資料3 福岡市保健福祉総合計画 各論 障害者分野(答申案) 第1章 障害者分野の基本理念等 1 基本理念 福岡市は、平成25年(2013年)5月に人口150万人を突破しました。全国的な人口減少傾向にあって、福岡市は今後20年の間人口が増え続けると予想されている、元気で住みやすいまちです。一方で、全国平均を上回るペースで高齢化が進んでおり、平成37年(2025年)には、将来推計人口159万人のうち、4分の1が65歳以上の高齢者になると予測されています。また、人口に占める障害者の割合も増加傾向にあり、身体障害者手帳の所持者のうち60歳以上の所持者が75パーセント以上を占めるなど高齢化が進むとともに、手帳所持者数が平成37年(2025年)には現在の約1.2倍の約61,000人に上ると推計されています。知的障害者、精神障害者も増加しており、障害福祉サービスの利用者数も増え、扶助費などの経常的経費が増加傾向にあります。これに伴い、重要施策の推進や新たな課題に対応するために使える財源(政策的経費に使える財源)は限られていくことから、障害福祉施策全体を、社会情勢やニーズの変化を踏まえた、より効果的な施策体系にしていく必要があります。 計画の見直しにあたり、平成25年度(2013年度)に実施した「福岡市障害児・者等実態調査」において、障害のある方々の生活の実態や福祉施策などについて、様々なご意見をいただきました。「施策が充実してきた」というご意見がある一方で、「依然サービスが不足している」「障害に対する理解が進んでいない」「収入がない、又は少ないため生活が安定しない」「(一見して障害があることがわからないため)配慮に欠けた対応をされる」などのご意見もありました。 また、障害のある本人や家族の高齢化が進む中、多くの方から「親が亡くなった後の生活の不安」や「障害の重度化」、「障害者(及び介護者)の高齢化」に対する不安の声が聞かれました。特に、自身の判断能力が十分でない知的障害、精神障害、発達障害のある当事者の家族からは切実な声が挙がっています。 障害のある本人も、その家族も、安心していきいきと生活していくためには、将来自立して生活できる環境を整備することが重要であり、生涯における各段階に応じたこまやかな支援を充実させていく必要があります。 住み慣れた家庭や地域で安心して生活し続けることができる社会の早期実現を図るため、障害の早期発見・早期支援への取組み、自立に向けた就労支援の強化、障害が重度化しても住み慣れた家庭や地域で生活を続けられる障害福祉サービスの充実などが求められます。さらに、生活の身近な場所に、緊急時にも相談でき、必要な対応が可能な体制を整備するなど、地域全体で支える仕組みを構築し、「親なき後の生活の安心」にもつながる施策が求められています。 このような点を踏まえ、障害者分野の基本理念を以下のとおりとします。 福岡市では、これまでも「障害のある人とない人が等しく地域の中で自立し、社会の一員として共に生きる社会」をめざし、障害福祉施策を進めてきました。今後、「人口急減・超高齢社会」といった、深刻な社会情勢の変化が予想される中、高齢障害者及び、「親なき後」の地域での生活を見据えた総合的な支援など,『障害のある人が必要な支援を受けながら、自らの能力を最大限発揮し、地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくり』をめざします。 また、基本理念の実現に向け、以下の考え方に基づき施策を総合的に実施します。 (1)障害のある人の自己決定の尊重及び意思決定の支援 障害のある人が社会の一員として尊重され、自らの考えに基づいた決定をし、その考えを表明したり、行動したりするための支援を行います。 また、障害の特性から、十分な判断を行うことや意思の表明が困難な場合に、その人の権利が損なわれることのないよう、権利擁護の推進に取り組みます。 (2)当事者本位の総合的な支援 一人ひとりが主体的に歩んでいく人生において、生涯の全段階を通じて適切な支援を受けられるよう、教育、福祉、医療、就労などの各分野の有機的な連携の下、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行います。 (3)障害特性などに配慮した支援 障害のある人への支援は、性別や年齢、発達障害や強度行動障害などの障害の状態、生活の実態などに応じ、個別的な支援の必要性を踏まえて実施するとともに、周囲の理解の促進に向けた広報・啓発活動の推進や人材の育成など施策の充実を図ります。 (4)地域社会における共生 障害のある人が地域で生活する一員として、あらゆる分野の活動に参加する機会や、どこで誰と住むかの選択の機会を確保し、障害が重度化したり、親なき後も、地域で安心した生活を継続できるよう、障害福祉サービスの充実を図り、相談、緊急時の受け入れ・対応、地域の支援体制づくりなど、総合的な支援を推進します。 (5)差別の解消 障害を理由とする差別を解消するためには、障害のある人が安心して日々生活したり、働いたりする上で、その活動を制限し社会への参加を制約する社会的障壁を取り除くことが重要です。 誰もが等しく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重されるよう、差別の解消に向けた広報・啓発活動を継続して実施するとともに、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、個々の場面において社会的障壁を除去するための取組みを進めていきます。 (6)アクセシビリティの向上 「アクセシビリティ」とは、階段のスロープ化や案内板への点字表示などの施設・設備の「利用しやすさ」や、広報誌の点訳やホームページの読み上げ機能の充実などのサービス、情報、制度などの「利用しやすさ」を意味します。 障害のある人の生活上の困難さは、障害そのものと社会的な要因の双方にあると考えられています。障害の状態、年齢、性別などに関わりなく、障害のある人の社会参加を実質的なものとし、安心して生活できるようにするために、ユニバーサルデザインの理念に基づき、社会への参加を制約している、事物、制度、慣行、観念などの社会的障壁の除去を進め、ソフト、ハードの両面にわたる社会のバリアフリー化を推進し、アクセシビリティの向上を図ります。 2 計画の位置づけ 本分野は障害者基本法第11条第3項に定める市町村障害者計画として、「第4期福岡市障害福祉計画(障害者総合支援法に定める市町村障害福祉計画)」や子どもに関する分野の基本的な計画である「第4次福岡市子ども総合計画」との整合を図りながら策定するものです。 3 基本目標 基本理念・考え方に基づき、6つの基本目標を定め、各施策を実施します。 (1)地域で安心して生活するための支援の充実 障害のある人もその家族も、地域で安心して生活し続けることができる支援の充実を図ります。 (2)就労支援・社会参加支援の充実 生きがいのある、充実した生活の実現をめざし、支援の充実を図ります。 (3)障害に対する理解の促進 障害のある人もない人も、互いに尊重し合う共生社会の実現をめざします。 (4)権利擁護の推進 障害のある人の権利や尊厳を守るための施策を推進します。 (5)差別解消のための施策の推進 障害者差別解消法の趣旨を踏まえながら、差別解消の推進に取り組みます。 (6)障害のある子どもへの支援の充実 早期からの支援や、成長段階に応じた支援の充実を図ります。 3 施策体系 基本目標に基づき、以下の体系により障害者施策を推進します。 目標1 地域で安心して生活するための支援の充実 1-1 相談支援 1-2 在宅サービスの推進 1-3 移動・外出支援 1-4 施設サービス等の推進 1-5 生活用具等の給付 1-6 年金・手当等 1-7 住宅支援 1-8 保健・医療・リハビリテーション 1-9 発達障がい児・者への支援 1-10 難病に関する施策の推進 1-11 災害対策の推進 1-12 事業所におけるサービスの質の向上 1-13 人材の育成・研修 1-14 「親なき後」の支援 目標2 就労支援・社会参加支援の充実 2-1 就労支援 2-2 福祉的就労の底上げ 2-3 交通支援 2-4 意思疎通支援 2-5 障害者に配慮したまちづくりの推進 2-6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 目標3 障害に対する理解の促進 3-1 啓発・交流の推進 3-2 広報・情報提供の充実 目標4 権利擁護の推進 4-1 権利擁護・虐待防止 目標5 差別解消のための施策の推進 5-1 障害者差別解消法施行に伴う対応 目標6 障害のある子どもへの支援の充実 6-1 早期発見・早期支援 6-2 療育・支援体制の充実強化 6-3 発達障害児の支援 5 障害者総合支援法の見直しとの関係について 国は、平成28年(2016年)における、障害者総合支援法の施行後3年を目途とした障害福祉サービスのあり方などについての見直しを進めています。この見直しに当たっては、障害のある人の自立や就労を支援するための効率的なサービス提供のあり方、必要な支援の度合いに応じたサービス提供のあり方、制度を支える財源・負担のあり方などについて幅広く検討を行い、制度の持続可能性の確保を図るべきであるとしています。 このような国の動向や社会情勢の変化も踏まえ、計画期間中においても必要に応じて本計画の見直しを行うものとします。 第2章 施策各論 基本目標1 地域で安心して生活するための支援の充実 現状と課題 障害の有無に関わらず、誰もが地域社会の中で安心して生活することができるよう、福岡市では「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像に掲げ、その実現のため様々な取組みを行っています。これまでも、短期入所や移動支援の充実、グループホームの設置促進などを行ってきましたが、少子高齢化の進展や一人暮らし世帯の増加など、地域社会を取り巻く環境は大きく変化し、福祉サービスに対するニーズはますます複雑・多様化しています。 また、障害のある人の高齢化や障害の重度化が進む中で、家族も高齢化しており、親が先に亡くなった後、あるいは、親や家族が障害のある人の介護などができなくなった場合に、どのようにして支援を継続していくかという、いわゆる「親なき後の生活の不安」への取り組みが重要となっています。 (1)相談支援 相談支援体制については、対象とする障害種別、年齢や役割が機能的に整理されていない状況にあります。 保健・医療・リハビリテーションについては、相談の内容が、多様化、複雑化してきており、より専門性の高い支援が求められています。 (2)在宅・施設サービス 在宅サービスについては、医療的ケアが必要な重度心身障害児・者が利用できる短期入所事業所が求められていますが、受け皿となる事業所が少ない状況にあります。 移動支援については、利用対象者やサービス内容の拡充についての要望が多数出されています。 生活用具については、給付品目の追加や支給要件の緩和などの要望があります。 グループホーム整備の伸びが鈍く、見込み数に達していない状況にあります。 事業者の新規参入が進む中、サービスの質を一定のレベル以上にすることが必要とされています。 「施設事業所からみて不足している社会資源」を前回調査回答(平成22年度(2010年度))と比較すると、「強度行動障害に対応できる短期入所施設」「医療ケアが可能な短期入所施設」の割合が大きく伸びています。 自宅や地域で生活するために必要なこととして、身体障害者手帳所持者のうち重度(1・2級)者、療育手帳所持者のうち重度(A1〜A3)者では、中度・軽度の方と比べ、「昼間の介護を頼める人」「夜間の介護を頼める人」を望む割合が高く、療育手帳重度では、特に「短期入所など緊急時に宿泊できるところ」を望む割合が高くなっています。 (3)年金・手当など 障害基礎年金などによる所得保障のあり方については、国において検討課題とされています。 福岡市重度心身障害者福祉手当については、より効果的な事業への転換が望ましいとする意見があり、そのあり方が検討課題となっています。 (4)発達障害・難病 発達障害者や強度行動障害者に対応できる人材や事業所が少ない状況にあります。 発達障害については、一見しただけでは、障害があるとはわかりにくいことから、学校や職場での周囲の理解や障害特性に応じた配慮が十分でない状況にあります。 難病患者が障害福祉サービスの対象となったことの認知度が低い状況にあります。また、難病患者の約半数が働きたい、働き続けたいと考えていますが、就労に対する社会の理解及び配慮が十分でない状況にあります。 (5)災害対策 災害時の支援対策が十分でない状況にあり、災害時の安否確認や避難及び避難所での支援体制づくりを進める必要があります。 (6))人材育成 人材の確保や研修受講の機会の確保が十分でない状況にあり、障害の多様化を踏まえた人材育成が必要となります。 施策の方向性 地域での生活を支援するため、在宅サービス、グループホーム、外出・移動などの支援の充実を図るとともに、身近な場所で相談支援を受けることのできる体制を強化します。 重度の障害がある人に対する障害福祉サービスの充実を図り、社会参加の支援や生活の質の向上をめざします。 地域で安心した生活を継続できるよう、相談、体験の機会・場の確保、緊急時の受け入れ・対応、地域の支援体制づくりなど、総合的な支援を検討します。 施策の推進にあたっては、社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります。 施策1-1 相談支援 相談支援に関わる人材育成やネットワーク構築については、福岡市障害者基幹相談支援センターが中心となって進めます。また、障害種別に関わらず、指定特定相談支援事業所のバックアップや困難事例への対応、サービス未利用者への支援などを行う区の基幹相談支援センター設置を検討します。 きめ細かく継続的な支援を行うため、指定特定相談支援事業所や相談支援専門員の増加など、相談支援体制の充実に向けた取組みを検討します。 聴覚障害者からの相談については、区役所や聴覚障害者情報センターにおいて対応します。 障害者手帳の取得の有無に関わらず、障害者もしくは障害が疑われる人で、必要な社会資源に結びついておらず社会から孤立していたり、サービスの適切な利用がされておらず、本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援を検討します。 現在の主な事業 計画相談支援:指定特定相談支援事業所が障害福祉サービス及び地域相談支援の利用者の状況を勘案し,サービス等利用計画案及びサービス等利用計画を作成。サービス等利用計画が適切かどうか利用状況を検証し必要な支援を実施 サービス等利用計画作成従事者研修:サービス等利用計画を作成する相談支援専門員のスキルアップ研修を実施 身体障害者相談員、 知的障害者相談員:障害児・者の日常生活の問題について、地域において相談員が各種相談に応じるとともに、援助を実施 障害者生活支援相談室:主に身体・知的障害者の相談に対して関係機関で連携し対応(相談は、窓口、電話のほか、訪問による相談も対応) 知的障害者相談支援センター、 精神障害者相談支援センター:在宅などの知的障害者、精神障害者の相談支援を実施 障害者基幹相談支援センター (虐待防止センター):障害者の虐待防止支援及び地域生活に関する相談支援の中核的機能を一体的に併せ持ち、障害者の相談支援体制を充実 聴覚障害者情報センター:聴覚障害者や盲ろう者などの各種相談に応じるとともに、総合的なコミュニケーション支援を実施 ろうあ者相談員・手話通訳者の配置:各区福祉・介護保険課に、聴覚障害者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 発達障害者支援センター (ゆうゆうセンター):発達障害について、相談や普及啓発,研修などを実施 こども総合相談センター:子どもに関するさまざまな相談に応じ、保健・福祉・教育が一体となって専門的、総合的支援を実施 心身障害福祉センター、東部・西部療育センター:障害児(未就学児)の相談・診断・療育支援等を実施 施策1-2 在宅サービスの推進 障害のある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに、短期入所など重度障害者に対する支援や居宅介護などのさらなる充実に努めます。 施設入所者や入院中の精神障害者の地域移行を進めていくため、障害者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります。 国に対しては、引き続き他の政令市と共同して確実な財源措置を求めていきます。 また、市としても、施策の再構築や、事業所指導・監査などを通じたサービス適正化により財源確保に努めます。 現在の主な事業 居宅介護:ホームヘルパーによる身体介護・家事援助などを実施 重度訪問介護:身体介護・家事援助に加え、外出時の移動の支援や見守り、コミュニケーション支援などを実施 重度障害者等包括支援:介護の必要がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に実施 短期入所(福祉型・医療型):介護者の疾病などのため一時的に介護ができない場合に、施設、病院で宿泊を伴った預かりを実施 訪問入浴サービス:家庭での入浴が困難な障害者宅を訪問し、入浴サービスを提供 日中一時支援(日中預かり):介護者の疾病などのため一時的に介護ができない場合に、施設などで日帰りの預かりを実施 重度障害者入院時コミュニケーション支援:入院中の意思疎通が困難な重度の障害者に対し、医療従事者との意思疎通を円滑化し、適切な治療が受けられるように支援を実施 生活サポート:居宅介護(ホームヘルプ)対象でない障害者に対し、一定期間、自立に向けた家事援助支援を実施 障害者配食サービス:単身または障害者のみ及びこれと同等の世帯に属し、障害のため調理が困難で、食生活に支援が必要な方に対して昼食を配送 在宅酸素療法者に対する電気料助成:身体障害者のうち、在宅酸素療法を必要とする呼吸機能障害者などを対象に、酸素濃縮器の使用にかかる電気料金の一部を助成 施策1-3 移動・外出支援 重度の知的障害がある方などの外出の機会の確保を図るため、行動援護について、利用者の増加に対応したサービス提供体制の確保に努めます。 移動支援については、国の制度の動向に留意するとともに、必要な財政負担も考慮しながら、より一層利用しやすいものとなるよう制度のあり方を検討します。 地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて、外出支援のあり方を検証し、わかりやすく、使いやすい制度へ組み替えるなど、施策の再構築を図ります。 現在の主な事業 同行援護:視覚障害により移動が著しく困難な障害児・者に対し、外出時の移動に必要な情報の提供、移動の援護を実施 行動援護:知的・精神障害により行動が著しく困難な常時介護を要する障害児・者が外出する際に、必要な援助を実施 移動支援:一人での外出が困難な障害児・者の目的地までの移動の介護を実施 地下鉄料金助成:重度障害者等に対し、市営地下鉄の運賃を助成 福祉乗車券交付:70歳以上の障害者に対し、公共交通機関の運賃を助成 福祉タクシー料金の助成:経済的支援が必要な重度心身障害者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成 移送サービス(再掲):寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者や障害者に、寝台タクシー料金の一部を助成 福祉有償運送(再掲):福祉有償運送運営協議会を適切に運営していくことを通して、事業者に対し、相談、助言、指導を行うほか、ボランティア運転手の養成などを支援 施策1-4 施設サービス等の推進 集団指導・実地指導を通じて良質な障害福祉サービスの確保に努めます。また、就労移行支援及び就労継続支援A型に関しては、福岡労働局など関係部署との連携を図ります。 地域活動支援センター(U型・V型・W型)については、施設経営の安定及び利用者処遇の向上のため、障害福祉サービス事業への移行を支援していきます。 強度行動障害のある方に対し、拠点施設において24時間体制で支援員を配置し、3か月を目途に集中支援を行うことにより、個々の障害特性に応じた支援方法を検討・作成し、行動問題の軽減を図るとともに、民間障害福祉サービス事業者と協力して、受け入れ事業所の拡大を図ります。 障害者が地域で安心して生活が継続できるよう、相談、体験の機会・場の確保、緊急時の受け入れ・対応、地域の支援体制づくりなど、総合的な支援を検討します。 現在の主な事業 生活介護:常時介護を必要とする人に、施設での日中の介護などを実施 施設入所支援:入所している人を対象に夜間の介護を実施 自立訓練:身体機能、生活能力の向上のために必要な訓練を実施 就労移行支援:一般企業などへの就労を希望する人に対する訓練を実施 就労継続支援A型:通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供 就労継続支援B型:通所により、就労の機会や生産活動の機会を提供 療養介護:医療と常時介護を必要とする人への看護、介護等の援助を実施 地域活動支援センターT型:精神障害者の相談支援や創作的活動などの機会提供、関係機関との連携強化を実施 地域活動支援センター (U型・V型・W型)等:創作的活動又は生産活動の機会の提供及び社会との交流を促進 強度行動障害者支援事業:地域での安定した生活を目指し、障害の軽減及びサービス利用機会の拡充を図るため、共同支援、支援員養成研修に加え、拠点での集中支援をモデル事業として実施 施策1-5 生活用具等の給付 補装具や日常生活用具の給付を行うとともに、福祉用具に関する情報提供を行います。また、日常生活用具については、ICT(情報通信技術)の進展や、利用者ニーズに応じた内容となるよう給付品目の見直しを継続して検討します。 民間事業者によるサービスの充実などの、社会情勢の変化に対応した施策の再構築を図ります。 現在の主な事業 補装具費の支給:身体上の障害を補うための補装具の購入や修理にかかる費用を支給 日常生活用具の給付:在宅の障害児・者に対し、日常生活がより円滑に行われるための用具を給付 福祉電話の貸与等:障害者に電話やファックスを貸与するとともに、電話による安否確認・各種相談などを実施 徘徊知的障害者捜索システム事業:徘徊のおそれのある知的障害者に持たせる携帯端末の初期費用を所得に応じて助成 緊急通報システム:急病などの緊急事態の際、受信センターへ簡単に通報できる緊急通報機器を設置 小児慢性特定疾病児日常生活用具の給付:小児慢性特定疾病医療費助成制度の認定を受けた児に対し、日常生活用具を給付 施策1-6 年金・手当等 引き続き国の所得補償制度を実施する中で、制度の周知や円滑な事務手続きに努めます。 「『親なき後の生活の安心』『障害の重度化、高齢化への対応』のための施策を強化するには、財源確保の観点から、個人給付事業なども含め、再構築の必要がある」との意見もあることから、障害者や関係者の意見を伺いながら、福岡市重度心身障害者福祉手当など、そのあり方について検討を行います。 現在の主な事業 障害基礎年金:一定納付用件を満たしている人が、国民年金法に定められた1級又は2級の障害の状態になった場合に支給(なお、市区町村の窓口は書類の受付のみを実施) 特別障害給付金:国民年金に任意加入していなかったことにより障害基礎年金を受給できない人で、国民年金法により定められた1級又は2級の障害の状態になった場合に支給(なお、市区町村の窓口は書類の受付のみを実施) 特別障害者手当:在宅で日常生活の常時特別な介護を要する20歳以上の重度障害者に手当を支給 障害児福祉手当:重度障がい児に手当を支給 特別児童扶養手当:障害児を養育する父母などに手当を支給 福岡市重度心身障害者福祉手当:重度の身体又は知的障害児・者に対し手当を支給 心身障害者扶養共済制度:障害児・者の保護者の相互扶助のため、保護者が死亡などの後、年金を支給 施策1-7 住宅支援 障害児・者本人の自立の促進や、家族など介護を行う方の負担を軽減するために、住宅改造相談助成を継続して行います。 障害者グループホームに関しては、開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに、市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また、グループホームの報酬体系について、利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう、他都市と連携し、機会を捉えて国に要望していきます。 現在の主な事業 障害者等住宅改造相談助成事業:在宅の身体障害児・者がいる世帯に対し、住宅を障害児・者の居住に適するように改造する場合に、費用を所得に応じて助成 グループホーム:地域で共同生活を営む住居において日常生活上の相談、介護などの支援を実施 障害者グループホーム設置促進事業:グループホームの開設にあたり必要となる共用備品、敷金、事業開始前家賃及び改修費等を補助 福祉ホーム:障害者に低額な料金で居室その他設備を提供 障害者住宅入居等支援事業 (居住サポート):一般住宅への入居を希望する障害者に対して、入居に必要な調整を行うとともに家主等への相談・助言を実施 施策1-8 保健・医療・リハビリテーション アルコールを含む依存症やひきこもり、発達障害、性同一性障害などの専門性が高いニーズに関して、相談事業を行っています。また、アルコールを含む依存症やひきこもりに関しては、認知行動療法を用いた回復プログラムに沿った内容の教室を開催し、本人や家族に向けた支援を行います。 国・県への財源措置を要望するとともに、医療費助成制度の優先順位などを適正化することにより、財源確保に努めます。 現在の主な事業 自立支援医療制度(更生医療、精神通院医療、育成医療):障害の軽減・除去に関する治療に対し、医療費の自己負担率を1割とする 重度障害者医療費助成制度:保険診療にかかる医療費の自己負担相当額を助成 精神科救急医療システム:休日、夜間において、精神症状悪化のため、入院が必要になった場合の病床の確保などを実施 地域障害者フィットネス教室:あいあいセンターで、機能維持のための体操・ヨガなどを実施 高次脳機能障害者リハビリ教室:スポーツセンター、早良・西フレンドホームで、社会生活力向上のための言語療法・作業療法を実施 精神障害の早期発見・治療促進:精神保健相談、訪問指導などを実施し、精神障害の早期発見・治療を促進 精神保健福祉専門相談:アルコールを含む依存症やひきこもり、発達障害及び性同一性障害に関する電話相談と専門医師による面接相談に応じ、支援につなげる 依存症対策事業:薬物依存症の本人に対して、依存症の改善を図る回復プログラムを実施。また、アルコールを含む薬物依存症の家族を対象に認知行動療法を用いた家族教室を開催 ひきこもり対策事業:「ひきこもり地域支援センター」において、成人期ひきこもり者の支援を実施。また、ひきこもり者の家族を対象に認知行動療法を用いた家族教室を開催 精神障害者の退院促進事業:長期入院精神障害者の円滑な地域生活への移行に向けた地域の環境整備や医療機関、関係機関及び事業所の意識の向上を図る事業を実施 施策1-9 発達障害児・者への支援 発達障害者への支援については、障害への理解が進んでいないことや、一人ひとりの障害特性に応じた支援が十分ではないことなどにより,精神障害などの二次障害の発生が指摘されています。 幼児期から学齢期、成人期までの一貫した支援を進めるため、発達障害者支援センター、療育センター、障害者就労支援センター、発達教育センター、精神保健福祉センターなどの発達障害関連施設の有機的な連携のあり方(既存の社会資源の集約再編、機能強化、利便性向上を図ることなど)を検討します。 現在の主な事業 発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター):発達障害について、相談や普及啓発、研修などを実施 世界自閉症啓発デー・発達障がい啓発週間:市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障害啓発週間(4月2日〜8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障害児日中一時支援(就学前児童):介護者の疾病などにより一時的に介護ができない場合に、施設などで日帰りの預かりを実施 発達障害児放課後等支援事業:通常学級及び特別支援学級に通学する発達障害児に、放課後などの活動の場を提供するとともに、保護者の就労とレスパイトの時間の確保を支援 自閉症スペクトラム支援者養成研修:自閉症スペクトラムの方の支援者を対象に、障害の特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修:発達障害の子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 施策1-10 難病に関する施策の推進 難病患者とその親など家族が地域で安心して生活できるよう、安定した療養生活の確保と生活の質(QOL)の向上を図ります。 難病患者への訪問事業、難病医療講演会・相談会を開催するなど、疾病の理解や療養の支援・患者間の交流を促進し不安の軽減を図るとともに、難病(指定難病)の医療費助成や障害福祉サービスを提供します。 慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し、医療費の助成とあわせて、適切な情報提供を行います。また、身近な地域において、慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます。 難病患者からの相談体制の充実を図るため、地域の実情等を把握し、福岡県難病相談・支援センターと連携しながら、ピアスタッフの地域での活動を支援します。 現在の主な事業 特定医療費(指定難病)助成(再掲):指定難病306疾病(平成27年7月1日改正)について、指定難病の保険診療にかかる医療費の自己負担分の一部が公費負担となる事業の申請等に関する受付事務を各区保健福祉センターで実施(県からの受託事業) 特定疾患治療研究事業(再掲):対象疾患4疾患(平成27年1月1日改正)について、療養費の自己負担分の一部が公費負担となる事業の申請などに関する受付事務を各区保健福祉センターで実施(県からの受託事業) 小児慢性特定疾病医療費助成事業(再掲):小児慢性特定疾病(704疾病)(平成27年1月1日改正)に罹患している児童について、医療費の自己負担分の一部を助成 難病患者等訪問指導事業(再掲):難病患者及び慢性関節リウマチ患者に対し、保健師などが訪問し、療養に必要な保健指導を実施 難病患者相談会等(再掲):難病患者・家族などを対象に難病に関する講演会や相談会などを各区保健福祉センターで開催 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業(再掲):難病患者などの多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、必要な知識、技能を有するホームヘルパーを養成 施策1-11 災害対策の推進 避難行動要支援者名簿の周知を進め、災害時における避難行動に支援が必要となる方に、名簿への登録を促し、日頃の声かけなど地域で支える取組みを進めます。 特別な支援を必要とする障害者(人工呼吸器使用者、人工透析者、視覚障害者、聴覚障害者、精神障害者、難病患者等)については、医療機関との連絡、搬送、ホームヘルパー、保健師、手話通訳者の派遣依頼を行うほか、状況により社会福祉施設への緊急入所等、適切な配慮がされるよう努めます。 災害時に避難所での生活が困難な障害者などの災害弱者のため、2次避難所として設置する福祉避難所について、指定している福祉施設との協議を進め災害に備えます。 施策1-12 サービスの質の向上 事業所間での協議会設置を後押しすることにより、サービス事業所自ら質の向上に努める仕組みを構築していきます。 事業者説明会(集団指導)の実施や、各事業所における、運営方法やサービスの提供状況に関する確認(実地指導)を行います。 施策1-13 人材の育成・研修 障害者(難病を含む)の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、必要な知識、技能を有するホームヘルパーを養成します。 聴覚障害者などの福祉に理解と熱意を有する方を、手話通訳者、要約筆記者や介助員として養成するための講座を開催し、人材の育成と技術の向上を図ります。 精神保健福祉業務に従事する職員やピアスタッフに対して、人材育成を目的に研修会を開催します。 支援者の育成・確保をめざし、県とも協力して研修の機会の確保に努めます。 現在の主な研修 サービス等利用計画作成従事者研修(再掲):サービス等利用計画を作成する相談支援専門のスキルアップ研修を実施 ホームヘルパースキルアップ研修:居宅介護などの従事者を対象に、障害児・者へのサービスの質の向上を図ることを目的とした研修会を開催 難病患者等ホームヘルパースキルアップ研修:難病患者のニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、難病の基礎知識や保健・医療・福祉制度のほか、患者の心理的援助法などの知識・技能の習得を目的に研修会を開催 相談員研修(身体・知的):相談員の業務遂行に必要な知識を深め、相談業務の円滑化を図ることを目的とした研修を実施 手話通訳者の養成・派遣:手話通訳者を養成し、聴覚障害者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 要約筆記者の養成・派遣:要約筆記者を養成し、聴覚障害者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣:盲ろう者通訳・介助員を養成し、盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 ピアスタッフスキルアップ研修:地域活動支援センターや事業所などでスタッフやボランティアとして従事している精神障害者を対象に、対人面のスキルアップや仲間づくりなどを目的とした研修会を開催 精神保健福祉に関する教育研修:精神保健福祉業務に従事する職員などの技術水準の向上を図るため、基礎知識や専門知識などの習得を目的に研修会を開催 自閉症スペクトラム支援者養成研修(再掲):自閉症スペクトラムの方の支援者を対象に、障害の特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修(再掲):発達障害の子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 施策1-14 「親なき後」の支援 障害のある人の生活を支えている要素として、様々な障害福祉サービスとともに、家族の存在は大変大きな部分を占めています。障害のある人や家族が抱えている大きな不安の一つに、「親なき後の生活の不安」がありますが、障害のある人も、その家族も安心して生活していくためには、早期から、親や家族が障害のある人の介護などができなくなった場合どのように支援を継続していくかという後見的支援策とあわせて、障害のある人自身が将来自立して生活できる環境を整備することが重要です。 そのため、「親なき後」の支援については、早期からの取組みも含め、施策の再構築など、財源の確保も見据えながら、各施策の効果的な実施と連携を推進し、基本理念に掲げる「障害のある人が必要な支援を受けながら、自らの能力を最大限発揮し、地域や家庭でいきいきと生活することのできるまちづくり」の実現に向けて取り組みます。 障害者手帳の取得の有無に関わらず、障害者もしくは障害が疑われる人で、必要な社会資源に結びついておらず社会から孤立していたり、サービスの適切な利用がされておらず、本人が抱えている課題の解決につながっていない人に対する支援を検討します。(再掲:施策1-1) 障害のある人とその家族が安心して生活できるよう福祉サービスを継続して実施するとともに、短期入所など重度障害者に対する支援や相談支援などのさらなる充実に努めます。(再掲:施策1-2) 施設入所者や入院中の精神障害者の地域移行を進めていくため、障害者が在宅で生活するために必要な支援などの充実を図ります。(再掲:施策1-2) 障害者が地域で安心して生活が継続できるよう、相談、体験の機会・場の確保、緊急時の受け入れ・対応、地域の支援体制づくりなど、総合的な支援を検討します。(再掲:施策1-4) 「『親なき後の生活の安心』『障害の重度化、高齢化への対応』のための施策を強化するには、財源確保の観点から、個人給付事業なども含め、再構築の必要がある」との意見もあることから、障害者や関係者の意見を伺いながら、福岡市重度心身障害者福祉手当など、そのあり方について検討を行います。(再掲:施策1-6) 障害者グループホームに関しては、開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに、市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めます。また、グループホームの報酬体系について、利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう、他都市と連携し、機会を捉えて国に要望していきます。(再掲:施策1-7) 障害のある人が社会の一員として尊重され、自らの考えに基づいた決定をし、その考えを表明したり、行動したりするための支援のあり方を踏まえながら、成年後見制度の利用促進に向けた検討や、相談窓口などの充実を図ります。(関連:施策4-1) 目標2 就労支援・社会参加支援の充実 現状と課題 障害のある人が、地域社会の一員として自立した生活をするために、就労は大きな柱となりますが、とりわけ、対人関係に困難を抱えがちな発達障害のある人は、就職が難しい状況にあります。障害の特性に応じた支援の充実を図るとともに、乳幼児期から成人期までの一貫した支援が必要です。 また、地域行事への参加やスポーツを楽しむ機会など、障害のある人の社会参加の支援や、視覚障害・聴覚障害のある人へのコミュニケーション支援の充実を図るとともに、誰もが安全で快適に暮らせるまちづくりの推進が求められています。 (1)就労 民間就労支援事業所の増加に伴い、支援に対するノウハウが十分でない事業所が存在しています。 福祉的就労については、商品力や販売力の向上が、工賃向上につながっていない状況があります。 就労支援として必要なこととして、知的障害者、発達障害児・者では、「仕事(作業)上の援助や本人・周囲への助言を行う者による支援」を望む割合が高く、発達障害児・者では「発達障害の特性を踏まえた作業手順の視覚化などの配慮」が第1位となっています。 身体・知的障害児及び発達障害児・者では、地域で生活するために必要なこととして「仕事があること」と回答した人の割合が5割程度となっており、自宅や地域で生活するために、就労支援は必要な取組みとなっています。 (2)社会参加 公共交通機関助成については、制度の複雑性や、利便性の地域格差を考慮した仕組みとなっていない状況があります。 障害者差別解消法の趣旨に則り、各フレンドホームや障害者スポーツセンターに限らず、あらゆる場所で障害者の社会参加が進むような支援を行う必要があります。 (3)意思疎通 手話通訳者、要約筆記者などへのニーズに対する、支援の範囲や人材確保について検討が求められています。 手話通訳などの様々な情報にアクセスする支援の充実が求められています。 施策の方向性 民間の就労支援事業者、就労支援センター、ハローワークなどと連携して、障害のある人の雇用に対する理解促進や、企業とのマッチング、一般就労後の定着の促進などの支援を行います。 障害者施設で作られる商品の製作販売や請負作業などの情報を広く紹介するとともに、官公庁や企業からの受注をコーディネートするなど、売上げの向上、工賃の向上を図ります。 社会参加を支援するため、合理的配慮の観点に基づく、意思疎通支援施策の充実を図ります。 障害のある人のスポーツ・レクリエーション活動の振興を図るなど、引き続き各種社会参加活動の促進を図ります。 施策の推進にあたっては、社会情勢やニーズの変化に合わせた施策への再構築を図ります。 施策2-1 就労支援 就労支援センターを中心に、関係機関と連携しながら、就労移行支援事業所のスキルアップや企業の開拓を進めます。 就職への困難度が高い、精神・発達障害者への支援の充実を図るなど、社会情勢や雇用情勢の変化に応じた柔軟な施策の実施を図ります。 障害のある人を雇用する企業へのサポート体制を構築し、障害のある人も企業も安心して働くことのできる環境整備を実施します。 現在の主な事業 福岡市障害者就労支援センター:障害者の就労促進のため、関係機関などのネットワークの中心となり個々の障害者に対する総合的支援を実施 障害者インターンシップ事業:市庁舎や区役所などを障害者の職場実習の場として提供 就労移行支援(再掲):一般企業などへの就労を希望する人に対する訓練を実施 就労継続支援A型(再掲):通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供 就労継続支援B型(再掲):通所により、就労の機会や生産活動の機会を提供 特別支援学校卒業生の就労促進:生徒の自立と社会参加を進めるため、学校、企業関係者、行政、学識経験者、保護者などで構成する「夢ふくおかネットワーク」において、関係団体・機関などとの連携を図り、企業などへの就労を促進 就職支度金:施設などにおける訓練を終了し、就職する障害者に対し、就職に必要な物品を購入した費用を支給 精神障害者社会適応訓練事業:職親(一般事業所)のもとで就労訓練を実施 施策2-2 福祉的就労の底上げ 障害者施設商品の商品力・販売力強化、市民への情報発信を目的として、障害者施設商品の販売・PRイベントなど、様々な取組みを行います。 ときめきウェブにおいて、障害者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介し、売上げの向上、工賃の向上を図ります。 障害者施設商品のアンテナショップとして「ときめきショップ」を設置し、売上げの向上を図ります。 ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業において、障害者施設商品の情報を整理集約し、発注側(福岡市・企業など)に提供するとともに、コーディネートすることにより、受注・発注のミスマッチを解消し、障害者施設商品の販売促進を図ります。 現在の主な事業 ときめきプロジェクト 障がい者施設商品の商品力・販売力の強化や,魅力的な障がい者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 ときめきウエブ 障がい者施設商品の製作販売や請負作業などの諸活動を広く紹介するときめきウェブの運用管理,登録施設の追加等を実施 ときめきショップ 常設店舗「ときめきショップ」を設置し,施設商品販売促進・情報提供を実施 ときめきグッズ受注・発注コーディネート事業 障がい者施設商品の情報を整理・集約して発注側(福岡市・企業等)に提供するとともに,施設と企業などをつなぐコーディネートを実施 施策2-3 交通支援 地下鉄料金助成や福祉乗車券などについて、外出支援のあり方を検証し、わかりやすく、使いやすい制度へ組み替えるなど、施策の再構築を図ります。 現在の主な事業 自動車改造費の助成:障害者が、就労などに伴い、自らが使用する自動車を改造する際に要する経費を助成 自動車運転免許取得の助成:自動車運転免許の取得に要する費用の一部を助成 地下鉄料金の助成(再掲):重度障害者などに対し、市営地下鉄の運賃を助成 福祉乗車券の交付(再掲):70歳以上の障害者に対し、公共交通機関の運賃を助成 福祉タクシー料金の助成 (再掲):経済的支援が必要な重度心身障害者がタクシーを利用する場合に料金の一部を助成 移送サービス (再掲):寝たきりのため一般の交通機関を利用することが困難な高齢者や障害者に、寝台タクシー料金の一部を助成 施策2-4 意思疎通支援 日常のコミュニケーションに困難を抱えた障害のある人や、言語である手話などについての啓発を進め、市民の理解の促進に努めます。 合理的配慮の観点から手話通訳者・要約筆記者の派遣対象の拡大を図ります。 区役所の設置手話通訳者の確保に努めます。 重度障害者に対する意思疎通支援のあり方については、国の動向も踏まえ、検討します。   現在の主な事業 重度障がい者入院時コミュニケーション支援(再掲):入院中の意思疎通が困難な重度の障害者に対し、医療従事者との意思疎通を円滑化し、適切な治療が受けられるように支援を実施 手話通訳者の養成・派遣(再掲):手話通訳者を養成し、聴覚障害者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 要約筆記者の養成・派遣(再掲):要約筆記者を養成し、聴覚障害者が公的機関などに赴くときに円滑な意思の疎通が困難な場合に派遣 盲ろう者通訳・介助員の養成・派遣(再掲):盲ろう者通訳・介助員を養成し、盲ろう者が公的機関などに赴くときなどに移動及びコミュニケーション支援を行うために派遣 ろうあ者相談員・手話通訳者の配置(再掲):各区福祉・介護保険課に、聴覚障害者の各種相談に応じるろうあ者相談員又は手話通訳者を配置 点字図書給付事業:視覚障害児・者に対し、点字本と墨字本(原本)の価格差を助成 市政情報の点字化等:市政だよりなどで点字版や音声版などを作成 施策2-5 障害者に配慮したまちづくりの推進 障害のある人もない人も、すべての人が安全かつ快適に社会参加していけるように、「福岡市バリアフリー基本計画」に基づき、誰もが暮らしやすい環境整備を推進します。 施策2-6 スポーツ・文化・レクリエーション・社会参加の推進 障害種別や状況に応じた社会適応訓練の実施や相互理解を向上させる力を持つ文化芸術の活用により、障害者の社会参加を促進します。また、社会情勢やニーズの変化に対応しつつ、障害のある人の健康の増進や社会参加の促進のために、引き続きスポーツ・文化・レクリエーション活動の振興を図ります。  現在の主な事業 社会適応訓練:音声機能障害者に対する発声訓練や、ストマ用具装着者に対するストマ用具の使用法の指導や相談を実施 障害者社会参加推進センター:障害者の結婚相談や生活訓練、出前講習を実施し、社会参加を促進 在宅重度障害者レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の重度身体障害者に野外活動訓練の場を提供 在宅障害児親子レクリエーション:外出の機会に恵まれない在宅の障害児と保護者を対象に野外活動の機会を提供 福岡市立点字図書館:点字図書、録音図書、CD図書の郵送貸出などを実施 市立障害者フレンドホーム:文化教室(絵画・陶芸など)、更生相談、会議室提供を実施 福岡市市民福祉プラザ(再掲):市民の福祉への理解や福祉活動への参加を支援し、相互に助け合い、支え合う豊かな福祉社会を実現することを目的として、市民福祉の総合センターを設置 障害者スポーツセンター(さん・さんプラザ):水泳・バスケットボール・卓球・トレーニングなどの機会の提供、障害者スポーツの指導、指導者派遣、相談対応及び情報提供 福祉バス(再掲):老人クラブや心身障害者、母子団体などを対象に、研修やレクリエーションなどの活動参加を助成 福岡市障害者スポーツ大会:障害者スポーツ大会の開催 全国障害者スポーツ大会:全国障害者スポーツ大会への福岡市選手団の派遣を実施 障害者ボウリング大会:福岡都市圏障害者ボウリング大会、全国障害者ボウリング大会を実施 エイブル・アート事業等:NPOと共働した障害者による美術などの作品の制作展示など。障害者関連イベントへの後援 目標3 障害に対する理解の促進 現状と課題 障害のある人もない人も、お互いの人格と個性を尊重し合う共生社会を実現するためには、障害への理解は不可欠です。これまでも、「障害者週間」などを通じて、交流の機会を設けてきましたが、障害への理解はまだまだ不十分です。 また、障害のある人は、障害の特性により、情報を得られる方法が限られる場合があります。必要な情報を得る方法の選択肢を増やしたり、機会を増やすことが求められています。 (1)啓発・交流 障害者週間では、当事者や支援者の団体が中心となって啓発を行っていますが、啓発活動への参加団体などが限られている状況があります。 地域から受けたい支援・交流の内容では、すべての障害において、地域から受けたい支援として「普段から定期的に声かけなどをする(見守る)」を望む回答が2割以上あります。 (2)広報・情報提供 広報・情報提供については、すべての障害において、福岡市の福祉施策情報については5割程度が「市政だより」を手掛かりとしていることから、引き続き「市政だより」を活用するとともに、広報媒体の充実や、相談窓口における的確な情報提供を図る必要があります。 施策の方向性 共生社会の実現に向けて、互いの多様なあり方を尊重し、障害への理解を深め、偏見をなくしていく施策を推進します。 必要な情報が必要な人に届くよう、わかりやすい広報を行うとともに、点訳化や音訳化など、障害の特性に配慮した情報の提供や、情報利用のための手段についての選択肢の拡大に努めます。 施策3-1 啓発・交流の推進 障害のある人もない人も、共に交流する機会を提供するなど、様々な場面で障害に関する市民の理解を促進するための取組みを進めます。特に、子どもの頃から、体験学習や障害当事者との交流を重ねることにより、障害に関する理解や関心を持てるような環境づくりを進めます。 障害児や特別支援教育に対する認識や理解を促進し、地域において障害児が育まれるよう、特別支援学校の児童生徒と地域の小・中学校の児童生徒との交流活動を推進するとともに、障害児と同じ地域に住む子どもたちとの交流に取り組んでいる団体の活動を支援します。 現在の主な事業 障がい者週間:障害について市民の理解と認識を深めるため、「障害者週間(12月3日から9日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 世界自閉症啓発デー・発達障害啓発週間(再掲):市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障害啓発週間(4月2日から8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障害者支援センター(ゆうゆうセンター)(再掲):発達障害について、相談や普及啓発、研修などを実施 障害児地域交流支援事業、地域交流支援コーディネーター派遣事業:障害児と地域の子どもたちとの交流を積極的に行う団体に対して、交流事業への補助や障害児への支援について助言するコーディネーターの派遣を実施 ふくせき制度(交流及び共同学習):特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域とのつながりを深めるため、居住する地域の小・中学校に副次的に籍を置き、交流を実施 精神保健家族講座:家族への障害の理解、相互交流を促進 精神保健福祉啓発交流事業「ハートメディア」「ピアサポート講座」:アート展覧会、ミニコンサート、講演会、ピアカウンセリング、社会復帰施設の物品販売などを実施 精神保健福祉に関する市民講演会:ひきこもりや依存症、精神疾患全般に関する市民向け講演会を開催 補助犬啓発事業:小中学校への出前授業や市民向け啓発イベントなど、補助犬に関する啓発活動を実施 ボランティアセンター:ボランティア登録の受付、ボランティア(個人・団体)の支援、養成講座などを実施 福祉教育:障害の理解促進のため出前講座などを実施 ときめきプロジェクト(再掲):障害者施設商品の商品力・販売力の強化や、魅力的な障害者施設商品や作品の紹介イベントなどを実施 障害者社会参加推進センター(再掲):障害者の結婚相談や生活訓練、出前講習を実施し、社会参加を促進 施策3-2 広報・情報提供の充実 ICT(情報通信技術)の進展に対応しながら、わかりやすい広報を行うとともに、点訳化や音訳化など、障害の特性に配慮した情報手段の提供に努めます。また、必要な情報が必要な人に届くよう、より効果的な情報提供の手法を検討します。 パソコン・スマートフォンなどが普及している状況から、ホームページを活用した情報提供のさらなる充実を図ります。 現在の主な事業 障害保健福祉施策に関する広報:計画の策定や福祉サービスの制度改正に関する内容などについて、冊子やチラシ、福岡市ホームページ、市政だよりなどで周知 障害保健福祉施策に関する情報提供:毎年、福岡市障害保健福祉施策に関する事業概要を紹介する冊子「福岡市の障害福祉」を作成 発達障害者支援センター(ゆうゆうセンター)(再掲):発達障害について、相談や普及啓発、研修などを実施 目標4 権利擁護の推進 現状と課題 障害のある人は、家庭内、学校、職場など、日常生活の様々な場面で権利を損なわれやすい状況にあります。特に、知的障害、精神障害などは、その障害の特性から、意思表示能力が十分ではありません。誤解や偏見も生じやすいため、本人の意図しない状況になってしまったり、被害に遭ってもその状況を周囲に伝えられないこともあります。自分で問題を解決することが困難な人に対する支援体制の整備が求められています。 障害者の人権に関して問題があると思うこととして、すべての障害に共通して「人々の障害者に対する理解を深める機会が少ないこと」や「差別的な言動を受けること」などが上位5位以内に挙がっているほか、発達障害者では「発達障害の特性から生じる困難さに対し、配慮がなされないこと」の割合が7割弱と高く、1位となっています。 親なき後の生活を見据えた後見的支援策として、「親なき後」のみならず、早期から将来を見据えた制度の周知や利用の促進を図っていく必要があります。 施策の方向性 社会的に弱い立場になりがちな障害のある人も、個人としての尊厳を保ちながら、その人らしい生活ができるよう、自らが選択・決定するための支援体制の整備に努めます。 虐待によって障害のある人の権利や尊厳がおびやかされることを防ぎ、安定した生活や社会参加を支えるため、障害者虐待の防止、養護者に対する支援などに関する施策を推進します。 施策4-1 権利擁護・虐待防止 障害のある人が社会の一員として尊重され、自らの考えに基づいた決定をし、その考えを表明したり、行動したりするための支援のあり方を踏まえながら、相談窓口などの充実を図ります。 成年後見制度については、国において見直しが進められており、その動向もみながら、利用促進に向けた検討を行います。 障害者虐待の防止及び早期発見のための啓発活動に取り組むとともに、虐待の通報・届出受理後は虐待再発防止のために養護者及び被虐待者に対し支援を行います。 現在の主な事業 成年後見制度利用支援事業(再掲):判断能力が不十分で成年後見の申立てを行う親族がいない高齢者などについて、市長による成年後見制度利用のための申し立てを行い、後見人などによる支援を確保。市長申し立てに必要となる費用負担が困難な場合の申立費用や後見人報酬を助成 日常生活自立支援事業(社協)(再掲):高齢による認知症や精神・知的障害により、日常生活上の判断に不安を感じている方の日常金銭管理、福祉サービス利用援助、日常生活支援などを実施 福岡市障害者110番:常設相談窓口を設置し、内容に応じて専門相談を行うほか、必要に応じて専門機関への依頼などを実施 精神科入院患者の人権確保等:病院実地指導、現地診察などにより病院の適正な管理運営と入院患者の人権確保を図るほか、精神医療審査会において、入院患者などからの退院請求や処遇改善請求の審査を実施 基幹相談支援センター(虐待防止センター)(再掲):障害者虐待の防止、養護者に対する支援などを促進 目標5 差別解消のための施策の推進 現状と課題 国連の「障害者権利条約」の批准に向けた国内法制度の整備の一環として、障害者差別解消法が公布され、平成28年(2016年)4月に施行されました。この法律では、障害を理由とした不当な差別的取り扱いはもちろん、社会的障壁を除くための合理的配慮を提供しないということについても、差別に当たるとされています。また、差別を解消するための支援措置として、相談体制の整備、啓発活動、関係者によるネットワークの構築などについて定めています。 福岡市では、法施行に合わせ、障害を理由とする差別の禁止に関して職員が適切に対応するため、合理的配慮の提供の具体例などを示す職員対応要領を作成しました。 また、差別に関する紛争の防止などに向け、関係者からの相談等に的確に応じるため、障害者差別に関する相談窓口を設置するとともに、関係機関との連携を図るため,「福岡市障害者差別解消支援地域協議会」を組織しました。 この法律に関連し、福岡市のほぼすべての障害者団体で構成される「福岡市に障害者差別禁止条例をつくる会」から、「障害を理由とする差別の禁止を目的とする条例」の制定を求める要望が出されています。 平成25年度(2013年度)に実施した「福岡市障害児・者等実態調査」において、「差別を受けたり、嫌な思いをした経験がある」と回答した人は、身体障害者では約2割ですが、知的障害者や、身体・知的障害児、発達障害児・者では6割前後にまで上ります。特に、障害を理由とした差別は、障害のある人の自立や社会参加に深刻な悪影響を与えるため、解消するための施策を推進する必要があります。 差別を受けた内容では、すべての障害に共通して「近所の人たちの対応で不愉快な思いをした」や「相談機関・相談窓口に行ったとき、職員の対応で不愉快な思いをした」が上位5位以内に挙がっています。 また、身体・知的障害児では「施設や園、学校の職員及び児童生徒の対応で不愉快な思いをした」が第1位となっています。 施策の方向性 障害の有無によって、分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、平成25年(2013年)に制定された障害者差別解消法などに基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に取り組みます。 施策5-1 障害者差別解消法施行に伴う対応 障害者差別解消法の周知・啓発を進めるためのフォーラムの開催など、法の円滑な施行に向けて取組みます。 また、福岡市の実情を踏まえ、障害を理由とする差別の解消に向けて、障害のある方をはじめ関係者の意見を聞きながら、差別の解消を目的とする条例の制定に取組みます。 目標6 障害のある子どもへの支援の充実 現状と課題 障害のある子どもへの支援については、東部療育センターの開所(平成23年(2011年)4月)や特別支援学校放課後等支援事業の実施校の全校拡大など、取組を進めてきました。 一方で、「心身障害福祉センター」などを新規に受診する障害児が増加しており、特に発達障害に関する相談は10年前の3倍に上っており、さらなる療育体制の整備が急務になっています。 (1)早期発見・早期支援 心身障害福祉センターなどを新規に受診する障害児や保護者などからの相談が増加しており、相談体制の充実が求められています。 障害の診断・判定を受けた頃の苦労、悩み、不安としては、「障害のことや福祉の制度についての情報が少なかった」が5割を超えて最も多く、次いで「身近に相談できる相手がいなかった」、「保健所や福祉事務所、専門機関でもっと指導してほしかった」などとなっています。 (2)療育・支援 児童発達支援センターへの通園希望者や幼稚園・保育園に在籍する障害児が増加しており、療育・支援体制の充実が求められています。 通園・通学先に望むこととしては、「能力や障害の状況にあった支援をしてほしい」が最も多く、「就学相談や進路相談などの相談体制を充実してほしい」や「個別的な支援を充実してほしい」が続き、次いで「関係機関などと連携を密にしてほしい」となっています。 (3)発達障害 幼児期に発達障害と診断される児童や発達障害者支援センターへの相談者が増加しており、相談・支援体制の充実が求められています。 施策の方向性 障害のある子どもについては、「発達が気になる」など、障害の疑いが生じた段階から、早期の対応、支援を行っていくことが重要です。障害の早期発見と早期支援、そしてノーマライゼーションの理念の基に、一人ひとりの自立をめざした支援・療育体制の充実を図ります。 また、近年、特に発達障害児の新規受診や相談が著しく増加していることから、発達障害児とその家族への支援の充実に努めます。 施策6-1 早期発見・早期支援 医療機関や乳幼児健康診査などの受診時に、「障害の疑いがある」とされた場合に、専門機関である心身障害福祉センターや療育センターにおいて医学的診断などを行い、障害の早期発見に努めます。 区役所(保健福祉センター)や心身障害福祉センター、療育センター、こども総合相談センターが連携しながら、「発達が気になった」段階から、家族も含めた支援に取り組みます。 現在の主な事業 障害の早期発見:乳幼児健康診査(P.78参照)などを通じ、障害の疑いがあると判断された場合は、専門機関の受診につなぎ、障害の早期発見に努めるもの こども総合相談センター(再掲):子どもに関する様々な問題に対して、保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を実施 発達教育センター(再掲):障害のある子どもたちの就学相談や教育相談、自立活動などを実施 心身障害福祉センター、東部・西部療育センター(再掲):障害児(未就学児)の相談・診断・療育支援などを実施 施策6-2 療育・支援体制の充実強化 障害児の重度・重複化や発達障害の増加に対応するため、障害のある子どもが、知的障害・肢体不自由などの障害の種別に関わらず、身近な地域で相談や訓練を受けることができるよう、障害児の通園施設や放課後等デイサービスなどの療育体制や支援体制の充実強化に努めます。 通園が困難な重症心身障害児などに対する訪問療育を行うとともに、障害児が通う保育所、幼稚園、認定こども園などへの支援や、障害児施設などでの日帰りの一時支援や預かり時間の延長などにより、障害児とその家族を地域で育む環境づくりを進めます。 慢性疾患等長期療養児などを持つ親に対し、医療費の助成とあわせて、適切な情報提供を行います。また、身近な地域において、慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実を進めます。(再掲) 学校と行政、事業所などが連携し、就労に向けた取組みを推進します。 現在の主な事業 児童発達支援センター:就学前の知的障害児・肢体不自由児などを対象に、通園による訓練・保育などの療育を実施 放課後等デイサービス:学校通学中の障害児に対して、放課後や長期休暇において、生活能力向上のための訓練などを継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後などの居場所づくりを推進 特別支援学校放課後等支援事業:特別支援学校内にて、放課後などの児童・生徒の活動の場の提供と、保護者の就労及びレスパイト支援を実施 障害児入所施設:障害児を家庭で養育できないとき、入所させて保護し、必要な支援を実施 障害児等療育支援事業:外来療育、訪問療育、保育所・幼稚園などへの支援を実施 障害児保育:発達に遅れがある、又は心身に障害を有する子どもを保育所などに受け入れ、健常児とともに統合保育を実施し、健全な成長発達を促進するなど、障害児の福祉の増進を図るため、巡回訪問指導、研修、保育士雇用費の助成などを実施 障害児保育訪問支援事業:障害児が入所している保育所などに対して、専門機関による訪問、助言などを実施 私立幼稚園障害児支援事業:障害児が通園する幼稚園に対して、専門機関による訪問、助言などを実施 保育所等訪問支援事業:保育所などの安定した利用を促進するため、保育所などを利用中の障害児や今後利用する予定の障害児に対して、障害児支援の経験を有する職員が訪問し、保育所などにおける集団生活適応のための専門的な支援を提供 療育訓練:在宅の脳性マヒなどの心身障害児への宿泊型のリハビリ訓練を実施 特別児童扶養手当(再掲):障害児を養育する父母などに手当を支給 障害児福祉手当(再掲):重度障害児に手当を支給 施策6-3 発達障害児の支援 発達障害者支援センターを中心に、自閉症などの発達障害のある子どもとその家族に対し、乳幼児期から成人期までのライフステージに応じ、障害の特性を踏まえた相談や一貫した支援を行います。 専門家や団体、事業者、保健・教育・福祉関係者などで構成する「発達障害者支援協議会」などを通じて、関係機関・団体の連携を強化し、支援体制の充実を図ります。 発達障害への理解を促進するため、啓発活動に取り組みます。(再掲) 発達障害者への支援については、障害への理解が進んでいないことや、一人ひとりの障害特性に応じた支援が十分ではないことなどにより、精神障害などの二次障害の発生が指摘されており、幼児期から学齢期、成人期までの一貫した支援を進めるため、既存の社会資源の集約再編や、機能強化、利便性向上を図ることなどを検討します。(再掲) 現在の主な事業 発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)(再掲):発達障害について、相談や普及啓発、研修などを実施 世界自閉症啓発デー・発達障害啓発週間(再掲):市民の理解と認識を深めるため、「世界自閉症啓発デー(4月2日)」「発達障害啓発週間(4月2日から8日)」を中心として各種広報啓発活動を実施 発達障害児日中一時支援(就学前児童)(再掲):介護者の疾病などにより一時的に介護ができない場合に、施設などで日帰りの預かりを実施 発達障害児放課後等支援事業(再掲):通常学級及び特別支援学級に通学する発達障害児に、放課後などの活動の場を提供するとともに、保護者の就労とレスパイトの時間の確保を支援 自閉症スペクトラム支援者養成研修(再掲):自閉症スペクトラムの方の支援者を対象に、障害の特性についての理解を深めるとともに、支援における知識と実践方法を学ぶための研修会を開催 ペアレントメンター養成研修(再掲):発達障害の子どもの保護者が、同じ経験をした先輩として、別の保護者の相談にのり、前向きな子育てのための心理的援助を行う役割を担うペアレントメンターを養成するための研修会を開催 第3章 成果指標 本計画に定める「基本目標」に基づいた取組みを進めるために、次の項目を成果指標とします。 (指標項目ごとに、現状値(平成25年度)、目標値(平成31年度)、対応する基本目標、出典を記します。) まちの暮らしやすさ(暮らしやすいまちだと感じている人の割合):(2)、35.0パーセント、基本目標1、福岡市障害児・者等実態調査 相談窓口認知度(困ったときに相談できる窓口を知っている人の割合):35.9パーセント(3)、45.0パーセント、基本目標1、福岡市障害児・者等実態調査 災害時の孤立度(「頼る人がいない」と回答した人の割合):8.1パーセント、5.パーセント、基本目標1、福岡市障害児・者等実態調査 安全・安心のための社会環境整備ができていると感じている人の割合):(2)、(2)、基本目標1、福岡市障害児・者等実態調査 将来の暮らし方(将来,家族と同居できない場合に,希望する暮らし方として「一人暮らし」「共同生活できるところ」と回答した人の割合)(1):51.9パーセント、60.0パーセント、基本目標1、福岡市障害児・者等実態調査 障害のある人の就労に対する社会の理解度 (理解があると感じている人の割合):28.7パーセント、40.0パーセント、基本目標2、 福岡市障害児・者等 実態調査 外出の頻度(週に3回以上外出している人の割合):64.6パーセント、75.0パーセント、基本目標2、 福岡市障害児・者等 実態調査 コミュニケーションで困っていることの有無(困っている人の割合):18.0パーセント、10.0パーセント、基本目標2、 福岡市障害児・者等 実態調査 啓発・交流の頻度(「障がい者に対する理解を深める機会が少ない」と回答した人の割合):24.6パーセント、10.0パーセント、基本目標3、 福岡市障害児・者等 実態調査 障害者の人権に関する問題点(「障がい者の意見や行動が尊重されないこと」と回答した人の割合):18.6パーセント、8.0パーセント、基本目標4、 福岡市障害児・者等 実態調査 差別を受けた経験 (差別を受けたりいやな思いをした経験の割合):29.2パーセント、20.0パーセント、基本目標5、 福岡市障害児・者等 実態調査 療育や訓練を受けた経験(「受けた」または「受けている」人の割合)(1):82.6パーセント、85.0パーセント、基本目標6、 福岡市障害児・者等 実態調査 (1)「将来の暮らし方」「療育や訓練を受けた経験」は、障害児についての数値。 (2)平成28年度に実施する障害児・者等実態調査に基づき設定する。 (3)平成25年度の数値は、主要な各相談窓口(福祉事務所・保健所、あいあいセンター、障害者110番、民生委員・児童委員、就労支援センター、社会福祉協議会)を知っていると回答した人の平均値を参考値として記載。 (4)実態調査は、3年ごとの実施であり、直近は平成25年度実施。本計画期間中の実施は、28年度と31年度に予定されているため、目標値は、平成31年度調査時の数値とする。