第4回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成28年11月25日18:30〜20:30 場所:福岡天神センタービル8階 TKPガーデンシティ天神「M-1会議室」 1.開 会 ●事務局 皆さん,こんばんは。定刻になりましたので,ただ今から第4回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を開催いたします。私は本会議の事務局を担当いたします福岡市保健福祉局障がい者部障がい者在宅支援課長の竹森です。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は遅れるというご連絡の入っている委員さんもいらっしゃいますが,委員総数18名のところ,本日は今現在13名のご出席となっております。また,本会議は原則公開となっておりますのでよろしくお願いいたします。  次に,資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいておりますけれども,会議次第,座席表,委員名簿,ご意見提出シートでございます。事前にお送りした資料でございますが,資料1として「第3回条例検討会議のまとめについて」,資料2「条例骨子案(修正版)」,資料3「条例骨子案新旧対照表」,資料4「相談・紛争解決フロー(修正版)」でございます。  それから参考資料でございますが,「ご意見提出シート(井上委員)」,参考資料2が友廣委員,参考資料3が松田委員からの分で,参考資料4が向井委員の分でございます。参考資料5が「項目ごとの条例内容比較表(用語の定義)」です。参考資料6が同じく「差別の禁止等」の部分です。参考資料7が「相談」の部分,8が「当事者等の求め〜助言等」のところについてのものです。9が「勧告〜公表」についての部分でございます。以上でございますが,足りない資料はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは本日の会議次第についてご説明いたします。お手元の会議次第をご覧ください。前回に引き続き,議事は「条例骨子案」でございます。  これより先の会議進行につきましては,会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 2.議 事(条例骨子案について) ●会長 それでは本日の議事に入りたいと思います。  まず資料が出ておりますので,本日の資料について事務局から説明をお願いいたします。 ●事務局 伊藤でございます。少しお時間をいただいてご説明したいと思います。  まず資料1「第3回条例検討会議のまとめについて」です。項目ごとに分けて,委員の皆さまからいただいた主なご発言要旨を記載しております。2ページには,今回,意見シートの配布のご希望があった委員につきましては参考資料でお配りをしておりますので,それ以外の委員からのご意見についてこちらに記載しております。  その下です。「第4回条例検討会議の進め方について」,本日の会議の進め方ですけれども,1番ですけれども,前回の会議の後半では骨子案の項目9「差別をなくすための仕組み」についてご検討いただきましたが,時間が十分足りなかったと思いますので,今回も引き続きこちらをまずご検討いただきたいと思います。  その後,これまでに十分な検討をしていない項目,骨子案の項目8「差別の禁止等」についてご検討いただき,残り時間次第ですけれども,ほかの項目についてもご意見をいただければと考えております。  続いて資料2です。前回までの議論を踏まえ,骨子案を修正しております。資料2は修正箇所がよく分からないと思いますので,資料3として骨子案の新旧対照表を作っておりますので,こちらを使って説明してまいります。  資料3をご覧ください。項目ごとに表記しておりますけれども,資料3の左の欄が第2回の会議でお示ししていましたもともとの事務局の骨子案,真ん中の欄が前回までの会議でいただいた委員の皆さまからの主なご意見,右の欄が今回修正した骨子案の修正版でございます。修正箇所は太字にしてアンダーラインを引いております。  まず1番のところ,「前文」ですけれども,ほかの項目が固まってからの検討になりますので,今回は特に修正をしておりません。  2番の「目的」。後の6番,7番ともかかわりますが,「市,市民及び事業者それぞれの責務」となっていたところについて,事業者や市民は責務でなく役割にすべきではないかとのご意見を踏まえ,「市の責務並びに事業者及び市民の役割」としております。  3番の「基本理念」については,元の骨子案では非常に簡潔に記載しておりましたけれども,前回の会議で仙台市の条例をベースに考えていくのがいいのではないかというご意見をいただきましたので,それをベースに作っております。  参考までに,5つ目の丸は仙台市の条例にないものですけれども,この条例が「障がいのある人とない人が理解をし合うことにより差別の解消を目指していく」というものであることから,仮に紛争などが生じた場合であっても,お互いの立場を踏まえて建設的な対話を行うことにより理解し合うことをまずは目指しましょうということで,理念規定として独自追加をしております。  4番「用語の定義」のところは,多分に法的技術的な面が強いというところで,まだ詳細な議論は行っていない項目ではありますけれども,これぐらいは定義する必要があるだろうということで,「障がいを理由とする差別」「不当な差別的取り扱い」「合理的配慮」「事業者」を追加しております。  5番「福岡市の責務」は特に修正はございません。  6番,7番は先ほど少し触れましたが,事業者と市民については「責務」でなく「役割」としております。規定する中身については特に修正はしておりません。  8番「差別の禁止等」については,社会生活領域ごと,分野ごとに規定をすべきというご意見がございましたので,「不当な差別的取り扱いの禁止」のところで「分野ごとに分けて規定をする」というふうにしております。合理的配慮については特に修正はしておりません。  9番「差別をなくすための仕組み」については,前回のご議論で相談の仕組みをどうするかが大切であるというご意見をいただきましたので,相談の部分に関する記載を追加しております。  まず1つ目の丸で,「障がい者及びその家族,その他の関係者又は事業者は,福岡市に対し,障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる」と。実際にどういった窓口に相談してもらうか,窓口は1つにまとめたほうがいいのか,複数に分けたほうがいいのかなど,さまざまなご意見が考えられると思いますので,この後の検討の中でご議論いただければと思います。  2つ目の丸です。「福岡市は,相談を受けた場合は必要な説明,情報の提供,関係者間の調整やあっせん,関係行政機関への通知等を行う」と。実際にはここで解決することがほとんどになるのかもしれませんが,相談窓口が行う業務について記載をしております。  3つ目の丸です。「関係者間の調整やあっせんで解決しない事案について,当事者等からの求めがあれば,福岡市は必要な調査を行い,必要があると認めるときは,事業者に対し指導・助言を行うものとする(必要に応じ,福岡市障がい者差別解消支援地域協議会との連携を図る)」というふうにしております。  次の丸です。福岡市が勧告を行うべきかどうかを審議する専門機関を設置するということで,これは資料4で詳しく説明いたしますが,専門機関の役割を「勧告を行うべきかどうか」に修正しております。  次の丸です。「正当な理由なく指導や助言に応じない事業者について,福岡市が勧告(及び公表)を行うことができるようにする」と。公表まで入れるかどうかはまだ議論が尽くされていないと思いますので,括弧書きとしております。表彰や市民の理解を深めるための施策については特に修正しておりません。  10番の「その他」についても特に修正してはおりません。  続きまして,資料4をご覧ください。前回お示ししたフロー図を修正しております。左の現行フローは大きな変更はございません。右の条例制定後のフローをご覧ください。矢印が黄色,オレンジ色,赤で色分けされていると思いますが,黄色が行政指導などを行わない純粋な相談の段階,オレンジ色が指導や助言という行政指導を行う段階,赤いところが勧告や公表という制裁的手法を行う段階というふうに,色が濃くなるにつれてソフトからハードな手法になっていくというイメージです。  まず障がいを理由とする差別事案が発生した場合,当事者等が相談を行いますが,ここでは市とか事業者の差別に限らず,広く市民同士の事案も含めて相談を受け付けます。次に市は調整やあっせんを行いますが,ここでは関係者間の調整は行いますけど,行政指導という形は取りません。  そこで解決しなかった場合にどうするかということで,当事者等は市長に対し指導や助言を行うように申し出ることができるというふうにしています。ただし,個人に対して行政指導というのは難しいですので,ここでは市民間の事案は含まれません。申出を受けて市長が事実確認を行い,このときに市は差別解消支援地域協議会と一定の連携をすることが考えられます。  そして指導や助言を行った結果,正当な理由なく指導や助言に従わない場合,市長は専門機関に対し,勧告を行うべきかどうかを審議してもらうよう求めます。専門機関からの答申を踏まえ,市長が勧告を行うかどうかを決定いたします。さらに勧告の結果,再三の指導にもかかわらず勧告に従わないという場合に,最終的に公表まで行うかどうかは,先ほど申し上げたように議論の余地が残っているところでございます。  資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ●会長 ありがとうございました。今,本日の資料について事務局からご説明いただきましたが,資料のご説明について何かご質問等ございましたら,まずそれからお受けしたいと思いますがいかがでございましょうか。  前回の議論,それから意見書等を踏まえた修正,骨子案について等も含まれております。 (発言者なし) ●会長 特にございませんでしたら,本日の議事の中身に入っていきたいと思います。  資料1の2ページの裏側であります。本日議論をいたしますのは,まず骨子案の項目の9「差別をなくすための仕組み」を議論いたしまして,その次に骨子案の8「差別の禁止等」,中心になるところでございますが,こちらの議論をしたいと思っております。なお,2時間予定しておりますが,時間がありましたら,骨子案の4の項目について議論をしていければと思っております。  最初に議論をしていただきます項目の9「差別をなくすための仕組み」ですが,資料3を見ていただくほうがいいかと思います。2枚目です。差別をなくすための仕組みについては,前回,一部議論いただいたところではありますが,全体としての議論が十分ではなかったということで,改めて前回の議論も踏まえつつ議論していただこうということでございます。  差別をなくすための仕組みでありますが,大きく3つが柱になっております。正確には4つ目の柱もありますけれども,大きな柱としては3つかと思います。1つ目の柱が最初の区切りのところで,差別事案の相談というところでございます。相談とさらに助言,あっせんまで含む行政指導で,資料4で言いますと,右側の黄色からオレンジにかけてまでです。相談は黄色のところですけれども,さらにオレンジのところまで含む部分での相談という手段が,差別をなくすための仕組みの1番目の柱。  それから2番目の柱,前回ここを中心に話をしたんですが,紛争解決の仕組みであります。これは相談,助言,あっせんで,なお解決しなかったものについて紛争事案と捉えて,法的な強制力まで含み得るという解決の仕組みであります。これが2つ目です。ここまで来る案件自体は現実的には少ないと思いますけれども,この紛争解決の仕組みがないと差別解消の実効性に問題があるということで,これが2つ目の柱であります。  そして3つ目の柱。順番はこっちのほうが先なのかもしれませんが,書いてある順番で言いますと5つ目になります。資料3のほうで言うと,上2つが相談のところで,紛争解決の仕組みが3つ目で,4つ目はちょっと置きまして,5つ目です。5つ目が柱としては3つ目の柱だろうと思います。啓発活動で,市民への広報・啓発という柱。大きな柱としてはこの3つです。  さらに4つ目ということになりますと,「障がい者の合理的配慮の取組みについて功績のあった民間事業者の表彰」というところです。4つ目の柱とするのか,付属的なものとするのかはちょっと別にしまして,大きな柱は3つ。それから表彰というのが,差別をなくす仕組みとして問題になるところであろうということであります。  前回,相談がやはり中心ではないかというお話も出ました。そのとおりであろうと思います。それで今回の骨子案の修正につきましては,先ほど事務局から詳しくご説明がございましたように,相談の仕組みの充実を前提に,さらに指導・助言というところも加味したいと。さらにこれで問題を解決できない場合に,紛争解決の仕組みをそちらの制度で問題を解決すると。こういう前回のご議論を踏まえての骨子案の修正でございます。  以上につきまして改めて皆さんからのご意見を賜れればと思いますが,どうぞどなたからでも結構でございますので。 ●委員 じゃあ,私から話します。 ●会長 どうぞ。 ●委員 私は事前にシートを提出しておりましたので,意見提出シートの参考資料2をご覧いただきながら,意見を述べさせてください。  今回,骨子の相談体制の充実ということで,その意見シートが載っておりますけれども,再度説明させていただきます。(2)です。  私は先般から,相談につきましては2つのポイントですね。なかなかこういった差別体験を受けた方というのは相談しにくい,実際,私ども条例をつくる会で調査いたしましても,1000件を超える事例に「誰にも言えなかった」あるいは「20年,30年ずっと胸にしまっていた」という方が多かったんですね。ですから気軽に相談できるという意味では,一定の地区単位,ある意味,平場の話を聞いていただける方という意味での民生委員さんとかいろんな方がいると思うんですけれども,ただ,もう1つ専門性が要ると思うんです。これは精神の方,発達障がいの方,身体の方,いろんな障がい特性,合理的配慮の特性も理解するという意味での専門性だと思います。  もう1つの専門性という意味では,裏面をご覧ください。これは千葉県の資料になります。相談体制というのが,もちろん当事者の方にもオープンに開かれていますけれども,実は相手方に合理的配慮をすべきだとか,差別の案件を第三者の一般的に企業とか団体の方になると思うんですけれども,双方にうまく,障がいだけでなくて一般の企業であったり社会のルールであったり,ある意味障がいじゃない一般社会の仕組みであったり,そういったこともよく分かる方が双方の言い分を聞いて,中立公平に調整にあたるという意味での専門性も要ると思うんです。  そういった意味では,障がいだけでなくて一般社会のことも知っているという,そういったことも含めた,一般的にはソーシャルワーカーという業務なんですけれども,社会福祉士とか精神保健福祉士というジャンルがありますが,そういった経験値のある方が専門の相談として,一般の地域で悩み事を打ち明ける方の事例とか,その場で解決すればいいんですけれども,そうじゃない場合にバックアップして,地域の相談員の方もしっかり助言をしたりバックアップするという意味での二重の相談体制があれば,当事者の方,それから合理的配慮をすべきかどうか悩んである事業所の方,双方にうまく調整ができるような体制ができるのではないかと思っています。  そういった意味では,今後,合理的配慮というすぐれて個別性の高い事案が出てくると思うんですけれども,この相談体制はそういったことが担保できれば,障がいのある方,あるいは一般社会の活躍している企業の方々,双方にとって非常に有益な体制になると思っています。ですので2つの意味での,身近な相談体制とバックアップできる専門体制という2つの体制が必要だと思っています。  もう1点は,福岡市の今回の表記で申しますと,相談の事実調査という段階と勧告,相談の場合と救済の段階と2つに分けるという意味で,そのあい中に指導・助言を行うという,調整のレベルで差別解消支援地域協議会も活用したらどうかというふうに多分書いたと思うんですね。ただ,他の政令市を見ましても,おそらく助言,あっせんのレベルだと調整委員会というんですかね?相談体制に続きまして,調整委員会というところである意味助言のあり方,あっせんのあり方までじっくり調整されるんじゃなかろうかと。調整委員会を経てもどうしても難しい場合には,調整委員会も一番収穫の段階だと思うんですけれども,勧告うんぬんの過程になるのではなかろうかと。  一般的な差別解消支援地域協議会というのは,相談から調整委員会というところは個別のケースワークですよね。個別の事例に特化してどう調整するかということでしょうけれども,差別解消支援地域協議会というのは,ある意味,差別というのは個別の事例というよりも社会全体の仕組み,福岡市なら福岡市のいろんなバリアフリーの問題,制度の問題,あるいは企業のあり方の問題というのがあるので,幅広く企業の方,行政,学校,病院,医師会とかいろんな団体が集まって福岡市の仕組みを変えていこうという意味での,そういった協議会かなと私は理解しているんですね。だから個別ケースワークは,あまり差別解消支援地域協議会では扱えんのではなかろうかと自分は理解しています。  そういった意味では,繰り返しますけれども,二重の身近な相談と専門性がある相談体制を作っていただけたらというのが1点。それと助言・指導も,指導が終わったら助言のほうの調整という意味では,調整委員会というレベルでやっていただくのはどうかというのが私の意見でございます。以上でございます。 ●会長 ありがとうございました。相談体制についての具体的な仕組みのご提案というところで,千葉県の仕組みを基本にご提案があったということで,地域相談員と広域専門指導員の仕組みについての提案でございます。  それと調整委員会の位置づけをお聞きしたいのですが,調整委員会は個々の差別事案の解消というよりも,むしろ政策提言的な意味合いを持つ機関という位置づけで,個別事案をいつ行っても相談を受けたらそれについて答えるけれども,主たる任務というか事務は,差別解消をめぐる市等への政策提言という意味合いですか。 ●委員 いや,調整委員会というのは,もともとそういった個別の相談の調整のあり方までするんですけれども,地域協議会というのはもちろん個別の事例が上がってくるんですけれども,それを全体的な社会の仕組みのあり方とか市民への啓発だったり,幅広く取り扱うのが地域協議会かなと。  障がい者のほうでは自立支援協議会といいますけれども,現在は生活支援等協議会と言われますけど,やはり相談で上がった個別事例を扱っていながら,もっと幅広く政策的な過程を建議するのが協議会だと思っています。調整委員会はちょっと地域協議会とは違うかなというのが自分の理解でございます。 ●会長 分かりました。今のご意見に関してでも結構ですし,ほかのご意見でも結構です。紛争解決の仕組みに関して,ご意見をいただければと思います。どなたでも結構ですが。 ●委員 私も,まず解決フローの黄色の部分,受付は多分重要だと思っています。会長も言われていますが,ここで解決するとオレンジ色に行くことは少ないだろうということで,ここをいかに対応していくかということで,やはり私も専門職の設置は必要だろうなと思っております。  それとここに今110番ということで書いてあるんですが,これをぜひ各区に置いておくか,1つで人数を増やして,各障がいに対して対応できる配置をしていただければ,ここである程度の調整・あっせんということで解決していくのではと思っております。  それともう1つ。これはあくまでも差別があった場合の流れということになりますので,もう1つ差別をなくしていく仕組みが必要だろうなと。これは差別があった場合にこれをどう解決していくかということになっていますので,もう1つ,差別をどうやってなくしていこうかという仕組みが必要だろうなと,もう1つここが重要だろうなと思っております。これは協議会なりを作って,そこで話し合って,今,差別があった分の問題を解決するとか,いろいろ検討するなり,いろんな問題を,何と言うんですか,推進協議会みたいな,差別をなくす推進協議会を設置すると,差別があったものを解決していく分と,差別自体をなくしていくシステムを作るといいんだろうなと思っております。 ●会長 ありがとうございました。 ●委員 今回,骨子案の9番「差別をなくすための仕組み」で,丸が7個ほどあります。中身としては7個のうちの5個が,差別の事案が起こったときに,相談から始まって勧告を行うべきかどうかを審議する専門機関を設置するという,いわば紛争が実際に起こった場合の流れといいますか,体制といいますか,そういうものを考えていただいていると思うんですが,下の2つに「民間事業者の表彰」と「市民の理解を深めるための必要な施策」,ここの部分について少し提案させていただきたいと思います。  もちろん差別と思われる事案が起こったときに,相談の部分で双方の納得がいく,理解がいく,引いては人権に対するいろんな考え方が市民の間に広まっていくことが,差別が起こった場合の一番良い対応だとは思うんですが,同時にもう少し広い視点といいますか観点から,福岡市全体で市民の,ここにまさに7つ目の丸に書いてある「市民の理解を得るために必要な施策」,むしろこれについても大きな力を注ぐべきではないかと思っております。  具体的には,今日の参考資料ということで,私の意見を資料として出していただいておりますが,参考資料の4番です。意見提出シートの参考資料4番の部分ですけれども,1枚めくっていただいて裏の部分に9と書いています。差別をなくすための仕組みについて,ここに書いておるとおり,相談体制のみでなくて差別をなくすための社会づくり,社会の仕組みづくりを議論することが大変大事ではなかろうかと思っています。  そのための仕組みとして,そこに書いております,これは勝手に名前を付けておりますけど,差別解消推進会議というものを設置してはどうかという提案です。構成メンバーとしましては,今の地域支援協議会よりも幅広いメンバーで,当事者,家族,支援者,それから幅広い事業者,市民団体,学識経験者,行政関係者。福岡市における差別をなくすための仕組みの頭脳といいますか,未来に向けての頭脳という位置づけで,こういう会議といいますか組織を作って,そこの中で所掌事項と書いていますけれども,差別をなくすための具体的な取り組み,情報の発信,個別対応の中に共通する事項の検討・整理,そういうものを差別解消推進会議の中でやってはどうだろうかという提案です。  最後の行に書いてますけれども,今,差別解消地域協議会がございますが,市協議会との違いについては次のページの頭に書いておりますが,まずメンバーとして各分野の事業所が入ってない,それから学識経験者の方が入っておられない,市民代表の方が入っておられない。こういうことで議論の幅というか,狭まっているのかなと。ですからそういう事業者,学識経験者,市民代表も含めた,いわゆる将来の福岡市の社会づくりに向けたシステムが必要じゃないかなという提案です。  それから,もう1つ,ここの部分に差別をなくすための仕組みとして提案させていただきたいのは,現在の内容にプラスして,2枚めくっていただいて上のほうに書いてますけれども,「差別の解消にかかる施策の推進に関する重要事項」の下のほうに書いてます。例えば,最近のいろんな自然災害の中で見える障がいのある方の戸惑いというか,障がいのある方がどうしても対応が遅れる。東日本大震災の場合は,障がいのある方の死亡率が健常な方の何倍もあったという話も聞いております。そこに書いておりますいくつかの点について積極的に取り組む,そういう取り組みが必要ではないかと。そうすることによって,差別をなくすための仕組みが,今,現に起きてる差別事案にとどまることなく,福岡市の将来というか福岡市の仕組みづくりに貢献できるようなユニバーサル都市福岡を目指した場合のみんなが共通して安心してできる福岡市づくりに向かって進める,そのためにはこういういろんな取り組みが必要じゃないか。その取り組みをするためにも,仕掛けが必要ではないかという提案をさせていただきます。 ●会長 ありがとうございました。ちょっと確認ですけれども,この推進会議は現在の差別解消支援地域協議会の発展というか,その改組というのを基本的な考え方にされているということなんですか。 ●委員 私も現在の協議会のメンバーに入らせていただいておるんですけれども,協議会の主たる目的が情報交換,関係者の間の情報交換で,先ほど申し上げましたように構成メンバーもここに書いています推進会議よりも狭い。そういう中で,なかなか政策的な提言とか,将来に向かっての提言というのが難しいんじゃないかと。ですから,基本的には推進会議は別物だというふうに考えてますが,ただ,今の協議会にそういう役割,機能も合わせて付加といいますか,地域協議会にそういう政策提言機能とかそういうものを含めて,それからメンバーを例えば各分野の方,事業者含めてそういう方も入っていただく協議会であれば,目的としては変わらないのかなと思います。 ●会長 現在の差別解消支援地域協議会は今のところメンバーも限られていて,情報交換の場にとどまっている。これを政策提言機関に含むものに,そういうものに改組するのか,あるいは廃止して新しいものを作るか,こういうご提案ですよね。  その場合に政策提言ということになりますと,既存の障がい者福祉に関する政策提言の機関というのは,現在どういう仕組みになっているのか事務局から説明いただけますか。 ●事務局 まずは保健福祉審議会というものがございます。その中に障がい者の専門分科会というのがありまして,主に福祉施策等に向けてご提言をいただいている部門です。この条例案もそちらのほうに諮問いたしまして,最終的にはそちらからご承認いただくような形になります。  それから地域生活支援協議会というのがございまして,そちらのほうは総合支援法の規定に基づく組織になりますけれども,地域課題を洗い出して協議会としての意見をまとめ,その意見を伺った福岡市が保健福祉審議会に対して諮問をするということがございます。例えばその中に権利擁護部会を設けるだとかいうことで,こういう議題を話し合うことは可能だろうと思います。  あるいは,今の障がい者差別解消支援地域協議会については法律上の仕組み,差別解消法の仕組みで,基本的には関係機関のネットワークという位置づけになっておりますけれども,それを附属機関にするというのは技術的には可能かなと思います。その場合,権限を付与するとか生活権限機能を付与するとか。 今の仕組みとしては,その3つのどれかになろうかと思います。 ●会長 ありがとうございました。今,委員からご提案がございました推進会議を設けようとする場合,組織間の整備というのは一定程度必要かなというふうには思います。総合的な政策提案を全体として話し合う会議というのは,まだこの骨子案の中には入ってなかったものなので,今日改めて意見としてはいただいておりますけど,事前にご提案いただいた内容にはあります。  今の委員の提案に関連でもいいですし,まだ他の点でも結構ですが,ご意見がございましたら,賛否も含めてございましたらどうぞ。 ●委員 前回欠席したので理解不足のところもあるかもしれませんけれども,骨子案のところは福岡市という単語がいろいろありまして,本庁組織であったり,出先であったり,委託機関であったり,あるいは市長であったりするわけです。あるいは,ここにある専門機関とか調整機関,地域協議会とかいうのも出ていますけれども,条例でどこまで盛り込んで具体的な仕組みとか体制とか,施行規則みたいな部分に落とすというふうな振り分けになるのでしょうか。 ●事務局 条例骨子案の9のところに,当初の骨子案には何も書いてなかったわけで,相談機能自体は条例に書かずともできるということもありますけれども,一連の流れとして今回記載したものでございます。  具体的には,規則は作ることになるだろうと思います,施行規則のようなものは。さらにはもっと具体的な話になると,ガイドラインのようなものを作って,それで啓発をしていくような仕組みは要ろうかと思います。条例本体に書くのはこういう骨子でというふうなお話です。 ●委員 理解を深めるために事務局にお聞きしたいんですけど,資料4の黄色いところ,一番上ですが,一番大事なのはここをいかにきちんと作るかだろうと思うんですね。それでどういうイメージを持っておられるかがよく分からないんですけど,論議の中では,それぞれの障がいの部位に応じた専門的な人を配置してほしい,しかも各区単位ぐらいまで配置してほしい,それができなければ障がい者110番のスタッフを増強するような格好で充実を図ってほしいといろいろあるんです。けれども現実問題として,各区に今もいろんな相談センター,相談の窓口があると思うんですが,障がい者に特定して身体,精神,知的,発達等の専門家を毎日配置するほどのスタッフが揃っているのかどうなのか。どこから集めてくるのかと僕は思うんですけれども,それが1つです。  それと今日の資料4で,真ん中辺のちょっと上に「市長が事実調査」,破線の矢印があって「差別解消支援地域協議会」とあって,この骨子案の修正を見ると「必要に応じて福岡市障がい者差別解消支援地域協議会との連携を図る」という説明があるんですが,ここのイメージがまだよく分からないです。どういう連携を図ろうとなさっているのか。それと,新たに作ろうとしてる専門機関との棲み分けというか,役割分担というか,この辺はどういうイメージなのかというところを事務局に理解を深めるためにご説明願いたいなと。 ●事務局 まず,スタッフが揃うかというよりは,必要はどれくらいなのかというところから機構要求,人員要求,それから予算の要求とかにつなげていくことになりますので,各区に各種の専門家を7区に全員配置するというのはおそらく通らない話だろうと思います。我々が想定しているのは,まず現時点である障がい者110番という機能を強化すること,それからチャンネルを増やすという意味では,各種相談窓口からの連携を考えるということになろうかと思います。ほかの例えば消費生活センターであったり人権啓発センターであったり,そういうものは市に1つあるわけですけれども,各区にあるわけじゃないですから。それが1つです。  それから市が事実調査をして差別解消支援地域協議会に連携するということですが,具体的にはまだ考えていないというか,はっきりしたものはございません。その辺もご議論いただきたいところなんですけれども,今あるような情報共有の機能とかそれぞれの専門家のご発言とか,そこら辺を参考にさせていただくことは十分あろうかなと思います。  最後に,専門機関の役割ですけれども,ここでは前回から少し変えてまして特化しています。強制手段,勧告とかいうことを行うべきか否かを審議するための委員会というようなことで,法律の専門家だとか当事者の方だとか事業者の代表の方だとか,その辺に入っていただくようなことを考えております。 ●事務局 補足なんですけれども,実はいろいろ会議が今でもあって,整理をしないといけないなというふうに思っております。先ほど説明申し上げたように,保健福祉審議会の専門分科会というのがまずあって,地域生活支援協議会というのがあって,またここに差別解消支援地域協議会というのがあって,そしてさらにまた調整委員会だとかあるいは推進会議だとかそういったものがいろいろ出てくると,いろいろあって分からないというか,どこで何をしているのか分からない。それをどう整理していくのかというのもあるので,その辺は我々としても皆さんのご意見を聞きながら整理をした上で,条例を作るときは出していかないといけないのかなと思っております。  少し幅があって,差別解消支援地域協議会と連携する,この連携はどういったものなのかというのは,皆さんのご意見を聞きながら,ここが皆さんが言われる調整委員会の役割のようなものを担ったり,あるいは推進会議のようなものを担ったりすることもあり得るかなと。今のこの協議会というのはかなり限定的に情報交換とその辺りでやっているんですけれども,これが完成形だとは別に思ってなくて,うちの協議会としても。まずやれるところはそこからかなというところで今やっているわけですね。  ただ,法律のほうでも言っている役割というのはもっと広くて,いろんなことができるようになっているんです。それの権限を持たすことも,この条例でもってやることも可能になってくるだろうし,ここを発展させていくこともできるだろうし,あるいはこれとは別に作ることももちろんできるだろうし。そんな非常に変数が多い中でどうするのかというのがあるんですが,今,委員の方からその辺のイメージをということだったんですが,実はそういうふうに定まってない。ただ,皆さんが言われるような機能というのが必要だろうということになれば,そこはその中で今後デザインしていくのかなと,調整していくのかなというふうに思ってます。 ●会長 ありがとうございました。今,質問されたこと,よろしいですか。 ●委員 専門機関の役割が,市長の勧告とか公表に限定した諮問機関みたいにどうしても聞こえるんですね。それはちょっともったいないというか,もっと幅を広げて,例えば熊本の条例ですけど,熊本はそういうこともやるけど,もっと大きく構えて問題解決を図るという,そういう調整機関の役割を担っているようなんです。県と市はレベルとか数も違うので一概に真似することはできないでしょうけど,あまりに小さくまとまっているんじゃないかという印象を持っているので,今の段階では専門機関の位置づけがもうちょっと違う発想,例えばさっき委員がおっしゃったようなそういう推進会議的なところまで含めていいんじゃないのかな。  ただ,どう考えても,協議会は出てくる,専門会議は出てくる,また別に啓発のための推進会議と,いくらなんでもやたら会議ばかりでどうするんですかと言いたいのは本音のところです。 ●事務局 そういうのもあって,今想定しているというか,案で出している勧告の審議のところ,専門機関のところですけれども,ここは却ってそういうのもあるので,ここをしっかり位置づけをはっきりさせるために,ここはそういうことをやるんだという意味で,はっきりさせるためにというか専門機関だと,これを専門にやるんだというところで,実ははっきりさせるために区切ってるような感じがあるのかなというふうに思っています。  ほかのところは別でやったほうがいいんじゃないのかなと。これと一緒にするよりも,ここはやはり最終的に勧告あるいは公表までするかもしれないという審議をやるところなので,非常にフォーマルな審議をする部分と,もっと広がった部分というのははっきり別にしたほうがいいのかなという,そういうご提案です。 ●委員 私も先ほどの委員の意見に近いところなんですけれども,オレンジから赤というのは一体のほうがいいのかなというのが私の考えです。勧告するかしないかというのは,まずほかの自治体のでも皆無に等しいし,あっても形骸化するのかなと。問題は,相談でなかなか調整がきかないところの助言をするかしないかとか,丁寧な,すぐに調整をする場が実質の担保することが必要だと思いますので,1つの事例を相談から調整まで,各区が1つずつ追うわけですので,相談のあとはオレンジと赤は一体化のほうが,勧告を審議するにしても連続性があるものでより実効的な判断が可能かなと思います。  そうしないと,黄色とオレンジと赤の連続性がなくなったり,また協議会と専門機関との関係をどうするかというのも出てきそうな感じがしてます。  それから,もう1点,地域支援協議会と先ほど委員が言われた推進会議というのは,新潟でもほかのところでも千葉でも兼ねるという形のところが多いと思うので,その辺は条例から見れば推進会議だけれども,差別解消法からいえば地域協議会という意味での二面性があるいう条例の作り方も最近は多いのかなと。解消法ができたあとの条例というのは,だいたいそんなふうになっている気がします。 ●会長 確かに,組織を先に作ってというのではいっぱい組織だけができて,機能分担もよく分からないということになるので,そういう意味では機能を中心に組織の整理,実際に作るときはしたほうがいいかなと。  そういう意味で,先ほど差別解消支援協議会と推進会議との関係についてお尋ねしたわけです。実際に組織を作るということになりますと,まず機能を整理した上でできるだけシンプルに,機動的に動けるようなものにしないといけないと思うんです。  そのことで言いますと,先ほどの相談体制もそうでして,地域相談員と広域専門指導員について,県単位だと相当広い範囲を担当できますが,市の単位だと各区に置かないといけないものなのかどうかというと,また違ってくるのではないかと。障がいごとの専門家についても,確かにきめ細かな相談をしていく上では必要なんだろうと思いますが,それはそんなに各地域に要るようなものではないし,実際に任命してもほとんど仕事がないということもあり得るので,現実にどういう組織を作っていくかというのは,ここで議論するというよりも,実際に条例化していく中でまた考えないといけないものだろうなと思っています。  ここでは何が必要かという提言を中心にしていって,それをどう整理していくかについては,またもう一段階上の議論で整理して,それ以前の整理が必要なのかなと思っております。ですからこの場ではいろいろと意見を出していただいて,条例を作る際の参考にするということですので,忌憚のない意見のほうがいいんじゃないかなと思っています。 それで,差別をなくすための仕組みについて,いただいたご意見を整理させていただきますと,骨子案の資料3で見ていくと,1つ目の丸が3つあるところ,骨子案修正案のところで,相談の仕組みについての具体的な提言があったということですね。各地域ごとに,また専門性のある人が要るんじゃないかというご提案があったということで,そこは骨子案の中にもこのままでも取り組めるような話ではないかなと思います。  そして勧告の話ですけれども,これは事務局からの説明がありましたように,多くの問題は相談のところでほとんどが解決するので,相談体制を充実する仕組みをまず作って,それで問題解決ができない場合に市の指導や助言という,市長が権限を持って行政指導というような段階になっていって,さらに勧告という流れになります。これは公表まですると行政処分に相当するものですので,オレンジから赤の流れというのは例外的なものということになります。  ただ,例外的なんですけれども,こういうフォーマルな紛争解決の仕組みを作っておかないと差別解消の実効性を担保するものがないことになります。そこで,例外的なものでも置いておく必要があるんじゃないかというわけです。それにこれは,もともとつくる会からの提言でもあったろうと思います。そういう意味で,助言,指導から勧告,場合によっては公表に至る,これは相談とは別の仕組みですね。  あと,政策提言についても,新しい仕組みにするのか,既存の組織を生かすか。組織を生かすという点では,差別解消支援地域協議会というのは,事務局からも説明がありましたように,差別解消法にもともと根拠を置いて,非常に幅広い権限の行使が可能なものになっておりますので,ここを充実するというのは十分考えられるのではないかと思います。もちろん政策提言もできますし,幅広く差別問題を取り扱う。それから事実調査の際にもアドバイスもできる。それは1つの考え方だと思うんです。この検討会議では,それについて何か結論を出さないといけないということではないだろうと思います。  あと,ご意見をいただいてないところで,「障がい者への合理的配慮の提供の取組みについて,功績のあった民間業者を表彰できるようにする」,この辺は骨子案にもともとあったんですよ。これについてはご異論など何か?  1時間を経過したところでございますが,項目9の差別をなくすための仕組みについて,ご意見はほかに何かございませんでしょうか。今までのご意見に関連したものでも,あるいは新しいことでも結構ですので。 ●委員 先ほどの説明が不足したかなと思いまして。差別解消推進協議会が必要だと思う1つの例として,これは福岡のほうでは実際にあったということなんですが,バス停で近くの住民の方のクレームで,バスが車外に向けて放送ができない。一方でバスを利用される弱視の方とか視覚障がい者の方は放送がないと,もちろん車内向けの放送で役割を果たしている部分もあるんですけど,実際には視覚の方は非常に不自由をしてある。一方で,近くの住民の方がバスの会社とかにお話をされて,実際上は放送ができてないというクレームというか,利害を想定する部分がいくつかあっていると聞いております。  人権擁護委員の方にお聞きしたら,今,福岡市では白杖を掲げたら音声案内をするというふうなルール作りが進んでいるそうです。障がいのある方と事業者の方,あるいは関係者の方で双方いろんな話し合いをして,その中で一定のルール作りをしていく。どっちが違ってるとかどっちが合ってる,正当性ということではなくて,現実的に話し合いを進めて,それを福岡市の中のルールとして1つずつ市民の理解を得ながら位置づけていくというのが,イメージとしては推進会のイメージだったんです。なかなかそこは調整会議でもできないし,現在の地域支援協議会の中でもそういうルール作りはできないのかなと,事業所とか入ってないし。だから,ちょっと大きい範囲での推進会議,あるいはそれに似たような協議会の役割を,会長がおっしゃったように役割を付与することによってそういう機能を果たせればそれはそれでいいのかなと。そういう事例をお聞きしています。 ●会長 ありがとうございました。  それでは時間も限られておりますので。 ●事務局 先生,ちょっと。 ●会長 どうぞ。 ●事務局 確認のところで,公表のところが一応今回書いてはおりますけれども,もう少し最終的にどうするのかという議論をしていただけたら。もちろん両論でもいいんでしょうけれども,もう少しご議論を深めていただけたらと思います。  一応,こういった3段階の仕組みを作った中で,厳密にいろんな過程を踏んでいった中では公表というのもあり得るんじゃないかなというような形での骨子案の提示にはなっていますから,そういったところで議論をお願いします。 ●会長 資料の4を見ていただきたいんですけれども,差別事案の解決は,まず相談,そのあと調整,あっせんをして,ほとんどが解決に至るであろうと。またそうなるような説明と言いますか,啓発活動も必要だということですが,なかなかそのように従ってもらえないという場合,しかも放置できないという場合に,指導,助言という強いというと語弊があるかもしれませんが,行政指導をするかどうかについて,相談機関から事案が持ち込まれた場合に市長が事実調査をした上で,これは指導,助言をしなければならないということで指導,助言を行う。ここまできて従わないというのは現実的にはほとんど考えにくいところですけれども,なおそれに従わないという場合があって,障がい者の方あるいは差別解消のためどうしても必要な場合に市長の勧告が問題になる。勧告には第三者の専門機関が関わる仕組みにする。それは審査会のような機関で,もちろんメンバーには障がい等についての専門家も入ると思いますけど,公表に至るまでの悪質な事案かどうか,専門的、法的観点から審議する機関です。ですから,この専門機関は,ごく限られた問題について専門知識を持った人が判断するという,そういうものです。  その第三者機関を経て勧告まで至る。なお,それでも従わない。これもちょっと考えにくい話ですけれども,そういう場合に公表するというそのような仕組みです。  公表をする場合には当然,意見陳述手続き等を条件ということになりますが,この辺は法的な手続きです。それをした上で公表する,こういう仕組みになります。ですから実際に公表に至るまでも,それからその手続きについても,極めて厳格なものです。現実にはほとんど考えにくいわけですけれども,でも伝家の宝刀があるからやっぱり指導が入った場合に功を奏するわけです。そういう仕組みとして置いとかなきゃならない。  そこで勧告について従わない場合に制裁手段にあたりますけれども,公表まで予定するのか,公表までは予定しなくていいのかについての議論があるだろうと思います。こういう仕組みであれば,基本的には公表するということで私はいいんじゃないかと思います。それを検討会の意見として出したいんですけど,もちろん反対意見もあろうと思いますので,それはやっぱりおかしいんじゃないかという意見があれば,合わせて検討してもいいだろうと思いますけれども。 ●委員 参考資料3をご覧ください。裏面のほうになります。公表したほうがいいと思っています。条例27条ですね。比較表によりますが,公表までの権限を有するものが20ということで,74%あります。また差別解消法制定後に制定された20の条例では,公表までの権限を有するものが16あり,全体の8割を占めています。ぜひ福岡市も「紛争解決の手続きを経由した場合に限り公表する」でお願いしたいと思います。 ●会長 今申しましたように,公表というのはごく限定的で,しかも厳重な手続きの下で行われるものですから,このことによって事業活動に対して不当な制限を加えるということはないというふうに考えております。 ●委員 審議会全体で賛成というふうにしていただかないようにということで,反対意見ということで申し上げたいと思います。  今までの議論を聞いていると,障害者差別解消法という法律の体系があって,そこの横出しとか上乗せとか,そういうもののところを対象にするというのがこの条例の目的であるというようなことになってくると,そこで差別解消支援地域協議会というものは法律上のものです。そのときに市長が事実調査をするという関係はどういうふうになっているのか,法的に今,整理されてないんじゃないかなと思います。そのような中でずっと市長のほうは条例に基づいてやっていくんですけど,法律上それはどういう関係になるのかっていうのがよく分からないまま,最後になるとそういう争いをした場合でも従わなければ公表されるという構図になっているのかなというふうに思います。  そこまでしなくても,先ほど委員の意見があったように,やっぱりこれは対話によって大きく解消していこうというところが一番大きな条例の上乗せ・横出しの部分じゃないかなというふうに思います。これを入れることによって条例の趣旨自体が大きな,当初も申し上げましたけれども,ずれていくんではないか。最後は罰則だと,一方では話し合いましょうというのが両立するかどうかというのは,私は非常に疑問です。  趣旨は分かります。別に絶対に入れてはいけないとは思いませんけれども,一応,事業者のほうとしては反対をさせていただきたいというふうに思います。意見として入れていただければと思います。 ●会長 もちろんそういう意見として入れさせていただきますが,今の疑問としてお話になったところにお答えしますと,この事実調査については条例に基づく権限ということになります。法律はそれを認めていないかというと,上乗せは認めているわけです。それは明らかです。市長と自治体がそういう権限を持って法律,法律も実は事業者については合理的配慮は努力義務ですけれども,積極的差別については禁止規定なんです。義務規定なんです。それに違反した場合に,法律では特に公表という仕組みは置いていないんだけれども,自治体ごとにどうするかについては判断に任せる。自治体で例えば勧告・公表という仕組みにおいても,法律の趣旨には反しませんというのが,上乗せが認められるという部分でありますので,法的には問題がない。だから自治体としてどうするかの問題というふうに思います。  よろしいでしょうか。それで今の話ともかかわりますので,どうしてもということでありましたら,この差別をなくすための仕組みについてもご意見をいただきますが,次に項目の8,こちらの「差別の禁止等」,ここまでは今日話をできるんじゃないかと思いますので,こちらに移らせていただきます。これにつきましても資料3の8を見ていただきます。  まず修正版が出ております。これはこれまでご議論をいただいたところを踏まえてのものであります。2つ項目があって,一番最初の項目です。骨子案では「障がいを理由とする差別をしてはならない」旨を規定するんですが,修正版では「不当な差別的取扱いをしてはならない」旨をご意見がありました「社会生活領域ごとに分けて規定する」。これも割と多くの自治体の条例で取っているやり方なので,条例の作り方としては条例にはそこまでせずにガイドラインでその生活領域ごとに差別的取扱いを入れるということも考えられますけれども,大枠として,どっちにしてもそういう条例に社会領域ごとに分けて不当な差別的取扱いを規定しても,詳細なガイドラインはどっちみち作らなきゃいけないとは思うんですね。条例の姿勢として社会生活領域ごとに分けて規定するというご意見ですので,骨子案のほうもそういう修正版を出していただいているということでありました。  それから2つ目であります。ここはご議論があるところだと思いますが,骨子案で「障がいのある人から,現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合の合理的配慮の提供について規定する」と。市は義務で,事業者は努力義務ということで,これは法律の規定に従うという,そういう提案であります。  この点については非常にご議論はありましたけれども,改めていろいろのご議論を踏まえた上でも,法律の規定のように市の立場では義務で,事業者は努力義務にとどめるというのが相当ではないかということです。  いくつか理由がございます。私もいろいろ考えさせていただきました。まず差別解消法の規定を確認しますと8条でありまして,8条を1項と2項に分けていまして,「事業者はその事業を行うにあたり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより障害者の権利・利益を侵害してはならない」。不当な差別的取扱いの禁止,これは義務規定です。ただ,2項で「事業者はその事業を行うにあたり,社会的障壁の除去を必要とする旨の意思の表明があった場合における合理的な配慮については努めなければならない」という努力義務になっております。  この努力義務にとどめている理由についてはいろんなところで説明しておりまして,例えばですけれども,実は障害者雇用促進法に基づく差別禁止ですが,これは合理的配慮は義務規定です。これについての説明ですけれども,厚生労働省からのQ&Aなんですけれども,ちょっと読みあげますと, 「雇用の分野については,労使の紛争解決の蓄積がある都道府県労働局を活用した紛争解決制度として,都道府県労働局長の助言・指導および監督や紛争調停委員会における調停の制度を構築すること等,雇用の分野に特有の内容を定める必要があることから,障害者雇用促進法が改正され,障害者に対する差別の禁止および合理的配慮の提供義務を別途規定することとしました。  なお,障害者差別解消法においては,事業者の合理的配慮の提供は努力義務とされていますが,これは障害者差別解消法は事業分野を特定せず,包括的に事業者に対して障がい者に対する合理的配慮を求めるものですが,障がい者と事業者との関係は,事業,業種,場面,状況によってさまざまであり,求められる配慮の内容程度も多種多様であることから,各省大臣が所掌する分野における対応指針を作成し,事業者は対応指針を参考として取組みを主体的に進めることとしたためです。一方,雇用の分野においては,障害者権利条約において『職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること』とされていることや,障害者の自立や社会参加にとって極めて重要な分野であること,労働者と事業者とは雇用契約における継続的な関係にあるとともに,一般に労働者は事業者の指揮命令下にあることから,事業者の合理的配慮の提供は法的義務としています。」  雇用主と労働者という特殊関係と合理的配慮の内容が労働基本権にかかわるものであることから義務規定になっている。ところが障害者差別解消法の場合,事業者と言いましてもすべての事業者が入るんですね,NPO法人も含めて。継続的な事業を行っているのはすべて入る。雇用関係などにないので障がい者がどのような人か分からないわけでありまして,要は他人の関係で,かつ雇用関係のような指揮命令下にはもちろんない。それから事業者への障がい者に対する影響というのは,雇用関係の場合とは比べものにならない。そして事業者も事業者ごとに経済活動の自由がありますので,合理的配慮を法的義務とすることは,そこの制約によってその調整をどうするのかという法的な問題もあって,結局そういう考慮の下で差別解消法は努力義務にとどめているということ。  この説明は非常に説得力があって,条例で合理的配慮を事業者に対しての義務規定にするというのは,現実的にはなかなか困難だと思います。ところが条例の中には義務規定にしているところがあるじゃないかということなんですが,あるんですね,実際。奈良県の条例にいたっては,事業者だけじゃなくて県民に対しても義務規定であるかのような書き方をしております。しかし,義務規定にしてどういうふうに運用をしているのか,問題はないのか,はなはだ疑問でした。  それでいろいろ調べてみましたら,運用マニュアルが出ていました,ガイドラインが。かなり分厚いです。一般市民向けと,それから実際に相当分厚いものとしてありますが,中身を見ますと,これは義務規定の取扱いをしていません。例えばガイドラインと問題解決については罰則等にQ&Aがあるんですけれども,障がいを理由とする差別を受けた場合ですけれども,「罰金はあるんですか」ということについて,福祉課のアンサーが「ありません。県では,話し合いを通じて円満に解決をしてもらうよう,相談によるサポートがあります。」ということで,もっと本格的なガイドラインのほうも義務規定とは謳っているものの,そして実際法律と違って義務規定にしていますというものの,法的義務として担保する仕組みは何もない。実際は相談によって対応する。  ここも実は勧告,公表を置いているんですけれども,公表についてもごく限定的にしか公表しないという仕組みにしております。基本的には調査に協力しなかった場合にそのことを公表するという仕組みです。  ですので,義務規定にしているところは運用まで見ないと本当の義務になっているかどうかというのは分からないし,義務規定にすると今言ったような問題もありますので,ちょっとできないだろうと,日本の法制度の下では。本当に義務規定とすれば,義務違反の場合の担保手段を普通は置くわけです。担保手段というのは法的強制力がある。  合理的配慮の義務を負っていることは,裏を返せば障がい者の方に対する合理的配慮請求権ということにつながりますが,そしたらその請求権をどうやって実現するのか。従わない場合に,例えば損害賠償の請求はできるのかとか,そういった問題は起こりますけれども,実際に義務規定として定めているほうも全くそんなものは考えてない。  だから正直に言って,私から見ると名ばかりの義務規定なんです。それはちょっとやや看板が過剰ではないか。しかし,福岡市の条例としては文字通り解釈できる条文にするべきだろうと思います。ほかの,前回いたしました仙台市の条例,あれなんかもよく考えられておりまして,あれもやっぱり合理的配慮については努力にとどめています。  そういうことで,つくる会からのご希望はよく分かってはおりますが,今申し上げましたような理由で,事務局とも相談しましたが私としても,もちろんつくる会からの意見は反映するような内容になるんだと思いますが,内容はもちろん尊重しなきゃいけないとは思っておりますけれども,こちらからの提案としましては合理的配慮については事業者についても努力義務にとどめたい,こういうことでございます。 ●委員 ただ今,会長のほうから事業者に関する義務規定のあり方,実際それが担保できなければ意味がないというか,そういう内容ではないかと。  奈良県の例を出されて,運用上は条例上はすべての人に対して法的義務を課しているけれども,内容としては法的義務の取り扱いはしてないというお話で,確かに会長のおっしゃるとおりなんですけれども,私どもとしましては,差別をしていけないのは行政も事業者も個人もすべて同じだと思います。そのことは例えば権利条約を持ち出すまでもなく,我が国の障害者基本法の中でも「何人も差別をしてはならない」という,法律の基本的な考え方があります。  それで福岡市の条例で「何人も」と書いている意味がないんじゃないか,実際のあり方のほうが大事じゃないかと,そういうことをおっしゃられたんだろうと思いますけれども,やはり条例の中には「何人も」というのは,やはりそういう法律あるいは理念ですか,理念に過ぎないんじゃないか,現実的にできなければですね。担保する資産がなければ理念に過ぎないんじゃないかというお話だと思います。理念にしても,福岡市の市民が作る条例の中で,そこは今現在はそういうふうに考えられるかも分からないけど,基本的な考え方としては個人を含め私人を含めて差別がいけないというのは大前提の話でありましょうから,会としては「何人も」というふうにお願いをしたいと思います。 ●会長 理念規定にはもちろん入れるんです。理念規定の骨子案の中に入っています。  骨子案の3の基本理念の2つ目,「何人も不当な差別的取扱いで障がいのある人の権利利益を侵害してはならない」。これは障害者基本法にありますので当然入れます。この理念規定に入っておりますけれども,この「何人も不当な差別的取扱いにより障害のある人の権利利益を侵害してはならない」というのは,これは法的な規定で,実際に差別的取扱いで権利利益を侵害した場合には,民法では不法行為でありますし,そのことについて積極的な行為については差止めも可能ですし,場合によっては名誉棄損で罰則も,民事上刑事上の規定によって守られているわけですね。そこを超えてさらに条例で特別の規制を市民に対して行うということになりますと,また問題が生じる。  まず第1の問題,ちょっとここはもうあまり詳しく言うこともないのかもしれませんが,私の懸念するところでもありますので,市民に対してまで障がい者差別の禁止を,そこで「何人も」ということを超えて,特別な制約として課すということになりますと,まさに疑問になるのはほかの差別はどうなんだということですね。障がい者差別以外の差別があって,外国人への差別はどうだ,男女差別はどうだ,年齢による差別はどうだ,国籍による差別はどうだ,人種による差別はどうだというような問題も必ず出てくるわけです。  こういう差別も含めて,この「何人も」というのは禁止しているわけですので,それこそ上乗せということになりますと,なぜ障がい者差別だけをという問題が出てくるだろうと思います。  差別をしてはならないというのは,「健常者対障がい者」という図式ではなくて,障がい者間ももちろんそうです。障がい者が他の障がいに対して,それから同等障がいに対してはそのほかの同じ同等障がいにという,そういうちょっとなかなか整理できない問題が出てくることになります。ですからまず市民に対して,「何人も」ということで言われている人格侵害をしてはならないことを超えての障がい者差別の禁止規定を設けるということは,今言ったような問題が起こる。  それから事業者に対しては,これは個人よりも社会に開かれているという意味で,もう一段階厳しい制約を課す。制約というのは,差別的取扱いの制約。これはかなり合理性があります。実際,解消法でそういうふうに規定しているわけですね。  差別的取扱いをしたということに対して,極めて悪質であって,さっき言いました問題があった場合に,十分相手側へ意見聴取の手続を取った上で,勧告,公表ということもあり得るというのが制約負担ではないかなと思っています。法的な強制力を持っているという考え方です。  ただ,合理的配慮になると,それとはまた別の問題が起こる。積極的に差別を禁止するというのは行為者に作為を命ずることですので,負担は小さいんですけど,合理的配慮はいろんなものが考えられるわけですね。積極的な作為を命ずることですから,ちょっと次元の違う話になると思います。なので他方は法的義務だけれども,条例にも載っているんだけれども,他方は努力義務ということは合理性があるんじゃないかなと思います。  先ほど読みましたQ&Aですね,あちらを踏まえた上で,どうしても法的な義務にしなければならないというご批判,それはちょっと難しいというのが私の考え方です。 ●委員 私人については今のお話で,例えばここに書いてある今の骨子案修正版のところで,事業者は努力義務というのが書いてあります。ここの部分については,例えば事業者に限らず過重な負担については合理的配慮を免れると言ったら表現が,過重な負担が予想される場合については,当然,事業者であっても行政であっても,そこは合理的配慮をしないでいいというか,要はそういうのをきちんと継続して考えとしてありますので,現実にやはり市民の生活の中では全く私人は横に置いといても事業者との関係で結構ございますので,私どもの調査の中ではそういう事例がございますので,「努力義務」を「義務」というふうにお願いできないかなというのが私どもの会の意見です。  それともう1つ,委員からの意見の横に「意思表示がなくても合理的配慮すべき旨の規定を検討すべき」という,確か前回こちらのほうからもお願いをしたことだと思いますが,これは1つは明石市の条例を意識して,合理的配慮が必要だと認識できる場合には合理的配慮をしなさいというところです。  ここについては,内閣の「障害を理由とする差別の解消推進に関する基本方針」の中に,こういう内閣府の基本方針の規定があります。「意思の表明が困難な障害者が,家族,介助者等を伴っていない場合など,意思の表明がない場合であっても」「明白である場合には,法の趣旨に鑑みれば,当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど,自主的な取組みに努めることが望ましい」と書いてあります。これは内閣府の基本方針なので,ここの部分については骨子案の中に,今の骨子案では現に表明があった場合に限定をしてありますので,現に表明がなくても,今の内閣の基本方針からいえば合理的配慮をしなければならないというか,そういう配慮をしなさいとありますので,それを骨子案修正版のほうに入れていただけないかなと思っています。以上です。 ●会長 ありがとうございます。今の内閣府の話ですけれども,解消法が前提になっていますので,事業者に対しては努力義務ということの上でのお話ということです。  そうすると義務規定に合理的配慮の義務としているのは公的機関ということになりますので,公的機関の場合については今おっしゃったような意思表明が現実的にできないというような場合に,そこを汲み取って合理的配慮していくというのは,十分そういうふうにはなるかなと思います。  事業者に対して努力義務としていくという,仮にそういうことにした場合に,意思表明がなくてももちろん合理的配慮が現実的に考えられる場合は,そういう配慮をしていく努力義務というのが考えられるところかと思います。  実は先ほど申しました,奈良県の条例のガイドラインですが,ほとんどといいますか,かなりの部分が合理的配慮についてなんです,中身が。こういう合理的配慮を,むしろそれを法的義務にするかどうかということが重要なんじゃなくて,実際の合理的配慮はこういう配慮が必要なんだということを浸透していくことが重要なんじゃないでしょうかね。法的義務という形にしてしまうと,今言ったような法解釈上で重大な問題が起こるので,もちろんご意向は分かりますし,ご意見は当然伺っていく必要がありますが,私としては義務規定でいいんじゃないですかということはちょっと言いかねるということでございます。 ●委員 もちろん条例というのは解消法ではなかなか浸透できないものを,せめてメッセージ性を持って市民全体に伝えるという役割があると思うんですね。だからメッセージ性が大事にされるべきだと思っていまして,そういった意味では「何人も」という意味で,これは行政とか事業者とか個人とかそういったことじゃなくて,誰でも障がい者の方にとっては差別しちゃいけませんよと,できる範囲で合理的配慮をすべきだと,こういったことを強く打ち出すのが重要だと思っています。ですから文言としては,「何人も」という文言は非常に私は大事だと思っています。  それはこういうことに市および事業者だけはと限定した瞬間に,非常にメッセージ性が薄れるなというところを思っていて,心配というか,大丈夫なのかなと思っております。  それから私の意見は,繰り返しますけど,意見提出シートの参考資料2をめくっていただきまして3枚目を見ていただいてよろしいでしょうか。この一番下の3枚目の2の「差別の禁止について」というところが,私の言いたい意見でございます。  改めて「何人も差別をしてはならない」という規定の仕方が必要だと考えます。これは前に言いましたように,改めて新しく合理的配慮とか差別をしてはいけないということ,これは社会のルールですよということを訴える意味でも,意思表明として必要だなと思っております。  それから私人間の問題につきましては,どの条例を見ても,実際上,民法とか人権の取り扱い規定で,条例を持ちまして具体的な介入というところをむしろ皆無だと私は認識しております。事業所の方々も,先ほど言われましたように過剰な負担の適用除外というのがそもそもあるのと,実際に条例の利用者向けの対応指針なるものを作るなら別ですが,対応指針にとってできなかったんですよとか,そんなことは普通作らないと思うんですね。条例でも,「何人も」という文章を差別の禁止規定にしているのが過半だと私は認識していますけれども,それをすることは非常に大事だと思っています。  仙台の場合に,あえて事業者は合理的配慮は努力義務ですと,あえて文言化をするところは少数派だと思うんです。それはメッセージを損なうものだと私は思っています。 ●会長 ありがとうございます。もちろん,つくる会のご意見,考えは私なりに理解してつもりではあります。 ●委員 ちょっと論点がずれるかも知れないのですけど,私の経験で言いますと,会社の中でハラスメント相談窓口をやっておりまして,9項の差別をなくす仕組みを,私なりにハラスメントをなくす仕組みというふうに置き換えたら,実際に非常にさまざまないじめやいやがらせといった相談を受けてまして,個人の感想なんですけど,ずっとこの中では事後と言いますか,相談紛争解決フロー,何か相談が起ってからどう対処すべきかというところが非常に中心になっています。  今までもご意見が出たかと思うんですけど,私が会社でやっているのは,ハラスメントでいうといかにハラスメントを起こさないか。起ってしまったことには一生懸命,調整・あっせん,いろいろ仲を取り持って,お互いの言い分を聞いてというのは実際に大変なんですけど,それ以前にいかにハラスメントがいけないことかとか,どうしたら予防防止できるのかというところにすごく苦労しているんですけれども,でも実際に起ってしまったら,研修だったり指導したりするんですけど,どうしてもなくす仕組みというのは,起こる前の,資料にも出てますけど,相談しやすいことだとか専門性があることだとか,そういう本当に何か相談したいときとか何とかして欲しいというときに,いかにその人たちがスムーズに相談できて,スムーズに流れるかというところが大事なんじゃないかなとずっと思っています。  ですから義務にするかしないとか,公表するかしないとかというのは,ハラスメントで言ったら,裁判事例でいったら何百万の損害賠償を求められることがありますよとか,何かそんなふうなことでいくと,なかなか本来の意識の啓発だとか浸透だとか,本当にこの条例を作って差別を内側からなくしていくというところに,もうちょっと起る前,相談になる前のことを深く話したほうが良いんじゃないかと思いました。感想で,具体的にどうというのはできないんけど,自分の経験から。 ●会長 おっしゃるとおり,まったく同感です。啓発活動がいろんな形で行われることが重要で,実際に順番が前後しているかもしれませんけれども,これからタウンミーティングとかも予定されているということであって,それから先ほどありました推進会議も,そういう積極的な差別解消のための施策提言,市民会議なんか議論されています。これは十分考えられることだし,ある意味一番重要な仕事だろうと思います。今おっしゃったとおりです。そこがあっての話です。でも,実際に差別事案はあるので,そこをどう差別事案に対して相談体制を努力していくかということですね。  ハラスメントは大学でも非常に深刻な問題として受け止められています。おっしゃるように,一方でハラスメントをなくすためのいろんな取組み,年に何回か部署ごとにハラスメントがどういうもので,どういう対応がとらなきゃいけないかということを周知させることをやっています。ただ一方で,それがなかなか無くなりませんので,その場合の相談体制と,いよいよのときには専門委員会を持って,ハラスメント解消の委員会までして,当然,ある場合には懲戒になったり,一方ではそういうトラブル解決の仕組みになってきます。両輪だと思います。差別をなくすための取り組みと,あった場合の対応と2つの車輪ですね,そういうことだと思います。だから片方についてどうしても,どうするかについては今回まだ十分に話し合っておりませんが,おっしゃるとおりです。そういう差別をなくすための取組みを決して軽視しているわけではありません。どうぞ。 ●委員 差別の禁止対象をぜひ「何人も」にしていただきたいと思っています。参考資料3をご覧ください。下のほうに意見を書いております。  2つ理由があります。1つ目はつくる会での差別体験でのアンケート事例で,発達障がいのある人からの事例が17.8%ありました。そしてその発達障がいの事例の中で,4分の1以上がコミュニティ・社会の分野での差別事例でした。やはり私人間からの差別を受けているということがとても多くあることが分かっています。なので,メッセージ性という部分も含めまして,「何人も」というところで言葉を入れていただきたいと思っています。  2つ目なんですが,各自治体の27条例中13条例,また九州でも6条例中4条例が,「何人も」ということをしています。福岡市は九州の代表です。ぜひともお手本となるような条例をユニバーサル都市ということで入れていただきたいと思っております。 ●会長 ありがとうございました。時間がだいぶ迫っていますが,条例のメッセージ性について今もご意見がございましたけれども,条例がどの程度のメッセージ性を持つかというのは,人によって考え方が違うと思います。私はそれほどないと思っています。  それよりも実際の働きかけだと思います。例えば,今もう話が出ましたけれども,ハラスメントですね。セクハラ,セクシャルハラスメントから始まっていきました。しかしセクハラという言葉は,振り返れば20年前にはおそらくほとんどの人が知らなかったと思います。実は福岡大学の元同僚の林弘子教授が最初のセクハラ裁判の原告側の意見を述べた人です。ちなみに,福大の法科大学院の初代院長が川本先生で,その時の裁判長でありました。セクハラに関しましては,別に法律ができたわけでも何でもありません。セクシャルハラスメントについていろんな運動や意見の浸透があって,いくつかの裁判がありました。名前はセクハラですけど,要するに不法行為のお話であって,その紛争の一環ですけれどもセクハラは浸透し,さらにいろんな名前のハラスメントができまして,それが各事業所に浸透していった。やや浸透しすぎで,あらゆるところでハラスメントと言われるようになって,行き過ぎの点もありますけれども,あれなんか良い例だと思います。  障がい者差別をなくしていくというのも同様のことではないでしょうかね。まずは何といっても社会倫理とか個人の良心の問題とか,地域社会への浸透とか,そういう問題ではないでしょうか,まずは。それはやっぱり地道な活動だけではいけないとは思います。そのためにいろんな仕組みをこれから考えていこうということであって,私はそれが例えば何かを規定したから浸透するというものではないだろうと思っています。ここはもう考え方です。  すみません。ちょっと議長が意見を言い過ぎだと思いますけれども,今,条例のメッセージ性というお話が出ましたので,そこはちょっと賛成しかねるという話をさせていただきました。 ●委員 私は先ほどの委員の意見に本当に同感です。いろんな時代の啓発,それから表彰の問題ですね。好事例の表彰も絶対必要だと思っていますし,差別というのは個人の問題よりも,それを生み出すような環境の社会のあり方なので,本当に先ほど委員が言われたように,どうしたらみんなでより良い仕組みを作っていくか,環境をどう作っていくか,変えていくという意味では,やはり推進会議だったり,何でもいいんです。いろんな,障がい者だけじゃなくて市内を横断するいろんな方々が,自由な意見で建設的にどうしたらより良いほうに持っていけるかという意見を出せる場が要ると思っています。相談ですね。それが前提なんですね。  実は虐待防止法というのができまして,最近いろいろ虐待が出てきますよね。虐待防止法ができても本当に深刻な虐待が増えています。これが虐待防止法が出なかったら,強度行動障がいとか,障がい児というのは元々が非常にマイノリティなんです。その中でも差別を受けたりとか虐待を受ける方々というのは,マイノリティの中のマイノリティです。一般の市民は町を歩いても全く分かりません,そんな人がいるかどうか。だからこそ条例が要ると思うんですね。差別解消法ができても,メジャーの方々はないんです。マイノリティの方々の変える法律なので,浸透がしにくいわけです。ですからマイノリティの方々に配慮したきめ細かい条例,そのためにメッセージ性は要ると思うんですよ。  ほっといても誰も知りませんよ,障がい者がどんなことをやっているのか。無関心ですよ。自分の生活でいっぱいの方々ですから。知的障がいの重い方,意思表示ができない方,精神障がいの方々,こういった方々にしっかり一般市民の方が注意を向けるという意味では,「何人も」と書くだけで自分はメッセージが強くなるとは思っていませんが,ただ,そういったことの全体的なシンボリックな表現としては,「何人も」という表現も必要だという意味で言った次第です。やはりマイノリティの方々っていう存在をやはり障がい者差別禁止条例というのは考える必要があると思っています。  それから最後ですので,専門性という意味では,ちょっと話が変わりますけれども,障がい特性を理解するという意味での専門性よりも,調整するケースワーク,ソーシャルワークという意味での専門性が必要だと思っています。一般の専門相談員ではなかなか難しいですよね。企業の中にしっかりいろんな方の意見を聞いて調整するという意味でのケースワークの専門性という意味が必要だと思っています。以上です。 ●会長 ありがとうございました。8時30分を過ぎましたので,もしどうしてもご意見をという方がいらっしゃいましたら出していただいて。 ●委員 用語の定義のところです。そこまでいかなかったので,でもぜひとも言いたいので,すみませんがお時間をください。  参考資料3の上段に意見を書いています。あと参考資料5の新潟市の定義,障がいのある人のところに精神障がい,発達障がいということで並列で明記されています。かっこ書きで,発達障がいを含むというのをなくしていただきたいなと思っています。3つ理由があります。1つは法律で発達障害者支援法ができました。2番目としては,発達障がいはとても身近な障がいです。通常学級では6.5%いると言われています。福岡市の発達障がい者支援センターも,ゆうゆうセンターもあります。3番目には,先ほども言いましたが福岡市が代表的なお手本となるような条例ということで,ぜひともお願いしたいと思っています。以上です。 ●会長 ありがとうございます。今日は定義規定までいけませんでしたので,また次回に今のご意見をまとめてお話ししますが,至急議論をさせていただきたいと思っています。  本日は資料1にありました,項目の9「差別をなくすための仕組み」と項目8の「差別の禁止等」について,いろいろご意見をいただきました。どうもありがとうございました。非常にいろいろなご意見がありましたので,用語の定義やその他ができませんでした。またそれは次回ということにさせていただきたいと思います。  本日も長時間に渡りまして,どうもありがとうございました。じゃあ事務局のほうからお願いします。 3.閉 会 ●事務局 皆さん,熱心なご討議をありがとうございます。今日の部分について,かなりいろんなご意見があったと思います。それについてはまた整理をして,次回に整理をしたところでご提示をしたいと思います。  それから次に進んでいくわけですけれども,当初の予定だと今回で大体すべてが終わる予定ではあったんですが,そこまでなかなか進みませんでした。これは非常に中身の濃い議論が行われているということで,そこは必要なことだろうと思いますので,私どもとしても今回でまとめてしまうというわけではなくて,次回は今日いかなかったところをじっくり議論していただいた上でとりまとめというか,骨子案についての全体的な意見を出していただきたいと思っています。  次回の検討会議は,12月21日の水曜日18時半〜20時半を予定しております。正式な開催通知は後日送付させていただきますけれども,会場は本日と同じこの会場の予定でございます。  その次,第6回の日程につきましては改めて調整をお願いしたいと思っていますので,またよろしくお願いします。次回,また骨子案ということになりますので,ちょっとずれていくということになります。今後のスケジュールについても次回また修正したところでご提示をさせていただいてと思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。  以上を持ちまして,第4回福岡市障がいを理由とする差別を解消する為の条例検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。