○福岡市都市景観条例
昭和62年3月9日
条例第28号
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 景観計画の策定等(第10条―第13条)
第3章 景観法に基づく行為の届出等(第14条―第18条)
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木の指定等の手続(第19条・第20条)
第5章 都市景観形成建築物等(第21条―第23条)
第6章 景観づくり地域団体(第24条・第25条)
第7章 表彰及び助成(第26条―第29条)
第8章 福岡市都市景観審議会(第30条・第31条)
第9章 雑則(第32条―第34条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、福岡市の都市景観の形成の促進及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関して必要な事項を定めることにより、豊かな自然と悠久の歴史に培われた福岡にふさわしい風格のある美しいまちづくりと市民文化の向上に資することを目的とする。
(平成24条例26・一部改正)
(1) 都市景観の形成 福岡らしさをいかした都市景観の保全、創造及び育成をいう。
(2) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)及び工作物(建築物を除く。以下同じ。)で規則で定めるものをいう。
(3) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれに類するものとして規則で定めるものをいう。
(平成24条例26・一部改正)
(市の施策)
第3条 市は、都市景観の形成を図るため、総合的な施策を実施するものとする。
2 市は、前項の施策の実施に当たつては、市民及び事業者の意見、要望等が十分に反映されるよう努めるものとする。
(都市景観形成基本計画の策定)
第4条 市長は、都市景観の形成に関する基本的な方向を明らかにした都市景観形成基本計画を策定するものとする。
2 市長は、都市景観形成基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ福岡市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、都市景観形成基本計画を策定したときは、これを告示しなければならない。
(先導的役割)
第5条 市長その他の市の機関は、道路、公園その他の公共施設の整備等を行う場合には、都市景観形成基本計画及び法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)との整合を図るとともに、都市景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。
(平成24条例26・一部改正)
(啓発)
第6条 市長は、市民及び事業者の都市景観に関する知識の普及と意識の高揚を図るため、必要な措置を講じなければならない。
(国等に対する協力の要請)
第7条 市長は、必要があると認めるときは、国若しくは地方公共団体又はこれらが設立した団体に対し、都市景観の形成について協力を要請するものとする。
(市民及び事業者の責務)
第8条 市民及び事業者は、自ら都市景観の形成に寄与するよう努めるとともに、市長その他の市の機関が実施する都市景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
2 市民及び事業者は、建築物等の新築、増築、改築、修繕、模様替え又は色彩の変更、土地の形質の変更等を行おうとするときは、都市景観の形成に配慮しなければならない。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第9条 この条例の運用に当たつては、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 景観計画の策定等
(平成24条例26・全改)
(景観計画の策定)
第10条 市長は、都市景観の形成の推進を図るため、法第8条第1項の規定に基づき、景観計画を定めるものとする。
2 景観計画には、法第8条第2項各号に掲げるもの及び同条第3項の景観計画区域における良好な景観の形成に関する方針のほか、次の各号に掲げるものを定めるものとする。
(1) 都市景観形成地区(第12条第1項の規定に基づき市長が指定する地区をいう。)
(2) 都市景観形成地区ごとの都市景観の形成に関する方針(以下「地区景観形成方針」という。)
(3) 地区景観形成方針に基づき都市景観形成地区ごとに定める事項(以下「地区景観形成基準」という。)
(4) その他市長が必要と認めるもの
3 市長は、景観計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ福岡市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(平成24条例26・全改)
(法第14条第1項の規定による通知をする場合の審議会の意見の聴取)
第11条 市長は、法第14条第1項の規定による通知をしようとするときは、福岡市都市景観審議会の意見を聴くものとする。
(平成24条例26・全改)
(都市景観形成地区の指定等)
第12条 市長は、都市景観形成基本計画及び景観計画に従い、都市景観の形成を重点的に図る必要があると認める地区を都市景観形成地区として指定することができる。
2 地区景観形成基準には、次の各号に掲げる事項のうち、市長が必要と認めるものを定めるものとする。
(1) 建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限に関する事項
(2) 建築物等の高さの最高限度に関する事項
(3) 壁面の位置の制限に関する事項
(4) 建築物の敷地面積の最低限度に関する事項
(5) 広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置に関する行為の制限に関する事項
(6) その他都市景観の形成に関し必要な行為の制限に関する事項
3 市長は、都市景観形成地区、地区景観形成方針及び地区景観形成基準(以下「都市景観形成地区等」という。)の原案を作成しようとする場合においては、あらかじめ、次の各号に掲げる事項を公告し、当該原案を公告の日から2週間公衆の縦覧に供さなければならない。
(1) 都市景観形成地区等の原案に係る都市景観形成地区の名称、位置及び区域
(2) 縦覧場所
5 前2項の規定は、都市景観形成地区等を変更する場合について準用する。
(平成24条例26・全改)
(空地の管理等に関する要請)
第13条 市長は、都市景観形成地区において、空地がその周辺の都市景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地の所有者、占有者又は管理者に対し、都市景観の形成に配慮した適正な空地の管理又は利用を図るよう要請することができる。
(平成24条例26・全改)
第3章 景観法に基づく行為の届出等
(平成24条例26・全改)
(行為の届出の際に添付する図書)
第14条 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、平面図その他規則で定めるものとする。
(平成24条例26・全改)
(届出の適用除外とする条例で定める行為)
第15条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げるものとする。
(2) 法第16条第1項第3号に掲げる行為
(3) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(平成24条例26・全改、平成28条例33・一部改正)
(特定届出対象行為)
第16条 法第17条第1項の条例で定める行為は、次に掲げるものとする。
(1) 都市景観形成地区内における建築物の建築等及び工作物の建設等
(3) 福岡広域都市計画高度地区において市長が周囲の環境上支障がないと認めて許可し、当該高度地区内における建築物の高さの最高限度の規定を適用しないこととされた建築物の建築等
(4) 建築基準法第59条の2第1項の規定による許可を受けた建築物の建築等
(平成24条例26・全改、平成28条例33・平成29条例43・一部改正)
(完了届等)
第17条 法第16条第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為を完了し、又は中止したときは、規則で定めるところにより、速やかにその内容を市長に届け出なければならない。
(平成24条例26・全改)
(勧告等に当たつての手続)
第18条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告又は法第17条第1項及び第5項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ福岡市都市景観審議会の意見を聴くものとする。
(平成24条例26・全改)
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木の指定等の手続
(平成24条例26・追加)
(景観重要建造物等の指定の手続)
第19条 市長は、法第19条第1項の規定による景観重要建造物の指定又は法第28条第1項の規定による景観重要樹木の指定をしようとするときは、あらかじめ福岡市都市景観審議会の意見を聴くとともに、指定しようとする景観重要建造物又は景観重要樹木(以下「景観重要建造物等」という。)を所有権その他の権利に基づいて占有する者の同意を得なければならない。
2 市長は、景観重要建造物等を指定したときは、その旨を公告するものとする。
3 市長は、法第22条第1項又は法第31条第1項の許可をするに当たつて必要と認めるときは、福岡市都市景観審議会の意見を聴くものとする。
(平成24条例26・追加)
(景観重要建造物等の指定の解除の手続)
第20条 市長は、法第27条第2項の規定により景観重要建造物の指定を解除し、又は法第35条第2項の規定により景観重要樹木の指定を解除しようとするときは、あらかじめ福岡市都市景観審議会の意見を聴くものとする。
2 市長は、景観重要建造物等の指定を解除したときは、その旨を公告するものとする。
(平成24条例26・追加)
第5章 都市景観形成建築物等
(平成24条例26・旧第4章繰下)
(都市景観形成建築物等の指定)
第21条 市長は、都市景観の形成上重要な価値があると認める建築物等その他の物件を都市景観形成建築物等として指定することができる。
2 市長は、都市景観形成建築物等を指定しようとするときは、あらかじめ当該都市景観形成建築物等の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。
3 市長は、都市景観形成建築物等を指定したときは、その旨を告示するとともに、当該都市景観形成建築物等の所有者等に通知しなければならない。
4 市長は、都市景観形成建築物等が朽廃、滅失等により都市景観の形成上の価値を失つたとき、又は公益上の理由その他特別の理由があると認めるときは、都市景観形成建築物等の指定を解除するものとする。
5 第3項の規定は、都市景観形成建築物等の指定を解除した場合について準用する。
(現状変更行為等の届出)
第22条 都市景観形成建築物等の所有者等は、当該都市景観形成建築物等の現状を変更し、又は所有権その他の占有すべき権利を移転しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
(助言及び指導)
第23条 市長は、前条の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る行為により都市景観形成建築物等の都市景観形成上の価値が損なわれると認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
第6章 景観づくり地域団体
(平成24条例26・旧第5章繰下)
(景観づくり地域団体の認定)
第24条 市長は、次の各号に該当する団体を景観づくり地域団体として認定することができる。
(1) 一定の地域における都市景観の形成を図ることを目的とするもの
(2) 前号の地域に存する土地及び建築物等の所有者又は権原に基づく占有者の多数により組織されるもの
(3) 規則で定める要件を具備する団体規約が定められているもの
2 景観づくり地域団体の認定を受けようとする団体は、その代表者が規則で定めるところにより市長に申請しなければならない。
3 市長は、景観づくり地域団体が第1項各号のいずれかに該当しなくなつたと認めるとき、その他景観づくり地域団体として適当でなくなつたと認めるときは、その認定を取り消すものとする。
(景観づくり地域団体の活動)
第25条 景観づくり地域団体は、その活動に当たつては、関係者の財産権その他の権利を尊重しなければならない。
第7章 表彰及び助成
(平成24条例26・旧第6章繰下)
(表彰)
第26条 市長は、都市景観の形成に寄与していると認める建築物等その他の物件について、その所有者、設計者、施工者その他関係者を表彰することができる。
(平成24条例26・旧第28条繰上)
(都市景観形成建築物等の保存に係る助成等)
第27条 市長は、都市景観形成建築物等の所有者等に対し、その保存のために技術的援助を行い、又はその保全に要する費用の一部を助成することができる。
(平成24条例26・旧第29条繰上)
(景観づくり地域団体に対する助成等)
第28条 市長は、景観づくり地域団体に対し、技術的援助を行い、又はその活動に要する経費の一部を助成することができる。
(平成24条例26・旧第30条繰上)
(都市景観の形成に寄与する行為に係る援助)
第29条 市長は、前2条の規定による助成等のほか、都市景観の形成に寄与すると認められる行為をしようとする者に対し、技術的援助を行うことができる。
(平成24条例26・旧第31条繰上)
第8章 福岡市都市景観審議会
(平成24条例26・旧第7章繰下)
(設置)
第30条 市長の附属機関として福岡市都市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例によりその権限に属するものと定められた事項を調査審議するとともに、市長の諮問に応じ、都市景観の形成に関する事項を調査審議する。
3 審議会は、都市景観の形成に関する事項について市長に意見を述べることができる。
(平成24条例26・旧第32条繰上)
(組織及び運営)
第31条 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(平成24条例26・旧第33条繰上)
第9章 雑則
(平成24条例26・旧第8章繰下)
(専門家等の意見の聴取)
第32条 市長は、この条例の適切な運用を図るため、必要に応じ、福岡市都市計画審議会、専門家等の意見を聴くことができる。
(平成24条例26・旧第34条繰上)
(諸制度の活用)
第33条 市長は、都市景観の形成に資するため、都市計画法(昭和43年法律第100号)、建築基準法、屋外広告物法、都市緑地法(昭和48年法律第72号)等に基づく諸制度の活用を図るよう努めるものとする。
(平成17条例99・一部改正、平成24条例26・旧第35条繰上・一部改正)
(委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(平成24条例26・旧第36条繰上)
附則
(昭和63年規則第10号により第17条の規定は、昭和63年2月18日から施行)
(昭和63年規則第51号により第2章、第4章及び第6章(第28条を除く。)の規定は、昭和63年4月1日から施行)
(昭和63年規則第114号により第18条から第20条までの規定は、昭和63年12月1日から施行)
附則(平成15年3月13日条例第33号)抄
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成17年3月31日条例第99号)抄
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成24年3月29日条例第26号)
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。
(都市景観形成地区等に関する経過措置)
2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の福岡市都市景観条例(以下「改正前の条例」という。)第10条第1項の規定により指定されている都市景観形成地区は、この条例による改正後の福岡市都市景観条例(以下「改正後の条例」という。)第12条第1項の規定により指定された都市景観形成地区とみなす。
3 この条例の施行の際現に改正前の条例第11条第1項の規定により定められている地区景観形成方針及び地区景観形成基準は、それぞれ改正後の条例第10条第2項の規定により定められた地区景観形成方針及び地区景観形成基準とみなす。
(行為の届出に関する経過措置)
4 この条例の施行の日から平成24年9月30日までの間(次項において「特例期間」という。)に改正前の条例第12条第1項各号に掲げる行為(同条第2項各号に掲げる行為を除く。)をし、又は第18条第1項の大規模建築物等の新築等(同条第2項各号に掲げる行為を除く。)を行おうとする者は、改正後の条例の規定にかかわらず、改正前の条例第12条第1項又は第18条第1項の規定の例により、あらかじめその内容を市長に届け出なければならない。
5 特例期間における景観法(平成16年法律第110号)第16条第7項第11号の条例で定める行為は、改正後の条例第15条の規定にかかわらず、同法第16条第1項第1号から第3号までに掲げる行為とする。
附則(平成28年3月28日条例第33号)
(施行期日)
1 この条例は、平成28年10月1日から施行する。
(適用区分)
2 この条例による改正後の福岡市都市景観条例の規定は、この条例の施行の日以後に着手する建築物の建築等及び工作物の建設等(以下「建築等」という。)について適用し、同日前に着手した建築等については、なお従前の例による。
附則(平成29年3月30日条例第43号)抄
この条例は、公布の日から施行する。
別表
(平成28条例33・一部改正)
景観計画に定めるゾーン区分 | 建築物の建築等 | 工作物の建設等 |
都心ゾーン | 高さが31メートルを超え、又は延べ面積が10,000平方メートルを超える建築物の建築等 | 高さが31メートルを超える工作物又は幅員が10メートルを超え、若しくは長さが30メートルを超える工作物(高架道路、高架鉄道、橋りよう、横断歩道橋その他これらに類するものに限る。)の建設等 |
一般市街地ゾーン | ||
港湾ゾーン | ||
山の辺・田園ゾーン | 高さが10メートルを超え、又は延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物の建築等 | 高さが10メートルを超える工作物又は幅員が10メートルを超え、若しくは長さが30メートルを超える工作物(高架道路、高架鉄道、橋りよう、横断歩道橋その他これらに類するものに限る。)の建設等 |
海浜ゾーン | ||
歴史・伝統ゾーン | 高さが15メートルを超え、又は延べ面積が1,500平方メートルを超える建築物の建築等 | 高さが15メートルを超える工作物又は幅員が10メートルを超え、若しくは長さが30メートルを超える工作物(高架道路、高架鉄道、橋りよう、横断歩道橋その他これらに類するものに限る。)の建設等 |
備考
1 景観計画に定めるゾーン区分とは、景観形成方針(法第8条第3項の規定に基づき景観計画において定める良好な景観の形成に関する方針をいう。)ごとに定める区域の区分をいう。
2 この表における高さは、最低地盤面(建築物又は工作物が周囲の地面と接する位置の最低の高さにおける水平面をいう。)からの高さにより算定する。この場合において、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分及び棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物又は当該工作物の高さに算入するものとする。