触法障がい者部会報告書 1 設置目的 障がいがあり犯罪を起こした人(触法障がい者)の多くが、刑務所等を出所しても帰る場所や相談する家族もないことから犯罪を繰り返す現状がある。また、触法障がい者への支援は、各相談機関や専門機関が個別で支援していながらも、これに関する課題や社会資源について情報を共有したり、協働して取り組んだりする機会がなかった。 こうした現状の中で、相談機関及び司法関係者は触法障がい者の対応に苦慮することが多く、司法と福祉の連携の必要性が指摘されている。   触法障がい者に対する支援のうち、矯正施設を出所した障がい者に対し地域社会での自立促進を図る支援(出口支援)については、地域生活定着支援センターが中心となり既に取り組まれている。 他方、矯正施設に入所する前の被疑者・被告人段階(事件となり判決が出るまでの間)の支援(入口支援)については、福岡市での体系的な取組みはなされていない。 そこで今回、入口支援が必要なケース、すなわち矯正施設での教育のみでは改善が難しいと考えられるケースに対し、司法と福祉が連携しどのような支援が提供できるかを協議することを目的として専門部会を設置した。 2 協議内容 (1)触法障がい者の相談の流れ(スキーム)を構築 (2)司法関係者と福祉が共同で支援を適切に進めていく仕組み作り (3)触法障がい者の支援のためのネットワークの構築 (4)触法障がい者の支援モデルの研究 (5)前号に掲げるもののほか,目的を達成する為に必要な事項に関すること  3 検討状況 開催日 協議内容 第1回 H28.8.12 ?部会長選出,ケース1についての報告と課題の整理 第2回 H28.10.19?第1回目の課題に対する対応検討,ケース2,3についての報告と課題の整理 第3回 H28.12.19?スキームで使用する様式の検討,ケース4,5,6,7の報告と課題の整理 第4回 H29.1.23?ケース8についての報告と課題の整理, 障がい者等地域生活支援協議会での報告書案検討 第5回 H29.2.20?ケース9についての報告と課題の整理, 障がい者等地域生活支援協議会での報告書案検討 4 スキーム試行事例   別紙のとおり 5 検討結果  触法障がい者の入口支援の過程で、福祉側と弁護士側から見た課題とそれに対して、以下の取り組みが検討された。 課題 1 勾留から福祉に繋がるまでに時間を要するため、更生支援計画作成までの期間が限られる。 取組 @勾留決定の際に被疑者の情報に接する裁判所から情報提供を受ける等の協力が得られないか、裁判所との連携を深めることを検討する。 A民間施設協議会で、逮捕から公判までの流れについて弁護士から説明をしてもらい、利用者が逮捕された際の弁護士への繋ぎ方を周知する。 B国選弁護人対して、福祉側から出動要請があった場合に、障がい者支援に関心のある弁護士が担当できるような仕組み作りが必要である。 課題 2 試行スキームの対象者要件が狭い 取組 @刑事弁護等委員会や高齢者・障がい者委員会の委員など、触法障がい者の問題に理解の深い弁護士に限定して、手帳がない被疑者・被告人についても個別に支援を検討し、事例を集積する。 A実刑が確実でも、環境の調整がその人の再犯防止へ有効なら、執行猶予とならない場合でも支援していく。 B手帳がない人の支援については、先行して支援している北九州市の事案を参考にする。 3福祉サービスを受けていない人の受け入れ先の確保 @今後事例を蓄積し、不足する社会資源を明らかにしていく。 4アセスメントシートの様式について @アセスメントシートを作成する