○福岡市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定める条例

平成24年12月27日

条例第69号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 人員に関する基準(第4条)

第3章 施設及び設備に関する基準(第5条・第6条)

第4章 運営に関する基準(第7条―第18条)

第5章 ユニット型介護老人保健施設の基本方針並びに施設及び設備並びに運営に関する基準

第1節 この章の趣旨及び基本方針(第19条・第20条)

第2節 施設及び設備に関する基準(第21条・第22条)

第3節 運営に関する基準(第23条・第24条)

第6章 雑則(第25条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この条例は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第97条第1項から第3項までの規定に基づき、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において使用する用語の意義は、法の例による。

(基本方針)

第3条 介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることとともに、その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。

2 介護老人保健施設は、入所者の意思及び人格を尊重し、常に入所者の立場に立って介護保健施設サービスの提供に努めなければならない。

3 介護老人保健施設は、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、居宅介護支援事業者(居宅介護支援事業を行う者をいう。以下同じ。)、居宅サービス事業者(居宅サービス事業を行う者をいう。以下同じ。)、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

4 介護老人保健施設は、入所者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない。

5 介護老人保健施設は、介護保健施設サービスを提供するに当たっては、法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に行うよう努めなければならない。

(令和3条例29・一部改正)

第2章 人員に関する基準

第4条 介護老人保健施設には、医師及び看護師のほか、次に掲げる従業者を置かなければならない。

(1) 薬剤師

(2) 准看護師又は介護職員

(3) 支援相談員

(4) 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士

(5) 栄養士又は管理栄養士

(6) 介護支援専門員

(7) 調理員、事務員その他の従業者

2 前項各号に掲げる従業者に関し必要な基準は、規則で定める。

(令和3条例29・一部改正)

第3章 施設及び設備に関する基準

(施設)

第5条 介護老人保健施設は、療養室、診察室及び機能訓練室のほか、次に掲げる施設を設けなければならない。ただし、サテライト型小規模介護老人保健施設(当該施設を設置しようとする者により設置される当該施設以外の介護老人保健施設若しくは介護医療院又は病院若しくは診療所であって当該施設に対する支援機能を有するもの(以下「本体施設」という。)との密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営され、入所者の在宅への復帰の支援を目的とする定員29人以下の介護老人保健施設をいう。以下同じ。)の場合にあっては、本体施設の施設を利用することにより当該サテライト型小規模介護老人保健施設及び当該本体施設の入所者の処遇が適切に行われると認められるときは、調理室、洗濯室又は洗濯場及び汚物処理室を、医療機関併設型小規模介護老人保健施設(介護医療院又は病院若しくは診療所に併設され、入所者の在宅への復帰の支援を目的とする定員29人以下の介護老人保健施設であって、サテライト型小規模介護老人保健施設以外のものをいう。以下同じ。)の場合にあっては、併設される介護医療院又は病院若しくは診療所の施設を利用することにより、当該医療機関併設型小規模介護老人保健施設及び当該介護医療院又は病院若しくは診療所の入所者及び入院患者の処遇が適切に行われると認められるときは、療養室及び診察室を除き、これらの施設を設けないことができる。

(1) 談話室

(2) 食堂

(3) 浴室

(4) レクリエーション・ルーム

(5) 洗面所

(6) 便所

(7) サービス・ステーション

(8) 調理室

(9) 洗濯室又は洗濯場

(10) 汚物処理室

2 前項各号に掲げる施設に関し必要な基準は、規則で定める。

(平成30条例42・一部改正)

(構造設備の基準)

第6条 介護老人保健施設の建物(入所者の療養生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)とする。ただし、規則で定める要件を満たす2階建て又は平屋建ての介護老人保健施設の建物にあっては、準耐火建築物(同条第9号の3に規定する準耐火建築物をいう。以下同じ。)とすることができる。

2 前項の規定にかかわらず、市長が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、規則で定める要件を満たす木造かつ平屋建ての介護老人保健施設の建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

3 介護老人保健施設は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備及び入所者に対する介護保健施設サービスの提供を適切に行うために必要な設備を設けなければならない。

4 前3項に規定するもののほか、介護老人保健施設の構造設備に関し必要な基準は、規則で定める。

第4章 運営に関する基準

(内容及び手続の説明及び同意)

第7条 介護老人保健施設は、介護保健施設サービスの提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、施設の運営についての重要事項に関する規程の概要、従業者の勤務の体制その他の入所申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について文書により入所申込者の同意を得なければならない。

(提供拒否の禁止)

第8条 介護老人保健施設は、正当な理由なく介護保健施設サービスの提供を拒んではならない。

(入退所)

第9条 介護老人保健施設は、その心身の状況及び病状並びにその置かれている環境に照らし、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療等が必要であると認められる者を対象に、介護保健施設サービスを提供するものとする。

2 介護老人保健施設は、入所申込者の数が入所定員から入所者の数を差し引いた数を超えている場合には、医学的管理の下における介護及び機能訓練の必要性を勘案し、介護保健施設サービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない。

3 介護老人保健施設は、入所申込者の入所に際しては、その者に係る居宅介護支援事業者に対する照会等により、その者の心身の状況、生活歴、病歴、指定居宅サービス等(法第8条第24項に規定する指定居宅サービス等をいう。)の利用状況等の把握に努めなければならない。

4 介護老人保健施設は、入所者の心身の状況、病状、その置かれている環境等に照らし、その者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討し、その内容等を記録しなければならない。

5 前項の検討に当たっては、医師、薬剤師、看護師、准看護師、介護職員、支援相談員、介護支援専門員等の従業者の間で協議しなければならない。

6 介護老人保健施設は、入所者の退所に際しては、その者又はその家族に対し、適切な指導を行うとともに、居宅サービス計画の作成等の援助に資するため、居宅介護支援事業者に対する情報の提供に努めるほか、退所後の主治の医師に対する情報の提供その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

(平成28条例47・一部改正)

(介護保健施設サービスの取扱方針)

第10条 介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づき、入所者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等を踏まえて、その者の療養を適切に行わなければならない。

2 介護保健施設サービスは、施設サービス計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して行われなければならない。

3 介護老人保健施設の従業者は、介護保健施設サービスの提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、入所者又はその家族に対し、療養上必要な事項について、理解しやすいように指導又は説明を行わなければならない。

4 介護老人保健施設は、介護保健施設サービスの提供に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。

5 前項の緊急やむを得ない場合とは、身体拘束廃止委員会(管理者及び入所者の介護保健施設サービスの提供を担当する者から構成され、身体的拘束等に係る判断、身体的拘束等の適正化のための対策その他必要な事項について検討を行う会議をいい、テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。以下同じ。)が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。

(1) 入所者又は他の入所者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。

(2) 身体的拘束等を行う以外に当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。

(3) 身体的拘束等が一時的なものであること。

6 介護老人保健施設は、身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 前項の規定による身体拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 当該身体的拘束等が必要な理由、その態様、時間その他必要な事項について入所者又はその家族に対して説明した上で、文書により入所者の同意を得ること。

(3) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに第4項の緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。

7 介護老人保健施設は、身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等が第5項各号に定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等が同項各号に定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。

8 介護老人保健施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 身体拘束廃止委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。

(3) 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。

9 介護老人保健施設は、自らその提供する介護保健施設サービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

(平成30条例42・令和3条例29・一部改正)

(診療の方針)

第11条 医師の診療の方針は、次に掲げるところによるものとする。

(1) 診療は、一般に医師として必要性があると認められる疾病又は負傷に対して、的確な診断を基とし、療養上適切に行われること。

(2) 診療に当たっては、常に医学の立場を堅持して、入所者の心身の状況を観察し、要介護者の心理が健康に及ぼす影響を十分配慮して、心理的な効果をもあげることができるよう適切な指導を行うこと。

(3) 常に入所者の病状、心身の状況及びその置かれている環境等の的確な把握に努め、入所者又はその家族に対し、適切な指導を行うこと。

(4) 検査、投薬、注射、処置等は、入所者の病状に照らして適切に行われること。

(5) 特殊な療法又は新しい療法等については、別に厚生労働大臣が定めるもののほか行わないこと。

(6) 別に厚生労働大臣が定める医薬品以外の医薬品を入所者に施用し、又は処方しないこと。

(管理者による管理)

第12条 介護老人保健施設の管理者は、専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、当該介護老人保健施設の管理上支障のない場合は、同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとし、管理者が本体施設(介護老人保健施設に限る。以下この条において同じ。)に従事する場合であって、当該本体施設の管理上支障のない場合は、次に掲げる施設の職務に従事できるものとする。

(1) サテライト型小規模介護老人保健施設

(2) サテライト型特定施設(本体施設との密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される指定地域密着型特定施設(福岡市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等を定める条例(平成24年福岡市条例第67号。以下この条において「指定地域密着型サービス基準条例」という。)第62条第1項に規定する指定地域密着型特定施設をいう。)をいう。)

(3) サテライト型居住施設(当該施設を設置しようとする者により設置される当該施設以外の指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設又は病院若しくは診療所であって当該施設に対する支援機能を有するものとの密接な連携を確保しつつ、これらとは別の場所で運営される指定地域密着型介護老人福祉施設(指定地域密着型サービス基準条例第72条第1項に規定する指定地域密着型介護老人福祉施設をいう。)をいう。)

(管理者の責務)

第13条 介護老人保健施設の管理者は、当該介護老人保健施設の従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。

2 介護老人保健施設の管理者は、従業者にこの章及びこの条例に基づく規則の規定(介護老人保健施設の運営に関する基準に係る規定に限る。)を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。

(非常災害対策)

第14条 介護老人保健施設は、非常災害に関する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、それらを定期的に従業者に周知するとともに、定期的に避難、救出その他の必要な訓練を行わなければならない。

2 介護老人保健施設は、前項に規定する具体的計画を立てる際には、想定される非常災害の種類及び規模に応じ、それぞれ立てなければならない。

3 介護老人保健施設は、第1項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。

(令和3条例29・一部改正)

(秘密保持等)

第15条 介護老人保健施設の従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2 介護老人保健施設は、従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

3 介護老人保健施設は、居宅介護支援事業者等に対して、入所者に関する情報を提供する際には、あらかじめ文書により入所者の同意を得ておかなければならない。

(苦情処理)

第16条 介護老人保健施設は、提供した介護保健施設サービスに関する入所者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。

2 介護老人保健施設は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。

3 介護老人保健施設は、提供した介護保健施設サービスに関し、法第23条の規定による市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、入所者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

4 介護老人保健施設は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。

5 介護老人保健施設は、提供した介護保健施設サービスに関する入所者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第45条第5項に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第176条第1項第3号の規定による調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号の規定による指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

6 介護老人保健施設は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。

(事故発生の防止及び発生時の対応)

第17条 介護老人保健施設は、事故の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。

(2) 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、その事実が報告されるとともに、当該事実の分析を通した改善策について、従業者に周知徹底を図る体制を整備すること。

(3) 事故発生の防止のための委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)及び従業者に対する研修を定期的に行うこと。

(4) 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

2 介護老人保健施設は、入所者に対する介護保健施設サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。

3 介護老人保健施設は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。

4 介護老人保健施設は、入所者に対する介護保健施設サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

(令和3条例29・一部改正)

(虐待の防止)

第17条の2 介護老人保健施設は、当該介護老人保健施設における虐待の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 当該介護老人保健施設における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 当該介護老人保健施設における虐待の防止のための指針を整備すること。

(3) 当該介護老人保健施設において、介護職員その他の従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。

(4) 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

(令和3条例29・追加)

(暴力団員等の排除)

第18条 介護老人保健施設の管理者は、福岡市暴力団排除条例(平成22年福岡市条例第30号)第2条第2号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は同条第1号に規定する暴力団(以下「暴力団」という。)若しくは暴力団員と密接な関係を有する者であってはならない。

2 介護老人保健施設は、その運営について、暴力団、暴力団員及び暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する者の支配を受けてはならない。

第5章 ユニット型介護老人保健施設の基本方針並びに施設及び設備並びに運営に関する基準

第1節 この章の趣旨及び基本方針

(この章の趣旨)

第19条 第3条及び前2章の規定にかかわらず、ユニット型介護老人保健施設(施設の全部において少数の療養室及び当該療養室に近接して設けられる共同生活室(当該療養室の入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所をいう。以下同じ。)により一体的に構成される場所(以下「ユニット」という。)ごとに入居者の日常生活が営まれ、これに対する支援が行われる介護老人保健施設をいう。以下同じ。)の基本方針並びに施設及び設備並びに運営に関する基準については、この章に定めるところによる。

(基本方針)

第20条 ユニット型介護老人保健施設は、入居者一人ひとりの意思及び人格を尊重し、施設サービス計画に基づき、その居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮しながら、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援しなければならない。

2 ユニット型介護老人保健施設は、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村、居宅介護支援事業者、居宅サービス事業者、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

3 ユニット型介護老人保健施設は、入居者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない。

4 ユニット型介護老人保健施設は、介護保健施設サービスを提供するに当たっては、法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に行うよう努めなければならない。

(令和3条例29・一部改正)

第2節 施設及び設備に関する基準

(施設)

第21条 ユニット型介護老人保健施設は、療養室、診察室及び機能訓練室のほか、次に掲げる施設を設けなければならない。ただし、ユニット型サテライト型小規模介護老人保健施設(ユニットごとに入居者の日常生活が営まれ、これに対する支援が行われるサテライト型小規模介護老人保健施設をいう。以下同じ。)の場合にあっては、本体施設の施設を利用することにより、当該ユニット型サテライト型小規模介護老人保健施設及び当該本体施設の入居者の処遇が適切に行われると認められるときは、調理室、洗濯室又は洗濯場及び汚物処理室を、ユニット型医療機関併設型小規模介護老人保健施設(ユニットごとに入居者の日常生活が営まれ、これに対する支援が行われる医療機関併設型小規模介護老人保健施設をいう。以下同じ。)の場合にあっては、併設される介護医療院又は病院若しくは診療所の施設を利用することにより、当該ユニット型医療機関併設型小規模介護老人保健施設及び当該介護医療院又は病院若しくは診療所の入居者又は入院患者の処遇が適切に行われると認められるときは、療養室及び診察室を除き、これらの施設を設けないことができる。

(1) ユニット

 共同生活室

 洗面所

 便所

(2) 浴室

(3) サービス・ステーション

(4) 調理室

(5) 洗濯室又は洗濯場

(6) 汚物処理室

2 前項各号に掲げる施設に関し必要な基準は、規則で定める。

(平成30条例42・一部改正)

(構造設備の基準)

第22条 ユニット型介護老人保健施設の建物(入居者の療養生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物とする。ただし、規則で定める要件を満たす2階建て又は平屋建てのユニット型介護老人保健施設の建物にあっては、準耐火建築物とすることができる。

2 前項の規定にかかわらず、市長が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、規則で定める要件を満たす木造かつ平屋建てのユニット型介護老人保健施設の建物であって、火災に係る入居者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

3 ユニット型介護老人保健施設は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備及び入居者に対する介護保健施設サービスの提供を適切に行うために必要な設備を設けなければならない。

4 前3項に規定するもののほか、ユニット型介護老人保健施設の構造設備に関し必要な基準は、規則で定める。

第3節 運営に関する基準

(介護保健施設サービスの取扱方針)

第23条 介護保健施設サービスは、入居者が、その有する能力に応じて、自らの生活様式及び生活習慣に沿って自律的な日常生活を営むことができるようにするため、施設サービス計画に基づき、入居者の日常生活上の活動について必要な援助を行うことにより、入居者の日常生活を支援するものとして行われなければならない。

2 介護保健施設サービスは、各ユニットにおいて入居者がそれぞれの役割を持って生活を営むことができるよう配慮して行われなければならない。

3 介護保健施設サービスは、入居者のプライバシーの確保に配慮して行われなければならない。

4 介護保健施設サービスは、入居者の自立した生活を支援することを基本として、入居者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等を常に把握しながら、適切に行われなければならない。

5 ユニット型介護老人保健施設の従業者は、介護保健施設サービスの提供に当たって、入居者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行わなければならない。

6 ユニット型介護老人保健施設は、介護保健施設サービスの提供に当たっては、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならない。

7 前項の緊急やむを得ない場合とは、身体拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。

(1) 入居者又は他の入居者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。

(2) 身体的拘束等を行う以外に当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。

(3) 身体的拘束等が一時的なものであること。

8 ユニット型介護老人保健施設は、身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 前項の規定による身体拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 当該身体的拘束等が必要な理由、その態様、時間その他必要な事項について入居者又はその家族に対して説明した上で、文書により入居者の同意を得ること。

(3) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに第6項の緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。

9 ユニット型介護老人保健施設は、身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等が第7項各号に定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等が同項各号に定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。

10 ユニット型介護老人保健施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 身体拘束廃止委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。

(3) 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。

11 ユニット型介護老人保健施設は、自らその提供する介護保健施設サービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

(平成30条例42・一部改正)

(準用)

第24条 第7条から第9条まで及び第11条から第18条までの規定は、ユニット型介護老人保健施設について準用する。この場合において、第13条第2項中「この章」とあるのは、「第5章第3節」と読み替えるものとする。

第6章 雑則

(委任)

第25条 この条例に定めるもののほか、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 一般病床(医療法(昭和23年法律第205号)第7条第2項第5号に規定する一般病床をいう。以下同じ。)、精神病床(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた介護保険法施行令第4条第2項に規定する病床に係るものに限る。以下同じ。)若しくは療養病床(医療法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。以下同じ。)を有する病院又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の開設者が、当該病院の一般病床、精神病床若しくは療養病床又は当該診療所の一般病床若しくは療養病床を平成36年3月31日までの間に転換(当該病院の一般病床、精神病床若しくは療養病床又は当該診療所の一般病床若しくは療養病床の病床数を減少させるとともに、当該病院又は診療所の施設を介護老人保健施設、軽費老人ホーム(老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の6に規定する軽費老人ホームをいう。)その他の要介護者、要支援者その他の者を入所又は入居させるための施設の用に供することをいう。)を行って介護老人保健施設を開設する場合においては、第6条第1項の規定は、適用しない。

(平成30条例42・一部改正)

3 平成17年10月1日前から引き続き法第94条第1項の規定による開設の許可を受けている介護老人保健施設(同日以後に建物の規模又は構造を変更したものを除く。)は、介護老人保健施設であってユニット型介護老人保健施設でないものとみなす。ただし、当該介護老人保健施設が、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(平成17年厚生労働省令第139号)による改正後の介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第2章及び第5章に規定する基準を満たし、かつ、その旨を福岡県知事に申し出た場合には、この限りでない。

4 第3条及び第2章から第5章までの規定にかかわらず、平成17年10月1日以前に法第94条第1項の規定による開設の許可を受けている介護老人保健施設(同日において建築中のものであって、同月2日以後に同項の規定による開設の許可を受けたものを含む。以下この項において「平成17年前介護老人保健施設」という。)であって、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第106号)による改正前の介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(以下「介護老人保健施設旧基準」という。)第51条に規定する一部ユニット型介護老人保健施設であるもの(平成23年9月1日において現に改修、改築又は増築中の平成17年前介護老人保健施設(ユニット型介護老人保健施設を除く。)であって、同日以後に同条に規定する一部ユニット型介護老人保健施設に該当することとなったものを含む。以下「一部ユニット型介護老人保健施設」という。)の基本方針並びに人員、施設及び設備並びに運営に関する基準については、この条例の施行の日以後最初の指定の更新までの間は、介護老人保健施設旧基準第2条及び次項から附則第9項までに定めるところによることができる。

5 一部ユニット型介護老人保健施設の基本方針は、ユニットごとに入居者の日常生活が営まれ、これに対する支援が行われる部分(以下「ユニット部分」という。)にあっては第20条に、それ以外の部分にあっては第3条に定めるところによる。

6 一部ユニット型介護老人保健施設の施設及び設備に関する基準は、ユニット部分にあっては第21条及び第22条に、それ以外の部分にあっては第5条及び第6条に定めるところによる。ただし、診察室、機能訓練室、浴室、サービス・ステーション、調理室、洗濯室又は洗濯場及び汚物処理室については、ユニット部分の入居者及びそれ以外の部分の入所者へのサービスの提供に支障がないときは、それぞれ一の設備をもって、ユニット部分及びそれ以外の部分に共通の施設及び設備とすることができる。

7 一部ユニット型介護老人保健施設の運営に関する基準のうち、介護保健施設サービスの取扱方針は、ユニット部分にあっては第23条に、それ以外の部分にあっては第10条に定めるところによる。

8 第7条から第9条まで及び第11条から第18条までの規定は、一部ユニット型介護老人保健施設について準用する。この場合において、第13条第2項中「この章及び」とあるのは、「附則第7項並びに附則第8項において準用する第7条から第9条まで及び第11条から第18条まで並びに」と読み替えるものとする。

9 附則第5項から前項までに定めるもののほか、一部ユニット型介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関し必要な経過措置は、規則で定める。

(平成28年3月28日条例第47号)

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

(平成30年3月29日条例第42号)

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(令和3年3月29日条例第29号)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

(虐待の防止に係る経過措置)

2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から令和6年3月31日までの間、この条例による改正後の福岡市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定める条例(以下「改正後の条例」という。)第3条第4項、第17条の2(改正後の条例第24条において準用する場合を含む。)及び第20条第3項の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは、「講じるよう努めなければ」とする。

(事故発生の防止及び発生時の対応に係る経過措置)

3 施行日から起算して6月を経過する日までの間、改正後の条例第17条第1項(改正後の条例第24条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同項中「次に掲げる措置を講じなければ」とあるのは、「第1号から第3号までに掲げる措置を講じるとともに、第4号に掲げる措置を講じるよう努めなければ」とする。

福岡市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定める条例

平成24年12月27日 条例第69号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第8類 生/第2章
沿革情報
平成24年12月27日 条例第69号
平成28年3月28日 条例第47号
平成30年3月29日 条例第42号
令和3年3月29日 条例第29号