資料4 福岡市保健福祉総合計画 各論 健康・医療分野(原案) 第1章 健康・医療分野の基本理念等 1 基本理念 健康は,すべての市民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち,心豊かに自分らしい生活を続けるために,最も優先されるものです。 近年,人々のライフスタイルも多様化し,物質的な豊かさを求める時代から,心の豊かさやゆとり・活力を求める時代へと大きく転換し,心身ともに健康づくりを強く意識した生活がますます重要視されてきています。 しかしながら,高齢化の進展に伴い,現状のまま推移すると平成37年(2025年)には,要介護認定者数は平成25年(2013年)の1.8倍,認知症高齢者数は同年の1.9倍に増加すると予測されています。平均寿命の延伸以上に健康寿命を延ばしていくことは,個人の生活の質の低下を防止するとともに,社会的負担を軽減する上でも重要です。 このため,高齢期を迎える前の現役世代からの健康づくりの取組みを重点的に実施するなど,生涯にわたる健康づくりを総合的に推進していく必要があります。 また,人の生命・身体に関わる医療・保健衛生等の分野は,市民の健康維持に大きな役割を果たすことから,誰もが必要なときに安心して医療や介護が受けられるような環境づくりを進めるとともに,感染症や食中毒等から市民を守り,より健康で安全な暮らしの実現を進める必要があります。 このような観点から,健康・医療分野の計画では,以下の理念を掲げます。 超高齢社会を迎えるにあたって,すべての市民が早い段階から積極的に健康づくりに取り組み,健康寿命の延伸を図るとともに,家庭や地域で自分らしい生活を安心して送ることができる社会,及び子どもから高齢者までが健康で安全・安心な暮らしを享受できる社会の形成を目指します。 計画の位置づけ 本分野は,本市の健康・医療施策全般にわたる方向性及び取組みを示すもので,健康増進法に基づく「健康日本21福岡市計画」や,食育基本法に基づく「福岡市食育推進計画」は,本分野に示した内容と整合性・一体性を保ちながら推進するものです。 その他,他計画との関係につきましては,第1編序論第1部第3章における各計画との相関関係のとおりです。 2 基本目標 (1) 健康づくりの推進 乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくりに取り組み,特に高齢期を迎える前の50歳から60歳代の早い段階から,科学的根拠にも基づく認知症予防など,介護予防の取組みを進めます。 また,市民が子どもの頃から健康づくりに関心を持ち,積極的に取り組めるよう環境整備を進めるとともに,気軽に参加できる健康づくり支援の仕組みづくりを進めます。 (2) 医療環境の整備 高齢者が医療や介護が必要な状態になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられるよう,在宅医療と介護が連携した体制づくりを行います。 また,休日・夜間を含め,市民に良質で安全な医療が提供されるよう体制を整備するとともに,高度な医療の提供体制や,外国人も安心して医療機関を受診できる環境を整備します。 (3) 健康で安全な暮らしの確保 日頃から感染症等の正しい知識の普及啓発や,発生状況を把握するとともに,万一,市民に影響が及ぶような緊急事態と判断される感染症等の発生が確認された場合は,適切な初動対応を実践し,市民への被害を最小限にとどめます。 また,市民が危険ドラッグなどの害悪に巻き込まれないような社会を推進するとともに,薬物等の依存症に関する相談・支援事業を充実します。 さらに,食の安全安心や衛生的な生活環境の確保により,市民の健康で快適な生活を実現するとともに,人と動物がともに健やかに暮らすことができる社会を目指します。 3 施策体系 目標1 健康づくりの推進 1-1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 1-2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 1-3 女性の健康づくりの推進 1-4 次世代の健康づくりの推進 1-5 心の健康づくりの推進 1-6 地域や職場などでの健康づくりの推進 1-7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 目標2 医療環境の整備 2-1 在宅医療・介護連携の推進 2-2 認知症医療提供体制の整備 2-3 難病対策の推進 2-4 急患・災害時医療体制の充実 2-5 市立病院等の充実 2-6 医療安全等対策の推進 2-7 医療の国際化の推進 目標3 健康で安全な暮らしの確保 3-1 感染症対策の推進 3-2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 3-3 食の安全安心の確保 3-4 環境衛生の推進 3-5 動物の愛護・適正飼育の推進 第2章 施策各論 1 基本目標1 健康づくりの推進 現状と課題 (1) 超高齢社会対応の健康づくり 高齢化の進展に伴い,疾病構造は大きく変化しました。現在,悪性新生物(がん),心疾患,脳血管疾患といった生活習慣病が増加し,主要な死因となっています。 認知症高齢者の数は,平成25年(2013年)現在で約2万9千人ですが,平成37年(2025年)には約5万5千人(1.9倍)になると予測されています。(福岡市の認知症高齢者数の推移は総論P12の図表7を参照) 健康づくりは一人ひとりの主体的な取組みが基本となりますが,個人の努力だけでは困難な場合も少なくありません。行政をはじめ企業,大学,NPO,市民団体,医療機関等が連携し,社会全体で健康づくりを支援していくことが重要です。 (2) 生活習慣病対策・重症化予防対策 1 医療費の約4割を占める生活習慣病 国民健康保険及び後期高齢者医療費の約4割を悪性新生物(がん),心疾患,高血圧,糖尿病などの生活習慣病関連が占めています。 生活習慣病は,要介護状態となった原因の中でも最も高い割合(3割弱)を占めており,これは長い間,運動不足や偏った食生活,喫煙など不健康な生活を続けることによってもたらされます。 特に男性は要介護状態となった原因として生活習慣病による割合が4割強と高くなっており,中でも退職後は,職場での健診や保健指導の機会を失うため,この年代の健康づくりが重要となっています。 内臓脂肪の蓄積による血糖値や血圧,脂質の値が悪化して起きるメタボリックシンドローム(注1)は,生活習慣病が発症するリスクが高い状態にあるため,できるだけ早く生活習慣病予防に取り組むことが必要です。 注1 メタボリックシンドローム 腹囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満に加えて,「高血糖」「高血圧」「糖質異常」の危険因子のうちいずれか2つ以上を併せ持った状態のこと。これらの危険因子は1つだけでも動脈硬化を招くが,複数の因子が重なることによって互いに影響しあい,動脈硬化が急速に進行する。「メタボリック」は「代謝」の意。 2 がん患者の状況 国の推計では,生涯のうちに約2人に1人が,がんに罹患するとされており,死亡原因の第1位となっています。 高齢化に伴うがん患者の増加が見込まれる中,今後,がん患者やがん患者会への支援が重要となっています。 (3) 女性の健康づくり 福岡市は,20歳以上のどの年代においても女性の数が男性の数を上回っているという特徴があります。高齢者人口を男女別でみると,女性人口は男性人口の約1.5倍(平成26年12月末現在)となっており,また,平均寿命が男性より長いため,年齢が高くなるほど女性の割合が高くなっており,今後ますます増加が予測されています。 男女ともに,いつまでも元気で輝いた生活を送るためには,健康であることは欠かせませんが,特に女性は,妊娠・出産などによるホルモンバランスの変化もあり,年齢やライフステージに合わせた健康づくりを心掛けることが必要です。 女性はもともと男性に比べて骨量が少ないことや,閉経による女性ホルモンの減少などの影響もあり,骨粗しょう症になりやすく,転倒による骨折や腰痛症なども含めて,ロコモティブシンドローム(運動器症候群)(注2)により介護状態になる割合が高くなっています。 女性の要介護認定率を見てみると,男性の約1.7倍と高く,女性の要介護 認定数は男性の2.5倍(平成26年12月末現在)となっており,今後,ますます増加することが予測されています。 特に女性の要介護状態になった原因の約3割がロコモティブシンドロームであることから,予防に向けて,できるだけ若い頃から,ライフステージに応じ,適切な運動・栄養・休養などの生活習慣の実践に取り組むことが必要です。 注2 ロコモティブシンドローム 運動器症候群。骨,関節,筋肉などの運動器の衰えによって生じる転倒骨折,腰痛症,関節疾患,骨粗しょう症などの症状のこと。 (4) 次世代の健康づくり 子どもたちは,一人ひとりがこれからの社会を支え創造する大切な存在です。 近年,子どもを取り巻く社会環境が変化している中,乳幼児期・学齢期などに,基本的な生活習慣を身につけさせ,心とからだの健康づくりを推進していく必要があります。 この時期の健康づくりは,家庭を中心に,学校・保育所・幼稚園等が重要な役割を担っており,行政,家庭や地域,学校等が連携しながら,次世代を担う子どもたちをしっかり育んでいくことが重要です。 (5) 心の健康づくり 近年増加傾向にあるうつ病は,多くの人がかかる可能性がある病気であり,心の健康づくりの取組みが重要です。 自殺者数は減少傾向にあるものの,死亡原因としては上位に位置しており,引き続き自殺対策の取組みが必要です。 (6) 地域や職場などでの健康づくり 1 地域での健康づくり 地域では,校区担当制により活動している保健師が支援を行い,校区健康づくり実行委員会や衛生連合会,自治協議会などを中心に健康づくりの取組みを実施しています。 地域における住民の自主的な健康づくり活動の浸透を図るため,今後も地域の健康課題に応じた支援を積極的に行っていく必要があります。 2 小規模事業所での健康づくり 福岡市の産業構造別の就業者数をみると,第3次産業に従事する人が全体の85%を占め,そのうち6割にあたる人が従業員数50人未満の小規模事業所で働いています。小規模事業者や商店街で働く人々は,福利厚生面などにおいて大企業で働く人々より健康づくりの取組みが難しいと思われます。 これらの人々が引退後,地域でいきいきと活躍するためには,若い頃からの健康づくりが大切です。 施策の方向性 健康日本21福岡市計画等に基づき,食事,運動,喫煙,歯・口腔などの生活習慣の改善によって,市民の健康寿命の延伸を図るとともに,家庭・職場など,暮らしやライフスタイルの違いによって生じる健康づくりの差に配慮した取組みや,乳幼児期,学齢期,成人期,壮年期,高齢期それぞれのライフステージに応じた健康づくり,うつ病等の心の健康づくりなどに取り組みます。 特に認知症や介護予防を重点に,主に以下の施策に取り組みます。 施策1−1 超高齢社会に対応する健康づくりの推進 住民主体で参加しやすく,地域に根差した健康づくりや介護予防を推進し,その普及・啓発や高齢者の健康の保持増進を図ります。 高齢者の身近なところで介護予防に取り組む自主グループの支援や,高齢者一人ひとりの健康づくりの取組みなどを応援するインセンティブ制度の検討などを行います。 特に生活習慣の改善から始める認知症やロコモティブシンドロームの予防に関する取組みを,市・区・校区で体系化し,推進の強化を図るとともに,大学等と連携し,運動や栄養などの保健指導等による予防効果等を分析し,その結果を活用するなど,高齢期を迎える前からの効果的な取組みについて検討し,推進していきます。 認知症については,予防からケア(支援)まで切れ目なく取り組む必要があるため,認知症の人や介護する人への支援については高齢者分野計画の「基本目標3 認知症対策の推進」に記載します。 現在の主な事業 認知症予防教室(65歳からの健康づくり教室) 自宅でできる内容を中心とした運動,認知症予防などの講話,口腔体操など各健康づくりプログラムを開催。教室終了以後は,健康づくりに取り組む市民を増やすため,自主グループとして活動できるよう支援を実施 生き活きシニア健康福岡21 保健師などが,地域で健康づくりや介護予防をテーマとした出張講座を実施する「生き活き講座」及び「認知症予防教室」などを開催 健康教育・健康相談 生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 注3 認知症への取組みについては,高齢者分野の施策3−1から3−3を参照 注4 介護予防については,高齢者分野の施策4−1を参照 施策1−2 生活習慣病対策・重症化予防対策の推進 メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の早期発見のため,保健福祉センターや医療機関などで実施する特定健診・特定保健指導や各種がん検診等を受診しやすい環境の整備を進めていきます。特に退職後の男性に対し,健診や健康づくりに取り組めるよう啓発を進めます。 生活習慣病対策を進めるにあたっては,保健福祉センターや福岡市健康づくりサポートセンターを中心に,予防に取り組んでいきます。特に,サポートセンターでは糖尿病をはじめとする生活習慣病の重症化予防を推進します。 口腔保健支援センターを核に,歯科口腔保健事業を総合的,効果的に推進します。 禁煙・受動喫煙防止対策を進めるため,「福岡市たばこ行動指針」の改定を行い,たばこがもたらす健康被害についての啓発,禁煙を希望する人へのサポートなどに積極的に取り組みます。 今後,高齢化に伴い,がん患者の増加も見込まれるため,がん患者,そのご家族及びがん患者会への支援についても検討を行います。 現在の主な事業 特定健診・特定保健指導(よかドック) 40から74歳の福岡市国民健康保険被保険者を対象とした生活習慣病予防のための健診,その結果に応じた適切な情報提供及び特定保健指導 がん検診 胃がん,大腸がん,肺がん,子宮頸がん,乳がんなどの各種がん検診 健康教育・健康相談 生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 糖尿病予防支援システム 福岡市健康づくりサポートセンターを中心に糖尿病予備群または患者に対する保健指導,治療中断防止等 歯科節目健診(歯周疾患検診) 35歳,40歳,50歳,60歳,70歳の市民を対象にした歯周疾患検診 福岡市たばこ行動指針の改定 たばこについて社会全体で取り組む行動指針である「福岡市たばこ行動指針」を改定 施策1−3 女性の健康づくりの推進 保健福祉センター等で実施する各種健診の場の活用,企業や民間事業所等との連携により,ライフステージに応じた女性の健康づくりを推進します。 若い女性の低体重(やせ)や喫煙,妊娠中の飲酒などは,本人の健康への影響だけでなく,妊娠・出産など,子どもの健康面への影響が大きいため,若い頃から,基本的な生活習慣を身に付けることができるよう,取組みを進めていきます。 女性の骨粗しょう症検査の受診促進やロコモティブシンドロームの啓発など,要介護状態にならないための取組みを進めていきます。 現在の主な事業 若い世代の料理教室 食事の大切さや料理の楽しさを体験できる料理教室 女性の健康相談 女性特有の健康問題に対する個別相談 骨粗しょう症検査 骨粗しょう症検査,及び「要指導」と判定された人に食生活等を指導 施策1−4 次世代の健康づくりの推進 保健福祉センターや地域団体,保育所・幼稚園,学校など関係機関と家庭が連携して,基本的な生活習慣の定着を図り,次世代を担う子どもが,自立し健康に生きる力を育むことができるよう,心とからだの健康づくりを推進します。 育児を行う親の健康づくりを支援する環境づくりにも取り組みます。 現在の主な事業 乳幼児健康診査 4か月児,10か月児,1歳6か月児,3歳児を対象にした健康診査 母子保健訪問指導 保健師や母子訪問指導員による妊娠・出産や育児に関する保健訪問指導 食育推進事業 子どもの健全な食習慣の形成等のため,保健福祉センター等での離乳食教室や子の料理教室等 各学校における体力向上の取組み 各学校の児童生徒の体力の実態と課題を把握し,各学校の実態に応じた体力向上の取組み 施策1−5 心の健康づくりの推進 メンタルヘルスや休養・睡眠に関する正しい知識の普及啓発に努め,心の健康づくりを推進します。 心の病気の正しい理解と早期発見・早期治療の啓発を行うとともに,精神障がいのある人や心の病のためにひきこもっている人などが,地域で安心して生活できるように,本人や家族等への相談支援体制の充実を図ります。 自殺予防対策については,社会全体で取り組むべき課題であり,「福岡市自殺対策総合計画」に基づき,ゲートキーパー(非専門家の支援者)養成や自殺未遂者への支援など,自殺対策を総合的に推進します。 現在の主な事業 精神保健相談・訪問指導事業 心の健康相談,訪問指導,講演会や啓発イベント等 自殺予防対策事業 うつ予防教室,ゲートキーパー養成講座,自殺予防キャンペーン,自殺予防情報センター事業等自殺対策 ボランティア活動支援等事業 ボランティア講座,精神保健家族講座等 アルコール保健対策 アルコール関連問題に関する知識の普及啓発,適正飲酒指導,アルコール依存症等の相談 施策1−6 地域や職場などでの健康づくりの推進 地域の特性に合わせ,健康づくり講座や運動・栄養・休養等のプログラムを提供する事業を実施します。実施にあたっては,校区担当制による保健師活動を中心に,地域組織や自主グループなど,住民と行政の共働による住民主体の健康づくりを推進します。 市全体での健康づくりの機運を醸成するため,職場での健康づくりや健康食などの商品開発,健康づくりに関する地域貢献などについて積極的に取り組む企業や団体を増やすための取組みを検討します。 現在の主な事業 健康教育・健康相談(再掲) 生活習慣病予防や健康増進に関する知識普及のため,保健福祉センター・公民館・集会所等での健康教育や健康相談 衛生連合会の活動支援 地域で健康づくりを進める衛生連合会の活動支援 食生活改善推進員協議会の活動支援 地域で食育分野の健康づくり活動を行う食生活改善推進員協議会の支援 健康日本21福岡市計画推進会議 企業,大学,民間団体,行政,医療関係者など,健康づくりに関する多様な団体から組織された会議 施策1−7 健康づくり支援の仕組みと環境づくり 市民が健康づくりに関心を持ち,気軽に取り組むことができるよう,様々な健康づくり支援の仕組みづくりに積極的にチャレンジします。 主な事業として,健診受診や健康イベントへの参加,ウォーキング等の健康活動をポイント化し,市民に還元する事業や,教室参加型ではなく,市民がいつでもどこでも好きなときに参加できる通信型健康づくり事業などを推進します。 公園への健康遊具の設置,歩道のフラット化などユニバーサルデザインに基づいた道路整備,歩道の設置や路側のカラー化などによる歩車分離など,高齢者や障がいのある人をはじめ,だれもが安心して外出しやすい,また,健診や健康づくりに取り組みやすい環境づくりを進めます。 健康づくりに関する種々のデータ把握と,その分析など科学的根拠に基づく効果的な施策展開のための仕組みづくりを進めます。 現在の主な事業 健康づくりポイント事業の実施(ふくおか健康マイレージ) ウォーキングなどの毎日の健康づくりや健診受診,イベント参加などの活動をポイント化し,市民にインセンティブを付与する事業 健康づくり・スポーツサイトによる情報発信 健康づくり情報を集約化した「健康づくり・スポーツサイト」を運営 シンク・ヘルス・プロジェクト 10月の健康づくり月間における企業等と連携した健康づくり関連事業,広報展開 健康づくりイベントの開催 だれもが安心して参加・交流できる健康づくりイベント「健康フェア」や「健康づくりフェスタふくおか」等 魅力的な活動の場づくり 歩道のフラット化や歩車分離など,市民が安心して気軽に運動できる環境整備 注5 インセンティブ制度ついては,高齢者分野の施策1−1,2−3を参照 注6 バリアフリーについては,地域分野の施策5−4,高齢者分野の施策2−1,2−2,障がい者分野の施策2−5を参照 2 基本目標2 医療環境の整備 現状と課題 (1)在宅医療・介護連携 高齢化が急速に進む中で,高齢者が医療と介護が必要になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,在宅医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりが求められています。 現在,市内で亡くなる方のうち,8割以上の方が病院で,約1割の方が自宅で亡くなっていますが,平成26年版高齢社会白書によると,55歳以上の方の54.6%が自宅で最期を迎えたいと望んでいます。 今後,団塊の世代が,75歳以上の後期高齢者となり,医療と介護が必要となる割合が急増する平成37年(2025年)に向けて,地域の医療・介護関係機関と協力して,在宅医療・介護が連携した体制づくりを行う必要があります。 (2)認知症医療提供体制 高齢化の進展に伴い認知症の人増加が見込まれており,厚生労働省の報告によると,平成37年には,65歳以上の高齢者に対する割合は,5人に1人になると予測されています。 認知症の人が住み慣れた地域で生活できるよう,認知症の状態に応じた適時・適切な医療を受けられる体制が必要です。 (3)難病患者の療養支援等 国の難病対策においては,昭和47年に「難病対策要綱」が策定されて以来,42年ぶりに対策を見直し,平成26年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が公布され,平成27年1月に施行されました。 本市においても,これまでも実施してきた訪問相談事業や福祉サービスなどに加え,同法に基づき,地域で生活する難病患者が安心して療養できるよう,公平かつ安定的な医療費助成を行うとともに,関係機関とのネットワークによる,医療・生活・就労等の支援ニーズに対応した適切なサービス提供が求められます。 医療依存度の高い在宅難病療養者に関して,在宅療養体制の整備及び平常時からの災害対策の検討が必要です。 (4)急患・災害時医療体制 市立急患診療所の患者の増加,中でも小児科の患者が増加していることに伴い,待ち時間が長時間化しており,患者の待ち時間対策について検討が必要です。特に,風邪やインフルエンザが流行する患者急増期は体制を増強して対応を図っていますが,さらなる診療体制の強化,及び市民に向けた救急医療に関する広報・啓発を強化する必要があります。 災害時における医療を確保するため,福岡市医師会や福岡県等の関係機関との連携強化が必要です。 (5) 市立病院等 福岡市立こども病院においては,小児医療及び周産期医療の提供を行っています。 福岡市民病院においては,高度救急医療の提供及び感染症対策,災害発生時の緊急対応等を行っています。 両病院ともに,地方独立行政法人制度の特徴である自律性,自主性を最大限に発揮し,医療を取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しつつ,効率的な病院経営を行っています。 今後も,健全な病院経営のもと,引き続き,地域の医療機関等との機能分担や連携を図るとともに,高度専門医療,救急医療等を提供し,地域における医療水準の向上,市民等の健康の維持及び増進に寄与していくことが必要です。 島しょ診療所については,島民のかかりつけ医となり,家族の病歴・健康状態・薬のアレルギーの有無,日頃の生活環境などを把握し,より適切な治療やアドバイスが行えるため,島民にとっては貴重な医療施設となっています。このため,できるだけ医師を固定化し,継続的な医療の提供が必要です。 (6) 医療安全等対策 医療は人の生命,身体に関わるサービスであり,適切な医療の提供が市民の健康に直結することから,良質かつ安全な医療の提供を行うためには,地域の医療機関に対し,適切な指導や情報提供を行っていくことが重要です。 薬局については,患者本意の医薬分業が十分には進んでおらず,また,今後はかかりつけ薬局として,地域住民の健康づくりを支える役割を担うことも必要です。 医療費削減に有効なジェネリック医薬品の普及が十分には進んでいない状況です。 (7) 医療の国際化 福岡市の在住外国人数,一時滞在外国人数は,ともに増加傾向にあります。 受付から会計まで,外国人に十分に対応できる医療機関は少なく,外国人が医療機関を受診する際に,言葉による大きな壁があることから,外国人に向けた医療環境を整える必要があります。 平成26年(2014年)3月に国家戦略特区に選定され,規制改革を利用して高度な医療の提供に取り組む環境が整いつつあります。 施策の方向性 福岡市は,身近なところに多数の医療施設が存在するなど,医療環境に比較的恵まれていますが,今後の高齢者人口の増加などに伴う認知症対応や,急性期から回復期までの幅広い医療需要の増加,外国人に対応できる医療の提供など,さまざまなニーズに応じた医療環境の充実が必要となっています。 限られた医療資源の中で,市民に良質な医療を継続して提供できるよう,以下の施策を中心に取り組みます。 施策2−1 在宅医療・介護連携の推進 高齢者が医療や介護が必要になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,区保健福祉センターが中核となって,地域包括支援センターとともに,地域の医療・介護関係者と協力して,在宅医療と介護が一体的に切れ目なく提供される体制づくりや医療・介護関係者のための相談支援体制づくり,情報共有システムの開発などに取り組み,高齢者本人や家族の支援に努めます。 現在の主な事業 地域包括ケア情報プラットフォームの構築 在宅医療の提供体制整備や医療・介護関係者連携のための情報分析及び活用を行う「地域包括ケア情報プラットフォーム」を構築 在宅医療コーディネーター(仮称)の設置 医療・介護関係者から在宅医療に関する相談を受け,支援を行う「在宅医療コーディネーター(仮称)」の設置を検討 医療・介護関係者への研修 在宅高齢者を支える専門職が連携するための症例検討会や研修会等 在宅医療・介護に関する市民啓発 市民一人ひとりが健康や将来の生活について考えるための在宅医療や介護に関する講演会等 注7 地域包括ケア情報プラットフォームついては,高齢者分野の施策5−3を参照 施策2−2 認知症医療提供体制の整備 福岡市医師会や認知症疾患医療センター(九州大学病院・福岡大学病院)を中心とした,早期診断や適切な治療提供のための医療機関等の連携の充実を図るとともに,かかりつけ医等の認知症対応力を向上させるための研修の実施や,かかりつけ医への助言や専門医療機関と地域包括支援センター等との連携の推進役となる認知症サポート医の養成を進めます。 認知症が疑われるが受診を拒否する人などの自宅を訪問し,初期の支援を包括的・集中的に行い,適切な医療・介護サービスに繋げていく体制をつくります。 現在の主な事業 認知症医療連携システム 認知症の人を早期発見・早期治療につなげるための,医療機関連携システムを福岡市医師会や認知症疾患医療センターと連携して運用 認知症疾患医療センター 認知症に関する専門医療相談や鑑別診断を行うとともに,認知症に関する啓発等を行う認知症専門医療機関の運営 認知症地域医療支援事業 かかりつけ医や病院勤務の医療従事者を対象にした認知症対応力向上研修を開催 注8 認知症対策の推進については,高齢者分野の基本目標3の各施策を参照 施策2−3 難病対策の推進 難病には様々な症状があり,また,症状に変動があることなど,一般的には理解されにくい難病の特性について十分理解した上で,在宅難病療養者の社会参加を支援し,地域で尊厳を持って生活できるよう,難病療養者とその家族の声を十分に把握しながら支援の充実に努めます。 平成30年度に予定されている福岡県からの移譲事務(特定医療費〔指定難病〕助成事業,在宅人工呼吸器使用患者支援事業)のスムーズな事務事業の移行を実施するとともに,保健福祉センターほか関係機関が緊密に連携し,地域の実情に応じた体制整備を図り,きめ細かな在宅療養支援を行います。 現在の主な事業 特定医療費(指定難病)助成 指定難病306疾病(平成27年7月1日改正)について,「指定難病の保険診療に係る医療費の自己負担分の一部が公費負担となる事業」の申請等に関する受付事務を各区保健福祉センターで実施(県からの受託事業) 特定疾患治療研究事業 対象疾患4疾患(平成27年1月1日改正)について,「療養費の自己負担分の一部が公費負担となる事業」の申請等に関する受付事務を各区保健福祉センターで実施(県からの受託事業) 小児慢性特定疾病医療費助成事業 小児慢性特定疾病704疾病(平成27年1月1日改正)に罹患している児童について,医療費の自己負担分の一部を助成 難病患者等訪問指導事業 難病患者及び慢性関節リウマチ患者に対し,保健師などが訪問し,療養に必要な保健指導を実施 難病患者相談会等 難病患者・家族などを対象に難病に関する講演会や相談会などを各区保健福祉センターで開催 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業 難病患者などの多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため,必要な知識,技能を有するホームヘルパーを養成 注9 難病患者支援については,障がい者分野の施策1−10を参照 施策2−4 急患・災害時医療体制の充実 市立急患診療センター・診療所における患者の増加,特に小児科患者の増加に対応するため,市民への救急医療に関する広報・啓発の充実に取り組むとともに,安全・安心な医療を提供するため,関係機関と協議し,休日,夜間等における診療体制の確保に努めます。 災害時における医療を確実に提供するため,医師会等との連携強化及び福岡県等との協力体制の構築を図ります。 現在の主な事業 市立急患診療所事業 市立急患診療所を設置し,休日等における急病患者に適切な医療を提供 注10 精神科救急医療については,障がい者分野の施策1−8を参照 施策2−5 市立病院等の充実 福岡市立こども病院においては,小児に係る地域医療及び高度専門医療を担う小児総合医療施設として,小児医療及び周産期医療のさらなる充実を図ります。 福岡市民病院においては,高度専門医療を担う地域の中核病院としての機能を維持するとともに,高度救急医療のさらなる充実を図ります。 また,新型インフルエンザ等の感染症発生時や災害発生時においては,福岡市における対策の中核的役割を果たします。 両病院ともに地域医療支援病院としての役割を踏まえて,地域の医療機関とのさらなる連携を図ります。 離島における島しょ診療所については,関係機関と連携し,担当医師等を安定的に確保し,島民への適切な医療提供に努めます。 現在の主な事業 市立病院事業 地方独立行政法人福岡市立病院機構が運営する,福岡市立こども病院及び福岡市民病院の市立2病院において,市民等に対する安全・安心な医療を提供 市立島しょ診療所事業 市立島しょ診療所を設置し,島しょの住民にその健康保持に必要な医療を提供 施策2−6 医療安全等対策の推進 医療に関する患者や家族等からの相談に対し適切に対応するとともに,医療施設に対して良質で安全な医療の提供に向けた指導や啓発を行います。 薬局が地域に密着し,市民の健康づくりを支援する役割を果たすことができるよう,医薬分業等の啓発に努めます。さらに,ジェネリック医薬品の使用促進について,市民への啓発に努めます。 現在の主な事業 医療安全相談窓口 各区保健所窓口において,医療に関する市民からの相談や苦情などに対応 医療監視 病院,診療所などが関連法規を遵守し,適正な管理を行っているかを検査するための施設立入調査 医薬品に関する啓発講習会 かかりつけ薬局の推進やジェネリック医薬品の普及等を目的とした市民向けの講習会 施策2−7 医療の国際化の推進 福岡県との共同事業により,福岡アジア医療サポートセンターを運営し,外国人向けに医療に関する問い合わせに対応するとともに,医療機関向けに医療通訳派遣及び電話通訳を行います。 また,国家戦略特区選定を契機として,高度な医療技術を有する外国医師による診療を活用した事業などを行います。 現在の主な事業 福岡アジア医療サポートセンター 福岡県と共同して外国人向けに医療に関する案内を行うとともに,医療機関向けに通訳サービスを提供 医療の国際化に関する事業補助 市内医療機関における,高度な医療技術を有する外国医師による診療を活用した事業に対する補助 3 基本目標3 健康で安全な暮らしの確保 現状と課題 (1) 感染症対策 1 一般防疫 集団感染や入院事例を含む,腸管出血性大腸菌感染症が継続して発生しています。また近年,風しんやデング熱などの流行が見られており,各種感染症の予防や発生時のまん延防止について,適切な措置と継続的な情報提供を行うことが必要です。 2 予防接種 小児の予防接種については,概ね95%を超える接種率を維持していますが,学童期に実施する2種混合第2期,日本脳炎第2期の接種率は60〜70%とやや低い状況です。 今後,新たなワクチンの定期接種化も検討されており,複雑化する予防接種制度を適切かつ安全に運用することが重要です。 3 結核対策 結核患者数は,減少傾向にあるものの,毎年約200名の患者が新たに生じるなど最大の慢性感染症であり,罹患率の減少傾向は鈍化しています。 高齢者や外国生まれの結核患者など結核発症リスクの高い特定の集団が 存在する等,地域の実情に応じた重点的な事業実施が必要です。 DOTS(直接服薬確認療法)の普及によって治療完遂に向けた患者支援を行い,再発や多剤耐性菌の発生を防止して,結核感染の連鎖を断つことが重要です。 4 エイズ・性感染症対策 平成26年(2014年)は感染者・患者数合計が49名となり,過去最多となっています。新規HIV感染者は20〜30歳代(20歳代は過去最多), 新規AIDS患者は20歳代以上の年代を中心に増加傾向です。 一方,抗体検査件数は減少傾向にあるなど,市民の関心が低下していることが懸念されており,啓発の継続・強化が重要です。 5 肝炎対策 肝炎(ウイルス性肝炎)の持続感染者は,全国でB型が110万人〜140万人,C型が190万人〜230万人と推定されます。自覚症状がないことが多いので,適切な時期に治療を受けることなく,肝硬変や肝がんへ移行する感染者が多く存在するため,早期発見・早期治療の推進が重要です。 6 感染症健康危機管理体制 近年,海外で流行しているエボラ出血熱,MERS等の新興感染症や,今後,発生しうる新型インフルエンザ等感染症への備えとして,健康危機管理体制の充実は,国際化が進む本市にとって重要な課題のひとつです。 (2) 薬物乱用及び薬物等の依存症対策 危険ドラッグの使用者が二次的な犯罪や健康被害を起こす事例が多発しているなど,深刻な社会問題となっており,福岡県や福岡県警と連携して危険ドラッグをはじめとする薬物の乱用防止に取り組む必要があります。 薬物等の依存症本人や家族に対する十分な支援が行われていないため,相談体制等の充実が必要です。 (3) 食の安全安心の確保 食の安全は健康で文化的な生活を営むために不可欠のものですが,未だ充分に確保できているとは言えません。また,食の安全をめぐる国内外の問題や,製造工程が複雑になり消費者から見えにくくなったこと等により,食の安心が揺らいでいることも否めません。市民生活の基礎である食について,安全を確保し,さらには安心の確保を進めていくことが求められています。 (4) 環境衛生の推進 公衆浴場等の営業施設や貯水槽水道施設,社会福祉施設などは,不適切な管理が行われると健康危害の発生原因となるため,衛生水準の維持・向上が重要となっています。 火葬需要の増加見込みに合わせた適切な時期に火葬炉の増設が必要です。 (5) 動物の愛護・適正飼育の推進 飼い主の高齢化などの理由で犬猫の飼育継続が困難となる場合や安易な飼育放棄などの問題があるため,飼い主に対する適切な助言や指導が必要です。 狂犬病予防注射の実施率が低下していることから,飼い主に対して狂犬病の恐ろしさや注射の大切さを啓発し,理解を得ることが課題です。 施策の方向性 新型インフルエンザなど感染症の脅威や危険ドラッグの乱用,あるいは食の安全をはじめとする様々な問題から市民を守り,健康で安全な暮らしを確保していくため,以下の施策を中心に取り組みます。 施策3−1 感染症対策の推進 感染症発生動向調査などの情報管理の充実,市民一人ひとりの知識や意識の向上を目指した普及啓発,防疫体制の強化等を図るとともに,感染症が発生した場合には,適切な防疫活動により感染の拡大及びまん延を防止します。 1 一般防疫の推進 感染症発生の予防,及びそのまん延を防止するため,患者・接触者等の健康調査,感染拡大防止の指導等を適切に行います。 また,福岡県ほか関係機関と連携し,感染症情報の収集・分析を行い,早期の防疫体制の確立を図ります。 2 予防接種の推進 感染症の罹患や重症化及びまん延を予防するために,医療機関と連携し,安全で有効な予防接種事業の実施に努めます。 また,対象者(小児,高齢者)に応じて,予防接種に関する正しい知識の普及・啓発を推進し,広報活動の効果を検証・評価の上,改善を図りながら,適正な実施の確保に努めます。 3 結核対策の推進 患者の発生動向を正確・迅速に把握しながら,積極的疫学調査に基づき,感染源・感染経路の究明を的確に行い,確実な接触者健診を実施します。 全ての患者に対しDOTS(直接服薬確認療法)を実施し,治療完遂に向けた患者支援を行います。 また,外国人ほかハイリスクグループ等に対して,定期の健康診断の実施促進に努めます。 さらに地域の関係機関等へ適切に情報提供及び研修を行うなど人材育成に努めながら,広く一般への正しい知識の普及・啓発を図ります。 4 エイズ・性感染症対策の推進 HIV・性感染症の感染者・患者の早期発見・早期治療のため,検査事業・相談事業を推進します。 また関係機関と連携し,MSM(男性間で性行為を行う者)などの個別施策層や若年層を中心とした幅広い世代への正しい知識の普及・啓発を推進し,感染予防及び感染者・患者への差別防止を図ります。 5 肝炎対策の推進 ウイルス性肝炎の早期発見・早期治療のため,医療機関と連携し,検査事業の促進に努めます。 また,患者が安心して適正な治療を受けられるよう,医療費助成制度に関する十分な情報提供と相談受付・フォローアップ体制の整備を図ります。 6 感染症健康危機管理体制の充実 新型インフルエンザ等感染症や新興感染症の流行に備え,個人防護具等の医療資材の整備を行うとともに,検疫所や指定医療機関など関係機関と連携し,平素からの情報交換,連携体制の確認,訓練を実施します。 新型インフルエンザ等感染症の発生時には,「福岡市新型インフルエンザ等対策行動計画」に基づき,関係機関と連携の上,全庁的な危機管理体制により迅速に対応し,感染拡大を可能な限り抑制し,市民の生命及び健康を守るとともに,市民生活及び市民経済に及ぼす影響が最小となるよう努めます。 現在の主な事業 感染症一般防疫 感染症発生動向調査による情報収集及び発生時におけるまん延防止などの防疫活動 各種感染症検査事業 患者の早期発見・早期治療を目的とした各種検査事業(エイズ・性感染症,肝炎ウイルス,風しん) 予防接種事業 感染症のまん延防止等のための,予防接種法に基づく各種予防接種 施策3−2 薬物乱用及び薬物等の依存症対策の推進 薬物に対する正しい知識の普及啓発を行うなど,市民が危険ドラッグ等の害悪に巻き込まれることがないよう薬物乱用防止対策を推進します。 また,薬物等の依存症に関する相談事業や依存症本人・家族へのプログラムに沿った教室等を開催し,本人や家族に向けた支援に努めます。 現在の主な事業 薬物乱用防止対策 関係機関と連携したキャンペーンの実施や啓発資材の配布など,薬物乱用防止啓発事業 精神保健福祉専門相談 アルコールを含む依存症やひきこもり,発達障がい及び性同一性障がいに関する電話相談と専門医師の面接相談による支援 薬物依存問題を抱える家族のための教室 薬物依存症や本人への関わり方について,家族が学ぶ教室 薬物依存症者回復支援プログラム 薬物使用をやめたい方,やめ続けたい方への回復支援プログラム 注11 依存症対策については,障がい者分野の施策1−8を参照 施策3−3 食の安全安心の確保 食の安全安心を確保するためには,食品関連事業者及び行政がそれぞれの責務を果たすとともに,消費者にもその役割を果たしていただくことが必要です。福岡市は,自らの責務を果たすために今後とも以下の施策に取り組みます。 1 食の安全確保 食品関連事業者に対する監視指導や食品の抜き取り検査を効果的・効率的に実施するとともに,食品関連事業者による自主的な衛生管理を推進するため,個々の食品関連事業者に応じた適切な支援を行います。 2 食の安心確保 消費者が食の安心を感じるためには,食の安全が確保された上で,消費者が正しい情報を入手し,その情報に基づき食を取捨選択できることが大切であると考えています。食に関する情報が氾濫する中,正確な情報を提供し続けるとともに,リスクコミュニケーション等を通して消費者の情報を読み解く力を高めていくよう支援に努めます。 現在の主な事業 飲食店等の監視指導 飲食店等の施設基準,管理運営基準等の遵守状況の確認及び指導 食品の抜き取り検査 工場,販売店等から抜き取った食品等の規格基準等の確認 リスクコミュニケーション 食品に由来する健康被害の発生頻度や重篤度,許容範囲等について,消費者,事業者等と行う双方向的な対話 施策3−4 環境衛生の推進 公衆浴場等の営業施設や貯水槽設置者に対する監視指導を実施するとともに,社会福祉施設に対して衛生上の助言や啓発を行います。 火葬需要の推移を見ながら,適切な時期に火葬炉の整備を検討します。 現在の主な事業 施設の監視 環境衛生関係施設に対する営業の許可,立入検査等 社会福祉施設の支援 社会福祉施設の環境衛生を確保するための助言や情報提供 飲用水の衛生対策 専用水道や簡易専用水道に対する立入検査等 施策3−5 動物の愛護・適正飼育の推進 犬猫殺処分頭数ゼロに向けて,終生飼育及び不妊去勢手術等の啓発を飼い主に対して行うとともに,高齢者等が飼育困難となる前の早期発見に努めます。 また,犬の登録や狂犬病予防注射に関する啓発を推進します。 現在の主な事業 動物愛護適正飼育啓発事業 適正飼育の普及のため,犬猫の飼い主等への啓発及び動物取扱業者等への監視指導,動物愛護管理センター収容される犬猫の譲渡 動物管理事業 犬の登録,狂犬病予防注射の実施を推進し,狂犬病の発生及びまん延を予防 第3章 成果指標 ((各成果指標について,ア.は現状値(平成26年度)を,イ.は目標値(平成32年度)を,ウ.は対応する基本目標を,エ.は出典を表す。)) 健康づくりに取り組んでいる人の割合の上昇(20歳以上) ア.56.1% イ.75.0% ウ.基本目標1 エ.福岡市基本計画成果指標に関する意識調査 初めて要介護2以上の認定を受けた年齢の平均 男性 ア.80.4歳 イ.現状を上回る ウ.基本目標1 エ.保健福祉局調べ,女性 ア.83.5歳 イ.現状を上回る ウ.基本目標1 エ.保健福祉局調べ  特定健診受診率 ア.22.2% イ.40.0% ウ.基本目標1 エ.福岡市国民健康保険特定健診結果 がん検診受診率 子宮頸がん検診 ア.34.3% イ.50.0% ウ.基本目標1 エ.福岡市実施のがん検診受診率,乳がん検診 ア.19.1% イ.50.0% ウ.基本目標1 エ.福岡市実施のがん検診受診率 訪問診療実施医療機関数 ア.199施設 イ.280施設 ウ.基本目標2 エ.市医師会会員向け調査 小児救急医療電話相談(#8000等)利用件数(福岡市内居住者) ア.5,014件 イ.増加 ウ.基本目標2 エ.福岡県調べ 各種感染症の集団発生件数(季節性インフルエンザを除く) ア.21件(一〜三類感染症 3件) イ.10件(一〜三類感染症 0件) ウ.基本目標3 エ.市感染症発生動向調査 食に対して安心だと感じる市民の割合(20歳以上) ア.47.7%(平成21年度〜平成23年度平均) イ.55.0%(平成34年度) ウ.基本目標3 エ.市政アンケート調査