○福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例
平成12年7月13日
条例第59号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 建築主等の配慮等(第7条―第9条)
第3章 建築計画等の周知の手続(第10条―第14条)
第4章 中高層建築物等及び特定集合住宅の建築に係る指導
第1節 中高層建築物の建築に係る指導(第15条)
第2節 ワンルーム形式集合建築物の建築に係る指導(第16条―第21条)
第3節 特定集合住宅の建築に係る指導(第22条・第23条)
第5章 調整(第24条―第27条)
第6章 調停(第28条―第35条)
第7章 指導及び勧告等(第36条・第37条)
第8章 雑則(第38条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物、ワンルーム形式集合建築物及び特定集合住宅の建築に関し、建築主等が配慮すべき事項、建築計画等の周知の手続、本市が行う指導、建築紛争の調整及び調停に関する手続その他必要な事項を定めることにより、建築紛争の予防と調整を図り、もって市民の良好な近隣関係を保持するとともに、安全で快適な居住環境の保全及び形成に資することを目的とする。
(平成16条例32・一部改正)
(1) 中高層建築物 高さが10メートルを超える建築物をいう。
(2) 集合住宅 共同住宅若しくは長屋又はこれらの用途に供する部分を有する建築物をいう。
(3) ワンルーム形式集合建築物 2以上の階数を有し、かつ、専用床面積が35平方メートル以下の住戸の数が5以上である集合住宅をいう。
(4) 中高層建築物等 中高層建築物及びワンルーム形式集合建築物をいう。
(5) 特定集合住宅 住戸の数が10以上である集合住宅をいう。
(6) 自動車 自動車の保管場所の確保等に関する法律(昭和37年法律第145号)第2条第1号に定める自動車をいう。
(7) 自動車保管場所 車庫、空地その他自動車を通常保管するための場所をいう。
(8) 建築主等 建築主、設計者、工事監理者、工事施工者及び管理者をいう。
(9) 近隣住民 中高層建築物等又は特定集合住宅の敷地境界線からの水平距離が15メートル以下の範囲内にその全部又は一部がある土地(中高層建築物にあっては、当該敷地の真北方向にある土地で、敷地境界線から当該中高層建築物の高さの概ね1.5倍に相当する水平距離の範囲内にその全部又は一部があるものを含む。)に存する建築物の所有者、管理者及び居住者(その土地に建築物が存しない場合にあっては、その土地の所有者及び管理者)をいう。
(10) 建築紛争 中高層建築物等及び特定集合住宅の建築が居住環境に及ぼす影響に関する中高層建築物等又は特定集合住宅の建築主等及び近隣住民(以下「当事者」という。)の間の紛争をいう。
(平成16条例32・平成19条例30・一部改正)
(適用除外)
第3条 次に掲げる建築物については、この条例の規定は、適用しない。
(1) 法第18条第3項の規定による確認済証の交付を受けて建築する建築物
(2) 法第85条の規定の適用を受ける仮設の建築物
(市の責務)
第4条 市は、中高層建築物等及び特定集合住宅の建築に関し、安全で快適な居住環境の保全及び形成が図られるよう指導するとともに、建築紛争が生じたときは、迅速かつ適正な調整に努めなければならない。
(平成16条例32・一部改正)
(建築主等の責務)
第5条 建築主等は、中高層建築物等及び特定集合住宅の建築に関し、周辺の居住環境に十分に配慮するとともに、市民の良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
(平成16条例32・一部改正)
(当事者の責務)
第6条 当事者は、建築紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、これを自主的に解決するよう努めなければならない。
第2章 建築主等の配慮等
(建築計画上の配慮)
第7条 中高層建築物等又は特定集合住宅の建築主は、当該中高層建築物等又は特定集合住宅の建築計画の策定に当たっては、当該建築物が他の建築物の日照、通風その他周辺の居住環境に及ぼす影響に配慮しなければならない。
(平成16条例32・一部改正)
(工事に関する措置)
第8条 中高層建築物等又は特定集合住宅の建築主等は、当該中高層建築物等又は特定集合住宅の工事が周辺の居住環境に著しく影響を及ぼすおそれがあるときは、次に掲げる事項について、当該工事の着手前に近隣住民と協議するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(1) 工事車両の通行及び駐車に関すること。
(2) 工事に伴う騒音及び振動の防止又は軽減に関すること。
(3) 工事に伴うほこり等の飛散防止に関すること。
(4) 工事により生じるおそれのある危害の防止に関すること。
(5) その他市長が必要と認める事項
(平成16条例32・一部改正)
(テレビジョン電波の受信障害に対する措置)
第9条 中高層建築物の建築主等は、当該中高層建築物の建築によりテレビジョン電波の受信障害が生じ、又は生じるおそれがあるときは、受信の状態の調査を行い、その被害を受け、又は受けるおそれがある者と協議したうえで、当該障害を防止し、又は解消するために必要な措置を講じなければならない。
第3章 建築計画等の周知の手続
(標識の設置)
第10条 中高層建築物等の建築主は、当該中高層建築物等の建築計画を近隣住民に周知させるため、規則で定めるところにより、当該建築計画の概要を記載した標識を設置しなければならない。
2 前項の標識の設置期間は、当該中高層建築物等に係る法第6条第1項又は法第6条の2第1項の規定による確認の申請(以下「確認申請」という。)をしようとする日の30日前の日から当該中高層建築物等の工事に着手する日までの間とする。
3 中高層建築物等の建築主は、第1項の標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
(事前説明)
第11条 中高層建築物等の建築主は、規則で定めるところにより、近隣住民に対し、当該中高層建築物等の建築計画及び工事の施工方法(以下「建築計画等」という。)についての説明(以下「事前説明」という。)を行わなければならない。
2 中高層建築物等の建築主は、当該中高層建築物等の設計者、工事監理者、工事施工者その他当該中高層建築物等の建築計画等について十分な知識を有する者に委託して、事前説明を行わせることができる。
3 近隣住民は、中高層建築物等の建築主から当該中高層建築物等に係る事前説明の申出があったときは、これに応じなければならない。
4 中高層建築物等の建築主は、当該中高層建築物等の建築計画等について、近隣住民から説明会の開催を求められたときは、これに応じるよう努めなければならない。
5 中高層建築物等の建築主は、近隣住民の長期不在その他その責めに帰することができない事由により当該中高層建築物等に係る事前説明をすることができないときは、事前説明をすることを要しない。この場合において、当該建築主は、当該中高層建築物等の建築計画等を近隣住民に周知させるよう努めなければならない。
(管理方法の説明)
第12条 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、規則で定めるところにより、近隣住民に対し、当該ワンルーム形式集合建築物の管理の方法についての説明(以下「管理方法の説明」という。)を行わなければならない。
2 管理方法の説明は、当該ワンルーム形式集合建築物に係る事前説明と同時に行わなければならない。
(1) 中高層建築物 確認申請をしようとする日の20日前の日
(2) ワンルーム形式集合建築物(前号に該当するものを除く。) 確認申請をしようとする日の14日前の日
第4章 中高層建築物等及び特定集合住宅の建築に係る指導
(平成16条例32・改称)
第1節 中高層建築物の建築に係る指導
2 中高層建築物であって、集合住宅であるものの建築主は、規則で定める事項について規定した管理規約を作成するよう努めなければならない。
(平成19条例30・一部改正)
第2節 ワンルーム形式集合建築物の建築に係る指導
(事前説明に関する指導)
第16条 前条第1項の規定は、ワンルーム形式集合建築物に係る事前説明について準用する。
(平成19条例30・一部改正)
(建築計画等の事前協議)
第17条 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、当該ワンルーム形式集合建築物の建築計画等及び管理の方法について、規則で定めるところにより、市長と協議しなければならない。協議した建築計画等又は管理の方法を変更するときも、また同様とする。
(建築主による措置)
第18条 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項について必要な措置を講じなければならない。
(1) 住戸の専用床面積及び天井の高さに関すること。
(2) 引っ越し、荷下ろし等の作業ができる場所に関すること。
(3) 自転車及びバイクの置場に関すること。
(4) ごみ置場に関すること。
(5) 敷地の緑化に関すること。
(6) その他市長が必要と認める事項
(管理人室の設置等)
第19条 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、当該ワンルーム形式集合建築物を適正に管理し、及び近隣住民からの問い合わせ等に迅速に対応できるよう、管理人室を設置し、当該管理人室に常駐する管理人を置かなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、これに代えて第三者に当該ワンルーム形式集合建築物の管理を委託することができる。
(1) 当該ワンルーム形式集合建築物の住戸(専用床面積が35平方メートル以下のものに限る。)の数が30未満であるとき。
(2) 当該ワンルーム形式集合建築物について適正な管理がなされると市長が認めるとき。
2 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、前項の規定により管理人を置き、又は第三者に管理を委託したときは、規則で定めるところにより、当該ワンルーム形式集合建築物の管理の方法を記載した表示板を設置しなければならない。
(平成19条例30・一部改正)
(管理規約の作成)
第20条 ワンルーム形式集合建築物の建築主は、規則で定めるところにより、管理規約を作成し、当該ワンルーム形式集合建築物の入居者に当該管理規約を遵守するよう指導しなければならない。
第3節 特定集合住宅の建築に係る指導
(平成16条例32・改称)
(自動車保管場所の設置)
第22条 特定集合住宅の建築主は、規則で定めるところにより、当該特定集合住宅の入居者のための自動車保管場所を当該特定集合住宅又はその敷地内に設置しなければならない。
2 前項の規定により設置する自動車保管場所は、自動車を安全に収容し、かつ、円滑に出入りさせることができるものとして、規則で定める基準に適合したものでなければならない。
(平成16条例32・一部改正)
(自動車保管場所の設置計画の事前協議)
第23条 特定集合住宅の建築主は、当該特定集合住宅に係る自動車保管場所の設置計画について、規則で定めるところにより、市長と協議しなければならない。協議した設置計画を変更するときも、また同様とする。
2 前項の規定による協議は、当該特定集合住宅に係る確認申請をしようとする日の14日前の日までにしなければならない。
(平成16条例32・一部改正)
第5章 調整
(調整の申出)
第24条 当事者は、建築紛争が生じた場合において、第6条の規定に基づく自主的な解決の努力を尽くしてもなおその解決に至らないときは、当該建築紛争の調整(以下「調整」という。)を市長に申し出ることができる。
(調整)
第25条 市長は、前条の規定による調整の申出があったときは、当事者間に合意が成立するよう調整を行うものとする。
2 市長は、必要があると認めるときは、調整の場に関係者の出席を求め、説明若しくは意見を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。
3 市長は、必要があると認めるときは、当事者に対し、調整の実現を不可能にし、若しくは著しく困難にする行為を制限し、又は調整を円滑に行うために必要な措置を講じるよう指導することができる。
(調整の打切り)
第26条 市長は、調整に係る建築紛争について、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調整を打ち切ることができる。
(手続の非公開)
第27条 調整の手続は、公開しない。
第6章 調停
2 前項の規定による調停の申出(以下「調停の申出」という。)は、当該建築紛争に係る中高層建築物の工事の着手前に行わなければならない。
3 市長は、調停の申出が当事者の一方からなされた場合において、相当の理由があると認めるときは、他の当事者に対し、相当の期間を定めて、これに同意するよう勧告することができる。
(調停の付託)
第29条 市長は、調停の申出が当事者の双方からなされたとき、又は当事者の一方からの調停の申出について他の当事者が同意したときは、次条に規定する福岡市中高層建築物建築紛争調停委員会に調停を付託するものとする。
(中高層建築物建築紛争調停委員会)
第30条 市長の附属機関として、福岡市中高層建築物建築紛争調停委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、この条例の規定により調停を行うとともに、市長の諮問に応じ、建築紛争の調停に関する事項を調査し、及び審議する。
3 委員会は、委員6人以内をもって組織する。
4 委員は、建築、法律又は行政の分野に関し学識経験のある者その他市長が適当と認める者のうちから市長が任命する。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
(調停)
第31条 委員会は、第29条の規定による調停の付託があったときは、当事者間に合意が成立するよう調停を行うものとする。
2 委員会は、必要があると認めるときは、会議に関係者の出席を求め、説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
3 委員会は、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停の実現を不可能にし、若しくは著しく困難にする行為を制限し、又は調停を円滑に行うために必要な措置を講じるよう勧告することができる。
4 委員会は、当事者の主張その他当該建築紛争に係る一切の事情を考慮したうえで調停案を作成し、これを当事者に提示するものとする。
5 当事者は、前項の規定により提示を受けた調停案(以下「調停案」という。)について、委員会が定める期間内に、これに同意するか否かを回答しなければならない。
(調停の打切り)
第32条 委員会は、調停に係る建築紛争について、次の各号のいずれかに該当する場合は、調停を打ち切ることができる。
(1) 当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるとき。
(2) 当事者の双方若しくは一方が調停案について同意せず、又は前条第5項の期間内に回答しないとき。
2 前項の規定により調停が打ち切られたときは、当事者は、当該建築紛争について、再度の調停を申し出ることはできない。
(報告)
第33条 委員会は、調停が終了したとき、又は前条第1項の規定により調停を打ち切ったときは、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
(手続の非公開)
第34条 調停の手続は、公開しない。
第7章 指導及び勧告等
(指導及び勧告)
第36条 市長は、中高層建築物等又は特定集合住宅の建築主が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該建築主に対し、期間を定めて、建築紛争の予防と調整のために必要な措置を講じるよう指導し、又は勧告することができる。
(1) 第3章に規定する建築計画等の周知の手続の全部又は一部を実施しないとき。
(平成16条例32・一部改正)
(公表)
第37条 市長は、前条の規定による指導又は勧告を受けた建築主が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。
第8章 雑則
(委任)
第38条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成12年11月1日から施行する。
附則(平成16年3月29日条例第32号)
(施行期日)
1 この条例は、平成16年6月1日から施行する。
(適用区分)
2 この条例による改正後の福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例(以下「改正後の条例」という。)第3章、第4章及び第7章の規定は、平成16年7月1日以後に確認申請をしようとする中高層建築物等及び特定集合住宅の建築について適用し、同日前にされた確認申請に係るこれらの建築物の建築については、なお従前の例による。
(施行日前における建築計画等の周知の手続等の実施)
3 ワンルーム形式集合建築物及び特定集合住宅(それぞれその用途の全部又は一部が長屋であるものに限る。以下同じ。)の建築主が、この条例の施行の日前において、この条例による改正前の福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例(以下「改正前の条例」という。)第3章に規定する建築計画等の周知の手続並びに改正前の条例第17条及び第23条の規定による協議に相当する行為をしたときは、当該相当する行為がされたワンルーム形式集合建築物及び特定集合住宅の建築については、当該相当する行為は、それぞれ改正後の条例の相当する規定によりなされたものとみなす。
附則(平成19年3月15日条例第30号)
(施行期日)
1 この条例は、平成19年7月1日から施行する。
(適用区分)
2 この条例による改正後の福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例(以下「改正後の条例」という。)の規定は、平成19年8月1日以後に確認申請をしようとする中高層建築物等及び特定集合住宅の建築について適用し、同日前にされた確認申請に係るこれらの建築物の建築については、なお従前の例による。
(施行日前における建築計画等の周知の手続等の実施)
3 中高層建築物等の建築主が、この条例の施行の日前において、この条例による改正前の福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例(以下「改正前の条例」という。)第3章に規定する建築計画等の周知の手続及び改正前の条例第17条の規定による協議をしたときは、当該手続及び協議がされた中高層建築物等の建築については、当該手続及び協議は、それぞれ改正後の条例の相当する規定によりなされたものとみなす。