,前項の専門の事項に関し優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3〜4 略   (修正案) (専門委員) 第29条 略 2 専門委員は,障がい者の権利の擁護その他の前項の専門の事項に関し優れた識見及び実務経験を有する者のうちから,市長が任命する。 3〜4 略 (修正の趣旨・理由)  福岡市障がい者差別解消審査会の専門委員の資格要件について,変更前(検討会議原案・前回案)においては,どのような専門事項が問題となるかは具体的事案に応じ様々であることから,「専門の事項に関し優れた識見を有する者」とのみ規定していました。 第3回障がい者保健福祉専門分科会において,専門委員についても障がい者に関わった経験を有する者を入れるべきとの意見があったため,第28条と同様に修正しています。