○福岡市環境基本条例

平成8年9月26日

条例第41号

(目的)

第1条 この条例は、先人から受け継いだ福岡の豊かな環境をより良くしていくとともに、次の世代に確実に引き継ぐため、環境の保全及び創造に関する基本的事項を定めることにより、地域の自然的及び社会的条件に応じた施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が健康で文化的な生活を営むことができる環境にやさしい都市の実現を図ることを目的とする。

(基本原則)

第2条 環境の保全及び創造は、次に掲げる基本原則により行われなければならない。

(1) すべての市民が健康で文化的な生活を営む上で必要な健全で恵み豊かな環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくこと。

(2) 人と自然との豊かなふれあいを保ち、生きものとの共生を確保すること。

(3) 環境への負荷が少なく、持続的な発展が可能な循環を基調とする社会を構築すること。

(4) 地球環境保全に関して、国際的な交流及び協力に努めること。

(5) 市民、事業者及び市が、環境の保全及び創造に関し、それぞれの責務を自覚し、公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的な取組を行うこと。

(市民の役割)

第3条 市民は、その日常生活において、資源及びエネルギーの節減その他の環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市民は、自ら環境の保全及び創造に積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

(事業者の役割)

第4条 事業者は、その事業活動において、環境への負荷の少ない商品及びサービスの提供に努めるなど環境への負荷の低減に資するために必要な措置を講じるものとする。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、自主的な環境の保全及び創造に関する方針の作成、体制の整備及び取組、これらの評価等からなる環境管理に積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

(市の役割)

第5条 市は、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、自らの施策を策定し、及び実施するに当たっては、率先して環境への負荷の低減に努めるものとする。

3 市は、環境に関する教育及び学習を振興し、並びに市民、事業者又はこれらの者が組織する民間団体(以下「市民等」という。)による環境の保全に関する自発的な活動を促進するため、環境の保全及び創造に関する情報の提供その他の必要な措置を講じるとともに、市民等との連携に努めるものとする。

(施策の基本方針)

第6条 前条第1項に規定する環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施は、第2条に規定する基本原則にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行われなければならない。

(1) 人の健康を保護し、及び大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持するよう努めるとともに、地域の自然的及び社会的な個性をいかした良好な都市空間並びに文化的及び歴史的な環境の保全、形成等を図ること。

(2) 生物の多様性の確保、樹林地、農地、博多湾、水辺地等における多様な自然環境の保全及び市民が日常的に触れ合うことのできる身近な自然環境の維持、回復等に努め、自然と共生する都市の形成を図ること。

(3) 資源及びエネルギーの節減及び有効利用、資源の循環的な利用等が徹底される都市の構築を図ること。

(4) アジア太平洋地域の諸都市を始めとする海外の地域との協調の下に、地球環境保全に関する情報交換、技術交流等に努めること。

(環境基本計画)

第7条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、前条に規定する施策の基本方針に基づき、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的施策の大綱

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、福岡市環境審議会条例(平成6年福岡市条例第22号)により設置された福岡市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

6 環境基本計画に基づく施策を推進するに当たって必要がある場合は、部門別の計画を定めることができる。

(環境への配慮の推進)

第8条 市は、事業者が環境に影響を及ぼすおそれがある事業を立案し、及び実施する場合は、当該事業者がその事業の立案及び実施に当たって、環境基本計画との整合を図り、及び環境に配慮することを推進するため、必要な措置を講じるものとする。

2 市長は、市が環境に影響を及ぼすおそれがある事業を立案し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るため、当該事業及び市が行う他の事業又は施策との調整に努めなければならない。

(市民等の参加及び協力の促進)

第9条 市は、環境の保全及び創造に関する施策が効果的に実施されるよう、市民等の参加及び協力を促すため、次に掲げる事項について必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(1) 環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を市民等に適切に提供すること。

(2) 環境の保全及び創造に資する活動に市民等が参加できるようにその機会を設けること。

(3) 市民等の意見を市が行う環境の保全及び創造に関する施策に反映させること。

(4) 自らの行為による環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に資する市民等の活動を誘導する必要があると認められるときは、助成その他の措置を行うこと。

(他の地方公共団体及び国との協力)

第10条 市は、環境の保全及び創造を図るための広域的な取組を必要とする施策について、他の地方公共団体及び国と協力して、その推進に努めるものとする。

(年次報告)

第11条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的な推進に資するため、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況を明らかにした年次報告書を作成し、公表するものとする。

(環境月間及び環境デー)

第12条 市民等に広く環境の保全及び創造についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲を高めるため、環境月間及び環境デーを設ける。

2 環境月間は6月とし、環境デーは毎月14日とする。

3 市は、環境月間及び環境デーの趣旨にふさわしい事業の実施に努めなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。

福岡市環境基本条例

平成8年9月26日 条例第41号

(平成8年9月26日施行)