資料1−2 福岡市が策定する次期障がい保健福祉計画に対する意見書(案) 平成26年7月 福岡市障がい者等地域生活支援協議会 目次 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 <意見提言> T医行為の必要な障がい者に対する支援について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 U行動障がいのある障がい者に対する支援について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 V発達障がい者及び精神障がい者(発達障がい者を除く)の就労支援について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 はじめに 1.福岡市障がい者等地域生活支援協議会の設置に至る経緯 福岡市では,平成18年度の障害者自立支援法の施行に伴い,地域における障がい福祉関係者のネットワーク構築という主旨から,平成19年6月に,福岡市内を4つの地域に分けて自立支援協議会を設置することとし,それぞれ独立した組織として運営してきた。 しかし,平成22年度の法改正により,自立支援協議会の設置が法定化されたこと,そして自立支援協議会が市の定める障がい福祉計画に対して意見を述べる機能が追加された。そのため,4つの自立支援協議会の会長を中心として,約1年間かけて,その機能に見合うように組織体制の見直しを進めるとともに,福岡市障がい保健福祉計画(平成24年3月策定)においても,「自立支援協議会は,障がい者等の地域生活の課題解決機能の強化が課題となっているため組織体制を見直す」としていた。 また,平成24年6月に成立した障害者総合支援法では,自立支援協議会は単に「協議会」と称されるようになり,地域の実情に合った名称が付けられるようになるとともに,その協議会には障がいの当事者とその家族を委員として入れることが規定された。障害者総合支援法は平成25年度からの施行だったが,協議会はそれを先取りする形で作る必要があった。 こうして従来の自立支援協議会の組織を再編し,平成24年8月に設置された福岡市障がい者等地域生活支援協議会(以下,「協議会」と言う。)は,全市域を対象として1か所設置するとともに,支援の現場関係者が集い,個別の事例検討などを通じてネットワークを強めるための部会を区ごとに設置するほか,専門的な調査・研究等を行う専門部会を必要に応じて設置するという組織とした(巻頭資料@のとおり)。 また,協議会は,障害者総合支援法第89条の3第1項の規定に基づき設置された法定機関であるため,福岡市附属機関等の設置及び運営に関する要綱第2条第1項に規定される附属機関でもある。 2.福岡市障がい保健福祉計画に対する意見 協議会は,支援の現場から上がってきた,障がい児・者が直面するいろいろな地域課題に対し,関係者が協議を行っていくことにより,障がい福祉の様々な関係機関とのネットワーク機能を高めるほか,人材育成を図ることなどを通じて,課題解決に結びつける大変重要な役割を担っている。 また,もう1つの重要な役割として,障害者総合支援法第88条第8項に規定されるとおり,市が市町村障害福祉計画を策定又は変更する場合には,協議会の意見を聴くこととなっている。そのため,協議会は支援の現場に立脚している強みを十分に活かし,地域で直面している障がい児・者の福祉課題にフィットする取組について意見を述べるようにしている。 3.意見書作成に至る流れについて 協議会の下,各区に設置された区部会は,協議会が指定する様式で個別事例の検討を行い,利用可能性のある社会資源を再検討するとともに,個別の残された課題(以下,「個別課題」と言う。)を整理する。 協議会事務局は事務局合同会議(全ての区部会及び専門部会の事務局が集まり,情報交換や協議を行う場)を開き,区部会から報告された事例について内容把握を行い,個別課題をカテゴリーごとに分類し,当該個別課題に対応する社会資源の状況と摺合せ,個別課題が福岡市全体で解決すべき課題であると決定すれば,次に協議会においてどのような方向性で協議すればよいかを整理する。 協議会では,事務局から報告された個別課題について情報共有するとともに,協議の結果,福岡市全体で取り組むべきものと決定すれば,当該個別課題を「地域課題」とし,これに対応する方策の案について協議を行う。 その際,必要に応じて専門部会を設置することができる。専門部会は特定の事項の調査,研究等を行い,その結果を協議会に報告する役割を持つ。 協議会はこうした活動の成果をまとめて市に意見書を提出し,市はそれを障がい保健福祉計画の策定に十分役立てるという関係になっている。 今回は区部会から,「T 医行為の必要な障がい者に対する支援について」,「U 行動障がいのある障がい者に対する支援について」が個別課題として出され,協議会で検討の結果,地域課題とするとともに,これに対応する方策を協議し,意見をまとめた。 また,協議会発足とともに設置した就労支援部会においては,平成24年3月策定の「福岡市障がい保健福祉計画」で「特に,就労意欲があっても就職の困難度が高いとされる,精神障がいや発達障がいのある方への就労支援に努める」こととされていた精神障がい者,発達障がい者の就労促進について協議し,意見をまとめた。 ※福岡市の相談支援体制と障がい者等地域生活支援協議会との関係のイメージ図は巻頭資料Aを参照のこと。 T医行為の必要な障がい者に対する支援について 1.現状 まず,医行為の定義については,平成17年7月26日付厚生労働省医政局長通知に,「医行為は,医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし,又は危害を及ぼすおそれのある行為」であるとされている。 医行為のうち,たんの吸引(口腔内,鼻腔内,気管カニューレ内部)及び経管栄養(胃ろう,腸ろう,経鼻経管栄養)については「医療的ケア」として整理され,平成24年4月1日から,一定の研修を受けた介護職員等は一定の条件の下に実施できることとされた。 福岡市内の医行為の必要な障がい者数は,障がい程度区分認定調査票によると209人(平成25年3月現在),同じく障がい児数は医療型短期入所サービスを支給決定されている人数で183人(平成24年11月現在)と考えられる。ただし,例えば障がい児で訪問看護だけを利用している児は短期入所サービスの支給決定を受けておらず,障がい者でも筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者で,かつ介護保険のサービス対象者となる場合は,障がい程度区分認定を受けていないことがあり,その場合には上の人数には含まれていない。 これら医行為の必要な障がい児・者が利用する短期入所サービスとしては,基本的には医療型短期入所サービスがある。医療型短期入所サービスとは,主に療養介護の対象となる障がい者又は重症心身障がい児(重度の知的障がい及び重度の肢体不自由が重複している障がい児を言う。)に対し,医療法第1条の5第1項に規定する病院等で実施する短期入所サービスを指している。 福岡市で医療型短期入所サービスを行う事業所(以下,「医療型短期入所事業所」と言う。)は,平成23年度までは1か所の病院のみだったため,そこに利用が集中していた。 福岡市は,平成24年度から市内の病院に対し医療型短期入所事業所を増やすための働きかけを積極的に行い,その結果3病院が新たに指定を受けた。しかし,これらの病院は人工呼吸器装着者に対応しておらず,あまり利用が進んでいない。 また,医行為の必要な障がい児・者が短期入所サービスを利用する場合に,リフト車等による送迎の有無は大きな課題であるが,送迎のある医療型短期入所事業所はほとんどない。 2.具体的な事例から見られる地域課題 (1)事例概要 重度身体障がいと重度知的障がいの重複障がい者で,平成23年6月頃から寝たきり(ADLは全介助)の状態となり,胃ろう造設,導尿(1日6回程度)を行っている。本人は音声言語での意思表出は困難で,支援者が本人の表情から快・不快を読み取る必要がある。また,寝たきりで紙おむつを着用している。 介護者である母は高齢で,80歳代の父の介護も行っているため,母の介護負担軽減のために短期入所サービスを利用しようとしたが,施設が非常に限られており,必要なときに利用できるとは限らないため困っている事例。 (2)利用者の状態 @年齢:50歳代 A障がいの程度:身体障害者手帳1級,療育手帳A2 B障がい程度区分:区分6 C利用しているサービス:居宅介護,生活介護,訪問入浴,訪問診療,訪問看護,訪問リハ,訪問歯科,日中一時支援 (3)地域課題 この事例からは,母のレスパイトを進めるために必要な,「医行為の必要な障がい者を受け入れる短期入所事業所が不足している」ことを地域課題として認めた。 3.地域課題の解決方法の案 協議会ではこの地域課題の解決のため, ・医療型短期入所事業所及びサービス利用者の増加, ・医療的ケアの可能な福祉型短期入所事業所の増加, が必要であると考えた。 (1)医療型短期入所事業所及びサービス利用者の増加の取り組みについて @医療機関に対する指定申請勧奨 平成24年度の報酬改定において,医療型短期入所サービスに特別重度支援加算等が設定されるなど,報酬が改善されたのを機に,福岡市は市内の医療機関に対し医療型短期入所事業所になるための指定申請を勧奨し,平成25年度までに新たに3病院が参入することになった。 しかし,前述のとおり利用はあまり進んでいない。 Aおうちで暮らそうプロジェクト 平成25年度からは,福岡市共働事業提案制度を活用し,福岡市がNPOと共働して以下の事業に取り組んだ。 ア.医療機関及び利用者に対するニーズ把握調査 イ.未指定医療機関での医療型短期入所試験的運用 ウ.情報提供ツールとしてパーソナルブックを作成 まず,医療機関向けにアンケート調査及び訪問調査を行い,一部の医療機関から医療型短期入所サービスの試験的運用の利用承諾を得た。しかし,16歳未満の児童については,承諾を得られた医療機関はなかった。 次に,利用者向けのアンケート調査及び訪問調査を行い,医療的ケアが必要な人の大部分が短期入所サービスを利用していないことがわかった。その理由としては,医療型短期入所サービスの制度の周知不足も一定あるが,「預けるのが不安」との理由で利用していないケースも多かった。また,このときに上記の試験的運用の利用の可否についても併せて聞き,数名から利用承諾を得ることができた。 そして4件の試験的運用を実施し,すべての利用者及び医療機関の双方から肯定的な感想を得ることができた。特に2つの医療機関からは,医療型短期入所事業所になるための指定申請に積極的な回答を得ることもできた。 さらに試験的運用にあたっては,利用者の介護等の状況や必要な情報を詳しく記したパーソナルブックを作成したが,非常に効果的に活用され,医療機関から好評を得ることができた。 (2)医療的ケアの可能な福祉型短期入所事業所の増加に対する取り組みについて @福祉型短期入所部会の設置 本協議会は,平成25年度第1回協議会(6月7日開催)において,「福祉の事業所は医行為の必要な障がい者を積極的に受け入れる姿勢をもっと見せるべきである。」という委員の意見があったことを受けて,同年第2回協議会(8月9日開催)において,新たな専門部会としての「福祉型短期入所部会」を設置した。 A福祉型短期入所部会からの報告(詳細は巻頭資料Dを参照) この部会では, ア.医行為の必要な障がい者にとって主な日中活動である生活介護事業所に併設する短期入所事業所において,障がい者の受入数を拡大できるようにすること。 イ.日中活動に結びついていない居宅介護の利用者が,なるべく支援者を変えずに短期入所サービスを利用できるようにすること。 ウ.どの生活介護事業所でも応用可能な方法を検討すること。 という3つの方向性に沿って協議を行っていただくようにし,各委員とも大変多忙な中,短期間集中的に熱心な議論を行っていただいた結果,下記のような報告をいただいた。 (ア)福祉型短期入所事業所で受け入れ可能な医行為の種類や程度 医療的ケア(たんの吸引,経管栄養)を基本とし,その他の医行為については種類を限定せず,利用者の状態が安定していれば受け入れる。 (イ)生活介護事業所等が取り組むべきこと ア.法人全体で短期入所サービスに取り組む方針を持ち,職員の意識を高める取組みをする。 イ.法人職員を喀痰吸引等研修に積極的に参加させ,医療的ケアの実施可能な職員数を増やす。 ウ.日中勤務の看護師を常勤化し,短期入所事業所に夜間・早朝スポット的にも配置する。 エ.夜間配置職員の人件費ねん出のため,医療連携体制加算を最大限に活用する。 オ.利用者の緊急時の対応に備えて,主治医との連携を強化する。 カ.夜間専門に働く職員の配置も検討する。 キ.短期入所(生活介護)事業所が登録研修機関となり,喀痰吸引等研修の回数を増やす。 ケ.緊急時の円滑な受入れのために,利用者に複数の短期入所事業所を普段から定期的に利用してもらうよう,事業所間の連携を強化する。 (ウ)福岡市が短期入所事業所等に対し支援すべきこと ア.生活介護事業所等が短期入所事業所を開設するように促すための啓発・説明会を実施する。 イ.利用者に対し,緊急時の受け入れを円滑にできるように,普段から短期入所事業所の複数利用や定期的な利用を行うように啓発する。 ウ.強度行動障がい者支援事業を参考に,利用者の日常の介護をよく知る生活介護事業所の職員や居宅介護事業所のヘルパーを,異なる法人の短期入所事業所に派遣し,支援の引き継ぎを行うための「共同支援事業」を創設することを検討する。 エ.生活介護事業所が短期入所事業所のために,生活介護サービス提供時間外においても看護師を常時配置し,その人件費の確保が困難な場合は,市の独自加算を検討する。 オ.福祉型短期入所事業所が増えず,利用者ニーズがどうしても満たせない場合は,一部の短期入所事業所を「重点型短期入所事業所」として,運営費の助成を検討する。 カ.短期入所サービスが利用できないような最重度の医行為の必要な障がい者のために,居宅介護事業所による「訪問型レスパイト事業」の創設を検討する。 (3)まとめ 本協議会としては,今後の福岡市の取り組みとして,医療型短期入所サービスの試験的運用の成果を踏まえ,医療型短期入所事業所のさらなる増加に向けて,病院への個別訪問による指定申請の勧奨などに一層取り組む必要があると考えた。 また,事業所と利用者のマッチングに効果的なパーソナルブックの普及についても併せて取り組む必要がある。 一方で, @16歳未満の児童,及び,濃厚な医療的ケアを必要とする重度の障がい児・者については,受け入れ可能な医療機関がないこと。 A利用者側としても,「本人が慣れている施設が安心できて良い」「普段から本人の支援にかかわっている人に支援してほしい」という希望が強いこと。 などから,医療機関での集団的介護では解決できないレスパイトのニーズが一定存在すると認められるため,その方策を考えることが必要である。 その一案がP5「(2)医療的ケアの可能な福祉型短期入所事業所の増加に対する取り組み」である。福祉型短期入所事業所において,医行為の必要な障がい者の受け入れが可能となるように,部会の報告内容に従い,生活介護事業所に対する啓発,共同支援事業の創設などの諸施策を検討することが必要である。 また16歳未満の児童等については受け入れ可能な医療機関がないことや,最重度の医行為の必要な障がい者の中には短期入所サービスが利用できない者がいることを踏まえ,短期入所サービス以外のレスパイト事業の検討を進める必要がある。 U行動障がいのある障がい者に対する支援について 1.現状 厚生労働省は行動障がいについて特に定義を定めていないが,強度行動障がいの定義については,福岡市が平成18年5月に独自に設置した福岡市強度行動障がい者支援調査研究会の設置要綱において,「重度の知的障がい者で,ひどい自傷や著しい多動等の強度の行動障がいを伴う者」としており,具体的には前に厚生省が定めた「強度行動障害判定基準表」に該当する項目の点数の合計が10点以上の者としている。 強度行動障がい者(18歳未満の者を含む。以下同じ)の数については,平成24年度に強度行動障がい者支援調査研究会が実施した実態調査によると,入所施設利用者が74人,市内の通所施設・行動援護事業所・知的障がい者相談支援センターの利用者及び市立特別支援学校在籍者が116人となっている。 現在,福岡市では,強度行動障がい者の受け入れ先事業所の拡充を図るため,福岡市強度行動障がい者支援調査研究会における協議結果等を踏まえて,民間事業所の支援員養成研修,強度行動障がい者が利用している短期入所サービスやケアホーム等の事業所において他の事業所の職員と共同で支援する「共同支援」を行っている。 行動障がいと発達障がいとは密接な関連があるが,発達障がい者の相談に専門的に応じている発達障がい者支援センターは行動障がいの相談も含めて,相談件数が年々増加しており,スタッフを増員しても相談待ちが続き,継続相談ケースも本来必要な頻度で相談を受けることができていない。そのため,支援の現場や家庭を訪問して,行動障がいのある発達障がい者への直接面談を行うことが難しくなっている。 そういう状況もあって,支援の現場においては,一部の相談支援センターや居宅介護事業所等によって,本人の行動の意味を解釈し,支援プログラムを作成・実施しているが,重作業であり,本来業務と併せてこのような作業を行うことは困難となっている(居宅介護事業所には特に報酬も無い)。 また,ホームヘルパーなど直接支援の担い手にも,行動障がいを理解し,適切な支援技術を持つ人材が不足しており,スキルを持つ一部のヘルパー等に負担が集中し,疲弊してしまっている。 2.具体的な事例から見られる地域課題 (1)事例1について @概要 特別支援学校高等部卒業後,福祉作業所に通所するが,奇声や他害(髪引き)が激しく10か月で退所した。その後,別の福祉作業所に所属するが,一度駐車場まで行ったきりで本人が外出を拒むようになった。その後,半引きこもり状態となり,数年が経過し,外出ができるのは特定の親族が同伴する時のみであった。居宅介護サービスを提供していた事業所の紹介で,相談支援センターに日中活動の場,短期入所サービス利用の件で相談があった。 本人の発語は2語文レベルだが,日常習慣化している言語は理解可能である。人的・物的な刺激に過敏に反応し,それがきっかけとなって他害を行う特性がある。 本人の行動の意味を解釈するために,高度なスキルを持つ居宅介護事業所が,支援者と家族が共通に使用する書式を整え,不適応行動の状況把握と分析を行った。家族と支援者が一貫性のある対応を行ったことで,不適応行動が減少し,外出範囲が少しずつ拡大していった。 しかし,このような不適応行動記録書式の作成や分析は,居宅介護事業所の業務の範疇を超えており,かつ,高度なスキルを持つ支援者も非常に限られているため,今後の有効な人材育成策が強く望まれる事例。 A利用者の状態 ア.年齢:20歳代 イ.障がいの程度:身体障害者手帳1級,療育手帳A1 ウ.障がい程度区分:区分6 エ.利用しているサービス:居宅介護,行動援護,福祉作業所 B地域課題 この事例からは,「行動障がいのある障がい者の行動の意味を解釈できる人材が限られている」ことを地域課題として認めた。 (2)事例2について @概要 もともと行動障がいのため既存サービスにつながりにくかった方が粗暴行為により自宅で生活できなくなり,ケアホーム入居に向けて体験利用中であったが,支援者への粗暴行為・飛び出し・破壊行為等で警察に保護され,市外の精神科病院へ医療保護入院となった。精神科病院に入院したことで本人は落ち着き,服薬にも応じるようになった。さらに,病院で誤学習の矯正にも取り組んでもらうことができた。 しかし,発達障がいの専門性と支援力のある支援者が極めて少なく,受入れ施設が限られており,また,市内で成人の発達障がいをきちんと見立てることが可能な病院が極めて少ない。 そのため,成人期の発達障がいのある人について,本人の行動の意味を理解し,継続的な個別療育プログラムを組み立ててくれる機関が限られており,今後の社会資源の整備が望まれる事例。 A利用者の状態 ア.年齢:20歳代 イ.障がいの程度:療育手帳B2 ウ.障がい程度区分:区分4 エ.利用しているサービス:ケアホーム(体験利用),生活介護,精神科病院,福岡市強度行動障がい者支援事業の共同支援 B地域課題 この事例からは,「成人期の発達障がいのある人の,本人の行動の意味の解釈や,継続的な個別療育プログラムを組み立ててくれる機関が限られている」ことを地域課題として認めた。 (3)事例3について @概要 特別支援学校中学部3年生。自閉性障がいがあり,特別支援学校の小学部3年生頃から,他害,急な飛び出し,破壊行動,服脱ぎ,道端での排せつ行為等が始まった。自宅ではほぼ母と2人暮らし。母は本人の言いなりで問題行動を止めることができなくなっており,本人も中学部進学による環境変化等のギャップにより,行動障がいが激しくなっていった。 学識経験者の助言により生活環境を見直し,スケジュールを再構築するなどして生活支援を行っているが,ホームヘルパーには高度な支援スキル(行動障がいを理解し,行動の意味を察知でき,危険予測をした上での動き方が可能など)が要求されるため,支援者が限定されてしまっている事例。 A利用者の状態 ア.年齢:10歳代 イ.障がいの程度:療育手帳A2 ウ.障がい程度区分:なし エ.利用しているサービス:居宅介護,放課後支援,日中一時支援,短期入所 B地域課題 この事例からは, ア.行動の意味を解釈し,それに応じた生活の具体的なプログラムや療育方法を作成し,継続的にモニタリングを行う専門機関が不明確であること イ.自閉症の特性に応じた特別な支援ができるホームヘルパーが不足していること を地域課題として認めた。 (4)総合的に考えられる地域課題 これら3つの事例を総合的に考慮し,「行動障がいのある障がい者の行動の意味を解釈及び生活支援プログラムを組み立てることができる人材,専門機関が限られている」ことを最終的な地域課題とすることとした。 3.地域課題の解決方法の案(イメージ図は巻頭資料Eを参照) 行動障がいのある障がい者への支援については,行動援護事業所を含む市内の専門機関に,行動障がいに関する高度な支援技術を有する人材が常時配置され,利用者が在宅サービスだけを利用する場合や,利用者の通所先の職員が行動障がいの支援に不慣れな場合に,それらの人材が相談支援機関の要請に基づき現場へ派遣されるような体制を構築することが望ましい。 この人材は行動障がいの行動の意味を解釈し,生活支援プログラムを作成できる能力を有することが重要であり,具体的には下記の役割を十分に果たし得ることが必要である。 a)対象者に密着してビデオ撮影など直接観察を行う。 b)現場の支援者たちに記録してもらう行動の記録表を作成する。 c)ビデオや記録表を基に,行動の分析を行う。 d)分析結果に基づき,支援プログラム,支援ツール(絵カード等)を作成する。 e)個別ケア会議で,支援プログラムの説明を行う。 f)現場で,支援者たちに直接指導を行う。 g)支援効果を検証する。 (必要に応じて,上記のプロセスを繰り返す) その他,この人材は指導等を通じて現場の支援者たちを育成し,将来的には現場の支援者たちだけで支援が可能な状態にしていく役割もある。 4.まとめ 本協議会としては,今後の福岡市の取り組みとして,上記の解決方法の案のとおり,人材の育成と派遣体制づくりに取り組む必要があると考えた。 人材育成については,すでに発達障がい者支援センターが行っている研修と連携して進めているところだが,今後もより一層結びつきを深めていく必要がある。 派遣体制づくりについては,福岡市が進める「福岡市における強度行動障がい者の支援拠点のあり方」の検討の中で併せて検討し,できる限り早期に実現することが必要である。 V発達障がい者及び精神障がい者(発達障がい者を除く)の就労支援について 1.現状の問題点 (1)当事者への支援に関する問題点 引きこもりなど就労意欲が乏しいか,又は就労イメージの希薄な発達障がい者や精神障がい者に対し,生活訓練などで時間をかけて訓練を行い,就労までつなげていくには多くの支援が必要である。 また,高校や大学の在学中は,就職活動前に必要な自己の障がいを理解するための就労支援機関などとの関わりがないため,就労に必要なビジネスマナーなどのスキルを身につけることなく就職活動に突入し,結果的に就職できない場合や,就職できても二次障がいを抱えてしまう場合がある。 就職しても精神的な不安定さや職場の同僚等の理解不足により,職場定着が難しい場合がある。 そのほか,市内には様々な就労支援機関や相談機関があるが,かえってどこに何を相談したら良いのかわかりにくくなっている。 (2)支援者側の問題点 発達障がい者や精神障がい者は,本人と周辺との認知のずれを説明できる人を必要としているが,就労移行支援事業所など就労支援機関の中に発達障がいの特性を十分に理解している人が少なく,本人の自己理解をサポートできていないことが多い。 また,円滑な就労移行のためには職場体験が重要であるが,体験実習を受け入れてくれる企業が少ない。 さらに,就職した後も継続して支援することが必要だが,就労移行支援事業所の定着支援に対する対応はさまざまであるなど,就職後のフォローが十分できているとは言いがたい。 (3)企業側の問題点 企業側においては,障がい者の求人数は増えているが,精神障がい者の受け入れについてはまだ消極的な企業が多い状況である。これは企業の精神障がいに対する理解が不足している部分も大きいためと考えられる。精神障がい者にとってはオープンで就職したいと思っても,本人が希望するような障がい者求人は少なく,クローズで就職せざるを得ない現状がある。クローズで就職した場合には,直接的な支援が受けられないため,職場定着が難しい場合がある。 2.今後の就労拡大に向けた取り組み案 (1)就労支援部会の設置 本協議会は,平成24年度第1回協議会(8月31日開催)において,福岡市内の主に一般就労を目指す障がい者に対する就労支援施策を進めていく上で生じる課題の把握及びその解決に努め,障がい者のより一層の就労促進を図ることを専門的に協議する場として,専門部会である「就労支援部会」を設置した。 (2)就労支援部会からの報告(詳細は巻頭資料Fを参照) この部会では,当初,発達障がい者と精神障がい者(発達障がい者を除く)の障がい特性の違いや両者をとりまく社会状況等を踏まえて,障がい別に対応策を検討していただいていたが,結果的には両者に共通する部分が多かったため,一体的に整理し,下記のような報告をいただいた。 @当面取り組むべきこと ア.企業への支援 (ア)雇用事例の積極的な紹介 (イ)企業や就労移行支援事業所の見学会 (ウ)企業内支援者の養成 (エ)雇用アドバイザーの委嘱 (オ)制度や助成金等の説明 イ.当事者への支援 (ア)相談機関の周知 (イ)在学生への研修 ウ.就労移行支援事業所への支援 (ア)体系的な研修の実施 (イ)体験実習の活用 (ウ)医療機関との連携 (エ)就労・定着支援の評価 A中長期的に検討をすすめるべきこと ア.当事者への支援 (ア)生活訓練モデル事業 (イ)目標となるモデル的存在の周知 イ.教員等に対する研修 Bその他就労支援の前段階での課題 ア.医療機関との連携 (ア)研修の実施,参加促進 (イ)情報の集約・提供 (ウ)ネットワークの構築 (3)まとめ 本協議会としては,今後の福岡市の取り組みとして,就労支援部会の意見に従い,精神障がい者及び発達障がい者の就労促進に一層取り組むことが必要と考える。 また,この意見の内容は身体障がい者や知的障がい者の就労促進にも共通して効果のある対応策の案が記述されており,福岡市は全ての障がい者の就労促進をより一層推進されたい。 医行為の必要な障がい者の福祉型短期入所への受け入れ促進に関する報告書 平成25年12月 福岡市障がい者等地域生活支援協議会福祉型短期入所部会 目次 1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 2.福祉型短期入所事業所で受け入れ可能な医行為の種類や程度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 3.福祉型短期入所事業所で医行為の必要な障がい者の受入数増加の為に,生活介護事業所等が取り組むべきこと・・・・・・・・・・23 4.福祉型短期入所事業所で医行為の必要な障がい者の受入数増加の為に,福岡市が短期入所事業所等に対し支援すべきこと・・・・・・・・・・26 5.まとめ(要約)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 1.はじめに 福岡市障がい者等地域生活支援協議会(以下,「協議会」と言う。)では,医行為の必要な障がい者への支援の課題として,短期入所事業所の不足について協議されている。この課題は,協議会の前身である福岡市早良・西自立支援協議会(平成19年6月発足)に設置されたサブ協議会においても「重度重複障がい児・者の地域生活支援」をテーマにアンケート調査,シンポジウムが行われ,報告の1つとして医行為の必要な障がい者は短期入所サービスを利用しにくい状況にあり早急な解決策の模索が必要であることが挙げられている。医行為の必要な障がい者の短期入所サービスについては,相談支援を行う上でも大きな課題となっており早期の課題解決を図ることの必要性を痛切に感じている。 医療型短期入所事業所の増加については,福岡市が「おうちで暮そうプロジェクト」事業で取り組みを行っているところだが,平成25年度第1回協議会において「福祉の事業所は,医行為の必要な障がい者を積極的に受け入れる姿勢を見せることが必要」との意見も踏まえ,福祉型短期入所事業所において,医行為の必要な障がい者を多く受け入れる為に必要な取り組み等を協議する為に専門部会である「福祉型短期入所部会」を設置した。当部会では,福祉施設職員や医療関係者を中心に平成25年9月〜11月の間に計6回の協議を行い, (1)福祉型短期入所事業所で受け入れ可能な医行為の種類や程度 (2)受入数増加の為に事業所として取り組めること (3)受入数増加の為に事業所に対して福岡市が支援すべきこと (4)前各号に掲げるもののほか,目的を達成する為に必要な事項に関すること について検討を行ってきた。なお,検討を行うにあたっては,協議会から示された協議の方向性(1.日中活動の場の延長としての短期入所サービス,2.日中活動に結びついてない居宅介護利用者の短期入所サービスのあり方,3.どの事業所でも応用可能な方法の検討)に基づいたものである。今回はその検討結果を取りまとめ,報告として提出するものである。 2.福祉型短期入所事業所で受け入れ可能な医行為の種類と程度は,介護職員が喀痰吸引等の研修を受けることで実施可能な医療的ケア(たんの吸引・経管栄養)を基本とし,看護職員が行うその他の医行為については厳密に種類を限定せず,利用者の状態の安定度で判断する。あくまでも安定度が重要であり,状態が不安定な利用者,治療行為の必要な利用者は対象外と考える。 状態の安定とは,服薬や導尿,経管栄養やたんの吸引など常時の医行為の頻度及び程度が一定であることをいう。 ただし,短期入所サービスの利用にあたっては,主治医が認める必要がある。 3.福祉型短期入所事業所で医行為の必要な障がい者の受入数増加の為に,生活介護事業所等が取り組むべきこと (1)生活介護事業所が取り組むべきこと @法人全体で短期入所サービスに取り組む方針を持つ。 通所サービスは,障害者自立支援法の施行から第2種社会福祉事業となり,在宅サービスとして位置付けられるようになった。在宅サービスのうち利用者ニーズの高いものの1つに,短期入所サービスがあげられる。 利用者の日中活動の場を提供する者は,利用者が困った時には支えなければならないという社会福祉の精神を持ち,利用者ニーズの高い短期入所サービスを実施することが生活介護事業所の使命と考えることが重要である。 そして,短期入所事業所だけで職員を揃えると考えるのではなく,法人全体で夜間のサービスを実施していくという方針の下,日中活動や居宅介護に従事する職員が交替で夜勤を行う体制を作ることが必要であり,そのために,職員の意識を高める取り組みが重要である。 A喀痰吸引等研修に職員を積極的に参加させ,研修を修了した介護職員を配置する。 「利用者の状態が安定していれば,医療的ケアも含めて日常必要なことは介護職員で行うことが可能である」「医行為が必要な障がい者であっても日常的に支援していれば,支援にも慣れ,日常の状態との違いを見極めることもできる」との本部会の報告により,短期入所事業所で支援する職員は,利用者の状態の変化に気づきやすい,利用者の日常の状態をよく知っている支援者が対応することが必要である。そのため,生活介護事業所は積極的に介護職員を喀痰吸引等研修に参加させ,短期入所事業所に配置することが重要である。 B看護師の常勤雇用を促進する。 生活介護事業における看護師の配置は,「配置基準上1以上」という基準があるだけで非常勤でも可となっているが,各生活介護事業所は看護師の常勤化を目指し,利用者の日常の状態をよく知っている看護師を短期入所事業所に夜間・早朝スポット的に配置して,定時の導尿などの医行為ができるようにすることが重要である。 C医療連携体制加算を活用する。 医療連携体制加算は,生活介護事業所に配置している看護師を短期入所事業所に夜間・早朝スポット的に配置し医行為を行う場合,配置医師の指示に基づく支援を行っていれば加算の対象にすることができる。なお,医行為の内容についてはあくまでも医師の指示書に示されたものに限る。 また,看護師派遣を委託する場合は,利用者の日常の状態をよく知っている介護職員を配置すれば,利用者の日常の状態を知らない外部の看護師が派遣されたとしても,引継ぎを行いながら支援することが可能になる。 D主治医との連携を強化する。 短期入所事業所はサービスの利用契約にあたり,主治医の意見を十分考慮して利用の可否を判断する。主治医には,必要な医行為(医療的ケアを含む)の内容・留意点・状態の安定さ,緊急時の対応や医療機関との連絡体制について確認し,指示書に記入してもらう。聞き取る内容については,「医療的ケア指示書(福岡市身体障害者福祉協会作成)」(資料1を参照)を参照すると良い。利用者の状態像は変化する為,指示書は毎年更新することが望ましい。 もしも,短期入所事業所が望む情報を主治医から得られない場合には,訪問看護の看護師等から詳細な情報の収集を試みると良い。 E夜間専門の職員配置を検討する。 短期入所事業所には夜間専門のパート職員の配置も検討して良い。その場合は,生活介護で利用者の日常の状態をよく知っている短期入所事業所の職員が,夜間専門職員に利用者の状態を引継ぐ。なお,夜間専門職員にも喀痰吸引等研修を積極的に受けさせることが必要である。 F短期入所(生活介護)事業所が登録研修機関となり,喀痰吸引等研修の機会を増やす。 3−Aにおいて介護職員に喀痰吸引等研修を積極的に参加させることの必要性について述べたが,現在研修の機会そのものが少なく,福岡会場,北九州会場合計しても年間200名程度しか受講できない。また,介護現場としては1度に多くの職員を受講させると日常業務に差し支えるため,研修の機会を増やさなければ受講者を増やすことは難しい。 喀痰吸引等研修を行うことができるのは,県のほかは県によって認められた民間の登録研修機関である。そのため,短期入所(生活介護)事業所が登録研修機関となり研修機会を増やすことが重要である。 G短期入所事業所間の連携を強化する。 ある短期入所事業所が医行為の必要な利用者を定期的に受け入れている場合でも,緊急に短期入所サービスが必要になった時には,必ずしもその事業所を利用できるとは限らない。支援者は利用者の日常の状態を知っておくことが必要であるため,利用者は普段から複数の短期入所事業所を利用しておくことが望ましい。そのため,指定特定相談支援事業所とも連携し,事業所間の連携を強化する必要がある。 (2)居宅介護事業所の短期入所サービスのあり方 短期入所サービスは報酬面で日中の評価が低く,生活介護等の日中活動の事業と組み合わせなければ運営が難しい。 次ページに述べる共同支援という支援形態が市により認められれば,居宅介護だけを利用している利用者に対して,日常の支援に馴れたヘルパーが短期入所サービスの現場に付添い,短期入所事業所の職員に介護方法を引き継ぐことが可能となる。 更に,日中活動に参加することのできない最重度の障がい者にとっては,短期入所サービスの利用は現実的ではない。介護者の負担軽減のためには,後に述べる自宅への訪問型レスパイト事業の実施を検討することも重要である。 4.福祉型短期入所事業所で医行為の必要な障がい者の受入数増加の為に,福岡市が短期入所事業所等に対し支援すべきこと (1)生活介護事業所等による短期入所サービス実施を促す為の啓発・説明会 P23の3−(1)−@において,短期入所事業所を増やす為に,法人全体で短期入所サービスに取り組む方針を持つことの重要性が述べたが,そのことを後押しするため,福岡市は生活介護事業所等への短期入所サービスの実施を促す為の啓発・説明会を行うことが必要である。 (2)緊急時に備えた短期入所事業所の複数利用や,定期利用の必要性に関する啓発 医療型であっても福祉型であっても,普段利用していない短期入所事業所を飛び込みで利用することは難しい。利用者にとっても緊急時に初めて利用するよりも,定期的な利用を行い,場所や人に慣れておくと安心して利用できる。 また,医行為が必要な利用者が緊急に短期入所サービスを利用しようとする場合,普段利用している短期入所事業所が1つしかないと,ちょうどその日は他の利用者が利用中ということもある。そのため日中活動も含めて,複数の事業所を普段から計画的に利用しておくことが緊急時利用の安心につながる。 このような必要性について,福岡市は利用者及びその家族,関係機関に広く周知するとともに,利用者と短期入所事業所をつなぐ役割を担う指定特定相談支援事業所の利用を促すことが重要である。 (3)他法人の短期入所事業所の利用者を受け入れる場合の共同支援の創設を検討する。 医行為の必要な利用者にとっては,短期入所サービスを利用したくても,利用者の日常の状態を知らない職員から支援を受けることは非常に不安である。一方で,短期入所事業所の職員もそのような利用者を受け入れることは非常に不安である。福岡市は,双方の不安を解消し,短期入所事業所の受け入れを促進するため,強度行動障がい者支援事業で行っている共同支援と同趣旨の制度の創設を検討することが必要である。 例えば,利用者が,普段利用している法人の生活介護や短期入所事業所とは別の法人の事業所で短期入所サービスを利用しようとする場合は,普段利用している事業所の職員が,別法人の短期入所事業所を訪問し,その場で支援の引継ぎを行うことができるようにすれば,緊急時に備えた複数の短期入所事業所の利用が可能となる。 また,居宅介護のみを利用している利用者であっても,居宅介護事業所とは別法人の事業所で短期入所サービスを利用しようとする場合,居宅介護事業所のヘルパーが別法人の短期入所事業所を訪問し,その場で支援の引継ぎを行うことができるようにすることにより,介護者のレスパイトを図ることができる。 なお,共同支援は支援を引き継ぐための制度であるため,予め利用回数を規定しておくことも重要である。 さらに共同支援は,職員を派遣する側と受け入れる側の双方の事業所が,職員の配置等を予め計画して行うため,指定特定相談支援事業所と連携して実施する必要がある。 (4)看護師配置に係る福岡市独自の加算を検討する。 生活介護事業所が短期入所サービスのために,生活介護サービス提供時間外においても看護師を常時配置した場合に,医療連携体制加算を最大限に活用しても,当該看護師の人件費を確保することが困難な場合は,福岡市は独自加算を検討することが必要である。 (5)重点型短期入所事業所の設置及び助成を検討する。 (1)から(4)の支援を行っても福祉型短期入所事業所が増えず,医行為の必要な障がい者の短期入所サービスの利用が進まない場合には,福岡市は,以下の要件を満たす福祉型短期入所事業所を「重点型短期入所事業所」と位置付けて,運営費の助成を検討することが必要である。 @常時看護師を配置する。 A全ての利用者に送迎サービスを実施する。 B認定特定行為業務従事者の認定を受けた常勤の介護職員を配置している。 C短期入所サービス特別重度支援加算(T)又は(U)(資料2を参照)に該当する利用者を対象とする。 (5)訪問型レスパイト事業の創設について検討する。 最重度の利用者の中には,状態は安定しているにもかかわらず,移動ができないなどの事情により短期入所サービスの利用が困難な者がいる。そのような利用者の介護者のレスパイトを図るため,福岡市は,居宅介護事業所等による自宅への訪問型レスパイト事業の創設を検討することが重要である。 5.まとめ(要約) これまで述べたことを要約すると以下のようになる。 (1)福祉型短期入所事業所で受け入れ可能な医行為の種類や程度 医療的ケア(たんの吸引,経管栄養)を基本とし,その他の医行為については種類を限定せず,利用者の状態が安定していれば受け入れる。 (2)生活介護事業所等が取り組むべきこと @法人全体で短期入所サービスに取り組む方針を持ち,職員の意識を高める取組みをする。 A法人職員を喀痰吸引等研修に積極的に参加させ,医療的ケアの実施可能な職員数を増やす。 B日中勤務の看護師を常勤化し,短期入所事業所に夜間・早朝スポット的にも配置する。 C夜間配置職員の人件費ねん出のため,医療連携体制加算を最大限に活用する。 D利用者の緊急時の対応に備えて,主治医との連携を強化する。 E夜間専門に働く職員の配置も検討する。 F短期入所(生活介護)事業所が登録研修機関となり,喀痰吸引等研修の回数を増やす。 G緊急時の円滑な受入れのために,利用者に複数の短期入所事業所を普段から定期的に利用してもらうよう,事業所間の連携を強化する。 (3)福岡市が短期入所事業所等に対し支援すべきこと @生活介護事業所等が短期入所事業所を開設するように促すための啓発・説明会を実施する。 A利用者に対し,緊急時の受け入れを円滑にできるように,普段から短期入所事業所の複数利用や定期的な利用を行うように啓発する。 B強度行動障がい者支援事業を参考に,利用者の日常の介護をよく知る生活介護事業所の職員や居宅介護事業所のヘルパーを,異なる法人の短期入所事業所に派遣し,支援の引き継ぎを行うための「共同支援事業」を創設することを検討する。 C生活介護事業所が短期入所サービスのために,生活介護サービス提供時間外においても看護師を常時配置し,その人件費の確保が困難な場合は,市の独自加算を検討する。 D福祉型短期入所事業所が増えず,利用者ニーズがどうしても満たせない場合は,一部の短期入所事業所を「重点型短期入所事業所」として,運営費の助成を検討する。 E短期入所サービスが利用できないような最重度の医行為の必要な障がい者のために,居宅介護事業所による「訪問型レスパイト事業」の創設を検討する。 精神障がい者,発達障がい者の就労促進に関する報告書     平成26年5月 福岡市障がい者等地域生活支援協議会就労支援部会 目次 1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 2.検討にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 3.当面取り組むべきこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 4.中長期的に検討をすすめるべきこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 5.その他就労支援の前段階での課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48 参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 1.はじめに 平成24年3月に策定された「福岡市障がい保健福祉計画」において,「障がいのある人もない人と等しく地域の中で自立し,社会の一員として共に生きる社会」が施策推進による目標像とされているが,障がい者の就労支援は,その目標達成に大きく寄与するものである。 「就労支援部会」は,福岡市障がい者等地域生活支援協議会の専門部会として設置され,福岡市の障がい者就労支援施策を進めていく上で生じる課題の把握及びその解決に努め,障がい者の就労促進を図ることを目的に,平成24年11月から定期的に開催している。 近年,障がい者雇用を取り巻く環境は大きく変化してきた。企業で働くことを希望する障がい者が増えてきたことに加え,平成25年4月の「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正により,民間企業に課せられた法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられたことを契機として,法令遵守,社会的責任の意識の高揚により積極的に雇用を検討する企業が増えてきたこと,また就労移行支援事業所や就労支援機関などが整備されてきたこともあり,企業で働く障がい者は着実に増えてきている。 従来,障がい者の就労施策は,身体障がい者を中心に進められ,その後知的障がい者に拡大されてきた。一方,平成18年に精神障がい者が法定雇用率への算定に加えられるようになって以降,精神障がい者及び精神障害者保健福祉手帳を取得した発達障がい者からの支援ニーズが年々増えてきている。これらの方々の就労実績も徐々に上がってはいるが,障がいの理解や支援方法,あるいは支援状況など身体障がい者や知的障がい者に比較しても,充分ではないのが現状である。 平成30年には精神障がい者の雇用義務化やそれに伴う法定雇用率の見直しが予定されており,今後更に支援対象者が増えることが予想される。そのため,就労支援部会においては,早期に取り組むべきものとして,精神障がい者,発達障がい者(療育手帳に該当しない者)の就労支援における課題やその解決方法等について協議,検討してきた。 今回はその検討結果を取りまとめ,報告するものである。 2.検討にあたって 精神障がいと発達障がいは,対人関係やコミュニケーション等で特性が異なる面も見られるが,元々発達障がいがあるが故に日常生活あるいは職業生活での生きづらさや不適応の状況から精神的な不調を訴え,その後精神科を受診したことで,発達障がいの診断を受けるケースも多い。 そのため,精神障がいと発達障がいを明確に区分することは困難であり,本部会においては就労支援に関し,それぞれの障がい特性や両者をとりまく社会状況等を踏まえての内容に分けて検討を行ったが,両者に共通する内容は多いため一体的に整理した。また,報告書においては,大きく「当面取り組むべきこと」及び「中長期的に検討をすすめるべきこと」」に分け,整理した。 なお,今回検討した「発達障がい者」とは,療育手帳に該当しない発達障がい者を想定して検討したものである。 3.当面取り組むべきこと (1)企業への支援  障がい者の就労を促進するためには,「企業の理解」は不可欠である。 精神障がい者や発達障がい者に比べ身体障がい者や知的障がい者の雇用は,従来からの取り組みにより,徐々に進んできているため,それらの障がい理解や雇用のノウハウを持っている企業は増えてきていると思われる。しかし,精神障がいや発達障がいについては,障がい特性がわかりにくい,あるいは見えづらいこと,また障がいに対するマイナスイメージが先行し,未だ偏見や差別があることなどにより,雇用事例が多くはなく,また雇用に消極的な企業が多いのが現状である。 そのため,以下のような取り組みが必要と思われる。 @雇用事例の積極的な紹介 現在,各就労支援機関において,企業を対象にしたセミナーや研修会を実施している。その際に,精神障がい者や発達障がい者を雇用している企業から雇用や育成への取り組み等について報告してもらうとともに,就労支援機関の役割や実際の支援事例等について紹介する事が有効である。 また,これまでセミナーや研修会等に参加していない企業への呼びかけなどを広く行い,多くの企業に参加してもらうことが重要である。 A企業や就労移行支援事業所の見学会 上記@のセミナーや研修会等の他,実際に障がい者が働いている様子や就労に向けたトレーニングの状況を見てもらうことで,障がい者雇用への理解は更に深まるものと期待できる。そのため,既に精神障がい者や発達障がい者を雇用している企業,あるいは主にそれらの方が利用している就労移行支援事業所などの見学会を実施する取り組みは更に有効である。 B企業内支援者の養成 企業と雇用に関する打合せを行う中で,人事や採用担当者と現場の社員との障がい者雇用に対する考え方の相違,温度差を感じる事が多い。障がい者が雇用され,その後継続して働くためには,人事や採用担当者の理解は勿論であるが,現場の責任者や障がい者と一緒に働く社員(パートやアルバイト従業員を含む)の理解は欠かせない。 そのため,それらの社員を対象に,障がい特性の理解,特性に応じた接し方や指示の出し方等を具体的に学んでもらうとともに,実際に社員の困っている事や悩んでいる事などについてディスカッションする機会を設けるとともに,企業内で障がい者の支援を行うキーパーソン(企業内支援者)を養成する取り組みが重要である。 C雇用アドバイザーの委嘱 精神障がい者や発達障がい者の雇用実績がある企業の社員を雇用アドバイザーとして委嘱し,企業への啓発活動や雇用に対する個別の助言を行うことで,上記の取り組みを補完するとともに,更に雇用までの具体的なプロセスが明確になると思われる。 D障がい者雇用制度や各種助成金等の説明 障がい者雇用に関する制度や助成金については,ハローワーク等が実施する研修等で説明されているが,多様であることや取り扱いが変更になるなどから企業の理解が充分でない面もある。今後も,研修等での説明や必要に応じ訪問の際に説明するなど,ハローワークと連携しながら周知を図る取り組みが必要である。 (2)当事者への支援 @相談機関の周知 市内を中心に,様々な就労支援機関や相談機関があるが,当事者や医療関係者等からはどこに相談したら良いのかわかりにくい等の意見がある。そのため,例えば障がい者の状況やニーズに応じた,相談可能な機関がわかりやすく説明されたパンフレットを作成し,配布するなど,相談機関の周知を図ることが必要である。 A在学生への研修 学生生活や社会生活での不適応からうつ病などの二次障がいを併せ持つケースも多く見られることから,早期の支援,対応が求められるところである。そのため,高校や大学などに在学中の発達障がいのある生徒・学生を対象に,社会人として必要なマナーやスキルに関する学習会,あるいは習得に向けたトレーニング等を行う講座を企画,実施する取り組みが必要である。在学生を対象にする事で,卒後に向けた不安の払拭を図るとともに,就労支援の知識やスキルを持った支援者が関わることで希望職種と適職とのミスマッチの軽減も期待できる。 (3)就労移行支援事業所への支援 現在,市内には40カ所を超える就労移行支援事業所があり,それらでトレーニングを受けながら就労を目指す方も増えている。トレーニングの内容やカリキュラム,あるいはスケジュールなどは当然様々であるが,スタッフの力量,あるいは就労への実績などは大きく異なっている状況がある。そのため,以下の取り組みが必要と思われる。 @体系的な研修の実施 アセスメント,ジョブマッチングの視点や手法,あるいは職場開拓や定着支援の方法などについての研修会を行う。また集団での講義研修の他,依頼に応じて個別研修や事業所を訪問してのより具体的,実践的な研修を行うなど,体系的な研修を実施し,市域における就労移行支援事業所全体のスキルアップを図ることが必要である。また,個別研修や訪問については,就労支援センターの他,福岡市発達障がい者支援センターのスタッフが障がい特性や対応方法についての研修や,個別のケースについてスーパーバイズを行うなどの取り組みが必要である。 A体験実習の活用 就労移行支援事業所の大きな役割として,就労に向けたアセスメントの実施,利用者個々の課題に応じたトレーニングを行うことが求められている。その上で,事業所とは環境が異なる実際の企業での体験実習は,より具体的で詳細なアセスメントができるため,積極的に行う必要がある。 既に体験実習が可能な企業を確保している事業所もあるが,それができていない,あるいは確保していても業種が限られたものである場合も多い。そのため就労支援センターで体験実習の受入れが可能として登録している「サポーター企業」を積極的に活用してもらうよう働きかけるとともに,就労支援センターでは,農業などを含めた新たな職域の拡大を含め,登録企業の数を更に増やしていくことが必要である。 B医療機関との連携 精神障がい者及び発達障がい者の支援においては,医療機関からの助言や連携は重要である。そのため,必要に応じ個別ケースの支援を通して連携が行われているが,更に就労移行支援事業所と医療機関の連携を密にするため,精神科医やケースワーカー等を対象に,「就労支援」をテーマにした研修会や意見交換会等を企画,実施する必要がある。 C就労・定着支援の評価 就労移行支援事業所から就労した場合,6か月間は職場に定着するよう他の就労援機関と連携しながら支援する事が求められている。しかし,採用後の定着支援については対応が様々であることから,当面は本人の特性を理解し,信頼関係が構築されている就労移行支援事業所が中心となり定着支援を行い,徐々に他の就労支援機関の関わるウェイトを大きくしながら移行していくことが理想的と思われる。 定着支援は,障がい者の継続就労において不可欠であり,その実施のために就労移行支援事業所が積極的に取り組むことができるよう,支援の実績(例えば,就労者数や定着率など)を評価する仕組みの検討が必要と思われる。 より努力して就労実績を上げ,更に定着支援にも積極的に取り組み,高い定着率を維持している事業所を評価,公表することで,当事者には就労移行支援事業所を選択するための情報を提供できるとともに,就労移行支援事業所としては安定した利用者の確保が期待できると思われる。 *ハローワーク,障害者職業センター,就労支援センターが実施する研修等の現状及び平成24年度の実績等については,49ページの参考資料を参照。 4.中長期的に検討をすすめるべきこと (1)当事者への支援 ここ数年で,「発達障がい」と診断される方は大きく増加しており,この傾向は今後も続くと予想されている。しかし,高校や大学まではあまり問題なく過ごせていたが社会人となって困難を感じた,学生の頃から不登校気味だった,引きこもりがちで昼夜逆転の生活をしているなど,その状態像や特性等は千差万別である。そのため直ぐに求職活動を行うのが困難な方には一定期間をかけての支援や将来を見据えた支援を行う必要がある。 @生活訓練モデル事業 引きこもりがちである方や就労への意欲やイメージが希薄な方などを対象に,生活訓練事業において,本人の状況に適した利用回数や支援を行い,生活リズムの改善や確立を図るとともにコミュニケーションスキルの向上,障がいの自己理解や受容に向けた支援を提供することにより,段階的に就労意欲を高め,就労移行支援事業への利用に繋げるようなモデル的事業の取り組みを検討する。 また,発達障がい者を主たる対象とした事業所は少ないため,精神障がい者を主たる対象とした生活訓練事業を行っている事業所での受入を促進するために,発達障がい者支援の経験やスキルがある事業所スタッフが必要に応じ訪問し,アドバイスを行うなどの取り組みについて検討する。 Aモデル的存在 自信を無くしている方やネガティブな考えになっている方が多いため,本人が自信を回復し,将来を見通せるような支援が必要な場合が多い。 そのため,就労している精神障がい者や発達障がい者に当事者の目標となるモデル的な役割を担ってもらうために,学習会や研修会等で講師を務めてもらうことや,実際に働いている状況を見学させてもらうなどの取り組みを検討する。 (2)教員等に対する研修 発達障がいについては,早い段階でその特性を把握し,適切な環境の設定や関わり方,あるいは本人,家族に対し将来を見据えたアドバイスを行うことが重要である。そのため小中高校の教員や各学校に配置されているスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーなどに対し,就労や生活面に対する社会資源や制度等についての研修を行い,学内での支援や卒後に向けたアドバイスの参考にしてもらう事は有効であると思われる。 5.その他就労支援の前段階での課題 その他,就労支援に直接的に結びつくものではないが,将来的に障がい者就労を促進するために下記のような課題と必要と思われる取り組みが報告された。 これらについては,別途ふさわしい場を設定して協議されることが望ましいと思われる。 (1)医療機関との連携 発達障がいについては,診断ができる医師や病院が少なく,診察まで時間がかかることやそのために適切な支援が受けられない等の状況がある。また,医療機関と就労支援機関を含むネットワークの構築が充分でない現状もあるため,医療機関と連携しながら以下のような取り組みを検討する必要がある。 @研修の実施,参加促進 精神科医を対象にした研修会や会議の際,あるいは保健福祉センター主催の連絡会議などで就労支援に関する社会資源の紹介や障がいについての説明をさせてもらうとともに,内科医や小児科医に対しても発達障がいの啓発を目的とした研修を行う。 また,診断ができる医師を増やすために,例えば独立行政法人国立精神・神経医療研究センターが実施している「発達障害者支援医学研修」などの研修への参加を促す取り組みについて検討する。 A情報の集約・提供 発達障がいの診断ができる医師や病院の情報を集約し,必要に応じ情報提供できるような取り組みについて検討する。  Bネットワークの構築 精神保健福祉センター及び各区の保健福祉センターを中心とした医療機関を含むネットワークを構築する。顔が見える関係作りをすることで,医療機関から就労支援機関への移行がスムーズになるような流れをつくる。 【参考資料】 ハローワーク,障害者職業センター,就労支援センターが実施する研修等の現状及び平成24年度の実績等 当事者対象 【ハローワーク主催】 ・障害者雇用促進面談会 2回 参加事業所各44社 ・特別支援学校を対象とした職場実習のための事業所面接会 1回 参加事業所9社 【障害者職業センター主催】 ・就活サポートセミナー 10回 参加者167名(うち精神95名、発達62名) 【就労支援センター主催】 ・ビジネス講座      2回(1回当たり8回)実施 参加者12名(うち発達1名) ・パソコン講習等事業 入門コース1回(15日間)受講者5名(うち精神4名) 上級者コース2回(24日間)受講者11名(うち精神8名) サービス業従事者研修 受講者12名(うち精神 1名、発達3名) ・はたらく仲間のつどい 2回 参加者176名(うち精神20名)  ・サタデーカフェ 12回 参加者243名 企業対象 【ハローワーク主催】 ・障害者雇用促進セミナー       1回 参加企業177社 【障害者職業センター主催】 ・事業主ワークショップ       4回 参加企業28社 【就労支援センター主催】 ・企業セミナー       4回 参加企業110社 就労支援機関対象 【ハローワーク主催】 ・福祉施設等就労支援セミナー       1回 参加施設47施設 【障害者職業センター主催】 ・就業支援基礎研修       2回(1回あたり3日間)受講者数149名 ・就活サポートセミナー      10回 実施件数36件 【就労支援センター主催】 ・技術的支援      研修会2回 38事業所 情報交換会1回 16事業所 ・ジョブコーチ研修 1回 参加者108名