○福岡市市民公益活動推進条例
平成17年3月31日
条例第62号
(目的)
第1条 この条例は、市民公益活動の推進に関し、基本理念を定め、市民、市民公益活動団体、事業者及び学校の役割並びに市の責務を明らかにすることにより、市民一人ひとりの自治に係る意識及び意欲を高めるとともに、より多くの市民の参加又は参画を得て、市民公益活動の活性化を図り、もって共働によるまちづくりを推進し、自治都市・福岡を築くことを目的とする。
(1) 市民公益活動 市民が自らの責任に基づき、自主的かつ自発的に行う営利を目的としない活動(次に掲げるものを除く。)であって、公益の増進に寄与するものをいう。
ア 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するもの
イ 政治上の主義を推進し、若しくは支持し、又はこれに反対するもの
ウ 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者若しくは政党を推薦し、若しくは支持し、又はこれらに反対するもの
(2) 市民公益活動団体 自治組織、NPO、ボランティア団体その他の団体であって、主として市民公益活動を継続的に行うものをいう。
(3) 自治組織 町内会、自治会その他の市内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体をいう。
(4) 事業者 営利を目的とする事業を行う法人その他の団体及び当該事業を行う個人をいう。
(5) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、専修学校及び各種学校をいう。
(6) 共働 相互の役割と責任を認め合いながら、対等の立場で知恵と力をあわせて共に行動することをいう。
(7) 自治都市・福岡 すべての市民が、自らが暮らす地域の身近な問題について、自らができることを考え、主体的に取り組むことによって目指す豊かで住みよい福岡市の姿をいう。
(基本理念)
第3条 市民公益活動の活性化は、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び市が、次に掲げる事項を旨として行うものでなければならない。
(1) 必要な情報を相互に提供し、共有すること。
(2) それぞれの立場や役割を相互に理解すること。
(3) 市民公益活動を行う者の自主性及び主体性を相互に尊重すること。
(4) それぞれの活動に相互に参加し、若しくは参画し、又は多様な連携を図ることにより、それぞれが有する目的及び課題を共有し、その達成及び解決を目指すこと。
(市民の役割)
第4条 市民は、自らが暮らす地域社会に関心を持ち、当該地域社会に対して自らができることを考え、行動するとともに、市民公益活動に関する理解を深め、これに主体的に参加し、又は協力するよう努めるものとする。
(市民公益活動団体の役割)
第5条 市民公益活動団体は、社会的な責任を自覚し、主体的にその活動を行うよう努めるものとする。
2 市民公益活動団体は、自らが行う活動について、市民の理解と協力が広く得られるようにするとともに、その公正性及び透明性の確保に努めるものとする。
3 市民公益活動団体は、団体相互の多様な連携を図ることなどにより、共働を積極的に図るよう努めるものとする。
(1) 自治組織 住民自らの発意による多様な活動及びより多くの住民の参加による活動を継続的に促進し、自律的経営を目指すこと。
(2) NPO及びボランティア団体 社会的な課題の解決を目的とする活動において、それぞれが有する専門性、迅速性及び柔軟性を活かすこと。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、地域社会の一員としての認識を持ち、市民公益活動に関する理解を深めるとともに、市民、市民公益活動団体、学校及び市と連携又は協力をして、主体的にその推進を図るよう努めるものとする。
(学校の役割)
第7条 学校は、その本来の活動に支障のない範囲内において、専門的な知識若しくは技術、教育若しくは研究の成果等を社会に還元し、又は施設の地域開放を進めることなどにより、市民公益活動の活性化に協力するよう努めるものとする。
(市の責務)
第8条 市は、第3条に規定する基本理念にのっとり、市民公益活動の活性化のために必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、市民公益活動を行う者の自主性及び主体性を尊重するとともに、前項に規定する施策の実施に当たっては、その内容及び手続における公正性及び透明性を確保しなければならない。
3 市は、第1項に規定する施策が実効性のあるものとなるよう、職員一人ひとりの意識の向上を図り、積極的にこれを推進するものとする。
(情報の提供等)
第9条 市は、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び市相互の交流及び連携を推進するため、市民公益活動に関する情報の積極的な収集及び提供、情報交換の機会の確保その他の必要な措置を講じるものとする。
(学習機会の提供等)
第10条 市は、市民が市民公益活動に関する理解を深めることができるよう、学習機会の提供その他の必要な措置を講じるものとする。
(人材の育成及び拠点施設の機能の充実)
第11条 市は、市民公益活動の活性化のため、地域において、専門的知識を有する人材の育成を図るとともに、活動の拠点となる施設の機能の充実を図るものとする。
(市民公益活動に対する助成)
第12条 市は、市民公益活動の活性化のため、市民公益活動団体に対し、予算の範囲内で助成することができる。
(市民公益活動団体の特性の活用)
第13条 市は、市民公益活動団体が有する専門性、地域性等の特性を活かすことにより市民公益活動の活性化を図ることができると認められる事業については、法令の範囲内において、当該市民公益活動団体に対して参入の機会を提供し、当該事業に係る業務の委託等を行うよう努めるものとする。
(市民公益活動推進審議会)
第14条 市長の附属機関として、福岡市市民公益活動推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第15条 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 市長の諮問に応じ、市民公益活動の活性化に関し必要な事項について調査審議し、その結果を市長に答申すること。
(2) 前号に規定する事項について、調査審議し、市長に意見を述べること。
(組織及び委員)
第16条 審議会は、市長が任命する委員10人以内をもって組織する。
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
4 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
(会長)
第17条 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
(会議)
第18条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(会議の運営)
第19条 前3条に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成17年4月1日から施行する。