(参考資料2) 福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 ご意見提出シート(第6回会議 平成29年1月31日(火)) 友廣 道雄 意見提出シートは、全文公表し事前配布を、お願いします。 1.“障がいのある人に対し差別をしないこと”を全ての市民に共通のルールとして理解浸透を図るために、「何人も障がい者に対する差別をしてはならない。」と規定し、不当な差別的取り扱い、合理的配慮をしないことも含め義務規定とすべきです。 (1)義務規定であっても、本条例は、罰則によって取締まったり規制する条例ではなく、罰則規定はなく違反しても罰せられることはないのではないでしょうか。同様の規定を置いている新潟市や千葉市、富山県、九州の自治体等の運用や規程の具体的な効力について市から照会、調査していただけないでしょうか。 (2)事業者の合理的配慮の義務規定について 合理的配慮には加重な、できない配慮はしなくてもよい。という適用の除外が担保されています。事業者に過重な負担感を与え、営業の自由を阻害するのではないか。という危惧に対しては、できることをしていただければよいという発想に切り替えていただきたいです。してもしなくてもよいという発想からは事態は前進しないと思います。義務というラインから、前向きな話し合いが始まると思います。 勧告、公表についても、事案として考えられるものは余程の悪質な事例であり、そもそも本条例の趣旨は話し合いで解決すべきものであり、濫用すべきものでなく、他の先行自治体でも一つも事例はありません。 (3)私人間の領域に、公権力が介入し、その行為や個人の思想、言論について、法により規制することは法の基本原則として妥当ではなく、何人もと規定している千葉県でも、「条例に列記している具体的な分野別の差別行為について調整活動を行うこととしており、結果としてその分野に属していない私人間の問題は対象外」とされ、私人間で差別があった場合は、相談機関で話は聞くが、差別を行った側に直接調整活動をするのではなく、きちんと話を聞き、適切な機関につなぎ周知啓発により改善を図っていくとされています。 (4)福岡市の原案では、条例の及ぼす規制の効果の方に神経が行き過ぎていて、行政、事業者を市民を区別するために、非常に難解でわかりにくい内容になっています。市民はこの条例の部外者で障がい者に対し、これまで同様の態度や行動でよいかのような印象を与えます。障害者差別解消法と同様の、行政、事業者、市民の位置づけであり、条例を作る意味がなくなってしまっており、これなら差別解消法の啓発で十分ではないか。とさえ考えます。 2.相談体制について、現在の想定されている基幹相談の相談支援体制では差別解消の対応は想定されていず、人員の確保は不十分であり、各区に専門の相談員を置くべきです。原案の審査会は、ほとんど想定されない勧告、公表に対応した形式的機関に過ぎず、他の自治体同様、調整委員会を設け、事例の課題整理や相談体制の充実等を担保すべきです。  (1)合理的配慮を含む差別事象の調整にあたって、市当局や少人数の委員のみでは解決は難しいと思います。様々な障害種別や特性を理解した多くの委員からなる調整委員会が必要です。 相談体制についての専門性が「障がい及び障がい者に関」することと なっていますが、差別案件に関しての相談となると差別内容を精査するための聞き取りや内容整理、さらに差別を行った側からの聞き取りなどを行うための専門性や両者の調整力など、差別に関しての相談は、多様な専門性が求められることを明記すべきです。 さらに「合理的配慮の不提供」に関することも入り、新しい考え方であり、その内容精査については、十分な情報収集と整理・分析作業が求められることを考えても専門性の広さは求められます。 (2)「市(委託を含む。)及び福岡市基幹相談支援センターを相談窓口とする。」について 基幹相談支援センターの再編に当たっては、事前の説明では、「3障害別から窓口1本化」「相談対象を児童まで広げる。」「小学校区単位をベースとして地域福祉の基盤づくりの担い手」を新たな役割として整理されたものとして、整備されました。そして、その目的を達成させるための職員体制整備でした。ここで新たに差別案件の相談窓口を置くには、人的体制が最も不足すると思われます。他都市での差別案件での専門員の相談実績をみてみると時間をかけた両者からの聞き取りを行い、必要な場合、何回も両者の調整を行う場面もあります。さらに「合理的配慮」に関する事項となると初めての取り扱いとなり、基幹相談支援センターの相談業務は非常に多岐にわたり、さらに地域のネットワークづくりに奔走している実態を考えると差別案件での相談にしっかりとのり、具体的案件を通じてのノウハウの蓄積していく余力はないと思います。 差別案件の相談を専門に行い、そこでの差別案件相談の蓄積を行い、 地域での広く相談にのる支援センターに対してのバックアップを行えるためにも、各区に差別案件の専門の相談員を配置するか、市の委託先に十分な専門相談員の配置を行うなどの差別案件を専門に行える体制をつくり、そこが中核となって、各地域での広い相談体制を作っていくことが必要です。その幅広い相談窓口には、地域の身体障害者相談員や知的障害者相談員なども含まれます。 その中核となる専門相談員が配置されているところで、毎年の差別案 件の相談関係の実績整理や差別案件を深く分析し、課題を整理していくことを協議していく場に提出する資料となります。 (3)「特定相談」について、(相談業務の委託)をできることとし、委託先を明文化する必要があります。内容は、つくる会の条例案参照「(地域相談員)第12条」「(広域専門相談員)第13条」 (4)第13条の(市長への申出)について 申し出を受け、事実についての必要な調査を行ったあと、「助言及びあっせん」について調整委員会に対し、その適否について審理を求めることとすべきです。(指導・助言ではなく) つまり、市の案でだされている「勧告」だけを諮問する基幹としの「審査会」ではなく、相談の次の段階の申出から「助言及びあっせん」その後の対応を踏まえての「勧告」までを第3者を交え、しっかりとした論議を踏まえて、方向性をだす「調整委員会」で審議されるべきだからです。なぜなら、差別案件に対する解決の基本的方向は話し合いに基づくことを基本としているからです。さらに差別に関しての分析がきちんと障がい者・家族関係者や事業者、さらに行政また、有識者との冷静な論議での合意をつくる中で、解決の方向を考えていく道筋をきちんと整理しておくべきです。その調整委員会は、つくる会の条例案にふれられているように幅広い行政機関、や事業者を含む民間団体、障がい当事者や家族関係者、有識者を構成員として、20名以内でもって構成するべきです。さらにこの調整委員会では、差別案件とくに合理的配慮に関わる案件の分析をきちんと行い、差別をなくしていくための課題整理につながることも役割に置く必要があります。 また、事業者だけに限定する事なく、行政機関による差別案件についても取り扱う必要があると考えます。そのためにも、調整委員会は福岡市から独立した機関であるべきと考えます。