○福岡市住民監査請求に基づく監査における監査基準及び手続等に関する規程
令和4年6月20日
監査委員規程第2号
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、福岡市監査基準(令和2年監査委員規程第1号)に定めるほか、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定による住民監査請求があった場合に実施する同条第5項の規定に基づく監査に関し、必要な事項を定めるものとする。
第2章 住民監査請求に基づく監査の基準
(監査の目的)
第2条 住民監査請求に基づく監査(法第242条の規定による監査をいう。)は、住民が、市の職員等による違法又は不当な財務会計上の行為、又は財務会計上の怠る事実があると認め、監査請求を行ったときに、請求に理由があるか等を監査することを目的とする。
(要件の審査等)
第3条 監査委員は、法第242条第1項の規定による請求があった場合は、その請求が法令に定める要件を満たしているかどうかを審査し、要件を満たしていると認められるときは、適法な請求として受理の決定をし、当該請求に基づく監査を実施し、要件を満たしていると認められないときは、不適法な請求として却下の決定をし、監査を実施しない。
2 前項の規定による審査に当たり、監査委員は、必要に応じて議会、市長その他の執行機関又は職員に対し、説明又は資料の提出を求めることができる。
3 監査委員は、第1項の規定により受理の決定をした請求については、必要に応じ、法第242条第4項に規定する暫定的な停止の勧告(以下「暫定的停止勧告」という。)の適否を審査し、暫定的停止勧告を行うことが適当と認めたときは、その内容を合議により決定するとともに理由を付して関係職員等(市長、関係する実施機関又は職員をいう。以下同じ。)に勧告するものとする。また、当該勧告の内容を請求人(法第242条第1項の規定による請求を行った者をいう。以下同じ。)及び議会に通知し、公表するものとする。
4 監査委員は、前項の規定による審査後であっても、必要があると認めるときは、改めて暫定的停止勧告の適否を審査するものとする。
(請求の受理に係る通知)
第4条 監査委員は、前条第1項の規定に基づき受理の決定をしたときは、その旨を請求人及び関係職員等に通知するものとする。
2 監査委員は、前条第1項の規定に基づき却下の決定をしたときは、その旨を請求人、議会及び市長に通知するとともに、これを公表するものとする。
(監査計画)
第5条 監査委員は、法第242条第5項の規定による監査を行うときは速やかに、次の各号に掲げる事項を記載した監査実施計画を策定するものとする。
(1) 監査の種類
(2) 監査の対象
(3) 監査の時期
(4) 監査の実施体制
(5) 着眼点
(6) その他監査の実施に関し必要と認める事項
(1) 監査を実施するに当たり、高度の専門的な知識経験が必要となること。
(2) その他個別外部監査によるべき相当の理由があること。
(個別外部監査人による監査との関係)
第7条 監査委員は、外部監査人の監査の実施に支障を来さないよう配慮するものとする。
2 監査委員は、外部監査人から監査の事務を補助させる者についての協議を受け、監査委員の合議により当該協議が調った場合には、直ちに補助者の氏名及び住所並びに補助できる期間を告示するものとする。
3 監査委員は、外部監査人から補助者が必要なくなった旨の通知を受けたときは、速やかに当該通知があった者の氏名及び住所並びにその者が補助者でなくなったことを告示するものとする。
4 代表監査委員は、外部監査人の求めに応じ、監査委員の監査の事務に支障のない範囲内において、監査事務局職員を外部監査人の監査の事務に協力させるものとする。
5 外部監査人において、請求人及び関係職員等の陳述の聴取を行う場合であって、請求人及び関係職員等の立会の要否並びに学識経験を有する者等からの意見聴取の要否の判断の必要性があると認められるときは、監査委員は外部監査人と協議を行い、監査委員の合議によりそれを決定するものとする。
(監査結果の決定)
第8条 監査委員は、監査を終了したとき又は個別外部監査人から個別外部監査の結果に関する報告を受けたときは、合議により監査結果の決定を行うものとする。
(合議不調の場合の取扱い)
第9条 法第242条第5項の規定による監査及び勧告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、同条第11項に規定する合議により決定することができない場合には、その旨及び各監査委員の意見を書面により請求人に通知するとともに、これらを公表するものとする。
(監査結果等の通知及び公表)
第10条 監査委員は、第8条の監査結果の決定に従い、次のとおり処理するものとする。
(1) 請求に理由があると認めるときは、議会又は関係職員等に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人、議会及び市長に通知し(勧告の対象である場合を除く。)、公表するものとする。
(2) 請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人、議会及び関係職員等に通知し、公表するものとする。
(3) 監査において要件が欠けていることが判明したときは、その旨を書面により請求人、議会及び関係職員等に通知し、公表するものとする。
2 前項の勧告の決定は、監査委員の合議によるものとする。
(監査結果等の通知への記載事項)
第11条 監査結果等の通知には、原則として次に掲げる事項その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。
(1) 本規程に準拠している旨
(2) 監査の種類
(3) 監査の対象
(4) 監査の着眼点
(5) 監査の実施内容
(6) 監査の結果
(措置結果の公表等)
第12条 監査委員は、第10条第1項第1号の規定による勧告を受けた議会又は関係職員等から措置の内容の通知を受けた場合は、請求人及び議会に当該通知に係る事項を通知するとともに、これを公表するものとする。
(監査結果等)
第14条 監査委員は、監査計画、監査の内容、判断の過程、証拠及び結果その他の監査委員が必要と認める事項を監査調書等として作成し、保存するものとする。なお、保存する監査調書等の種類については、福岡市監査基準に基づき監査委員が行う監査等に準じるものとする。
第3章 住民監査請求に係る手続
(請求の方法)
第15条 請求は、地方自治法施行規則(昭和22年内務省令第29号)第13条又は第17条の14に規定する様式により、監査委員に提出して行わなければならない。
2 請求書(地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「令」という。)第172条第1項に規定する文書をいう。以下同じ。)の提出方法は、持参又は郵送によるものとする。
3 次の各号のいずれかに該当する場合には、請求書には、令第172条第2項に規定する様式に記載すべき事項のほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 請求人が次条に定める代理人によって請求をする場合 代理人の署名及び住所
(2) 請求人が法人その他の社団又は財団(以下「法人等」という。)である場合 その代表者又は管理人の署名
(代理人による請求)
第16条 請求人は、請求及び当該請求に関する行為の全部又は一部を行わせるため、代理人を選任することができる。
2 請求人は、前項に基づき代理人を選任するに当たり、委任状を提出しなければならない。
3 請求人は、代理人がその資格を失ったときは、書面でその旨を監査委員に届け出なければならない。
(法人等による請求)
第17条 請求人が法人等である場合における代表者又は管理人の資格は、書面で証明しなければならない。
2 法人等の代表者又は管理人がその資格を失ったときは、書面でその旨を監査委員に届け出るとともに、新たな代表者又は管理人の資格について、書面で証明しなければならない。
(請求の受付等)
第18条 監査委員は、複数の請求人から同一内容の請求を受け付けた場合において、請求人を代表する者(以下「請求代表者」という。)が選任されていないときは、当該請求人に対し、請求代表者を選任し届け出るよう求めることができる。
2 前項の規定により請求代表者が届け出られた場合における監査委員の請求人に対する通知の正本は、当該請求代表者に対して交付するものとし、その他の請求人に対しては写しを交付するものとする。
(請求の取下げ)
第19条 請求人は、請求の全部又は一部を取り下げようとするときは、書面でその旨を監査委員に届け出なければならない。
(請求の補正)
第20条 監査委員は、請求に不備があると認めるときは、請求人に対し、相当の期間を定めて、その期間内にその不備について補正を求める旨通知するものとする。ただし、その不備を補正することができないことが明らかなときは、この限りでない。
(議会及び市長への通知)
第21条 監査委員は、請求を受け付けたときは、直ちに請求の要旨を議会及び市長に通知する。ただし、前条の補正を要する場合は、当該補正がなされた後に通知する。なお、当該通知には請求人の氏名及び住所を表示しない。
2 監査委員は、請求が取り下げられたときは、その旨を議会及び市長に通知する。
(証拠の提出)
第22条 法第242条第7項の規定による証拠の提出の期限は、監査委員が定める。
(陳述の聴取の場所等)
第23条 請求人及び関係職員等の陳述の聴取(以下「陳述の聴取」という。)は、監査委員が定める日時及び場所において実施するものとする。
2 監査委員は、陳述の聴取を実施するときは、その日時及び場所を陳述又は立会いをする請求人又は関係職員等に通知するものとする。
3 陳述の聴取は、監査委員(法第199条の2の規定により除斥された監査委員を除く。)の半数以上が出席しなければ、実施することができない。
(請求人の陳述)
第24条 監査委員は、請求人が複数であるときは、請求代表者が選出した者に陳述を行わせることがある。
2 請求人の陳述は、請求書に記載した内容を補足する範囲内で、監査委員の指示に従い行うものとする。
3 請求人が本人に代わって代理人に陳述させようとするときは、請求人は、その陳述を行う日までに、監査委員に対し委任状を提出しなければならない。
4 請求人は、補佐人を同席させる場合は、あらかじめ補佐人申請書を提出して監査委員の承諾を得るものとする。補佐人は2名以内とする。
5 請求人の陳述の時間は、監査委員がその都度定める時間以内とする。
6 次に掲げる場合は、請求人の陳述を制限することができる。
(1) 陳述をする者が第2項の規定に違反した場合
(2) 陳述をする者が複数いる場合において、陳述内容が重複する場合
(3) 陳述の時間が前項の時間を超えた場合
(陳述書)
第25条 前条第6項第3号の規定により陳述を制限された請求人は、監査委員が認めるときは、監査委員が定める日までに、陳述の内容を記載した書面(以下「陳述書」という。)を提出することができる。
2 請求人は、陳述を行わない場合であっても、監査委員が定める日までに陳述書を提出することができる。
3 監査委員は、請求人及び聴取が必要であると認める関係職員等に対し、監査委員が定める日までに、陳述書の提出を求めることができる。
(関係職員等の立会い)
第26条 請求人の陳述を聴取するときは、法第242条第8項の規定により、関係職員等を立ち会わせることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、関係職員等の立会いを制限することがある。
(1) 請求人から関係職員等の立会いを望まない旨の申出があった場合
(2) その他監査委員が関係職員等を立ち会わせることが適当でないと判断した場合
2 監査委員は、立会いをする関係職員等の数を制限することができる。
(関係職員等の陳述)
第27条 関係職員等の陳述は、請求の内容に関し、監査委員の指示に従い行うものとする。
(請求人の立会い)
第28条 関係職員等の陳述を聴取するときは、法第242条第8項の規定により、請求人を立ち会わせることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、請求人の立会いを制限することがある。
(1) 関係職員等により、福岡市の事業又は事業の執行に支障を及ぼすおそれのある情報や、公にすることにより個人の権利利益を侵害するおそれのある情報を含む内容の陳述がされると想定される場合
(2) その他監査委員が請求人を立ち会わせることが適当でないと判断した場合
2 監査委員は、立会いをしようとする請求人が複数の場合は、立会いをする者の数を制限することができる。
3 請求人が本人に代わって代理人を立ち会わせようとするときは、請求人は、その立会いの日までに、監査委員に対し委任状を提出しなければならない。
(陳述の聴取の公開)
第30条 陳述の聴取は、原則として公開で行うものとする。ただし、請求人の陳述の聴取の際、陳述する請求人において公開に同意しない者がいるとき、及び関係職員等の陳述の際、第28条第1項ただし書の規定により請求人の立会いを制限するときは非公開とする。また、陳述の状況から、監査委員が公開が相当でないと認めたときは、その場で非公開とする。
(傍聴の手続等)
第31条 陳述の聴取を傍聴する者(以下「傍聴人」という。)の数は、監査委員がその都度定める人数以内とし、陳述の聴取の傍聴を希望する者(以下「傍聴希望者」という。)は、監査委員が別に定める傍聴人受付票を提出して傍聴を申し込まなければならない。
2 傍聴人は、前項に規定する傍聴人受付票を提出した傍聴希望者から先着順で決定する。ただし、監査委員が特に必要があると認めるときは、先着順以外の方法で傍聴人を決定することができる。
3 前2項の規定にかかわらず、傍聴希望者のうち報道機関に所属する者で、監査委員が認めるものは、所属する報道機関の名称及び氏名を申し出ることにより、取材のため傍聴することができる。
(傍聴の禁止)
第32条 次の各号の一に該当する者は、傍聴することができない。
(1) 酒気を帯びていると認められる者
(2) 凶器その他危険のおそれのある物を携帯する者
(3) 旗、のぼり、ビラ、プラカードの類及びヘルメットを携帯する者
(4) 鉢巻、たすき、腕章、ゼッケン等を着用している者
(5) その他陳述の円滑な運営を妨げるおそれのある者
(傍聴人の守るべき事項)
第33条 傍聴人は次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 陳述人の発言に対して拍手その他の方法により賛否を表明しないこと。
(2) 静粛を旨とし、放歌、談笑、私語その他騒がしい行為をしないこと。
(3) 携帯電話等の電子機器類について、陳述の聴取の支障とならないよう電源を切るか、又は音を発しない措置をとること。ただし、第35条に規定する場合を除く。
(4) みだりに自席を離れ、又は所定の傍聴席以外の場所に立ち入らないこと。
(5) 喫煙又は監査委員の許可のない飲食をしないこと。
(6) 監査委員の指示に反する行為をしないこと。
(7) その他陳述会場の秩序を乱し、又は陳述の妨害となる行為をしないこと。
(傍聴人の退場)
第34条 監査委員は、次の各号の一に該当するときは、傍聴人に退場を命ずるものとする。
(1) 傍聴人が前2条の規定に違反したとき。
(2) 陳述の状況から、監査委員が公開が相当ではないと認めたとき。
(陳述の撮影及び録音)
第35条 監査事務局が職務として行うものを除き、写真、ビデオ等の撮影及び録音は、認めない。
(1) 請求人、傍聴人又は関係職員等が申出を行い、監査委員の許可を得た場合 請求人が陳述を開始する前までの冒頭部分のみの撮影及び録音
(2) 請求人が自己の陳述内容の記録のために録音の申出を行い、監査委員の許可を得た場合 当該請求人の陳述部分のみの録音
(陳述調書の作成)
第36条 監査委員は、陳述を聴取したときは陳述調書を作成する。
2 陳述調書には、次に掲げる事項を記載し、陳述の要旨を記録した録取書を添付しなければならない。
(1) 陳述の日時及び場所
(2) 陳述人の氏名及び住所(関係職員等の陳述の場合は、所属、職及び氏名)
(3) 立会いの有無及び立会人の氏名及び住所(関係職員等の立会いの場合は、所属、職及び氏名)
(4) 陳述を聴取した監査委員の氏名
3 陳述人が陳述書を提出したときは、録取書に代えて陳述書を陳述調書に添付することができる。
(補則)
第37条 この規程に定めるもののほか、住民監査請求に基づく監査の実施に関し必要な事項は、監査委員が合議により別途決定する。
附則
この規程は、公布の日から施行する。