資料3 こども部会 検討状況 1 部会検討事項 (1)医療的ケア児を支援するための既存資源の現状と課題の洗い出し (2)課題解決のための具体的な提案 (3)課題解決に向けた事業所等の取り組み (4)課題解決に向けて福岡市が支援すべきこと 2 検討状況 第1回 H29.12.3 協議内容 ・協議会で決定した部会の企画・協議の方向性の説明 ・部会長・副部会長の選任 ・今後の進め方 第2回  H29.1.17 ・既存資源の確認、課題の洗い出し 第3回 H29.2.21 ・課題解決に向けて、事業所として取り組めること 第4回 H29.3.14 ・課題解決に向けて、福岡市が支援すべきこと 第5回 H29.4.18 ・協議会への提言書(案)の協議 第6回 H29.5.16 ・協議会への提言書(案)の協議 H29.6.9 平成29年度第1回地域生活支援協議会 ・検討状況報告 第7回 H29.6.20 ・協議会への提言書(案)の協議 第8回 H29.7以降 開催予定 H29.10〜H29.11月頃 平成29年度第2回地域生活支援協議会 ・提言(案)報告 協議の前提として,福岡市の医療的ケア児に対するレスパイト施策を下記のとおり整理し,宿泊を伴うレスパイト,日中のレスパイト,相談支援という項目ごとに現状と課題をまとめた。下記施策の中には,本来,レスパイトが目的ではないものの,通園等で結果的に介護者のレスパイトとして利用されている現実があるため,それらも含めて検討を重ねた。 部会では主として重度(濃厚な医療的ケアを要し,医療的判断が多く必要でADLの低い)の医療的ケア児に対するレスパイトに関する専門施策(短期入所等)の議論を行い,その中で,日中活動一般や相談支援に関する議論も平行して協議した。 福岡市の医療的ケア児に対するレスパイト資源一覧 入所施設 宿泊を伴うレスパイト 医療型短期入所,福祉型短期入所 日中のレスパイト 医療型特定短期入所 日中一時支援 通園施設 日中のレスパイト 未就学児 医療型児童発達支援,児童発達支援 学齢児 放課後等デイサービス,特別支援学校放課後等支援事業 訪問型(在宅) 日中のレスパイト 訪問診療,訪問介護,訪問看護 これまでの議論のまとめ 宿泊を伴うレスパイト 現状 ・医療的ケア児を対象とした医療型短期入所事業所は、市内に1か所のみで、空床利用型のため定員に空きがなく新規での受け入れができない状況である。 ・市内の医療的ケア児を対象とした医療型短期入所事業所は年齢制限があり、2歳未満児を受入できる事業所がない。 ・市外施設を利用する際、本格的な利用の前にお試し利用が必要で、遠隔地まで連れて行くことが困難な状況である。 ・福祉型短期入所事業所は報酬単価が低いことから,医療的ケア児の受け入れに難色を示す事業所が多い。 ・事業所が、利用者の容体が急変するリスクに対する恐れや、報酬が低い等の問題で医療的ケア児の受入れや対応する事業所数が増えていかない。 ・医療的ケア児はケア方法に個別性が高いため、短期入所先が普段の医療的ケア児の様子を知らないと適切な対応が難しいが、医療的ケアの伝達が保護者のみからでは不十分なことがある。 ・緊急時の利用については、どこの事業所も計画的なレスパイトの受け入れで埋まっており、受け入れ調整は困難を極めている。 課題 ・医療的ケア児に対応可能な医療型短期入所事業所の増加が必要。 ・福祉型短期入所で医療的ケア児を受け入れた場合でも,事業運営を可能とするための報酬体系などの仕組みが必要。 ・日頃から医療的ケア児に関わっている支援者を医療型短期入所事業所に派遣し、支援方法の伝達等を行う仕組みが必要。 ・医療機関において、レスパイトを目的とした入院も受け入れる仕組みが必要。 事業所が取り組むこと @NICU設置の中核病院 ・市の医療的ケア児レスパイト入院事業(注1)を活用し、受け入れ促進を図るとともに、退院直後限定のレスパイト機会を提供するため、医療型短期入所の指定を受けられないか検討する。 ・緊急時においては、医療評価入院や医療型短期入所で受け入れができないか、体制確保を含め検討する。 A短期入所事業所 ・コミュニケーション支援員派遣事業(注2)の利用も視野に入れ、利用人員の拡大に努める。 ・関係機関との連携を強化し、医療的ケア児の受け入れ機会の確保に協力する。 B訪問看護事業所 ・居宅介護事業所と連携を図り、自宅でのレスパイト事業(注3)の実施に協力する。 ・日頃から支援を行っている職員を派遣し,福祉型短期入所事業所での医療的ケア児の受け入れ促進に協力する。 ・日常のケアに慣れている居宅介護事業所や訪問看護ステーションで受け入れ可能な仕組みを構築し、重度の医療的ケア児の宿泊を伴うレスパイト事業に協力する。 C 居宅介護事業所 ・入院時コミュニケーション事業の拡大や、短期入所先へのコミュニケーション支援員派遣など、事業実施に協力する。 D 児童発達支援センター等 ・普段から関わっている職員による支援に対する強い希望があることを踏まえ、日中活動の事業者は、短期入所事業の実施を検討する。 [※注 すべて平成29年度から実施予定の事業] 注1 小児慢性特定疾病児童を対象に,一時預かりを医療機関に委託して実施する事業 注2 医療型短期入所事業所に,普段利用している居宅介護事業所の職員等を派遣し,医療的ケアの伝達等を行う事業 注3 自宅へ看護師を派遣し,短期入所の利用が困難な障がい児・者の介護者のレスパイトを図る事業 市が支援すべきこと @ 医療型短期入所事業所増と受け入れ増に向けた事業所指定申請勧奨 ・コミュニケーション支援員派遣事業の周知と共に、入院ベッドのある病院へ指定申請への働きかけを行う。 ・既存の指定事業所に対しても、医療的ケア児の受け入れを行うよう、働きかけを行う。 A 福祉型短期入所への看護師配置に向けた経費補助 ・福岡市の独自の加算新設を検討する。 B 単独型短期入所事業所設置拡大に向け、初期費用の一部補助 ・訪問看護事業所や居宅介護事業所等が短期入所を実施しやすくできるように、スプリンクラー設置などの初期費用の一部補助を検討する。 C 共同事業としてのレスパイト事業の新設 ・訪問看護ステーションや居宅介護事業所等と施設を保有している事業所が相互に人員や場所を提供しあい、複数の事業所が共同でレスパイト事業を実施できる仕組みつくりを検討する。 D 緊急時の一時受け入れ先の確保 ・平成29 年度に始まる、医療的ケア児のレスパイト入院事業や地域生活拠点等整備の実施状況を注視し、医療的ケア児が緊急時に一時受け入れができるよう体制の確保を図る。 日中レスパイト 現状 ・医療型特定短期入所は、市内2ヵ所の事業所で実施しているが、定員はどちらも一杯で預かれる日数が限られている。また、支援者の人員確保が困難であり、現状以上の受け入れが困難な状況である。 ・日中一時支援も同様に看護師確保などの体制上の理由により受け入れが不十分な状況があり、人工呼吸器を常時装用している等の医療的ケア児は受け入れできないところが多い。 ・児童発達支援や放課後等デイサービス等は、本来、療育目的の通園の制度であるが、日中に医療的ケア児を預けることにより,医療的ケア児を24時間介護し続けている介護者にとって結果的にレスパイトとなっている現実がある。 ・児童発達支援、放課後等デイサービスともに、医療的ケア児の受け入れを行っている事業所が少ない。 ・居宅介護や訪問看護も同様に本来の目的はレスパイトではないが、特に外出が困難な重度の医療的ケア児を24時間介護している介護者にとっては、サービス利用中に、介護者が利用者と離れることができレスパイトが図れている現実がある。 ・訪問看護は1回あたり90分間の利用しかできず、長時間の派遣ができない。また、小児対象事業所が増えてきているものの、90分以内の報酬は変わらないため(30分でも90分でも報酬は同じ)、支援に時間も手間もかかる医療的ケア児を受け入れる事業所が少ない。 ・未就学児については居宅介護の利用が特例となるため、申請に時間がかかっており、スムーズなサービス利用につながっておらず、実際に医療的ケア児に対応できる事業所も少ない。 ・医療的ケア児を訪問診療する小児科が少ない。 課題 ・医療的ケア児に対応可能な医療型特定短期入所、日中一時支援事業所の増加と看護師等の人員確保や人材育成に対する支援が必要。 ・児童発達支援や放課後等デイサービスなどでも医療的ケア児の受け入れが可能となるよう、人員確保や人材育成の支援策が必要。 ・医療的ケア児の介護者のレスパイトを目的とした居宅介護や訪問看護が利用できる仕組みが必要 事業所が取り組むこと 児童発達支援センター等 ・普段から関わっている職員による支援に対する強い希望があることを踏まえ、日中活動の事業者は、受け入れ体制の強化を図るとともに、医療型特定短期入所又は日中一時支援事業の実施を検討する。 ・平成30年4月からの訪問型児童発達支援の事業開始に向け、従来実施している事業の再構築も含め、実施を検討する。 市が支援すべきこと @児童発達支援事業所等での医療的ケア児の受入体制整備促進 ・児童発達支援や放課後等デイサービス等の各事業所における看護師の配置促進に努める。 A人材育成支援 ・障がい児相談支援事業所を含む各事業所職員に対する医療的ケアの知識・技能習得のための研修を実施する。 B国の財政支援強化への取組 ・平成29年度に国において実施予定の「医療的ケア児支援促進モデル事業」の実施状況なども踏まえ、上記看護師の配置や、人材育成に対する国の財政 支援が、児童発達支援等における報酬等に反映されるよう積極的に国に働きかける。 相談支援 現状 ・障がい児の相談支援については、児童発達支援センターの相談支援事業所が未就学児を、障がい児相談支援事業所が学齢児を対象に、支援を行っている。 ・医療的ケア児の対応にあたっては様々な医療的知識や社会資源の熟知と高度な専門性が必要であるが、適切な支援計画を作成できる相談支援専門員が少ない。 ・NICU退院前の、病院の地域医療連携室と児童発達支援センターや障がい児相談支援事業所との連携がうまくいかず、日程的に退院後の支援の調整が困難な場合がある。サービス導入に当たって、利用の前提となる手帳や受給者証がすぐに下りなかったり、保護者の障がい受容の問題等により、調整に時間がかかり、十分対応できていない面もある。 課題 ・医療的ケア児の支援に対応可能な相談支援専門員及び相談支援事業所の増加が必要。 ・人員や体制の確保と研修等による医療の専門知識の能力向上及び訪問看護等の医療職との連携が必要。 ・病院や訪問看護事業所,障がい福祉サービス事業所等が連携し,医療的ケア児の支援を総合的に調整するコーディネーターの養成が必要。 ・NICU入院時からの継続した支援ができるよう、医療、福祉、行政の連携体制の構築が必要。 事業所が取り組むこと @NICU設置の中核病院 ・講師派遣など、コーディネーター養成に協力するとともに、在宅診療医に繋ぐなどし、退院後の主治医確保に努める。 ・‘障がい児相談支援事業所と連携を密にし、入院時からの家族支援やサービス利用調整等に努める。 A訪問看護事業所 ・入院中の早い時期から、退院と同時に各種サービスが利用できるよう、支援計画の作成に協力する。 B障がい児相談支援事業所 ・緊急時に備えた短期入所の複数利用や、定期利用の必要性について、利用者に十分説明を行い、利用調整に努める。 ・医療的ケア児の相談支援向上のため、研修等による能力向上及び、医療機関や訪問看護等の医療職との連携を図る。 市が支援すべきこと コーディネーターの育成 ・重症心身障がい児への支援を総合調整するコーディネーターについて、国のカリキュラムを活用若しくは市独自に研修を進め、重症心身障がい児への相談支援体制の強化を図る。