○福岡市文化財保護条例

昭和48年3月31日

条例第33号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 市指定有形文化財(第4条―第18条)

第3章 市指定無形文化財(第19条―第24条)

第4章 市指定有形民俗文化財・市指定無形民俗文化財(第25条―第29条)

第5章 市指定史跡名勝天然記念物(第30条―第34条)

第5章の2 市選定保存技術(第34条の2―第34条の6)

第6章 市登録文化財(第35条―第41条)

第7章 文化財保護審議会(第42条・第43条)

第8章 補則(第44条)

第9章 罰則(第45条―第48条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び福岡県文化財保護条例(昭和30年福岡県条例第25号。以下「県条例」という。)の規定に基づき指定を受けた文化財以外の文化財で、市内に存するもののうち市にとつて重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて市民の文化の向上に資するとともに、わが国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、次の各号に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りよう、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第3条 教育委員会は、この条例の施行にあたつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 市指定有形文化財

(指定)

第4条 教育委員会は、本市の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び県条例第4条第1項の規定により県指定有形文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとつて重要なものを福岡市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知して行なう。

4 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があつた日からその効力を生ずる。

5 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第5条 市指定有形文化財が市指定有形文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除をするときは、前条第3項及び第4項の規定を準用する。

3 市指定有形文化財について法第27条第1項の規定により重要文化財の指定があつたとき、又は県条例第4条第1項の規定により県指定有形文化財の指定があつたときは、当該市指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。

4 前項の場合には、教育委員会はその旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。

5 第2項において準用する前条第3項の規定による市指定有形文化財の指定の解除の通知を受けたとき、及び前項の規定による通知を受けたときは、所有者は、すみやかに市指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第6条 市指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて定める教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。

2 市指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、もつぱら自己に代り当該市指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、市指定有形文化財の所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も、同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者の変更等)

第7条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、き損等)

第8条 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者。以下次条において同じ。)は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第9条 市指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合には、届出を要せず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りる。

(昭和51条例46・一部改正)

(管理又は修理の補助)

第10条 市指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の理由がある場合には、市は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。

(補助金の返還等)

第11条 前条第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、市は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者に対し、すでに交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理に関し条例、規則又は教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかつたとき。

(管理又は修理に関する勧告)

第12条 市指定有形文化財の管理が適当でないため当該市指定有形文化財が滅失し、き損し、又はこれを盗み取られるおそれがあると認められるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 市指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づいて行なう措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内で市の負担とすることができる。

4 前項の規定により市が費用を負担する場合には、第10条第2項及び前条の規定を準用する。

(有償譲渡の場合の納付金)

第12条の2 市が修理又は管理に関し必要な措置(以下この条において「修理等」という。)につき第10条第1項の規定により補助金を交付し、又は前条第3項の規定により費用を負担した市指定有形文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者(以下この条において「所有者等」という。)は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後当該市指定有形文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該修理等が行われた後当該市指定有形文化財の修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額を市に納付しなければならない。

2 補助又は費用負担に係る修理等が行われた後、当該市指定有形文化財を市に譲り渡した場合その他特別の事情がある場合には、市は前項の規定により納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。

(昭和51条例46・追加)

(現状変更等の制限)

第13条 市指定有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

4 第1項の許可を受けた者が許可の条件に従わなかつたときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

(昭和51条例46・一部改正)

(修理の届出等)

第14条 市指定有形文化財を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第10条第1項の規定による補助金の交付、第12条第2項の規定による勧告又は前条第1項の規定による許可を受けて修理を行なう場合は、この限りでない。

2 市指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言を与えることができる。

(公開)

第15条 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、6月以内の期間を限つて、教育委員会の行なう公開の用に供するため当該市指定有形文化財の出品を勧告することができる。

2 前項の場合において必要があると認めるときは、6月以内の期間を限つて、出品期間の更新を求めることができる。ただし、引き続き2年をこえてはならない。

3 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、3月以内の期間を限つて、当該市指定有形文化財の公開を勧告することができる。

4 第1項及び第2項の規定による出品のために要する費用は市の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は予算の範囲内で市の負担とすることができる。

5 市は、第1項及び第2項の規定により出品した所有者に対し、借損料を支給することができる。

6 教育委員会は、第1項及び第2項の規定により市指定有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該市指定有形文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。

7 第1項及び第2項の規定により出品したことに起因して当該市指定有形文化財が滅失し、又はき損したときは、市は、所有者に対し、通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者の責に帰すべき理由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

(昭和51条例46・一部改正)

第16条 前条第3項の規定による公開の場合又は市指定有形文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため第9条の規定による届出があつた場合には、教育委員会は、当該市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

(調査)

第17条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第18条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該市指定有形文化財に関しこの条例に基づいて行なう教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該市指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。

第3章 市指定無形文化財

(指定)

第19条 教育委員会は、本市の区域内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により重要無形文化財に指定されたもの及び県条例第23条第1項の規定により県指定無形文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとつて重要なものを福岡市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当つては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(保持団体にあつては、その代表者)として認定しようとするものに通知して行なう。

4 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。

5 前項の規定による追加認定には、第3項の規定を準用する。

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(解除)

第20条 市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知して行なう。

4 市指定無形文化財について法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定があつたとき、又は県条例第23条第1項の規定により県指定無形文化財の指定があつたときは、当該市指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。

5 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。

6 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(保持者の氏名変更等)

第21条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあつては、代表者であつた者)について、同様とする。

(昭和51条例46・一部改正)

(保存)

第22条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができる。

2 市は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当ることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

3 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項及び第11条の規定を準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

(公開)

第23条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、市指定無形文化財の公開を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。

2 前項の場合には、第15条第4項及び第16条の規定を、前項の規定により公開したことに起因して当該市指定無形文化財の記録が滅失し、又はき損した場合には、第15条第7項の規定を準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

(保存に関する助言又は勧告)

第24条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当ることを適当と認めるものに対し、その保存のために必要な助言又は勧告をすることができる。

(昭和51条例46・一部改正)

第4章 市指定有形民俗文化財・市指定無形民俗文化財

(昭和51条例46・改称)

(指定)

第25条 教育委員会は、本市の区域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第29条第1項の規定により県指定有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとつて重要なものを福岡市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要無形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第29条第1項の規定により県指定無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとつて重要なものを福岡市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定には、第4条第2項から第5項までの規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示してする。

(昭和51条例46・平成17条例98・平成24条例37・一部改正)

(解除)

第26条 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定の解除には、第5条第2項及び第5項の規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を告示してする。

4 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定があつたとき、又は県条例第29条第1項の規定による県指定有形民俗文化財又は県指定無形民俗文化財の指定があつたときは、当該市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。

5 前項の場合の市指定有形民俗文化財の指定の解除には、第5条第4項及び第5項の規定を準用する。

6 第4項の場合の市指定無形民俗文化財の指定の解除については、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(現状変更)

第27条 市指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

(昭和51条例46・一部改正)

(市指定有形民俗文化財に関する準用規定)

第28条 第6条から第12条の2まで及び第14条から第18条までの規定は、市指定有形民俗文化財について準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

(市指定無形民俗文化財の保存)

第28条の2 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形民俗文化財について自ら記録の作成その他の保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項及び第11条の規定を準用する。

(昭和51条例46・追加)

(市指定無形民俗文化財の記録の公開)

第28条の3 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

(昭和51条例46・追加)

2 前項の規定による公開には、第23条第2項の規定を準用する。

(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)

第28条の4 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

(昭和51条例46・追加)

(市指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)

第29条 教育委員会は、市指定無形文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要があるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、市は適当な者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項及び第11条の規定を準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

第5章 市指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第30条 教育委員会は、本市の区域内に存する記念物(法第109条第1項の規定により史跡名勝天然記念物に指定されたもの及び県条例第37条第1項の規定により県指定史跡名勝天然記念物に指定されたものを除く。)のうち市にとつて重要なものを福岡市指定史跡、福岡市指定名勝又は福岡市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第4条第2項から第4項までの規定を準用する。

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(解除)

第31条 市指定史跡名勝天然記念物が市指定史跡名勝天然記念物としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 市指定史跡名勝天然記念物について法第109条第1項の規定により史跡名勝天然記念物の指定があつたとき、又は県条例第37条第1項の規定により県指定史跡名勝天然記念物の指定があつたときは、市指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。

3 第1項の規定による指定の解除には第5条第2項の規定を、前項の場合には第5条第4項の規定を準用する。

(昭和51条例46・平成17条例98・一部改正)

(土地の所在等の異動の届出)

第32条 市指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたときは、所有者(第34条において準用する第6条第2項の規定により選任した管理責任者がある場合は、その者)は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(現状変更等の制限)

第33条 市指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 第1項の規定による許可を与える場合には、第13条第3項及び第4項の規定を準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

(準用規定)

第34条 第6条から第8条まで、第10条から第12条の2まで、第14条第17条及び第18条第1項の規定は、市指定史跡名勝天然記念物について準用する。

(昭和51条例46・一部改正)

第5章の2 市選定保存技術

(昭和51条例46・追加)

(選定等)

第34条の2 教育委員会は、本市の区域内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術に選定されたもの及び県条例第45条第1項の規定により県選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち市として保存の措置を講ずる必要があるものを福岡市選定保存技術(以下「市選定保存技術」という。)として選定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による選定をするに当たつては、市選定保存技術の保持者又は保存団体(市選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体(財団を含む。)で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 第1項の市選定保存技術についての前項の認定は、保持者と保存団体とを併せてすることができる。

4 第1項の規定による選定及び前2項の規定による認定には、第19条第3項から第5項までの規定を準用する。

(昭和51条例46・追加、平成17条例98・一部改正)

(解除)

第34条の3 教育委員会は、市選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなつた場合その他特別の理由があるときは、その選定を解除することができる。

2 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保存団体が保存団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特別の理由があるときは、保持者又は保存団体の認定を解除することができる。

3 第1項の規定による認定の解除には、第20条第3項の規定を準用する。

4 市選定保存技術について法第147条第1項の規定による選定保存技術の選定があつたとき、又は県条例第45条第1項の規定により県選定保存技術の選定があつたときは、当該市選定保存技術の選定は、解除されたものとする。

5 前項の場合には、第20条第5項の規定を準用する。

6 前条第2項の認定が保持者のみについてなされた場合にあつてはそのすべてが死亡したとき、同項の認定が保存団体のみについてなされた場合にあつてはそのすべてが解散したとき(消滅したときを含む。以下この項において同じ。)同項の認定が保持者と保存団体とを併せてなされた場合にあつては保持者のすべてが死亡し、かつ、保存団体のすべてが解散したときは、市選定保存技術の選定は、解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(昭和51条例46・追加、平成17条例98・一部改正)

(保持者の氏名変更等)

第34条の4 保持者及び保存団体には、第21条の規定を準用する。この場合において、同条後段中「代表者」とあるのは、「代表者又は管理人」と読み替えるものとする。

(昭和51条例46・追加)

(保存)

第34条の5 教育委員会は、市選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、市選定保存技術について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項及び第11条の規定を準用する。

(昭和51条例46・追加)

(保存に関する指導又は助言)

第34条の6 教育委員会は、市選定保存技術の保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。

(昭和51条例46・追加)

第6章 市登録文化財

(平成24条例37・追加)

(登録)

第35条 教育委員会は、本市の区域内に存する文化財(法第27条第1項、法第71条第1項、法第78条第1項又は法第109条第1項の規定(以下「法の指定の規定」という。)により指定されたもの、県条例第4条第1項、県条例第23条第1項、県条例第29条第1項又は県条例第37条第1項の規定(以下「県条例の指定の規定」という。)により指定されたもの、第4条第1項第19条第1項第25条第1項又は第30条第1項の規定(以下「この条例の指定の規定」という。)により指定されたもの及び法第57条第1項、法第76条の7第1項、法第90条第1項、法第90条の5第1項又は法第132条第1項の規定(以下「法の登録の規定」という。)により登録されたものを除く。)のうちその文化財としての価値に鑑み保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを福岡市登録文化財(以下「市登録文化財」という。)として登録することができる。

2 市登録文化財の種別は、次のとおりとする。

(1) 福岡市登録有形文化財(以下「市登録有形文化財」という。)

(2) 福岡市登録無形文化財(以下「市登録無形文化財」という。)

(3) 福岡市登録有形民俗文化財(以下「市登録有形民俗文化財」という。)

(4) 福岡市登録無形民俗文化財(以下「市登録無形民俗文化財」という。)

(5) 福岡市登録史跡、福岡市登録名勝又は福岡市登録天然記念物(以下「市登録史跡名勝天然記念物」と総称する。)

3 第1項の規定による市登録有形文化財、市登録有形民俗文化財又は市登録史跡名勝天然記念物(以下「市登録有形文化財等」と総称する。)の登録には、第4条第2項から第4項までの規定を準用する。

4 第1項の規定による市登録無形文化財の登録には、第19条第2項から第5項までの規定を準用する。

5 第1項の規定による市登録無形民俗文化財の登録には、第25条第3項の規定を準用する。

6 第1項の規定による登録をしたときは、教育委員会は、市登録有形文化財又は市登録有形民俗文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。

(平成24条例37・追加、令和4条例28・一部改正)

(登録の抹消)

第36条 市登録文化財が市登録文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その登録を抹消することができる。

2 市登録文化財について法の指定の規定、県条例の指定の規定若しくはこの条例の指定の規定による指定又は法の登録の規定による登録があつたときは、当該市登録文化財の登録は、抹消されたものとする。

3 第20条第2項及び第6項の規定は、市登録無形文化財について準用する。

4 第1項の規定による市登録有形文化財等の登録の抹消には第5条第2項の規定を、第2項の場合の市登録有形文化財等の登録の抹消には第5条第4項の規定を準用する。

5 第1項の規定による市登録無形文化財の登録の抹消には第20条第3項の規定を、第2項の場合の市登録無形文化財の登録の抹消には第20条第5項の規定を準用する。

6 第1項の規定による市登録無形民俗文化財の登録の抹消には第26条第3項の規定を、第2項の場合の市登録無形民俗文化財の登録の抹消には第26条第6項の規定を準用する。

7 第4項で準用する第5条第2項で準用する第4条第3項の規定による市登録有形文化財等の登録の抹消の通知を受けたとき又は第4項で準用する第5条第4項の規定による通知を受けたときは、市登録有形文化財又は市登録有形民俗文化財の所有者は、速やかにこれらの文化財の登録証を教育委員会に返付しなければならない。

(平成24条例37・追加)

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第37条 市登録有形文化財等の所有者は、この条例及びこれに基づいて定める教育委員会規則に従い、市登録有形文化財等を管理しなければならない。

2 市登録有形文化財等の所有者には、第6条第2項から第4項までの規定を準用する。

(平成24条例37・追加)

(現状変更等の届出等)

第38条 市登録有形文化財等に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、必要があると認めるときは、市登録有形文化財等の所有者又は管理責任者に対し、当該市登録有形文化財等の現状につき報告を求めることができる。

(平成24条例37・追加)

(助言)

第39条 教育委員会は、市登録文化財の保護上必要があると認めるときは、市登録有形文化財等の所有者若しくは管理責任者、市登録無形文化財の保持者若しくは保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるもの又は市登録無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、これらの文化財の保存のために必要な助言をすることができる。

2 教育委員会は、市登録有形文化財若しくは市登録有形民俗文化財の所有者、市登録無形文化財の保持者若しくは保持団体又は市登録無形文化財若しくは市登録無形民俗文化財の記録の所有者に対し、これらの文化財又は記録の公開に関する助言をすることができる。

(平成24条例37・追加)

(準用規定)

第40条 第7条及び第8条の規定は、市登録有形文化財等について準用する。

2 第9条の規定は、市登録有形文化財及び市登録有形民俗文化財について準用する。

3 第21条の規定は、市登録無形文化財について準用する。

4 第32条の規定は、市登録史跡名勝天然記念物について準用する。

(平成24条例37・追加)

(登録証の引渡し)

第41条 市登録有形文化財又は市登録有形民俗文化財の所有者が変更となったときは、旧所有者は、これらの文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。

(平成24条例37・追加)

第7章 文化財保護審議会

(昭和51条例46・改称、平成24条例37・旧第6章繰下)

(設置等)

第42条 教育委員会に福岡市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、文化財の保存及び活用に関し、教育委員会の諮問に応ずるとともに、必要な調査及び研究を行うものとする。

3 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(昭和51条例46・一部改正、平成24条例37・旧第35条繰下・一部改正)

(諮問)

第43条 教育委員会は、次の各号に掲げる場合においては、審議会の意見を聞かなければならない。

(1) 第4条第1項第19条第1項第25条第1項又は第30条第1項の規定により指定を行おうとするとき。

(2) 第5条第1項第20条第1項第26条第1項又は第31条第1項の規定により指定の解除を行おうとするとき。

(3) 第19条第2項(第35条第4項において準用する場合を含む。)若しくは第4項(第35条第4項において準用する場合を含む。)又は第34条の2第2項の規定により認定を行おうとするとき。

(4) 第20条第2項(第36条第3項において準用する場合を含む。)又は第34条の3第2項の規定により認定の解除を行おうとするとき。

(5) 第34条の2第1項の規定により選定を行おうとするとき。

(6) 第34条の3第1項の規定により選定の解除を行おうとするとき。

(7) 第29条第1項の規定により選択を行おうとするとき。

(8) 第35条第1項の規定により登録を行おうとするとき。

(9) 第36条第1項の規定により登録の抹消を行おうとするとき。

(昭和51条例46・一部改正、平成24条例37・旧第36条繰下・一部改正)

第8章 補則

(平成24条例37・旧第7章繰下)

(委任)

第44条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(平成24条例37・旧第37条繰下)

第9章 罰則

(平成24条例37・旧第8章繰下)

第45条 市指定有形文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。

(昭和51条例46・一部改正、平成24条例37・旧第38条繰下)

第46条 市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。

(昭和51条例46・一部改正、平成24条例37・旧第39条繰下)

第47条 第13条又は第33条の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、市指定有形文化財若しくは市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかつた者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

(昭和51条例46・追加、平成24条例37・旧第39条の2繰下)

第48条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前3条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

(昭和51条例46・一部改正、平成24条例37・旧第40条繰下)

この条例は、昭和48年4月1日から施行する。

(昭和51年4月1日条例第46号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の福岡市文化財保護条例(以下「旧条例」という。)によつて指定されている文化財は、この条例による改正後の福岡市文化財保護条例(以下「新条例」という。)によつて指定された文化財とみなす。

3 教育委員会は、この条例の施行の際現に旧条例第19条第1項の規定により指定されている市指定無形文化財のうち、新条例第25条第1項の規定による市指定無形民俗文化財に指定することが適当と認められるものについては、この条例の施行後1年以内に、旧条例第19条第1項の規定によつてした指定を解除するとともに、新条例第25条第1項の規定により市指定無形民俗文化財の指定をしなければならない。

4 教育委員会は、この条例の施行の際現に旧条例第19条第1項の規定により指定されている市指定無形文化財のうち、旧条例第19条第2項の規定による保持者の認定に代えて新条例第19条第2項の保持団体の認定をする必要があると認められるものについては、この条例の施行後1年以内に、旧条例第19条第2項の規定によつてしたすべての保持者の認定を解除するとともに、新条例第19条第2項の規定により保持団体の認定をしなければならない。この場合においては、新条例第19条第3項の規定を準用する。

5 教育委員会は、附則第3項の規定による市指定無形民俗文化財の指定又は前項の規定による保持団体の認定を行おうとする場合においては、新条例第35条に規定する福岡市文化財保護審議会の意見を聞かなければならない。

6 この条例の施行前に旧条例の規定によりなされた許可その他の処分又は申請、届出その他の手続は、それぞれ新条例の相当規定に基づいてなされた処分又は手続とみなす。

7 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成17年3月31日条例第98号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

(平成24年3月29日条例第37号)

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(令和4年3月28日条例第28号)

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

福岡市文化財保護条例

昭和48年3月31日 条例第33号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第15類 育/第3章 社会教育
沿革情報
昭和48年3月31日 条例第33号
昭和51年4月1日 条例第46号
平成17年3月31日 条例第98号
平成24年3月29日 条例第37号
令和4年3月28日 条例第28号