○福岡市養護老人ホームの設備及び運営の基準を定める条例

平成24年12月27日

条例第63号

(趣旨)

第1条 この条例は、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第17条第1項の規定に基づき、養護老人ホームの設備及び運営の基準を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において使用する用語の意義は、老人福祉法の例による。

(基本方針)

第3条 養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画(以下「処遇計画」という。)に基づき、社会復帰の促進及び自立のために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。

2 養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って処遇を行うように努めなければならない。

3 養護老人ホームは、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇に努めるとともに、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

4 養護老人ホームは、入所者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その職員に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない。

(令和3条例20・一部改正)

(構造設備の一般原則)

第4条 養護老人ホームの配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等入所者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

(非常災害対策)

第5条 養護老人ホームは、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、それらを定期的に職員に周知するとともに、定期的に避難、救出その他の必要な訓練を行わなければならない。

2 養護老人ホームは、前項に規定する具体的計画を立てる際には、想定される非常災害の種類及び規模に応じ、それぞれ立てなければならない。

3 養護老人ホームは、第1項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。

(令和3条例20・一部改正)

(規模)

第6条 養護老人ホームは、20人以上(特別養護老人ホームに併設する場合にあっては、10人以上)の人員を入所させることができる規模を有しなければならない。

(設備)

第7条 養護老人ホームの建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)又は準耐火建築物(同条第9号の3に規定する準耐火建築物をいう。以下同じ。)でなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、市長が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、規則で定める要件を満たす木造かつ平屋建ての養護老人ホームの建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

3 養護老人ホームには、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該養護老人ホームの効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、次に掲げる設備の一部を設けないことができる。

(1) 居室

(2) 静養室

(3) 食堂

(4) 集会室

(5) 浴室

(6) 洗面所

(7) 便所

(8) 医務室

(9) 調理室

(10) 宿直室

(11) 職員室

(12) 面談室

(13) 洗濯室又は洗濯場

(14) 汚物処理室

(15) 霊安室

(16) 前各号に掲げるもののほか、事務室その他の運営上必要な設備

4 前項各号に掲げる設備その他養護老人ホームの設備に関し必要な基準は、規則で定める。

(職員配置の基準)

第8条 養護老人ホームには、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、特別養護老人ホームに併設する入所定員50人未満の養護老人ホーム(併設する特別養護老人ホームの栄養士との連携を図ることにより当該養護老人ホームの効果的な運営を期待することができ、かつ、入所者の処遇に支障がないものに限る。)にあっては第6号の栄養士を、調理業務の全部を委託する養護老人ホームにあっては第7号の調理員を置かないことができる。

(1) 養護老人ホームの長(以下「施設長」という。)

(2) 医師

(3) 生活相談員

(4) 支援員

(5) 看護師又は准看護師

(6) 栄養士

(7) 調理員、事務員その他の職員

2 前項各号に掲げる職員に関し必要な基準は、規則で定める。

(入退所)

第9条 養護老人ホームは、入所予定者の入所に際しては、その者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めなければならない。

2 養護老人ホームは、入所者の心身の状況、その置かれている環境等に照らし、その者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて常に配慮しなければならない。

3 養護老人ホームは、その心身の状況、その置かれている環境等に照らし、居宅において日常生活を営むことができると認められる入所者に対し、その者及びその家族の希望、その者が退所後に置かれることとなる生活環境等を勘案し、その者の円滑な退所のために必要な援助に努めなければならない。

4 養護老人ホームは、入所者の退所に際しては、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

5 養護老人ホームは、入所者の退所後も、必要に応じ、当該入所者及びその家族等に対する相談援助を行うとともに、適切な援助に努めなければならない。

(処遇の方針)

第10条 養護老人ホームは、入所者について、その者が有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、その心身の状況等に応じて、社会復帰の促進及び自立のために必要な指導及び訓練その他の援助を適切に行わなければならない。

2 入所者の処遇は、処遇計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して、行われなければならない。

3 養護老人ホームの職員は、入所者の処遇に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、入所者又はその家族に対し、処遇上必要な事項について、理解しやすいように説明を行わなければならない。

4 養護老人ホームは、入所者の処遇に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。

5 前項の緊急やむを得ない場合とは、身体拘束廃止委員会(施設長及び入所者の処遇を担当する者から構成され、身体的拘束等に係る判断、身体的拘束等の適正化のための対策その他必要な事項について検討を行う会議をいい、テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。以下同じ。)が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。

(1) 入所者又は他の入所者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。

(2) 身体的拘束等を行う以外に当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。

(3) 身体的拘束等が一時的なものであること。

6 養護老人ホームは、身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 前項の規定による身体拘束廃止委員会の判断の結果について、生活相談員その他の職員に周知徹底を図ること。

(2) 当該身体的拘束等が必要な理由、その態様、時間その他必要な事項について入所者又はその家族に対して説明した上で、文書により入所者の同意を得ること。

(3) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに第4項の緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。

7 養護老人ホームは、身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等が第5項各号に定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等が同項各号に定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。

8 養護老人ホームは、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 身体拘束廃止委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、支援員その他の従業者に周知徹底を図ること。

(2) 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。

(3) 支援員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。

(平成30条例42・令和3条例20・一部改正)

(施設長の責務)

第11条 施設長は、養護老人ホームの職員の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。

2 施設長は、職員にこの条例及びこの条例に基づく規則の規定を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。

(秘密保持等)

第12条 養護老人ホームの職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2 養護老人ホームは、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

(苦情への対応)

第13条 養護老人ホームは、その行った処遇に関する入所者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。

2 養護老人ホームは、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。

3 養護老人ホームは、その行った処遇に関し、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

4 養護老人ホームは、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。

5 養護老人ホームは、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第83条に規定する運営適正化委員会が行う同法第85条第1項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。

(事故発生の防止及び発生時の対応)

第14条 養護老人ホームは、事故の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。

(2) 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、その事実が報告されるとともに、当該事実の分析を通した改善策について、職員に周知徹底を図る体制を整備すること。

(3) 事故発生の防止のための委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)及び支援員その他の職員に対する研修を定期的に行うこと。

(4) 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

2 養護老人ホームは、入所者に対する処遇により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。

3 養護老人ホームは、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。

4 養護老人ホームは、入所者に対する処遇により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

(令和3条例20・一部改正)

(虐待の防止)

第14条の2 養護老人ホームは、当該養護老人ホームにおける虐待の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 当該養護老人ホームにおける虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。

(2) 当該養護老人ホームにおける虐待の防止のための指針を整備すること。

(3) 当該養護老人ホームにおいて、職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。

(4) 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

(令和3条例20・追加)

(暴力団員等の排除)

第15条 施設長は、福岡市暴力団排除条例(平成22年福岡市条例第30号)第2条第2号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は同条第1号に規定する暴力団(以下「暴力団」という。)若しくは暴力団員と密接な関係を有する者であってはならない。

2 養護老人ホームは、その運営について、暴力団、暴力団員及び暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する者の支配を受けてはならない。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、養護老人ホームの設備及び運営の基準は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 昭和62年3月9日前から引き続き存する養護老人ホームについては、第7条第3項第14号の規定は、当分の間、適用しない。

(平成30年3月29日条例第42号)

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(令和3年3月29日条例第20号)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

(虐待の防止に係る経過措置)

2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から令和6年3月31日までの間、この条例による改正後の福岡市養護老人ホームの設備及び運営の基準を定める条例(以下「改正後の条例」という。)第3条第4項及び第14条の2の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは、「講じるよう努めなければ」とする。

(事故発生の防止及び発生時の対応に係る経過措置)

3 施行日から起算して6月を経過する日までの間、改正後の条例第14条第1項の規定の適用については、同項中「次に掲げる措置を講じなければ」とあるのは、「第1号から第3号までに掲げる措置を講じるとともに、第4号に掲げる措置を講じるよう努めなければ」とする。

福岡市養護老人ホームの設備及び運営の基準を定める条例

平成24年12月27日 条例第63号

(令和3年4月1日施行)